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1. WO2017169191 - PHOTOELECTRIC CONVERSION ELEMENT, SOLAR CELL, METHOD FOR MANUFACTURING PHOTOELECTRIC CONVERSION ELEMENT, SURFACE TREATMENT AGENT, SURFACE TREATMENT COMPOSITION, AND SURFACE TREATMENT FLUID

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明 細 書

発明の名称 光電変換素子、太陽電池、光電変換素子の製造方法、表面処理剤、表面処理用組成物および表面処理液

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

非特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008   0009   0010  

課題を解決するための手段

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045  

発明の効果

0046  

図面の簡単な説明

0047  

発明を実施するための形態

0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252   0253   0254   0255   0256   0257   0258   0259   0260   0261   0262   0263   0264   0265   0266   0267   0268   0269   0270   0271   0272   0273   0274   0275   0276   0277   0278   0279   0280   0281   0282   0283   0284   0285   0286   0287   0288   0289   0290   0291   0292   0293   0294   0295   0296   0297   0298   0299   0300   0301   0302   0303   0304   0305   0306   0307   0308   0309   0310   0311   0312   0313   0314   0315   0316   0317   0318   0319   0320   0321   0322   0323   0324   0325   0326   0327   0328  

実施例

0329   0330   0331   0332   0333   0334   0335   0336   0337   0338   0339   0340   0341   0342   0343   0344   0345   0346   0347   0348   0349   0350   0351   0352   0353   0354   0355   0356   0357   0358   0359   0360   0361   0362   0363   0364   0365   0366   0367   0368   0369   0370   0371   0372   0373   0374   0375   0376   0377   0378   0379   0380   0381   0382   0383   0384  

符号の説明

0385  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

図面

1A   1B   2   3   4   5   6   7A   7B   7C   7D   7E   7F  

明 細 書

発明の名称 : 光電変換素子、太陽電池、光電変換素子の製造方法、表面処理剤、表面処理用組成物および表面処理液

技術分野

[0001]
 本発明は、光電変換素子、太陽電池、光電変換素子の製造方法、表面処理剤、表面処理用組成物および表面処理液に関する。

背景技術

[0002]
 光電変換素子は、各種の光センサー、複写機、太陽電池等に用いられている。太陽電池は、非枯渇性の太陽エネルギーを利用するものとして、その本格的な実用化が期待されている。このなかでも、増感剤として有機色素またはRuビピリジル錯体等を用いた色素増感太陽電池は、研究開発が盛んに進められ、光電変換効率が11%程度に到達している。
[0003]
 その一方で、近年、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物(ペロブスカイト化合物)として金属ハロゲン化物を用いた太陽電池が、比較的高い変換効率を達成できるとの研究成果が報告され、注目を集めている。
[0004]
 例えば、非特許文献1には、CH NH PbI Clで表される金属ハロゲン化物を光吸収剤として用いた太陽電池が記載されている。
[0005]
 特許文献1には、色素増感酸化物半導体電極を有する太陽電池において、酸化物半導体膜が部分構造R -Si-OR を含むシラン化剤で処理されていることが記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2006-024565号公報

非特許文献

[0007]
非特許文献1 : Science,338,pp.643-647(2012)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 上述のように、金属ハロゲン化物のペロブスカイト化合物を用いた光電変換素子は、光電変換効率の向上に一定の成果が得られている。しかし、この光電変換素子は、開発されて間もないため、素子性能については、まだ十分な研究、検討がされていない。
[0009]
 このような状況において、金属ハロゲン化物のペロブスカイト化合物を用いて同一の製造方法で繰り返して光電変換素子を製造したところ、得られた光電変換素子間の高湿環境下での光電変換効率の変動(耐湿性ばらつき)が大きく、電池性能の安定性の実現の点で、問題があることが分かった。
[0010]
 したがって、本発明は、耐湿性のばらつきが小さく、安定した電池性能を発揮する光電変換素子、および、この光電変換素子を用いた太陽電池を提供することを課題とする。また、本発明は、耐湿性のばらつきが小さい光電変換素子の製造方法、ならびにこのような光電変換素子に用いられる表面処理剤、表面処理用組成物および表面処理液を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0011]
 本発明者らは、ペロブスカイト型結晶構造を持つペロブスカイト化合物を含む光吸収剤を含む感光層を有する光電変換素子において、感光層表面にシリル基を有する表面処理剤を含む化合物層を設けることによって、耐湿性のばらつきが小さい光電変換素子が得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成するに至ったものである。
[0012]
 すなわち、上記の課題は以下の手段により解決された。
 <1>光吸収剤を含む感光層を導電性支持体上に有する第一電極と、上記感光層表面に設けられた表面処理剤を含む化合物層と、第二電極とをこの順で有する光電変換素子であって、光吸収剤は、周期表第一族元素またはカチオン性有機基Aのカチオン、周期表第一族元素以外の金属原子Mのカチオン、およびアニオン性原子または原子団Xのアニオンを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物を含み、上記表面処理剤はシリル基を有する光電変換素子。
[0013]
 <2>表面処理剤が下記式(A-0)で表される<1>に記載の光電変換素子。
[0014]
[化1]


[0015]
 式(A-0)において、
Gは-OR 、-O Ya 、-SR 、-S Ya 、-NR 、-(NR Ya 、-COOR 、-COO Ya 、-SO 、-SO Ya 、-P(=O)(OR 、-P(=O)(O Ya 、-B(OR 、および、-B(OR Ya からなる群より選択される基または塩を表す。R 、R およびR は各々独立に水素原子または置換基を表す。Yaは対塩を表す。p1は1以上の整数を表す。
Lはシリル基を表す。q1は1以上の整数を表す。
は単結合または連結基を表す。
[0016]
 <3>表面処理剤が下記式(A-1)または(A-2)で表される<2>に記載の光電変換素子。
[0017]
[化2]


[0018]
 式(A-1)および式(A-2)において、G、p1、L、q1は式(A-0)のG、p1、L、q1と同義である。
[0019]
 式(A-1)において、J は、単結合、または炭化水素環およびヘテロ環を含まない連結基を表す。
[0020]
 式(A-2)において、
環Cは炭化水素環またはヘテロ環を表す。
はヘテロ原子またはNR 12を表す。R 12は水素原子または置換基を表す。m1は0以上の整数を表す。
は置換基を表す。n1は0以上の整数を表す。
は単結合または連結基を表す。n2は0以上の整数を表す。n3は1以上の整数を表す。n4は1以上の整数を表す。
は単結合または連結基を表す。n5は0以上の整数を表す。n6は1以上の整数を表す。n7は1以上の整数を表す。
[0021]
 <4>式(A-1)において、Lが下記式(L-1)で表わされる<3>に記載の光電変換素子。
[0022]
[化3]


[0023]
 式中、R ~R は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭化水素環基、またはヘテロ環基を表す。*はJ との連結部位を表す。
[0024]
 <5>式(A-2)において、Lが下記式(L-1)で表わされる<3>に記載の光電変換素子。
[0025]
[化4]


[0026]
 式中、R ~R は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭化水素環基、またはヘテロ環基を表す。*はJ または環Cとの連結部位を表す。
[0027]
 <6>式(A-1)において、J は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される連結基である<3>~<5>のいずれかに記載の光電変換素子。
[0028]
 <7>式(A-2)において、J は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される連結基である<3>~<6>のいずれかに記載の光電変換素子。
[0029]
 <8>式(A-0)、(A-1)または(A-2)において、Gが-OR 、-O Ya 、-SR 、-S Ya 、-NR および-(NR Ya からなる群より選択される<2>~<7>のいずれかに記載の光電変換素子。
[0030]
 <9>表面処理剤が下記式(A-5)で表される<1>~<8>のいずれかに記載の光電変換素子。
[0031]
[化5]


[0032]
 式(A-5)中、J はアルキレン基、アリーレン基およびこれらの組み合わせからなる群より選択される連結基を表わし、G は-NR または-(NR Ya を表す。R 、R およびR は各々独立に水素原子または置換基を表す。Yaは対塩を表す。R ~R は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭化水素環基、またはヘテロ環基を表す。
[0033]
 <10>上記<1>~<9>のいずれかに記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
[0034]
 <11>周期表第一族元素またはカチオン性有機基Aのカチオン、上記周期表第一族元素以外の金属原子Mのカチオン、およびアニオン性原子または原子団Xのアニオンを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物が光吸収剤として含まれる感光層を導電性支持体上に有する第一電極と、第二電極とをこの順で有する光電変換素子の製造方法であって、
 上記第一電極を下記式(A-0)で表される化合物を含有する溶液に接触させる光電変換素子の製造方法。
[0035]
[化6]


[0036]
式(A-0)において、
Gは-OR 、-O Ya 、-SR 、-S Ya 、-NR 、-(NR Ya 、-COOR 、-COO Ya 、-SO 、-SO Ya 、-P(=O)(OR 、-P(=O)(O Ya 、-B(OR 、および、-B(OR Ya からなる群より選択される基または塩を表す。R 、R およびR は各々独立に水素原子または置換基を表す。Yaは対塩を表す。p1は1以上の整数を表す。
Lはシリル基を表す。q1は1以上の整数を表す。
は単結合または連結基を表す。
[0037]
 <12>下記式(A-1)または(A-2)で表される表面処理剤。
[0038]
[化7]


[0039]
 式(A-1)において、Gは-OR 、-O Ya 、-SR 、-S Ya 、-NR 、-(NR Ya 、-COOR 、-COO Ya 、-SO 、-SO Ya 、-P(=O)(OR 、-P(=O)(O Ya 、-B(OR 、および、-B(OR Ya からなる群より選択される基または塩を表す。R 、R およびR は各々独立に水素原子または置換基を表す。Yaは対塩を表す。p1は1以上の整数を表す。Lはシリル基を表す。q1は1以上の整数を表す。J は、単結合、または炭化水素環もしくはヘテロ環を含まない連結基を表す。
[0040]
 式(A-2)において、
Gは-OR 、-O Ya 、-SR 、-S Ya 、-NR 、-(NR Ya 、-COOR 、-COO Ya 、-SO 、-SO Ya 、-P(=O)(OR 、-P(=O)(O Ya 、-B(OR 、および、-B(OR Ya からなる群より選択される基または塩を表す。R 、R およびR は各々独立に水素原子または置換基を表す。Yaは対塩を表す。
Lはシリル基を表す。
環Cは炭化水素環またはヘテロ環を表す。
はヘテロ原子またはNR 12を表す。R 12は水素原子または置換基を表す。m1は0以上の整数を表す。
は置換基を表す。n1は0以上の整数を表す。
は単結合または連結基を表す。n2は0以上の整数を表す。n3は1以上の整数を表す。n4は1以上の整数を表す。
は単結合または連結基を表す。n5は0以上の整数を表す。n6は1以上の整数を表す。n7は1以上の整数を表す。
[0041]
 <13>上記<12>に記載の表面処理剤と、周期表第一族元素またはカチオン性有機基Aを有する添加剤とを含む表面処理用組成物。
[0042]
 <14>上記カチオン性有機基Aが、式(1)で表わされるカチオン性有機基である、<13>に記載の表面処理用組成物。
 式(1):R 1a-NH
 式中、R 1aは置換基または下記式(2)を表わす。
[0043]
[化8]



 式中、X はNR 1c、酸素原子または硫黄原子を表す。R 1bおよびR 1cは各々独立に水素原子または置換基を表す。***は式(1)の窒素原子との結合部位を表す。
[0044]
 <15>上記式(1)中のR 1aが、上記式(2)で表わされる基である、<14>に記載の表面処理用組成物。
[0045]
 <16>上記<12>に記載の表面処理剤または上記<13>~<15>のいずれかに記載の表面処理用組成物と、非プロトン性溶媒とを含む表面処理液。

発明の効果

[0046]
 本発明により、耐湿性のばらつきが小さい光電変換素子および太陽電池を提供することが可能となった。また、本発明により、耐湿性のばらつきが小さい光電変換素子を製造する方法、ならびにこのような光電変換素子に用いられる表面処理剤、表面処理用組成物および表面処理液を提供することが可能となった。

図面の簡単な説明

[0047]
[図1A] 図1Aは本発明の光電変換素子の好ましい態様について模式的に示した断面図である。
[図1B] 図1Bは図1Aの円部分の拡大図である。
[図2] 図2は本発明の光電変換素子の厚い感光層を有する好ましい態様について模式的に示した断面図である。
[図3] 図3は本発明の光電変換素子の別の好ましい態様について模式的に示した断面図である。
[図4] 図4は本発明の光電変換素子のまた別の好ましい態様について模式的に示した断面図である。
[図5] 図5は本発明の光電変換素子のさらに別の好ましい態様について模式的に示した断面図である。
[図6] 図6は本発明の光電変換素子のさらにまた別の好ましい態様について模式的に示した断面図である。
[図7A] 図7Aは本発明の光電変換素子における感光層を構成する周期表第一族元素以外の金属原子Mのカチオン(Mカチオン)、周期表第一族元素またはカチオン性有機基Aのカチオン(Aカチオン)、アニオン性原子または原子団Xのアニオン(Xアニオン)および化合物層を構成する表面処理剤を模式的に示した図である。
[図7B] 図7Bは本発明の光電変換素子における感光層のペロブスカイト構造を模式的に示した図である。
[図7C] 図7Cは本発明の光電変換素子における感光層表面における化合物層の形態の一例を模式的に示した図である。
[図7D] 図7Dは本発明の光電変換素子における感光層表面における化合物層の形態の別の例を模式的に示した図である。
[図7E] 図7Eは本発明の光電変換素子における感光層表面における化合物層の形態のさらに別の例を模式的に示した図である。
[図7F] 図7Fは本発明の光電変換素子における感光層表面における化合物層の形態のまたさらに別の例を模式的に示した図である。

発明を実施するための形態

[0048]
 本明細書において、各式の表記は、化合物の化学構造の理解のために、一部を示性式として表記することもある。これに伴い、各式において、部分構造を、(置換)基、イオンまたは原子等と称するが、本明細書において、これらは、(置換)基、イオンまたは原子等のほかに、上記式で表される(置換)基もしくはイオンを構成する元素団、または、元素を意味することがある。
[0049]
 本明細書において、化合物(錯体、色素を含む)の表示については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、置換または無置換を明記していない化合物については、所望の効果を奏する範囲で、任意の置換基を有していてもよい意味である。このことは置換基および連結基等(以下、置換基等という)についても同様である。
[0050]
 本明細書において、特定の符号で表示された置換基等が複数あるとき、または複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には、特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成してもよい。また、環、例えば脂環、芳香族環、ヘテロ環はさらに縮環して縮合環を形成していてもよい。
[0051]
 また、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[0052]
 <<光電変換素子>>
 本発明の光電変換素子は、光吸収剤を含む感光層を導電性支持体上に有する第一電極と、上記感光層表面に設けられた表面処理剤を含む化合物層と、第二電極とをこの順で有し、表面処理剤はシリル基を有する。
[0053]
 本発明において、導電性支持体上に感光層を有するとは、導電性支持体の表面に接して感光層を有する態様および、導電性支持体の表面上方に他の層を介して感光層を有する態様を含む意味である。
[0054]
 導電性支持体の表面上方に他の層を介して感光層を有する態様において、導電性支持体と感光層との間に設けられる他の層としては、光電変換素子の電池性能を低下させないものであれば特に限定されない。例えば、多孔質層、ブロッキング層、電子輸送層および正孔輸送層等が挙げられる。
[0055]
 本発明において、導電性支持体の表面上方に他の層を介して感光層を有する態様としては、例えば、感光層が、多孔質層の表面に薄い膜状に設けられる態様(図1A参照)、多孔質層の表面に厚く設けられる態様(図2および図6参照)、ブロッキング層の表面に薄く設けられる態様、ブロッキング層の表面に厚い膜状に設けられる態様(図3参照)、電子輸送層の表面に薄い膜状または厚い膜状(図4参照)に設けられる態様、および、正孔輸送層の表面に薄い膜状または厚い膜状(図5参照)に設けられる態様が挙げられる。感光層は、線状または分散状に設けられてもよく、好ましくは膜状に設けられる。
[0056]
 本発明において、感光層表面とは、感光層の第二電極側の表面を意味する。本発明において「感光層表面に設けられた表面処理剤を含む化合物層」とは、感光層の表面またはその近傍に化合物層が存在していることを意味する。化合物層が存在する態様は、表面処理剤が、感光層の表面に、化学的結合、物理的相互作用により、結合、密着、定着、担持または吸着等している場合を含む。例えば、表面処理剤が、感光層の表面に、共有結合、イオン結合、配位結合している態様、物理的に吸着している態様、または感光層材料の一部と置き換わる態様のすべての態様が含まれる。本発明においては、表面処理剤を含む化合物層が感光層の表面にどのような形態で存在しているかは限定されず、感光層の表面またはその近傍に表面処理剤を含む化合物層が存在していればよい。
[0057]
 たとえば、表面処理剤を含む化合物層5は、多孔質層の孔内に存在してもよく、化合物層5を形成する表面処理剤の一部が感光層13に取り込まれた状態でもよい。さらに、化合物層5を形成する表面処理剤の一部が感光層13に取り込まれ、表面処理剤の一部がペロブスカイト成分の一部となっていてもよい。本発明においては、感光層表面での表面処理剤の形態にかかわらず、感光層の表面に存在する表面処理剤の集合を、便宜上、化合物層という。このように、表面処理剤を含む化合物層は感光層13の表面に存在していればよく、膜状、線状および分散状のいずれの状態でもよく、またこれらが混在した状態でもよく、必ずしも、感光層表面を一様に覆うような層または膜を形成していなくてもよいが、単分子膜状に設けられることが好ましい。
 感光層表面の化合物層の形態については、後に図面を参照してより詳細に説明する。
[0058]
 本発明において、化合物層に接して設けられる層は、特に限定されない。化合物層に接して設けられる層は、光電変換素子を構成する層であればよく、例えば、(固体)正孔輸送層、電子輸送層または第二電極等が挙げられる。
[0059]
 本発明の光電変換素子において、感光層および化合物層は、それらが設けられる下地層の形状、使用する光吸収剤または表面処理剤の量等によって、種々の形態で存在しうる。したがって、本発明において、感光層および化合物層の形態は問わない。
[0060]
 本発明の光電変換素子においては、本発明で規定する構成以外の構成は特に限定されず、光電変換素子および太陽電池に関する公知の構成を採用できる。本発明の光電変換素子を構成する各層は、目的に応じて設計され、例えば、単層に形成されても、複層に形成されてもよい。例えば、多孔質層を導電性支持体と感光層との間に設けることもできる(図1A、図2および図6参照)。
[0061]
 以下、本発明の光電変換素子の好ましい態様について説明する。
[0062]
 図1A、図1B、図2~図6において、同じ符号は同じ構成要素(部材)を意味する。
[0063]
 なお、図1A、図2および図6は、多孔質層12を形成する微粒子の大きさを強調して示している。これらの微粒子は、好ましくは、導電性支持体11に対して水平方向および垂直方向に詰まり(堆積または密着して)、多孔質構造を形成している。
[0064]
 本明細書において、単に光電変換素子10という場合は、特に断らない限り、光電変換素子10A~10Fを意味する。このことは、システム100、第一電極1についても同様である。また、単に感光層13または化合物層5という場合は、特に断らない限り、感光層13A~13Cまたは化合物層5A~5Cを意味する。同様に、正孔輸送層3という場合は、特に断らない限り、正孔輸送層3Aおよび3Bを意味する。
[0065]
 本発明の光電変換素子の好ましい態様として、例えば、図1Aに示す光電変換素子10Aが挙げられる。図1に示されるシステム100Aは、光電変換素子10Aを外部回路6で動作手段M(例えば電動モーター)に仕事をさせる電池用途に応用したシステムである。
[0066]
 この光電変換素子10Aは、第一電極1Aと、第一電極1Aの感光層13A上に化合物層5Aと、第二電極2と、化合物層5Aと第二電極2の間に正孔輸送層3Aとを有している。
[0067]
 第一電極1Aは、支持体11aおよび透明電極11bからなる導電性支持体11と、多孔質層12と、多孔質層12上に感光層13Aとを有している。図1Aの断面領域bを拡大した図1Bに模式的に示すように、感光層13Aは多孔質層12の表面に設けられている。図1Aでは、透明電極11b上にブロッキング層14を有し、ブロッキング層14上に多孔質層12が形成される。このように多孔質層12を有する光電変換素子10Aは、感光層13Aの表面積が大きくなるため、電荷分離および電荷移動効率が向上すると推定される。
[0068]
 図2に示す光電変換素子10Bは、図1Aに示す光電変換素子10Aの感光層13Aを厚く設けた好ましい態様を模式的に示したものである。図2において、化合物層5Bは、厚く設けられた感光層13Aの表面に設けられている。この光電変換素子10Bにおいて、正孔輸送層3Bは薄く設けられている。光電変換素子10Bは、図1Aで示した光電変換素子10Aに対して感光層13Bおよび正孔輸送層3Bの膜厚の点で異なるが、これらの点以外は光電変換素子10Aと同様に構成されている。
[0069]
 図3に示す光電変換素子10Cは、本発明の光電変換素子の別の好ましい態様を模式的に示したものである。光電変換素子10Cは、図2に示す光電変換素子10Bに対して多孔質層12を設けていない点で異なるが、この点以外は光電変換素子10Bと同様に構成されている。すなわち、光電変換素子10Cにおいて、感光層13Cはブロッキング層14の表面に厚い膜状に形成され、化合物層5Cは感光層13Cの表面に形成されている。光電変換素子10Cにおいて、正孔輸送層3Bは正孔輸送層3Aと同様に厚く設けることもできる。
[0070]
 図4に示す光電変換素子10Dは、本発明の光電変換素子のまた別の好ましい態様を模式的に示したものである。図4において、光電変換素子10Dの化合物層5Cは、図3に示す光電変換素子10Cの化合物層5Cと同じである。この光電変換素子10Dは、図3に示す光電変換素子10Cに対してブロッキング層14に代えて電子輸送層15を設けた点で異なるが、この点以外は光電変換素子10Cと同様に構成されている。第一電極1Dは、導電性支持体11と、導電性支持体11上に順に形成された、電子輸送層15および感光層13Cとを有している。この光電変換素子10Dは、各層を有機材料で形成できる点で、好ましい。これにより、光電変換素子の生産性が向上し、しかも薄型化またはフレキシブル化が可能になる。
[0071]
 図5に示す光電変換素子10Eは、本発明の光電変換素子のさらに別の好ましい態様を模式的に示したものである。図5において、光電変換素子10Eの化合物層5Cは、その表面に正孔輸送層3Bに代えて電子輸送層4が形成されていること以外は図3に示す光電変換素子10Cの化合物層5Cと同じである。この光電変換素子10Eを含むシステム100Eは、システム100Aと同様に電池用途に応用したシステムである。
[0072]
 光電変換素子10Eは、第一電極1Eと、第一電極1Eの感光層13C上に化合物層5Cと、第二電極2と、化合物層5Cおよび第二電極2の間に電子輸送層4とを有している。第一電極1Eは、導電性支持体11と、導電性支持体11上に順に形成された、正孔輸送層16および感光層13Cとを有している。この光電変換素子10Eは、光電変換素子10Dと同様に、各層を有機材料で形成できる点で、好ましい。
[0073]
 図6に示す光電変換素子10Fは、本発明の光電変換素子のさらにまた別の好ましい態様を模式的に示したものである。光電変換素子10Fは、図2に示す光電変換素子10Bに対して正孔輸送層3Bを設けていない点で異なるが、この点以外は光電変換素子10Bと同様に構成されている。
[0074]
 次に、図7A~7Eを参照して、感光層表面に設けられる、シリル基を有する表面処理剤を含む化合物層の形態を、より詳細に説明する。
[0075]
 図7Aに示す記号は、周期表第一族元素またはカチオン性有機基Aのカチオン(Aカチオンと略記する)、周期表第一族元素以外の金属原子Mのカチオン(Mカチオンと略記する)、アニオン性原子または原子団Xのアニオン(Xアニオンと略記する)、および表面処理剤を表す。
[0076]
 図7Bは、図7Aに示すAカチオン、MカチオンおよびXアニオンの記号を用いて、感光層13Bのペロブスカイト構造を模式的に示した図である。
[0077]
 本発明において、感光層表面に設けられる、表面処理剤を含む化合物層の形態としては、以下に示す第1~第3の形態が考えられる。
[0078]
 (1)化合物層の第1の形態
 図7Cに感光層表面における化合物層の第1の形態を示す。図7Cでは、ペロブスカイト構造をなす感光層13Bの表面に、表面処理剤が単分子層を形成するか、または積層して化合物層5Bを形成している。図7C中のnは表面処理剤の積層数を表す。
[0079]
 (2)化合物層の第2の形態
 図7Dおよび図7Eに感光層表面における化合物層の第2の形態を示す。これらの図は、感光層13Bを構成するペロブスカイト成分の一部が表面処理剤に置き換わって、化合物層が形成されている状態を示している。このとき、感光層13Bとともに、化合物層の一部がペロブスカイト構造を有していてもよい。図7Dは感光層13Bの表面のみに表面処理剤が存在する状態を示し、図7Eは感光層13Bの表面からある程度の深さにわたって表面処理剤が存在する状態を示している。
[0080]
 たとえば、R-NH I(ここでRはシリル基を含む基を総体的に表している)で表される表面処理剤を用いた場合、ペロブスカイト構造中にR-NH という成分として取り込まれる場合がある。
[0081]
 また、ペロブスカイト成分の一部が表面処理剤に置き換わって形成される状態において、表面処理剤によって形成された化合物層が感光層に対し十分薄ければ、図7Fのように表面処理剤が化合物層の最表層に出ていなくてもよい。
[0082]
 なお、図示しないが、ペロブスカイト成分の一部が表面処理剤に置き換わっているのではなく、単純に表面処理剤がペロブスカイト成分と混じりあっている場合も、第2の形態とする。
[0083]
 (3)化合物層の第3の形態
 化合物層の第3の形態は、第1の形態と第2の形態との組み合わせである。
[0084]
 本発明において、光電変換素子10を応用したシステム100は、以下のようにして、太陽電池として、機能する。
[0085]
 すなわち、光電変換素子10において、導電性支持体11を透過して、または第二電極2を透過して感光層13に入射した光は光吸収剤を励起する。励起された光吸収剤はエネルギーの高い電子を有しており、この電子を放出できる。エネルギーの高い電子を放出した光吸収剤は酸化体となる。
[0086]
 光電変換素子10A~10Dおよび10Fにおいては、光吸収剤から放出された電子は、光吸収剤間を移動して導電性支持体11に到達する。導電性支持体11に到達した電子が外部回路6で仕事をした後、第二電極2を経て(正孔輸送層3がある場合にはさらに正孔輸送層3を経由して)、感光層13に戻る。感光層13に戻った電子により光吸収剤が還元される。
[0087]
 一方、光電変換素子10Eにおいては、光吸収剤から放出された電子は、感光層13Cから電子輸送層4を経て第二電極2に到達し、外部回路6で仕事をした後に導電性支持体11を経て、感光層13に戻る。感光層13に戻った電子により光吸収剤が還元される。
[0088]
 光電変換素子10においては、このような、上記光吸収剤の励起および電子移動のサイクルを繰り返すことにより、システム100が太陽電池として機能する。
[0089]
 光電変換素子10A~10Dおよび10Fにおいて、感光層13から導電性支持体11への電子の流れ方は、多孔質層12の有無およびその種類等により、異なる。本発明の光電変換素子10においては、光吸収剤間を電子が移動する電子伝導が起こる。したがって、多孔質層12を設ける場合、多孔質層12は従来の半導体以外に絶縁体で形成することができる。多孔質層12が半導体で形成される場合、多孔質層12の半導体微粒子内部や半導体微粒子間を電子が移動する電子伝導も起こる。一方、多孔質層12が絶縁体で形成される場合、多孔質層12での電子伝導は起こらない。多孔質層12が絶縁体で形成される場合、絶縁体微粒子に酸化アルミニウム(Al )の微粒子を用いると、比較的高い起電力(Voc)が得られる。
[0090]
 上記他の層としてのブロッキング層14が導体または半導体により形成された場合もブロッキング層14での電子伝導が起こる。
 また、電子輸送層15でも電子伝導が起こる。
[0091]
 本発明の光電変換素子および太陽電池は、上記の好ましい態様に限定されず、各態様の構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各態様間で適宜組み合わせることができる。例えば、光電変換素子10Cまたは10Dにおいて、光電変換素子10Fのように、正孔輸送層3Bを設けない構成とすることもできる。
[0092]
 本発明において、光電変換素子または太陽電池に用いられる材料および各部材は、本発明で規定する材料および部材を除いて、常法により調製することができる。ペロブスカイト化合物を光吸収剤として用いた光電変換素子または太陽電池については、例えば、非特許文献1、ならびに、J. Am. Chem. Soc.,2009,131(17),p.6050-6051およびScience,338,p.643(2012)を参照することができる。
[0093]
 また、色素増感太陽電池に用いられる材料および各部材についても参考にすることができる。色素増感太陽電池としては、例えば、特開2001-291534号公報、米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,0843,65号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7-249790号公報、特開2004-220974号公報、特開2008-135197号公報を参照することができる。
[0094]
 以下、本発明の光電変換素子および太陽電池に用いるのに好適な部材および化合物の好ましい態様について、説明する。
[0095]
 <第一電極1>
 第一電極1は、導電性支持体11と感光層13とを有し、光電変換素子10において作用電極として機能する。
[0096]
 第一電極1は、図1A、図2~図6に示されるように、多孔質層12、ブロッキング層14、電子輸送層15および正孔輸送層16の少なくとも1つの層を有することが好ましい。
[0097]
 第一電極1は、短絡防止の点で少なくともブロッキング層14を有することが好ましく、光吸収効率の点および短絡防止の点で多孔質層12およびブロッキング層14を有していることがさらに好ましい。
[0098]
 また、第一電極1は、光電変換素子の生産性の向上、薄型化またはフレキシブル化の点で、有機材料で形成された、電子輸送層15または正孔輸送層16を有することが好ましい。
[0099]
 -導電性支持体11-
 導電性支持体11は、導電性を有し、感光層13等を支持できるものであれば特に限定されない。導電性支持体11は、導電性を有する材料、例えば金属で形成された構成、または、ガラスもしくはプラスチックの支持体11aとこの支持体11aの表面に形成された導電膜としての透明電極11bとを有する構成が好ましい。
[0100]
 なかでも、図1A、図2~図6に示されるように、ガラスまたはプラスチックの支持体11aの表面に導電性の金属酸化物を塗設して透明電極11bを成膜した導電性支持体11がさらに好ましい。プラスチックで形成された支持体11aとしては、例えば、特開2001-291534号公報の段落番号0153に記載の透明ポリマーフィルムが挙げられる。支持体11aを形成する材料としては、ガラスおよびプラスチックの他にも、セラミック(特開2005-135902号公報)、導電性樹脂(特開2001-160425号公報)を用いることができる。金属酸化物としては、スズ酸化物(tin oxide:TO)が好ましく、インジウム-スズ酸化物(スズドープ酸化インジウム、indium tin oxide:ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(fluorine-doped tin oxide:FTO)等のフッ素ドープスズ酸化物が特に好ましい。このときの金属酸化物の塗布量は、支持体11aの表面積1m 当たり0.1~100gが好ましい。導電性支持体11を用いる場合、光は支持体11a側から入射させることが好ましい。
[0101]
 導電性支持体11は、実質的に透明であることが好ましい。本発明において、「実質的に透明である」とは、光(波長300~1200nm)の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上が好ましく、80%以上が特に好ましい。
[0102]
 支持体11aおよび導電性支持体11の厚みは、特に限定されず、適宜の厚みに設定される。例えば、0.01μm~10mmであることが好ましく、0.1μm~5mmであることがさらに好ましく、0.3μm~4mmであることが特に好ましい。
[0103]
 透明電極11bを設ける場合、透明電極11bの膜厚は、特に限定されず、例えば、0.01~30μmであることが好ましく、0.03~25μmであることがさらに好ましく、0.05~20μmであることが特に好ましい。
[0104]
 導電性支持体11または支持体11aは、表面に光マネージメント機能を有してもよい。例えば、導電性支持体11または支持体11aの表面に、特開2003-123859号公報に記載の、高屈折率および低屈折率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜を有してもよく、特開2002-260746号公報に記載のライトガイド機能を有してもよい。
[0105]
 -ブロッキング層14-
 本発明においては、光電変換素子10A~10Cおよび10Fのように、透明電極11bの表面に、すなわち、導電性支持体11と、多孔質層12、感光層13または正孔輸送層3等との間に、ブロッキング層14を有していることが好ましい。
[0106]
 光電変換素子および太陽電池において、例えば感光層13または正孔輸送層3と、透明電極11bとが電気的に接続すると逆電流を生じる。ブロッキング層14は、この逆電流を防止する機能を果たす。ブロッキング層14は短絡防止層ともいう。
 ブロッキング層14を、光吸収剤を担持する足場として機能させることもできる。
[0107]
 このブロッキング層14は、光電変換素子が電子輸送層を有する場合にも設けてもよい。例えば、光電変換素子10Dの場合、導電性支持体11と電子輸送層15との間に設けてもよく、光電変換素子10Eの場合、第二電極2と電子輸送層4との間に設けてもよい。
[0108]
 ブロッキング層14を形成する材料は、上記機能を果たすことのできる材料であれば特に限定されず、可視光を透過する物質であって、導電性支持体11(透明電極11b)に対する絶縁性物質であることが好ましい。「導電性支持体11(透明電極11b)に対する絶縁性物質」とは、具体的には、伝導帯のエネルギー準位が、導電性支持体11を形成する材料(透明電極11bを形成する金属酸化物)の伝導帯のエネルギー準位以上であり、かつ、多孔質層12を構成する材料の伝導帯や光吸収剤の基底状態のエネルギー準位より低い化合物(n型半導体化合物)をいう。
[0109]
 ブロッキング層14を形成する材料は、例えば、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。また、一般的に光電変換材料に用いられる材料でもよく、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化タングステン等も挙げられる。なかでも、酸化チタン、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等が好ましい。
[0110]
 ブロッキング層14の膜厚は、0.001~10μmが好ましく、0.005~1μmがさらに好ましく、0.01~0.1μmが特に好ましい。
[0111]
 本発明において、各層の膜厚は、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)等を用いて光電変換素子10の断面を観察することにより、測定できる。
[0112]
 -多孔質層12-
 本発明においては、光電変換素子10A、10Bおよび10Fのように、好ましくは、透明電極11b上に多孔質層12を有している。ブロッキング層14を有している場合、多孔質層12をブロッキング層14上に形成することが好ましい。
[0113]
 多孔質層12は、表面に感光層13を担持する足場として機能する層である。光電変換素子において、光吸収効率を高めるためには、少なくとも光電変換素子等の光を受ける部分の表面積を大きくすることが好ましく、多孔質層12の全体としての表面積を大きくすることが好ましい。
[0114]
 多孔質層12は、多孔質層12を形成する材料の微粒子を堆積または密着させた、細孔を有する微粒子層であることが好ましい。多孔質層12は、2種以上の微粒子が堆積してなる微粒子層であってもよい。多孔質層12が細孔を有する微粒子層であると、光吸収剤の担持量(吸着量)を増量できる。
[0115]
 多孔質層12の表面積を大きくするには、多孔質層12を構成する個々の微粒子の表面積を大きくすることが好ましい。本発明では、多孔質層12を形成する微粒子を導電性支持体11等に塗設した状態で、この微粒子の表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はなく、通常5000倍程度である。多孔質層12を形成する微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径において、1次粒子として0.001~1μmが好ましい。微粒子の分散物を用いて多孔質層12を形成する場合、微粒子の上記平均粒径は、分散物の平均粒径として0.01~100μmが好ましい。
[0116]
 多孔質層12を形成する材料は、導電性に関しては特に限定されず、絶縁体(絶縁性の材料)であっても、導電性の材料または半導体(半導電性の材料)であってもよい。
[0117]
 多孔質層12を形成する材料としては、例えば、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物(光吸収剤として用いるペロブスカイト化合物を除く。)、ケイ素の酸化物(例えば、二酸化ケイ素、ゼオライト)、またはカーボンナノチューブ(カーボンナノワイヤおよびカーボンナノロッド等を含む)を用いることができる。
[0118]
 金属のカルコゲニドは特に限定されず、好ましくは、チタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、アルミニウムまたはタンタルの各酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。金属のカルコゲニドの結晶構造として、アナターゼ型、ブルッカイト型またはルチル型が挙げられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。
[0119]
 ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物は特に限定されず、遷移金属酸化物等が挙げられる。例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ジルコン酸バリウム、スズ酸バリウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸ストロンチウム、タンタル酸ストロンチウム、ニオブ酸カリウム、鉄酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムバリウム、チタン酸バリウムランタン、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸ビスマスが挙げられる。なかでも、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が好ましい。
[0120]
 カーボンナノチューブは、炭素膜(グラフェンシート)を筒状に丸めた形状を有する。カーボンナノチューブは、1枚のグラフェンシートが円筒状に巻かれた単層カーボンナノチューブ(single-walled carbon nanotube:SWCNT)、2枚のグラフェンシートが同心円状に巻かれた2層カーボンナノチューブ(double-walled carbon nanotube:DWCNT)、複数のグラフェンシートが同心円状に巻かれた多層カーボンナノチューブ(multi-walled carbon nanotube:MWCNT)に分類される。多孔質層12としては、いずれのカーボンナノチューブも特に限定されず、用いることができる。
[0121]
 多孔質層12を形成する材料は、なかでも、チタン、スズ、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウムもしくはケイ素の酸化物、またはカーボンナノチューブが好ましく、酸化チタンまたは酸化アルミニウムがさらに好ましい。
[0122]
 多孔質層12は、上述の、金属のカルコゲニド、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物、ケイ素の酸化物およびカーボンナノチューブのうち少なくとも1種で形成されていればよく、複数種で形成されていてもよい。
[0123]
 多孔質層12の膜厚は、特に限定されず、通常0.05~100μmの範囲であり、好ましくは0.1~100μmの範囲である。太陽電池として用いる場合は、0.1~50μmが好ましく、0.2~30μmがより好ましく、0.3~30μmがさらに好ましい。
[0124]
 -電子輸送層15-
 本発明においては、光電変換素子10Dのように、透明電極11bの表面に電子輸送層15を有していてもよい。
[0125]
 電子輸送層15は、感光層13で発生した電子を導電性支持体11へと輸送する機能を有する。電子輸送層15は、この機能を発揮することができる電子輸送材料で形成される。電子輸送材料としては、特に限定されないが、有機材料(有機電子輸送材料)が好ましい。有機電子輸送材料としては、[6,6]-Phenyl-C61-Butyric Acid Methyl Ester(PC 61BM)等のフラーレン化合物、ペリレンテトラカルボキシジイミド(pelylene tetracarboxylic diimide:PTCDI)等のペリレン化合物、その他、テトラシアノキノジメタン(tetracyanoquinodimethane:TCNQ)等の低分子化合物、または、高分子化合物等が挙げられる。
[0126]
 電子輸送層15の膜厚は、特に限定されず、0.001~10μmが好ましく、0.01~1μmがより好ましい。
[0127]
 -正孔輸送層16-
 本発明においては、光電変換素子10Eのように、透明電極11bの表面に正孔輸送層16を有していてもよい。
[0128]
 正孔輸送層16は、形成される位置が異なること以外は、後述する正孔輸送層3と同じである。
[0129]
 -感光層(光吸収層)13-
 感光層13は、好ましくは、多孔質層12(光電変換素子10A、10Bおよび10F)、ブロッキング層14(光電変換素子10C)、電子輸送層15(光電変換素子10D)、または、正孔輸送層16(光電変換素子10E)の各層の表面(感光層13が設けられる表面が凹凸の場合の凹部内表面を含む。)に設けられる。
[0130]
 本発明において、光吸収剤は、後述する特定のペロブスカイト化合物を少なくとも1種含有していればよく、2種以上のペロブスカイト化合物を含有してもよい。また、光吸収剤は、ペロブスカイト化合物と併せて、ペロブスカイト化合物以外の光吸収剤を含んでいてもよい。ペロブスカイト化合物以外の光吸収剤としては、例えば金属錯体色素および有機色素が挙げられる。このとき、ペロブスカイト化合物と、それ以外の光吸収剤との割合は特に限定されない。
[0131]
 感光層13は、単層であっても2層以上の積層であってもよい。感光層13が2層以上の積層構造である場合、互いに異なった光吸収剤からなる層を積層してなる積層構造でもよく、また、感光層と感光層の間に、正孔輸送材料を含む中間層を有する積層構造でもよい。
[0132]
 感光層13を導電性支持体11上に有する態様は、上述した通りである。感光層13は、好ましくは、励起した電子が導電性支持体11または第二電極2に流れるように、上記各層の表面に設けられる。このとき、感光層13は、上記各層の表面全体に設けられていてもよく、その表面の一部に設けられていてもよい。
[0133]
 感光層13は、その表面に下記式(A-0)、(A-1)、(A-2)のいずれかの式で表される化合物を有している。この化合物が表面に存在する態様は上述した通りである。
[0134]
 感光層13の膜厚は、導電性支持体11上に感光層13を有する態様に応じて適宜に設定され、特に限定されない。例えば、0.001~100μmが好ましく、0.01~10μmがさらに好ましく、0.01~5μmが特に好ましい。
[0135]
 多孔質層12を有する場合、多孔質層12の膜厚との合計膜厚は、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましく、0.3μm以上が特に好ましい。また、合計膜厚は、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。合計膜厚は、上記値を適宜に組み合わせた範囲とすることができる。ここで、図1Aのように、感光層13が薄い膜状である場合に、感光層13の膜厚は、多孔質層12の表面に垂直な方向に沿う、多孔質層12との界面と後述する正孔輸送層3との界面との距離をいう。
[0136]
 光電変換素子10において、多孔質層12と感光層13と化合物層5と正孔輸送層3との合計膜厚は、特に限定されず、例えば、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましく、0.5μm以上が特に好ましい。また、この合計膜厚は、200μm以下が好ましく、50μm以下が好ましく、30μm以下が好ましく、5μm以下が好ましい。合計膜厚は、上記値を適宜に組み合わせた範囲とすることができる。
[0137]
 本発明において、感光層を厚い膜状に設ける場合(感光層13Bおよび13C)、この感光層に含まれる光吸収剤は正孔輸送材料として機能することもある。
[0138]
 ペロブスカイト化合物の使用量は、第一電極1の表面の少なくとも一部を覆う量であればよく、表面全体を覆う量が好ましい。
[0139]
 [感光層の光吸収剤]
 感光層13は、光吸収剤として、「周期表第一族元素またはカチオン性有機基A」と、「周期表第一族元素以外の金属原子M」と、「アニオン性原子または原子団X」とを有するペロブスカイト化合物(ペロブスカイト型光吸収剤ともいう)を少なくとも1種含有する。
[0140]
 ペロブスカイト化合物の周期表第一族元素またはカチオン性有機基A、金属原子Mおよびアニオン性原子または原子団Xは、それぞれ、ペロブスカイト型結晶構造において、カチオン(便宜上、Aカチオンということがある)、金属カチオン(便宜上、Mカチオンということがある)およびアニオン(便宜上、Xアニオンということがある)の各構成イオンとして存在する。
[0141]
 本発明において、カチオン性有機基とは、ペロブスカイト型結晶構造においてカチオンになる性質を有する有機基をいい、アニオン性原子または原子団とはペロブスカイト型結晶構造においてアニオンになる性質を有する原子または原子団をいう。
[0142]
 本発明に用いるペロブスカイト化合物において、Aカチオンは、周期表第一族元素のカチオンまたはカチオン性有機基Aからなる有機カチオンである。Aカチオンは有機カチオンが好ましい。
[0143]
 周期表第一族元素のカチオンは、特に限定されず、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)またはセシウム(Cs)の各元素のカチオン(Li 、Na 、K 、Cs )が挙げられ、特にセシウムのカチオン(Cs )が好ましい。
[0144]
 有機カチオンは、上記性質を有する有機基のカチオンであれば特に限定されず、下記式(1)で表されるカチオン性有機基の有機カチオンであることがさらに好ましい。
 式(1):R 1a-NH
 式中、R 1aは置換基を表す。R 1aは、有機基であれば特に限定されず、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基または下記式(2)で表すことができる基が好ましい。なかでも、アルキル基、下記式(2)で表すことができる基がより好ましい。
[0145]
[化9]


[0146]
 式中、X はNR 1c、酸素原子または硫黄原子を表す。R 1bおよびR 1cは各々独立に水素原子または置換基を表す。***は式(1)の窒素原子との結合部位を表す。
[0147]
 本発明において、カチオン性有機基Aの有機カチオンは、上記式(1)中のR 1aとNH とが結合してなるアンモニウムカチオン性有機基Aからなる有機アンモニウムカチオン(R 1a-NH )が好ましい。この有機アンモニウムカチオンが共鳴構造を採り得る場合、有機カチオンは有機アンモニウムカチオンに加えて共鳴構造のカチオンを含む。例えば、上記式(2)で表すことができる基においてX がNH(R 1cが水素原子)である場合、有機カチオンは、上記式(2)で表すことができる基とNH とが結合してなるアンモニウムカチオン性有機基の有機アンモニウムカチオンに加えて、この有機アンモニウムカチオンの共鳴構造の1つである有機アミジニウムカチオンをも包含する。アミジニウムカチオン性有機基からなる有機アミジニウムカチオンとしては、下記式(A am)で表されるカチオンが挙げられる。本明細書において、下記式(A am)で表されるカチオンを便宜上、「R 1bC(=NH)-NH 」と表記することがある。
[0148]
[化10]


[0149]
 アルキル基は、炭素数が1~18のアルキル基が好ましく、1~6のアルキル基がより好ましく、1~3のアルキル基がさらに好ましい。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはデシル等が挙げられる。
[0150]
 シクロアルキル基は、炭素数が3~8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル等が挙げられる。
[0151]
 アルケニル基は、炭素数が2~18のアルケニル基が好ましく、2~6のアルケニル基がより好ましい。例えば、ビニル、アリル、ブテニルまたはヘキセニル等が挙げられる。
[0152]
 アルキニル基は、炭素数が2~18のアルキニル基が好ましく、2~4のアルキニル基がより好ましい。例えば、エチニル、ブチニルまたはヘキシニル等が挙げられる。
[0153]
 アリール基は、炭素数6~14のアリール基が好ましく、炭素数6~12のアリール基がより好ましく、例えば、フェニルが挙げられる。
[0154]
 ヘテロアリール基は、芳香族ヘテロ環のみからなる基と、芳香族ヘテロ環に他の環、例えば、芳香族環、脂肪族環やヘテロ環が縮合した縮合ヘテロ環からなる基とを包含する。
[0155]
 芳香族ヘテロ環を構成する環構成ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。また、芳香族ヘテロ環の環員数としては、3~8員環が好ましく、5員環または6員環がより好ましい。芳香族ヘテロ環の炭素数は0~20であることが好ましく、1~18であることがより好ましい。
[0156]
 5員環の芳香族ヘテロ環および5員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、フラン環、チオフェン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インドリン環、インダゾール環の各環基が挙げられる。また、6員環の芳香族ヘテロ環および6員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キナゾリン環の各環基が挙げられる。
[0157]
 式(2)で表すことができる基において、X はNR 1c、酸素原子または硫黄原子を表し、NR 1cが好ましい。ここで、R 1cは、水素原子または置換基を表し、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基が好ましく、水素原子がさらに好ましい。
[0158]
 R 1bは、水素原子または置換基を表し、水素原子が好ましい。R 1bが採り得る置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基またはアミノ基が挙げられる。
[0159]
 R 1bおよびR 1cがそれぞれ採り得る、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基は、上記R 1aの各基と同義であり、好ましいものも同じである。
[0160]
 式(2)で表すことができる基としては、例えば、(チオ)アシル基、(チオ)カルバモイル基、イミドイル基またはアミジノ基が挙げられる。
[0161]
 (チオ)アシル基は、アシル基およびチオアシル基を包含する。アシル基は、総炭素数が1~7のアシル基が好ましく、例えば、ホルミル、アセチル(r-34)、プロピオニル、ヘキサノイル等が挙げられる。チオアシル基は、総炭素数が1~7のチオアシル基が好ましく、例えば、チオホルミル、チオアセチル(r-36)、チオプロピオニル等が挙げられる。
[0162]
 (チオ)カルバモイル基は、カルバモイル基(r-35)およびチオカルバモイル基(H NC(=S)-)を包含する。
[0163]
 イミドイル基は、R 1b-C(=NR 1c)-で表される基であり、R 1bおよびR 1cはそれぞれ水素原子またはアルキル基が好ましく、アルキル基は上記R 1aのアルキル基と同義であるのがより好ましい。例えば、ホルムイミドイル(r-37)、アセトイミドイル(r-39)、プロピオンイミドイル(CH CH C(=NH)-)等が挙げられる。なかでも、ホルムイミドイルが好ましい。
[0164]
 式(2)で表すことができる基としてのアミジノ基は、上記イミドイル基のR 1bがアミノ基でR 1cが水素原子である構造(r-38)を有する。
[0165]
 R 1aが採り得る、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基および上記式(2)で表すことができる基は、いずれも、置換基を有していてもよい。R 1aが有していてもよい置換基W は特に限定されず、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ハロゲン原子、シリル基、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基またはカルボキシ基が挙げられる。R 1aが有していてもよい各置換基は、さらに置換基で置換されていてもよい。
[0166]
 下記に、式(1)のR 1aの具体例として下記r-1~r-39を示すが、本発明はこれらに限定されない。下記具体例において、「*」は窒素原子との結合部位を示し、「Me」はメチル基を示し、「Et」はエチル基を示す。
[0167]
[化11]


[0168]
[化12]


[0169]
 本発明に用いるペロブスカイト化合物において、Mカチオンは、周期表第一族元素以外の金属原子Mのカチオンであって、ペロブスカイト型結晶構造を採り得る金属原子のカチオンであれば、特に限定されない。このような金属原子としては、例えば、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、カドミウム(Cd)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、イッテルビウム(Yb)、ユウロピウム(Eu)、インジウム(In)等の金属原子が挙げられる。なかでも、金属原子MはPb原子またはSn原子が特に好ましい。Mは1種の金属原子であってもよく、2種以上の金属原子であってもよい。2種以上の金属原子である場合には、Pb原子およびSn原子の2種が好ましい。このときの金属原子の割合は特に限定されない。
[0170]
 本発明に用いるペロブスカイト化合物において、Xアニオンは、アニオン性原子または原子団Xのアニオンを表す。このアニオンは、好ましくはハロゲン原子のアニオン、または、NCS 、NCO 、CH COO もしくはHCOO の、各原子団のアニオンが挙げられる。なかでも、ハロゲン原子のアニオンであることがさらに好ましい。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等が挙げられる。
[0171]
 Xアニオンは、1種のアニオン性原子または原子団のアニオンであってもよく、2種以上のアニオン性原子または原子団のアニオンであってもよい。1種のアニオン性原子または原子団のアニオンである場合には、ヨウ素原子のアニオンが好ましい。一方、2種以上のアニオン性原子または原子団のアニオンである場合には、2種のハロゲン原子のアニオン、特に塩素原子のアニオンおよびヨウ素原子のアニオンが好ましい。2種以上のアニオンの割合は特に限定されない。
[0172]
 本発明に用いるペロブスカイト化合物は、上記の各構成イオンを有するペロブスカイト型結晶構造を有し、下記式(I)で表されるペロブスカイト化合物が好ましい。
 式(I):A
 式中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表す。Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表す。Xはアニオン性原子または原子団を表す。aは1または2を表し、mは1を表し、a、mおよびxはa+2m=xを満たす。
[0173]
 式(I)において、周期表第一族元素またはカチオン性有機基Aは、ペロブスカイト型結晶構造の上記Aカチオンを形成する。したがって、周期表第一族元素およびカチオン性有機基Aは、上記Aカチオンとなってペロブスカイト型結晶構造を構成できる元素または基であれば、特に限定されない。周期表第一族元素またはカチオン性有機基Aは、上記Aカチオンで説明した上記周期表第一族元素またはカチオン性有機基と同義であり、好ましいものも同じである。
[0174]
 金属原子Mは、ペロブスカイト型結晶構造の上記Mカチオンを形成する金属原子である。したがって、金属原子Mは、周期表第一族元素以外の原子であって、上記Mカチオンとなってペロブスカイト型結晶構造を構成できる原子であれば、特に限定されない。金属原子Mは、上記Mカチオンで説明した上記金属原子と同義であり、好ましいものも同じである。
[0175]
 アニオン性原子または原子団Xは、ペロブスカイト型結晶構造の上記Xアニオンを形成する。したがって、アニオン性原子または原子団Xは、上記Xアニオンとなってペロブスカイト型結晶構造を構成できる原子または原子団であれば、特に限定されない。アニオン性原子または原子団Xは、上記Xアニオンで説明したアニオン性原子または原子団と同義であり、好ましいものも同じである。
[0176]
 式(I)で表されるペロブスカイト化合物は、aが1である場合、下記式(I-1)で表されるペロブスカイト化合物であり、aが2である場合、下記式(I-2)で表されるペロブスカイト化合物である。
 式(I-1):AMX
 式(I-2):A MX
 式(I-1)および式(I-2)において、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表し、上記式(I)のAと同義であり、好ましいものも同じである。
 Mは、周期表第一族元素以外の金属原子を表し、上記式(I)のMと同義であり、好ましいものも同じである。
 Xは、アニオン性原子または原子団を表し、上記式(I)のXと同義であり、好ましいものも同じである。
[0177]
 本発明に用いるペロブスカイト化合物は、式(I-1)で表される化合物および式(I-2)で表される化合物のいずれでもよく、これらの混合物でもよい。したがって、本発明において、ペロブスカイト化合物は、光吸収剤として少なくとも1種が存在していればよく、組成式、分子式および結晶構造等により、厳密にいかなる化合物であるかを明確に区別する必要はない。
[0178]
 以下に、本発明に用いうるペロブスカイト化合物の具体例を例示するが、これによって本発明が制限されない。下記においては、式(I-1)で表される化合物と、式(I-2)で表される化合物とを分けて記載する。ただし、式(I-1)で表される化合物として例示した化合物であっても、合成条件等によっては、式(I-2)で表される化合物となる場合もあり、また、式(I-1)で表される化合物と式(I-2)で表される化合物との混合物となる場合もある。同様に、式(I-2)で表される化合物として例示した化合物であっても、式(I-1)で表される化合物となる場合もあり、また、式(I-1)で表される化合物と式(I-2)で表される化合物との混合物となる場合もある。
[0179]
 式(I-1)で表される化合物の具体例として、例えば、CH NH PbCl 、CH NH PbBr 、CH NH PbI 、CH NH PbBrI 、CH NH PbBr I、CH NH SnBr 、CH NH SnI 、CH(=NH)NH PbI が挙げられる。
[0180]
 式(I-2)で表される化合物の具体例として、例えば、(C NH PbI 、(CH =CHNH PbI 、(CH≡CNH PbI 、(n-C NH PbI 、(n-C NH PbI 、(C 1021NH PbI 、(C NH PbI 、(C CH CH NH PbI 4、(C NH PbI 、(C NH PbI 、(C SNH PbI が挙げられる。ここで、(C SNH PbI におけるC SNH はアミノチオフェンである。
[0181]
 ペロブスカイト化合物は、下記式(II)で表される化合物と下記式(III)で表される化合物とから合成することができる。
 式(II):AX
 式(III):MX
 式(II)中、Aは周期表第一族元素またはカチオン性有機基を表し、式(I)のAと同義であり、好ましいものも同じである。式(II)中、Xはアニオン性原子または原子団を表し、式(I)のXと同義であり、好ましいものも同じである。
 式(III)中、Mは周期表第一族元素以外の金属原子を表し、式(I)のMと同義であり、好ましいものも同じである。式(III)中、Xはアニオン性原子または原子団を表し、式(I)のXと同義であり、好ましいものも同じである。
[0182]
 ペロブスカイト化合物の合成方法については、例えば、非特許文献1に記載の方法が挙げられる。また、Akihiro Kojima, Kenjiro Teshima, Yasuo Shirai, and Tsutomu Miyasaka, “Organometal Halide Perovskites as Visible-Light Sensitizers for Photovoltaic Cells”, J.Am.Chem.Soc.,2009,131(17),p.6050-6051に記載の方法も挙げられる。
[0183]
 光吸収剤の使用量は、隣接して設けられる層の表面の少なくとも一部を覆う量であればよく、表面全体を覆う量が好ましい。
 感光層13中、ペロブスカイト化合物の含有量は、通常1~100質量%である。
[0184]
 -化合物層5-
 本発明においては、シリル基を有する表面処理剤を含む化合物層が、第一電極の感光層表面に設けられる。第一電極の感光層表面に設けられる化合物層の態様および状態は上述した通りである。本発明の光電変換素子においては、第一電極1上に、好ましくは、正孔輸送層3、電子輸送層4または第二電極2が設けられる。この場合、化合物層5は、第一電極1の感光層表面と、正孔輸送層3、電子輸送層4または第二電極2との間に介在している。
[0185]
 化合物層は、第一電極の感光層表面に存在していればよい。化合物が第一電極の感光層表面に存在しているか否かは次のようにして確認できる。すなわち、十分な面積の第一電極の感光層表面を、上記化合物層を溶解可能な有機溶剤または水で洗う。得られた洗浄液をろ過したろ液を、必要に応じて濃縮および精製して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(gel permeation chromatography:GPC)、高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography:HPLC)または各磁気共鳴分光法(nuclearmagnetic resonance:NMR)で分析する。これにより、第一電極の表面上における、表面処理剤の有無を確認し、またその存在量を定量できる。なお、ここでいう表面処理剤は、上述したように、ペロブスカイト構造中に取り込まれた形態での表面処理剤成分をも含む。
[0186]
 表面に存在する上記表面処理剤の存在量は、本発明の効果を奏する限りにおいて、特に限定されない。第一電極の感光層上の表面処理剤の存在量は、表面処理剤を含む液の濃度、接触させる表面積等によって、変動させることができる。表面処理剤の存在量の一例を挙げると、例えば、0.1mg/m ~100g/m の範囲であり、さらには1mg/m ~1g/m の範囲である。ここで、表面処理剤の存在量は上記範囲に限定されず、表面処理剤の存在量が0.1mg/m 以下であっても本発明の効果を得ることができる。
[0187]
 本発明においては、上記表面処理剤が、第一電極の感光層表面を一様に覆い、かつ表面処理剤分子が重なり合わない(単分子膜状である)ことが、光電変換特性の向上および電池性能の安定性の実現の点等から好ましい。
[0188]
 上記表面処理剤が存在する態様およびその存在量は、上記表面処理剤を含む液を第一電極の感光層表面に接触させることにより、好ましくは第一電極の感光層表面全面に接触させることにより達成される。
[0189]
 第一電極の感光層表面にシリル基を有する表面処理剤を含む化合物層を設けた光電変換素子において、素子間の耐湿性のばらつきを低減できる理由は、明らかではないが、次のように推定される。
[0190]
 光電変換素子においては、材料界面の欠陥からの水の侵入や正孔輸送材料が含有する水分によってペロブスカイト化合物が分解される。従来の素子ではその水分の侵入や含有を制御することが困難なため、光電変換素子間の耐湿性のばらつきが生じると考えられる。本発明において用いられる化合物層に含まれる表面処理剤は、感光層を疎水化する効果に加え、隣接層(正孔輸送層、第二電極等)との密着性を高める効果を有するので、光電変換素子の耐湿性ばらつきを改善すると推定される。
[0191]
 化合物層は、シリル基を有する表面処理剤を少なくとも1種含有していればよく、複数種を含有していてもよい。また、シリル基を有する表面処理剤は、これに加えて添加剤を含む表面処理用組成物として用いてもよい。この添加剤としては、たとえば、周期表第一族元素を有するハロゲン化物およびカチオン性有機基Aを有するハロゲン化物からなる群より選択される化合物が挙げられる。上記のカチオン性有機基Aとしては、たとえば、既述した式(1)で表されるカチオン性有機基が挙げられる。また、式(1)で表されるカチオン性有機基のR 1aは、既述した式(2)で表わされる基であることが好ましい。
[0192]
 以下、本発明において用いられる好ましい表面処理剤について説明する。
 好ましい表面処理剤としては、たとえば下記式(A-0)で表されるものを挙げることができる。
[0193]
[化13]


[0194]
 式(A-0)において、
Gは-OR 、-O Ya 、-SR 、-S Ya 、-NR 、-(NR Ya 、-COOR 、-COO Ya 、-SO 、-SO Ya 、-P(=O)(OR 、-P(=O)(O Ya 、-B(OR 、および、-B(OR Ya からなる群より選択される基または塩を表す。R 、R およびR は各々独立に水素原子または置換基を表す。Yaは対塩を表す。p1は1以上の整数を表す。Lはシリル基を表す。q1は1以上の整数を表す。J は単結合または連結基を表す。
[0195]
 式(A-0)で表される化合物について説明する。
 Gは-OR 、-O Ya 、-SR 、-S Ya 、-NR 、-(NR Ya 、-COOR 、-COO Ya 、-SO 、-SO Ya 、-P(=O)(OR 、-P(=O)(O Ya 、-B(OR 、および、-B(OR Ya からなる群より選択される基または塩である。
[0196]
 ここで、R 、R およびR は各々独立に水素原子または置換基を表す。R 、R およびR が置換基を表す場合、置換基としては、特に限定されず、上記置換基W が挙げられる。好ましくは炭素数1または2のアルキル基である。R 、R およびR はいずれも水素原子を表すことが特に好ましい。
[0197]
 対塩Yaは特に限定されず、各種のカチオンまたはアニオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン(Li )、セシウムイオン(Cs )、ナトリウムイオン(Na )、カリウムイオン(K )、銀イオン(Ag )、銅イオン(Cu )、アンモニウムイオン(NR )、ホスホニウムイオン(PR )等が挙げられる。R は水素原子または置換基を表す。置換基の例としては上記置換基W が挙げられる。アニオンとしては、ハロゲン化物イオン(フッ化物イオン(F )、ヨウ化物イオン(I )、臭化物イオン(Br )、塩化物イオン(Cl )等)、O 2-等が挙げられる。なかでも、ハロゲン化物イオンが好ましく、ヨウ化物イオン(I )がより好ましい。
[0198]
 Gは、ペロブスカイト型結晶構造への置換容易性の観点から、好ましくは、-OR 、-O Ya 、-SR 、-S Ya 、-NR または-(NR Ya であり、より好ましくは、-NR または-(NR Ya であり、さらに好ましくは-(NR Ya であり、特に好ましくは-NH である。
[0199]
 Lはシリル基を表す。なかでも、後述する式(L-1)で表わされるシリル基が好ましい。
[0200]
 J は単結合または連結基である。J が連結基である場合には、後述する式J-1~式J-8で表される連結基からなる群より選択される少なくとも1つの連結基であることが好ましい。ここで、式J-1~式J-8で表される連結基からなる群より選択される少なくとも1つの連結基は、式J-1~式J-8のいずれか1つの式で表される連結基である場合と、下記式J-1~式J-8で表される連結基からなる群より選択される少なくとも2つの連結基を組み合わせてなる連結基である場合とを含む。J は、単結合、後述する式J-7または式J-8で表される連結基が好ましく、単結合または式J-7で表される連結基がより好ましい。
[0201]
 p1は1以上の整数を表す。好ましくは1以上4以下の整数であり、より好ましくは1である。
[0202]
 q1は1以上の整数を表す。好ましくは1以上4以下の整数であり、より好ましくは1である。
[0203]
 式(A-0)で表される表面処理剤は、下記式(A-1)または(A-2)で表されるものが好ましい。
[0204]
[化14]


[0205]
 式(A-1)および式(A-2)において、G、p1、L、q1は式(A-0)のG、p1、L、q1と同義である。
[0206]
 式(A-1)において、J は、単結合、または炭化水素環およびヘテロ環を含まない連結基を表す。
 特に好ましいJ はアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される連結基である。アルキレン基、アルケニレン基、および、アルキニレン基の具体例は、後述するJ のアルキレン基、アルケニレン基、および、アルキニレン基と同義である。
[0207]
 式(A-1)において、Lは下記式(L-1)で表わされるシリル基であることが好ましい。
[0208]
[化15]


[0209]
 式中、R ~R はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭化水素環基、またはヘテロ環基を表す。*はJ との連結部位を表す。
[0210]
 アルキル基は、炭素数が1~18のアルキル基が好ましく、1~6のアルキル基がより好ましく、1~3のアルキル基がさらに好ましい。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはデシル等が挙げられる。
[0211]
 アルケニル基は、炭素数が2~18のアルケニル基が好ましく、2~6のアルケニル基がより好ましい。例えば、ビニル、アリル、ブテニルまたはヘキセニル等が挙げられる。
[0212]
 アルキニル基は、炭素数が2~18のアルキニル基が好ましく、2~4のアルキニル基がより好ましい。例えば、エチニル、ブチニルまたはヘキシニル等が挙げられる。
[0213]
 炭化水素環は芳香族炭化水素環でも脂肪族炭化水素環でもよい。
 芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、多ベンゼン縮環(例えば、ナフタレン環、フェナントレン環)が挙げられる。これらの環に芳香環でない炭化水素環、例えば、3~7員のシクロアルカン、5~7員のシクロアルケンが縮環していてもよい。
[0214]
 脂肪族炭化水素環としては、3~8員環が好ましく、5または6員環がより好ましく、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環、シクロオクタン環が挙げられ、シクロヘキサン環が好ましい。
[0215]
 ヘテロ環は芳香族ヘテロ環でも脂肪族ヘテロ環でもよい。
[0216]
 芳香族ヘテロ環の環員数としては、3~8員環が好ましく、5員環または6員環がより好ましい。芳香族ヘテロ環の炭素数は0~20であることが好ましく、0~18であることがより好ましい。
[0217]
 芳香族ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、チオフェン環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、トリアゾール環およびピラゾール環が挙げられる。また縮環構造のものとしては、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、インドリン環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環等が挙げられる。より好ましくは、ピリジン環、ピロール環、フラン環、トリアジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、チオフェン環であり、さらに好ましくはピリジン環またはチオフェン環である。
[0218]
 脂肪族ヘテロ環としては、5~8員環が好ましく、炭素数は0~24であることが好ましく、1~18であることがより好ましい。
[0219]
 脂肪族ヘテロ環としては、例えば、ピロリジン、オキソラン、チオラン、ピペリジン、オキサン、チアン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン、ピロリジン、アゼチジン、オキセタン、アジリジン、ジオキサン、ペンタメチレンスルフィド等が挙げられる。
[0220]
 式(A-1)において、Gは-OR 、-O Ya 、-SR 、-S Ya 、-NR および-(NR Ya からなる群より選択されることが好ましく、より好ましくは、-NR または-(NR Ya であり、さらに好ましくは-(NR Ya であり、特に好ましくは-NH である。ここで、R 、R およびR は式(A-0)と同義である。
[0221]
 式(A-2)において、
環Cは炭化水素環またはヘテロ環を表す。
はヘテロ原子またはNR 12を表す。R 12は水素原子または置換基を表す。m1は0以上の整数を表す。
は置換基を表す。n1は0以上の整数を表す。
は単結合または連結基を表す。n2は0以上の整数を表す。n3は1以上の整数を表す。n4は1以上の整数を表す。
は単結合または連結基を表す。n5は0以上の整数を表す。n6は1以上の整数を表す。n7は1以上の整数を表す。
[0222]
 式(A-2)で表される表面処理剤についてより詳細に説明する。
 環Cは、環を構成するのに必要な炭素原子群からなる炭化水素環または環を構成するのに必要な炭素原子群とZとからなるヘテロ環を表し、Zはヘテロ原子またはNR 12を表す。
[0223]
 式(A-2)において、環Cで表される炭化水素環は芳香族炭化水素環でも脂肪族炭化水素環でもよく、また、ヘテロ環は芳香族ヘテロ環でも脂肪族ヘテロ環でもよい。環Cは芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環が好ましい。
[0224]
 芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、多ベンゼン縮環(例えば、ナフタレン環、フェナントレン環)が挙げられる。これらの環に芳香環でない炭化水素環、例えば、3~7員のシクロアルカン、5~7員のシクロアルケンが縮環していてもよい。環Cが表す芳香族炭化水素環としてはベンゼン環が好ましい。
[0225]
 脂肪族炭化水素環としては、上記式(L-1)中のR ~R が表す脂肪族炭化水素環と同義であり、好ましい範囲も同じである。
[0226]
 芳香族ヘテロ環としては、5~7員環が好ましく、5または6員環がより好ましい。また、これらの環に、芳香族炭化水素環、芳香族以外の脂肪族炭化水素環(例えば、シクロアルカン、シクロアルケン)または芳香族ヘテロ環を含むヘテロ環が縮環していてもよい。Zが表すヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子であることが好ましく、窒素原子または硫黄原子であることがより好ましい。
[0227]
 R 12は水素原子または置換基を表す。R 12が置換基を表す場合、置換基としては前述の置換基W が挙げられる。なかでも、炭素数1~30のアルキル基が好ましく、炭素数1~15のアルキル基がより好ましい。R 12は水素原子であることがさらに好ましい。
[0228]
 また、m1は0以上の整数を表し、m1が2以上のとき、複数のZは互いに異なっていてもよい。m1は好ましくは0~2の整数である。環Cが芳香族へテロ環を表す場合、m1は好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。
[0229]
 このような芳香族ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、チオフェン環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、トリアゾール環およびピラゾール環が挙げられる。また縮環構造のものとしては、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、インドリン環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環等が挙げられる。より好ましくは、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、チアゾール環、チオフェン環であり、さらに好ましくはピリジン環またはチオフェン環である。
[0230]
 脂肪族ヘテロ環としては、上記式(L-1)中のR ~R が表す脂肪族ヘテロ環と同義であり、好ましい範囲も同じである。
[0231]
 R は置換基を表す。R が表す置換基としては前述の置換基W の内、Gに相当する基以外の置換基、およびニトロ基が挙げられる。なかでも、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基、ニトロ基、シアノ基が挙げられる。また、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基またはヘテロアリール基の各置換基の少なくとも1つの水素原子がさらにハロゲン原子で置換され、ハロゲン原子を有する基となっている場合(「ハロゲン原子を有する基」という)も好ましい。ハロゲン原子を有する基は、ハロゲン原子が置換したアルキル基が好ましく、フッ素原子が置換したアルキル基がより好ましい。
[0232]
 R で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。好ましくはフッ素原子である。
[0233]
 アルキル基は、炭素数が1~18のアルキル基が好ましく、1~6のアルキル基がより好ましく、1~3のアルキル基がさらに好ましい。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはデシル等が挙げられる。
[0234]
 アルケニル基は、炭素数2~20の直鎖アルケニル基または分岐アルケニル基であることが好ましく、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、4-ペンテニルおよびブタジエンであることが好ましい。アルケニル基において、シス-トランス異性は特に限定されない。
[0235]
 アルキニル基は、炭素数2~20の直鎖アルキニル基または分岐アルキニル基であることが好ましく、例えば、エチニルおよびブチニルが挙げられる。
[0236]
 アルコキシ基、および、アルキルチオ基のアルキル部分は、上記で説明したアルキル基と同義であるのが好ましい。このアルコキシ基は置換されていてもよい。置換基としては上記置換基W が挙げられる。置換アルコキシ基としては、2-メトキシエチルオキシ基が好ましい。
[0237]
 アリール基およびヘテロアリール基としては、環Cで説明した芳香族炭化水素環および芳香族ヘテロ環と同義であり、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環である。
[0238]
 R は、好ましくは、アルキル基、分岐アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有する基であり、より好ましくは、分岐アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有する基であり、さらに好ましくは、分岐アルキル基、ハロゲン原子が置換したアルキル基である。
[0239]
 n1は0以上の整数を表す。n1は好ましくは0~2の整数であり、より好ましくは0または1であり、さらに好ましくは1である。
[0240]
 J は各々独立に単結合または連結基である。J が連結基である場合には、後述の式J-1~式J-8で表される連結基からなる群より選択される少なくとも1つの連結基が好ましい。J は、単結合、または、式J-1、式J-6および式J-7で表される連結基からなる群より選択される少なくとも1つの連結基が好ましい。J が連結基である場合、好ましいものは上記組み合わせのうち、式J-1、式J-6または式J-7を含む組み合わせが挙げられる。J の連結基は、より好ましくは、単結合、式J-1で表される連結基、式J-7で表される連結基、式J-1で表される連結基を2個組み合わせてなる連結基、式J-6で表される連結基1個と式J-7で表される連結基1個を組み合わせてなる連結基である。
[0241]
 式(A-2)において、Gは-OR 、-O Ya 、-SR 、-S Ya 、-NR および-(NR Ya からなる群より選択されることが好ましく、より好ましくは、-NR または-(NR Ya であり、さらに好ましくは-(NR Ya であり、特に好ましくは-NH である。ここで、R 、R およびR は上記式(A-0)と同義である。
[0242]
 式(A-2)において、「-(J n2-(G) n3」基の環Cへの結合位置は、特に限定されない。環Cが芳香族ヘテロ環である場合、少なくとも1つの「-(J n2-(G) n3」基の結合位置は(ヘテロ原子を1位とした場合)環Cの2位(ヘテロ原子に隣接原子)であるのが好ましい。
[0243]
 n3は1以上の整数を表す。好ましくは1~3であり、1または2がより好ましく、1がさらに好ましい。
[0244]
 n4は1以上の整数を表し、好ましくは1~4であり、より好ましくは1または2である。
[0245]
 式(A-2)において、Lは上記式(A-1)で説明したのと同様に、式(L-1)で表わされるシリル基であることが好ましい。式(A-2)における式(L-1)で表わされるシリル基は、J または環Cと連結する以外は、上記式(A-1)と同義である。
[0246]
 J は各々独立に単結合または連結基である。J が連結基である場合には、後述の式J-1~式J-8で表される連結基からなる群より選択される少なくとも1つの連結基が好ましい。J は、単結合、または、式J-1、式J-6および式J-7で表される連結基からなる群より選択される少なくとも1つの連結基が好ましい。J が連結基である場合、好ましいものは上記組み合わせのうち、式J-1、式J-6または式J-7を含む組み合わせが挙げられる。J の連結基は、より好ましくは、単結合、式J-1で表される連結基、式J-7で表される連結基、式J-1で表される連結基を2個組み合わせてなる連結基、式J-6で表される連結基1個と式J-7で表される連結基1個を組み合わせてなる連結基である。
[0247]
 特に好ましいJ はアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される連結基である。
[0248]
 アルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、tert-ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンまたはデシレン等が挙げられる。
[0249]
 シクロアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン、シクロペンチレンまたはシクロヘキシレン等が挙げられる。
[0250]
 アルケニレン基としては、例えば、ビニレン、アリレン、ブテニレンまたはヘキセニレン等が挙げられる。
[0251]
 シクロアルケニレン基としては、例えば、シクロプロペニレン、シクロペンテニレンまたはシクロヘキセニレン等が挙げられる。
[0252]
 アルキニレン基としては、例えば、エチニレン、ブチニレンまたはヘキシニレン等が挙げられる。
[0253]
 アリーレン基としては、例えば、フェニレンが挙げられる。
[0254]
 ヘテロアリーレン基として、例えば、上述した5員環の芳香族ヘテロ環、5員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環、6員環の芳香族ヘテロ環、6員環の芳香族ヘテロ環を含む縮合ヘテロ環に基づく基が挙げられる。
[0255]
 式(A-2)で表される化合物の一つの態様として、下記式(A-3)が挙げられる。
[0256]
[化16]


[0257]
 式(A-3)において、
環Dはヘテロ環を表す。
は式(A-2)と同義である。m2は1以上の整数を表す。
Eは、>C=CR Y1Y2、>C=S、>C=Oまたは>C=NR Y3を表す。R Y1およびR Y2は各々独立に置換基を表す。R Y3は水素原子または置換基を表す。m3は0以上の整数を表す。R Y1、R Y2およびR Y3が置換基を表す場合、置換基としては、特に限定されず、上記置換基W が挙げられる。好ましくは炭素数1または2のアルキル基である。
[0258]
 R 、n1、J 、n2、G、n3、n4、J 、n5、L、n6、n7は上記式(A-2)と同義である。
[0259]
 環Dとしてのヘテロ環は芳香族ヘテロ環でも脂肪族ヘテロ環でもよい。
[0260]
 芳香族ヘテロ環としては、例えば、ピロール環、チオフェン環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、トリアゾール環およびピラゾール環が挙げられる。また縮環構造のものとしては、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、インドリン環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環等が挙げられる。より好ましくは、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、チアゾール環、チオフェン環であり、さらに好ましくはピリジン環またはチオフェン環である。
[0261]
 脂肪族ヘテロ環としては、5~8員環が好ましく、ピロリジン、オキソラン、チオラン、ピペリジン、オキサン、チアン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン、アゼチジン、オキセタン、アジリジン、ジオキサン、ペンタメチレンスルフィド等が挙げられる。
[0262]
 上記式(A-0)、(A-1)、(A-2)、または(A-3)で表される表面処理剤の連結基J 、J 、J として好ましい下記式J-1~式J-8で表される連結基について説明する。
[0263]
[化17]


[0264]
 式中、*はG、L、もしくは環Cとの結合部位、または式J-1~式J-8のいずれかで表される他の連結基との結合部位を示す。
 D は窒素原子、N 19またはCR 20を表す。
 D は酸素原子、硫黄原子またはNR 21を表し、NR 21が好ましい。
 M は酸素原子、硫黄原子またはNR 22を表し、酸素原子またはNR 22が好ましい。
 Z はヘテロ原子またはNR 13を表す。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が挙げられ、硫黄原子であることが好ましい。
[0265]
 P は、P 中の「>C=」を環Pの環構成原子とする基であり、この炭素原子の2つの単結合がそれぞれ環Pの環構成原子と結合して、上記炭素原子が環P中に組み込まれる。P は、具体的には、>C=CR Y1Y2、>C=Sまたは>C=Oを表し、>C=Oが好ましい。
[0266]
 環Pは、環を構成するのに必要な炭素原子群からなる脂肪族炭化水素環、または、環を構成するのに必要な炭素原子群とZ とからなる脂肪族ヘテロ環を表す。脂肪族炭化水素環としては、3~8員環が好ましく、5または6員環がより好ましく、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環、シクロオクタン環が挙げられ、シクロヘキサン環が好ましい。脂肪族ヘテロ環としては、5~8員環が好ましく、ピロリジン、オキソラン、チオラン、ピペリジン、オキサン、チアン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン、ピロリジン、アゼチジン、オキセタン、アジリジン、ジオキサン、ペンタメチレンスルフィド等が挙げられる。
[0267]
 R 14~R 17、R 19およびR 20は各々独立に水素原子または置換基を表す。R 18、R Y1およびR Y2は置換基を表す。R 14~R 17、R 19およびR 20が置換基を表す場合の置換基およびR 18、R Y1およびR Y2の置換基としては、上記置換基W が挙げられる。なかでも、アルキル基、ハロゲン原子が好ましく、ハロゲン原子がより好ましい。アルキル基としては、好ましくは炭素数1~30の置換または無置換の直鎖または分岐アルキル基である。アルキル基が置換基を有する場合の置換基としては、特に限定されず、上記置換基W が好ましく、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)がより好ましい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、オクタデシルが挙げられる。R 14~R 17、R 19およびR 20は、各々独立に、ハロゲン原子、水素原子であることがさらに好ましい。
[0268]
 R Y1およびR Y2は互いに結合して環を形成してもよい。R Y1およびR Y2が形成する環は、特に限定されず、上記環Pと同じ環であってもよい。
[0269]
 R 13、R 21およびR 22は各々独立に水素原子または置換基を表す。R 13、R 21およびR 22が置換基を表す場合、置換基としては前述の置換基W が挙げられる。なかでも、アルキル基が好ましい。アルキル基としては、好ましくは炭素数1~30の置換または無置換の直鎖または分岐アルキル基である。このアルキル基が置換基を有する場合の置換基としては、特に限定されず、上記置換基W が好ましく、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)がより好ましい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、オクタデシルが挙げられる。R 13、R 21およびR 22は各々独立に、アルキル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
[0270]
 u1は0以上の整数を表し、0~5の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましい。
 u2は0以上の整数を表し、0~3の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
 u3は2以上の整数を表し、好ましくは2である。
 u4は、0以上の整数を表し、環Pの芳香族性の有無等によって、1以上の整数をとる場合がある。u4は、好ましくは0~3の整数を表し、より好ましくは0または1であり、さらに好ましくは0である。
 式J-4はトランス体として表されているが、シス体であってもよい。
[0271]
 本発明において、上記式J-1~式J-8で表される連結基からなる群より選択される2以上の連結基を組み合わせてなる連結基は、上記式(A-0)、(A-1)、(A-2)のいずれかで表される化合物を形成するのに必要な結合部位を有していれば、上記式J-1~式J-8で表される連結基からなる群より選択される2以上の連結基が連結して環構造を形成するものも包含する。
[0272]
 式(A-0)、(A-1)、(A-2)において、GまたはLで表される基と理解できる基については連結基には含めないものとする。
[0273]
 式J-1~式J-8で表される連結基を組み合わせる場合、次の組み合わせが好ましい。
 複数個の、好ましくは2~30個、より好ましくは2~10個、さらに好ましくは2~5個、特に好ましくは2~4個の式J-1で表される連結基同士の組み合わせ;
 1個以上(上限は特に限定されず、30個、好ましくは10個)の式J-1で表される連結基と1個以上(上限は特に限定されず、30個、好ましくは10個)の式J-6で表される連結基の組み合わせ;
 1個以上(上限は特に限定されず、30個、好ましくは10個)の式J-6で表される連結基と1個以上(上限は特に限定されず、30個、好ましくは10個)の式J-7で表される連結基の組み合わせ;
 1個以上(上限は特に限定されず、15個、好ましくは5個)の式J-4で表される連結基と1個以上(上限は特に限定されず、30個、好ましくは10個)の式J-7で表される連結基の組み合わせ;
 1個以上(上限は特に限定されず、30個、好ましくは10個)の式J-1で表される連結基と、1個以上(上限は例えば15個、好ましくは5個)の式J-5で表される連結基と1個以上(上限は特に限定されず、30個、好ましくは10個)の式J-7で表される連結基との組み合わせ;
 1個以上(上限は特に限定されず、30個、好ましくは10個)の式J-1で表される連結基と1個以上(上限は特に限定されず、30個、好ましくは10個)の式J-7で表される連結基との組み合わせ。
[0274]
 上記式J-1~式J-8で表される連結基を組み合わせてなる連結基は、例えば以下のような構造のものが好適に挙げられる。下記の各連結基はさらに上記置換基W を有していてもよい。
[0275]
[化18]


[0276]
 式中、*はG、Lまたは環Cとの結合部位を表す。
[0277]
 本発明の表面処理剤のうち特に好ましいのは、下記式(A-5)で表されるものである。
[0278]
[化19]


[0279]
 式(A-5)中、J はアルキレン基、アリーレン基およびこれらの組み合わせからなる群より選択される連結基を表わし、G は-NR または-(NR Ya を表す。R 、R 、R 、およびYaは上記式(A-0)のR 、R 、R 、およびYaと同義である。また、R ~R は上記式(L-1)のR ~R と同義である。
[0280]
 アルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、tert-ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンまたはデシレン等が挙げられる。アリーレン基としては、例えば、フェニレンが挙げられる。
[0281]
 本発明において好適に用いられる表面処理剤の具体例を下記に示すが、これらに限定されない。
[0282]
[化20]


[0283]
[化21]


[0284]
 <正孔輸送層3>
 本発明の光電変換素子は、光電変換素子10A~10Dのように、第一電極1と第二電極2との間に正孔輸送層3を有することが好ましい態様の1つである。正孔輸送層3は、好ましくは第一電極1の感光層13と第二電極2の間に設けられ、化合物層5と接触(積層)している。
[0285]
 正孔輸送層3は、光吸収剤の酸化体に電子を補充する機能を有し、好ましくは固体状の層(固体正孔輸送層)である。
[0286]
 正孔輸送層3を形成する正孔輸送材料は、特に限定されず、例えば、CuI、CuNCS等の無機材料、および、特開2001-291534号公報の段落番号0209~0212に記載の有機正孔輸送材料等が挙げられる。正孔輸送材料としては、好ましくは、上記化合物層との密着性の点で有機正孔輸送材料である。有機正孔輸送材料としては、好ましくは、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびポリシラン等の導電性高分子、2個の環がC、Siなど四面体構造をとる中心原子を共有するスピロ化合物、トリアリールアミン等の芳香族アミン化合物、トリフェニレン化合物、含窒素複素環化合物または液晶性シアノ化合物が挙げられる。
[0287]
 正孔輸送材料は、溶液塗布可能で固体状になる有機正孔輸送材料が好ましく、具体的には、2,2’,7,7’-テトラキス-(N,N-ジ-p-メトキシフェニルアミン)-9,9-スピロビフルオレン(2,2',7,7'-tetrakis-(N,N-di-p-methoxyphenylamine)-9,9'-spirobifluorene:spiro-OMeTADともいう)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)、4-(ジエチルアミノ)ベンゾアルデヒド ジフェニルヒドラゾン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(poly(3,4-ethylenedioxythiophene):PEDOT)等が挙げられる。
[0288]
 正孔輸送層3の膜厚は、特に限定されず、50μm以下が好ましく、1nm~10μmがより好ましく、5nm~5μmがさらに好ましく、10nm~1μmが特に好ましい。
[0289]
 正孔輸送層3の膜厚は、第二電極2と化合物層5の表面または第一電極1の表面との平均距離に相当し、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)等を用いて光電変換素子10の断面を観察することにより、測定できる。
[0290]
 <電子輸送層4>
 本発明の光電変換素子は、光電変換素子10Eのように、第一電極1と第二電極2との間に電子輸送層4を有することも好ましい態様の1つである。この態様において、電子輸送層4は、化合物層5と接触(積層)していることが好ましい。
[0291]
 電子輸送層4は、電子の輸送先が第二電極である点、および、形成される位置が異なること以外は、上記電子輸送層15と同じである。
[0292]
 <第二電極2>
 第二電極2は、太陽電池において正極として機能する。第二電極2は、導電性を有していれば特に限定されず、通常、導電性支持体11と同じ構成とすることができる。強度が十分に保たれる場合は、支持体11aは必ずしも必要ではない。
[0293]
 第二電極2の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光層13に光が到達するためには、導電性支持体11と第二電極2との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の太陽電池においては、導電性支持体11が透明であって太陽光を支持体11a側から入射させるのが好ましい。この場合、第二電極2は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。
[0294]
 第二電極2を形成する材料としては、例えば、白金(Pt)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、インジウム(In)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスニウム(Os)、アルミニウム(Al)等の金属、上述の導電性の金属酸化物、炭素材料および伝導性高分子等が挙げられる。炭素材料としては、炭素原子同士が結合してなる、導電性を有する材料であればよく、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン等が挙げられる。
[0295]
 第二電極2としては、金属もしくは導電性の金属酸化物の薄膜(蒸着してなる薄膜を含む)、または、この薄膜を有するガラス基板もしくはプラスチック基板が好ましい。ガラス基板もしくはプラスチック基板としては、金もしくは白金の薄膜を有するガラス、または、白金を蒸着したガラスが好ましい。
[0296]
 第二電極2の膜厚は、特に限定されず、0.01~100μmが好ましく、0.01~10μmがさらに好ましく、0.01~1μmが特に好ましい。
[0297]
 <その他の構成>
 本発明においては、感光層、化合物層、多孔質層で生じた欠陥を介する第一電極1と正孔輸送層または第二電極2との接触を防ぐために、ブロッキング層14に代えて、または、ブロッキング層14とともに、スペーサーやセパレータを用いることもできる。
 また、第二電極2と正孔輸送層3の間に正孔ブロッキング層を設けてもよい。
[0298]
 <<太陽電池>>
 本発明の太陽電池は、本発明の光電変換素子を用いて構成される。例えば図1A、図2~図6に示されるように、外部回路6に対して仕事させるように構成した光電変換素子10を太陽電池として用いることができる。第一電極1(導電性支持体11)および第二電極2に接続される外部回路6は、公知のものを特に制限されることなく、用いることができる。
[0299]
 本発明は、例えば、非特許文献1、J. Am. Chem. Soc., 2009,131(17),6050-6051およびScience,338,643(2012)に記載の太陽電池に適用することができる。
[0300]
 本発明の太陽電池は、構成物の劣化および蒸散等を防止するために、側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
[0301]
 上述したように、本発明の光電変換素子および太陽電池は、感光層表面に、シリル基を有する表面処理剤を含む化合物層が設けられているので、耐湿性ばらつきが小さいという効果が得られる。
[0302]
 <<光電変換素子および太陽電池の製造方法>>
 本発明の光電変換素子および太陽電池は、化合物層の形成以外は、公知の製造方法、例えば非特許文献1、J. Am. Chem. Soc.,2009,131(17),p.6050-6051、Science,338,p.643(2012)等に記載の方法によって製造できる。
[0303]
 以下に、本発明の光電変換素子および太陽電池の製造方法を簡単に説明する。
 本発明の光電変換素子および太陽電池の製造方法は、周期表第一族元素またはカチオン性有機基Aのカチオン、上記周期表第一族元素以外の金属原子Mのカチオン、およびアニオン性原子または原子団Xのアニオンを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物が光吸収剤として含まれる感光層を導電性支持体上に有する第一電極を、上記式(A-0)で表される化合物を含有する溶液に接触させる工程を有していれば、その他の工程等は特に限定されない。
[0304]
 本発明の製造方法においては、まず、導電性支持体11の表面に、所望によりブロッキング層14、多孔質層12、電子輸送層15および正孔輸送層16の少なくとも一つを形成する。
[0305]
 ブロッキング層14は、例えば、上記絶縁性物質またはその前駆体化合物等を含有する分散物を導電性支持体11の表面に塗布し、焼成する方法またはスプレー熱分解法等によって、形成できる。
[0306]
 多孔質層12を形成する材料は、好ましくは微粒子として用いられ、さらに好ましくは微粒子を含有する分散物として用いられる。
[0307]
 多孔質層12を形成する方法は特に限定されず、例えば、湿式法、乾式法、その他の方法(例えば、Chemical Review,第110巻,6595頁(2010年刊)に記載の方法)が挙げられる。これらの方法において、導電性支持体11の表面またはブロッキング層14の表面に分散物(ペースト)を塗布した後に、100~800℃の温度で10分~10時間、例えば空気中で焼成することが好ましい。これにより、微粒子同士を密着させることができる。
[0308]
 焼成を複数回行う場合、最後の焼成以外の焼成の温度(最後以外の焼成温度)を、最後の焼成の温度(最後の焼成温度)よりも低い温度で行うのがよい。例えば、酸化チタンペーストを用いる場合、最後以外の焼成温度を50~300℃の範囲内に設定することができる。また、最後の焼成温度を、100~600℃の範囲内において、最後以外の焼成温度よりも高くなるように、設定することができる。支持体11aとしてガラス支持体を用いる場合、焼成温度は60~500℃が好ましい。
[0309]
 多孔質層12を形成するときの、多孔質材料の塗布量は、多孔質層12の膜厚および塗布回数等に応じて適宜に設定され、特に限定されない。導電性支持体11の表面積1m 当たりの、多孔質材料の塗布量は、例えば、0.5~500gが好ましく、さらには5~100gが好ましい。
[0310]
 電子輸送層15または正孔輸送層16を設ける場合、それぞれ、後述する正孔輸送層3または電子輸送層4と同様にして、形成することができる。
[0311]
 次いで、感光層13を設ける。
 まず、感光層13を形成するための光吸収剤溶液を調製する。光吸収剤溶液は、上記ペロブスカイト化合物の原料であるMX とAXとを含有する。ここで、A、MおよびXは上記式(I)のA、MおよびXと同義である。この光吸収剤溶液において、MX とAXとのモル比は目的に応じて適宜に調整される。光吸収剤としてペロブスカイト化合物を形成する場合、AXとMX とのモル比は、1:1~10:1であることが好ましい。
[0312]
 次いで、調製した光吸収剤溶液を、多孔質層12、ブロッキング層14、電子輸送層15または正孔輸送層16のいずれかの層の表面に塗布し、乾燥する。これにより、ペロブスカイト化合物の光吸収剤を含む感光層13が、多孔質層12、ブロッキング層14、電子輸送層15または正孔輸送層16の表面に形成される。上記乾燥は熱による乾燥が好ましく、通常は、20~300℃、好ましくは50~170℃に加熱することで乾燥させる。
 また、上記ペロブスカイト化合物の合成方法に準じて感光層を形成することもできる。
[0313]
 本発明の製造方法においては、上記式(A-0)で表される表面処理剤を含む化合物層を、第一電極の感光層表面に設ける。用いる表面処理剤は、上記式(A-1)または(A-2)で表されるものであることが好ましい。
[0314]
 上記化合物層を、第一電極の感光層表面に設けるには、表面処理剤を含有する液を用いる。この液は、液状の上記化合物そのものでもよく、また溶液でも懸濁液(分散液)の形態の表面処理液でもよい。溶媒または分散媒は、特に限定されず、プロトン性溶媒よりも、非プロトン性溶媒が好ましい。非プロトン性溶媒としては、ヘキサン、オクタン、デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran:THF)、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide:DMF)、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide:DMSO)、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンジルクロライド等が挙げられる。上記表面処理剤の液中の濃度は、特に限定されず、例えば、0.0001~100質量%が好ましく、0.001~100質量%がより好ましい。
[0315]
 調製した液を第一電極の感光層表面に接触させる方法は特に限定されず、例えば、第一電極の表面に液を塗布する方法または第一電極を液中に浸漬する方法が挙げられる。また、他の方法として、上記液の溶剤を除去した混合物を用いた、真空蒸着等の乾式法が挙げられる。好ましくは湿式法が挙げられる。塗布方法は、後述する各種方法が挙げられる。
[0316]
 塗布または浸漬の温度は、5~100℃であることが好ましい。この範囲内であれば、ペロブスカイト層の構造を維持することができると考えられる。浸漬時間は、0.1秒~24時間が好ましく、5秒~24時間がより好ましく、20秒~1時間がさらに好ましい。
[0317]
 塗布または浸漬後は、液を乾燥することが好ましい。乾燥条件は、特に限定されない。乾燥温度は、例えば、5~300℃が好ましく、20~150℃がより好ましい。乾燥時間は、例えば、例えば、1秒~48時間が好ましく、1分~5時間がより好ましい。
[0318]
 この工程における、シリル基を有する表面処理剤を含む液の塗布量は、これら化合物の種類等に応じて適宜に決定され、特に限定されない。本発明においては、第一電極の感光層表面の少なくとも一部が上記存在量の表面処理剤(化合物層5)で覆われるように、塗布量が決定される。感光層の疎水化および隣接層(正孔輸送層、第二電極等)との密着性の点では、好ましくは、第一電極の感光層表面を、シリル基を有する表面処理剤を含む化合物層で一様に覆うことが好ましい。
[0319]
 このようにして形成した化合物層上に、好ましくは、正孔輸送層3または電子輸送層4を形成する。
[0320]
 正孔輸送層3は、正孔輸送材料を含有する正孔輸送材料溶液を塗布し、乾燥して、形成することができる。正孔輸送材料溶液は、塗布性に優れる点、および多孔質層12を有する場合は多孔質層12の孔内部まで侵入しやすい点で、正孔輸送材料の濃度が0.1~1.0M(モル/L)であるのが好ましい。
[0321]
 電子輸送層4は、電子輸送材料を含有する電子輸送材料溶液を塗布し、乾燥して、形成することができる。
[0322]
 正孔輸送層3または電子輸送層4を形成した後に、第二電極2を形成して、光電変換素子が製造される。
[0323]
 各層の膜厚は、各分散液または溶液の濃度、塗布回数を適宜に変更して、調整できる。例えば、膜厚が厚い感光層13Bおよび13Cを設ける場合には、光吸収剤溶液を複数回塗布、乾燥すればよい。
[0324]
 上述の各分散液および溶液は、それぞれ、必要に応じて、分散助剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。
[0325]
 光電変換素子の製造方法において、化合物層の形成以外の工程で使用する溶媒または分散媒としては、特開2001-291534号公報に記載の溶媒が挙げられるが、特に限定されない。本発明においては、有機溶媒が好ましく、さらに、アルコール溶媒、アミド溶媒、ニトリル溶媒、炭化水素溶媒、ラクトン溶媒、ハロゲン溶媒および、これらの2種以上の混合溶媒が好ましい。混合溶媒としては、アルコール溶媒と、アミド溶媒、ニトリル溶媒または炭化水素溶媒から選ばれる溶媒との混合溶媒が好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、γ-ブチロラクトン、クロロベンゼン、アセトニトリル、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、または、これらの混合溶媒が好ましい。
[0326]
 各層を形成する溶液または分散剤の塗布方法は、特に限定されず、スピンコート、エクストルージョンダイコート、ブレードコート、バーコート、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、ディップコート、インクジェット印刷法、浸漬法等、公知の塗布方法を用いることができる。なかでも、スピンコート、スクリーン印刷等が好ましい。
[0327]
 本発明の光電変換素子は、必要に応じて、アニール、ライトソーキング、酸素雰囲気下での放置等の効率安定化処理を行ってもよい。
[0328]
 上記のようにして作製した光電変換素子は、第一電極1および第二電極2に外部回路6を接続して、太陽電池として用いることができる。
実施例
[0329]
 以下に実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。
[0330]
 実施例1
 [光電変換素子(試料番号101)の製造]
 以下に示す手順により、図1Aに示した光電変換素子10Aを製造した。感光層13の膜厚が大きい場合は、図2に示した光電変換素子10Bに対応する。
[0331]
 <導電性支持体11の作製>
 支持体11aとしての厚さ2mmのガラス基板上に、透明電極11bとして膜厚300nmのフッ素ドープSnO 導電膜を形成し、導電性支持体11を作製した。
[0332]
 <ブロッキング層用溶液の調製>
 15質量%チタニウム ジイソプロポキシド ビス(アセチルアセトナート)/イソプロパノール溶液(アルドリッチ社製)を1-ブタノールで希釈して、0.02Mのブロッキング層用溶液を調製した。
[0333]
 <ブロッキング層14の形成>
 調製した0.02Mのブロッキング層用溶液を用いてスプレー熱分解法により、450℃にて、導電性支持体11のSnO 導電膜上に膜厚50nmの酸化チタンからなるブロッキング層14を形成した。
[0334]
 <酸化チタンペーストの調製>
 平均粒径20nmのアナターゼ型酸化チタンのエタノール分散液に、エチルセルロース、ラウリン酸およびテルピネオールを加えて、酸化チタンペーストを調製した。
[0335]
 <多孔質層12の形成>
 調製した酸化チタンペーストをブロッキング層14の上にスクリーン印刷法で塗布し、空気中、500℃で3時間焼成した。得られた酸化チタンの焼成体を40mMのTiCl 水溶液に浸した後、60℃で1時間加熱し、続けて500℃で30分間加熱して、膜厚250nmのTiO からなる多孔質層12を形成した。
[0336]
 <感光層13Aの形成>
 27.86mLの40質量%メチルアミン/メタノール溶液と、30mLの57質量%ヨウ化水素水溶液(ヨウ化水素酸)を、フラスコ中、0℃で2時間攪拌した後、濃縮して、CH NH Iの粗体を得た。得られたCH NH Iの粗体をエタノールに溶解し、ジエチルエーテルで再結晶した。析出した結晶をろ取し、60℃で5時間減圧乾燥して、精製CH NH Iを得た。
[0337]
 次いで、精製CH NH IとPbI とをモル比3:1でジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide:DMF)中、60℃で12時間攪拌混合した後、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene:PTFE)シリンジフィルターでろ過して、40質量%の光吸収剤溶液Aを調製した。
[0338]
 調製した光吸収剤溶液Aを、2000rpm、60秒の条件でスピンコート法により多孔質層12の上に塗布し、塗布した光吸収剤溶液Aをホットプレートにより100℃で60分間乾燥して、CH NH PbI のペロブスカイト化合物からなる感光層13Aを形成した。多孔質層12と感光層13Aとの合計の膜厚は300nmであった。
 こうして、第一電極1Aを作製した。
[0339]
 <表面処理液A1の調整>
 20mgの化合物a1を2mLのベンジルクロライドに溶解させ、不溶分をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターでろ過して、表面処理液A1を調製した。
[0340]
 <化合物層5Aの形成>
 次いで、表面処理液A1を、3000rpm、30秒の条件でスピンコート法により25mm角の第一電極1Aの表面に塗布した後、塗布した溶液をホットプレートにより100℃で30分間乾燥した。こうして化合物層5Aを形成した。
[0341]
 <正孔輸送材料溶液の調製>
 正孔輸送材料として180mgの2,2’,7,7’-テトラキス-(N,N-ジ-p-メトキシフェニルアミン)9,9’-スピロビフルオレン(spiro-OMeTAD)を1mLのクロロベンゼンに溶解させた。また、170mgのリチウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを1mLのアセトニトリルに溶解させてアセトニトリル溶液を調製した。上記のクロロベンゼン溶液に、37.5μLの得られたアセトニトリル溶液と、17.5μLのt-ブチルピリジン(t-butylpyridine:TBP)とを加えて混合し、正孔輸送材料溶液を調製した。
[0342]
 <正孔輸送層3の形成>
 次いで、調製した正孔輸送層用溶液をスピンコート法により第一電極1Aの表面上に形成した化合物層5A上に塗布し、乾燥して、膜厚100nmの正孔輸送層3Aを形成した。
[0343]
 <第二電極2の形成>
 正孔輸送層3A上に金を蒸着し、膜厚100nmの第二電極2を作製した。
[0344]
 こうして、光電変換素子10A(試料番号101)を製造した。
 各層の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)により光電変換素子10の断面を観察することで、測定した。
[0345]
 [光電変換素子(試料番号102~124)の製造]
 光電変換素子(試料番号101)の製造において、表面処理剤として化合物a1に代えて下記表1記載の化合物それぞれを含有するベンジルクロライド溶液を用いたこと以外は、光電変換素子(試料番号101)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子(試料番号102~124)をそれぞれ製造した。
[0346]
 [光電変換素子(試料番号125)の製造]
 光電変換素子(試料番号103)の製造において、表面処理液の溶媒としてベンジルクロライドに代えてイソプロピルアルコール(isopropyl alcohol:IPA)を用いたこと以外は、光電変換素子(試料番号103)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子(試料番号125)を製造した。
[0347]
 [光電変換素子(試料番号126)の製造]
 光電変換素子(試料番号103)の製造において、ペロブスカイト化合物としてCH NH PbI に代えてCH NH PbBr を用いたこと以外は、光電変換素子(試料番号103)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子(試料番号126)を製造した。
[0348]
 [光電変換素子(試料番号127)の製造]
 光電変換素子(試料番号103)の製造において、ペロブスカイト化合物としてCH NH PbI に代えてHC(=NH)NH PbI を用い、ベンジルクロライドの代わりにクロロベンゼンを用いて表面処理液の乾燥温度を150℃にしたこと以外は、光電変換素子(試料番号103)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子(試料番号127)を製造した。
[0349]
 [光電変換素子(試料番号128)の製造]
 光電変換素子(試料番号105)の製造において、表面処理液の溶媒としてベンジルクロライドに代えてイソプロピルアルコール(IPA)を用いたこと以外は、光電変換素子(試料番号105)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子(試料番号128)を製造した。
[0350]
 [光電変換素子(試料番号129~132、136)の製造]
 光電変換素子(試料番号103、104、112、115)の製造において、表面処理液の溶媒としてベンジルクロライドに代えてそれぞれ表2記載の溶媒を用いたこと以外は、光電変換素子(試料番号103、104、112、115)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子(試料番号129~132、136)を製造した。
[0351]
 [光電変換素子(試料番号133~135)の製造]
 光電変換素子(試料番号101)の製造において、表面処理剤として化合物a1に代えて下記表2記載の化合物を用い、表面処理液の溶媒としてベンジルクロライドに代えて下記表2記載の溶媒を用いたこと以外は、光電変換素子(試料番号101)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子(試料番号133~135)を製造した。
[0352]
 [光電変換素子(試料番号c101)の製造]
 光電変換素子(試料番号101)の製造において、表面処理液を塗布しなかったこと以外は、光電変換素子(試料番号101)の製造と同様にして、比較のための光電変換素子(試料番号c101)を製造した。
[0353]
 [光電変換素子(試料番号c102)の製造]
 光電変換素子(試料番号101)の製造において、表面処理液に代えてベンジルクロライドのみを用いたこと以外は、光電変換素子(試料番号101)の製造と同様にして、比較のための光電変換素子(試料番号c102)を製造した。
[0354]
 [光電変換素子(試料番号c103)の製造]
 光電変換素子(試料番号101)の製造において、化合物a1を含有するベンジルクロライド溶液からなる表面処理液に代えて化合物c1のみを用いたこと以外は、光電変換素子(試料番号101)の製造と同様にして、比較のための光電変換素子(試料番号c103)を製造した。
[0355]
[化22]


[0356]
 [光電変換素子(試料番号c104の製造]
 光電変換素子(試料番号101)の製造において、表面処理液として化合物a1を含有するベンジルクロライド溶液に代えて化合物c1を含有するベンジルクロライド溶液を用いたこと以外は、光電変換素子(試料番号101)の製造と同様にして、比較のための光電変換素子(試料番号104)を製造した。
[0357]
 <耐湿性ばらつきの評価>
 光電変換素子の耐湿性ばらつきを以下のようにして評価した。
[0358]
 各試料番号の光電変換素子について、製造後1時間以内に、電池特性試験を行った。電池特性試験は、ソーラーシミュレーター「WXS-85H」(WACOM社製)を用いて、AM1.5フィルタを通したキセノンランプから1000W/m の擬似太陽光を各光電変換素子に照射することにより行った。この電池特性試験において、I-Vテスターを用いて電流-電圧特性を測定し、初期の光電変換効率η (%)を求めた。
[0359]
 次いで、各試料番号の光電変換素子を、30℃、60%RHの高湿環境下に、24時間静置した。その後、各試料番号の光電変換素子について、上記光電変換効率η の測定と同様にして、電池特性試験を行った。この電池特性試験により、24時間経過後の経時光電変換効率η (%)を求めた。同様の測定を各試料No.において、6検体について行った。
[0360]
 このようにして求めた初期の光電変換効率η および24時間経過後の経時光電変換効率η から、下記式(I)により、光電変換効率の低下率を算出した。
[0361]
 低下率(%)=100-{100×[(経時光電変換効率η )/(初期光電変換効率η )]}・・・(I)
 次に、各試料No.における6検体の光電変換効率の平均低下率を、下記式(II)に従い算出する。
[0362]
 平均低下率(%)=100-{100×[(平均経時光電変換効率η RA)/(平均初期光電変換効率η IA)]}・・・(II)
 光電変換素子の耐湿性ばらつきは、上記式(II)によって算出される光電変換効率の平均低下率を1としたとき、平均低下率に対し、6検体の中で相対低下率の差分が最も大きいものが含まれる範囲を、下記評価基準で分級して評価した。
[0363]
 相対低下率の差分が最も大きいものとは、6検体の低下率をそれぞれ平均低下率で割った値から1を引き、その絶対値が最も大きいものを指す。
[0364]
 -耐湿性ばらつきの評価基準-
 相対低下率の差分のうち最大値が含まれる範囲を下記基準により分級して、光電変換効率のばらつきを評価した。この際、差分(絶対値)の最大値が平均値(基準「1」)よりも大きいか小さいかは区別しない。
[0365]
 耐湿性ばらつき評価において、〔A〕、〔B〕、〔C〕、〔D〕および〔E〕が合格レベルであり、好ましくは〔A〕、〔B〕、および〔C〕であり、より好ましく〔A〕である。一方、〔F〕は素子間の耐湿性ばらつきが大きく、本発明の合格レベル(要求レベル)に到達しない。
[0366]
  A:±0.16以内の範囲にあったもの
  B:±0.16を超え、±0.20以内の範囲にあったもの
  C:±0.20を超え、±0.24以内の範囲にあったもの
  D:±0.24を超え、±0.28以内の範囲にあったもの
  E:±0.28を超え、±0.32以内の範囲にあったもの
  F:±0.32を超える範囲にあったもの
 結果を表1及び表2に示す。
[0367]
[表1]



[0368]
[表2]


[0369]
 表1及び表2に示されるように、感光層の表面に、シリル基を有する表面処理剤を含む化合物層を有する本発明の光電変換素子はいずれも、耐湿性のばらつきが低減されていた。
[0370]
 式(A-0)、式(A-1)または式(A-2)で表される表面処理剤を用いた光電変換素子は、これらの式に含まれない表面処理剤を用いた光電変換素子と比較して、相対的に耐湿性のばらつきが低減される傾向があった。
[0371]
 式(A-0)、式(A-1)または式(A-2)で表される表面処理剤のうちでも、(1)シリル基Lを式(L-1)で表される基とする、(2)連結基J をアルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基から選択するかまたは連結基J をアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基およびヘテロアリーレン基から選択する、ならびに(3)極性基Gを-OR 、-O Ya 、-SR 、-S Ya 、-NR および-(NR Ya から選択する、という条件のうち少なくとも1つを満たす表面処理剤を用いた光電変換素子は耐湿性のばらつきがさらに低減され、これらの条件の全てをみたす表面処理剤を用いた光電変換素子は耐湿性のばらつきが著しく低減された。
[0372]
 これに対して、感光層の表面にシリル基を有する表面処理剤を含む化合物層を有していない光電変換素子(試料番号c101、c102、c103、c104)はいずれも、耐湿性のばらつきが大きかった。
[0373]
 なお、試料番号125と試料番号103との対比および試料番号105と試料番号128との対比から、表面処理液としては、表面処理剤とプロトン性溶媒とを含むものよりも、表面処理剤と非プロトン性溶媒とを含むもののほうが、耐湿性ばらつきが抑制された光電変換素子の製造に適していることがわかる。
[0374]
 次に、表面処理剤と添加剤とを含む表面処理用組成物を用いて感光層表面の化合物層を形成した光電変換素子の例を説明する。
[0375]
 [光電変換素子(試料番号201)の製造]
 光電変換素子(試料番号127)の製造において、表面処理剤a5を含む表面処理液に代えて、表面処理剤a5と添加剤CH(=NH)NH Iとをモル比1:1でそれぞれ2.5×10 -3Mとなるようにクロロベンゼンに溶解させた表面処理液を用いたこと以外は、光電変換素子(試料番号127)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子(試料番号201)を製造した。
[0376]
 [光電変換素子(試料番号202)の製造]
 光電変換素子(試料番号101)の製造において、表面処理剤a1を含む表面処理液に代えて、表面処理剤a5と添加剤CH NH Iをモル比1:1でそれぞれ2.5×10 -3Mとなるようにクロロベンゼンに溶解させた表面処理液を用いたこと以外は、光電変換素子(試料番号101)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子(試料番号202)を製造した。
[0377]
 [光電変換素子(試料番号203)の製造]
 光電変換素子(試料番号101)の製造において、表面処理剤a1を含む表面処理液に代えて、表面処理剤a5と添加剤CH(=NH)NH Iをモル比1:1でそれぞれ2.5×10 -3Mとなるようにクロロベンゼンに溶解させた表面処理液を用いたこと以外は、光電変換素子(試料番号101)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子(試料番号203)を製造した。
[0378]
 [光電変換素子(試料番号204,205)の製造]
 光電変換素子(試料番号202)の製造において、表面処理剤a5の代わりに表面処理剤a7を用い、表3記載の溶媒を用いたこと以外は光電変換素子(試料番号202)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子(試料番号204、205)を製造した。
[0379]
 [光電変換素子(試料番号206,207)の製造]
 光電変換素子(試料番号203)の製造において、表面処理剤a5の代わりに表面処理剤a7を用い、表3記載の溶媒を用いたこと以外は光電変換素子(試料番号203)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子(試料番号206、207)を製造した。
[0380]
 [光電変換素子(試料番号208)の製造]
 光電変換素子(試料番号203)の製造において、表面処理剤a5の代わりに表面処理剤a7を用い、表3記載の溶媒を用いたこと以外は光電変換素子(試料番号203)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子(試料番号208)を製造した。
[0381]
 [光電変換素子(試料番号209)の製造]
 光電変換素子(試料番号206)の製造において、添加剤としてCH(=NH)NH Iの代わりにCsIを用いたこと以外は光電変換素子(試料番号206)の製造と同様にして、本発明の光電変換素子(試料番号209)を製造した。
[0382]
 [光電変換素子(試料番号c201)の製造]
 光電変換素子(試料番号c101)の製造において、CH NH PbI の代わりにCH(=NH)NH PbI を用いたこと以外は光電変換素子(試料番号c101)の製造と同様にして、比較例の光電変換素子(試料番号c201)を製造した。
[0383]
[表3]


[0384]
 表3に示されるように、感光層の表面に、シリル基を有する表面処理剤および添加剤を含む表面処理用組成物を用いて形成した化合物層を有する本発明の光電変換素子はいずれも、耐湿性のばらつきが低減されていた。また、耐湿性ばらつきに関して、表1および2において説明した評価結果の傾向と同様な傾向が認められた。

符号の説明

[0385]
 1A~1F 第一電極
 11 導電性支持体
  11a 支持体
  11b 透明電極
 12 多孔質層
 13A~13C 感光層
 14 ブロッキング層
 2 第二電極
 3A、3B、16 正孔輸送層
 4、15 電子輸送層
 5A、5B、5C 化合物層
 6 外部回路(リード)
 10A~10F 光電変換素子
 100A~100F 太陽電池を利用したシステム
 M 電動モーター

請求の範囲

[請求項1]
 光吸収剤を含む感光層を導電性支持体上に有する第一電極と、該感光層表面に設けられた表面処理剤を含む化合物層と、第二電極とをこの順で有する光電変換素子であって、
 前記光吸収剤は、周期表第一族元素またはカチオン性有機基Aのカチオン、前記周期表第一族元素以外の金属原子Mのカチオン、およびアニオン性原子または原子団Xのアニオンを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物を含み、前記表面処理剤はシリル基を有する光電変換素子。
[請求項2]
 前記表面処理剤が下記式(A-0)で表される請求項1に記載の光電変換素子。
[化1]



 式(A-0)において、
Gは-OR 、-O Ya 、-SR 、-S Ya 、-NR 、-(NR Ya 、-COOR 、-COO Ya 、-SO 、-SO Ya 、-P(=O)(OR 、-P(=O)(O Ya 、-B(OR 、および、-B(OR Ya からなる群より選択される基または塩を表す。R 、R およびR は各々独立に水素原子または置換基を表す。Yaは対塩を表す。p1は1以上の整数を表す。
Lはシリル基を表す。q1は1以上の整数を表す。
は単結合または連結基を表す。
[請求項3]
 前記表面処理剤が下記式(A-1)または(A-2)で表される請求項2に記載の光電変換素子。
[化2]



 式(A-1)および式(A-2)において、G、p1、L、q1は前記式(A-0)のG、p1、L、q1と同義である。
 式(A-1)において、J は、単結合、または炭化水素環およびヘテロ環を含まない連結基を表す。
 式(A-2)において、
環Cは炭化水素環またはヘテロ環を表す。
はヘテロ原子またはNR 12を表す。R 12は水素原子または置換基を表す。m1は0以上の整数を表す。
は置換基を表す。n1は0以上の整数を表す。
は単結合または連結基を表す。n2は0以上の整数を表す。n3は1以上の整数を表す。n4は1以上の整数を表す。
は単結合または連結基を表す。n5は0以上の整数を表す。n6は1以上の整数を表す。n7は1以上の整数を表す。
[請求項4]
 前記式(A-1)において、Lが下記式(L-1)で表わされる請求項3に記載の光電変換素子。
[化3]



 式中、R ~R は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭化水素環基、またはヘテロ環基を表す。*はJ との連結部位を表す。
[請求項5]
 前記式(A-2)において、Lが下記式(L-1)で表わされる請求項3に記載の光電変換素子。
[化4]



 式中、R ~R は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭化水素環基、またはヘテロ環基を表す。*はJ または環Cとの連結部位を表す。
[請求項6]
 前記式(A-1)において、J は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される連結基である請求項3~5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
[請求項7]
 前記式(A-2)において、J は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される連結基である請求項3~6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
[請求項8]
 前記式(A-0)、(A-1)または(A-2)において、Gが-OR 、-O Ya 、-SR 、-S Ya 、-NR および-(NR Ya からなる群より選択される請求項2~7のいずれか1項に記載の光電変換素子。
[請求項9]
 前記表面処理剤が下記式(A-5)で表される請求項1~8のいずれか1項に記載の光電変換素子。
[化5]



 式(A-5)中、J はアルキレン基、アリーレン基およびこれらの組み合わせからなる群より選択される連結基を表わし、G は-NR または-(NR Ya を表す。R 、R およびR は各々独立に水素原子または置換基を表す。Yaは対塩を表す。R ~R は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭化水素環基、またはヘテロ環基を表す。
[請求項10]
 請求項1~9のいずれか1項に記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
[請求項11]
 周期表第一族元素またはカチオン性有機基Aのカチオン、前記周期表第一族元素以外の金属原子Mのカチオン、およびアニオン性原子または原子団Xのアニオンを有するペロブスカイト型結晶構造を持つ化合物が光吸収剤として含まれる感光層を導電性支持体上に有する第一電極と、第二電極とをこの順で有する光電変換素子の製造方法であって、
 前記第一電極を下記式(A-0)で表される化合物を含有する溶液に接触させる光電変換素子の製造方法。
[化6]



 式(A-0)において、
Gは-OR 、-O Ya 、-SR 、-S Ya 、-NR 、-(NR Ya 、-COOR 、-COO Ya 、-SO 、-SO Ya 、-P(=O)(OR 、-P(=O)(O Ya 、-B(OR 、および、-B(OR Ya からなる群より選択される基または塩を表す。R 、R およびR は各々独立に水素原子または置換基を表す。Yaは対塩を表す。p1は1以上の整数を表す。
Lはシリル基を表す。q1は1以上の整数を表す。
は単結合または連結基を表す。
[請求項12]
 下記式(A-1)または(A-2)で表される表面処理剤。
[化7]



 式(A-1)において、Gは-OR 、-O Ya 、-SR 、-S Ya 、-NR 、-(NR Ya 、-COOR 、-COO Ya 、-SO 、-SO Ya 、-P(=O)(OR 、-P(=O)(O Ya 、-B(OR 、および、-B(OR Ya からなる群より選択される基または塩を表す。R 、R およびR は各々独立に水素原子または置換基を表す。Yaは対塩を表す。p1は1以上の整数を表す。Lはシリル基を表す。q1は1以上の整数を表す。J は、単結合、または炭化水素環もしくはヘテロ環を含まない連結基を表す。
 式(A-2)において、
Gは-OR 、-O Ya 、-SR 、-S Ya 、-NR 、-(NR Ya 、-COOR 、-COO Ya 、-SO 、-SO Ya 、-P(=O)(OR 、-P(=O)(O Ya 、-B(OR 、および、-B(OR Ya からなる群より選択される基または塩を表す。R 、R およびR は各々独立に水素原子または置換基を表す。Yaは対塩を表す。
Lはシリル基を表す。
環Cは炭化水素環またはヘテロ環を表す。
はヘテロ原子またはNR 12を表す。R 12は水素原子または置換基を表す。m1は0以上の整数を表す。
は置換基を表す。n1は0以上の整数を表す。
は単結合または連結基を表す。n2は0以上の整数を表す。n3は1以上の整数を表す。n4は1以上の整数を表す。
は単結合または連結基を表す。n5は0以上の整数を表す。n6は1以上の整数を表す。n7は1以上の整数を表す。
[請求項13]
 請求項12に記載の表面処理剤と、周期表第一族元素またはカチオン性有機基Aを有する添加剤とを含む、表面処理用組成物。
[請求項14]
 前記カチオン性有機基Aが、式(1)で表わされるカチオン性有機基である、請求項13に記載の表面処理用組成物。
 式(1):R 1a-NH
 式中、R 1aは置換基または下記式(2)を表わす。
[化8]



 式中、X はNR 1c、酸素原子または硫黄原子を表す。R 1bおよびR 1cは各々独立に水素原子または置換基を表す。***は式(1)の窒素原子との結合部位を表す。
[請求項15]
 前記式(1)中のR 1aが、前記式(2)で表わされる基である、請求項14に記載の表面処理用組成物。
[請求項16]
 請求項12に記載の表面処理剤または請求項13~15のいずれか1項に記載の表面処理用組成物と、非プロトン性溶媒とを含む表面処理液。

図面

[ 図 1A]

[ 図 1B]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7A]

[ 図 7B]

[ 図 7C]

[ 図 7D]

[ 図 7E]

[ 図 7F]