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1. (WO2018043165) FLUORINE-CONTAINING POLYMER, METHOD FOR PRODUCING SAME, AND PRODUCT INCLUDING CURED PRODUCT OF FLUORINE-CONTAINING POLYMER
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明 細 書

発明の名称 含フッ素重合体、その製造方法、および含フッ素重合体の硬化物を備える物品

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082  

実施例

0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101  

産業上の利用可能性

0102  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 含フッ素重合体、その製造方法、および含フッ素重合体の硬化物を備える物品

技術分野

[0001]
 本発明は、含フッ素重合体、その製造方法、および含フッ素重合体の硬化物を備える物品に関する。

背景技術

[0002]
 含フッ素重合体は耐熱性、耐薬品性、低表面エネルギー、低屈折率、低誘電率等の優れた性質を有することを利用して各種の工業用材料として利用されている。特に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン)(FEP)、ポリ(テトラフルオロエチレン-ペルフルオロアルキルビニルエーテル)(PFA)に代表される含フッ素重合体は上記の特性に関しては有機、無機を問わず他の材料にない特徴的な物性値を有する。
[0003]
 特許文献1には、CF =CFO-(ペルフルオロビニルエーテル)基を有する液状の硬化性含フッ素重合体が提案され、熱硬化して耐熱性、耐光性に優れた硬化物が得られている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 国際公開第2009/096342号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかし、特許文献1記載の硬化性含フッ素重合体を熱硬化するために、150℃超の高温の加熱が必要であった。本発明は、室温~150℃の低温で熱硬化が可能な含フッ素重合体の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明は、以下[1]~[14]の構成を有する含フッ素重合体、その製造方法、含フッ素重合体の硬化物を備える物品を提供する。
[1]下式(1)で表される単位を含む、含フッ素重合体。
[化1]


(式(1)中、
およびX は、それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、
は、単結合またはエーテル性酸素原子であり、
f1は、フルオロアルキレン基、または炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のフルオロアルキレン基であり、
は、NR -Y 、O-Y またはS-Y であり、
は、水素原子、アルキル基またはアリール基であり、
、Y およびY は、それぞれ独立に、1以上の加水分解性シリル基を有する基である。)
[2]式(1)で表される単位が、-[CF -CF(O(CF CONH-C -SiR m1(W 3-m1)]-または-[CF -CF(O(CF CONH-C -NH-C -SiR m1(W 3-m1)]-である、[1]の含フッ素重合体。
(式中、R は、それぞれ独立に、アルキル基であり、W は、それぞれ独立に、ハロゲン原子またはアルコキシ基であり、m1は、それぞれ独立に、0、1または2である。)
[0007]
[3]さらに、下式(1a)で表される単位を含む、[1]または[2]の含フッ素重合体。
[化2]


(式(1a)中、
、X 、Q およびR f1は、請求項1で定義されたとおりであり、
は、ハロゲン原子、OHまたはOR であり、
は、アルキル基である。)
[4]Z がNR -Y であり、かつ、Z がOR である、[3]の含フッ素重合体。
[5]さらに、フルオロエチレン由来の単位を含む、[1]~[4]のいずれかの含フッ素重合体。
[0008]
[6]さらに、下式(3)で表される単位(ただし、フルオロエチレン由来の単位を除く。)を含む、[1]~[5]のいずれかの含フッ素重合体。
 -[CX -CX ]-・・・(3)
(式(3)中、
およびX は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、
は、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、
は、水素原子、フルオロアルキル基、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のフルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のフルオロアルコキシ基、フルオロアルケニル基、または炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数3以上のフルオロアルケニル基である。)
[7]-COZ で表される基の含有量が0.01~4mmol/gである、[1]~[6]のいずれかの含フッ素重合体。
[0009]
[8]前記[1]~[7]のいずれかの含フッ素重合体の製造方法であって、下式(1a)で表される単位を含みかつ前記単位(1)を含まない含フッ素重合体と、アミノシラン化合物、エポキシシラン化合物、メルカプトシラン化合物およびイソシアナトシラン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを反応させることを特徴とする製造方法。
[化3]


(式(1a)中、
、X 、Q およびR f1は、請求項1で定義されたとおりであり、
は、請求項3で定義されたとおりである。)
[9]前記[1]~[7]のいずれかの含フッ素重合体および含フッ素溶媒を含むことを特徴とするコーティング組成物。
[10]前記[1]~[7]のいずれかの含フッ素重合体の硬化物。
[11]前記[10]の硬化物からなる成形体。
[12]成形体がフィルムである、[11]の成形体。
[13]基材と、該基材の表面に設けられた、[1]~[7]のいずれかの含フッ素重合体の硬化物の層とを有することを特徴とする物品。
[14]前記基材表面と前記含フッ素重合体の硬化物の層との間にプライマ層を有する、[13]の物品。

発明の効果

[0010]
 本発明によれば、比較的低温で熱硬化が可能な含フッ素重合体が提供できる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 図1は、例1で得たフィルムの温度と弾性率との関係を示す図である。
[図2] 図2は、例2で得たフィルムの温度と弾性率との関係を示す図である。

発明を実施するための形態

[0012]
 以下に、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は下記説明に限定して解釈されるものではない。
[0013]
 式(a)で表される化合物を「化合物(a)」と記す場合がある。他の式で表される化合物も同様に記す。式(b)で表される単位を「単位(b)」と記す場合がある。他の式で表される単位も同様に記す。
 単量体に由来する単位をその単量体名に「単位」を付して表す場合がある。たとえば、フルオロエチレンに由来する単位を「フルオロエチレン単位」と記す。
 本明細書における以下の用語の意味は、以下の通りである。
 「フルオロエチレン」とは、テトラフルオロエチレン(CF =CF )、およびテトラフルオロエチレンの1~3個のフッ素原子が水素原子またはフッ素以外のハロゲン原子(塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)に置換された化合物を意味する。なお、以下、テトラフルオロエチレンを「TFE」、トリフルオロエチレンを「TrFE」、クロロトリフルオロエチレンを「CTFE」とも記す。
[0014]
[含フッ素重合体]
 本発明の含フッ素重合体は、単位(1)を含む。
[化4]


 式(1)中、
およびX は、それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、
は、単結合またはエーテル性酸素原子であり、
f1は、フルオロアルキレン基、または炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のフルオロアルキレン基であり、
は、NR -Y 、O-Y またはS-Y であり、
は、水素原子、アルキル基またはアリール基であり、
、Y およびY は、それぞれ独立に、1以上の加水分解性シリル基を有する基である。
[0015]
 本発明の含フッ素重合体は、加水分解性シリル基を有する基を含むため、空気中の水分により加水分解・縮合反応して架橋し、硬化物が得られる。
[0016]
 X およびX は、同一であって、フッ素原子であるのが好ましい。
 Q は、エーテル性酸素原子が好ましい。
 R f1がフルオロアルキレン基である場合、その炭素数は1~6が好ましく、1~4が特に好ましい。その炭素数が3以上の場合には、熱安定性に優れる点から直鎖構造が好ましい。フルオロアルキレン基としては、熱安定性に優れる点からペルフルオロアルキレン基が好ましい。すなわち、R f1としては、炭素数1~6のペルフルオロアルキレン基が好ましく、炭素数1~4のペルフルオロアルキレン基が特に好ましい。
 R f1が、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のフルオロアルキレン基である場合、その炭素数は2~10が好ましく、2~6が特に好ましい。炭素数が3以上の場合には、熱安定性に優れる点から直鎖構造が好ましい。フルオロアルキレン基としては、熱安定性に優れる点からペルフルオロアルキレン基が好ましい。すなわち、R f1としては、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2~10のフルオロアルキレン基が好ましく、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2~6のフルオロアルキレン基が特に好ましい。
[0017]
 Z 中に含まれる加水分解性シリル基は、-SiR m1(W 3-m1で表される(式中、R は、それぞれ独立に、アルキル基であり、W は、それぞれ独立に、ハロゲン原子またはアルコキシ基であり、m1は0、1または2である。)。R の炭素数は、1~6が好ましく、1または2が特に好ましい。ハロゲン原子であるW としては、フッ素原子、塩素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられ、フッ素原子および塩素原子が好ましい。アルコキシ基であるW としては、低温硬化性がより優れる点から、炭素数1~6のアルコキシ基が好ましく、炭素数1および2のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1のアルコキシ基が特に好ましい。
 加水分解性シリル基は、-SiCH (OCH および-SiCH (OC がより好ましく、低温硬化性と保存安定性に優れる点から-SiCH (OCH が特に好ましい。Z 中の加水分解性シリル基の数は、特に限定されないが、1が好ましい。
[0018]
 NR -Y において、R がアルキル基である場合、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1または2のアルキル基が特に好ましい。R がアリール基である場合、炭素数6~20のアリール基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。R は、後述する含フッ素溶媒への溶解性に優れるから、水素原子、炭素数1~6のアルキル基およびフェニル基が好ましく、水素結合性が高く、各種の基材への密着性に優れる点から、水素原子が特に好ましい。
[0019]
 Y の具体例としては、下式(10a)が挙げられる。
  R -SiR m1(W 3-m1  (10a)
 式(10a)中、
は、アルキレン基、アリーレン基、または炭素-炭素原子間にアミノ基を有する炭素数2以上のアルキレン基であり、
、W およびm1は、Z で定義されたとおりであり好ましい範囲も同様である。
[0020]
 R がアルキレン基である場合、炭素数1~6のアルキレン基が好ましく、炭素数2または3のアルキレン基が特に好ましい。R がアリーレン基である場合、炭素数6~20のアリーレン基が好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
 R が炭素-炭素原子間にアミノ基を有する炭素数2以上のアルキレン基である場合、その炭素数は、2~12が好ましく、4~6が特に好ましい。R 中に含まれるアミノ基は、-NR -で表され、ここで、R は、R と同義であり好ましい範囲も同様である。
 R は、含フッ素溶媒への溶解性に優れる点から、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数6~20のアリーレン基および炭素-炭素原子間にアミノ基を有する炭素数2~12のアルキレン基から適宜選択することが好ましく、-C -、-C -、フェニレン基、炭素-炭素原子間に-NH-を有する炭素数4または5のアルキレン基が特に好ましい。
 よって、Y は、C -SiR m1(W 3-m1、C -SiR m1(W 3-m1およびC -NH-C -R m1(W 3-m1が好ましく、C -SiCH (OCH 、C -NR -C -Si(OC およびC -NR -C -SiCH (OCH が特に好ましい。
[0021]
 NR -Y は、含フッ素溶媒に対する溶解性、硬化反応性、および/または保存安定性に優れる点から、NHC Si(OC 、NHC SiCH (OCH 、NHC -NH-C -Si(OC およびNHC -NH-C -SiCH (OCH が好ましく、NHC SiCH (OCH およびC -NH-C -SiCH (OCH が特に好ましい。
[0022]
 O-Y において、Y の具体例としては、下式(10b)が挙げられる。
  R -SiR m1(W 3-m1  (10b)
 式(10b)中、
は、アルキレン基、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のアルキレン基、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有しかつ1以上の水素原子が水酸基に置換されている炭素数2以上のアルキレン基、アリーレン基であり、
、W およびm1は、Z で定義されたとおりであり好ましい範囲も同様である。
[0023]
 R がアルキレン基である場合、その炭素数は、1~6が好ましく、1または2が特に好ましい。R が炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のアルキレン基である場合、その炭素数は、2~12が好ましく、3~6が特に好ましい。R が炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有しかつ1以上の水素原子が水酸基に置換されている炭素数2以上のアルキレン基である場合、その炭素数は、2~12が好ましく、3~8が特に好ましい。また、R が炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有しかつ1以上の水素原子が水酸基に置換されている炭素数2以上のアルキレン基である場合、CH CH(OH)-R で表される基が好ましい。ここで、R は、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のアルキレン基である。R としては、合成が容易な点から、その炭素数は、2~10が好ましく、3または4が特に好ましい。
 R としては、合成が容易な点から、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有しかつ1以上の水素原子が水酸基に置換されている炭素数2以上のアルキレン基が好ましく、CH CH(OH)CH OC が特に好ましい。
[0024]
 S-Y におけるY の具体例としては、式(10a)が挙げられる。
[0025]
 Z の具体例としては、以下の基が挙げられる。
  -NHC Si(OCH
  -NHC Si(OC
  -NHC SiCH (OCH
  -NHC SiCH (OC
  -NHC NHC Si(OCH
  -NHC NHC Si(OC
  -NHC NHC SiCH (OCH
  -NHC SiCH (OC
  -N(C )C Si(OCH
  -N(C )C Si(OC
  -N(C )C SiCH (OCH
  -N(C )C SiCH (OC
  -NHC Si(OCH
  -NHC Si(OC
  -NHC SiCH (OCH
  -NHC SiCH (OC
  -OCH CH(OH)CH OC Si(OCH
  -OCH CH(OH)CH OC Si(OC
  -OCH CH(OH)CH OC SiCH (OCH
  -OCH CH(OH)CH OC SiCH (OC
  -SC Si(OCH
  -SC Si(OC
  -SC SiCH (OCH
  -SC SiCH (OC
[0026]
 単位(1)の具体例としては、以下の単位が挙げられる。
  -[CF -CF(O(CF -COZ )]-
  -[CF -CF(O(CF -COZ )]-
  -[CF -CF(O(CF -COZ )]-
  -[CF -CF(OCF CF(CF )O(CF -COZ )]-
  -[CF -CF(OCF CF(CF )O(CF -COZ )]-
  -[CF -CF(O(CF O(CF -COZ )]-
  -[CF -CF(O(CF O(CF -COZ )]-
  -[CH -CF(CF OCF(CF )-COZ )]-
  -[CH -CF(CF OCF(CF )CF OCF(CF )-COZ )]-
 熱安定性に優れかつ入手容易な点から、単位(1)としては-[CF -CF(O(CF -COZ )]-が好ましく、そのうちでも-[CF -CF(O(CF CONH-C -SiR m1(W 3-m1)]-および-[CF -CF(O(CF CONH-C -NH-C -SiR m1(W 3-m1)]-が特に好ましい。含フッ素重合体は、Z が異なる2種以上の単位(1)を含んでいてもよい。
[0027]
 本発明の含フッ素重合体は、単位(1)以外の単位を含んでいてもよい。他の単位としては、後述する単位(1a)、後述する単位(1b)、フルオロエチレン単位(以下、「単位(2)」とも記す。)、後述する単位(3)、ならびに、単位(1)、単位(1a)、単位(1b)、単位(2)および単位(3)以外の単位(以下、「単位(4)」とも記す。)が挙げられる。
 本発明の含フッ素重合体は、UV硬化が可能な点からは、単位(1a)を含むのが好ましい。その場合、熱硬化とUV硬化との併用が可能な点からは、単位(1)中のZ がNR -Y であり、Z がOR であることが特に好ましい。また、各種基材への接着性を高める点からは、単位(1b)を含むことが好ましい。
 他の単位は、それぞれ単独または2種以上を組合せて用いることができる。たとえば、含フッ素重合体は、単独の単位(1b)と2種以上の単位(2)を含んでいてもよい。
[0028]
 単位(1a)は下式(1a)で表される単位である。
[化5]


 式(1a)中、
、X 、Q およびR f1は、式(1)で定義されたとおりであり、
は、ハロゲン原子、OHまたはOR であり、
は、アルキル基である。
[0029]
 Z がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子または塩素原子が好ましい。R としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、-CH および-C がより好ましく、-CH が特に好ましい。後述するアミノシラン化合物との反応により単位(1)を形成する際にゲル化を生じず安定に反応を行える点から、Z は、OR であるのが好ましい。
[0030]
 単位(1a)は、化合物(11)を単量体として重合することにより形成できる。
  CX =CF-Q -R f1-COZ ・・・(11)
式(11)中、X 、X 、Q およびR f1は、式(1)で定義されたとおりであり、Z は、式(1a)で定義されたとおりである。
[0031]
 単位(1b)は、下式(1b)で表される単位である。
[化6]


 式(1b)中、
は、NR HまたはNR -NR 10Hであり、
およびR は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基であり、
10は、水素原子またはメチル基であり、
、X 、Q およびR f1は、式(1)で定義されたとおりである。
[0032]
 単位(1b)は、Z がOR である単位(1a)を含む含フッ素重合体と、下式(12)で表されるアミン化合物(以下、「アミン化合物(12)」とも記す。)および下式(13)で表されるヒドラジン化合物(以下、「ヒドラジン化合物(13)」とも記す。)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを反応させることにより得ることができる。
   HNR -H   (12)
   HNR -NR 10H   (13)
[0033]
 アミン化合物(12)としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン等が挙げられる。ヒドラジン化合物(13)としては、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、メチルヒドラジン、1,2-ジメチルヒドラジン等が挙げられる。
[0034]
 反応時のアミン化合物(12)およびヒドラジン化合物(13)の合計の使用量は、Z がOR である単位(1a)を含む含フッ素重合体の-COOR で表される基1モルに対して、所望の-COZ の量である含フッ素重合体が得られる限り特に限定されないが、0.1~20モルが好ましく、0.3~15モルがより好ましく、0.5~10モルが特に好ましい。
[0035]
 反応は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、原料成分(Z がOR である単位(1a)を含む含フッ素重合体、アミン化合物(12)およびヒドラジン化合物(13))を溶解できることが好ましいが、少なくともZ がOR である単位(1a)を含む含フッ素重合体が溶解する溶媒を用いることが好ましい。溶媒としては、後述する含フッ素溶媒が挙げられる。
[0036]
 反応は、たとえば上記含フッ素溶媒に、Z がOR である単位(1a)を含む含フッ素重合体を溶解させ、0~30℃で、アミン化合物(12)およびヒドラジン化合物(13)からなる群より選択される1種以上の化合物を添加することによって行う。添加後、30~100℃に加熱して、1分~10時間反応させることによって、単位(1b)を有する含フッ素重合体を得ることができる。
[0037]
 単位(2)はフルオロエチレン単位である。単位(2)の具体例としては、TFE単位、TrFE単位、CTFE単位、ビニリデンフルオリド単位等が挙げられる。耐熱性に優れる点から、TFE単位、TrFE単位およびCTFE単位が好ましい。耐薬品性を保持しつつ、極性の高い-COZ 基が界面に存在しやすくなることで、含フッ素重合体および含フッ素重合体の硬化物が基材に対する接着性に優れる点からは、TFE単位が特に好ましい。溶解性が高く、-COZ 基の含有量に無関係に、含フッ素重合体および含フッ素重合体の硬化物が接着性に優れる点からは、TrFE単位およびCTFE単位が特に好ましい。
[0038]
 単位(3)は下式(3)で表される単位(ただし、フルオロエチレン単位を除く。)である。
   -[CX -CX ]-・・・(3)
 式(3)中、
およびX は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、
は、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、
は、水素原子、フルオロアルキル基、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のフルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のフルオロアルコキシ基、フルオロアルケニル基、または炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数3以上のフルオロアルケニル基である。
[0039]
 X がフルオロアルキル基である場合、その炭素数は、1~15が好ましく、1~6が特に好ましい。熱安定性に優れる点から、ペルフルオロアルキル基であることが好ましく、炭素数1~6のペルフルオロアルキル基がより好ましく、-CF が特に好ましい。
 X が炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基である炭素数2以上のフルオロアルキル基の場合、その炭素数は、2~15が好ましく、2~6が特に好ましい。熱安定性に優れる点から、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のペルフルオロアルキル基が好ましく、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2~6のペルフルオロアルキル基が特に好ましい。
[0040]
 X がフルオロアルコキシ基である場合、その炭素数は、1~15が好ましく、1~6が特に好ましい。熱安定性に優れる点から、炭素数1~6のペルフルオロアルコキシ基であることが好ましく、-OCF 、-OCF CF 、-O(CF CF 、-OCF CF(CF )O(CF CF が特に好ましい。
 X が炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のフルオロアルコキシ基である場合、その炭素数は、2~15が好ましく、2~6が特に好ましい。熱安定性に優れる点から、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のペルフルオロアルコキシ基が好ましく、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2~6のペルフルオロアルコキシ基が特に好ましい。エーテル性酸素原子を有するフルオロアルコキシ基としては、-OCF CF(CF )O(CF CF が最も好ましい。
[0041]
 X がフルオロアルケニル基である場合、分子内で環化反応が進行せず、合成が容易である点から、その炭素数は、5~15が好ましい。熱安定性に優れる点から、ペルフルオロアルケニル基であることが好ましく、-(CF CF=CF 、-(CF CF=CF および-(CF CF=CF が特に好ましい。
 Y が炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数3以上のフルオロアルケニル基である場合、その炭素数は、3~16が好ましく、3~7が特に好ましい。熱安定性に優れる点から、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数3以上のペルフルオロアルケニル基が好ましく、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数3~7のペルフルオロアルケニル基が特に好ましい。
[0042]
 単位(3)の具体例としては、下記単位が挙げられる。
 -[CH -CH ]-、-[CF -CF(CF )]-、-[CH -CF(CF )]-、-[CF -CF(OCF )]-、-[CF -CF(OCF CF )]-、-[CF -CF(O(CF CF )]-、-[CF -CF(O(CF CF )]-、-[CF -CF(OCF CF(CF )O(CF CF )]-、-[CF -CF(O(CF OCF=CF )]-、-[CF -CF((CF CF=CF )]-、-[CF -CF((CF CF=CF )]-、-[CF -CF((CF CF=CF )]-。
[0043]
 含フッ素重合体のガラス転移温度が低下して流動性に優れ、成形性に優れる点、および含フッ素重合体を、加熱および活性エネルギー線照射の少なくとも一方により硬化させる際に、運動性が高く分子間の架橋反応が進行しやすい点から、単位(3)は、-[CH -CH ]-、-[CF -CF(CF )]-、-[CF -CF(OCF )]-、-[CF -CF(O(CF CF )]-および-[CF -CF(OCF CF(CF )O(CF CF )]-が好ましい。
[0044]
 単位(3)は、化合物(31)を単量体として重合することにより形成できる。
   CX =CX ・・・(31)
 式(31)中、X 、X 、X およびX は、式(3)で定義されたとおりである。
 なお、X が前記フルオロアルケニル基である場合、化合物(31)におけるフルオロアルケニル基中の二重結合は重合に関与せず、化合物(31)の重合によりフルオロアルケニル基を有する単位(3)が形成される。
[0045]
 本発明の含フッ素重合体中の-COZ で表される基の含有量は、含フッ素重合体の質量に対して、0.01~4mmol/gが好ましく、0.01~2mmol/gがより好ましく、0.04~2mmol/gがさらに好ましく、0.1~1mmol/gが特に好ましい。ここで、-COZ で表される基の含有量は、CO-NR -Y 、CO-O-Y およびCO-S-Y の合計の割合である。前記範囲の下限値以上であると、含フッ素重合体が架橋し、得られる含フッ素重合体の硬化物は機械的強度や熱安定性に優れる。前記範囲の上限値以下であると、含フッ素重合体の硬化物は耐溶剤性、耐薬品性に優れる。
[0046]
 本発明の含フッ素重合体中の、Z がNR -Y である-COZ で表される基、Z がO-Y である-COZ で表される基、および、Z がS-Y である-COZ で表される基のそれぞれの含有量は、含フッ素重合体の質量に対して、0.01~2mmol/gが好ましく、0.02~1mmol/gがより好ましく、0.05~0.5mmol/gが特に好ましい。前記範囲の下限値以上であると、シロキサンによる架橋構造が形成され、溶媒に晒されても含フッ素重合体の硬化物の溶解やクラックが生じにくい。前記範囲の上限値以下であると、後述する含フッ素重合体を含むコーティング組成物がゲル化しにくく保存安定性に優れる。
[0047]
 本発明の含フッ素重合体が、単位(1a)および単位(1b)の少なくとも一方を含む場合、-COZ 、-COZ および-COZ で表される基の含有量の合計は、含フッ素重合体の質量に対して、0.01~4mmol/gが好ましく、0.01~2mmol/gがより好ましく、0.04~2mmol/gがさらに好ましく、0.1~1mmol/gが特に好ましい。前記範囲の下限値以上であると、含フッ素重合体が架橋し、得られる含フッ素重合体の硬化物は機械的強度や熱安定性に優れる。前記範囲の上限値以下であると、含フッ素重合体の硬化物は耐溶剤性、耐薬品性に優れる。
[0048]
 含フッ素重合体中の、単位(1)中の-COZ 、-COZ および-COZ で表される基の割合は、 19F-NMR測定により算出できる。
[0049]
 含フッ素重合体の全単位中、単位(1)の含有量は0.1~100mol%が好ましく、0.5~50mol%がより好ましく、1~10mol%がさらに好ましく、2~5mol%が特に好ましい。前記範囲の下限値以上であると、シロキサンによる架橋構造が形成され、溶媒に晒されても含フッ素重合体の硬化物の溶解やクラックが生じにくい。前記範囲の上限値以下であると、後述する含フッ素重合体を含むコーティング組成物がゲル化しにくく保存安定性に優れる。
[0050]
 含フッ素重合体の好ましい態様は、単位(1)、単位(1a)、単位(2)および単位(3)を含む含フッ素重合体であって、含フッ素重合体の全単位中、単位(1)の含有量が0.1~99.7mol%であり、単位(1a)の割合が0.1~98mol%であり、単位(2)の割合が0.1~80mol%であり、単位(3)の割合が0.1~98mol%である含フッ素重合体、また、単位(1)、単位(1a)、単位(1b)、単位(2)および単位(3)を含む含フッ素重合体であって、含フッ素重合体の全単位中、単位(1)の含有量が0.1~99.6mol%であり、単位(1a)の割合が0.1~98mol%であり、単位(1b)の割合が0.1~98mol%であり、単位(2)の割合が0.1~80mol%であり、単位(3)の割合が0.1~95mol%である。
 含フッ素重合体中の各単位の含有量は、 19F-NMR、 H-NMR測定により算出できる。
[0051]
 本発明の含フッ素重合体の質量平均分子量は、5,000~500,000が好ましく、10,000~100,000が特に好ましい。前記範囲の下限値以上であると、含フッ素重合体の硬化物の機械的強度に優れ、前記範囲の上限値以下であると、含フッ素溶媒に溶解した時の粘度が1~100Pa・sの範囲になり、含フッ素重合体の硬化物の厚さが調整しやすい。
[0052]
 質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、PMMA(ポリメチルメタクリレート)換算分子量として求めることができる。また、後述する前駆体の分子量から、推測することもできる。
[0053]
[含フッ素重合体の製造方法]
 本発明の含フッ素重合体は、単位(1a)を含みかつ前記単位(1)を含まない含フッ素重合体(以下、単に「前駆体」とも記す。)と、アミノシラン化合物、エポキシシラン化合物、メルカプトシラン化合物およびイソシアナトシラン化合物からなる群より選択される少なくとも1種のシラン化合物と反応させることによって製造することができる。これらのシラン化合物は、それぞれ単独または2種以上を組合せて用いることができる。
[0054]
 前駆体は、製造する前記本発明の含フッ素重合体の構成に従い、単位(1a)に加えてさらに、前記した単位(1b)、単位(2)、単位(3)および単位(4)からなる群から選ばれる少なくとも1種の単位を有する。
 前駆体は、公知の方法(たとえば国際公開第2015/098773号に記載の方法)で重合させることにより得られる。
[0055]
 アミノシラン化合物としては、下式(5)で表される化合物が好ましい。
 HNR -Y  (5)
 式(5)中、R およびY は、式(1)で定義されたとおりであり好ましい範囲も同様である。
 アミノシラン化合物としては、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
[0056]
 エポキシシラン化合物としては、下式(6)で表される化合物が好ましい。
 Ep-Y 21 (6)
 式(6)中、Epは、エポキシ基(すなわち、1,2-エポキシエチル基)であり、Y 21は、Y と同義であり、R -SiR m1(W 3-m1が好ましい。
 エポキシシラン化合物としては、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
[0057]
 メルカプトシラン化合物としては、下式(7)で表される化合物が好ましい。
 HS-Y  (7)
 式(7)中、Y は、式(1)で定義されたとおりであり好ましい範囲も同様である。
 メルカプトシラン化合物としては、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
[0058]
 イソシアナトシラン化合物としては、下式(8)で表される化合物が好ましい。
 O=C=N-Y  (8)
 式(8)中、Y は、Y と同義であり好ましい範囲も同様である。
 イソシアナトシラン化合物としては、3-イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシランが好ましい。
[0059]
 含フッ素重合体が、Z がNR -Y である単位を含む場合は、以下の方法で製造できる。
(a)Z がOR である単位(1a)を含む前駆体と、アミノシラン化合物とを反応させる
(b)Z がハロゲン原子である単位(1a)を含む前駆体と、アミノシラン化合物またはイソシアナトシラン化合物とを反応させる
(c)Z がOHである単位(1a)を含む前駆体と、イソシアナトシラン化合物とを反応させる
[0060]
 含フッ素重合体が、Z がO-Y である単位を含む場合は、以下の方法で製造できる。
(d)Z がOHである単位(1a)を含む前駆体と、エポキシシラン化合物とを反応させる
(e)Z がハロゲン原子である単位(1a)を含む前駆体と、エポキシシラン化合物とを反応させる
[0061]
 含フッ素重合体が、Z がS-Y である単位を含む場合は、以下の方法で製造できる。
(f)Z がハロゲン原子である単位(1a)を含む前駆体と、メルカプトシラン化合物とを反応させる
[0062]
 本発明の含フッ素重合体および前駆体中の-COOR 基をNMRにより求めておき、反応前後の赤外分光(IR)の-COOR 基の吸収スペクトル変化から反応量を定量することにより、Z がNR -Y 、O-Y およびS-Y である単位の割合を計算できる。ここで、Z が、ハロゲン原子またはOHである場合は、これらをOR に変換した後、-COOR 基をIRで定量できる。
[0063]
 前記シラン化合物の合計の反応量は、前駆体中の-COZ で表される基1モルに対して、所望の-COZ の量である含フッ素重合体が得られる限り特に限定されないが、0.1~10モルが好ましく、0.3~5モルがより好ましく、0.5~2モルが特に好ましい。
[0064]
 反応は、溶媒の非存在下または存在下で行うことができる。反応が溶媒の存在下で行われる場合、溶媒は、原料成分(前駆体および前記シラン化合物)を溶解できることが好ましく、少なくとも前駆体が溶解する溶媒を用いることが特に好ましい。この場合、反応は、原料成分が溶媒に溶解または分散した状態で行われる。このような溶媒として、含フッ素溶媒が挙げられる。
[0065]
 含フッ素溶媒としては、フッ素化アルカン、フッ素化芳香族化合物、フルオロアルキルエーテル、フッ素化アルキルアミン、フルオロアルコール等が挙げられる。
 フッ素化アルカンとしては、炭素数4~8の化合物が好ましい。市販品としては、たとえばC 13H(旭硝子社製、アサヒクリン(登録商標)AC-2000)、C 13(旭硝子社製、アサヒクリン(登録商標)AC-6000)、C CHFCHFCF (ケマーズ社製、バートレル(登録商標)XF)等が挙げられる。
 フッ素化芳香族化合物としては、たとえばヘキサフルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ペルフルオロトルエン、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。
 フルオロアルキルエーテルとしては、炭素数4~12の化合物が好ましい。市販品としては、たとえばCF CH OCF CF H(旭硝子社製、アサヒクリン(登録商標)AE-3000)、C OCH (3M社製、ノベック(登録商標)7100)、C OC (3M社製、ノベック(登録商標)7200)、C CF(OCH )C (3M社製、ノベック(登録商標)7300)等が挙げられる。
 フッ素化アルキルアミンとしては、たとえばペルフルオロトリプロピルアミン、ペルフルオロトリブチルアミン等が挙げられる。
 フルオロアルコールとしては、たとえば2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール等が挙げられる。
[0066]
 含フッ素溶媒は、含フッ素重合体の溶解性に優れる点から、フッ素原子含有率が60%以上であることが好ましく、65~77%がより好ましく、70~77%が特に好ましい。含フッ素重合体中の加水分解性シリル基がアルコキシ含有シリル基である場合は、含フッ素重合体の分散性に優れる点から、水素原子を含有する含フッ素溶媒が好ましい。含フッ素溶媒は、単独または2種以上を組合せて用いることができる。
[0067]
 溶媒は、溶媒中の50質量%以上が含フッ素溶媒である限り、他の溶媒を併用してもよい。他の溶媒としては、エーテル化合物およびアルコール化合物が挙げられる。他の溶媒は、前記シラン化合物を溶解、希釈するために用いることができる。他の溶媒は、それぞれ単独または2種以上を組合せて用いることができる。
[0068]
 反応が溶媒の存在下で行われる場合、溶媒の使用量は、前駆体と、前記シラン化合物との合計100質量部に対して、50~99質量部が好ましく、70~95質量部が特に好ましい。
[0069]
 反応は、たとえば上記溶媒に前駆体を溶解させ、次いで0~30℃で前記シラン化合物を添加することによって行うことが好ましい。原料成分の添加後、30~100℃に加熱して、1分~10時間反応させることによって、目的の含フッ素重合体を得ることができる。
[0070]
[含フッ素重合体の硬化物、成形体]
 本発明の含フッ素重合体は、水分により加水分解・縮合反応して架橋し、硬化物が得られる。したがって、本発明の含フッ素重合体を成形するとともに水分により硬化させて成形体を製造することができる。一方、本発明の含フッ素重合体は、通常、粘度の高い液状物であり、成形は液体を使用した成形が必要となる。よって、担体上に含フッ素重合体の膜を形成し、その膜の表面を水分に接触させるとともに膜内部まで水分を浸透させて硬化させることにより、硬化物を製造することが好ましい。硬化物を担体から剥離することにより、硬化物からなる成形体を得ることができる。一方、担体として、非剥離性の担体を使用し、担体上に硬化物が一体化した成形体を得ることもできる。以下、非剥離性の担体を「基材」という。
 含フッ素重合体の硬化のために水分が必要であり、水分の供給は、通常、含フッ素重合体の膜に水分を含む空気を接触させることによって行われる。水分の供給は、水分を含む空気以外の気体と接触させる方法や含水液体に接触させることによっても行うことができる。
[0071]
 剥離性担体を用い、剥離性担体から分離して得られる成形体は、フィルム状やシート状等の形状を有する厚さの薄い面状体であることが好ましい。以下、このような面状体を「フィルム」という。フィルムの厚さは1~500μmが好ましく、10~400μmがより好ましく、30~300μmが特に好ましい。含フッ素重合体の膜が厚い場合には、膜の内部にまで水分が浸透しにくくなり、また、剥離性担体が水分非透過性である場合にはさらに剥離性担体に接した面まで水分がより浸透し難くなる。上記厚さの上限以下では、含フッ素重合体が充分に硬化し、物性の良好なフィルムが得られる。上記厚さの下限以上では、剥離性担体から分離してフィルム単体として用いることが可能である。
 前記剥離性担体としては、フッ素樹脂等の非付着性材料からなる担体、表面処理等により剥離性表面とした、樹脂や金属等の各種材料からなる担体が挙げられる。特に、少なくとも表面が非付着性含フッ素材料からなる担体が好ましい。
[0072]
 基材の形状は特に限定されず、たとえば、板状、棒状、管状、ひも状、繊維状等が挙げられる。基材の材質としては、金属、ガラス、セラミック、樹脂、ゴム等が挙げられる。金属としては、鉄や鉄合金、アルミニウムやアルミニウム合金、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金等が挙げられる。樹脂としては、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。基材の材質としては、金属および樹脂が好ましい。
 基材の表面は、プライマ層を有していてもよい。プライマ層を形成するプライマは、基材と後述するコーティング組成物中の溶媒との組み合わせにより適宜選定される。たとえば、シランカップリング剤やエポキシ系エラストマが挙げられる。プライマ層は、基材表面と硬化物層の密着力が不充分となるおそれのある基材に対して設けられることが好ましいそのような基材としては、たとえば樹脂表面を有する基材が挙げられる。
 また、樹脂表面を有する基材の場合は、樹脂の表面は、UV処理、コロナ処理、プラズマ処理等で処理されていてもよい。これらの処理をした樹脂の表面にプライマ層を有していてもよい。
 基材と一体化された硬化物においては、硬化物の厚さは前記フィルムの厚さよりもより薄いものとすることができる。なお、以下、基材と一体化された硬化物を、基材上の「層」という。層の厚さは、0.1~300μmが好ましく、1~200μmがより好ましく、10~150μmが特に好ましい。上記厚さの上限以下では、含フッ素重合体が充分に硬化し、基材と一体化された硬化物が得られる。下限以上では硬化物の強度が確保されるとともに基材を保護する機能が発揮される。
[0073]
 本発明の含フッ素重合体の硬化物からなるフィルムや層の形成において、含フッ素重合体の膜を形成するために、本発明の含フッ素重合体と溶媒とを含む組成物(以下、「コーティング組成物」ともいう。)を使用することが好ましい。
 コーティング組成物を剥離性担体や基材に塗布し、溶媒を除去することにより含フッ素重合体の膜を形成することができる。この際、含フッ素重合体よりも低粘度の液体を用いて該液体の膜を形成することができるので、塗布操作が容易であり、また、含フッ素重合体の膜の厚さの調整も容易である。さらに、目的に応じて種々の添加剤を配合することも容易である。
 以下、基材上に本発明の含フッ素重合体の硬化物からなる層を形成する場合を例として、上記コーティング組成物とその使用方法等を説明する。なお、上記のように、下記コーティング組成物とその使用方法により、フィルムやその他の成形物を製造することができることは言うまでもない。
[0074]
[コーティング組成物]
 本発明におけるコーティング組成物は、本発明の含フッ素重合体と溶媒とを含む。含フッ素重合体を製造した際の含フッ素重合体および含フッ素溶媒を含む反応生成物をそのまま用いてもよい。コーティング組成物中の含フッ素重合体の含有量は、1~99質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましく、5~30質量%が特に好ましい。前記範囲であると、含フッ素重合体の硬化物の厚さを調整できる。
[0075]
 溶媒としては、前述の含フッ素溶媒が好ましい。溶媒は、前述の含フッ素溶媒に前述のエーテル化合物やアルコール化合物を併用してもよい。コーティング組成物中の溶媒の含有量は、1~99質量%が好ましく、50~99質量%がより好ましく、70~95質量%が特に好ましい。溶媒中の含フッ素溶媒の含有量は50~100質量%が好ましく、80~100質量%が特に好ましい。前記範囲であると、コーティング組成物を均一に塗布できる。
[0076]
 コーティング組成物は、必要に応じて、硬化触媒、無機粒子、アルコキシシラン、シランカップリング剤、フルオロポリエーテル化合物等の他の成分を含んでいてもよい。他の成分は、それぞれ単独または2種以上を組合せて用いることができる。
[0077]
 コーティング組成物が硬化触媒を含むことで、加水分解性シリル基の反応性が低い場合であっても、比較的低温で熱硬化できる。硬化触媒としては、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタンアセチルアセトナート、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジイソプロポキシ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチレート等の有機金属化合物、および非水溶媒系において酢酸よりも酸解離定数が大きな有機酸が挙げられる。
 前記有機酸としては、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シュウ酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロ安息香酸、ヘキサフロログルタール酸、オクタフロロアジピン酸等が好ましく、少量で縮合を促進できる点で、p-トルエンスルホン酸が特に好ましい。
 コーティング組成物中の硬化触媒の含有量は、含フッ素重合体に対して0.01~1質量%が好ましく、0.05~0.2質量%が特に好ましい。前記範囲であると、硬化速度に優れかつコーティング組成物の保存安定性に優れる。
[0078]
 無機粒子としては、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ等の金属酸化物や各種蛍光体粒子が挙げられる。無機粒子の直径は、特に限定されないが、1~100nmが好ましく、1~20nmが特に好ましい。前記範囲であると、含フッ素重合体の硬化物の光散乱を抑えられる。コーティング組成物中の無機粒子の含有量は、含フッ素重合体に対して20~200質量%が好ましく、50~100質量%が特に好ましい。前記範囲の下限値以上であると、含フッ素重合体の硬化物の屈折率に優れる。前記範囲の上限値以下であると、コーティング組成物が塗布性に優れる。
[0079]
 コーティング組成物がアルコキシシランまたはシランカップリング剤を含むことで、含フッ素重合体の硬化物の基材への密着性に優れる。コーティング組成物がフルオロポリエーテル化合物を含むことで、Tg(ガラス転移温度)が下がり、粘度が下がるため、溶媒量を減らすことができる。シランカップリング剤およびフルオロポリエーテル化合物は、たとえば、国際公開第2015/098773号に記載されているものが挙げられる。アルコキシシランは、たとえば、信越化学社カタログまたはモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社カタログに記載されているものが挙げられる。コーティング組成物中の他の成分の合計の含有量は1~70質量%が好ましく、5~50質量%が特に好ましい。コーティング組成物の固形分は、1~99質量%が好ましい。
[0080]
 本発明の含フッ素重合体の硬化物は、本発明のコーティング組成物を基材表面に塗布し、次いで溶媒を除去し、加熱硬化させることを含む方法によって製造できる。
 本発明の含フッ素重合体は加水分解性シリル基を有するため、空気中の水分により低温で架橋する。架橋は溶媒除去の過程や溶媒除去後の加熱で生じる。溶媒除去および溶媒除去後の加熱は低温で行うことが好ましい。低温とは、室温(たとえば、20℃)から150℃の範囲であることを意味し、室温から100℃未満であることが好ましく、室温から90℃の範囲であることが特に好ましい。
 基材の材質が金属やセラミックの場合は、溶媒の残留による発泡や密着性の不良等の不具合を避けるために、溶媒の沸点以上の温度まで加熱することが好ましい。一方、基材の材質が樹脂の場合には加熱による基材の変形を抑えるために、樹脂の変形温度以下の沸点の溶媒を用いて、変形温度以下で溶媒を揮発させることが好ましい。
[0081]
 コーティング組成物の塗布方法としては、スピンコート法、ワイプコート法、スプレーコート法、スキージーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法、フローコート法、ロールコート法、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法、グラビアコート法等が挙げられる。
[0082]
 本発明の含フッ素重合体の硬化は、紫外線を併用した硬化も行うことが可能である。Z がOR を有する単位を含有する場合、国際公開第2015/098773号に記載されているものと同様に架橋反応が生じる。
実施例
[0083]
 以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。例1~4、6~7が実施例、例5および8が比較例である。各例の評価は、以下に記載の方法にしたがった。
[0084]
[評価方法]
(質量平均分子量)
 含フッ素重合体および前駆体の質量平均分子量は、CF ClCF CHClF(旭硝子社製、商品名:AK-225cb)を溶媒として用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によりPMMA(ポリメチルメタクリレート)換算分子量として算出した。
(各基の含有量)
 含フッ素重合体中および前駆体中の、-COZ で表される基、-COOCH および-COCF=CF の含有量は、 19F-NMRから求めた。
(弾性率およびTg)
 各例で製造したフィルムを用い、日立ハイテク社製TMA/EXSTAR SS7100の粘弾性解析モードにより測定した。測定温度範囲:-50℃~200℃、昇温速度:5℃/分、周波数:0.05Hz。
(外観)
 得られたフィルムの外観を観察し、以下の基準で評価した。
○(良好):ムラも発泡も確認できなかった
△(可):ムラが見えた
×(不良):発泡が生じた
(浸漬試験)
 得られたフィルムをAC-2000中に浸漬した。フィルムの形状変化を確認し、以下の基準で評価した。
○(良好):わずかに膨潤するのみでフィルムの形状は保持されていた
△(可):フィルムの形状が変形した
×(不良):溶解して形状は維持されなかった。
(耐熱試験)
 得られたフィルムを熱風オーブン中、200℃で30分間加熱した。フィルムの発泡の有無を確認し、以下の基準で評価した。
○(良好):発泡が生じなかった
×(不良):発泡が生じた
(破断伸度および破断強度)
 得られたフィルムの200℃における破断伸度および破断強度を、日立ハイテク社製TMA/EXSTAR SS7100の変位制御モードにより測定した。引張速度:1mm/分。
[0085]
(接着性)
 スライドガラス2枚を含フッ素重合体で接着面が2.5cm×0.5cmとなるように張り合わせ、60℃の乾燥器中で加熱した。次いで、60℃の水または50℃のアセトンに浸漬し、24時間保持した。スライドガラスの剥がれの有無を確認し、以下の基準で評価した。
○(良好):剥がれなし
×(不良):剥がれあり
(耐薬品性)
 アクリル樹脂シート(3cm×1cm、厚さ1mm)を、コーティング組成物(固形分濃度15質量%)中に浸漬し引き上げたのち室温で1時間乾燥した。再度、コーティング組成物中に浸漬し引き上げた。室温で1時間乾燥したのち、60℃乾燥機中でさらに1時間乾燥して、含フッ素重合体の硬化物の層を備えたアクリル樹脂シートを得た。含フッ素重合体の硬化物の厚さは質量変化から計算して約10μmであった。これをアセトン中に室温で5時間浸漬して、アクリル樹脂シートの溶解の有無を確認し、以下の基準で評価した。
○(良好):溶解なし
×(不良):溶解あり
[0086]
[単位]
 以下の製造例で言及する単位は以下の通りである。
[化7]


[0087]
[例1]
 内容積が1Lの撹拌機付きステンレス製オートクレーブに、重合開始剤としてV601(和光純薬社製)の0.5gを仕込み減圧脱気した後、CF =CFOCF CF CF COOCH の48g、CF =CFOCF CF CF (以下、「PPVE」とも記す。)の795g、AC-2000の36gを仕込んだ。撹拌しながらTFEの122gを圧入した後、内温を70℃まで昇温して4時間重合を行った。この間に圧力が1.26MPaから0.94MPaまで低下したことから反応の進行を確認した。
[0088]
 オートクレーブを冷却した後、内容物を5Lのガラスビーカに移して、撹拌しながらメタノールの4Lを添加した。上層を除去した後、下層を減圧加熱することにより残留するモノマー成分を留去することにより前駆体P1の107.5gを得た。前駆体P1はAK225cb、AC-2000に可溶であり、組成は単位(1a-1):単位(2-1):単位(3-1)=3:67:30(モル比)であった。
 前駆体P1の1.2gをAC-2000の8.8gに溶解した後、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(東京化成社製)を脱水メタノールで5倍に希釈した溶液の0.25gを添加して室温で激しく撹拌し、含フッ素重合体P21を含む反応生成物を得た。反応生成物の一部(1.2g)をコーティング組成物とした。コーティング組成物中の含フッ素重合体P21の含有量は12.0質量%であり、コーティング組成物中の溶媒の含有量は87.8質量%であり、溶媒中の含フッ素溶媒の含有量は97.8質量%であった。
 コーティング組成物をETFEシート(旭硝子社製アフレックス)で作成した箱型ボート(縦2cm、横2cm、深さ7mm)に流し込みホットプレート上で40℃、1時間、次いで60℃、1時間加熱により溶媒を揮発させて、厚さが160μmの無色透明なフィルムを作成した。
[0089]
 得られたフィルムについてIRを測定したところ単位(1a-1)中の-COOCH 基のC=Oに基づく1,794cm -1の吸収がほぼ消失し、-CONH基のC=Oに基づく1,705cm -1の吸収が新たに生成したことから、単位(1-1)の生成を確認した。さらにフィルムについて動的粘弾性を測定した結果を図1に示す。5℃付近にTgに相当する弾性率の低下が観測され、かつTg以上の温度では少なくとも200℃まで弾性率がほぼ一定となるゴム状平たん部が現れることから、フィルムにおいて架橋反応が起こっていることを確認した。
 評価結果を表1~2に示す。
[0090]
[例2]
 例1で得た前駆体P1の1.2gをAC-2000の6.8gに溶解した後、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(東京化成社製)を脱水メタノールで5倍に希釈した溶液の0.12gを添加して室温で激しく撹拌し、含フッ素重合体P22を含む反応生成物を得た。反応生成物の一部(1.2g)をコーティング組成物とした。コーティング組成物中の含フッ素重合体P22の含有量は15.1質量%であり、コーティング組成物中の溶媒の含有量は84.8質量%であり、溶媒中の含フッ素溶媒の含有量は98.6質量%であった。
 コーティング組成物を例1同様の箱型ボートに流し込みホットプレート上で30℃、50℃、70℃で各1時間ずつ加熱により溶媒を揮発させて、厚さが230μmのフィルムを作成した。
[0091]
 得られたフィルムについてIRを測定したところ、単位(1a-1)中の-COOCH 基のC=Oに基づく1,794cm -1の吸収がわずかに残っていたが、-CONH基のC=Oに基づく1,705cm -1の吸収にほぼ置き換わっていたことから、単位(1-2)の生成を確認した。さらに動的粘弾性を測定した結果を図2に示す。5℃付近にTgに相当する弾性率の低下が観測され、かつTg以上の温度では少なくとも200℃まで弾性率がほぼ一定となるゴム状平たん部が現れることから、フィルムにおいて架橋反応が起こっていることを確認した。
 評価結果を表1~2に示す。
[0092]
[例3]
 例1で得た前駆体P1の1.2gをAC-2000の6.8gに溶解した後、アミノプロピルトリエトキシシラン(東京化成社製)の0.05gを添加して溶液が均一になるまで室温で激しく撹拌し、含フッ素重合体P23を含む反応生成物を得た。反応生成物の一部(1.2g)をコーティング組成物とした。コーティング組成物中の含フッ素重合体P23の含有量は15.2質量%であり、コーティング組成物中の溶媒の含有量は84.5質量%であり、溶媒中の含フッ素溶媒の含有量は100質量%であった。
 コーティング組成物を例1同様の箱型ボートに流し込みホットプレート上で30℃、50℃、70℃で各1時間ずつ加熱により溶媒を揮発させて、厚さが200μmのフィルムを作成した。
[0093]
 得られたフィルムについてIRを測定したところ、単位(1a-1)中の-COOCH 基のC=Oに基づく1,794cm -1の吸収が残っていたが、-CONH基のC=Oに基づく1,705cm -1の吸収が新たに生成したことから、単位(1-3)の生成を確認した。さらに動的粘弾性を測定したところ、-5℃付近にTgに相当する弾性率の低下が観測され、かつTg以上の温度では少なくとも200℃まで弾性率がほぼ一定となるゴム状平たん部が現れることから架橋反応が起こっていることを確認した。
 評価結果を表1~2に示す。
[0094]
[例4]
 AC-2000の替わりにノベック7300(C CF(OCH )C )を用いた以外は例1と同様にして、含フッ素重合体P24を含む反応生成物を得た。反応生成物の一部(1.2g)をコーティング組成物とした。コーティング組成物中の含フッ素重合体P24の含有量は12.0質量%であり、コーティング組成物中の溶媒の含有量は87.8質量%であり、溶媒中の含フッ素溶媒の含有量は97.8質量%であった。
 コーティング組成物を例1同様の箱型ボートに流し込みホットプレート上で40℃、1時間、60℃、1時間、次いで90℃、30分加熱により溶媒を揮発させたところ、白濁部分と透明部分のまだらなフィルムが得られた。
 評価結果を表1~2に示す。
[0095]
[例5]
 国際公開第2009/096342号の合成例1に基づいて、単位(2-1)と、CF =CFOC OCF=CF (以下、「C4DVE」とも記す。)単位(3-2)と、PPVE単位(3-1)とが67:7:26(モル比)である含フッ素重合体Xを製造した。次に、含フッ素重合体Xの0.3gにAC-2000の1.7gを添加し、コーティング組成物を得た。コーティング組成物中の含フッ素重合体Xの含有量は15質量%であり、コーティング組成物中の溶媒の含有量は85質量%であり、溶媒中の含フッ素溶媒の含有量は100質量%であった。
 コーティング組成物の0.8gを例1同様の箱型ボードに流し込み、40℃、1時間、60℃、1時間、次いで90℃、30分、150℃、30分間加熱して厚さ100μmの無色透明のフィルムを得た。一方、前記と同様に製造したコーティング組成物の1.6gを例1同様の箱型ボードに流し込み、40℃、1時間、60℃、1時間、次いで90℃、30分、150℃、30分間加熱して厚さ200μmのフィルムを得ようとしたが、発泡して外観不良であった。また、コーティング組成物の0.8gを例1同様の箱型ボードに流し込み、例1と同様ホットプレート上で40℃で1時間、次いで60℃で1時間加熱しても含フッ素重合体が熱架橋せずフィルムが得られなかった。
 評価結果を表1~2に示す。
[0096]
[表1]


[0097]
[表2]


[0098]
 実施例は、60℃(例1)~90℃(例4)での低温加熱により、厚さが200μmのフィルムが得られており、低温硬化が可能であった。例1~例3を比較すると、加水分解性シリル基が有するアルコキシ基の炭素数が1である例1および例2は、浸漬試験および耐熱試験の結果が「○(良好)」であり、架橋反応がより進行していた。例1および例4を比較すると、コーティング組成物に含まれる含フッ素溶剤のフッ素含有率が高い例1は、含フッ素重合体の溶解性が高くなり、良好な外観を有するフィルムが得られた。
 例5は、60℃での低温ではフィルムを形成することができず、低温硬化が可能ではなかった。また、150℃での加熱によって熱硬化した場合であっても、厚さが200μmのフィルムでは硬化時点で発泡が確認された。
[0099]
[例6]
 エポフレンド(ダイセル社製、エポキシ化熱可塑性エラストマ)の1部をシクロペンタノンの100部に溶解してプライマ溶液を作成した。硬質塩化ビニル樹脂シート(サイズ3cm×5cm、厚さ1mm)の片面にプライマ溶液を塗布して室温で1日乾燥し、厚さ10μmのプライマ層を形成した。次に、プライマ層の上に例2で得たコーティング組成物を塗布して室温で1時間、50℃で1時間、70℃で5分加熱乾燥し、厚さ60μmの含フッ素重合体P22の硬化物の層を形成した。
 上記硬化物層に対して碁盤目カットテープ剥離を行った結果、100か所中、1か所も剥離せずに残っており、本発明の含フッ素重合体の硬化物は硬質塩化ビニル樹脂に対してプライマを介して接着可能であった。このように適切なプライマと溶媒との組み合わせを選択することにより、本発明の含フッ素重合体は耐熱温度が限定される樹脂製基材に対して硬化接着させることが可能である。
[0100]
[例7]
 サイズ2cm×5cm、厚さ2mmのニッケル製テストピースの片面に例2のコーティング組成物を塗布して室温で1時間、50℃で1時間、次いで100℃で30分間乾燥し、厚さ50μmの含フッ素重合体P22の硬化物の層を形成した。
 上記硬化物層に対して碁盤目カットテープ剥離を行った結果、1か所も剥離せずに残っており、プライマなしでも直接接着した。このように本発明の含フッ素重合体は金属製基材に対して直接硬化接着することが可能である。
[0101]
[例8]
 例2のコーティング組成物のかわりに例5のコーティング組成物を用いた以外は例7と同様にニッケル製テストピース上に厚さ50μmの含フッ素重合体Xの層を形成し、次いで、低圧水銀ランプの紫外光を照射して該含フッ素重合体Xを硬化させた。
 硬化した含フッ素重合体Xの層に対し碁盤目テープ剥離を行ったところ、100か所中、10か所しか被膜が残らなかった。したがって、公知例の例5の含フッ素重合体はニッケルへの接着性は乏しかった。

産業上の利用可能性

[0102]
 本発明によれば、低温で熱硬化が可能な含フッ素重合体を提供できる。
 本発明の含フッ素重合体は、光学材料、素子用封止材、無機EL蛍光体分散材、光導波路用材料、耐熱・耐薬品性のシーリング材、接着剤、コーティング材として有用である。本発明のコーティング組成物は、離型剤、防汚コート用材料、耐薬品保護コート用材料等に有用である。
 本発明の含フッ素重合体から形成される硬化物からなる成形品は、光ファイバのクラッド材料、光導波路のコア材料やクラッド材料として有用である。
 本発明の含フッ素重合体から形成される硬化物を備える基材は、発光素子、半導体素子、太陽電池素子、短波長光発光素子、電線およびそれを用いたコイル等として有用である。
 なお、2016年08月29日に出願された日本特許出願2016-167131号の明細書、特許請求の範囲、要約書および図面の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

請求の範囲

[請求項1]
 下式(1)で表される単位を含む、含フッ素重合体。
[化1]


(式(1)中、
およびX は、それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、
は、単結合またはエーテル性酸素原子であり、
f1は、フルオロアルキレン基、または炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のフルオロアルキレン基であり、
は、NR -Y 、O-Y またはS-Y であり、
は、水素原子、アルキル基またはアリール基であり、
、Y およびY は、それぞれ独立に、1以上の加水分解性シリル基を有する基である。)
[請求項2]
 式(1)で表される単位が、-[CF -CF(O(CF CONH-C -SiR m1(W 3-m1)]-または-[CF -CF(O(CF CONH-C -NH-C -SiR m1(W 3-m1)]-である、請求項1に記載の含フッ素重合体。
(式中、R は、それぞれ独立に、アルキル基であり、W は、それぞれ独立に、ハロゲン原子またはアルコキシ基であり、m1は、それぞれ独立に、0、1または2である。)
[請求項3]
 さらに、下式(1a)で表される単位を含む、請求項1または2に記載の含フッ素重合体。
[化2]


(式(1a)中、
、X 、Q およびR f1は、請求項1で定義されたとおりであり、
は、ハロゲン原子、OHまたはOR であり、
は、アルキル基である。)
[請求項4]
 Z がNR -Y であり、かつ、Z がOR である、請求項3に記載の含フッ素重合体。
[請求項5]
 さらに、フルオロエチレン由来の単位を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の含フッ素重合体。
[請求項6]
 さらに、下式(3)で表される単位(ただし、フルオロエチレン由来の単位を除く。)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の含フッ素重合体。
 -[CX -CX ]-・・・(3)
(式(3)中、
およびX は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、
は、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、
は、水素原子、フルオロアルキル基、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のフルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数2以上のフルオロアルコキシ基、フルオロアルケニル基、または炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数3以上のフルオロアルケニル基である。)
[請求項7]
 -COZ で表される基の含有量が0.01~4mmol/gである、請求項1~6のいずれか一項に記載の含フッ素重合体。
[請求項8]
 請求項1~7のいずれか一項に記載の含フッ素重合体の製造方法であって、下式(1a)で表される単位を含みかつ前記単位(1)を含まない含フッ素重合体と、アミノシラン化合物、エポキシシラン化合物、メルカプトシラン化合物およびイソシアナトシラン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを反応させることを特徴とする製造方法。
[化3]


(式(1a)中、
、X 、Q およびR f1は、請求項1で定義されたとおりであり、
は、請求項3で定義されたとおりである。)
[請求項9]
 請求項1~7のいずれか一項に記載の含フッ素重合体および含フッ素溶媒を含むことを特徴とするコーティング組成物。
[請求項10]
 請求項1~7のいずれか一項に記載の含フッ素重合体の硬化物。
[請求項11]
 請求項10に記載の硬化物からなる成形体。
[請求項12]
 成形体がフィルムである、請求項11に記載の成形体。
[請求項13]
 基材と、該基材の表面に設けられた、請求項1~7のいずれか一項に記載の含フッ素重合体の硬化物の層とを有することを特徴とする物品。
[請求項14]
 前記基材表面と前記含フッ素重合体の硬化物の層との間にプライマ層を有する、請求項13に記載の物品。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]