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1. (WO2017170221) VINYL CHLORIDE RESIN COMPOSITION, VINYL CHLORIDE RESIN MOLDED BODY, AND LAMINATE
Document

明 細 書

発明の名称 塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体、及び積層体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017  

発明の効果

0018  

発明を実施するための形態

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073  

実施例

0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088  

産業上の利用可能性

0089  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体、及び積層体

技術分野

[0001]
 本発明は、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体、及び、積層体に関するものである。

背景技術

[0002]
 塩化ビニル樹脂は、一般的に、耐寒性、耐熱性、耐油性などの特性に優れているため、種々の用途に用いられている。具体的には、塩化ビニル樹脂は、例えば、自動車インスツルメントパネルの表皮等を形成する際に使用されている。ここで、自動車インスツルメントパネルは、発泡ポリウレタン層が、塩化ビニル樹脂の成形体からなる表皮等と基材との間に設けられた積層構造を有している。そして、自動車インスツルメントパネルの表皮を構成する塩化ビニル樹脂成形体には、様々な性能が求められている。
[0003]
 そこで、近年では、例えば、自動車インスツルメントパネルの製造に好適に用い得る、塩化ビニル樹脂組成物および塩化ビニル樹脂成形体の改良が試みられている。例えば、近年では、塩化ビニル樹脂成形体の柔軟性を制御するため、比較的多量の可塑剤が塩化ビニル樹脂組成物に含有されるようになってきた。これは、塩化ビニル樹脂を粉体成形して得られる塩化ビニル樹脂成形体は、成形時に比較的高い温度に曝されるために柔軟性が損なわれやすいためである。
[0004]
 ところで、特許文献1には、塩化ビニル系樹脂100重量部、脂肪酸アミド0.3~3重量部、オルガノポリシロキサン0.1~3重量部および可塑剤20~200重量部からなる粉末成形用塩化ビニル系樹脂組成物が開示されている。特許文献1によると、脂肪酸アミド及びオルガノポリシロキサンを併せ配合することで、粉末成形品の摩擦係数を低減し、かつ、発泡ポリウレタンとの接着性の良い塩化ビニル樹脂組成物が得られる。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開平8-291243号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 前述のとおり近年では、塩化ビニル樹脂組成物に含有される可塑剤の含有量が比較的多くなった。ところで、可塑剤の含有量が増えると、塩化ビニル樹脂成形体の表面がべた付きやすくなる。自動車インスツルメントパネルは搭乗者に触れられる部位であるため、過剰なべた付きは触感の悪化に繋がる。表面べた付き性を一つの指標のみで正確に評価することは難しいものの、塩化ビニル樹脂成形体の動摩擦係数を用いることで、ある程度正確に表面べた付き性を定量評価することができる。
[0007]
 なお、特許文献1に記載の粉末成形品において着目された摩擦は、車両走行時の塩化ビニル系樹脂組成物と、他の車両内装材料との擦れ音及び軋み音である。特許文献1に記載の技術を用いても、塩化ビニル樹脂成形体の表面べた付き性を十分に抑制することはできない。
[0008]
 そこで、本発明は、得られる塩化ビニル樹脂成形体の表面べた付き性を抑制することのできる塩化ビニル樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、表面べた付き性を抑制した塩化ビニル樹脂成形体、および、当該塩化ビニル樹脂成形体を有する積層体を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、塩化ビニル樹脂に所定の変性シリコーンオイルを配合した塩化ビニル樹脂組成物を用いることで、成形後の塩化ビニル樹脂成形体の表面べた付き性を顕著に抑制できることを見出した。そして、本発明者は上記知見に基づき、本発明を完成させた。
[0010]
 即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものである。本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、(a)塩化ビニル樹脂と、(b)可塑剤と、(c)変性シリコーンオイルと、を含み、前記(c)変性シリコーンオイルは、ハイドロジェン変性、フェニル変性、アルキル・アラルキル変性及び脂肪酸アミド変性からなる群から選ばれる少なくとも1種以上で変性した変性シリコーンオイルであることを特徴とする。このような変性シリコーンオイルを配合した塩化ビニル樹脂組成物を用いることで、塩化ビニル樹脂成形体の表面のべた付きを抑制しすることができる。
[0011]
 また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物において、前記(c)変性シリコーンオイルは、少なくとも側鎖型の変性シリコーンオイルであることが好ましい。このような変性シリコーンオイルを用いることで、塩化ビニル樹脂成形体の表面べた付き性をより確実に抑制することができる。
[0012]
 また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物において、前記(c)変性シリコーンオイルの含有量が、前記(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.05質量部以上5質量部以下であることが好ましい。変性シリコーンオイルの含有量をこの範囲とすることで、塩化ビニル樹脂成形体の表面のべた付きをより確実に抑制することができる。
[0013]
 更に、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、粉体成形に用いられることが好ましい。塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形に用いれば、例えば、自動車インスツルメントパネルなどに利用される塩化ビニル樹脂成形体等の形成に、塩化ビニル樹脂組成物をより好適に使用することができるからである。
[0014]
 そして、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、パウダースラッシュ成形に用いられることが好ましい。塩化ビニル樹脂組成物をパウダースラッシュ成形に用いれば、例えば、自動車インスツルメントパネルなどに利用される塩化ビニル樹脂成形体等の形成に、塩化ビニル樹脂組成物を更に好適に使用することができるからである。
[0015]
 また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、上述したいずれかの塩化ビニル樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。上記塩化ビニル樹脂組成物を用いて塩化ビニル樹脂成形体を形成すれば、表面べた付き性を抑制することができる。
[0016]
 ここで、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、自動車インスツルメントパネル表皮用であることが好ましい。本発明の塩化ビニル樹脂成形体を自動車インスツルメントパネルの表皮として用いれば、当該表皮の表面べた付き性が抑制されているため、良好な触感が得られる。
[0017]
 更に、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の積層体は、発泡ポリウレタン成形体と、上述したいずれかの塩化ビニル樹脂成形体とを有することを特徴とする。発泡ポリウレタン成形体および上述の塩化ビニル樹脂成形体を用いて積層体とすれば、当該積層体を自動車用インスツルメントパネルに良好に使用し得る。

発明の効果

[0018]
 本発明によれば、塩化ビニル樹脂成形体の表面べた付き性を抑制することのできる塩化ビニル樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、表面べた付き性が抑制された塩化ビニル樹脂成形体、および、当該塩化ビニル樹脂成形体を有する積層体を提供することができる。

発明を実施するための形態

[0019]
 以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
 本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、例えば、本発明の塩化ビニル樹脂成形体を形成する際に用いることができる。また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体は、例えば、当該塩化ビニル樹脂成形体を有する本発明の積層体の製造に用いることができる。そして、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、例えば、自動車インスツルメントパネルの表皮用など、自動車内装材用として好適に用いることができる。
[0020]
(塩化ビニル樹脂組成物)
 本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、(a)塩化ビニル樹脂と、(b)可塑剤と、(c)変性シリコーンオイルと、を含み、(c)変性シリコーンオイルは、ハイドロジェン変性、フェニル変性、アルキル・アラルキル変性及び脂肪酸アミド変性からなる群から選ばれる少なくとも1種以上で変性した変性シリコーンオイルであることを特徴とする。また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、上記成分に加え、任意に、添加剤などを更に含有しても良い。そして、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、上記所定の成分を含み、かつ、上記所定の変性シリコーンオイルを含むため、得られる塩化ビニル樹脂成形体の表面べた付き性を抑制することができる。その結果、例えば当該塩化ビニル樹脂成形体を自動車インスツルメントパネルの表皮として採用した際に、当該表皮の表面べた付き性が抑制されているため、良好な触感が得られる。
[0021]
<(a)塩化ビニル樹脂>
 ここで、塩化ビニル樹脂組成物に用いられる(a)塩化ビニル樹脂としては、例えば、1種類又は2種類以上の塩化ビニル樹脂粒子を含有することができ、任意に、1種類又は2種類以上の塩化ビニル樹脂微粒子を更に含有することができる。中でも、(a)塩化ビニル樹脂は、少なくとも塩化ビニル樹脂粒子を含有することが好ましく、塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子を含有することがより好ましく、1種類の塩化ビニル樹脂粒子および2種類の塩化ビニル樹脂微粒子を含有することが更に好ましい。
 なお、本明細書において、「樹脂粒子」とは、粒子径が30μm以上の粒子を指し、「樹脂微粒子」とは、粒子径が30μm未満の粒子を指す。
 また、(a)塩化ビニル樹脂は、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法など、従来から知られているいずれの製造法によっても製造され得る。
[0022]
<<組成>>
 (a)塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニル単量体単位からなる単独重合体の他、塩化ビニル単量体単位を好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有する塩化ビニル系共重合体が挙げられる。塩化ビニル系共重合体を構成し得る、塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体(共単量体)の具体例としては、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;塩化アリル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、三フッ化塩化エチレンなどのハロゲン化オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;イソブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリル-3-クロロ-2-オキシプロピルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのアリルエーテル類;アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、そのエステルまたはその酸無水物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアクリルアミド類;アリルアミン安息香酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどのアリルアミンおよびその誘導体類;などが挙げられる。以上に例示される単量体は、共単量体の一部に過ぎず、共単量体としては、近畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日刊工業新聞社(1988年)第75~104頁に例示されている各種単量体が使用され得る。これらの共単量体は、1種のみを用いても良く、2種以上を用いても良い。なお、上記(a)塩化ビニル樹脂には、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、塩素化ポリエチレンなどの樹脂に、(1)塩化ビニルまたは(2)塩化ビニルと前記共単量体とがグラフト重合された樹脂も含まれる。
 ここで、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
[0023]
<<塩化ビニル樹脂粒子>>
 塩化ビニル樹脂組成物において、塩化ビニル樹脂粒子は、通常、マトリックス樹脂(基剤)として機能する。なお、塩化ビニル樹脂粒子は、懸濁重合法により製造することが好ましい。
[0024]
[平均重合度]
 ここで、塩化ビニル樹脂粒子の平均重合度は、500以上が好ましく、700以上がより好ましく、900以上が更に好ましく、5000以下が好ましく、3000以下がより好ましく、2500以下が更に好ましく、1500以下が一層好ましい。塩化ビニル樹脂粒子の平均重合度が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の物理的強度を十分確保しつつ引張伸びをより良好にできるからである。また、塩化ビニル樹脂粒子の平均重合度が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂成形体の溶融性を向上させ、表面平滑性を向上できるからである。
 なお、本発明において「平均重合度」は、JIS K6720-2に準拠して測定することができる。
[0025]
[平均粒子径]
 また、塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径は、30μm以上であれば、特に限定されなることなく、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、500μm以下が好ましく、250μm以下がより好ましく、200μm以下が更に好ましい。塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性がより向上するからである。また、塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物の溶融性がより向上すると共に、当該組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の平滑性をより向上させることができるからである。
 なお、本発明において、「平均粒子径」は、JIS Z8825に準拠し、レーザー回折法により体積平均粒子径として測定することができる。
[0026]
[含有割合]
 そして、(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂粒子の含有割合は、(a)塩化ビニル樹脂100質量%に対して通常、70質量%以上であり、70質量%超であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、100質量%とすることができ、100質量%未満であり、99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましく、92質量%以下であることが更に好ましい。
(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂粒子の含有割合が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の物理的強度を十分確保しつつ引張伸びをより良好にできるからである。また、(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂粒子の含有割合が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性が更に向上するからである。
[0027]
<<塩化ビニル樹脂微粒子>>
 塩化ビニル樹脂組成物において、塩化ビニル樹脂微粒子は、通常、ダスティング剤(粉体流動性改良剤)として機能する。なお、塩化ビニル樹脂微粒子は、乳化重合法により製造することが好ましい。
[0028]
[平均重合度]
 ここで、塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度は、500以上が好ましく、700以上がより好ましく、900以上が更に好ましく、5000以下が好ましく、3000以下がより好ましく、2500以下が更に好ましく、1500以下が一層好ましい。そして、例えば、ダスティング剤として異なる平均重合度を有する2種類の塩化ビニル樹脂微粒子を併用する場合は、一方の塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度を500以上1000以下とし;他方の塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度を1400以上2200以下とする:等、適宜選択することができる。ダスティング剤としての塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度が上記下限以上であれば、当該組成物を用いて得られる成形体の柔軟性及び耐熱老化性(引張特性)がより良好になるからである。
[0029]
[平均粒子径]
 また、塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径は、通常30μm未満であり、10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上であることが好ましい。塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径が上記下限以上であれば、例えばダスティング剤としてのサイズを過度に小さくすることなく、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性を更に良好に発揮できるからである。また、塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物の溶融性がより高まり、形成される塩化ビニル樹脂成形体の平滑性を更に向上させることができるからである。
[0030]
[含有割合]
 そして、(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂微粒子の含有割合は、(a)塩化ビニル樹脂100質量%に対して1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、0質量%であっても良い。(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂微粒子の含有割合が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性が更に向上するからである。また、(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂微粒子の含有割合が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の物理的強度をより高めることができるからである。
[0031]
<(b)可塑剤>
 本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、(a)塩化ビニル樹脂の含有量に対して(b)可塑剤を更に含むことを特徴とする。
[0032]
<<含有量>>
 ここで、(b)可塑剤の含有量は、(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して80質量部以上であることが好ましく、85質量部以上であることがより好ましく、90質量部以上であることが更に好ましく、200質量部以下であることが好ましく、150質量部以下であることがより好ましく、100質量部以下であることが更に好ましい。(b)可塑剤の含有量が上記範囲内にあれば、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の良好な引張伸びを確保することができる。なお、(b)可塑剤の含有量を上記下限以上配合した場合には成形体表面のべた付きの問題が生じやすくなるが、本発明では後述する所定の(c)変性シリコーンオイルを配合しているので、成形体表面のべた付きを抑制することができる。また、(b)可塑剤の含有量が上記上限以下であれば、形成された塩化ビニル樹脂成形体表面のべた付きをより抑制することができる。
[0033]
<<種類>>
 ここで、(b)可塑剤の具体例としては、以下の一次可塑剤及び二次可塑剤などが挙げられる。
 いわゆる一次可塑剤としては、トリメリット酸トリメチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸トリ-n-プロピル、トリメリット酸トリ-n-ブチル、トリメリット酸トリ-n-ペンチル、トリメリット酸トリ-n-ヘキシル、トリメリット酸トリ-n-ヘプチル、トリメリット酸トリ-n-オクチル、トリメリット酸トリ-n-ノニル、トリメリット酸トリ-n-デシル、トリメリット酸トリ-n-ウンデシル、トリメリット酸トリ-n-ドデシル、トリメリット酸トリ-n-トリデシル、トリメリット酸トリ-n-テトラデシル、トリメリット酸トリ-n-ペンタデシル、トリメリット酸トリ-n-ヘキサデシル、トリメリット酸トリ-n-ヘプタデシル、トリメリット酸トリ-n-ステアリル、トリメリット酸トリ-n-アルキルエステル(ここで、トリメリット酸トリ-n-アルキルエステルが有するアルキル基の炭素数は一分子中で互いに異なっていても良い。)などの、エステルを構成するアルキル基が直鎖状である直鎖状トリメリット酸エステル〔なお、これらのトリメリット酸エステルは、単一化合物からなるものであっても、混合物であってもよい。〕;
 トリメリット酸トリ-i-プロピル、トリメリット酸トリ-i-ブチル、トリメリット酸トリ-i-ペンチル、トリメリット酸トリ-i-ヘキシル、トリメリット酸トリ-i-ヘプチル、トリメリット酸トリ-i-オクチル、トリメリット酸トリ-(2-エチルヘキシル)、トリメリット酸トリ-i-ノニル、トリメリット酸トリ-i-デシル、トリメリット酸トリ-i-ウンデシル、トリメリット酸トリ-i-ドデシル、トリメリット酸トリ-i-トリデシル、トリメリット酸トリ-i-テトラデシル、トリメリット酸トリ-i-ペンタデシル、トリメリット酸トリ-i-ヘキサデシル、トリメリット酸トリ-i-ヘプタデシル、トリメリット酸トリ-i-オクタデシル、トリメリット酸トリアルキルエステル(ここで、トリメリット酸トリアルキルエステルが有するアルキル基の炭素数は一分子中で互いに異なっていても良い。)などの、エステルを構成するアルキル基が分岐状である分岐状トリメリット酸エステル〔なお、これらのトリメリット酸エステルは、単一化合物からなるものであっても、混合物であってもよい。〕;
 ピロメリット酸テトラメチル、ピロメリット酸テトラエチル、ピロメリット酸テトラ-n-プロピル、ピロメリット酸テトラ-n-ブチル、ピロメリット酸テトラ-n-ペンチル、ピロメリット酸テトラ-n-ヘキシル、ピロメリット酸テトラ-n-ヘプチル、ピロメリット酸テトラ-n-オクチル、ピロメリット酸テトラ-n-ノニル、ピロメリット酸テトラ-n-デシル、ピロメリット酸テトラ-n-ウンデシル、ピロメリット酸テトラ-n-ドデシル、ピロメリット酸テトラ-n-トリデシル、ピロメリット酸テトラ-n-テトラデシル、ピロメリット酸テトラ-n-ペンタデシル、ピロメリット酸テトラ-n-ヘキサデシル、ピロメリット酸テトラ-n-ヘプタデシル、ピロメリット酸テトラ-n-ステアリル、ピロメリット酸テトラ-n-アルキルエステル(ここで、ピロメリット酸テトラ-n-アルキルエステルが有するアルキル基の炭素数は一分子中で互いに異なっていても良い。)などの、エステルを構成するアルキル基が直鎖状である直鎖状ピロメリット酸エステル〔なお、これらのピロメリット酸エステルは、単一化合物からなるものであっても、混合物であってもよい。〕;
 ピロメリット酸テトラ-i-プロピル、ピロメリット酸テトラ-i-ブチル、ピロメリット酸テトラ-i-ペンチル、ピロメリット酸テトラ-i-ヘキシル、ピロメリット酸テトラ-i-ヘプチル、ピロメリット酸テトラ-i-オクチル、ピロメリット酸テトラ-(2-エチルヘキシル)、ピロメリット酸テトラ-i-ノニル、ピロメリット酸テトラ-i-デシル、ピロメリット酸テトラ-i-ウンデシル、ピロメリット酸テトラ-i-ドデシル、ピロメリット酸テトラ-i-トリデシル、ピロメリット酸テトラ-i-テトラデシル、ピロメリット酸テトラ-i-ペンタデシル、ピロメリット酸テトラ-i-ヘキサデシル、ピロメリット酸テトラ-i-ヘプタデシル、ピロメリット酸テトラ-i-オクタデシル、ピロメリット酸テトラアルキルエステル(ここで、ピロメリット酸テトラアルキルエステルが有するアルキル基の炭素数は一分子中で互いに異なっていても良い。)などの、エステルを構成するアルキル基が分岐状である分岐状ピロメリット酸エステル〔なお、これらのピロメリット酸エステルは、単一化合物からなるものであっても、混合物であってもよい。〕;
 ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ-(2-エチルヘキシル)フタレート、ジ-n-オクチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレートなどのフタル酸誘導体;
 ジメチルイソフタレート、ジ-(2-エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレートなどのイソフタル酸誘導体;
 ジ-(2-エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ-n-オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレートなどのテトラヒドロフタル酸誘導体;
 ジ-n-ブチルアジペート、ジ(2-エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソノニルアジペートなどのアジピン酸誘導体;
 ジ-(2-エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジ-n-ヘキシルアゼレートなどのアゼライン酸誘導体;
 ジ-n-ブチルセバケート、ジ-(2-エチルヘキシル)セバケート、ジイソデシルセバケート、ジ-(2-ブチルオクチル)セバケートなどのセバシン酸誘導体;
 ジ-n-ブチルマレエート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジ-(2-エチルヘキシル)マレエートなどのマレイン酸誘導体;
 ジ-n-ブチルフマレート、ジ-(2-エチルヘキシル)フマレートなどのフマル酸誘導体;
 トリエチルシトレート、トリ-n-ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ-(2-エチルヘキシル)シトレートなどのクエン酸誘導体;
 モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ-(2-エチルヘキシル)イタコネートなどのイタコン酸誘導体;
 ブチルオレエート、グリセリルモノオレエート、ジエチレングリコールモノオレエートなどのオレイン酸誘導体;
 メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレートなどのリシノール酸誘導体;
 n-ブチルステアレート、ジエチレングリコールジステアレートなどのステアリン酸誘導体(但し、12-ヒドロキシステアリン酸エステルを除く);
 ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどのその他の脂肪酸誘導体;
 トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ-(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェートなどのリン酸誘導体;
 ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ-(2-エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ-(2-エチルヘキソエート)、ジブチルメチレンビスチオグリコレートなどのグリコール誘導体;
 グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレートなどのグリセリン誘導体;
 エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシルなどのエポキシ誘導体;
 アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステルなどのポリエステル系可塑剤;
などが挙げられる。
[0034]
 また、いわゆる二次可塑剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化植物油;塩素化パラフィン、トリエチレングリコールジカプリレートなどのグリコールの脂肪酸エステル、ブチルエポキシステアレート、フェニルオレエート、ジヒドロアビエチン酸メチルなどが挙げられる。
[0035]
 なお、これらの可塑剤は、1種のみを用いても良く、例えば、一次可塑剤、二次可塑剤などの2種以上を併用しても良い。また、二次可塑剤を用いる場合は、当該二次可塑剤と等質量以上の一次可塑剤を併用することが好ましい。
 そして、上述した可塑剤の中でも、良好な引張伸びを得る観点からは、トリメリット酸エステル及び/又はピロメリット酸エステルを用いることが好ましく、トリメリット酸エステルを用いることがより好ましく、直鎖状トリメリット酸エステルを用いることが更に好ましく、炭素数が異なるアルキル基を分子内に2つ以上有する直鎖状トリメリット酸エステルを用いることが一層好ましい。また、当該アルキル基の炭素数は8~10であることが好ましく、当該アルキル基がn-オクチル基、n-デシル基であることがより好ましい。そして、上記トリメリット酸エステルと共にエポキシ化大豆油を更に用いることが好ましい。
[0036]
 ここで、(b)可塑剤の形態は特に限定されないが、(a)塩化ビニル樹脂との混合容易性の観点から、また、形成された塩化ビニル樹脂成形体表面でのブルーミング発生(成形体表面に配合成分が折出し、表面が白くなる現象)を抑制する観点からは、常温で液体であることが好ましい。
[0037]
<(c)変性シリコーンオイル>
 本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、上述した(a)塩化ビニル樹脂および(b)可塑剤に加え、所定の(c)変性シリコーンオイルを含むことを特徴とする。
[0038]
 ここで、上記(c)変性シリコーンオイルは、ハイドロジェン変性、フェニル変性、アルキル・アラルキル変性及び脂肪酸アミド変性からなる群から選ばれる少なくとも1種以上で変性した変性シリコーンオイルである。これらの変性シリコーンオイルを含む塩化ビニル樹脂組成物を用いることで、成形後の塩化ビニル樹脂成形体の表面べた付き性を抑制することができる。なお、(c)変性シリコーンオイルは、ハイドロジェン変性、フェニル変性、アルキル・アラルキル変性及び脂肪酸アミド変性のいずれかで変性していれば、ポリシロキサン構造を有する高分子内で他の変性があってもよい。また、(c)変性シリコーンオイルは、2種以上の変性シリコーンオイルを含んでもよい。
[0039]
 なお、本明細書において、「変性シリコーンオイル」とは、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーのシリコーンオイルにおいて、側鎖及び/又は末端のメチル基が、所定の有機基と置換されたものを指す。ここで言う「有機基」には、ハイドロジェン基も含まれることとする。なお、変性シリコーンオイルは、導入する有機基の性質によって反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルとに大別される。
[0040]
<<種類>>
 (c)シリコーンオイルとしては、上述した変性シリコーンオイルであれば特に制限されることなく、反応性シリコーンオイルであっても良く、非反応性シリコーンオイルであっても良く、これらの混合物であっても良い。
 非反応性の変性シリコーンオイルとしては、フェニル基、アルキル基、アラルキル基、脂肪酸アミド基等の極性基がポリシロキサン構造を有する高分子に導入されている極性基変性シリコーンオイル;反応性の変性シリコーンオイルとしては、ハイドロジェン基がポリシロキサン構造を有する高分子に導入されている非極性基変性シリコーンオイル;等が挙げられる。
 このような非反応性の変性シリコーンオイルとして、フェニル変性のメチルフェニルシリコーンオイル、アルキル・アラルキル変性のアルキル・アラルキル変性シリコーンオイル、脂肪酸アミド変性の脂肪酸アミド変性シリコーンオイルを例示することができる。また、反応性の変性シリコーンオイルとして、ハイドロジェン変性のメチルハイドロジェンシリコーンオイルを例示することができる。なお、上述のアルキル変性および脂肪酸アミド変性のアルキル鎖の炭素数は特に制限されず、50以下とすることができる。
[0041]
 なお、上記極性基又は非極性基が導入される部位は、ポリシロキサン構造を有する高分子の末端(片末端、両末端)及び/又は側鎖であり、いずれの位置で変性されていても構わない。ただし、成形後の塩化ビニル樹脂成形体の表面べた付き性をより確実に抑制するため、ポリシロキサン構造を有する高分子の側鎖が少なくとも変性された、少なくとも側鎖型の変性シリコーンオイルであることが好ましい。このような、側鎖型の変性シリコーンオイルは、ポリシロキサン構造を有する高分子の側鎖のみが変性されていてもよいし、側鎖に加えて、片末端又は両末端が変性されていてもよい。
[0042]
<<含有量>>
 ここで、上記効果をより確実に得るため、(c)変性シリコーンオイルの含有量は、(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.05質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上3質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以上2質量部以下であることが特に好ましい。また、(c)変性シリコーンオイルの含有量が、(b)可塑剤100質量部に対して0.05質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上3質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以上2質量部以下であることが特に好ましい。
[0043]
<添加剤>
 本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、上述した成分以外に、各種添加剤を更に含有してもよい。添加剤としては、特に限定されることなく、過塩素酸処理ハイドロタルサイト、ゼオライト、β-ジケトン、脂肪酸金属塩などの安定剤;離型剤;上記塩化ビニル樹脂微粒子以外のダスティング剤;及びその他の添加剤;などが挙げられる。
[0044]
<<過塩素酸処理ハイドロタルサイト>>
 塩化ビニル樹脂組成物が含有し得る、過塩素酸処理ハイドロタルサイトは、例えば、ハイドロタルサイトを過塩素酸の希薄水溶液中に加えて撹拌し、その後必要に応じて、ろ過、脱水または乾燥することによって、ハイドロタルサイト中の炭酸アニオン(CO 2-)の少なくとも一部を過塩素酸アニオン(ClO )で置換(炭酸アニオン1モルにつき過塩素酸アニオン2モルが置換)することにより、過塩素酸一部導入型ハイドロタルサイトとして容易に製造することができる。上記ハイドロタルサイトと上記過塩素酸とのモル比は任意に設定できるが、一般には、ハイドロタルサイト1モルに対し、過塩素酸0.1モル以上2モル以下が好ましい。
[0045]
 ここで、未処理(過塩素酸アニオンを一部導入していない未置換)のハイドロタルサイト中の炭酸アニオンの過塩素酸アニオンへの置換率は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは85モル%以上である。また、未処理(過塩素酸アニオンを一部導入していない未置換)のハイドロタルサイト中の炭酸アニオンの過塩素酸アニオンへの置換率は、好ましくは95モル%以下である。未処理(過塩素酸アニオンを一部導入していない未置換)のハイドロタルサイト中の炭酸アニオンの過塩素酸アニオンへの置換率が上記の範囲内にあることにより、塩化ビニル樹脂成形体をより容易に製造することができるからである。
[0046]
 なお、ハイドロタルサイトは、一般式:[Mg 1-xAl (OH) ] x+[(CO ) x/2・mH O] x-で表される不定比化合物であり、プラスに荷電した基本層[Mg 1-xAl (OH) ] x+と、マイナスに荷電した中間層[(CO ) x/2・mH O] x-とからなる層状の結晶構造を有する無機物質である。ここで、上記一般式中、xは0より大きく0.33以下の範囲の数である。天然のハイドロタルサイトは、Mg Al (OH) 16CO ・4H Oである。合成されたハイドロタルサイトとしては、Mg 4.5Al (OH) 13CO ・3.5H Oが市販されている。合成ハイドロタルサイトの合成方法は、例えば特公昭61-174270号公報に記載されている。
[0047]
 ここで、過塩素酸処理ハイドロタルサイトの含有量は、特に制限されることなく、上記(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、7質量部以下が好ましく、6質量部以下がより好ましい。過塩素酸処理ハイドロタルサイトの含有量が上記範囲であれば、塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体に、成形体の引張伸びをより良好に維持することができるからである。
[0048]
<<ゼオライト>>
 塩化ビニル樹脂組成物は、ゼオライトを安定剤として含有し得る。ゼオライトは、一般式:M x/n・[(AlO ・(SiO ]・zH O(一般式中、Mは原子価nの金属イオン、x+yは単子格子当たりの四面体数、zは水のモル数である)で表される化合物である。当該一般式中のMの種類としては、Na、Li、Ca、Mg、Znなどの一価又は二価の金属及びこれらの混合型が挙げられる。
[0049]
 ここで、ゼオライトの含有量は、特に制限されることなく、(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、5質量部以下が好ましい。
[0050]
<<β-ジケトン>>
 β-ジケトンは、塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形して得られる塩化ビニル樹脂成形体の初期色調の変動をより効果的に抑えるために用いられる。β-ジケトンの具体例としては、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタンなどが挙げられる。これらのβ-ジケトンは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0051]
 なお、β-ジケトンの含有量は、特に制限されることなく、(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、5質量部以下が好ましい。
[0052]
<<脂肪酸金属塩>>
 塩化ビニル樹脂組成物が含有し得る脂肪酸金属塩は、特に制限されることなく、任意の脂肪酸金属塩とすることができる。中でも、一価脂肪酸金属塩が好ましく、炭素数12~24の一価脂肪酸金属塩がより好ましく、炭素数15~21の一価脂肪酸金属塩が更に好ましい。脂肪酸金属塩の具体例としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸バリウム、2-エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸バリウム、リシノール酸亜鉛等である。脂肪酸金属塩を構成する金属としては、多価陽イオンを生成しうる金属が好ましく、2価陽イオンを生成しうる金属がより好ましく、周期表第3周期~第6周期の、2価陽イオンを生成しうる金属が更に好ましく、周期表第4周期の、2価陽イオンを生成しうる金属が特に好ましい。最も好ましい脂肪酸金属塩はステアリン酸亜鉛である。
[0053]
 ここで、脂肪酸金属塩の含有量は、特に制限されることなく、上記(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.03質量部以上がより好ましく、5質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましく、0.5質量部以下が更に好ましい。脂肪酸金属塩の含有量が上記範囲であれば、塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体の色差の値を小さくできるからである。
[0054]
<<離型剤>>
 離型剤としては、特に制限されることなく、例えば、12-ヒドロキシステアリン酸エステルおよび12-ヒドロキシステアリン酸オリゴマーなどの12-ヒドロキシステアリン酸系潤滑剤が挙げられる。ここで、離型剤の含有量は、特に制限されることなく、上記(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下とすることができる。
[0055]
<<その他のダスティング剤>>
 塩化ビニル樹脂組成物が含有し得る、上記塩化ビニル樹脂微粒子以外の、その他のダスティング剤としては、炭酸カルシウム、タルク、酸化アルミニウムなどの無機微粒子;ポリアクリロニトリル樹脂微粒子、ポリ(メタ)アクリレート樹脂微粒子、ポリスチレン樹脂微粒子、ポリエチレン樹脂微粒子、ポリプロピレン樹脂微粒子、ポリエステル樹脂微粒子、ポリアミド樹脂微粒子などの有機微粒子;が挙げられる。中でも、平均粒径が10nm以上100nm以下の無機微粒子が好ましい。
[0056]
 ここで、その他のダスティング剤の含有量は、特に制限されることなく、(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、10質量部以上とすることができる。その他のダスティング剤は、1種類を単独で、又は2種類以上を併用しても良く、また、上述した塩化ビニル樹脂微粒子と併用してもよい。
[0057]
<<その他の添加剤>>
 塩化ビニル樹脂組成物が含有し得るその他の添加剤としては、特に制限されることなく、例えば、着色剤(顔料)、耐衝撃性改良剤、過塩素酸処理ハイドロタルサイト以外の過塩素酸化合物(過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等)、酸化防止剤、防カビ剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、光安定剤、発泡剤等が挙げられる。
[0058]
 着色剤(顔料)の具体例は、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ポリアゾ縮合顔料、イソインドリノン系顔料、銅フタロシアニン系顔料、チタンホワイト、カーボンブラックである。1種又は2種以上の顔料が使用され得る。
 キナクリドン系顔料は、p-フェニレンジアントラニル酸類が濃硫酸で処理されて得られ、黄みの赤から赤みの紫の色相を示す。キナクリドン系顔料の具体例は、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンバイオレットである。
 ペリレン系顔料は、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸無水物と芳香族第一級アミンとの縮合反応により得られ、赤から赤紫、茶色の色相を示す。ペリレン系顔料の具体例は、ペリレンレッド、ペリレンオレンジ、ペリレンマルーン、ペリレンバーミリオン、ペリレンボルドーである。
 ポリアゾ縮合顔料は、アゾ色素が溶剤中で縮合されて高分子量化されて得られ、黄、赤系顔料の色相を示す。ポリアゾ縮合顔料の具体例は、ポリアゾレッド、ポリアゾイエロー、クロモフタルオレンジ、クロモフタルレッド、クロモフタルスカーレットである。
 イソインドリノン系顔料は、4,5,6,7-テトラクロロイソインドリノンと芳香族第一級ジアミンとの縮合反応により得られ、緑みの黄色から、赤、褐色の色相を示す。イソインドリノン系顔料の具体例は、イソインドリノンイエローである。
 銅フタロシアニン系顔料は、フタロシアニン類に銅を配位した顔料で、黄みの緑から鮮やかな青の色相を示す。銅フタロシアニン系顔料の具体例は、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルーである。
 チタンホワイトは、二酸化チタンからなる白色顔料で、隠蔽力が大きく、アナタース型とルチル型がある。
 カーボンブラックは、炭素を主成分とし、酸素、水素、窒素を含む黒色顔料である。カーボンブラックの具体例は、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、ボーンブラックである。
[0059]
 耐衝撃性改良剤の具体例は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、クロロスルホン化ポリエチレンなどである。塩化ビニル樹脂組成物では、1種又は2種以上の耐衝撃性改良剤が使用できる。なお、耐衝撃性改良剤は、塩化ビニル樹脂組成物中で微細な弾性粒子の不均一相となって分散する。塩化ビニル樹脂組成物では、当該弾性粒子にグラフト重合した鎖及び極性基が(a)塩化ビニル樹脂と相溶し、塩化ビニル樹脂組成物の耐衝撃性が向上する。
[0060]
 酸化防止剤の具体例は、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、亜リン酸塩などのリン系酸化防止剤などである。
[0061]
 防カビ剤の具体例は、脂肪族エステル系防カビ剤、炭化水素系防カビ剤、有機窒素系防カビ剤、有機窒素硫黄系防カビ剤などである。
[0062]
 難燃剤の具体例は、塩素化パラフィン等のハロゲン系難燃剤;リン酸エステル等のリン系難燃剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機水酸化物;などである。
[0063]
 帯電防止剤の具体例は、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル類、スルホン酸塩類等のアニオン系帯電防止剤;脂肪族アミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン系帯電防止剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル類等のノニオン系帯電防止剤;などである。
[0064]
 充填剤の具体例は、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、クレーなどである。
[0065]
 光安定剤の具体例は、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ニッケルキレート系等の紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系光安定剤などである。
[0066]
 発泡剤の具体例は、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、p-トルエンスルホニルヒドラジド、p,p-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等のスルホニルヒドラジド化合物などの有機発泡剤;フロンガス、炭酸ガス、水、ペンタン等の揮発性炭化水素化合物、これらを内包したマイクロカプセルなどの、ガス系の発泡剤;などである。
[0067]
<塩化ビニル樹脂組成物の調製方法>
 本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、上述した成分を混合して調製することができる。
 ここで、上記(a)塩化ビニル樹脂と、(b)可塑剤と、(c)変性シリコーンオイルと、必要に応じて更に併用される塩化ビニル樹脂微粒子および各種添加剤との混合方法としては、特に限定されることなく、例えば、上記塩化ビニル樹脂微粒子を含むダスティング剤を除く成分をドライブレンドにより混合し、その後、ダスティング剤を添加、混合する方法が挙げられる。ここで、ドライブレンドには、ヘンシェルミキサーの使用が好ましい。また、ドライブレンド時の温度は、特に制限されることなく、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、200℃以下が好ましい。
[0068]
<塩化ビニル樹脂組成物の用途>
 そして、得られた塩化ビニル樹脂組成物は、粉体成形に好適に用いることができ、パウダースラッシュ成形により好適に用いることができる。
[0069]
(塩化ビニル樹脂成形体)
 本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、上述した塩化ビニル樹脂組成物を、任意の方法で成形することにより得られることを特徴とする。そして、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、本発明の塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成されているため、表面べた付き性を抑制することができる。従って、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、自動車内装材、例えば自動車インスツルメントパネルおよびドアトリム等の表皮として好適に用いられ、特に、自動車インスツルメントパネルの表皮として好適に用いられる。
[0070]
<<塩化ビニル樹脂成形体の成形方法>>
 ここで、パウダースラッシュ成形時の金型温度は、特に制限されることなく、200℃以上とすることが好ましく、220℃以上とすることがより好ましく、300℃以下とすることが好ましく、280℃以下とすることがより好ましい。
[0071]
 そして、塩化ビニル樹脂成形体を製造する際には、特に限定されることなく、例えば、以下の方法を用いることができる。即ち、上記温度範囲の金型に本発明の塩化ビニル樹脂組成物を振りかけて、5秒以上30秒以下の間放置した後、余剰の塩化ビニル樹脂組成物を振り落とし、さらに、任意の温度下、30秒以上3分以下の間放置する。その後、金型を10℃以上60℃以下に冷却し、得られた本発明の塩化ビニル樹脂成形体を金型から脱型する。そして、脱型された塩化ビニル樹脂成形体は、例えば、金型の形状をかたどったシート状の成形体として得られる。
[0072]
(積層体)
 本発明の積層体は、発泡ポリウレタン成形体と、上述した塩化ビニル樹脂成形体とを有する。そして、本発明の積層体は、本発明の塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成された塩化ビニル樹脂成形体を有しているため、表面べた付き性を抑制することができる。従って、本発明の積層体は、例えば、自動車インスツルメントパネルおよびドアトリム等といった自動車内装材として好適に用いられ、特に、自動車インスツルメントパネル用に好適に用いられる。
[0073]
 ここで、積層方法は、特に限定されることなく、例えば、以下の方法を用いることができる。即ち、(1)発泡ポリウレタン成形体と、塩化ビニル樹脂成形体とを別途準備した後に、熱融着、熱接着、又は公知の接着剤などを用いることにより貼り合わせる方法;(2)塩化ビニル樹脂成形体上で発泡ポリウレタン成形体の原料となるイソシアネート類とポリオール類などとを反応させて重合を行うと共に、公知の方法によりポリウレタンの発泡を行うことにより、塩化ビニル樹脂成形体上に発泡ポリウレタン成形体を直接形成する方法;などが挙げられる。中でも、工程が簡素である点、および、種々の形状の積層体を得る場合においても塩化ビニル樹脂成形体と発泡ポリウレタン成形体とを強固に接着し易い点から、後者の方法(2)の方が好適である。
実施例
[0074]
 以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
 そして、塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度、平均粒子径;塩化ビニル樹脂成形体の表面べた付き性(動摩擦係数);は、下記の方法で測定および評価した。
[0075]
<平均重合度>
 塩化ビニル樹脂粒子及び塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度は、JIS K6720-2に準拠し、塩化ビニル樹脂粒子及び塩化ビニル樹脂微粒子のそれぞれを、シクロヘキサノンに溶解させて粘度を測定することにより、算出した。
[0076]
<平均粒子径>
 塩化ビニル樹脂粒子及び塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径(体積平均粒子径(μm))は、JIS Z8825に準拠して測定した。具体的には、塩化ビニル樹脂粒子及び塩化ビニル樹脂微粒子を、それぞれ水槽内に分散させ、以下に示す装置を用いて、光の回折・散乱強度分布を測定・解析し、粒子径及び体積基準の粒子径分布を測定することにより、算出した。
 ・装置:レーザー回折式粒度分布測定機(島津製作所製、SALD-2300)
 ・測定方式:レーザー回折及び散乱
 ・測定範囲:0.017μm~2500μm
 ・光源:半導体レーザー(波長680nm、出力3mW)
[0077]
<動摩擦係数>
 塩化ビニル樹脂成形体の表面べた付き性は、以下の通り、動摩擦係数を測定することにより評価した。
 具体的には、風合いテスター(トリニティラボ社製、製品名「TL201Ts」)を用いて、温度23℃、相対湿度50%の測定環境下において、荷重:50g、速度:10mm/秒、試験範囲:70mm、計測範囲:50mmの条件にて、触覚接触子を塩化ビニル樹脂成形シートに接触させることにより、当該シート表面の動摩擦係数を測定した。
[0078]
(実施例1)
<塩化ビニル樹脂組成物の調製>
 表1に示す配合成分のうち、可塑剤(トリメリット酸エステルおよびエポキシ化大豆油)と、ダスティング剤である塩化ビニル樹脂微粒子とを除く成分をヘンシェルミキサーに入れて混合した。そして、混合物の温度が80℃に上昇した時点で上記可塑剤を全て添加し、更に昇温することにより、ドライアップ(可塑剤が、塩化ビニル樹脂である塩化ビニル樹脂粒子に吸収されて、上記混合物がさらさらになった状態をいう。)させた。その後、ドライアップさせた混合物が温度70℃以下に冷却された時点でダスティング剤である塩化ビニル樹脂微粒子を添加し、塩化ビニル樹脂組成物を調製した。
[0079]
<塩化ビニル樹脂成形体の形成>
 上述で得られた塩化ビニル樹脂組成物を、温度250℃に加熱したシボ付き金型に振りかけ、10秒~20秒程度の任意の時間放置して溶融させた後、余剰の塩化ビニル樹脂組成物を振り落とした。その後、当該塩化ビニル樹脂組成物を振りかけたシボ付き金型を、温度200℃に設定したオーブン内に静置し、静置から60秒経過した時点で当該シボ付き金型を冷却水で冷却した。金型温度が40℃まで冷却された時点で、塩化ビニル樹脂成形体として、150mm×200mm×1mmの塩化ビニル樹脂成形シートを金型から脱型した。
 そして、得られた塩化ビニル樹脂成形シートについて、上述の方法に従って、動摩擦係数を測定、算出した。結果を表1に示す。
[0080]
(実施例2)
 塩化ビニル樹脂組成物の調製において、表1に示す通りに配合成分を変更した以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物および塩化ビニル樹脂成形シートを製造した。
 そして、実施例1と同様の方法により測定、算出を行った。結果を表1に示す。
[0081]
(実施例3)
 塩化ビニル樹脂組成物の調製において、表1に示す通りに配合成分を変更した以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物および塩化ビニル樹脂成形シートを製造した。
 そして、実施例1と同様の方法により測定、算出を行った。結果を表1に示す。
[0082]
(実施例4)
 塩化ビニル樹脂組成物の調製において、表1に示す通りに配合成分を変更した以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物および塩化ビニル樹脂成形シートを製造した。
 そして、実施例1と同様の方法により測定、算出を行った。結果を表1に示す。
[0083]
(比較例1)
 塩化ビニル樹脂組成物の調製において、変性シリコーンオイルを用いず、表1に示す通りに配合成分を変更した以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物および塩化ビニル樹脂成形シートを製造した。
 そして、実施例1と同様の方法により測定、算出を行った。結果を表1に示す。
[0084]
(比較例2)
 塩化ビニル樹脂組成物の調製において、変性シリコーンオイルに替えて、未変性のジメチルシリコーンオイルを用い、かつ、べた付き防止剤としてのエチレンビスステアリン酸アマイドを用いて、表1に示す通りに配合成分を変更した以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物および塩化ビニル樹脂成形シートを製造した。
 そして、実施例1と同様の方法により測定、算出を行った。結果を表1に示す。
[0085]
(比較例3)
 塩化ビニル樹脂組成物の調製において、変性シリコーンオイルに替えて、べた付き防止剤としてのエチレンビスステアリン酸アマイドを用いて、表1に示す通りに配合成分を変更した以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物および塩化ビニル樹脂成形シートを製造した。
 そして、実施例1と同様の方法により測定、算出を行った。結果を表1に示す。
[0086]
[表1]


[0087]
1)新第一塩ビ社製、製品名「ZEST(登録商標)1300S」(懸濁重合法、平均重合度:1300、平均粒子径:115μm)
2)花王社製、製品名「トリメックスN-08」
3)ADEKA社製、製品名「アデカサイザー O-130S」
4)協和化学工業社製、製品名「アルカマイザー5」
5)水澤化学工業社製、製品名「MIZUKALIZER DS」
6)昭和電工社製、製品名「カレンズDK-1」
7)堺化学工業社、製品名「SAKAI SZ2000」
8)ADEKA社製、製品名「アデカスタブ 1500」
9)BNFS社製、製品名「TINUVIN(登録商標) 770DF」
10)ADEKA社製、製品名「アデカスタブ LS-12」
11)信越シリコーン社製、製品名「KF-99」(側鎖型/ハイドロジェン変性)
12)信越シリコーン社製、製品名「KF-50 3000cs」(側鎖型/フェニル変性)
13)信越シリコーン社製、製品名「X-22-1877」(側鎖型/長鎖アルキル・アラリキル変性)
14)信越シリコーン社製、製品名「KF-3935」(側鎖型/高級脂肪酸アミド変性)
15)信越シリコーン社製、製品名「KF-96-5000cs」
16)日本化成社製、製品名「スリパックス(登録商標)E微粉」
17)新第一塩ビ社製、製品名「ZEST PQLTX」(乳化重合法、平均重合度:800、平均粒子径:1.8μm)
18)大日精化社製、製品名「DA PX 1720(A)ブラック」
[0088]
 表1より、(a)塩化ビニル樹脂、(b)可塑剤、および所定の(c)変性シリコーンオイルを用いて配合した実施例1~4の塩化ビニル樹脂組成物を用いて得られた塩化ビニル樹脂成形体は、動摩擦係数が比較例1~3に比べて低く、表面べた付き性を抑制できたことが分かった。特に、メチルハイドロジェンシリコーンオイルを用いた実施例1と、脂肪酸アミド変性シリコーンオイルを用いた実施例4との表面べた付き性改善効果は顕著であり、実施例4による表面べた付き性改善効果は格別であった。
 これに対し、シリコーンオイルを用いなかった比較例1,3では、塩化ビニル樹脂成形体の動摩擦係数が高く、表面のべた付き度合いが高かった。実施例1~4及び比較例1,3から、べた付き防止剤としてのエチレンビスステアリン酸アマイドを用いるだけでは、動摩擦係数が高く、べた付きの改善が不十分であることが確認された。さらに、未変性のジメチルシリコーンオイルを用いた比較例2では、比較例1よりは動摩擦係数が低減するものの、実施例1~4と比べると、動摩擦係数が高く、べた付きの改善は不十分であった。さらに、比較例2,3から、単に脂肪酸アミドと、ジメチルシリコーンオイルとを配合しただけでは、動摩擦係数の低減には不十分であることが分かった。

産業上の利用可能性

[0089]
 本発明によれば、得られる塩化ビニル樹脂成形体のべた付き性を抑制することのできる塩化ビニル樹脂組成物を提供することができる。
 また、本発明によれば、表面べた付き性を抑制した塩化ビニル樹脂成形体、及び当該塩化ビニル樹脂成形体を有する積層体を提供することができる。

請求の範囲

[請求項1]
 (a)塩化ビニル樹脂と、(b)可塑剤と、(c)変性シリコーンオイルと、を含み、
 前記(c)変性シリコーンオイルは、ハイドロジェン変性、フェニル変性、アルキル・アラルキル変性及び脂肪酸アミド変性からなる群から選ばれる少なくとも1種以上で変性した変性シリコーンオイルである、塩化ビニル樹脂組成物。
[請求項2]
 前記(c)変性シリコーンオイルは、少なくとも側鎖型の変性シリコーンオイルである、請求項1に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[請求項3]
 前記(c)変性シリコーンオイルの含有量が、前記(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.05質量部以上5質量部以下である、請求項1又は2に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[請求項4]
 粉体成形に用いられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[請求項5]
 パウダースラッシュ成形に用いられる、請求項4に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[請求項6]
 請求項4又は5に記載の塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる、塩化ビニル樹脂成形体。
[請求項7]
 自動車インスツルメントパネル表皮用である、請求項6に記載の塩化ビニル樹脂成形体。
[請求項8]
 発泡ポリウレタン成形体と、
 請求項6又は7に記載の塩化ビニル樹脂成形体と、
を有する積層体。