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1. (WO2017138483) INSULATED COATED CONDUCTIVE PARTICLES, ANISOTROPIC CONDUCTIVE ADHESIVE AND CONNECTED STRUCTURE
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明 細 書

発明の名称 絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着剤、及び接続構造体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027  

発明の効果

0028  

図面の簡単な説明

0029  

発明を実施するための形態

0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209  

実施例

0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252   0253   0254   0255   0256   0257   0258   0259   0260   0261   0262   0263   0264   0265   0266   0267   0268   0269   0270   0271   0272   0273   0274   0275   0276   0277   0278   0279   0280   0281   0282   0283   0284   0285   0286   0287   0288   0289   0290   0291   0292   0293   0294   0295   0296   0297   0298   0299   0300   0301   0302   0303   0304   0305   0306   0307   0308   0309   0310   0311   0312   0313  

符号の説明

0314  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17  

明 細 書

発明の名称 : 絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着剤、及び接続構造体

技術分野

[0001]
 本発明は、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着剤、及び接続構造体に関するものである。

背景技術

[0002]
 液晶表示用ガラスパネルに液晶駆動用ICを実装する方式は、COG(Chip-on-Glass)実装及びCOF(Chip-on-Flex)実装の二種に大別することができる。COG実装では、導電粒子を含む異方導電性接着剤を用いて液晶駆動用ICをガラスパネル上に直接接合する。一方、COF実装では、金属配線を有するフレキシブルテープに液晶駆動用ICを接合し、導電粒子を含む異方導電性接着剤を用いてそれらをガラスパネルに接合する。ここでいう「異方性」とは、加圧方向には導通し、非加圧方向では絶縁性を保つという意味である。
[0003]
 近年の液晶表示の高精細化に伴い、液晶駆動用ICの回路電極である金属バンプは、狭ピッチ化、及び狭面積化している。そのため、異方導電性接着剤の導電粒子が隣接する回路電極間に流出し、ショートを発生させるおそれがある。特にCOG実装では、その傾向が顕著である。隣接する回路電極間に導電粒子が流出すると、金属バンプとガラスパネルとの間に位置する異方導電性接着剤中の導電粒子数が減少する。これにより、対向する回路電極間の接続抵抗が上昇し、接続不良を起こすおそれがある。このような傾向は、単位面積あたり2万個/mm 以上の導電粒子を投入すると、より顕著である。
[0004]
 これらの問題を解決する方法として、導電粒子(母粒子)の表面に複数の絶縁粒子(子粒子)を付着させ、複合粒子を形成させる方法が提案されている。例えば、特許文献1及び特許文献2では導電粒子の表面に球状の樹脂粒子を付着させる方法が提案されている。特許文献1では、絶縁粒子を変形させる方法も開示される。特許文献3及び特許文献4では、導電粒子の表面にコアシェル型の樹脂粒子が付着された絶縁被覆導電粒子が提案されている。特許文献5では、導電粒子の表面に中空の樹脂微粒子が付着された複合粒子が提案されている。
[0005]
 単位面積あたり7万個/mm 以上の導電粒子を投入した場合であっても、絶縁信頼性に優れた絶縁被覆導電粒子が提案されている。特許文献6では、第1絶縁粒子と、第1絶縁粒子よりもガラス転移温度が低い第2絶縁粒子が導電粒子の表面に付着された絶縁被覆導電粒子が提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特許第4773685号公報
特許文献2 : 特許第3869785号公報
特許文献3 : 特許第4686120号公報
特許文献4 : 特許第4904353号公報
特許文献5 : 特許第4391836号公報
特許文献6 : 特開2014-17213号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 金属バンプの面積が2,000μm 未満であるような微小な回路の接続においては、安定した導通信頼性を得るために異方導電性接着剤中の導電粒子の数を増やすことが好ましい。このような理由から、単位面積あたり10万個/mm 以上の導電粒子を投入する場合もある。しかしながら、このような微小な回路の接続においては、特許文献1~6に記載された従来の絶縁被覆導電粒子を用いたとしても、導通信頼性と絶縁信頼性とのバランスを取ることは難しく、未だ改善の余地がある。
[0008]
 本発明の一側面は、微小な回路の接続においても優れた絶縁信頼性及び導通信頼性を両立できる絶縁被覆導電粒子を提供することを目的とする。また、本発明の一側面は、前記絶縁被覆導電粒子を用いた、異方導電性接着剤及び接続構造体を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 上述した課題を解決するために、本発明者らは上記絶縁抵抗値が低下する理由について検討した。特許文献1~5に記載の方法では、導電粒子の表面に被覆されている絶縁粒子の被覆性が低く、単位面積あたり2万個/mm 以上の導電粒子を投入した場合であっても、絶縁抵抗値が低下しやすいことが分かった。特許文献6では、特許文献1~5の欠点を補うため、第1絶縁粒子と、第1絶縁粒子よりもガラス転移温度(Tg)が低い第2絶縁粒子とを導電粒子の表面に付着させている。これにより、単位面積あたり7万個/mm 以上の導電粒子を投入した場合であっても、絶縁信頼性の低下が抑制されている。しかしながら、単位面積あたり10万個/mm 以上の導電粒子を投入した場合では、絶縁信頼性が低下することが分かった。特許文献6においては、第1絶縁粒子の平均粒径が200nmよりも大きく500nm以下であり、第2絶縁粒子の平均粒径が50nm以上200nm以下となっている。ここで、第2絶縁粒子のTgが80~120℃と低いために、該絶縁被覆導電粒子を含んだ異方導電性接着剤を加熱加圧すると、溶融して樹脂中に拡散して消失しまう。このため、導電粒子の粒子濃度が高くなると、第2絶縁粒子が溶融して消失した部分において、隣接する導電粒子の金属表面が接しやすくなるので、絶縁信頼性が低下することが明らかとなった。
[0010]
 このような知見に基づき本発明者らは更に鋭意検討した結果、本発明者らは、200nm以上500nm以下の平均粒径を有する第1絶縁粒子と、30nm以上130nm以下の平均粒径を有し、シリカからなる第2絶縁粒子とが、導電粒子の表面に付着されて形成された絶縁被覆導電粒子を用いることを見出した。これにより、当該絶縁被覆導電粒子を含んだ異方導電性接着剤を加熱加圧する時に、シリカからなる第2絶縁粒子が溶融せずに、隣接する導電粒子の金属表面が接することを防ぐ。したがって、単位面積あたり10万個/mm 以上の導電粒子を投入した場合であっても、優れた絶縁信頼性を得ることが可能となることを見出した。また、第2絶縁粒子は、30nm以上130nm以下の平均粒径を有するため、当該第2絶縁粒子によって接続抵抗が阻害されず、微小な回路の接続においても優れた導通信頼性を得ることが可能であることを見出した。
[0011]
 本発明の一態様に係る絶縁被覆導電粒子は、導電粒子と、導電粒子の表面に付着された複数の絶縁粒子と、を備え、導電粒子の平均粒径は、1μm以上10μm以下であり、絶縁粒子は、200nm以上500nm以下の平均粒径を有する第1絶縁粒子と、30nm以上130nm以下の平均粒径を有し、シリカからなる第2絶縁粒子と、を含む。
[0012]
 第1絶縁粒子のガラス転移温度は、100℃以上200℃以下であってもよい。これにより、上記絶縁被覆導電粒子を含有する異方導電性接着剤を加熱加圧するときの温度によっては、第1絶縁粒子が完全に溶融しない。このため、第1絶縁粒子は、絶縁スペーサーとして充分に機能することができる。
[0013]
 第1絶縁粒子と、第2絶縁粒子とによる導電粒子の被覆率は、導電粒子の総表面積に対して35~80%であってもよい。これにより、導通信頼性及び絶縁信頼性により優れる絶縁被覆導電粒子が得られる。
[0014]
 導電粒子は、その表面に突起を有してもよい。平滑面の導電粒子に第2絶縁粒子を付着させた場合、第2絶縁粒子の平均粒径が30nm以上130nm以下であっても、第2絶縁粒子の絶縁スペーサーとしての機能が高いので、絶縁信頼性は優れる一方で導通信頼性が低下する傾向にある。このため、導電粒子が突起を有することにより、導通信頼性の低下を抑制できる。
[0015]
 第2絶縁粒子の表面は、疎水化処理剤により被覆されていてもよい。導電粒子の表面に、第1絶縁粒子及び第2絶縁粒子を良好に付着させるために、導電粒子の表面をカチオン性ポリマーにより被覆することがある。このとき、疎水化処理剤により被覆された第2絶縁粒子は、疎水化処理されていない第2絶縁粒子よりも負の電荷を帯びやすくなり、静電気によって導電粒子に強固に付着される。このため、絶縁スペーサーとしての機能が高く、絶縁信頼性に優れる絶縁被覆導電粒子を得られる。
[0016]
 第2絶縁粒子の表面は、シラザン系疎水化処理剤、シロキサン系疎水化処理剤、シラン系疎水化処理剤、及びチタネート系疎水化処理剤からなる群より選ばれてもよい。
[0017]
 疎水化処理剤は、ヘキサメチレンジシラザン(HMDS)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及びN,N-ジメチルアミノトリメチルシラン(DMATMS)からなる群より選ばれてもよい。
[0018]
 メタノール滴定法による第2絶縁粒子の疎水化度は、30%以上であってもよい。
[0019]
 導電粒子は、樹脂粒子と、樹脂粒子を覆う金属層とを有し、金属層は、ニッケルを含有する第1層を有してもよい。この場合、絶縁被覆導電粒子が異方導電性接着剤に配合されたときに、当該異方導電性接着剤が優れた導通信頼性及び絶縁信頼性を両立することができる。
[0020]
 金属層は、第1層上に設けられる第2層を有し、第2層は、貴金属及びコバルトからなる群より選ばれる金属を含有してもよい。この場合、絶縁被覆導電粒子が異方導電性接着剤に配合されたときに、当該異方導電性接着剤が優れた導通信頼性及び絶縁信頼性をさらに高度に両立することができる。
[0021]
 本発明の他の一態様に係る異方導電性接着剤は、上記絶縁被覆導電粒子と、絶縁被覆導電粒子が分散された接着剤と、を備える。
[0022]
 この異方導電性接着剤によれば、加熱加圧時にシリカからなる第2絶縁粒子が溶融せずに、隣接する導電粒子の金属表面が接することを防ぐ。これにより、単位面積あたり10万個/mm 以上の導電粒子を投入した場合であっても、優れた絶縁信頼性を得ることが可能となる。また、第2絶縁粒子は、30nm以上130nm以下の平均粒径を有するため、当該第2絶縁粒子によって接続抵抗が阻害されず、微小な回路の接続においても優れた導通信頼性を得ることが可能である。
[0023]
 上記異方導電性接着剤において、接着剤がフィルム状であってもよい。
[0024]
 本発明の他の一態様に係る接続構造体は、第1回路電極を有する第1回路部材と、第1回路部材に対向し、第2回路電極を有する第2回路部材と、第1回路部材及び第2回路部材を接着する、上記異方導電性接着剤と、を備え、第1回路電極と第2回路電極とは、互いに対向すると共に、異方導電性接着剤によって互いに電気的に接続される。
[0025]
 この接続構造体によれば、上記異方導電性接着剤によって第1回路部材及び第2回路部材が互いに電気的に接続されることにより、優れた導通信頼性及び絶縁信頼性を両立することができる。
[0026]
 本発明の他の一態様に係る接続構造体は、第1回路電極を有する第1回路部材と、第1回路部材に対向し、第2回路電極を有する第2回路部材と、第1回路部材と第2回路部材との間に配置された接続部と、を備え、接続部には、上記絶縁被覆導電粒子が分散しており、第1回路電極と第2回路電極とは、互いに対向すると共に、変形した状態の絶縁被覆導電粒子を介して互いに電気的に接続される。
[0027]
 この接続構造体によれば、接続部に分散した上記絶縁被覆導電粒子によって第1回路部材及び第2回路部材が互いに電気的に接続されることにより、優れた導通信頼性及び絶縁信頼性を両立することができる。

発明の効果

[0028]
 本発明の一側面によれば、微小な回路の接続においても、優れた絶縁信頼性及び導通信頼性を両立できる絶縁被覆導電粒子を提供することができる。また、本発明の一側面によれば、上記絶縁被覆導電粒子を用いた異方導電性接着剤及び接続構造体を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0029]
[図1] 図1は、第1実施形態に係る絶縁被覆導電粒子を示す模式断面図である。
[図2] 図2は、第2実施形態に係る絶縁被覆導電粒子を示す模式断面図である。
[図3] 図3は、第3実施形態に係る絶縁被覆導電粒子を示す模式断面図である。
[図4] 図4は、第4実施形態に係る絶縁被覆導電粒子を示す模式断面図である。
[図5] 図5は、第6実施形態に係る接続構造体を示す模式断面図である。
[図6] 図6は、第6実施形態に係る接続構造体の製造方法の一例を説明するための模式断面図である。
[図7] 図7は、実施例1の導電粒子の作製における工程dの後で得られた粒子を観察したSEM画像である。
[図8] 図8は、実施例1の導電粒子の作製における工程dの後で得られた粒子を観察したSEM画像である。
[図9] 図9は、実施例1の導電粒子の作製における工程fで得られた粒子を観察したSEM画像である。
[図10] 図10は、実施例1の導電粒子の作製における工程fで得られた粒子の表面を観察したSEM画像である。
[図11] 図11は、トリミング加工を説明するための模式図である。
[図12] 図12は、TEM測定用の薄膜切片を作製する方法を説明するための模式図である。
[図13] 図13は、実施例1の工程iで得られた絶縁被覆導電粒子を観察したSEM画像である。
[図14] 図14は、実施例1の工程iで得られた絶縁被覆導電粒子を観察したSEM画像である。
[図15] 図15は、実施例7の工程iで得られた絶縁被覆導電粒子を観察したSEM画像である。
[図16] 図16は、実施例7の工程iで得られた絶縁被覆導電粒子を観察したSEM画像である。
[図17] 図17は、比較例1で得られた絶縁被覆導電粒子の表面を観察したSEM画像である。

発明を実施するための形態

[0030]
 以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
[0031]
(第1実施形態)
 以下、第1実施形態に係る絶縁被覆導電粒子について説明する。
[0032]
<絶縁被覆導電粒子>
 図1は、第1実施形態に係る絶縁被覆導電粒子を示す模式断面図である。図1に示す絶縁被覆導電粒子100aは、導電粒子1のコアを構成する樹脂粒子101と、樹脂粒子101に付着する非導電性無機粒子102と、樹脂粒子101及び非導電性無機粒子102を覆う金属層である第1層104と、第1層104に付着する絶縁粒子210とを備える。第1層104の外表面には、樹脂粒子101に接着された非導電性無機粒子102の形状を反映する突起109が形成される。以下では、樹脂粒子101と非導電性無機粒子102とを組み合わせた粒子を複合粒子103とも呼称し、複合粒子103と第1層104とを組み合わせた粒子を導電粒子1とも呼称する。第1層104は、金属を少なくとも含む導電層である。第1層104は、金属層でもよいし、合金層でもよい。絶縁粒子210は、200nm以上500nm以下の平均粒径を有する第1絶縁粒子210aと、30nm以上130nm以下の平均粒径を有し、シリカからなる第2絶縁粒子210bとを含有する。
[0033]
<絶縁被覆導電粒子の平均粒径>
 絶縁被覆導電粒子100aの平均粒径は、例えば、1μm以上でもよく、2μm以上でもよい。絶縁被覆導電粒子100aの平均粒径は、例えば、10μm以下でもよく、5μm以下でもよい。つまり、絶縁被覆導電粒子100aの平均粒径は、例えば、1~10μmである。絶縁被覆導電粒子100aの平均粒径が上記範囲内であることにより、例えば、絶縁被覆導電粒子100aを含む異方導電性接着剤を用いて接続構造体を作製した場合に、当該接続構造体の電極の形状(高さ)のばらつきによる導電性が変化しにくくなる。絶縁被覆導電粒子100aの平均粒径は、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」と言う)を用いた観察により任意の絶縁被覆導電粒子300個の粒径の測定を行うことにより得られる平均値としてもよい。絶縁被覆導電粒子100aは突起109及び絶縁粒子210を有するため、絶縁被覆導電粒子100aの粒径は、SEMにて撮影した画像において絶縁被覆導電粒子100aに外接する円の直径とする。精度を上げて絶縁被覆導電粒子100aの平均粒径を測定するためには、コールターカウンター等の市販の装置を用いることができる。この場合、絶縁被覆導電粒子50000個の粒径の測定を行えば、高い精度で平均粒径を測定することができる。例えば、COULER MULTISIZER II(ベックマン・コールター株式会社製、商品名)により50000個の絶縁被覆導電粒子を測定することにより、絶縁被覆導電粒子100aの平均粒径を測定してもよい。
[0034]
<絶縁被覆導電粒子の単分散率>
 絶縁被覆導電粒子100aの単分散率は、96.0%以上でもよく、98.0%以上でもよい。絶縁被覆導電粒子100aの単分散率が上記範囲内であることにより、例えば、吸湿試験後において高い絶縁信頼性を得ることができる。絶縁被覆導電粒子100aの単分散率は、例えば、50,000個の導電粒子を用いて、COULER MULTISIZER II(ベックマン・コールター株式会社製、商品名)により測定することができる。
[0035]
<樹脂粒子>
 樹脂粒子101は、有機樹脂から構成される。有機樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等の(メタ)アクリル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリイソブチレン樹脂;ポリブタジエン樹脂などが挙げられる。樹脂粒子101としては、架橋(メタ)アクリル粒子、架橋ポリスチレン粒子等の有機樹脂を架橋して得られた粒子も使用できる。樹脂粒子は、上記有機樹脂の一種から構成されてもよいし、上記有機樹脂の二種以上を組み合わせて構成されてもよい。有機樹脂は、上記樹脂に限定されない。
[0036]
 樹脂粒子101は、球状である。樹脂粒子101の平均粒径は、例えば、1μm以上10μm以下でもよい。樹脂粒子101の平均粒径は、例えば、1μm以上でもよく、2μm以上でもよい。樹脂粒子101の平均粒径が1μm以上であることにより、導電粒子1の変形量が十分に確保される。樹脂粒子101の平均粒径は、例えば、10μm以下でもよく、5μm以下でもよい。樹脂粒子101の平均粒径が10μm以下であることにより、粒径のばらつきが抑制され、導電粒子1における接続抵抗値のばらつきが抑制される。樹脂粒子101の平均粒径は、SEMを用いた観察によって任意の樹脂粒子300個の粒径の測定を行うことにより得られる平均値とする。
[0037]
<樹脂粒子の表面処理>
 樹脂粒子101には、表面処理としてカチオン性ポリマーが被覆されることがある。このカチオン性ポリマーとしては、一般に、ポリアミン等のように正荷電を帯びることのできる官能基を有する高分子化合物が挙げられる。カチオン性ポリマーは、例えば、ポリアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、及びポリビニルピロリドンからなる群より選ばれてもよい。電荷密度が高く、負の電荷を持った表面及び材料との結合力が強い観点から、ポリイミンが好ましく、ポリエチレンイミンがより好ましい。カチオン性ポリマーは、水、又は、水と有機溶媒との混合溶液に可溶であることが好ましい。カチオン性ポリマーの分子量は、用いるカチオン性ポリマーの種類により変化するが、例えば、500~200000程度である。
[0038]
 カチオン性ポリマーの種類及び分子量を調整することにより、非導電性無機粒子102による樹脂粒子101の被覆率をコントロールすることができる。具体的には、ポリエチレンイミン等の電荷密度が高いカチオン性ポリマーによって樹脂粒子101が被覆された場合、非導電性無機粒子102の被覆率(非導電性無機粒子102が樹脂粒子101を被覆する割合)が高くなる傾向がある。一方、電荷密度の低いカチオン性ポリマーによって樹脂粒子101が被覆された場合、非導電性無機粒子102の被覆率が低くなる傾向がある。又、カチオン性ポリマーの分子量が大きい場合、非導電性無機粒子102の被覆率が高くなる傾向があり、カチオン性ポリマーの分子量が小さい場合、非導電性無機粒子102の被覆率が低くなる傾向がある。
[0039]
 カチオン性ポリマーは、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)イオン、アルカリ土類金属(Ca、Sr、Ba、Ra)イオン、及びハロゲン化物イオン(フッ素イオン、クロライドイオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)を実質的に含まなくてもよい。この場合、カチオン性ポリマーが被覆された樹脂粒子101のエレクトロマイグレーション及び腐食が抑制される。
[0040]
 カチオン性ポリマーに被覆される前の樹脂粒子101は、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、グリシジル基及びアルコキシカルボニル基から選ばれる官能基を表面に有する。これにより、樹脂粒子101の表面にカチオン性ポリマーが吸着しやすくなる。
[0041]
<非導電性無機粒子>
 非導電性無機粒子102は、突起109の芯となる粒子であり、例えば、静電気力により樹脂粒子101に接着されている。非導電性無機粒子102の形状は、特に制限されないが、楕円体、球体、半球体、略楕円体、略球体、略半球体等である。これらの中でも楕円体又は球体であることが好ましい。
[0042]
 非導電性無機粒子102を形成する材料は、第1層104を形成する材料よりも硬くてもよい。これにより、導電粒子が電極等に突き刺さりやすくなり、導電性が向上する。つまり、導電粒子全体を硬くするのではなく、導電粒子の一部を硬くするという考え方である。例えば、非導電性無機粒子102を形成する材料のモース硬度は、第1層104を形成する金属のモース硬度よりも大きい。具体的には、非導電性無機粒子102を形成する材料のモース硬度は、5以上である。加えて、非導電性無機粒子102を形成する材料のモース硬度と第1層104を形成する金属のモース硬度との差は、1.0以上であってもよい。第1層104が複数の金属を含有する場合、非導電性無機粒子102のモース硬度が全ての金属のモース硬度よりも高くてもよい。具体例としては、非導電性無機粒子102を形成する材料は、シリカ(二酸化ケイ素(SiO )、モース硬度6~7)、ジルコニア(モース硬度8~9)、アルミナ(モース硬度9)及びダイヤモンド(モース硬度10)からなる群から選ばれてもよい。例えば、非導電性無機粒子102の表面には水酸基(-OH)が形成されるように、疎水化処理剤が被覆されてもよい。この疎水化処理剤は、第2絶縁粒子210bに対して実施される疎水化処理にて用いられるものと同一でもよい(詳細は後述する)。上記モース硬度の値は、「化学大辞典」(共立出版株式会社発行)を参照した。非導電性無機粒子102として、例えばシリカ粒子が用いられる。シリカ粒子の粒径は、制御されていることが好ましい。
[0043]
 非導電性無機粒子102の平均粒径は、例えば25nm~120nm、あるいは、樹脂粒子101の平均粒径の1/120~1/10程度である。非導電性無機粒子102の平均粒径は、30nm~100nmでもよく、35nm~80nmでもよい。非導電性無機粒子102の平均粒径が25nm以上であると、第1層104の突起109が適度な大きさになりやすく、低抵抗化する傾向がある。非導電性無機粒子102の平均粒径が120nm以下であると、後述する無電解ニッケルめっき工程、無電解ニッケルめっきの前処理等において当該非導電性無機粒子102が脱落しにくくなる。これにより、突起109の数が充分となり、低抵抗化しやすくなる傾向がある。加えて、脱落した非導電性無機粒子102が凝集したものに第1層104の金属が被覆し、金属異物になる。この金属異物が樹脂粒子101に再付着し、異常析出部として過剰に長い突起(例えば、長さが500nmを超える突起)が形成されることがある。この場合、絶縁被覆導電粒子100aの絶縁信頼性低下の要因となることがある。さらに、上記金属異物そのものが絶縁信頼性低下の要因となることがある。したがって、非導電性無機粒子102の樹脂粒子101からの脱落を抑制することが好ましい。非導電性無機粒子102の粒径は、例えば、BET法による比表面積換算法又はX線小角散乱法により測定される。
[0044]
<樹脂粒子への非導電性無機粒子の接着方法>
 樹脂粒子101への非導電性無機粒子102の接着は、有機溶媒、あるいは、水と水溶性の有機溶媒との混合溶液を用いて行うことができる。使用できる水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が挙げられる。非導電性無機粒子102に疎水化処理剤が被覆され、樹脂粒子101にカチオン性ポリマーが被覆されることにより、非導電性無機粒子102と樹脂粒子101とは静電気力によって接合してもよい。
[0045]
<第1層>
 複合粒子103を被覆する金属層は、単層構造でもよく、複数の層を有する積層構造でもよい。第1実施形態における金属層が単層構造の第1層104である場合、当該第1層104は、めっき層でもよい。第1層104としては、コスト、導通信頼性及び耐腐食性の観点からニッケルを主成分として含む導電層であってもよい。近年のガラス上に設けられる電極の平坦性を考慮すると、導通信頼性を向上するため、その表面が突起109を有するように第1層104が設けられてもよい。
[0046]
 第1層104の厚さは、例えば、40nm~200nmである。第1層104の厚さが上記範囲内であると、導電粒子1が圧縮された場合であっても、第1層104の割れを抑制できる。また、複合粒子103の表面を第1層104により充分に被覆することができる。これにより、非導電性無機粒子102を樹脂粒子101に固着化させ、非導電性無機粒子102の脱落を抑制することが可能となる。この結果、得られる導電粒子1の一つ一つに良好な形状の突起109を高密度に形成することが可能となる。第1層104の厚さは、60nm以上でもよい。第1層104の厚さは、150nm以下でもよく、120nm以下でもよい。第1層104は、単層構造でもよいし、積層構造でもよい。本実施形態では、第1層104は2層構造を有する。
[0047]
 第1層104の厚さは、透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」という)によって撮影された写真を用いて算出される。具体例として、まず、導電粒子1の中心付近を通るようにウルトラミクロトーム法で当該導電粒子1の断面を切り出す。次に、切り出した断面を、TEMを用いて25万倍の倍率で観察して画像を得る。次に、得られた画像から見積もられる第1層104の断面積から、第1層104の厚さを算出できる。このとき、第1層104、樹脂粒子101及び非導電性無機粒子102が区別しづらい場合には、TEMに付属するエネルギー分散型X線検出器(以下、「EDX」という)による成分分析を行う。これにより、第1層104、樹脂粒子101及び非導電性無機粒子102を明確に区別し、第1層104のみの厚さを算出する。第1層104の厚さは、導電粒子10個における厚さの平均値とする。
[0048]
 第1層104は、ニッケルを主成分とする金属に加えて、リン及びホウ素からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有してもよい。これにより、ニッケルを含有する第1層104の硬度を高めることが可能であり、導電粒子1が圧縮されたときの導通抵抗を容易に低く保つことができる。第1層104は、リン又はホウ素と共に、共析する金属を含有していてもよい。第1層104に含有される金属は、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、マンガン、クロム、バナジウム、モリブデン、パラジウム、錫、タングステン、及びレニウムである。第1層104は、ニッケル及び上記金属を含有することによって、第1層104の硬度を高めることができる。これにより、絶縁被覆導電粒子100aが圧縮された場合であっても、非導電性無機粒子102の上部に形成された部分(突起109)が押しつぶされることを抑制できる。上記金属は、高い硬度を有するタングステンを含んでもよい。第1層104の構成材料としては、例えば、ニッケル(Ni)及びリン(P)の組み合わせ、ニッケル(Ni)及びホウ素(B)の組み合わせ、ニッケル(Ni)、タングステン(W)及びホウ素(B)の組み合わせ、並びに、ニッケル(Ni)及びパラジウム(Pd)の組み合わせが好ましい。
[0049]
 第1層104を後述する無電解ニッケルめっきにより形成する場合、例えば、還元剤として次亜リン酸ナトリウム等のリン含有化合物を用いてもよい。この場合、リンを共析させることが可能であり、ニッケル-リン合金を含有する第1層104を形成することができる。還元剤として、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等のホウ素含有化合物を用いてもよい。この場合、ホウ素を共析させることが可能であり、ニッケル-ホウ素合金を含有する第1層104を形成することができる。ニッケル-ホウ素合金の硬度はニッケル-リン合金よりも高い。そのため、還元剤としてホウ素含有化合物を用いた場合、絶縁被覆導電粒子100aを圧縮した場合であっても非導電性無機粒子102の上部に形成された突起109が押しつぶされることを抑制できる。
[0050]
 第1層104は、複合粒子103の表面から遠ざかるにつれてニッケルの濃度(含有量)が高くなる濃度勾配を有してもよい。このような構成により、絶縁被覆導電粒子100aが圧縮された場合であっても低い導通抵抗を保つことができる。この濃度勾配は、連続的であってもよく、非連続的であってもよい。ニッケルの濃度勾配が非連続的である場合、複合粒子103の表面に、第1層104としてニッケルの含有量が異なる複数の層を設けてもよい。この場合、複合粒子103から遠い側に設けられる層のニッケルの濃度が高くなる。
[0051]
 第1層104におけるニッケルの含有量は、第1層104の厚さ方向において表面に近づくにつれて高くなる。第1層104の表面側の層におけるニッケルの含有量は、例えば、99質量%~97質量%になっている。上記表面側の層の厚さは、例えば、5~60nmである。当該層の厚さは、10~50nmでもよく、15~40nmでもよい。上記表面側の層の厚さが5nm以上である場合、第1層104の接続抵抗値が低くなる傾向にある。一方、表面側の層の厚さが60nm以下である場合、導電粒子1の単分散率がより向上する傾向にある。したがって、第1層104の表面側の層におけるニッケルの含有量が99質量%~97質量%になっており、且つ上記表面側の層の厚さが5~60nmである場合、第1層104をより低抵抗化しやすく、導電粒子1同士の凝集をより抑制して、高い絶縁信頼性を得やすくなる。
[0052]
 第1層104の厚さ方向において複合粒子103側には、ニッケルの含有量が97質量%以下である層が形成されていてもよい。この複合粒子103側の層のニッケルの含有料は、95質量%以下でもよく、94質量%以下でもよい。複合粒子103側の層の厚さは、20nm以上でもよく、40nm以上でもよく、50nm以上でもよい。特に、第1層104の複合粒子103側に94質量%以下の層を20nm以上形成すると、導電粒子1同士は磁性の影響を受けにくくなり、当該導電粒子1同士の凝集が抑制される傾向にある。
[0053]
 第1層104における元素の種類及び当該元素の含有量は、例えば、ウルトラミクロトーム法で導電粒子の断面を切り出した後、TEMに付属するEDXによって成分分析を行うことによって測定できる。
[0054]
<無電解ニッケルめっき>
 本実施形態においては、第1層104は、無電解ニッケルめっきにより形成される。この場合、無電解ニッケルめっき液は、水溶性ニッケル化合物を含む。無電解ニッケルめっき液は、安定剤(例えば、硝酸ビスマス)、錯化剤、還元剤、pH調整剤及び界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を更に含んでもよい。
[0055]
 水溶性ニッケル化合物としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、次亜リン酸ニッケル等の水溶性ニッケル無機塩;酢酸ニッケル、リンゴ酸ニッケル等の水溶性ニッケル有機塩などが用いられる。水溶性ニッケル化合物は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0056]
 無電解ニッケルめっき液における水溶性ニッケル化合物の濃度は、0.001~1mol/Lが好ましく、0.01~0.3mol/Lがより好ましい。水溶性ニッケル化合物の濃度が上記範囲内であることで、めっき被膜の析出速度を充分に得ることができると共に、めっき液の粘度が高くなりすぎることを抑制してニッケル析出の均一性を高めることができる。
[0057]
 錯化剤としては、錯化剤として機能するものであればよく、具体的には、エチレンジアミンテトラ酢酸;エチレンジアミンテトラ酢酸のナトリウム塩(例えば、1-,2-,3-及び4-ナトリウム塩);エチレンジアミントリ酢酸;ニトロテトラ酢酸、そのアルカリ塩;グリコン酸、酒石酸、グルコネート、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、ピロリン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、これらのアルカリ塩(例えば、ナトリウム塩);トリエタノールアミングルコノ(γ)-ラクトン等が挙げられる。錯化剤は、上記以外の材料を用いてもよい。錯化剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0058]
 無電解ニッケルめっき液における錯化剤の濃度は、通常、0.001~2mol/Lが好ましく、0.002~1mol/Lがより好ましい。錯化剤の濃度が上記範囲内であることで、めっき液中の水酸化ニッケルの沈殿及びめっき液の分解を抑制しつつめっき被膜の充分な析出速度を得ることができると共に、めっき液の粘度が高くなりすぎることを抑制してニッケル析出の均一性を高めることができる。錯化剤の濃度は、種類によって異なってもよい。
[0059]
 還元剤としては、無電解ニッケルめっき液に用いられる公知の還元剤を用いることができる。還元剤としては、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等の次亜リン酸化合物;水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ジメチルアミンボラン等の水素化ホウ素化合物;ヒドラジン類などが挙げられる。
[0060]
 無電解ニッケルめっき液における還元剤の濃度は、通常、0.001~1mol/Lが好ましく、0.002~0.5mol/Lがより好ましい。還元剤の濃度が上記範囲内であると、めっき液中でのニッケルイオンの還元速度を充分に得つつ、めっき液の分解を抑制することができる。還元剤の濃度については、還元剤の種類によっても異なってもよい。
[0061]
 pH調整剤としては、例えば、酸性のpH調整剤及びアルカリ性のpH調整剤が挙げられる。酸性のpH調整剤としては、塩酸;硫酸;硝酸;リン酸;酢酸;ギ酸;塩化第2銅;硫酸第2鉄等の鉄化合物;アルカリ金属塩化物;過硫酸アンモニウム;これらを1種以上含む水溶液;クロム酸、クロム酸-硫酸、クロム酸-フッ酸、重クロム酸、重クロム酸-ホウフッ酸等の酸性の6価クロムを含む水溶液などが挙げられる。アルカリ性のpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物;アルカリ土類金属の水酸化物;エチレンジアミン、メチルアミン、2-アミノエタノール等のアミノ基を含有する化合物;これらを1種以上含む溶液などが挙げられる。
[0062]
 界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、これらの混合物等を用いることができる。
[0063]
<無電解ニッケルめっきの前処理>
 第1層104を上述した無電解ニッケルめっきにより形成する場合、複合粒子103に対して予め前処理としてパラジウム触媒化処理してもよい。パラジウム触媒化処理は、公知の方法で行うことができる。例えば、アルカリシーダ又は酸性シーダと呼ばれる触媒化処理液を用いた触媒化処理方法によって上記前処理が行われてもよい。
[0064]
<突起>
 導電粒子1の表面(具体的には、第1層104の表面)には、非導電性無機粒子102の形状を反映した突起109が形成されている。非導電性無機粒子102及び第1層104を含む突起109(例えば導電粒子1の外表面を構成する第1層104を含む突起109)を、直径(外径)が100nm未満の第1突起と、直径が100nm以上200nm未満の第2突起と、直径が200nm以上350nm以下の第3突起とに分類する。この場合、全突起数における第1突起の割合が80%未満でもよく、全突起数における第2突起の割合が20~80%でもよく、全突起数における第3突起の割合が10%以下でもよい。全突起数における第1突起の割合が60%未満でもよく、全突起数における第2突起の割合が40~70%でもよく、全突起数における第3突起の割合が5%以下でもよい。全突起数における第1~第3突起の割合が上記範囲内である絶縁被覆導電粒子100aは、異方導電性接着剤に配合される絶縁被覆導電粒子として用いられたときに、優れた導通信頼性及び絶縁信頼性を更に高度に両立することができる。「全突起数」とは、導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内に存在する突起の合計数である。
[0065]
 導電粒子1における突起109の面積は、導電粒子1の正投影面において、導電粒子1の直径の1/2の直径を有する同心円内の突起109の面積(隣接する突起109同士の間の谷により区切られる各突起109の輪郭の面積)を意味する。突起109の直径(外径)は、導電粒子1の正投影面において、導電粒子1の直径の1/2の直径を有する同心円内に存在する突起109について算出され、当該突起109の面積と同一の面積を有する真円の直径を意味する。具体的には、導電粒子1をSEMにより3万倍で観察して得られる画像を解析し、突起109の輪郭を画定することにより、各突起の面積を求める。
[0066]
 突起109は、導電粒子の正投影面において、導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内に、下記のとおり含まれていてもよい。当該同心円内の突起の数は、例えば、50個以上でもよく、70個以上でもよく、90個以上でもよい。当該同心円内の突起の数は、例えば、250個以下でもよく、220個以下でもよく、200個以下でもよい。当該同心円内の突起の数が上記範囲内である場合、相対向する電極間に絶縁被覆導電粒子100aを介在させて当該電極同士を圧着接続したとき、十分低い導通抵抗を容易に得ることができる。
[0067]
 突起109の面積の割合(被覆率)は、例えば、60%以上でもよく、80%以上でもよく、90%以上でもよい。突起109の被覆率が60%以上であると、導電粒子1が高湿下におかれた場合であっても導通抵抗が増加しにくくなる。突起109の面積の割合(被覆率)は、導電粒子1の正投影面において、導電粒子1の直径の1/2の直径を有する同心円の全面積を分母とし、導電粒子1の直径の1/2の直径を有する同心円内の突起109の面積の総和を分子として割り出された100分率で示すことができる。
[0068]
<突起の形成方法>
 導電粒子1の表面(具体的には、第1層104の表面)に突起109を形成させる方法として、例えば、めっきの異常析出による方法と、芯材を用いる方法とが挙げられる。突起形状を考慮した場合、芯材を用いる方法の採用が好ましい。芯材は、例えば、ニッケル、炭素、パラジウム、金等の導電性材料でもよく、プラスチック、シリカ、酸化チタン等の非導電性材料でもよい。芯材に非磁性材料を用いると、絶縁粒子210を被覆する段階で磁性凝集が発生せず、絶縁粒子210を導電粒子1に容易に付着させられる傾向にある。このため、芯材として強磁性材料であるニッケルを用いる場合、芯材は更にリン等の非磁性材料を含んでもよい。第1実施形態では、突起109の形成方法として、非導電性無機粒子102を芯材とする方法が用いられる。これにより、突起109の大きさの制御が可能となり、良好な形状を有する突起109を形成することが可能なため、絶縁信頼性及び導通信頼性を両立させることができる。また、非導電性無機粒子102を用いることによって、導電粒子1を高圧縮した場合であっても、非導電性無機粒子102の上部に形成された突起109を構成する第1層104が押しつぶされることが抑制される。このため、例えば絶縁粒子210としてシリカを用いた場合であっても、電極等に圧着接続した場合に、第1層104の潰れを抑制し、低い導通抵抗を得ることが可能となる。
[0069]
<絶縁粒子>
 上述したように絶縁粒子210は、200nm以上500nm以下の平均粒径を有する第1絶縁粒子210aと、30nm以上130nm以下の平均粒径を有し、シリカからなる第2絶縁粒子210bとを含有する。
[0070]
(第1絶縁粒子)
 第1絶縁粒子210aの平均粒径は、200nm以上500nm以下である。第1絶縁粒子210aの平均粒径が200nm以上である場合、第1絶縁粒子210aが絶縁スペーサーとして充分機能し、より優れた絶縁信頼性が得られる。第1絶縁粒子210aの平均粒径が500nm以下であると、第1絶縁粒子210aを容易に導電粒子1に付着することができる。
[0071]
 第1絶縁粒子210aの形状は、特に制限されないが、楕円体、球体、半球体、略楕円体、略球体、略半球体等である。これらの中でも楕円体又は球体であることが好ましい。
[0072]
 第1絶縁粒子210aの粒径のばらつき(以下、CVともいう。)は、例えば、10%以下でもよく、3%以下でもよい。CVが10%以下である場合、導通信頼性及び絶縁信頼性を向上することができる。本明細書におけるCVとは、平均粒径に対する粒径の標準偏差の比をパーセンテージで表したものを意味する。
[0073]
 導電粒子1が突起109を有する場合、第1絶縁粒子210aを導電粒子1に付着し易くする観点から、第1絶縁粒子210aの平均粒径は、突起109の直径よりも大きいことが望ましい。
[0074]
 第1絶縁粒子210aは、例えば、有機高分子化合物から構成される微粒子である。有機高分子化合物としては、熱軟化性を有する化合物が好ましい。有機高分子化合物として、具体的には、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、スチレン-イソブチレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系ゴム、スチレン-エチレン-ブチレン共重合体、フェノキシ樹脂、固形エポキシ樹脂等が用いられる。有機高分子化合物は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0075]
 柔軟性と耐溶剤性とを両立する観点から、シリコンを含むモノマーとアクリルとの共重合体等の有機無機ハイブリッド型粒子を第1絶縁粒子210aとして用いてもよい。
[0076]
 第1絶縁粒子210aの製造方法としては、例えば、ソープフリー乳化重合が挙げられる。
[0077]
 第1絶縁粒子210aは、信頼性を向上するために、炭素間の二重結合を有するアルコキシシランを含有する単量体組成物を用いた共重合体であってもよい。該アルコキシシランとしては、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。中でも、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用いることが好ましい。炭素間の二重結合を有するアルコキシシランの含有量は、単量体組成物全量に対して0.5モル%~5モル%であることが好ましい。
[0078]
 第1絶縁粒子210aを製造する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルベンゾエート、ペルオキソ二硫酸カリウム、1,1-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2-アゾビスイソブチロ二トリル等が挙げられる。ラジカル重合開始剤は、これらに限定されるものではない。
[0079]
 親水性のモノマーを用いてソープフリー乳化重合を行うと、より安定的に第1絶縁粒子210aを合成することができ、その粒径の制御もより容易になる。親水性モノマーの具体例としては、スチレンスルホン酸ナトリウム、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
[0080]
 親水性モノマーの含有量は、単量体組成物全量に対して0.1モル%~30モル%であることが好ましい。
[0081]
 第1絶縁粒子210aのガラス転移温度(以下、Tgともいう。)は、架橋材の濃度又はアルキルアクリレート等の成分を入れることにより調整可能である。架橋材の添加によって、第1絶縁粒子210aのTgが上昇する傾向がある。また、アルキルアクリレート等の低いTgを有する成分の比率を上げることにより、第1絶縁粒子210aのTgを下げることができる。第1絶縁粒子210aのTgは、例えば、100℃~200℃である。本実施形態においては、第1絶縁粒子210aを含む各粒子のガラス転移温度を、示差走査熱量計(DSC、例えばパーキンエルマー社製、商品名「DSC-7」)を用い、サンプル量10mg、昇温速度5℃/分、測定雰囲気:空気の条件で測定した。
[0082]
 架橋剤は、第1絶縁粒子210aのTgを上昇させる他、第1絶縁粒子210aの耐溶剤性及び耐熱性も向上させる。架橋剤の具体例として、ジビニルベンゼン、ジアクリレート等が挙げられる。架橋剤の含有量は、合成のし易さの観点から、例えば、第1絶縁粒子210aの全モノマーに対して0モル%~10モル%である。更に特性を鑑みると、架橋剤の含有量は、1モル%~5モル%であってもよい。
[0083]
 ソープフリー乳化重合の方法は、当業者にとって周知である。例えば、合成用のモノマー、水、及び重合開始剤をフラスコに入れて、窒素雰囲気下において100~500min -1(100~500rpm)の攪拌速度で撹拌しながら上記乳化重合を行う。全モノマーの含有量は、例えば、溶媒の水に対して1質量%~20質量%である。
[0084]
 ソープフリー乳化重合の重合温度は、例えば、40℃~90℃であり、重合時間は2時間から15時間である。適切な重合温度及び時間は、適宜に選択可能である。
[0085]
(第2絶縁粒子)
 第2絶縁粒子210bの平均粒径は、30nm以上130nm以下である。第2絶縁粒子210bの平均粒径は、25nmよりも大きくてもよく、100nm以下であってもよい。第2絶縁粒子210bの平均粒径が30nm以上である場合、第2絶縁粒子210bが絶縁スペーサーとして充分機能し、より優れる絶縁信頼性が得られる。第2絶縁粒子210bの平均粒径が130nm以下である場合、第2絶縁粒子210bを容易に導電粒子1に付着することができる。
[0086]
 第2絶縁粒子210bの形状は、特に制限されないが、例えば、楕円体、球体、半球体、略楕円体、略球体、略半球体等である。これらの中でも楕円体又は球体であることが好ましい。
[0087]
 第2絶縁粒子210bの粒径のばらつき(以下、CVともいう。)は、例えば、10%以下でもよく、3%以下でもよい。第2絶縁粒子210bのCVが10%以下である場合、導通信頼性及び絶縁信頼性を向上することができる。
[0088]
 第2絶縁粒子210bとして、シリカ(SiO )粒子を用いてもよい。シリカ粒子の粒径は、制御されていることが好ましい。シリカ粒子の種類としては特に制限されず、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、ゾルゲル法シリカ等が挙げられる。シリカ粒子は、単独でもよいし、2種以上混合して用いてもよい。シリカ粒子として、市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよい。
[0089]
 コロイダルシリカの製造方法としては、公知の方法が挙げられる。具体的には、「ゾル-ゲル法の科学」(作花済夫著、アグネ承風社発行)の第154~156頁に記載のアルコキシシランの加水分解による方法;特開平11-60232号公報に記載の、ケイ酸メチルまたはケイ酸メチルとメタノールとの混合物を、水、メタノール、及び、アンモニアまたはアンモニアとアンモニウム塩からなる混合溶媒中に滴下して、ケイ酸メチルと水とを反応させる方法;特開2001-48520号公報に記載の、アルキルシリケー卜を酸触媒で加水分解した後、アルカリ触媒を加えて加熱してケイ酸の重合を進行させて粒子成長させる方法;特開2007-153732号公報に記載の、アルコキシシランの加水分解の際に特定の種類の加水分解触媒を特定の量で使用する方法等が挙げられる。あるいは、ケイ酸ソーダをイオン交換することにより製造する方法も挙げられる。水分散コロイダルシリカの市販品としては、スノーテックス、スノーテックスUP(いずれも日産化学工業株式会社製、商品名)、クオートロンPLシリーズ(扶桑化学工業株式会社製、商品名)等が挙げられる。
[0090]
 フュームドシリカの製造方法としては、四塩化ケイ素を気化し、酸水素炎中で燃焼させる気相反応を用いる公知の方法が挙げられる。さらに、フュームドシリカは、公知の方法で水分散液とすることができる。水分散液とする方法としては、例えば、特開2004-43298号公報、特開2003-176123号公報、特開2002-309239号公報等に記載の方法が挙げられる。フュームドシリカの絶縁信頼性の観点から、水分散液中のアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの濃度が100ppm以下であることが好ましい。フュームドシリカのモース硬度は、5以上でもよく、6以上でもよい。
[0091]
<導電粒子への絶縁粒子の付着方法>
 絶縁粒子210を導電粒子1に付着させる方法としては、特に限定されない。例えば、官能基付きの導電粒子1に官能基付きの絶縁粒子210を付着させる方法等が挙げられる。この場合、絶縁粒子210は、外表面に水酸基、シラノール基、カルボキシル基等の反応性が良好な官能基を有していることが好ましい。
[0092]
 導電粒子1の表面には、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基等の官能基が形成されてもよい。導電粒子1の表面がこれらの官能基を有することにより、当該官能基と絶縁粒子210の表面の官能基とによって、脱水縮合に基づく共有結合、水素結合等の強固な結合を形成することができる。
[0093]
 第1実施形態における導電粒子1においては、ニッケルを主成分として含む第1層104が表面となっている。この場合、ニッケルに対して強固な結合を形成するシラノール基若しくは水酸基を有する化合物、又は窒素化合物を用いることによって、第1層104の表面に、水酸基、カルボキシル基、アルコキシル基、及びアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる一種以上の官能基を導入するとよい。具体的にはカルボキシベンゾトリアゾール等が用いられる。
[0094]
 第1層104の表面を上記化合物で処理する方法としては特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール等の有機溶媒中に、メルカプト酢酸、カルボキシベンゾトリアゾール等の化合物を10~100mmol/Lの濃度で分散し、その中に導電粒子1を分散させる方法が挙げられる。
[0095]
 表面に水酸基、カルボキシル基、アルコキシル基、及びアルコキシカルボニル基からなる群から選ばれる少なくとも一種を有する導電粒子1の表面電位(ゼータ電位)は、pHが中性領域であるとき、通常マイナスである。水酸基を有する絶縁粒子210の表面電位も通常マイナスである。表面電位がマイナスである導電粒子1の表面に対して、表面電位がマイナスである絶縁粒子210を充分に付着させるために、これらの間に高分子電解質層を設けてもよい。これにより、効率的に絶縁粒子210を導電粒子1に付着させることができる。
[0096]
 さらに、高分子電解質層を設けることにより、導電粒子1の表面に絶縁粒子210を欠陥なく均一に付着させることができる。このような絶縁粒子210を導電粒子1に付着させてなる絶縁被覆導電粒子100aを用いることにより、回路電極の間隔が狭ピッチでも絶縁信頼性が確保される一方、電気的に接続する電極間では接続抵抗が低く、導通信頼性が良好である。
[0097]
 上記官能基を有する絶縁粒子210を、高分子電解質を介して官能基を有する導電粒子1の表面に付着させる方法としては特に限定されない。絶縁粒子210を導電粒子1の表面に付着させる方法として、例えば、高分子電解質と絶縁粒子210とを交互に積層する方法が挙げられる。
[0098]
 まず、(1)官能基を有する導電粒子1を、高分子電解質を含む溶液に分散させ、官能基を有する導電粒子1の表面の少なくとも一部に高分子電解質を吸着させてリンスする工程を行う。次に、(2)高分子電解質を吸着させた導電粒子1を、絶縁粒子210を含む溶液に分散させ、高分子電解質を吸着させた、官能基を有する導電粒子1の表面の少なくとも一部に絶縁粒子210を付着させてリンスする工程を行う。これらの工程を経て、高分子電解質と絶縁粒子210とが積層された絶縁被覆導電粒子100aを製造できる。(1)の工程及び(2)の工程は、(1)、(2)の順でも、(2)、(1)の順でもよい。(1)、(2)の工程は、交互に繰り返し行われてもよい。
[0099]
 上記(1),(2)の工程を繰り返す方法は、交互積層法(Layer-by-Layer assembly)と呼ばれる。交互積層法は、G.Decherらによって1992年に発表された有機薄膜を形成する方法である(Thin Solid Films,210/211,p831(1992))。この方法では、正電荷を有するポリマー電解質(ポリカチオン)と負電荷を有するポリマー電解質(ポリアニオン)とを含む水溶液に、基材を交互に浸漬させる。これにより、静電的引力によって基板上に吸着したポリカチオンとポリアニオンの組が積層して複合膜(交互積層膜)が得られる。
[0100]
 交互積層法では、静電的な引力によって、基材上に形成された材料の電荷と、溶液中の反対電荷を有する材料とが引き合うことにより膜成長する。このため、吸着が進行して電荷が中和されると、それ以上の吸着が起こらなくなる。したがって、ある飽和点までに至れば、それ以上膜厚が増加することは実質的にない。Lvovらは交互積層法を、微粒子に応用し、シリカ、チタニア及びセリアの各微粒子分散液を用いて、微粒子の表面電荷と反対電荷を有する高分子電解質を交互積層法で積層する方法を報告している(Langmuir,Vol.13,(1997)p6195-6203)。この方法を用いると、負の表面電荷を有する絶縁粒子とその反対電荷を持つポリカチオンであるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDDA)、ポリエチレンイミン(PEI)等とを交互に積層することで、絶縁粒子と高分子電解質が交互に積層された微粒子積層薄膜を形成することが可能である。
[0101]
 官能基を有する導電粒子1を、高分子電解質を含む溶液に浸漬した後、絶縁粒子210を含む分散液に浸漬する前に、溶媒のみのリンスによって余剰の高分子電解質を含む溶液を洗い流してもよい。高分子電解質を吸着させた導電粒子1を、絶縁粒子210を含む分散液に浸漬した後も、溶液のみのリンスによって余剰の絶縁粒子210を含む分散液を洗い流してもよい。
[0102]
 このようなリンスに用いる溶液としては、水、アルコール、アセトン、それらの混合溶媒等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[0103]
 高分子電解質は、導電粒子1の表面に導入された上記官能基と吸着可能なものである。この高分子電解質は、上記官能基に例えば静電的に吸着されている。かかる高分子電解質としては、例えば、水溶液中で電離し、荷電を有する官能基を主鎖又は側鎖に持つ高分子(ポリアニオン又はポリカチオン)を用いることができる。ポリアニオン(アニオン性ポリマー)としては、一般的に、スルホン酸、硫酸、カルボン酸等負の電荷を帯びることのできる官能基を有するものが挙げられる。導電粒子1及び/又は絶縁粒子210の表面電位がマイナスである場合、高分子電解質としてポリカチオンが用いられてもよい。ポリカチオン(カチオン性ポリマー)としては、一般に、ポリアミン類等のように正荷電を帯びることのできる官能基を有するもの、例えば、ポリエチレンアミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジン、及び、ポリアクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも一種以上を含む共重合体等を用いることができる。電荷密度が高く、負の電荷を持った表面及び材料との結合力が強い観点から、ポリエチレンイミンを用いることが好ましい。この高分子電解質は、樹脂粒子101の表面処理に用いられる前述のカチオン性ポリマーと同じものであってもよい。
[0104]
 高分子電解質においては、エレクトロマイグレーション及び腐食を避けるために、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)イオン、アルカリ土類金属(Ca、Sr、Ba、Ra)イオン及びハロゲン化物イオン(フッ素イオン、クロライドイオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)を実質的に含まないものが好ましい。
[0105]
 高分子電解質は、いずれも水溶性の有機溶媒、アルコール等に可溶なものである。高分子電解質の重量平均分子量としては、用いる高分子電解質の種類により一概には定めることができない。高分子電解質の重量平均分子量は、例えば、1,000~200,000でもよく、10,000~200,000でもよく、20,000~100,000でもよい。高分子電解質の重量平均分子量が1,000~200,000である場合、充分な絶縁被覆導電粒子100aの分散性が得られる。絶縁被覆導電粒子100aの平均粒径が3μm以下であっても、絶縁被覆導電粒子100a同士の凝集を防ぐことができる。
[0106]
 高分子電解質を含む溶液は、水と有機溶媒との混合溶媒に高分子電解質を溶解したものである。使用できる水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が挙げられる。
[0107]
 溶液中の高分子電解質の濃度は、例えば、0.01質量%~10質量%でもよく、0.03質量%~3質量%でもよく、0.1質量%~1質量%でもよい。溶液中の高分子電解質の濃度が0.01質量%~10質量%であると、導電粒子1に対する絶縁粒子210の接着性を向上することができる。高分子電解質溶液のpHは、特に限定されない。
[0108]
 高分子電解質の種類、重量平均分子量、又は濃度を調整することにより、絶縁粒子210による導電粒子1の被覆率をコントロールすることができる。
[0109]
 例えば、PEI等の電荷密度の高い高分子電解質を用いた場合、絶縁粒子210による被覆率が高くなる傾向にある。PDDA等の電荷密度の低い高分子電解質を用いた場合、絶縁粒子210による被覆率が低くなる傾向にある。高分子電解質の重量平均分子量が大きい場合、絶縁粒子210による被覆率が高くなる傾向にある。高分子電解質の重量平均分子量が小さい場合、絶縁粒子210による被覆率が低くなる傾向にある。溶液中の高分子電解質を高濃度とした場合、絶縁粒子210による被覆率が高くなる傾向がある。溶液中の高分子電解質を低濃度とした場合、絶縁粒子210による被覆率が低くなる傾向にある。高分子電解質の種類、重量平均分子量及び濃度は、適宜に選択可能である。
[0110]
 導電粒子1の表面に、例えば重量平均分子量が1,000以上のポリマーを有すると、当該導電粒子1の分散が促進される。このため、導電粒子1の粒径が小さくなるにつれて磁性凝集が大きくなった場合であっても、当該導電粒子1の凝集を抑制し、絶縁粒子210の導電粒子1への付着を容易にできる。
[0111]
 同様に、絶縁粒子210の表面に、例えば、重量平均分子量が500~10,000のポリマー又はオリゴマーが存在してもよい。このポリマー又はオリゴマーは、重量平均分子量が1,000~4,000でもよい。かかるポリマー又はオリゴマーは、重量平均分子量が1,000~4,000の官能基を有するシリコーンオリゴマーであることが好ましい。官能基としては、上記の高分子電解質と反応するものが好ましい。当該官能基として、例えば、グリシジル基、カルボキシル基、又はイソシアネート基が挙げられ、中でもグリシジル基が好ましい。これにより、絶縁粒子210の分散性をより良好にすると同時に、ポリマーもしくはオリゴマー上の官能基と、導電粒子1上の官能基とを反応させることによって、導電粒子1と絶縁粒子210とのより強固な結合が期待できる。
[0112]
 このように、化学反応性のポリマーを有する粒子同士を結合させることにより、従来にはない強固な結合が得られる。特に、導電粒子1の小径化及び絶縁粒子210の大径化に対応できる。
[0113]
 第1絶縁粒子210aと第2絶縁粒子210bとを比較すると、シリカからなる第2絶縁粒子210bの方が、導電粒子1から脱落しやすい傾向にある。グリシジル基、カルボキシル基、若しくはイソシアネート基を有するポリマー又はオリゴマーを用いても、第2絶縁粒子210bが脱落しやすい場合は、疎水化処理剤により第2絶縁粒子210bの表面を被覆する方法を採用できる。第2絶縁粒子210bの表面が疎水化されるほど、シリカからなる第2絶縁粒子210bの表面電位(ゼータ電位)がマイナス側に大きくなる。このため、第2絶縁粒子210bと、高分子電解質により処理された導電粒子1との電位差が大きくなるため、当該第2絶縁粒子210bは、静電気力により導電粒子1に強固に付着される。
[0114]
<疎水化処理剤>
 第2絶縁粒子210bを被覆する疎水化処理剤としては、以下に記載の、(1)シラザン系疎水化処理剤、(2)シロキサン系疎水化処理剤、(3)シラン系疎水化処理剤、(4)チタネート系疎水化処理剤等が挙げられる。反応性の観点から(1)シラザン系疎水化処理剤が好ましい。疎水化処理剤は、上記(1)~(4)からなる群から選択される少なくとも一種を含んでもよい。
[0115]
(1)シラザン系疎水化処理剤
 シラザン系疎水化処理剤としては、有機シラザン系疎水化処理剤が挙げられる。有機シラザン系疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン等が挙げられる。有機シラザン系疎水化処理剤は、上記以外のものでもよい。
[0116]
(2)シロキサン系疎水化処理剤
 シロキサン系疎水化処理剤としては、ポリジメチルシロキサン、メチルハイドロジェンジシロキサン、ジメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラメチルジシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シロキサン等が挙げられる。シロキサン系疎水化処理剤は、上記以外のものでもよい。
[0117]
(3)シラン系疎水化処理剤
 シラン系疎水化処理剤としては、N,N-ジメチルアミノトリメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、クロロプロピルジメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-オクチルメチルジエトキシシラン、n-オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、n-オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、γ-メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタアクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ-メタアクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタアクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-(アミノプロピル)メチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-(アミノプロピル)トリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-(アミノプロピル)トリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロプロピルトリメトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ヘキサエトキシジシロキサン等が挙げられる。
[0118]
(4)チタネート系疎水化処理剤
 チタネート系疎水化処理剤としては、KRTTS、KR46B、KR55、KR41B、KR38S、KR138S、KR238S、338X、KR44、KR9SA(いずれも、味の素ファインテクノ株式会社製、商品名)等が挙げられる。
[0119]
 上記疎水化処理剤の中で、ヘキサメチレンジシラザン、ポリジメチルシロキサン、及び、N,N-ジメチルアミノトリメチルシランが好ましい。したがって、疎水化処理剤は、ヘキサメチレンジシラザン、ポリジメチルシロキサン、及びN,N-ジメチルアミノトリメチルシランからなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。第2絶縁粒子210bの表面が疎水化されるほど、第2絶縁粒子210bのゼータ電位がマイナス側に大きくなる。このため、第2絶縁粒子210bと、高分子電解質により処理された導電粒子1との電位差が大きくなる。したがって、導電粒子1と第2絶縁粒子210bとが、静電気力により強固に接着される。
[0120]
 第2絶縁粒子210bの表面への疎水化処理剤の被覆処理は、水、有機溶媒、水と有機溶媒とを含んだ混合溶液等の液相中、又は、気相中にて可能である。使用できる水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が挙げられる。第2絶縁粒子210bとして、疎水化処理剤があらかじめ処理されたシリカを用いてもよい。
[0121]
<第2絶縁粒子の疎水化度>
 疎水化処理剤が被覆された第2絶縁粒子210bのメタノール滴定法による疎水化度は、例えば、30%以上でもよく、50%以上でもよく、60%以上でもよい。第2絶縁粒子210bの疎水化度が高いほど、第2絶縁粒子210bゼータ電位がよりマイナスになる。このため、第2絶縁粒子210bは、高分子電解質により処理された導電粒子1と、静電気力により強固に接着することが可能である。
[0122]
 メタノール滴定法とは、メタノールを使用して粉体の疎水化度を測定する方法である。例えば、まず50mlの水面上に、疎水化度を測定すべき粉体0.2gを浮遊させる。次に、水を静かに撹拌しながら水中にメタノールを少しずつ添加してゆく。メタノールは、例えば、ビュレットを用いて滴下する。次に、水面上の粉体が全て水中に没した時点でのメタノール使用量を測定する。そして、水とメタノールとの合計体積に対するメタノール体積の百分率を演算し、この値を粉体の疎水化度として算出する。
[0123]
<絶縁粒子の被覆率>
 絶縁粒子210における第1絶縁粒子210aの被覆率は、例えば、導電粒子1の総表面積に対して20~50%である。第1絶縁粒子210aの被覆率が20%以上であると、より良好な絶縁信頼性が得られる。一方、被覆率が50%以下であると、より優れた導通信頼性が得られる。
[0124]
 第1絶縁粒子210aで被覆されていない導電粒子1の表面の少なくとも一部が第2絶縁粒子210bで覆われていることにより、より良好な絶縁信頼性が得られる。第1絶縁粒子210a及び第2絶縁粒子210bによる導電粒子1の被覆率は、例えば、導電粒子1の総表面積に対して35%以上80%以下でもよく、40%以上80%以下でもよく、50%以上80%以下でもよく、60%以上80%以下でもよい。当該被覆率が35%以上であると、絶縁信頼性を向上することができる。一方、当該被覆率が80%以下であると、効率よく導電粒子1を絶縁粒子210で被覆することができる。
[0125]
 絶縁粒子210の被覆率は、絶縁被覆導電粒子100aの正投影面において、絶縁被覆導電粒子100aの直径の1/2の直径を有する同心円内における絶縁粒子210の表面積の割合を意味する。具体的には、絶縁粒子210が形成された絶縁被覆導電粒子100aをSEMにより3万倍で観察して得られる画像を解析し、絶縁被覆導電粒子100aの表面において絶縁粒子210が占める割合を算出する。
[0126]
 以上に説明した第1実施形態に係る絶縁被覆導電粒子100aによれば、導電粒子1の表面に、200nm以上500nm以下の平均粒径を有する第1絶縁粒子210aと、30nm以上130nm以下の平均粒径を有し、シリカからなる第2絶縁粒子210bとが付着されている。これにより、例えば、絶縁被覆導電粒子100aを含んだ異方導電性接着剤を加熱加圧する時に、第2絶縁粒子210bが溶融せずに、隣接する導電粒子1の金属表面が接することを防ぐ。したがって、単位面積あたり10万個/mm 以上の絶縁被覆導電粒子100aを異方導電性接着剤内に投入した場合であっても、優れた絶縁信頼性を得ることができる。また、第2絶縁粒子210bは、30nm以上130nm以下の平均粒径を有するため、当該第2絶縁粒子210bによって接続抵抗が阻害されにくい。このため、電極のパッド面積が小さい微小な回路の接続において、電極間に捕捉される粒子の個数が少ない場合であっても、優れた導通信頼性を得ることが可能である。
[0127]
 第1絶縁粒子210aのガラス転移温度は、100℃以上200℃以下であってもよい。これにより、絶縁被覆導電粒子100aを含有する異方導電性接着剤を加熱加圧するときの温度によっては、第1絶縁粒子210aが完全に溶融しない。このため、第1絶縁粒子210aは、絶縁スペーサーとして充分に機能することができる。
[0128]
 第1絶縁粒子210aと、第2絶縁粒子210bとによる導電粒子1の被覆率は、導電粒子1の総表面積に対して35~80%であってもよい。これにより、導通信頼性及び絶縁信頼性により優れる絶縁被覆導電粒子100aが得られる。一般的には、絶縁被覆導電粒子において、絶縁粒子の被覆率が高い場合、絶縁信頼性が高く導通信頼性が悪くなる傾向があり、絶縁粒子の被覆率が低い場合、導通信頼性が高く絶縁信頼性が悪くなる傾向にある。しかし、第1実施形態のように、平均粒径が互いに異なる第1絶縁粒子210a及び第2絶縁粒子210bを用いた場合、被覆率を上げても良好な導通信頼性が保たれ、優れた絶縁信頼性と導通信頼性とを両立した絶縁被覆導電粒子100aを得ることができる。
[0129]
 導電粒子1は、その表面に突起109を有している。平滑面の導電粒子に第2絶縁粒子210bを付着させた場合、第2絶縁粒子210bの平均粒径が30nm以上130nm以下であっても、第2絶縁粒子210bの絶縁スペーサーとしての機能が高いので、絶縁信頼性は優れる一方で導通信頼性が低下する傾向にある。このため、導電粒子1が突起109を有することにより、導通信頼性の低下を抑制できる。
[0130]
 第2絶縁粒子210bの表面は、疎水化処理剤により被覆されていてもよい。導電粒子1の表面に、第1絶縁粒子210a及び第2絶縁粒子210bを良好に付着させるために、導電粒子1の表面を高分子電解質(カチオン性ポリマー)により被覆することがある。このとき、疎水化処理剤により被覆された第2絶縁粒子210bは、疎水化処理されていない第2絶縁粒子210bよりも負の電荷を帯びやすくなり、静電気によって導電粒子1に強固に付着される。このため、絶縁スペーサーとしての機能が高く、絶縁信頼性に優れる絶縁被覆導電粒子を得られる。
[0131]
 第2絶縁粒子210bの表面は、シラザン系疎水化処理剤、シロキサン系疎水化処理剤、シラン系疎水化処理剤、及びチタネート系疎水化処理剤からなる群より選ばれてもよい。
[0132]
 疎水化処理剤は、ヘキサメチレンジシラザン(HMDS)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及びN,N-ジメチルアミノトリメチルシラン(DMATMS)からなる群より選ばれてもよい。
[0133]
 メタノール滴定法による第2絶縁粒子210bの疎水化度は、30%以上であってもよい。
[0134]
 導電粒子1は、樹脂粒子101と、樹脂粒子101を覆う金属層とを有し、金属層は、ニッケルを含有する第1層104を有してもよい。この場合、絶縁被覆導電粒子100aが異方導電性接着剤に配合されたときに、当該異方導電性接着剤が優れた導通信頼性及び絶縁信頼性を両立することができる。
[0135]
 積層量を容易にコントロールする観点から、絶縁粒子210は一層のみ被覆されていてもよい。
[0136]
 絶縁被覆導電粒子100aに対して加熱乾燥を施すことにより、絶縁粒子210と導電粒子1との結合を更に強化してもよい。結合力が増す理由としては、例えば、導電粒子1の表面に導入されたカルボキシル基等の官能基と、絶縁粒子210の表面に導入された水酸基等の官能基との化学結合の強化が挙げられる。加熱乾燥の温度は、例えば60~100℃に設定される。温度が60℃以上であると絶縁粒子210が導電粒子1から剥離しにくくなり、100℃以下であると導電粒子1が変形しにくくなる。加熱乾燥の時間は、例えば、10分~180分に設定される。加熱乾燥の時間が10分以上であると絶縁粒子210が剥離し難く、180分以下であると導電粒子1が変形し難くなる。
[0137]
 絶縁被覆導電粒子100aに対して、シリコーンオリゴマー、オクタデシルアミン等によって表面処理してもよい。それにより、絶縁被覆導電粒子100aの絶縁信頼性を向上できる。さらに、必要に応じて縮合剤を用いることにより、絶縁被覆導電粒子100aの絶縁信頼性をより向上することもできる。
[0138]
(第2実施形態)
 以下では、第2実施形態に係る絶縁被覆導電粒子について説明する。第2実施形態の説明において第1実施形態と重複する記載は省略し、第1実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第2実施形態に第1実施形態の記載を適宜用いてもよい。
[0139]
 図2は、第2実施形態に係る絶縁被覆導電粒子を示す模式断面図である。図2に示す絶縁被覆導電粒子100bは、第1層104上に設けられる第2層105を有する点以外は、図1に示される絶縁被覆導電粒子100aと同様の構成を有している。すなわち、絶縁被覆導電粒子100bの樹脂粒子101及び非導電性無機粒子102を覆う金属層は、第1層104及び第2層105を有する。第2層105は、金属層でもよいし、合金層でもよい。
[0140]
<第2層>
 第2層105は、第1層104を被覆して設けられる導電層である。第2層105の厚さは、例えば、5nm~100nmである。第2層105の厚さは、5nm以上でもよく、10nm以上でもよい。第2層105の厚さは、30nm以下でもよい。第2層105の厚さが上記範囲内である場合、第2層105を形成する場合に当該第2層105の厚さを均一にできる、これにより、第1層104に含有される元素(例えば、ニッケル)が、第2層105とは反対側の表面へ拡散することを良好に防止できる。
[0141]
 第2層105の厚さは、TEMによって撮影された写真を用いて算出される。具体例として、まず、絶縁被覆導電粒子100bの中心付近を通るようにウルトラミクロトーム法で絶縁被覆導電粒子100bの断面を切り出す。次に、切り出した断面を、TEMを用いて25万倍の倍率で観察して画像を得る。次に、得られた画像から見積もられる第2層105の断面積から、第2層105の厚さを算出できる。このとき、第2層105、第1層104、樹脂粒子101及び非導電性無機粒子102を区別しづらい場合には、TEMに付属するEDXによる成分分析による成分分析を行う。これにより、第2層105、第1層104、樹脂粒子101及び非導電性無機粒子102を明確に区別し、第2層105のみの厚さを算出する。第2層105の厚さは、導電粒子10個における厚さの平均値とする。
[0142]
 第2層105は、貴金属及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する。貴金属は、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、白金、銀、又は金である。第2層105が金を含有する場合、絶縁被覆導電粒子100bの表面における導通抵抗を下げ、絶縁被覆導電粒子100bの導電特性を向上できる。この場合、第2層105は、ニッケルを含有する第1層104の酸化防止層として機能する。そのため、第2層105は、第1層104上に形成される。金を含有する場合の第2層105の厚さは、30nm以下でもよい。この場合、絶縁被覆導電粒子100bの表面における導通抵抗の低減効果と製造コストとのバランスに優れる。しかしながら、金を含有する場合の第2層105の厚さは、30nmを超えていてもよい。
[0143]
 第2層105は、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム及び白金からなる群より選ばれる少なくとも一種から構成されることが好ましい。この場合、絶縁被覆導電粒子100bの表面の酸化を抑制し、且つ絶縁被覆導電粒子100bの絶縁信頼性を向上できる。第2層105は、パラジウム、ロジウム、イリジウム及びルテニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種から構成されることがより好ましい。この場合、絶縁被覆導電粒子100bを圧縮した場合であっても、非導電性無機粒子102上に形成される突起109になる第1層104が押しつぶされることが抑制され、圧縮された絶縁被覆導電粒子100bの抵抗増加が抑制される。第2層105は、例えば、第1実施形態の第4工程にて第1層104を形成した後、無電解めっきにて、当該第1層104によって覆われた複合粒子103上に形成される。
[0144]
<パラジウム>
 第2層105がパラジウムを含有する場合、当該第2層105は、例えば、無電解パラジウムめっきによって形成することできる。無電解パラジウムめっきは、還元剤を用いない置換型、及び、還元剤を用いる還元型のいずれを用いてもよい。このような無電解パラジウムめっき液としては、置換型ではMCA(株式会社ワールドメタル製、商品名)等が挙げられる。還元型ではAPP(石原ケミカル株式会社製、商品名)等が挙げられる。置換型と還元型とを比較した場合、生じるボイドが少なく、被覆面積を確保し易い観点から、還元型が好ましい。
[0145]
 第2層105がパラジウムを含有する場合、第2層105におけるパラジウムの含有量の下限は、第2層105の全量を基準として、90質量%以上でもよく、93質量%以上でもよく、94質量%以上でもよい。第2層105におけるパラジウムの含有量の上限は、第2層105の全量を基準として、99質量%以下でもよく、98質量%以下でもよい。第2層105におけるパラジウムの含有量が上記範囲内である場合、第2層105の硬度が高くなる。このため、絶縁被覆導電粒子100bを圧縮した場合であっても突起109が押しつぶされることが抑制される。
[0146]
 第2層105におけるパラジウムの含有量を調整するため(例えば、93~99質量%に調整するため)に、無電解パラジウムめっき液に用いられる還元剤としては、特に制限はないが、次亜リン酸、亜リン酸、これらのアルカリ塩等のリン含有化合物;ホウ素含有化合などを用いることができる。その場合は、得られる第2層105がパラジウム-リン合金又はパラジウム-ホウ素合金を含む。このため、第2層105におけるパラジウム含有量が所望の範囲となるように、還元剤の濃度、pH、めっき液の温度等を調整することが好ましい。
[0147]
<ロジウム>
 第2層105がロジウムを含有する場合、当該第2層105は、例えば、無電解ロジウムめっきによって形成することできる。無電解ロジウムめっき液に用いるロジウムの供給源としては、例えば、水酸化アンミンロジウム、硝酸アンミンロジウム、酢酸アンミンロジウム、硫酸アンミンロジウム、亜硫酸アンミンロジウム、アンミンロジウム臭化物、及び、アンミンロジウム化合物が挙げられる。
[0148]
 無電解ロジウムめっき液に用いる還元剤としては、例えば、ヒドラジン、次亜リン酸ナトリウム、ホウ酸ジメチルアミン、ホウ酸ジエチルアミン及び水素化硼素ナトリウムが挙げられる。還元剤としては、ヒドラジンが好ましい。無電解ロジウムめっき液中に、安定剤又は錯化剤(水酸化アンモニウム、ヒドロキシルアミン塩、二塩化ヒドラジン等)を添加してもよい。
[0149]
 無電解ロジウムめっき液の温度(浴温)は、充分なめっき速度を得る観点から、40℃以上でもよく、50℃以上でもよい。めっき液の温度は、無電解ロジウムめっき液を安定に保持する観点から、90℃以下でもよく、80℃以下でもよい。
[0150]
<イリジウム>
 第2層105がイリジウムを含有する場合、当該第2層105は、例えば、無電解イリジウムめっきによって形成することできる。無電解イリジウムめっき液に用いるイリジウムの供給源としては、例えば、三塩化イリジウム、四塩化イリジウム、三臭化イリジウム、四臭化イリジウム、六塩化イリジウム三カリウム、六塩化イリジウム二カリウム、六塩化イリジウム三ナトリウム、六塩化イリジウム二ナトリウム、六臭化イリジウム三カリウム、六臭化イリジウム二カリウム、六ヨウ化イリジウム三カリウム、トリス硫酸二イリジウム、及び、ビス硫酸イリジウムが挙げられる。
[0151]
 無電解イリジウムめっき液に用いる還元剤としては、例えば、ヒドラジン、次亜リン酸ナトリウム、ホウ酸ジメチルアミン、ホウ酸ジエチルアミン、及び、水素化硼素ナトリウムが挙げられる。還元剤としては、ヒドラジンが好ましい。無電解イリジウムめっき液中に、安定剤又は錯化剤を添加してもよい。
[0152]
 安定剤又は錯化剤としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を添加してもよい。モノカルボン酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等が挙げられる。ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸等が挙げられる。上記塩としては、例えば、上記カルボン酸に対してナトリウム、カリウム、リチウム等が対イオンとして結合している化合物が挙げられる。安定剤又は錯化剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0153]
 無電解イリジウムめっき液のpHは、めっき対象物の腐食を抑制すると共に、充分なめっき速度を得る観点から、1以上でもよく、2以上でもよい。無電解イリジウムめっき液のpHは、めっき反応の阻害が抑制され易い観点から、6以下でもよく、5以下でもよい。
[0154]
 無電解イリジウムめっき液の温度(浴温)は、充分なめっき速度を得る観点から、40℃以上でもよく、50℃以上でもよい。無電解イリジウムめっき液の温度(浴温)は、無電解イリジウムめっき液を安定に保持する観点から、90℃以下でもよく、80℃以下でもよい。
[0155]
<ルテニウム>
 第2層105がルテニウムを含有する場合、当該第2層105は、例えば、無電解ルテニウムめっきによって形成することできる。無電解ルテニウムめっき液としては、例えば、市販のめっき液を用いることが可能であり、無電解ルテニウムRu(奥野製薬工業株式会社製、商品名)を用いることができる。
[0156]
<白金>
 第2層105が白金を含有する場合、当該第2層105は、例えば、無電解白金めっきによって形成することできる。無電解白金めっき液に用いる白金の供給源としては、例えば、Pt(NH (NO 、Pt(NH (OH) 、PtCl (NH 、Pt(NH (OH) 、(NH PtCl 、(NH PtCl 、Pt(NH Cl 、H PtCl 、及び、PtCl が挙げられる。
[0157]
 無電解白金めっき液に用いる還元剤としては、例えば、ヒドラジン、次亜リン酸ナトリウム、ホウ酸ジメチルアミン、ホウ酸ジエチルアミン、及び、水素化硼素ナトリウムが挙げられる。還元剤としては、ヒドラジンが好ましい。無電解白金めっき液中に、安定剤又は錯化剤(塩化ヒドロキシルアミン、二塩化ヒドラジン、水酸化アンモニウム、EDTA等)を添加してもよい。
[0158]
 無電解白金めっき液の温度(浴温)は、充分なめっき速度を得る観点から、40℃以上でもよく、50℃以上でもよい。無電解白金めっき液の温度(浴温)は、無電解白金めっき液を安定に保持する観点から、90℃以下でもよく、80℃以下でもよい。
[0159]
 無電解白金めっき液を用いて白金めっきを行う際、無電解白金めっき液のpHは、例えば、8~12であればよい。pHが8以上であると、充分に白金が析出し易い。pHが12以下であると、良好な作業環境を容易に確保できる。
[0160]
<銀>
 第2層105が銀を含有する場合、当該第2層105は、例えば、無電解銀めっきによって形成することできる。無電解銀めっき液に用いる銀の供給源としては、めっき液に可溶であるものであれば特に限定されない。例えば、硝酸銀、酸化銀、硫酸銀、塩化銀、亜硫酸銀、炭酸銀、酢酸銀、乳酸銀、スルホコハク酸銀、スルホン酸銀、スルファミン酸銀、及び、シュウ酸銀が用いられる。水溶性銀化合物は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0161]
 無電解銀めっき液に用いる還元剤としては、無電解銀めっき液中の水溶性銀化合物を金属銀に還元する能力を有するものであって水溶性の化合物であれば特に限定されない。例えば、ヒドラジン誘導体、ホルムアルデヒド化合物、ヒドロキシルアミン類、糖類、ロッセル塩、水素化ホウ素化合物、次亜リン酸塩、DMAB、及び、アスコルビン酸を用いることができる。還元剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0162]
 無電解銀めっき液中に、安定剤又は錯化剤を添加してもよい。安定剤又は錯化剤としては、例えば、亜硫酸塩、コハク酸イミド、ヒダントイン誘導体、エチレンジアミン、及び、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いることができる。安定剤又は錯化剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0163]
 無電解銀めっき液には、上述の成分以外に、公知の界面活性剤、pH調整剤、緩衝剤、平滑剤、応力緩和剤等の添加剤を添加してもよい。
[0164]
 無電解銀めっき液は、液温として0~80℃の範囲であればよい。無電解銀めっき液の温度が0℃以上であると、銀の析出速度が充分に速く、所定の銀析出量を得るための時間を短縮することができる。無電解銀めっき液の温度が80℃以下であると、自己分解反応による還元剤の損失、及び、無電解銀めっき液の安定性の低下を抑制できる。10~60℃程度にすると、無電解銀めっき液の安定性をより一層良好にすることができる。
[0165]
 無電解銀めっき液(例えば、還元型無電解銀めっき液)のpHは、例えば、1~14である。めっき液のpHが6~13程度であることによって、めっき液の安定性をより一層良好にすることができる。めっき液のpH調整として、通常、pHを下げる場合には、水溶性銀塩のアニオン部分と同種のアニオン部分を有する酸(例えば、水溶性銀塩として硫酸銀を用いる場合には硫酸、水溶性銀塩として硝酸銀を用いる場合には硝酸)が用いられる。無電解銀めっき液のpHを上げる場合には、アルカリ金属水酸化物、アンモニア等が用いられる。
[0166]
<金>
 第2層105が金を含有する場合、当該第2層105は、例えば、無電解金めっきによって形成することできる。無電解金めっき液としては、置換型金めっき液(例えば、日立化成株式会社製、商品名「HGS-100」)、還元型金めっき液(例えば、日立化成株式会社製、商品名「HGS-2000」)等を用いることができる。置換型と還元型とを比較した場合、ボイドが少なく、被覆面積を確保し易い観点から、還元型を用いることが好ましい。
[0167]
<コバルト>
 第2層105がコバルトを含有する場合、当該第2層105は、例えば、無電解コバルトめっきによって形成することできる。無電解コバルトめっき液に用いるコバルトの供給源としては、例えば、硫酸コバルト、塩化コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト、炭酸コバルトが挙げられる。
[0168]
 無電解コバルトめっき液に用いる還元剤としては、例えば、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸アンモニウム、次亜リン酸ニッケル等の次亜リン酸塩、及び、次亜リン酸が用いられる。無電解コバルトめっき液中に、安定剤又は錯化剤(脂肪族カルボン酸等)を添加してもよい。安定剤又は錯化剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
[0169]
 無電解コバルトめっき液の温度(浴温)は、充分なめっき速度を得る観点から、40℃以上でもよく、50℃以上でもよい。無電解コバルトめっき液の温度(浴温)は、無電解コバルトめっき液を安定に保持する観点から、90℃以下でもよく、80℃以下でもよい。
[0170]
 第2実施形態における導電粒子1が金又はパラジウム表面を有する場合、金又はパラジウムに対して配位結合を形成するメルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基のいずれかを有する化合物を用い、第2層105の表面に水酸基、カルボキシル基、アルコキシル基、及びアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる1つ以上の官能基を付着させてもよい。化合物の例として、メルカプト酢酸、2-メルカプトエタノール、メルカプト酢酸メチル、メルカプトコハク酸、チオグリセリン、又はシステイン等が用いられる。
[0171]
 以上に説明した第2実施形態に係る絶縁被覆導電粒子100bにおいても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。また、第1実施形態においては、第1層104が絶縁被覆導電粒子100aの最外層となる。この絶縁被覆導電粒子100aが、例えば、異方導電性接着剤内に分散した際、第1層104内に含有されるニッケルが接着剤中に溶出してマイグレーションすることがある。このマイグレーションしたニッケルによって、異方導電性接着剤の絶縁信頼性が低下することがある。これに対して、第2実施形態の金属層は、第1層104上に設けられる第2層105を有し、第2層105は、貴金属及びコバルトからなる群より選ばれる金属を含有する。この場合、絶縁被覆導電粒子100bの最外層は第2層105になる。この第2層105は、第1層104からニッケルの溶出を防ぐ機能を有するので、当該ニッケルのマイグレーションの発生を抑制できる。加えて、当該第2層105は比較的酸化しにくいので、絶縁被覆導電粒子100bの導電性能が劣化しにくい。絶縁被覆導電粒子100bが第2層105を有することにより、突起109の数、大きさ及び形状を高度に制御することが可能になる。
[0172]
(第3実施形態)
 以下では、第3実施形態に係る絶縁被覆導電粒子について説明する。第3実施形態の説明において第1実施形態及び第2実施形態と重複する記載は省略し、第1実施形態及び第2実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第3実施形態に第1実施形態及び第2実施形態の記載を適宜用いてもよい。
[0173]
 図3は、第3実施形態に係る絶縁被覆導電粒子を示す模式断面図である。図3に示す絶縁被覆導電粒子100cは、樹脂粒子101と、パラジウムを含有するパラジウム粒子106と、ニッケルを含有するニッケル粒子107と、樹脂粒子101の表面に設けられた金属層である第1層108と、を備える。パラジウム粒子106は、ニッケル粒子107よりも樹脂粒子101側に配置されていると共に、ニッケル粒子107によって覆われている。第1層108の外表面には、パラジウム粒子106及びニッケル粒子107の形状を反映した突起109が形成される。第1層108は、第1被覆層108aと、第2被覆層108bとを有している。以上より、絶縁被覆導電粒子100cは、第1実施形態の絶縁被覆導電粒子100aと異なり、非導電性無機粒子102を有していないことがわかる。
[0174]
 複数のパラジウム粒子106は、例えば、第1層108の第1被覆層108aの表面に沿って(導電粒子1の径方向に垂直な方向に沿って)互いに離れて配置されている。複数のパラジウム粒子106は、例えば、導電粒子の径方向(第1層108の厚さ方向)に垂直な方向に点在的に配置されている。このため、一のパラジウム粒子106は、当該一のパラジウム粒子106に隣接する他のパラジウム粒子106と接することなく独立して配置されている。複数のパラジウム粒子106のそれぞれは、頂部から底面にかけて延在する側面を有している。複数のパラジウム粒子106は、例えば、無電解パラジウムめっきにより形成される無電解パラジウムめっき析出核(パラジウムイオン及び還元剤を含む無電解パラジウムめっき液の還元析出物)である。
[0175]
 複数のニッケル粒子107は、導電粒子1の表面に沿って互いに離れて配置されている。複数のニッケル粒子107は、例えば、導電粒子1の径方向に垂直な方向に点在的に配置されている。このため、一のニッケル粒子107は、当該一のニッケル粒子107に隣接する他のニッケル粒子107と接することなく独立して配置されている。複数のニッケル粒子107は、頂部から底面にかけて延在する側面を有している。複数のニッケル粒子107は、例えば、無電解ニッケルめっきにより形成される無電解ニッケルめっき析出核(微小突起)である。複数のニッケル粒子107は、パラジウム粒子106を核として形成される。このため、各パラジウム粒子106は、対応するニッケル粒子107によって覆われてもよい。
[0176]
(第1被覆層)
 第1被覆層108aは、例えば、ニッケルを主成分とする金属に加えて、リン及びホウ素からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有してもよい。この場合、第1被覆層108aは、リンを含有することが好ましい。これにより、第1被覆層108aの硬度を高めることが可能であり、導電粒子1が圧縮されたときの導通抵抗を容易に低く保つことができる。
[0177]
 第1被覆層108aを無電解ニッケルめっきにより形成する場合、第1実施形態の第1層104と同様に形成してもよい。例えば、ニッケル-リン合金又はニッケル-ホウ素合金を含有する第1被覆層108aを形成してもよい。第1被覆層108aの割れを抑える観点から、第1被覆層108aは、ニッケル-リン合金を含有することが好ましい。
[0178]
 第1被覆層108aにおけるニッケル含有量は、第1被覆層108aの全量を基準として、例えば、84質量%以上でもよく、86質量%以上でもよく、88質量%以上でもよい。第1被覆層108aにおける元素の含有量は、第1実施形態の第1層104と同様に測定できる。
[0179]
 第1被覆層108aの厚さは、例えば、20nm以上でもよく、60nm以上でもよい。第1被覆層108aの厚さは、例えば、200nm以下でもよく、150nm以下でもよく、100nm以下でもよい。第1被覆層108aの厚さが上記範囲内であると、第1被覆層108aの割れを容易に抑制することができる。
[0180]
(第2被覆層)
 第2被覆層108bは、ニッケルを含有していることが好ましい。図3に示されるように、第2被覆層108bは、突起109の最外層を構成している。このような第2被覆層108bは、例えば、無電解ニッケルめっきにより形成することができる。例えば、第1被覆層108a及びニッケル粒子107上に無電解ニッケルめっきを施すことにより、突起109を外表面に有する第2被覆層108bを形成することができる。
[0181]
 第2被覆層108bにおけるニッケル含有量は、第2被覆層108bの全量を基準として、例えば、88質量%以上でもよく、90質量%以上でもよく、93質量%以上でもよく、96質量%以上でもよい。第2被覆層108bにおけるニッケル含有量は、例えば、99質量%以下でもよく、98.5質量%以下でもよい。第2被覆層108bのニッケル含有量が上記範囲内である場合、無電解ニッケルめっきにより第2被覆層108bを形成する際にニッケル粒子107の凝集を容易に抑制可能であり、異常析出部の形成を容易に防止できる。これにより、異方導電性接着剤に配合される絶縁被覆導電粒子として用いられたときに優れた導通信頼性及び絶縁信頼性を両立することができる絶縁被覆導電粒子100cを容易に得ることができる。第2被覆層108bにおける元素の含有量は、第1実施形態の第1層104及び第1被覆層108aと同様に測定できる。
[0182]
 第2被覆層108bの厚さ(平均厚さ)は、例えば、5nm以上でもよく、10nm以上でもよく、15nm以上でもよい。第2被覆層108bの厚さ(平均厚さ)は、例えば、150nm以下でもよく、120nm以下でもよく、100nm以下でもよい。第2被覆層108bの厚さが上記範囲内であると、良好な形状の突起109を容易に形成できると共に、導電粒子1が高圧縮された場合でも第1層108の割れの発生を容易に抑制できる。
[0183]
 第2被覆層108bは、ニッケルを主成分とする金属に加えて、リン及びホウ素からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。これにより、第2被覆層108bの硬度を高めることが可能であり、導電粒子1が圧縮されたときの導通抵抗を容易に低く保つことができる。第2被覆層108bは、リン又はホウ素と共に、共析する金属を含有していてもよい。第2被覆層108bに含有される金属は、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、マンガン、クロム、バナジウム、モリブデン、パラジウム、錫、タングステン、及びレニウムである。第2被覆層108bは、ニッケル及び上記金属を含有することによって、第2被覆層108bの硬度を高めることができる。これにより、絶縁被覆導電粒子100cが圧縮された場合であっても、突起109が押しつぶされることを抑制できる。上記金属は、高い硬度を有するタングステンを含んでもよい。この場合、第2被覆層108bにおけるニッケル含有量は、被覆層103bの全量を基準として、例えば、85質量%以上である。第2被覆層108bの構成材料としては、例えば、ニッケル(Ni)及びリン(P)の組み合わせ、ニッケル(Ni)及びホウ素(B)の組み合わせ、ニッケル(Ni)、タングステン(W)及びホウ素(B)の組み合わせ、並びに、ニッケル(Ni)及びパラジウム(Pd)の組み合わせが好ましい。
[0184]
 第2被覆層108bを無電解ニッケルめっきにより形成する場合、第1被覆層108aと同様に形成してもよい。例えば、ニッケル-リン合金又はニッケル-ホウ素合金を含有する第1被覆層108aを形成してもよい。ニッケル-ホウ素合金の硬度は、ニッケル-リン合金よりも高い。そのため、導電粒子1を高圧縮する場合であっても突起109が押しつぶされることを抑制し、更に低い導通抵抗を得る観点から、第2被覆層108bはニッケル-ホウ素合金を含有することが好ましい。
[0185]
 以上に説明した第3実施形態に係る絶縁被覆導電粒子100cにおいても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。第3実施形態においては、第1被覆層108aがニッケル-リン合金を含有し、第2被覆層108bがニッケル-リン合金又はニッケル-ホウ素合金を含有することが好ましい。この組み合わせによると、導電粒子1を高圧縮する場合であっても、突起109が押しつぶされることを抑制しつつ、第1層108の割れを抑えることが可能であり、低い導通抵抗を更に安定して得ることができる。第1被覆層108aがニッケル-リン合金を含有し、第2被覆層108bがニッケル-リン合金を含有する場合、突起109の押しつぶしと、第1層108の割れとの抑制が高度に両立するため好ましい。
[0186]
 第3実施形態においては、ニッケル粒子107がニッケル-リン合金又はニッケル-ホウ素合金を含有し、第1被覆層108aがニッケル-リン合金を含有し、第2被覆層108bがニッケル-リン合金又はニッケル-ホウ素合金を含有することがより好ましい。この組み合わせによると、導電粒子1を高圧縮した場合であっても、突起109が押しつぶされることをさらに抑制しつつ、第1層108の割れをより一層抑えることが可能であり、低い導通抵抗を更に安定して得ることができる。
[0187]
(第4実施形態)
 以下では、第4実施形態に係る絶縁被覆導電粒子について説明する。第4実施形態の説明において第1実施形態~第3実施形態と重複する記載は省略し、第1実施形態~第3実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第4実施形態に第1実施形態~第3実施形態の記載を適宜用いてもよい。
[0188]
 図4は、第4実施形態に係る絶縁被覆導電粒子を示す模式断面図である。図4に示す絶縁被覆導電粒子100dは、金属層が第1層108に加えて、第2層105を更に有している点を除き、第3実施形態の絶縁被覆導電粒子100cと同様の構成を有している。
[0189]
 以上に説明した第4実施形態に係る絶縁被覆導電粒子100dにおいても、第3実施形態と同様の作用効果が奏される。また、第4実施形態においては、第2実施形態と同様に、第2層105が絶縁被覆導電粒子100dの最外層となる。このため、第1層108中のニッケルのマイグレーションの発生を抑制できる。また、絶縁被覆導電粒子100dの導電性能が劣化しにくい。加えて、絶縁被覆導電粒子100dが第2層105を有することにより、突起109の数、大きさ及び形状を高度に制御することが可能になる。
[0190]
(第5実施形態)
 以下では、第5実施形態に係る異方導電性接着剤について説明する。第5実施形態の説明において第1実施形態~第4実施形態と重複する記載は省略し、第1実施形態~第4実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第5実施形態に第1実施形態~第4実施形態の記載を適宜用いてもよい。
[0191]
<異方導電性接着剤>
 第5実施形態に係る異方導電性接着剤は、第1実施形態に係る絶縁被覆導電粒子100aと、当該絶縁被覆導電粒子100aが分散された接着剤とを含有する。
[0192]
 接着剤としては、例えば、熱反応性樹脂と硬化剤との混合物が用いられる。接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂と潜在性硬化剤との混合物、及び、ラジカル重合性化合物と有機過酸化物との混合物が挙げられる。
[0193]
 接着剤としては、ペースト状又はフィルム状の接着剤が用いられる。異方導電性接着剤をフィルム状に成形するために、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂が接着剤に配合されてもよい。
[0194]
 以上に説明した第5実施形態に係る異方導電性接着剤においても、第1実施形態と同様に、優れた絶縁信頼性を得ることが可能となると共に、微小な回路の接続においても優れた導通信頼性を得ることが可能である。
[0195]
 第5実施形態に係る異方導電性接着剤における絶縁被覆導電粒子としては、絶縁被覆導電粒子100aに代えて、例えば、第2実施形態に係る絶縁被覆導電粒子100b等を用いることができる。この場合、異方導電性接着剤は、第2実施形態に係る絶縁被覆導電粒子100bによる作用効果を奏することができる。絶縁被覆導電粒子100aに代えて、絶縁被覆導電粒子100cを用いてもよい。この場合、異方導電性接着剤は、第3実施形態に係る絶縁被覆導電粒子100cによる作用効果を奏することができる。絶縁被覆導電粒子100aに代えて、絶縁被覆導電粒子100dを用いてもよい。この場合、異方導電性接着剤は、第3実施形態に係る絶縁被覆導電粒子100dによる作用効果を奏することができる。
[0196]
(第6実施形態)
 以下では、第6実施形態に係る接続構造体について説明する。第6実施形態の説明において第1実施形態~第5実施形態と重複する記載は省略し、第1実施形態~第5実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第6実施形態に第1実施形態~第5実施形態の記載を適宜用いてもよい。
[0197]
<接続構造体>
 第6実施形態に係る接続構造体について説明する。本実施形態に係る接続構造体は、第1回路電極を有する第1回路部材と、第2回路電極を有する第2回路部材と、第1回路部材と第2回路部材との間に配置され、絶縁被覆導電粒子が分散している接続部と、を備えている。接続部は、第1回路電極と第2回路電極とが対向するように配置された状態で第1回路部材及び第2回路部材を互いに接続している。第1回路電極及び第2回路電極は、変形した状態の絶縁被覆導電粒子を介して互いに電気的に接続されている。
[0198]
 次に、図5を参照しながら、第6実施形態に係る接続構造体を更に説明する。図5は、第6実施形態に係る接続構造体を示す模式断面図である。図5に示す接続構造体300は、互いに対向する第1回路部材310及び第2回路部材320と、第1回路部材310と第2回路部材320との間に配置される接続部330とを備えている。接続構造体300としては、液晶ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の携帯製品が挙げられる。
[0199]
 第1回路部材310は、回路基板(第1回路基板)311と、回路基板311の主面311a上に配置された回路電極(第1回路電極)312とを備える。第2回路部材320は、回路基板(第の回路基板)321と、回路基板321の主面321a上に配置された回路電極(第2回路電極)322とを備える。
[0200]
 回路部材310,320のうちの一方の具体例としては、ICチップ(半導体チップ)、抵抗体チップ、コンデンサチップ、ドライバーIC等のチップ部品;リジット型のパッケージ基板などが挙げられる。これらの回路部材は、回路電極を備えており、多数の回路電極を備えているものが一般的である。回路部材310,320のうちの他方(前記一方の回路部材が接続される回路部材)の具体例としては、金属配線を有するフレキシブルテープ基板、フレキシブルプリント配線板、インジウム錫酸化物(ITO)が蒸着されたガラス基板等の配線基板などが挙げられる。例えば、フィルム状の異方導電性接着剤を用いることによって、これらの回路部材同士を効率的且つ高い接続信頼性をもって接続できる。例えば、第5実施形態に係る異方導電性接着剤は、微細な回路電極を多数備えるチップ部品の配線基板上へのCOG実装又はCOF実装に好適である。
[0201]
 接続部330は、接着剤の硬化物332と、当該硬化物332に分散している絶縁被覆導電粒子100aとを備えており、例えば、上記第5実施形態に記載されるフィルム状の異方導電性接着剤が用いられる。接続構造体300においては、相対向する回路電極312と回路電極322とが、絶縁被覆導電粒子100aの導電粒子1を介して電気的に接続されている。より具体的には、図6に示すとおり、絶縁被覆導電粒子100aが圧縮により変形し、回路電極312,322の双方に電気的に接続している。一方、絶縁被覆導電粒子100aは、圧縮する方向に交差する方向において導電粒子1間に絶縁粒子210が介在することにより、絶縁被覆導電粒子100a同士の絶縁性が維持される。したがって、狭ピッチ(例えば、10μmレベルのピッチ)での絶縁信頼性を更に向上させることができる。
[0202]
 接続構造体300は、回路電極312を有する第1回路部材310と、回路電極322を有する第2回路部材320と、を回路電極312と回路電極322とが相対向するように配置し、第1回路部材310と第2回路部材320との間に異方導電性接着剤を介在させ、これらを加熱及び加圧して回路電極312と回路電極322とを電気的に接続させることにより得られる。第1回路部材310及び第2回路部材320は、接着剤の硬化物332によって接着される。
[0203]
<接続構造体の製造方法>
 第6実施形態に係る接続構造体の製造方法について、図6を参照しながら説明する。図6は、図5に示す接続構造体の製造方法の一例を説明するための模式断面図である。第6実施形態では、異方導電性接着剤を熱硬化させて接続構造体を製造する。
[0204]
 まず、第1回路部材310と、異方導電性接着剤330aとを用意する。本実施形態では、異方導電性接着剤330aとして、フィルム状に成形してなる接着剤フィルム(異方導電性接着剤フィルム)を用いる。異方導電性接着剤330aは、絶縁被覆導電粒子100aと、絶縁性の接着剤332aとを含有している。
[0205]
 次に、異方導電性接着剤330aを第1回路部材310の主面311a(回路電極312が形成されている面)上に載せる。そして、図6(a)に示すように、異方導電性接着剤330aを方向A及び方向Bに沿って加圧する。これにより、図6(b)に示すように、異方導電性接着剤330aを第1回路部材310に積層する。
[0206]
 次いで、図6(c)に示すように、回路電極312と回路電極322とが相対向するように、第2回路部材320を異方導電性接着剤330a上に載せる。そして、異方導電性接着剤330aを加熱しながら、図6(c)に示される方向A及び方向Bに沿って全体(第1回路部材310及び第2回路部材320)を加圧する。
[0207]
 加熱により異方導電性接着剤330aが硬化して接続部330が形成され、図5に示すような接続構造体300が得られる。異方導電性接着剤はペースト状であってもよい。
[0208]
 以上に説明した第6実施形態に係る接続構造体300においては、接続部330内に第3実施形態に係る絶縁被覆導電粒子100aが含まれている。上記接続構造体300によれば、絶縁被覆導電粒子100aを介して回路電極312と回路電極322とが良好に電気的に接続される。このため、回路電極312及び回路電極322の面積が小さく、且つ、回路電極312、322の間に捕捉される絶縁被覆導電粒子100aの個数が少ない場合であっても、長期間にわたって優れた導通信頼性が発揮される。加えて、絶縁被覆導電粒子100aが絶縁粒子210を有することにより、接続部330内における絶縁被覆導電粒子100aの第1層104(図1参照)同士が接触しにくくなる。このため、例えば、回路電極312内(回路電極322内)に設けられる電極同士のピッチが例えば、10μm以下である場合であっても、接続部330内の絶縁被覆導電粒子100a同士が導通しにくくなり、接続構造体300の絶縁信頼性も好適に向上する。
[0209]
 以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態のみに限定されるものではない。例えば、上記実施形態では絶縁被覆導電粒子100a~100dは突起109を有しているが、絶縁被覆導電粒子100a~100dは、突起109を有さなくてもよい。絶縁粒子210における第2絶縁粒子210bには、疎水化処理が施されなくてもよい。
実施例
[0210]
 以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[0211]
<実施例1>
[導電粒子の作製]
(工程a)樹脂粒子表面のカチオン性ポリマーによる被覆
 平均粒径3.0μmの架橋ポリスチレン粒子(株式会社日本触媒製、商品名「ソリオスター」)6gを、平均分子量7万(M.W.7万)の30質量%ポリエチレンイミン水溶液(和光純薬工業株式会社製)9gを純水300mlに溶解した水溶液に加え、室温で15分間攪拌した。次いで、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過により、樹脂粒子を取り出した。メンブレンフィルタ上の樹脂粒子を600gの超純水で2回洗浄し、吸着していないポリエチレンイミンを除去して、ポリエチレンイミンが吸着した樹脂粒子を得た。
[0212]
(工程b)非導電性無機粒子表面の疎水化処理剤による被覆
 非導電性無機粒子として、平均粒径60nmの気相法親水性球状シリカ粉末を用いた。この球状シリカ粉末100gを振動流動層装置(中央化工機株式会社製、商品名「振動流動層装置VUA-15型」)に収容した。次に、吸引ブロワーにより循環させた空気で球状シリカを流動化させながら水1.5gを噴霧して5分間流動混合させた。次に、HMDS(ヘキサメチレンジシラザン)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名「TSL-8802」)2.5gを噴霧し、30分間流動混合した。得られた疎水性球状シリカ微粉体の疎水化度を、メタノール滴定法によって測定した。疎水化度は以下の方法で測定し、非導電性無機粒子の疎水化度は70%であった。
[0213]
(工程c)樹脂粒子表面への非導電性無機粒子の静電気的接着工程
 ポリエチレンイミンが吸着した樹脂粒子6gをメタノールに加え、共振周波数28kHz、出力100Wの超音波を照射しながら室温で5分間攪拌した。その後、HMDSにより疎水化された球状シリカ粉末0.15gを上記メタノールに加え、共振周波数28kHz、出力100Wの超音波を照射しながらさらに室温で5分間攪拌した。これにより、非導電性無機粒子が静電気により吸着された樹脂粒子(粒子a)を得た。非導電性無機粒子が静電気により吸着された粒子Aは6.15gであった。
[0214]
(工程d)パラジウム触媒付与工程
 粒子A6.15gを、pH1.0に調整され、パラジウム触媒(日立化成株式会社製、商品名「HS201」)を20質量%含有するパラジウム触媒化液300mLに添加した。その後、共振周波数28kHz、出力100Wの超音波を照射しながら30℃で30分間攪拌した。次に、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)で濾過した後、水洗を行うことでパラジウム触媒を粒子Aの表面に吸着させた。その後、pH6.0に調整された0.5質量%ジメチルアミンボラン液に粒子Aを添加し、共振周波数28kHz、出力100Wの超音波を照射しながら60℃で5分間攪拌し、パラジウム触媒が固着化された粒子B6.15gを得た。そして、20mLの蒸留水に、パラジウム触媒が固着化された粒子B6.15gを浸漬した後、粒子Bを超音波分散することで、樹脂粒子分散液を得た。図7、図8に、球状シリカ粉末を吸着させた樹脂粒子の表面を、SEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名「S-4800」)により観察した結果を示す。
[0215]
(工程e)第1層の形成
 工程dで得た粒子B分散液を、80℃に加温した水3000mLで希釈した後、めっき安定剤として1g/Lの硝酸ビスマス水溶液を3mL添加した。次に、粒子B分散液に、下記組成(下記成分を含む水溶液。1g/Lの硝酸ビスマス水溶液をめっき液1Lあたり1mL添加している。以下同様)の第1層形成用無電解ニッケルめっき液240mLを15mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、10分間経過した後に、めっき液を加えた分散液を濾過した。濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥した。このようにして、表1-1に示す80nmの膜厚のニッケル-リン合金被膜からなる第1層(上記実施形態における第1被覆層に相当)を有する粒子Cを形成した。第1層を形成することにより得た粒子Cは、12.15gであった。第1層形成用の無電解ニッケルめっき液の組成は以下の通りである。
  硫酸ニッケル・・・・・・・・・・・・400g/L
  次亜リン酸ナトリウム・・・・・・・・150g/L
  クエン酸ナトリウム・・・・・・・・・120g/L
  硝酸ビスマス水溶液(1g/L)・・・1mL/L
[0216]
(工程f)第2層の形成
 工程eで得た粒子C12.15gを、水洗及び濾過した後、70℃に加温した水3000mLに分散させた。この分散液に、めっき安定剤として1g/Lの硝酸ビスマス水溶液を3mL添加した。次いで、下記組成の第2層形成用無電解ニッケルめっき液60mLを15mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、10分間経過した後に、めっき液を加えた分散液を濾過した。濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥した。このようにして、表1-1に示す20nmの膜厚のニッケル-リン合金被膜からなる第2層(上記実施形態における第2被覆層に相当)を有する粒子Dを形成した。第2層を形成することにより得た粒子Dは、13.65gであった。第2層形成用の無電解ニッケルめっき液の組成は以下の通りである。
  硫酸ニッケル・・・・・・・・・・・・400g/L
  次亜リン酸ナトリウム・・・・・・・・150g/L
  酒石酸ナトリウム・2水和物・・・・・60g/L
  硝酸ビスマス水溶液(1g/L)・・・1mL/L
[0217]
 以上の工程a~fによって導電粒子を得た。
[0218]
[導電粒子の評価]
 下記の項目に基づき導電粒子を評価した。結果を表1-1に示す。
[0219]
(膜厚及び成分の評価)
 得られた導電粒子の中心付近を通るようにウルトラミクロトーム法で断面を切り出した。この断面を、TEM(日本電子株式会社製、商品名「JEM-2100F」)を用いて25万倍の倍率で観察した。得られた画像から、第1層、第2層及び第3層の断面積を見積り、その断面積から第1層、第2層及び第3層の膜厚を算出した。実施例1~16,19、及び比較例1~5においては、第3層が形成されていないことから、これらの実施例及び比較例については第1層、第2層の膜厚のみを測定の対象とした。断面積に基づく各層の膜厚の算出では、幅500nmの断面における各層の断面積を画像解析により読み取り、幅500nmの長方形に換算した場合の高さを各層の膜厚として算出した。表1-1には、10個の導電粒子について算出した膜厚の平均値を示した。このとき、第1層、第2層及び第3層を区別しづらい場合には、TEMに付属するEDX(日本電子株式会社製、商品名「JED-2300」)による成分分析により、第1層、第2層及び第3層を明確に区別することで、断面積を見積もり、膜厚を計測した。EDXマッピングデータから、第1層、第2層及び第3層における元素の含有量(純度)を算出した。薄膜切片状のサンプル(導電粒子の断面試料)の作製方法の詳細、EDXによるマッピングの方法の詳細、及び、各層における元素の含有量の算出方法の詳細については後述する。
[0220]
(導電粒子の表面に形成された突起の評価)
{突起の被覆率}
 導電粒子をSEMにより3万倍で観察して得られるSEM画像をもとに、導電粒子表面における突起による被覆率(面積の割合)を算出した。具体的には、導電粒子の正投影面における導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内において突起形成部と平坦部とを画像解析により区別した。そして、同心円内に存在する突起形成部の面積の割合を算出し、当該割合を突起の被覆率とした。図9に、実施例1における粒子DをSEMにより観察した結果を示す。
[0221]
{突起の直径と数}
 導電粒子の正投影面において、導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内に存在する突起による被覆率と、所定の直径を有する突起の数とを算出した。
[0222]
 具体的には、導電粒子をSEMにより10万倍で観察して得られる画像を解析し、突起の輪郭を画定した。次に、突起の面積(突起間の谷により区切られる突起の輪郭の面積)を測定し、その面積と同一の面積を有する真円の直径を突起の直径(外径)として算出した。図10に、実施例1における粒子DをSEMにより観察した結果を示す。
[0223]
 表1-1に示した直径の範囲に基づいて突起を分類し、それぞれの範囲における突起の数を求めた。図10は、粒子Dの直径の1/2の直径を有する同じ円内の一部分である。
[0224]
(導電粒子の断面試料の作製方法)
 導電粒子の断面試料の作製方法の詳細について説明する。導電粒子の断面からTEM分析及びSTEM/EDX分析するための60nm±20nmの厚さを有する断面試料(以下、「TEM測定用の薄膜切片」という)を、ウルトラミクロトーム法を用いて下記のとおり作製した。
[0225]
 安定して薄膜化加工するため、導電粒子を注型樹脂に分散させた。具体的には、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と、ブチルグリシジルエーテルと、その他エポキシ樹脂との混合物(リファインテック株式会社製、商品名「エポマウント主剤27-771」)10gにジエチレントリアミン(リファインテック株式会社製、商品名「エポマウント硬化剤27-772」)1.0gを混合した。スパチュラを用いて攪拌し、均一に混合されたことを目視にて確認した。この混合物3gに乾燥済みの導電粒子0.5gを加えた後、スパチュラを用いて均一になるまで攪拌した。導電粒子を含む混合物を樹脂注型用の型(D.S.K 堂阪イーエム株式会社製、商品名「シリコーン包埋板II型」)に流し込み、常温(室温)下で24時間静置した。注型樹脂が固まったことを確認し、導電粒子の樹脂注型物を得た。
[0226]
 ウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ株式会社製、商品名「EM-UC6」)を用いて、導電粒子が含まれる樹脂注型物から、TEM測定用の薄膜切片を作製した。TEM測定用の薄膜切片を作製する際には、まず、ウルトラミクロトームの装置本体に固定したガラス製のナイフを用いて、図11(a)に示すように、TEM測定用の薄膜切片を切り出せる形状になるまで樹脂注型物の先端をトリミング加工した。
[0227]
 より詳細には、図11(b)に示すように、樹脂注型物の先端の断面形状が、縦200~400μm及び横100~200μmの長さを有する略直方体状となるようにトリミング加工した。断面の横の長さを100~200μmとするのは、樹脂注型物からTEM測定用の薄膜切片を切り出す際に、ダイヤモンドナイフと試料との間で発生する摩擦を低減するためである。これにより、TEM測定用の薄膜切片の皺及び折れ曲がりを防ぎ易くなり、TEM測定用の薄膜切片の作製が容易となる。
[0228]
 続いて、ウルトラミクロトーム装置本体の所定の箇所に、ボート付きのダイヤモンドナイフ(DIATONE社製、商品名「Cryo Wet」、刃幅2.0mm、刃角度35°)を固定した。次に、ボートをイオン交換水で満たし、ナイフの設置角度を調整して刃先をイオン交換水で濡らした。
[0229]
 ここで、ナイフの設置角度の調整について図12を用いて説明する。ナイフの設置角度の調整においては、上下方向の角度、左右方向の角度及びクリアランス角を調整することができる。「上下方向の角度の調整」とは、図12に示すように、試料表面とナイフの進む方向とが平行になるように試料ホルダーの上下方向の角度を調整することを意味する。「左右方向の角度の調整」とは、図12に示すように、ナイフの刃先と試料表面とが平行になるようにナイフの左右方向の角度を調整することを意味する。「クリアランス角の調整」とは、図12に示すように、ナイフの刃先の試料側の面とナイフの進む方向とがなす最小の角度を調整することを意味する。クリアランス角は、5~10°が好ましい。クリアランス角が前記範囲であると、ナイフの刃先と試料表面との摩擦を低減できると共に、試料から薄膜切片を切り出した後にナイフが試料表面を擦ることを防げる。
[0230]
 ウルトラミクロトーム装置本体に付している光学顕微鏡を確認しながら、試料とダイヤモンドナイフとの距離を近づけて、刃速度0.3mm/秒、薄膜の切り出し厚さが60nm±20nmとなるようにミクロトーム装置の設定値を設定し、樹脂注型物から薄膜切片を切り出した。次に、イオン交換水の水面にTEM測定用の薄膜切片を浮かべた。水面に浮かべたTEM測定用の薄膜切片の上面から、TEM測定用の銅メッシュ(マイクログリッド付き銅メッシュ)を押し付け、TEM測定用の薄膜切片を銅メッシュに吸着させ、TEM試料とした。ミクロトームで得られるTEM測定用の薄膜切片は、ミクロトームの切り出し厚さの設定値と正確には一致しないため、所望の厚さが得られる設定値を予め求めておく。
[0231]
(EDXによるマッピングの方法)
 EDXによるマッピングの方法の詳細について説明する。TEM測定用の薄膜切片を銅メッシュごと試料ホルダー(日本電子株式会社製、商品名「ベリリウム試料2軸傾斜ホルダー、EM-31640」)に固定し、TEM内部へ挿入した。加速電圧200kVにて、試料への電子線照射を開始した後、電子線の照射系をSTEMモードに切り替えた。
[0232]
 走査像観察装置をSTEM観察時の位置に挿入し、STEM観察用のソフトウェア「JEOL Simple Image Viewer(Version 1.3.5)」(日本電子株式会社製)を起動してから、TEM測定用の薄膜切片を観察した。その中に観察された導電粒子の断面のうち、EDX測定に適した箇所を探し、撮影した。ここでいう「測定に適した箇所」とは、導電粒子の中心付近で切断され、金属層の断面が観察できる箇所を意味する。断面が傾斜している箇所、及び、導電粒子の中心付近からずれた位置で切断されている箇所は、測定対象から外した。撮影時には、観察倍率25万倍、STEM観察像の画素数を縦512点、横512点とした。この条件で観察すると、視野角600nmの観察像が得られるが、装置が変わると同じ倍率でも視野角が変わることがあるため注意が必要である。
[0233]
 STEM/EDX分析の際には、TEM測定用の薄膜切片に電子線を当てると、導電粒子の樹脂粒子及び注型樹脂には収縮及び熱膨張が起こり、測定中に試料が変形又は移動してしまう。このようなEDX測定中の試料変形及び試料移動を抑制するため、事前に30分間~1時間程度、測定箇所に電子線を照射し、変形及び移動が収まったことを確認してから分析した。
[0234]
 STEM/EDX分析を行うため、EDXを測定位置まで移動させ、EDX測定用のソフトウェア「Analysis Station」(日本電子株式会社製)を起動させた。EDXによるマッピングの際には、マッピング時に充分な分解能を得る必要があるため、電子線を目的箇所に集束させるための集束絞り装置を用いた。
[0235]
 STEM/EDX分析の際には、検出される特性X線のカウント数(CPS:Counts Per Second)が10,000CPS以上になるように、電子線のスポット径を0.5~1.0nmの範囲で調整した。測定後に、マッピング測定と同時に得られるEDXスペクトルにおいて、ニッケルのKα線に由来するピークの高さが少なくとも5,000Counts以上となることを確認した。データ取得時には、前記STEM観察時と同じ視野角で、画素数を縦256点、横256点とした。一点ごとの積算時間を20ミリ秒間とし、積算回数1回で測定を行った。
[0236]
 得られたEDXマッピングデータから、必要に応じて、第1層、第2層及び第3層におけるEDXスペクトルを抽出し、各部分における元素存在比を算出した。実施例1~16、19、比較例1~5においては、第3層が形成されていないことから、第1層、第2層の膜厚のみをEDXスペクトルを抽出し、各部分における元素存在比を算出した。実施例19については、パラジウムめっき析出核、及び無電解ニッケルめっき析出核のニッケルのEDXスペクトルを抽出し、各部分における元素存在比を算出した。但し、定量値を算出する際には、貴金属、ニッケル及びリンの割合の合計を100質量%として、それぞれの元素の質量%濃度を算出した。
[0237]
 前記以外の元素については、下記の理由で割合が変動し易いため、定量値を算出する際には除外した。炭素の割合は、TEM測定用のメッシュに使用されるカーボン支持膜、又は、電子線照射時に試料表面に吸着する不純物の影響によって増減する。酸素の割合は、TEM試料を作製してから測定までの間に空気酸化することで増加する可能性がある。銅は、TEM測定用に用いた銅メッシュから検出されてしまう。
[0238]
(単分散率の測定)
 導電粒子0.05gを電解水に分散させ、界面活性剤を添加し、超音波分散(アズワン株式会社製、商品名「US-4R」、高周波出力:160W、発振周波数:40kHz単周波)を5分間行った。導電粒子の分散液をCOULER MULTISIZER II(ベックマン・コールター株式会社製、商品名)の試料カップに注入し、導電粒子50000個についての単分散率を測定した。単分散率は下記式により算出し、その値に基づいて下記基準により水溶媒中での粒子の凝集性を判定した。
 単分散率(%)={first peak粒子数(個)/全粒子数(個)}×100
[0239]
(工程g)[第1絶縁粒子の作製]
 500mlフラスコに入った純水400g中に、表6に示す絶縁粒子No.1の配合モル比に従ってモノマーを加えた。全モノマーの総量が、純水に対して10質量%になるように配合した。窒素置換後、70℃で撹拌しながら6時間加熱を行った。攪拌速度は300min -1(300rpm)であった。表6中のKBM-503(信越化学株式会社製、商品名)は、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランである。
[0240]
 合成した絶縁粒子の平均粒径をSEMにより撮影した画像を解析して測定した。その結果を表6に示す。
[0241]
 合成した絶縁粒子のTg(ガラス転移温度)を、DSC(パーキンエルマー社製、商品名「DSC-7」)を用いて、サンプル量:10mg、昇温速度:5℃/分、測定雰囲気:空気の条件で測定した。
[0242]
(シリコーンオリゴマーの調製)
 攪拌装置、コンデンサー及び温度計を備えたガラスフラスコに、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン118gとメタノール5.9gとを配合した溶液を加えた。さらに、活性白土5g及び蒸留水4.8gを添加し、75℃で一定時間攪拌した後、重量平均分子量1300のシリコーンオリゴマーを得た。得られたシリコーンオリゴマーは、水酸基と反応する末端官能基としてメトキシ基又はシラノール基を有するものである。得られたシリコーンオリゴマー溶液にメタノールを加えて、固形分20質量%の処理液を調製した。
[0243]
 シリコーンオリゴマーの重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより算出した。シリコーンオリゴマーの重量平均分子量の測定においては、ポンプ(株式会社日立製作所製、商品名「L-6000」)と、カラム(Gelpack GL-R420、Gelpack GL-R430、Gelpack GL-R440(以上、日立化成株式会社製、商品名))と、 検出器(株式会社日立製作所製、商品名「L-3300型RI」)とを用いた。溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、測定温度を40℃とし、流量を2.05mL/分として測定した。
[0244]
(工程h)[第2絶縁粒子の作製]
 第2絶縁粒子として、平均粒径60nmの気相法親水性球状シリカ粉末を用いた。この球状シリカ粉末100gを振動流動層装置(中央化工機株式会社製、商品名「振動流動層装置VUA-15型」)に収容した。次に、吸引ブロワーにより循環させた空気で球状シリカを流動化させながら水1.5gを噴霧して5分間流動混合させた。次に、HMDS(ヘキサメチレンジシラザン)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名「TSL-8802」)2.5gを噴霧し、30分間流動混合した。これにより、表7-1に示されるシリカ粒子No.3を作製した。得られた疎水性球状シリカ微粉体の疎水化度を、メタノール滴定法によって測定した。疎水化度は以下の方法で測定し、第2絶縁粒子の疎水化度は70%であった。第2絶縁粒子の特性をまとめて表7-1及び表7-2に示した。
[0245]
(疎水化度(%))
 第2絶縁粒子の疎水化度は以下の方法により測定した。まず、イオン交換水50ml、試料(第2絶縁粒子)0.2gをビーカーに入れ、マグネティックスターラーで攪拌しながらビュレットからメタノールを滴下する。ビーカー内のメタノール濃度が増加するにつれ粉体は徐々に沈降していき、その全量が沈んだ終点におけるメタノール-水混合溶液中のメタノールの質量分率を、第2絶縁粒子の疎水化度(%)とした。
[0246]
(第2絶縁粒子の平均粒径)
 第2絶縁粒子の粒径は、SEMにより10万倍で観察して得られる画像を解析し、粒子500個のそれぞれの面積を測定する。次に、粒子を円に換算した場合の直径を、第2絶縁粒子の平均粒径として算出した。得られた平均粒径に対する、粒径の標準偏差の比をパーセンテージで算出し、CVとした。
[0247]
(ゼータ電位の測定)
 第2絶縁粒子のゼータ電位は、以下の方法により測定した。ゼータ電位の測定には、Zetasizer ZS(Malvern Instruments社製、商品名)を用いた。第2絶縁粒子が約0.02質量%になるようにメタノールを用いて分散体を希釈し、ゼータ電位を測定した。
[0248]
(工程i)[絶縁被覆導電粒子の作製]
 メルカプト酢酸8mmolをメタノール200mlに溶解させて反応液を調製した。次に導電粒子(実施例1においては、粒子D)を10g上記反応液に加え、スリーワンモーターと直径45mmの攪拌羽で、室温で2時間攪拌した。メタノールで洗浄後、孔径3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いてろ過することで、表面にカルボキシル基を有する導電粒子を10g得た。
[0249]
 次に重量平均分子量70,000の30%ポリエチレンイミン水溶液(和光純薬工業株式会社製)を超純水で希釈し、0.3質量%ポリエチレンイミン水溶液を得た。上記表面にカルボキシル基を有する導電粒子10gを0.3質量%ポリエチレンイミン水溶液に加え、室温で15分攪拌した。その後、孔径3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いて導電粒子をろ過し、ろ過された導電粒子を超純水200gに入れて室温で5分攪拌した。更に孔径3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いて導電粒子をろ過し、上記メンブレンフィルタ上にて200gの超純水で2回洗浄を行った。これらの作業を行うことにより、吸着していないポリエチレンイミンが除去され、表面がアミノ基含有ポリマーで被覆された導電粒子が得られた。
[0250]
 次に、第1絶縁粒子をシリコーンオリゴマーで処理し、表面にグリシジル基含有オリゴマーを有する第1絶縁粒子のメタノール分散媒(第1絶縁粒子のメタノール分散媒)を調製した。
[0251]
 次に、シリカからなる第2絶縁粒子を有するメタノール分散媒(第2絶縁粒子のメタノール分散媒)を調製した。
[0252]
 上記表面がアミノ基含有ポリマーで被覆された導電粒子をメタノールに浸漬し、第1絶縁粒子のメタノール分散媒を滴下した。第1絶縁粒子の被覆率は、第1絶縁粒子のメタノール分散媒の滴下量で調整した。次いで、第2絶縁粒子のメタノール分散媒を滴下することで、導電粒子に第1絶縁粒子及び第2絶縁粒子を付着させた。第2絶縁粒子の被覆率は、第2絶縁粒子の滴下量で調整した。第1絶縁粒子及び第2絶縁粒子のそれぞれの被覆率を、表1-1にまとめて示した。
[0253]
 第1絶縁粒子及び第2絶縁粒子が付着した導電粒子を縮合剤とオクタデシルアミンで表面処理した後に洗浄することによって、当該導電粒子の表面の疎水化を行った。その後80℃、1時間の条件で加熱乾燥させて、絶縁被覆導電粒子を作製した。
[0254]
(絶縁粒子の被覆率の測定)
 絶縁被覆導電粒子の正投影面において、絶縁被覆導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内に存在する第1絶縁粒子及び第2絶縁粒子の被覆率をそれぞれ算出した。具体的には、絶縁被覆導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内において、第1絶縁粒子、第2絶縁粒子、及び導電粒子を画像解析により区別し、同心円内に存在する第1絶縁粒子と第2絶縁粒子との面積の割合をそれぞれ算出し、当該割合を第1絶縁粒子と第2絶縁粒子それぞれの被覆率とした。絶縁被覆導電粒子200個における平均値を求めた。
[0255]
 具体的には、第1絶縁粒子と第2絶縁粒子の被覆率は、絶縁被覆導電粒子をSEMにより2万5千倍で観察して得られる画像をもとに評価した。図13に、絶縁被覆導電粒子を観察したSEM画像を示す。第1絶縁粒子と第2絶縁粒子とを区別しづらい場合には、絶縁被覆導電粒子をSEMにより5万倍で観察して得られる画像をもとに評価してもよい。図14に、絶縁被覆導電粒子を観察したSEM画像を示す。図14は、絶縁被覆導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内の一部分である。
[0256]
[異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製]
[0257]
 フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名「PKHC」)100gと、アクリルゴム(ブチルアクリレート40質量部、エチルアクリレート30質量部、アクリロニトリル30質量部、グリシジルメタクリレート3質量部の共重合体、重量平均分子量:85万)75gとを、酢酸エチルとトルエンとを質量比1:1で混合した溶媒300gに溶解して溶液を得た。この溶液に、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ樹脂(旭化成エポキシ株式会社製、商品名「ノバキュアHX-3941」、エポキシ当量185)300gと、液状エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ株式会社製、商品名「YL980」)400gとを加えて撹拌した。得られた混合溶液に平均粒径14nmのシリカを溶剤分散したシリカスラリー(日本アエロジル株式会社製、商品名「R202」)を加えることにより、接着剤溶液を調製した。シリカスラリーは、上記混合溶液の固形分全量に対してシリカ固形分の含有量が5質量%となるように加えた。
[0258]
 ビーカーに、酢酸エチルとトルエンとを質量比1:1で混合した分散媒10gと、絶縁被覆導電粒子とを入れて超音波分散し、分散液を作成した。超音波分散の条件は、周波数が38kHZ、エネルギーが400W、体積が20Lの超音波槽(株式会社エスエヌディ製、商品名「US107」)に上記ビーカーを浸漬して1分間攪拌した。
[0259]
 上記分散液を接着剤溶液に混合し、溶液を作成した。この溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフイルム、厚み40μm)にロールコータで塗布した。そして、溶液が塗布されたセパレータを90℃で10分間加熱乾燥させ、厚み10μmの接着剤フィルムAをセパレータ上に作製した。絶縁被覆導電粒子の含有量を変えることで、単位面積当たり7万個/mm の絶縁被覆導電粒子を有する接着剤フィルムと、単位面積当たり10万個/mm の絶縁被覆導電粒子を有する接着剤フィルムとの2種類を作製した。
[0260]
 接着剤溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフイルム、厚み40μm)にロールコータで塗布した後に90℃で10分間加熱乾燥させ、厚み3μmの接着剤フィルムBを作製した。
[0261]
 さらに、接着剤溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフイルム、厚み40μm)にロールコータで塗布した後に90℃で10分間乾燥させ、厚み10μmの接着剤フィルムCを作製した。
[0262]
 次に、接着剤フィルムB、接着剤フィルムA、接着剤フィルムCの順番で各接着剤フィルムをラミネートし、3層からなる異方導電性接着剤フィルムDを作製した。
[0263]
 次に、作製した異方導電性接着フィルムを用いて、金バンプ(1)(面積:約30μm×約40μm、高さ:15μm)、金バンプ(2)(面積:約40μm×約40μm、高さ:15μm)、及び金バンプがそれぞれ362個設けられたチップ(1.7mm×20mm、厚さ:0.5μm)と、IZO回路付きガラス基板(厚さ:0.7mm)との接続を、以下に示すi)~iii)の手順に従って行い、接続構造体を得た。金バンプ(1),(2)のスペースを8μmとした。スペースとは、金バンプ同士の距離に相当する。
 i)異方導電性接着フィルム(2mm×24mm)をIZO回路付きガラス基板に80℃、0.98MPa(10kgf/cm )で貼り付けた。
 ii)セパレータを剥離し、チップのバンプとIZO回路付きガラス基板の位置合わせを行った。
 iii)190℃、40gf/バンプ、10秒の条件でチップ上方から加熱及び加圧を行い、チップとガラス基板との接着を行うと共に、チップのバンプとIZO回路との電気的接続を行った。
[0264]
[接続構造体の評価]
 得られた接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を以下のように行った。
[0265]
(導通抵抗試験)
 チップ電極(バンプ)とIZO回路との接続において、導通抵抗の初期値と、吸湿耐熱試験(温度85℃、湿度85%の条件で100、300、500、1000、2000時間放置)後の値とを測定した。導通抵抗試験には、接着剤フィルムAとして、単位面積当たり7万個/mm の絶縁被覆導電粒子を有する接着剤フィルムを用いた。チップ電極(バンプ)とIZO回路との接続領域は、約30μm×約40μm、及び約40μm×約40μmとした。約30μm×約40μmの接続領域においては、チップ電極とIZO回路とは6個の絶縁被覆導電粒子(捕捉絶縁被覆導電粒子)で接続されるように設定した。約40μm×約40μmの接続領域においては、チップ電極とIZO回路とは10個の絶縁被覆導電粒子で接続されるように設定した。なお、20サンプルについて測定し、それらの平均値を算出した。得られた平均値から下記基準に従って導通抵抗を評価した結果を表8-1に示す。バンプ数6個において、吸湿耐熱試験500時間後に下記Aの基準を満たす場合、導通抵抗が良好であると評価した。
  A:導通抵抗の平均値が2Ω未満
  B:導通抵抗の平均値が2Ω以上5Ω未満
  C:導通抵抗の平均値が5Ω以上10Ω未満
  D:導通抵抗の平均値が10Ω以上20Ω未満
  E:導通抵抗の平均値が20Ω以上
[0266]
(絶縁抵抗試験)
 チップ電極間の絶縁抵抗として、絶縁抵抗の初期値と、マイグレーション試験(温度60℃、湿度90%、20V印加の条件で100、300、1000、2000時間放置)後の値とを測定した。導通抵抗試験には、接着剤フィルムAとして、単位面積当たり7万個/mm の絶縁被覆導電粒子を有する接着剤フィルムと、単位面積当たり10万個/mm の絶縁被覆導電粒子を有する接着剤フィルムの2種類を用いた。それぞれの絶縁被覆導電粒子を含有するフィルムにおいて、20サンプルずつ測定した。各フィルムの20サンプル中、絶縁抵抗値が10 Ω以上となるサンプルの割合を算出した。得られた割合から下記基準に従って絶縁抵抗を評価した。結果を表8-1に示す。10万個/mm の絶縁被覆導電粒子を有する接着剤フィルムにおいて、吸湿耐熱試験100時間後に下記Aの基準を満たす場合を絶縁抵抗が良好であると評価した。
  A:絶縁抵抗値10 Ω以上の割合が100%
  B:絶縁抵抗値10 Ω以上の割合が90%以上100%未満
  C:絶縁抵抗値10 Ω以上の割合が80%以上90%未満
  D:絶縁抵抗値10 Ω以上の割合が50%以上80%未満
  E:絶縁抵抗値10 Ω以上の割合が50%未満
[0267]
<実施例2>
 実施例1の第1絶縁粒子の代わりに、表6に示される平均粒径239nmの絶縁粒子(絶縁粒子No.2)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表1-1及び表8-1に示す。
[0268]
<実施例3>
 実施例1の第1絶縁粒子の代わりに、表6に示される平均粒径402nmの絶縁粒子(絶縁粒子No.3)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表1-1及び表8-1に示す。
[0269]
<実施例4>
 実施例1の第2絶縁粒子の代わりに、表7-1に示される平均粒径40nmの気相法親水性球状シリカ粉末からなる絶縁粒子(シリカ粒子No.2)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表1-1及び表8-1に示す。
[0270]
<実施例5>
 実施例1の第2絶縁粒子の代わりに、表7-1に示される平均粒径80nmの気相法親水性球状シリカ粉末からなる絶縁粒子(シリカ粒子No.4)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表1-2及び表8-2に示す。
[0271]
<実施例6>
 実施例1の第2絶縁粒子の代わりに、表7-1の平均粒径100nmの気相法親水性球状シリカ粉末からなる絶縁粒子(シリカ粒子No.5)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表1-2及び表8-2に示す。
[0272]
<実施例7>
 実施例1の第2絶縁粒子の代わりに、表7-1に示される平均粒径120nmの気相法親水性球状シリカ粉末からなる絶縁粒子(シリカ粒子No.6)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表1-2及び表8-2に示す。図15及び図16に、絶縁被覆導電粒子を被覆した後に観察したSEM画像を示す。図16は、絶縁被覆導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内の一部分である。
[0273]
<実施例8~10>
 実施例1の(工程i)において、第1絶縁粒子のメタノール分散媒の滴下量を変えることで、第1絶縁粒子の被覆率を表2-1に示した範囲に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表2-1、表8-2及び表8-3に示す。
[0274]
<実施例11~13>
 実施例1の(工程i)において、第2絶縁粒子のメタノール分散媒の滴下量を変えることで、第2絶縁粒子の被覆率を表2-1及び表2-2に示した範囲に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表2-1、表2-2及び表9-1に示す。
[0275]
<実施例14>
 実施例1の第2絶縁粒子の代わりに、平均粒径40nmのコロイダルシリカ分散液を用いた。具体的には、表7-2に示される、表面が疎水化されていない第2絶縁粒子(シリカ粒子No.8)を用いた。これ以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表2-2及び表9-1に示す。
[0276]
<実施例15>
 実施例1の第2絶縁粒子の代わりに、平均粒径60nmのコロイダルシリカ分散液を用いた。具体的には、表7-2に示される、表面が疎水化されていない第2絶縁粒子(シリカ粒子No.9)を用いた。これ以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表3-1及び表9-2に示す。
[0277]
<実施例16>
 実施例1の第2絶縁粒子の代わりに、平均粒径80nmのコロイダルシリカ分散液を用いた。具体的には、表7-2に示される、表面が疎水化されていない第2絶縁粒子(シリカ粒子No.10)を用いた。これ以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表3-1及び表9-2に示す。
[0278]
<実施例17>
 実施例1の(工程h)の第2絶縁粒子の代わりに、平均粒径100nmのコロイダルシリカ分散液を用いた。具体的には、表7-2に示される、表面が疎水化されていない第2絶縁粒子(シリカ粒子No.11)を用いた。これ以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表3-1及び表9-2に示す。
[0279]
<実施例18>
実施例1の(工程a~f)によって得た粒子D13.65gを、下記組成の無電解パラジウムめっき液3Lに浸漬して第3層(上記実施形態における第2層に相当)を形成することによって、表3-1に示される導電粒子を得た。反応時間は10分間、温度は50℃にて処理を行った。第3層の平均厚さは10nmであり、第3層におけるパラジウム含有量は100質量%であった。この導電粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表3-1及び表9-2に示す。無電解パラジウムめっき液の組成は以下の通りである。
  塩化パラジウム・・・・・・・0.07g/L
  EDTA・2ナトリウム・・・1g/L
  クエン酸・2ナトリウム・・・1g/L
  ギ酸ナトリウム・・・・・・・0.2g/L
  pH・・・・・・・・・・・・6
[0280]
<実施例19>
実施例1の(工程a~f)によって粒子D13.65gを、置換金めっき液(日立化成株式会社製、商品名「HGS-100」)100mL/Lの溶液3Lに、85℃で2分間浸漬し、更に2分間水洗して、第3層を形成した。反応時間は10分間、温度は60℃にて処理を行った。第3層の平均厚さは10nm、第3層における金含有量はほぼ100質量%であった。この導電粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表3-2及び表9-3に示す。
[0281]
<実施例20>
 実施例1の(工程a~f)によって得た粒子D13.65gの代わりに、下記の工程j~nを経て、表4に記載の導電粒子を得た。この導電粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表4及び表9-3に示す。
[0282]
[導電粒子の作製]
(工程j)前処理工程
 平均粒径3.0μmの架橋ポリスチレン粒子(株式会社日本触媒製、商品名「ソリオスター」)6gを、パラジウム触媒(アトテックジャパン株式会社製、商品名「アトテックネオガント834」)を8質量%含有するパラジウム触媒化液100mLに添加し、30℃で30分間攪拌した。次に、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過により、樹脂粒子を取り出した。その後、pH6.0に調整された0.5質量%ジメチルアミンボラン液に取り出された樹脂粒子を添加し、表面が活性化された樹脂粒子を得た。そして、60mLの蒸留水に、表面が活性化された樹脂粒子を浸漬した後、超音波分散することで、樹脂粒子分散液を得た。
[0283]
(工程k)第1層の形成
 工程jで得た樹脂粒子分散液を、80℃に加温した水3000mLで希釈した後、めっき安定剤として1g/Lの硝酸ビスマス水溶液を3mL添加した。次に、樹脂粒子を6g含む分散液に、実施例1でも用いた第1層形成用無電解ニッケルめっき液240mLを5mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、10分間経過した後に、めっき液を加えた分散液を濾過した。濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥した。このようにして、表4に示す80nmの膜厚のニッケル-リン合金被膜からなる第1層を形成した。第1層を形成することにより得た粒子Eは12gであった。
[0284]
(工程l)パラジウム粒子の形成
 下記組成の無電解パラジウムめっき液1Lに、第1層を形成した粒子E(12g)を浸漬した。これにより、当該粒子Eの表面上にパラジウム粒子(パラジウムめっき析出核)が形成された粒子Fを得た。反応時間10分、温度60℃にて処理を行った。パラジウム粒子形成用の無電解パラジウムめっき液の組成は以下の通りである。
  塩化パラジウム・・・・0.07g/L
  エチレンジアミン・・・0.05g/L
  ギ酸ナトリウム・・・・0.2g/L
  酒石酸・・・・・・・・0.11g/L
  pH・・・・・・・・・7
[0285]
(工程m)無電解ニッケルめっき析出核の形成
 工程lで得た粒子F(12g)を、水洗及び濾過した後、70℃に加温した水3000mLに分散させた。この分散液に、めっき安定剤として1g/Lの硝酸ビスマス水溶液を3mL添加した。次いで、下記組成の析出核形成用無電解ニッケルめっき液60mLを15mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、10分間経過した後に、めっき液を加えた分散液を濾過した。濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥した。このようにして、56nmの平均長さのニッケル-リン合金からなる無電解ニッケルめっき析出核を形成した。無電解ニッケルめっき析出核を形成することにより得た粒子Gは13.5gであった。析出核形成用無電解ニッケルめっき液の組成は以下の通りである。
  硫酸ニッケル・・・・・・・・・・・・400g/L
  次亜リン酸ナトリウム・・・・・・・・150g/L
  酒石酸ナトリウム・2水和物・・・・・120g/L
  硝酸ビスマス水溶液(1g/L)・・・1mL/L
[0286]
(工程n)第2層の形成
 工程mで得た粒子G(13.5g)を、水洗及び濾過した後、70℃に加温した水1000mLに分散させた。この分散液に、めっき安定剤として1g/Lの硝酸ビスマス水溶液を3mL添加した。次いで、下記組成の第2層形成用無電解ニッケルめっき液60mLを15mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、10分間経過した後に、めっき液を加えた分散液を濾過した。濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥した。このようにして、表4に示す20nmの膜厚のニッケル-リン合金被膜からなる第2層を形成した。第2層を形成することにより得た粒子Hは、15.0gであった。第2層形成用無電解ニッケルめっき液の組成は以下の通りである。
  硫酸ニッケル・・・・・・・・・・・・400g/L
  次亜リン酸ナトリウム・・・・・・・・150g/L
  酒石酸ナトリウム・2水和物・・・・・120g/L
  硝酸ビスマス水溶液(1g/L)・・・1mL/L
[0287]
 以上の工程j~nによって導電粒子を得た。
[0288]
<比較例1>
 実施例1の第2絶縁粒子を用いず、実施例1の第1絶縁粒子のみを用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表5-1及び表10-1に示す。図17に、絶縁粒子を被覆した後の導電粒子をSEM装置により観察した結果を示す。
[0289]
<比較例2>
 実施例1の第1絶縁粒子を用いずに、実施例1の第2絶縁粒子のみを用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表5-1及び表10-1に示す。
[0290]
<比較例3>
 第1絶縁粒子として、表6に示される平均粒径145nmの絶縁粒子(絶縁粒子No.4)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表5-1及び表10-1に示す。
[0291]
<比較例4>
 第2絶縁粒子として、表7-1に示される平均粒径25nmの気相法親水性球状シリカ粉末からなる絶縁粒子(シリカ粒子No.1)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表5-2及び表10-2に示す。
[0292]
<比較例5>
 第2絶縁粒子として、表7-2に示される平均粒径150nmの気相法親水性球状シリカ粉末からなる絶縁粒子(シリカ粒子No.7)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表5-2及び表10-2に示す。
[0293]
<比較例6>
 第2絶縁粒子として、表6に示される平均粒径100nmの絶縁粒子(絶縁粒子No.5)を用いた。平均粒径100nmの絶縁粒子は、シリコーンオリゴマーで処理されたものを用いた。上記絶縁粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、絶縁被覆導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表5-2及び表10-2に示す。比較例6は、特許文献6の導電粒子に対応する。
[0294]
[表1-1]


[0295]
[表1-2]


[0296]
[表2-1]


[0297]
[表2-2]


[0298]
[表3-1]


[0299]
[表3-2]


[0300]
[表4]


[0301]
[表5-1]


[0302]
[表5-2]


[0303]
[表6]


[0304]
[表7-1]


[0305]
[表7-2]


[0306]
[表8-1]


[0307]
[表8-2]


[0308]
[表8-3]


[0309]
[表9-1]


[0310]
[表9-2]


[0311]
[表9-3]


[0312]
[表10-1]


[0313]
[表10-2]


符号の説明

[0314]
 1…導電粒子、100a,100b,100c,100d…絶縁被覆導電粒子、101…樹脂粒子、102…非導電性無機粒子、103…複合粒子、104…第1層、105…第2層、106…パラジウム粒子、107…ニッケル粒子、108…第1層、108a…第1被覆層、108b…第2被覆層、109…突起、210…絶縁粒子、210a…第1絶縁粒子、210b…第2絶縁粒子、300…接続構造体、310…第1回路部材、311,321…回路基板、311a,321a…主面、312,322…回路電極、320…第2回路部材、330…接続部、330a…異方導電性接着剤、332…硬化物、332a…接着剤。

請求の範囲

[請求項1]
 導電粒子と、
 前記導電粒子の表面に付着された複数の絶縁粒子と、を備え、
 前記導電粒子の平均粒径は、1μm以上10μm以下であり、
 前記絶縁粒子は、
  200nm以上500nm以下の平均粒径を有する第1絶縁粒子と、
  30nm以上130nm以下の平均粒径を有し、シリカからなる第2絶縁粒子と、を含む、
絶縁被覆導電粒子。
[請求項2]
 前記第1絶縁粒子のガラス転移温度は、100℃以上200℃以下である、請求項1に記載の絶縁被覆導電粒子。
[請求項3]
 前記第1絶縁粒子と、前記第2絶縁粒子とによる前記導電粒子の被覆率は、前記導電粒子の総表面積に対して35%以上80%以下である、請求項1又は2に記載の絶縁被覆導電粒子。
[請求項4]
 前記導電粒子は、その前記表面に突起を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の絶縁被覆導電粒子。
[請求項5]
 前記第2絶縁粒子の表面は、疎水化処理剤により被覆されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の絶縁被覆導電粒子。
[請求項6]
 前記疎水化処理剤は、シラザン系疎水化処理剤、シロキサン系疎水化処理剤、シラン系疎水化処理剤、及びチタネート系疎水化処理剤からなる群より選ばれる、請求項5に記載の絶縁被覆導電粒子。
[請求項7]
 前記疎水化処理剤は、ヘキサメチレンジシラザン、ポリジメチルシロキサン、及びN,N-ジメチルアミノトリメチルシランからなる群より選ばれる、請求項6に記載の絶縁被覆導電粒子。
[請求項8]
 メタノール滴定法による前記第2絶縁粒子の疎水化度は、30%以上である、請求項5~7のいずれか一項に記載の絶縁被覆導電粒子。
[請求項9]
 前記導電粒子は、樹脂粒子と、前記樹脂粒子を覆う金属層とを有し、
 前記金属層は、ニッケルを含有する第1層を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の絶縁被覆導電粒子。
[請求項10]
 前記金属層は、前記第1層上に設けられる第2層を有し、
 前記第2層は、貴金属及びコバルトからなる群より選ばれる金属を含有する、請求項9に記載の絶縁被覆導電粒子。
[請求項11]
 請求項1~10のいずれか一項に記載の絶縁被覆導電粒子と、
 前記絶縁被覆導電粒子が分散された接着剤と、
を備える異方導電性接着剤。
[請求項12]
 前記接着剤がフィルム状である、請求項11に記載の異方導電性接着剤。
[請求項13]
 第1回路電極を有する第1回路部材と、
 前記第1回路部材に対向し、第2回路電極を有する第2回路部材と、
 前記第1回路部材及び前記第2回路部材を接着する、請求項11又は12に記載の異方導電性接着剤と、
を備え、
 前記第1回路電極と前記第2回路電極とは、互いに対向すると共に、前記異方導電性接着剤によって互いに電気的に接続される、
接続構造体。
[請求項14]
 第1回路電極を有する第1回路部材と、
 前記第1回路部材に対向し、第2回路電極を有する第2回路部材と、
 前記第1回路部材と前記第2回路部材との間に配置された接続部と、
を備え、
 前記接続部には、請求項1~10のいずれか一項に記載の絶縁被覆導電粒子が分散しており、
 前記第1回路電極と前記第2回路電極とは、互いに対向すると共に、変形した状態の前記絶縁被覆導電粒子を介して互いに電気的に接続される、
接続構造体。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]