Some content of this application is unavailable at the moment.
If this situation persist, please contact us atFeedback&Contact
1. (WO2018043287) HEAT EXCHANGER, ARTIFICIAL LUNG, AND METHOD OF MANUFACTURING HEAT EXCHANGER
Document

明 細 書

発明の名称 熱交換器、人工肺および熱交換器の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

発明の効果

0017   0018   0019  

図面の簡単な説明

0020  

発明を実施するための形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104  

実施例

0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119  

産業上の利用可能性

0120  

符号の説明

0121  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

明 細 書

発明の名称 : 熱交換器、人工肺および熱交換器の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、熱交換器、人工肺および熱交換器の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 従来、人工肺としては、多数本の中空糸膜で構成された中空糸膜層を用いて熱交換を行う構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の人工肺では、中空糸膜層は、多数本の中空糸膜を積層して、円筒体形状に形成したものとなっている。そして、各層では、1本1本の中空糸膜が円筒体の中心軸回りに巻回しつつ、当該円筒体の一端側から他端側に向かって配置されている。このように巻回されている各中空糸膜は、その中空糸1本当たりの長さが長くなればなるほど、それに比例して、当該中空糸膜内を通過する熱媒体の圧力損失が増大してしまうという問題があった。
[0003]
 さらに、上記を解決するためには、中空糸膜として内径が比較的大きいものを用いることが考えられる。しかしながら、中空糸膜内径を大きくすれば外径も大きくなり、その結果、中空糸膜同士の間隙の総容量が増大する。従って、当該間隙を通過する血液の量、すなわち、血液充填量が増加してしまい、患者にとって負担が大きくなるという問題もあった。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 国際公開第2015/115138号パンフレット

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 本発明の目的は、各中空糸膜を通過する熱媒体の圧力損失をできる限り防止することができ、また熱交換が行なわれる対象となる液体(例えば血液)の熱交換器内での充填量低減を図ることができる熱交換器、人工肺および熱交換器の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0006]
 このような目的は、下記(1)~(12)の本発明により達成される。
 (1) 熱媒体が通過する中空部を有する多数本の中空糸膜を有し、該多数本の中空糸膜が集積されて、全体形状として円筒体の形状をなす熱交換器であって、
 前記各中空糸膜は、前記円筒体の中心軸に対して傾斜して前記円筒体の中心軸回りに巻回されており、
 前記各中空糸膜の前記円筒体の中心軸に対する傾斜角度θは、22°以上、67°未満であり、
 前記各中空糸膜の構成材料は、ヤング率Eが2.6GPa以下のものであることを特徴とする熱交換器。
 (2) 前記ヤング率Eは、0.07GPa以上である上記(1)に記載の熱交換器。
[0007]
 (3) 前記各中空糸膜の構成材料は、ポリアミド系またはポリエステル系の樹脂材料である上記(1)または(2)に記載の熱交換器。
[0008]
 (4) 前記中空糸膜は、その外径が1mm以下のものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の熱交換器。
[0009]
 (5) 上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の熱交換器を内蔵したことを特徴とする人工肺。
[0010]
 (6) 熱媒体が通過する中空部を有する多数本の中空糸膜を有し、該多数本の中空糸膜が集積されて、全体形状として円筒体の形状をなす熱交換器を製造する方法であって、
 前記各中空糸膜を該中空糸膜の長手方向に引張った引張り状態で、前記円筒体の中心軸に対して傾斜させつつ、前記円筒体の中心軸回りに巻回する巻回工程を有し、
 前記巻回工程では、前記各中空糸膜の前記引張り状態での伸長率が0.5%以上、3%以下、前記各中空糸膜の前記円筒体の中心軸に対する傾斜角度θが22°以上、67°未満となっており、
 前記各中空糸膜の構成材料は、ヤング率Eが2.6GPa以下のものであることを特徴とする熱交換器の製造方法。
[0011]
 (7) 前記ヤング率Eは、0.07GPa以上である上記(6)に記載の熱交換器の製造方法。
[0012]
 (8) 前記各中空糸膜の構成材料は、ポリアミド系またはポリエステル系の樹脂材料である上記(6)または(7)に記載の熱交換器の製造方法。
[0013]
 (9) 前記中空糸膜は、その外径が1mm以下のものである上記(6)ないし(8)のいずれかに記載の熱交換器の製造方法。
[0014]
 (10) 前記熱交換器は、円筒状をなし、前記各中空糸膜が巻回される芯材を有するものであり、
 前記巻回工程は、前記芯材の外周部上で前記各中空糸膜を前記円筒体の中心軸方向に往復動させて前記各中空糸膜の巻回を行ない、
 前記巻回工程では、前記各中空糸膜が往復動する際、該中空糸膜を前記円筒体の一方側および他方側の双方で折り返して折り返し部を形成し、該折り返し部付近に固定用糸を前記円筒体の中心軸回りに巻回しつつ重ねて、前記折り返し部に対する固定を行なう上記(6)ないし(9)のいずれかに記載の熱交換器の製造方法。
[0015]
 (11) 前記芯材の外周部の両端部には、該芯材の外径が減少した段差部が形成されており、
 前記固定用糸を前記芯材の外周部側から見たとき、前記固定用糸は、前記両端部の段差部と重なって配置される上記(10)に記載の熱交換器の製造方法。
[0016]
 (12) 前記芯材の外周部の両端部には、前記外周部の周方向に沿って形成された溝が凹没しており、
 前記固定用糸を前記芯材の外周部側から見たとき、前記固定用糸は、前記両端部の溝と重なって配置される上記(10)に記載の熱交換器の製造方法。

発明の効果

[0017]
 本発明によれば、中空糸膜、1本当たりの熱交換機能を損なわない程度に、当該中空糸膜の全長を短くすることができる。これにより、中空糸膜を通過する熱媒体の圧力損失をできる限り防止することができ、よって、熱交換が行なわれる対象となる液体を、円滑かつ迅速に熱交換することができる。
[0018]
 また、上記で熱媒体の圧力損失が低減された分、中空糸膜の径をできる限り小さくすることができる。これにより、中空糸膜同士の間隙の総容量を削減することができ、熱交換が行われる対象となる流体の充填量を削減することができる。
[0019]
 各中空糸膜をヤング率Eが2.6GPa以下の材料で構成し、熱交換器の製造過程で中空糸膜を伸長率が0.5%以上3%以下の引張り状態としたことにより、当該中空糸膜が伸長して縮径するが、その縮径の程度が過剰となる、すなわち、中空糸膜が潰れてしまうのを防止することができる。これにより、熱媒体が中空糸膜内を円滑に通過することができ、圧力損失防止につながる。また、中空糸膜の径をどの程度小さくするか、すなわち、中空糸膜の縮径の程度を制御することにより、中空糸同士の間隙が大きくなりすぎることを防ぐことができる。従って、血液充填量の増加を抑制することができる。

図面の簡単な説明

[0020]
[図1] 図1は、本発明の熱交換器を内蔵した人工肺の平面図である。
[図2] 図2は、図1に示す人工肺を矢印A方向から見た図である。
[図3] 図3は、図2中のB-B線断面図である。
[図4] 図4は、図2中の矢印C方向から見た図である。
[図5] 図5は、図1中のD-D線断面図である。
[図6] 図6は、図5中のE-E線断面図である。
[図7] 図7は、本発明の熱交換器の概略側面図である。
[図8] 図8は、本発明の熱交換器の製造方法で用いられる装置を示す図である。
[図9] 図9は、本発明の熱交換器の製造方法で用いられる装置を示す図である。
[図10] 図10は、図8および図9に示す装置で製造される熱交換器の母材の展開図の一例である。
[図11] 図11は、熱交換器の製造過程における中空糸膜の引張り状態を説明するための図である。
[図12] 図12は、図10に示す母材を切断する工程を順に示す図である。
[図13] 図13は、図12中のF-F線断面図である。
[図14] 図14は、熱交換器(第2実施形態)の製造過程における中空糸膜の固定状態を示す断面図である。
[図15] 図15は、熱交換器(第3実施形態)の製造過程における中空糸膜の固定状態を示す断面図である。

発明を実施するための形態

[0021]
 以下、本発明の熱交換器、人工肺および熱交換器の製造方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
[0022]
 <第1実施形態>
 図1は、本発明の熱交換器を内蔵した人工肺の平面図である。図2は、図1に示す人工肺を矢印A方向から見た図である。図3は、図2中のB-B線断面図である。図4は、図2中の矢印C方向から見た図である。図5は、図1中のD-D線断面図である。図6は、図5中のE-E線断面図である。図7は、本発明の熱交換器の概略側面図である。図8および図9は、それぞれ、本発明の熱交換器の製造方法で用いられる装置を示す図である。図10は、図8および図9に示す装置で製造される熱交換器の母材の展開図の一例である。図11は、熱交換器の製造過程における中空糸膜の引張り状態を説明するための図である。図12は、図10に示す母材を切断する工程を順に示す図である。図13は、図12中のF-F線断面図である。なお、図1、図3、図4、図7~図9、図12および図13中(図14、図15についても同様)の左側を「左」または「左方(一方)」、右側を「右」または「右方(他方)」という。また、図1~図6中、人工肺の内側を「血液流入側」または「上流側」、外側を「血液流出側」または「下流側」として説明する。また、図7、図10および図12では、1本の中空糸膜を代表して誇張して描いている。
[0023]
 図1~図5に示す人工肺10は、血液Bに対し熱交換を行う熱交換器が内蔵された熱交換器付き人工肺である。この人工肺10は、全体形状がほぼ円柱状をなし、その内側に設けられ、前記熱交換器である熱交換部10Bと、熱交換部10Bの外周側に設けられ、血液Bに対しガス交換を行うガス交換器である人工肺部10Aとを備える。人工肺10は、例えば血液体外循環回路中に設置して用いられる。これにより、血液Bは、血液体外循環回路を通過する過程で、人工肺10によって熱交換とガス交換とが行われ、体内に戻される。
[0024]
 人工肺10は、ハウジング2Aを有しており、このハウジング2A内に人工肺部10Aと熱交換部10Bとが収納されている。
[0025]
 ハウジング2Aは、円筒状ハウジング本体21Aと、円筒状ハウジング本体21Aの左端開口を封止する皿状の第1の蓋体22Aと、円筒状ハウジング本体21Aの右端開口を封止する皿状の第2の蓋体23Aとで構成されている。
[0026]
 円筒状ハウジング本体21A、第1の蓋体22Aおよび第2の蓋体23Aは、樹脂材料で構成されている。円筒状ハウジング本体21Aに対し、第1の蓋体22Aおよび第2の蓋体23Aは、融着や接着剤による接着等の方法により固着されている。
[0027]
 円筒状ハウジング本体21Aの外周部には、管状の血液流出ポート28が形成されている。この血液流出ポート28は、円筒状ハウジング本体21Aの外周面のほぼ接線方向に向かって突出している(図5参照)。
[0028]
 円筒状ハウジング本体21Aの外周部には、管状のパージポート205が突出形成されている。パージポート205は、その中心軸が円筒状ハウジング本体21Aの中心軸と交差するように、円筒状ハウジング本体21Aの外周部に形成されている。
[0029]
 第1の蓋体22Aには、管状のガス流出ポート27が突出形成されている。ガス流出ポート27は、その中心軸が第1の蓋体22Aの中心と交差するように、第1の蓋体22Aの外周部に形成されている(図2参照)。
[0030]
 また、血液流入ポート201は、その中心軸が第1の蓋体22Aの中心に対し偏心するように、第1の蓋体22Aの端面から突出している。
[0031]
 第2の蓋体23Aには、管状のガス流入ポート26、熱媒体流入ポート202および熱媒体流出ポート203が突出形成されている。ガス流入ポート26は、第2の蓋体23Aの端面の縁部に形成されている。熱媒体流入ポート202および熱媒体流出ポート203は、それぞれ、第2の蓋体23Aの端面のほぼ中央部に形成されている。また、熱媒体流入ポート202および熱媒体流出ポート203の中心線は、それぞれ、第2の蓋体23Aの中心線に対してやや傾斜している。
[0032]
 なお、本発明において、ハウジング2Aの全体形状は、必ずしも完全な円柱状をなしている必要はなく、例えば一部が欠損している形状、異形部分が付加された形状などでもよい。
[0033]
 図3、図5に示すように、ハウジング2Aの内部には、その内周面に沿った円筒状をなす人工肺部10Aが収納されている。人工肺部10Aは、円筒状の中空糸膜束3Aと、中空糸膜束3Aの外周側に設けられた気泡除去手段4Aとしてのフィルタ部材41Aとで構成されている。中空糸膜束3Aとフィルタ部材41Aとは、血液流入側から、中空糸膜束3A、フィルタ部材41Aの順に配置されている。
[0034]
 また、人工肺部10Aの内側には、熱交換部10Bが設置されている。熱交換部10Bは、全体形状として、人工肺部10Aの内周面に沿った円筒状(円筒体の形状)をなし、中空糸膜束3Bを有している。
[0035]
 図6に示すように、中空糸膜束3Aおよび中空糸膜束3Bは、それぞれ、多数本の中空糸膜31で構成され、これらの中空糸膜31を層状に集積して積層させてなるものである。積層数は、特に限定されないが、例えば、3~40層が好ましい。なお、中空糸膜束3Aを構成する各中空糸膜31は、それぞれ、ガス交換機能を有するものである。一方、中空糸膜束3Bを構成する各中空糸膜31は、それぞれ、熱交換を行なう機能を有するものである。
[0036]
 図3に示すように、中空糸膜束3Aおよび中空糸膜束3Bは、それぞれ、その両端部が隔壁8および隔壁9により円筒状ハウジング本体21Aの内面に対し一括して固定されている。隔壁8、隔壁9は、例えば、ポリウレタン、シリコーンゴム等のポッティング材や接着剤等により構成されている。さらに、中空糸膜束3Bは、その内周部が、第1の円筒部材241の外周部に形成された凹凸部244に係合している。この係合と隔壁8および隔壁9による固定により、中空糸膜束3Bが円筒状ハウジング本体21Aに確実に固定され、よって、人工肺10の使用中に中空糸膜束3Bの位置ズレが生じるのを確実に防止することができる。また、凹凸部244は、中空糸膜束3B全体に血液Bを巡らせるための流路としても機能する。
[0037]
 なお、図5に示すように、中空糸膜束3Aの最大外径φD1 maxは、例えば、20mm以上、200mm以下であるのが好ましく、40mm以上、150mm以下であるのがより好ましい。中空糸膜束3Bの最大外径φD2 maxは、例えば、10mm以上、150mm以下であるのが好ましく、20mm以上、100mm以下であるのがより好ましい。また、図3に示すように、中空糸膜束3Aおよび中空糸膜束3Bの中心軸方向に沿った長さL1は、同じであり、例えば30mm以上、250mm以下であるのが好ましく、50mm以上、200mm以下であるのがより好ましい。このような条件を有することにより、中空糸膜束3Aは、ガス交換機能に優れたものとなり、中空糸膜束3Bは、熱交換機能に優れたものとなる。
[0038]
 また、ハウジング2A内の隔壁8と隔壁9との間において、各中空糸膜31同士の間に形成されている隙間は、血液Bが図6中の上側から下側に向かって流れる血液流路33として機能する。
[0039]
 血液流路33の上流側には、血液流入ポート201から流入した血液Bの血液流入部として、血液流入ポート201に連通する血液流入側空間24Aが形成されている(図3、図5参照)。
[0040]
 血液流入側空間24Aは、円筒状をなす第1の円筒部材241と、第1の円筒部材241の内側に配置され、その内周部の一部に対向して配置された板片242とで画成された空間である。そして、血液流入側空間24Aに流入した血液Bは、第1の円筒部材241に形成された複数の側孔243を介して、血液流路33全体に行き渡ることができる。
[0041]
 また、第1の円筒部材241は、前記熱交換器の一部を構成し、その製造過程で、後述するように各中空糸膜31が巻回される芯材としても用いられる。
[0042]
 第1の円筒部材241の内側には、当該第1の円筒部材241と同心的に配置された第2の円筒部材245が配置されている。そして、図3に示すように、熱媒体流入ポート202から流入した例えば水またはお湯等の熱媒体Hは、第1の円筒部材241の外周側にある中空糸膜束3Bの各中空糸膜31内と、第2の円筒部材245の内側とを順に通過して、熱媒体流出ポート203から排出される。また、熱媒体Hが各中空糸膜31の中空部で構成された流路32を通過することにより、血液流路33内では、当該中空糸膜31に接する血液Bとの間で熱交換(加温または冷却)が行われる(図6参照)。
[0043]
 血液流路33の下流側においては、血液流路33を流れる血液B中に存在する気泡を捕捉する機能を有するフィルタ部材41Aが配置されている。
[0044]
 フィルタ部材41Aは、ほぼ長方形をなすシート状の部材(以下単に「シート」とも言う)で構成され、そのシートを中空糸膜束3Aの外周に沿って巻回して形成したものである。フィルタ部材41Aも、両端部がそれぞれ隔壁8、隔壁9で固着されており、これにより、ハウジング2Aに対し固定されている(図3参照)。なお、このフィルタ部材41Aは、その内周面が中空糸膜束3Aの外周面に接して設けられ、該外周面のほぼ全面を覆っているのが好ましい。そして、フィルタ部材41Aにより捕捉された気泡は、血流によって、フィルタ部材41A近傍の各中空糸膜31内に押し込まれて入り込み、その結果、血液流路33から除去される。
[0045]
 また、フィルタ部材41Aの外周面と円筒状ハウジング本体21Aの内周面との間には、円筒状の隙間が形成され、この隙間は、血液流出側空間25Aを形成している。この血液流出側空間25Aと、血液流出側空間25Aに連通する血液流出ポート28とで、血液流出部が構成される。血液流出部は、血液流出側空間25Aを有することにより、フィルタ部材41Aを透過した血液Bが血液流出ポート28に向かって流れる空間が確保され、血液Bを円滑に排出することができる。
[0046]
 図3に示すように、第1の蓋体22Aの内側には、円環状をなすリブ291が突出形成されている。そして、第1の蓋体22Aとリブ291と隔壁8とにより、第1の部屋221aが画成されている。この第1の部屋221aは、ガスGが流出するガス流出室である。中空糸膜束3Aの各中空糸膜31の左端開口は、第1の部屋221aに開放し、連通している。人工肺10では、ガス流出ポート27および第1の部屋221aによりガス流出部が構成される。一方、第2の蓋体23Aの内側にも、円環状をなすリブ292が突出形成されている。そして、第2の蓋体23Aとリブ292と隔壁9とにより、第2の部屋231aが画成されている。この第2の部屋231aは、ガスGが流入してくるガス流入室である。中空糸膜束3Aの各中空糸膜31の右端開口は、第2の部屋231aに開放し、連通している。人工肺10では、ガス流入ポート26および第2の部屋231aによりガス流入部が構成される。
[0047]
 ここで、本実施形態の人工肺10における血液Bの流れについて説明する。
 この人工肺10では、血液流入ポート201から流入した血液Bは、血液流入側空間24A、側孔243を順に通過して、熱交換部10Bに流れ込む。熱交換部10Bでは、血液Bは、血液流路33を下流方向に向かって流れつつ、熱交換部10Bの各中空糸膜31の表面と接触して熱交換(加温または冷却)がなされる。このようにして熱交換がなされた血液Bは、人工肺部10Aに流入する。
[0048]
 そして、人工肺部10Aでは、血液Bは、血液流路33をさらに下流方向に向かって流れる。一方、ガス流入ポート26から供給されたガスG(酸素を含む気体)は、第2の部屋231aから人工肺部10Aの各中空糸膜31の流路32に分配され、該流路32を流れた後、第1の部屋221aに集積され、ガス流出ポート27より排出される。血液流路33を流れる血液Bは、人工肺部10Aの各中空糸膜31の表面に接触し、流路32を流れるガスGとの間で酸素加、脱炭酸ガスがなされる。
[0049]
 ガス交換がなされた血液B中に気泡が混入している場合、この気泡は、フィルタ部材41Aにより捕捉され、フィルタ部材41Aの下流側に流出するのが防止される。
[0050]
 以上のようにして熱交換、ガス交換が順になされ、さらに気泡が除去された血液Bは、血液流出ポート28より流出する。
[0051]
 前述したように、中空糸膜束3Aおよび中空糸膜束3Bは、いずれも、多数本の中空糸膜31で構成されたものである。中空糸膜束3Aと中空糸膜束3Bとは、用途が互いに異なるが、例えば同じ中空糸膜31を用いることができる。以下では、熱交換に用いられる中空糸膜束3Bについて代表的に説明する。
[0052]
 図7に示すように、中空糸膜31は、その芯材である第1の円筒部材241(円筒体)の中心軸Oに対して傾斜して、中心軸O回りに巻回されている。この中空糸膜31の中心軸Oに対する傾斜角度(綾角)θは、22°以上、67°未満であり、好ましくは22°以上、61°以下であり、より好ましくは26°以上、57°以下である。さらに好ましい中空糸膜31の中心軸Oに対する傾斜角度(綾角)θの数値範囲としては、後述する実施例のうち、実施例2に該当する46°以上、50°以下である。このような数値範囲により、中空糸膜31、1本当たりの熱交換機能を損なわない程度に、当該中空糸膜31の右端開口318から左端開口319までの長さL2を短くすることができる。なお、右端開口318は、熱媒体Hが中空糸膜31内に流入する流入口であり、左端開口319は、熱媒体Hが中空糸膜31内から流出する流出口である。そして、長さL2が短くなっていることにより、中空糸膜31を通過する熱媒体Hの圧力損失をできる限り防止することができる。これにより、中空糸膜束3B(熱交換部10B)は、血液Bに対する熱交換を円滑かつ迅速に行うことができ、熱交換率が優れたものとなる。熱交換された血液Bは、適正な温度となり、患者に戻される。
[0053]
 また、血液Bの充填量の増大は、患者にとって負担となる傾向にある。そこで、各中空糸膜31の外径をできる限り小さくすることにより、血液Bの充填量の増大を防止することができ、よって、患者への負担を低減することができる。なお、各中空糸膜31同士の間隔は、中空糸膜31の外径φd の1/10~1/1であるのが好ましい。
[0054]
 中空糸膜31の内径φd は、0.2mm以上、0.9mm以下であるのが好ましく、0.35mm以上、0.75mm以下であるのがより好ましい(図6参照)。中空糸膜31の外径φd は、0.3mm以上、1mm以下であるのが好ましく、0.45mm以上、0.85mm以下であるのがより好ましい(図6参照)。内径φd および外径φd がこのような数値範囲内に入っていることにより、中空糸膜31は、自身の強度を保ちつつ、長さL2が短いこととの相乗効果で、熱媒体Hの圧力損失をより確実に防止することができる。
[0055]
 中空糸膜31の構成材料は、所定のヤング率Eを有する樹脂材料である。ヤング率Eは、2.6GPa以下であり、好ましくは0.07GPa以上、1.6GPa以下であり、より好ましくは0.24GPa以上、1.3GPa以下である。このようなヤング率Eを有する樹脂材料としては、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられ、これらの中でも、特に、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6-12、ナイロン6-66)やポリアミド系熱可塑性エラストマー、その他、ポリエステル系等の各種熱可塑性エラストマーが好ましい。中空糸膜31がこのような材料で構成されていることにより、後述する人工肺10の製造過程で中空糸膜31を引張り状態としたときに、当該中空糸膜31が伸長して内径φd が縮径するが、その縮径の程度が過剰となる、すなわち、中空糸膜31が潰れて、流路32が塞がってしまうのを防止することができる。これにより、熱媒体Hが中空糸膜31内を円滑に通過することができ、圧力損失防止につながる。
[0056]
 また、中空糸膜31の製造方法は、特に限定されないが、例えば、押出成形を用いた方法や、その他、延伸法または固液相分離法を用いた方法が挙げられる。
[0057]
 そして、中空糸膜束3Bは、このような多数本の中空糸膜31を集積して、全体形状として円筒体の形状をなすように巻回した母材3’から得られる。この母材3’は、本発明の「熱交換器を製造する方法」で製造されるものである。また、この製造方法が有する工程は、人工肺10を製造する方法に含まれている。従って、人工肺10の製造方法は、中空糸膜束3Bの製造のみならず、その後に中空糸膜束3Aの製造を行い、人工肺10が完成するまでの工程を有する。そして、各工程として、第1の工程と、第2の工程と、第3の工程と、第4の工程と、第5の工程と、第6の工程とがある。次に、第1の工程~第6の工程について説明する。
[0058]
 [1]第1の工程
 第1の工程は、各中空糸膜31をその長手方向に引張った引張り状態で、中心軸Oに対して傾斜させつつ、中心軸O回りに巻回する巻回工程である。これにより、母材(一次母材)3’が得られる。
[0059]
 この第1の工程では、図8、図9に示す巻回装置60を用いる。巻回装置60は、筒状コア回転手段601と、ワインダ装置602と、固定装置600とを備える。
[0060]
 筒状コア回転手段601は、モータ603と、モータシャフト604と、モータシャフト604に固定されたコア取付部材605を備える。人工肺10のハウジング2Aの一部である第1の円筒部材241は、コア取付部材605に取り付けられ、モータ603により回転される。
[0061]
 ワインダ装置602は、内部に中空糸膜31を収納する収納部を備える本体部606と、中空糸膜31を吐出するとともに本体部606の軸方向(図8中の矢印M1方向)に移動する吐出部705を備えている。さらに、本体部606は、リニアレール607上を移動するリニアテーブル608およびボールナット部材704に固定されている。ボールナット部材704は、モータ703が駆動して、ボールネジシャフト609が回転することにより、本体部606の軸方向と平行に移動可能となっている。モータ703は、正逆回転可能であり、図示しないコントローラにより、駆動が調整される。
[0062]
 固定装置600は、第1の円筒部材241に巻回された中空糸膜31を固定用糸(線状体)11で固定する装置である。固定装置600は、右側に配置された第1の繰出機構701Aと、左側に配置された第2の繰出機構701Bと、吐出機構702とを備えている。
[0063]
 第1の繰出機構701Aは、吐出機構702に対し、図8中(図9についても同様)の右端側に向かって固定用糸11を繰り出す機構である。また、第2の繰出機構701Bは、吐出機構702に対し、図8中の左端側に向かって固定用糸11を繰り出す機構である。第1の繰出機構701Aと第2の繰出機構701Bとは、配置箇所が異なること以外は、同じ構成であるため、以下、第1の繰出機構701Aについて代表的に説明する。
[0064]
 第1の繰出機構701Aは、固定用糸11が予め巻回されたボビン113を回転可能に支持する支持部708と、固定用糸11に張力を付与するテンショナ709と、テンショナ709を付勢するコイルバネ801と、固定用糸11の有無を検出する検出センサ802とを有している。
[0065]
 支持部708は、固定用糸11の搬送方向最上流側に配置されている。なお、支持部708は、ボビン113とともに回転してもよいし、固定されていてもよい。
[0066]
 テンショナ709は、支持部708に対して固定用糸11の搬送方向下流に配置されたローラである。このテンショナ709に固定用糸11の途中を掛け回すことにより、当該固定用糸11に張力を付与することができる。
[0067]
 コイルバネ801は、テンショナ709の中心部をその中心軸方向に沿って付勢することができる。固定用糸11は、繰り出されながら揺動して弛緩しそうになるが、コイルバネ801がテンショナ709ごと固定用糸11を付勢することにより、その揺動の程度によらず、確実に張力が付与される。
[0068]
 検出センサ802は、テンショナ709に対して固定用糸11の搬送方向下流に配置された、すなわち、テンショナ709と吐出機構702との間に配置されたセンサである。検出センサ802としては、特に限定されず、例えば、力覚センサ等を用いることができる。この検出センサ802により、例えば中空糸膜31の固定中に固定用糸11が使い切られたり、不本意に切断してしまったりした場合、その状態を確実に検出することができる。
[0069]
 吐出機構702は、第1の繰出機構701Aから繰り出された固定用糸11と、第2の繰出機構701Bから繰り出された固定用糸11とをそれぞれ独立して、コア取付部材605上の第1の円筒部材241に向かって吐出する機構である。吐出機構702は、各固定用糸11をそれぞれ引張り出す(引き出す)本体部706と、第1の円筒部材241の両端部に向かってそれぞれ固定用糸11を吐出する吐出部707とを有している。そして、中空糸膜31に対して固定用糸11による固定を行なうときには、吐出部707から吐出された固定用糸11が、回転中の第1の円筒部材241上にある中空糸膜31に巻き付けられ、その固定がなされる(図13参照)。固定後は、その固定に供された固定用糸11が、例えばはさみやカッター等(図示せず)によって固定装置600から切断される。固定用糸11の切断部は、例えば、粘着テープを用いたり、超音波融着により固定される。なお、巻回装置60は、固定用糸11を中空糸膜束3Bの製造が完了するまで切断せずに用いるよう構成されている。
[0070]
 また、図9に示すように、巻回装置60では、コア取付部材605上の第1の円筒部材241を中心軸O方向(矢印M2)に沿って移動させることができ、この移動に連動して(同期して)吐出機構702を中心軸O方向(矢印M3)に沿って移動させることができる。このような構成により、製造されつつある母材3’(中空糸膜束3B)全体を中心軸O方向に沿って移動させ、その移動に固定用糸11を追従させることができる。なお、巻回装置60では、矢印M2、矢印M3方向への移動は、矢印M1方向への移動と独立している。
[0071]
 固定用糸11の構成材料としては、例えば、中空糸膜31と同じ樹脂材料を用いてもよいし、その他、ステンレス鋼等のような金属材料を用いてもよい。また、固定用糸11は、図13に示すように断面形状が偏平形状をなす帯体で構成されているのが好ましいが、これに限定されず、例えば断面形状が円形の線状体で構成されていてもよい。
[0072]
 以上のような構成の巻回装置60を用いて第1の工程を行なう。以下では、1本の中空糸膜31について代表的に説明する。
[0073]
 第1の工程では、第1の円筒部材241の外周部上で中空糸膜31を第1の円筒部材241(円筒体)の中心軸O回りに巻回しつつ、中心軸O方向、すなわち、左右方向に往復動させる。その際、一例として、図10に示すように、中空糸膜31は、左側の始点311から巻回が開始され、右側に向かう。右側では、中空糸膜31は、折り返し点(折り返し部)312で折り返される。その後、中空糸膜31は、順次、左側の折り返し点(折り返し部)313、右側の折り返し点(折り返し部)314で折り返され、左側の終点315に至る。すなわち、図10に示す巻回態様では、中空糸膜31は、中心軸O回りに1周する間に、矢印i→ii→iii→iv→v→vi→viiの順に巻回されていく。第1の工程では、このような巻回を繰り返しつつ、中空糸膜31を層状に重ねていく。なお、中空糸膜31の巻回態様は、図10に示す巻回態様に限定されないことは言うまでもない。そして、いずれの巻回態様であっても、前述したように、中空糸膜31の中心軸Oに対する傾斜角度θは、22°以上、67°未満となっている。
[0074]
 また、第1の工程では、中空糸膜31をその長手方向に引張った引張り状態で巻回していく。この引張り状態は、完成した人工肺10でも維持されている。中空糸膜31の引張り状態での伸長率は、0.5%以上、3%以下であり、好ましくは0.5%以上、1%以下である。このような巻回により、人工肺10の製造中(中空糸膜31の巻回中)、人工肺10の使用中のいずれも場合でも、中空糸膜31が弛緩してしまい、各中空糸膜31同士の間隔が不均一となるのを確実に防止することができる。なお、「伸長率」とは、外力を付与しない自然状態(図11(a)参照)の中空糸膜31の長さをQa、自然状態から引張力F1を付与して中空糸膜31を伸長させたとき(図11(b)参照)の中空糸膜31の長さをQbとしたとき、((Qb-Qa)/Qa)×100から求められる値のことを言う。また、引張力F1は、0.1N以上、5N以下となっているのが好ましく、0.1N以上、1.5N以下となっているのがより好ましい。
[0075]
 また、中空糸膜31は、中心軸Oに対して傾斜角度θで傾斜しており、引張り状態となっている。このため、傾斜角度θが小さければ小さいほど、中空糸膜31の左右でそれぞれ形成された折り返し点312、折り返し点313、折り返し点314での固定が必要になる。以下では、折り返し点312での固定について代表的に説明する。
[0076]
 図13に示すように、中空糸膜31は、折り返し点312で折り返す際に、その都度、折り返し点312付近が固定される。この固定は、巻回装置60の固定装置600から供給された固定用糸11を中心軸O回りに巻回しつつ、折り返し点312付近に重ねることにより行なわれる。これにより、中空糸膜31は、傾斜角度θの大小によらず、折り返し点312を形成して確実に折り返すことができる。そして、中空糸膜31は、引張り状態が維持されたまま、正確に巻回されることとなる。これにより、各中空糸膜31同士の間隔を確実に均一に維持することができ、よって、熱交換部10B(熱交換層)内での流れが均一となるため、熱交換率の優れた熱交換部10B(熱交換器)となる。なお、後述するように、この固定用糸11は、母材3’ではそのまま残るが、中空糸膜束3Bでは除去される。
[0077]
 前述したように、固定用糸11には、テンショナ709によって張力が付与されている。これにより、固定用糸11は、中空糸膜31を中心軸O側に向かって締め付けるように固定することができる。そして、このときの中空糸膜31と第1の円筒部材241との間の静止摩擦力F2は、引張力F1よりも大きい。これにより、固定用糸11を介して中空糸膜31を確実に固定することができる。なお、テンショナ709によって固定用糸11に作用する張力は、例えば、0.1N以上、10N以下であるのが好ましく、0.1N以上、3N以下であるのがより好ましい。
[0078]
 [2]第2の工程
 第2の工程は、母材3’上に、中空糸膜束3Aとなる中空糸膜31をさらに巻回する巻回工程である。これにより、図12(a)に示すような二次母材3’’が得られる。
[0079]
 この第2の工程では、巻回装置60がそのまま用いられ、例えば第1の工程と同様の巻回態様で中空糸膜31を巻回することができる。第2の工程が完了した後、二次母材3’’を第1の円筒部材241ごと巻回装置60から取り外す。
[0080]
 [3]第3の工程
 第3の工程は、二次母材3’’にフィルタ部材41Aを巻き付けて固定し、当該二次母材3’’を第1の円筒部材241とともに円筒状ハウジング本体21Aに収納する収納工程である。
[0081]
 [4]第4の工程
 第4の工程は、二次母材3’’を円筒状ハウジング本体21Aに対し固定する固定工程である。二次母材3’’の固定には、ポッティング材50が用いられ、当該ポッティング材50は、隔壁8、隔壁9となる。
[0082]
 この固定を行なうには、まず、円筒状ハウジング本体21A内の二次母材3’’の両端部に向けて、ポッティング材50の構成材料である液状のポリウレタンを供給する。次いで、円筒状ハウジング本体21Aごと遠心分離器にかけ、その後、液状のポリウレタンを乾燥させる。これにより、二次母材3’’の両端部がポッティング材50で固定された状態となる(図12(a)参照)。なお、二次母材3’’の両端部には、第1の工程で固定用糸11により固定された折り返し点312、折り返し点313、折り返し点314や、始点311、終点315も含まれている。
[0083]
 [5]第5の工程
 第5の工程は、図12に示すように、ポッティング材50で固定された二次母材3’’の両端部をそれぞれ切断する切断工程である。これにより、人工肺10に用いられ得る中空糸膜束3Aおよび中空糸膜束3Bが一括して得られる。
[0084]
 この第5の工程では、図12に示す切断装置90を用いる。切断装置90は、2つのカッター(刃物)901を有する。そして、各カッター901を二次母材3’’に接近させることにより、当該二次母材3’’の両端部が切断される。なお、切断装置90としては、カッター901を有する構成のものに限定されず、例えば、ウォータージェットを噴射する構成のもの、レーザ光を照射する構成のものであってもよい。
[0085]
 図12(a)に示すように、二次母材3’’のポッティング材50で固定された部分のうち、左端部では、固定用糸11よりも右側の部分に第1の切断線351を設定し、右端部でも、固定用糸11よりも左側の部分に第2の切断線352を設定する。
[0086]
 そして、切断装置90のカッター901を用いて、二次母材3’’を第1の切断線351、第2の切断線352に沿って切断する。これにより、図12(b)に示すように、二次母材3’’は、3つの部材に分割され、中央に位置する部材が中空糸膜束3Aおよび中空糸膜束3Bとなる。なお、両端の部材は、それぞれ、破棄される。
[0087]
 また、この切断により、中空糸膜束3B(中空糸膜束3Aについても同様)は、折り返し点312、折り返し点313、折り返し点314が固定用糸11ごと除去されたものとなる。これにより、中空糸膜束3Bを構成する各中空糸膜31には、右端側に開口した右端開口318が開口して形成され、左端側に左端開口319が形成される。これにより、中空糸膜31内を熱媒体Hが通過することができる。なお、中空糸膜束3Aでは、各中空糸膜31内をガスGが通過することとなる。
[0088]
 [6]第6の工程
 第6の工程は、円筒状ハウジング本体21Aに第1の蓋体22A、第2の蓋体23Aをそれぞれ装着する装着工程である。なお、この装着後、例えば接着剤等により、第1の蓋体22A、第2の蓋体23Aをそれぞれ円筒状ハウジング本体21Aに固定してもよい。
[0089]
 以上のような第1の工程~第6の工程を順に経ることにより、熱交換器付きの人工肺10を得ることができる。
[0090]
 <第2実施形態>
 図14は、熱交換器(第2実施形態)の製造過程における中空糸膜の固定状態を示す断面図である。
[0091]
 以下、この図を参照して本発明の熱交換器、人工肺および熱交換器の製造方法の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
[0092]
 本実施形態は、中空糸膜が巻回される芯材である第1の円筒部材の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
[0093]
 図14に示すように、本実施形態では、第1の円筒部材241の外周部の右端部に段差部246が形成されている。段差部246は、第1の円筒部材241の外径が減少した部分であり、第1の円筒部材241の外周部の周方向に沿って形成されている。なお、段差部246と段差部246よりも左側の部分との高低差は、中空糸膜31の外径φd 以下であるのが好ましい。また、図示では、右端部側の段差部246を描いているが、左端部側についても同様に段差部246が突出形成されている。
[0094]
 中空糸膜31の折り返し点312は、段差部246上に配置され、固定用糸11も、段差部246上に配置される。これにより、段差部246と段差部246よりも左側の部分との境界部で中空糸膜31が急峻に変形して当該境界部に係合することができる。そして、この係合により、中空糸膜31が強固に固定されて、中空糸膜31に対する引張り状態を維持したまま当該中空糸膜31を巻回することができ、よって、各中空糸膜31同士の間隔をより確実に均一に維持することができる。
[0095]
 <第3実施形態>
 図15は、熱交換器(第3実施形態)の製造過程における中空糸膜の固定状態を示す断面図である。
[0096]
 以下、この図を参照して本発明の熱交換器、人工肺および熱交換器の製造方法の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
[0097]
 本実施形態は、中空糸膜が巻回される芯材である第1の円筒部材の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
[0098]
 図15に示すように、本実施形態では、第1の円筒部材241の外周部の右端部に溝247が凹没して形成されている。溝247は、第1の円筒部材241の外周部の周方向に沿って形成されている。なお、溝247の深さは、中空糸膜31の外径φd 以下であるのが好ましい。溝247の幅は、固定用糸11の幅以上であるのが好ましい。また、図示では、右端部側の溝247を描いているが、左端部側についても同様に溝247が形成されている。
[0099]
 中空糸膜31の折り返し点312は、溝247よりも右側に配置されている。また、固定用糸11は、当該固定用糸11を第1の円筒部材241の外周部側(図15中では上側)から見たとき、溝247と重なって配置されている。このような位置関係により、中空糸膜31が溝247に食い込んで、当該中空糸膜31を強固に固定することができる。これにより、中空糸膜31に対する引張り状態を維持したまま当該中空糸膜31を巻回することができ、よって、各中空糸膜31同士の間隔をより確実に均一に維持することができる。
[0100]
 以上、本発明の熱交換器、人工肺および熱交換器の製造方法を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、熱交換器、人工肺を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
[0101]
 また、本発明の熱交換器、人工肺および熱交換器の製造方法は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
[0102]
 また、人工肺部の中空糸膜束を構成する各中空糸膜と、熱交換部の中空糸膜束を構成する各中空糸膜とは、前記各実施形態では同じものであったが、これに限定されず、例えば、一方(前者)の中空糸膜が他方(後者)の中空糸膜よりも細くてもよいし、双方の中空糸膜が互いに異なる材料で構成されていてもよい。
[0103]
 また、人工肺部と熱交換部とは、前記各実施形態では熱交換部が内側に配置され、人工肺部が外側に配置されていたが、これに限定されず、人工肺部が内側に配置され、熱交換部が外側に配置されていてもよい。この場合、血液は、外側から内側に向かって流れる。
[0104]
 また、前記各実施形態では、本発明の熱交換器を人工肺に適用した場合を一例として説明したが、これに限定されない。
実施例
[0105]
 以下、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
[0106]
 1.人工肺用熱交換部の作製
 (実施例1)
 図1~図5に示すような人工肺用熱交換部を作製した。この人工肺用熱交換部では、ハウジングは、ポリカーボネートで構成されている。ハウジングの内寸は、φ90×80mmであった。
[0107]
 中空糸膜の傾斜角度θ、中空糸膜のヤング率E、中空糸膜の構成材料、中空糸膜の伸長率、自然状態での中空糸膜の内径φd 、自然状態での中空糸膜の外径φd 、中空糸膜束の中で最も内側の層に位置する中空糸膜1本当たりの長さL2、中空糸膜束の中で最も内側の層に位置する各中空糸膜同士の間隔、中空糸膜束の外表面の面積は、表1に示すとおりであった。
[0108]
 (実施例2)
 中空糸膜の傾斜角度θ、中空糸膜のヤング率E、中空糸膜の構成材料、中空糸膜の伸長率、自然状態での中空糸膜の内径φd 、自然状態での中空糸膜の外径φd 、中空糸膜束の中で最も内側の層に位置する中空糸膜1本当たりの長さL2、中空糸膜束の中で最も内側の層に位置する各中空糸膜同士の間隔、中空糸膜束の外表面の面積を表1に示すとおりのものとした以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2の人工肺用熱交換部を得た。
[0109]
 (実施例3)
 中空糸膜の傾斜角度θ、中空糸膜のヤング率E、中空糸膜の構成材料、中空糸膜の伸長率、自然状態での中空糸膜の内径φd 、自然状態での中空糸膜の外径φd 、中空糸膜束の中で最も内側の層に位置する中空糸膜1本当たりの長さL2、中空糸膜束の中で最も内側の層に位置する各中空糸膜同士の間隔、中空糸膜束の外表面の面積を表1に示すとおりのものとした以外は、前記実施例1と同様にして、実施例3の人工肺用熱交換部を得た。
[0110]
 (実施例4)
 中空糸膜の傾斜角度θ、中空糸膜のヤング率E、中空糸膜の構成材料、中空糸膜の伸長率、自然状態での中空糸膜の内径φd 、自然状態での中空糸膜の外径φd 、中空糸膜束の中で最も内側の層に位置する中空糸膜1本当たりの長さL2、中空糸膜束の中で最も内側の層に位置する各中空糸膜同士の間隔、中空糸膜束の外表面の面積を表1に示すとおりのものとした以外は、前記実施例1と同様にして、実施例4の人工肺用熱交換部を得た。
[0111]
 (比較例1)
 中空糸膜の傾斜角度θ、中空糸膜のヤング率E、中空糸膜の構成材料、中空糸膜の伸長率、自然状態での中空糸膜の内径φd 、自然状態での中空糸膜の外径φd 、中空糸膜束の中で最も内側の層に位置する中空糸膜1本当たりの長さL2、中空糸膜束の中で最も内側の層に位置する各中空糸膜同士の間隔、中空糸膜束の外表面の面積を表1に示すとおりのものとした以外は、前記実施例1と同様にして、比較例1の人工肺用熱交換部を得た。
[0112]
 2.評価
 模擬的使用状態で、実施例1~実施例4および比較例1の人工肺用熱交換部について、中空糸膜束中での水の圧力損失(最大)と、人工肺用熱交換部中に充填された血液充填量(最大)と、熱交換率とを測定した。
[0113]
 「水の圧力損失」は、40℃の水を用い、その水を1分間当たり15L流したときのものである。上記1分間に流した水量は人工肺の実使用時における最大流量を想定している。また、「熱交換率」は、1分間に流した血液量が4Lであるときのものである。1分間に流した血液量は、人工肺として使用頻度の高い血液流量を想定している。
[0114]
 さらに、実施例1~実施例4および比較例1の人工肺用熱交換部について、以下に示す評価基準1に従って、各人工肺用熱交換部が実際の使用に適しているか否かを総合的に評価した。
[0115]
 ・評価基準1
       ◎ :現存する人工肺用熱交換部よりも非常に優れている。
       ○ :現存する人工肺用熱交換部よりも優れている。
       △ :現存する人工肺用熱交換部よりも若干優れている。
       × :現存する人工肺用熱交換部と同等か、または、それよりも劣る。
[0116]
 これらの評価結果1を表1に示す。なお、表1中の項目「中空糸膜の傾斜角度θ」が、実施例1~実施例4および比較例1でそれぞれ変化している理由としては、傾斜角度θは、中空糸膜の巻回回数が増加すればするほど、大きくなる傾向にあるからである。
[0117]
[表1]


[0118]
 表1から明らかなように、実施例1~実施例4の中で実施例2の人工肺用熱交換部が実際の使用に非常に適しており、次いで実施例1、3の人工肺用熱交換部が実際の使用に、より適しており、次いで実施例4の人工肺用熱交換部が実際の使用に適しているという結果となった。
[0119]
 また、上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。

産業上の利用可能性

[0120]
 本発明の熱交換器は、熱媒体が通過する中空部を有する多数本の中空糸膜を有し、該多数本の中空糸膜が集積されて、全体形状として円筒体の形状をなす熱交換器であって、前記各中空糸膜は、前記円筒体の中心軸に対して傾斜して前記円筒体の中心軸回りに巻回されており、前記各中空糸膜の前記円筒体の中心軸に対する傾斜角度θは、22°以上、67°未満であり、前記各中空糸膜の構成材料は、ヤング率Eが2.6GPa以下のものである。そのため、各中空糸膜を通過する熱媒体の圧力損失をできる限り防止することができ、また熱交換が行なわれる対象となる液体(例えば血液)の熱交換器内での充填量低減を図ることができる。従って、本発明の熱交換器は、産業上の利用可能性を有する。

符号の説明

[0121]
 10     人工肺
 10A    人工肺部
 10B    熱交換部
 2A     ハウジング
 21A    円筒状ハウジング本体
 22A    第1の蓋体(左側蓋体)
 221a   第1の部屋
 23A    第2の蓋体(右側蓋体)
 231a   第2の部屋
 24A    血液流入側空間
 241    第1の円筒部材
 242    板片
 243    側孔
 244    凹凸部
 245    第2の円筒部材
 246    段差部
 247    溝
 25A    血液流出側空間
 26     ガス流入ポート
 27     ガス流出ポート
 28     血液流出ポート
 291、292 リブ
 201    血液流入ポート
 202    熱媒体流入ポート
 203    熱媒体流出ポート
 205    パージポート
 3A、3B  中空糸膜束
 3’     母材(一次母材)
 3’’    二次母材
 31     中空糸膜
 311    始点
 312、313、314 折り返し点
 315    終点
 318    右端開口
 319    左端開口
 32     流路
 33     血液流路
 351    第1の切断線
 352    第2の切断線
 4A     気泡除去手段
 41A    フィルタ部材
 8、9    隔壁
 11     固定用糸(線状体)
 113    ボビン
 50     ポッティング材
 60     巻回装置
 600    固定装置
 601    筒状コア回転手段
 602    ワインダ装置
 603    モータ
 604    モータシャフト
 605    コア取付部材
 606    本体部
 607    リニアレール
 608    リニアテーブル
 609    ボールネジシャフト
 701A   第1の繰出機構
 701B   第2の繰出機構
 702    吐出機構
 703    モータ
 704    ボールナット部材
 705    吐出部
 706    本体部
 707    吐出部
 708    支持部
 709    テンショナ
 801    コイルバネ
 802    検出センサ
 90     切断装置
 901    カッター(刃物)
 B      血液
 φD1 max、φD2 max 最大外径
 φd     内径
 φd     外径
 F1     引張力
 F2     静止摩擦力
 G      ガス
 H      熱媒体
 i、ii、iii、iv、v、vi、vii 矢印
 L1、L2  長さ
 M1、M2、M3 矢印
 O      中心軸
 Qa     長さ
 Qb     長さ
 θ      傾斜角度(綾角)

請求の範囲

[請求項1]
 熱媒体が通過する中空部を有する多数本の中空糸膜を有し、該多数本の中空糸膜が集積されて、全体形状として円筒体の形状をなす熱交換器であって、
 前記各中空糸膜は、前記円筒体の中心軸に対して傾斜して前記円筒体の中心軸回りに巻回されており、
 前記各中空糸膜の前記円筒体の中心軸に対する傾斜角度θは、22°以上、67°未満であり、
 前記各中空糸膜の構成材料は、ヤング率Eが2.6GPa以下のものであることを特徴とする熱交換器。
[請求項2]
 前記ヤング率Eは、0.07GPa以上である請求項1に記載の熱交換器。
[請求項3]
 前記各中空糸膜の構成材料は、ポリアミド系またはポリエステル系の樹脂材料である請求項1または2に記載の熱交換器。
[請求項4]
 前記中空糸膜は、その外径が1mm以下のものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱交換器。
[請求項5]
 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の熱交換器を内蔵したことを特徴とする人工肺。
[請求項6]
 熱媒体が通過する中空部を有する多数本の中空糸膜を有し、該多数本の中空糸膜が集積されて、全体形状として円筒体の形状をなす熱交換器を製造する方法であって、
 前記各中空糸膜を該中空糸膜の長手方向に引張った引張り状態で、前記円筒体の中心軸に対して傾斜させつつ、前記円筒体の中心軸回りに巻回する巻回工程を有し、
 前記巻回工程では、前記各中空糸膜の前記引張り状態での伸長率が0.5%以上、3%以下、前記各中空糸膜の前記円筒体の中心軸に対する傾斜角度θが22°以上、67°未満となっており、
 前記各中空糸膜の構成材料は、ヤング率Eが2.6GPa以下のものであることを特徴とする熱交換器の製造方法。
[請求項7]
 前記ヤング率Eは、0.07GPa以上である請求項6に記載の熱交換器の製造方法。
[請求項8]
 前記各中空糸膜の構成材料は、ポリアミド系またはポリエステル系の樹脂材料である請求項6または7に記載の熱交換器の製造方法。
[請求項9]
 前記中空糸膜は、その外径が1mm以下のものである請求項6ないし8のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
[請求項10]
 前記熱交換器は、円筒状をなし、前記各中空糸膜が巻回される芯材を有するものであり、
 前記巻回工程は、前記芯材の外周部上で前記各中空糸膜を前記円筒体の中心軸方向に往復動させて前記各中空糸膜の巻回を行ない、
 前記巻回工程では、前記各中空糸膜が往復動する際、該中空糸膜を前記円筒体の一方側および他方側の双方で折り返して折り返し部を形成し、該折り返し部付近に固定用糸を前記円筒体の中心軸回りに巻回しつつ重ねて、前記折り返し部に対する固定を行なう請求項6ないし9のいずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
[請求項11]
 前記芯材の外周部の両端部には、該芯材の外径が減少した段差部が形成されており、
 前記固定用糸を前記芯材の外周部側から見たとき、前記固定用糸は、前記両端部の段差部と重なって配置される請求項10に記載の熱交換器の製造方法。
[請求項12]
 前記芯材の外周部の両端部には、前記外周部の周方向に沿って形成された溝が凹没しており、
 前記固定用糸を前記芯材の外周部側から見たとき、前記固定用糸は、前記両端部の溝と重なって配置される請求項10に記載の熱交換器の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]