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1. (WO2018025596) METHOD FOR PREPARING THERAPEUTIC AGENT
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明 細 書

発明の名称 治療剤の調製方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

非特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006  

発明の効果

0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021  

符号の説明

0022  

請求の範囲

1   2   3  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 治療剤の調製方法

技術分野

[0001]
 本発明は治療剤の調製方法に関し、より詳しくは、例えば肝不全や腎不全あるいは脳梗塞などの疾病の治療に用いる治療剤の調製方法に関する。

背景技術

[0002]
 従来、患者の骨髄液を採取し骨髄液中の間葉系幹細胞を患者の体内に戻すことにより、臓器や組織の治療を行うことが試みられている。例えば、肝不全の患者を治療するために、患者の骨髄液を採取してそれを洗浄・濃縮した後に患者の静脈に戻す治療方法が提案されており、さらに、その治療方法に用いる治療剤の調製方法も提案されている(例えば特許文献1)。
 特許文献1の調製方法においては、患者から400mLの骨髄液を採取して、それを洗浄・濃縮することで輸注用液(治療剤)を調製するようになっており、該輸注用液(治療剤)を患者の静脈に戻すことで治療効果を得るようになっている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特許第4752058号公報

非特許文献

[0004]
非特許文献1 : 生化学 第84巻、pp.707-711,2012

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 ところで、特許文献1の治療剤の調製方法においては、所要量(400mL)の骨髄液を採取するために患者に全身麻酔を施す必要があり、かつ、採取時間が長時間となるため、患者の身体的負担が大きいという問題があった。
 そこで、従来、患者から採取した少量(約30mL)の骨髄液を培養して、該培養した細胞を患者に戻すことにより、特許文献1と同等の治療効果を得るようにした治療方法が提案されている(非特許文献1)。この治療方法においては、患者から採取した骨髄液がウイルスに汚染されていないことが前提となるが、患者から採取した骨髄液の安全性に関して特に考慮されていなかった。そのため、仮に患者から採取した骨髄液がウイルスに汚染されていた場合には、その後の骨髄液の培養作業自体が無駄になるという問題があった。

課題を解決するための手段

[0006]
 上述した事情に鑑み、本発明は、人体から採取した細胞に、無菌状態に維持されたアイソレータ内で所要の処理を行ってから細胞を培養するようにした治療剤の調製方法であって、
 人体から採取した細胞を収容した採取容器をアイソレータ内に搬入する工程と、無菌状態のアイソレータ内で上記採取容器内の細胞を検査用容器と培養用容器に分注する工程と、細胞を収容した培養用容器をインキュベータ内へ搬入して細胞の培養を開始する工程と、上記検査用容器内の細胞に所要の検査を行う工程とを備えることを特徴とするものである。

発明の効果

[0007]
 このような構成によれば、人体から採取した細胞の安全性を検査することができるとともに、インキュベータ内で培養される細胞のコンタミネーションを確実に防止できる。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 本発明の一実施例を示す概略の構成図。
[図2] 図1に示したアイソレータシステムを用いた処理工程を示す図。

発明を実施するための形態

[0009]
 以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1において、1はアイソレータシステムであり、このアイソレータシステム1を用いて細胞を培養して肝不全の患者の治療剤の調製を行うとともに、患者から採取した骨髄液(細胞)の安全性を検査するようになっている。
 アイソレータシステム1は、内部が無菌状態に維持されて所要の作業が行われるアイソレータ2と、このアイソレータ2の側壁2Aに接続されたパスボックス3と、アイソレータ2に接離可能に設けられて、無菌状態の内部で細胞の培養を行うインキュベータ4とを備えている。
[0010]
 アイソレータ2の1つの側壁2Aには、開口部2Bが形成されるとともに、該開口部2Bを開閉する開閉扉2Cが設けられている。そして、上記開口部2Bおよび開閉扉2Cを外方から覆ってパスボックス3が側壁2Aに接続されている。上記開口部2Bと対向するパスボックス3の側壁に開口部3Aが形成されるとともに、該開口部3Aを開閉する開閉扉3Bが設けられている。
 パスボックス3の開閉扉3Bを開放させることで、開口部3Aを介して蓋付きチューブ等の容器やその他の器材をパスボックス3内に出し入れできるようになっており、容器等を搬入後に開閉扉3Bによって開口部3Aを閉鎖し、パスボックス3内で容器等の外面除染を行った後、アイソレータ2の開閉扉2Cを開放させることで、開口部2Bを介してパスボックス3からアイソレータ2に容器等を出し入れできるようになっている。
 パスボックス3と反対側となるアイソレータ2の側壁2Dにも開口部2Eが形成されるとともに、この開口部2Eを開閉する開閉扉2Fが設けられている。さらに、アイソレータ2の側壁2Dの外側には開口部2Eを覆ってインキュベータ4を気密を保持して接続するための接続口2Gが設けられている。インキュベータ4を接続口2Gの位置に接続した状態において、開口部2Eを介して容器等をアイソレータ2内からインキュベータ4内へまたはインキュベータ4内からアイソレータ2内へ搬入できるようになっている。
[0011]
 インキュベータ4の正面の壁部4Aには開口部4Bが形成されるとともに、外方側から上記開口部4Bを開閉する開閉扉4Cが設けられている。所要時にインキュベータ4全体をアイソレータ2の隣接位置まで移動させ、上記アイソレータ2の接続口2Gと連結することにより気密を保持して接続できるようになっている。
 そして、図1に示すようにインキュベータ4をアイソレータ2の接続口2Gの位置に接続した状態で開閉扉2F、4Cを開放させることで、アイソレータ2内とインキュベータ4内が接続口2Gを介して連通し、その状態において、培養容器としてのフラスコ5をアイソレータ2内からインキュベータ4内へ搬入するようになっている。
[0012]
 アイソレータ2の正面の側壁には、図示しない複数のグローブが設けられるとともに、内部を確認できる透明な窓が設けられている。そして、作業者が上記グローブに両手を差し込んで、アイソレータ2内で所要の作業を行うとともに、上記開閉扉2C、2Fの開閉作業及びパスボックス3からアイソレータ2内への容器や器材等の搬入出作業とアイソレータ2内からインキュベータ4内への容器の搬入作業等を行うようになっている。
 無菌作業室としてのアイソレータ2及びそれに接続されたパスボックス3内は、開閉扉2C、2F、3Bが閉鎖された状態または開閉扉2F、3Bが閉鎖され開閉扉2Cが開放された状態において所要時に図示しない除染装置によって除染ガスが供給されるようになっている。それによって、アイソレータ2とパスボックス3内が除染されて無菌状態に維持されるようになっている。
 また、インキュベータ4内も図示しない除染装置によって所要時に除染ガスが供給されるようになっており、開閉扉4Cが閉鎖された状態において除染ガスが供給されることによって、インキュベータ4内が除染されて無菌状態に維持されるようになっている。また、アイソレータ2とインキュベータ4を連結する際は、アイソレータ2の接続口2Gにインキュベータを連結し、開閉扉2F、4Cを閉鎖した状態で接続口2Gに除染ガスを導入して滅菌することにより、アイソレータ2とインキュベータ4を無菌的に接続することができる。
[0013]
 しかして、本実施例は、患者から培養すべき細胞として骨髄液10を採取し、それをアイソレータシステム1により培養して治療剤を調製するとともに、細胞の培養開始直後に骨髄液の安全性を検査するようにしたことが特徴である。
 すなわち、次のような作業工程により細胞の培養(治療剤の調製)と検査が行われる。
 先ず、病院内の手術室8において肝不全の患者の腸骨から30~50mLの骨髄液10を局所麻酔下で採取し、それを蓋付きの採取チューブ11(採取容器)に入れて上記アイソレータシステム1の設置場所まで搬送する(図1及び図2のS1、S2参照)。なお、上記特許文献1においては全身麻酔をした患者から400mLの骨髄液10を採取していたのに対して、本実施例では、採取量が少量(30~50mL程度)であるため、患者に局所麻酔を施した状態で骨髄液10を採取するようにしている。
 この後、アイソレータシステム1において、作業者は次のような手順で作業を行う。なお、骨髄液10を収容した採取チューブ11がアイソレータシステム1に搬送される前の段階において、図1に示すようにインキュベータ4は、アイソレータ2の接続部2Gの位置に無菌的に接続されている。また、各開閉扉2C、2F、4B、3Bは閉鎖されており、アイソレータ2、インキュベータ4及びパスボックス3内は除染ガスによって予め除染されて無菌状態となっている。また、アイソレータ2内には、予め所要の大きさの落下菌シャーレ12、蓋付きのチューブ13~15等の調製作業に必要な器材が搬入されており、それらの器材も除染ガス等によって予め除染されている。
[0014]
 この状態において、作業者は、先ず、パスボックス3の開閉扉3Bを開放し、開口部3Aを介してパスボックス3内に骨髄液10が入った採取チューブ11を搬入し、その後に開閉扉3Bを閉鎖する。この後、パスボックス3内に除染装置から除染ガスが供給されるので、採取チューブ11の外面が除染され、除染ガスのエアレーションが行われる(図1、図2のS3)。なお、除染ガスでの除染に限らず、採取チューブ11の外面をアルコールで清拭してもよい。
 この後、作業者は上記アイソレータ2のグローブに両手を差し込んで、アイソレータ2内で以下のような作業を行う。
[0015]
 先ず、開閉扉2Cを開放して、骨髄液10が入った採取チューブ11をパスボックス3からアイソレータ2内に搬入し、開閉扉2Cを閉鎖する(図1、図2のS4)。
 その後、アイソレータ2内にある1つの落下菌シャーレ12を右奥に置き、2つ目の落下菌シャーレ12を左奥に置き、それらの蓋をあける(図1)。
 次に、採取チューブ11内の骨髄液10を、容量10mLの蓋つきの複数本の検査用のチューブ13に1mLずつ分注する(図1、図2のS5)。これら骨髄液10をいれたチューブ13は、後述する骨髄液10の安全性等の検査の際に使用される。
 次に、容量75mLのチューブ14に上記採取チューブ11内の骨髄液10を分注し、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、HES(赤血球沈降剤)等を使用して赤血球を沈降させる(図2のS6)。
[0016]
 次に、アイソレータ2内に設置された図示しない遠心分離機により遠心して細胞含有成分を取り出し、50mLチューブ15にいれることにより間葉系幹細胞を分離する(図2のS7)。
 これにより、チューブ15内に、間葉系幹細胞(肝再生用骨髄細胞含有画分)が濃縮された濃縮液が作成されたことになる。
 この後、容量10mLのチューブ16に濃縮液を1mLいれる。これは、後述する検査の際にセルカウントを行うためである(図2のS8)。
 さらに、培地を入れた複数個のフラスコ5に残りの濃縮液を分注する(図2のS9)。これにより、複数個のフラスコ5内の培地に細胞が播種されたことになる。
[0017]
 この後、開閉扉2F,4Cを開放させた後、上記フラスコ5をアイソレータ2からインキュベータ4内に搬入した後に開閉扉2F、4Cを閉鎖する。これにより、インキュベータ4内でフラスコ5により骨髄液10の細胞の培養が開始される(図1、図2のS10)。
 他方、この直後に、アイソレータ2内において、最初に骨髄液10が1mLずつ分注された複数本のチューブ13の蓋と2つの落下菌シャーレ12、12の蓋を閉じる(図2のS11)。
 この後、アイソレータ2の開閉扉2Cを開放して、2つの落下菌シャーレ12、12、チューブ13及びセルカウント用のチューブ16をパスボックス3内に搬入する(図2のS12)。これらチューブ13内の骨髄液10と、チューブ16内の濃縮液は、後述する検査のウイルスチェック用、セルカウント用に使用するものである。
 次に、開閉扉2Cを閉鎖してからパスボックス3の開閉扉3Bを開放し、パスボックス3内の2つの落下菌シャーレ12、12およびウイルスチェック用とセルカウント用のチューブ13とチューブ16をパスボックス3の外部に取り出す(図1、図2のS13)。
[0018]
 そして、この後、パスボックス3の外部に取り出されたチューブ13内の骨髄液10及びチューブ16内の濃縮液に対して以下のような各種の検査が行われる(図2のS14)。
 先ず、チューブ13内の骨髄液10の外観検査が行われる。この外観検査は、作業者が目視によって外観に異常がないことを確認する。
次に、骨髄液10の細胞数について検査を行う。この検査は、自動血球計数装置にて測定するものであり、検査対象となるのは、チューブ13内の骨髄液10及びチューブ16の濃縮液である。なお、必要に応じて、改良ノウバウエル計算盤と顕微鏡で細胞数を計算する。
 さらに、Viability(生存率)について検査を行う。この検査は、改良ノウバウエル計算盤と顕微鏡を用いて、トリパンブルー染色法にて算出する。ここでの検査対象となるのは、チューブ13内の骨髄液10である。以上の検査は、インキュベータ4にフラスコ5を搬入して培養を開始した直後に行われる。
 また、チューブ13内の骨髄液10について、無菌検査を行う。この検査は、増菌培養法であり、専用の培養装置(BACTEC)により培養後、菌の検査を行うようになっている。
 次に、チューブ13の骨髄液10に対して比色法によりエンドトキシンの検査を行う。
[0019]
 本実施例においては、以上のような検査を行うようになっている。この検査の結果、患者から採取した骨髄液10、濃縮液の安全性について問題があると判定された場合には、インキュベータ4でのフラスコ5内の細胞の培養を中止し、フラスコ5をインキュベータ4から取り出して廃棄する(図2のS15)。
 他方、上記検査を行った結果、患者から採取した骨髄液10、濃縮液の安全性に問題がないと判定された場合には、上記インキュベータ4内でのフラスコ5による細胞の培養をそのまま継続する。
 そして、その後、インキュベータ4内での細胞の継代培養作業が完了することで、完成品としての治療剤(被培養物)が調製される。すると、該治療剤を収容した容器をインキュベータ4から取り出してから病院の手術室に持ち込んだ後に、治療剤を患者の静脈から体内に戻すようにしている。これにより、肝不全の患者の治療効果を得るようになっている(図2のS16)。
[0020]
 このような本実施例によれば、インキュベータ4内で培養される細胞と同等の検査用のサンプルを無菌状態のアイソレータ2内で作成することができる。そのため、インキュベータ4で培養されるフラスコ5内の細胞にコンタミネーションが生じるのを確実に防止することができる。また、インキュベータ4での細胞の培養開始直後に、上記検査用サンプルを使用して患者から採取した骨髄液10の安全性を確実に検査することができる。
 さらに、上記特許文献1の調製方法においては、患者に全身麻酔を掛けた状態において400mLの骨髄液を採取するため、患者の身体的負担が大きいという問題があった。これに対して、本実施例においては、患者に部分麻酔を施した状態で少量(30~50mL程度)の骨髄液10を採取すればよい。そのため、本実施例においては、従来と比較して骨髄液を採取する際の患者の身体的負担を軽減することができるとともに、骨髄液10の採取に要する時間も大幅に短縮することができる。
[0021]
 なお、上記実施例においては、検査用容器としてのチューブ13、16をパスボックス3を介して外部に取り出した後にチューブ13、16の骨髄液10、濃縮液に対して所要の検査を行っているが、アイソレータ2内でチューブ13、16内の骨髄液10等の安全性等の検査を行うことも可能である。
 また、上記実施例は、患者から採取した骨髄液10の細胞を培養する場合について説明しているが、骨髄液以外の人体から採取される細胞を培養する場合にも本発明を適用することも可能である。
 また、上記実施例では、検査項目としてセルカウント、生存率、無菌性等を例示したが、細胞の安全性を確認するその他の検査項目を設定することもできる。

符号の説明

[0022]
 1‥アイソレータシステム
 2‥アイソレータ
 4‥インキュベータ
 5‥フラスコ(培養用容器)
 10‥骨髄液(人体から採取された細胞)
 11‥採取チューブ(採取容器)
 13、16‥チューブ(検査用容器)
 14、15‥チューブ(培養用容器)

請求の範囲

[請求項1]
 人体から採取した細胞に、無菌状態に維持されたアイソレータ内で所要の処理を行ってから細胞を培養するようにした治療剤の調製方法であって、
 人体から採取した細胞を収容した採取容器をアイソレータ内に搬入する工程と、無菌状態のアイソレータ内で上記採取容器内の細胞を検査用容器と培養用容器に分注する工程と、細胞を収容した培養用容器をインキュベータ内へ搬入して細胞の培養を開始する工程と、上記検査用容器内の細胞に所要の検査を行う工程とを備えることを特徴とする治療剤の調製方法。
[請求項2]
 上記細胞を収容した採取容器は、上記アイソレータに接続されたパスボックスに搬入され、該パスボックス内で外面を除染された後にアイソレータ内に搬入されるようになっており、
 また、上記検査用容器をパスボックスを介してアイソレータの外部に取り出してから該検査用容器内の細胞に上記所要の検査を行うことを特徴とする請求項1に記載の治療剤の調製方法。
[請求項3]
 上記細胞は、非代償性肝硬変症患者から採取される骨髄液であって、
 上記採取容器から上記培養用容器に分注された細胞に赤血球沈降剤を加えて、赤血球を沈殿させた後に上清を回収する工程と、該回収された上清から肝再生用骨髄細胞含有画分を濃縮する工程と、濃縮された肝再生用骨髄細胞含有画分を別の培養用容器に分注する工程とを備え、該別の培養容器をインキュベータ内に搬入して細胞の培養を開始することを特徴とする請求項2に記載の治療剤の調製方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]