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1. (WO2017131093) SOLID ELECTROLYTE COMPOSITION, SHEET FOR ALL-SOLID-STATE SECONDARY BATTERIES, ELECTRODE SHEET FOR ALL-SOLID-STATE SECONDARY BATTERIES, ALL-SOLID-STATE SECONDARY BATTERY, METHOD FOR PRODUCING SHEET FOR ALL-SOLID-STATE SECONDARY BATTERIES, METHOD FOR PRODUCING ELECTRODE SHEET FOR ALL-SOLID-STATE SECONDARY BATTERIES, AND METHOD FOR MANUFACTURING ALL-SOLID-STATE SECONDARY BATTERY
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明 細 書

発明の名称 固体電解質組成物、全固体二次電池用シート、全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池、並びに、全固体二次電池用シート、全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013  

発明の効果

0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205  

実施例

0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252   0253  

符号の説明

0254  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 固体電解質組成物、全固体二次電池用シート、全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池、並びに、全固体二次電池用シート、全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、固体電解質組成物、全固体二次電池用シート、全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池、並びに、全固体二次電池用シート、全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 リチウムイオン二次電池は、負極と、正極と、負極及び正極の間に挟まれた電解質とを有し、両極間にリチウムイオンを往復移動させることにより充電、放電を可能とした蓄電池である。リチウムイオン二次電池には、従来、電解質として有機電解液が用いられてきた。しかし、有機電解液は液漏れを生じやすく、また、過充電または過放電により電池内部で短絡が生じ発火するおそれもあり、信頼性と安全性のさらなる向上が求められている。
 かかる状況下、有機電解液に代えて、無機固体電解質を用いた全固体二次電池が注目されている。全固体二次電池は負極、電解質、正極のすべてが固体からなり、有機電解液を用いた電池の課題とされる安全性ないし信頼性を大きく改善することができ、また長寿命化も可能になるとされる。さらに、全固体二次電池は、電極と電解質を直接並べて直列に配した構造とすることができる。そのため、有機電解液を用いた二次電池に比べて高エネルギー密度化が可能となり、電気自動車や大型蓄電池等への応用が期待されている。
[0003]
 このような全固体二次電池において、負極の活物質層、固体電解質層、及び正極の活物質層のいずれかの層を、無機固体電解質や活物質と特定の高分子化合物等のバインダー粒子(結着剤)とを含有する材料で形成することが、提案されている。例えば、特許文献1には、スチレン含有バインダー樹脂を結着剤として用いた正極合剤層形成用スラリーが記載されている。また、特許文献2には、活物質層等に特定の粒子状ポリマーからなる結着剤と無機固体電解質とを組み合わせて含有させることが記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2010-262764号公報
特許文献2 : 国際公開第2012/173089号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 近年、全固体二次電池の開発が急速に進行しており、全固体二次電池に求められる性能も高くなっている。特に、電極活物質層及び固体電解質層が固体粒子で形成された全固体二次電池においては、イオン伝導度等の電池性能を向上させるため、固体粒子間等の界面抵抗を低減し、それらの結着性を高めることが望まれている。
[0006]
 本発明は、全固体二次電池に用いる固体電解質組成物であって、全固体二次電池において、固体粒子間等の結着性を向上させ、界面抵抗を低減することができ、サイクル特性を向上させることができる、分散性に優れた固体電解質組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、上記固体電解質組成物を用いた、全固体二次電池用シート、全固体二次電池用電極シート及び全固体二次電池を提供することを課題とする。さらに、本発明は、上記全固体二次電池用シート、全固体二次電池用電極シート及び全固体二次電池の製造方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明者らが検討を重ねたところ、質量平均分子量が特定範囲にあるマクロモノマー由来の構成成分を含み且つ2環以上の環構造を含む基を有するポリマーをバインダーとして用いた固体電解質組成物が、分散性に優れることを見出した。さらに、全固体二次電池の各層の形成に上記固体電解質組成物を用いると、形成した層中の固体粒子間の結着性(密着性)を高めることができること、固体粒子の界面抵抗を低減できること、そして、得られる全固体二次電池がサイクル特性に優れることを見出した。本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
[0008]
 すなわち、上記の課題は以下の手段により解決された。
<1>周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質と、バインダーとを含有する固体電解質組成物であって、
 バインダーを構成するポリマーが、質量平均分子量1,000以上1,000,000未満のマクロモノマー由来の構成成分を含み、かつ、2環以上の環構造を含む、固体電解質組成物。
<2>バインダーを構成するポリマーが、側鎖に2環以上の環構造を含む基を有する繰り返し単位を含む<1>に記載の固体電解質組成物。
<3>2環以上の環構造を含む基を有する繰り返し単位が、マクロモノマー由来の構成成分中に組み込まれている<2>に記載の固体電解質組成物。
<4>2環以上の環構造を含む基を有する繰り返し単位の含有量が、バインダーを構成するポリマー100質量%中、10質量%以上85質量%以下である<2>または<3>に記載の固体電解質組成物。
<5>バインダーを構成するポリマーが粒子状であり、かつ、平均粒径が10nm以上50,000nm以下である<1>~<4>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
[0009]
<6>2環以上の環構造を含む基が、下記一般式(D)で表される化合物の少なくとも1つの水素原子を結合手に置き換えた構造を有する<1>~<5>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
[化1]


 一般式(D)中、環αは2環以上の環を表し、R D1は環αの構成原子と結合している置換基を表し、d1は1以上の整数を表す。d1が2以上の場合、複数のR D1は同一でも異なっていてもよい。隣接する原子に置換するR D1が互いに結合して、環を形成してもよい。
[0010]
<7>無機固体電解質が下記式(1)で表される<1>~<6>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。

   L a1b1c1d1e1 (1)

 式中、LはLi、Na及びKから選択される元素を示す。Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al及びGeから選択される元素を示す。Aは、I、Br、Cl又はFを示す。a1~e1は各元素の組成比を示し、a1:b1:c1:d1:e1は1~12:0~5:1:2~12:0~10を満たす。
[0011]
<8>一般式(D)で表される化合物の少なくとも1つの水素原子を結合手に置き換えた構造が、下記一般式(1)で表される化合物または下記一般式(2)で表される脂肪族炭化水素の少なくとも1つの水素原子を結合手に置き換えた構造である<6>に記載の固体電解質組成物。
[化2]


 一般式(1)において、CHCはベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環を表す。n1は0~8の整数を表す。R 11~R 16は各々独立に、水素原子または置換基を表す。X およびX は各々独立に、水素原子または置換基を表す。ここで、R 11~R 16、X およびX において、互いに隣接する基が結合して、5または6員環を形成してもよい。ただし、n1が0の場合、R 11~R 16のいずれか1つの置換基が、-(CHC m1-Rxであるか、またはR 11~R 16のいずれか2つが互いに結合して、-(CHC m1-を形成する。ここで、CHC はフェニレン基、シクロアルキレン基またはシクロアルケニレン基を表し、m1は2以上の整数を表し、Rxは水素原子または置換基を表す。また、n1が1の場合、R 11~R 16、X およびX において、互いに隣接する少なくとも2つが結合して、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環またはシクロヘキサジエン環を形成する。
[化3]


 一般式(2)において、Y およびY は各々独立に水素原子、メチル基またはホルミル基を表す。R 21、R 22、R 23およびR 24は各々独立に、置換基を表し、a、b、cおよびdは各々独立に0~4の整数を表す。
 ここで、A環は、飽和環、二重結合を1もしくは2個有する不飽和環または芳香環であってもよく、B環およびC環は、二重結合を1もしくは2個有する不飽和環であってもよい。なお、a、b、cおよびdが、2~4の整数の場合、隣接するR 21同士、R 22同士、R 23同士および/またはR 24同士は互いに結合して環を形成してもよい。
[0012]
<9>バインダーを構成するポリマーが、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレタンまたはアクリル樹脂である<1>~<8>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
<10>バインダーを構成するポリマーが、(メタ)アクリル酸成分、(メタ)アクリル酸エステル成分および(メタ)アクリロニトリル成分から選ばれる少なくとも1種の構成成分を含む<1>~<9>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
<11>周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの挿入放出が可能な活物質を含む<1>~<10>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
<12>活物質が炭素質材料である<11>に記載の固体電解質組成物。
<13>上記<1>~<10>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物の膜を基材上に有する全固体二次電池用シート。
<14>上記<11>または<12>に記載の固体電解質組成物の膜を基材上に有する全固体二次電池用電極シート。
<15>正極活物質層と負極活物質層と固体電解質層とを具備する全固体二次電池であって、正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層の少なくとも1層を<1>~<12>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物で構成した層とした全固体二次電池。
<16>上記<1>~<10>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物を基材上に配置し、これを製膜する全固体二次電池用シートの製造方法。
<17>上記<11>または<12>に記載の固体電解質組成物を基材上に配置し、これを製膜する全固体二次電池用電極シートの製造方法。
<18>上記<16>または<17>に記載の製造方法を介して、全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
[0013]
 本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
 本明細書において、単に「アクリル」又は「(メタ)アクリル」と記載するときは、メタアクリル又はアクリルを意味する。また、「アクリロニトリル」又は「(メタ)アクリロニトリル」と記載するときは、メタアクリロニトリル又はアクリロニトリルを意味する。

発明の効果

[0014]
 本発明の固体電解質組成物は、分散性が良好であり、この固体電解質組成物を全固体二次電池の層形成に用いることにより、形成した層中の固体粒子間等の結着性を高めて界面抵抗を低減することができ、また全固体二次電池のサイクル特性を高めることができる。また、本発明の全固体二次電池用シートおよび全固体二次電池用電極シートは固体粒子間等の結着性に優れる。また、本発明の全固体二次電池は、低抵抗で、サイクル特性にも優れる。
 また、本発明の全固体二次電池用シートの製造方法、全固体二次電池用電極シートの製造方法及び全固体二次電池の製造方法によれば、上記の優れた効果を奏する全固体二次電池用シート、全固体二次電池用電極シート及び全固体二次電池を製造することができる。
 本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 本発明の好ましい実施形態に係る全固体二次電池を模式化して示す縦断面図である。
[図2] 実施例で作製した全固体二次電池(コイン電池)を模式的に示す縦断面図である。

発明を実施するための形態

[0016]
 本発明の固体電解質組成物は、質量平均分子量1,000以上1,000,000未満のマクロモノマー由来の構成成分を含み、かつ、2環以上の環構造を含む基を有するポリマーをバインダーとして有し、さらに特定の無機固体電解質とを含む。ここで、上記のバインダーは、粒子状であること、すなわちバインダー粒子であることが好ましい。以下、本発明の好ましい実施形態の説明においては、バインダーが粒子状である形態について説明するが、本発明はバインダーが粒子状の形態に限定されるものではない。
[0017]
[全固体二次電池]
 本発明の全固体二次電池は、正極と、この正極に対向する負極と、正極及び負極の間に固体電解質層とを有する。正極は、正極集電体上に正極活物質層を有する。負極は、負極集電体上に負極活物質層を有する。
 負極活物質層、正極活物質層及び固体電解質層の少なくとも1つの層は、後述する本発明の固体電解質組成物で形成されることが好ましく、中でも、すべての層が本発明の固体電解質組成物で形成されることがより好ましい。
 固体電解質組成物で形成された活物質層又は固体電解質層は、好ましくは、含有する成分種及びその含有量比について、固体電解質組成物の固形分におけるものと同じである。
 以下に、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
[0018]
 図1は、本発明の好ましい実施形態に係る全固体二次電池(リチウムイオン二次電池)を模式化して示す断面図である。本実施形態の全固体二次電池10は、負極側からみて、負極集電体1、負極活物質層2、固体電解質層3、正極活物質層4、正極集電体5を、この順に積層してなる構造を有しており、隣接する層同士は直に接触している。このような構造を採用することで、充電時には、負極側に電子(e )が供給され、そこにリチウムイオン(Li )が蓄積される。一方、放電時には、負極に蓄積されたリチウムイオン(Li )が正極側に戻され、作動部位6に電子を供給することができる。図示した全固体二次電池の例では、作動部位6に電球をモデル的に採用しており、放電によりこれが点灯するようにされている。
[0019]
〔正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層〕
 全固体二次電池10においては、正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層のいずれも本発明の固体電解質組成物で形成されている。
 すなわち、固体電解質層3は、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質と、側鎖成分として質量平均分子量1,000以上1,000,000未満のマクロモノマー由来の構成成分を含み、かつ、2環以上の環構造を含む基を有するポリマーからなるバインダー粒子とを含む。
 以下、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質を単に無機固体電解質と称することもある。また、側鎖成分として質量平均分子量1,000以上1,000,000未満のマクロモノマー由来の構成成分を含み、かつ、2環以上の環構造を含む基を有するポリマーからなるバインダー粒子を単にバインダー粒子と称することもある。
 固体電解質層は、通常、正極活物質および/または負極活物質を含まない。固体電解質層3は、無機固体電解質、隣接する活物質層中に含まれる活物質等の固体粒子の間にバインダー粒子が存在しており、これにより、結着性を高めることができ、固体粒子間の界面抵抗を低減することができる。
 正極活物質層4および負極活物質層2は、それぞれ、正極活物質または負極活物質を含み、さらに、無機固体電解質と、バインダー粒子とを含む。活物質層が無機固体電解質を含有するとイオン伝導度を向上させることができる。活物質層は、固体粒子間等に、バインダー粒子が存在しており、これにより、結着性が高められ、界面抵抗を低減することができる。
 正極活物質層4、固体電解質層3および負極活物質層2が含有する無機固体電解質及びバインダー粒子は、それぞれ、互いに同種であっても異種であってもよい。
 本発明において、正極活物質層および負極活物質層のいずれか、または、両方を合わせて、単に、活物質層又は電極活物質層と称することがある。また、正極活物質及び負極活物質のいずれか、または、両方を合わせて、単に、活物質または電極活物質と称することがある。
[0020]
 本発明において、上記バインダー粒子を無機固体電解質や活物質等の固体粒子と組み合わせて用いる(含有する)と、固体粒子間等の界面抵抗を低減することができ、しかも良好な結着性をも実現できる。
 その作用、メカニズムは定かではないが、次のように、考えられる。すなわち、上記の固体粒子と上記バインダー粒子とを共存させると、バインダー粒子と固体粒子との界面接触面積が小さくなり、固体粒子間の界面抵抗の上昇が抑えられる。しかも、バインダー粒子を構成するポリマーが質量平均分子量1,000以上1,000,000未満のマクロモノマーを合成原料として用いていることにより、バインダー粒子同士が立体反発するため固体電解質組成物の分散性が向上する。さらに、2環以上の環構造を含む基を有することで、全固体二次電池において、バインダー粒子-固体粒子間で相互作用するため、固体粒子間等の結着性を保持して、集電体からの固体粒子の剥がれ(剥離)や、固体粒子同士の乖離を抑えることができる。これらの作用が相俟って、イオン伝導性等の優れた電池特性を示すと考えられる。
[0021]
 固体粒子等との高い結着性を保持するバインダー粒子を用いる本発明においては、上記の優れた電池特性に加えて、周期律表第1族又は第2族に属する金属元素のイオンの放出吸収(全固体二次電池の充放電)に伴って生じる活物質の収縮膨張によっても、活物質と固体電解質との接触状態を十分に保持して、電池寿命を長期化することができる(サイクル特性に優れる)。
[0022]
 バインダー粒子が固体粒子、活物質又は集電体と結着するメカニズムは、定かではないが、バインダー粒子を形成するポリマーと固体粒子等との相互作用によるものと推定される。このような相互作用として、吸着(化学的吸着及び物理的吸着を含む)、化学反応等が考えられる。
[0023]
 正極活物質層4、固体電解質層3、負極活物質層2の厚さは特に限定されない。一般的な電池の寸法を考慮すると、上記各層の厚さは10~1,000μmが好ましく、20μm以上500μm未満がより好ましい。本発明の全固体二次電池においては、正極活物質層4、固体電解質層3及び負極活物質層2の少なくとも1層の厚さが、50μm以上500μm未満であることがさらに好ましい。
[0024]
〔集電体(金属箔)〕
 正極集電体5及び負極集電体1は、電子伝導体が好ましい。
 本発明において、正極集電体及び負極集電体のいずれか、又は、両方を合わせて、単に、集電体と称することがある。
 正極集電体を形成する材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他に、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたもの(薄膜を形成したもの)が好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼がより好ましい。
 負極集電体を形成する材料としては、アルミニウム、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他に、アルミニウム、銅、銅合金、ステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金、ステンレス鋼がより好ましい。
[0025]
 集電体の形状は、通常フィルムシート状のものが使用されるが、ネット、パンチされたもの、ポーラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。
 集電体の厚みは、特に限定されないが、1~500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
[0026]
 本発明において、負極集電体、負極活物質層、固体電解質層、正極活物質層及び正極集電体の各層の間又はその外側には、機能性の層や部材等を適宜介在ないし配設してもよい。また、各層は単層で構成されていても、複層で構成されていてもよい。
[0027]
〔筐体〕
 上記の各層を配置して全固体二次電池の基本構造を作製することができる。用途によってはこのまま全固体二次電池として使用してもよいが、乾電池の形態とするためにはさらに適当な筐体に封入して用いる。筐体は、金属性のものであっても、樹脂(プラスチック)製のものであってもよい。金属性のものを用いる場合には、例えば、アルミニウム合金や、ステンレス鋼製のものを挙げることができる。金属性の筐体は、正極側の筐体と負極側の筐体に分けて、それぞれ正極集電体及び負極集電体と電気的に接続させることが好ましい。正極側の筐体と負極側の筐体とは、短絡防止用のガスケットを介して接合され、一体化されることが好ましい。
[0028]
[固体電解質組成物]
 本発明の固体電解質組成物は、上記の通りであり、以下に具体的に説明する。
(無機固体電解質)
 本発明の固体電解質組成物は、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質を含有する。
 無機固体電解質の固体電解質とは、その内部においてイオンを移動させることができる固体状の電解質のことである。主たるイオン伝導性材料として有機物を含むものではないことから、有機固体電解質(ポリエチレンオキシド(PEO)などに代表される高分子電解質、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)などに代表される有機電解質塩)とは明確に区別される。また、無機固体電解質は定常状態では固体であるため、カチオン及びアニオンに解離又は遊離していない。この点で、電解液やポリマー中でカチオン及びアニオンが解離又は遊離している無機電解質塩(LiPF 、LiBF 、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、LiClなど)とも明確に区別される。無機固体電解質は周期律表第1族又は第2族に属する金属元素のイオンの伝導性を有するものであれば、特に限定されず、電子伝導性を有さないものが一般的である。本発明の全固体二次電池がリチウムイオン電池の場合、無機固体電解質は、リチウムイオンのイオン伝導度を有することが好ましい。
 上記無機固体電解質は、全固体二次電池に通常使用される固体電解質材料を適宜選定して用いることができる。無機固体電解質は(i)硫化物系無機固体電解質と(ii)酸化物系無機固体電解質が代表例として挙げられる。本発明において、活物質と無機固体電解質との間により良好な界面を形成することができる観点から、硫化物系無機固体電解質が好ましく用いられる。
[0029]
(i)硫化物系無機固体電解質
 硫化物系無機固体電解質は、硫黄(S)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。硫化物系無機固体電解質は、元素として少なくともLi、SおよびPを含有し、リチウムイオン伝導性を有しているものが好ましいが、目的または場合に応じて、Li、SおよびP以外の他の元素を含んでもよい。
 例えば下記式(1)で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質が挙げられる。

   L a1b1c1d1e1 (1)

(式中、LはLi、NaおよびKから選択される元素を示し、Liが好ましい。Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al及びGeから選択される元素を示す。Aは、I、Br、Cl、Fを示す。a1~e1は各元素の組成比を示し、a1:b1:c1:d1:e1は1~12:0~5:1:2~12:0~10を満たす。a1はさらに、1~9が好ましく、1.5~7.5がより好ましい。b1は0~3が好ましい。d1はさらに、2.5~10が好ましく、3.0~8.5がより好ましい。e1はさらに、0~5が好ましく、0~3がより好ましい。)
[0030]
 各元素の組成比は、下記するように、硫化物系固体電解質を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
[0031]
 硫化物系無機固体電解質は、非結晶(ガラス)であっても結晶化(ガラスセラミックス化)していてもよく、一部のみが結晶化していてもよい。例えば、Li、PおよびSを含有するLi-P-S系ガラス、またはLi、PおよびSを含有するLi-P-S系ガラスセラミックスを用いることができる。
 硫化物系無機固体電解質は、例えば硫化リチウム(Li S)、硫化リン(例えば五硫化二燐(P ))、単体燐、単体硫黄、硫化ナトリウム、硫化水素、ハロゲン化リチウム(例えばLiI、LiBr、LiCl)及び前記Mであらわされる元素の硫化物(例えばSiS 、SnS、GeS )の中の少なくとも2つ以上の原料の反応により製造することができる。
[0032]
 Li-P-S系ガラスおよびLi-P-S系ガラスセラミックスにおける、Li SとP との比率は、Li S:P のモル比で、好ましくは60:40~90:10、より好ましくは68:32~78:22である。Li SとP との比率をこの範囲にすることにより、リチウムイオン伝導度を高いものとすることができる。具体的には、リチウムイオン伝導度を好ましくは1×10 -4S/cm以上、より好ましくは1×10 -3S/cm以上とすることができる。上限は特にないが、1×10 -1以下であることが実際的である。
[0033]
 具体的な硫化物固体電解質の例として、原料の組み合わせ例として下記に示す。たとえばLi S-P 、Li S-P -LiCl、Li S-P -H S、Li S-P -H S-LiCl、Li S-LiI-P 、Li S-LiI-Li O-P 、Li S-LiBr-P 、Li S-Li O-P 、Li S-Li PO -P 、Li S-P -P 、Li S-P -SiS 、Li S-P -SiS -LiCl、Li S-P -SnS、Li S-P -Al 、Li S-GeS 、Li S-GeS -ZnS、Li S-Ga 、Li S-GeS -Ga 、Li S-GeS -P 、Li S-GeS -Sb 、Li S-GeS -Al 、Li S-SiS 、Li S-Al 、Li S-SiS -Al 、Li S-SiS -P 、Li S-SiS -P -LiI、Li S-SiS -LiI、Li S-SiS -Li SiO 、Li S-SiS -Li PO 、Li 10GeP 12などが挙げられる。ただし、各原料の混合比は問われない。このような原料組成物を用いて硫化物固体電解質材料を合成する方法としては、例えば非晶質化法を挙げることができる。非晶質化法としては、例えば、メカニカルミリング法、溶液法および溶融急冷法を挙げられる。常温での処理が可能になり、製造工程の簡略化を図ることができるからである。
[0034]
(ii)酸化物系無機固体電解質
 酸化物系無機固体電解質は、酸素原子(O)を含有し、かつ、周期律表第1族又は第2族に属する金属元素のイオン伝導度を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。
 酸化物系無機固体電解質は、イオン伝導度として、1×10 -6S/cm以上であることが好ましく、5×10 -6S/cm以上であることがより好ましく、1×10 -5S/cm以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されないが、1×10 -1S/cm以下であることが実際的である。
[0035]
 具体的な化合物例としては、例えばLi xaLa yaTiO 〔xaは0.3≦xa≦0.7を満たし、yaは0.3≦ya≦0.7を満たす。〕(LLT); Li xbLa ybZr zbbb mbnb(M bbはAl、Mg、Ca、Sr、V、Nb、Ta、Ti、Ge、In及びSnから選ばれる1種以上の元素である。xbは5≦xb≦10を満たし、ybは1≦yb≦4を満たし、zbは1≦zb≦4を満たし、mbは0≦mb≦2を満たし、nbは5≦nb≦20を満たす。); Li xcyccc zcnc(M ccはC、S、Al、Si、Ga、Ge、In及びSnから選ばれる1種以上の元素である。xcは0≦xc≦5を満たし、ycは0≦yc≦1を満たし、zcは0≦zc≦1を満たし、ncは0≦nc≦6を満たす。); Li xd(Al,Ga) yd(Ti,Ge) zdSi admdnd(xdは1≦xd≦3を満たし、ydは0≦yd≦1を満たし、zdは0≦zd≦2を満たし、adは0≦ad≦1を満たし、mdは1≦md≦7を満たし、ndは3≦nd≦13を満たす。); Li (3-2xe)ee xeeeO(xeは0以上0.1以下の数を表し、M eeは2価の金属原子を表す。D eeはハロゲン原子又は2種以上のハロゲン原子の組み合わせを表す。); Li xfSi yfzf(xfは1≦xf≦5を満たし、yfは0<yf≦3を満たし、zfは1≦zf≦10を満たす。); Li xgygzg(xgは1≦xg≦3を満たし、ygは0<yg≦2を満たし、zgは1≦zg≦10を満たす。); Li BO ; Li BO -Li SO ; Li O-B -P ; Li O-SiO ; Li BaLa Ta 12; Li PO (4-3/2w)(wはw<1); LISICON(Lithium super ionic conductor)型結晶構造を有するLi 3.5Zn 0.25GeO ; ペロブスカイト型結晶構造を有するLa 0.55Li 0.35TiO ; NASICON(Natrium super ionic conductor)型結晶構造を有するLiTi 12; Li 1+xh+yh(Al,Ga) xh(Ti,Ge) 2-xhSi yh3-yh12(xhは0≦xh≦1を満たし、yhは0≦yh≦1を満たす。); ガーネット型結晶構造を有するLi La Zr 12(LLZ)等が挙げられる。
 またLi、P及びOを含むリン化合物も望ましい。例えばリン酸リチウム(Li PO ); リン酸リチウムの酸素の一部を窒素で置換したLiPON; LiPOD (D は、好ましくは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Ta、W、Pt及びAuから選ばれる1種以上の元素である。)等が挙げられる。
 さらに、LiA ON(A は、Si、B、Ge、Al、C及びGaから選ばれる1種以上の元素である。)等も好ましく用いることができる。
 その中でも、LLT、Li xbLa ybZr zbbb mbnb(M bb、xb、yb、zb、mb及びnb上記の通りである。)、LLZ、Li BO 、Li BO -Li SO 、Li xd(Al,Ga) yd(Ti,Ge) zdSi admdnd(xd、yd、zd、ad、md及びndは上記の通りである。)が好ましく、LLZ、LLT、LAGP(Li 1.5Al 0.5Ge 1.5(PO )又はLATP([Li 1.4Ti Si 0.42.612]-AlPO )がより好ましい。
[0036]
 無機固体電解質は粒子であることが好ましい。粒子状の無機固体電解質の体積平均粒子径は特に制限されないが、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。上限としては、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。なお、無機固体電解質の体積平均粒子径の測定は、以下の手順で行う。無機固体電解質粒子を、水(水に不安定な物質の場合はヘプタン)を用いて20mLサンプル瓶中で1質量%の分散液を希釈調製する。希釈後の分散試料は、1kHzの超音波を10分間照射し、その直後に試験に使用する。この分散液試料を用い、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA-920(商品名、HORIBA社製)を用いて、温度25℃で測定用石英セルを使用してデータ取り込みを50回行い、体積平均粒子径を得る。その他の詳細な条件等は必要によりJISZ8828:2013「粒子径解析-動的光散乱法」の記載を参照する。1水準につき5つの試料を作製しその平均値を採用する。
[0037]
 無機固体電解質の固体電解質組成物中における含有量は、電池性能と界面抵抗の低減と維持効果の両立を考慮したとき、固形分100質量%において、5質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、同様の観点から、99.9質量%以下であることが好ましく、99.5質量%以下であることがより好ましく、99質量%以下であることが特に好ましい。
 ただし、正極活物質又は負極活物質を含有する場合、固体電解質組成物中の無機固体電解質の含有量は、正極活物質又は負極活物質と無機固体電解質との合計含有量が上記範囲であることが好ましい。
 なお、本明細書において固形分とは、窒素雰囲気下170℃で6時間乾燥処理を行ったときに、揮発ないし蒸発して消失しない成分をいう。典型的には、後述の分散媒体以外の成分を指す。
 無機固体電解質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0038]
(バインダー粒子)
 本発明の固体電解質組成物は、質量平均分子量1,000以上1,000,000未満のマクロモノマー由来の構成成分を含み、かつ、2環以上の環構造を含む基を有するバインダー粒子を、含有する。
 バインダー粒子を構成するポリマーとして、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレタンまたはアクリル樹脂が好ましい。
[0039]
・主鎖
 本発明のバインダー粒子を構成するポリマーの主鎖は特に限定されない。
[0040]
 上記ポリマーの主鎖を構成する合成原料とするモノマーとしては、重合性不飽和結合を有するモノマーであることが好ましく、例えば各種のビニル系モノマー及び/又はアクリル系モノマーを適用することができる。本発明においては、中でも、アクリル系モノマーを用いることが好ましい。さらに好ましくは、(メタ)アクリル酸モノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、および(メタ)アクリロニトリルから選ばれるモノマーを用いることが好ましい。重合性基(重合性部位)の数は特に限定されないが、1~4個であることが好ましい。
 本発明に用いられるバインダー粒子を構成するポリマーは、下記官能基群(a)のうち少なくとも1つを有していることが好ましい。この官能基群は、主鎖に含まれていても、後述するマクロモノマー由来のグラフト鎖に含まれていてもよい。このように、ポリマー中に特定の官能基が含まれることで、無機固体電解質、活物質、集電体の表面に存在していると考えられる水素原子、酸素原子、硫黄原子との相互作用が強くなり、結着性が向上し、界面の抵抗が下げられるという作用が期待できる。
官能基群(a)
 カルボニル含有基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、エーテル基(-O-)、シアノ基、メルカプト基
 カルボニル含有基としてはカルボキシ基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、アミド基、カルバモイル基等が挙げられ、炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6が特に好ましい。
 アミノ基は炭素数0~12が好ましく、0~6がより好ましく、0~2が特に好ましい。
 スルホン酸基はそのエステルや塩でもよい。エステルの場合、炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6が特に好ましい。
 リン酸基はそのエステルや塩でもよい。エステルの場合、炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6が特に好ましい。
 なお、上記官能基は、置換基として存在しても、連結基として存在していてもよい。例えば、アミノ基は2価のイミノ基または3価の窒素原子として存在してもよい。
[0041]
 上記のポリマーの合成に用い得るビニル系モノマーとしては、下記式(b-1)で表されるものが好ましい。
[0042]
[化4]


[0043]
 式中、R は水素原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6が特に好ましい)、アルキニル基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6が特に好ましい)、またはアリール基(炭素数6~22が好ましく、6~14がより好ましい)を表す。中でも水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。
[0044]
 Rは、水素原子、アルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~14がより好ましい)、アラルキル基(炭素数7~23が好ましく、7~15がより好ましい)、シアノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、酸素原子を含有する脂肪族複素環基含有基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましい)、またはアミノ基(NR :R は後記の定義に従い、好ましくは水素原子または炭素数1~3のアルキル基)である。なかでも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シアノ基、エテニル基、フェニル基、カルボキシ基、メルカプト基、スルホン酸基等が好ましい。
 Rはさらに後記置換基Tを有していてもよい。なかでも、カルボキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子等)、ヒドロキシ基、アルキル基などが置換していてもよい。
 カルボキシ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基は、例えば炭素数1~6のアルキル基を伴ってエステル化されていてもよい。
 酸素原子を含有する脂肪族複素環基は、エポキシ基、エポキシ基含有基、オキセタニル基含有基、テトラヒドロフリル基含有基などが好ましい。
[0045]
 L は、任意の連結基であり、後記連結基Lの例が挙げられる。具体的には、炭素数1~6(好ましくは1~3)のアルキレン基、炭素数2~6(好ましくは2~3)のアルケニレン基、炭素数6~24(好ましくは6~10)のアリーレン基、酸素原子、硫黄原子、イミノ基(NR )、カルボニル基、リン酸連結基(-O-P(OH)(O)-O-)、ホスホン酸連結基(-P(OH)(O)-O-)、またはそれらの組合せに係る基等が挙げられる。上記連結基は任意の置換基を有していてもよい。連結原子数、連結原子の数の好ましい範囲も後記と同様である。任意の置換基としては、後述の置換基Tが挙げられ、例えば、アルキル基またはハロゲン原子などが挙げられる。
[0046]
 n2は0または1である。
[0047]
 上記のポリマーの合成に用い得るアクリル系モノマーとしては、下記式(b-2)~(b-6)のいずれかで表されるものが好ましい。
[0048]
[化5]


[0049]
 R 、n2は、上記式(b-1)と同義である。
 R は、Rと同義である。ただし、その好ましいものとしては、水素原子、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、メルカプト基、リン酸基、ホスホン酸基、酸素原子を含有する脂肪族複素環基、アミノ基(NR )などが挙げられる。
 L は、任意の連結基であり、L の例が好ましく、酸素原子、炭素数1~6(好ましくは1~3)のアルキレン基、炭素数2~6(好ましくは2~3)のアルケニレン基、カルボニル基、イミノ基(NR )、またはそれらの組合せに係る基等がより好ましい。
 L は連結基であり、L の例が好ましく、炭素数1~6(好ましくは1~3)のアルキレン基がより好ましい。
 L は、L と同義である。
 R は、水素原子、炭素数1~6(好ましくは1~3)のアルキル基、炭素数0~6(好ましくは0~3)のヒドロキシ基含有基、炭素数1~6(好ましくは1~3)のカルボキシ基含有基、または(メタ)アクリロイルオキシ基である。なお、R は上記L の連結基になって、この部分で二量体を構成していてもよい。
 m2は1~200の整数を表し、1~100の整数であることが好ましく、1~50の整数であることがより好ましい。
[0050]
 上記式(b-1)~(b-6)において、アルキル基やアリール基、アルキレン基やアリーレン基など置換基を取ることがある基については、本発明の効果を維持する限りにおいて任意の置換基を有していてもよい。任意の置換基としては、例えば、置換基Tが挙げられ、具体的には、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、メルカプト基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基等の任意の置換基を有していてもよい。
[0051]
 以下にバインダー粒子を構成するポリマーの合成原料として用いうるモノマーの例を挙げるが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。下記式中のlは1~1,000,000を表す。
[0052]
[化6]


[0053]
[化7]


[0054]
・マクロモノマー由来の構成成分
 本発明に用いられるバインダー粒子を構成するポリマーは、質量平均分子量1000以上のマクロモノマー由来の構成成分が組み込まれている。上記バインダー粒子を構成するポリマーにおいて、マクロモノマー由来の構成成分は主鎖に対し側鎖を構成する。
 マクロモノマーの質量平均分子量は、2,000以上であることが好ましく、3,000以上であることがより好ましい。上限は、1,000,000未満であり、500,000以下であることが好ましく、100,000以下であることがより好ましく、30,000以下であることが特に好ましい。上記バインダー粒子を構成するポリマーが上記の範囲の分子量をもつ側鎖を有することで、より良好に有機溶剤中に均一に分散でき固体電解質粒子と混合して塗布できるようになる。
[0055]
 ここで本発明の好ましい実施形態に係る固体電解質組成物の作用について触れると、バインダーポリマーにおける上記のマクロモノマー由来の構成成分は溶剤への分散性を良化する働きを有するものと解される。これにより、バインダーが溶剤中で粒子状に良好に分散されるので、無機固体電解質および/または活物質を局部的あるいは全面的に被覆することなく固着させることができる。その結果、無機固体電解質および/または活物質粒子間の電気的なつながりを遮断せずに密着させることができるため、無機固体電解質粒子間、活物質粒子間、集電体間等の界面抵抗の上昇を抑えられると考えられる。さらに、そのバインダーポリマーがマクロモノマー由来の側鎖をグラフト鎖として有することにより、バインダー粒子が無機固体電解質の粒子に付着するだけでなく、その側鎖が絡みつく効果も期待できる。これにより無機固体電解質および/または活物質粒子間の結着性をより高めることができると考えられる。さらに、バインダーポリマーはその分散性の良さから、水中乳化重合などと比較して有機溶剤中に転層させる工程を省略でき、また、沸点が低い溶剤を分散媒体として用いることができるようにもなる。なお、本発明においてマクロモノマー由来の構成成分の分子量は、バインダー粒子を構成するポリマーを合成するときに組み込む重合性化合物(マクロモノマー)の分子量を測定することで同定することができる。分子量の測定方法は後述する。
[0056]
 マクロモノマーのSP値は10以下であることが好ましく、9.5以下であることがより好ましい。下限値は特にないが、5以上であることが実際的である。
[0057]
-SP値の定義-
 本明細書においてSP値は、特に断らない限り、Hoy法によって求める(H.L.Hoy Journal of Painting,1970,Vol.42,76-118)。また、SP値については単位を省略して示しているが、その単位はcal 1/2cm -3/2である。なお、側鎖成分のSP値(SP )は、側鎖成分を構成する各繰り返し単位のSP値を、それぞれ、SP 、SP ・・・とした場合、下記式で算出される値とする。
  SP =SP +SP +・・・
[0058]
 SP値は有機溶剤に分散する特性を示す指標となる。ここで、側鎖成分を特定の分子量以上とし、好ましくは上記SP値以上とすることで、無機固体電解質との結着性を向上させ、かつ、これにより本発明の固体電解質組成物に含まれ得る分散媒体との親和性を高め、安定に分散させることができ好ましい。
[0059]
 上記のマクロモノマー由来の構成成分のグラフト部分を側鎖、それ以外を主鎖とした場合、この主鎖構造は特に限定されない。マクロモノマーは、重合性不飽和結合を有することが好ましく、例えば各種のビニル基や(メタ)アクリロイル基を有することができる。本発明においては、中でも、(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。
[0060]
 上記のマクロモノマー由来の構成成分は、グラフト鎖中に(メタ)アクリル酸成分、(メタ)アクリル酸エステル成分および(メタ)アクリロニトリル成分から選ばれる構成成分(繰り返し単位)を含むことが好ましい。また、上記マクロモノマーは、重合性二重結合と炭素数6以上の直鎖炭化水素構造単位S(好ましくは炭素数6以上30以下のアルキレン基、より好ましくは炭素数8以上24以下のアルキレン基である。これらのアルキレン基を構成するメチレンの一部は置換基を有してもよく、またこれらのアルキレン基を構成するメチレンの一部が他の構造(酸素原子、硫黄原子、イミノ基、カルボニル基等)に置き換わっていてもよい。)を含むことが好ましい。このように、マクロモノマーが直鎖炭化水素構造単位Sを有することで、溶媒との親和性が高くなり分散安定性が向上するという作用が期待できる。
[0061]
 上記のマクロモノマーは、下記式(b-11a)で表される部位を有することが好ましい。
[0062]
[化8]


[0063]
 R 11aはR と同義である。*は結合部である。
[0064]
 上記のマクロモノマーとしては、下記式(b-12a)~(b-12c)のいずれかで表される部位を有することが好ましい。
[0065]
[化9]


[0066]
 R b2はR と同義である。*は結合部である。R は後記の定義に従う。式(b-12c)、後述の(b-13c)および(b-14c)のベンゼン環には任意の後記置換基Tが置換していてもよい。
 *の結合部の先に存在する構造部としては、マクロモノマーとしての分子量を満たせば特に限定されないが、炭素原子、酸素原子、水素原子から構成される構造部位であることが好ましい。このとき、後記置換基Tを有していてもよく、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子)などを有していてもよい。
[0067]
 上記のマクロモノマーは、下記式(b-13a)~(b-13c)のいずれかで表される化合物または(b-14a)~(b-14c)のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物であることが好ましい。
[0068]
[化10]


[0069]
 R b2、R b3は、R と同義である。
[0070]
 naは特に限定されないが、好ましくは1~6の整数であり、より好ましくは1または2である。
[0071]
 Raはnaが1のときは置換基(好ましくは有機基)、naが2以上のときは連結基を表す。
 Rbは2価の連結基である。
 RaおよびRbが連結基であるとき、その連結基としては、炭素数1~30のアルカン連結基(2価の場合アルキレン基)、炭素数3~12のシクロアルカン連結基(2価の場合シクロアルキレン基)、炭素数6~24のアリール連結基(2価の場合アリーレン基)、炭素数3~12のヘテロアリール連結基(2価の場合ヘテロアリーレン基)、エーテル基(-O-)、スルフィド基(-S-)、ホスフィニデン基(-PR-:Rは水素原子もしくは炭素数1~6のアルキル基)、シリレン基(-SiRR’-:R、R’は水素原子もしくは炭素数1~6のアルキル基)カルボニル基、イミノ基(-NR -:R は後記の定義に従い、ここでは、水素原子もしくは炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~10のアリール基)、またはその組み合わせであることが好ましい。なかでも、炭素数1~30のアルカン連結基(2価の場合アルキレン基)、炭素数6~24のアリール連結基(2価の場合アリーレン基)、エーテル基、カルボニル基、またはその組み合わせであることが好ましい。また、RaおよびRbが連結基であるとき、その連結基として、下記連結基Lが採用されてもよい。
 RaおよびRbを構成する連結基は、炭素原子、酸素原子、水素原子から構成される連結構造であることが好ましい。
[0072]
 Raが1価の置換基であるときには、後記置換基Tの例が挙げられ、なかでもアルキル基、アルケニル基、アリール基であることが好ましい。このとき、連結基Lが介在して置換していても、置換基内に連結基Lが介在していてもよい。
 あるいは、Raが1価の置換基であるときは、-Rb-Rcの構造や、ここでRcは、後記置換基Tの例が挙げられ、なかでもアルキル基、アルケニル基、アリール基であることが好ましい。
[0073]
 このとき、RaおよびRbは、それぞれ、少なくとも、炭素数1~30の炭化水素構造単位(好ましくはアルキレン基)を含有することがより好ましく、上記炭化水素構造単位Sを含むことがより好ましい。また、上記Ra~Rcは、それぞれ、連結基または置換基を有していてもよく、その例としては後記連結基Lや置換基Tが挙げられる。
[0074]
 本明細書において置換または無置換を明記していない置換基(連結基についても同様)については、特段の断りがない限り、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換または無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、下記置換基Tが挙げられる。
[0075]
 置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
 アルキル基(好ましくは炭素原子数1~20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル、ペンチル、ヘプチル、1-エチルペンチル、ベンジル、2-エトキシエチル、1-カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2~20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2~20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3~20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6~26のアリール基、例えば、フェニル、1-ナフチル、4-メトキシフェニル、2-クロロフェニル、3-メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2~20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、2-ピリジル、4-ピリジル、2-イミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、2-チアゾリル、2-オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1~20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6~26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1-ナフチルオキシ、3-メチルフェノキシ、4-メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2~20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2-エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数6~26のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、1-ナフチルオキシカルボニル、3-メチルフェノキシカルボニル、4-メトキシフェノキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0~20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノ、N-エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0~20のスルファモイル基、例えば、N,N-ジメチルスルファモイル、N-フェニルスルファモイル等)、アシル基(アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基を含み、好ましくは炭素数1~20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、オクタノイル、ヘキサデカノイル、アクリロイル、メタクリロイル、クロトノイル、ベンゾイル、ナフトイル、ニコチノイル等)、アシルオキシ基(アルキルカルボニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロ環カルボニルオキシ基を含み、好ましくは炭素原子数1~20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、オクタノイルオキシ、ヘキサデカノイルオキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、クロトノイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ、ニコチノイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1~20のカルバモイル基、例えば、N,N-ジメチルカルバモイル、N-フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1~20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1~20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6~26のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1-ナフチルチオ、3-メチルフェニルチオ、4-メトキシフェニルチオ等)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素原子数1~20のアルキルスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素原子数6~22のアリールスルホニル基、例えば、ベンゼンスルホニル等)、アルキルシリル基(好ましくは炭素原子数1~20のアルキルシリル基、例えば、モノメチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル等)、アリールシリル基(好ましくは炭素原子数6~42のアリールシリル基、例えば、トリフェニルシリル等)、ホスホリル基(好ましくは炭素原子数0~20のリン酸基、例えば、-OP(=O)(R )、ホスホニル基(好ましくは炭素原子数0~20のホスホニル基、例えば、-P(=O)(R )、ホスフィニル基(好ましくは炭素原子数0~20のホスフィニル基、例えば、-P(R )、スルホ基(スルホン酸基)、ヒドロキシ基、メルカプト基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が挙げられる。
[0076]
 また、これらの置換基Tで挙げた各基は、上記の置換基Tがさらに置換していてもよい。
 化合物、置換基および連結基等がアルキル基、アルキレン基、アルケニル基、アルケニレン基、アルキニル基および/またはアルキニレン基等を含むとき、これらは環状でも鎖状でもよく、また直鎖でも分岐していてもよく、上記のように置換されていても無置換でもよい。
 本明細書で規定される各置換基は、本発明の効果を奏する範囲で下記の連結基Lを介在して置換されていても、その構造中に連結基Lが介在していてもよい。たとえば、アルキル基、アルキレン基、アルケニル基およびアルケニレン基等はさらに構造中に下記のヘテロ連結基を介在していてもよい。
[0077]
 連結基Lとしては、炭化水素連結基〔炭素数1~10のアルキレン基(より好ましくは炭素数1~6、さらに好ましくは1~3)、炭素数2~10のアルケニレン基(より好ましくは炭素数2~6、さらに好ましくは2~4)、炭素数2~10のアルキニレン基(より好ましくは炭素数2~6、さらに好ましくは2~4)、炭素数6~22のアリーレン基(より好ましくは炭素数6~10)〕、ヘテロ連結基〔カルボニル基(-CO-)、チオカルボニル基(-CS-)、エーテル基(-O-)、チオエーテル基(-S-)、イミノ基(-NR -)、イミン連結基(R -N=C<,-N=C(R )-)、スルホニル基(-SO -)、スルフィニル基(-SO-)、リン酸連結基(-O-P(OH)(O)-O-)、ホスホン酸連結基(-P(OH)(O)-O-)、2価のヘテロ環基〕、またはこれらを組み合せた連結基が好ましい。なお、縮合して環を形成する場合には、上記炭化水素連結基が、二重結合や三重結合を適宜形成して連結していてもよい。形成される環として好ましくは、5員環または6員環が好ましい。5員環としては含窒素の5員環が好ましく、その環をなす化合物として例示すれば、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、インダゾール、インドール、ベンゾイミダゾール、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、インドリン、カルバゾール、またはこれらの誘導体などが挙げられる。6員環としては、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、またはこれらの誘導体などが挙げられる。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、同様に置換されていても無置換でもよい。
[0078]
 R は水素原子または置換基を表し、置換基は上記置換基Tで示す定義と同義である。置換基としては、アルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましく、1~3が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6がさらに好ましく、2~3が特に好ましい)、アルキニル基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6がさらに好ましく、2~3が特に好ましい)、アラルキル基(炭素数7~22が好ましく、7~14がより好ましく、7~10が特に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~14がより好ましく、6~10が特に好ましい)が好ましい。
[0079]
 R は水素原子、ヒドロキシ基、または置換基である。置換基としては、アルキル基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましく、1~3が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6がさらに好ましく、2~3が特に好ましい)、アルキニル基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6がさらに好ましく、2~3が特に好ましい)、アラルキル基(炭素数7~22が好ましく、7~14がより好ましく、7~10が特に好ましい)、アリール基(炭素数6~22が好ましく、6~14がより好ましく、6~10が特に好ましい)、アルコキシ基(炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6がさらに好ましく、1~3が特に好ましい)、アルケニルオキシ基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6がさらに好ましく、2~3が特に好ましい)、アルキニルオキシ基(炭素数2~24が好ましく、2~12がより好ましく、2~6がさらに好ましく、2~3が特に好ましい)、アラルキルオキシ基(炭素数7~22が好ましく、7~14がより好ましく、7~10が特に好ましい)、アリールオキシ基(炭素数6~22が好ましく、6~14がより好ましく、6~10が特に好ましい)、が好ましい。
[0080]
 本明細書において、連結基を構成する原子の数は、1~36であることが好ましく、1~24であることがより好ましく、1~12であることがさらに好ましく、1~6であることが特に好ましい。連結基の連結原子数は10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。下限としては、1以上である。上記連結原子数とは所定の構造部間を結ぶ経路に位置し連結に関与する最少の原子数を言う。たとえば、-CH -C(=O)-O-の場合、連結基を構成する原子の数は6となるが、連結原子数は3となる。
 具体的な連結基の組合せとしては、以下のものが挙げられる。オキシカルボニル基(-OCO-)、カーボネート基(-OCOO-)、アミド基(-CONH-)、ウレタン基(-NHCOO-)、ウレア基(-NHCONH-)、(ポリ)アルキレンオキシ基(-(Lr-O)x-)、カルボニル(ポリ)オキシアルキレン基(-CO-(O-Lr)x-、カルボニル(ポリ)アルキレンオキシ基(-CO-(Lr-O)x-)、カルボニルオキシ(ポリ)アルキレンオキシ基(-COO-(Lr-O)x-)、(ポリ)アルキレンイミノ基(-(Lr-NR )x-)、アルキレン(ポリ)イミノアルキレン基(-Lr-(NR -Lr)x-)、カルボニル(ポリ)イミノアルキレン基(-CO-(NR -Lr)x-)、カルボニル(ポリ)アルキレンイミノ基(-CO-(Lr-NR )x-)、(ポリ)エステル基(-(CO-O-Lr)x-、-(O-CO-Lr)x-、-(O-Lr-CO)x-、-(Lr-CO-O)x-、-(Lr-O-CO)x-)、(ポリ)アミド基(-(CO-NR -Lr)x-、-(NR -CO-Lr)x-、-(NR -Lr-CO)x-、-(Lr-CO-NR )x-、-(Lr-NR -CO)x-)などである。xは1以上の整数であり、1~500が好ましく、1~100がより好ましい。
 Lrはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基が好ましい。Lrの炭素数は、1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が特に好ましい。複数のLrやR 、R 、x等は同じである必要はない。連結基の向きは上記の記載により限定されず、適宜所定の化学式に合わせた向きで理解すればよい。
[0081]
 マクロモノマーとして、炭化水素系溶媒に対して溶媒和されている構造部分(溶媒和部分)と溶媒和されない構造部分(非溶媒和部分)とを有しているポリウレアまたはポリウレタンも好ましい。ポリウレアまたはポリウレタンとしては、炭素数6以上の長鎖アルキル基を有する粒子が好ましい。このような粒子は、例えば、非水媒体中で、炭素数6以上の長鎖アルキル基を有するジオール化合物(いわゆる親油性ジオール)と、イソシアネート化合物と、ポリアミン(ポリウレタンの場合はポリオール)化合物と、を反応させることで得られる。つまり、炭素数6以上の長鎖アルキル基等の、炭化水素系溶媒と溶媒和した構造部分を粒子に付与することができる。なお、親油性ジオール及びイソシアネート化合物に代えて、これらの化合物からなる末端NCOプレポリマーを反応させてもよい。
 親油性ジオールは、官能基が2以下のポリオールであって、好ましい分子量は700以上5000未満である。但し、親油性ジオールは、これに限定されない。親油性ジオールの具体例としては、各種の油脂を低級アルコールおよび/またはグリコールを用いてアルコリシス化する方法、油脂を部分鹸化する方法、水酸基含有脂肪酸をグリコールによりエステル化する方法等によって、油脂に約2個以下の水酸基を含有させたもの、あるいはJ.H.SAUNDERS,K.C.FRISCH著のPOLYURETHANES,CHEMISTRY AND TECHNOLOGY PART1,Chemistry(pp.48~53、1962年発行)等に記載の、油脂変性ポリオール、末端アルコール変性したアクリル樹脂および末端アルコール変性したポリエステル等が挙げられる。
 上記のうち、水酸基含有脂肪酸としては、例えば、リシノレイン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ヒマシ油脂肪酸および水添ヒマシ油脂肪酸等が挙げられる。
 末端アルコール変性したアクリル樹脂としては、例えば、チオグリセロールを連鎖移動剤として用いた長鎖アルキル(メタ)アクリレートの重合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートの重合物としては、炭素数6以上30未満のアルキル(メタ)アクリレートの1種又は2種以上が好適に用いられる。さらに好ましくは、炭素数8以上25未満(特に好ましくは炭素数10以上20未満)のアルキル(メタ)アクリレートである。
 イソシアネート化合物としては、通常のイソシアネート化合物を全て適用でき、特に好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添加トルエンジイソシアネート(水添加TDI)、水添加ジフェニルメタンジイソシアネート(水添加MDI)およびイソホロジイソシアネート等の脂肪族又は脂環族系ジイソシアネート化合物である。
 アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、N-アミノエチルピペラジン、ビス-アミノプロピルピペラジン、ポリオキシプロピレンジアミン、4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、チオ尿素およびメチルイミノビスプロピルアミン等が挙げられる。アミン化合物は、1種単独で用てもよく、2種以上を混合した混合物として用いてもよい。
 上記マクロモノマーとして、末端にエチレン性不飽和結合を有するマクロモノマーを用いてもよい。ここで、マクロモノマーは、ポリマー鎖部分とその末端のエチレン性不飽和二重結合を有する重合可能な官能基の部分からなる。
[0082]
 マクロモノマーに由来する構成成分の共重合比は特に限定されないが、バインダー粒子を構成するポリマー中、3質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。なお、共重合比は、バインダー粒子の合成に用いられるモノマーの仕込み量(使用量)から算出することができる。ただし、2環以上の環構造を含む基を有するモノマーの仕込み量(使用量)は含まれない。
[0083]
-2環以上の環構造を含む基-
 本発明に用いられる2環以上の環構造を含む基は、2環以上の環(好ましくは縮環)構造を有する化合物の少なくとも1つの水素原子を結合手に置き換えた基であればよく、下記一般式(D)で表される化合物の少なくとも1つの水素原子を結合手に置き換えた基であることが好ましく、1つまたは2つの水素原子を結合手に置き換えた基であることがより好ましく、1つの水素原子を結合手に置き換えた基であることが特に好ましい。
 下記一般式(D)で表される化合物から形成される基は、炭素質材料との親和性に優れるため、本発明のバインダー粒子を含有する固体電解質組成物の分散安定性を向上させることができ、全固体二次電池用シートおよび全固体二次電池用電極シートの結着性を向上させることができる。分散安定性の向上、結着性の向上に伴い、本発明の固体電解質組成物を用いて作製した全固体二次電池はサイクル特性に優れる。2環以上の環構造を含む基は、サイクル特性向上の観点から、3環以上の環構造を含む基であることが好ましく、4環以上の環構造を含む基であることがさらに好ましい。上限に特に制限はないが、18環以下が好ましく、16環以下がより好ましく、12環以下がさらに好ましく、8環以下がさらに好ましく、6環以下がさらに好ましい。
[0084]
[化11]


[0085]
 一般式(D)中、環αは2環以上の環を表し、R D1は環αの構成原子と結合している置換基を表し、d1は1以上の整数を表す。d1が2以上の場合、複数のR D1は同一でも異なっていてもよい。隣接する原子に置換するR D1が互いに結合して、環を形成してもよい。環αは、2環以上が好ましく、3環以上がより好ましく、4環以上がさらに好ましい。また、環αは、18環以下が好ましく、16環以下がより好ましく、12環以下がさらに好ましく、8環以下がさらに好ましく、6環以下がさらに好ましい。環αは3員環以上の環構造を含有することが好ましく、4員環以上の環構造を含有することがより好ましく、5員環以上の環構造を含有することがさらに好ましく、6員環構造を含有することが特に好ましい。また環αは24員環以下の環構造を含有することが好ましく、12員環以下の環構造を含有することがより好ましく、8員環以下の環構造を含有することがさらに好ましく、6員環の環構造を含有することが特に好ましい。
[0086]
 環αは脂肪族炭化水素環、不飽和炭化水素環、芳香族環、ヘテロ環のいずれかまたはその組み合わせの構造を含有することが好ましい。脂肪族炭化水素環の具体的な構造としてはシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン、デカリンなどが挙げられる。
[0087]
 不飽和炭化水素環の具体的な構造としては上記脂肪族炭化水素環の一部が二重結合に置き換わった環構造が挙げられる。例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロオクテン、シクロオクタジエンなどが挙げられる。
[0088]
 芳香族環の具体的な構造としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、フェナントレン、クリセン、トリフェニレン、テトラフェン、ピセン、ペンタヘン、ペリレン、ヘリセン、コロネンなどが挙げられる。
 ヘテロ環の具体的な構造としては、エチレンイミン、エチレンオキシド、エチレンスルフィド、アセチレンオキシド、アザシクロブタン、1,3-プロピレンオキシド、トリメチレンスルフィド、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、ピリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘキサメチレンオキシド、ヘキサメチレンスルフィド、アザロトピリデン、オキサシクロヘプタトリエン、チオトロピリデン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、クロメン、イソクロメン、アクリジン、キサンテン、アクリジン、ベンゾキノリン、カルバゾール、ベンゾ-O-シンノリン、ポルフィリン、クロリン、コリンなどが挙げられる。
[0089]
 環αは中でも、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロオクテン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、テトラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、ピペリジン、ピリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘキサメチレンオキシド、ヘキサメチレンスルフィド、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、キノリン、ベンゾキノリン、キサンテン、カルバゾール、ポルフィリンを含有する構造が好ましく、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、トリフェニレン、ピロール、フラン、チオフェン、ピペリジン、ピリジン、イミダゾール、オキサゾール、インドールを含有していることがさらに好ましく、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、ピレンを含有する構造が特に好ましい。
[0090]
 R D1で表される置換基としては、上述の置換基Tが好ましく挙げられる。
 また、R D1で表される置換基として、=Oも好ましい。このような=Oを有する環αの例として、アントラキノンを含む構造が挙げられる。
[0091]
 後述のように、上記2環以上の環構造を含む基を、本発明に用いられるバインダーを構成するポリマーの側鎖およびまたはマクロモノマー成分の側鎖に含ませるため、R D1が上記式(b-11a)で表される部位および/または上記連結基Lを有すること、R D1が後述のP であることも好ましい。
[0092]
 本発明に用いられるバインダーを構成するポリマーは、上記2環以上の環構造を含む基をポリマー主鎖、側鎖および末端のいずれに有していてもよい。
 以下、上記2環以上の環構造を有する化合物が、一般式(D)で表される化合物である場合を例に挙げて説明する。
 ポリマーの主鎖に有するとは、一般式(D)で表される化合物が、一般式(D)で表される化合物の少なくとも2つの水素原子を結合手に置き換えた構造でポリマーに組込まれ、ポリマーの繰り返し構造となる主鎖そのものとなるものである。一方、ポリマーの側鎖に有するとは、一般式(D)で表される化合物の1つの水素原子を結合手に置き換えた構造でポリマーに組込まれることを意味する。また、ポリマー末端に有するとは、一般式(D)で表される化合物の1つ水素原子を結合手に置き換えた構造でポリマーに組込まれ、ポリマー鎖長となるものである。ここで、ポリマーの主鎖、側鎖およびポリマー末端の複数に含まれていても構わない。
 本発明では、バインダーを構成するポリマーが、上記2環以上の環構造を含む基を、主鎖または側鎖に有することが好ましく、側鎖に有することがより好ましく、マクロモノマー由来の構成成分の側鎖(マクロモノマー由来の構成成分が有するグラフト鎖)中に有することが特に好ましい。マクロモノマー成分の側鎖に有するとは、一般式(D)で表される化合物の1つの水素原子を結合手に置き換えた構造を側鎖として有する繰り返し単位が、マクロモノマー成分を構成する繰り返し単位の1つとして、マクロモノマー成分に組み込まれていることを意味する。
[0093]
 上記2環以上の環構造を含む基が、本発明に用いられるバインダーを構成するポリマーの側鎖に組み込まれていることにより、上記2環以上の環構造を含む基の運動性が向上することで吸着性が向上する。そうすることで、全固体二次電池における固体粒子間等の結着性をより向上させることができる。上記2環以上の環構造を含む基が、本発明に用いられるバインダーを構成するポリマーのマクロモノマー成分の側鎖に含まれていることにより、バインダー粒子表面に存在する上記2環以上の環構造を含む基の割合が多くなり、全固体二次電池における固体粒子間等の結着性をより向上させることができる。
[0094]
 本発明においては、上記2環以上の環構造を含む基を有する繰り返し単位の含有量が、バインダーを構成するポリマー100質量%中10質量%以上85質量%以下であることが好ましく、15質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、18質量%以上70質量%以下であることが特に好ましい。上記2環以上の環構造を含む基を有する繰り返し単位の含有量が上記範囲内にあることにより、吸着性とバインダー粒子の分散安定性が両立することができ好ましい。
 なお、上記2環以上の環構造を含む基を有する繰り返し単位の含有量は、バインダー粒子の合成に用いられるモノマーの仕込み量(使用量)から算出することができる。後述の表1において、M1~M4およびMMで表される成分のうち、2環以上の環構造を含む基を有する成分の合計が、上記2環以上の環構造を含む基を有する繰り返し単位の含有量である。例えば、表1のBP-5では、M4(B-5)とMM(MM-2)が2環以上の環構造を含む基を有しており、2環以上の環構造を含む基を有する繰り返し単位の含有量は40質量%である。
[0095]
 また、本発明において、上記一般式(D)で表される化合物は、下記一般式(1)で表される化合物および後述の一般式(2)で表される脂肪族炭化水素のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
 下記一般式(1)で表される化合物および下記一般式(2)で表される脂肪族炭化水素は、負極活物質である炭素質材料との親和性に優れる。そのため、これらの化合物を含有する固体電解質組成物の分散安定性をより向上させるとともに電極シートの結着性を向上させることができる。また、分散安定性の向上、結着性の向上に伴い、この固体電解質組成物を用いて作製した全固体二次電池のサイクル特性を向上させることができる。
[0096]
[化12]


[0097]
 一般式(1)において、CHCはベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環を表す。n1は0~8の整数を表す。R 11~R 16は各々独立に、水素原子または置換基を表す。CHCがベンゼン環以外の場合は環構造にR 11~R 16以外に水素原子を有していてもよい。X およびX は各々独立に、水素原子または置換基を表す。ここで、R 11~R 16、X およびX において、互いに隣接する基が結合して、5または6員環を形成してもよい。ただし、n1が0の場合、R 11~R 16のいずれか1つの置換基は、-(CHC m1-Rxであるか、またはR 11~R 16のいずれか2つが互いに結合して、-(CHC m1-を形成する。ここで、CHC はフェニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基を表し、m1は2以上の整数を表し、Rxは水素原子または置換基を表す。また、n1が1の場合、R 11~R 16、X およびX において、互いに隣接する少なくとも2つが結合して、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環またはシクロヘキサジエン環を形成する。
[0098]
 R 11~R 16が表す置換基として、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基もしくはその塩、スルホ基もしくはその塩、アミノ基、メルカプト基、アミド基、ホルミル基、シアノ基、ハロゲン原子、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、エポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
[0099]
 なお、以下ではホルミル基をアシル基に含めて説明する。
[0100]
 アルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~25がより好ましく、1~20が特に好ましい。具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、オクチル、ドデシル、ステアリル、ベンジル、ナフチルメチル、ピレニルメチルおよびピレニルブチルが挙げられる。アルキル基としては内部に二重結合または三重結合の不飽和炭素結合を含有することがさらに好ましい。
[0101]
 アリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~26がより好ましく、6~15が特に好ましい。具体的には、フェニル、ナフチル、アントラセン、ターフェニル、トリル、キシリル、メトキシフェニル、シアノフェニルおよびニトロフェニルが挙げられる。
[0102]
 ヘテロアリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~26がより好ましく、6~15が特に好ましい。具体的には、フラン、ピリジン、チオフェン、ピロール、トリアジン、イミダゾール、テトラゾール、ピラゾール、チアゾールおよびオキサゾールが挙げられる。
[0103]
 アルケニル基の炭素数は、2~30が好ましく、2~25がより好ましく、2~20が特に好ましい。具体的には、ビニルおよびプロペニルが挙げられる。
[0104]
 アルキニル基の炭素数は、2~30が好ましく、2~25がより好ましく、2~20が特に好ましい。具体的には、エチニル、プロピニルおよびフェニルエチニルが挙げられる。
[0105]
・アルコキシ基:一般式(1)のCHCで示される環と直接連結する原子が酸素原子であること以外は好ましい範囲はアルキル基と同じである。
[0106]
・アリールオキシ基:一般式(1)のCHCで示される環と直接連結する原子が酸素原子であること以外は好ましい範囲はアリール基と同じである。
[0107]
・ヘテロアリールオキシ基:一般式(1)のCHCで示される環と直接連結する原子が酸素原子であること以外は好ましい範囲はヘテロアリール基と同じである。
[0108]
・アルキルチオ基:一般式(1)のCHCで示される環と直接連結する原子が硫黄原子であること以外は好ましい範囲はアルキル基と同じである。
[0109]
・アリールチオ基:一般式(1)のCHCで示される環と直接連結する原子が硫黄原子であること以外は好ましい範囲はアリール基と同じである。
[0110]
・ヘテロアリールチオ基:一般式(1)のCHCで示される環と直接連結する原子が硫黄原子であること以外は好ましい範囲はヘテロアリール基と同じである。
[0111]
・アシル基:炭素数は、1~30が好ましく、1~25がより好ましく、1~20がさらに好ましい。アシル基はホルミル基、脂肪族カルボニル基、芳香族カルボニル基、ヘテロ環カルボニル基を含む。例えば、以下の基が挙げられる。
 ホルミル、アセチル(メチルカルボニル)、ベンゾイル(フェニルカルボニル)、エチルカルボニル、アクリロイル、メタクリロイル、オクチルカルボニル、ドデシルカルボニル(ステアリン酸残基)、リノール酸残基、リノレン酸残基
[0112]
・アシルオキシ基:炭素数は1~30が好ましく、1~25がより好ましく、1~20がさらに好ましい。一般式(1)のCHCで示される環と直接連結する原子が酸素原子であること以外は好ましい範囲は、アシル基と同じである。
[0113]
・アルコキシカルボニル基:炭素数は2~30が好ましく、2~25がより好ましく、2~20がさらに好ましい。一般式(1)のCHCで示される環と直接連結する原子が(*-C(O)O-)であること以外は好ましい範囲はアルキル基と同じである。なお、*部分で、CHCで示される環に結合する。
[0114]
・アリールオキシカルボニル基:炭素数は7~30が好ましく、7~25がより好ましく、7~20がさらに好ましい。一般式(1)のCHCで示される環と直接連結する原子が(*-C(O)O-)であること以外は好ましい範囲はアリール基と同じである。なお、*部分で、CHCで示される環に結合する。
[0115]
・アルキルカルボニルオキシ基:炭素数は2~30が好ましく、2~25がより好ましく、2~20がさらに好ましい。一般式(1)のCHCで示される環と直接連結する原子が(*-O-C(O)-)であること以外は好ましい範囲はアルキル基と同じである。なお、*部分で、CHCで示される環に結合する。
[0116]
・アリールカルボニルオキシ基:炭素数は7~30が好ましく、7~25がより好ましく、7~20がさらに好ましい。一般式(1)のCHCで示される環と直接連結する原子が(*-O-C(O)-)であること以外は好ましい範囲はアリール基と同じである。なお、*部分で、CHCで示される環に結合する。
[0117]
 これら置換基は一般的に、一般式(1)で示される芳香族炭化水素の求電子置換反応、求核置換反応、ハロゲン化、スルホン化、ジアゾ化、またはそれらの組み合わせによって導入することが可能である。例えばフリーデルクラフト反応によるアルキル化、フリーデルクラフト反応によるアシル化、ビルスマイヤー反応、遷移金属触媒カップリング反応などが挙げられる。
[0118]
 n1は、0~6の整数がより好ましく、1~4の整数が特に好ましい。
[0119]
 一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(1-1)または(1-2)で表される化合物が好ましい。
[0120]
[化13]


[0121]
 一般式(1-1)において、Arはベンゼン環である。R 11~R 16、X およびX は、一般式(1)におけるR 11~R 16、X およびX と同義であり、好ましい範囲も同じである。n3は1以上の整数を表す。ただし、n3が1の場合、R 11~R 16、X およびX において、互いに隣接する少なくとも2つが結合して、ベンゼン環を形成する。
 一般式(1-2)において、Rxは一般式(1)におけるRxと同義であり、好ましい範囲も同じである。R 10は置換基を表し、nxは0~4の整数を表す。m3は3以上の整数を表す。Ryは、水素原子または置換基を表す。ここで、RxとRyが結合してもかまわない。
[0122]
 n3は、1~6の整数が好ましく、1~3の整数がより好ましく、1~2の整数が特に好ましい。
 m3は、3~10の整数が好ましく、3~8の整数がより好ましく、3~5の整数が特に好ましい。
[0123]
 一般式(1)で表される化合物の具定例として、ナフタレン、アントラセン、フェナントラセン、ピレン、テトラセン、テトラフェン、クリセン、トリフェニレン、ペンタセン、ペンタフェン、ペリレン、ピレン、ベンゾ[a]ピレン、コロネン、アンタントレン、コランヌレン、オバレン、グラフェン、シクロパラフェニレン、ポリパラフェニレンまたはシクロフェンの構造を含む化合物が挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されない。
[0124]
[化14]


[0125]
 一般式(2)において、Y およびY は各々独立に水素原子、メチル基またはホルミル基を表す。R 21、R 22、R 23およびR 24は各々独立に、置換基を表し、a、b、cおよびdは0~4の整数を表す。
 ここで、A環は、飽和環、二重結合を1もしくは2個有する不飽和環または芳香環であってもよく、B環およびC環は、二重結合を1もしくは2個有する不飽和環であってもよい。なお、a、b、cまたはdの各々において、2~4の整数の場合、互いに隣接する置換基が結合して環を形成してもよい。
[0126]
 一般式(2)で表される脂肪族炭化水素は、ステロイド骨格を有する化合物である。
 ここで、ステロイド骨格の炭素番号は、下記の通りである。
[0127]
[化15]


[0128]
 最初に、一般式(2)で表される脂肪族炭化水素を説明する。
[0129]
 R 21、R 22、R 23およびR 24における置換基は、どのような置換基でも構わないが、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシ基またはその塩、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、エポキシ基、オキセタニル基が好ましく、また、同一炭素原子に2つ置換した置換基が共同して形成された、=O基が好ましい。
 アルキル基は、炭素数1~12のアルキル基が好ましく、置換基を有していてもよい。このような置換基としては、どのような置換基でも構わないが、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホ基が挙げられる。アルキル基としては内部に二重結合または三重結合の不飽和炭素結合を含有することがさらに好ましい。
 アルケニル基は、炭素数1~12のアルケニル基が好ましく、置換基を有していてもよい。このような置換基としては、どのような置換基でも構わないが、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホ基が挙げられる。
 R 21は、炭素番号3に置換するのが好ましく、R 22は、炭素番号6または7に置換するのが好ましく、R 23は炭素番号11または12に置換するのが好ましく、R 24は、炭素番号17に置換するのが好ましい。
[0130]
 Y 、Y は水素原子またはメチル基が好ましい。
[0131]
 a、b、c、dは0~2の整数が好ましい。
[0132]
 A環が不飽和環である場合、二重結合は炭素番号4と5の結合が好ましく、B環が不飽和環である場合、二重結合は炭素番号5と6または6と7の結合が好ましく、C環が不飽和環である場合、二重結合は炭素番号8と9の結合が好ましい。
[0133]
 なお、一般式(2)で表される化合物は、立体異性体のいずれをも包含するものである。置換基の結合方向が紙面下方向をα、紙面上方向をβで表すと、α、βのいずれであってもよく、これらの混合であってもよい。また、A/B環の配置、B/C環の配置、C/D環の配置は、トランス配置であっても、シス配置のいずれであってもよく、これらの混合配置であっても構わない。
[0134]
 本発明では、a~dの総和が1以上であって、かつR 21、R 22、R 23およびR 24のいずれかが、ヒドロキシ基または置換基を有するアルキル基が好ましい。
[0135]
 ステロイド骨格を有する化合物としては下記に示されるようなステロイドが好ましい。
 下記では、ステロイド環に有する置換基は、立体的に制御されているものである。
 左からコレスタン類、コラン類、プレグナン類、アンドロスタン類、エストラン類である。
[0136]
[化16]


[0137]
 一般式(2)で表される脂肪族炭化水素の具体例として、コレステロール、エルゴステロール、テストステロン、エストラジオール、エルドステロール、アルドステロン、ヒドロコルチゾン、スチグマステロール、チモステロール、ラノステロール、7-デヒドロデスモステロール、7-デヒドロコレステロール、コラン酸、コール酸、リトコール酸、デオキシコール酸、デオキシコール酸ナトリウム、デオキシコール酸リチウム、ヒオデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸、ホケコール酸またはヒオコール酸の構造を含む化合物が挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されない。
[0138]
 一般式(2)で表される脂肪族炭化水素は、市販品を用いることができる。
[0139]
 一般式(D)で表される化合物は、R D1の少なくとも1つがL -P であること、またはR D1の少なくとも2つが各々独立にL -P またはL -P であることが好ましく、前者であることがより好ましい。一般式(1)においては、R 11~R 16、X およびX の少なくとも1つがL -P であること、またはR 11~R 16、X およびX の少なくとも2つが各々独立にL -P またはL -P であることが好ましく、前者であることがより好ましい。一般式(2)においては、R 21、R 22、R 23およびR 24の少なくとも1つがL -P であること、またはR D1の少なくとも2つが各々独立にL -P またはL -P であることが好ましく、前者であることがより好ましい。
 なお、L -P はL で環に結合する。また、L -P およびL -P はL およびL でそれぞれ環に結合する。
[0140]
 L は、単結合又は連結基を表す。連結基としては、炭化水素連結基〔炭素数1~10のアルキレン基(より好ましくは炭素数1~6、さらに好ましくは1~3)、炭素数2~10のアルケニレン基(より好ましくは炭素数2~6、さらに好ましくは2~4)、炭素数2~10のアルキニレン基(より好ましくは炭素数2~6、さらに好ましくは2~4)、炭素数6~22のアリーレン基(より好ましくは炭素数6~10)、又はこれらの組み合わせ〕、ヘテロ連結基〔カルボニル基(-CO-)、チオカルボニル基(-CS-)、エーテル基(-O-)、チオエーテル基(-S-)、イミノ基(-NR -)、アンモニウム連結基(-NR -)、ポリスルフィド基(Sの数が1~8個)、イミン連結基(R -N=C<,-N=C(R )-)、スルホニル基(-SO -)、スルフィニル基(-SO-)、リン酸連結基(-O-P(OH)(O)-O-)、ホスホン酸連結基(-P(OH)(O)-O-)、又はこれらの組み合わせ〕、又は、これらを組み合わせた連結基が好ましい。L におけるR は水素原子または炭素数1~12のアルキル基(好ましくは炭素数1~4、さらに好ましくは炭素数1~2)を表す。
[0141]
 なお、置換基や連結基が縮合して環を形成する場合には、上記炭化水素連結基が、二重結合や三重結合を適宜形成して連結していてもよい。形成される環としては、5員環又は6員環が好ましい。5員環としては含窒素5員環が好ましく、その環をなす化合物として例示すれば、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、インダゾール、インドール、ベンゾイミダゾール、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、インドリン、カルバゾール、又はこれらの誘導体などが挙げられる。6員環としては、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、又はこれらの誘導体などが挙げられる。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、同様に置換されていても無置換でもよい。
[0142]
 L が組み合わせからなる連結基である場合、組み合わせる数は、特に限定されず、例えば、2~30が好ましく、2~20がより好ましく、2~10がさらに好ましく、2~4が特に好ましい。組み合わせからなる連結基としては、例えば、炭素数1~6(好ましくは1~4)のアルキレン基、炭素数6~24(好ましくは6~10)のアリーレン基、エーテル基(-O-)、チオエーテル基(-S-)、イミノ基(NR )、カルボニル基、(ポリ)アルキレンオキシ基、(ポリ)エステル基、(ポリ)アミド基又はそれらの組み合わせに係る基が挙げられる。中でも、炭素数1~4のアルキレン基、エーテル基(-O-)、イミノ基(NR )、カルボニル基、(ポリ)アルキレンオキシ基、(ポリ)エステル基又はそれらの組み合わせに係る基がより好ましい。他にも後述する例示モノマーが有する連結基が挙げられる。
[0143]
 L が置換基を採りうる基であるとき、さらに置換基を有していてもよい。置換基としては上記置換基Tが挙げられ、中でも、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子、塩素原子)、アルキル基、アシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基が好ましい。
 L は一定以上の長さを有することが好ましい。具体的には環α(環α、一般式(1)または(2)における環構造を構成する原子のうちL が結合する原子)とP とを連結する最短原子数は、2原子以上が好ましく、4原子以上がより好ましく、6原子以上がさらに好ましく、8原子以上が特に好ましい。上限は1000原子以下であることが好ましく、500原子以下であることがより好ましく、100原子以下であることがさらに好ましく、20原子以下であることが特に好ましい。
[0144]
 L 、L はL と同義でありそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
[0145]
 P は重合性部位である。重合性部位とは、重合反応で重合することができる基であり、エチレン性不飽和基、エポキシ基やオキセタニル基のような、連鎖重合する基が挙げられる。またヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアナート基等を2つ以上有する基、および、縮合重合する基として、ジカルボン酸無水物構造を1つ以上有する基などが挙げられる。
 なお、エチレン性不飽和基は、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基(アリル基を含む)が挙げられる。
[0146]
 P は、エチレン性不飽和基、エポキシ基、オキセタニル基またはジカルボン酸無水物を1つ以上、またはヒドロキシ基、アミノ基、イソシアナート基、2つ以上含有する部分構造が好ましく、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基またはビニル基を1つ以上、またはヒドロキシ基、アミノ基、イソシアナート基を2つ以上含有する部分構造がより好ましく、(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を含有する部分構造が好ましい。
[0147]
 P はヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアナート基、ジカルボン酸無水物など縮合重合する基が挙げられる。なかでもヒドロキシ基、アミノ基、イソシアナート基、ジカルボン酸無水物が好ましく、ヒドロキシ基、アミノ基、イソシアナート基が特に好ましい。
[0148]
 L -P は、下記一般式(F-1)で表される基であることが好ましい。
[0149]
[化17]


[0150]
 一般式(D)で表される化合物は、d1が1~4で、R D1が一般式(F-1)で表される基であることが好ましく、d1が1で、R D1が一般式(F-1)で表される基であることがより好ましい。一般式(1)においては、R 11~R 16、X およびX の少なくとも4つが一般式(F-1)で表される基であることが好ましく、少なくとも1つが一般式(F-1)で表される基であることがより好ましい。一般式(2)においては、R 21、R 22、R 23およびR 24の少なくとも4つが一般式(F-1)で表される基であることが好ましく、少なくとも1つが一般式(F-1)で表される基であることがより好ましい。
[0151]
 X 31は、-O-又は>NHを表す。
[0152]
 式中、R 31は、水素原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基を表す。
 R 31として採りうるアルキル基としては、特に限定されないが、炭素数1~24のアルキル基が好ましく、1~12のアルキル基がより好ましく、1~6のアルキル基が特に好ましい。
 R 31として採りうるアルケニル基としては、特に限定されないが、炭素数2~24のアルケニル基が好ましく、2~12のアルケニル基がより好ましく、2~6のアルケニル基が特に好ましい。
 R 31として採りうるアルキニル基としては、特に限定されないが、炭素数2~24のアルキニル基が好ましく、2~12のアルキニル基がより好ましく、2~6のアルキニル基が特に好ましい。
 R 31として採りうるアリール基としては、特に限定されないが、炭素数6~22のアリール基が好ましく、6~14のアリール基がより好ましい。
 R 31として採りうるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
 R 31は、中でも、水素原子又はアルキル基が好ましく、水素原子又はメチルがより好ましい。
 R 31が置換基を採りうる基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基)であるとき、R 31はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては後述する置換基Zが挙げられ、中でも、ハロゲン原子(フッ素原子等)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エステル基、アミド基が好ましい。
[0153]
 L 31は、L と同義である。中でも、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12、さらに好ましくは1~6)、カルボニル基、エーテル基、イミノ基、又はこれらを組み合わせた連結基がより好ましい。炭素数1~4のアルキレン基、カルボニル基、エーテル基、イミノ基又はこれらを組み合わせた連結基が特に好ましい。
 L 31が置換基を採りうる基であるとき、さらに置換基を有していてもよい。置換基としては上記置換基Tが挙げられ、中でも、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子、塩素原子)、アルキル基、アシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基が好ましい。
 L 31は一定以上の長さを有することが好ましい。環α(環α、一般式(1)または(2)における環構造を構成する原子のうちL が結合する原子)とX 31とを連結する最短原子数は、環αとP とを連結する最短原子数と同じである。
[0154]
 以下に、上記2環以上の環構造を有する化合物の例を挙げるが、本発明がこれらにより限定して解釈されるものではない。なお、下記例示化合物において、m4は、1~100000を表し、n4は、1~100000を表す。
[0155]
[化18]


[0156]
 2環以上の環構造を有する化合物は、例えば、2環以上の環構造と反応点(例えば、ヒドロキシ基やカルボキシ基など)を有する化合物に重合性基(例えば、(メタ)アクリロイル基など)を含有する化合物を反応させて合成することにより得ることができる。
[0157]
 バインダー粒子の平均粒径は、50,000nm以下であり、1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましく、250nm以下であることが特に好ましい。下限値は10nm以上であり、30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがさらに好ましく、100nm以上であることが特に好ましい。バインダー粒子の大きさを上記の範囲とすることにより、固体粒子等との抵抗被膜の面積が小さくなり、低抵抗化することができる。すなわち、良好な密着性と界面抵抗の抑制とを実現することができる。
 本発明において、バインダー粒子の平均粒径は、イオン伝導性物質を内包した状態での平均粒径をいう。
[0158]
 バインダー粒子の平均粒径は、特に断らない限り、以下に記載の測定条件及び定義によるものとする。
 バインダー粒子を適宜の溶媒(固体電解質組成物の調製に用いる有機溶媒、例えば、ヘプタン)を用いて20mLサンプル瓶中で1質量%の分散液を希釈調製する。希釈後の分散試料は、1kHzの超音波を10分間照射し、その直後に試験に使用する。この分散液試料を用い、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA-920(商品名、HORIBA社製)を用いて、温度25℃で測定用石英セルを使用してデータ取り込みを50回行い、得られた体積平均粒子径を平均粒径とする。その他の詳細な条件等は必要によりJISZ8828:2013「粒子径解析-動的光散乱法」の記載を参照する。1水準につき5つの試料を作製して測定し、その平均値を採用する。
 なお、全固体二次電池を用いる場合は、例えば、全固体二次電池を分解して活物質層又は固体電解質層を剥がした後、その材料について上記バインダー粒子の平均粒径の測定方法に準じてその測定を行い、あらかじめ測定していたバインダー粒子以外の粒子の平均粒径の測定値を排除することにより行うことができる。
[0159]
 バインダー粒子を形成するポリマーの質量平均分子量は、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、30,000以上がさらに好ましい。上限としては、1,000,000以下が実質的であるが、架橋された態様も好ましい。
-分子量の測定-
 本発明においてポリマーの分子量については、特に断らない限り、質量平均分子量をいい、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算の質量平均分子量を計測する。測定法としては、基本として下記条件1又は条件2(優先)の方法により測定した値とする。ただし、ポリマー種によっては適宜適切な溶離液を選定して用いればよい。
(条件1)
  カラム:TOSOH TSKgel Super AWM-Hを2本つなげる
  キャリア:10mMLiBr/N-メチルピロリドン
  測定温度:40℃
  キャリア流量:1.0mL/min
  試料濃度:0.1質量%
  検出器:RI(屈折率)検出器
(条件2)優先
  カラム:TOSOH TSKgel Super HZM-H、TOSOH TSKgel Super HZ4000、TOSOH TSKgel Super HZ2000をつないだカラムを用いる
  キャリア:テトラヒドロフラン
  測定温度:40℃
  キャリア流量:1.0mL/min
  試料濃度:0.1質量%
  検出器:RI(屈折率)検出器
[0160]
 加熱や電圧の印加によってポリマーの架橋が進行した場合には、上記分子量より大きな分子量となっていてもよい。好ましくは、全固体二次電池の使用開始時に、バインダー粒子を形成するポリマーが上記範囲の質量平均分子量であることである。
[0161]
 本発明に用いられるバインダー粒子を構成するポリマーの水分濃度は、100ppm(質量基準)以下が好ましい。
 また、本発明に用いられるバインダー粒子を構成するポリマーは、晶析させて乾燥させてもよく、ポリマー溶液をそのまま用いてもよい。金属系触媒(ウレタン化、ポリエステル化触媒=スズ、チタン、ビスマス)は少ない方が好ましい。重合時に少なくするか、晶析で触媒を除くことで、共重合体中の金属濃度を、100ppm(質量基準)以下とすることが好ましい。
[0162]
 固体電解質組成物中の、バインダー粒子の含有量は、その固形分中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
 バインダー粒子を上記の範囲で用いることにより、一層効果的に固体電解質の固着性と界面抵抗の抑制性とを両立して実現することができる。
[0163]
 本発明において、バインダー粒子は1種を単独で用いても、複数の種類のものを組み合わせて用いてもよい。また、他の粒子と組み合わせて用いてもよい。
 なお、本発明に用いられるバインダー粒子は、常法により調製することができる。
 また、粒子化する方法としては、例えば、重合反応時にバインダー粒子を形成する方法、ポリマー溶液を沈殿させて粒子化する方法等が挙げられる。
[0164]
(分散媒体)
 本発明の固体電解質組成物は、分散媒体を含有してもよい。
 分散媒体は、上記の各成分を分散させるものであればよく、例えば、各種の有機溶媒が挙げられる。分散媒体の具体例としては下記のものが挙げられる。
 アルコール化合物溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1-プロピルアルコール、2-プロピルアルコール、2-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ソルビトール、キシリトール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールが挙げられる。
 エーテル化合物溶媒としては、アルキレングリコールアルキルエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)、ジアルキルエーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等)、環状エーテル(テトラヒドロフラン、ジオキサン(1,2-、1,3-及び1,4-の各異性体を含む)等)が挙げられる。
[0165]
 アミド化合物溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、2-ピロリジノン、ε-カプロラクタム、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどが挙げられる。
 アミノ化合物溶媒としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミンなどが挙げられる。
 ケトン化合物溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが挙げられる。
 芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
 脂肪族化合物溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどが挙げられる。
 ニトリル化合物溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピロニトリル、イソブチロニトリルなどが挙げられる。
 エステル化合物溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酪酸ブチル、ペンタン酸ブチルなどが挙げられる。
 非水系分散媒体としては、上記芳香族化合物溶媒、脂肪族化合物溶媒等が挙げられる。
[0166]
 本発明においては、中でも、アミノ化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、脂肪族化合物溶媒が好ましく、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒及び脂肪族化合物溶媒がさらに好ましい。本発明においては、硫化物系無機固体電解質を用いて、さらに上記の特定の有機溶媒を選定することが好ましい。この組み合わせを選定することにより、硫化物系無機固体電解質に対して活性な官能基が含まれないため硫化物系無機固体電解質を安定に取り扱え、好ましい。特に、硫化物系無機固体電解質と脂肪族化合物溶媒(好ましくはヘプタン)との組み合わせが好ましい。
 上記分散媒体は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0167]
 本発明において、固体電解質組成物中の、分散媒体の含有量は、固体電解質組成物の粘度と乾燥負荷とのバランスを考慮して適宜に設定することができる。一般的には、固体電解質組成物中、20~99質量%が好ましく、25~85質量%がより好ましく、30~80質量%が特に好ましい。
[0168]
(活物質)
 本発明の固体電解質組成物は、周期律表第1族又は第2族に属する金属元素のイオンの挿入放出が可能な活物質を含有してもよい。活物質としては、以下に説明するが、正極活物質及び負極活物質が挙げられる。
 本発明において、活物質(正極活物質、負極活物質)を含有する固体電解質組成物を、電極層用組成物(正極層用組成物、負極層用組成物)ということがある。
 本発明の固体電解質組成物は、負極層用組成物であることが好ましい。
[0169]
 -正極活物質-
 本発明の固体電解質組成物が含有してもよい正極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入および放出できるものが好ましい。その材料は、上記特性を有するものであれば、特に制限はなく、遷移金属酸化物や、硫黄などのLiと複合化できる元素などでもよい。
 中でも、正極活物質としては、遷移金属酸化物を用いることが好ましく、遷移金属元素M (Co、Ni、Fe、Mn、Cu、Vから選択される1種以上の元素)を有する遷移金属酸化物がより好ましい。また、この遷移金属酸化物に元素M (リチウム以外の金属周期律表の第1(Ia)族の元素、第2(IIa)族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどの元素)を混合してもよい。混合量としては、遷移金属元素M の量(100mol%)に対して0~30mol%が好ましい。Li/Maのモル比が0.3~2.2になるように混合して合成されたものが、より好ましい。
 遷移金属酸化物の具体例としては、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物、(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物、(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物、(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物、(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物等が挙げられる。
[0170]
 (MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物の具体例として、LiCoO (コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi (ニッケル酸リチウム)LiNi 0.85Co 0.10Al 0.05(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、LiNi 1/3Co 1/3Mn 1/3(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])、LiNi 0.5Mn 0.5(マンガンニッケル酸リチウム)が挙げられる。
 (MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物の具体例として、LiCoMnO 、Li FeMn 、Li CuMn 、Li CrMn 8、Li NiMn が挙げられる。
 (MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物としては、例えば、LiFePO 、Li Fe (PO 等のオリビン型リン酸鉄塩、LiFeP 等のピロリン酸鉄類、LiCoPO 等のリン酸コバルト類、Li (PO (リン酸バナジウムリチウム)等の単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩が挙げられる。
 (MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物としては、例えば、Li FePO F等のフッ化リン酸鉄塩、Li MnPO F等のフッ化リン酸マンガン塩、Li CoPO F等のフッ化リン酸コバルト類が挙げられる。
 (ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物としては、例えば、Li FeSiO 、Li MnSiO 、Li CoSiO 等が挙げられる。
 本発明では、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物が好ましく、LCO又はNMCがより好ましく、NMCが特に好ましい。
[0171]
 正極活物質の形状は特に制限されないが粒子状が好ましい。正極活物質の体積平均粒子径(球換算平均粒子径)は特に限定されない。例えば、0.1~50μmとすることができる。正極活物質を所定の粒子径にするには、通常の粉砕機や分級機を用いればよい。焼成法によって得られた正極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。正極活物質粒子の体積平均粒子径(球換算平均粒子径)は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA-920(商品名、HORIBA社製)を用いて測定することができる。
[0172]
 上記正極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 正極活物質層を形成する場合、正極活物質層の単位面積(cm )当たりの正極活物質の質量(mg)(目付量)は特に限定されるものではない。設計された電池容量に応じて、適宜に決めることができる。
[0173]
 正極活物質の、固体電解質組成物中における含有量は、特に限定されず、固形分100質量%において、10~95質量%が好ましく、30~90質量%がより好ましく、50~85質量がさらに好ましく、70~80質量%が特に好ましい。
[0174]
 -負極活物質-
 本発明の固体電解質組成物が含有してもよい負極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが好ましい。その材料は、上記特性を有するものであれば、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、及び、SnやSi、In等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。中でも、炭素質材料又はリチウム複合酸化物が信頼性の点から好ましく用いられ、炭素質材料がより好ましい。また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であることが好ましい。その材料は、特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
[0175]
 負極活物質として用いられる炭素質材料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石油ピッチ、アセチレンブラック(AB)等のカーボンブラック、黒鉛(天然黒鉛、気相成長黒鉛等の人造黒鉛等)、及びPAN(ポリアクリロニトリル)系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。さらに、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA(ポリビニルアルコール)系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、活性炭素繊維等の各種炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、平板状の黒鉛等を挙げることもできる。
[0176]
 負極活物質として適用される金属酸化物及び金属複合酸化物としては、特に非晶質酸化物が好ましく、さらに金属元素と周期律表第16族の元素との反応生成物であるカルコゲナイトも好ましく用いられる。ここでいう非晶質とは、CuKα線を用いたX線回折法で、2θ値で20°~40°の領域に頂点を有するブロードな散乱帯を有するものを意味し、結晶性の回折線を有してもよい。2θ値で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線の内最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下に見られるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の100倍以下であるのが好ましく、5倍以下であるのがより好ましく、結晶性の回折線を有さないことが特に好ましい。
[0177]
 上記非晶質酸化物及びカルコゲナイドからなる化合物群の中でも、半金属元素の非晶質酸化物、及びカルコゲナイドがより好ましく、周期律表第13(IIIB)族~15(VB)族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、Sb、Biの一種単独あるいはそれらの2種以上の組み合わせからなる酸化物、及びカルコゲナイドが特に好ましい。好ましい非晶質酸化物及びカルコゲナイドの具体例としては、例えば、Ga 、SiO、GeO、SnO、SnO 、PbO、PbO 、Pb 、Pb 、Pb 、Sb 、Sb 、Sb 、Bi 、SnSiO 、GeS、SnS、SnS 、PbS、PbS 、Sb 、Sb 、SnSiS が好ましく挙げられる。また、これらは、酸化リチウムとの複合酸化物、例えば、Li SnO であってもよい。
[0178]
 負極活物質はチタン原子を含有することも好ましい。より具体的にはLi Ti 12(チタン酸リチウム[LTO])がリチウムイオンの吸蔵放出時の体積変動が小さいことから急速充放電特性に優れ、電極の劣化が抑制されリチウムイオン二次電池の寿命向上が可能となる点で好ましい。
[0179]
 本発明においては、LTO又は炭素質材料が好ましく用いられ、炭素質材料(好ましくはハードカーボン、黒鉛、特に好ましくは黒鉛)がより好ましく用いられる。なお、本発明において、上記炭素質材料は1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0180]
 負極活物質の形状は特に制限されないが粒子状が好ましい。負極活物質の平均粒子径は、0.1~60μmが好ましい。所定の粒子径にするには、通常の粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが好適に用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことができる。所望の粒子径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いることができる。負極活物質粒子の平均粒子径は、前述の正極活物質の体積平均粒子径の測定方法と同様の方法により測定することができる。
[0181]
 上記焼成法により得られた化合物の化学式は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の質量差から算出できる。
[0182]
 Sn、Si、Geを中心とする非晶質酸化物負極活物質に併せて用いることができる負極活物質としては、リチウムイオン又はリチウム金属を吸蔵・放出できる炭素材料や、リチウム、リチウム合金、リチウムと合金可能な金属が好適に挙げられる。
[0183]
 本発明においては、Si系の負極を適用することが好ましい。一般的にSi負極は、炭素負極(黒鉛、アセチレンブラックなど)に比べて、より多くのLiイオンを吸蔵できる。すなわち、単位重量あたりのLiイオンの吸蔵量が増加する。そのため、電池容量を大きくすることができる。その結果、バッテリー駆動時間を長くすることができるという利点がある。
[0184]
 上記負極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 負極活物質層を形成する場合、負極活物質層の単位面積(cm )当たりの負極活物質の質量(mg)(目付量)は特に限定されるものではない。設計された電池容量に応じて、適宜に決めることができる。
[0185]
 負極活物質の、固体電解質組成物中における含有量は、特に限定されず、固形分100質量%において、10~80質量%であることが好ましく、20~80質量%がより好ましく、30~80質量%であることがより好ましく、40~75質量%であることがさらに好ましい。
[0186]
(導電助剤)
 本発明の固体電解質組成物は、活物質の電子導電性を向上させる等のために用いられる導電助剤を適宜必要に応じて含有してもよい。導電助剤としては、一般的な導電助剤を用いることができる。例えば、電子伝導性材料である、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック類、ニードルコークスなどの無定形炭素、気相成長炭素繊維やカーボンナノチューブなどの炭素繊維類、グラフェンやフラーレンなどの炭素質材料であってもよいし、銅、ニッケルなどの金属粉、金属繊維でも良く、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフェニレン誘導体などの導電性高分子を用いてもよい。またこれらの内1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
 本発明の固体電解質組成物が導電助剤を含む場合、固体電解質組成物中の導電助剤の含有量は、0~10質量%が好ましい。
[0187]
(リチウム塩)
 本発明の全固体二次電池用固体電解質組成物は、リチウム塩を含有することも好ましい。
 リチウム塩としては、通常この種の製品に用いられるリチウム塩が好ましく、特に制限はない。例えば、LiTFSIおよび特開2015-088486号公報の段落0082~0085記載のリチウム塩が挙げられる。本発明においては、LiTFSIが好ましく用いられる。
[0188]
 リチウム塩の含有量は、固体電解質100質量部に対して0質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。上限としては、50質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
[0189]
(分散剤)
 本発明の固体電解質組成物は、分散剤を含有してもよい。分散剤を添加することで電極活物質及び無機固体電解質のいずれかの濃度が高い場合においてもその凝集を抑制し、均一な活物質層及び固体電解質層を形成することができる。
 分散剤としては、全固体二次電池に通常使用されるものを適宜選定して用いることができる。例えば、分子量200以上3000未満の低分子又はオリゴマーからなり、官能基群(I)で示される官能基と、炭素数8以上のアルキル基又は炭素数10以上のアリール基を同一分子内に含有するものが好ましい。
官能基群(I):酸性基、塩基性窒素原子を有する基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、アルコキシシリル基、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、シアノ基、メルカプト基及びヒドロキシ基(酸性基、塩基性窒素原子を有する基、アルコキシシリル基、シアノ基、メルカプト基及びヒドロキシ基が好ましく、カルボキシ基、スルホン酸基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基がより好ましい。)
 本発明の全固体二次電池において、分散剤を含む層がある場合、層中の分散剤の含有量は、0.2~10質量%が好ましい。
[0190]
(固体電解質組成物の調製)
 本発明の固体電解質組成物は、無機固体電解質およびバインダー粒子と、必要により分散媒体等の他の成分とを、混合又は添加することにより、製造できる。例えば、各種の混合機を用いて上記成分を混合することにより、調製できる。混合条件としては、特に限定されないが、例えば、ボールミル、ビーズミル、プラネタリミキサ―、ブレードミキサ―、ロールミル、ニーダー、ディスクミル等が挙げられる。
[0191]
[全固体二次電池用シート]
 本発明の全固体二次電池用シートは、全固体二次電池に用いられるシートであればよく、その用途に応じて種々の態様を含む。例えば、固体電解質層に好ましく用いられるシート(全固体二次電池用固体電解質シートともいう)、電極又は電極と固体電解質層との積層体に好ましく用いられるシート(全固体二次電池用電極シート)等が挙げられる。本発明において、これら各種のシートをまとめて全固体二次電池用シートということがある。
[0192]
 本発明の全固体二次電池用シートは、基材上に固体電解質層又は活物質(電極層)を有するシートである。この全固体二次電池用シートは、基材と固体電解質層又は活物質を有していれば、他の層を有してもよいが、活物質層を有するものは後述する全固体二次電池用電極シートに分類する。他の層としては、例えば、保護層、集電体、コート層(集電体、固体電解質層、活物質)等が挙げられる。
 本発明の全固体二次電池用固体電解質シートとして、例えば、本発明の全固体二次電池の固体電解質層を形成するための、基材上に、固体電解質層と、必要により保護層とをこの順で有するシートが挙げられる。
 基材としては、固体電解質層を支持できるものであれば特に限定されず、上記集電体で説明した材料、有機材料、無機材料等のシート体(板状体)等が挙げられる。有機材料としては、各種ポリマー等が挙げられ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロース等が挙げられる。無機材料としては、例えば、ガラス、セラミック等が挙げられる。また、基材が多孔性である場合は、支持体に固体電解質組成物を含浸させ、固体電解質層としてもよい。
[0193]
 全固体二次電池用シートの固体電解質層の構成、層厚は、本発明の全固体二次電池において説明した固体電解質層の構成、層厚と同じである。
 このシートは、本発明の固体電解質組成物を基材上(他の層を介していてもよい)に製膜(塗布乾燥)して、基材上に固体電解質層を形成することにより、得られる。
 ここで、本発明の固体電解質組成物は、上記の方法によって、調製できる。
[0194]
 本発明の全固体二次電池用電極シート(単に「本発明の電極シート」ともいう。)は、本発明の全固体二次電池の活物質層を形成するための、集電体としての金属箔上に活物質層を有する電極シートである。この電極シートは、通常、集電体及び活物質層を有するシートであるが、集電体、活物質層及び固体電解質層をこの順に有する態様、並びに、集電体、活物質層、固体電解質層及び活物質層をこの順に有する態様も含まれる。
 電極シートを構成する各層の構成、層厚は、本発明の全固体二次電池において説明した各層の構成、層厚と同じである。
 電極シートは、本発明の、活物質を含有する固体電解質組成物を金属箔上に製膜(塗布乾燥)して、金属箔上に活物質層を形成することにより、得られる。
[0195]
[全固体二次電池及び全固体二次電池用電極シートの製造]
 全固体二次電池及び全固体二次電池用電極シートの製造は、常法によって行うことができる。具体的には、全固体二次電池及び全固体二次電池用電極シートは、本発明の固体電解質組成物等を用いて、上記の各層を形成することにより、製造できる。以下詳述する。
[0196]
 本発明の全固体二次電池は、本発明の固体電解質組成物を、集電体となる金属箔上に塗布し、塗膜を形成(製膜)する工程を含む(介する)方法により、製造できる。
 例えば、正極集電体である金属箔上に、正極用材料(正極層用組成物)として、正極活物質を含有する固体電解質組成物を塗布して正極活物質層を形成し、全固体二次電池用正極シートを作製する。次いで、この正極活物質層の上に、固体電解質層を形成するための固体電解質組成物を塗布して、固体電解質層を形成する。さらに、固体電解質層の上に、負極用材料(負極層用組成物)として、負極活物質を含有する固体電解質組成物を塗布して、負極活物質層を形成する。負極活物質層の上に、負極集電体(金属箔)を重ねることにより、正極活物質層と負極活物質層の間に固体電解質層が挟まれた構造の全固体二次電池を得ることができる。必要によりこれを筐体に封入して所望の全固体二次電池とすることができる。
 また、各層の形成方法を逆にして、負極集電体上に、負極活物質層、固体電解質層及び正極活物質層を形成し、正極集電体を重ねて、全固体二次電池を製造することもできる。
[0197]
 別の方法として、次の方法が挙げられる。すなわち、上記のようにして、全固体二次電池用正極シートを作製する。また、負極集電体である金属箔上に、負極用材料(負極層用組成物)として、負極活物質を含有する固体電解質組成物を塗布して負極活物質層を形成し、全固体二次電池用負極シートを作製する。次いで、これらシートのいずれか一方の活物質層の上に、上記のようにして、固体電解質層を形成する。さらに、固体電解質層の上に、全固体二次電池用正極シート及び全固体二次電池用負極シートの他方を、固体電解質層と活物質層とが接するように積層する。このようにして、全固体二次電池を製造することができる。
 また別の方法として、次の方法が挙げられる。すなわち、上記のようにして、全固体二次電池用正極シート及び全固体二次電池用負極シートを作製する。また、これとは別に、固体電解質組成物を基材上に塗布して、固体電解質層からなる全固体二次電池用固体電解質シートを作製する。さらに、全固体二次電池用正極シート及び全固体二次電池用負極シートで、基材から剥がした固体電解質層を挟むように積層する。このようにして、全固体二次電池を製造することができる。
[0198]
 上記の形成法の組み合わせによっても全固体二次電池を製造することができる。例えば、上記のようにして、全固体二次電池用正極シート、全固体二次電池用負極シート及び全固体二次電池用固体電解質シートをそれぞれ作製する。次いで、全固体二次電池用負極シート上に、基材から剥がした固体電解質層を積層した後に、上記全固体二次電池用正極シートと張り合わせることで全固体二次電池を製造することができる。この方法において、固体電解質層を全固体二次電池用正極シートに積層し、全固体二次電池用負極シートと張り合わせることもできる。
[0199]
(各層の形成(成膜))
 固体電解質組成物の塗布方法は、特に限定されず、適宜に選択できる。例えば、塗布(好ましくは湿式塗布)、スプレー塗布、スピンコート塗布、ディップコート、スリット塗布、ストライプ塗布、バーコート塗布が挙げられる。
 このとき、固体電解質組成物は、それぞれ塗布した後に乾燥処理を施してもよいし、重層塗布した後に乾燥処理をしてもよい。乾燥温度は特に限定されない。下限は30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。上限は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましい。このような温度範囲で加熱することで、分散媒体を除去し、固体状態にすることができる。また、温度を高くしすぎず、全固体二次電池の各部材を損傷せずに済むため好ましい。これにより、全固体二次電池において、優れた総合性能を示し、かつ良好な結着性と、非加圧でも良好なイオン伝導度を得ることができる。
[0200]
 塗布した固体電解質組成物、又は、全固体二次電池を作製した後に、各層又は全固体二次電池を加圧することが好ましい。また、各層を積層した状態で加圧することも好ましい。加圧方法としては油圧シリンダープレス機等が挙げられる。加圧力としては、特に限定されず、一般的には50~1500MPaの範囲であることが好ましい。
 また、塗布した固体電解質組成物は、加圧と同時に加熱してもよい。加熱温度としては、特に限定されず、一般的には30~300℃の範囲である。無機固体電解質のガラス転移温度よりも高い温度でプレスすることもできる。一方、無機固体電解質とバインダー粒子が共存する場合、バインダー粒子を形成する上記ポリマーのガラス転移温度よりも高い温度でプレスすることもできる。ただし、一般的には上記ポリマーの融点を越えない温度である。
 加圧は塗布溶媒又は分散媒体をあらかじめ乾燥させた状態で行ってもよいし、溶媒又は分散媒体が残存している状態で行ってもよい。
[0201]
 加圧中の雰囲気としては、特に限定されず、大気下、乾燥空気下(露点-20℃以下)、不活性ガス中(例えばアルゴンガス中、ヘリウムガス中、窒素ガス中)などいずれでもよい。
 プレス時間は短時間(例えば数時間以内)で高い圧力をかけてもよいし、長時間(1日以上)かけて中程度の圧力をかけてもよい。全固体二次電池用シート以外、例えば全固体二次電池の場合には、中程度の圧力をかけ続けるために、全固体二次電池の拘束具(ネジ締め圧等)を用いることもできる。
 プレス圧はシート面等の被圧部に対して均一であっても異なる圧であってもよい。
 プレス圧は被圧部の面積や膜厚に応じて変化させることができる。また同一部位を段階的に異なる圧力で変えることもできる。
 プレス面は平滑であっても粗面化されていてもよい。
[0202]
(初期化)
 上記のようにして製造した全固体二次電池は、製造後又は使用前に初期化を行うことが好ましい。初期化は、特に限定されず、例えば、プレス圧を高めた状態で初充放電を行い、その後、全固体二次電池の一般使用圧力になるまで圧力を開放することにより、行うことができる。
[0203]
〔全固体二次電池の用途〕
 本発明の全固体二次電池は種々の用途に適用することができる。適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。さらに、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
[0204]
 中でも、高容量かつ高レート放電特性が要求されるアプリケーションに適用されることが好ましい。例えば、今後大容量化が予想される蓄電設備等においては高い安全性が必須となりさらに電池性能の両立が要求される。また、電気自動車などは高容量の二次電池を搭載し、家庭で日々充電が行われる用途が想定され、過充電時に対して一層の安全性が求められる。本発明によれば、このような使用形態に好適に対応してその優れた効果を発揮することができる。
[0205]
 全固体二次電池とは、正極、負極、電解質がともに固体で構成された二次電池をいう。換言すれば、電解質としてカーボネート系の溶媒を用いるような電解液型の二次電池とは区別される。このなかで、本発明は無機全固体二次電池を前提とする。全固体二次電池には、電解質としてポリエチレンオキサイド等の高分子化合物を用いる有機(高分子)全固体二次電池と、上記のLi-P-SやLLT、LLZ等を用いる無機全固体二次電池とに区分される。なお、無機全固体二次電池に高分子化合物を適用することは妨げられず、正極活物質、負極活物質、無機固体電解質粒子のバインダー粒子として高分子化合物を適用することができる。
 無機固体電解質とは、上述した、ポリエチレンオキサイド等の高分子化合物をイオン伝導媒体とする電解質(高分子電解質)とは区別されるものであり、無機化合物がイオン伝導媒体となるものである。具体例としては、上記のLi-P-SやLLT、LLZが挙げられる。無機固体電解質は、それ自体が陽イオン(Liイオン)を放出するものではなく、イオンの輸送機能を示すものである。これに対して、電解液ないし固体電解質層に添加して陽イオン(Liイオン)を放出するイオンの供給源となる材料を電解質と呼ぶことがあるが、上記のイオン輸送材料としての電解質と区別するときにはこれを「電解質塩」又は「支持電解質」と呼ぶ。電解質塩としては例えばLiTFSI(リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド)が挙げられる。
 本発明において「組成物」というときには、2種以上の成分が均一に混合された混合物を意味する。ただし、実質的に均一性が維持されていればよく、所望の効果を奏する範囲で、一部において凝集や偏在が生じていてもよい。また、特に固体電解質組成物というときには、基本的に固体電解質層等を形成するための材料となる組成物(典型的にはペースト状)を指し、上記組成物を硬化して形成した電解質層等はこれに含まれないものとする。
実施例
[0206]
 以下に、実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。以下の実施例において組成を表す「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
 なお、表中において使用する「-」は、その列の組成を含有しないこと等を意味する。また、「室温」は25℃を意味する。
[0207]
[実施例および比較例]
 以下に実施例および比較例で用いた成分の合成例を記載する。
<バインダー粒子の合成(バインダー粒子分散液の調製)>
 (1-1)バインダー粒子BP-1の合成
 還流冷却管、ガス導入コックを付した1Lの3つ口フラスコにヘプタンを200質量部加え、流速200mL/minにて窒素ガスを10分間導入した後に室温から80℃に昇温した。攪拌しているヘプタン中に、別容器にて調製した液(アクリル酸ブチルA-5(和光純薬工業社製)90質量部、メタクリル酸メチルA-4(和光純薬工業社製)20質量部、アクリル酸A-1(和光純薬工業社製)10質量部、B-16(合成品)を20質量部、マクロモノマーMM-1を60質量部(固形分量)、重合開始剤V-601(商品名、和光純薬工業社製)を2.0質量部混合した液)を2時間かけて滴下し、その後80℃で2時間攪拌した。その後、得られた混合物にV-601をさらに1.0質量部添加し、90℃で2時間攪拌した。得られた溶液をヘプタンで希釈することで、バインダー粒子BP-1の分散液を得た。
 下記表1に記載の組成とした以外は、上記バインダー粒子BP-1分散液の調製と同様にして、バインダー粒子BP-2~BP-10の分散液をそれぞれ調製した。
[0208]
 (B-16の合成)
 1Lの3つフラスコに1-ナフタレンメタノール(東京化成工業社製)を33g、こはく酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)(アルドリッチ社製)を50g、4-ジメチルアミノピリジン(東京化成工業社製)を5g、ジクロロメタンを500g加えた後、20℃で5分攪拌した。攪拌している溶液中に1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(東京化成工業社製)52gを30分かけて添加し、20℃で5時間攪拌した。その後0.1M塩酸で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧留去を行った。得られたサンプルをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することでB-16を得た。
[0209]
 (マクロモノマーMM-1の合成)
 還流冷却管、ガス導入コックを付した1Lの3つフラスコにトルエンを190質量部加え、流速200mL/minにて窒素ガスを10分間導入した後に室温から80℃に昇温した。攪拌しているトルエン中に、別容器にて調製した液(下記処方α)を2時間かけて滴下し、80℃で2時間攪拌した。その後、V-601(和光純薬工業社製)を0.2質量部添加し、さらに95℃で2時間攪拌した。攪拌後95℃に保った溶液に2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(東京化成工業社製)を0.025質量部、メタクリル酸グリシジル(和光純薬工業社製)を13質量部、テトラブチルアンモニウムブロミド(東京化成工業社製)を2.5質量部加えて120℃で3時間攪拌した。得られた混合物を室温まで冷却したのちメタノールに加えて沈殿させ、沈殿物をろ取し、メタノールで2回洗浄後、ヘプタン300質量部を加えて溶解させた。得られた溶液を減圧下で濃縮することでマクロモノマーMM-1の溶液を得た。固形分濃度は43.4%、SP値は9.1、質量平均分子量は16,000であった。得られたマクロモノマーMM-1を以下に示す。
[0210]
 (処方α)
 メタクリル酸ドデシル(和光純薬工業社製)      150質量部
 メタクリル酸メチル A-4(和光純薬工業社製)    59質量部
 3-メルカプトイソ酪酸 (東京化成工業社製)      2質量部
 V-601 (和光純薬工業社製)          1.9質量部
[0211]
[化19]


[0212]
 以下に、実施例で使用したB-5、B-7、B-9、B-12、B-21およびB-27の合成法を記載する。
[0213]
(B-5の合成)
 1-ナフタレンメタノール33gを1-ピレンメタノール(東京化成工業社製)48gに変えたこと以外はB-16と同様に合成することでB-5を得た。
[0214]
(B-7の合成)
 1-ナフタレンメタノール33gを1-ヒドロキシピレン(東京化成工業社製)46gに変えたこと以外はB-16と同様に合成することでB-7を得た。
[0215]
(B-9の合成)
 1-ナフタレンメタノール33gを1-アミノピレン(東京化成工業社製)46gに変えたこと以外はB-16と同様に合成することでB-9を得た。
[0216]
(B-12の合成)
 1-ナフタレンメタノール33g、こはく酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)50gをそれぞれ1-ピレン酪酸60g、アクリル酸4-ヒドロキシブチル33gに変えたこと以外はB-16と同様に合成することでB-12を得た。
[0217]
(B-21の合成)
 1-ナフタレンメタノール33gをデカヒドロ-2-ナフトール(東京化成工業社製)32gに変えたこと以外はB-16と同様に合成することでB-21を得た。
[0218]
(B-27の合成)
 1-ナフタレンメタノール33gをコレステロール(東京化成工業社製)80gに変えたこと以外はB-16と同様に合成することでB-27を得た。
[0219]
 以下に、実施例で使用したマクロモノマーMM-2の合成法を記載する。
[0220]
 (マクロモノマーMM-2の合成)
 還流冷却管、ガス導入コックを付した1Lの3つフラスコにトルエンを190質量部加え、流速200mL/minにて窒素ガスを10分間導入した後に室温から80℃に昇温した。これに、別容器にて調製した液(下記処方β)を2時間かけて滴下し、80℃で2時間攪拌した。その後、V-601を0.2質量部添加し、さらに95℃で2時間攪拌した。攪拌後95℃に保った溶液に2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(東京化成工業社製)を0.025質量部、メタクリル酸2-イソシアナトエチル(和光純薬工業社製)を13質量部、ビスマス触媒:ネオスタンU-600(商品名、日東化成社製)を0.6質量部加えて95℃で3時間攪拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、メタノールに加えて沈殿させ、沈殿物をろ取し、メタノールで2回洗浄後、ヘプタン300質量部を加えて溶解させた。得られた溶液を減圧下で濃縮することでマクロモノマーMM-2の溶液を得た。固形分濃度は40.2%、SP値は9.1、質量平均分子量は11000であった。得られたマクロモノマーMM-2を以下に示す。
[0221]
 (処方β)
 メタクリル酸ドデシル(和光純薬工業社製)       150質量部
 B-5(合成品)                    59質量部
 6-メルカプト-1-ヘキサノール (東京化成工業社製)  2質量部
 V-601 (和光純薬工業社製)           1.9質量部
[0222]
[化20]


[0223]
 (ウレタン樹脂からなるバインダー粒子BP-11の合成)
 ウレタン樹脂からなるバインダー粒子BP-11を合成するため、まず末端ジオールポリメタクリル酸ドデシルを合成した。以下に手順を記載する。
 500mLの3つ口フラスコ中にメチルエチルケトン20mLを仕込み、窒素気流下、75℃に加熱した。一方、500mLメスシリンダーにドデシルメタクリレート(和光純薬工業社製)70gとメチルエチルケトン110gとを仕込み、室温で10分撹拌した。500mLメスシリンダーに連鎖移動剤としてチオグリセロール(和光純薬工業社製)2.9gとラジカル重合開始剤V-601(和光純薬工業社製)3.2gとを加え、さらに10分撹拌した。得られたモノマー溶液を2時間かけて、上記500mLの3つ口フラスコに滴下し、ラジカル重合を開始させた。さらに、滴下終了後、75℃で6時間加熱撹拌した。得られた重合液を減圧濃縮し、メチルエチルケトンを留去した後、固形物をヘプタンに溶解して、末端ジオール変性ポリメタクリル酸ドデシルの25質量%ヘプタン溶液292gを得た。得られたポリマーの質量平均分子量は3,200であった。
[0224]
 続いてポリウレアコロイド粒子MM-3を合成した。以下に手順を記載する。
 末端ジオール変性ポリメタクリル酸ドデシル25質量%のヘプタン溶液260gを、1Lの3つ口フラスコに加え、ヘプタン110gで希釈した。これにイソホロンジイソシアネート(和光純薬工業社製)11.1gとネオスタンU-600(商品名、日東化成社製)0.1gとを加え、75℃で5時間加熱撹拌した。その後、イソホロンジアミン(アミン化合物)0.4gのヘプタン125g希釈液を1時間かけて滴下した。ポリマー溶液は、滴下開始後10分で透明から薄い黄色の蛍光色を有する溶液へと変化した。この変化により、ウレアコロイドが形成したことを確認した。反応液を室温に冷却し、ポリウレアコロイド粒子MM-3の15質量%ヘプタン溶液506gを得た。
 ポリウレアコロイド粒子MM-3のポリウレアSP値は9.6、質量平均分子量は、9,600であった。
[0225]
 次に、ポリウレアコロイド粒子MM-3を用いてウレタン樹脂BP-11を合成した。
 具体的には、50mLサンプル瓶に4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(東京化成工業社製)3.8g、ポリエチレングリコール(質量平均分子量600、Aldrich社製)5.2g、B-30を1.0g加えた。これにポリウレアコロイド粒子MM-3の15質量%ヘプタン溶液を20g加え、50℃で加温しながらホモジナイザーで30分間分散した。この間、混合液は微粒子化し、薄橙色のスラリーとなった。得られたスラリーを、あらかじめ温度80℃に加熱した200mLの3つ口フラスコに投入し、ネオスタンU-600(商品名、日東化成社製)0.1gを加えて、温度80℃、回転数400rpmで3時間加熱撹拌した。スラリーは、白色乳濁状となった。これより、ウレタン樹脂からなるバインダー粒子が形成されたことが推定された。白色乳濁状のスラリーを冷却し、ウレタン樹脂からなるバインダー粒子BP-11のヘプタン分散液を得た。固形分濃度は39.2%、質量平均分子量は101,000であった。
 下記表1に記載の組成とした以外は、上記バインダー粒子BP-11分散液の調製と同様にして、バインダー粒子BP-12~BP-13の分散液をそれぞれ調製した。BP-12の固形分濃度は38.8%、BP-13の固形分濃度は39.5%であった。
[0226]
<比較のためのバインダー粒子BPC-1の合成>
 還流冷却管、ガス導入コックを付した1Lの3つ口フラスコにヘプタンを200質量部加え、流速200mL/minにて窒素ガスを10分間導入した後に80℃に昇温した。これに、別容器にて調製した液(アクリル酸ブチルA-5(和光純薬工業社製)90質量部、メタクリル酸メチルA-4(和光純薬工業社製)30質量部、アクリル酸A-1(和光純薬工業社製)10質量部、B-16(合成品)を20質量部、マクロモノマーMMC-1を60質量部(固形分量)、重合開始剤V-601(商品名、和光純薬工業社製)を2.0質量部混合した液)を2時間かけて滴下し、その後80℃で2時間攪拌した。その後、得られた混合物にV-601を1.0g添加し、さらに90℃で2時間攪拌した。得られた溶液をヘプタンで希釈することで、バインダー粒子BPC-1の分散液を得た。
[0227]
 (マクロモノマーMMC-1の合成)
 還流冷却管、ガス導入コックを付した1Lの3つ口フラスコにトルエンを190質量部加え、流速200mL/minにて窒素ガスを10分間導入した後に90℃に昇温した。攪拌しているトルエン中に、別容器にて調製した液(下記処方γ)を2時間かけて滴下し、その後90℃で2時間攪拌した。その後、V-601(和光純薬工業社製)を0.2質量部添加し、さらに100℃で2時間攪拌した。攪拌後100℃に保った溶液に2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(東京化成工業社製)を0.05質量部、メタクリル酸グリシジル(和光純薬工業社製)を100質量部、テトラブチルアンモニウムブロミド(東京化成工業社製)を30質量部加えて120℃3時間攪拌した。得られた混合物を室温まで冷却したのちメタノールに加えて沈殿させ、沈殿物をろ取し、メタノールで2回洗浄後、ヘプタン300質量部を加えて溶解させた。得られた溶液を減圧化で濃縮することでマクロモノマーMMC-1の溶液を得た。固形分濃度は38.5%、SP値は9.5、質量平均分子量は500であった。
 (処方γ)
 メタクリル酸ドデシル(和光純薬工業社製)      150質量部
 メタクリル酸メチル A-4(和光純薬工業社製)    59質量部
 3-メルカプトイソ酪酸 (東京化成工業社製)     40質量部
 V-601 (和光純薬工業社製)          2.5質量部
[0228]
-測定方法-
<固形分濃度の測定方法>
 バインダー粒子の分散液及びマクロモノマー溶液の固形分濃度は、下記方法に基づいて、測定した。
 7cmΦのアルミカップ内にバインダー粒子の分散液又はマクロモノマー溶液を約1.5g秤量し、少数点第3位までの秤量値を読み取った。続いて窒素雰囲気下で90℃2時間、続いて140℃2時間加熱し、乾燥させた。得られたアルミカップ内の残存物の質量を測り、下記式により固形分濃度を算出した。測定は、5回行い、最大値及び最小値を除いた、3回の平均を採用した。
固形分濃度(%)=アルミカップ内の残存物量(g)/バインダー粒子の分散液又はマクロモノマー溶液(g)
[0229]
<バインダー粒子の平均粒径の測定>
 バインダー粒子の平均粒径(PD)の測定は、以下の手順で行った。上記にて調製したバインダー粒子の分散液の乾燥試料を適宜の分散媒体(固体電解質組成物の調製に用いる分散媒体。バインダー粒子BP-1の場合はヘプタン)を用いて1質量%の分散液を調製した。この分散液試料に1kHzの超音波を10分間照射した後に、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA-920(商品名、HORIBA社製)を用いて、樹脂粒子の体積平均粒径を測定した。
[0230]
<質量平均分子量の測定>
 バインダー粒子を形成するマクロモノマーの質量平均分子量は、上記方法(条件2)により、測定した。
[0231]
[表1]


[0232]
<表の注>
MDI:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(東京化成工業社製)
PEG:ポリエチレングリコール(Aldrich社製、質量平均分子量:600)
A-番号:上記例示化合物
B-番号:上記例示化合物
[0233]
<硫化物系無機固体電解質の合成>
 アルゴン雰囲気下(露点-70℃)のグローブボックス内で、硫化リチウム(Li S、Aldrich社製、純度>99.98%)2.42g及び五硫化二リン(P 、Aldrich社製、純度>99%)3.90gをそれぞれ秤量し、メノウ製乳鉢に投入し、メノウ製乳棒を用いて、5分間混合した。Li S及びP の混合比は、モル比でLi S:P =75:25とした。
 ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを66g投入し、上記の硫化リチウムと五硫化二リンの混合物全量を投入し、アルゴン雰囲気下で容器を完全に密閉した。フリッチュ社製遊星ボールミルP-7(商品名、フリッチュ社製)に容器をセットし、温度25℃で、回転数510rpmで20時間メカニカルミリングを行うことで、黄色粉体の硫化物系無機固体電解質(Li/P/Sガラス、以下、LPSと表記することがある。)6.20gを得た。
[0234]
 上記合成した成分を用いて組成物を調製した。また、電極シートおよび電池を作製した。以下、調製法、作製法を詳述する。また、上記組成物、電極シートおよび電池の評価について記載する。
[0235]
<固体電解質組成物の調製例>
 ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、上記で合成したLPS4.85g、表2に示すバインダー粒子を0.15g(固形分質量)、表2中に示す分散媒体17.0gを投入した。その後に、この容器をフリッチュ社製遊星ボールミルP-7にセットし、温度25℃、回転数300rpmで2時間混合を続け、各固体電解質組成物S-1~S-13及びT-1を調製した。
[0236]
[表2]


[0237]
<正極層用組成物の調製>
 ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、表3に示すように、上記合成したLPSを2.0g、バインダー粒子の分散液を固形分として0.1g、分散媒体を22gを投入した。その後に、この容器をフリッチュ社製遊星ボールミルP-7にセットし、温度25℃で、回転数300rpmで2時間攪拌した。その後、表5に示す正極活物質7.9gを投入し、再びこの容器を遊星ボールミルP-7に容器をセットし、温度25℃、回転数100rpmで15分間混合を続けた。このようにして、各正極層用組成物P-1~P-14及びV-1を得た。
[0238]
[表3]


[0239]
[表の注]
NMC:Li(Ni 1/3Mn 1/3Co 1/3)O  ニッケル、マンガン、コバルト酸リチウム(日本化学工業)
[0240]
<負極層用組成物の調製>
 ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、上記合成したLPSを3.9g、バインダー粒子の分散液を固形分として0.1g、分散媒体としてヘプタン22gを投入した。その後に、この容器をフリッチュ社製遊星ボールミルP-7にセットし、温度25℃で、回転数300rpmで2時間攪拌した。その後、表4に示す負極活物質6.0gを投入し、再びこの容器を遊星ボールミルP-7にセットし、温度25℃、回転数100rpmで15分間混合を続けた。このようにして、負極層用組成物N-1~N-14およびO-1を得た。
[0241]
[表4]


[0242]
[表の注]
LTO:Li Ti 12(チタン酸リチウム)
[0243]
<全固体二次電池用正極シートの作製>
 上記で得られた正極層用組成物P-1を厚み20μmのアルミ箔上に、ベーカー式アプリケーター(商品名SA-201、テスター産業社製)により塗布し、80℃2時間加熱し、正極層用組成物を乾燥させた。その後、ヒートプレス機を用いて、所定の密度になるように、乾燥させた正極層用組成物P-1を加熱(80℃)しながら加圧(600MPa、1分)し、膜厚80μmの正極活物質層を有する全固体二次電池用正極シートを作製した。
 次いで、得られた正極活物質層上に、固体電解質組成物S-1を、上記ベーカー式アプリケーターにより塗布し、80℃2時間加熱し、固体電解質組成物を乾燥させた。その後、ヒートプレス機を用いて、所定の密度になるように、乾燥させた固体電解質組成物S-1を加熱(80℃)しながら加圧(600MPa、1分)し、膜厚30μmの固体電解質層を備えた全固体二次電池用正極シートを作製した。
[0244]
<全固体二次電池用負極シートの作製>
 上記で得られた負極層用組成物N-1を厚み20μmのステンレス箔上に、上記ベーカー式アプリケーターにより塗布し、80℃2時間加熱し、負極層用組成物N-1を乾燥させた。その後、ヒートプレス機を用いて、所定の密度になるように、乾燥させた負極層用組成物を加熱(120℃)しながら加圧(600MPa、1分)し、膜厚110μmの負極活物質層を有する全固体二次電池用負極シートを作製した。
[0245]
<全固体二次電池の作製>
 上記で得られた全固体二次電池用正極シートを直径14.5mmの円板状に切り出し、スペーサーとワッシャーを組み込んだステンレス製の2032型コインケース11に入れ、固体電解質層上に15mmφに切り出した全固体二次電池用負極シートを電極層が固体電解質層に接するように重ねた。コインケース11をかしめることで、全固体二次電池No.201作製した。同様にして、全固体二次電池No.202~214及びc21を作製した。
[0246]
<分散性の評価>
 負極層用組成物を10mmΦ、高さ15cmのガラス試験管に高さ10cmまで加え、15時間静置した後に分離した上澄みの高さを測ることで分散性を評価した。本試験において、評価基準「C」以上が合格である。
 -評価基準-
 A:上澄みの高さ/分散物全量の高さ<0.1
 B:0.1≦上澄みの高さ/分散物全量の高さ<0.3
 C:0.3≦上澄みの高さ/分散物全量の高さ<0.5
 D:0.5≦上澄みの高さ/分散物全量の高さ
[0247]
<密着性(結着性)の評価>
 全固体二次電池用負極シートを直径15mmの円板状に切り出し、切り出したシートにおける負極層の表面部(観察領域500μm×500μm)を検査用光学顕微鏡(エクリプスCi(商品名)、ニコン社製)で観察して、固体電解質層の欠けや割れ、ヒビの有無、及び、固体電解質層のアルミ箔(集電体)からの剥がれの有無を、以下の基準で評価した。本試験において、評価基準「C」以上が合格である。
 -評価基準-
 A:欠陥(欠け、割れ、ヒビ、剥がれ)が全く見られなかった。
 B:欠陥部分の面積が、観測対象となる全面積のうち0%超20%以下
 C:欠陥部分の面積が、観測対象となる全面積のうち20%超70%以下
 D:欠陥部分の面積が、観測対象となる全面積のうち70%超
[0248]
<抵抗の評価>
 上記で作製した各全固体二次電池を、充放電評価装置TOSCAT-3000(商品名、東洋システム社製)により評価した。充電は電流密度0.1mA/cm で電池電圧が4.2Vに達するまで行った。放電は電流密度0.1mA/cm で電池電圧が2.5Vに達するまで行った。これを繰り返し、3サイクル目の放電容量(活物質質量1g当たりの電気量)で読み取り、以下の基準で抵抗を評価した。放電容量が高いほど低抵抗であることを示す。本試験において、評価基準が「C」以上が合格である。
 -評価基準-
 A:120mAh/g以上
 B:100mAh/g以上120mAh/g未満
 C:80mAh/g以上100mAh/g未満
 D:80mAh/g未満
[0249]
<サイクル特性(放電容量維持率)の評価>
 上記で作製した各全固体二次電池のサイクル特性を、充放電評価装置TOSCAT-3000により評価した。充電は電流密度0.1mA/cm で電池電圧が4.2Vに達するまで行った。放電は電流密度0.1mA/cm で電池電圧が2.5Vに達するまで行った。上記条件で3サイクル充放電を繰り返すことで初期化を行った。
 初期化後の各全固体二次電池について、電流密度0.2mA/cm で電池電圧が4.2Vに達するまで充電し、次いで、電流密度0.2mA/cm で電池電圧が2.5Vに達するまで放電した。この充放電を1サイクルとして、充放電を繰り返した。
 この充放電サイクルにおいて、初期化後1サイクル目の放電容量を100%としたときの、放電容量維持率が80%に達した際のサイクル数を、以下の基準で評価した。本試験において、評価基準が「C」以上が合格である。
 -評価基準-
 A:200サイクル以上
 B:100サイクル以上200サイクル未満
 C:50サイクル以上100サイクル未満
 D:50サイクル未満
[0250]
[表5]


[0251]
 表5から明らかなように、本発明の固体電解質組成物(負極層用組成物)は分散性が良好であることがわかる。また、本発明の全固体二次電池電極シート(全固体二次電池用負極シート)は密着性が良好である。さらに、本発明の全固体二次電池は、抵抗が低く、サイクル特性に優れる。
[0252]
 本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
[0253]
 本願は、2016年1月27日に日本国で特許出願された特願2016-013762に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。

符号の説明

[0254]
1 負極集電体
2 負極活物質層
3 固体電解質層
4 正極活物質層
5 正極集電体
6 作動部位
10 全固体二次電池
11 コインケース
12 全固体二次電池用シート
13 イオン伝導度測定用セル(コイン電池)

請求の範囲

[請求項1]
 周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質と、バインダーとを含有する固体電解質組成物であって、
 前記バインダーを構成するポリマーが、質量平均分子量1,000以上1,000,000未満のマクロモノマー由来の構成成分を含み、かつ、2環以上の環構造を含む、固体電解質組成物。
[請求項2]
 前記バインダーを構成するポリマーが、側鎖に前記2環以上の環構造を含む基を有する繰り返し単位を含む請求項1に記載の固体電解質組成物。
[請求項3]
 前記2環以上の環構造を含む基を有する繰り返し単位が、前記マクロモノマー由来の構成成分中に組み込まれている請求項2に記載の固体電解質組成物。
[請求項4]
 前記2環以上の環構造を含む基を有する繰り返し単位の含有量が、前記バインダーを構成するポリマー100質量%中、10質量%以上85質量%以下である請求項2または3に記載の固体電解質組成物。
[請求項5]
 前記バインダーを構成するポリマーが粒子状であり、かつ、平均粒径が10nm以上50,000nm以下である請求項1~4のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
[請求項6]
 前記2環以上の環構造を含む基が、下記一般式(D)で表される化合物の少なくとも1つの水素原子を結合手に置き換えた構造を有する請求項1~5のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
[化1]


 一般式(D)中、環αは2環以上の環を表し、R D1は環αの構成原子と結合している置換基を表し、d1は1以上の整数を表す。d1が2以上の場合、複数のR D1は同一でも異なっていてもよい。隣接する原子に置換するR D1が互いに結合して、環を形成してもよい。
[請求項7]
 前記無機固体電解質が下記式(1)で表される請求項1~6のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。

   L a1b1c1d1e1 (1)

 式中、LはLi、Na及びKから選択される元素を示す。Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al及びGeから選択される元素を示す。Aは、I、Br、Cl又はFを示す。a1~e1は各元素の組成比を示し、a1:b1:c1:d1:e1は1~12:0~5:1:2~12:0~10を満たす。
[請求項8]
 前記一般式(D)で表される化合物の少なくとも1つの水素原子を結合手に置き換えた構造が、下記一般式(1)で表される化合物または下記一般式(2)で表される脂肪族炭化水素の少なくとも1つの水素原子を結合手に置き換えた構造である請求項6に記載の固体電解質組成物。
[化2]


 一般式(1)において、CHCはベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環を表す。n1は0~8の整数を表す。R 11~R 16は各々独立に、水素原子または置換基を表す。X およびX は各々独立に、水素原子または置換基を表す。ここで、R 11~R 16、X およびX において、互いに隣接する基が結合して、5または6員環を形成してもよい。ただし、n1が0の場合、R 11~R 16のいずれか1つの置換基が、-(CHC m1-Rxであるか、またはR 11~R 16のいずれか2つが互いに結合して、-(CHC m1-を形成する。ここで、CHC はフェニレン基、シクロアルキレン基またはシクロアルケニレン基を表し、m1は2以上の整数を表し、Rxは水素原子または置換基を表す。また、n1が1の場合、R 11~R 16、X およびX において、互いに隣接する少なくとも2つが結合して、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環またはシクロヘキサジエン環を形成する。
[化3]


 一般式(2)において、Y およびY は各々独立に水素原子、メチル基またはホルミル基を表す。R 21、R 22、R 23およびR 24は各々独立に、置換基を表し、a、b、cおよびdは各々独立に0~4の整数を表す。
 ここで、A環は、飽和環、二重結合を1もしくは2個有する不飽和環または芳香環であってもよく、B環およびC環は、二重結合を1もしくは2個有する不飽和環であってもよい。なお、a、b、cおよびdが、2~4の整数の場合、隣接するR 21同士、R 22同士、R 23同士および/またはR 24同士は互いに結合して環を形成してもよい。
[請求項9]
 前記バインダーを構成するポリマーが、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレタンまたはアクリル樹脂である請求項1~8のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
[請求項10]
 前記バインダーを構成するポリマーが、(メタ)アクリル酸成分、(メタ)アクリル酸エステル成分および(メタ)アクリロニトリル成分から選ばれる少なくとも1種の構成成分含む請求項1~9のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
[請求項11]
 周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの挿入放出が可能な活物質を含む請求項1~10のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
[請求項12]
 前記活物質が炭素質材料である請求項11に記載の固体電解質組成物。
[請求項13]
 請求項1~10のいずれか1項に記載の固体電解質組成物の膜を基材上に有する全固体二次電池用シート。
[請求項14]
 請求項11または12に記載の固体電解質組成物の膜を基材上に有する全固体二次電池用電極シート。
[請求項15]
 正極活物質層と負極活物質層と固体電解質層とを具備する全固体二次電池であって、前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記固体電解質層の少なくとも1層を請求項1~12のいずれか1項に記載の固体電解質組成物で構成した層とした全固体二次電池。
[請求項16]
 請求項1~10のいずれか1項に記載の固体電解質組成物を基材上に配置し、これを製膜する全固体二次電池用シートの製造方法。
[請求項17]
 請求項11または12に記載の固体電解質組成物を基材上に配置し、これを製膜する全固体二次電池用電極シートの製造方法。
[請求項18]
 請求項16または17に記載の製造方法を介して、全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]