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1. (WO2018038059) ALKALI-FREE GLASS
Document

明 細 書

発明の名称 無アルカリガラス

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006  

課題を解決するための手段

0007   0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058  

実施例

0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074  

産業上の利用可能性

0075  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : 無アルカリガラス

技術分野

[0001]
 本発明は、各種ディスプレイ用基板ガラスとして好適な、無アルカリガラスに関する。

背景技術

[0002]
 従来、各種ディスプレイ用基板ガラス、特に表面に金属ないし酸化物薄膜等を形成するガラスでは、アルカリ金属酸化物を含有していると、アルカリ金属イオンが薄膜中に拡散して膜特性を劣化させるため、実質的にアルカリ金属イオンを含まない無アルカリガラスが求められる。
 また、薄膜形成工程において、加熱によるガラス基板の熱収縮(コンパクション)が小さいことが求められる。
[0003]
 液晶表示装置(LCD)に代表されるフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造時、該FPDを構成する2枚の基板ガラス(LCDの場合、TFT素子が設けられた基板ガラスと、カラーフィルタが設けられた基板ガラス)を、硬化性樹脂を用いて貼り合わせる。
 この際、FPDには、TFT素子等の耐熱性が問題となる構成要素が存在するため、通常、硬化性樹脂として光硬化性樹脂を使用し、紫外線照射により樹脂を硬化させる。このため、ディスプレイ用基板ガラスは紫外線透過性を有することが求められており、特許文献1および2では、波長300nmにおける紫外線透過率が厚み0.5mmで50~85%となる無アルカリガラス基板が提案されている。
[0004]
 一般に、大量生産されるガラスは原料や製造工程由来のFe 23を含有する。Fe 23は、ガラス中でFe 2+もしくはFe 3+として存在し、特にFe 3+は波長300nm付近に吸収ピークを持つため、ガラスの紫外線透過率を向上させるためにはFe 23の含有量を低減させることが必要になる。しかしながら、Fe 23含有量が少ない場合、溶融工程においてFe 2+による赤外線吸収量が低下し、ガラスの温度が上がりにくくなり、溶融性が悪化して泡品質が低下する問題がある。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 日本特開2006-36625号公報
特許文献2 : 日本特開2006-36626号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 本発明の目的は、TFT素子の製造工程等における熱収縮を表すコンパクションが小さく、歪点が高く、紫外線透過率が高く、かつ溶融が容易な無アルカリガラスを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明は、 酸化物基準のモル%表示で
SiO 2         65~75、
Al 23        9~15、
23         0~3、
MgO         0~12、
CaO         0~8、
SrO        0~6、
BaO         0~5、
MgO+CaO+SrO+BaO が12~22であり、
4.84[Fe 23]+5.65[Na 2O]+4.03[K 2O]+4.55[SnO 2]が0.55以下であり、コンパクションが、80ppm以下である無アルカリガラスを提供する。
[0008]
 また、本発明は、なかでも、酸化物基準のモル%表示で
SiO 2        65~70、
Al 23       9~15、
23         0~3、
MgO        5~12、
CaO        3~8、
SrO        1~6、
BaO        0~4、
Fe 23    0.001~0.03、
Na 2O    0.003~0.06、
2O         0~0.02、
SnO 2        0~0.12、
ZrO 2        0~2、であり、かつ、
MgO+CaO+SrO+BaO が15~22であり、
MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO)が0.33以上であり、MgO/(MgO+CaO)が0.40以上であり、MgO/(MgO+SrO)が0.45以上であり、4.84[Fe 23]+5.65[Na 2O]+4.03[K 2O]+4.55[SnO 2]が0.55以下であり、好ましくは、歪点が690℃以上であって、50~350℃での平均熱膨張係数が30×10 -7~45×10 -7/℃であって、ガラス粘度が10 2dPa・sとなる温度T 2が1710℃以下であって、ガラス粘度が10 4dPa・sとなる温度T 4が1350℃以下である無アルカリガラスを提供する。

発明の効果

[0009]
 本発明によれば、コンパクションが小さく、歪点が高く、紫外線透過率が高く、溶融しやすい無アルカリガラスが得られる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 実施例における溶融ガラス(例3~例6の組成)、および、耐火物(耐火物1、耐火物2)の電気抵抗率の測定結果を示したグラフである。

発明を実施するための形態

[0011]
 以下、本発明の無アルカリガラスについて説明する。
[0012]
(無アルカリガラスの各成分の組成範囲)
 SiO 2含有量は65%(モル%、以下、特記しない限り同じである。)未満では、歪点が充分に上がらず、かつ、熱膨張係数が増大し、密度が上昇する。該含有量は65.5%以上が好ましく、66%以上がより好ましく、66.5%以上がさらに好ましい。該含有量が75%超では、ガラス製造時における溶融性が低下し、ガラス粘度が10 2dPa・sとなる温度T 2や10 4dPa・sとなる温度T 4が上昇し、失透温度が上昇する。該含有量は70%以下が好ましく、69%以下がより好ましく、68.5%以下がさらに好ましく、68%以下がさらに好ましい。
[0013]
 Al 23はガラスの分相性を抑制し、熱膨脹係数を下げ、歪点を上げるが、該含有量が9%未満ではこの効果があらわれず、また、ほかの熱膨張係数を上げる成分を増加させることになるため、結果的に熱膨張係数が大きくなる。該含有量は10%以上が好ましく、11%以上がより好ましく、12%以上がさらに好ましく、12.5%以上が特に好ましい。該含有量が15%超では製造時におけるガラスの溶融性が悪くなったり、失透温度を上昇させるおそれがある。該含有量は14.5%以下が好ましく、14%以下がより好ましく、13.5%以下がさらに好ましい。
[0014]
 B 23は、ガラスの溶融性を良くし、また、失透温度を低下させるため、該含有量は3%まで添加できる。しかし、多すぎると歪点が低くなる。したがって、該含有量は2.5%以下が好ましく、2%以下がより好ましく、1.5%以下がさらに好ましい。また、環境負荷を考慮すると実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは不可避的不純物を除き含有しないことを言う(以下の記載でも同じである)。
[0015]
 MgOは、アルカリ土類の中では熱膨張係数を高くせず、かつ密度を低く維持したままヤング率を上げる特徴を有し、ガラス製造時において溶融性も向上させるため含有できる。該含有量は12%超では失透温度が上昇するおそれがある。11%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、9.5%以下がさらに好ましい。低膨張率、低密度かつ高ヤング率とし、またはガラスの溶融性を高くするためには、該含有量は3%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、6%以上がより好ましく、7%以上がさらに好ましく、8%以上がさらに好ましく、8.5%以上が特に好ましい。
[0016]
 CaOは、MgOに次いでアルカリ土類中ではガラスの熱膨張係数を大きくせず、かつ密度を低く維持したままヤング率を上げるという特徴を有し、ガラス製造時における溶融性も向上させるため含有できる。しかし多すぎると、失透温度が上昇するおそれがあるため、該含有量は8%以下とし、7%以下が好ましく、6.5%以下がより好ましく、6%以下がさらに好ましい。ガラスの溶融性を高くするためには、3%以上が好ましく、該含有量は4%以上がより好ましく、4.5%以上がさらに好ましく、5%以上がさらに好ましい。
[0017]
 SrOは、必須ではないがガラスの失透温度を上昇させず溶融性を向上させるために、該含有量は1%以上含有することが好ましく、好ましくは2%以上、より好ましくは3%以上、さらには3.5%以上である。しかし、該含有量が6%を超えると膨脹係数が増大するおそれがある。5.5%以下、5%以下が好ましい。
[0018]
 BaOは必須ではないが溶融性向上のために含有できる。しかし、該含有量が多すぎるとガラスの熱膨張係数と密度を過大に増加させるので5%以下とする。該含有量は好ましくは4%以下、より好ましくは2%未満、1%以下、0.5%以下がより好ましく、さらに実質的に含有しないことが好ましい。
[0019]
 SnO 2は必須ではないが、ガラスの紫外線透過率を向上させるために含有することが好ましい。SnO 2は、ガラス融液中では、1450℃ 以上の温度でSnO 2からSnOに還元される。ガラスを冷却する過程において、ガラス中のSnOが酸化されFe 23が還元されることにより、ガラスの紫外線透過率は上昇する。
 ガラス中のSn含有量はSnO 2換算で、0.01%以上であることが好ましい。該含有量が0.01%以上であると、ガラスの紫外線透過率向上効果が好ましく発揮される。該含有量は、より好ましくは0.02%以上、さらに好ましくは0.03%以上である。該含有量が0.12%超だと、ガラスの着色や、失透が発生する恐れがあるため、ガラス中のSn含有量はSnO 2換算で0.12%以下とする。該含有量は、好ましくは0.10%以下、より好ましくは0.07%以下、さらに好ましくは0.05%以下である。さらに実質的に含有しないことが好ましい。
 なお、Sn含有量は、ガラス原料における投入量ではなく、冷却後のガラス中に存在する量である。
[0020]
 ZrO 2は、ガラス溶解温度を低下させるために、2%まで含有してもよい。該含有量は2%超ではガラスが不安定になるか、またはガラスの比誘電率εが大きくなるので好ましくは1.5%以下である。さらに実質的に含有しないことが望ましい。
[0021]
 MgO、CaO、SrO、BaOは合量で13%よりも少ないと、溶融性に乏しい。該合量は、15%以上が好ましく、17%以上がより好ましく、18%以上がさらに好ましい。該合量が22%よりも多いと、熱膨張係数を小さくできないという難点が生じるおそれがある。該含量は21%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、19.5%以下がさらに好ましい。
[0022]
 MgO、CaO、SrOおよびBaOの合量は、下記の比率を満たすことにより、失透温度を上昇させることなしに、歪点を上昇させ、さらにガラスの粘性、特にガラス粘度が10 4dPa・sとなる温度T 4を下げることができ、好ましい。
 MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO)が0.33以上、好ましくは0.36以上であり、より好ましくは0.40以上、特に好ましくは0.45以上である。
 MgO/(MgO+CaO)が0.40以上であり、好ましくは0.50以上、さらに好ましくは0.55以上である。
 MgO/(MgO+SrO)が0.45以上であり、好ましくは0.55以上、さらに好ましくは0.60以上である。
 これらの3つをすべて満たすことがより好ましい。
[0023]
 本発明の無アルカリガラスは、溶融性を高め、高品質のガラスを得やすくするために、ガラス原料中のアルカリ金属の含有量について、酸化物基準のモル%表示として、Na 2Oを0.003~0.06%、K 2Oを0~0.02%の範囲にすることが好ましい。無アルカリガラスは、ソーダライムガラスのようなアルカリガラスに比べて、アルカリ金属酸化物の含有量が低く、溶融ガラス中に存在するアルカリ金属イオンも少ないため、電気抵抗率が高く、通電加熱には適している。一方、また、ガラス原料中のアルカリ金属酸化物は、フラックスとして作用して溶融性を向上させることから、アルカリ金属酸化物の含有量が少なすぎると、製造されるガラスの欠点品質の低下を招くおそれがある。
 本発明では、特にNa 2Oの含有量に着目した。本発明のガラスは、Na 2Oの含有量が好ましくは0.005~0.04%、より好ましくは0.008~0.03%、さらに好ましくは0.01~0.025%である。原料中から不可避的に混入するアルカリ金属酸化物の大半を占めるのはNa 2Oである。
[0024]
 K 2Oの含有量は、好ましくは0.001~0.02%、より好ましくは0.003~0.015%、さらに好ましくは0.005~0.01%である。
 ガラス原料中のアルカリ金属酸化物を含有量が高くなると、アルカリ金属イオンが薄膜中に拡散して膜特性を劣化させるため、各種ディスプレイ用基板ガラスとしての使用時に問題となるが、ガラス組成中のアルカリ金属酸化物の含有量の総量(Li 2O+Na 2O+K 2O)を0.06%以下、好ましくは0.04%以下、より好ましくは0.03%以下、さらに好ましくは0.02%以下であれば、このような問題を生じることがない。
[0025]
 Fe 23は、紫外線透過率を高くするために、該含有量は0.03%以下であるが、バーナー燃焼による加熱効率を高くするためには0.001%以上が好ましい。該含有量は、より好ましくは0.003%以上、0.025%以下、より好ましくは0.005%以上、0.02%以下、さらに好ましくは0.008%以上、0.015%以下である。
[0026]
 本発明の無アルカリガラスは、下記式(I)で表される値が0.55以下である。
 4.84[Fe 23]+5.65[Na 2O]+4.03[K 2O]+4.55[SnO 2]・・・・(I)
 式(I)中、角括弧で囲まれた成分の数値表示は、無アルカリガラス中のそれぞれ当該成分の含有量(モル%)を表す(本明細書の他の部分の記載において同じ)。
 かかる式(I)で表される値(式(1)のパラメータともいう)は無アルカリガラスの1400℃における電気抵抗率の指標であり、この値が0.55以下であると通電加熱時の電気抵抗率が高くなり、ジュール熱を得やすくすることができる。本発明の無アルカリガラスにおいて、式(I)で表される値は0.40以下がより好ましく、0.30以下がさらに好ましく、0.20以下が特に好ましい。
 式(I)で表される値の下限は特に規定されないが、式(I)で表される値は、通常、0.04以上であり、特には0.08以上である。
[0027]
 なお、パネル製造時にガラス表面に設ける金属ないし酸化物薄膜の特性劣化を生じさせないために、ガラスはP 25を実質的に含有しないことが好ましい。さらに、ガラスのリサイクルを容易にするため、PbO、As 23、Sb 23は実質的に含有しないことが好ましい。
 また、ガラスの溶融性、清澄性、成形性を改善するため、ガラス原料にはZnO、SO 3、F、Clを総量で5%以下添加できる。
[0028]
 本発明の無アルカリガラスは、各成分の原料として下記を用いることが、溶融性を高めるために好ましい。
(珪素源)
 SiO 2の珪素源としては珪砂を用いることができるが、メディアン粒径D 50が20μm~27μm、粒径2μm以下の粒子の割合が0.3体積%以下、かつ粒径100μm以上の粒子の割合が2.5体積%以下の珪砂を用いることが、珪砂の凝集を抑えて溶解させることができるので、珪砂の溶解が容易になり、泡が少なく、均質性、平坦度が高い無アルカリガラスが得られることから好ましい。
 なお、本明細書における「粒径」とは珪砂の球相当径(本発明では一次粒径の意)であって、具体的にはレーザー回折/散乱法によって計測された粉体の粒度分布における粒径をいう。
[0029]
 また、本明細書における「メディアン粒径D 50」とは、レーザー回折法によって計測された粉体の粒度分布において、ある粒径より大きい粒子の体積頻度が、全粉体のそれの50%を占める粒子径をいう。言い換えると、レーザー回折法によって計測された粉体の粒度分布において、累積頻度が50%のときの粒子径をいう。
 また、本明細書における「粒径2μm以下の粒子の割合」及び「粒径100μm以上の粒子の割合」は、例えば、レーザー回折/散乱法によって粒度分布を計測することにより測定される。
 珪砂のメディアン粒径D 50が25μm以下であれば、珪砂の溶解がより容易になるので、より好ましい。また、珪砂における粒径100μm以上の粒子の割合は、0%であることが珪砂の溶解がより容易になるので特に好ましい。
[0030]
(アルカリ土類金属源)
 アルカリ土類金属源としては、アルカリ土類金属化合物を用いることができる。その具体例としては、MgCO 3、CaCO 3、BaCO 3、SrCO 3、(Mg,Ca)CO 3(ドロマイト)等の炭酸塩や、MgO、CaO、BaO、SrO等の酸化物や、Mg(OH) 2、Ca(OH) 2、Ba(OH) 2、Sr(OH) 2等の水酸化物を例示できる。
 なお、アルカリ土類金属源の一部または全部にアルカリ土類金属の水酸化物を含有させることが、ガラス原料の溶解時のSiO 2成分の未溶解量が低下するので好ましい。珪砂中に含まれるSiO 2成分の未溶解量が増大すると、この未溶解のSiO 2が、溶融ガラス中に泡が発生した際にこの泡に取り込まれて溶融ガラスの表層近くに集まる。これにより、溶融ガラスの表層と表層以外の部分との間においてSiO 2の組成比に差が生じて、ガラスの均質性が低下するとともに平坦性も低下する。
[0031]
 アルカリ土類金属の水酸化物の含有量は、アルカリ土類金属源100モル%のうち、好ましくは15~100モル%、より好ましくは30~100モル%であり、さらに好ましくは60~100モル%であることが、ガラス原料の溶解時のSiO 2成分の未溶解量が低下するのでより好ましい。なお、ここでの「モル%」は、いずれも、MO換算であり、Mはアルカリ土類金属元素である。
 アルカリ土類金属源中の水酸化物のモル比が増加するにつれて、ガラス原料の溶解時のSiO 2成分の未溶解量が低下するので、上記水酸化物のモル比は高ければ高いほどよい。
[0032]
 アルカリ土類金属源として、具体的には、アルカリ土類金属の水酸化物と炭酸塩との混合物、アルカリ土類金属の水酸化物単独、などを用いることができる。炭酸塩としては、MgCO 3、CaCO 3及びドロマイトのいずれか1種以上を用いることが好ましい。またアルカリ土類金属の水酸化物としては、Mg(OH) 2またはCa(OH) 2の少なくとも一方を用いることが好ましく、特にMg(OH) 2を用いることが好ましい。
 なお、パネル製造時にガラス表面に設ける金属ないし酸化物薄膜の特性劣化を生じさせないために、ガラス原料はP 25を実質的に含有しないことが好ましい。Ca原料には不純物としてリンが含まれることが多いので、ガラスがCaOを含有する場合には、高純度の原料を用いることが好ましい。
[0033]
(ホウ素源)
 無アルカリガラスがB 23を含有する場合、ホウ素源としては、ホウ素化合物を用いることができる。ここでホウ素化合物の具体例としては、オルトホウ酸(H 3BO 3)、メタホウ酸(HBO 2)、四ホウ酸(H 2247)、無水ホウ酸(B 23)等が挙げられる。通常の無アルカリガラスの製造においては、安価で、入手しやすい点から、オルトホウ酸が用いられる。
 ホウ素源としては、無水ホウ酸を、ホウ素源100質量%(B 23換算)のうち、10~100質量%(B 23換算)含有するものを用いることが好ましい。無水ホウ酸を10質量%以上とすることにより、ガラス原料の凝集が抑えられ、泡の低減効果、均質性、平坦度の向上効果が得られる。無水ホウ酸は、20~100質量%がより好ましく、40~100質量%がさらに好ましい。無水ホウ酸以外のホウ素化合物としては、安価で、入手しやすい点から、オルトホウ酸が好ましい。
[0034]
 次に、本発明の無アルカリガラスの製造方法の一態様についてフロート法を例に説明する
 本発明のガラスは、上記組成となるように調合したガラス原料を溶解窯に連続的に投入し、1350~1750℃に加熱して溶解する方法で製造することができる。
 また、溶解窯での加熱には、バーナーの燃焼炎による加熱と、溶解窯内の溶融ガラスの通電加熱と、を併用することが好ましい。
[0035]
 バーナーは、通常、溶解窯の上方に配置されており、化石燃料の燃焼炎、具体的には、重油、灯油等の液体燃料や、LPG等の気体燃料等の燃焼炎により加熱を行う。これら燃焼の燃焼時には、燃料を酸素ガスと混合して燃焼させたり、燃料を酸素ガスおよび空気と混合して燃焼させたりできる。これらの方法を用いることにより、溶融ガラスに水分を含有させることができ、製造される無アルカリガラスのβ-OH値を調節できる。
[0036]
 一方、溶解窯内の溶融ガラスの通電加熱は、溶解窯内の溶融ガラスに浸漬するように、該溶解窯の底部または側面に設けられた加熱電極に直流電圧または交流電圧を印加することによって行うことが好ましい。後述するように、通電加熱の実施時には電極間の電位差を100~500Vに保持することが好ましいが、このような直流電圧を印加するためには、商用電源として使用可能な交流から直流へと変換する必要があるので、交流電圧を印加することが好ましい。
[0037]
 溶融ガラスの通電加熱時において、加熱電極には下記を満たすように交流電圧を印加することが、溶解窯内の溶融ガラスでの電気分解、および、それによる泡発生を抑制でき、かつ、通電加熱時の効率の点から好ましい。
局所電流密度:0.1~2.0A/cm 2
電極間の電位差:20~500V
交流電圧の周波数:10~90Hz
 なかでも、局所電流密度は、0.2~1.7A/cm 2がより好ましく、0.3~1.0A/cm 2がさらに好ましい。電極間の電位差は、30~480Vがより好ましく、40~450Vがさらに好ましい。交流電圧の周波数は、30~80Hzがより好ましく、50~60Hzがさらに好ましい。
[0038]
 加熱電極に使用する材料は、導電性に優れることに加えて、耐熱性および溶融ガラスに対する耐食性に優れることが求められる。
 これらの満たす材料としては、ロジウム、イリジウム、オスミウム、ハフニウム、モリブデン、タングステン、白金、および、これらの合金が例示される。
[0039]
 バーナーの燃焼炎による加熱量と、溶解窯内の溶融ガラスの通電加熱による加熱量の合計をT 0(J/h)とするとき、通電加熱による加熱量T(J/h)が下記式(II)を満たすことが好ましい。
    0.10×T 0≦T≦0.40×T 0  ・・・(II)
 Tが0.10×T 0より小さいと、溶融ガラスの通電加熱の併用による効果、すなわち、溶解窯を構成する耐火物の浸食を抑制する効果が不十分となるおそれがある。
 Tが0.40×T 0より大きいと、溶融窯底部の温度が上昇し、耐火物の浸食が進行する恐れがある。
[0040]
 溶解窯は、ガラス原料の溶解時に1400~1700℃の高温に加熱されるため、耐火物を構成材料とする。溶解窯を構成する耐火物には、耐熱性に加えて、溶融ガラスに対する耐食性、機械的強度、耐酸化性が要求される。
 溶解窯を構成する耐火物としては、溶融ガラスに対する耐食性に優れることから、ZrO 2を90質量%以上含有するジルコニア系耐火物が好ましく用いられてきた。
 しかしながら、上記のジルコニア系耐火物には、マトリックスガラスの粘性を低減する成分としてアルカリ成分(Na 2OやK 2O)を合量で0.12質量%以上含有するため、1400~1700℃の高温に加熱した際には、該アルカリ成分の存在によりイオン導電性を示す。このため、通電加熱時に、溶解窯に設けた加熱電極から、溶融ガラスだけではなく、溶解窯を構成する耐火物にも電流が流れるおそれがある。
[0041]
 溶融ガラスの1400℃における電気抵抗率をRg(Ωcm)とし、溶解窯を構成する耐火物の1400℃における電気抵抗率をRb(Ωcm)とするとき、Rb>Rgとなるように、ガラス原料、および、溶解窯を構成する耐火物を選択することが好ましい。
 後述する実施例に示すように、溶融ガラスおよび耐火物の電気抵抗率は、温度の上昇に応じて低くなるが、温度上昇に対する電気抵抗率の低下は、耐火物よりも溶融ガラスのほうが大きい。このため、1400℃における電気抵抗率がRb>Rgの関係であれば、それよりも高い温度、すなわち、1400~1700℃の温度域では、常に耐火物のほうが溶融ガラスよりも電気抵抗率が大きくなる。
 そして、Rb>Rgとなるように、ガラス原料、および、溶解窯を構成する耐火物を選択すれば、通電加熱時に、加熱電極から溶解窯を構成する耐火物に電流が流れるのが抑制される。
[0042]
 したがって、RbとRgとの比(Rb/Rg)は、Rb/Rg>1.00を満たすことが好ましく、Rb/Rg>1.05を満たすことがより好ましく、Rb/Rg>1.10を満たすことがさらに好ましい。
 なお、無アルカリガラスは、アルカリ金属酸化物、Fe 23、および必要に応じてSnO 2を添加することでRgを低下させることができる。
 また、製造される無アルカリガラスの粘度ηが10 2ポイズ(dPa・s)となる温度T 2を変えることによっても、Rgを調節することができる。T 2が低いほどRgは低くなる。
[0043]
 後述する耐火物の好適組成の場合、アルカリ成分(Na 2O,K 2O)の含有量を変えることで、Rbを調節ができる。また、アルカリ成分におけるK 2Oの割合を変えることで、Rbを調節できる。アルカリ成分(Na 2O,K 2O)の含有量が低いほどRbが高くなる。アルカリ成分におけるK 2Oの割合が高いほどRbが高くなる。
[0044]
 本発明の無アルカリガラスの製造に適した耐火物としては、Rb>Rgとなる耐火物として、質量%表示で、ZrO 2を85~91%、SiO 2を7.0~11.2%、Al 23を0.85~3.0%、P 25を0.05~1.0%、B 23を0.05~1.0%、およびK 2OとNa 2Oを、それらの合量で0.01~0.12%含み、かつK 2OをNa 2O以上に含む高ジルコニア質溶融鋳造耐火物が挙げられる。
[0045]
 上記組成の高ジルコニア質溶融鋳造耐火物は、化学成分の85~91%という大部分がジルコニア(ZrO 2)からなる耐火物であり、バデライト結晶を主な構成成分としていて、溶融ガラスに対して優れた耐食性を示すとともに、アルカリ成分の含有量が少なく、しかもアルカリ成分としてイオン半径が大きく移動度が小さいK 2Oを主に含んでいるので、1400~1700℃の温度域における電気抵抗率が大きい。
[0046]
 溶解窯を構成する耐火物としては、化学成分として、質量%表示で、ZrO 2を88~91%、SiO 2を7.0~10%、Al 23を1.0~3.0%、P 25を0.10~1.0%およびB 23を0.10~1.0%含有する高ジルコニア質溶融鋳造耐火物が好ましい。
[0047]
 ガラス原料は、溶解窯に連続的に投入し、1400~1700℃に加熱して溶融ガラスにした後、該溶融ガラスをフロート法により板状に成形することで、無アルカリガラスを得ることができる。より具体的には、フロート法により所定の板厚に成形し、徐冷後切断することによって、無アルカリガラスを板ガラスとして得ることができる。
 なお、板ガラスへの成形法は、フロート法、フュージョン法、ロールアウト法、スロットダウンドロー法が好ましく、特に生産性や板ガラスの大型化を考慮するとフロート法が好ましい。
[0048]
 本発明の無アルカリガラスからなるガラス基板(以下、本発明の無アルカリガラス基板ともいう)は、波長300nmにおける紫外線透過率が、ガラスの板厚0.5mm換算で40%以上が好ましい。
 FPDの製造時、該FPDを構成する2枚の基板ガラスの貼り合わせに用いられる紫外線硬化樹脂に使用される紫外線は、主として波長300nm付近の波長の紫外線である。2枚の基板ガラスが、波長300nmにおける紫外線透過率が低いと、紫外線硬化樹脂によって2枚の基板ガラスを貼り合わせるのに長時間を要する。すなわち紫外線硬化樹脂に対して紫外線を照射しても、基板ガラスに吸収されやすいため、樹脂を硬化させるのに時間がかかる。
 本発明の無アルカリガラス基板は、波長300nmにおける紫外線透過率が高いので、FPDを構成する基板ガラスとして使用した場合に、紫外線硬化樹脂の硬化に長時間を要することがない。
[0049]
 ガラス基板における紫外線透過率は、基板の厚みによっても異なる。本発明では、基板の厚みによる影響を排除するため、ガラスの板厚0.5mm換算の紫外線透過率に規格化した。
 波長300nmにおける紫外線透過率は、より好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。ただし、紫外線透過率が高くなりすぎると、紫外線を照射した際に、酸化物半導体でのVth特性シフトなど、TFT素子の特性が変化し、FPDの構成要素の特性が損なわれるおそれがある。
 無アルカリガラス基板は、波長300nmにおける紫外線透過率が、板厚0.5mm換算で85%以下であると、耐熱性が問題となるFPDの構成要素が、紫外線照射時に破損するおそれがない。好ましくは80%以下、より好ましくは75%以下である。
[0050]
 本発明の無アルカリガラスは、下記で測定されるコンパクションが80ppm以下であることが好ましい。コンパクションとは、加熱処理の際にガラス構造の緩和によって発生するガラス熱収縮率である。本発明の無アルカリガラスが、上記の範囲のコンパクションを有することにより、TFT等の製造工程中での寸法安定性に優れる利点が得られる。
 [コンパクションの測定方法]
 ガラス板試料(酸化セリウムで鏡面研磨した長さ100mm×幅10mm×厚さ1mmの試料)をガラス転移点+100℃の温度で10分間保持した後、毎分40℃で室温まで冷却する。ここで、試料の全長(長さ方向)L1を計測する。次いで、毎時100℃で600℃まで加熱し、600℃で80分間保持し、毎時100℃で室温まで冷却し、再度、試料の全長L2を計測する。600℃での熱処理前後での全長の差(L1-L2)と、600℃での熱処理前の試料全長L1と、の比:(L1-L2)/L1をコンパクションとする。
 試料の全長を高精度で測定することが困難な場合は、試料表面の2箇所に圧痕を形成し、その間隔を測定する方法により、コンパクションをより正確に求められる。
 その場合、試料の表面に点状の圧痕を長辺方向に2箇所、間隔A(A=95mm)で打ち、毎時100℃で600℃まで加熱し、600℃で80分間保持し、毎時100℃で室温まで冷却した後、圧痕の間隔Bを測定することが好ましい。コンパクションは(A-B)/Aから求められる。
[0051]
 なかでも、本発明の無アルカリガラスは、より好ましくは70ppm以下、さらには60ppm以下、特に好ましくは50ppm以下であるコンパクションを有することができる。このため、本発明の無アルカリガラスは、高精細TFTの製造にも適しているので、さらに、利点を有する。
[0052]
 本発明の無アルカリガラスは、歪点が690℃以上、好ましくは700℃超であり、これにより、パネル製造時の熱収縮を効果的に抑えられる。
 歪点は、さらに好ましくは710℃以上、最も好ましくは720℃以上である。歪点が720℃以上であると、高歪点用途(例えば、板厚0.7mm以下、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.3mm以下の有機EL用のディスプレイ用基板または照明用基板、あるいは板厚0.3mm以下、好ましくは0.1mm以下の薄板のディスプレイ用基板または照明用基板)に適している。板厚0.7mm以下、さらには0.5mm以下、さらには0.3mm以下、さらには0.1mm以下の板ガラスの成形では、成形時の引き出し速度が速くなる傾向がある。成形時の引き出し速度が大きくなると、ガラスが急冷される傾向がありガラスの仮想温度が上昇することで、ガラスのコンパクションが増大しやすい。この場合でも、高歪点ガラスであると、コンパクションを抑制できる。
[0053]
 本発明の無アルカリガラスのガラス転移点は、好ましくは750℃以上であり、より好ましくは760℃以上であり、さらに好ましくは770℃以上、最も好ましくは780℃以上である。
 また、本発明の無アルカリガラスの50~350℃での平均熱膨張係数は、30×10 -7~45×10 -7/℃であり、耐熱衝撃性が大きく、パネル製造時の生産性を高くできる。50~350℃での平均熱膨張係数は、35×10 -7~40×10 -7/℃が好ましい。
[0054]
 本発明の無アルカリガラスの密度は、好ましくは2.65g/cm 3以下であり、より好ましくは2.64g/cm 3以下であり、さらに好ましくは2.62g/cm 3以下である。
 また、本発明の無アルカリガラスは、粘度ηが10 2ポイズ(dPa・s)となる温度T 2が1710℃以下が好ましく、好ましくは1690℃以下、より好ましくは1670℃以下、さらに好ましくは1660℃以下になっているため、溶融が比較的容易である。
[0055]
 さらに、本発明の無アルカリガラスは粘度ηが10 4ポイズとなる温度T 4が1350℃以下が好ましく、好ましくは1330℃以下、より好ましくは1320℃以下、さらに好ましくは1310℃以下であり、特にフロート成形に適している。
 本明細書における失透温度は、白金製の皿に粉砕されたガラス粒子を入れ、一定温度に制御された電気炉中で17時間熱処理を行い、熱処理後の光学顕微鏡観察によって、ガラスの表面及び内部に結晶が析出する最高温度と結晶が析出しない最低温度との平均値である。
[0056]
 本発明の無アルカリガラスのヤング率は、82GPa以上、さらには83GPa以上、さらには84GPa以上、さらには84.5GPa以上が好ましい。ヤング率は、大きい方が好ましいが、通常95GPa以下が好ましい。ヤング率は超音波パルス法により測定できる。
 本発明の無アルカリガラスの光弾性定数は、31nm/MPa/cm以下が好ましい。
 液晶ディスプレイパネル製造工程や液晶ディスプレイ装置使用時に発生した応力によってガラス基板が複屈折性を有することにより、黒の表示がグレーになり、液晶ディスプレイのコントラストが低下する現象が認められることがある。
 光弾性定数を31nm/MPa/cm以下とすることにより、この現象を小さく抑えることができる。好ましくは30nm/MPa/cm以下、より好ましくは29nm/MPa/cm以下、さらに好ましくは28.5nm/MPa/cm以下、特に好ましくは28nm/MPa/cm以下である。
 本発明の無アルカリガラスは、他の物性確保の容易性を考慮すると、光弾性定数が23nm/MPa/cm以上、さらには25nm/MPa/cm以上が好ましい。
 なお、光弾性定数は円板圧縮法により測定波長546nmにて測定できる。
[0057]
 本発明の無アルカリガラスの比誘電率は、5.6以上が好ましい。
 日本特開2011-70092号公報に記載されているような、インセル型のタッチパネル(液晶ディスプレイパネル内にタッチセンサを内蔵したもの)の場合、タッチセンサのセンシング感度の向上、駆動電圧の低下、省電力化の観点から、ガラス基板の比誘電率が高いほうがよい。比誘電率を5.6以上とすることにより、タッチセンサのセンシング感度が向上する。好ましくは5.8以上、より好ましくは6.0以上、さらに好ましくは6.1以上、特に好ましくは6.2以上である。
 なお、比誘電率はJIS C-2141に記載の方法で測定できる。
[0058]
 本発明の無アルカリガラスのβ-OH値は、無アルカリガラスの要求特性に応じて適宜選択できる。無アルカリガラスの歪点を高くするため、また通電加熱時の電気抵抗率を高くしてジュール熱を得やすくするためにはβ-OH値が低いことが好ましい。例えば、歪点を710℃以上とする場合、β-OH値は0.45mm -1以下が好ましく、0.4mm -1以下がより好ましく、0.35mm -1以下がさらに好ましい。
 β-OH値は、原料溶融時の各種条件、たとえば、ガラス原料中の水分量、溶解窯中の水蒸気濃度、溶解窯における溶融ガラスの滞在時間等によって調節することができる。ガラス原料中の水分量を調節する方法としては、ガラス原料として酸化物の代わりに水酸化物を用いる方法(例えば、マグネシウム源として酸化マグネシウム(MgO)の代わりに水酸化マグネシウム(Mg(OH) 2)を用いる)がある。また、溶解窯中の水蒸気濃度を調節する方法としては、バーナーでの燃焼時に、化石燃料を酸素ガスと混合して燃焼させる方法、酸素ガスおよび空気と混合して燃焼させる方法がある。
実施例
[0059]
 以下において例1、3、7~18は実施例、例2、4~6は比較例である。
 例3~例6の組成の溶融ガラスと耐火物(ジルコニア系電鋳耐火物)の1400~1600℃の温度域における電気抵抗率を測定した。
 溶融ガラスは、各成分の原料を表に示す組成になるように調合し、白金坩堝を用いて1600℃の温度で溶解した。溶解にあたっては、白金スターラを用いて撹拌しガラスの均質化を行った。得られた溶融ガラスを1400~1600℃の温度域に保持した状態で電気抵抗率を、下記文献に記載の方法で測定した。
 「イオン性融体の導電率測定法、大田能生、宮永光、森永健次、柳ヶ瀬勉、日本金属学会誌第45巻第10号(1981)1036~1043」
[0060]
 また、下記の化学組成および鉱物組成を有するジルコニア系電鋳耐火物(耐火物1、耐火物2)についても、1400~1600℃の温度域に保持した状態で電気抵抗率を、「JIS C2141電気絶縁用セラミック材料試験方法」の体積抵抗率(第14節)の測定原理を高温に展開(試料を電気炉内に設置して加熱)して測定した。
[0061]
[耐火物1]
化学組成(質量%):
 ZrO 2:88、SiO 2:9.3、Al 23:1.5、P 23:0.1、B 23:0.8、Fe 23:0.05、TiO 2:0.15、Na 2O:0.02、K 2O:0.04
鉱物組成(質量%)
 バテライト:88、ガラス相:12
[0062]
[耐火物2]
化学組成(質量%)
 ZrO 2:94.5、SiO 2:4.0、Al 23:0.8、P 25:0.10、B 23:0.8、Fe 23:0.05、TiO 2:0.15、Na 2O:0.4、K 2O:0.01
鉱物組成(質量%)
 バテライト:88、ガラス相:12
[0063]
 電気抵抗率の測定結果を図1に示す。図1から明らかなように、1400~1600℃の温度域において、耐火物1のRbが例3~例6の組成のガラスのRgよりも電気抵抗率が高かった。このような耐火物1で溶解窯を構成すれば、通電加熱時に、加熱電極から溶解窯を構成する耐火物に電流が流れるのが抑制されると考えられる。
 一方、耐火物2では1400~1600℃における電気抵抗率Rbが、溶融ガラスの電気抵抗率Rgに対して、Rb<Rgの関係となっていた。このような耐火物2で溶解窯を構成した場合、通電加熱時に、加熱電極から溶解窯を構成する耐火物に電流が流れると考えられる。
[0064]
 各成分の原料を目標組成になるように調合したものを、上記耐火物1で構成される溶解窯に投入して、1500~1600℃の温度で溶解した。このとき用いた原料中の珪砂の粒度として、メディアン粒径D 50が26μmであり、粒径2μm以下の粒子の割合が0.1%未満であり、粒径100μm以上の粒子の割合が0.6%であり、アルカリ土類金属における水酸化物原料の質量比率(MO換算)は23±5%である。溶解窯の加熱には、バーナーの燃焼炎による加熱と、溶解窯内の溶融ガラスに浸漬するように配置された加熱電極による該溶融ガラスの通電加熱と、を併用した。なお、通電加熱時の際、局所電流密度0.5A/cm 2、電極間の電位差300V、周波数50Hzで交流電圧を加熱電極に印加した。
 なお、バーナーの燃焼炎による加熱量と、溶解窯内の溶融ガラスの通電加熱による加熱量の合計をT 0(J/h)とするとき、通電加熱による加熱量T(J/h)は、T=0.30×T 0の関係を満たしていた。
 次いで溶融ガラスを流し出し、板状に成形後徐冷した。
[0065]
 表1~表4には、ガラス組成(単位:モル%)と、ガラスのβ-OH値(単位:mm -1)、波長300nmにおける透過率(単位:%)、50~350℃での平均熱膨脹係数(単位:×10 -7/℃)、歪点(単位:℃)、ガラス転移点(単位:℃)、密度(g/cm 3)、ヤング率(GPa)(超音波法により測定)、高温粘性値として、溶融性の目安となる温度T 2(ガラス粘度ηが10 2ポイズとなる温度、単位:℃)、とフロート成形性およびフュージョン成形性の目安となる温度T 4(ガラス粘度ηが10 4ポイズとなる温度、単位:℃)、失透温度(単位:℃)、光弾性定数(単位:nm/MPa/cm)(板状に成形した徐冷したサンプルを用いて円板圧縮法により測定波長546nmにて測定)、および、コンパクション(単位:ppm)を示す。
 なお、表1~表4中、括弧書で示した値は計算値である。
[0066]
 また、β-OH値およびコンパクションの測定方法は、それぞれ以下に記載した通りである。
[β-OH値の測定方法]
 ガラス試料について、赤外分光光度計を用いて透過率を測定する。波数3500~3700cm -1における透過率(%)の極小値をI aとし、波数4000cm -1における透過率(%)をI bとし、試料の厚み(mm)をdとして、以下の式よりβ-OHを求めることができる。
    β-OH(mm -1)=-(log(I a/I b))/d
[コンパクションの測定方法]
 ガラス板試料(酸化セリウムで鏡面研磨した長さ100mm×幅10mm×厚さ1mmの試料)をガラス転移点+100℃の温度で10分間保持した後、毎分40℃で室温まで冷却した。試料の表面に点状の圧痕を長辺方向に2箇所、間隔A(A=95mm)で打った。次いで、毎時100℃で600℃まで加熱し、600℃で80分間保持し、毎時100℃で室温まで冷却し圧痕の間隔Bを測定した。なお、A、Bは光学顕微鏡を用いて測定した。コンパクションは(A-B)/Aから求められる。
[0067]
[表1]


[0068]
[表2]


[0069]
[表3]


[0070]
[表4]


[0071]
 表1~表4から明らかなように、いずれも、熱膨脹係数は30×10 -7~40×10 -7/℃と低く、歪点も690℃以上と高く、コンパクションが小さいので高温での熱処理に充分耐えうることがわかる。また、実施例のガラスは、式(I)で表される値(パラメータ)が小さいことから比較例に比べて1400℃における電気抵抗率が高く、より効率的に通電によるジュール加熱を得ることができる。
[0072]
 溶融性の目安となる温度T 2も1710℃以下と比較的低く溶解が容易であり、成形性の目安となる温度T 4が1350℃以下であり、特にフロート法による成形が容易である。また、失透温度が1350℃以下であり、特にフロート成形時に失透が生成するなどのトラブルがないと考えられる。
[0073]
 光弾性定数が31nm/MPa/cm以下であり、液晶ディスプレイのガラス基板として使用した場合にコントラストの低下を抑制することができる。
 また、比誘電率が5.6以上であり、インセル型のタッチパネルのガラス基板として使用した場合にタッチセンサのセンシング感度が向上する。
[0074]
 本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、様々な修正や変更を加えることができることは、当業者にとって明らかである。

産業上の利用可能性

[0075]
 本発明の無アルカリガラスは、歪点が高く、泡品質が良好であり、ディスプレイ用基板、フォトマスク用基板、フレキシブルOLED製造用基板等の用途に好適である。また、太陽電池用基板、磁気ディスク用ガラス基板等の用途にも好適である。
 なお、2016年8月23日に出願された日本特許出願2016-162676号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

請求の範囲

[請求項1]
 酸化物基準のモル%表示で
SiO 2        65~75、
Al 23        9~15、
23          0~3、
MgO         0~12、
CaO         0~8、
SrO         0~6、
BaO         0~5、であり、かつ
MgO+CaO+SrO+BaO が12~22であり、
4.84[Fe ]+5.65[Na O]+4.03[K O]+4.55[SnO ]が0.55以下であり、コンパクションが80ppm以下であることを特徴とする無アルカリガラス。
[請求項2]
 酸化物基準のモル%表示で
SiO        65~70、
Al       9~15、
       0~3、
MgO         5~12、
CaO         3~8、
SrO        1~6、
BaO         0~4、
Fe 23    0.001~0.03、
Na 2O    0.003~0.06、
2O         0~0.02、
SnO 2        0~0.12、
ZrO 2        0~2、であり、かつ、
MgO+CaO+SrO+BaO が15~22であり、
MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO)が0.33以上であり、MgO/(MgO+CaO)が0.40以上であり、MgO/(MgO+SrO)が0.45以上であり、4.84[Fe 23]+5.65[Na 2O]+4.03[K 2O]+4.55[SnO 2]が0.55以下である、請求項1に記載の無アルカリガラス。
[請求項3]
 歪点が690℃以上であり、50~350℃での平均熱膨張係数が30×10 -7~45×10 -7/℃であり、ガラス粘度が10 2dPa・sとなる温度T 2が1710℃以下であり、ガラス粘度が10 4dPa・sとなる温度T 4が1350℃以下である、請求項1又は2に記載の無アルカリガラス。
[請求項4]
 コンパクションが50ppm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の無アルカリガラス。
[請求項5]
 波長300nmにおける板厚0.5mm換算の紫外線透過率が40%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の無アルカリガラス。
[請求項6]
 歪点が725℃以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の無アルカリガラス。
[請求項7]
 光弾性定数が31nm/MPa/cm以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の無アルカリガラス。
[請求項8]
 β-OH値が0.45mm -1以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の無アルカリガラス。
[請求項9]
 ガラス転移点が750℃以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載の無アルカリガラス。
[請求項10]
 比誘電率が5.6以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載の無アルカリガラス。
[請求項11]
 ヤング率が82GPa以上である、請求項1~10のいずれか一項に記載の無アルカリガラス。
[請求項12]
 ディスプレイ用基板ガラスである、請求項1~11のいずれか一項に記載の無アルカリガラス。
[請求項13]
 前記ディスプレイ用基板ガラスが、表面に金属ないし酸化物薄膜等を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の無アルカリガラス。
[請求項14]
 前記ディスプレイ用基板ガラスが、液晶表示装置用、有機EL装置、又は照明装置用である、請求項12又は13に記載の無アルカリガラス。

図面

[ 図 1]