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1. WO2017138094 - ACTIVE NOISE CONTROL DEVICE

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明 細 書

発明の名称 能動騒音制御装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084  

産業上の利用可能性

0085  

符号の説明

0086  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : 能動騒音制御装置

技術分野

[0001]
 この発明は、例えば機械類の発する振動または騒音に対し、相殺する振動または騒音を発生させてこれを低減する、能動騒音制御装置に関するものである。

背景技術

[0002]
 従来の能動騒音制御装置は、マイクまたは各種のセンサなどの検出手段を用いて制御対象となる騒音を検出し、当該騒音を相殺する同振幅かつ逆位相の制御音を出力することで、当該騒音を消音している。
 なお、この発明において、機械類の発する振動または騒音を、まとめて騒音と称することとする。
[0003]
 また、従来の能動騒音制御装置の中には、所望の位置に誤差マイクを配置し、誤差マイクの信号を元に制御音を修正することで、消音効果を最大に保つよう制御するものがある。このとき、騒音と無関係な外乱が誤差マイクに収音されると、能動騒音制御装置は外乱を含んだ音を消音するように動作することになる。その結果、本来対象としている騒音の消音効果が一時的に失われたり、制御音が異音となったりすることがある。そのような外乱の具体例として、例えば風が誤差マイクに当たることによる吹かれ音、ならびに、誤差マイクへの人または物体の接触によって生じる打撃音などが挙げられる。
[0004]
 このような問題に対して、例えば特許文献1には、ミュート処理を用いて制御音を抑制し、異音の発生を回避する方法が開示されている。また、特許文献2には、適応ノッチフィルタを用いて制御音を調整する能動騒音制御装置において、フィルタ係数の更新量を制御するパラメータであるステップ幅を調整することによって消音効果を安定させる方法が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2013-71535号公報
特許文献2 : 特開2009-241672号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 誤差マイクが収音する外乱には、上述の具体例のような極端に強い外乱以外にも、例えば人の声もしくは動作による物音、またはその他の環境騒音などの背景音が常に存在する。背景音のような強度の弱い外乱が誤差マイクに収音されても、爆音のような顕著な異音が発生したり消音効果が大きく損なわれたりするような問題は起きないが、若干の異音成分を制御音に生ずることがある。強度の弱い外乱による異音成分は、顕著ではなくとも知覚可能な程度のレベルであることがあり、使用者に不快感を与える原因となることがある。特に、制御音を再生するスピーカの近傍では、このような異音が知覚されることが多い。
[0007]
 上記特許文献1の方法を強度の弱い外乱に用いた場合、恒常的に制御音がミュートされることになり、騒音の消音効果が根本的に失われてしまう。
 上記特許文献2の方法を強度の弱い外乱に用いた場合、やはり、恒常的にステップ幅が抑制されることになるので、騒音の変化に対する追従性能が失われてしまう。
[0008]
 このように、従来の能動騒音制御装置には、誤差マイクに混入した背景音等の外乱によって生じた異音を、騒音の消音効果を損なうことなく抑制することが困難であるという課題があった。
[0009]
 この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、外乱によって生じた異音を、騒音の消音効果を損なうことなく抑制することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 この発明に係る能動騒音抑制装置は、騒音を発する騒音源に応じて特定される制御周波数に基づいて音源信号を生成する音源信号生成部と、音源信号に対しフィルタ処理を行って原制御信号を生成する制御信号フィルタと、原制御信号のうちの制御周波数を含む周波数帯域の信号を通過させ、騒音に加わった外乱を含む周波数帯域の信号を遮断するフィルタ処理を行って制御信号を生成する安定化処理部と、音源信号に対しフィルタ処理を行って参照信号を生成する参照信号フィルタと、制御信号を元に生成された二次騒音と騒音との干渉の結果から得られる誤差信号、および参照信号を用いて、制御信号フィルタのフィルタ係数列を更新するフィルタ係数更新部とを備えるものである。

発明の効果

[0011]
 この発明によれば、原制御信号のうちの制御周波数を含む周波数帯域の信号を通過させ、騒音に加わった外乱を含む周波数帯域の信号を遮断するフィルタ処理を行って制御信号を生成するようにしたので、騒音に対して有効な周波数成分が制御信号から損なわれることを防ぎつつ、外乱に対して制御信号を安定化させることができる。よって、外乱によって生じた異音を、騒音の消音効果を損なうことなく抑制することができる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] この発明の実施の形態1に係る能動騒音制御装置の構成を示すブロック図である。
[図2] 実施の形態1に係る能動騒音制御装置における安定化処理部の構成を示すブロック図である。
[図3] 実施の形態1に係る能動騒音制御装置の動作を示すフローチャートである。
[図4] 実施の形態1に係る能動騒音制御装置における安定化処理部の動作を示すフローチャートである。
[図5] 実施の形態1に係る能動騒音制御装置のハードウェア構成図である。
[図6] この発明の実施の形態2に係る能動騒音制御装置の構成を示すブロック図である。
[図7] 実施の形態2に係る能動騒音制御装置における係数安定化処理部の構成を示すブロック図である。
[図8] 実施の形態2に係る能動騒音制御装置の動作を示すフローチャートである。
[図9] 実施の形態2において、係数安定化処理部によるフィルタ処理前の係数更新値と、フィルタ処理後の被安定化係数更新値の時間推移を示すグラフである。
[図10] この発明の実施の形態3に係る能動騒音制御装置における安定化処理部の構成を示すブロック図である。
[図11] 実施の形態3に係る能動騒音制御装置における安定化処理部の動作を示すフローチャートである。
[図12] 実施の形態3に係る能動騒音制御装置における係数安定化処理部の動作を示すフローチャートである。

発明を実施するための形態

[0013]
 以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
 図1は、この発明の実施の形態1に係る能動騒音制御装置100の構成を示すブロック図である。図示のように、この能動騒音制御装置100には、外部に設けられた出力器200および検出器300が接続されている。
[0014]
 能動騒音制御装置100は、制御対象となる騒音源400の騒音の制御周波数f(n)が入力され、入力された制御周波数f(n)に基づいて生成した制御信号g(n)を出力する。ここで、nは正の整数であり、デジタル信号処理におけるサンプリング時刻を表している。制御周波数f(n)は、例えば騒音源400が自動車のエンジンである場合、イグニッションパルスの周期からエンジンの回転周波数を計測し、この回転周波数を制御対象となる騒音に合わせて定数倍するなどの方法で得ることができる。また、騒音源400が電動モータで駆動するファンである場合、電動モータの極数および電源周波数、ならびにファンのブレード枚数などから、制御対象となるNZ音の制御周波数f(n)を算出することができる。このように、制御周波数f(n)の取得は、対象となる騒音源400に適した手段を用いてよい。
[0015]
 出力器200は、能動騒音制御装置100から入力された制御信号g(n)を、騒音源400から発生する騒音を打ち消すための二次騒音に変換して出力するものである。この出力器200は、例えばスピーカまたはアクチュエータ等により実現できる。
 出力器200から出力された二次騒音は、二次経路500を伝播し、騒音源400から発生する騒音と干渉し、当該騒音を低減する。二次騒音との干渉により低減された騒音を、残留騒音または誤差と呼ぶ。ここで、二次経路500は、出力器200から出力された二次騒音が検出器300まで伝播する間に通過する経路と定義づけられる。また、外乱源600は、騒音源400とは無関係な不特定の外乱を、残留騒音に対してさらに付加するものである。この外乱は、吹かれ音および打撃音のような極端に強い外乱と、背景音のような強度の弱い外乱とを含む。
[0016]
 検出器300は、騒音と二次騒音との干渉により生じた残留騒音である誤差に対して外乱が付加された外乱つき誤差を検出し、検出した外乱つき誤差を誤差信号e(n)として能動騒音制御装置100に出力するものである。この検出器300は、一般にマイクロホンにより実現できる。
[0017]
 次に、能動騒音制御装置100の詳細構成について説明する。能動騒音制御装置100は、音源信号生成部1と、制御信号フィルタ2と、参照信号フィルタ3と、フィルタ係数更新部4と、安定化処理部5とを備える。
[0018]
 音源信号生成部1は、能動騒音制御装置100に入力された制御周波数f(n)に基づいて、音源信号x(n)を生成する信号生成部である。音源信号生成部1は、生成した音源信号x(n)を制御信号フィルタ2および参照信号フィルタ3に出力する。
[0019]
 制御信号フィルタ2は、音源信号生成部1からの音源信号x(n)に対しフィルタ処理を行って、原制御信号d(n)を出力するフィルタである。制御信号フィルタ2は、原制御信号d(n)を安定化処理部5に出力する。なお、制御信号フィルタ2がフィルタ処理を行うときに用いる制御フィルタ係数列W(n)は、後述するフィルタ係数更新部4によって更新される。
[0020]
 参照信号フィルタ3は、二次経路500の伝達特性に基づいて定められた伝達特性パラメータを用い、音源信号生成部1からの音源信号x(n)に対しフィルタ処理を行って、参照信号r(n)を出力するフィルタである。参照信号フィルタ3は、参照信号r(n)をフィルタ係数更新部4に出力する。
[0021]
 フィルタ係数更新部4は、参照信号フィルタ3からの参照信号r(n)と、検出器300からの誤差信号e(n)と、所定のステップ幅とに基づき、制御信号フィルタ2の制御フィルタ係数列W(n)を更新する。フィルタ係数更新部4は、制御フィルタ係数列W(n)の更新に、例えばLMS(Least Mean Square)、NLMS(Normalized Least Mean Square)、またはRLS(Recursive Least Square)等の適応アルゴリズムを用いることができる。所定のステップ幅は、実験等によりヒューリスティックに決定され、フィルタ係数更新部4に予め設定されている値である。
 なお、フィルタ係数更新部4が係数更新値を算出し、制御信号フィルタ2が係数更新値を制御フィルタ係数列W(n)に加算することで制御フィルタ係数列W(n)を更新してもよい。
[0022]
 安定化処理部5は、能動騒音制御装置100に入力された制御周波数f(n)に基づいて、制御信号フィルタ2からの原制御信号d(n)を補正する安定化処理を行い、安定化された制御信号g(n)を生成する。安定化処理部5は、制御信号g(n)を出力器200に出力する。詳細は後述するが、制御信号g(n)は、騒音を低減するための二次騒音に変換される信号である。
[0023]
 図2は、実施の形態1に係る能動騒音制御装置100における安定化処理部5の内部構成を示すブロック図である。図示のように、実施の形態1の安定化処理部5は、安定化特性調整部51と、安定化フィルタ52とを備える。
[0024]
 安定化特性調整部51は、制御周波数f(n)を含む周波数帯域の信号を通過させ、これ以外の周波数帯域の信号を遮断するように、安定化フィルタ52のフィルタ特性を調整する。この安定化特性調整部51から安定化フィルタ52へ、フィルタ特性の調整を指示する。
[0025]
 安定化フィルタ52は、制御信号フィルタ2からの原制御信号d(n)に対しフィルタ処理を行って、制御信号g(n)を出力するフィルタである。この安定化フィルタ52は、安定化特性調整部51からの指示に従ってフィルタ特性を調整する。
[0026]
 次に、実施の形態1に係る能動騒音制御装置100の動作を説明する。図3は、実施の形態1に係る能動騒音制御装置100の動作を示すフローチャートである。なお、実施の形態1に係る能動騒音制御装置100が行う処理の順序は、図3のフローチャートで示される順序に限定されるものではなく、同等の結果を得られる限りにおいて、異なる順序で実施してもよいし一部の処理を並列化してもよい。
[0027]
 能動騒音制御装置100内の音源信号生成部1および安定化処理部5に対し、騒音の周波数を表す制御周波数f(n)が入力される。上述した通り、nは正の整数であり、デジタル信号処理におけるサンプリング時刻を表している。
 ステップST11において、音源信号生成部1は制御周波数f(n)を取得する。
[0028]
 ステップST12において、音源信号生成部1は、制御周波数f(n)に応じた音源信号x(n)を生成し、制御信号フィルタ2および参照信号フィルタ3に出力する。ここで、能動騒音制御装置100が例えば適応ノッチフィルタを用いるものであれば、音源信号x(n)には、制御周波数f(n)に応じた正弦波信号および余弦波信号の2系統の信号が含まれる。このような音源信号生成方法の好適な例は、例えば国際公開第2013/108294号に開示されている。
[0029]
 ステップST13において、制御信号フィルタ2は、音源信号生成部1から出力された音源信号x(n)を、制御フィルタ係数列W(n)を用いてフィルタ処理し、原制御信号d(n)を安定化処理部5に出力する。ここで、制御フィルタ係数列W(n)は、1次かそれ以上の次数のフィルタ係数列である。
 また、音源信号x(n)が正弦波信号および余弦波信号の2系統の信号を含んでいる場合、制御フィルタ係数列W(n)も、正弦波信号用のフィルタ係数列および余弦波信号用のフィルタ係数列を含む。そして、制御信号フィルタ2は、正弦波信号用のフィルタ係数列を用いたフィルタ処理結果と、余弦波信号用のフィルタ係数列を用いたフィルタ処理結果とを加算した信号を、原制御信号d(n)とする。
[0030]
 ステップST14において、安定化処理部5は、制御信号フィルタ2から出力された原制御信号d(n)に対し、制御周波数f(n)に応じた安定化処理を行い、外乱の作用によって生じた異音成分が除去され安定化された制御信号g(n)を生成する。安定化処理部5は、生成した制御信号g(n)を出力器200に出力する。この際の、安定化処理部5の動作の詳細については後述する。
[0031]
 出力器200は、安定化処理部5から出力された制御信号g(n)を二次騒音に変換し、出力する。出力器200から出力された二次騒音は、二次経路500を伝播し、その過程において二次経路500の伝達特性の影響を受けた後、騒音源400から発生する騒音に干渉し、当該騒音を低減する。
 低減された騒音は、さらに外乱源600からの外乱が加えられる。
[0032]
 検出器300は、騒音と二次騒音と外乱の加算結果、つまり残留騒音に外乱が加わった外乱つき誤差を検出し、誤差信号e(n)を生成する。検出器300で生成された誤差信号e(n)は、能動騒音制御装置100内のフィルタ係数更新部4に入力される。
[0033]
 ステップST15において、参照信号フィルタ3は、音源信号生成部1から出力された音源信号x(n)を、二次経路500の伝達特性を備えた参照フィルタ係数列Cを用いてフィルタ処理し、参照信号r(n)をフィルタ係数更新部4に出力する。ここで、参照フィルタ係数列Cは、1次かそれ以上の次数のフィルタ係数列である。
 また、音源信号x(n)が正弦波信号および余弦波信号の2系統の信号を含んでいる場合、参照フィルタ係数列Cも、正弦波信号用のフィルタ係数列および余弦波信号用のフィルタ係数列を含む。この場合、参照信号r(n)には、正弦波信号用のフィルタ係数列を用いたフィルタ処理結果の信号、および余弦波信号用のフィルタ係数列を用いたフィルタ処理結果の信号の2系統が含まれる。
[0034]
 ステップST16において、フィルタ係数更新部4は、参照信号フィルタ3から出力された参照信号r(n)と、検出器300から出力された誤差信号e(n)と、所定のステップ幅とに基づいて、誤差信号e(n)に含まれる残留騒音が減少するように、制御信号フィルタ2の制御フィルタ係数列W(n)の値を逐次更新する。ここでは、例えばLMS、NLMSまたはRLS等のよく知られたアルゴリズムを用いることができる。
[0035]
 この際、誤差信号e(n)に外乱源600からの外乱が含まれていると、フィルタ係数更新部4は、対象としている騒音とともに外乱も含めて低減するように制御フィルタ係数列W(n)を更新する。しかしながら、多くの場合において音源信号x(n)と外乱は無関係である。また、音源信号x(n)を入力とし、外乱を低減する制御信号g(n)を出力とするような、線形シフト不変フィルタは存在しない。そのため、時刻nの誤差信号e(n)に含まれる外乱を低減するように更新された制御フィルタ係数列W(n)は、当該制御フィルタ係数列W(n)が反映された二次騒音が出力器200から出力される時点の外乱には、もはや有効でなくなっている。すなわち、更新された制御フィルタ係数列W(n)において、外乱によって誘因された成分は、能動騒音制御装置100が対象としている騒音の低減にも外乱の低減にも寄与しない、単なる夾雑成分でしかない。ただし、その夾雑成分は、制御信号フィルタ2が出力する原制御信号d(n)を不安定にし、異音成分を発生させる。
[0036]
 そこで、安定化処理部5は、原制御信号d(n)から異音成分を除去し、安定化された制御信号g(n)に変えて出力器200に出力する。これにより、従来のように制御信号g(n)そのものをミュートしたり、フィルタ係数更新部4のステップ幅を抑制したりすることなく、外乱の影響を抑制する。
[0037]
 安定化特性調整部51は、制御周波数f(n)を含んだ所定の帯域幅の周波数帯域の信号を通し、これ以外の周波数帯域の信号を遮断するように、安定化フィルタ52のフィルタ特性を調整する。例えば、制御周波数f(n)よりも所定の周波数以上高い周波数帯域を遮断するようなローパス特性、または制御周波数f(n)よりも所定の周波数以上低い周波数帯域を遮断するようなハイパス特性、あるいはローパス特性とハイパス特性の両方を兼ね備えたバンドパス特性のうちのいずれかのフィルタ特性を、安定化フィルタ52に付与することが考えられる。所定の周波数は、安定化特性調整部51に予め設定されている値である。この所定の周波数は、安定化フィルタ52が制御周波数f(n)の信号に影響を与えないようにするための安全マージンとして設けられたものであり、その値は経験的に定められる。
 ここでは、安定化フィルタ52が異なる帯域通過特性を持った複数のフィルタ係数列を予め保持しており、安定化特性調整部51はその中から制御周波数f(n)に応じたフィルタ係数列を選択して安定化フィルタ52に指示することとする。
[0038]
 図4は、実施の形態1に係る能動騒音制御装置100における安定化処理部5の動作を示すフローチャートである。図4のフローチャートに示された処理は、図3のフローチャートにおけるステップST14で実施される処理である。
 以下では、例として、M個の異なるバンドパス特性を持ったフィルタ係数列の中から、制御周波数f(n)に応じたフィルタ係数列を選択する方法を説明する。安定化フィルタ52が保持しているM個のフィルタ係数列は、番号mによって指定されるものとする。
[0039]
 ステップST14-1において、安定化特性調整部51は、フィルタ係数列の番号として、はじめにm=1を設定する。
 ステップST14-2において、安定化特性調整部51は、m番目のフィルタ係数列を選択する。
[0040]
 ステップST14-3において、安定化特性調整部51は、m番目のフィルタ係数列のフィルタ特性における高域側の遮断周波数が、制御周波数f(n)より所定の閾値以上高いか否かを判定する。なお、高域側の遮断周波数とは、その周波数より高くなると、利得が所定値以下となるような周波数を指すものとする。ここで、所定の閾値は、上述した所定の周波数と同じものである。
 安定化特性調整部51は、高域側の遮断周波数が制御周波数f(n)より所定の閾値以上高い場合(ステップST14-3“YES”)、ステップST14-4に進み、それ以外の場合(ステップST14-3“NO”)、ステップST14-6に進む。
[0041]
 ステップST14-4において、安定化特性調整部51は、m番目のフィルタ係数列のフィルタ特性における低域側の遮断周波数が、制御周波数f(n)より所定の閾値以上低いか否かを判定する。なお、低域側の遮断周波数とは、その周波数より低くなると、利得が所定値以下となるような周波数を指すものとする。
 安定化特性調整部51は、低域側の遮断周波数が制御周波数f(n)より所定の閾値以上低い場合(ステップST14-4“YES”)、ステップST14-5に進み、それ以外の場合(ステップST14-4“NO”)、ステップST14-6に進む。
[0042]
 ステップST14-5において、安定化特性調整部51は、現在選択しているm番目のフィルタ係数列を安定化フィルタ52に指示する。
[0043]
 ステップST14-6において、安定化特性調整部51は、m=m+1となるようmの値を更新し、ステップST14-2に戻る。
 なお、ここでは、あらゆる制御周波数f(n)に対して、ステップST14-3およびステップST14-4の条件を満たすフィルタ係数列が必ず一つ以上は存在するように、M個のフィルタ係数列が安定化フィルタ52に与えられているものとしている。
[0044]
 ステップST14-7において、安定化フィルタ52は、安定化特性調整部51から指示されたフィルタ係数列を用いて原制御信号d(n)に対しフィルタ処理を行い、制御信号g(n)を出力する。安定化特性調整部51から安定化フィルタ52に指示されたフィルタ特性は、制御周波数f(n)を含む周波数帯域の信号を通し、これ以外の周波数帯域の信号を遮断するので、外乱の影響によって生じた異音成分が除去される。
[0045]
 次に、能動騒音制御装置100のハードウェア構成を説明する。
 能動騒音制御装置100における音源信号生成部1、制御信号フィルタ2、参照信号フィルタ3、フィルタ係数更新部4および安定化処理部5の各機能は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を用いた専用のハードウェアで実現することも可能であるし、メモリに格納されたプログラムを実行するプロセッサで実現することも可能である。あるいは、電子回路、LSI(Large Scale Integration)等のハードウェア、およびメモリに格納されたプログラムを実行するプロセッサを組み合わせて実現することも可能である。
[0046]
 図5は、実施の形態1に係る能動騒音制御装置100を、メモリ1002に格納されたプログラムを実行するプロセッサ1001によって実現する場合の、ハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、後述する実施の形態2,3に係る能動騒音制御装置100,101も、基本的なハードウェア構成は図5に示す構成と同様である。
 能動騒音制御装置100における音源信号生成部1、制御信号フィルタ2、参照信号フィルタ3、フィルタ係数更新部4および安定化処理部5の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ1002に記憶される。プロセッサ1001は、メモリ1002に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、能動騒音制御装置100は、プロセッサ1001により実行されるときに、図3および図4で示した各ステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ1002を備える。また、プログラムは、音源信号生成部1、制御信号フィルタ2、参照信号フィルタ3、フィルタ係数更新部4および安定化処理部5の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
[0047]
 また、外部機器から能動騒音制御装置100への制御周波数f(n)の入力、能動騒音制御装置100から出力器200への制御信号g(n)の出力、および検出器300から能動騒音制御装置100への誤差信号e(n)の入力などは、入出力インタフェース1003を介して行われる。なお、入出力インタフェース1003は、接続する機器に応じて、1つであってもよいし複数であってもよい。
 バス1004は、プロセッサ1001、メモリ1002および入出力インタフェース1003を接続する。なお、バス1004は適宜バスブリッジ等を用いて構成されてもよい。
[0048]
 また、制御信号フィルタ2、参照信号フィルタ3および安定化フィルタ52は、アナログフィルタまたはデジタルフィルタによって実現することができる。
 以下、安定化フィルタ52を例に用いてフィルタの構成例を説明する。安定化フィルタ52をアナログフィルタで構成する場合、回路内に可変抵抗素子を設け、その抵抗値を安定化特性調整部51の指示に従って動的に変更することによってフィルタ特性を調整する。安定化フィルタ52をデジタルフィルタで構成する場合、FIR(Finit Impulse Response)フィルタ、またはIIR(Infinit Impulse Response)フィルタなどのフィルタで構成し、そのフィルタ係数を安定化特性調整部51の指示に従って変更することによってフィルタ特性を調整する。また、アナログフィルタ、デジタルフィルタのいずれにおいても、安定化フィルタ52を、異なる周波数帯域を通過帯域とする複数のフィルタで構成し、原制御信号d(n)に対するそれぞれのフィルタの出力を、安定化特性調整部51の指示によってセレクタで選択するか、または適当な利得を与えてミキサで混合するなどの方法で、フィルタ特性の動的な調整を実現してもよい。
[0049]
 以上のように、実施の形態1に係る能動騒音制御装置100は、騒音を発する騒音源400に応じて特定される制御周波数f(n)に基づいて音源信号x(n)を生成する音源信号生成部1と、音源信号x(n)に対しフィルタ処理を行って原制御信号d(n)を生成する制御信号フィルタ2と、原制御信号d(n)のうちの制御周波数f(n)を含む周波数帯域の信号を通過させ、騒音に加わった外乱を含む周波数帯域の信号を遮断するフィルタ処理を行って制御信号g(n)を生成する安定化処理部5と、音源信号x(n)に対しフィルタ処理を行って参照信号r(n)を生成する参照信号フィルタ3と、制御信号g(n)を元に生成された二次騒音と騒音との干渉の結果から得られる誤差信号e(n)および参照信号r(n)を用いて、制御信号フィルタ2の制御フィルタ係数列W(n)を更新するフィルタ係数更新部4とを備える構成である。この構成により、騒音に対して有効な周波数成分が制御信号g(n)から損なわれることを防ぎつつ、外乱によって誘因された制御信号g(n)中の異音成分が除去できる。よって、外乱によって生じた異音を、騒音の消音効果を損なうことなく抑制することができる。
[0050]
 また、実施の形態1によれば、フィルタ係数更新部4のステップ幅を抑制する代わりに、安定化処理部5が原制御信号d(n)に安定化処理を施すようにしたので、騒音の変化に対する制御信号g(n)の追従性能の低下を防ぐことができる。
[0051]
実施の形態2.
 実施の形態1に係る能動騒音制御装置100は、制御信号g(n)を安定化フィルタ52でフィルタ処理することで異音を除去するが、この際、安定化フィルタ52の群遅延特性による遅延が制御信号g(n)に付与される。群遅延特性による遅延は、フィルタ係数更新部4が制御フィルタ係数列W(n)を更新してからその結果を反映した誤差信号e(n)を受け取るまでの遅延時間に加えられるため、群遅延特性による遅延が大きいと、騒音の変化に対する追従性能が低下する原因となる。そこで、実施の形態2では、制御信号g(n)を安定化フィルタ52で処理する代わりに、制御フィルタ係数列W(n)の更新値をフィルタ処理することで、制御信号g(n)に遅延を付与せずに異音成分の除去を行うようにする。
[0052]
 図6は、この発明の実施の形態2に係る能動騒音制御装置101の構成を示すブロック図である。実施の形態2に係る能動騒音制御装置101は、図1に示した実施の形態1の能動騒音制御装置100における安定化処理部5の代わりに係数安定化処理部6が追加された構成である。図6において図1と同一または相当する部分は、同一の符号を付し説明を省略する。
[0053]
 次に能動騒音制御装置101の詳細構成について説明する。能動騒音制御装置101は、音源信号生成部1と、制御信号フィルタ2と、参照信号フィルタ3と、フィルタ係数更新部4と、係数安定化処理部6とを備える。
[0054]
 フィルタ係数更新部4は、参照信号フィルタ3、係数安定化処理部6および検出器300に接続されている。このフィルタ係数更新部4は、参照信号フィルタ3からの参照信号r(n)と、検出器300からの誤差信号e(n)と、所定のステップ幅とに基づいて係数更新値ΔW(n)を算出し、係数安定化処理部6に出力する。係数更新値ΔW(n)は、制御信号フィルタ2の制御フィルタ係数列W(n)を更新するためのものである。
[0055]
 係数安定化処理部6は、制御信号フィルタ2およびフィルタ係数更新部4に接続されている。この係数安定化処理部6は、能動騒音制御装置101に入力された制御周波数f(n)に応じて、フィルタ係数更新部4からの係数更新値ΔW(n)に対する安定化処理を行い、被安定化係数更新値ΔW’(n)を生成する。係数安定化処理部6は、被安定化係数更新値ΔW’(n)を制御信号フィルタ2に出力する。
[0056]
 制御信号フィルタ2は、音源信号生成部1、係数安定化処理部6および出力器200に接続されている。この制御信号フィルタ2は、係数安定化処理部6からの被安定化係数更新値ΔW’(n)を制御フィルタ係数列W(n)に加算することで、制御フィルタ係数列W(n)を更新する。また、制御信号フィルタ2の出力は制御信号g(n)として扱われ、出力器200に入力される。
[0057]
 図7は、実施の形態2に係る能動騒音制御装置101における係数安定化処理部6の内部構成を示すブロック図である。図示のように、実施の形態2の係数安定化処理部6は、安定化特性調整部61と、安定化フィルタ62とを備える。
[0058]
 安定化特性調整部61は、制御周波数f(n)の高さに応じて、安定化フィルタ62のフィルタ特性を調整する。この安定化特性調整部61から安定化フィルタ62へ、フィルタ特性の調整を指示する。
[0059]
 安定化フィルタ62は、フィルタ係数更新部4からの係数更新値ΔW(n)に対しフィルタ処理を行って、被安定化係数更新値ΔW’(n)を出力するフィルタである。この安定化フィルタ62は、安定化特性調整部61からの指示に従ってフィルタ特性を調整する。
[0060]
 次に、実施の形態2に係る能動騒音制御装置101の動作を説明する。図8は、実施の形態2に係る能動騒音制御装置101の動作を示すフローチャートである。なお、実施の形態2に係る能動騒音制御装置101が行う処理の順序は、図8のフローチャートで示される順序に限定されるものではなく、同等の結果を得られる限りにおいて、異なる順序で実施してもよいし一部の処理を並列化してもよい。
[0061]
 能動騒音制御装置101内の音源信号生成部1および係数安定化処理部6に対し、騒音の周波数を表す制御周波数f(n)が入力される。上述した通り、nは正の整数であり、デジタル信号処理におけるサンプリング時刻を表している。
 ステップST21において、音源信号生成部1は制御周波数f(n)を取得する。
[0062]
 ステップST22において、音源信号生成部1は、制御周波数f(n)に応じた音源信号x(n)を生成し、制御信号フィルタ2および参照信号フィルタ3に出力する。
 ステップST23において、制御信号フィルタ2は、音源信号生成部1から出力された音源信号x(n)を、制御フィルタ係数列W(n)を用いてフィルタ処理し、制御信号g(n)を出力器200に出力する。
 ステップST24において、参照信号フィルタ3は、音源信号生成部1から出力された音源信号x(n)を、二次経路500の伝達特性を備えた参照フィルタ係数列Cを用いてフィルタ処理し、参照信号r(n)をフィルタ係数更新部4に出力する。
[0063]
 ステップST25において、フィルタ係数更新部4は、参照信号フィルタ3から出力された参照信号r(n)と、検出器300から出力された誤差信号e(n)と、所定のステップ幅とに基づいて、誤差信号e(n)に含まれる残留騒音が減少するように、制御信号フィルタ2の制御フィルタ係数列W(n)の更新値を算出し、係数更新値ΔW(n)として係数安定化処理部6に出力する。この際、誤差信号e(n)に外乱源600からの外乱が加わっていると、係数更新値ΔW(n)には、外乱の作用による不適切な成分が含まれる。
[0064]
 ステップST26において、係数安定化処理部6は、フィルタ係数更新部4から出力された係数更新値ΔW(n)に対し、制御周波数f(n)に応じた安定化処理を行い、外乱の作用による不適切な成分を除去することで制御信号g(n)が安定化するようにした被安定化係数更新値ΔW’(n)を生成する。係数安定化処理部6は、生成した被安定化係数更新値ΔW’(n)を制御信号フィルタ2に出力する。
[0065]
 ステップST27において、制御信号フィルタ2は、係数安定化処理部6から出力された被安定化係数更新値ΔW’(n)を制御フィルタ係数列W(n)に加算することで、制御フィルタ係数列W(n)を更新する。
[0066]
 ここで、係数安定化処理部6の安定化特性調整部61および安定化フィルタ62による、ステップST26の処理の詳細を説明する。
 制御周波数f(n)が高くなると騒音の時間変動も早くなることがあるため、安定化特性調整部61は、安定化フィルタ62のフィルタ特性を調整する際に制御周波数f(n)の高さに応じて通過帯域を調整する。例えば安定化フィルタ62がローパス特性を持つフィルタである場合、安定化特性調整部61は、制御周波数f(n)が高くなるほどローパス特性の遮断周波数が高くなるようなフィルタ係数列を、安定化フィルタ62に指示する。これにより、騒音への追従性を確保する。
[0067]
 安定化フィルタ62は、安定化特性調整部61から指示されたフィルタ係数列を用いて、フィルタ係数更新部4からの係数更新値ΔW(n)に対しフィルタ処理を行い、被安定化係数更新値ΔW’(n)を出力する。
[0068]
 図9は、フィルタ係数更新部4が算出した係数更新値ΔW(n)と、この係数更新値ΔW(n)を係数安定化処理部6がフィルタ処理した被安定化係数更新値ΔW’(n)の時間推移を示すグラフの一例である。図示のとおり、安定化フィルタ62によるフィルタ処理前の係数更新値ΔW(n)には、時間的に細かな変動が現れている。この変動は、外乱によって生じた不適切な成分であり、グラフの上を細かく上下するのみで騒音の低減には寄与しない。安定化フィルタ62はそのローパス特性によって、このような不適切な成分を除去し、図示のような安定した被安定化係数更新値ΔW’(n)を出力する。これにより、制御信号g(n)に異音が生じることを回避する。
[0069]
 実施の形態2に係る能動騒音制御装置101は、実施の形態1に係る能動騒音制御装置100と同様に、ASIC等を用いた専用のハードウェアで実現することも可能であるし、メモリに格納されたプログラムを実行するプロセッサで実現することも可能であるし、電子回路、LSI等のハードウェア、およびメモリに格納されたプログラムを実行するプロセッサを組み合わせて実現することも可能である。
 また、安定化フィルタ62は、アナログフィルタまたはデジタルフィルタによって実現することができる。
[0070]
 以上のように、実施の形態2に係る能動騒音制御装置101は、騒音を発する騒音源400に応じて特定される制御周波数f(n)に基づいて音源信号x(n)を生成する音源信号生成部1と、音源信号x(n)に対しフィルタ処理を行って制御信号g(n)を生成する制御信号フィルタ2と、音源信号x(n)に対しフィルタ処理を行って参照信号r(n)を生成する参照信号フィルタ3と、制御信号g(n)を元に生成された二次騒音と騒音との干渉の結果から得られる誤差信号e(n)および参照信号r(n)を用いて、制御信号フィルタ2の制御フィルタ係数列W(n)の更新に使用される係数更新値ΔW(n)を算出するフィルタ係数更新部4と、制御信号フィルタ2の特性が、音源信号x(n)のうちの制御周波数f(n)を含む周波数帯域の信号を通過させ、騒音に加わった外乱を含む周波数帯域の信号を遮断する特性になるよう、係数更新値ΔW(n)に対しフィルタ処理を行う係数安定化処理部6とを備える構成である。この構成により、制御信号g(n)に遅延を加えることなく、制御信号g(n)中の異音成分を除去できる。よって、外乱によって生じた異音を、騒音の消音効果を損なうことなく抑制することができる。
[0071]
実施の形態3.
 実施の形態3では、騒音の周波数の変化が激しい場合に、騒音の周波数に応じて安定化処理を緩和することで、制御信号g(n)を速やかに追従させるようにする。
[0072]
 実施の形態3に係る能動騒音制御装置100は、図1に示した実施の形態1に係る能動騒音制御装置100と図面上は同じ構成であり、安定化処理部5のみ内部構成が異なる。ここで、図10に、実施の形態3に係る能動騒音制御装置100における安定化処理部5のブロック図を示す。図示のように、実施の形態3の安定化処理部5は、安定化特性調整部51と、安定化フィルタ52と、周波数変化量算出部53とを備える。
[0073]
 図11は、実施の形態3における安定化処理部5の動作を示すフローチャートである。なお、実施の形態3の安定化処理部5が行う処理の順序は、図11のフローチャートで示される順序に限定されるものではなく、同等の結果を得られる限りにおいて、異なる順序で実施してもよいし一部の処理を並列化してもよい。
 この図11のフローチャートに示された処理は、図3のフローチャートにおけるステップST14で実施される処理である。
[0074]
 ステップST31において、周波数変化量算出部53は、制御周波数f(n)を用いて、制御周波数の時間変化の大きさを計算し、周波数変化量Δf(n)として安定化特性調整部51に出力する。
 周波数変化量Δf(n)は、例えば下式(1)を用いて計算される。ただし、αは0≦α<1を満たす実数とする。
[0075]
Δf(n)
=α×Δf(n-1)+(1-α)×(f(n)-f(n-1)) (1)
[0076]
 ステップST32において、安定化特性調整部51は、周波数変化量算出部53から出力された周波数変化量Δf(n)を所定の閾値THと比較する。所定の閾値THは、実験等によりヒューリスティックに決定され、安定化特性調整部51に予め設定されている値である。
 安定化特性調整部51は、Δf(n)<THである場合(ステップST32“YES”)、ステップST33に進み、Δf(n)≧THである場合(ステップST32“NO”)、ステップST34に進む。
[0077]
 ステップST33において、安定化特性調整部51は、制御周波数f(n)に基づいて安定化フィルタ52のフィルタ特性を調整する。この場合におけるフィルタ特性の調整方法は、実施の形態1と同様とする。
[0078]
 ステップST34において、安定化特性調整部51は、周波数変化量Δf(n)に基づいて安定化フィルタ52のフィルタ特性を調整する。例えば安定化フィルタ52がローパス特性を持つフィルタである場合、安定化特性調整部51は、周波数変化量Δf(n)が大きくなるに従って、より遮断周波数の高いローパス特性を持つように安定化フィルタ52を調整する。これにより、騒音の周波数の変化が大きい場合には、安定化フィルタ52の通過帯域が広がり、安定化処理が緩和されるので、変化の激しい騒音に制御信号g(n)が追従できるようになる。
[0079]
 ステップST35において、安定化フィルタ52は、安定化特性調整部51により調整されたフィルタ特性に従って原制御信号d(n)をフィルタ処理し、制御信号g(n)を出力する。
[0080]
 以上のように、実施の形態3では、周波数変化量算出部53が、制御周波数f(n)の時間変化の大きさを示す周波数変化量Δf(n)を算出し、安定化特性調整部51が、周波数変化量Δf(n)が予め定められた閾値TH未満の場合に制御周波数f(n)を含む周波数帯域が通過帯域となるように安定化フィルタ52を調整し、周波数変化量Δf(n)が予め定められた閾値TH以上の場合に周波数変化量Δf(n)が大きくなるに従って高域遮断周波数が高くなるようなローパス特性を持つように安定化フィルタ52を調整する構成である。この構成により、騒音の周波数の変化に対して、能動騒音制御装置100の追従性を維持することができる。
[0081]
 なお、実施の形態3の安定化処理を、実施の形態2に係る能動騒音制御装置101の係数安定化処理部6に適用してもよい。その場合、実施の形態3に係る能動騒音制御装置101は、図6に示した実施の形態2に係る能動騒音制御装置101と図面上は同じ構成であり、係数安定化処理部6のみ内部構成が異なる。
[0082]
 ここで、図12に、実施の形態3に係る能動騒音制御装置101における係数安定化処理部6のブロック図を示す。図示のように、実施の形態3の係数安定化処理部6は、安定化特性調整部61と、安定化フィルタ62と、周波数変化量算出部63とを備える。
 周波数変化量算出部63は、制御周波数f(n)を用いて、制御周波数の時間変化の大きさを示す周波数変化量Δf(n)を計算し、安定化特性調整部61に出力する。
[0083]
 安定化特性調整部61は、周波数変化量算出部63から出力された周波数変化量Δf(n)が所定の閾値TH未満である場合、実施の形態2と同様に、制御周波数f(n)の高さに応じて通過帯域が変化するように安定化フィルタ62のフィルタ特性を調整する。
 一方、周波数変化量Δf(n)が所定の閾値TH以上である場合、安定化特性調整部61は、周波数変化量Δf(n)が大きくなるに従って高域遮断周波数が高くなるようなローパス特性を持つように安定化フィルタ62のフィルタ特性を調整することによって、安定化処理を緩和する。
 この構成により、騒音の周波数の変化に対して、能動騒音制御装置101の追従性を維持することができる。
[0084]
 なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、または各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。

産業上の利用可能性

[0085]
 この発明に係る能動騒音制御装置は、例えば機械類の発する騒音に対し、相殺する騒音を発生させてこれを低減させるものであり、例えば自動車のエンジンの騒音を低減させるものに適している。

符号の説明

[0086]
 1 音源信号生成部、2 制御信号フィルタ、3 参照信号フィルタ、4 フィルタ係数更新部、5 安定化処理部、6 係数安定化処理部、51,61 安定化特性調整部、52,62 安定化フィルタ、53,63 周波数変化量算出部、100,101 能動騒音制御装置、200 出力器、300 検出器、400 騒音源、500 二次経路、600 外乱源、1001 プロセッサ、1002 メモリ、1003 入出力インタフェース、1004 バス。

請求の範囲

[請求項1]
 騒音を発する騒音源に応じて特定される制御周波数に基づいて音源信号を生成する音源信号生成部と、
 前記音源信号に対しフィルタ処理を行って原制御信号を生成する制御信号フィルタと、
 前記原制御信号のうちの前記制御周波数を含む周波数帯域の信号を通過させ、前記騒音に加わった外乱を含む周波数帯域の信号を遮断するフィルタ処理を行って制御信号を生成する安定化処理部と、
 前記音源信号に対しフィルタ処理を行って参照信号を生成する参照信号フィルタと、
 前記制御信号を元に生成された二次騒音と前記騒音との干渉の結果から得られる誤差信号、および前記参照信号を用いて、前記制御信号フィルタのフィルタ係数列を更新するフィルタ係数更新部とを備える能動騒音制御装置。
[請求項2]
 前記安定化処理部は、
 前記原制御信号に対しフィルタ処理を行って前記制御信号を生成する安定化フィルタと、
 前記制御周波数を含む周波数帯域が通過帯域となるように前記安定化フィルタを調整する安定化特性調整部とを有することを特徴とする請求項1記載の能動騒音制御装置。
[請求項3]
 前記安定化処理部は、前記制御周波数の時間変化の大きさを示す周波数変化量を算出する周波数変化量算出部を有し、
 前記安定化特性調整部は、前記周波数変化量が予め定められた閾値未満の場合、前記制御周波数を含む周波数帯域が通過帯域となるように前記安定化フィルタを調整し、前記周波数変化量が前記予め定められた閾値以上の場合、前記周波数変化量が大きくなるに従って高域遮断周波数が高くなるようなローパス特性を持つように前記安定化フィルタを調整することを特徴とする請求項2記載の能動騒音制御装置。
[請求項4]
 騒音を発する騒音源に応じて特定される制御周波数に基づいて音源信号を生成する音源信号生成部と、
 前記音源信号に対しフィルタ処理を行って制御信号を生成する制御信号フィルタと、
 前記音源信号に対しフィルタ処理を行って参照信号を生成する参照信号フィルタと、
 前記制御信号を元に生成された二次騒音と前記騒音との干渉の結果から得られる誤差信号、および前記参照信号を用いて、前記制御信号フィルタのフィルタ係数列の更新に使用される係数更新値を算出するフィルタ係数更新部と、
 前記制御信号フィルタの特性が、前記音源信号のうちの前記制御周波数を含む周波数帯域の信号を通過させ、前記騒音に加わった外乱を含む周波数帯域の信号を遮断する特性になるよう、前記係数更新値に対しフィルタ処理を行う係数安定化処理部とを備える能動騒音制御装置。
[請求項5]
 前記係数安定化処理部は、
 前記係数更新値に対しフィルタ処理を行う安定化フィルタと、
 前記制御周波数の高さに応じて通過帯域が変化するように前記安定化フィルタを調整する安定化特性調整部とを有することを特徴とする請求項4記載の能動騒音制御装置。
[請求項6]
 前記係数安定化処理部は、前記制御周波数の時間変化の大きさを示す周波数変化量を算出する周波数変化量算出部を有し、
 前記安定化特性調整部は、前記周波数変化量が予め定められた閾値未満の場合、前記制御周波数の高さに応じて通過帯域が変化するように前記安定化フィルタを調整し、前記周波数変化量が前記予め定められた閾値以上の場合、前記周波数変化量が大きくなるに従って高域遮断周波数が高くなるようなローパス特性を持つように前記安定化フィルタを調整することを特徴とする請求項5記載の能動騒音制御装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]