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1. (WO2017135112) THERMOSETTING RESIN COMPOSITION FOR SEALING, AND SHEET FOR SEALING
Document

明 細 書

発明の名称 封止用の熱硬化性樹脂組成物および封止用シート

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007  

発明の効果

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096  

実施例

0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128  

産業上の利用可能性

0129   0130  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : 封止用の熱硬化性樹脂組成物および封止用シート

技術分野

[0001]
 本発明は封止用の熱硬化性樹脂組成物および封止用シートに関し、特に有機EL(Electroluminescence)素子等の発光素子や太陽電池等の受光素子等の光電変換素子等の封止に好適な封止用の熱硬化性樹脂組成物および封止用シートに関する。

背景技術

[0002]
 有機EL素子は発光材料に有機物質を使用した発光素子であり、低電圧で高輝度の発光を得ることができるため近年脚光を浴びている。しかしながら、有機EL素子は水分に極めて弱く、発光材料(発光層)が水分によって変質して、輝度が低下したり、発光しなくなったり、電極と発光層との界面が水分の影響で剥離したり、金属が酸化して高抵抗化してしまったりする問題がある。このため、素子内部を外気中の水分から遮断するために、例えば、基板上に形成された発光層の全面を覆うように樹脂組成物による封止層を形成して有機EL素子を封止することが行われる。また有機EL素子の封止に使用する樹脂組成物には、高い水分遮断性が求められる。
[0003]
 従来、この種の樹脂組成物としては、高いバリア性と高い接着強度を実現するために、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム等の吸湿性金属酸化物の粒子を樹脂組成物に含有させることが提案されている(例えば、特許文献1)。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2011-84667号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 本発明は、水分遮断性に優れる封止層を形成し得る封止用の熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究をした結果、熱硬化性樹脂を含む封止用の熱硬化性樹脂組成物に無機充填剤として半焼成ハイドロタルサイトを配合すること、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の吸湿前後の熱重量減少率の差が特定の数値範囲を満たすように設定すること、および半焼成ハイドロタルサイトを含む無機充填剤全体の含有量を特定範囲に設定することによって、封止用樹脂組成物から得られる封止層の水分遮断性が長時間に渡って維持され、封止された素子の水分による劣化を抑制し、素子寿命を大きく延長し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
[0007]
 すなわち、本発明は以下の特徴を有する。
 [1] (A)熱硬化性樹脂、(B)硬化剤、および無機充填剤として(C)半焼成ハイドロタルサイトを含む封止用の熱硬化性樹脂組成物であって、
 吸湿前の該熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱重量分析による280℃における熱重量減少率をX (%)、380℃における熱重量減少率をY (%)とし、吸湿後の該熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱重量分析による280℃における熱重量減少率をX (%)、380℃における熱重量減少率をY (%)としたとき、2%≦X -X 、且つY -Y ≦10%の関係を満たし、
 半焼成ハイドロタルサイトを含む無機充填剤全体の含有量が、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり20~60質量%である熱硬化性樹脂組成物。
 [2] 半焼成ハイドロタルサイトの含有量が、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり5~60質量%である前記[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
 [3] 無機充填剤としてタルクをさらに含む前記[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
 [4] 硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、半焼成ハイドロタルサイトの含有量が5~59.5質量%であり、且つタルクの含有量が0.5~40質量%である前記[3]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
 [5] 熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂である前記[1]~[4]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
 [6] エポキシ樹脂の含有量が、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり10~79.9質量%である前記[5]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
 [7] 硬化剤の含有量が、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり0.1~50質量%である前記[1]~[6]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
 [8] シリカの含有量が、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり0~10質量%である前記[1]~[7]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
 [9] 有機EL素子の封止用である前記[1]~[8]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物。
 [10] 前記[1]~[8]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物の層が支持体上に形成されている封止用シート。
 [11] 有機EL素子の封止用である前記[10]に記載の封止用シート。
 [12] 前記[1]~[8]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物で有機EL素子が封止されている有機ELデバイス。

発明の効果

[0008]
 本発明の封止用の熱硬化性樹脂組成物から、水分遮断性がより長時間維持される封止層を得ることができる。したがって、本発明の封止用の熱硬化性樹脂組成物を、例えば有機EL素子等の水分に弱い素子の封止層の形成に使用すれば、より長時間に渡って封止層の水分遮断性が維持され、素子の水分による劣化をより長時間抑制し、素子寿命を大きく延長し得る。

発明を実施するための形態

[0009]
<熱重量分析>
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、吸湿前の該熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱重量分析による280℃における熱重量減少率をX (%)、380℃における熱重量減少率をY (%)とし、吸湿後の該熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱重量分析による280℃における熱重量減少率をX (%)、380℃における熱重量減少率をY (%)としたとき、2%≦X -X 、且つY -Y ≦10%の関係を満たすことを特徴の一つとする。X -X が2%未満であると、硬化物の吸湿性能が低くなる傾向となり、水分遮蔽性に劣ることとなる。またY -Y が10%を超えると、硬化物の水分取り込み速度が高くなる傾向となり、水分遮蔽性に劣ることとなる。
[0010]
 本発明において、吸湿前の硬化物の熱重量分析による熱重量減少率(X およびY )は、大気雰囲気下で熱硬化性樹脂組成物を加熱して得られた硬化物を、該熱硬化性樹脂組成物の加熱終了から10分以内に熱重量分析を開始して得られた値を使用する。この加熱終了から熱重量分析開始までの間には、後述するような吸湿を行わず、温度25℃および相対湿度40%の雰囲気下に硬化物を置く。なお、前記加熱終了から10分以内に熱重量分析を開始できない場合には、硬化物を防湿性の袋(例えば、アルミニウム層を有する袋)に入れて大気からの吸湿を防止し、加熱終了から熱重量分析開始までの間に、温度25℃および相対湿度40%RHの雰囲気下に硬化物を置く時間を10分以内にする。
[0011]
 本発明において、吸湿後の硬化物の熱重量分析による熱重量減少率(X およびY )は、大気雰囲気下で熱硬化性樹脂組成物を加熱して得られた硬化物を、該熱硬化性樹脂組成物の加熱終了から10分以内に温度85℃および相対湿度85%の環境下で100時間静置して吸湿させ、こうして得られた吸湿後の硬化物を、吸湿終了から10分以内に熱重量分析を開始して得られた値を使用する。この加熱終了から吸湿開始までの間、および吸湿終了から熱重量分析開始までの間には、上述したような吸湿を行わず、温度25℃および相対湿度40%の雰囲気下に硬化物を置く。なお、前記加熱終了から10分以内に吸湿を開始できない場合には、硬化物を防湿性の袋(例えば、アルミニウム層を有する袋)に入れて大気からの吸湿を防止し、加熱終了から吸湿開始までの間に、温度25℃および相対湿度40%RHの雰囲気下に硬化物を置く時間を10分以内にする。同様に、前記条件の吸湿終了から10分以内に熱重量分析を開始できない場合には、硬化物を防湿性の袋に入れて大気からの吸湿を防止し、吸湿終了から熱重量分析開始までの間に、温度25℃および相対湿度40%RHの雰囲気下に硬化物を置く時間を10分以内にする。
[0012]
 2.5%≦X -X であることが好ましい。また、X -X の上限は特に限定されないが、通常X -X ≦30%であり、X -X ≦20%であることが好ましい。また、Y -Y の下限は特に限定されないが、通常1.0%≦Y -Y であり、2.0%≦Y -Y であることが好ましい。
[0013]
 熱重量減少率の測定には、反応率が70%を超えている熱硬化性樹脂組成物の硬化物を使用する。この反応率が70%未満であると、熱重量減少率の測定において、未反応成分の揮発や吸湿状態の変化による影響を受ける傾向がある。この反応率は、DSCによって測定することができる。詳しくは、日立ハイテクサイエンス社製DSC EXSTAR7000Xを用いて、アルミニウム製のサンプルパンに硬化前後の熱硬化性樹脂組成物のサンプルをそれぞれ3mg秤量し、蓋をした状態で、窒素流量50mL/分の雰囲気下で、15℃から280℃まで昇温速度5℃/分の条件で測定を行い、得られた曲線から反応熱量(mJ/mg)を解析し、下記式(i):
 反応率(%)=100×(硬化後の熱硬化性樹脂組成物の反応熱量)/(硬化前の熱硬化性樹脂組成物の反応熱量)   (i)
から算出することができる。
[0014]
 硬化物の吸湿は、硬化物を厚さ0.3mmに折り畳み、1g秤量したものを用い、温度85℃、相対湿度85%、100時間の条件で行う。具体的には、例えば、硬化物を大気圧下、85℃、85%RH(相対湿度)に設定した小型環境試験器(エスペック社製SH-222)に100時間静置して行うことができる。
[0015]
 熱重量分析は、日立ハイテクサイエンス社製TG/DTA EXSTAR6300を用いて、アルミニウム製のサンプルパンに吸湿前後の硬化物サンプルをそれぞれ10mg秤量し、蓋をせずオープンの状態で、窒素流量200mL/分の雰囲気下で、30℃から550℃まで昇温速度10℃/分の条件で行うことができる。熱重量減少率は、下記式(ii):
 熱重量減少率(%)
=100×(加熱前の質量(μg)-所定温度に達した時の質量(μg))/加熱前の質量(μg)   (ii)
から算出することができる。
[0016]
 硬化物が前記熱重量減少率の関係を満たす熱硬化性樹脂組成物は、例えば、組成物に配合する吸湿性成分の種類および配合量を適宜設定することで容易に調製することができる。例えば、焼成ハイドロタルサイトを熱硬化性樹脂組成物に配合すると、得られる硬化物の吸湿性能は高くなるものの、水分取り込み速度も高くなるため、その配合量が多くなり過ぎるとY -Y ≦10%の関係を満たすことが困難となり、結果として水分遮蔽性が低下する傾向となる。そのため、熱硬化性樹脂組成物中の焼成ハイドロタルサイトの含有量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、0~20質量%が好ましく、0~15質量%がより好ましく、0~10質量%がさらに好ましく、0~5質量%が最も好ましい。また、半焼成ハイドロタルサイト:焼成ハイドロタルサイトの質量比は、好ましくは50:50~100:0、より好ましくは52:48~100:0、さらに好ましくは55:45~100:0である。
[0017]
 また、未焼成ハイドロタルサイトを熱硬化性樹脂組成物に多く配合すると、水分取り込み速度は低くなるものの、得られる硬化物の吸湿性能が低下するため、2%≦X -X の関係を満たすことが困難となる。そのため、熱硬化性樹脂組成物中の未焼成ハイドロタルサイトの含有量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、0~20質量%が好ましく、0~10質量%がより好ましく、0~5質量%がさらに好ましい。また、半焼成ハイドロタルサイト:未焼成ハイドロタルサイトの質量比は、好ましくは50:50~100:0、より好ましくは55:45~100:0、より一層好ましくは60:40~100:0、さらに好ましくは65:35~100:0、特に好ましくは70:30~100:0である。
[0018]
 また、吸湿性能を持たないタルクを熱硬化性樹脂組成物に多く配合すると、水分取り込み速度は低くなるものの、吸湿性能が低下するため、2%≦X -X の関係を満たすことが困難となる。そのため、熱硬化性樹脂組成物中のタルクの含有量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましい。また、半焼成ハイドロタルサイト:タルクの質量比は、好ましくは20:80~100:0、より好ましくは30:70~100:0、さらに好ましくは40:60~99.5:0.5である。
[0019]
 また、吸湿性能を持たないシリカを熱硬化性樹脂組成物に多く配合すると、水分取り込み速度は低くなるものの、吸湿性能が低下するため、2%≦X -X の関係を満たすことが困難となる。そのため、熱硬化性樹脂組成物中のシリカの含有量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、0~10質量%が好ましく、0~8質量%がより好ましく、0~5質量%がさらに好ましい。即ち、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、シリカを含有しないか、または10質量%以下のシリカを含有することが好ましく、前記組成物は、シリカを含有しないか、または8質量%以下のシリカを含有することがより好ましく、前記組成物は、シリカを含有しないか、または5質量%以下のシリカを含有することがさらに好ましい(なお、前記シリカの含有量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たりの値である)。また、半焼成ハイドロタルサイト:シリカの質量比は、好ましくは80:20~100:0、より好ましくは85:15~100:0、さらに好ましくは90:10~100:0である。
[0020]
<(A)熱硬化性樹脂>
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
[0021]
 エポキシ樹脂は、平均して1分子当り2個以上のエポキシ基を有するものであれば制限なく使用できる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂(例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、ジグリシジルトルイジン、ジグリシジルアニリン等)、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のジグリシジルエーテル化物、およびアルコール類のジグリシジルエーテル化物、並びにこれらのエポキシ樹脂のアルキル置換体、ハロゲン化物および水素添加物等が挙げられる。かかるエポキシ樹脂は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[0022]
 エポキシ樹脂のエポキシ当量は、反応性等の観点から、好ましくは50~5,000、より好ましくは50~3,000、より好ましくは80~2,000、より好ましくは100~1,500である。なお、「エポキシ当量」とは1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数(g/eq)であり、JIS K 7236に規定された方法に従って測定される。また、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
[0023]
 好適なエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂等を挙げることができる。
[0024]
 エポキシ樹脂は、液状または固形のいずれでもよく、液状エポキシ樹脂と固形エポキシ樹脂とを併用してもよい。ここで、「液状」および「固形」とは、常温(25℃)でのエポキシ樹脂の状態である。塗工性、加工性、接着性の観点から、使用するエポキシ樹脂全体の少なくとも10質量%以上が液状エポキシ樹脂であるのが好ましい。ハイドロタルサイトとの混練性およびワニス粘度の観点から、液状エポキシ樹脂と固形エポキシ樹脂とを併用することが特に好ましい。液状エポキシ樹脂と固形エポキシ樹脂の質量比(液状エポキシ樹脂:固形エポキシ樹脂)は、1:2~1:0が好ましく、1:1.5~1:0.1がより好ましい。
[0025]
 熱硬化性樹脂組成物中の熱硬化性樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、10~79.9質量%が好ましく、20~70質量%がより好ましく、30~65質量%がさらに好ましい。
[0026]
 熱硬化性樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、10~79.9質量%が好ましく、20~70質量%がより好ましく、30~65質量%がさらに好ましい。
[0027]
<(B)硬化剤>
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含有する。すなわち、封止層は、樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物である。硬化剤は、熱硬化性樹脂組成物を硬化する機能を有するものであれば特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物の硬化処理時における有機EL素子等の発光素子の熱劣化を抑制する観点から、140℃以下(好ましくは120℃以下)の温度下で、熱硬化性樹脂組成物を硬化し得るものが好ましい。硬化剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[0028]
 硬化剤としては、熱硬化性樹脂として特に好ましいエポキシ樹脂の硬化剤につき、例示する。硬化剤としては、例えば、一級アミン、二級アミン、三級アミン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド等が挙げられる。これらの中でも、速硬化性の点から、アミンアダクト系化合物(アミキュアPN-23、アミキュアMY-24、アミキュアPN-D、アミキュアMY-D、アミキュアPN-H、アミキュアMY-H、アミキュアPN-31、アミキュアPN-40、アミキュアPN-40J等(いずれも味の素ファインテクノ社製))、有機酸ジヒドラジド(アミキュアVDH-J、アミキュアUDH、アミキュアLDH等(いずれも味の素ファインテクノ社製))等が好ましい。
[0029]
 また、本発明における硬化剤として、140℃以下(好ましくは120℃以下)の温度下でエポキシ樹脂を硬化し得るイオン液体(すなわち、140℃以下(好ましくは120℃以下)の温度領域で融解しうる塩であって、エポキシ樹脂の硬化作用を有する塩)も特に好適に使用することができる。イオン液体は、熱硬化性樹脂(特にエポキシ樹脂)に均一に溶解している状態で使用されるのが望ましい。イオン液体は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の水分遮断性の向上に有利に作用する。
[0030]
 かかるイオン液体を構成するカチオンとしては、イミダゾリウムイオン、ピペリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピラゾニウムイオン、グアニジニウムイオン、ピリジニウムイオン等のアンモニウム系カチオン;テトラアルキルホスホニウムカチオン(例えば、テトラブチルホスホニウムイオン、トリブチルヘキシルホスホニウムイオン等)等のホスホニウム系カチオン;トリエチルスルホニウムイオン等のスルホニウム系カチオン等が挙げられる。
[0031]
 また、かかるイオン液体を構成するアニオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物系アニオン;メタンスルホン酸イオン等のアルキル硫酸系アニオン;トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサフルオロホスホン酸イオン、トリフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホン酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、トリフルオロ酢酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等の含フッ素化合物系アニオン;フェノールイオン、2-メトキシフェノールイオン、2,6-ジ-tert-ブチルフェノールイオン等のフェノール系アニオン;アスパラギン酸イオン、グルタミン酸イオン等の酸性アミノ酸イオン;グリシンイオン、アラニンイオン、フェニルアラニンイオン等の中性アミノ酸イオン;N-ベンゾイルアラニンイオン、N-アセチルフェニルアラニンイオン、N-アセチルグリシンイオン等の下記一般式(1)で示されるN-アシルアミノ酸イオン;ギ酸イオン、酢酸イオン、デカン酸イオン、2-ピロリドン-5-カルボン酸イオン、α-リポ酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、馬尿酸イオン、N-メチル馬尿酸イオン、安息香酸イオン等のカルボン酸系アニオンが挙げられる。
[0032]
[化1]


[0033]
(但し、Rは炭素数1~5の直鎖または分岐鎖のアルキル基、或いは、置換または無置換のフェニル基であり、Xはアミノ酸の側鎖を表す。)
[0034]
 該式(1)におけるアミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アラニン、フェニルアラニンなどが挙げられ、中でも、グリシンが好ましい。
[0035]
 上述の中でも、カチオンはアンモニウム系カチオン、ホスホニウム系カチオンが好ましく、イミダゾリウムイオン、ホスホニウムイオンがより好ましい。イミダゾリウムイオンは、より詳細には、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムイオン等である。
[0036]
 また、アニオンは、フェノール系アニオン、一般式(1)で示されるN-アシルアミノ酸イオンまたはカルボン酸系アニオンが好ましく、N-アシルアミノ酸イオンまたはカルボン酸系アニオンがより好ましい。
[0037]
 フェノール系アニオンの具体例としては、2,6-ジ-tert-ブチルフェノールイオンが挙げられる。また、カルボン酸系アニオンの具体例としては、酢酸イオン、デカン酸イオン、2-ピロリドン-5-カルボン酸イオン、ギ酸イオン、α-リポ酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、馬尿酸イオン、N-メチル馬尿酸イオン等が挙げられ、中でも、酢酸イオン、2-ピロリドン-5-カルボン酸イオン、ギ酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、馬尿酸イオン、N-メチル馬尿酸イオンが好ましく、酢酸イオン、N-メチル馬尿酸イオン、ギ酸イオンが殊更好ましい。また、一般式(1)で示されるN-アシルアミノ酸イオンの具体例としては、N-ベンゾイルアラニンイオン、N-アセチルフェニルアラニンイオン、アスパラギン酸イオン、グリシンイオン、N-アセチルグリシンイオン等が挙げられ、中でも、N-ベンゾイルアラニンイオン、N-アセチルフェニルアラニンイオン、N-アセチルグリシンイオンが好ましく、N-アセチルグリシンイオンが殊更好ましい。
[0038]
 具体的なイオン液体としては、例えば、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムラクテート、テトラブチルホスホニウム-2-ピロリドン-5-カルボキシレート、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムトリフルオロアセテート、テトラブチルホスホニウムα-リポエート、ギ酸テトラブチルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウムラクテート、酒石酸ビス(テトラブチルホスホニウム)塩、馬尿酸テトラブチルホスホニウム塩、N-メチル馬尿酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゾイル-DL-アラニンテトラブチルホスホニウム塩、N-アセチルフェニルアラニンテトラブチルホスホニウム塩、2,6-ジ-tert-ブチルフェノールテトラブチルホスホニウム塩、L-アスパラギン酸モノテトラブチルホスホニウム塩、グリシンテトラブチルホスホニウム塩、N-アセチルグリシンテトラブチルホスホニウム塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムラクテート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート、ギ酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、馬尿酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、N-メチル馬尿酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、酒石酸ビス(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム)塩、N-アセチルグリシン1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩が好ましく、N-アセチルグリシンテトラブチルホスホニウム塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート、ギ酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、馬尿酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、N-メチル馬尿酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩が殊更好ましい。
[0039]
 上記イオン液体の合成法としては、アルキルイミダゾリウム、アルキルピリジニウム、アルキルアンモニウムおよびアルキルスルホニウムイオン等のカチオン部位と、ハロゲンを含むアニオン部位から構成される前駆体に、NaBF 、NaPF 、CF SO NaやLiN(SO CF 等を反応させるアニオン交換法、アミン系物質と酸エステルとを反応させてアルキル基を導入しつつ、有機酸残基が対アニオンになるような酸エステル法、およびアミン類を有機酸で中和して塩を得る中和法等があるが、これらに限定されない。アニオンとカチオンと溶媒による中和法では、アニオンとカチオンとを等量使用し、得られた反応液中の溶媒を留去して、そのまま用いることも可能であるし、さらに有機溶媒(メタノール、トルエン、酢酸エチル、アセトン等)を差し液濃縮しても構わない。
[0040]
 熱硬化性樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、好ましくは0.1~50質量%、より好ましくは0.5~40質量%、さらに好ましくは1~30質量%である。この含有量が0.1質量%よりも少ないと、十分な硬化性が得られない場合があり、逆にこの含有量が50質量%より多いと、熱硬化性樹脂組成物の保存安定性が損なわれる場合がある。なお、エポキシ樹脂の硬化剤としてイオン液体を使用する場合、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の水分遮断性等の点からは、イオン液体の含有量は、エポキシ樹脂(不揮発分)100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは1~15質量部である。
[0041]
<(C)半焼成ハイドロタルサイト>
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、無機充填剤として半焼成ハイドロタルサイトを含む。即ち、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、半焼成ハイドロタルサイトを含む無機充填剤を含有する。ハイドロタルサイトは、未焼成ハイドロタルサイト、半焼成ハイドロタルサイト、および焼成ハイドロタルサイトに分類することができる。
[0042]
 未焼成ハイドロタルサイトは、例えば、天然ハイドロタルサイト(Mg Al (OH) 16CO O)に代表されるような層状の結晶構造を有する金属水酸化物であり、例えば、基本骨格となる層[Mg 1-XAl (OH) X+と中間層[(CO X/2・mH O] X-からなる。本発明において、未焼成ハイドロタルサイトは、合成ハイドロタルサイト等のハイドロタルサイト様化合物を含む概念である。ハイドロタルサイト様化合物としては、例えば、下記式(I)および下記式(II)で表されるものが挙げられる。
[0043]
 [M 2+ 1-x3+ (OH) x+・[(A n-x/n・mH O] x- (I)
(式中、M 2+はMg 2+、Zn 2+などの2価の金属イオンを表し、M 3+はAl 3+、Fe 3+などの3価の金属イオンを表し、A n-はCO 2-、Cl 、NO などのn価のアニオンを表し、0<x<1であり、0≦m<1であり、nは正の数である。)
 式(I)中、M 2+は、好ましくはMg 2+であり、M 3+は、好ましくはAl 3+であり、A n-は、好ましくはCO 2-である。
[0044]
 M 2+ Al (OH) 2x+6-nz(A n-・mH O (II)
(式中、M 2+はMg 2+、Zn 2+などの2価の金属イオンを表し、A n-はCO 2-、Cl 、NO 3-などのn価のアニオンを表し、xは2以上の正の数であり、zは2以下の正の数であり、mは正の数であり、nは正の数である。)
 式(II)中、M 2+は、好ましくはMg 2+であり、A n-は、好ましくはCO 2-である。
[0045]
 半焼成ハイドロタルサイトは、未焼成ハイドロタルサイトを焼成して得られる、層間水の量が減少または消失した層状の結晶構造を有する金属水酸化物をいう。「層間水」とは、組成式を用いて説明すれば、上述の未焼成の天然ハイドロタルサイトおよびハイドロタルサイト様化合物の組成式に記載の「H O」を指す。本発明は、この半焼成ハイドロタルサイトを使用することを特徴の一つとする。
[0046]
 一方、焼成ハイドロタルサイトは、未焼成ハイドロタルサイトまたは半焼成ハイドロタルサイトを焼成して得られ、層間水だけでなく、水酸基も縮合脱水によって消失した、アモルファス構造を有する金属酸化物をいう。
[0047]
 未焼成ハイドロタルサイト、半焼成ハイドロタルサイトおよび焼成ハイドロタルサイトは、飽和吸水率により区別することができる。半焼成ハイドロタルサイトは、通常、飽和吸水率が1質量%以上20質量%未満である。一方、未焼成ハイドロタルサイトは飽和吸水率が1質量%未満であり、焼成ハイドロタルサイトは飽和吸水率が20質量%以上である。
[0048]
 ここで飽和吸水率とは、未焼成ハイドロタルサイト、半焼成ハイドロタルサイトまたは焼成ハイドロタルサイトを天秤にて1.5g量り取り、初期質量を測定した後、大気圧下、60℃、90%RH(相対湿度)に設定した小型環境試験器(エスペック社製 SH-222)に200時間静置した場合の、初期質量に対する質量増加率を言い、下記式(iii)
 飽和吸水率(質量%)
=100×(吸湿後の質量-初期質量)/初期質量   (iii)
で求めることができる。
[0049]
 半焼成ハイドロタルサイトの飽和吸水率は、好ましくは3質量%以上20質量%未満、より好ましくは5質量%以上20質量%未満である。
[0050]
 また、未焼成ハイドロタルサイト、半焼成ハイドロタルサイトおよび焼成ハイドロタルサイトは、熱重量分析で測定される熱重量減少率により区別することができる。半焼成ハイドロタルサイトの280℃における熱重量減少率は15%未満であり、且つその380℃における熱重量減少率は12%以上である。一方、未焼成ハイドロタルサイトの280℃における熱重量減少率は15%以上であり、焼成ハイドロタルサイトの380℃における熱重量減少率は12%未満である。
[0051]
 熱重量分析は、日立ハイテクサイエンス社製TG/DTA EXSTAR6300を用いて、アルミニウム製のサンプルパンにハイドロタルサイトを5mg秤量し、蓋をせずオープンの状態で、窒素流量200mL/分の雰囲気下で、30℃から550℃まで昇温速度10℃/分の条件で行うことができ、所定温度に達した時の質量および加熱前の質量から、上記式(ii)を用いて熱重量減少率を求めることができる。
[0052]
 また、未焼成ハイドロタルサイト、半焼成ハイドロタルサイトおよび焼成ハイドロタルサイトは 粉末X線回折で測定されるピークおよび相対強度比により区別することができる。半焼成ハイドロタルサイトは、粉末X線回折により2θが8~18°付近に二つにスプリットしたピーク、または二つのピークの合成によりショルダーを有するピークを示し、低角側に現れるピークまたはショルダーの回折強度(=低角側回折強度)と、高角側に現れるピークまたはショルダーの回折強度(=高角側回折強度)の相対強度比(=低角側回折強度/高角側回折強度は、0.001~1,000である。一方、未焼成ハイドロタルサイトは8~18°付近で一つのピークしか有しないか、低角側に現れるピークまたはショルダーと高角側に現れるピークまたはショルダーの回折強度の相対強度比が前述の範囲外となる。焼成ハイドロタルサイトは8°~18°の領域に特徴的ピークを有さず、43°に特徴的なピークを有する。粉末X線回折測定は、粉末X線回折装置(PANalytical社製、Empyrean)により、対陰極CuKα(1.5405Å)、電圧:45V、電流:40mA、サンプリング幅:0.0260°、走査速度:0.0657°/S、測定回折角範囲(2θ):5.0131~79.9711°の条件で行った。ピークサーチは、回折装置付属のソフトウエアのピークサーチ機能を利用し、「最小有意度:0.50、最小ピークチップ:0.01°、最大ピークチップ:1.00°、ピークベース幅:2.00°、方法:2次微分の最小値」の条件で行うことができる。
[0053]
 半焼成ハイドロタルサイトのBET比表面積は、1~250m /gが好ましく、5~200m /gがより好ましい。半焼成ハイドロタルサイトのBET比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(Macsorb HM Model-1210 マウンテック社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
[0054]
 半焼成ハイドロタルサイトの平均粒子径は、1~1,000nmが好ましく、10~800nmがより好ましい。半焼成ハイドロタルサイトの平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定(JIS Z 8825)により粒度分布を体積基準で作成したときの該粒度分布のメディアン径である。
[0055]
 半焼成ハイドロタルサイトは、表面処理剤で表面処理したものを用いることができる。表面処理に使用する表面処理剤としては、例えば、高級脂肪酸、アルキルシラン類、シランカップリング剤等を使用することができ、なかでも、高級脂肪酸、アルキルシラン類が好適である。表面処理剤は、1種または2種以上を使用できる。
[0056]
 高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、モンタン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸などの炭素数18以上の高級脂肪酸が挙げられ、中でも、ステアリン酸が好ましい。これらは、1種または2種以上を使用できる。
[0057]
 アルキルシラン類としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、n-オクタデシルジメチル(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を使用できる。
[0058]
 シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシランおよび2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ系シランカップリング剤;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランおよび11-メルカプトウンデシルトリメトキシシランなどのメルカプト系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランおよびN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルジメトキシメチルシランなどのアミノ系シランカップリング剤;3-ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのウレイド系シランカップリング剤、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランおよびビニルメチルジエトキシシランなどのビニル系シランカップリング剤;p-スチリルトリメトキシシランなどのスチリル系シランカップリング剤;3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよび3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリレート系シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート系シランカップリング剤、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド系シランカップリング剤;フェニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン等を挙げることができる。これらは、1種または2種以上を使用できる。
[0059]
 半焼成ハイドロタルサイトの表面処理は、例えば、未処理の半焼成ハイドロタルサイトを混合機で常温にて攪拌分散させながら、表面処理剤を添加噴霧して5~60分間攪拌することによって行なうことができる。混合機としては、公知の混合機を使用することができ、例えば、Vブレンダー、リボンブレンダー、バブルコーンブレンダー等のブレンダー、ヘンシェルミキサーおよびコンクリートミキサー等のミキサー、ボールミル、カッターミル等が挙げられる。又、ボールミルなどで半焼成ハイドロタルサイトを粉砕する際に、前記の高級脂肪酸、アルキルシラン類またはシランカップリング剤を添加し、表面処理する方法も可能である。表面処理剤の使用量は、半焼成ハイドロタルサイトの種類または表面処理剤の種類等によっても異なるが、表面処理されていない半焼成ハイドロタルサイト100質量部に対して1~10質量部が好ましい。本発明においては、表面処理された半焼成ハイドロタルサイトも、本発明における「半焼成ハイドロタルサイト」に包含される。
[0060]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物における半焼成ハイドロタルサイトの含有量は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されるものではないが、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、5~60質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、25~50質量%がさらに好ましい。半焼成ハイドロタルサイトは吸湿性能に優れるため、その含有量が増えれば、得られる硬化物の封止性能は向上する。しかし、その含有量が60質量%を超えると、熱硬化性樹脂組成物の粘度が上昇する、濡れ性の低下により封止対象である基板等と熱硬化性樹脂組成物との密着性が低下する、硬化物の強度が低下して脆くなる等の問題が生じる傾向となる。また、半焼成ハイドロタルサイトの層間水により、封止層(即ち、硬化物)中の水分量が多くなるため、例えば、有機ELデバイスの製造において、封止層中の水分による発光材料(発光層)や電極層への悪影響が顕在化し、初期段階のダークスポット発生が多くなるといった懸念がある。
[0061]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物において焼成ハイドロタルサイトが含まれていてもよいが、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、0~20質量%が好ましく、0~15質量%がより好ましく、0~10質量%がさらに好ましく、0~5質量%が最も好ましい。焼成ハイドロタルサイトは飽和吸水量が大きいため、その含有量が20質量%を超えると、封止体内部への水分の呼び込み速度が上昇することにより、水分遮蔽性が低下する傾向となる。また、半焼成ハイドロタルサイト:焼成ハイドロタルサイトの質量比は、好ましくは50:50~100:0、より好ましくは52:48~100:0、さらに好ましくは55:45~100:0である。
[0062]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物において未焼成ハイドロタルサイトが含まれていてもよいが、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、0~20質量%が好ましく、0~10質量%がより好ましく、0~5質量%がさらに好ましく、0質量%が最も好ましい。未焼成ハイドロタルサイトは水分含有量が大きいため、20質量%を超えると、半焼成ハイドロタルサイトと同様に初期段階のダークスポット発生が多くなるといった懸念がある。また、半焼成ハイドロタルサイト:未焼成ハイドロタルサイトの質量比は、好ましくは50:50~100:0、より好ましくは55:45~100:0、より一層好ましくは60:40~100:0、さらに好ましくは65:35~100:0、特に好ましくは70:30~100:0である。
[0063]
 半焼成ハイドロタルサイトとしては、例えば「DHT-4C」(協和化学工業社製、平均粒子径:400nm、BET比表面積:15m /g)、「DHT-4A-2」(協和化学工業社製、平均粒子径:400nm、BET比表面積:13m /g)等が挙げられる。一方、焼成ハイドロタルサイトとしては、例えば「KW-2200」(協和化学工業社製、平均粒子径:400nm、BET比表面積:146m /g)等が挙げられ、未焼成ハイドロタルサイトとしては、例えば「DHT-4A」(協和化学工業社製、平均粒子径:400nm、BET比表面積:10m /g)等が挙げられる。
[0064]
<硬化促進剤>
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化時間を調整する等の目的で硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては、例えば、有機ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、アミンアダクト化合物(例えば、エポキシ樹脂への3級アミンの付加反応を、途中で止めることによって得られるエポキシアダクト化合物等)、3級アミン化合物などが挙げられる。有機ホスフィン化合物の具体例としては、TPP、TPP-K、TPP-S、TPTP-S(北興化学工業社製)などが挙げられる。イミダゾール化合物の具体例としては、キュアゾール2MZ、2E4MZ、C11Z、C11Z-CN、C11Z-CNS、C11Z-A、2MZOK、2MA-OK、2PHZ(四国化成工業社製)などが挙げられる。アミンアダクト化合物の具体例としては、フジキュア(富士化成工業社製)などが挙げられる。3級アミン化合物の具体例としては、DBU(1,8-diazabicyelo[5.4.0]undec-7-ene)、DBUの2-エチルヘキサン酸塩、オクチル酸塩などのDBU-有機酸塩、U-3512T(サンアプロ社製)等の芳香族ジメチルウレア、U-3503N(サンアプロ社製)等の脂肪族ジメチルウレアなどが挙げられる。中でも耐湿性の点からウレア化合物が好ましく、芳香族ジメチルウレアが特に好ましく用いられる。硬化促進剤を使用する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、好ましくは0.05~5質量%、より好ましくは0.1~5質量%である。この含有量が0.05質量%未満であると、硬化が遅くなり、熱硬化時間が長く必要となる傾向にあり、5質量%を超えると、熱硬化性樹脂組成物の保存安定性が低下する傾向となる。
[0065]
<シランカップリング剤>
 本発明の熱硬化樹脂組成物はシランカップリング剤を含有していてもよい。シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシランおよび2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ系シランカップリング剤;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランおよび11-メルカプトウンデシルトリメトキシシランなどのメルカプト系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランおよびN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルジメトキシメチルシランなどのアミノ系シランカップリング剤;3-ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのウレイド系シランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランおよびビニルメチルジエトキシシランなどのビニル系シランカップリング剤;p-スチリルトリメトキシシランなどのスチリル系シランカップリング剤;3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよび3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリレート系シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート系シランカップリング剤;ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのスルフィド系シランカップリング剤;フェニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン等を挙げることができる。これらの中でも、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤が好ましく、エポキシ系シランカップリング剤が特に好ましい。シランカップリング剤は、1種または2種以上を使用することができる。
[0066]
 シランカップリング剤を使用する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、0.5~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
[0067]
<熱可塑性樹脂>
 本発明の熱硬化性樹脂組成物には、熱硬化性樹脂組成物を硬化して得られる封止層への可撓性の付与、封止用シートを調製する際の熱硬化性樹脂組成物ワニスの塗工性(はじき防止)等の観点から、熱可塑性樹脂を含有させることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル系ポリマー等を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[0068]
 熱硬化性樹脂組成物を硬化して得られる封止層への可撓性の付与、封止用シートを調製する際の熱硬化性樹脂組成物ワニスの塗工性(はじき防止)等の点から、熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、15,000以上であるのが好ましく、20,000以上がより好ましい。しかし、この重量平均分子量が大きすぎると、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂(特に、エポキシ樹脂)との相溶性が低下する等の傾向がある。そのため、この重量平均分子量は、1,000,000以下であるのが好ましく、800,000以下がより好ましい。
[0069]
 本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレンン換算)で測定される。GPC法による重量平均分子量は、具体的には、測定装置として社島津製作所製LC-9A/RID-6Aを、カラムとして昭和電工社製Shodex K-800P/K-804L/K-804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
[0070]
 熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂が特に好ましい。フェノキシ樹脂は、熱硬化性樹脂(特にエポキシ樹脂)との相溶性が良く、熱硬化性樹脂組成物から得られる硬化物の水分遮断性に有利に作用する。フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは15,000以上、より好ましくは20,000以上であり、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは800,000以下である。
[0071]
 好適なフェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、およびノルボルネン骨格から選択される1種以上の骨格を有するものが挙げられる。フェノキシ樹脂は1種または2種以上を使用できる。
[0072]
 フェノキシ樹脂の市販品としては、例えば、三菱化学社製のYX7200B35(ビフェニル骨格含有フェノキシ樹脂)、1256(ビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、YX6954BH35(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)等が挙げられる。
[0073]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物が熱可塑性樹脂(特に、フェノキシ樹脂)を含有する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、1~40質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
[0074]
<半焼成ハイドロタルサイト以外の無機充填剤>
 本発明の熱硬化性樹脂組成物には、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の水分遮断性、封止用シートを調製する際の熱硬化性樹脂組成物ワニスの塗工性(はじき防止)等の観点から、本発明の熱硬化性樹脂組成物に、半焼成ハイドロタルサイト以外の無機充填剤をさらに含有させることができる。そのような無機充填剤としては、上述した未焼成ハイドロタルサイトおよび焼成ハイドロタルサイトの他に、例えば、タルク、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、クレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ケイ酸塩などが挙げられる。無機充填剤は1種または2種以上を使用できる。
[0075]
 本発明において、半焼成ハイドロタルサイトを含む無機充填剤全体の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、20~60質量%であることが必要である。無機充填剤全体の含有量を20~60質量%にすることよって、封止層の良好な水分遮蔽性と密着性を得ることができる。半焼成ハイドロタルサイトを含む無機充填剤全体の含有量は、好ましくは57質量%以下、より好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下であり、好ましくは22質量%以上、より好ましくは25質量%以上である。無機充填剤全体の含有量が多すぎると、熱硬化性樹脂組成物の粘度が上昇し、被着体への濡れ性が低下するため、その密着性が低下する傾向や、得られる硬化物の強度が低下して脆くなる傾向となる。
[0076]
 無機充填剤の一次粒子の粒経は、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましい。例えば、一次粒子の粒経が0.001~3μmのもの、より好ましくは0.005~2μmのものを用いることができる。
[0077]
 無機充填剤の粒子形態は特に限定されず、略球状、直方体状、板状、繊維のような直線形状、枝分かれした分岐形状のものを用いることができる。無機充填剤は、タルク、シリカ、ゼオライト、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、ケイ酸塩、マイカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が好ましく、タルク、シリカがより好ましく、タルクが特に好ましい。シリカとしては、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ(水分散型、有機溶剤分散型、気相シリカ等)が好ましく、沈殿、沈降しにくく、樹脂との複合化がしやすいという観点から、有機溶剤分散型コロイダルシリカ(オルガノシリカゾル)が特に好ましい。
[0078]
 無機充填剤は、市販品を使用できる。タルクの例として、日本タルク社製「FG-15」(平均粒径1.4μm)、「D-1000」(平均粒径1.0μm)、「D-600」(平均粒径0.6μm)などが挙げられる。市販されている球状溶融シリカの例として、アドマテックス社製の真球シリカ「アドマファインシリーズ」(「SO-C2;平均粒径0.5μm」「SC2500-SQ;平均粒子径0.5μm、シランカップリング処理」など)、フュームドシリカとして、日本アエロジル(株)製の「アエロジルシリーズ」(「A-200:一次粒子径5~40nm」など)などが挙げられる。有機溶剤分散型コロイダルシリカの例として、日産化学工業社製「MEK-EC-2130Y」(アモルファスシリカ粒径10~15nm、不揮発分30質量%、MEK溶剤)、日産化学工業社製「PGM-AC-2140Y」(シリカ粒径10~15nm、不揮発分40質量%、PGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)溶剤)、日産化学工業社製「MIBK-ST」(シリカ粒径10~15nm、不揮発分30質量%、MIBK(メチルイソブチルケトン)溶剤)、扶桑化学工業社製コロイド状シリカゾル「PL-2L-MEK」(シリカ粒径15~20nm、不揮発分20質量%、MEK(メチルエチルケトン)溶剤)などが挙げられる。
[0079]
 シリカの含有量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、0~10質量%が好ましく、0~8質量%がより好ましく、0~5質量%がさらに好ましい。即ち、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、シリカを含有しないか、または10質量%以下のシリカを含有することが好ましく、前記組成物は、シリカを含有しないか、または8質量%以下のシリカを含有することがより好ましく、前記組成物は、シリカを含有しないか、または5質量%以下のシリカを含有することがさらに好ましい(なお、前記シリカの含有量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たりの値である)。シリカの含有量が多すぎると、密着性が低下する傾向となる。
[0080]
 熱硬化性樹脂組成物から得られる硬化物の耐湿性および密着性向上等のために、熱硬化性樹脂組成物にタルクを配合してもよい。熱硬化性樹脂組成物がタルクを含有する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、0.5~40質量%が好ましく、0.5~30質量%がより好ましく、0.5~25質量%がさらに好ましく、0.5~20質量%が特に好ましい。なお、タルクの含有量が多すぎると、熱硬化性樹脂と半焼成ハイドロタルサイト成分の割合が少なくなり過ぎ、得られる硬化物の封止性能が悪化する傾向となる。タルクを含有する熱硬化性樹脂組成物中の半焼成ハイドロタルサイトの含有量は、硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、5~59.5質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、25~50質量%がさらに好ましい。
[0081]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物中の無機充填剤は、好ましくは半焼成ハイドロタルサイトのみ、または半焼成ハイドロタルサイトおよびタルクからなり、より好ましくは半焼成ハイドロタルサイトおよびタルクからなる。この態様において、無機充填剤全体100質量部に対する半焼成ハイドロタルサイトの含有量は、好ましくは20~100質量部、より好ましくは25~100質量部、さらに好ましくは30~99.5質量部である。
[0082]
<その他の添加剤>
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上述の成分とは異なるその他の添加剤をさらに含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、ゴム粒子、シリコーンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素樹脂パウダー等の有機充填剤;オルベン、ベントン等の増粘剤;シリコーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤またはレベリング剤;トリアゾール化合物、チアゾール化合物、トリアジン化合物、ポルフィリン化合物等の密着性付与剤;等を挙げることができる。
[0083]
<熱硬化性樹脂組成物の製造方法>
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上述の成分、および必要により溶媒等を、混練ローラーや回転ミキサーなどを用いて混合することによって製造することができる。
[0084]
<用途>
 本発明の熱硬化性樹脂組成物および後述する封止用シートは、例えば、半導体、太陽電池、高輝度LED、LCD、EL素子等の電子部品、好ましくは有機EL素子、太陽電池等の光学半導体の封止に使用される。本発明の熱硬化性樹脂組成物および封止用シートは、特に有機EL素子の封止に好適に使用される。具体的には、有機EL素子の発光部の上部および/または周囲(側部)に適用して有機EL素子の発光部を外部から保護するために、本発明の熱硬化性樹脂組成物および封止用シートを用いることができる。
[0085]
 本発明の熱硬化性樹脂組成物を封止対象物に直接塗布し、その塗膜を硬化することで封止層を形成することができる。また、支持体上に本発明の熱硬化性樹脂組成物の層を形成した封止用シートを作製し、封止用シートを封止対象物の必要箇所にラミネートして熱硬化性樹脂組成物層を被覆対象物に転写し、硬化することで、封止層を形成してもよい。
[0086]
<封止用シート>
 本発明の熱硬化性樹脂組成物の層が支持体上に形成されている封止用シートは、当業者に公知の方法、例えば、熱硬化性樹脂組成物が有機溶剤に溶解した熱硬化性樹脂組成物ワニスを調製し、該ワニスを支持体上に塗布し、さらに加熱、あるいは熱風吹きつけ等によって塗布された該ワニスを乾燥させて熱硬化性樹脂組成物の層を形成させることによって製造することができる。
[0087]
 封止用シートに使用する支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドなどのプラスチックフィルムが挙げられる。プラスチックフィルムとしては、特にPETが好ましい。また支持体はアルミ箔、ステンレス箔、銅箔等の金属箔であってもよい。支持体はマット処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。離型処理としては、例えば、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等の離型剤による離型処理が挙げられる。
[0088]
 封止用シートの防湿性を向上させるために、バリア層を有するプラスチックフィルムを支持体として用いてもよい。このバリア層としては、例えば、窒化ケイ素等の窒化物、酸化アルミニウム等の酸化物、ステンレス箔、アルミ箔の金属箔等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、上述のプラスチックフィルムが挙げられる。バリア層を有するプラスチックフィルムは市販品を使用してもよい。また、金属箔とプラスチックフィルムを複合ラミネートしたフィルムであってもよい。例えば、アルミ箔付きポリエチレンテレフタレートフィルムの市販品としては、東海東洋アルミ販売社製「PETツキAL1N30」、福田金属社製「PETツキAL3025」等が挙げられる。
[0089]
 支持体には、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等による離型処理、マット処理、コロナ処理等が施されていてもよい。本発明において支持体が離型層を有する場合、該離型層も支持体の一部とみなす。支持体の厚さは、特に限定されないが、取扱い性等の観点から、好ましくは20~200μm、より好ましくは20~125μmである。
[0090]
 有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(以下、「MEK」とも略称する)、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等を挙げることができる。かかる有機溶剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[0091]
 乾燥条件は特に制限はないが、通常50~100℃程度で3~15分程度が好適である。
[0092]
 乾燥後の熱硬化性樹脂組成物層の厚さは、通常3μm~200μm、好ましくは5μm~100μm、さらに好ましくは5μm~50μmである。
[0093]
 熱硬化性樹脂組成物の層は、保護フィルムで保護されていてもよい。保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。保護フィルムは、支持体と同様のプラスチックフィルムを用いるのが好ましい。また、保護フィルムもマット処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。保護フィルムの厚さは特に制限されないが、通常1~150μm、好ましくは10~100μmである。
[0094]
 封止用シートは、支持体に、防湿性を有し、且つ透過率の高い支持体を使用すれば、封止用シートを封止対象物の必要箇所にラミネートし、そのまま、熱硬化性樹脂組成物の層を硬化して封止層を形成することで、高い耐湿性を備えた封止構造を形成することができる。このような、防湿性を有し、且つ透過率の高い支持体としては、表面に酸化ケイ素(シリカ)、窒化ケイ素、SiCN、アモルファスシリコン等の無機物を蒸着させたプラスチックフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、特にPETが好ましい。市販されている防湿性を有するプラスチックフィルムの例としては、テックバリアHX、AX、LX、Lシリーズ(三菱樹脂社製)やさらに防湿効果を高めたX-BARRIER(三菱樹脂社製)等が挙げられる。支持体として、2層以上の複層構造を有するものを使用しても良い。
[0095]
<有機ELデバイス>
 本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物で有機EL素子が封止されている有機ELデバイス等を製造する場合は、上記封止用シートを用いて封止を行うのが好適である。すなわち、封止用シートは樹脂組成物層が保護フィルムで保護されている場合はこれを剥離した後、封止用シートをその樹脂組成物層が封止対象物(例えば、有機EL素子形成基板上の有機EL素子等)に直接接するようにラミネートする。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。ラミネート後、支持体を剥離し、後述の樹脂組成物層の熱硬化作業を行なう。封止用シートの支持体が防湿性を有する支持体である場合、封止用シートをラミネートした後、支持体を剥離せず、そのまま後述の樹脂組成物層の熱硬化作業を行なう。
[0096]
 樹脂組成物層の硬化は通常熱硬化によって行われる。その手段としては、例えば、熱風循環式オーブン、赤外線ヒーター、ヒートガン、高周波誘導加熱装置、ヒートツールの圧着による加熱などが挙げられる。硬化温度および硬化時間のそれぞれの下限値は、硬化した熱硬化性樹脂組成物層(封止層)を封止対象物に十分に満足できる接着強度で接着させる観点から、硬化温度は、50℃以上が好ましく、55℃以上がより好ましく、硬化時間は、10分以上が好ましく、20分以上がより好ましい。
実施例
[0097]
 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、特に断りがない限り、硬化物の反応率および熱重量減少率以外の「%」および「部」は、それぞれ「質量%」および「質量部」を意味する。ハイドロタルサイトは全て市販されているハイドロタルサイトを、飽和吸水率、熱重量減少率、X線回折ピーク値を測定して使用した。
[0098]
<合成例1>
 イオン液体硬化剤であるN-アセチルグリシンテトラブチルホスホニウム塩を以下の手順にて合成した。41.4%のテトラブチルホスホニウムハイドロキサイド水溶液(北興化学工業社製)20.0gに対し、0℃にてN-アセチルグリシン(東京化成工業社製)3.54gを加え、10分間攪拌した。エバポレーターを用いて40~50mmHgの圧力で、60~80℃にて2時間、90℃にて5時間、反応溶液を濃縮した。得られた濃縮物を、室温にて酢酸エチル(純正化学社製)14.2mlに溶解して溶液を調製し、得られた溶液を、エバポレーターを用いて40~50mmHgの圧力で、70~90℃にて3時間濃縮して、N-アセチルグリシンテトラブチルホスホニウム塩11.7g(純度:96.9%)をオイル状化合物として得た。なお、下記表2では、N-アセチルグリシンテトラブチルホスホニウム塩を「TBP・N-Ac-Gly」と記載する。
[0099]
<実施例1>
 液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「jER828EL」、エポキシ当量約190)57部と、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-403」)1.5部と、タルク粉末(日本タルク社製「FG-15」)16部、および市販のハイドロタルサイトA(BET比表面積13m /g)22部を混練後、3本ロールミルにて分散を行い、混合物を得た。硬化促進剤(サンアプロ社製「U-3512T」)1.5部をフェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX7200B35」、MEK溶液、不揮発分35%))82.9部に溶解させた混合物に、先に調製した3本ロールミルにより分散した混合物と、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「jER1001」、エポキシ当量約475)のMEK溶液(不揮発分80%、下記表2で「jER1001B80」と記載する)17.5部と、イオン液体硬化剤(N-アセチルグリシンテトラブチルホスホニウム塩)3部とを配合し、高速回転ミキサーで均一に分散してワニス状の熱硬化性樹脂組成物を得た。
[0100]
 次いで、熱硬化性樹脂組成物ワニスを、支持体(アルキッド系離型剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ38μm、以下「離型PETフィルム」と略す)上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが20μmとなるようにダイコーターにて均一に塗布し、80℃で5分間乾燥した後、樹脂組成物層の表面に、保護フィルムとして離型PETフィルムを載せ、封止用シートを得た。
[0101]
<実施例2>
 ハイドロタルサイトA(22部)の代わりにハイドロタルサイトB(BET比表面積15m /g、15部)を使用したこと以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物ワニスを製造し、封止用シートを得た。
[0102]
<実施例3>
 ハイドロタルサイトA(22部)の代わりにハイドロタルサイトA(14部)とハイドロタルサイトC(BET比表面積146m /g、5部)との混合ハイドロタルサイト(BET比表面積48m /g)を使用したこと以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物ワニスを製造し、封止用シートを得た。
[0103]
<実施例4>
 ハイドロタルサイトA(22部)の代わりにハイドロタルサイトA(49部)を使用し、タルクFG-15(16部)を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物ワニスを製造し、封止用シートを得た。
[0104]
<実施例5>
 ハイドロタルサイトA(22部)の代わりにハイドロタルサイトE(BET比表面積9m /g、22部)を使用したこと以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物ワニスを製造し、封止用シートを得た。
[0105]
<実施例6>
 ハイドロタルサイトA(22部)の代わりにハイドロタルサイトF(BET比表面積9m /g、43部)を使用し、タルクFG-15(16部)を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物ワニスを製造し、封止用シートを得た。
[0106]
<比較例1>
 ハイドロタルサイトA(22部)の代わりにハイドロタルサイトD(BET比表面積10m /g、22部)を使用したこと以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物ワニスを製造し、封止用シートを得た。
[0107]
<比較例2>
 ハイドロタルサイトA(22部)の代わりにハイドロタルサイトC(10部)とハイドロタルサイトD(7部)との混合ハイドロタルサイト(BET比表面積90m /g)を使用したこと以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物ワニスを製造し、封止用シートを得た。
[0108]
<比較例3>
 ハイドロタルサイトA(22部)を使用せず、タルクFG-15の配合量を29部と変更したこと以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物ワニスを製造し、封止用シートを得た。
[0109]
<比較例4>
 ハイドロタルサイトA(22部)の代わりにハイドロタルサイトC(15部)を使用したこと以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物ワニスを製造し、封止用シートを得た。
[0110]
<比較例5>
 ハイドロタルサイトA(22部)およびタルクFG-15(16部)の代わりにハイドロタルサイトC(24部)を使用したこと以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物ワニスを製造し、封止用シートを得た。
[0111]
<比較例6>
 ハイドロタルサイトAの配合量を22部から7部に変更し、タルクFG-15(16部)を使用せず、シリカSC2500-SQ(61部)を使用したこと以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物ワニスを製造し、封止用シートを得た。
[0112]
<ハイドロタルサイトの吸水率>
 各ハイドロタルサイトを天秤にて1.5g量りとり、初期質量を測定した。大気圧下、60℃、90%RH(相対湿度)に設定した小型環境試験器(エスペック社製 SH-222)に200時間静置して、吸湿後の質量を測定し、上記式(iii)を用いて飽和吸水率を求めた。結果を表1に示す。
[0113]
<ハイドロタルサイトの熱重量減少率>
 日立ハイテクサイエンス社製TG/DTA EXSTAR6300を用いて、各ハイドロタルサイトの熱重量分析測定を行った。アルミニウム製のサンプルパンにハイドロタルサイトを10mg秤量し、蓋をせずオープンの状態で、窒素流量200mL/分の雰囲気下で、30℃から550℃まで10℃/分で昇温した。上記式(ii)を用いて、280℃と380℃における熱重量減少率を求めた。結果を表1に示す。
[0114]
<粉末X線回折>
 粉末X線回折測定は、粉末X線回折装置(PANalytical社製, Empyrean)により、対陰極CuKα(1.5405Å)、電圧:45V、電流:40mA、サンプリング幅:0.0260°、走査速度:0.0657°/s、測定回折角範囲(2θ):5.0131~79.9711°の条件で行った。ピークサーチは、回折装置付属のソフトウエアのピークサーチ機能を利用し、「最小有意度:0.50、最小ピークチップ:0.01°、最大ピークチップ:1.00°、ピークベース幅:2.00°、方法:2次微分の最小値」の条件で行った。2θが8~18°の範囲内で現れたスプリットした2つのピーク、または2つのピークの合成によりショルダーを有するピークを検出し、低角側に現れたピークまたはショルダーの回折強度(=低角側回折強度)と、高角側に現れるピークまたはショルダーの回折強度(=高角側回折強度)を測定し、相対強度比(=低角側回折強度/高角側回折強度)を算出した。結果を表1に示す。
[0115]
 飽和吸水率、熱重量減少率および粉末X線回折の結果より、ハイドロタルサイトA、B、EおよびFが「半焼成ハイドロタルサイト」であり、ハイドロタルサイトCが「焼成ハイドロタルサイト」であり、ハイドロタルサイトDが「未焼成ハイドロタルサイト」である。これらのハイドロタルサイトA~Fの種類も表1に示す。
[0116]
[表1]


[0117]
<発光面積減少開始時間>
 支持体としてアルミ箔/PET複合フィルム「PETツキAL1N30」(アルミ箔:30μm、PET:25μm、:東海東洋アルミ販売社製商品名)を用いたこと以外は各実施例および比較例と同様にして、各実施例および比較例と同じ樹脂組成物層を有する封止用シート得た。
[0118]
 無アルカリガラス50mm×50mm角を、煮沸したイソプロピールアルコールで5分間洗浄し、150℃において30分以上乾燥した。当該ガラスを用い、端部からの距離を3mmとしたマスクを使用し、カルシウム(純度99.8%)を蒸着した(厚さ300nm)。グローブボックス内で、カルシウムを蒸着した無アルカリガラスと、各実施例および比較例と同じ樹脂組成物層を有する封止用シートとを熱ラミネーター(フジプラ社製 ラミパッカーDAiSY A4 (LPD2325)で貼りあわて、積層体を調製した。得られた積層体を温度110℃で30分間加熱し、樹脂組成物層を硬化して、評価用サンプルを得た。
[0119]
 カルシウムが水と接触して酸化カルシウムになると、透明になる。そのため、評価用サンプルへの水分侵入は、評価用サンプルの端部からカルシウム膜までの距離(mm)を測定することによって評価できる。そのため、カルシウム膜を含む評価用サンプルを、有機EL素子を含む有機ELデバイスのモデルとして使用した。
[0120]
 まず、評価用サンプルの端部からカルシウム膜までの距離をミツトヨ社製 Measuring Microscope MF-Uにより測定し、この値をX2とした。
[0121]
 次いで、温度85℃および湿度85%RHに設定した恒温恒湿槽に評価用サンプルを投入した。恒温恒湿槽への投入後の評価用サンプルの端部からカルシウム膜までの封止距離X1(mm)が、恒温恒湿槽への投入前の評価用サンプルの端部からカルシウム膜までの封止距離X2(mm)よりも0.1mm増加した時間で評価用サンプルを恒温恒湿槽から取り出し、その時間を減少開始時間t(時間)とした。
[0122]
 以下のフィックの拡散式:
 X1=K√t
(式中、X1は、恒温恒湿槽への投入後の評価用サンプルの端部からカルシウム膜までの封止距離(mm)であり、tは、X1=X2+0.1となる減少開始時間(時間)であり、X2は恒温恒湿槽への投入前の評価用サンプルの端部からカルシウム膜までの封止距離(mm)である。)
に基づき、定数Kを算出した。
[0123]
 得られたKを用いて、Xが6mmとなる時間を発光面積減少開始時間として算出した。結果を表2に示す。なお、水分遮断性が高いほど水分の侵入速度を遅らせることができ、この発光面積減少開始時間は長くなる。
[0124]
<硬化物の反応率>
 厚さ20μmの熱硬化性樹脂組成物層を50℃のホットプレート上で折り畳み、厚さ0.3mmの樹脂組成物層を取り出した。取り出した熱硬化性樹脂組成物層を110℃30分~1時間で加熱硬化させた。日立ハイテクサイエンス社製DSC EXSTAR7000Xを用いて、アルミニウム製のサンプルパンに硬化前後の熱硬化性樹脂組成物のサンプルをそれぞれ3mg秤量し、蓋をした状態で、窒素流量50mL/分の雰囲気下で、15℃から280℃まで昇温速度5℃/分の条件で測定を行い、得られた曲線から反応熱量(mJ/mg)を解析し、上記式(i)から反応率を算出した。結果を表2に示す。反応率が70%以上である硬化物を用いて、本明細書に記載した上述の条件で吸湿前後の熱重量分析測定を行った。
[0125]
<硬化物の吸湿前後の熱重量減少率>
 DSCでの反応率が70%以上となることを確認した厚さ0.3mmの熱硬化性樹脂組成物層の硬化物を、吸湿前のサンプルとして用いた。さらにその熱硬化性樹脂組成物層の硬化物1gを大気圧下、85℃、85%RH(相対湿度)に設定した小型環境試験器(エスペック社製 SH-222)に100時間静置し、吸湿後の熱硬化性樹脂組成物層の硬化物を調製し、これを吸湿後のサンプルとして用いた。
[0126]
 熱重量分析は、日立ハイテクサイエンス社製TG/DTA EXSTAR6300を用いて、アルミニウム製のサンプルパンに吸湿前後のサンプルをそれぞれ10mg秤量し、蓋をせずオープンの状態で、窒素流量200mL/分の雰囲気下で、30℃から550℃まで昇温速度10℃/分の条件で行った。上記式(ii)を用いて280℃と380℃の熱重量減少率を求め、吸湿前の硬化物の280℃における熱重量減少率をX (%)、380℃における熱重量減少率をY (%)とし、吸湿後の硬化物の280℃における熱重量減少率をX (%)、380℃における熱重量減少率をY (%)とし、X -X およびY -Y を算出した。結果を表2に示す。
[0127]
[表2]


[0128]
 表2の結果から、実施例1~6で得られた2%≦X -X 、且つY -Y ≦10%を満たす硬化物は、発光面積減少時間が長く、水分遮断性に優れることが分かる。一方、比較例1、3および6で得られたX -X <2%である硬化物、並びに比較例2および4~5で得られた10%<Y -Y である硬化物は、発光面積減少時間が短く、水分遮蔽性に劣ることが分かる。

産業上の利用可能性

[0129]
 本発明の封止用の熱硬化性樹脂組成物から、水分遮断性がより長時間維持される封止層を得ることができる。そのため、本発明の封止用の熱硬化性樹脂組成物を、有機EL素子等の水分に弱い素子の封止に用いることによって、素子寿命が大きく延長された有機ELデバイス等のデバイスを提供することができる。
[0130]
 本願は、日本で出願された特願2016-017028号を基礎としており、その内容は本願明細書に全て包含される。

請求の範囲

[請求項1]
 (A)熱硬化性樹脂、(B)硬化剤、および無機充填剤として(C)半焼成ハイドロタルサイトを含む封止用の熱硬化性樹脂組成物であって、
 吸湿前の該熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱重量分析による280℃における熱重量減少率をX (%)、380℃における熱重量減少率をY (%)とし、吸湿後の該熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱重量分析による280℃における熱重量減少率をX (%)、380℃における熱重量減少率をY (%)としたとき、2%≦X -X 、且つY -Y ≦10%の関係を満たし、
 半焼成ハイドロタルサイトを含む無機充填剤全体の含有量が、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり20~60質量%である熱硬化性樹脂組成物。
[請求項2]
 半焼成ハイドロタルサイトの含有量が、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり5~60質量%である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[請求項3]
 無機充填剤としてタルクをさらに含む請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[請求項4]
 硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり、半焼成ハイドロタルサイトの含有量が5~59.5質量%であり、且つタルクの含有量が0.5~40質量%である請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[請求項5]
 熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂である請求項1~4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[請求項6]
 エポキシ樹脂の含有量が、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり10~79.9質量%である請求項5に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[請求項7]
 硬化剤の含有量が、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり0.1~50質量%である請求項1~6のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[請求項8]
 シリカの含有量が、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分全体当たり0~10質量%である請求項1~7のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[請求項9]
 有機EL素子の封止用である請求項1~8のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[請求項10]
 請求項1~8のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物の層が支持体上に形成されている封止用シート。
[請求項11]
 有機EL素子の封止用である請求項10に記載の封止用シート。
[請求項12]
 請求項1~8のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物で有機EL素子が封止されている有機ELデバイス。