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1. (WO2018043289) CHIRPED FIBER GRATING ELEMENT AND FIBER LASER
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明 細 書

発明の名称 ファイバチャープドグレーティング素子及びファイバレーザ

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052  

符号の説明

0053  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : ファイバチャープドグレーティング素子及びファイバレーザ

技術分野

[0001]
 本発明は、一方の端面から遠ざかるに従ってピッチが次第に大きくなるグレーティングを光ファイバのコアに書き込むことによって得られるファイバチャープドグレーティング素子に関する。また、そのようなファイバチャープドグレーティング素子を備えたファイバレーザに関する。

背景技術

[0002]
 光加工及び光通信の分野では、レーザ発振器として、ファイバレーザが広く用いられている。このようなファイバレーザにおいては、コアに希土類元素が添加された増幅用光ファイバを含むキャビティを形成するために、増幅用光ファイバの一端にミラーとして機能するファイバブラッググレーティング素子が接続され、増幅用光ファイバの他端にハーフミラーとして機能するファイバブラッググレーティング素子が接続される。ファイバブラッググレーティング素子は、ピッチが一定(Λとする)のグレーティングを光ファイバの書き込むことにより得られる素子であり、波長が2nΛ(nは自然数)となる光を選択的に反射する機能を有する。
[0003]
 このようなファイバレーザにおいては、高出力化を進めるとスペクトラムホールバーニングや誘導ラマン散乱などの非線形光学効果が生じ易くなるので、これを避けるために発振波長を広帯域化する必要が生じる。この場合、ピッチが一定のグレーティングがコアに書き込まれた通常のファイバブラッググレーティングの代わりに、一方の端面から遠ざかるに従ってピッチが次第に大きくなるグレーティングが書き込まれたファイバチャープドグレーティング素子がミラー及びハーフミラーとして用いられる。ファイバチャープドグレーティング素子の反射帯域は、通常のファイバブラッググレーティングの反射帯域よりも広いためである。
[0004]
 特許文献1には、このようなファイバチャープドグレーティング素子(特許文献1における「ファイバブラッググレーティング素子」に相当)が開示されている。特許文献1によれば、コアに書き込むグレーティングと同じグレーティングをクラッドにも書き込むことによって、反射帯域が広くするとともに、遮断量を大きくすることができる。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 日本国公開特許公報「特開2008-282044号公報(公開日:2008年11月20日)」

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、従来のファイバチャープドグレーティング素子においては、グレーティングが密に形成されると共に、入射光と反射光との多重干渉により光のエネルギー密度が高くなる方の端面からコアに光を入射させるところ、入射端面近傍における発熱量が大きく、これにより信頼性の低下を招来するという問題があった。このような問題が生じる理由は、以下のとおりである。
[0007]
 すなわち、ファイバチャープドグレーティング素子を製造するためには、まず、ゲルマニウム等の光感受性を有する元素がコアに添加された光ファイバを作成し、次に、この光ファイバに紫外線を照射することによってグレーティングを書き込む必要がある(紫外線を照射された領域が、グレーティングを構成する高屈折率領域となる)。この際、紫外線を照射された領域、すなわち、グレーティングを構成する高屈折率領域の内部に欠陥が形成されてしまう。このため、ファイバチャープドグレーティング素子のグレーティングに光が入射すると、その一部がグレーティングを構成する各高屈折率領域に含まれる欠陥により熱に変換される。特に、ファイバチャープドグレーティング素子においては、入射光と反射光との多重干渉により光のエネルギー密度が高くなる入射端面近傍においてグレーティングが密に形成されている。したがって、入射端面近傍における発熱量が大きくなり易い。
[0008]
 本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、従来のファイバチャープドグレーティング素子と比べて、入射端面近傍における発熱量が小さく、信頼性の高いファイバチャープドグレーティング素子を実現することにある。

課題を解決するための手段

[0009]
 上記の目的を達成するために、本発明に係るファイバチャープドグレーティング素子は、屈折率がn0であるコアに屈折率がni(ni>n0)である高屈折率領域からなるグレーティングが書き込まれたファイバチャープドグレーティング素子であって、上記グレーティングのピッチΛiは、当該ファイバチャープドグレーティング素子の一方の端面から遠ざかるに従って大きくなり、上記グレーティングの屈折率差Δni=ni-n0は、当該ファイバチャープドグレーティング素子の上記一方の端面から遠ざかるに従って大きくなる、ことを特徴とする。
[0010]
 また、上記の目的を達成するために、本発明に係るファイバチャープドグレーティング素子は、屈折率がn0であるコアに屈折率がni(ni>n0)である高屈折率領域からなるグレーティングが書き込まれたファイバチャープドグレーティング素子であって、上記グレーティングのピッチΛiは、当該ファイバチャープドグレーティング素子の一方の端面から遠ざかるに従って大きくなり、上記高屈折率領域の厚みDiは、当該ファイバチャープドグレーティング素子の一方の端面から遠ざかるに従って大きくなる、ことを特徴とする。

発明の効果

[0011]
 本発明よれば、従来よりも入射端面近傍における発熱量の小さいファイバチャープドグレーティング素子を実現することができる。その結果、従来よりも信頼性の高いファイバチャープドグレーティング素子を実現することができる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 一実施形態に係るファイバチャープドグレーティング素子の縦断面図及び横断面図である。
[図2] 図1に示すファイバチャープドグレーティング素子が備えるコアの屈折率分布を示すグラフである。
[図3] 図1に示すファイバチャープドグレーティング素子が備えるコアに入射した光に含まれる、波長1062.5nm,1063.5nm,1064.5nm,1065.5nmの成分波のパワー分布を示すグラフである。
[図4] 第1の実施例、第2の実施例、及び比較例に係るファイバチャープドグレーティング素子におけるグレーティングのピッチを定める2次関数Λ1(z)、2次関数Λ2(z)、及び1次関数Λ0(z)のグラフである。
[図5] 第1の実施例、第2の実施例、及び比較例に係るファイバチャープドグレーティング素子の透過スペクトルを示すグラフである。
[図6] 第2の実施例及び比較例に係るファイバチャープドグレーティング素子の発熱量分布を示すグラフである。
[図7] 一変形例に係るファイバチャープドグレーティング素子の縦断面図及び横断面図である。
[図8] 図1に示すファイバチャープドグレーティング素子に入射した光の進路を示す模式図である。

発明を実施するための形態

[0013]
 〔ファイバチャープドグレーティング素子の構成〕
 本発明の一実施形態に係るファイバチャープドグレーティング素子1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、ファイバチャープドグレーティング素子1の縦断面図(左側)及び横断面図(右側)である。
[0014]
 ファイバチャープドグレーティング素子1は、図1に示すように、円柱状のコア11と、コア11を取り囲む円筒状のクラッド12とを備えた光ファイバ型の素子である。クラッド12の屈折率n cladは、コア11の屈折率n coreよりも低く、一方の端面1Aを介してコア11に入射した光は、コア11の内部を伝播し、他方の端面1Bを介してコア11から出射する。なお、ファイバチャープドグレーティング素子1は、クラッド12を取り囲む円筒状の被覆(不図示)を備えていてもよい。
[0015]
 ファイバチャープドグレーティング素子1のコア11には、図1に示すように、コア11の中心軸に沿って並んだ複数の高屈折率領域11a1~11a10からなるグレーティング11aが書き込まれている。各高屈折率領域11ai(i=1,2,…,10)は、屈折率がコア11の基材屈折率(高屈折率領域11a1~11a10以外の領域の屈折率)n0よりも高い円柱状の領域である。各高屈折率領域11aiの屈折率については、参照する図面を代えて後述する。
[0016]
 グレーティング11aのピッチΛ1~Λ9は、図1に示すように、端面1Aから遠ざかるに従って大きくなる。ここで、各ピッチΛiは、端面1Aから各高屈折率領域11aiの中心までの距離をziとしたときに、Λi=zi+1-ziにより定義される量であり、隣接する2つの高屈折率領域11ai,11ai+1の中心間隔を表す。従来のファイバチャープドグレーティング素子においては、グレーティング11aのピッチΛ1~Λ9が端面1Aから遠ざかるに従って1次関数的に増加する。より正確に言えば、Λ(zi)=Λiを満たす関数Λ(z)がzの1次関数Λ(z)=α +α z(α ,α は定数)で与えられる。これに対して、本実施形態に係るファイバチャープドグレーティング素子1においては、グレーティング11aのピッチΛ1~Λ9が端面1Aから遠ざかるに従って2次関数的に増加する。より正確に言えば、Λ(zi)=Λiを満たす関数Λ(z)がzの2次関数Λ(z)=α +α z+α (α ,α ,α は定数)で与えられる。なお、高屈折率領域11aiの厚みDiは、比Di/Λiが一定(図示した例では0.5)になるように決める。
[0017]
 ファイバチャープドグレーティング素子1により反射される光の波長帯域は、ピッチ一定(Λとする)のグレーティングが書き込まれた通常のファイバブラッググレーティング素子により反射される光の波長帯域よりも広くなる。なぜなら、通常のファイバブラッググレーティング素子のグレーティングは、波長が2nΛ(nは整数)となる光を選択的に反射するのに対し、ファイバチャープドグレーティング素子1のグレーティング11aは、波長が2nΛ1以上2nΛ9以下となる光を選択的に反射するからである。
[0018]
 なお、ファイバチャープドグレーティング素子1へのグレーティング11aの書き込みは、通常のファイバブラッググレーティング素子へのグレーティングの書き込みと同様の方法で実現することができる。すなわち、まず、ゲルマニウム等の光(紫外線)感受性を有する元素がコア11に添加された光ファイバを製造し、次に、この光ファイバにおいて高屈折率領域11a1~11a10を形成すべき領域に対して紫外線を選択的に照射する。ここで、各高屈折率領域11aiの屈折率は、その高屈折率領域11aiを形成すべき領域に照射する紫外線量を増やせば高くなり、その高屈折率領域11aiを形成すべき領域に照射する紫外線の量を減らせば低くなる。したがって、各高屈折率領域11aiの屈折率を目標屈折率とするためには、その領域に照射する紫外線の強度やその領域に紫外線を照射する時間を調整し、その高屈折率領域11aiを形成すべき領域に照射される紫外線量を目標屈折率に応じた量にすればよい。
[0019]
 〔コアの屈折率分布〕
 次に、ファイバチャープドグレーティング素子1が備えるコア11の屈折率分布について、図2を参照して説明する。図2は、コア11の屈折率分布を示すグラフである。図2に示すグラフにおいて、横軸は、ファイバチャープドグレーティング素子1の一方の端面1Aからの距離zを示し、縦軸は、コアの屈折率n coreを示す。
[0020]
 グレーティング11aの屈折率差Δniは、図2に示すように、ファイバチャープドグレーティング素子1の一方の端面1Aから遠ざかるに従って大きくなる。ここで、屈折率差Δniは、各高屈折率領域11aiにおける最大屈折率をni、コア11の基材屈折率をn0としたときに、Δni=ni-n0により定義される量である。従来のファイバチャープドグレーティング素子においては、グレーティング11aの屈折率差n1~n10が一定である。これに対して、本実施形態に係るファイバチャープドグレーティング素子1においては、グレーティング11aの屈折率差n1~n10が端面1Aから遠ざかるに従って1次関数的に増加する。より正確に言えば、Δn(zi)=Δiを満たす関数Δn(z)がzの一次関数Δn(z)=β +β z(β ,β は定数)で与えられる。
[0021]
 このような屈折率分布を採用することによる効果を以下に説明する。ここでは、簡単のために、λ1=2Λ1以上λ9=2Λ9以下の波長帯域の光を、ファイバチャープドグレーティング素子1の一方の端面1Aからコア11に入射させた場合を考える。
[0022]
 ファイバチャープドグレーティング素子1においては、グレーティング11aのピッチΛ1~Λ9が端面1Aから遠ざかるに従って大きくなる構成が採用されている。そのため、端面1Aからコア11に入射した光は、波長の短い成分波ほど端面1Aに近い領域において反射される。換言すれば、波長の長い成分波ほど端面1Aから遠い領域にまで到達する。例えば、端面1Aからコア11に入射した光に含まれる、波長1062.5nm,1063.5nm,1064.5nm,1065.5nmの成分波のパワー分布を図示すれば、図3のようになる。したがって、コア11における光のパワー密度は、端面1Aにおいて最大になり、端面1Aから遠ざかるに従って小さくなる。
[0023]
 従来のファイバチャープドグレーティング素子においては、グレーティング11aの屈折率差Δn1~Δn10を一定とする構成が採用されている。このため、高屈折率領域11a1~11a10における発熱量は、端面1Aに最も近い高屈折率領域11a1において最大になり、端面1Aから遠ざかるに従って小さくなる。これに対して、本実施形態に係るファイバチャープドグレーティング素子1においては、グレーティング11aの屈折率差Δn1~Δn10を端面1Aから遠ざかるに従って1次関数的に増加させる(端面1Aに近づくに従って1次関数的に減少させる)構成が採用されている。
[0024]
 このため、端面1Aから入射する光のパワーが同じであれば、端面1Aに近い高屈折率領域11ai(例えば、i=1,2,3)における発熱量は、従来のファイバチャープドグレーティング素子よりも少なくなる。また、端面1Aから遠い高屈折率領域11ai(例えば、i=10,9,8)における発熱量は、従来のファイバチャープドグレーティング素子よりも多くなる。なぜなら、単位パワー密度の光が入射したときの各高屈折率領域に11aiにおける発熱量は、その高屈折率領域11aiに含まれる欠陥(屈折率差Δniを与えるための紫外線照射の際に生じる欠陥)の数に相関するところ、端面1Aに近い高屈折率領域11aiにおいては、照射する紫外線量が相対的に少ないため、含まれる欠陥の数も相対的に少なくなり、端面1Aから遠い高屈折率領域11aiにおいては、照射する紫外線量が相対的に多く、含まれる欠陥の数も相対的に多くなるためである。
[0025]
 したがって、本実施形態に係るファイバチャープドグレーティング素子1における発熱量の分布は、従来のファイバチャープドグレーティング素子における発熱量の分布よりも、平均化された(一様化された)分布となる。このため、端面1Aに近い高屈折率領域11ai(特に、最も端面1Aに近い高屈折率領域11a1)の温度を、従来のファイバチャープドグレーティング素子よりも低くすることができる。その結果、ファイバチャープドグレーティング素子1の信頼性を、従来のファイバチャープドグレーティング素子よりも高くすることができる。
[0026]
 〔実施例〕
 まず、グレーティング11aのピッチΛiを図4のグラフに示す2次関数Λ1(z)により定めたファイバチャープドグレーティング素子1を第1の実施例として作成した。第1の実施例に係るファイバチャープドグレーティング素子1において、コア11の直径は20μmであり、コア11を伝播する光に対するコア11の実効屈折率は1.45であり、グレーティング11aを構成する高屈折率領域11aiの個数は約55000個である。第1の実施例に係るファイバチャープドグレーティング素子1においては、グレーティング11aの屈折率差Δniを、Δn(zout)/Δn(zin)=1.16を満たす1次関数n(z)により定めた。ここで、zinは、ファイバチャープドグレーティング素子1の入射端面1Aから、入射端面1Aに最も近い高屈折率領域11a1までの距離である。また、zoutは、入射端面1Aから、出射端面1Bに最も近い高屈折率領域11aN(Nはグレーティング11aを構成する高屈折率領域11aiの個数)までの距離である。
[0027]
 また、グレーティング11aのピッチΛiを図4のグラフに示す2次関数Λ2(z)により定めたファイバチャープドグレーティング素子1を第2の実施例として作成した。第2の実施例に係るファイバチャープドグレーティング素子1において、コア11の直径は20μmであり、コア11を伝播する光に対するコア11の実効屈折率は1.45であり、グレーティング11aを構成する高屈折率領域11aiの個数は約55000個である。第2の実施例に係るファイバチャープドグレーティング素子1においては、グレーティング11aの屈折率差Δniを、Δn(zout)/Δn(zin)=1.29を満たす1次関数n(z)により定めた。
[0028]
 また、グレーティングのピッチΛiを図4のグラフに示す1次関数Λ0(z)により定めたファイバチャープドグレーティング素子を比較例として作成した。比較例に係るファイバチャープドグレーティング素子において、コアの直径は20μmであり、コア11を伝播する光に対するコア11の実効屈折率は1.45であり、グレーティングを構成する高屈折率領域の個数は約55000個である。比較例に係るファイバチャープドグレーティング素子においては、グレーティングの屈折率差Δniを、一定とした。
[0029]
 図5は、第1の実施例に係るファイバチャープドグレーティング素子1、第2の実施例に係るファイバチャープドグレーティング素子1、及び、比較例に係るファイバチャープドグレーティング素子の透過スペクトルを示すグラフである。
[0030]
 図5に示すグラフによれば、第1の実施例に係るファイバチャープドグレーティング素子1、及び、第2の実施例に係るファイバチャープドグレーティング素子1は、比較例に係るファイバチャープドグレーティング素子と同等の透過スペクトルを有していることが分かる。すなわち、グレーティング11aのピッチΛiを2次関数的に増加させ、グレーティング11aの屈折率差Δniを1次関数的に増加させる構成を採用しても、光学特性の劣化を生じないことが確かめられる。
[0031]
 図6は、第2の実施例に係るファイバチャープドグレーティング素子1、及び、比較例に係るファイバチャープドグレーティング素子の発熱量分布を示すグラフである。図6においては、比較例に係るファイバチャープドグレーティング素子の発熱量として、最大値が100%となるように規格化した発熱量を示している。また、図6においては、第2の実施例に係るファイバチャープドグレーティング素子1の発熱量として、総発熱量が比較例に係るファイバチャープドグレーティング素子の総発熱量と一致するように規格化した発熱量を示している。
[0032]
 図6に示すグラフによれば、第2の実施例に係るファイバチャープドグレーティング素子1は、比較例に係るファイバチャープドグレーティング素子と比べて、端面Aに近い領域における発熱量が小さくなり、その結果、最大発熱量が小さくなることが確かめられる。
[0033]
 〔変形例〕
 最後に、ファイバチャープドグレーティング素子1の変形例について、図7を参照して説明する。図7は、本変形例に係るファイバチャープドグレーティング素子1の縦断面図(左側)及び横断面図(右側)である。
[0034]
 本変形例に係るファイバチャープドグレーティング素子1においては、グレーティング11aを構成する高屈折率領域11aiの屈折率差Δniを端面1Aから遠ざかるに従って大きくする構成に代えて、グレーティング11aを構成する高屈折率領域11aiの厚みDiを端面1Aから遠ざかるに従って大きくする構成が採用されている。図示した例では、比Di/ΛiがD1/Λ1=0.3からD10/Λ10=0.5まで端面1Aから遠ざかるに従って大きくなる。
[0035]
 この場合でも、端面1Aから入射する光のパワーが同じであれば、端面1Aに近い高屈折率領域11ai(例えば、i=1,2,3)における発熱量は、従来のファイバチャープドグレーティング素子よりも少なくなる。また、端面1Aから遠い高屈折率領域11ai(例えば、i=10,9,8)における発熱量は、従来のファイバチャープドグレーティング素子よりも多くなる。なぜなら、単位パワー密度の光が入射したときの各高屈折率領域11aiにおける発熱量は、その高屈折率領域11aiに含まれる欠陥(屈折率差Δniを与えるための紫外線照射の際に生じる欠陥)の数に相関するところ、端面1Aに近い高屈折率領域11aiにおいては、厚みDiが相対的薄いため、含まれる欠陥の数も相対的に少なくなり、端面1Aから遠い高屈折率領域11aiにおいては、厚みDiが相対的に厚いため、含まれる欠陥の数も相対的に多くなるためである。
[0036]
 したがって、本変形例に係るファイバチャープドグレーティング素子1における発熱量の分布も、従来のファイバチャープドグレーティング素子における発熱量の分布よりも、平均化された(一様化された)分布となる。このため、端面1Aに近い高屈折率領域11ai(特に、最も端面1Aに近い高屈折率領域11a1)の温度を、従来のファイバチャープドグレーティング素子よりも低くすることができる。その結果、ファイバチャープドグレーティング素子1の信頼性を、従来のファイバチャープドグレーティング素子よりも高くすることができる。
[0037]
 〔応用例〕
 ファイバレーザは、(1)増幅用光ファイバと、(2)増幅用光ファイバの一端に接続されたミラー素子と、(3)増幅用光ファイバの他端に接続されたハーフミラー素子と、(4)ミラー素子を介して増幅用光ファイバに接続された励起光源と、(5)ハーフミラー素子を介して増幅用光ファイバに接続された出力用光ファイバとにより構成される。ミラー素子の反射波長帯域とハーフミラー素子の反射波長帯域とは、共通部分(以下、「共通反射帯域」と記載する)を持つ。
[0038]
 増幅用光ファイバのコアには、希土類元素が添加されており、この希土類元素は、励起光源からの励起光を吸収し反転分布状態に遷移する。そして、反転分布状態に遷移した希土類元素に、信号光又は自然放出光が入射すると、レーザ光が誘導放出される。上述した共通反射帯域内の波長を有するレーザ光は、ミラー素子とハーフミラー素子とに挟まれたキャビティ内を往復する過程で再帰的に増幅され、その一部が、ハーフミラー素子を介して出力用光ファイバに供給される。
[0039]
 このようなファイバレーザのミラー素子及びハーフミラー素子の一方又は両方として、ファイバチャープドグレーティング素子1を用いることができる。これにより、非線形光学効果の発生を抑えるべく、ファイバレーザの発振波長を広帯域化した場合であっても、レーザ光をキャビティ内で往復させるべく、ミラー素子及びハーフミラー素子においてレーザ光を所望の反射率で反射させることができる。ミラー素子又はハーフミラー素子として用いるファイバチャープドグレーティング素子1について、以下のことがいえる。
[0040]
 (1)ファイバチャープドグレーティング素子1の向き
 ファイバチャープドグレーティング素子1の端面のうち、グレーティング11aのピッチΛiが狭い方の端面1Aを増幅用光ファイバに接続する構成を構成Aとする。また、ファイバチャープドグレーティング素子1の端面のうち、グレーティング11aのピッチΛiが広い方の端面1Aを増幅用光ファイバに接続する構成を構成Bとする。このとき、構成Aを採用する方が構成Bを採用するよりも、散乱による光の損失が小さくなる。
[0041]
 構成Aを採用することによって、散乱による光の損失を小さくできる理由は、以下のとおりである。上述したように、増幅用光ファイバからの入射光は、共通反射帯域に属する波長を有する。したがって、増幅用光ファイバからの入射光は、図8に示すように、グレーティング11a特定の領域A2において波長の短いものから順に反射される。したがって、ファイバチャープドグレーティング素子1は、増幅用光ファイバ側から順に、(1)増幅用光ファイバから入射する発振波長のレーザ光が反射されることなく伝播する第1領域A1と、(2)増幅用ファイバから入射する発振波長のレーザ光に対する反射が生じる第2領域(上述した特定の領域と同じ)A2と、(3)増幅用光ファイバから入射する発振波長のレーザ光のうち、第2領域A2において反射されずに残ったレーザ光が反射されることなく伝播する第3領域A3とに分けられる。このとき、入射光及び反射光の双方が存在する第1領域A1の光密度は、レーザ光(の一部)のみが存在する第3領域A3の光密度よりも高くなる。このため、上記の構成Aを採用する方が、上記の構成Bを採用するよりも、光密度の高い第1領域A1におけるグレーティング11aのピッチΛiを狭くすることができる。ところで、ピッチの狭いグレーティング(ピッチに対して光の波長が長い)の方が、ピッチの広いグレーティング(ピッチに対して光の波長が短い)よりも、散乱による光の損失が生じ難い。したがって、上記の構成Aを採用する方が、上記の構成Bを採用するよりも、散乱による光の損失を小さくすることができる。
[0042]
 (2)コアの屈折率分布
 ミラー素子又はハーフミラー素子として用いるファイバチャープドグレーティング素子1が備えるコア11の屈折率分布は、上述した第2領域A2に含まれる高屈折率領域11a1~11anの平均屈折率が全ての高屈折率領域11a1~11aNの平均屈折率よりも低いことが好ましい。
[0043]
 上記の屈折率分布を採用することによって、ファイバチャープドグレーティング素子1の温度を通常のファイバブラッググレーティング素子(各高屈折率領域の屈折率がファイバチャープドグレーティング素子1の全ての高屈折率領域11a1~11aNの平均屈折率と等しいものとする)の温度よりも低く抑えることができる。なぜなら、反射光が存在する領域における高屈折率領域の平均屈折率は、上記の屈折率分布を採用したファイバチャープドグレーティング素子1の方が、通常のファイバブラッググレーティング素子よりも低くなる。その結果、反射光が高屈折率領域に吸収されることにより生じる熱も、上記の屈折率分布を採用したファイバチャープドグレーティング素子1の方が、通常のファイバブラッググレーティング素子よりも小さくなるからである。
[0044]
 本実施形態に係るファイバチャープドグレーティング素子(1)は、屈折率がn0であるコアに屈折率がni(ni>n0)である高屈折率領域(11ai)からなるグレーティング(11a)が書き込まれたファイバチャープドグレーティング素子(1)であって、上記グレーティング(11a)のピッチΛiは、当該ファイバチャープドグレーティング素子(1)の一方の端面(1A)から遠ざかるに従って大きくなり、上記グレーティング(11a)の屈折率差Δni=ni-n0は、当該ファイバチャープドグレーティング素子(1)の上記一方の端面(1A)から遠ざかるに従って大きくなる、ことを特徴とする。
[0045]
 本実施形態に係るファイバチャープドグレーティング素子(1)は、屈折率がn0であるコアに屈折率がni(ni>n0)である高屈折率領域(11ai)からなるグレーティング(11a)が書き込まれたファイバチャープドグレーティング素子(1)であって、上記グレーティング(11a)のピッチΛiは、当該ファイバチャープドグレーティング素子(1)の一方の端面(1A)から遠ざかるに従って大きくなり、上記高屈折率領域(11ai)の厚みDiは、当該ファイバチャープドグレーティング素子(1)の一方の端面(1A)から遠ざかるに従って大きくなる、ことを特徴とする。
[0046]
 上記の構成によれば、上記一方の端面(1A)から光を入射させたときに、当該端面(1A)近傍における発熱量を、グレーティング(11a)の屈折率差が一定である従来のファイバチャープドグレーティング素子(1)よりも小さくすることができる。
[0047]
 本実施形態に係るファイバチャープドグレーティング素子(1)においては、上記ピッチΛiは、当該ファイバチャープドグレーティング素子(1)の上記一方の端面(1A)から遠ざかるに従って2次関数的に増加する、ことが好ましく、上記屈折率差Δniは、当該ファイバチャープドグレーティング素子(1)の上記一方の端面(1A)から遠ざかるに従って1次関数的に増加する、ことが好ましい。
[0048]
 上記の構成によれば、光学特性(特に透過スペクトル)を従来のファイバチャープドグレーティング素子(1)と同等に保ちながら、上記一方の端面(1A)から光を入射させたときに、当該端面(1A)近傍における発熱量を、従来のファイバチャープドグレーティング素子(1)よりも小さくすることができる。
[0049]
 なお、本実施形態に係るファイバチャープドグレーティング素子(1)は、ファイバレーザにおけるミラー又はハーフミラーとして利用することができる。すなわち、増幅用光ファイバの両端に、それぞれ上記ファイバチャープドグレーティング素子(1)(一方はミラーとして、他方はハーフミラーとして利用)を接続したファイバレーザも、本発明の範疇に含まれる。
[0050]
 この場合、上記ファイバチャープドグレーティング素子(1)において、(1)上記増幅用光ファイバから入射する発振波長のレーザ光が反射されることなく伝播する領域を第1領域、(2)上記増幅用光ファイバから入射する発振波長のレーザ光に対する反射が生じる領域を第2領域、(3)上記増幅用光ファイバから入射する発振波長のレーザ光のうち、上記第2領域において反射されずに残ったレーザ光が反射されることなく伝播する領域を第3領域として、第2領域に含まれる高屈折率領域(11ai)の平均屈折率は、全ての高屈折率領域(11ai)の平均屈折率よりも低い、ことが好ましい。
[0051]
 上記の構成によれば、上記ファイバチャープドグレーティング素子(1)の温度を通常のファイバブラッググレーティング素子(各高屈折率領域(11ai)の屈折率が上記ファイバチャープドグレーティング素子(1)の全ての高屈折率領域(11ai)の平均屈折率と等しいものとする)の温度よりも低く抑えることができる。
[0052]
 〔付記事項〕
 本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。

符号の説明

[0053]
 1       ファイバチャープドグレーティング素子
 1A、1B   端面
 11      コア
 11a     グレーティング
 11ai    高屈折率領域
 12      クラッド

請求の範囲

[請求項1]
 屈折率がn0であるコアに屈折率がni(ni>n0)である高屈折率領域からなるグレーティングが書き込まれたファイバチャープドグレーティング素子であって、
 上記グレーティングのピッチΛiは、当該ファイバチャープドグレーティング素子の一方の端面から遠ざかるに従って大きくなり、
 上記グレーティングの屈折率差Δni=ni-n0は、当該ファイバチャープドグレーティング素子の上記一方の端面から遠ざかるに従って大きくなる、
ことを特徴とするファイバチャープドグレーティング素子。
[請求項2]
 上記ピッチΛiは、当該ファイバチャープドグレーティング素子の上記一方の端面から遠ざかるに従って2次関数的に増加する、
ことを特徴とする請求項1に記載のファイバチャープドグレーティング素子。
[請求項3]
 上記屈折率差Δniは、当該ファイバチャープドグレーティング素子の上記一方の端面から遠ざかるに従って1次関数的に増加する、
ことを特徴とする請求項2に記載のファイバチャープドグレーティング素子。
[請求項4]
 屈折率がn0であるコアに屈折率がni(ni>n0)である高屈折率領域からなるグレーティングが書き込まれたファイバチャープドグレーティング素子であって、
 上記グレーティングのピッチΛiは、当該ファイバチャープドグレーティング素子の一方の端面から遠ざかるに従って大きくなり、
 上記高屈折率領域の厚みDiは、当該ファイバチャープドグレーティング素子の一方の端面から遠ざかるに従って大きくなる、
ことを特徴とするファイバチャープドグレーティング素子。
[請求項5]
 増幅用光ファイバの一端又は両端に、請求項1~4の何れか1項に記載のファイバチャープドグレーティング素子がそれぞれ接続されている、
ことを特徴とするファイバレーザ。
[請求項6]
 上記ファイバチャープドグレーティング素子において、(1)上記増幅用光ファイバから入射する発振波長のレーザ光が反射されることなく伝播する領域を第1領域、(2)上記増幅用光ファイバから入射する発振波長のレーザ光に対する反射が生じる領域を第2領域、(3)上記増幅用光ファイバから入射する発振波長のレーザ光のうち、上記第2領域において反射されずに残ったレーザ光が反射されることなく伝播する領域を第3領域として、
 第2領域に含まれる高屈折率領域の平均屈折率は、全ての高屈折率領域の平均屈折率よりも低い、
ことを特徴とする請求項5に記載のファイバレーザ。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]