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1. (WO2017134877) RESOURCE ESTIMATION SYSTEM AND RESOURCE ESTIMATION METHOD
Document

明 細 書

発明の名称 資源推定システム及び資源推定方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

非特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

発明の効果

0017  

図面の簡単な説明

0018  

発明を実施するための形態

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089  

符号の説明

0090  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

明 細 書

発明の名称 : 資源推定システム及び資源推定方法

技術分野

[0001]
 本発明は、海底等の水底における資源の存在を推定する資源推定システム及び資源推定方法に関する。

背景技術

[0002]
 従来から、海中の自然電位を計測して、計測した自然電位に基づいて海底の資源を探査することが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。

先行技術文献

非特許文献

[0003]
非特許文献1 : Heinson,G.,White,A.,Robinson,D.and Fathianpour,N.,Marine self-potential gradient exploration of the continental margin Geophysics,70:G109-G118(2005)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 海中で測位された電位には様々なノイズが含まれる。例えば、海中での自然電位を計測するためには、通常、水中航走体(例えば、AUV(自律型無人潜水機)やROV(遠隔操作無人探査機))等によって海中で電極を移動させる必要がある。そのため、海中で電極が移動することで生じるノイズや、計測器を搭載する水中航走体等が発するノイズといったノイズが生じる。海底の資源に起因する海中の自然電位は、そのようなノイズに比べて十分に大きいものではない。従って、計測した電位に基づいて精度よく海底の資源を探査することが難しかった。
[0005]
 本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、自然電位に基づく海底等の水底の資源の探索を精度よく行うことができる資源推定システム及び資源推定方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る資源推定システムは、水中における複数の位置で計測された、所定の位置関係を有する複数の電極の電位を示す電位情報を取得する電位情報取得手段と、電位情報取得手段によって取得された電位情報によって示される複数の電極の電位を用いて、主成分分析又は独立成分分析を行って、計測された電位に含まれるノイズを除去するノイズ除去手段と、ノイズ除去手段によってノイズが除去された電位に基づいて、水底における資源の存在を推定する資源推定手段と、を備える。
[0007]
 本発明の一実施形態に係る資源推定システムでは、所定の位置関係を有する複数の電極の電位が用いられて、主成分分析又は独立成分分析が行われて、電位に含まれるノイズが除去されて、水底における資源の存在が推定される。このように複数の電極の電位が用いられて、主成分分析又は独立成分分析が行われることで、電極から比較的遠い(ファーフィールドの)水底における資源からの電位から、電極から比較的近い(ニアフィールドの)ノイズの電位を分離することができる。これにより、本発明の一実施形態に係る資源推定システムによれば、自然電位に基づく海底等の水底の資源の探索を精度よく行うことができる。
[0008]
 ノイズ除去手段は、主成分分析又は独立成分分析によって得られる分離成分の寄与率又は成分負荷量に基づいて、主成分分析又は独立成分分析を行って得られる分離成分から、資源に係るシグナルの分離成分の抽出、又はノイズの分離成分の除外を行い、分離成分の値の再構成を行って、ノイズが除去された電位を算出することとしてもよい。更に具体的には、ノイズ除去手段は、寄与率又は成分負荷量の絶対値が大きい順にノイズの分離成分と判断することとしてもよい。あるいは、ノイズ除去手段は、寄与率又は成分負荷量の絶対値が小さい順に資源に係るシグナルの分離成分と判断することとしてもよい。この構成によれば、適切かつ確実に自然電位に基づく海底等の水底の資源の探索を精度よく行うことができる。
[0009]
 電位情報取得手段は、キャリブレーション用の電位情報、及び資源の推定用の電位情報を取得し、ノイズ除去手段は、キャリブレーション用の電位情報に基づいて、資源に係るシグナルの分離成分の抽出、又はノイズの分離成分の除外を行い、資源の推定用の電位情報に基づいて、分離成分の値の再構成を行うこととしてもよい。この構成によれば、更に適切にノイズが除去され、水底の資源の探索を更に精度よく行うことができる。
[0010]
 資源推定システムは、水中における複数の位置における環境を示す環境情報を取得する環境情報取得手段を更に備え、ノイズ除去手段は、環境情報取得手段によって取得された環境情報にも基づいて、ノイズを除去する、こととしてもよい。この構成によれば、水中の環境を確実に考慮してノイズを除去することができ、更に水底の資源の探索を精度よく行うことができる。
[0011]
 資源推定システムは、複数の電極と、水中における複数の位置での電極の電位を計測して、計測した電位を示す電位情報を電位情報取得手段に入力する電位計測手段と、を更に備えることとしてもよい。この構成によれば、より確実に本発明の一実施形態を実施することができる。
[0012]
 資源推定システムは、水中を移動する移動体を更に備え、複数の電極は、移動体の異なる位置に配置されている、こととしてもよい。この構成によれば、例えば、電極を水平方向及び鉛直方向等の多数の方向において異なる位置に配置することができる。即ち、電極を立体的に配置することができる。これにより、ノイズを検出しやすい電極の配置とすることができ、更に水底の資源の探索を精度よく行うことができる。
[0013]
 資源推定システムは、水中における複数の位置における、複数の電極が接続されると共に水中を移動する移動体の状態を示す移動体情報を取得する移動体情報取得手段を更に備え、ノイズ除去手段は、移動体情報取得手段によって取得された移動体情報にも基づいて、ノイズを除去する、こととしてもよい。この構成によれば、移動体の状態を確実に考慮してノイズを除去することができ、更に水底の資源の探索を精度よく行うことができる。
[0014]
 ところで、本発明は、上記のように資源推定システムの発明として記述できる他に、以下のように資源推定方法の発明としても記述することができる。これはカテゴリが異なるだけで、実質的に同一の発明であり、同様の作用及び効果を奏する。
[0015]
 即ち、本発明の一実施形態に係る資源推定方法は、資源推定システムの動作方法である資源推定方法であって、水中における複数の位置で計測された、所定の位置関係を有する複数の電極の電位を示す電位情報を取得する電位情報取得ステップと、電位情報取得ステップにおいて取得された電位情報によって示される複数の電極の電位を用いて、主成分分析又は独立成分分析を行って、計測された電位に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップと、ノイズ除去ステップにおいてノイズが除去された電位に基づいて、水底における資源の存在を推定する資源推定ステップと、を含む。
[0016]
 資源推定方法は、電極を一定の水深で移動させる移動ステップを更に備えることとしてもよい。この構成によれば、電極を水中で容易に移動させることができ、容易に本発明の一実施形態を実施することができる。

発明の効果

[0017]
 本発明の一実施形態によれば、複数の電極の電位が用いられて、主成分分析又は独立成分分析が行われることで、電極から比較的遠い(ファーフィールドの)水底における資源からの電位から、電極から比較的近い(ニアフィールドの)ノイズの電位を分離することができる。これにより、本発明の一実施形態によれば、自然電位に基づく海底等の水底の資源の探索を精度よく行うことができる。

図面の簡単な説明

[0018]
[図1] 本発明の実施形態に係る資源推定システムを模式的に示す図である。
[図2] 本発明の実施形態に係る資源推定システムの構成を示す図である。
[図3] 電位差のデータの例を示すグラフである。
[図4] ノイズの除去の方法を模式的に示す図である。
[図5] 主成分分析による主成分の値の例を示すグラフである。
[図6] 主成分分析による主成分負荷量の例を示すグラフである。
[図7] 主成分分析による主成分の寄与率の例を示すグラフである。
[図8] 独立成分分析による独立成分の値の例を示すグラフである。
[図9] 独立成分分析による独立成分負荷量の例を示すグラフである。
[図10] 再構成した(ノイズ除去後の)電位差のデータの例を示すグラフである。
[図11] 本発明の実施形態に係る資源推定システムで実行される処理である資源推定方法を示すフローチャートである。
[図12] 電極の配置の変形例を示す図である。
[図13] 海底の資源の推定例を示す図である。
[図14] 海底の資源の推定例を示す図である。
[図15] 海底の資源の推定例を示す図である。

発明を実施するための形態

[0019]
 以下、図面と共に本発明に係る資源推定システム及び資源推定方法の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致しない。
[0020]
 図1に、本実施形態に係る資源推定システム1を模式的に示す。資源推定システム1は、水底における資源の存在を推定するシステムである。本実施形態では、海底下の資源を例に説明するが、必ずしも海底下である必要はなく、水底(例えば、湖底、川底)における資源であればよい。なお、通常、資源は海底(水底)を含む海底下(水底下、地下)に存在するので、本明細書における海底(水底)は、海底下(水底下、地下)も含んでいてもよい。資源推定システム1によって存在が推定される資源は、主として鉱物資源(例えば、海底熱水鉱床、鉱体)である。また、鉱物資源以外の天然資源(例えば、石油、天然ガス)を推定対象としてもよい。海底下の資源は、海中に電場を生成する。即ち、海底下の資源は、海中の電位に対して影響を及ぼす。資源推定システム1は、海中の電位(自然電位)を計測して、海底下のどの部分に資源が存在しているかを推定するものである。
[0021]
 図1に示すように、資源推定システム1は、移動体10と、複数の電極20,21(電極アレイ)とを含んで構成される。移動体10は、海中を移動する装置である。例えば、移動体10は、ケーブル101で船100に接続されている。例えば、移動体10は、海中を自律航走するAUV又はROV等の水中航走体である。あるいは、移動体10は、船100で曳航される装置であってもよい。移動体10には、複数の電極20,21が接続されている。複数の電極20,21は、海中の電位を計測するためのものである。移動体10の移動に応じて、電極20,21も海中で移動し、海中における複数の位置で電位が計測される。電極20,21が用いられて計測された電位に基づいて、海底下の資源の推定が行われる。
[0022]
 本実施形態に係る資源推定システム1では、水深1000mを超える深海域での資源探査を可能とする。移動体10及び電極20,21は、例えば、海底から数十m程度の水深の海中を移動する(あるいは、移動させられる)。移動体10及び電極20,21は、海底面からの高度を一定程度に保って移動してもよいし、実質的に一定の水深で(海面からの高度を一定程度に保って)移動してもよい。
[0023]
 電極20,21を用いて測定される電位には、海中を電極20,21が移動することによって、あるいは移動体10の挙動に伴って動揺することによって生じるノイズや、計測系を搭載する移動体10自身が発するノイズ等の複数のノイズが混入している可能性がある。これらのノイズは特定の周波数を持ったノイズとは限らないため、単純な周波数フィルターなどではノイズを分離、除去することは難しい。
[0024]
 資源の推定に用いられる電位(資源に係るシグナル)は、通常、電極20,21から比較的離れた位置(ファーフィールド)の海底下の資源に起因するものである。一方で、上記のノイズは、比較的ローカルな場(測定系近傍、ニアフィールド)で生じている。本実施形態では、上記のシグナルとノイズとを分離した上で、資源の推定を行うものである。
[0025]
 図2に本実施形態に係る資源推定システム1の機能構成を示す。図2に示すように移動体10には、複数の電極20,21が接続されている。複数の電極20,21のうちの1つは、コモン電極(グランド電極)20である。コモン電極20は、基準電位となる電位を計測するための電極である。複数の電極20,21のうちの残りは、電位電極21である。電位電極21は、資源の推定に用いられる電位を測定するための電極である。資源推定システム1は、複数の電位電極21を備える。例えば、図1に示すように5個程度の電位電極21が備えられる。
[0026]
 各電極20,21は、所定の位置関係で、互いに異なる位置に設けられている。例えば、図1に示すように、各電極20,21は、FRP(繊維強化プラスチック)又は熱可塑性樹脂(例えば、PP(ポリプロピレン))等で構成される棒状の部材である電極ロッド22で順番に接続される。各電位電極21の間隔は、数m(例えば、5m)とされる。また、移動体10と、移動体10に最も近い電位電極21との間隔は、数m(例えば、6m)とされる。コモン電極20は、例えば、移動体10から2つ目の電位電極21と、3つ目の電位電極21との間に設けられる。各電極20,21としては、海中で電位の計測に用いられる従来の非分極電極が用いられる。
[0027]
 図2に示すように、移動体10は、電位差計30と、測位装置40と、環境用センサ50と、移動体用センサ60と、コンピュータ70とを備える。コンピュータ70以外の各装置30,40,50,60は、コンピュータ70に対して情報が送信できるようにコンピュータ70と接続されている。また、移動体10は、海中で移動するための構成を備えている(図示せず)。海中で移動するための構成としては、従来の装置(例えば、AUV又はROV)と同様のものでよい。
[0028]
 電位差計30は、コモン電極20の電位を基準とした、各電位電極21(各チャンネル)の電位を計測する電位計測手段である装置である。電位差計30は、継続的に各電位電極21の電位を計測する。例えば、20~50Hz程度のサンプリングレートで各電位電極21の電位を計測する。上述したように移動体10及び電極20,21は水中を移動しているので、継続的な測位によって水中における複数の位置での各電位電極21の電位が計測される。電位差計30としては、従来の電位差計が用いられ、従来の電位差計と同様に移動体10に配置することができる。電位差計30は、計測した電位を示す電位情報をコンピュータ70に出力する。
[0029]
 測位装置40は、移動体10の位置を測位する手段である装置である。測位装置40は、継続的に移動体10の測位を行う。測位によって得られる移動体10の位置は、例えば、緯度及び経度の情報として得られる。測位装置40としては、従来の測位装置が用いられ、従来の海中用の測位装置と同様に移動体10に配置することができる。測位装置40は、測位によって得られた移動体10の位置を示す位置情報をコンピュータ70に出力する。コンピュータ70に出力された位置情報は、測位のタイミング等に基づき、電位差計30によって計測された電位がどの位置で計測されたものか示す情報として電位情報に対応付けられる。なお、測位装置40は、必ずしも移動体10の筐体に内蔵されている必要はなく、例えば、電極20,21と同様に棒状の部材で移動体10に接続されていてもよい。
[0030]
 環境用センサ50は、水中の環境(移動体10周辺の環境)を検出する手段である装置である。環境用センサ50が検出する環境としては、例えば、水の電気伝導度、温度、塩分濃度、水深(高度)である。環境用センサ50は、上述した情報のうち、1つの情報を検出してもよいし、複数の情報を検出してもよい。環境用センサ50は、継続的に水中の環境を検出して、水中における複数の位置での環境を検出する。環境用センサ50としては、従来の環境用センサ(例えば、CTD(Conductivity Temperature Depth profiler))が用いられ、従来の環境用センサと同様に移動体10に配置することができる。環境用センサ50は、検出した環境を示す環境情報をコンピュータ70に出力する。コンピュータ70に出力された環境情報は、検出のタイミング等に基づき、同一の位置で電位差計30によって計測された電位に係る電位情報に対応付けられる。
[0031]
 移動体用センサ60は、移動体10の状態を検出する手段である装置である。移動体用センサ60が検出する移動体10の状態としては、例えば、移動体の動揺(具体的には、ピッチ角、ロール角、方位等)である。移動体用センサ60は、上述した情報のうち、1つの情報を検出してもよいし、複数の情報を検出してもよい。移動体用センサ60は、継続的に移動体10の状態を検出して、水中における複数の位置での移動体10の状態を検出する。移動体用センサ60としては、従来の移動体用センサが用いられ、従来の移動体用センサと同様に移動体10に配置することができる。移動体用センサ60は、検出した移動体10の状態を示す移動体情報をコンピュータ70に出力する。コンピュータ70に出力された移動体情報は、検出のタイミング等に基づき、同一の位置で電位差計30によって計測された電位に係る電位情報に対応付けられる。
[0032]
 電位差計30による計測、環境用センサ50による検出、及び移動体用センサ60による検出は、後述するようにキャリブレーション及び資源の推定の2つの段階で行われる。一方、測位装置40による測位は、資源の推定の段階のみに行われればよい。具体的には、これらの処理のタイミングは、予め設定されていてもよいし、資源推定システム1の操作者の操作等をトリガとするものであってもよい。
[0033]
 コンピュータ70は、各装置30,40,50,60から入力した情報に基づいて、資源の存在を推定する演算を行う手段である装置である。コンピュータ70は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリ等のハードウェアによって構成される。これらのハードウェアがプログラム等で動作することで、後述するコンピュータ70の機能が発揮される。コンピュータ70としては、従来のものが用いられる。
[0034]
 図2に示すように、コンピュータ70は、機能的に、推定用情報取得部71と、電位差算出部72と、ノイズ除去部73と、資源推定部74と、出力部75とを備えて構成される。
[0035]
 推定用情報取得部71は、移動体に備えられた各装置30,40,50,60から、資源の推定に用いられる情報を取得する手段である。具体的には、推定用情報取得部71は、電位差計30から電位情報を入力して取得する電位情報取得手段である。推定用情報取得部71は、取得した電位情報を電位差算出部72に出力する。推定用情報取得部71は、電位差計30から入力した電位情報によって示される電位(V)を、コモン電極20と各電位電極21との距離で割って電場(V/m)を算出して、以降の処理において電場のデータが用いられることとしてもよい。この場合、以下の説明では電位を電場と読み替えればよい。なお、上述したようにコモン電極20と各電位電極21との距離は、予め定まっており、推定用情報取得部71は、各電位電極21について当該距離を記憶している。
[0036]
 また、推定用情報取得部71は、環境用センサ50から環境情報を入力して取得する環境情報取得手段である。推定用情報取得部71は、取得した環境情報をノイズ除去部73に出力する。また、推定用情報取得部71は、移動体用センサ60から移動体情報を入力して取得する移動体情報取得手段である。推定用情報取得部71は、取得した移動体情報をノイズ除去部73に出力する。推定用情報取得部71は、測位装置40から位置情報を入力して取得する。推定用情報取得部71は、取得した位置情報を資源推定部74に出力する。
[0037]
 電位差算出部72は、推定用情報取得部71から入力した電位情報によって示される電位電極21の電位のうち、計測された複数の位置毎の当該電位電極21のペア(組み合わせ)の電位差を、複数のペアについて算出する電位差算出手段である。電位差を算出する電位電極21のペアは、予め設定されている。例えば、図1に示すように電位電極21が順番に繋がっている場合、電位電極21を移動体10に近い方からそれぞれch1,ch2,ch3,ch4,ch5とすると、ch2-ch1のペア、ch3-ch2のペア、ch4-ch3のペア及びch5-ch4の4つのペアを設定することができる。
[0038]
 図3に算出した電位差のデータの例(電位電極21間のスパンが5mの場合の例)を示す。図3(a)~(d)のグラフが、それぞれch2-ch1のペア、ch3-ch2のペア、ch4-ch3のペア及びch5-ch4のペアのグラフである。図3のグラフにおいて、横軸は計測の時刻(計測が行われた各位置に対応する)であり、縦軸は電位差である。
[0039]
 なお、上記のように電位電極21のペアの電位差を用いて資源の推定を行う場合には、電位電極21のペアを複数設定するために、資源推定システム1に設けられる電位電極21を3つ以上とする。また、計測値のドリフトノイズを抑えるため、資源の推定を行う前に十分な期間、海水又は海水と同程度の塩水に浸して、各電位電極21間の電位差を計測し、個体差の小さい電位電極21同志をペアとすることとしてもよい。電位差算出部72は、電位電極21のペア毎の算出した電位差を示す情報をノイズ除去部73に出力する。
[0040]
 ノイズ除去部73は、推定用情報取得部71によって取得された電位情報によって示される複数の電位電極21の電位を用いて、主成分分析(PCA)又は独立成分分析(ICA)を行って、計測された電位に含まれるノイズを除去するノイズ除去手段である。主成分分析又は独立成分分析は、数学的な手続き(統計処理)で所定の分離成分に分離でき、シグナルとノイズとの分離に応用することができる。例えば、ノイズ除去部73は、主成分分析又は独立成分分析によって得られる分離成分の寄与率又は成分負荷量(主成分負荷量又は独立成分負荷量)に基づいて、主成分分析又は独立成分分析を行って得られる分離成分から、資源に係るシグナルの分離成分の抽出、又はノイズの分離成分の除外を行い、分離成分の値の再構成を行って、ノイズが除去された電位を算出する。
[0041]
 本実施形態では、ノイズ除去部73は、電位差算出部72によって算出された複数のペアについての電位差に基づいて、計測された電位に含まれるノイズを除去する(シグナルとノイズとを分離する)。ノイズ除去部73は、複数のペアについての電位差に対して、主成分分析又は独立成分分析を行って、当該分析によって得られる分離成分の寄与率又は成分負荷量に基づいてノイズを除去する。
[0042]
 ノイズ除去部73は、推定用情報取得部71から入力した環境情報にも基づいて、ノイズを除去することとしてもよい。ノイズは、水中の環境変化に応じて変化することが考えられるためである。また、ノイズ除去部73は、推定用情報取得部71から入力した移動体情報にも基づいて、ノイズを除去することとしてもよい。ノイズは、移動体10の状態の変化に応じて変化することが考えられるためである。
[0043]
 具体的には、ノイズ除去部73は、以下のようにノイズの除去を行う。図4にノイズ除去部73によるノイズの除去の方法を模式的に示す。図4では、電位電極21の4つのペアの電位差のデータ、移動体情報によって示される移動体データ、及び環境情報によって示される環境データを用いてノイズを除去する場合の例である。
[0044]
 ノイズ除去部73によるノイズの除去は、例えば、ノイズを同定する段階である(ノイズ除去の準備段階である)キャリブレーションと、ノイズを除去して資源の推定に用いられる電位差のデータを取得する段階との2段階で行われることとしてもよい。即ち、キャリブレーション期間を設けて、ノイズの除去を行うこととしてもよい。キャリブレーションでは、資源の推定を行う海底から十分離れた水深、例えば、中層(おおよそ調査海域の水深の半分)でのデータを用いる。従って、キャリブレーションの段階では、電位に対する資源の影響がない(あるいは極めて小さい)。即ち、キャリブレーションの段階では、電位には、シグナルが含まれていない(あるいはシグナルの成分が極めて小さい)。従って、この際に取得されるデータの大きな変動や個々の電位電極21の電位のみに現れる特異な波形は、全てノイズと考えられる。一方、資源の推定では、上述したように、海底から数十m程度の水深の海中でのデータを用いる。そのため、電位差計30、環境用センサ50及び移動体用センサ60は、各段階に応じた水深での各データをそれぞれ取得する。即ち、推定用情報取得部71は、キャリブレーション用の電位情報、環境情報及び移動体情報、並びに資源の推定用の電位情報、環境情報及び移動体情報を取得する。
[0045]
 ノイズ除去部73は、キャリブレーション用の電位情報、環境情報及び移動体情報に基づいて、資源に係るシグナルの分離成分の抽出、又はノイズの分離成分の除外を行い、資源の推定用の電位情報、環境情報及び移動体情報に基づいて、分離成分の値の再構成を行う。具体的には、ノイズ除去部73は、以下のような機能を有する。
[0046]
 まず、キャリブレーションでのノイズ除去部73の機能について説明する。ノイズ除去部73は、電位差算出部72から入力された電位差のデータ、移動体情報によって示される移動体データ、及び環境情報によって示される環境データに対して、主成分分析又は独立成分分析を行って、元のデータから分離成分(主成分又は独立成分)を算出するための情報(座標軸を変換するための情報であり、例えば、係数ベクトル)を得る。また、ノイズ除去部73は、各分離成分についての寄与率及び成分負荷量(主成分負荷量又は独立成分負荷量)の少なくとも何れかを得る。なお、主成分分析又は独立成分分析は、電位差に係るペア、移動体データの項目及び環境データの項目を座標軸として行う。また、移動体情報及び環境情報のデータ数が、電位差のデータ数と異なる場合には、データの補間を行う等してデータの数を合わせておく。
[0047]
 図3に示す電位差のデータを用いて主成分分析を行った場合の例のグラフを図5~図7に示す。この例は、(移動体データ、環境データを用いずに)4つのペアの電位差のデータに対して主成分分析を行った場合の例である。寄与率が大きいものから、順に第1主成分、第2主成分、第3主成分、第4主成分とする。上記の通り、主成分分析は、電位差に係るペアを座標軸として行うため、分離成分(主成分)は、最大で当該ペアの数だけ(この例では第4主成分まで)得られる。
[0048]
 図5に各主成分の値(主成分スコア)を示す。図5のグラフにおいて、横軸は計測の時刻(図3の電位差のデータと同様)であり、縦軸は主成分の値である。なお、キャリブレーションの段階では、必ずしも主成分の値を算出する必要はない。図6に主成分負荷量を示す。図6のグラフにおいて、横軸は主成分分析の対象となった元データの座標軸(ここでは、電位差に係るペア)を示し、1がch2-ch1のペアを、2がch3-ch2のペアを、3がch4-ch3のペアを、4がch5-ch4のペアをそれぞれ示している。縦軸は、主成分負荷量の値である。図7に寄与率を示す。図7のグラフにおいて、横軸は各主成分を示し、左側の縦軸がそれぞれの寄与率を示し、右側の縦軸が累積寄与率を示している。
[0049]
 図3に示す電位差のデータを用いて独立成分分析を行った場合の例のグラフを図8及び図9に示す。この例は、上記の主成分分析の場合と同様に、(移動体データ、環境データを用いずに)4つのペアの電位差のデータに対して独立成分分析を行った場合の例である。上記の通り、独立成分分析は、電位差に係るペアを座標軸として行うため、分離成分(独立成分)は、最大で当該ペアの数だけ得られる。
[0050]
 図8に各独立成分の値を示す。図8のグラフにおいて、横軸は計測の時刻(図3の電位差のデータと同様)であり、縦軸は独立成分の値である。なお、キャリブレーションの段階では、必ずしも独立成分の値を算出する必要はない。図9に独立成分負荷量を示す。図9のグラフにおいて、横軸は主成分分析の対象となった元データの座標軸(ここでは、電位差に係るペア)を示し、1がch2-ch1のペアを、2がch3-ch2のペアを、3がch4-ch3のペアを、4がch5-ch4のペアをそれぞれ示している。縦軸は、独立成分負荷量の値である。
[0051]
 ノイズ除去部73は、主成分分析又は独立成分分析による分離成分から、寄与率又は成分負荷量に基づいて資源の推定に用いるものを抽出する。ノイズ除去部73は、資源に係るシグナルの分離成分の抽出、又はノイズの分離成分の除外を行って、資源の推定に用いる分離成分を抽出する。シグナルはファーフィールドに係るものであり、ノイズはニアフィールドに係るものであると考えることができる。一般的に主成分分析又は独立成分分析では、成分負荷量や寄与率(負荷量の場合は絶対値)が小さい分離成分を棄却して情報の集約(選択)を行うが、本実施形態では逆に成分負荷量や寄与率の値が大きい方をノイズとして考える。これは、ニアフィールドのノイズの方が、ファーフィールドのシグナルに比べて、電位に対して大きな影響を与えると考えられるためである。
[0052]
 上記の抽出は、予めノイズ除去部73に設定される判断基準に基づいて行われ、例えば、以下のように行われる。電位差に係るペアが2つのみであり、移動体データ及び環境データを用いない場合は、分離成分は2成分である。2成分のうち、主成分分析又は独立成分分析によって得られる寄与率の大きい方の分離成分をノイズとして、もう一方を資源の推定に用いる分離成分とする。
[0053]
 3成分以上の場合(電位差に係るペアが3以上、移動体データ及び環境データを用いる場合等)は、以下のように資源の推定に用いるものとしてもよい。例えば、得られた成分負荷量の上記の座標軸間(電位差に係るペア、移動体データの項目及び環境データの項目間)でのばらつきを算出して、ばらつきに基づいて、資源の推定に用いる分離成分を抽出してもよい。このばらつきが大きい場合には、ニアフィールドのノイズと推定することができる。ばらつきは、独立成分毎の成分負荷量の標準偏差又は平均偏差で求めることができる。例えば、算出したばらつきの値が小さい順に予め設定した数の分離成分を資源の推定に用いるものとする。あるいは、算出したばらつきが予め設定した閾値以上の分離成分をノイズとし、それ以外の分離成分を資源の推定に用いるものとする。
[0054]
 あるいは、得られた寄与率の大きいものから順に積算し、積算した寄与率が70%を超える分離成分までをノイズとし、残りの分離成分を資源の推定に用いるものとする。この場合、寄与率の大きい順に資源の推定に用いる分離成分の数を予め設定しておいてもよい。また、積算して寄与率が70%を超えた分離成分の寄与率とその一つ前の分離成分との差が、予め設定した一定値以下である場合には、当該積算して寄与率が70%を超えた分離成分までをノイズとして、残りの分離成分を資源の推定に用いるものとする。上記のように、ノイズ除去部73は、寄与率が大きい順にノイズの分離成分と判断し、それ以外の分離成分を資源の推定に用いるものとする。また、ノイズ除去部73は、成分負荷量の絶対値が大きい順にノイズの分離成分と判断し、それ以外を資源の推定に用いるものとしてもよい。
[0055]
 あるいは、ノイズ除去部73は、寄与率又は成分負荷量の絶対値が小さい順に資源に係るシグナルの分離成分と判断し、その分離成分を資源の推定に用いるものとする。例えば、寄与率又は成分負荷量の絶対値が小さい順に予め設定した数の分離成分を、資源に係るシグナルの分離成分と判断してもよい。なお、具体的な数値については、必ずしも上記のものに限られず、チューニングにより決定されることとしてもよい。また、成分負荷量と寄与率とを組み合わせた判断基準により、抽出を行うこととしてもよい。また、ノイズの要因は一つではない場合が多いので、計測される成分は可能な限り多い方が、よりよくノイズの低減化を図ることができる。
[0056]
 例えば、図6に示す主成分分析の主成分負荷量の場合、主成分負荷量のばらつきとして、データ数が少ないので平均偏差を算出する。この場合、平均偏差は、第1主成分から順に0.5519、0.3196、0.3331、0.1743となり、第4主成分が最もばらつきが少ない。そのため、第4主成分を資源の推定に用いるものとしてもよい。図7に示す主成分分析の寄与率の場合、第2主成分までで、元の時系列にある大きな変化はほぼ説明できており、その寄与率は70%を超えている。しかしながら、第2主成分と第3主成分とのばらつきと寄与率がほぼ同等のため、第3主成分までをノイズとして、第4主成分を資源の推定に用いるものとしてもよい。
[0057]
 例えば、図9に示す独立成分分析の成分負荷量の場合、成分負荷量のばらつきとして、主成分分析の場合と同様に平均偏差を算出する。平均偏差は、第1成分から順に0.0102、0.0023、0.0013、0.0015となり、ch2-ch1のペアの電位データに寄与の大きい第1成分(y1)が他の成分に比べて非常に大きいことがわかる。これらの独立成分のうち、最もばらつきの小さい第3成分(y3)以外をノイズとし、第3成分(y3)を資源の推定に用いるものとしてもよい。
[0058]
 続いて、ノイズを除去して資源の推定に用いられる電位差のデータを取得する段階でのノイズ除去部73の機能について説明する。ノイズ除去部73は、電位差算出部72から入力された電位差のデータ、移動体情報によって示される移動体データ、及び環境情報によって示される環境データから、キャリブレーション時に得られた情報を用いて、分離成分(主成分の値、独立成分の値)を算出する。この際、資源の推定に用いる分離成分として抽出された分離成分のみ算出することとしてもよい。ノイズ除去部73は、資源の推定に用いる分離成分のみから(キャリブレーション時にノイズとされた分離成分を除外して)、電位差のデータを再構成する。データの再構成は、従来の主成分分析又は独立成分分析に係る方法と同様に行われる。再構成の結果、元の電位差のデータと同じペアの数だけのデータが得られる。
[0059]
 環境情報及び移動体情報に示されるデータは、上記の通り、主成分分析又は独立成分分析の座標軸として扱ってもよい。但し、電位差のデータの波形が、環境情報及び移動体情報の少なくとも何れかに示されるデータの波形と、明らかに相関が高く、かつ強度が強い場合は、その波形自体をカーブフィッティング等で除去することとしてもよい。
[0060]
 図10に、図3に示す電位差のデータに対して、図8及び図9に示す独立成分分析を行って第3成分のみからデータを再構成した(第3成分以外をノイズとして除去した)電位差のデータの例を示す。なお、図10では、原波形も同時に示している。このように、原波形に比べて十分なノイズ低減化が図られている。ノイズ除去部73は、再構成した電位差のデータ(電位差の波形)を資源推定部74に出力する。
[0061]
 資源推定部74は、ノイズ除去部73によってノイズが除去された電位に基づいて、資源の存在を推定する資源推定手段である。資源推定部74は、当該電位と、推定用情報取得部71から入力した当該電位に対応する位置情報とに基づいて、海底下のどの部分に資源が存在しているかを推定する。具体的には、資源推定部74は、資源の推定として、計測で得られたシグナル(電位差の波形)の空間分布に対して、最もよく信号を説明する地下構造(地下の電位分布)を推定する。なお、この推定は、従来の自然電位に基づく資源探査と同様に行われてもよい。また、資源推定部74は、海中の電位等の上述したデータ以外の他の調査データと統合的に解析を行うことで推定を行うこととしてもよい。資源推定部74は、推定結果を示す情報(例えば、地下の電位分布を示す情報)を出力部75に出力する。
[0062]
 出力部75は、資源推定部74による推定結果を示す情報を出力する出力手段である。出力部75は、例えば、別の装置(例えば、船100の上の装置)に送信することで、当該情報を出力する。あるいは、出力部75は、移動体10が海上に引き上げられた後、ユーザが認識できるように当該情報の表示等の出力を行ってもよい。以上が、本実施形態に係る資源推定システム1の構成である。
[0063]
 引き続いて、図11のフローチャートを用いて、本実施形態に係る資源推定システム1で実行される処理(資源推定システム1の動作方法)である資源推定方法を説明する。本処理では、まず、資源推定システム1が、資源の推定を行う海域に船100等によって移動されて海中に没する。続いて、資源推定システム1は、中層まで達するとキャリブレーションのための移動を行う(S01、移動ステップ)。当該移動に伴い、電極20,21も海中を移動する。以下の処理(S02~S04)は、当該移動の間、継続的に行われる。また、当該移動は、所定の期間行われる。
[0064]
 当該移動の間、電位差計30によって、各電位電極21の電位が計測される。当該計測によって得られた電位情報は、電位差計30からコンピュータ70に入力されて、推定用情報取得部71によって取得される(S02、電位計測ステップ、電位情報取得ステップ)。推定用情報取得部71によって取得された電位情報は電位差算出部72に出力される。
[0065]
 また、環境用センサ50によって、水中の環境(環境データ)が検出される。当該検出によって得られた環境情報は、環境用センサ50からコンピュータ70に入力されて、推定用情報取得部71によって取得される(S03、環境情報取得ステップ)。推定用情報取得部71によって取得された環境情報はノイズ除去部73に出力される。
[0066]
 また、移動体用センサ60によって、移動体10の状態(移動体データ)が検出される。検出によって得られた環境情報は、移動体用センサ60からコンピュータ70に入力されて、推定用情報取得部71によって取得される(S04、移動体情報取得ステップ)。推定用情報取得部71によって取得された移動体情報はノイズ除去部73に出力される。
[0067]
 続いて、電位差算出部72によって、入力した電位情報によって示される電位電極21の電位のうち、計測された複数の位置毎の当該電位電極21のペアの電位差が、複数のペアについて算出される(S05、電位差算出ステップ)。算出されたペア毎の電位差を示す情報は、電位差算出部72からノイズ除去部73に出力される。
[0068]
 続いて、ノイズ除去部73によって、電位差算出部72から入力された情報及び推定用情報取得部71から入力された情報が用いられて、キャリブレーションの処理が行われる(S06、ノイズ除去ステップ)。具体的には、それらの情報によって示されるデータに対して、主成分分析又は独立成分分析が行われる。続いて、当該分析によって得られた分離成分のうち、資源の推定に用いるものが抽出される(ノイズに相当する分離成分が特定して除去される)。
[0069]
 以上がキャリブレーションの処理であり、引き続いて、資源の推定の処理が行われる。資源推定システム1は、資源に起因する自然電位が生じている水深(例えば、海底から数十m程度の水深)まで移動する。続いて、資源推定システム1は、資源の推定のための移動、即ち、水平方向の移動を行う(S07、移動ステップ)。上記と同様に当該移動に伴い、電極20,21も海中を移動する。この際、海底面からの高度を一定程度に保って移動してもよいし、実質的に一定の水深で(海面からの高度を一定程度に保って)移動してもよい。また、以下の処理(S08~S11)は、当該移動の間、継続的に行われる。また、当該移動は、資源の推定の対象となる海中の領域にわたって行われる。
[0070]
 当該移動の間、電位差計30によって、各電位電極21の電位が計測される。当該計測によって得られた電位情報は、電位差計30からコンピュータ70に入力されて、推定用情報取得部71によって取得される(S08、電位計測ステップ、電位情報取得ステップ)。推定用情報取得部71によって取得された電位情報は電位差算出部72に出力される。
[0071]
 また、測位装置40によって、移動体10の位置が測位される。当該検出によって得られた位置情報は、測位装置40からコンピュータ70に入力されて、推定用情報取得部71によって取得される(S09)。推定用情報取得部71によって取得された位置情報は資源推定部74に出力される。
[0072]
 また、環境用センサ50によって、水中の環境(環境データ)が検出される。当該検出によって得られた環境情報は、環境用センサ50からコンピュータ70に入力されて、推定用情報取得部71によって取得される(S10、環境情報取得ステップ)。推定用情報取得部71によって取得された環境情報はノイズ除去部73に出力される。
[0073]
 また、移動体用センサ60によって、移動体10の状態(移動体データ)が検出される。検出によって得られた環境情報は、移動体用センサ60からコンピュータ70に入力されて、推定用情報取得部71によって取得される(S11、移動体情報取得ステップ)。推定用情報取得部71によって取得された移動体情報はノイズ除去部73に出力される。
[0074]
 続いて、電位差算出部72によって、入力した電位情報によって示される電位電極21の電位のうち、計測された複数の位置毎の当該電位電極21のペアの電位差が、複数のペアについて算出される(S12、電位差算出ステップ)。算出されたペア毎の電位差を示す情報は、電位差算出部72からノイズ除去部73に出力される。
[0075]
 続いて、ノイズ除去部73によって、S06で抽出された、資源の推定に用いる分離成分の情報が用いられて、電位差算出部72から入力された情報及び推定用情報取得部71から入力された情報の分離成分の値(主成分スコア又は独立成分の値)が算出される。続いて、当該分離成分の値に対して再構成が行われて、ノイズが除去された電位差のデータが取得される(S13、ノイズ除去ステップ)。再構成された電位差のデータは、ノイズ除去部73から資源推定部74に出力される。
[0076]
 続いて、資源推定部74によって、ノイズ除去部73から入力された再構成された電位差のデータと、推定用情報取得部71から入力された当該電位に対応する位置情報とに基づいて、海底下のどの部分に資源が存在しているかが推定される(S14、資源推定ステップ)。推定結果を示す情報は、資源推定部74から出力部75に出力される。続いて、出力部75によって、資源推定部74による推定結果を示す情報の出力が行われる(S15、出力ステップ)。以上が、本実施形態に係る資源推定システム1で実行される処理である。
[0077]
 なお、上記の処理の説明では、各装置30,40,50,60の動作(S02~S04,S08~S11)と、コンピュータ70での処理(S05,S06,S12~S15)とが交互に行われていた。しかしながら、コンピュータ70での処理は、各装置30,40,50,60の動作が全て終了してからでも可能であるため、そのような順番で処理が行われてもよい。
[0078]
 本実施形態では、所定の位置関係を有する複数の電位電極21のペアの電位差に基づいて、電位に含まれるノイズが除去されて、海底における資源の存在が推定される。このように複数の電位電極21の電位差が用いられて、主成分分析又は独立成分分析が行われることで、ファーフィールドの海底における資源からの電位から、ニアフィールドのノイズの電位を分離することができる。これにより、本実施形態によれば、自然電位に基づく海底等の水底の資源の探索を精度よく行うことができる。また、本実施形態による方法は、自然電位を計測するものであるので、アクティブソースを用いたものと比べて、高度な観測機器を必要とせず、容易な解析で実現することができる。
[0079]
 また、上述したように、分離成分の寄与率又は成分負荷量に基づいて、ノイズを除去することとしてもよい。この構成によれば、適切かつ確実に自然電位に基づく海底等の水底の資源の探索を精度よく行うことができる。
[0080]
 また、本実施形態のように、キャリブレーション(シグナルが電位に含まれていない場合の処理)及び資源の推定(シグナルが電位に含まれている場合の処理)の2つの段階で情報を取得し、ノイズを除去することとしてもよい。この構成によれば、更に適切にノイズが除去され、水底の資源の探索を更に精度よく行うことができる。但し、必ずしも2つの段階でデータの取得及び処理が行われる必要はなく、資源の推定に用いられるデータ(上述したように例えば、海底から数十m程度の水深の海中でのデータ)のみを用いて、ノイズの除去が行われてもよい。
[0081]
 また、本実施形態のように環境情報を用いてノイズを除去することとしてもよい。この構成によれば、水中の環境を確実に考慮してノイズを除去することができ、更に水底の資源の探索を精度よく行うことができる。
[0082]
 また、本実施形態のように移動体情報を用いてノイズを除去することとしてもよい。この構成によれば、移動体10の状態を確実に考慮してノイズを除去することができ、更に水底の資源の探索を精度よく行うことができる。但し、移動体情報を用いない構成としてもよい。
[0083]
 また、上述したように移動体10及び電極20,21を実質的に一定の水深で移動させることとしてもよい。この構成によれば、移動体10及び電極20,21を海中等の水中で容易に移動させることができ、容易に本発明の一実施形態を実施することができる。
[0084]
 なお、上述した実施形態では、資源の存在を推定する演算を行うコンピュータ70は、移動体10に備えられているものとしていた。しかしながら、コンピュータ70は、必ずしも移動体10に備えられている必要はなく、移動体10に備えられる各装置30,40,50,60から情報が取得できる構成となっていればよい。例えば、コンピュータ70は、船100又は地上の拠点等に備えられていてもよい。また、本発明に係る資源推定システムは、各装置30,40,50,60によって情報が得られればよいので、上述したコンピュータ70のみから構成されていてもよい。
[0085]
 また、上述した資源推定システム1では、電極20,21は電極ロッド22で接続されており、移動体10から離れた位置に配置されていた。しかしながら、各電極20,21は、移動体10に直接、接続される構成としてもよい。例えば、図12に示すように、各電極20,21は、移動体10の側面及び底面等の異なる位置に配置されていることとしてもよい。
[0086]
 この構成によれば、例えば、図1に示すような電極ロッド22の方向のみではなく、各電極20,21を水平方向及び鉛直方向等の多数の方向において異なる位置に配置することができる。即ち、各電極20,21を立体的に配置することができる。これにより、ノイズを検出しやすい各電極20,21の配置とすることができ、更に水底の資源の探索を精度よく行うことができる。
[0087]
 また、本実施形態では、ノイズの除去対象となると共に資源の推定に用いる電位を、各電位電極21のペアの電位差としたが、本発明において資源の推定に用いる電位は、ペアの電位差に限定されない。例えば、当該電位を、コモン電極20の電位に対する複数の電位電極21の電位(コモン電極20の電位と電位電極21の電位との電位差)とすることとしてもよい。
[0088]
 引き続いて、図13~図15に実際の海底の資源の推定例を示す。図13(a)、図14(a)、図15(a)は、シグナルに係る電位差のデータ(正確には、電位差を経路に沿って積分したデータ)の一つを示すグラフである。これらグラフにおいて、横軸は計測した位置であり、縦軸はシグナルに係る電位差のデータ(正確には、電位差を経路に沿って積分したデータ)である。図13(b)、図14(b)、図15(b)は、図13(a)、図14(a)、図15(a)のデータに基づいて、推定された資源を示す図である。これら図において、横軸は位置であり((a)のグラフの位置に対応している)、縦軸は海面からの深さである。濃い色の部分が、資源が存在すると推定された部分である。また、この図には、移動体の水深L1、及び電極20,21を結ぶ電極ロッド22の移動体10に接続された方と反対側の先端の水深L2を示す。
[0089]
 この推定例は、硫化物マウンド群に対して推定を行ったものであり、図13及び図14は、同一の海底を示す。図13及び図14において、マウンドは熱水兆候あり領域であり、ただの火山はカルデラ状地形形成時の火山活動の痕を示す領域である。図15では、チムニーは熱水兆候ありのマウンドを示し、チムニー前(図中左側)の異常域では熱水兆候なしを示している。図15(b)に示されるように、熱水兆候なしの異常域でも、鉱床が形成されている、つまりは潜頭性鉱床を検出できていることがわかる。海底鉱物資源探査においては、潜頭性鉱床を見つけることが大きな課題となっており、その課題解決にも有効である。これらからも、本発明の一実施形態による推定が適切に行えていることが分かる。また、図14に示すように海底面から一定の水深で移動させた場合、図13に示すように概ね一定の水深で移動させた場合に比べて資源までの距離が近いため、より細かい推定を行うことができる。

符号の説明

[0090]
 1…資源推定システム、10…移動体、20…コモン電極、21…電位電極、22…電極ロッド、30…電位差計、40…測位装置、50…環境用センサ、60…移動体用センサ、70…コンピュータ、71…推定用情報取得部、72…電位差算出部、73…ノイズ除去部、74…資源推定部、75…出力部、100…船、101…ケーブル。

請求の範囲

[請求項1]
 水中における複数の位置で計測された、所定の位置関係を有する複数の電極の電位を示す電位情報を取得する電位情報取得手段と、
 前記電位情報取得手段によって取得された電位情報によって示される複数の電極の電位を用いて、主成分分析又は独立成分分析を行って、計測された電位に含まれるノイズを除去するノイズ除去手段と、
 前記ノイズ除去手段によってノイズが除去された電位に基づいて、水底における資源の存在を推定する資源推定手段と、
を備える資源推定システム。
[請求項2]
 前記ノイズ除去手段は、主成分分析又は独立成分分析によって得られる分離成分の寄与率又は成分負荷量に基づいて、主成分分析又は独立成分分析を行って得られる分離成分から、前記資源に係るシグナルの分離成分の抽出、又は前記ノイズの分離成分の除外を行い、分離成分の値の再構成を行って、ノイズが除去された電位を算出する請求項1に記載の資源推定システム。
[請求項3]
 前記ノイズ除去手段は、前記寄与率又は成分負荷量の絶対値が大きい順に前記ノイズの分離成分と判断する請求項2に記載の資源推定システム。
[請求項4]
 前記ノイズ除去手段は、前記寄与率又は成分負荷量の絶対値が小さい順に前記資源に係るシグナルの分離成分と判断する請求項2に記載の資源推定システム。
[請求項5]
 前記電位情報取得手段は、キャリブレーション用の電位情報、及び資源の推定用の電位情報を取得し、
 前記ノイズ除去手段は、前記キャリブレーション用の電位情報に基づいて、前記資源に係るシグナルの分離成分の抽出、又は前記ノイズの分離成分の除外を行い、前記資源の推定用の電位情報に基づいて、分離成分の値の再構成を行う請求項2~4の何れか一項に記載の資源推定システム。
[請求項6]
 前記水中における複数の位置における環境を示す環境情報を取得する環境情報取得手段を更に備え、
 前記ノイズ除去手段は、前記環境情報取得手段によって取得された環境情報にも基づいて、前記ノイズを除去する、請求項1~5の何れか一項に記載の資源推定システム。
[請求項7]
 前記複数の電極と、
 水中における複数の位置での前記電極の電位を計測して、計測した電位を示す電位情報を前記電位情報取得手段に入力する電位計測手段と、
を更に備える請求項1~6の何れか一項に記載の資源推定システム。
[請求項8]
 水中を移動する移動体を更に備え、
 前記複数の電極は、前記移動体の異なる位置に配置されている、請求項7に記載の資源推定システム。
[請求項9]
 前記水中における複数の位置における、複数の電極が接続されると共に水中を移動する移動体の状態を示す移動体情報を取得する移動体情報取得手段を更に備え、
 前記ノイズ除去手段は、前記移動体情報取得手段によって取得された移動体情報にも基づいて、前記ノイズを除去する、請求項1~8の何れか一項に記載の資源推定システム。
[請求項10]
 資源推定システムの動作方法である資源推定方法であって、
 水中における複数の位置で計測された、所定の位置関係を有する複数の電極の電位を示す電位情報を取得する電位情報取得ステップと、
 前記電位情報取得ステップにおいて取得された電位情報によって示される複数の電極の電位を用いて、主成分分析又は独立成分分析を行って、計測された電位に含まれるノイズを除去するノイズ除去ステップと、
 前記ノイズ除去ステップにおいてノイズが除去された電位に基づいて、水底における資源の存在を推定する資源推定ステップと、
を含む資源推定方法。
[請求項11]
 前記電極を一定の水深で移動させる移動ステップを更に備える請求項10に記載の資源推定方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]