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1. (WO2017130938) METHOD FOR ASSEMBLING CRUCIFORM UNIVERSAL JOINT, AND CRUCIFORM UNIVERSAL JOINT
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明 細 書

発明の名称 十字軸式自在継手の組立方法、及び十字軸式自在継手

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013  

発明の効果

0014   0015  

図面の簡単な説明

0016  

発明を実施するための形態

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037  

産業上の利用可能性

0038   0039   0040  

符号の説明

0041  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

明 細 書

発明の名称 : 十字軸式自在継手の組立方法、及び十字軸式自在継手

技術分野

[0001]
 本発明は、例えばステアリングシャフトの動きをステアリングギヤに伝達する為のステアリング装置に組み込まれる十字軸式自在継手の組立方法、及び十字軸式自在継手に関する。

背景技術

[0002]
 自動車のステアリング装置は、例えば図12に示す様に構成されている。ステアリングホイール1の動きは、ステアリングシャフト2及び中間シャフト3を介してステアリングギヤユニット4に伝達され、ステアリングギヤユニット4によって車輪を操舵する。ステアリングシャフト2と、ステアリングギヤユニット4の入力軸5とは、通常、互いに同一直線上(同軸上)に設ける事ができない。この為に従来から、ステアリングシャフト2と入力軸5との間に中間シャフト3を設け、中間シャフト3の両端部と、ステアリングシャフト2及び入力軸5の端部とを、それぞれカルダン継手と呼ばれる自在継手6、6を介して結合している。これにより、同一直線上に存在しない、ステアリングシャフト2と入力軸5との間で、回転力の伝達を行える様にしている。
[0003]
 図13は、従来から知られている自在継手の1例として、特許文献1に記載されたものを示している。自在継手6は、1対のヨーク7a、7bを、十字軸8を介して、トルク伝達可能に結合して成る。ヨーク7a、7bはそれぞれ、金属材にプレス加工又は鍛造加工を施す事により造られており、それぞれが基部9a、9bと、ヨーク7a、7b毎に1対ずつの結合腕部10a、10bとを備えている。又、各結合腕部10a、10bの先端には、それぞれ円孔11a、11bを、ヨーク7a、7b毎に互いに同心に形成している。又、十字軸8は、4本の軸部12、12を、隣り合う軸部12、12の中心軸同士が互いに直交する状態で設けて成る。そして、各軸部12、12は、各円孔11a、11bの内側に、それぞれがシェル型のラジアルニードル軸受であるカップ軸受13、13を介して、回転自在に支持されている。又、各カップ軸受13、13が、各円孔11a、11bから外方に抜け出る事を防止する為に、各円孔11a、11bの開口縁部にかしめ部14、14が形成されている。
[0004]
 ところで、上述した様な構成を有する自在継手6を組み立てるには、カップ軸受13を、円孔11a(11b)と軸部12の端部との間部分に組み付けた後、結合腕部10a(10b)の外側面のうち、円孔11a(11b)の開口縁部の複数個所を塑性変形させて、当該部分にかしめ部14を形成する事が行われている。そして、かしめ部14の形成作業は、従来から、かしめパンチを円孔11a(11b)の開口縁部に押し付ける事により行われているが、かしめ部14として所望の形状を得る為に、かしめパンチを勢い良く衝突させる(衝撃的に行う)事が行われている。これは、円孔11a(11b)の開口縁部にかしめパンチをゆっくりと押し付けると、塑性変形させる部分の断面積が大きく、塑性変形が生じにくい為である。この為、従来の組立方法を実施した場合には、かしめパンチの押し付け時に、結合腕部10a(10b)が内側に撓み変形し、円孔11a(11b)とカップ軸受13との軸方向位置が慣性等の影響によりずれる可能性がある。そして、この様な軸方向に関するずれが生じた場合には、カップ軸受13の予圧荷重が変化してしまう。この為、円孔11a(11b)とカップ軸受13との位置がずれない様に、カップ軸受13と結合腕部10a(10d)とを抑えながら、かしめ部14を形成するなどの対策が必要である。その場合、かしめ作業が煩雑になり(手間が掛かり)、自在継手6の組立時間が長くなるといった問題を生じる可能性がある。又、上述の様に、かしめパンチを勢い良く衝突させる事によりかしめ部14を形成する場合には、該かしめ部14の軸方向に関する形成位置にばらつきが生じ易くなる。更に、かしめ部14を、1個所ずつ形成する為、組立時間(かしめ加工時間)が長くなるといった問題もある。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 日本国特開平10-205547号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 本発明は、上述の様な事情に鑑みて、かしめ作業を煩雑にする事なく、カップ軸受の脱落を防止する為のかしめ部を形成できる、十字軸式自在継手の組立方法、及び十字軸式自在継手を実現すべく発明したものである。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明の十字軸式自在継手の組立方法は、ヨークを構成する結合腕部に形成された円孔と、該円孔の内側に挿入された十字軸を構成する軸部の端部との間部分に、カップ軸受(例えば、シェル型ラジアルニードル軸受)を組み込んだ後、前記結合腕部の外側面のうち前記円孔の開口縁部を径方向内方に塑性変形させてかしめ部を形成する。
[0008]
 特に本発明の場合には、先ず、前記結合腕部の外側面のうち前記円孔の周囲近傍部分に(少なくともこの円孔の内周面に開口する事がない様に)ノッチ(切り欠き)を形成する。その後、この円孔の開口縁部のうち前記ノッチの径方向内側部分に形成された薄肉部を、径方向内方に塑性変形させて前記かしめ部とする。
 尚、本発明を実施する場合に、前記ノッチは、切削工具を用いた切削加工により形成しても良いし、パンチを用いたプレス加工により形成しても良い。
 又、本発明を実施する場合、前記ノッチの断面形状は特に問わないが、例えばV字形、U字形、I字形等の形状を採用する事ができる。
 又、前記ノッチの断面形状としてV字形を採用した(ノッチの径方向外側面を傾斜させた)場合には、ノッチ加工時に生じる材料の逃げを確保し易くできると共に、薄肉部を径方向内方に塑性変形させる際に、かしめ工具の先端部を前記ノッチに挿入し易くする事ができる。
[0009]
 本発明の十字軸式自在継手の組立方法を実施する場合には、例えば、前記ノッチの形成は、前記円孔と前記軸部の端部との間部分に、前記カップ軸受を組み込んだ後に行われてもよい。
 或いは、前記ノッチの形成は、前記円孔と前記軸部の端部との間部分に、前記カップ軸受を組み込む前に行われてもよい。
[0010]
 本発明の十字軸式自在継手の組立方法を実施する場合には、例えば、前記結合腕部の外側面のうち前記円孔の周囲近傍部分に複数のノッチを形成する。その後、前記円孔の開口縁部のうち前記複数のノッチの径方向内側部分にそれぞれ形成された複数の薄肉部を、径方向内方に同時に塑性変形させる事ができる。
 尚、この場合には、前記複数のノッチを、前記円孔の周囲近傍部分に、円周方向に関して等間隔に形成する事もできるし、又は、円周方向に関して不等間隔に形成する事もできる。
[0011]
 或いは、本発明の十字軸式自在継手の組立方法を実施する場合には、例えば、前記結合腕部の外側面のうち前記円孔の周囲近傍部分に、前記円孔を取り囲む様に、円環状のノッチを形成する。その後、前記ノッチの径方向内側部分で前記円孔の開口縁部に形成された円環状の薄肉部を径方向内方に塑性変形させる事ができる。
 尚、この場合には、前記円環状の薄肉部のうち、円周方向複数個所を径方向内方に塑性変形させたり、全体(全周に亙る範囲)を径方向内方に塑性変形させる事ができる。又、円周方向複数個所を塑性変形させる場合には、例えば、円周方向に関して等間隔位置を塑性変形させても良いし、円周方向に関して不等間隔位置を塑性変形させても良い。
[0012]
 また、本発明の十字軸式自在継手は、
 一対のヨークと、前記ヨーク同士を揺動変位自在に結合する十字軸と、を備え、
 前記一対のヨークは、基部と、該基部の軸方向一端部で径方向反対側となる2箇所位置から軸方向に延出する1対の結合腕部と、前記1対の結合腕部の先端部に互いに同心に形成された1対の円孔と、を備え、
 前記十字軸は、隣り合う軸部の中心軸同士が互いに直交する状態で設けられた4本の軸部を備え、
 前記結合腕部に形成された前記円孔と、前記十字軸の軸部の端部との間部分には、カップ軸受が組み込まれる。
[0013]
 特に、本発明の場合には、前記結合腕部の外側面のうち前記円孔の周囲近傍部分には、ノッチが形成されており、
 前記結合腕部の外側面のうち前記円孔の開口縁部で、且つ、前記ノッチの径方向内側部分には、前記円孔よりも径方向内側に延出し、前記カップ軸受が前記円孔から外方に抜け出る事を防止するかしめ部が形成され、
 前記ノッチを構成する径方向外側面は、前記結合腕部の外側面に向けて径方向外側に傾斜する傾斜面を構成する。

発明の効果

[0014]
 上述の様に構成する本発明の十字軸式自在継手の組立方法によれば、かしめ作業を煩雑にする事なく、カップ軸受の脱落を防止する為のかしめ部を形成する事ができる。
 即ち、本発明の場合には、結合腕部の外側面のうち円孔の周囲近傍部分にノッチを形成した後、前記円孔の開口縁部のうち前記ノッチの径方向内側部分に形成された薄肉部を、径方向内方に塑性変形させてかしめ部を得る。この為、この様なノッチを形成しない場合に比べて、かしめ部を形成する際のかしめ荷重を低減する事ができる。従って、前記かしめ部を形成する際に、かしめ工具を前記薄肉部に対して勢い良く衝突させなくても(ゆっくりと静的に衝突させた場合にも)、所望のかしめ形状を得られる。これにより、本発明の場合には、前記かしめ部を形成する際に、前記結合腕部を撓み変形させずに済む為、前記カップ軸受と前記結合腕部とを抑えるなどの対策を施さずとも、前記円孔と前記カップ軸受との軸方向位置がずれる事を有効に防止できる。この為、かしめ作業が煩雑になる事を防止でき、十字軸式自在継手の組立時間の短縮化を図れる。又、本発明の場合には、前記ノッチの形状、深さ、及び、形成位置等を規制する事で、得られるかしめ部の形状や形成位置等にばらつきが生じる事を有効に防止できる。更に、本発明の場合には、上述した様に、かしめ荷重を低減できる為、複数の薄肉部を同時にかしめ変形させる事が可能になり、この面からも組立時間(サイクルタイム)の短縮化を図る事ができる。
[0015]
 また、本発明の十字軸式自在継手によれば、前記ノッチを構成する径方向外側面は、前記結合腕部の外側面に向けて径方向外側に傾斜する傾斜面を構成するので、ノッチ加工時に生じる材料の逃げを確保し易くできると共に、かしめ加工に使用するかしめ工具の先端部をノッチ内に挿入し易くできる。

図面の簡単な説明

[0016]
[図1] 本発明の第1実施形態を示す自動車用操舵装置の断面図。
[図2] 同じく図1のII部に相当する自在継手の拡大図。
[図3] 同じく自在継手の分解斜視図。
[図4] 同じくノッチ加工後、かしめ加工前の状態を示すヨークの側面図。
[図5] 同じく図4のV部拡大図。
[図6] 同じく図2のVI部に相当する部分の拡大図であり、(A)はノッチ加工後の状態を、(B)はかしめ加工後の状態をそれぞれ示している。
[図7] 本発明の第1実施形態の変形例の3例を示す、図4に相当する図。
[図8] 本発明の第2実施形態を示す、図4に相当する図。
[図9] 本発明の第3実施形態を示す、図5に相当する図。
[図10] 同じく図9のX-X断面図。
[図11] 本発明の第4実施形態を示す、図5に相当する図。
[図12] 本発明の組立対象となる自在継手を組み込んだステアリング装置の1例を示す斜視図。
[図13] 従来から知られている自在継手の1例を示す側面図。

発明を実施するための形態

[0017]
 [第1実施形態]
 本発明の第1実施形態に就いて、図1~6を参照しつつ説明する。図示の自動車用操舵装置は、後端部にステアリングホイール1(図12参照)を固定したステアリングシャフト2aを、円筒状のステアリングコラム15の内側に、回転自在に支持している。操舵時に、ステアリングホイール1の動きは、ステアリングシャフト2a、電動アシスト装置16、自在継手6a、中間シャフト3a、別の自在継手6bを介して、ステアリングギヤユニット4の入力軸5(図12参照)に伝達される。そして、入力軸5が回転すると、ステアリングギヤユニット4の両側に配置された1対のタイロッドが押し引きされて左右1対の操舵輪に、ステアリングホイール1の操作量に応じた舵角が付与される。
[0018]
 上述の様な自動車用操舵装置に組み込まれた1対の自在継手6a、6bは何れも、本発明の組立対象になるが、1対の自在継手6a、6bは、連結対象となる軸が異なる以外、基本的な構成は同じである。この為、本実施形態では、図1に図2、3を加え、自在継手6aのみを対象に詳しい説明を行う。
[0019]
 自在継手6aは、一般的にカルダン継手と呼ばれ、同一直線上に存在しない1対の軸同士の間で回転力の伝達を可能にするもので、1対の金属製(例えば炭素鋼鋳鋼材製)のヨーク7c、7dと、十字軸8aとを備える。
 一方(図2~3の右方)のヨーク7cは、基部9cと、基部9cの軸方向一端縁(図2~3の左端縁)から延出した1対の結合腕部10c、10cとを備える。基部9cは、電動アシスト装置16を構成する出力軸17の端部を挿入する為、全体を略円筒状に形成している。又、結合腕部10c、10cは、基部9cの軸方向一端部で径方向反対側となる2個所位置から、基部9cの軸方向に延出しており、互いの内側面同士を対向させている。又、結合腕部10c、10cの先端部には、互いに同心の円孔11c、11cを形成している。
[0020]
 他方(図2~3の左方)のヨーク7dは、基部9dの形状のみが、一方のヨーク7cと異なる。即ち、基部9dは、円周方向1個所を不連続部とした欠円筒状に構成されており、内径が拡縮可能である。又、基部9dのうち、ヨーク7dを構成する1対の結合腕部10d、10dとは位相が90度異なる位置に、互いに略平行に配置された1対の側板部18a、18bが設けられている。そして、一方の側板部18aに、ボルト(図示せず)の杆部を挿通する為の通孔19を形成している。これと共に、他方の側板部18bに形成した図示しない通孔に、ナットを圧入固定する事により、ボルトを螺合する為のねじ孔を設けている。
[0021]
 十字軸8aは、4本の軸部12a、12aを、隣り合う軸部12a、12aの中心軸同士が互いに直交する状態で設けて成る。そして、同一直線状に設けられた1対の軸部12a、12aの両端部を、一方のヨーク7cの結合腕部10c、10cに形成した円孔11c、11cの内側に枢支すると共に、同一直線状に設けられた別の1対の軸部12a、12aの両端部を、他方のヨーク7dの結合腕部10d、10dに形成した円孔11d、11dの内側に枢支している。この為に、これら各円孔11c、11dの内側にそれぞれ、カップ軸受13a、13aを介して、十字軸8aを構成する軸部12a、12aの先端部を回転自在に支持している。
[0022]
 各カップ軸受13aは、それぞれシェル型ニードル軸受に相当するものであり、シェル型外輪に相当する1個のカップ20と、複数本のニードル21、21とを備える。カップ20は、硬質金属板を深絞り加工等の塑性加工により曲げ形成して成るもので、円筒部22と、底部23と、内向鍔部24とを備える。底部23は、円筒部22の軸方向一端側(円孔11c、11d内への組み付け状態で、結合腕部10c、10dの外側面側)全体を塞ぐ。又、内向鍔部24は、円筒部22の軸方向他端側(円孔11c、11d内への組み付け状態で、結合腕部10c、10dの内側面側)から径方向内方に折れ曲がったもので、各ニードル21、21に対向する面が凹面となる方向に湾曲している。そして、上述の様な構成を有する各カップ20、20を、各円孔11c、11dの内側に圧入している。又、この状態で、各ニードル21、21の径方向内側に、十字軸8aを構成する軸部12a、12aの先端部をそれぞれ挿入している。又、各結合腕部10c、10dの外側面のうち、各円孔11c、11dの開口縁部に、かしめ部14a、14aを形成している。これにより、各カップ20、20が各円孔11c、11dから外方に抜け出る事を防止している。
[0023]
 自在継手6aの使用時には、一方のヨーク7cを構成する基部9cの内側に、出力軸17の端部をがたつきなく挿入又は圧入した状態で、基部9cと出力軸17の端部とを溶接固定する。これと共に、他方のヨーク7dを構成する基部9dの内側に、中間シャフト3a(を構成するインナシャフト)の端部を係合させた状態で、一方の側板部18aに形成した通孔19にその杆部を挿通した図示しないボルトの先端部を、他方の側板部18bに固定したナットに螺合させて締め付ける。これにより、側板部18a、18b同士の間隔を狭めて、基部9dを縮径させる事に基づき、基部9dに対して中間シャフト3aの端部を結合固定する。そして、この様に出力軸17と中間シャフト3aの端部同士を、自在継手6aを介して連結する。これにより、同一直線上に存在しない、出力軸17と中間シャフト3aとの間で、回転力の伝達を行える様にする。
[0024]
 自在継手6aの構成及びその機能に就いては、上述の通りであるが、本実施形態の場合には、この様な自在継手6aの組立工程の一部である、かしめ部14aの形成工程を、次の様にして行う。
 先ず、本実施形態の場合には、かしめ部14aの形成工程に先立って、結合腕部10c(10d)に形成された円孔11c(11d)と、この円孔11c(11d)の内側に挿入された十字軸8aを構成する軸部12aの端部との間部分に、カップ軸受13aを組み込んでおく。この様なカップ軸受13aの組み込み作業は、従来から知られた各種方法を採用する事ができるが、例えば、圧入パンチを用いて、結合腕部10c(10d)の外側から円孔11c(11d)内に押し込む方法を採用できる。そして、カップ軸受13aを所期の軸方向位置まで圧入した状態で、該カップ軸受13aには適正な予圧が付与される。
[0025]
 何れにしても、円孔11c(11d)内にカップ軸受13aを組み込んだ後には、結合腕部10c(10d)の外側面のうち、円孔11c(11d)の周囲近傍部分に、例えば切削工具を用いた切削加工やパンチを用いたプレス加工等により、ノッチ加工を施す。これにより、図4~図6(A)に示した様に、円孔11c(11d)の周囲近傍部分のうち、この円孔11c(11d)の直径方向反対側(図示の例では結合腕部10cの中心軸上)となる円周方向2個所位置に、ノッチ(切り欠き、凹溝、凹部)25、25を形成する。
[0026]
 本実施形態の場合、ノッチ25、25は、円孔11c(11d)の中心軸を含む仮想平面に関する断面形状がV字形であり、結合腕部10c(10d)の外側面に対し矩形状に開口している。又、図6(A)に示した様に、円孔11c(11d)の直径方向に関するノッチ25の開口部の幅寸法wは、結合腕部10c(10d)のうち円孔11c(11d)が形成された部分よりも先端側部分の同方向に関する寸法Lの1/5~1/2程度であり、ノッチ25の深さ寸法dは、結合腕部10c(10d)の厚さ寸法Tの1/10~1/5程度である。又、ノッチ25は、その形成位置である円孔11c(11d)の直径方向反対側2個所位置に関するそれぞれの接線方向に、断面形状が一定である。又、本実施形態の場合には、ノッチ25を構成(画成)する径方向外側面26を、ノッチ25の底部251から結合腕部10c(10d)の外側面に向けて径方向外側に傾斜(即ち、図示例では、ノッチ25の底部251を通り、円孔11c(11d)の中心軸に平行な線Aに対して径方向外側(カップ軸受13aと反対側)に角度αだけ傾斜)させている。この為、ノッチ加工時に生じる材料の逃げを確保し易くできると共に、後述するかしめ加工に使用するかしめ工具の先端部をノッチ25内に挿入し易くできる。尚、ノッチ25の断面形状、深さ寸法、及び、形成位置(円孔11cの内周面からの径方向距離及び円周方向位置を含む)等は、最終的に必要となるかしめ部14aの形状、大きさ、及び、位置等に応じて適宜決定する事ができる。
[0027]
 なお、ノッチ加工時のノッチ25を構成する径方向内側面29は、ノッチ25の底部251から結合腕部10c(10d)の外側面に向けて径方向内側に傾斜(即ち、図示例では、ノッチ25の底部251を通り、円孔11c(11d)の中心軸に平行な線Aに対して径方向内側(カップ軸受13a側)に角度βだけ傾斜)させている。なお、図示の例では、径方向外側面26の角度αは、径方向内側面29の角度βより大きい。
[0028]
 又、上述の様にノッチ25、25を形成する事に伴って、円孔11c(11d)の開口縁部のうち、ノッチ25、25の径方向内側部分(径方向内側に隣接した部分)に、それぞれ薄肉部27、27を形成している。別な言い方をすれば、ノッチ25、25を円孔11c(11d)の周囲近傍部分に形成する事により、ノッチ25、25と円孔11c(11d)の内周面との間部分に、薄肉部27、27を非加工部として残存させる。この為、これら薄肉部27、27のうち、径方向内側面は、円孔11c(11d)の内周面の一部により構成されており、径方向外側面は、ノッチ25、25の径方向内側面(全体)29により構成されている。又、図示の例では、薄肉部27、27は、円孔11c(11d)の中心軸を含む仮想平面に関する断面形状が略台形状であり、この円孔11c(11d)の直径方向に関する肉厚は、結合腕部10c(10d)の外側面側に向かう程小さくなっている。但し、円孔11c(11d)の直径方向に関する薄肉部27、27の肉厚を、ノッチ25、25の深さ方向に亙って一定とする事もできる。即ち、具体的には、薄肉部27、27のうち、結合腕部10c(10d)の外側面側の端部の、円孔11c(11d)の直径方向に関する肉厚は、0以上、寸法Lの1/5程度以下であり、同じく内側面側端部の、円孔11c(11d)の直径方向に関する肉厚は、寸法Lの1/10~1/3程度である。
[0029]
 上述の様にして、各円孔11c(11d)の周囲近傍部分にノッチ25、25を形成し、これらノッチ25、25の径方向内側部分に薄肉部27、27を形成したならば、次に、これら薄肉部27、27を径方向内方に塑性変形させる。より具体的には、図示しないかしめ工具の先端部を、ノッチ25、25の内側に同時に挿入し、これらノッチ25、25の径方向内側面でもある薄肉部27、27の径方向外側面を、図6(A)の下方且つ右側(右斜め下側)に向けて同時に押し付ける。これにより、薄肉部27、27を径方向内方に塑性変形させて、図6(B)に示した様な、かしめ部14aを得る。したがって、かしめ部14aは、円孔11c(11d)のかしめ部14aが形成されていない部分よりも径方向内側に延出している。
[0030]
 以上の様な構成を有する自在継手6aの組立方法によれば、かしめ作業を煩雑にする事なく、かしめ部14aを形成する事ができる。
 即ち、本実施形態の場合には、結合腕部10c(10d)の外側面のうち、円孔11c(11d)の周囲部分にノッチ25、25を形成した後、円孔11c(11d)の開口縁部のうち、ノッチ25、25の径方向内側部分にそれぞれ形成された薄肉部27、27を、径方向内方に塑性変形させてかしめ部14a、14aを得る。この為、本実施形態の様なノッチを形成しない場合に比べて、塑性変形させる部分である薄肉部27、27の断面形状を十分に小さくできる為、かしめ部14a、14aを形成する際のかしめ荷重を十分に低減する事ができる。従って、これらかしめ部14a、14を形成する際に、薄肉部27、27に対してかしめ工具を勢い良く衝突させる事なく(ゆっくりと静的に当接させた場合にも)、所望のかしめ形状を得る事ができる。この為、本実施形態の場合には、かしめ部14a、14aを形成する際に、結合腕部10c(10d)を内側に撓み変形させずに済む為、カップ軸受13aと結合腕部10c(10d)とを抑えるなどの対策を施さずとも、円孔11c(11d)とカップ軸受13aとの軸方向位置がずれる事を有効に防止できる。この為、かしめ作業が煩雑になる事を防止でき、自在継手6aの組立作業時間の短縮化を図れる。又、本実施形態の場合には、ノッチ25の形状、深さ、及び、形成位置等を規制する事で、かしめ部14aの形状や形成位置等にばらつきが生じる事を有効に防止できる。更に、本実施形態の場合には、上述した様にかしめ荷重を低減できる為、2つの薄肉部27、27を同時にかしめ変形させる事が可能であり、この面からも組立作業時間(サイクルタイム)の短縮化を図る事ができる。
[0031]
 図7(A)~図7(C)には、本実施形態の変形例として、ノッチ25、25(薄肉部27、27)の形成位置を変更した構造を示している。図7(A)では、円孔11c(11d)の周囲近傍部分のうち、円周方向等間隔3個所位置に、ノッチ25、25を形成している。又、図7(B)では、円孔11c(11d)の周囲近傍部分のうち、円周方向等間隔4個所位置に、ノッチ25、25を形成している。更に図7(C)では、円孔11c(11d)の周囲近傍部分のうち、これら円孔11c(11d)の直径方向反対側2個所位置にそれぞれ3個ずつ、合計6個のノッチ25、25を形成している。本実施形態を実施する場合には、カップ軸受13aの大きさや抜け易さ等を考慮して、上記変形例の様に、ノッチ25、延いてはかしめ部14aの形成位置及び形成数を適宜変更する事ができる。本実施形態や図7(A)及び図7(B)の様に、ノッチ25、25を円周方向に関して等間隔に形成する事もできるし、図7(C)の様に、ノッチ25、25を円周方向に関して不等間隔に形成しても良い。
[0032]
 [第2実施形態]
 本発明の第2実施形態に就いて、図8を参照しつつ説明する。本実施形態の場合には、結合腕部10c(10d)の外側面のうち、円孔11c(11d)の周囲近傍部分に、この円孔11c(11d)を取り囲む様に、円環状のノッチ25aを形成している。これにより、このノッチ25aの径方向内側部分で、円孔11c(11d)の開口縁部に、円環状の薄肉部27aを形成している。そして、本実施形態の場合には、薄肉部27aを径方向内方に塑性変形させる事により、かしめ部14a{図2、図6(A)等参照}を形成する。
[0033]
 以上の様な構成を有する本実施形態の場合には、ノッチ25aを切削加工により形成する事で、このノッチ25aを一工程で加工する事ができる。この為、上述した第1実施形態の場合の様に、形成するノッチ数分だけ加工工程が必要となる場合に比べて、ノッチ加工工数の低減を図れる。
[0034]
 又、本実施形態を実施する場合には、円環状の薄肉部27aのうち、円周方向複数個所を径方向内方に塑性変形させたり、全体(全周に亙る範囲)を径方向内方に塑性変形させる事ができる。又、円周方向複数個所を塑性変形させる場合には、例えば、円周方向に関して等間隔位置を塑性変形させても良いし、円周方向に関して不等間隔位置を塑性変形させても良い。
 その他の構成及び作用効果に就いては、第1実施形態の場合と同様である。
[0035]
 [第3実施形態]
 本発明の第3実施形態に就いて、図9及び図10を参照しつつ説明する。本実施形態の場合には、ノッチ25の加工工程に前後して、又は、ノッチ25の加工工程と同時に、円孔11c(11d)の開口縁部のうち、ノッチ25の形成位置と円周方向に関する位相が一致する部分に、円孔11c(11d)内周面及び結合腕部10c(10d)の外側面にそれぞれ開口した切り欠き部(凹み部)28を形成する。図示の例では、切り欠き部28は、円孔11c(11d)の中心軸を含む仮想平面に関する断面形状が略矩形状であり、その深さ寸法はノッチ25の深さ寸法とほぼ同じである。又、円孔11c(11d)の円周方向に関する切り欠き部28の開口幅は、ノッチ25の同方向に関する開口幅と同じである。
[0036]
 以上の様な構成を有する本実施形態の場合には、切り欠き部28を形成する事で、ノッチ25の径方向内側部分に形成される薄肉部27bの断面積を更に小さくする事ができる。この為、この薄肉部27bを径方向内方に塑性変形させる際に必要となるかしめ荷重を更に低減する事が可能になる。
 その他の構成及び作用効果に就いては、第1実施形態の場合と同様である。
[0037]
 [第4実施形態]
 本発明の第4実施形態に就いて、図11を参照しつつ説明する。図5に示した結合腕部10c(10d)の外側面に対して開口するノッチ25の形状が矩形状であるのに対して、本実施形態の場合には、ノッチ25bの同形状を三角形状としている。三角形状とすることによって、矩形状よりも面積が小さくなってノッチ25bの加工時の抵抗を小さくできる。更に、三角形状の2つの斜辺によってノッチ25bの加工時に、徐肉部分が円孔11c側に寄り易くなり、次の工程である薄肉部27の径方向内方に塑性変形させる際の変形を容易に行うことができる。

産業上の利用可能性

[0038]
 なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、適宜、変形、改良などが可能である。
 例えば、上記実施形態では、ノッチ25、25の形成は、円孔11c(11d)と軸部12aの端部との間部分に、カップ軸受13aを組み込んだ後に行われているが、本発明は、これに限定されない。
 即ち、ノッチ25、25の形成は、円孔11c(11d)と軸部12aの端部との間部分に、カップ軸受13aを組み込む前に行われてもよい。
[0039]
 本発明を実施する場合に、ノッチの形成数、断面形状、深さ寸法、及び、形成位置(円孔の内周面からの径方向距離及び円周方向位置を含む)等は、上述した各実施形態の構造に限定されず、必要となるかしめ部の形状、大きさ、及び、位置等に応じて適宜決定する事ができる。又、本発明の組立方法の対象となる十字軸式自在継手は、ステアリング装置に限らず、プロペラシャフトや各種トルク伝達機構に組み付けた状態で使用できる。
[0040]
 本出願は、2016年1月28日出願の日本特許出願2016-014097、及び2016年2月29日出願の日本特許出願2016-036510に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

符号の説明

[0041]
  1  ステアリングホイール
  2、2a ステアリングシャフト
  3、3a 中間シャフト
  4  ステアリングギヤユニット
  5  入力軸
  6、6a、6b 自在継手
  7a、7b、7c、7d ヨーク
  8、8a  十字軸
  9a、9b、9c、9d 基部
 10a、10b、10c、10d 結合腕部
 11a、11b、11c、11d 円孔
 12、12a 軸部
 13、13a カップ軸受
 14、14a かしめ部
 15  ステアリングコラム
 16  電動アシスト装置
 17  出力軸
 18a、18b 側板部
 19  通孔
 20  カップ
 21  ニードル
 22  円筒部
 23  底部
 24  内向鍔部
 25、25a、25b ノッチ
 26  径方向外側面
 27、27a、27b、27c 薄肉部
 28  切り欠き部

請求の範囲

[請求項1]
 ヨークを構成する結合腕部に形成された円孔と、該円孔の内側に挿入された十字軸を構成する軸部の端部との間部分に、カップ軸受を組み込んだ後、前記結合腕部の外側面のうち前記円孔の開口縁部を径方向内方に塑性変形させてかしめ部を形成する、十字軸式自在継手の組立方法であって、
 前記結合腕部の外側面のうち前記円孔の周囲近傍部分にノッチを形成した後、前記円孔の開口縁部のうち前記ノッチの径方向内側部分に形成された薄肉部を、径方向内方に塑性変形させて前記かしめ部とする、
 事を特徴とする十字軸式自在継手の組立方法。
[請求項2]
 前記ノッチの形成は、前記円孔と前記軸部の端部との間部分に、前記カップ軸受を組み込んだ後に行われる、請求項1に記載した十字軸式自在継手の組立方法。
[請求項3]
 前記ノッチの形成は、前記円孔と前記軸部の端部との間部分に、前記カップ軸受を組み込む前に行われる、請求項1に記載した十字軸式自在継手の組立方法。
[請求項4]
 前記結合腕部の外側面のうち前記円孔の周囲近傍部分に複数のノッチを形成した後、前記円孔の開口縁部のうち前記複数のノッチの径方向内側部分にそれぞれ形成された複数の薄肉部を、径方向内方に同時に塑性変形させる、請求項1~3のいずれか1項に記載した十字軸式自在継手の組立方法。
[請求項5]
 前記結合腕部の外側面のうち前記円孔の周囲近傍部分に前記円孔を取り囲む円環状のノッチを形成した後、前記ノッチの径方向内側部分で前記円孔の開口縁部に形成された円環状の薄肉部を径方向内方に塑性変形させる、請求項1~3のいずれか1項に記載した十字軸式自在継手の組立方法。
[請求項6]
 一対のヨークと、前記ヨーク同士を揺動変位自在に結合する十字軸と、を備え、
 前記一対のヨークは、基部と、該基部の軸方向一端部で径方向反対側となる2箇所位置から軸方向に延出する1対の結合腕部と、前記1対の結合腕部の先端部に互いに同心に形成された1対の円孔と、を備え、
 前記十字軸は、隣り合う軸部の中心軸同士が互いに直交する状態で設けられた4本の軸部を備え、
 前記結合腕部に形成された前記円孔と、前記十字軸の軸部の端部との間部分には、カップ軸受が組み込まれる十字軸式自在継手であって、
 前記結合腕部の外側面のうち前記円孔の周囲近傍部分には、ノッチが形成されており、
 前記結合腕部の外側面のうち前記円孔の開口縁部で、且つ、前記ノッチの径方向内側部分には、前記円孔よりも径方向内側に延出し、前記カップ軸受が前記円孔から外方に抜け出る事を防止するかしめ部が形成され、
 前記ノッチを構成する径方向外側面は、前記結合腕部の外側面に向けて径方向外側に傾斜する傾斜面を構成する、
 事を特徴とする十字軸式自在継手。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]