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1. (WO2017111049) THERMAL TRANSFER SHEET
Document

明 細 書

発明の名称 熱転写シート

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059  

実施例

0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110  

符号の説明

0111  

請求の範囲

1  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 熱転写シート

技術分野

[0001]
 本発明は、熱転写シートに関する。

背景技術

[0002]
 被転写体上に転写層を転写するための熱転写シートについては各種の形態が知られており、例えば、特許文献1~3に提案がされているような(i)基材の一方の面上に転写層としての熱溶融インキ層が設けられた熱転写シート、(ii)基材の一方の面上に転写層としての受容層が設けられた熱転写シート(中間転写媒体と称される場合もある)、(iii)基材の一方の面上に転写層としての保護層(剥離層と称される場合もある)が設けられた熱転写シート(保護層転写シートと称される場合もある)、(iv)これらの構成を適宜組合せた熱転写シート、例えば、基材の一方の面上に、当該基材側から、剥離層、受容層がこの順で積層されてなる積層構成の転写層が設けられた熱転写シートや、基材の同一面上に熱溶融インキ層と保護層が面順次に設けられた熱転写シート等が知られている。これらの熱転写シートの転写層は、被転写体と熱転写シートとを重ね合わせ、サーマルヘッドや、加熱ロール等の加熱手段により基材の他方の面を加熱することにより被転写体上に転写される。
[0003]
 近時、高速印画適性に優れたプリンタに対する市場の要求は高く、プリンタの内部において、被転写体上に転写層を転写するときに熱転写シートに印加されるエネルギー(熱エネルギーや、印加エネルギー等と称される場合もある)は増加の一途をたどっている。なお、熱転写シートの転写層の転写に用いられるプリンタとしては、熱転写シートにエネルギーを印加して転写層を溶融或いは軟化させ、この転写層が固化する前に、被転写体上に転写済みの転写層のみを熱転写シートから剥離する熱時剥離方式のプリンタと、転写層が固化した後に、被転写体上に転写済みの転写層のみを熱転写シートから剥離する冷時剥離方式のプリンタが知られている。被転写体上への転写層の転写は、被転写体と熱転写シートの転写層とを密着させた状態で、熱転写シートにエネルギーを印加して被転写体上に転写層を転写し、被転写体上に転写済みの転写層を熱転写シートから剥離することにより行われる。ところで、被転写体上に熱転写シートの転写層を転写する際に、被転写体と熱転写シートとが熱融着を起こした場合には、具体的には、熱転写シートから被転写体上に転写された転写層を剥離することができなくなる程度まで、被転写体と熱転写シートとが貼りついた場合、例えば、基材上に直接的に転写層が設けられた熱転写シートを用いて被転写体上に転写層を転写する際に、転写層と基材との意図しない熱融着が生じた場合には、プリンタの内部において、熱転写シートが破断してしまう、或いはプリンタ内部において、熱転写シートの搬送異常(JAMと称される場合もある)を引き起こすといった問題が生じやすくなる。特に、転写層を転写するときに熱転写シートに印加されるエネルギーが高くなるにつれ、被転写体と熱転写シートとの熱融着や、熱融着に起因する搬送異常の発生頻度は高くなっていく傾向にある。また、熱時剥離方式のプリンタの方が、冷時剥離方式のプリンタよりも、これらの問題がより発生しやすい傾向にある。
[0004]
 また、被転写体上に転写される転写層には、良好な耐久性を有していることが求められているものの、高いエネルギーを印加して被転写体上に転写層を転写したときに生じ得る被転写体と転写層との熱融着を抑制しつつも、被転写体上に転写層を転写することで得られる印画物の耐久性を十分に満足させるまでには至っておらず、この点において改善の余地が残されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開平9-290576号公報
特許文献2 : 特開平11-263079号公報
特許文献3 : 特開2001-246845号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、被転写体上に転写層を転写するときに熱転写シートに印加するエネルギーを高くしていった場合であっても、被転写体と熱転写シートとが熱融着してしまうことを抑制でき、且つ被転写体上に転写層を転写することで得られる印画物の耐久性を向上させることができる熱転写シートを提供することを主たる課題とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記課題を解決するための本発明は、基材の一方の面上に転写層が設けられた熱転写シートであって、前記転写層は、1又は2以上の層から構成され、前記転写層を構成する層のうち、前記基材から最も近くに位置する層が、イソブチル(メタ)アクリレートと、カルボキシル基を有するモノマーとの共重合体を含有しており、当該共重合体の酸価が40mgKOH/g以上であることを特徴とする。

発明の効果

[0008]
 本発明の熱転写シートによれば、被転写体上に転写層を転写するときに熱転写シートに印加するエネルギーを高くしていった場合であっても、被転写体と熱転写シートとが熱融着してしまうことを抑制でき、且つ被転写体上に転写層を転写することで得られる印画物の耐久性を向上させることができる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。
[図2] 本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。
[図3] 本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。なお、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
[0011]
 <<熱転写シート>>
 以下、本発明の一実施形態の熱転写シート(以下、一実施形態の熱転写シートと言う場合がある)について詳細に説明する。図1~図3は、一実施形態の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。図1~図3に示すように、一実施形態の熱転写シート100は、基材1と、当該基材1の一方の面上に位置する転写層10とを備えている。
[0012]
 (基材)
 基材1は、一実施形態の熱転写シート100における必須の構成であり、当該基材1の一方の面上に位置する転写層10を保持するために設けられる。基材1の材料については特に限定されないが、転写層10を被転写体上に転写する際に加えられる熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが望ましい。このような基材1として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートを挙げることができる。
[0013]
 基材1の厚みについて特に限定はなく、一般的には、2.5μm以上100μm以下の範囲である。
[0014]
 また、基材1として表面処理が施されたものを用いてもよい。表面処理の方法としては、例えば、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等を挙げることができる。
[0015]
 (転写層)
 図1~図3に示すように、基材1の一方の面上には、転写層10が位置している。転写層10は、一実施形態の熱転写シートと被転写体とを重ね合わせ、サーマルヘッドや、加熱ロール等の加熱手段(以下、加熱手段と言う)により基材1の他方の面を加熱することで被転写体上に転写される層であり、2つ以上の層が積層されてなる積層構成(図1、図2参照)、或いは、1つの層からなる単層構成(図3参照)を呈している。
[0016]
 熱転写シートの転写層を被転写体上に転写するときに生じ得る問題の一つとして、被転写体と熱転写シートとの熱融着が挙げられる。なお、本願明細書で言う被転写体と熱転写シート熱融着とは、被転写体と熱転写シートとを重ね合わせ、熱転写シート側からサーマルヘッド等の加熱手段によりエネルギーを印加して、被転写体上に熱転写シートの転写層を転写し、被転写体上に転写された転写層のみを熱転写シートから剥離するときに、本来であれば、熱転写シート側に残存すべき熱転写シートの構成部材が、被転写体上に転写された転写層と一体化してしまい、被転写体上に転写された転写層のみを熱転写シートから剥離することができない現象を意味する。例えば、基材上に直接的に転写層が設けられた熱転写シートを用いたときに、被転写体上に転写された転写層を基材から剥離することができない程度まで基材と転写層とが一体化してしまう現象を意味する。或いは、被転写体上に転写された転写層のみを熱転写シートから剥離することができたとしても、当該転写層の剥離時において異音等が生じる程度まで熱転写シートの構成部材が、被転写体上に転写された転写層と一体化してしまう現象を意味する。なお、被転写体と熱転写シートとが熱融着した場合には、プリンタ内での搬送異常や、転写不良等を引き起こす要因となる。また、熱融着の程度が低い場合には、転写層を基材から剥離することは可能ではあるものの、転写層の転写界面(剥離界面と称される場合もある)が荒れてしまい、光沢度の低下等を引き起こすこととなる。特に、高速印画適性に対応すべく、被転写体上に転写層を転写する際に、熱転写シートに印加するエネルギーを高くしていった場合や、熱時剥離方式のプリンタを用いた場合等に、被転写体と熱転写シートとが熱融着しやすい傾向にある。以下、熱転写シートを構成する構成部材のうち転写層と直接的に接する構成部材が基材である場合を中心に説明するが、一実施形態の熱転写シートは、基材と転写層とが直接的に接している形態に限定されるものではなく、基材と転写層との間に任意の層を設けることもできる。この場合には、当該任意の層が転写層と直接的に接する構成部材となる。
[0017]
 また、被転写体上に転写層を転写することで得られる印画物の耐久性の向上を図るためには、当該印画物の最表面に位置する層、つまりは、転写層10を構成する層のうち、基材1から最も近くに位置する層の耐久性を向上させることが重要である。ところで、転写層10を構成する層のうち、基材1から最も近くに位置する層は、被転写体上に転写層10を転写するときの転写界面に位置する層であり、当該層の耐久性の向上を主眼とする対策を行った場合には、転写層の剥離性を十分に満足させることができない。
[0018]
 そこで、一実施形態の熱転写シート100は、転写層10を構成する層のうち、基材1から最も近くに位置する層が、イソブチル(メタ)アクリレートと、カルボキシル基を有するモノマーとの共重合体を含有しており、当該共重合体の酸価が40mgKOH/g以上であることを特徴としている。
[0019]
 以下、転写層10を構成する層のうち、基材1から最も近くに位置する層のことを「基底層」と称する場合がある。なお、図1に示すように、転写層10が単層構成を呈している場合には、当該転写層10が、そのまま「基底層」となる。また、酸価が40mgKOH/g以上である、イソブチル(メタ)アクリレートと、カルボキシル基を有するモノマーとの共重合体のことを「特定の共重合体」と称する場合がある。また、本願明細書で言う酸価とは、ポリマー(固形分)1g中のカルボキシル基とモル当量となる水酸化カリウムのミリグラム数の理論値を意味する。
[0020]
 基底層が、上記「特定の共重合体」を含有している一実施形態の熱転写シート100によれば、被転写体上に転写層を転写するときに熱転写シートに印加するエネルギーを高くしていった場合であっても、換言すれば、印画電力を高くしていった場合であっても、被転写体上に転写された転写層を基材から剥離するときの剥離性を良好なものとすることができる。これにより、転写層10の剥離性が不十分なことに起因する種々の問題、具体的には、プリンタの内部において生じ得る被転写体と熱転写シートとの熱融着や、被転写体上に転写層を転写することで得られる印画物の光沢度の低下等を抑制することができる。
[0021]
 さらには、一実施形態の熱転写シート100によれば、当該熱転写シートを用いて、被転写体上に転写層10を転写することで得られる印画物の耐久性を向上させることができる。
[0022]
 一実施形態の熱転写シート100によって上記効果を奏する詳細なメカニズムは現在のところ必ずしも明らかとはなっていないが、「特定の共重合体」をなすイソブチル(メタ)アクリレートが、基底層の剥離性を向上させる役割を果たしているものと推察され、基底層に、重合成分としてイソブチル(メタ)アクリレートを含む共重合体を含有せしめることで、当該基底層を含む転写層10の剥離性が向上するものと推察される。また、イソブチル(メタ)アクリレートを含む共重合体においては、その酸価が、基底層の耐久性と密接的な関連性を有していると考えられ、イソブチル(メタ)アクリレートと、カルボキシル基を有するモノマーとの共重合体として、その酸価が40mgKOH/g以上の共重合体を基底層に含有せしめることで、基底層の耐久性が向上するものと推察される。つまりは、被転写体上に転写層10を転写することで得られる印画物の耐久性を向上させることができる。なお、このメカニズムによらないとしても、一実施形態の熱転写シートの構成とすることで、被転写体上に転写層を転写するときに熱転写シートに印加するエネルギーを高くしていった場合であっても、転写層を基材から剥離するときの剥離性を良好なものとすることができ、且つ転写層を転写することで得られる印画物の耐久性を向上させることができることは、後述する実施例、比較例の結果からも明らかとなっている。
[0023]
 なお、基底層に、酸価が40mgKOH/g以上の共重合体を含有せしめた場合であっても、当該共重合体が、イソブチル(メタ)アクリレートを含んでおらず、イソブチル(メタ)アクリレート以外の重合成分、例えば、メチル(メタ)アクリレートと、カルボキシル基を有するモノマーとの共重合体である場合には、基底層を含む転写層の剥離性を満足させることはできない。
[0024]
 また、基底層に、イソブチル(メタ)アクリレートと、カルボキシル基を有するモノマーとの共重合体を含有せしめた場合であっても、この共重合体の酸価が40mgKOH/g未満である場合には、基底層に十分な耐久性を付与することができず、当該基底層を含む転写層10が転写された印画物に十分な耐久性を付与することができない。
[0025]
 以上の点から、「特定の共重合体」をなすイソブチル(メタ)アクリレートは、剥離性を十分に高くすることができる重合成分であり、且つ耐久性を向上させるべく、カルボキシル基を含有するモノマーと共重合させても、剥離性を維持することができる重合成分であると推察される。
[0026]
 「特定の共重合体」をなすカルボキシル基を有するモノマーについて特に限定はなく、例えば、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートや、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの不飽和カルボン酸に由来するモノマー等を挙げることができる。具体的には、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、β-(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-メタクリロイルオキシエチルコハク酸等を挙げることができる。
[0027]
 「特定の共重合体」をなす、イソブチル(メタ)アクリレートと、カルボキシル基を有するモノマーとの共重合比率について特に限定はなく、酸価が40mgKOH/g以上となるように、カルボキシル基を有するモノマーの共重合比率を決定すればよい。なお、カルボキシル基を有するモノマーの共重合比率が高くなるにしたがって共重合体の酸価は高くなっていく傾向にある。
[0028]
 より好ましい形態の基底層は、酸価が50mgKOH/g以上、さらには、酸価が60mgKOH/g以上、特には、酸価が70mgKOH/g以上の「特定の共重合体」を含有している。例えば、転写層10が積層構成を呈する場合において、基底層に、酸価が50mgKOH/g以上、さらには、酸価が60mgKOH/g以上、特には、酸価が70mgKOH/g以上の「特定の共重合体」を含有せしめることで、転写層10の耐久性をさらに向上させることができ、結果として、被転写体上に転写層を転写することで得られる印画物の耐久性をより向上させることができる。さらに、当該基底層上に設けられる層の面質を良好なものとすることができ、被転写体上に、当該基底層を含む転写層10が転写することで得られる印画物の外観を極めて良好なものとすることができる。
[0029]
 特に、基底層上に、水系の受容層等の水系の層を設ける場合において、基底層の濡れ性が低い場合には、基底層上に設けられる当該水系の受容層の面質は悪くなり、これらの層を含む転写層10を被転写体上に転写することで得られる印画物の外観は悪いものとなるが、基底層に、酸価が50mgKOH/g以上、さらには、酸価が60mgKOH/g以上、特には、酸価が70mgKOH/g以上の「特定の共重合体」を含有せしめることで、当該基底層上に設けられる層が、溶剤系の層である場合のみならず、水系の層である場合においても、基底層上に設けられる層の面質を良好なものとすることができる。なお、水系の層とは、水溶性樹脂、水分散性樹脂等の、水系溶媒に分散、或いは溶解可能な水系樹脂を、水系溶媒に分散、或いは溶解した塗工液を用いて形成される層を意味する。
[0030]
 酸価が50mgKOH/g以上の「特定の共重合体」は、カルボキシル基を有するモノマーの共重合比率を高くしていくことで得ることができる。また、上記好ましい形態の基底層は、転写層10が積層構成を呈する場合を想定した形態であり、転写層10が基底層のみからなる単層構成を呈する場合には、この限りではない。
[0031]
 また、「特定の共重合体」は、イソブチル(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有するモノマーとともに、他の重合成分を含むものであってもよい。他の重合成分について特に限定はなく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルや、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の分子中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、スチレン等の重合性モノマー等を挙げることができる。他の共重合体の共重合比率について特に限定はないが、モル比で50%未満であることが好ましい。
[0032]
 「特定の共重合体」の重量平均分子量(Mw)や、ガラス転移温度(Tg)について特に限定はないが、「特定の共重合体」の重量平均分子量(Mn)は、6000以上が好ましく、11500以上がより好ましい。重量平均分子量(Mw)の好ましい上限値の一例としては、30000程度である。また、「特定の共重合体」のガラス転移温度(Tg)は、50以上が好ましく、75℃以上がより好ましい。ガラス転移温度(Tg)の好ましい上限値の一例としては、190℃程度である。
[0033]
 本願明細書で言う重量平均分子量(Mw)とは、ポリスチレンを標準物質とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した値を意味し、JIS-K-7252-1(2008)に準拠した方法により測定することができる。また、本願明細書で言うガラス転移温度(Tg)とは、JIS-K-7121(2012)に準拠し、DSC(示差走査熱量測定)による熱量変化の測定(DSC法)に基づき求められる温度を意味する。
[0034]
 基底層が含有している、「特定の共重合体」の含有量について特に限定はなく、当該「特定の共重合体」を含有している分だけ、被転写体上に転写層を転写するときに熱転写シートに印加するエネルギーを高くしていった場合であっても、被転写体上に転写された転写層を基材から剥離するときの転写層の剥離性を良好なものとすることができ、また基底層を含む転写層の耐久性を向上させることができるが、好ましくは、「特定の共重合体」の含有量は、基底層の総質量に対し、30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、特に好ましくは85%以上である。上限値について特に限定はなく100質量%である。
[0035]
 基底層の形成方法について特に限定はなく、イソブチル(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有するモノマー、及び必要に応じて用いられる任意の添加材等を、適当な溶媒に分散、或いは溶解させた基底層用塗工液を調製し、この基底層用塗工液を、基材1、或いは基材1上に位置する任意の層上に塗布・乾燥することで形成することができる。基底層の厚みについて特に限定はないが、0.1μm以上50μm以下の範囲が好ましく、0.5μm以上10μm以下の範囲がより好ましい。基底層の厚みをこの範囲とすることで、被転写体上に転写層10を転写するときに生じ得る被転写体と熱転写シートとの熱融着をより効果的に抑制することができる。
[0036]
 次に、基底層のみからなる単層構成の転写層10、及び基底層を含む積層構成の転写層10について一例を挙げて説明する。
[0037]
 (第1形態の転写層)
 第1形態の転写層10は、図1に示すように、基材1の一方の面上に、基底層10A、保護層3がこの順で積層されてなる積層構成の転写層10が位置している。第1形態の転写層10を有する熱転写シート100は、被転写体上に、当該第1形態の転写層10を転写することで、第1形態の転写層10によって覆われる被転写体の画像等に、耐久性や、耐候性等を付与するために用いられ、所謂保護層転写シートとしての役割を果たす。
[0038]
 第1形態の転写層10における基底層は、上記で説明した基底層をそのまま用いることができ、ここでの詳細な説明は省略する。
[0039]
 (保護層)
 保護層3の成分としては、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂などを挙げることができる。
[0040]
 また、紫外線吸収剤を含有する保護層3とすることもできる。紫外線吸収剤を含有する保護層3によれば、第1形態の転写層10を転写することで、当該第1形態の転写層10によって覆われる被転写体の画像の耐光性、耐候性等を向上させることができる。紫外線吸収剤としては、従来公知の有機系紫外線吸収剤であるサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系等を挙げることができる。なお、これらの紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタクリロイル基等の付加重合性二重結合、あるいはアルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入した高分子材料が紫外線吸収性樹脂である。
[0041]
 保護層3は、例えば、上記で例示した成分等を適当な溶媒に分散、或いは溶解させた保護層用塗工液を調製し、この保護層用塗工液を、基底層10A上に塗布・乾燥することで形成することができる。保護層3の厚みについて特に限定はないが、通常、0.5μm以上50μm以下の範囲である。
[0042]
 (接着層)
 また、保護層3上に接着層(図示しない)を位置させることもできる。保護層3上にさらに接着層が位置する第1形態の転写層10によれば、転写層10と被転写体との密着性を向上させることができる。接着層の成分としては、例えば、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー樹脂等を主成分とする従来公知の接着剤等を挙げることができる。接着層の厚みについて特に限定はないが、0.1μm以上50μm以下の範囲が好ましく、1μm以上10μm以下の範囲がより好ましい。
[0043]
 (第2形態の転写層)
 第2形態の転写層10は、図2に示すように、基材1の一方の面上に、基底層10A、受容層2がこの順で積層されてなる積層構成の転写層10が位置している。第2形態の転写層10を有する熱転写シート100は、第2形態の転写層10を構成する層のうち、基材1から最も遠くに位置する受容層2上に熱転写画像を形成し、当該熱転写画像が形成された受容層2を含む第2形態の転写層10を、被転写体上に転写することで印画物を得るために用いられ、所謂中間転写媒体としての役割を果たす。
[0044]
 第2形態の転写層10における基底層は、上記で説明した基底層をそのまま用いることができ、ここでの詳細な説明は省略する。
[0045]
 (受容層)
 受容層2の成分としては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、若しくはポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼ等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を挙げることができる。
[0046]
 受容層2は、上記で例示した成分等を適当な溶媒に分散、或いは溶解させた受容層用塗工液を調製し、この受容層用塗工液を、基底層10A上に塗布・乾燥することで形成することができる。受容層2の厚みについて特に限定はないが、通常、1μm以上10μm以下の範囲である。
[0047]
 また、基底層10Aと受容層2との間に、任意の層、例えば、中間層等を設けることもできる。また、受容層2上に接着層等を設けることもできる。
[0048]
 また、上記第1形態の転写層10と、第2形態の転写層10とを組合せた転写層とすることもできる。例えば、基材1の一方の面上に、基底層、保護層3、受容層2がこの順で積層されてなる積層構成の転写層10が位置する熱転写シートとすることもできる。
[0049]
 (第3形態の転写層)
 第3形態の転写層10は、図3に示すように、基材1の一方の面上に、基底層10のみからなる単層構成の転写層10が位置している。
[0050]
 第3形態の転写層10を有する熱転写シート100は、基底層10Aに、「特定の共重合体」とともに、機能性成分を含有せしめることで、当該熱転写シート100に各種の機能を付与することができる。
[0051]
 例えば、基底層10Aに、「特定の共重合体」とともに、従来公知の着色材、必要に応じて、ワックス成分、鉱物油、植物油、ステアリン酸等の高級脂肪酸、可塑剤、熱可塑性樹脂、充填材等の種々の添加材を含有せしめることで、熱溶融インキ層としての第3形態の転写層10を有する熱転写シート100とすることができる。
[0052]
 ワックス成分としては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等を挙げることができる。
[0053]
 着色材としては、公知の有機または無機の顔料、あるいは染料の中から適宜選択することができ、例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱等により変色、退色しないものが好ましい。また、加熱により発色する物質や、被転写体の表面に塗布されている成分と接触することにより発色するような物質であってもよい。例えば、ブラックの着色材等を挙げることができる。
[0054]
 一方で、基底層10Aに、「特定の共重合体」とともに、上記第1形態の転写層10で説明した保護層3の成分を含有せしめることで、保護層としての機能を備える基底層とすることもできる。
[0055]
 以上、基底層を含む転写層10について各種の形態を挙げて説明を行ったが、一実施形態の熱転写シート100は、転写層10を構成する層のうち、基材1から最も近くに位置する基底層に、「特定の共重合体」を含有せしめることにより、被転写体上に転写層を転写するときに熱転写シートに印加するエネルギーを高くしていった場合であっても、被転写体上に転写された転写層を基材から剥離するときの転写層の剥離性を向上させることができ、換言すれば、被転写体と熱転写シートとの熱融着を抑制することができ、また、基底層の耐久性(基底層を含む転写層10を被転写体上に転写することで得られる印画物の耐久性)を向上させている点を特徴とするものであり、条件1:基材の一方の面に、単層、或いは積層構成の転写層が設けられ、条件2:転写層を構成する層のうち、基材1から最も近くに位置する層が、「特定の共重合体」を含有しているとの条件を満たすものであれば、これ以外の条件についていかなる限定もされることはなく、上記で例示した形態以外であってもよい。
[0056]
 (任意の層)
 一実施形態の熱転写シート100は、転写層を構成しない任意の層を備えていてもよい。任意の層としては、基材1と転写層10との間に設けられ、転写層10の転写性を向上させるための離型層(図示しない)や、基材1の他方の面上に設けられ、耐熱性や、サーマルヘッド等の加熱部材の走行性を向上させるための背面層等を挙げることができる。例えば、上記第3形態の転写層10を備える熱転写シートにおいて、基材1と、熱溶融インキ層としての基底層10Aとの間に離型層を設けることもできる。
[0057]
 また、基材1の一方の面の同一面上に、上記各種形態の転写層とともに、色材層(図示しない)を面順次に設けることもできる。
[0058]
 (被転写体)
 一実施形態の熱転写シート100の転写層10が転写される被転写体について特に限定はなく、普通紙、上質紙、トレーシングペーパー、プラスチックフィルム、塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネートを主体として構成されるプラスチックカード、熱転写受像シート、任意の対象物上に中間転写媒体の転写層が転写されてなる印画物等を挙げることができる。
[0059]
 (プリンタ)
 一実施形態の熱転写シート100の転写層10を被転写体上に転写する際に用いられるプリンタについて特に限定はなく、サーマルヘッド等の加熱部材を備える従来公知のあらゆるプリンタを使用可能である。なお、一実施形態の熱転写シート100は、被転写体上に転写層を転写するときに熱転写シートに印加するエネルギーを高くしていった場合であっても、被転写体上に転写された転写層を基材から剥離するときの転写層の剥離性を良好なものとすることができる。したがって、一実施形態の熱転写シートは、高いエネルギーを印加可能なプリンタや、熱時剥離タイプのプリンタ等を用いる場合に特に好適に使用可能である。
実施例
[0060]
 次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、部または%は質量基準であり、固形分に換算した値である。また、Mwは、重量平均分子量を意味し、Tgは、ガラス転移温度を意味する。
[0061]
 (実施例1)
 基材として厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株))を用い、該基材の一方の面上に下記組成の基底層用塗工液1を、乾燥後の厚みが1μmとなるように、塗布・乾燥し、基底層を形成した。次いで、基底層上に下記組成の保護層用塗工液1を、乾燥後の厚みが1μmとなるように、塗布・乾燥し、保護層を形成した。また、基材の他方の面上に、下記組成の背面層用塗工液を、乾燥後の厚みが1μmとなるように、塗布・乾燥し、背面層を形成することで、基材の一方の面上に、基底層、保護層が積層されてなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた実施例1の熱転写シートを得た。なお、上記の基底層用塗工液1、保護層用塗工液1、背面層用塗工液は、グラビアコーティングにて塗布した。
[0062]
 <基底層用塗工液1>
・イソブチルメタクリレートとアクリル酸との共重合体     25部
 (酸価:72mgKOH/g、Mw:11600、Tg:77℃)
・メチルエチルケトン                    67部
・酢酸ノルマルプロピル                    8部
[0063]
 <保護層用塗工液1>
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体              20部
 (ソルバイン(登録商標)CNL 日信化学工業(株))
・トルエン                         40部
・メチルエチルケトン                    40部
[0064]
 <背面層用塗工液>
・ポリビニルブチラール樹脂                 10部
 (エスレック(登録商標)BX-1 積水化学工業(株))
・ポリイソシアネート硬化剤                  2部
 (タケネート(登録商標)D218 三井化学(株))
・リン酸エステル                       2部
 (プライサーフ(登録商標)A208S 第一工業製薬(株))
・メチルエチルケトン                    43部
・トルエン                         43部
[0065]
 (実施例2)
 基底層用塗工液1を、下記組成の基底層用塗工液2に変更して、基底層を形成した以外は全て実施例1と同様にして、基材の一方の面上に、基底層、保護層が積層されてなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた実施例2の熱転写シートを得た。
[0066]
 <基底層用塗工液2>
・イソブチルメタクリレートとアクリル酸との共重合体     25部
 (酸価:93mgKOH/g、Mw:12500、Tg:81℃)
・メチルエチルケトン                    67部
・酢酸ノルマルプロピル                    8部
[0067]
 (実施例3)
 基底層用塗工液1を、下記組成の基底層用塗工液3に変更して、基底層を形成した以外は全て実施例1と同様にして、基材の一方の面上に、基底層、保護層が積層されてなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた実施例3の熱転写シートを得た。
[0068]
 <基底層用塗工液3>
・イソブチルメタクリレートとアクリル酸との共重合体     25部
 (酸価:49mgKOH/g、Mw:11400、Tg:74℃)
・メチルエチルケトン                    67部
・酢酸ノルマルプロピル                    8部
[0069]
 (実施例4)
 基底層用塗工液1を、下記組成の基底層用塗工液4に変更して、基底層を形成した以外は全て実施例1と同様にして、基材の一方の面上に、基底層、保護層が積層されてなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた実施例4の熱転写シートを得た。
[0070]
 <基底層用塗工液4>
・イソブチルメタクリレートとアクリル酸との共重合体     25部
 (酸価:122mgKOH/g、Mw:13700、Tg:85℃)
・メチルエチルケトン                    67部
・酢酸ノルマルプロピル                    8部
[0071]
 (実施例5)
 基底層用塗工液1を、下記組成の基底層用塗工液5に変更して、基底層を形成した以外は全て実施例1と同様にして、基材の一方の面上に、基底層、保護層が積層されてなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた実施例5の熱転写シートを得た。
[0072]
 <基底層用塗工液5>
・イソブチルメタクリレートとアクリル酸との共重合体     25部
 (酸価:151mgKOH/g、Mw:14400、Tg:89℃)
・メチルエチルケトン                    67部
・酢酸ノルマルプロピル                    8部
[0073]
 (実施例6)
 基底層用塗工液1を、下記組成の基底層用塗工液6に変更して、基底層を形成した以外は全て実施例1と同様にして、基材の一方の面上に、基底層、保護層が積層されてなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた実施例6の熱転写シートを得た。
[0074]
 <基底層用塗工液6>
・イソブチルメタクリレートとアクリル酸との共重合体     25部
 (酸価:168mgKOH/g、Mw:14900、Tg:92℃)
・メチルエチルケトン                    67部
・酢酸ノルマルプロピル                    8部
[0075]
 (実施例7)
 基底層用塗工液1を、下記組成の基底層用塗工液7に変更して、基底層を形成した以外は全て実施例1と同様にして、基材の一方の面上に、基底層、保護層が積層されてなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた実施例7の熱転写シートを得た。
[0076]
 <基底層用塗工液7>
・イソブチルメタクリレートとアクリル酸との共重合体     25部
 (酸価:192mgKOH/g、Mw:18100、Tg:96℃)
・メチルエチルケトン                    67部
・酢酸ノルマルプロピル                    8部
[0077]
 (実施例8)
 基底層上に保護層を形成しなかった以外は、全て実施例1と同様にして、基材の一方の面上に、基底層のみからなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた実施例8の熱転写シートを得た。
[0078]
 (実施例9)
 基底層上に保護層を形成しなかった以外は、全て実施例2と同様にして、基材の一方の面上に、基底層のみからなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた実施例9の熱転写シートを得た。
[0079]
 (実施例10)
 基底層上に保護層を形成しなかった以外は、全て実施例3と同様にして、基材の一方の面上に、基底層のみからなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた実施例10の熱転写シートを得た。
[0080]
 (実施例11)
 保護層用塗工液1を、下記組成の保護層用塗工液2に変更して、保護層を形成した以外は全て実施例1と同様にして、基材の一方の面上に、基底層、保護層が積層されてなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた実施例11の熱転写シートを得た。
[0081]
 <保護層用塗工液2>
・水分散型ポリエステル樹脂                 80部
 (MD-1480 東洋紡(株))
・イソプロピルアルコール                  20部
[0082]
 (実施例12)
 保護層用塗工液1を、下記組成の保護層用塗工液3に変更して、保護層を形成した以外は全て実施例1と同様にして、基材の一方の面上に、基底層、保護層が積層されてなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた実施例12の熱転写シートを得た。
[0083]
 <保護層用塗工液3>
・水分散型ポリエステル樹脂                 50部
 (MD-2000 東洋紡(株))
・水                            10部
・イソプロピルアルコール                  40部
[0084]
 (実施例13)
 基底層用塗工液1を、下記組成の基底層用塗工液8に変更して、基底層を形成した以外は全て実施例1と同様にして、基材の一方の面上に、基底層、保護層が積層されてなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた実施例13の熱転写シートを得た。
[0085]
 <基底層用塗工液8>
・イソブチルメタクリレートとアクリル酸との共重合体   22.5部
 (酸価:72mgKOH/g、Mw:11600、Tg:77℃)
・メチルメタクリレート樹脂                2.5部
 (酸価:0mgKOH/g、Mw:14000、Tg:105℃)
・メチルエチルケトン                    67部
・酢酸ノルマルプロピル                    8部
[0086]
 (実施例14)
 基底層用塗工液1を、下記組成の基底層用塗工液9に変更して、基底層を形成した以外は全て実施例1と同様にして、基材の一方の面上に、基底層、保護層が積層されてなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた実施例14の熱転写シートを得た。
[0087]
 <基底層用塗工液9>
・イソブチルメタクリレートとアクリル酸との共重合体   17.5部
 (酸価:72mgKOH/g、Mw:11600、Tg:77℃)
・エチルメタクリレート樹脂                7.5部
 (酸価:0mgKOH/g、Mw:13800、Tg:65℃)
・メチルエチルケトン                    67部
・酢酸ノルマルプロピル                    8部
[0088]
 (実施例15)
 基底層用塗工液1を、下記組成の基底層用塗工液10に変更して、基底層を形成した以外は全て実施例1と同様にして、基材の一方の面上に、基底層、保護層が積層されてなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた実施例15の熱転写シートを得た。
[0089]
 <基底層用塗工液10>
・イソブチルメタクリレートとアクリル酸との共重合体     20部
 (酸価:72mgKOH/g、Mw:11600、Tg:77℃)
・エチルアクリレート樹脂                   5部
 (酸価:0mgKOH/g、Mw:21600、Tg:-22℃)
・メチルエチルケトン                    67部
・酢酸ノルマルプロピル                    8部
[0090]
 (比較例1)
 基底層用塗工液1を、下記組成の基底層用塗工液Aに変更して、基底層を形成した以外は全て実施例1と同様にして、基材の一方の面上に、基底層、保護層が積層されてなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた比較例1の熱転写シートを得た。
[0091]
 <基底層用塗工液A>
・イソブチルメタクリレートとアクリル酸との共重合体     25部
 (酸価:23mgKOH/g、Mw:10600、Tg:70℃)
・メチルエチルケトン                    67部
・酢酸ノルマルプロピル                    8部
[0092]
 (比較例2)
 基底層用塗工液1を、下記組成の基底層用塗工液Bに変更して、基底層を形成した以外は全て実施例1と同様にして、基材の一方の面上に、基底層、保護層が積層されてなる転写層が設けられ、基材の他方の面上に背面層が設けられた比較例2の熱転写シートを得た。
[0093]
 <基底層用塗工液B>
・アクリル樹脂(BR87 三菱レイヨン(株))      20部
 (酸価:10.5mgKOH/g、Mw:25000、Tg:105℃)
・メチルエチルケトン                    40部
・トルエン                         40部
[0094]
 (熱転写画像の形成)
 下記の方法で作成した熱転写受像シートの受容層上に、以下の熱転写画像形成条件により、イエロー、マゼンタ、シアンの染料からなる黒ベタ画像を印画し、熱転写画像を得た。イエロー、マゼンタ、シアンの染料としては、下記の方法で作成した昇華型熱転写シートを用いた。
[0095]
 (熱転写受像シートの作成)
 多孔質ポリエチレンフィルム(トヨパール(登録商標)SS P4255 東洋紡(株)厚さ35μm)からなる多孔質フィルム層上に、下記組成の中間層用塗工液を、グラビアリバースコート方式で、乾燥後の厚みが1.5μmとなるように、塗布・乾燥し、中間層を形成した。次いで、中間層上に、下記組成の受容層用塗工液を、グラビアリバースコート方式で、乾燥後の厚みが5μmとなるように、塗布・乾燥し、受容層を形成した。その中間層、受容層の設けられた面と反対面の多孔質ポリエチレンフィルムに、下記組成の接着層用塗工液を、グラビアリバースロールコート方式で、乾燥後の厚みが5μmとなるように、塗布・乾燥し、接着層を形成し、RC原紙(155g/m 、厚さ151μm)(三菱製紙(株))と貼り合わせ熱転写受像シートを作製した。
[0096]
 <中間層用塗工液>
・ポリエステル樹脂                     50部
 (ポリエスター(登録商標)WR-905 日本合成化学工業(株))
・酸化チタン                        20部
 (TCA888 (株)トーケムプロダクツ)
・蛍光増白剤                       1.2部
 (ユビテックス(登録商標)BAC BASFジャパン社)
・水                          14.4部
・イソプロピルアルコール                14.4部
[0097]
 <受容層用塗工液>
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体              60部
 (ソルバイン(登録商標)C 日信化学工業(株))
・エポキシ変性シリコーン                 1.2部
 (X-22-3000T 信越化学工業(株))
・メチルスチル変性シリコーン               0.6部
 (X-24-510 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン                   2.5部
・トルエン                        2.5部
[0098]
 <接着層用塗工液>
・ウレタン樹脂                       30部
 (タケラック(登録商標)A-969V 三井化学(株))
・イソシアネート                      10部
 (タケネート(登録商標)D218A-5 三井化学(株))
・酢酸エチル                       100部
[0099]
 (昇華型熱転写シートの作成)
 基材として厚さ4.5μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の耐熱滑性層用塗工液を、乾燥後の厚みが0.8μmとなるように、塗布・乾燥し、耐熱滑性層を形成した。次いで、基材の他方の面に、イエロー染料層用塗工液、マゼンタ染料層用塗工液、シアン染料層用塗工液をそれぞれ、乾燥後の厚みが0.6μmとなるように、面順次に塗布・乾燥し、各色の染料層を形成して昇華型熱転写シートを得た。
[0100]
 (耐熱滑性層用塗工液)
・ポリビニルアセタール樹脂               60.8部
 (エスレック(登録商標)KS-1 積水化学工業(株))
・ポリイソシアネート                   4.2部
 (バーノック(登録商標)D750 DIC(株))
・フィラー(ステアリルリン酸亜鉛)             10部
 (LBT1830精製 堺化学工業(株))
・フィラー(ステアリン酸亜鉛)               10部
 (SZ-PF 堺化学工業(株))
・フィラー(ポリエチレンワックス)              3部
 (ポリワックス3000 東洋アドレ(株))
・フィラー(エトキシ化アルコール変性ワックス)        7部
 (ユニトックス750 東洋アドレ(株))
・トルエン                        200部
・メチルエチルケトン                   100部
[0101]
 (イエロー染料層用塗工液)
・Disperse Yellow 201         4.0部
・ポリビニルアセタール樹脂                3.5部
 (エスレック(登録商標)KS-5 積水化学工業(株))
・ポリエチレンワックス                  0.1部
・メチルエチルケトン                  45.0部
・トルエン                       45.0部
[0102]
 (マゼンタ染料層用塗工液)
・Disperse Red 60             1.5部
・Disperse Violet 26          2.0部
・ポリビニルアセタール樹脂                4.5部
 (エスレック(登録商標)KS-5 積水化学工業(株))
・ポリエチレンワックス                  0.1部
・メチルエチルケトン                  45.0部
・トルエン                       45.0部
[0103]
 (シアン染料層用塗工液)
・Solvent Blue 63             2.0部
・Disperse Blue 354           2.0部
・ポリビニルアセタール樹脂                3.5部
 (エスレック(登録商標)KS-5 積水化学工業(株))
・ポリエチレンワックス                  0.1部
・メチルエチルケトン                  45.0部
・トルエン                       45.0部
[0104]
 (熱転写画像形成条件)
・サーマルヘッド:F3598(東芝ホクト電子(株))
・発熱体平均抵抗値:5176(Ω)
・主走査方向印字密度:300(dpi)
・副走査方向印字密度:300(dpi)
・印画電力:0.12(W/dot)
・1ライン周期:2(msec.)
・パルスDuty:85(%)
・印画開始温度:35.5(℃)
[0105]
 (剥離力評価)
 下記熱時剥離タイプのテストプリンタ1を用いて、上記で得られた画像形成物上に、各実施例、及び比較例の熱転写シートの転写層を転写し、各実施例、及び比較例の印画物を得た。
[0106]
 (テストプリンタ1(熱時剥離タイプ))
・発熱体平均抵抗値:5241(Ω)
・主走査方向印字密度:300(dpi)
・副走査方向印字密度:300(dpi)
・印画電圧:28(V)
・印画電力:0.15(W/dot)
・1ライン周期:1(msec.)
・パルスDuty:85(%)
・印画開始温度:29.0~36.0(℃)
・発熱ポイントから剥離版までの距離:4.5(mm)
・搬送速度:84.6(mm/sec.)
・印圧:3.5~4.0(kgf)
・評価画像:255諧調ベタ画像
[0107]
 この印画物を得るにあたり、印画終了後、画像形成物から、各実施例、及び比較例の熱転写シートを剥離するときの熱転写シートの引張強度を、プリンタ内において、熱転写シートの巻取ロールと、剥離板との間に設けられたテンションメーター(ASK-1000 大倉インダストリー(株))により測定した。表1に引張強度(剥離力)の測定結果を示す。なお、この方法では、巻取ロールによる巻取り速度が一定(搬送速度:84.6mm/sec.)となるように制御した状態で、引張強度の測定を行うことで、剥離時に熱転写シートに起因する剥離力の測定が可能となっている。また、剥離力が、0.1N/cm未満である場合には、画像形成物からの熱転写シートの剥離性(離型性)が良好であり、被転写体と熱転写シートとの熱融着等の発生を抑制することができることを意味する。なお、熱転写受像シート上に転写された転写層を、基材から剥離するときにテンションメーターによって測定される引張強度は、張力と同義であり、引張強度の値は、熱転写受像シート上に転写層を転写した後に、基材から当該熱転写受像シート上に転写された転写層を剥離するときの剥離力の実質的な値を示している。
[0108]
 (耐久性評価)
 下記熱時剥離タイプのテストプリンタ1の印画電圧を28Vから23V(印画電力:0.10(W/dot))に変更した以外は、全て上記剥離力評価と同様にして、上記で得られた画像形成物上に、各実施例、及び比較例の熱転写シートの転写層を転写し、各実施例、及び比較例の印画物を得た。ここで得られた各実施例、及び比較例の印画物を、JIS-L-0849(2013)に準拠した試験を行い、下記の評価基準に基づいて耐久性評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。
[0109]
 「評価基準」
A:印画物にキズが全く見られない。
B:印画物に若干のキズが見られるが、ほぼ目立たない。
C:印画物に若干のキズが見られ、目立つ。
NG:印画物に多数のキズが見られる。
[0110]
[表1]


符号の説明

[0111]
1…基材
2…受容層
3…保護層
10A…基底層
10…転写層
100…熱転写シート

請求の範囲

[請求項1]
 基材の一方の面上に転写層が設けられた熱転写シートであって、
 前記転写層は、1又は2以上の層から構成され、
 前記転写層を構成する層のうち、前記基材から最も近くに位置する層が、イソブチル(メタ)アクリレートと、カルボキシル基を有するモノマーとの共重合体を含有しており、当該共重合体の酸価が40mgKOH/g以上であることを特徴とする熱転写シート。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]