Some content of this application is unavailable at the moment.
If this situation persist, please contact us atFeedback&Contact
1. (WO2018043510) BLEEDING CONDUIT ASSEMBLY
Document

明 細 書

発明の名称 脱血導管アセンブリ

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064  

図面の簡単な説明

0065  

発明を実施するための形態

0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148  

符号の説明

0149  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19  

明 細 書

発明の名称 : 脱血導管アセンブリ

技術分野

[0001]
 本発明は、「脱血導管アセンブリ」、「補助人工心臓ポンプシステム」及び「脱血導管アセンブリの心臓への装着方法」に関する。

背景技術

[0002]
 心臓に装着して心臓内の血液を心臓から補助人工心臓ポンプに導くために用いる脱血導管アセンブリが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
[0003]
 図16及び図17は、特許文献1に記載された脱血導管アセンブリ900を説明するために示す図である。図16は、特許文献1に記載された脱血導管アセンブリ900の使用例を示す図であり、図17は、特許文献1に記載された脱血導管アセンブリ900の構造を示す図である。なお、図16中、符号12はアウトフローグラフトを示し、符号14はポンプケーブルを示し、符号20は患者の身体を示し、符号28は胸部腔を示す。また、図17中、符号942は締め付け用クランプを示す。
[0004]
 特許文献1に記載された脱血導管アセンブリ900は、図16に示すように、心臓に装着して心臓内の血液を心臓から補助人工心臓ポンプに導くために用いる脱血導管アセンブリである。特許文献1に記載された脱血導管アセンブリ900は、補助人工心臓ポンプ10と心臓左心室22の心尖部24とを接続する脱血導管アセンブリでもある。そして、特許文献1に記載された脱血導管アセンブリ900は、図17に示すように、人工血管(脱血導管)910と、人工血管910の一方の端部に配設されたインフローカニューレ920と、人工血管910の外周部に配設された補強リング(補助ヘリックスということもある)930と、人工血管910の他方の端部に配設された図示しない管状接続部材及び接続リング940とを備える。そして、インフローカニューレ920の外周部にはカフ922が配設されている。特許文献1に記載された脱血導管アセンブリ900においては、インフローカニューレ920の血液接触面が金属の線条から形成された多孔性構造体からなる。なお、本明細書において、インフローカニューレのことをカニューレチップということもある。
[0005]
 特許文献1に記載された脱血導管アセンブリ900は、インフローカニューレ920の血液接触面が金属の線条から形成された多孔性構造体からなることから、脱血導管アセンブリ900を使用する過程において多孔性構造体で血栓がアンカリングされるとともにその部分に内皮細胞が安定して定着される結果、従来の脱血導管アセンブリ(例えば、特許文献2及び3参照。)よりも血栓発生の問題が軽減された脱血導管アセンブリとなる。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2010-104428号公報
特許文献2 : 特開2005-124859号公報
特許文献3 : 特開2005-080991号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 図18及び図19は、従来の脱血導管アセンブリの課題を説明するために示す図である。
 特許文献1に記載された脱血導管アセンブリ900は、上記したように、従来の脱血導管アセンブリよりも血栓発生の問題が軽減された優れた脱血導管アセンブリであるが、本発明の発明者らの研究により、そのように優れた特許文献1に記載された脱血導管アセンブリ900をもってしても、従来の脱血導管アセンブリが有する3つの課題、すなわち、(1)心臓内の血流30が極めて弱い患者の心臓に脱血導管アセンブリが装着された場合には、図18に示すように、インフローカニューレ920の根元の部分で血栓32が発生する恐れがあるという課題(課題1)、(2)手術又は術後心臓縮小などにより脱血導管アセンブリ900が心臓に対して斜めに装着された状態となった場合には、図19に示すように、インフローカニューレ920と心筋26(又は心臓の内壁面34)とが近接又は接触している部分で血栓32が発生する恐れがあるという課題(課題2)、及び、(3)心腔内が負圧(1気圧未満)になった場合に、血流30が弱くなってインフローカニューレ920の根元の部分で血栓32が発生したり、インフローカニューレ920と心筋26とが近接又は接触している部分で血栓32が発生したりする恐れがあるという課題(課題3)を十分に解決できない場合があることが分かった。
[0008]
 そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、上記した3つの課題のうち少なくともいずれかの課題を解決可能な脱血導管アセンブリを提供することを目的とする。また、そのように優れた脱血導管アセンブリを備える補助人工心臓ポンプシステムを提供することを目的とする。また、そのように優れた脱血導管アセンブリの心臓への装着方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
[1]本発明の脱血導管アセンブリは、心臓に装着して前記心臓内の血液を前記心臓から補助人工心臓ポンプに導くために用いる脱血導管アセンブリであって、多孔性素材からなる脱血導管と、前記脱血導管の一方の端部に取り付けられたカフとからなり、前記脱血導管の外周面には第1の気体不透過性素材層が形成されていることを特徴とする。
[0010]
 すなわち、本発明の脱血導管アセンブリは、脱血導管と、当該脱血導管の一方の端部に取り付けられたカフとを備える一方において、従来備えていたインフローカニューレ(カニューレチップ)を備えないものである。従って、本発明の脱血導管アセンブリには、インフローカニューレ(カニューレチップ)が存在しない。
[0011]
 このため、本発明の脱血導管アセンブリによれば、インフローカニューレが存在しないことから、心臓内の血流が極めて弱い患者の心臓に脱血導管アセンブリが装着された場合に、インフローカニューレの根元の部分で血栓が発生するという事態、手術又は術後心臓縮小などにより脱血導管アセンブリが心臓に対して斜めに装着された状態となった場合に、インフローカニューレと心筋とが近接又は接触している部分で血栓が発生するという事態、及び、心腔内が負圧(1気圧未満)になった場合であっても、血流30が弱くなってインフローカニューレ920の根元の部分で血栓32が発生したり、インフローカニューレ920と心筋26とが近接又は接触している部分で血栓32が発生したりするという事態が発生することがなくなり、上記した3つの課題を解決することが可能となる。
[0012]
 なお、本発明の脱血導管アセンブリには、上記したように、インフローカニューレが存在しないが、特許文献1に記載の脱血導管アセンブリ900の場合と同様に、脱血導管アセンブリを心臓に適正に装着可能であること、及び、本発明の脱血導管アセンブリを心臓に装着することに起因して、手術により心臓に設けられた開口が手術後に徐々に狭くなるという事態の発生を防止可能であることが本発明の発明者らの試験(後述する試験例参照。)により確認されている。
[0013]
 また、本発明の脱血導管アセンブリによれば、脱血導管が多孔性素材からなることから、脱血導管(脱血導管アセンブリ)を使用する過程において多孔性素材からなる脱血導管の内周面に血栓がアンカリングされて疑似内膜(犠牲内膜)が形成されるとともに、心臓に近い部位(心臓から2~3cm以内の部位)には内皮細胞が安定して定着する結果、血栓発生の問題が軽減された脱血導管アセンブリとなる。
[0014]
 また、本発明の脱血導管アセンブリによれば、脱血導管の外周面には第1の気体不透過性素材層が形成されていることから、多孔性素材からなる脱血導管を用いるにもかかわらず、脱血導管の内部が負圧(1気圧未満)になったときにも脱血導管内への空気の巻き込みを防止することができる。
[0015]
 なお、本明細書において、脱血導管(及び脱血導管アセンブリ)とは、心臓に装着して心臓内の血液を心臓から補助人工心臓ポンプに導くために用いる医療部品である。また、カフとは、脱血導管アセンブリを心臓に装着するための部材である。また、インフローカニューレとは、人工血管の先端部に取り付けて用いる部材であって心臓内部に突出する部分を有する部材のことである。
[0016]
[2]本発明の脱血導管アセンブリにおいては、前記脱血導管は、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン製の人工血管からなることが好ましい。
[0017]
 本態様の脱血導管アセンブリによれば、脱血導管が柔軟性に優れた、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン(以下、ePTFEという。)製の人工血管からなることから、脱血導管アセンブリを容易に補助人工心臓ポンプに接続することができる。また、本態様の脱血導管アセンブリによれば、脱血導管が柔軟性に優れた、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン製の人工血管からなることから、人体への負担を軽くすることができる。また、本態様の脱血導管アセンブリによれば、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン製の人工血管からなることから、血液適合性及び抗血栓性に優れた脱血導管アセンブリとなる。
[0018]
[3]本発明の脱血導管アセンブリにおいては、前記脱血導管は、ポリエステル織布製の人工血管からなることも好ましい。
[0019]
 本態様の脱血導管アセンブリによれば、脱血導管が柔軟性に優れた、ポリエステル織布製の人工血管からなることから、脱血導管アセンブリを容易に補助人工心臓ポンプに接続することができる。また、本態様の脱血導管アセンブリによれば、脱血導管が柔軟性に優れた、ポリエステル織布製の人工血管からなることから、人体への負担を軽くすることができる。また、本態様の脱血導管アセンブリによれば、ポリエステル織布製の人工血管からなることから、血液適合性及び抗血栓性に優れた脱血導管アセンブリとなる。
[0020]
[4]本発明の脱血導管アセンブリにおいては、前記カフは、ポリテトラフルオロエチレン製不織布(以下、PTFE製不織布という。)からなることが好ましい。
[0021]
  本態様の脱血導管アセンブリは、カフが、PTFE製不織布からなることから、心臓組織との生体親和性に優れた脱血導管アセンブリとなる。また、本態様の脱血導管アセンブリによれば、カフが、PTFE製不織布からなることから、カフの柔軟性が高く、脱血導管アセンブリを心臓に装着する際に行う手術の自由度が高くなる。また、患者の心臓の形状・構造に相応しい形状の脱血導管アセンブリを実現できる。また、手術の際に、縫合糸によりプレジェット、心臓、カフにそれぞれ糸掛けを行った後、縫合糸を縛ることにより、手術により心臓に設けられた開口の断面(例えばパンチング切断面)をカフが覆うような形状の脱血導管アセンブリを実現できる(後述する図4(d)~図4(f)参照。)。なお、本態様の脱血導管アセンブリにおいて、カフは、PTFE製不織布からなるものに限定されるものではなく、ポリエステル製不織布その他のものであってもよい。
[0022]
 なお、本態様の脱血導管アセンブリを心臓に装着する際に行う手術には、PTFE製のモノフィラメント縫合糸、PTFE製のマルチフィラメント縫合糸、ポリエステル製のマルチフィラメント縫合糸などを用いることができる。なかでも、ポリエステル製のマルチフィラメント縫合糸を用いることが好ましい。
[0023]
[5]本発明の脱血導管アセンブリにおいては、前記第1の気体不透過性素材層は、ポリウレタン層又はポリカーボネート系ウレタン層からなることが好ましい。
[0024]
 本態様の脱血導管アセンブリによれば、第1の気体不透過性素材層が、ポリウレタン層又はポリカーボネート系ウレタン層からなることから、優れた気体不透過性能が得られ、その結果、優れた空気巻き込み性能が得られる。また、第1の気体不透過性素材層が、ポリウレタン層又はポリカーボネート系ウレタン層からなることから、生体に悪影響を与えることがない。
[0025]
 この場合、ポリウレタン層又はポリカーボネート系ウレタン層の厚さは、0.05mm~0.5mmの範囲内にあることが好ましい。当該厚さが0.05mmよりも薄い場合には、気体不透過性能が低くなって十分な空気巻き込み防止効果が得られない場合があるからであり、当該厚さが0.5mmよりも厚い場合には、脱血導管の柔軟性が低下して、脱血導管アセンブリを補助人工心臓ポンプへ接続する際の作業性が低下したり、人体への負担が重くなったりするからである。これらの観点からは、ポリウレタン層又はポリカーボネート系ウレタン層の厚さは、0.1mm~0.4mmの範囲内にあることが好ましく、0.15mm~0.25mmの範囲内にあることがより一層好ましい。
[0026]
[6]本発明の脱血導管アセンブリにおいては、前記カフの前記脱血導管側の面における少なくとも内周側所定領域には第2の気体不透過性素材層が形成されていることが好ましい。
[0027]
 本態様の脱血導管アセンブリによれば、カフの脱血導管側の面における少なくとも内周側所定領域には第2の気体不透過性素材層が形成されていることから(後述する図4(e)参照。)、本態様の脱血導管アセンブリを心臓に装着した場合に、カフを介して心臓内部から空気が巻き込まれる事態を極力抑制することができる。
[0028]
[7]本発明の脱血導管アセンブリにおいては、前記第1の気体不透過性素材層と、前記第2の気体不透過性素材層とは連続して形成されていることが好ましい。
[0029]
 本態様の脱血導管アセンブリによれば、第1の気体不透過性素材層と、第2の気体不透過性素材層とが連続して形成されていることから、本態様の脱血導管アセンブリを心臓に装着した場合に、カフを介して心臓内部から空気が巻き込まれる事態を極力抑制することができる。
[0030]
[8]本発明の脱血導管アセンブリにおいては、前記第2の気体不透過性素材層は、前記脱血導管の外周面から少なくとも2mmの領域に形成されていることが好ましい。
[0031]
 本態様の脱血導管アセンブリによれば、第2の気体不透過性素材層が、脱血導管の外周面から少なくとも2mmの領域(後述する図2(c)の符号Aで示す領域)に形成されていることから、本態様の脱血導管アセンブリを心臓に装着した場合に、カフを介して心臓内部から空気が巻き込まれる際の経路を極力狭くすることができる。
[0032]
[9]本発明の脱血導管アセンブリにおいては、前記第2の気体不透過性素材層は、前記カフの外周から少なくとも2mmの領域には形成されていないことが好ましい。
[0033]
 本態様の脱血導管アセンブリによれば、第2の気体不透過性素材層が、カフの外周から少なくとも2mmの領域(後述する図2(c)の符号Bで示す領域)には形成されていないことから、本態様の脱血導管アセンブリを心臓に装着した場合に、カフの脱血導管側の面においても生体組織がカフに浸潤して、カフと生体とが良好に癒着するようになる。
[0034]
[10]本発明の脱血導管アセンブリにおいては、前記第2の気体不透過性素材層は、ポリウレタン層又はポリカーボネート系ウレタン層からなることが好ましい。
[0035]
 本態様の脱血導管アセンブリによれば、第2の気体不透過性素材層が、ポリウレタン層又はポリカーボネート系ウレタン層からなることから、優れた気体不透過性能が得られ、その結果、優れた空気巻き込み防止性能が得られる。また、第2の気体不透過性素材層が、ポリウレタン層又はポリカーボネート系ウレタン層からなることから、生体に悪影響を与えることがない。
[0036]
 なお、第2の気体不透過性素材層の場合も、ポリウレタン層又はポリカーボネート系ウレタン層の厚さは、0.05mm~0.5mmの範囲内にあることが好ましい。当該厚さが0.05mmよりも薄い場合には、気体不透過性能が低くなって十分な空気巻き込み防止効果が得られない場合があるからであり、当該厚さが0.5mmよりも厚い場合には、カフの柔軟性が低下して、脱血導管アセンブリを心臓へ装着する際の作業性が低下したり、手術により心臓に設けられた開口の断面(例えばパンチング切断面)をカフが覆った状態を実現し難くなる場合があるからである。これらの観点からは、ポリウレタン層又はポリカーボネート系ウレタン層の厚さは、0.1mm~0.4mmの範囲内にあることが好ましく、0.15mm~0.25mmの範囲内にあることがより一層好ましい。
[0037]
[11]本発明の脱血導管アセンブリにおいては、前記カフは、前記脱血導管に縫い付けられていることが好ましい。
[0038]
 本態様の脱血導管アセンブリによれば、カフが脱血導管に縫い付けられていることから、カフと脱血導管との柔軟な接続が実現できるため、患者の心臓の形状・構造に相応しい形状の脱血導管アセンブリを実現できる。
[0039]
 なお、本態様の脱血導管アセンブリにおいては、カフを脱血導管に縫い付ける際には、PTFE製のモノフィラメント縫合糸、PTFE製のマルチフィラメント縫合糸、ポリエステル製のマルチフィラメント縫合糸などを用いることができる。なかでも、ポリエステル製のマルチフィラメント縫合糸を用いることが好ましい。また、本態様の脱血導管アセンブリにおいては、カフを脱血導管に縫い付けた後、接着剤を用いてカフを脱血導管にさらに強固に取り付けることとしてもよい。
[0040]
 本発明の脱血導管アセンブリにおいては、前記カフの直径方向に沿った幅Wが5mm~16mmの範囲内にあることが好ましい。
[0041]
 本態様の脱血導管アセンブリにおいて、上記幅Wを5mm~16mmの範囲内とした理由は以下の通りである。すなわち、上記幅Wが5mmよりも狭い場合には、脱血導管アセンブリを心臓に装着したときカフの幅が狭すぎて、心臓に設けられた開口の断面(パンチ面)をカフで十分に覆うことができなかったり(後述する図4(d)及び図4(e)参照。図4(d)及び図4(e)ではパンチ面がカフで十分に覆われている。)、心臓とカフとの間でスパイラル状に糸掛けを行う作業が行えなかったりする場合があるからである(後述する図4(e)参照。図4(e)では当該箇所でスパイラル状に正しく糸掛けが行われている。)。一方、上記幅Wが16mmよりも広い場合には、脱血導管アセンブリを心臓に装着したときカフの幅が広すぎて、患者の身体に不要な負担をかけてしまう場合があるからである。この観点から言えば、患者の心臓のサイズにもよるが、上記幅Wは7mm以上であることが好ましく、8mm以上であることがより一層好ましい。また、上記幅Wは15mm以下であることが好ましく、14mm以下であることがより一層好ましい。
[0042]
 本態様の脱血導管アセンブリにおいて、カフの直径方向に沿った幅Wとは、カフの直径D1からカフの開口の直径D2を減じた寸法を2で除した寸法のことである(後述する図2(a)参照。)。
[0043]
 本態様の脱血導管アセンブリにおいては、前記脱血導管アセンブリは、前記心臓の左心室心尖部又はその近傍に装着して前記心臓の左心室内の血液を補助人工心臓ポンプに導くために用いる脱血導管アセンブリであることが好ましい。本態様の脱血導管アセンブリによれば、効率良く心臓を補助できる補助人工心臓システムに好適に用いることができる。
[0044]
[12]本発明の脱血導管アセンブリにおいては、少なくとも前記脱血導管の一方の端部には、環状の補強部材が配設されていることが好ましい。
[0045]
 ところで、本態様の脱血導管アセンブリにおいては、インフローカニューレが存在しないため、手術により心臓に設けられた開口が手術後に徐々に狭くなるという事態が発生するのではないかと考えられる。しかしながら、本態様の脱血導管アセンブリによれば、脱血導管の一方の端部には環状の補強部材が配設されていることから、手術により心臓に設けられた開口が手術後に徐々に狭くなるという事態の発生を防止できる。
[0046]
 環状の補強部材は、人工血管の強度を補うために人工血管の一方の端部に配設された環状又はコイル状の部材である。環状の補強部材としては、例えば、長手方向に沿って人工血管の外周部に溶着されて用いられる従来より公知の螺旋状の補強リング(補助PTFEヘリックスということもある)を好適に用いることができる。但し、これに限定されるものではなく、上記した従来より公知の螺旋状の補強リングとは別の部材を用いることもできる。例えば、人工血管の一方の端部における外周部又は内周部に配設された環状又は螺旋状の補強リング、カフの内周部に埋め込まれた環状又は螺旋状の補強リングを例示することもできる。なお、環状の補強部材は、断面形状が円であってもよいし、長円であってもよいし、四角形その他の多角形であってもよいし、その他の形状であってもよい。また、環状の補強部材は、ベルト状のものであってもよい。環状の補強部材は、人工血管の外周部又は内周部に溶着されていてもよい。
[0047]
 脱血導管の外周面には、上記した第1の気体不透過性素材層を介して、血液適合性及び抗血栓性を有する材料(例えば、MPCポリマー)がコーティングされていてもよい。
[0048]
[13]本発明の脱血導管アセンブリにおいては、前記脱血導管の他方の端部には、補助人工心臓ポンプに接続するための接続リングが配設されていることが好ましい。
[0049]
 本態様の脱血導管アセンブリは、人工血管の他方の端部に補助人工心臓ポンプに接続するための接続リングが配設されていることから、補助人工心臓ポンプとの接続作業性に優れた脱血導管アセンブリとなる。
[0050]
[14]本発明の脱血導管アセンブリは、心臓に装着して前記心臓内の血液を前記心臓から補助人工心臓ポンプに導くために用いる脱血導管アセンブリであって、多孔性素材からなる脱血導管と、前記脱血導管の一方の端部に配設されたインフローカニューレと、前記インフローカニューレの外周所定位置に配設されたカフとからなり、前記脱血導管の外周面には気体不透過性素材層が形成されていることを特徴とする。
[0051]
 本発明の脱血導管アセンブリの効果のうち、脱血導管が多孔性素材からなることに基づく効果、及び、脱血導管の外周面に第1の気体不透過性素材層が形成されている効果は、上記した脱血導管アセンブリ、すなわち、インフローカニューレを備える脱血導管アセンブリの場合にも得られる。
[0052]
[15]本発明の補助人工心臓ポンプシステムは、血液導入部及び血液送出部を有する補助人工心臓ポンプと、前記補助人工心臓ポンプの前記血液導入部と心臓とを接続する脱血導管アセンブリと、前記補助人工心臓ポンプの前記血液送出部と大動脈とを接続するアウトフローグラフトとを備える補助人工心臓ポンプシステムであって、前記脱血導管アセンブリは、本発明の脱血導管アセンブリのうち上記(1)~(13)のいずれかにの脱血導管アセンブリであることを特徴とする。
[0053]
 本発明の補助人工心臓ポンプシステムによれば、本発明の脱血導管アセンブリのうち上記(1)~(13)のいずれかに記載の脱血導管アセンブリを備えることから、従来の脱血導管アセンブリにおいてインフローカニューレ(カニューレチップ)が存在することに起因して発生していた上記3つの課題を解決可能な補助人工心臓ポンプシステムとなる。
[0054]
 また、本発明の補助人工心臓ポンプシステムによれば、脱血導管が多孔性素材からなることから、補助人工心臓ポンプシステムを使用する過程において多孔性素材からなる脱血導管の内周面に血栓がアンカリングされるとともにその部分に少なくとも疑似内膜(犠牲内膜)が形成され、また、心臓に近い部位(心臓から2~3cm以内の部位)には内皮細胞が安定して定着する結果、血栓発生の問題が軽減された補助人工心臓ポンプシステムとなる。
[0055]
 また、本発明の補助人工心臓ポンプシステムによれば、脱血導管の外周面には第1の気体不透過性素材層が形成されていることから、多孔性素材からなる脱血導管を用いるにもかかわらず、脱血導管の内部が負圧(1気圧未満)になったときにも空気の巻き込みを防止することができる。
[0056]
 本発明の補助人工心臓ポンプシステムにおいては、前記脱血導管アセンブリは、上記[13]に記載の脱血導管アセンブリであることがより好ましい。これらの脱血導管アセンブリには補助人工心臓ポンプに接続するための接続リングが配設されていることから、脱血導管アセンブリと補助人工心臓ポンプとがより一層適切に接続された補助人工心臓ポンプシステムを実現できるからである。
[0057]
[16]本発明の脱血導管アセンブリの心臓への装着方法は、人工血管からなる脱血導管と、前記脱血導管の一方の端部に取り付けられたカフとからなる脱血導管アセンブリを準備する第1工程と、心臓の所定部位に開口を開ける第2工程と、前記心臓の外側において前記開口を取り囲む位置に配置した複数のプレジェットのそれぞれについて、両端に針を付けた縫合糸のそれぞれの針を前記プレジェットの表面から前記心臓の心筋を貫通して前記心臓の内側まで通すことにより前記心臓に糸掛けを行う第3工程と、前記縫合糸のそれぞれについて、前記各針を前記開口を通して前記心臓の外側に取り出すともに、前記各針を前記脱血導管アセンブリの前記カフに通して前記カフへの糸掛けを行う第4工程と、前記各縫合糸を縛ることにより前記脱血導管の面(つら)と前記心臓の内壁面とが面一(つらいち)となった状態で前記脱血導管アセンブリを前記心臓に装着する第5工程とをこの順序で含むことを特徴とする。
[0058]
 本発明の脱血導管アセンブリの心臓への装着方法によれば、本発明の脱血導管アセンブリを適正に心臓に装着することが可能となり、従来の脱血導管アセンブリにおいてインフローカニューレ(カニューレチップ)が存在することに起因して発生していた上記3つの課題を解決可能な補助人工心臓ポンプシステムを実現することができる。
[0059]
[17]本発明の脱血導管アセンブリの心臓への装着方法においては、前記第5工程において、前記脱血導管が前記心臓の内壁面から前記心臓の内部側に突出しない状態で前記脱血導管アセンブリを前記心臓に装着することが好ましい。
[0060]
 本態様の脱血導管アセンブリの心臓への装着方法によれば、従来の脱血導管アセンブリにおいてインフローカニューレ(カニューレチップ)が存在することに起因して発生していた上記3つの課題を解決可能な補助人工心臓ポンプシステムを実現することができる。
[0061]
[18]本発明の脱血導管アセンブリの心臓への装着方法において、前記第5工程においては、前記開口のパンチング切断面を前記カフが覆うような状態で前記脱血導管アセンブリを前記心臓に装着することが好ましい。
[0062]
 本態様の脱血導管アセンブリによれば、従来の脱血導管アセンブリにおいてインフローカニューレ(カニューレチップ)が存在することに起因して発生していた上記3つの課題を解決可能な補助人工心臓ポンプシステムを実現することができる。
[0063]
[19]本発明の脱血導管アセンブリの心臓への装着方法においては、前記第5工程の後に、前記開口を取り囲む領域内において、前記縫合糸とは別の縫合糸を用いて前記カフと前記心臓との間でスパイラル状に糸掛けを行って、前記脱血導管アセンブリの前記心臓への装着をより強固なものにする第6工程をさらに含むことが好ましい。
[0064]
 本態様の脱血導管アセンブリによれば、脱血導管アセンブリの心臓への装着をより強固なものにすることができる。

図面の簡単な説明

[0065]
[図1] 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100を説明するために示す図である。
[図2] 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100を説明するために示す図である。
[図3] 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100を説明するために示す図である。
[図4] 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100を心臓左心室の心尖部に装着するときの様子を説明するために示す図である。
[図5] 実施形態2に係る脱血導管アセンブリ101を説明するために示す図である。
[図6] 実施形態3に係る脱血導管アセンブリ102を説明するために示す図である。
[図7] 実施形態4に係る脱血導管アセンブリ103を説明するために示す図である。
[図8] 実施形態5に係る脱血導管アセンブリ104を説明するために示す図である。
[図9] 実施形態6に係る脱血導管アセンブリ105を説明するために示す図である。
[図10] 実施形態7に係る脱血導管アセンブリ106を説明するために示す図である。
[図11] 実施形態8に係る脱血導管アセンブリ107を説明するために示す図である。
[図12] 実施形態9に係る脱血導管アセンブリ108を説明するために示す図である。
[図13] 試験例において脱血導管アセンブリ100を心臓に装着する様子を示す写真である。
[図14] 試験例において脱血導管アセンブリ100を心臓に装着後60日経過した後に仔牛を犠牲死させた後の脱血導管アセンブリ100の写真である。
[図15] 試験例において脱血導管アセンブリ100を心臓に装着後60日経過した後に仔牛を犠牲死させた後の仔牛の肝臓の断面写真である。
[図16] 従来の脱血導管アセンブリ900を説明するために示す図である。
[図17] 従来の脱血導管アセンブリ900を説明するために示す図である。
[図18] 従来の脱血導管アセンブリ900の課題を説明するために示す図である。
[図19] 従来の脱血導管アセンブリ900の課題を説明するために示す図である。

発明を実施するための形態

[0066]
 以下、本発明の実施形態について説明する。
[0067]
 [実施形態1]
1.脱血導管アセンブリ
 図1~図3は、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100を説明するために示す図である。このうち、図1は、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100の使用例を示す図である。図2は、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100の構造を示す図である。図2(a)は脱血導管アセンブリ100の断面図であり、図2(b)は脱血導管アセンブリ100の斜視図である。図2(c)は脱血導管アセンブリ100を脱血導管側から見た平面図である。図3は、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100に接続リング140を配設したものの構造を示す図である。図3(a)は脱血導管アセンブリ100の一部断面平面図であり、図3(b)はカフ側から見た脱血導管アセンブリ100の平面図である。なお、図3中、符号142は締め付け用クランプを示し、符号144は管状接続部材を示す。
[0068]
 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100は、図1及び図2に示すように、心臓(心臓左心室22の心尖部24)に装着して心臓内の血液を心臓から補助人工心臓ポンプ10に導くために用いる脱血導管アセンブリである。そして、補助人工心臓ポンプ10と、脱血導管アセンブリ100と、補助人工心臓ポンプ10の血液送出部と大動脈(上行大動脈)とを接続するアウトフローグラフト12とを備える補助人工心臓ポンプシステムを、実施形態1に係る補助人工心臓ポンプシステム1とする。
[0069]
 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100は、図2及び図3に示すように、多孔性素材からなる脱血導管110と、脱血導管110の一方の端部に取り付けられたカフ120とからなり、脱血導管110の外周面には第1の気体不透過性素材層112が形成されている。従って、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100は、特許文献1に記載された脱血導管アセンブリ900や従来の脱血導管アセンブリの場合とは異なり、インフローカニューレ(カニューレチップ)が存在しない。
[0070]
 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100においては、脱血導管110は、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)製の人工血管からなる。
[0071]
 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100においては、カフ120は、PTFE製不織布からなる。カフ120は、例えばPTFE製のモノフィラメント縫合糸を用いて、脱血導管110に縫い付けられている。PTFE製のモノフィラメント縫合糸の代わりに、PTFE製のマルチフィラメント縫合糸やポリエステル製のマルチフィラメント縫合糸などを用いることもできる。
[0072]
 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100においては、第1の気体不透過性素材層112は、ポリカーボネートウレタン層からなる。ポリカーボネート系ウレタン層の厚さは、0.05mm~0.5mmの範囲内にあり、例えば0.2mmである。ポリカーボネートウレタン層は、ポリカーボネートウレタンの樹脂ペレットを例えばテトラフルオロフランに溶解させたポリマー溶液を塗布法又はスプレイ法により脱血導管の外周面上にコーティングしこれを乾燥させたものを用いる。ポリカーボネートウレタン層は、ポリカーボネートウレタンの原料となる主剤と硬化剤とを混合した後、これを塗布法又はスプレイ法により脱血導管の外周面上にコーティングし、これを硬化させたものを用いてもよい。
[0073]
 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100においては、第2の気体不透過性素材層122は、ポリカーボネートウレタン層からなる。ポリカーボネート系ウレタン層の厚さは、0.05mm~0.5mmの範囲内にあり、例えば0.2mmである。ポリカーボネートウレタン層は、ポリカーボネートウレタンの樹脂ペレットを例えばテトラフルオロフランに溶解させたポリマー溶液を塗布法又はスプレイ法により脱血導管の外周面上にコーティングしこれを乾燥させたものを用いる。ポリカーボネートウレタン層は、ポリカーボネートウレタンの原料となる主剤と硬化剤とを混合した後、これを塗布法又はスプレイ法により脱血導管の外周面上にコーティングし、これを硬化させたものを用いてもよい。
[0074]
 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100においては、カフ120の脱血導管側の面における少なくとも内周側所定領域には第2の気体不透過性素材層122が形成されている。
[0075]
 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100においては、第1の気体不透過性素材層112と、第2の気体不透過性素材層122とは連続して形成されている。
[0076]
 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100において、第2の気体不透過性素材層122は、図2(c)に示すように、脱血導管110の外周面から少なくとも2mm(例えば5mm)の領域Aに形成されている。また、第2の気体不透過性素材層122は、カフ120の外周から少なくとも2mm(例えば3mm)の領域Bには形成されていない。
[0077]
 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100においては、脱血導管110の一方の端部には、環状の補強部材が配設(例えば溶着)されている。
[0078]
 環状の補強部材は、人工血管の強度を補うために人工血管の一方の端部に配設された環状又はコイル状の部材である。環状の補強部材としては、例えば、長手方向に沿って人工血管の外周部に溶着されて用いられる従来より公知の螺旋状の補強リング(補助PTFEヘリックスということもある)を好適に用いることができる。環状の補強部材は、人工血管の外周部又は内周部に溶着されていてもよい。
[0079]
 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100においては、脱血導管110の外周部には螺旋状の補強リング130が溶着されている。
[0080]
 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100は、図3に示すように、脱血導管110の他方の端部に、補助人工心臓ポンプ10に接続するための接続リング140が配設されていてもよい。
[0081]
 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100においては、脱血導管110の内径(縫い付ける前の内径)は、例えば16mmである。また、カフ120の外径(縫い付ける前の外径)は、例えば38mmであり、カフ120の内径(縫い付ける前の内径)は、例えば18mmである。また、図2(a)を参照して、カフ120の直径方向に沿った幅W(縫い付ける前の幅W)は、5mm~16mmの範囲内(例えば12mm)にある。
[0082]
 なお、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100は、図2に示すように、脱血導管110の一方の端部における端面がカフ120の側面に当接している構造(突き当て構造)を有している。但し、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100は、脱血導管110の一方の端部における外周面がカフ120の内周面に当接している構造(挿入構造)を有していてもよいし、これらの構造の中間のような構造を有していてもよい。実際上、カフ120を脱血導管110に縫い付ける過程で、脱血導管110とカフ120との接続構造がどうなっているか判別しにくくなる。
[0083]
 脱血導管の外周面には、上記した第1の気体不透過性素材層を介して、血液適合性及び抗血栓性を有する材料(例えば、MPCポリマー)がコーティングされていてもよい。
[0084]
2.脱血導管アセンブリの心臓への装着方法
 図4は、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100を心臓左心室の心尖部に装着するときの様子を模式的に説明するために示す図である。図4(a)~図4(e)は各工程図であり、図4(f)は図4(a)に対応する平面図であり、図4(g)は図4(c)に対応する平面図であり、図4(h)は図4(d)に対応する部分拡大図である。
[0085]
 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100を心臓左心室の心尖部に装着するときは、図4に示すように、以下の工程により行う。
[0086]
(1)第1工程
 まず、多孔性素材からなる脱血導管110と、脱血導管110の一方の端部に取り付けられたカフ120と、脱血導管110の外周部に溶着された補強リング(補助PTFEヘリックス)130からなり、脱血導管110の外周面には第1の気体不透過性素材層112が形成され、カフ120の脱血導管側の面における内周側所定領域には第2の気体不透過性素材層122が形成されている脱血導管アセンブリ100を準備する(図2及び図3参照。)。
[0087]
(2)第2工程
 次に、パンチャーを用いたパンチングにより心臓(左心室22の心尖部24)の所定部位に開口(この場合パンチ穴)28を開ける(図4(a)及び図4(f)参照。)。
[0088]
(3)第3工程
 次に、心臓の外側において開口28を取り囲む位置に配置した複数のプレジェット40のそれぞれについて、両端に針44を付けた縫合糸42のそれぞれの針44をプレジェット40の表面から心筋26を貫通して心臓の内側まで通すことにより心臓に糸掛けを行う(図4(b)参照。)
[0089]
(4)第4工程
 次に、縫合糸42のそれぞれについて、各針44を開口28を通して心臓の外側に取り出すともに、各針44を脱血導管アセンブリ100のカフ120に通してカフ120への糸掛けを行う(図4(c)及び図4(g)参照。)。
[0090]
(5)第5工程
 次に、各縫合糸42を縛ることにより、脱血導管110の面(つら)と心臓の内壁面34とが面一(つらいち)となった状態で、言い換えると、脱血導管が心臓の内壁面から突出しない状態で、脱血導管アセンブリ100を心臓に装着する(図4(d)、図4(h)及び図13(d)参照。)。なお、第5工程においては、脱血導管110の面(つら)と心臓の内壁面34とが面一(つらいち)となった状態で脱血導管アセンブリ100を心臓に装着するためには、手術により心臓に設けられた開口28のパンチング切断面29をカフが覆うような状態となるように各縫合糸を縛ることとしている(図4(h)参照。)。
[0091]
(6)第6工程
 最後に、開口28を取り囲む領域内において、上記した縫合糸とは別の縫合糸を用いて、カフ120(カフ120の外周部)と心臓左心室22との間でスパイラル状に糸掛けを行って、脱血導管アセンブリ100の心臓への装着をより強固なものにする(図4(e)参照。)。この場合、糸掛けは、カフ120と、カフ120とプレジェット40に挟まれた領域との間で行ってもよいし、カフ120と、プレジェット40との間で行ってもよいし、カフ120と、プレジェット40を取り囲む領域との間で行ってもよい。
[0092]
 なお、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100を心臓に装着する際に行う手術には、例えばPTFE製のモノフィラメント縫合糸を用いる。PTFE製のモノフィラメント縫合糸の代わりに、PTFE製のマルチフィラメント縫合糸やポリエステル製のマルチフィラメント縫合糸などを用いることもできる。
[0093]
 上記の工程を順に行うことにより、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100を心臓左心室22の心尖部24に装着することができる。
[0094]
3.実施形態1の効果
 実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100は、脱血導管110と、当該脱血導管110の一方の端部に取り付けられたカフ120とからなることから、インフローカニューレ(カニューレチップ)が存在しない。このため、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、インフローカニューレが存在しないことから、心臓内の血流が極めて弱い患者の心臓に脱血導管アセンブリが装着された場合に、インフローカニューレの根元の部分で血栓が発生するという事態、手術又は術後心臓縮小などにより脱血導管アセンブリが心臓に対して斜めに装着された状態となった場合に、インフローカニューレと心筋とが近接又は接触している部分で血栓が発生するという事態、及び、心腔内が負圧(1気圧未満)になった場合であっても、血流30が弱くなってインフローカニューレ920の根元の部分で血栓32が発生したり、インフローカニューレ920と心筋26とが近接又は接触している部分で血栓32が発生したりするという事態が発生することがなくなり、上記した、従来の脱血導管アセンブリが有する上記3つの課題を解決することが可能となる。
[0095]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、脱血導管110が多孔性素材からなることから、脱血導管(脱血導管アセンブリ)を使用する過程において多孔性素材からなる脱血導管の内周面に血栓がアンカリングされるとともにその部分に少なくとも疑似内膜(犠牲内膜)が形成されるとともに、心臓に近い部位(心臓から2~3cm以内の部位)には内皮細胞が安定して定着する結果、血栓発生の問題が軽減された脱血導管アセンブリとなる。
[0096]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、脱血導管110の外周面には第1の気体不透過性素材層112が形成されていることから、多孔性素材からなる脱血導管を用いるにもかかわらず、脱血導管の内部が負圧(1気圧未満)になったときにも空気の巻き込みを防止することができる。
[0097]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、脱血導管110が柔軟性に優れたePTFE製の人工血管からなることから、脱血導管アセンブリを容易に補助人工心臓ポンプに接続することができる。また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、脱血導管110が柔軟性に優れたePTFE製の人工血管からなることから、人体への負担を軽くすることができる。また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、脱血導管110がePTFE製の人工血管からなることから、血液適合性及び抗血栓性に優れた脱血導管アセンブリとなる。
[0098]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、カフ120が、PTFE製不織布からなることから、心臓組織との生体親和性に優れた脱血導管アセンブリとなる。また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、カフ120が、PTFE製不織布からなることから、カフの柔軟性が高く、脱血導管アセンブリを心臓に装着する際に行う手術の自由度が高くなる。また、患者の心臓の形状・構造に相応しい形状の脱血導管アセンブリを実現できる。また、手術の際に、縫合糸によりプレジェット、心臓、カフに糸掛けを行った後、縫合糸を縛ることにより、手術により心臓に設けられた開口の断面(例えばパンチング切断面)をカフが覆うような形状の脱血導管アセンブリを実現できる(図4(d)、図4(e)及び図4(h)参照。)。なお、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100において、カフ120は、PTFE製不織布からなるものに限定されるものではなく、ポリエステル製不織布その他のものであってもよい。
[0099]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、第1の気体不透過性素材層112が、ポリウレタン層又はポリカーボネート系ウレタン層からなることから、優れた気体不透過性能が得られ、その結果、優れた空気巻き込み防止性能が得られる。また、第1の気体不透過性素材層112が、ポリウレタン層又はポリカーボネート系ウレタン層からなることから、生体に悪影響を与えることがない。
[0100]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、カフ120の脱血導管側の面における少なくとも内周側所定領域には第2の気体不透過性素材層122が形成されていることから、図4(e)に示すように、脱血導管アセンブリ100を心臓に装着した場合に、カフ120を介した空気が巻き込まれる事態を極力抑制することができる。
[0101]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、第1の気体不透過性素材層112を構成するポリカーボネート系ウレタン層の厚さが、0.05mm以上であることから、気体不透過性能が高く十分な空気巻き込み防止効果が得られる。また、当該厚さが0.5mm以下であることから、脱血導管の柔軟性が高く脱血導管アセンブリを補助人工心臓ポンプへ接続する際の作業性が低下することがなく、また、人体への負担が重くなることもない。
[0102]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、第1の気体不透過性素材層112と第2の気体不透過性素材層122とが連続して形成されていることから、脱血導管アセンブリ100を心臓に装着した場合に、カフ120を介して心臓内部から空気が巻き込まれる事態を極力抑制することができる。
[0103]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、第2の気体不透過性素材層122が、脱血導管110の外周面から少なくとも2mmの領域に形成されていることから、脱血導管アセンブリ100を心臓に装着した場合に、カフ120を介して心臓内部から空気が巻き込まれる際の経路を極力狭くすることができる。
[0104]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、第2の気体不透過性素材層122が、カフ120の外周から少なくとも2mmの領域には形成されていないことから、脱血導管アセンブリ100を心臓に装着した場合に、カフ120の脱血導管側の面においても生体組織がカフに浸潤して、カフと生体とが良好に癒着するようになる。
[0105]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、第2の気体不透過性素材層122が、ポリウレタン層又はポリカーボネート系ウレタン層からなることから、優れた気体不透過性能が得られ、その結果、優れた空気巻き込み防止性能が得られる。また、第2の気体不透過性素材層122が、ポリウレタン層又はポリカーボネート系ウレタン層からなることから、生体に悪影響を与えることがない。
[0106]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、カフ120が脱血導管110に縫い付けられていることから、カフ120と脱血導管110との柔軟な接続が実現できるため、患者の心臓の形状・構造に相応しい形状の脱血導管アセンブリを実現できる。
[0107]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、第2の気体不透過性素材層122を構成するポリカーボネート系ウレタン層の厚さが0.05mm以上であるから、気体不透過性能が高く十分な空気巻き込み防止効果が得られる。また、当該厚さが0.5mm以下であることから、カフの柔軟性が高く、脱血導管アセンブリを心臓へ装着する際の作業性が低下したり、手術により心臓に設けられた開口の断面(例えばパンチング切断面)をカフが覆った状態を実現し難くなることがない。
[0108]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、カフ120の直径方向に沿った幅Wが5mm以上であることから、手術により心臓に設けられた開口28の断面(パンチング面)をカフで十分に覆えるようになる(図4(d)及び図4(h)参照。)。また、心臓とカフ120との間でスパイラル状に糸掛け作業けを行うことが可能となる(図4(e)参照。)。また、カフ120の直径方向に沿った幅Wが16mm以下であることから、患者の身体に不要な負担をかけてしまうことがなくなる。
[0109]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、脱血導管アセンブリ100は、心臓の左心室心尖部又はその近傍に装着して心臓の左心室内の血液を補助人工心臓ポンプに導くために用いる脱血導管アセンブリであることから、効率良く心臓を補助できる補助人工心臓システムに好適に用いることができる。
[0110]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、少なくとも脱血導管110の一方の端部には、環状の補強部材(補強リング130)が配設されていることから、手術により心臓に設けられた開口が手術後に徐々に狭くなるという事態の発生を防止できる。
[0111]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、環状の補強部材として、人工血管の長手方向に沿って配設した補強リング130をそのまま用いたことから、環状の補強部材として新たな部品を用いることが無く部品点数の少ない脱血導管アセンブリを構成することができる。
[0112]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、脱血導管110の他方の端部には、補助人工心臓ポンプに接続するための接続リング140が配設されていることから、補助人工心臓ポンプとの接続作業性に優れた脱血導管アセンブリとなる。
[0113]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、上記幅Wが5mm以上あることから、手術により心臓に設けられた開口28の断面(パンチ面)をカフで十分に覆うことができるようになる(図4(d)及び図4(h)参照。)。また、心臓とカフ120との間でスパイラル状に糸掛けを行う作業が行うことが可能となる(図4(e)参照。)。また、上記幅Wが16mm以下あることから、患者の身体に不要な負担をかけてしまうことがなくなる。
[0114]
 さらにまた、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100によれば、心臓左心室22の心尖部24又はその近傍に装着して心臓内の血液を補助人工心臓ポンプ10に導くために用いる脱血導管アセンブリであることから、効率良く心臓を補助できる補助人工心臓システムに好適に用いることができる。
[0115]
 実施形態1に係る補助人工心臓ポンプシステム1は、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100を備えることから、従来の脱血導管アセンブリにおいてインフローカニューレ(カニューレチップ)が存在することに起因して発生していた上記3つの課題を解決可能な補助人工心臓ポンプシステムとなる。
[0116]
 また、実施形態1に係る補助人工心臓ポンプシステム1によれば、脱血導管110が多孔性素材からなることから、脱血導管(脱血導管アセンブリ)を使用する過程において多孔性素材からなる脱血導管の内周面に血栓がアンカリングされて疑似内膜(犠牲内膜)が形成されるとともに、心臓に近い部位(心臓から2~3cm以内の部位)には内皮細胞が安定して定着する結果、従来よりも血栓発生の問題が軽減された補助人工心臓ポンプシステムとなる。
[0117]
 また、実施形態1に係る補助人工心臓ポンプシステム1によれば、脱血導管110の外周面には第1の気体不透過性素材層112が形成されていることから、多孔性素材からなる脱血導管を用いるにもかかわらず、脱血導管の内部が負圧(1気圧未満)になったときにも空気の巻き込みを防止することができる。
[0118]
 実施形態1に係る脱血導管アセンブリの心臓への装着方法によれば、少なくとも上記した第1工程から第5工程をこの順序で実施することから、第5工程で各縫合糸を縛ることにより、脱血導管の面(つら)と心臓の内壁面とが面一(つらいち)となった状態で、言い換えると、脱血導管が心臓の内壁面から突出しない状態で、脱血導管アセンブリを適正に心臓に装着することが可能となり、従来の脱血導管アセンブリにおいてインフローカニューレ(カニューレチップ)が存在することに起因して発生していた上記3つの課題を解決することが可能となる。なお、第5工程で、脱血導管の面(つら)と心臓の内壁面とが面一(つらいち)となった状態で脱血導管アセンブリを適正に心臓に装着するためには、手術により心臓に設けられた開口のパンチング切断面をカフが覆うような状態となるように各縫合糸を縛ることが好ましい。
[0119]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリの心臓への装着方法によれば、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ、すなわち、多孔性素材からなる脱血導管を備える脱血導管アセンブリを適正に心臓に装着することが可能となることから、脱血導管(脱血導管アセンブリ)を使用する過程において多孔性素材からなる脱血導管の内周面に血栓がアンカリングされて疑似内膜(犠牲内膜)が形成されるとともに、心臓に近い部位(心臓から2~3cm以内の部位)には内皮細胞が安定して定着する結果、従来よりも血栓発生の問題が軽減された補助人工心臓ポンプシステムとなる。また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ、すなわち、脱血導管の外周面に第1の気体不透過性素材層が形成されている脱血導管アセンブリを適正に心臓に装着することが可能となることから、多孔性素材からなる脱血導管を用いるにもかかわらず、脱血導管の内部が負圧(1気圧未満)になったときにも空気の巻き込みを防止することができる。
[0120]
 また、実施形態1に係る脱血導管アセンブリの心臓への装着方法によれば、第5工程の後に、上記した第6工程をさらに含むことから、脱血導管アセンブリの心臓への装着をより強固なものにすることができる。
[0121]
 [実施形態2~5]
 図5は、実施形態2に係る脱血導管アセンブリ101を説明するために示す図(断面図)である。図6は、実施形態3に係る脱血導管アセンブリ102を説明するために示す図(断面図)である。図7は、実施形態4に係る脱血導管アセンブリ103を説明するために示す図(断面図)である。図8は、実施形態5に係る脱血導管アセンブリ104を説明するために示す図(断面図)である。
[0122]
 実施形態2~5に係る脱血導管アセンブリ101~104は、基本的には実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100と同様の構成を有するが、環状の補強部材として、補強リング130とは別の環状の補強部材を備える点が実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100の場合と異なる。
[0123]
 すなわち、実施形態2に係る脱血導管アセンブリ101は、図5に示すように、環状の補強部材として、補強リング130とは別の補強リング132を備える。また、実施形態3に係る脱血導管アセンブリ102は、図6に示すように、環状の補強部材として、カフ120の内周部に埋め込まれた補強リング134を備える。また、実施形態4に係る脱血導管アセンブリ103は、図7に示すように、環状の補強部材として、脱血導管110の外周側に配設された補強ベルト136を備える。また、実施形態5に係る脱血導管アセンブリ104は、図8に示すように、環状の補強部材として、脱血導管110の内周側に配設された補強ベルト138を備える。なお、補強ベルト130は、血液の流れを阻害しないように、血流方向に沿って内周面が徐々に狭くなるようなテーパー形状に構成されている。
[0124]
 このように、実施形態2~5に係る脱血導管アセンブリ101,102,103,104は、環状の補強部材として、補強リング130とは別の環状の補強部材を備える点が実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100の場合と異なるが、インフローカニューレ(カニューレチップ)が存在しないことから、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100の場合と同様に、心臓内の血流が極めて弱い患者の心臓に脱血導管アセンブリが装着された場合に、インフローカニューレの根元の部分で血栓が発生するという事態、手術又は術後心臓縮小などにより脱血導管アセンブリが心臓に対して斜めに装着された状態となった場合に、インフローカニューレと心筋とが近接又は接触している部分で血栓が発生するという事態、及び、心腔内が負圧(1気圧未満)になった場合であっても、血流30が弱くなってインフローカニューレ920の根元の部分で血栓32が発生したり、インフローカニューレ920と心筋26とが近接又は接触している部分で血栓32が発生したりするという事態が発生することがなくなり、上記した3つの課題を解決することが可能となる。
[0125]
 また、実施形態2~5に係る脱血導管アセンブリ101,102,103,104によれば、脱血導管110が多孔性素材からなることから、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100の場合と同様に、脱血導管(脱血導管アセンブリ)を使用する過程において多孔性素材からなる脱血導管の内周面に血栓がアンカリングされて疑似内膜(犠牲内膜)が形成されるとともに、心臓に近い部位(心臓から2~3cm以内の部位)には内皮細胞が安定して定着する結果、従来よりも血栓発生の問題を軽減することができる。
[0126]
 また、実施形態2~5に係る脱血導管アセンブリ101,102,103,104によれば、脱血導管110の外周面には第1の気体不透過性素材層112が形成されていることから、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100の場合と同様に、多孔性素材からなる脱血導管を用いるにもかかわらず、脱血導管の内部が負圧(1気圧未満)になったときにも空気の巻き込みを防止することができる。
[0127]
 なお、実施形態2~5に係る脱血導管アセンブリ101,102,103,104において、補強リング132,134及び補強ベルト136,138としては、金属製又は硬質樹脂製のものを好適に用いることができる。
[0128]
 [実施形態6~9]
 図9は、実施形態6に係る脱血導管アセンブリ105を説明するために示す図(断面図)である。図10は、実施形態7に係る脱血導管アセンブリ106を説明するために示す図(断面図)である。図11は、実施形態8に係る脱血導管アセンブリ107を説明するために示す図(断面図)である。図12は、実施形態9に係る脱血導管アセンブリ108を説明するために示す図(断面図)である。
[0129]
 実施形態6に係る脱血導管アセンブリ105は、基本的には実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100と同様の構成を有するが、図9に示すように、第2の気体不透過性素材層を有しない点で実施形態1に係る脱血導管アセンブリとは異なる。また、実施形態7に係る脱血導管アセンブリ106は、基本的には実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100と同様の構成を有するが、図10に示すように、脱血導管111がポリエステル織布製の人工血管からなる点で実施形態1に係る脱血導管アセンブリとは異なる。また、実施形態8に係る脱血導管アセンブリ106は、基本的には実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100と同様の構成を有するが、図11に示すように、第1の気体不透過性素材層113がポリウレタン層からなる点で実施形態1に係る脱血導管アセンブリとは異なる。また、実施形態9に係る脱血導管アセンブリ108は、基本的には実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100と同様の構成を有するが、図12に示すように、第1の気体不透過性素材層112及び第2の気体不透過性素材層122が、脱血導管110の外周面上に補助ヘリックス130を配設(溶着)した後に形成(コーティング)されたものである点で実施形態1に係る脱血導管アセンブリとは異なる。
[0130]
 このように、実施形態6~9に係る脱血導管アセンブリ105,106,107,108はそれぞれ、第2の気体不透過性素材層を有しない点、脱血導管111がポリエステル織布製の人工血管からなる点、第1の気体不透過性素材層113がポリウレタン層からなる点、第1の気体不透過性素材層112及び第2の気体不透過性素材層122が、脱血導管110の外周面上に補助ヘリックス130を配設した後に形成されたものである点で、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100の場合と異なるが、インフローカニューレ(カニューレチップ)が存在しないことから、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100の場合と同様に、心臓内の血流が極めて弱い患者の心臓に脱血導管アセンブリが装着された場合に、インフローカニューレの根元の部分で血栓が発生するという事態、手術又は術後心臓縮小などにより脱血導管アセンブリが心臓に対して斜めに装着された状態となった場合に、インフローカニューレと心筋とが近接又は接触している部分で血栓が発生するという事態、及び、心腔内が負圧(1気圧未満)になった場合であっても、血流30が弱くなってインフローカニューレ920の根元の部分で血栓32が発生したり、インフローカニューレ920と心筋26とが近接又は接触している部分で血栓32が発生したりするという事態が発生することがなくなり、上記した3つの課題を解決することが可能となる。
[0131]
 また、実施形態6~9に係る脱血導管アセンブリ105,106,107,108によれば、脱血導管110が多孔性素材からなることから、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100の場合と同様に、脱血導管(脱血導管アセンブリ)を使用する過程において多孔性素材からなる脱血導管の内周面に血栓がアンカリングされて疑似内膜(犠牲内膜)が形成されるとともに、心臓に近い部位(心臓から2~3cm以内の部位)には内皮細胞が安定して定着する結果、従来よりも血栓発生の問題を軽減することができる。
[0132]
 また、実施形態6~9に係る脱血導管アセンブリ105,106,107,108によれば、脱血導管110の外周面には第1の気体不透過性素材層112が形成されていることから、実施形態1に係る脱血導管アセンブリ100の場合と同様に、多孔性素材からなる脱血導管を用いるにもかかわらず、脱血導管の内部が負圧(1気圧未満)になったときにも空気の巻き込みを防止することができる。
[0133]
[試験例]
 試験例は、本発明の脱血導管アセンブリが、従来の脱血導管アセンブリ900の場合と同様に、心臓に装着して心臓内の血液を心臓から補助人工心臓ポンプに導くために用いる脱血導管アセンブリとして使用可能であることを確認するための試験例である。
[0134]
1.脱血導管アセンブリの心臓への装着
 図13は、試験例において脱血導管アセンブリ100を心臓に装着する様子を示す写真である。図13(a)~図13(f)は各作業工程を示す図である。
 脱血導管アセンブリの心臓への装着は、基本的には、実施形態1に係る「脱血導管アセンブリの心臓への装着方法」と同様の方法により行った。
[0135]
 すなわち、まず、第1工程として、多孔性素材からなる脱血導管110と、脱血導管110の一方の端部に取り付けられたカフ120と、脱血導管110の外周部に溶着された補強リング(補助PTFEヘリックス)130と、脱血導管110の他方の端部に配設された接続リング140を備え、脱血導管110の外周面には第1の気体不透過性素材層112が形成され、カフ120の脱血導管側の面における少なくとも内周側所定領域には第2の気体不透過性素材層122が形成されている脱血導管アセンブリ100を準備する(図2及び図3参照。)。なお、脱血導管110の内周面にはウレタン系樹脂がコーティングされていない。また、脱血導管110の外周面及び内周面にはMPCコーティングが施されていない。
[0136]
 次に、第2工程として、仔牛(年齢:3月、体重:83kg、性別:オス)の胸部を開胸後、19mmΦのパンチャを用いたパンチングにより心臓の所定部位(心臓左心室の心尖部)に開口(パンチ穴)28を開ける(図4(a)及び図13(a)参照。)。
 次に、第3工程として、心臓の外側において開口28を取り囲む位置に配置した複数(10個)のプレジェット40のそれぞれについて、両端に針44を付けた縫合糸42のそれぞれの針44をプレジェット40の表面から心筋26を貫通して心臓の内側まで通すことにより心臓に糸掛けを行う(図4(b)参照。)。
 次に、第4工程として、縫合糸42のそれぞれについて、各針44を開口28を通して心臓の外側に取り出す(図13(b)参照。)とともに、各針44を脱血導管アセンブリ100のカフ120に通してカフ120への糸掛けを行う(図4(c)及び図13(c)参照。)。
[0137]
 次に、第5工程として、各縫合糸42を縛ることにより、脱血導管の面(つら)と心臓の内壁面とが面一(つらいち)となった状態で、言い換えると、脱血導管が心臓の内壁面から突出しない状態で、脱血導管アセンブリ100を心臓に装着する(図4(d)及び図4(e)及び図13(d)参照。)。なお、第5工程においては、脱血導管110の面(つら)と心臓の内壁面34とが面一(つらいち)となった状態で脱血導管アセンブリ100を心臓に装着するためには、手術により心臓に設けられた開口28のパンチング切断面29をカフが覆うような状態となるように各縫合糸を縛ることとしている(図4(h)参照。)。
 次に、第6工程として、プレジェット40と開口28とに挟まれる領域において、縫合糸42とは別の縫合糸48を用いて心臓とカフ120との間でスパイラル状に糸掛けを行って、脱血導管アセンブリの心臓への装着をより強固なものにする(図4(e)及び図13(e)参照。)。
[0138]
 次に、脱血導管アセンブリ100の全体にフィブリンのりを塗布する(図13(f)参照。)。次に、脱血導管アセンブリ100を補助人工心臓ポンプ10の血液導入部に接続するとともに、あらかじめに動脈に装着しておいたアウトフローグラフト12を補助人工心臓ポンプ10の血液送出部に接続し、補助人工心臓ポンプ10を作動させた後、閉胸する。補助人工心臓ポンプ10としては、株式会社サンメディカル技術研究所製の補助人工心臓ポンプ(EVAHEART C02システム)を用いた。
[0139]
2.評価方法
(1)評価方法1
 評価方法1は、試験例に係る脱血導管アセンブリを用いて、脱血導管アセンブリの心臓への装着を適正に行えるかどうかについての評価方法である。評価方法1による評価は、手術を行った医者の判断により行った。
[0140]
(2)評価方法2
 評価方法2は、試験例に係る脱血導管アセンブリが、従来の脱血導管アセンブリの場合と同様に、心臓に装着して心臓内の血液を心臓から補助人工心臓ポンプに導くために用いる脱血導管アセンブリとして使用可能であるかどうかの評価方法である。評価方法2による評価は、補助人工心臓ポンプの埋め込み手術後における仔牛の状態を観察すること、補助人工心臓ポンプの埋め込み手術後60日経過後に仔牛を犠牲死させ、脱血導管アセンブリの様子を観察すること、及び、肝臓の断面において腎梗塞を観察することにより行った。
[0141]
3.評価結果 
(1)評価結果1
 評価方法1による評価を行った結果、試験例に係る脱血導管アセンブリを用いて、脱血導管アセンブリの心臓への装着を適正に行なえることが確認できた(図13(a)~図13(f)参照。)。
[0142]
(2)評価結果2
 図14は、試験例において脱血導管アセンブリ100を心臓に装着後60日経過した後に仔牛を犠牲死させた後の脱血導管アセンブリ100の写真である。図14(a)は内視鏡を用いて脱血導管アセンブリの内部を人工血管側から撮影した写真であり、図14(b)は内視鏡を用いて脱血導管アセンブリの内部を心臓側から撮影した写真であり、図14(c)は脱血導管アセンブリを縦に切断したものを切断面側から撮影した写真である。図15は、試験例において脱血導管アセンブリ100を心臓に装着後60日経過した後に仔牛を犠牲死させた後の仔牛の肝臓の断面写真である。
[0143]
 補助人工心臓ポンプの埋め込み手術後における仔牛の状態は、仔牛を犠牲死させるまで(脱血導管アセンブリ100を心臓に装着後60日経過するまで)良好であった。また、図14(a)~図14(c)及び図15からも分かるように、補助人工心臓ポンプの埋め込み手術後60日経過した後においても、脱血導管アセンブリ100が心臓に適正に装着されていること、脱血導管アセンブリ100と心臓のつなぎ目がスムーズであること、脱血導管アセンブリ100の接続部においても飛散リスクのある新生組織の過増生が認められないこと、細胞増殖による開口(パンチ穴)28の閉塞が認められないこと、脱血導管アセンブリ100及びその周辺で血栓の発生が認められないこと、及び、補助人工心臓ポンプ10の埋め込みに起因した腎梗塞が認められないことが確認され、試験例に係る脱血導管アセンブリが、従来の脱血導管アセンブリの場合と同様に、心臓に装着して心臓内の血液を心臓から補助人工心臓ポンプに導くために用いる脱血導管アセンブリとして適正に使用可能であることが確認できた。なお、、脱血導管(人工血管)110の内周面にはMPCコーティングを施していないため、偽内膜様の組織が認められた(図14(c)参照。)。
[0144]
 なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。例えば、下記に示すような変形実施も可能である。
[0145]
(1)上記した各実施形態においては、脱血導管アセンブリを心臓左心室の心尖部に装着する場合を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、脱血導管アセンブリを心臓左心室の心尖部近傍に装着する場合や脱血導管アセンブリを心臓左心室以外の部位に装着する場合にも、本発明を適用することができる。
[0146]
(2)上記した実施形態1においては、パンチャーを用いたパンチングにより心臓(左心室22の心尖部24)の所定部位に開口28(すなわちパンチ穴)を開けたが、本発明はこれに限定されるものではない。パンチング以外の方法(例えば、コアリングナイフ、メス、はさみなどを用いた方法)により開口を開けてもよい。
[0147]
(3)上記した各実施形態においては、脱血導管アセンブリを補助人工心臓ポンプに接続するための手段として接続リングを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、脱血導管アセンブリの他方の端部にネジを切っておき、当該ネジを、脱血導管アセンブリを補助人工心臓ポンプに接続するための手段として用いてもよい。
[0148]
(4)上記した各実施形態においては、インフローカニューレが存在しないチップレスの脱血導管アセンブリにおける脱血導管の外周面に第1の気体不透過性素材層が形成されている脱血導管アセンブリを例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものでない。例えば、インフローカニューレが存在する従来構造の脱血導管アセンブリにおける脱血導管の外周面に第1の気体不透過性素材層が形成されている脱血導管アセンブリであっても、脱血導管の外周面には第1の気体不透過性素材層が形成されていることから、多孔性素材からなる脱血導管を用いたとしても、脱血導管の内部が負圧(1気圧未満)になったときにも空気の巻き込みを防止できるという効果を得ることができる。

符号の説明

[0149]
 1…補助人工心臓ポンプシステム、10…補助人工心臓ポンプ、12…ポンプケーブル、14…アウトフローグラフト、20…患者の身体、22…心臓左心室、24…心尖部、26…心筋、28…開口、29…パンチング切断面、30…血流、32…血栓、34…心臓の内壁面、40…プレジェット、42…縫合糸、44…針、46…結び目、48…別の縫合糸、50…腎臓、100,101,102,103,105,106,107,108・・・脱血導管アセンブリ、110,910…脱血導管(人工血管)、112,113…第1の気体不透過性素材層、120,922…カフ、122,123…第2の気体不透過性素材層、130,132,134,930…補強リング、136,138…補強ベルト、140,940…接続リング、142,942…締め付け用クランプ、144…管状接続部材、920…インフローカニューレ(カニューレチップ)

請求の範囲

[請求項1]
 心臓に装着して前記心臓内の血液を前記心臓から補助人工心臓ポンプに導くために用いる脱血導管アセンブリであって、
 多孔性素材からなる脱血導管と、
 前記脱血導管の一方の端部に取り付けられたカフとからなり、
 前記脱血導管の外周面には第1の気体不透過性素材層が形成されていることを特徴とする脱血導管アセンブリ。
[請求項2]
 請求項1に記載の脱血導管アセンブリにおいて、
 前記脱血導管は、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン製の人工血管からなることを特徴とする脱血導管アセンブリ。
[請求項3]
 請求項1に記載の脱血導管アセンブリにおいて、
 前記脱血導管は、ポリエステル織布製の人工血管からなることを特徴とする脱血導管アセンブリ。
[請求項4]
 請求項1~3のいずれかに記載の脱血導管アセンブリにおいて、
 前記カフは、ポリテトラフルオロエチレン製不織布からなることを特徴とする脱血導管アセンブリ。
[請求項5]
 請求項1~4のいずれかに記載の脱血導管アセンブリにおいて、
 前記第1の気体不透過性素材層は、ポリウレタン層又はポリカーボネート系ウレタン層からなることを特徴とする脱血導管アセンブリ。
[請求項6]
 請求項1~5のいずれかに記載の脱血導管アセンブリにおいて、
 前記カフの前記脱血導管側の面における少なくとも内周側所定領域には第2の気体不透過性素材層が形成されていることを特徴とする脱血導管アセンブリ。
[請求項7]
 請求項6に記載の脱血導管アセンブリにおいて、
 前記第1の気体不透過性素材層と、前記第2の気体不透過性素材層とは連続して形成されていることを特徴とする脱血導管アセンブリ。
[請求項8]
 請求項6又は7に記載の脱血導管アセンブリにおいて、
 前記第2の気体不透過性素材層は、前記脱血導管の外周面から少なくとも2mmの領域に形成されていることを特徴とする脱血導管アセンブリ。
[請求項9]
 請求項8に記載の脱血導管アセンブリにおいて、
 前記第2の気体不透過性素材層は、前記カフの外周から少なくとも2mmの領域には形成されていないことを特徴とする脱血導管アセンブリ。
[請求項10]
 請求項6~9のいずれかに記載の脱血導管アセンブリにおいて、
 前記第2の気体不透過性素材層は、ポリウレタン層又はポリカーボネート系ウレタン層からなることを特徴とする脱血導管アセンブリ。
[請求項11]
 請求項1~10のいずれかに記載の脱血導管アセンブリにおいて、
 前記カフは、前記脱血導管に縫い付けられていることを特徴とする脱血導管アセンブリ。
[請求項12]
 請求項1~11のいずれかに記載の脱血導管アセンブリにおいて、
 少なくとも前記脱血導管の一方の端部には、環状の補強部材が配設されていることを特徴とする脱血導管アセンブリ。
[請求項13]
 請求項1~12のいずれかに記載の脱血導管アセンブリにおいて、
 前記脱血導管の他方の端部には、補助人工心臓ポンプに接続するための接続リングが配設されていることを特徴とする脱血導管アセンブリ。
[請求項14]
 心臓に装着して前記心臓内の血液を前記心臓から補助人工心臓ポンプに導くために用いる脱血導管アセンブリであって、
 多孔性素材からなる脱血導管と、
 前記脱血導管の一方の端部に配設されたインフローカニューレと、
 前記インフローカニューレの外周所定位置に配設されたカフとからなり、前記脱血導管の外周面には気体不透過性素材層が形成されていることを特徴とする脱血導管アセンブリ。
[請求項15]
 血液導入部及び血液送出部を有する補助人工心臓ポンプと、前記補助人工心臓ポンプの前記血液導入部と心臓とを接続する脱血導管アセンブリと、前記補助人工心臓ポンプの前記血液送出部と大動脈とを接続するアウトフローグラフトとを備える補助人工心臓ポンプシステムであって、
 前記脱血導管アセンブリは、請求項1~13のいずれかに記載の脱血導管アセンブリであることを特徴とする補助人工心臓ポンプシステム。
[請求項16]
 人工血管からなる脱血導管と、前記脱血導管の一方の端部に取り付けられたカフとからなる脱血導管アセンブリを準備する第1工程と、
 心臓の所定部位に開口を開ける第2工程と、
 前記心臓の外側において前記開口を取り囲む位置に配置した複数のプレジェットのそれぞれについて、両端に針を付けた縫合糸のそれぞれの針を前記プレジェットの表面から前記心臓の心筋を貫通して前記心臓の内側まで通すことにより前記心臓に糸掛けを行う第3工程と、
 前記縫合糸のそれぞれについて、前記各針を前記開口を通して前記心臓の外側に取り出すともに、前記各針を前記脱血導管アセンブリの前記カフに通して前記カフへの糸掛けを行う第4工程と、
 前記各縫合糸を縛ることにより前記脱血導管の面(つら)と前記心臓の内壁面とが面一(つらいち)となった状態で前記脱血導管アセンブリを前記心臓に装着する第5工程とをこの順序で含むことを特徴とする脱血導管アセンブリの心臓への装着方法。
[請求項17]
 請求項16に記載の脱血導管アセンブリの心臓への装着方法において、
 前記第5工程においては、前記脱血導管が前記心臓の内壁面から前記心臓の内部側に突出しない状態で前記脱血導管アセンブリを前記心臓に装着することを特徴とする脱血導管アセンブリの心臓への装着方法。
[請求項18]
 請求項16又は17に記載の脱血導管アセンブリの心臓への装着方法において、
 前記第5工程においては、前記開口のパンチング切断面を前記カフが覆うような状態で前記脱血導管アセンブリを前記心臓に装着することを特徴とする脱血導管アセンブリの心臓への装着方法。
[請求項19]
 請求項16~18のいずれかに記載の脱血導管アセンブリの心臓への装着方法において、
 前記第5工程の後に、前記開口を取り囲む領域内において、前記縫合糸とは別の縫合糸を用いて前記カフと前記心臓との間でスパイラル状に糸掛けを行って、前記脱血導管アセンブリの前記心臓への装着をより強固なものにする第6工程をさらに含むことを特徴とする脱血導管アセンブリの心臓への装着方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]