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1. WO2017135387 - METHOD FOR PRODUCING CERAMIC SINTERED BODY, AND METHOD AND DEVICE FOR PRODUCING CERAMIC MOLDED BODY

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明 細 書

発明の名称 セラミックス焼結体の製造方法、並びにセラミックス成形体の製造方法及び製造装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008  

発明の効果

0009   0010   0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074  

実施例

0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084  

産業上の利用可能性

0085  

符号の説明

0086  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25  

明 細 書

発明の名称 : セラミックス焼結体の製造方法、並びにセラミックス成形体の製造方法及び製造装置

技術分野

[0001]
 本発明は、焼結用セラミックスの焼結方法、及び、これを利用した焼結物の製造方法に関する。また、本発明は、セラミックス粒子の充填密度の高いセラミックス成形体を効率よく製造する方法及びその製造方法に用いる製造装置に関する。

背景技術

[0002]
 例えば、板状のセラミックス焼結体を製造する場合、セラミックス粒子と、高分子バインダーを媒体に溶解したバインダー溶液とを混合して調製した、スラリー、ペースト又は粉体を、プレス成形、スラリーの鋳込み、射出成形、押出成形、スクリーン印刷等に供した後、焼成処理を行う方法がある。これらのうち、基材の上でセラミックス焼結体を製造する方法は、特許文献1に開示されており、シート状セラミックの製造方法として、水溶性バインダーと、セラミック粉末と、水とを含み、体積固形分比率が2%以上5%未満であるセラミックスラリー組成物を支持体上に流延してシート状に成形し、セラミックスラリーの乾燥、脱脂及び焼成を行う方法が記載されている。
[0003]
 ところで、近年、3次元形状の立体モデルである造形物の製造方法が広く提案されている。例えば、特許文献2には、限られた領域に粉末材料の第一層を沈積する工程(1)と、粉末材料層の選択された領域に結合剤材料を塗付して、接合された粉末材料の第一層を選択された領域に形成する工程(2)とを含み、各々接合された粉末材料の選択領域を有して、コンポーネントを形成する選択された数の継続層を形成するために、工程(1)及び(2)を選択された回数繰り返し、コンポーネントを形成する継続する層から未接合の粉末材料を除去する工程を含む、コンポーネントの製造方法が開示されている。特許文献3には、粉末材料の薄層を形成する工程と、粉末材料の薄層の特定の領域に加熱用エネルギービームを照射することにより、昇温した予備加熱層を形成する工程と、昇温した予備加熱層の領域内の粉末材料の薄層に加熱用エネルギービームを照射し、粉末材料の薄層を溶融し固化して固化層を形成する工程とを有し、各工程を繰り返して積層造形物を作製することを特徴とする粉末積層造形方法が開示されている。また、特許文献4には、第1の無機粒子が含まれる焼結造形材料を用いて造形層を形成する造形層形成工程と、造形層の所望の領域に第2の無機粒子が含まれる液状結合剤を付与する工程と、付与された液状結合剤を硬化させて造形断面層を形成する工程と、造形層の液状結合剤が付与されていない領域を除去する工程と、造形断面層を加熱して焼結処理する工程と、を含むことを特徴とする焼結造形方法が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2004-315307号公報
特許文献2 : 特開平6-218712号公報
特許文献3 : 特開2015-38237号公報
特許文献4 : 特開2015-205485号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 焼結用セラミックスに、直接、レーザーを照射すると、十分に焼結することができず、例えば、深さ方向に焼結しようとする場合、長時間の照射が不可欠であった。
 本発明の目的は、焼結用セラミックスを効率よく焼結する方法、焼結用セラミックスからなる非焼結部を備える物品(以下、「原料物品」ともいう)における、該非焼結部の所望の部分を焼結部とした物品(以下、焼結部が一部であっても、全体であっても「焼結物」ともいう)を効率よく製造する方法、及び、3次元立体構造の焼結物(以下、「造形物」ともいう)を効率よく製造する方法を提供することである。
[0006]
 また、セラミックス成形体を製造するために、スラリーを基材に塗布し、塗膜付き基材を加熱する場合、バインダー成分を除去するために、400℃以上に加熱する必要があり、経済的ではなかった。
 本発明の他の目的は、高分子バインダーを含有しないセラミックススラリーを用いて、セラミックス粒子の充填密度の高いセラミックス成形体を低コストで効率よく製造する方法及びその製造方法に用いる製造装置を提供することである。
[0007]
 更に、スラリーを基材に塗布し、塗膜付き基材を均一に加熱して、塗膜からバインダー及び媒体を除去する場合、得られるセラミックス成形体の寸法精度の悪化、反り、割れ等の問題を起こすことがあった(図25参照)。
 本発明の更に他の目的は、セラミックス粒子及び高分子バインダーを含有するスラリーを用いて、基材の上で脱脂されたセラミックス成形体を製造する方法において、基材の表面に沿って変形が抑制され、割れの発生も抑制されたセラミックス成形体を効率よく製造する方法及びそのための製造装置を提供することである。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明において、焼結用セラミックスの焼結方法は、焼結用セラミックスからなる物品の表面に、炭素粉末を含む層を形成し、次いで、得られた積層物における上記炭素粉末含有層の表面にレーザーを照射することを特徴とする方法である。
 本発明において、焼結部を有する物品の製造方法は、焼結用セラミックスからなる非焼結部を備える物品の該非焼結部の表面に、炭素粉末を含む層を形成する工程と、得られた積層物における炭素粉末含有層の表面にレーザーを照射して、照射部の下地側に位置する焼結用セラミックスを焼結させる工程とを、順次、備えることを特徴とする方法である。
 本発明において、3次元立体構造の焼結部を有する物品(造形物)の製造方法は、焼結用セラミックスからなる非焼結部を備える物品の該非焼結部の表面に、炭素粉末を含む層を形成する第1工程と、得られた積層物における炭素粉末含有層の表面にレーザーを照射して、照射部の下地側に位置する焼結用セラミックスを焼結させる第2工程とを、順次、行った後、焼結部の表面に、焼結用セラミックスからなる非焼結部を形成する第3工程とを備え、該第3工程の後、上記第1工程及び上記第2工程を繰り返し行うことを特徴とする方法である。
 上記第2工程において、上記積層物を固定した状態で、上記レーザーをスキャンさせながら若しくは光拡散レンズを介して光路を変化させながら照射する、又は、上記積層物を移動させながら、光路を固定した上記レーザーを照射することが好ましい。
 上記第3工程において、上記焼結用セラミックスの粒子と、分散媒とを含有するスラリーを、上記焼結部を含む上記物品を加熱した状態で、該焼結部の表面に噴霧することが好ましい。
 本発明において、セラミックス成形体の製造方法は、セラミックス粒子及び分散媒を含有し、該セラミックス粒子の濃度が5~80体積%であるスラリーを、加熱された基材の表面に噴霧する工程を備えることを特徴とする方法である。以下、この発明を、「第1態様のセラミックス成形体の製造方法」ともいう。
 本発明において、第1態様のセラミックス成形体の製造方法を適用するセラミックス成形体の製造装置は、セラミックス粒子及び分散媒を含有するスラリーを基材に噴霧するスラリー噴霧部と、上記基材を加熱する基材加熱部と、を備えることを特徴とする。
 本発明において、他のセラミックス成形体の製造方法は、セラミックス粒子及び高分子バインダーを含有するスラリーを基材の表面に塗布する塗布工程と、該塗布工程により得られた塗膜付き基材を、該塗膜付き基材の下方から加熱して上記塗膜の脱脂を行う脱脂工程とを、順次、備え、脱脂工程において、塗膜付き基材の下面を不均一加熱することを特徴とする方法である。以下、この発明を、「第2態様のセラミックス成形体の製造方法」ともいう。
 本発明において、第2態様のセラミックス成形体の製造方法を適用するセラミックス成形体の製造装置は、セラミックス粒子及び高分子バインダーを含有するスラリーを基材の表面に塗布して形成された塗膜付き基材を載置し、且つ、該塗膜付き基材を下方から加熱する熱処理部を備え、上記熱処理部は、上記塗膜付き基材の基材部と点接触又は線接触する凸部を含むことを特徴とする。

発明の効果

[0009]
 本発明の焼結方法によれば、焼結用セラミックスに、直接、レーザーを照射する場合に比べて、より短時間で焼結用セラミックスを焼結することができる。特に、表面から、300μm程度の深さまでの焼結を効率よく行うことができる。従って、焼結用セラミックスからなる非焼結部における所望の部分を焼結部とした焼結物又は造形物を効率よく製造することができる。
[0010]
 本発明における第1態様のセラミックス成形体の製造方法によれば、基材の温度を400℃未満として、セラミックス粒子の充填密度の高いセラミックス成形体を効率よく製造することができる。
[0011]
 本発明における第2態様のセラミックス成形体の製造方法によれば、セラミックス粒子からなるセラミックス成形体であって、変形が抑制され、割れの発生も抑制されたセラミックス成形体を、基材の上で効率よく製造することができる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 本発明の焼結方法及び本発明の焼結物の製造方法の1例を示す概略断面図である。
[図2] 本発明の焼結物の製造方法の他例を示す概略断面図である。
[図3] 本発明の造形物の製造方法の1例を示す概略断面図である。
[図4] 本発明の造形物の製造方法の他例を示す概略断面図である。
[図5] 本発明の造形物の製造方法の他例を示す概略断面図である。
[図6] 比較例1-1で得られた焼結物のレーザー照射部側表層部の断面を示すSEM画像である。
[図7] 実施例1-1で得られた焼結物のレーザー照射部の表面を示すSEM画像である。
[図8] 図7の拡大画像である。
[図9] 実施例1-1で得られた焼結物のレーザー照射部側表層部の断面を示すSEM画像である。
[図10] 実施例1-1で得られた焼結物のレーザー非照射部側表層部の断面を示すSEM画像である。
[図11] 図9の点線包囲部の拡大画像である。
[図12] 実施例1-2で得られた焼結物のレーザー照射部の表面を示すSEM画像である。
[図13] 実施例1-2で得られた焼結物のレーザー照射部側表層部の断面を示すSEM画像である。
[図14] 実施例1-3で得られた積層焼結物の積層界面を示すSEM画像である。
[図15] 本発明における第1態様のセラミックス成形体の製造方法の1例を示す概略図である。
[図16] 本発明における第1態様のセラミックス成形体の製造方法の他例を示す概略図である。
[図17] 実施例2-1で得られたセラミックス成形体の表層部を示す断面画像である。
[図18] 本発明における第2態様のセラミックス成形体の製造方法において塗膜付き基材が載置される熱源(熱処理部)に形成されている凸部を上から見た概略図である。(A)及び(B)は、凸部のパターンが点である熱源を示し、(C)及び(D)は、凸部のパターンが線の組合せである熱源を示す。
[図19] 本発明における第2態様のセラミックス成形体の製造方法において、塗膜付き基材を加熱し脱脂する方法の1例を示す概略断面図である。
[図20] 本発明における第2態様のセラミックス成形体の製造方法において、塗膜付き基材の加熱し脱脂する方法の他例を示す概略断面図である。
[図21] 実施例3-1で得られたセラミックス成形体を示す画像である。
[図22] 実施例3-1で得られたセラミックス成形体の断面を示す画像である。
[図23] 実施例3-2で得られたセラミックス成形体を示す画像である。
[図24] 比較例3-1で得られたセラミックス成形体を示す画像である。
[図25] 塗膜付き基材を均一加熱し脱脂する方法の1例を示す概略断面図である。

発明を実施するための形態

[0013]
 本発明の焼結方法は、焼結用セラミックスからなる物品の表面に、炭素粉末を含む層を形成し、次いで、得られた積層物における炭素粉末含有層の表面にレーザーを照射することを特徴とする。
 以下、図1を用いて説明する。
[0014]
 図1(A)は、焼結用セラミックスからなる物品12の表面に形成された炭素粉末含有層14の所定位置にレーザーを照射する説明図であり、図1(B)は、炭素粉末含有層14におけるレーザー照射部の下地側の焼結用セラミックスが焼結されて、焼結部16が形成されたことを示す説明図である。積層物10における炭素粉末含有層14にレーザーを照射すると、レーザー照射部では、炭素粉末がレーザーのエネルギーを吸収して発熱すると同時に、瞬時に消失する。そして、下地側の焼結用セラミックスは800℃以上(推定温度)に予熱され、消失部(物品12における焼結用セラミックスの露出部)が更にレーザーを受光することで温度上昇が進行して焼結され、焼結部16が形成される。尚、図1(B)の焼結部16は、1面側から他面側に焼結されたものとしているが、物品12の厚さ、レーザーの照射条件等により、表面層のみを焼結部16とすることもできる。
[0015]
 上記物品12を構成する焼結用セラミックスは、好ましくは、酸化物、窒化物、酸窒化物等であり、これらのうち、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
 酸化物としては、酸化アルミニウム、ムライト、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム等を用いることができる。
 窒化物としては、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化タンタル、窒化鉄等を用いることができる。
 酸窒化物としては、サイアロン、酸窒化珪素等を用いることができる。
[0016]
 上記物品12は、焼結用セラミックス粒子の集合体からなることが好ましい。この場合、粒子の形状及び大きさは、特に限定されない。粒子形状は、いずれも中実体の、球状、楕円球状、多面体状、線状、板状、不定形状等とすることができる。粒子の平均粒子径は、好ましくは10nm~100μm、より好ましくは100nm~10μmである。上記物品12に含まれる粒子の密度は、形成される焼結部の強度、焼結時間等の観点から、好ましくは40体積%以上、より好ましくは70体積%以上である。
[0017]
 上記物品12の形状は、特に限定されず、平板状、曲板状、棒状、筒状、塊状、又は、これらの組み合わせ若しくはこれらの変形形状とすることができる。
[0018]
 上記物品12の表面への炭素粉末含有層14の形成方法は、特に限定されない。炭素粉末のみ、又は、炭素粉末と、バインダーとを含有する組成物、又は、炭素粉末と、有機溶剤とを含有する組成物を用いて、スプレー等による散布法、スクリーン印刷等の印刷法、ドクターブレード法、スピンコート法、カーテンコーター法等の塗布法等により、上記物品12の表面における所望の位置(一部又は全面)に炭素粉末含有層14を形成することができる。炭素粉末含有層14に含まれる炭素粉末の含有割合は、円滑な焼結性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
[0019]
 上記炭素粉末含有層14の厚さは、特に限定されないが、円滑な焼結性の観点から、好ましくは5nm~30μm、より好ましくは100nm~10μmである。
[0020]
 上記炭素粉末含有層14にレーザーを照射する場合、円滑な焼結性の観点から、500nm~11μmの波長のレーザーを用いることが好ましい。例えば、Nd:YAGレーザー、Nd:YVOレーザー、Nd:YLFレーザー、チタンサファイアレーザー、炭酸ガスレーザー等を用いることができる。
[0021]
 レーザーの照射条件は、焼結用セラミックスの種類、焼結面積、焼結深さ等により、適宜、選択される。レーザー出力は、円滑な焼結性の観点から、好ましくは50~2000W/cm 、より好ましくは100~500W/cm である。また、照射時間は、好ましくは1秒間~60分間、より好ましくは5秒間~30分間である。
 上記炭素粉末含有層14にレーザーを照射する場合、その雰囲気は、特に限定されず、大気、窒素、アルゴン、ヘリウム等とすることができる。また、レーザーを照射する前の上記物品12又は炭素粉末含有層14に対して、予熱してもよい。予熱温度は、好ましくは300℃以上、より好ましくは400℃以上であり、上限は、通常、焼結用セラミックスの融点より200℃以上低い温度である。予熱方法は、特に限定されず、赤外線ランプ、ハロゲンランプ、抵抗加熱、高周波誘導加熱、マイクロ波加熱等とすることができる。
 積層物10における炭素粉末含有層14の全面にレーザー照射を行った場合には、炭素粉末含有層14におけるレーザー照射部の下地側の全面を焼結部16とすることができるので、上記物品12に対して大面積の焼結を行う場合、積層物10を固定した状態でレーザーをスキャンさせながら若しくは光拡散レンズを介して光路を変化させながら照射する方法、又は、積層物10を移動させながら、光路を固定したレーザーを照射する方法を適用することができる。
[0022]
 積層物10における炭素粉末含有層14にだけでなく、炭素粉末含有層が形成されていない焼結用セラミックスに対して、レーザーを照射すると、そのエネルギー積算量が高いほど、深さ方向に十分な焼結を進めることができる。しかしながら、同じ深さまでの表面層を焼結させたり、炭素粉末含有層における照射部の下地側であって、1面側から他面側に渡る断面部分全体を焼結させたりするのに必要な時間は、大きく異なり、本発明の方法は、炭素粉末含有層が形成されていない焼結用セラミックスに対して、レーザーを照射する方法よりも、短時間化が可能であり、有用である。
[0023]
 尚、上記のレーザー照射条件を、例えば、平板状の積層物10に適用した場合、表面から300μm程度の深さまでの焼結を効率よく行うことができる。従って、積層物10を固定した状態でレーザーをスキャンさせながら若しくは光拡散レンズを介して光路を変化させながら照射する方法、又は、積層物10を移動させながら、光路を固定したレーザーを照射する方法においても、特定の部分において、表面から所望の深さまでの焼結を行うことができる。
[0024]
 本発明の焼結物の製造方法は、焼結用セラミックスからなる非焼結部を備える物品(原料物品)の該非焼結部の表面に、炭素粉末を含む層を形成する工程と、得られた積層物における炭素粉末含有層の表面にレーザーを照射して、照射部の下地側に位置する焼結用セラミックスを焼結させる工程とを、順次、備える。原料物品における非焼結部を構成する焼結用セラミックスは、上記のように、酸化物、窒化物、酸窒化物等とすることができる。また、原料物品における非焼結部の表面に炭素粉末含有層を形成する方法、及び、レーザーの照射方法(レーザーの種類、波長、照射条件等)もまた、上記の通りである。
[0025]
 本発明では、図1に示す方法で焼結物20を製造する以外に、例えば、図2に示す方法で焼結物20を製造することができる。
 図2(A)は、焼結用セラミックス以外の材料からなる物品11が有する凹部に充填形成されている、焼結用セラミックスからなる非焼結部15の表面に炭素粉末含有層14を配設した積層物10の該炭素粉末含有層14に(図示していない光源から)レーザーを照射する説明図である。図2(B)は、炭素粉末含有層14を介して非焼結部15に照射されたレーザーのエネルギーにより非焼結部15が焼結されて、焼結部16が形成されたことを示す説明図である。
[0026]
 以上のように、本発明により、焼結物を効率よく製造することができる。また、本発明により、3次元立体構造の焼結部を有する物品を製造することもできる。このような物品を製造する場合には、例えば、積層物10における炭素粉末含有層14の下地側の非焼結部15へのエネルギーを変化させながら、炭素粉末含有層14にレーザーをスキャンする方法を適用することができる。
[0027]
 次に、本発明の造形物の製造方法は、焼結用セラミックスからなる非焼結部を備える物品(原料物品)の該非焼結部の表面に、炭素粉末を含む層を形成する第1工程と、得られた積層物における炭素粉末含有層の表面にレーザーを照射して、照射部の下地側に位置する焼結用セラミックスを焼結させる第2工程とを、順次、行った後、焼結部の表面に、焼結用セラミックスからなる非焼結部を形成する第3工程とを備え、該第3工程の後、上記第1工程及び上記第2工程を繰り返し行うことを特徴とする。
 以下、図3、図4及び図5を用いて説明する。
[0028]
 図3は、図3(7)に示される、3次元立体構造を有する造形物40Aを製造する方法を示す概略図である。
 図3(1)は、板状の原料物品10を示す断面図であり、板状の基材からなる基部11と、その1面側に形成された、焼結用セラミックスからなる非焼結部(非焼結層)12Aとを備える。基部11を構成する基材は、金属、合金及びセラミックスから選ばれた少なくとも1種からなることが好ましい。非焼結部(非焼結層)12Aは、溶射法、電子ビーム物理蒸着法、レーザー化学蒸着法、コールドスプレー法、焼結用セラミックス粒子、分散媒及び必要に応じて用いられる高分子バインダーを含むスラリーを塗布した後、乾燥を行い、更に脱脂する方法等の、従来、公知の方法で形成することができる。基部11及び非焼結部(非焼結層)12Aは、接合されていてよいし、接合されずに、非焼結部(非焼結層)12Aが基部11の上に載置されていてもよい。
 はじめに、原料物品10を第1工程に供し、非焼結部(非焼結層)12Aの表面に炭素粉末含有層14Aを形成し、積層物10Aを得る(図3(2)参照)。この第1工程では、上記の炭素粉末含有層の形成方法を適用することができる。そして、この積層物10Aを第2工程に供し、図3(2)に示される領域R1に対して、レーザーを照射し、非焼結部(非焼結層)12Aの表面から基部11に至る深さまでの焼結用セラミックスを焼結して、焼結部(焼結層)16Aを形成する(図3(3)参照)。この第2工程では、上記のレーザーの照射方法(レーザーの種類、波長、照射条件等)を適用することができ、積層物10Aを固定した状態で、レーザーをスキャンさせながら若しくは光拡散レンズを介して光路を変化させながら照射する、又は、積層物10Aを移動させながら、光路を固定したレーザーを照射する方法とすることができる。尚、第2工程を行った直後において、図3(3)における非焼結部13Aの表面には、炭素粉末含有層(図3(2)における領域R1の周縁の炭素粉末含有層)が残存するが、図3(3)においては、この表示を省略している。
 次に、図3(3)の焼結物を第3工程に供し、この焼結物における少なくとも焼結部(焼結層)16Aの表面に、焼結用セラミックスからなる非焼結部(非焼結層)12Bを形成する(図3(4)参照)。この第3工程で用いる焼結用セラミックスは、非焼結部(非焼結層)12Aを構成する焼結用セラミックスと同一であってよいし、異なってもよい。この非焼結部(非焼結層)12Bは、非焼結部(非焼結層)12Aと同様にして形成することができるが、焼結用セラミックスの粒子と、分散媒とを含有するスラリーを、焼結部(焼結層)16A及び非焼結部13Bの表面に、これらを加熱した状態で、少なくとも焼結部(焼結層)16Aの表面に噴霧することにより、後に繰り返される第1工程及び第2工程による焼結時に、界面剥離等の不具合が抑制された一体化物を効率よく形成することができる。上記スラリーは、好ましくは、水又はアルコールを主とし、必要に応じて、界面活性剤を含む分散媒に焼結用セラミックス粒子を、好ましくは5~80体積%、より好ましくは10~60体積%程度の含有割合で分散させたものである。尚、スラリーを噴霧する際の焼結部(焼結層)16A及び非焼結部13Bの加熱温度は、特に限定されないが、通常、120℃~400℃である。
 上記非焼結部(非焼結層)12Bの厚さは、好ましくは1~1000μm、より好ましくは100~500μmである。
[0029]
 その後、上記と同様にして、2回目の第1工程を行い、非焼結部(非焼結層)12Bの表面に炭素粉末含有層14Bを形成し、積層物10Bを得る(図3(5)参照)。そして、この積層物10Bを、2回目の第2工程に供し、図3(5)に示される領域R2に対して、上記と同様にしてレーザーを照射し、非焼結部(非焼結層)12Bの表面から焼結部(焼結層)16Aに至る深さまでの焼結用セラミックスを焼結して、焼結部(焼結層)16Aを含み、一体化した焼結部(焼結層)16Bを形成する(図3(6)参照)。図3(6)は、焼結部(焼結層)16Bが、その上側露出部を除き、図3(4)及び(5)における非焼結部13Aを含むように形成された非焼結部13Bの中に埋設されたことを示す。非焼結部(非焼結層)12A及び12Bが、焼結用セラミックス粒子からなる場合、非焼結部13Bは、高圧スプレー、超音波洗浄、サンドブラスト等により、容易に除去することができ、これにより、図3(7)に示される、基部11の1面側に形成された造形物40Aを得ることができる。
[0030]
 図3を用いた造形物の製造方法の説明において、第1工程による炭素粉末含有層14A等、及び、第3工程による非焼結部(非焼結層)12B等は、下地に対して、基部11の表面積と同じ表面の全体に積層したものとしているが、これに限定されず、焼結部(焼結層)16Aの表面に含まれる焼結部(焼結層)であって、焼結部(焼結層)16Aの表面に形成させて焼結部(焼結層)16Bを得る場合には、例えば、図3(4)における非焼結部(非焼結層)12Bを、焼結部(焼結層)16Aの表面のみに形成し、図3(5)における炭素粉末含有層14Bを、非焼結部(非焼結層)12Bの表面における領域R1に相当する部分のみに形成してもよい。
[0031]
 図4は、図4(17)に示される、3次元立体構造を有する造形物40Aを製造する方法を示す概略図である。図4(11)~(14)は、図3(1)~(4)に係る上記記載を適用することができる。
 図4(15)は、2回目の第1工程を示し、非焼結部(非焼結層)12Bの表面の一部(図4(16)の符号16Bの上面に相当する部分)に炭素粉末含有層14Cを形成し、積層物10Cを得る。そして、この積層物10Cを、2回目の第2工程に供し、図4(15)に示される領域R3に対して、上記と同様にしてレーザーを照射し、炭素粉末含有層14Cの下方側の、非焼結部(非焼結層)12Bの表面から焼結部(焼結層)16Aに至る深さまでの焼結用セラミックスを焼結して、焼結部(焼結層)16Aを含み、一体化した焼結部(焼結層)16Bを形成する(図4(16)参照)。この方法の場合、レーザーの照射面が炭素粉末含有層14C以外の部分を含むようにしているが、炭素粉末含有層14Cにおいて焼結温度に達しやすいため、図4(16)の焼結部(焼結層)16Bを効率よく形成することができる。図4(16)は、焼結部(焼結層)16Bが、その上側露出部を除き、図4(14)及び(15)における非焼結部13Aを含むように形成された非焼結部13Bの中に埋設されたことを示す。非焼結部(非焼結層)12A及び12Bが、焼結用セラミックス粒子からなる場合、図3と同様に、非焼結部13Bは、高圧スプレー、超音波洗浄、サンドブラスト等により、容易に除去することができ、これにより、図4(17)に示される、基部11の1面側に形成された造形物40Aを得ることができる。
[0032]
 図5は、図3(6)に示される焼結部(焼結層)16Bを含む積層材料又は図4(16)に示される焼結部(焼結層)16Bを含む積層材料を用い、図5(24)に示される3次元立体構造を有する造形物40Bを製造する方法を示す概略図である。
 図5(21)は、図3(6)の焼結物16Bを含む積層材料又は図4(16)に示される焼結部(焼結層)16Bを含む積層材料を第3工程に供し、焼結部(焼結層)16B及び非焼結部13Bの表面に、非焼結部(非焼結層)12Dが形成されたことを示す断面図である。この非焼結部(非焼結層)12Dは、非焼結部(非焼結層)12A及び12Bと同様にして形成することができる。非焼結部(非焼結層)12Dの厚さも、上記と同様とすることができる。
 その後、非焼結部(非焼結層)12Dの表面に炭素粉末含有層14Dを形成する第1工程により、積層物10Dを得る。そして、この積層物10Dを第2工程に供し、図5(22)に示される領域R3に対して、非焼結部13Bにおける領域13Xを焼結させない条件でレーザーを照射し、非焼結部(非焼結層)12Dの表面から焼結部(焼結層)16Bの凸部上面に至る深さまでの焼結用セラミックスを焼結して、焼結部(焼結層)16Dを形成する(図5(23)参照)。図5(23)は、焼結部(焼結層)16Dが、その上側露出部を除き、図5(21)及び(22)における非焼結部(非焼結層)13Bを含むように形成された非焼結部13Dの中に埋設されたことを示す。非焼結部(非焼結層)12A、12B及び12Dが、焼結用セラミックス粒子からなる場合、非焼結部13Dは、上記と同様にして、容易に除去することができ、これにより、図5(24)に示される、基部11の1面側に形成された造形物40Bを得ることができる。
[0033]
 本発明における第1態様のセラミックス成形体の製造方法は、セラミックス粒子及び分散媒を含有し、該セラミックス粒子の濃度が5~80体積%であるスラリーを、加熱された基材の表面に噴霧する工程(以下、「噴霧工程」という)を備えることを特徴とする。
[0034]
 上記噴霧工程で用いるスラリーは、セラミックス粒子及び分散媒を含有するセラミックス粒子分散液である。
[0035]
 上記セラミックス粒子は、好ましくは、酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物、炭窒化物等の無機化合物からなる粒子である。上記スラリーに含まれるセラミックス粒子の種類は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
 酸化物としては、酸化アルミニウム、ムライト、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム等を用いることができる。
 窒化物としては、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化タンタル、窒化鉄等を用いることができる。
 酸窒化物としては、サイアロン、酸窒化珪素等を用いることができる。
 炭化物としては、炭化珪素、炭化チタン、炭化ホウ素等を用いることができる。
 炭窒化物としては、炭窒化チタン、炭窒化ニオブ、炭窒化ジルコニウム等を用いることができる。
[0036]
 上記セラミックス粒子の形状は、特に限定されないが、いずれも中実体の、球状、楕円球状、多面体状、線状、板状、不定形状等とすることができる。また、上記セラミックス粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは10nm~100μm、より好ましくは100nm~10μmである。尚、2種以上の異なる形状のセラミックス粒子を用いるか、又は、粒子径の異なるセラミックス粒子を用いることにより、高密度のセラミックス成形体を効率よく製造することができる。
[0037]
 上記スラリーに含まれるセラミックス粒子の濃度は、高密度のセラミックス成形体の効率的な製造の観点から、5~80体積%、好ましくは10~60体積%、更に好ましくは20~40体積%である。
[0038]
 上記分散媒の主成分は、水及び有機溶剤のいずれでもよく、これらの組み合わせでもよい。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、グリコール、グリセリン、アセトニトリル、ジオキサン、乳酸エステル、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらのうち、アルコールが好ましい。
 本発明においては、水、又は、水及びアルコールの組み合わせとすることが特に好ましい。水及びアルコールを組み合わせる場合、これらの使用量の割合は、特に限定されないが、水100質量部に対して、アルコール20~80質量部を用いることが好ましい。
[0039]
 上記分散媒は、水、又は、水及びアルコールと、分散剤とからなるものであってもよい。
 上記分散剤としては、従来、公知の界面活性剤(アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤)を用いることができる。
 アニオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、カルボン酸塩、リン酸エステル塩、ホスホン酸塩等の水に可溶な塩が挙げられ、これらの可溶性塩の種類として、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等を用いることができる。
 カチオン性界面活性剤としては、造塩し得る第1~第3級アミンを含有するアミン塩、これらの変性塩、第4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩等のオニウム化合物、ピリジニウム塩、キノリニウム塩、イミダゾリニウム塩等の環状窒素化合物、複素環化合物等が挙げられる。
 ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のエーテル型、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル等のエーテルエステル型、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等のエステル型、酸化エチレンを付加重合させて得られた、酸化エチレン縮合型等の界面活性剤を用いることができる。
[0040]
 上記分散媒が分散剤を含む場合の分散剤の含有割合は、特に限定されないが、スラリーの安定性及びミスト形成性の観点から、上記セラミックス粒子100体積部に対して、好ましくは0.1~10体積部、より好ましくは0.1~0.5体積部である。
[0041]
 本発明における第1態様の製造方法により得られるセラミックス成形体は、後述のように、焼結体の製造原料、粒子配列体、粒子充填体等、広い用途で用いることができる。従って、上記スラリーは、ミストを形成できる限りにおいて、他の成分を含有することができる。他の成分としては、高分子バインダー等の粘性物質、焼結助剤、表面修飾剤等が挙げられる。
[0042]
 上記高分子バインダーは、水及び有機溶剤の少なくとも一方からなる媒体に溶解又は分散するものであれば、特に限定されず、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル系ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール等を用いることができる。
[0043]
 上記スラリーが高分子バインダーを含有する場合、その濃度の上限は、ミスト形成性の観点から、好ましくは5体積%、より好ましくは3体積%、更に好ましくは1体積%である。
[0044]
 上記噴霧工程で用いるスラリーの温度は、特に限定されないが、通常、10℃~80℃である。
[0045]
 上記噴霧工程では、スラリーのミストが、通常、150℃以上であり、且つ、400℃未満以下、好ましくは200℃~300℃の温度に加熱された基材の表面に供給される。上記基材は、上記温度において変質又は変形しないものであれば、特に限定されない。上記基材を構成する材料は、通常、無機材料であり、金属(合金を含む)及びセラミックスのいずれでもよく、これらの複合物であってもよい。また、上記基材は、この噴霧工程により、セラミックス成形体と一体化する材料からなるものであってもよい。
 また、上記基材の表面(ミストの堆積面)の形状は、平坦であってよいし、凹部又は凸部を有するものであってもよい。
 上記基材は、抵抗加熱ヒーター、赤外線ランプ加熱ヒーター、マイクロ波加熱ヒーター、高周波誘導加熱ヒーター等により加熱することができ、上記基材におけるスラリーの噴霧面に加熱してもよいし、裏面側から加熱してもよい。
[0046]
 上記基材に対するスラリーの供給速度、即ち、ミストの供給速度は、特に限定されない。本発明においては、基材へのミストの付着、分散媒の揮発及びセラミックス粒子の高密度化が円滑に進行することから、好ましくは0.1~200mL/分、より好ましくは0.5~100mL/分である。尚、ミストの形状及び大きさは、セラミックス粒子のサイズ、スラリーに含まれるセラミックス粒子の濃度等に依存し、特に限定されない。
 上記スラリーの噴霧方法は、基材の形状、スラリーの供給速度等により、適宜、選択され、特に限定されない。従来、公知のスプレーノズルを用いて、基材の特定の位置に向かって、直線的若しくは広角に、連続的又は間欠的にスラリーを噴霧する方法とすることができる。このとき、ミストを、自然落下させたり、高圧ガス等を用いて基材への気流に乗せたり、帯電させたりすることができる。
[0047]
 目的のセラミックス成形体は、1種のみのセラミックス粒子からなるものであってよいし、2種以上のセラミックス粒子からなるものであってもよいが、2種以上のセラミックス粒子からなるものとする場合、1種のみのセラミックス粒子を含むスラリーを複数用いて個々に噴霧する方法、及び、全種類のセラミックス粒子を含むスラリーを噴霧する方法のいずれを適用してもよい。
 また、スプレーノズルと基材との間の雰囲気は、空気、酸素ガス、オゾンガス、窒素ガス、アンモニアガス、NOガス、NO ガス、N Oガス、CNガス、メタン-アンモニア混合ガス、CO-アンモニア混合ガス、CO -アンモニア混合ガス、メタンガス、COガス、CO ガス、HSガス、SOガス、SO ガス、SO ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等から選ばれたガス又は真空中とすることができる。
[0048]
 上記噴霧工程は、目的のセラミックス成形体の形状、サイズ等に応じて、スプレーノズル及び基材のいずれか一方又は両方を移動させながら、進めることができる。例えば、基材が柱状であって、その表面全体にセラミックス成形体を形成させる場合、基材を回転させながら、所定の位置に向かってスラリーを噴霧する方法とすることができる。
[0049]
 本発明における第1態様のセラミックス成形体の製造方法によれば、セラミックス粒子の充填密度(かさ密度法)が85%以上と高いセラミックス成形体を効率よく製造することができる。
[0050]
 本発明における第1態様のセラミックス成形体の製造方法を適用する製造装置(以下、「本発明の第1製造装置」という)は、セラミックス粒子及び分散媒を含有するスラリーを基材60に噴霧するスラリー噴霧部52と、基材60を加熱する基材加熱部54とを備える。
 本発明の第1製造装置は、密閉系の装置であってよいし、開放系の装置であってもよい。
 本発明の第1製造装置は、いずれも、図示していないが、基材60の温度を測定する温度測定部、雰囲気調整部、排気部、スラリー塗布厚み測定部等を更に備えることができる。
[0051]
 本発明の第1製造装置は、図15及び図16に例示されるが、これらに限定されない。
 図15は、例えば、板状の基材60を、熱伝導性が良好な材料からなる、又は、上下方向に通気性を有する構造を備える基材載置ステージ56の上に載置した状態で、その下方側に配置された基材加熱部54を駆動させて基材60を加熱し、基材60の上方に配置されたスラリー噴霧部52から、スラリーを噴霧して、セラミックス成形体を製造する装置50である。
 また、図16は、例えば、環状構造を有する基材60を、回転可能な円筒状の基材載置ステージ56に外嵌した状態で、その両側に配置された基材加熱部54を駆動させて基材60を加熱し、基材載置ステージ56の上方に配置されたスラリー噴霧部52から、スラリーを噴霧して、セラミックス成形体を製造する装置50である。
[0052]
 上記スラリー噴霧部52は、固定タイプ及び可動タイプのいずれでもよく、また、基材60の特定の位置に向かって、直線的若しくは広角に、連続的又は間欠的にスラリーを噴霧することができる。スラリーを噴霧する場合、自然落下を利用したり、高圧ガスを利用したり、基材への気流を利用したり、帯電ミストを利用したりすることができる。帯電ミストを利用する場合、静電噴霧手段を利用することができる。
[0053]
 上記基材加熱部54は、基材の形状に応じて、直接加熱、又は、隔壁等の介在物を介して間接加熱させるものであり、抵抗加熱ヒーター、赤外線ランプ加熱ヒーター、マイクロ波加熱ヒーター、高周波誘導加熱ヒーター、レーザー光加熱ヒーター等を利用することができる。図15において、基材60を、基材載置ステージ56の上に載置しているが、これに限定されず、必要に応じて、基材加熱部54の上に載置してもよい。
[0054]
 図15及び図16においては、スラリー噴霧部52を1体のみ備えるものとしているが、これに限定されず、1種のみのセラミックス粒子を含むスラリーの複数を個々に噴霧する複数体のスラリー噴霧部52を備えるものであってもよい。また、コンベア等の利用により基材を移動させながら、互いに異なるセラミックス粒子からなるように多層形成するため、いずれも複数のスラリー噴霧部52及び基材加熱部54を備える第1製造装置とすることもできる。
[0055]
 本発明における第2態様のセラミックス成形体の製造方法は、セラミックス粒子及び高分子バインダーを含有するスラリーを基材の表面に塗布する塗布工程と、該塗布工程により得られた塗膜付き基材を、該塗膜付き基材の下方から加熱して塗膜の脱脂を行う脱脂工程とを、順次、備え、脱脂工程において、塗膜付き基材の下面を不均一加熱することを特徴とする。この製造方法では、塗布工程及び脱脂工程を繰り返し行うことができる。
[0056]
 上記塗布工程で用いるスラリーは、セラミックス粒子及び高分子バインダーを含有し、通常、水又は有機溶剤からなる媒体を含有する。
 上記セラミックス粒子は、好ましくは、酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物、炭窒化物等の無機化合物からなる粒子である。上記スラリーに含まれるセラミックス粒子の種類は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
 酸化物としては、酸化アルミニウム、ムライト、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム等を用いることができる。
 窒化物としては、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化タンタル、窒化鉄等を用いることができる。
 酸窒化物としては、サイアロン、酸窒化珪素等を用いることができる。
 炭化物としては、炭化珪素、炭化チタン、炭化ホウ素等を用いることができる。
 炭窒化物としては、炭窒化チタン、炭窒化ニオブ、炭窒化ジルコニウム等を用いることができる。
[0057]
 上記セラミックス粒子の形状は、特に限定されないが、いずれも中実体の、球状、楕円球状、多面体状、線状、板状、不定形状等とすることができる。また、上記セラミックス粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは10nm~100μm、より好ましくは100nm~10μmである。尚、2種以上の異なる形状のセラミックス粒子を用いるか、又は、粒子径の異なるセラミックス粒子を用いることにより、高密度のセラミックス成形体を効率よく製造することができる。
[0058]
 上記スラリーに含まれるセラミックス粒子の濃度は、高密度のセラミックス成形体の効率的な製造の観点から、好ましくは30~80体積%、より好ましくは40~70体積%、更に好ましくは50~60体積%である。
[0059]
 上記高分子バインダーは、水及び有機溶剤の少なくとも一方からなる媒体に溶解又は分散するものであれば、特に限定されない。本発明においては、水を主とする媒体を用いることが好ましく、この場合、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル系ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール等が好ましい。
[0060]
 上記スラリーに含まれる高分子バインダーの濃度は、高密度のセラミックス成形体の効率的な製造の観点から、好ましくは0.1~20体積%、より好ましくは1~10体積%、更に好ましくは2~5体積%である。
[0061]
 本発明における第2態様の製造方法により得られるセラミックス成形体は、後述のように、焼結体の製造原料、粒子配列体、粒子充填体等、広い用途で用いることができるので、上記スラリーは、他の成分として、分散剤、焼結助剤、表面修飾剤等を含有することができる。
[0062]
 上記塗布工程では、スラリーを基材の表面に塗布する。上記基材は、脱脂工程において変質又は変形しないものであれば、特に限定されない。上記基材を構成する材料は、通常、無機材料であり、金属(合金を含む)及びセラミックスのいずれでもよく、これらの複合物であってもよい。また、脱脂工程における加熱により、基材とセラミックス成形体とが一体化するものであってもよい。
 また、上記基材の形状は、特に限定されず、通常、スラリーの塗布面を平坦としたものが用いられるが、スラリーの塗布面に凹部又は凸部が形成されたものであってもよい。
[0063]
 上記塗布工程において、スラリーを基材の表面に塗布する方法は、特に限定されないが、通常、基材の表面形状、スラリーの構成成分等に応じて、適宜、選択される。好ましい塗布方法は、スクリーン印刷、ドクターブレード法、スピンコート法、カーテンコーター法、ディップコート法等である。
[0064]
 上記塗布工程により得られる塗膜の厚さの上限は、セラミックス成形体の効率的な製造の観点から、好ましくは10mm、より好ましくは500μmである。
 上記塗布工程により得られた塗膜付き基材は、直ぐに、脱脂工程に供してよいし、塗膜の変形を抑制する、脱泡する、高分子バインダーを固化させる等の目的で、上限を10時間とした静置を行ってもよい。
[0065]
 上記脱脂工程では、塗膜付き基材を、その下方から加熱し、この塗膜付き基材の下面に対して不均一加熱を行う。「不均一加熱」とは、塗膜付き基材を、好ましくは水平方向に配置し、その加熱開始時において、塗膜付き基材の下面のうち、所望の温度で加熱される部分と、それより低い温度で加熱される部分とが形成されるように、部分的に温度差が生じるように加熱することである。これにより、得られるセラミックス成形体の変形が抑制され、割れの発生も抑制される。本発明において、基材75の表面に塗膜80が形成されてなる塗膜付き基材の下面を不均一に加熱する方法は、特に限定されない。例えば、図19に示すように、塗膜付き基材を、凸部を有する熱源70の該凸部の上に載置し、この凸部の形状(塗膜付き基材の下面と接触する部分の平面形状)を、図18に示す点、線等とした熱源により加熱する方法(以下、「方法(1)」という)や、図20に示すように、塗膜付き基材を、その下面の一部が熱源71に対して露出するように断熱材78の上に載置した状態で加熱する方法(以下、「方法(2)」という)等が挙げられる。
[0066]
 上記方法(1)は、図19に示され、所定の温度に加熱された熱源70の凸部の上に塗膜付き基材を載置する方法である。例えば、図18に示す点、線等のパターン部を有する凸部の直上における基材及び塗膜は、所定温度で瞬時に加熱され、高分子バインダーがガス化し、発生したガスは、塗膜中において、凸部の直上の脱脂部から離れる方向に流れるとともに、伝熱されて、徐々に脱脂される。即ち、基材75が凸部と接触していない部分の塗膜は、初期においては、所定温度より低い温度で加熱され、脱脂が不完全であるが、時間の経過とともに、所定温度に達し、十分に脱脂されたセラミックス成形体82が得られる。基材75及び塗膜80の全面が均一に加熱されると、図25に示すように、変形、割れ等が顕著なセラミックス成形体82が得られるが、本発明では、これが抑制される。
 上記方法(1)により塗膜付き基材を加熱する場合、熱源70としては、いずれも、凸部を有するヒーターを用いることが好ましく、抵抗加熱ヒーター、赤外線ランプ加熱ヒーター、マイクロ波加熱ヒーター、高周波誘導加熱ヒーター等を用いることができる。
[0067]
 上記方法(2)は、図20に示され、所定の温度に加熱された熱源71の上方に、断熱材78の上であって、基材75の下面の一部が露出するように塗膜付き基材を載置する方法である。下面側が露出した基材75の上の塗膜は、所定温度で瞬時に加熱され、高分子バインダーがガス化し、発生したガスは、塗膜中において、断熱材78の直上の方に流れるとともに、伝熱されて、徐々に脱脂される。即ち、基材75が断熱材78と接触している部分の塗膜は、初期においては、所定温度より低い温度で加熱され、脱脂が不完全であるが、時間の経過とともに、所定温度に達し、十分に脱脂されたセラミックス成形体82が得られる。尚、断熱材78は、セラミックス等からなる中実体又は多孔体等とすることができる。
 上記方法(2)により塗膜付き基材を加熱する場合、熱源71としては、抵抗加熱ヒーター、赤外線ランプ加熱ヒーター、マイクロ波加熱ヒーター、高周波誘導加熱ヒーター等を用いることができる。尚、これらのヒーターは、基材75側に凸部を有してもよい。
[0068]
 上記脱脂工程における加熱温度は、セラミックス粒子の種類、高分子バインダーの種類等に応じて、適宜、選択されるが、好ましくは200℃以上、より好ましくは300℃以上である。尚、高密度のセラミックス成形体が効率よく得られることから、加熱温度の上限は、通常、500℃である。上記塗膜付き基材の加熱は、終始、一定温度で行ってよいし、昇温を組み合わせた方法で行ってもよい。
 上記塗膜付き基材の加熱時間は、塗膜の厚さ、面積等により、適宜、選択されるが、好ましくは1~30分間、より好ましくは3~15分間、更に好ましくは5~10分間である。
 上記塗膜付き基材の加熱は、その下面、即ち、基材に対して行うものである。本発明においては、基材に対する加熱と、塗膜面に対する加熱とを行ってもよいが、その場合、塗膜面に対する加熱の上限温度(雰囲気温度)は、通常、300℃、好ましくは150~200℃である。塗膜面の加熱温度が高すぎると、塗膜の割れや変形が発生する場合がある。
 上記脱脂工程における加熱雰囲気は、セラミックス粒子の種類等により、適宜、選択され、大気、酸素ガス、窒素ガス、アルゴンガス等とすることができる。
 上記脱脂工程では、塗膜の表面の一部又は全面に耐熱性部材を載置した状態で塗膜付き基材の加熱を行ってもよい。
[0069]
 上記脱脂工程により、上記塗布工程による塗膜の厚さに対して、通常、30~70%の厚さに収縮した脱脂皮膜(セラミックス成形体)が得られる。スラリーに含まれるセラミックス粒子の種類及び基材の構成材料によっては、脱脂皮膜及び基材を一体化させることができる。
[0070]
 本発明においては、上記のように、塗布工程及び脱脂工程を繰り返すことができる。即ち、1回目の製造で得られた脱脂皮膜の全面又は一部表面に対して、更に、これらの工程を繰り返すと、厚肉化や、部分的に積層することによる立体化を行うことができる。尚、塗布工程及び脱脂工程を繰り返すに際して、塗布工程で用いるスラリーの構成(セラミックス粒子の種類、濃度等)を変化させてもよい。
[0071]
 本発明により、一定体積に占めるセラミックス粒子の合計体積の割合、即ち、充填密度が、好ましくは74%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上であるセラミックス成形体を得ることができる。尚、この充填密度は、アルキメデス法、かさ密度法等により測定することができる。
[0072]
 本発明における第2態様のセラミックス成形体の製造方法を適用する製造装置(以下、「本発明の第2製造装置」という)は、セラミックス粒子及び高分子バインダーを含有するスラリーを基材の表面に塗布して形成された塗膜付き基材を載置し、且つ、該塗膜付き基材を下方から加熱する熱処理部を備え、上記熱処理部は、上記塗膜付き基材の基材部と点接触又は線接触する凸部を含むことを特徴とする。
[0073]
 上記熱処理部は、塗膜付き基材をその基材部で加熱するものであり、基材部と点接触又は線接触する凸部の平面形状は、例えば、図18に示されたものとすることができる。図18は、塗膜付き基材を載置する熱処理部に形成されている凸部を上から見た図であり、いずれも、塗膜付き基材を傾斜させることなく安定して支持し、不均一加熱することができる平面形状を例示したものである。(A)は、平面形状が円形の凸部を、(B)は、平面形状が四角形の凸部(4箇所)を、(C)は、三角形の外形線からなる凸部を、(D)は、十字線からなる凸部を、それぞれ示す。
 上記熱処理部は、抵抗加熱ヒーター、赤外線ランプ加熱ヒーター、マイクロ波加熱ヒーター、高周波誘導加熱ヒーター等により構成されていることが好ましい。
[0074]
 本発明の第2製造装置は、上記のように、特定の熱処理部を備え、塗膜付き基材を下方から加熱する構造を有する限りにおいて、他の構成要素は、特に限定されない。また、本発明の第2製造装置は、密閉系の装置であってよいし、開放系の装置であってもよい。また、バッチ式及び連続式のいずれであってもよい。
 密閉系の製造装置の場合、装置内の雰囲気を調整する手段、脱脂により発生したガスを装置外へ排気する手段、塗膜面を加熱する手段、装置内で塗膜付き基材を作製する手段、複数の塗膜付き基材を連続的に処理するための搬出手段、外部で作製した塗膜付き基材を、装置内に搬入し、脱脂後に、搬出する手段、冷却する手段等を備えることができる。
 開放系の製造装置の場合、脱脂により発生したガスを装置外へ排気する手段、塗膜面を加熱する手段、装置内で塗膜付き基材を作製する手段、複数の塗膜付き基材を連続的に処理するための搬出手段、外部で作製した塗膜付き基材を、装置内に搬入し、脱脂後に、搬出する手段、冷却する手段等を備えることができる。
実施例
[0075]
 以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
[0076]
1.焼結物の製造
 以下の実験では、酸化アルミニウム粒子を用いて得られた、一定体積に占める酸化アルミニウム粒子の合計体積の割合が92%である板状焼結用セラミックス(20mm×20mm×300μm)を用いた。
[0077]
  比較例1-1
 板状焼結用セラミックスの真上にNd:YAGレーザーの光源を配置し、光源から、波長1064nm、出力450Wのレーザーを、板状焼結用セラミックスにおけるビーム径が5mmとなるように照射した。レーザーの照射を1分間行い、得られた焼結物の断面の表層部をSEM観察したところ、焼結部の断面方向の深さ(図6の矢印部分の長さ)約100μmまで粒子の結合が見られたが、結合した粒子の割合は、表面から5μm程度の深さでは60%程度、表面から50μmの深さでは30%程度、表面から100μmの深さでは5%程度となって、深くなるにつれて減少し、緻密な焼結層は形成されなかった(図6参照)。
[0078]
  実施例1-1
 板状焼結用セラミックスの表面に、日本船舶工具有限会社製エアゾール乾性黒鉛皮膜形成潤滑剤「DGFスプレー」(商品名)の吹き付けを約1秒間行った。その後、これを、30秒間放置して、厚さが約5μmの炭素粉末含有層を備える積層物を得た。
 次に、積層物を、ヒーター機能を有するステンレス製ステージに載置して、炭素粉末含有層の表面温度が500℃となるまで加熱した。そして、炭素粉末含有層の表面の同一位置に、波長1064nm、出力50Wのレーザーを10秒間照射した。このとき、炭素粉末含有層におけるビーム径を5mmとした。得られた焼結物の表面及びその拡大部のSEM画像を、それぞれ、図7及び図8に示す。これらの図によれば、十分に焼結されたことが分かる。
 また、得られた焼結物における両面側(レーザーの照射面側及び非照射面側)の表層部のSEM画像を、それぞれ、図9及び図10に示す。図10は、非照射面側表層部を示す画像であり、焼結されていることから、10秒間で少なくとも300μmの深さにまでレーザーのエネルギーが到達したことが分かる。また、図11は、図9の点線包囲部の拡大画像であり、十分に焼結されたことが分かる。
[0079]
  実施例1-2
 Nd:YAGレーザーの出力を150Wとし、炭素粉末含有層におけるビーム径を10mmとした以外は、実施例1-1と同様の操作を行った。この実施例1-2におけるレーザー密度は、実施例1-1におけるそれの75%である。
 得られた焼結物の表面のSEM画像を、図12に示す。図12によれば、十分に焼結されたことが分かる。
 また、得られた焼結物の表層部のSEM画像を、図13に示す。図13によれば、断面方向の長さ(深さ)約50μmの部分において、焼結されていることが分かる。
[0080]
  実施例1-3
 実施例1-1で得られた酸化アルミニウム焼結板を、ヒーター機能を有するステンレス製ステージに載置し、上面側表面の温度が350℃となるまで加熱した。次いで、上面側表面に、平均粒径0.5μmの酸化アルミニウム粒子を30体積%含有する水分散体(スラリー)を噴霧して、厚さが約100μmの非焼結層を形成させた。その後、この非焼結層の表面に、上記「DGFスプレー」(商品名)の吹き付けを約1秒間行った。そして、これを、30秒間放置して、厚さが約5μmの炭素粉末含有層を備える積層物を得た。
 次に、炭素粉末含有層の表面の同一位置に、波長1064nm、出力80Wのレーザーを10秒間照射し(炭素粉末含有層におけるビーム径:5mm)、非焼結層を焼結させ、積層焼結物を得た。得られた積層焼結物の積層界面のSEM画像を、図14に示す。この図14によれば、界面を特定しにくいほど、十分に一体化されたことが分かる。
[0081]
2.セラミックス成形体の製造方法
  実施例2-1
 不均一形状であり、且つ、平均粒子径が0.5μmである酸化アルミニウム粒子、及び、界面活性剤の水溶液を、撹拌混合してスラリーを調製した。このスラリーに含まれる酸化アルミニウム粒子及び界面活性剤の含有量は、それぞれ、30体積%及び0.1体積%である。
 次に、図15に示す要領で、赤外線加熱により表面温度を350℃とした酸化アルミニウム焼結体からなる板状基材(20mm×20mm×2mm)の表面全体に、1.4mLの上記スラリーを、板状基材の全面に噴霧し、厚さが約100μmの酸化アルミニウム膜を得た。膜厚のばらつきは見られなかった。
 得られた酸化アルミニウム膜の断面を、SEMにより観察したところ、図17に示すように、全体に渡って、酸化アルミニウム粒子が高密度で膜を形成していることが分かる。尚、かさ密度法により、酸化アルミニウム粒子の充填密度を測定したところ、88%であった。
[0082]
3.セラミックス成形体の製造方法
  実施例3-1
 不均一形状であり、且つ、平均粒子径が0.5μmである酸化アルミニウム粒子と、水にポリビニルアルコールを溶解させた水溶液とを混合して、スラリーを調製した。このスラリーに含まれる酸化アルミニウム粒子及びポリビニルアルコールの含有割合は、それぞれ、55体積%及び4体積%である。
 次に、上記スラリーを、酸化アルミニウム焼結体からなる板状基材(20mm×20mm×2mm)の表面に滴下し、ドクターブレードを用いて板状基材の全面に塗布することにより、厚さ0.5mmの塗膜付き基材を得た。そして、この塗膜付き基材を、大気中、20℃で10分間静置した。
 その後、上記塗膜付き基材を、予め、赤外線加熱により表面温度を500℃とした板状ステンレスヒーターであって、中央に高さ1.2mm、直径2mmの半球状の突起が形成されたステンレスヒーター70の突起の上に載置し、基材75の下面の局部的加熱を10分間行い、塗膜80の脱脂を行った(図19参照)。これにより、厚さが約300μmの酸化アルミニウム膜を得た。膜厚のばらつきは見られなかった。
 得られた酸化アルミニウム膜の平面及び断面を、SEMにより観察した。平面画像である図21によれば、変形及び割れがないことが分かる。また、破断面を作製した後の断面画像である図22によれば、全体に渡って、酸化アルミニウム粒子が高密度で膜を形成していることが分かる。尚、かさ密度法により、酸化アルミニウム粒子の充填密度を測定したところ、92%であった。
[0083]
  実施例3-2
 酸化アルミニウム焼結体からなる板状基材のサイズを、50mm×50mm×1mmとし、塗膜厚さを0.3mmとした以外は、実施例3-1と同じ操作を行って、厚さが約185μmの酸化アルミニウム膜を得た。
 図23に示すように、得られた酸化アルミニウム膜には、変形及び割れが見られず、また、膜厚のばらつきは見られなかった。また、かさ密度法により、酸化アルミニウム粒子の充填密度を測定したところ、91%であった。
[0084]
  比較例3-1
 実施例3-1と同様にして作製した塗膜付き基材を、マッフル炉の中に配置した耐熱レンガの上に載置した。そして、大気中、80℃で2時間、次いで、500℃で2時間の加熱を行った。これにより、平均厚さが約300μmの酸化アルミニウム膜を得た。
 得られた酸化アルミニウム膜は、図24に示すように、割れており、また、厚さ方向に変形を生じていた。

産業上の利用可能性

[0085]
 本発明の焼結方法によれば、焼結用セラミックスに、直接、レーザーを照射する場合に比べて、より短時間で焼結用セラミックスを焼結することができる。従って、焼結用セラミックスからなる非焼結部における所望の部分を焼結部とした焼結物又は造形物であって、微細形状を有する物品を精度よく且つ迅速に製造することができる。
 本発明における第1態様のセラミックス成形体の製造方法により、焼成して焼結体とするためのセラミックス成形体、粒子配列体、粒子充填体等のセラミックス成形体等を得ることができる。
 本発明における第2態様のセラミックス成形体の製造方法により、焼成して焼結体とするためのセラミックス成形体、粒子配列体、粒子充填体等のセラミックス成形体等を得ることができる。

符号の説明

[0086]
 10,10A,10B,10C,10D:積層物、11:基部、12:焼結用セラミックスからなる物品、12A,12B,12C,12D:非焼結部(非焼結層)、13A,13B,13C,13D:非焼結部、14,14A,14B,14C,14D:炭素粉末含有層、16,16A,16B,16C,16D:焼結部、20:焼結部を有する物品(焼結物)、30:レーザー照射手段、40A,40B:3次元立体構造の焼結部を有する物品(造形物)、50:セラミックス成形体製造装置(第1製造装置)、52:スラリー噴霧部、54:熱源、56:基材載置ステージ、60:基材、70:熱源(熱処理部)、71:熱源、75:基材、78:断熱材、80:塗膜、82:セラミックス成形体

請求の範囲

[請求項1]
 焼結用セラミックスからなる物品の表面に、炭素粉末を含む層を形成し、次いで、得られた積層物における前記炭素粉末含有層の表面にレーザーを照射することを特徴とする、焼結用セラミックスの焼結方法。
[請求項2]
 前記焼結用セラミックスが、酸化物、窒化物及び酸窒化物から選ばれた少なくとも1種を含む請求項1に記載の焼結方法。
[請求項3]
 焼結用セラミックスからなる非焼結部を備える物品の該非焼結部の表面に、炭素粉末を含む層を形成する工程と、得られた積層物における前記炭素粉末含有層の表面にレーザーを照射して、照射部の下地側に位置する焼結用セラミックスを焼結させる工程とを、順次、備えることを特徴とする、焼結部を有する物品の製造方法。
[請求項4]
 前記焼結用セラミックスが、酸化物、窒化物及び酸窒化物から選ばれた少なくとも1種を含む請求項3に記載の製造方法。
[請求項5]
 焼結用セラミックスからなる非焼結部を備える物品の該非焼結部の表面に、炭素粉末を含む層を形成する第1工程と、得られた積層物における前記炭素粉末含有層の表面にレーザーを照射して、照射部の下地側に位置する焼結用セラミックスを焼結させる第2工程とを、順次、行った後、焼結部の表面に、焼結用セラミックスからなる非焼結部を形成する第3工程とを備え、該第3工程の後、前記第1工程及び前記第2工程を繰り返し行うことを特徴とする、3次元立体構造の焼結部を有する物品の製造方法。
[請求項6]
 前記第2工程において、前記積層物を固定した状態で、前記レーザーをスキャンさせながら若しくは光拡散レンズを介して光路を変化させながら照射する、又は、前記積層物を移動させながら、光路を固定した前記レーザーを照射する請求項5に記載の製造方法。
[請求項7]
 前記第3工程において、前記焼結用セラミックスの粒子と、分散媒とを含有するスラリーを、前記焼結部を含む前記物品を加熱した状態で、該焼結部の表面に噴霧する請求項5又は6に記載の製造方法。
[請求項8]
 セラミックス粒子及び分散媒を含有し、該セラミックス粒子の濃度が5~80体積%であるスラリーを、加熱された基材の表面に噴霧する工程を備えることを特徴とする、セラミックス成形体の製造方法。
[請求項9]
 前記分散媒が水又はアルコールを含む請求項8に記載のセラミックス成形体の製造方法。
[請求項10]
 請求項8に記載のセラミックス成形体の製造方法に用いられる、セラミックス成形体の製造装置であって、
 セラミックス粒子及び分散媒を含有するスラリーを基材に噴霧するスラリー噴霧部と、
 前記基材を加熱する基材加熱部と、
を備えることを特徴とするセラミックス成形体の製造装置。
[請求項11]
 セラミックス粒子及び高分子バインダーを含有するスラリーを基材の表面に塗布する塗布工程と、該塗布工程により得られた塗膜付き基材を、該塗膜付き基材の下方から加熱して前記塗膜の脱脂を行う脱脂工程とを、順次、備える、セラミックス成形体の製造方法であって、
 前記脱脂工程において、前記塗膜付き基材の下面を不均一加熱することを特徴とする、セラミックス成形体の製造方法。
[請求項12]
 前記脱脂工程における加熱温度が200℃以上である請求項11に記載のセラミックス成形体の製造方法。
[請求項13]
 前記スラリーに含まれる前記セラミックス粒子の濃度が30~80体積%である請求項11又は12に記載のセラミックス成形体の製造方法。
[請求項14]
 請求項11に記載のセラミックス成形体の製造方法に用いられる、セラミックス成形体の製造装置であって、
 セラミックス粒子及び高分子バインダーを含有するスラリーを基材の表面に塗布して形成された塗膜付き基材を載置し、且つ、該塗膜付き基材を下方から加熱する熱処理部を備え、前記熱処理部は、前記塗膜付き基材の基材部と点接触又は線接触する凸部を含むことを特徴とするセラミックス成形体の製造装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]