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1. (WO2018042974) PUMP DEVICE
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明 細 書

発明の名称 ポンプ装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017  

発明の効果

0018  

図面の簡単な説明

0019  

発明を実施するための形態

0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056  

符号の説明

0057  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : ポンプ装置

技術分野

[0001]
 本発明は、例えば陽性気道圧(PAP:Positive Airway Pressure)のために用いられるポンプ装置に関するものである。

背景技術

[0002]
 従来、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)などの睡眠関連の障害の治療用として、例えば、持続陽性気道圧(CPAP:Continuous Positive Airway Pressure)装置(以下、CPAP装置)が用いられる(例えば、特許文献1参照)。このCPAP装置は、ファンを内蔵したポンプ装置を有し、患者の顔に装着されたマスクに装置本体から大気圧より高い圧力で気体(例えば空気)を送り込む。この気体によって気道を押し広げ、のどの塞がりを抑制する。
[0003]
 CPAP装置としては、例えば気体の供給経路に設けられた流量センサによって気体の流量を測定し、所定の圧力の気体を供給するものがある。また、別のCPAP装置としては、例えばファンを駆動するモータのモータ電流からルックアップテーブルを用いて流量を推定し、所定の圧力の気体を供給するものがある。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特表2008-518646号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 ところで、マスクに供給する気体の圧力を所望のタイミングで変更することが求められている。例えば、常時一定の圧力にて気体を供給すると、呼気状態、つまり息を吐くときにも一定の圧力の気体が供給されるため、患者が息苦しさを感じる場合がある。このため、患者の呼気タイミングに応じて、患者に装着されたマスクに供給する気体の圧力を低下させることが求められる。しかしながら、上記のようなCPAP装置は、所望の圧力にて気体を供給するものであるため、患者の状態に応じたタイミングで圧力を変更することができないという問題がある。
[0006]
 本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、陽性気道圧のために用いられ、所望のタイミングで供給する気体の圧力の変更を可能としたポンプ装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記課題を解決するポンプ装置は、陽性気道圧のために用いられるポンプ装置であって、ファンと、前記ファンを回転駆動する駆動部と、前記駆動部を介して前記ファンの駆動を制御する駆動制御回路と、流体が流入する流入口と、前記ファンの回転駆動によって前記流体を吐出する吐出口と、前記ファンの回転数指令から推定電流指令値を推定する電流指令値推定部と、前記駆動部に流れる実電流値を測定する電流値測定部と、前記推定電流指令値と前記実電流値とを比較し、前記推定電流指令値と前記実電流値の偏差である電流偏差を取得する電流値比較部と、前記電流偏差を微分した偏差微分値を取得する微分手段と、前記電流偏差及び前記偏差微分値に基づいて前記回転数指令を生成する回転数制御部と、前記回転数指令に基づいて前記駆動部に駆動電流を供給するドライブ部と、を有する。
[0008]
 この構成によれば、流体を供給するファンの回転数から推定した推定電流指令値と、ファンを駆動する駆動部に流れる実電流との差の電流偏差を得る。そして、電流偏差とその電流偏差を微分した偏差微分値とに基づいて、ファンの回転数を制御する。このファンの回転数に応じた圧力にて流体が吐出される。これにより、流体の流量を計測するセンサを用いることや、ルックアップテーブルなどのように複雑な制御を行うことなく所望のタイミングにてファンの回転数の制御が可能であるため、コストの低減を図ることができる。また、電流偏差を微分した偏差微分値を用いることで、電流偏差を用いた場合に比べ判定のタイミングが早くなり、ファンの回転を制御するタイミングが早くなる。
[0009]
 上記のポンプ装置において、前記回転数制御部は、前記電流偏差及び前記偏差微分値がそれぞれに対応する判定値より小さい場合に前記回転数指令を低下させることが好ましい。
[0010]
 この構成によれば、電流偏差と偏差微分値がそれぞれに対応する判定値より小さい場合に回転数指令を低下させる。ここで、偏差微分値は、電流偏差の変化を示す。従って、電流偏差のみを用いた場合に比べ、偏差微分値を用いた場合は判定におけるタイミングが早くなる。このため、早いタイミングでファンの回転数を低下させることができる。
[0011]
 上記のポンプ装置において、前記微分手段は、前記電流偏差を1回微分した第1の偏差微分値と、前記電流偏差を2回微分した第2の偏差微分値とを取得し、前記回転数制御部は、前記第1の偏差微分値と前記第2の偏差微分値との少なくとも一方と電流偏差とに基づいて前記回転数指令を生成することが好ましい。
[0012]
 この構成によれば、流体の流量を計測するセンサを用いることや、ルックアップテーブルなどのように複雑な制御を行うことなく流量の制御が可能となる。また、電流偏差を2回微分した第2の偏差微分値を用いることで、電流偏差を用いた場合に比べ判定のタイミングが早くなり、ファンの回転数を制御するタイミングが早くなる。
[0013]
 上記のポンプ装置において、前記回転数制御部は、前記第1の偏差微分値と前記第2の偏差微分値の少なくとも一方と前記電流偏差とがそれぞれに対応する判定値より小さい場合に前記回転数指令を低下させることが好ましい。
[0014]
 この構成によれば、第1の偏差微分値と第2の偏差微分値の少なくとも一方と電流偏差がそれぞれに対応する判定値より小さい場合にファンの回転数を低下させる。ここで、偏差微分値は、電流偏差の変化を示す。従って、電流偏差のみを用いた場合に比べ、第1,第2の偏差微分値を用いた場合の判定におけるタイミングが早くなる。このため、早いタイミングでファンの回転数を低下させることができる。
[0015]
 上記のポンプ装置において、前記回転数制御部は、前記電流偏差及び前記偏差微分値に基づいて補正指令値を取得し、基準圧力指令値と前記補正指令値とに基づいて圧力指令値を算出し、前記圧力指令値に基づいて前記回転数指令を生成し、前記電流指令値推定部は、前記回転数指令に基づいて前記駆動部におけるトルク指令を推定し、前記トルク指令に基づいて前記推定電流指令値を推定することが好ましい。
[0016]
 この構成によれば、駆動部への回転数指令に基づいて駆動部におけるトルク指令を推定し、そのトルク指令に基づいて駆動部における推定電流指令値を容易に推定することができる。そして、推定電流指令値と実電流値とを比較した結果に基づいて補正指令値を取得することで、駆動部への回転数指令、つまりファンの回転数を変更することが可能となる。
[0017]
 上記のポンプ装置において、前記電流偏差及び前記偏差微分値と比較する判定値は、呼気状態に応じて設定されることが好ましい。
 この構成によれば、陽性気道圧のために用いられるポンプ装置において、呼気に応じたタイミングでファンの回転を制御し、例えば吐出する流体の流量を低下させることが可能となる。

発明の効果

[0018]
 本発明のポンプ装置によれば、陽性気道圧のために用いられるポンプ装置において、所望のタイミングで供給する気体の圧力の変更を可能とすることができる。

図面の簡単な説明

[0019]
[図1] (a)はCPAP装置の側断面図、(b)はCPAP装置の平断面図。
[図2] CPAP装置の使用状態を示す概略図。
[図3] CPAP装置の電気的構成を示すブロック図。
[図4] 制御部の概略構成を示すブロック図。
[図5] 呼気状態を判定するためのフローチャート。
[図6] CPAP装置の動作状態を示す波形図。
[図7] CPAP装置の動作状態を示す波形図。

発明を実施するための形態

[0020]
 以下、一実施形態を説明する。
 なお、添付図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、または別の図面中のものと異なる場合がある。また、断面図では、理解を容易にするために、一部の構成要素のハッチングを省略している場合がある。
[0021]
 図2に示すように、ポンプ装置としての持続陽性気道圧(CPAP:Continuous Positive Airway Pressure)装置(単にCPAP装置)10は、チューブ61を介してマスク62に接続される。マスク62は、患者63の顔に装着される。CPAP装置10は、チューブ61とマスク62を介して患者63に所望の圧力の気体(例えば空気)を供給する。また、CPAP装置10は、患者63の状態(例えば呼気時)を推定し、その推定したタイミングで患者63に供給する気体の圧力を制御する。
[0022]
 CPAP装置10は、筐体11と、筐体11の上面に配置された表示部12と操作部13とを備えている。CPAP装置10は、設定値を含む各種情報を表示部12に表示する。また、CPAP装置10は、操作部13の操作に基づいて、設定値を含む各種情報を設定する。設定値は、供給する気体の圧力値、気体の流量値を含む。また、設定値は、呼気時に供給する気体の圧力値を含む。
[0023]
 CPAP装置10は、マスク62が装着された患者63の呼気タイミングを推定する。そして、推定した呼気タイミングにて、供給する気体の圧力値を制御する。例えば、CPAP装置10は、標準圧力値にて気体を供給する。標準圧力値は、例えば医師により指定された圧力値であり、例えば1000[Pa]である。そして、CPAP装置10は、推定した呼気タイミングにて、供給する気体の圧力を呼気時圧力値に変更する。呼気時圧力値は、例えば700[Pa]である。つまり、CPAP装置10は、患者63の状態(呼気、吸気)に応じて供給する気体の圧力を、標準圧力値と呼気時圧力値とに交互に制御する。
[0024]
 図1(a)及び図1(b)に示すように、CPAP装置10は、筐体11と、筐体11に内設されたファンユニット20及び制御ユニット30を有している。筐体11は、気体を吸入する吸入口14と、吸入した気体を吐出する吐出口15とを有している。吐出口15には、図2に示すチューブ61が連結される。筐体11の内部は、立設された区画壁16によって区画された送風室17と制御室18とを有している。
[0025]
 図1(b)に示すように、送風室17にはファンユニット20が配設されている。ファンユニット20は、ファンケース21と、ファンケース21に収容されたファン22と、ファン22を駆動する駆動源としてのモータ23(図中「M」と表記)とを有している。
[0026]
 ファンケース21は、下方に開口する吸入口21aと、側面に突出する排出口21bとを有している。ファンケース21の排出口21bは、筐体11の吐出口15と連通している。モータ23はファンケース21の上面に取着され、そのモータ23の回転軸23aはファンケース21内に挿入されている。ファン22は、モータ23の回転軸23aに取着されている。
[0027]
 ファン22は例えば遠心ファンである。モータ23によってファン22が回転駆動されると、図1(a)に矢印にて示すように気体が吸入口14から送風室17の内部へと取り込まれる。更に、矢印にて示すように、気体は、送風室17内から吸入口21aを介してファンケース21の内部へと吸入される。そして、ファンケース21内部の気体は、排出口21bから吐出される。その吐出される気体は、筐体11の吐出口15から、図2に示すチューブ61及びマスク62を介して患者63へと送られる。
[0028]
 制御室18には制御ユニット30が配設されている。制御ユニット30は、例えば、回路基板と、回路基板に実装された複数の電子部品とを含む。制御ユニット30は、後述する各種センサによる検出結果に基づいてファン22を回転駆動する。また、制御ユニット30は、各種センサによる検出結果に基づいて、患者63の状態(例えば呼気タイミング)を推定する。そして、制御ユニット30は、推定した患者63の状態に基づいて、排出口21bから吐出する気体の圧力を制御する。
[0029]
 図3は、CPAP装置10の電気的構成を示す。
 図3に示すように、CPAP装置10は、表示部12、操作部13、モータ23、制御ユニット30、圧力センサ41、電流値測定部としての電流センサ42を有している。
[0030]
 圧力センサ41は、図1(a)に示すファンケース21に設けられ、ファンケース21の内部の圧力を検出し、圧力検出信号を出力する。電流センサ42は、モータ23に供給する駆動電流を検出し、駆動電流に応じた電流検出信号を出力する。
[0031]
 制御ユニット30には、各種設定値が記憶されている。設定値は、標準圧力値、呼気時圧力値、判定値、を含む。
 制御ユニット30は、圧力センサ41の圧力検出信号と、電流センサ42により検出された実電流値Irと、各種の設定値に基づいて、モータ23の回転数を決定する。そのモータ23の回転により、CPAP装置10から気体が吐出される。つまり、制御ユニット30は、圧力指令値と実際の圧力値の偏差(差分値)に基づいて、CPAP装置10が吐出する気体の圧力を制御する。
[0032]
 図4は、制御ユニット30の一部ブロック回路図を示し、モータ23の駆動に係る制御ブロックを示す。
 制御ユニット30は、加算器31,32、コントローラ33、電流指令値推定部34、電流値比較部35、微分器36、2回微分器37、判定部38、ドライブ部39(図中「D」と表記)を有している。
[0033]
 加算器31には、指令値(設定値)として基準圧力指令値P0が供給される。また、この加算器31には、判定部38の判定結果に応じた補正指令値Pcが供給される。加算器31は、基準圧力指令値P0に対して、負の補正指令値Pcを加算、つまり基準圧力指令値P0と補正指令値Pcの偏差(差分値)を算出し、その算出結果を圧力指令値P1として加算器32に出力する。
[0034]
 加算器32には、図3に示す圧力センサ41により検出された圧力検出値Prが供給される。加算器32は、圧力指令値P1に対して、負の圧力検出値Prを加算、つまり圧力指令値P1と圧力検出値Prの偏差(差分値)を算出し、その算出結果を圧力偏差値P2としてコントローラ33に出力する。
[0035]
 コントローラ33は、圧力偏差値P2に対応する回転数指令Vmをドライブ部39に出力する。回転数指令Vmは、モータ23を駆動する回転数指令であり、モータ23によって回転駆動されるファン22の回転数指令である。ドライブ部39は、回転数指令Vmに応じた駆動電流をモータ23に供給する。モータ23は、供給される駆動電流に応じて回転する。従って、回転数指令Vmにより、モータ23は、圧力偏差値P2に対応する回転数にて回転する。また、回転数指令Vmは、電流指令値推定部34に供給される。
[0036]
 電流指令値推定部34は、回転数指令Vmに基づいて、モータ23における推定電流指令値Ieを推定する。電流指令値推定部34には、回転数指令Vmに対してモータ23において発生するトルクの値(例えばテーブルや計算式)が設定されている。また、電流指令値推定部34は、モータ23に固有のトルク定数が設定されている。電流指令値推定部34は、回転数指令Vmに対するトルク指令を推定する。そして、電流指令値推定部34は、推定したトルク指令とトルク定数に基づいてモータ23における推定電流指令値Ieを推定する。
[0037]
 その推定電流指令値Ieは、電流値比較部35に供給される。電流値比較部35には、図3に示す電流センサ42により検出された実電流値Irが供給される。この実電流値Irは、モータ23における実際の電流値(実電流値)を示す。電流値比較部35は、推定電流指令値Ieと実電流値Irとの偏差(差分値)を算出し、その算出結果を電流偏差D0として出力する。電流偏差D0は、判定部38、微分器36、2回微分器37に供給される。
[0038]
 微分器36は、電流偏差D0を1回微分した結果を第1の偏差微分値D1として判定部38に出力する。2回微分器37は、電流偏差D0を2回微分した結果を第2の偏差微分値D2として判定部38に出力する。
[0039]
 判定部38には、判定値が記憶される。判定値は、電流偏差D0に対応する判定値、第1の偏差微分値D1に対応する第1微分判定値、第2の偏差微分値D2に対応する第2微分判定値を含む。判定部38は、電流偏差D0、第1の偏差微分値D1、第2の偏差微分値D2と、判定値、第1微分判定値、第2微分判定値をそれぞれ比較し、比較結果に基づいて、呼気タイミングか否かを判定する。判定値、第1,第2微分判定値は、実験やシミュレーションに基づいて予め設定され記憶される。一例として、判定値は「-0.005」、第1微分判定値は「-4」、第2微分判定値は「0」である。
[0040]
 そして、判定部38は、判定結果に応じた補正指令値Pcを出力する。
 図5は呼気状態を判定するためのフローチャートである。判定部38は、電流偏差D0と判定値とを比較するステップS1、第1の偏差微分値D1と第1微分判定値とを比較するステップS2、第2の偏差微分値D2と第2微分判定値とを比較するステップS3を実行して呼気状態かどうかを判定する。ステップS1~S3の実行順序は任意に変更することができ、例えばステップS1~S3は同時に実行されてもよい。図示した例では、判定部38は、電流偏差D0が判定値よりも小さく(S1でYES)、第1の偏差微分値D1が第1微分判定値よりも小さく(S2でYES)、第2の偏差微分値D2が第2微分判定値よりも小さい(S3でYES)とき、呼気状態と判定する。判定部38は、ステップS1~S3の一つ以上でNOと判断したとき、呼気状態でないと判定する。そして、判定部38は、電流偏差D0、第1の偏差微分値D1、及び第2の偏差微分値D2が対応する判定値及び第1,第2微分判定値よりも小さくなったときを呼気タイミングとする。判定部38は、呼気状態と判定した場合、第1の補正値を補正指令値Pcとして出力し、呼気状態ではないと判定した場合、第2の補正値を補正指令値Pcとして出力する。第1の補正値は、CPAP装置10の吐出圧力を呼気時圧力値とするために設定され、例えば「50Pa」に設定される。第2の補正値は、CPAP装置10の吐出圧力を標準指令値とするように設定され、例えば「0」に設定される。
[0041]
 補正指令値Pcは、上述の加算器31に供給される。加算器31は、標準指令値に対して、負の補正指令値Pcを加算、つまり標準指令値から補正指令値Pcを減算する。つまり、呼気状態と判定した場合、補正指令値Pcに基づいて標準指令値から減圧した圧力指令値P1を生成する。この圧力指令値P1を満たすように、モータ23を駆動する。
[0042]
 次に、上記のCPAP装置10の作用を説明する。
 CPAP装置10の制御ユニット30は、ファン22を回転駆動するモータ23に対する回転数指令Vmから、ファン22に流れる電流値を推定した推定電流指令値Ieを得る。ファン22の実電流値Irは、電流センサ42により得られる。モータ23に流れる電流(実電流値Ir)は、マスク62が取着された患者63の呼吸状態により変化する。患者63における呼吸状態は、モータ23に対する負荷の変化として現れる。例えば、患者63が吸気状態にあるとき、モータ23に対する負荷は小さくなり、患者63が呼気状態にあるとき、モータ23に対する負荷は大きくなる。
[0043]
 図6は、モータ23における推定電流指令値Ieと実電流値Irを示す。図6において、横軸は時間、縦軸は電流値である。なお、図6に示す波形は、人工的に呼気と排気とを繰り返すようにしたときの推定電流指令値Ieと実電流値Irとを示す。また、推定電流指令値Ieと実電流値Irとの差を示すように、波形をオフセットして推定電流指令値Ieを中心にして示している。図6に示すように、推定電流指令値Ieと実電流値Irとの差により、呼吸状態(呼気、吸気など)を判定することができる。
[0044]
 そして、制御ユニット30は、推定電流指令値Ieと実電流値Irとの差を電流偏差D0として得る。さらに、制御ユニット30は、電流偏差D0を微分した偏差微分値を得る。本実施形態において、制御ユニット30は、電流偏差D0を1回微分した第1の偏差微分値D1と、電流偏差D0を2回微分した第2の偏差微分値D2を得る。
[0045]
 図7は、患者63の呼吸による気体の流量値AFと、電流偏差D0、第1の偏差微分値D1、第2の偏差微分値D2の波形を示す。なお、図7に示す波形は、人工的に呼気と吸気とを再現した場合を示す。そして、第2の偏差微分値D2の波形は、所定のしきい値(例えば第3判定値)に基づいて量子化(「0」又は「1」)した結果を示している。例えば、第2の偏差微分値D2がしきい値より小さい場合を「1」とし、第2の偏差微分値D2がしきい値以上の場合を「0」とする。
[0046]
 図7に示すように、電流偏差D0を1回微分した第1の偏差微分値D1の変化するタイミングは、電流偏差D0の変化に比べ、気体の流量値AFが変化するタイミングに近づく。また、電流偏差D0を2回微分した第2の偏差微分値D2の変化するタイミングは、第1の偏差微分値D1の変化に比べ、気体の流量値AFが変化するタイミングに近づく。したがって、電流偏差D0、第1,第2の偏差微分値D1,D2を用いることで、呼吸を判定するタイミングを、実際の呼気のタイミングに近づけることができる。そして、電流偏差D0、第1,第2の偏差微分値D1,D2を用いることで、ノイズ等による誤判定を防止することができる。
[0047]
 制御ユニット30は、電流偏差D0、第1,第2の偏差微分値D1,D2に基づいて、呼吸の状態を判定する。例えば、制御ユニット30は、電流偏差D0が判定値(-0.005)より小さい、第1の偏差微分値D1が第1の微分判定値(-4)より小さい、第2の偏差微分値D2が第2の微分判定値(0)より小さい場合に、呼気状態と判定する。そして、制御ユニット30は、呼気状態と判定した場合、モータ23に対する回転数指令Vmを低くし、ファン22の回転数を低下させる。これにより、患者63に対して供給する気体の圧力が低くなる。この結果、患者63における息苦しさが低減される。
[0048]
 制御ユニット30は、電流偏差D0と第1,第2の偏差微分値D1,D2に基づいて補正指令値Pcを取得し、基準圧力指令値P0と補正指令値Pcとに基づいて圧力指令値P1を算出する。そして、制御ユニット30は、圧力指令値P1に基づいて駆動部を介して駆動するファンの回転数を指定する回転数指令Vmを出力する。制御ユニット30は、回転数指令Vmに基づいてモータ23におけるトルク指令を推定し、トルク指令に基づいて推定電流指令値Ieを推定する。従って、モータ23の回転数指令Vmに基づいてモータ23におけるトルク指令を推定し、そのトルク指令に基づいてモータ23における推定電流指令値Ieを容易に推定することができる。そして、推定電流指令値Ieと実電流値Irとを比較した結果に基づいて補正指令値Pcを取得することで、モータ23への回転数指令Vm、つまりファン22の回転数を単純な構成で容易に変更することが可能となる。
[0049]
 以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
 (1)CPAP装置10の制御ユニット30は、ファン22を回転駆動するモータ23に対する回転数指令Vmから、モータ23に流れる電流値を推定した推定電流指令値Ieを得る。ファン22の実電流値Irは、電流センサ42により得られる。モータ23に流れる電流(実電流値Ir)は、マスク62が取着された患者63の呼吸状態により変化する。患者63における呼吸状態は、モータ23に対する負荷の変化として現れる。例えば、患者63が吸気状態にあるとき、モータ23に対する負荷は小さくなり、患者63が呼気状態にあるとき、モータ23に対する負荷は大きくなる。従って、負荷に応じて変化する実電流値Irと推定電流指令値Ieとの差により、呼吸状態(呼気、吸気など)を判定することができる。
[0050]
 (2)制御ユニット30は、推定電流指令値Ieと実電流値Irとの差を電流偏差D0として得る。さらに、制御ユニット30は、電流偏差D0を微分した偏差微分値を得る。本実施形態において、制御ユニット30は、電流偏差D0を1回微分した第1の偏差微分値D1と、電流偏差D0を2回微分した第2の偏差微分値D2を得る。電流偏差D0を1回微分した第1の偏差微分値D1の変化するタイミングは、電流偏差D0の変化に比べ、気体の流量値AFが変化するタイミングに近づく。また、電流偏差D0を2回微分した第2の偏差微分値D2の変化するタイミングは、第1の偏差微分値D1の変化に比べ、気体の流量値AFが変化するタイミングに近づく。したがって、電流偏差D0、第1,第2の偏差微分値D1,D2を用いることで、呼吸を判定するタイミングを、実際の呼気のタイミングに近づけることができる。そして、電流偏差D0、第1,第2の偏差微分値D1,D2を用いることで、ノイズ等による誤判定を防止することができる。
[0051]
 (3)制御ユニット30は、電流偏差D0、第1,第2の偏差微分値D1,D2に基づいて、呼吸の状態を判定する。例えば、制御ユニット30は、電流偏差D0が判定値(-0.005)より小さい、第1の偏差微分値D1が第1の微分判定値(-4)より小さい、第2の偏差微分値D2が第2の微分判定値(0)より小さい場合に、呼気状態と判定する。そして、制御ユニット30は、呼気状態と判定した場合、モータ23に対する回転数指令Vmを低くし、ファン22の回転数を低下させることができる。この結果、患者63に対して供給する気体の圧力(気体の流量)が低くなる。この結果、患者63における息苦しさを低減することができる。
[0052]
 (4)制御ユニット30の判定部38は、電流偏差D0と第1,第2の偏差微分値D1,D2に基づいて補正指令値Pcを取得し、基準圧力指令値P0と補正指令値Pcとに基づいて圧力指令値P1を算出する。そして、制御ユニット30は、圧力指令値P1に基づいて、ファン22を駆動するモータ23の回転数指令Vmを出力する。電流指令値推定部34は、回転数指令Vmに基づいてモータ23におけるトルク指令を推定し、トルク指令に基づいて推定電流指令値Ieを推定する。従って、モータ23の回転数指令Vmに基づいて、モータ23における推定電流指令値Ieを容易に推定することができる。そして、推定電流指令値Ieと実電流値Irとを比較した結果に基づいて補正指令値Pcを取得することで、モータ23への回転数指令Vm、つまりファン22の回転数を単純な構成で容易に変更することができる。
[0053]
 尚、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
 ・上記実施形態では、流体として気体(例えば空気)を供給する場合について説明したが、気体として例えば呼吸可能気体(所定量のガスを含むもの)としてもよい。また、上記実施形態では、ポンプ装置の用途としてCPAP装置を例示したが、流体として液体を供給する用途に用いられてもよい。
[0054]
 ・上記実施形態では、電流偏差D0と、電流偏差D0を1回微分した第1の偏差微分値D1と2回微分した第2の偏差微分値D2とを用いて判定を行うようにした。これに対し、電流偏差D0と第1の偏差微分値D1とを用いて判定を行うようにしてもよい。この場合、電流偏差D0のみを用いて呼気状態(呼気タイミング)の判定を行う場合に比して、推定した呼気タイミングが早くなり、流体の吐出圧力を好適に制御することができる。また、電流偏差D0と第2の偏差微分値D2とを用いて呼気(呼気タイミング)の判定を行うようにしてもよい。
[0055]
 ・上記実施形態では、2回微分器37を用いて第2の偏差微分値D2を算出するようにしたが、第2の偏差微分値D2が得られればよく、例えば2個の1回微分器を用いて2回微分した第2の偏差微分値D2を得るようにしてもよい。
[0056]
 ・上記実施形態において、制御ユニット30に含まれる回路部を適宜変更してもよい。例えば、図4に示すドライブ部39を制御ユニット30とは別の部分に設けるようにしてもよい。

符号の説明

[0057]
 10…ポンプ装置としての持続陽性気道圧(CPAP)装置、11…筐体、14…流入口、15…吐出口、21…ファン、23…モータ(駆動部)、30…制御ユニット、31,32…加算器(回転数制御部)、33…コントローラ(回転数制御部)、34…電流指令値推定部、35…電流値比較部、36…微分器(微分手段)、37…2回微分器(微分手段)、38…判定部(回転数制御部)、42…電流センサ(電流値測定部)、Ir…実電流値、Ie…推定電流指令値、D0…電流偏差、D1…第1の偏差微分値(偏差微分値)、D2…第2の偏差微分値(偏差微分値)、Vm…回転数指令、P0…基準圧力指令値、Pc…補正指令値、P1…圧力指令値。

請求の範囲

[請求項1]
 陽性気道圧のために用いられるポンプ装置であって、
 ファンと、
 前記ファンを回転駆動する駆動部と、
 流体が流入する流入口と、
 前記ファンの回転駆動によって前記流体を吐出する吐出口と、
 前記ファンの回転数指令から推定電流指令値を推定する電流指令値推定部と、
 前記駆動部に流れる実電流値を測定する電流値測定部と、
 前記推定電流指令値と前記実電流値とを比較し、前記推定電流指令値と前記実電流値の偏差である電流偏差を取得する電流値比較部と、
 前記電流偏差を微分した偏差微分値を取得する微分手段と、
 前記電流偏差及び前記偏差微分値に基づいて前記回転数指令を生成する回転数制御部と、
 前記回転数指令に基づいて前記駆動部に駆動電流を供給するドライブ部と、
を有するポンプ装置。
[請求項2]
 前記回転数制御部は、前記電流偏差及び前記偏差微分値がそれぞれに対応する判定値より小さい場合に前記回転数指令を低下させること、
を特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
[請求項3]
 前記微分手段は、前記電流偏差を1回微分した第1の偏差微分値と、前記電流偏差を2回微分した第2の偏差微分値とを取得し、
 前記回転数制御部は、前記第1の偏差微分値と前記第2の偏差微分値との少なくとも一方と電流偏差とに基づいて前記回転数指令を生成すること、
を特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
[請求項4]
 前記回転数制御部は、前記第1の偏差微分値と前記第2の偏差微分値の少なくとも一方と前記電流偏差とがそれぞれに対応する判定値より小さい場合に前記回転数指令を低下させること、
を特徴とする請求項3に記載のポンプ装置。
[請求項5]
 前記回転数制御部は、前記電流偏差及び前記偏差微分値に基づいて補正指令値を取得し、基準圧力指令値と前記補正指令値とに基づいて圧力指令値を算出し、前記圧力指令値に基づいて前記回転数指令を生成し、
 前記電流指令値推定部は、前記回転数指令に基づいて前記駆動部におけるトルク指令を推定し、前記トルク指令に基づいて前記推定電流指令値を推定すること、
を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のポンプ装置。
[請求項6]
 前記電流偏差及び前記偏差微分値と比較する判定値は、呼気状態に応じて設定されること、を特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のポンプ装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]