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1. (WO2017110778) SINTERED OIL-RETAINING BEARING AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document

明 細 書

発明の名称 焼結含油軸受及びその製造方法

技術分野

0001   0002  

背景技術

0003   0004   0005   0006   0007  

先行技術文献

特許文献

0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009   0010  

課題を解決するための手段

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021  

発明の効果

0022  

図面の簡単な説明

0023  

発明を実施するための形態

0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046  

実施例

0047   0048   0049   0050   0051   0052  

産業上の利用可能性

0053  

符号の説明

0054  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : 焼結含油軸受及びその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、内部に潤滑油を含浸させて潤滑を円滑に行わせることができる焼結含油軸受及びその製造方法に関する。
[0002]
 本願は、2015年12月25日に出願された特願2015-254810に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0003]
 焼結含油軸受は、気孔内に潤滑油を含浸させた状態で使用され、軸が起動すると、軸と軸受の摺動面との間に内部から潤滑油が浸み出し、軸の回転に伴って、その潤滑油に圧力が発生して軸が支持されるようになっている。このような潤滑特性により、無給油で長時間使用できることから、車載用モータの軸受など、広く軸受として利用されている。
[0004]
 このような焼結含油軸受において、摺動面の潤滑油に適切に圧力を発生させるために、気孔の一部を封止したり、軸受内部の気孔を小さくして潤滑油の流路抵抗を増加させ、摺動面からの潤滑油のリークを少なくするなどの手段が採用されている。
[0005]
 例えば、特許文献1には、焼結前の圧粉体を成形する際に、外周面の一部に他の部分より表面粗度の大きい荒らし部が軸方向に沿って形成されたロッドを用いて、軸受孔となる貫通孔を成形することにより、荒らし部に接している貫通孔の内周面の空孔を潰し、その後、圧粉体を焼結して、焼結含油軸受を製造する方法が開示されている。この焼結含油軸受では、軸受孔のうち、空孔を潰した部分の内周面で軸を支持し、潰した部分以外の内周面から油を浸みださせて、空孔を潰した部分の内周面に供給する。
[0006]
 この場合、荒らし部はロッドの軸方向に沿う帯状に形成されており、粉末の圧縮成形時にロッドの荒らし部に空孔の周囲の部分が押圧され、空孔内に塑性流動して潰される。また、その荒らし部に接していた部分が若干突出して形成され、その後のサイジング加工によって押圧されて軸受孔の内周面と面一になると記載されている。
[0007]
 一方、特許文献2には、軸受孔内周面に、摺動面となる段付き部を円周方向に沿って複数形成することにより、互いに隣接する段付き部の間の溝部底面と軸との間に空隙が形成されるようにし、その段付き部の摺動面における通気度を軸受孔内周面における通気度より小さく形成した焼結含油軸受が開示されている。この場合、段付き部の摺動面の通気度が3×10 -10cm 2、溝部底面の通気度が30×10 -10cm 2、段付き部の高さが0.02mmに設定され、その段付き部における摺動面の通気度を小さくする手段として、目つぶし、メッキ又はコーティングによる封孔が挙げられている。この焼結含油軸受では、段付き部の摺動面に軸が接触し、通気度の大きい溝部の底面には軸が接触しないので、その溝部から一定の油の吸込み及び吐出しが確保でき、また、溝部と軸とで囲まれる空隙において動圧を発生させることができると記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0008]
特許文献1 : 特開平4-307111号公報
特許文献2 : 特開平5-115146号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
 特許文献1には荒らし部により成形される面や、それ以外の面の具体的な通気度については記載がないが、特許文献2記載の通気度の程度では、高速回転等においては、軸受として作動中に十分な油を供給しつつ摺動面からの油の漏れを抑制することが難しく、焼付き等が生じるおそれがある。
[0010]
 本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、摺動面に十分な量の油を供給するとともに、供給された油が摺動面から内部に移動することを抑制して、低摩擦係数化を図り、軸受としての摺動特性を向上させることを目的とする。

課題を解決するための手段

[0011]
 本発明の焼結含油軸受は、軸が挿入される軸受孔の内周面に、前記軸の外周面を支持する摺動面と、給油面とが隣接して形成されており、前記摺動面における表面開口率は10%以下であり、前記給油面の表面開口率が10%を超えている。
[0012]
 この焼結含油軸受は、給油面から油が浸みだして軸と摺動面との間に導かれ、摺動面においては表面開口率が10%以下であるので、軸との間に油膜を形成して、摩擦抵抗を低減することができる。この場合、軸を支持する摺動面の表面開口率が10%を超えていると、油を保持できずに軸受内部に流入させてしまうので、軸と摺動面との間の油膜が少なくなり、焼付きを生じるおそれがある。給油面の表面開口率が10%以下であると、内部から油を十分に供給することが困難になる。なお、表面開口率は、表面の面積比率である。
[0013]
 本発明の焼結含油軸受において、前記給油面は、前記軸受孔の軸心を中心とする螺旋状に形成されているとよい。
[0014]
 軸受孔内に挿入される軸には、一般に径方向に負荷がかかるので、軸受孔の一方向に偏る。給油面が螺旋状に形成されていることにより、螺旋の方向と軸心の方向とが交差することになる。このため、必ず摺動面で軸を支持する状態とすることが可能になり、軸の支持を確実にすることができる。
[0015]
 本発明の焼結含油軸受において、前記軸受孔の両端部の内周面に、その全周にわたって前記摺動面が形成されているとよい。
[0016]
 軸受孔の両端部に、軸受の両端に抜けるように給油面が形成されていると、その給油面から油が軸受の両端に漏れるため、その分、摺動面への油の供給が少なくなる。本発明では、軸受孔の両端部の内周面の全周にわたって摺動面が形成されているので、軸受の両端に油が漏れることがなく、給油面からの油を効率よく摺動面に供給することができる。
[0017]
 本発明の焼結含油軸受において、前記軸受孔の長さをb、前記軸心に対する前記給油面の螺旋角度をθ、前記給油面の幅をW、前記摺動面の面積比率をaとするとき、sinθ≧(W/((1-a)×b))であり、aが0.4以上1.0未満であるとよい。
[0018]
 この式を満足する寸法設定とすることにより、軸受孔の内周面のどの位置に軸が接触したとしても、軸受孔の長さの(a×100)%の範囲で摺動面に接することになり、軸を安定して支持することができる。なお、摺動面の面積比率は、軸受孔の内周面全体の面積に対する摺動面の面積の比率である。
[0019]
 本発明の焼結含油軸受の製造方法は、金型のダイプレートとコアロッドとの間の筒状空間内に原料粉末を充填して加圧することにより圧粉体を成形する圧粉体成形工程と、前記圧粉体を焼結する焼結工程と、焼結後の圧粉体の内周面及び外周面を矯正する矯正工程と、矯正後の圧粉体の内周面に前記給油面を形成する給油面付与工程とを有し、前記圧粉体成形工程では、前記原料粉末として扁平状粉末と粒状粉末とを混合して充填するとともに、前記扁平状粉末を前記コアロッドの外周面上に偏在させた状態で加圧し、前記矯正工程では、前記圧粉体の内周面を塑性流動させることにより該内周面の表面開口率を小さくして緻密層を形成し、前記給油面付与工程では、前記緻密層を除去して前記給油面を形成する。
[0020]
 給油面付与工程としては、切削加工、ブローチ加工、エッチング等がある。矯正工程の抜出時にブローチ加工を行う等、矯正工程と同時に行っても構わない。
[0021]
 原料粉末に混入した箔状粉体をコアロッドの外周面上に偏在させた状態で圧粉体を成形することにより、内周面の表面開口率の小さい圧粉体を得ることができ、その圧粉体の内周面をさらに矯正工程で塑性流動させることにより、内周面の空孔を潰して表面開口率のさらに小さい緻密層を形成することができる。そして、給油面付与工程において、この緻密層を除去することにより内部が露出し、その露出した部分の表面開口率を大きくすることができる。

発明の効果

[0022]
 本発明によれば、表面開口率が10%を超える給油面から油が浸みだして、表面開口率10%以下の摺動面と軸との間に導かれ、軸との間に油膜を形成することができ、摺動面に十分な量の油を供給するとともに、供給された油が摺動面から内部に移動することを抑制して、低摩擦係数化を図り、軸受としての摺動特性を向上させることができる。

図面の簡単な説明

[0023]
[図1] 本発明の一実施形態の焼結含油軸受における軸受孔の内周面付近の断面模式図であり、(a)が給油面加工前、(b)が給油面加工後の状態を示す。
[図2] (a)が一実施形態の焼結含油軸受の給油面の螺旋形状を模式的に示した透視図、(b)が軸受孔の内周面を(a)のA-Aに沿って視た断面図である。
[図3] 一実施形態の焼結含油軸受の製造方法を示す工程図である。
[図4] 成形金型内に原料粉末を充填した状態を模式的に示す縦断面図である。
[図5] 焼結体を矯正金型に充填した状態を模式的に示す縦断面図である。

発明を実施するための形態

[0024]
 以下、本発明の焼結含油軸受の実施形態について説明する。
 この焼結含油軸受1は、金属粉末の焼結体により形成された筒状の軸受であり、図2に示すように、その軸受孔2の内周面に、軸11の外周面を支持する摺動面3と、軸11の外周面との間に隙間が形成される凹部4とが隣接して形成されている。本実施形態では給油面を形成するために凹部4を加工しており、その凹部4の内表面が給油面となるが、凹部加工以外の方法で給油面を形成してもよい。
[0025]
 軸受孔2は、挿入された軸11を回転自在に支持するものであり、軸11の外径よりわずかに大きい内径に形成され、例えば、外径1mm以上30mm以下の軸11に対して、0.005mm以上0.05mm以下の隙間で形成される。また、軸受孔2の内周面に形成される凹部(給油面)4は、軸受孔2の両端部を除き、一定の幅Wで軸心を中心とする螺旋状に複数本形成されている。この凹部(給油面)4は、幅Wが0.3mm以上4.0mm以下で、深さdが0.01mm以上0.2mm以下に形成されている。
[0026]
 そして、軸受孔2の内周面のうち、この凹部(給油面)4以外の表面が軸11を支持する摺動面3とされる。この焼結含油軸受1は、金属粉末の焼結体により形成されているため、内部に空孔6が形成されているとともに、表面に空孔6が開口している。この場合、摺動面3は緻密な層(緻密層)7により形成されていることから、空孔6の表面開口率は、摺動面3と凹部(給油面)4とでは異なっており、摺動面3においては、10%以下であり、凹部4の底面においては10%を超えている。つまり、摺動面3における表面開口率は好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下である。この表面開口率は、軸受孔2の内周面における単位面積当たりの空孔6の開口部の面積比率である。
[0027]
 また、内周面に付与される凹部(給油面)4は、内周面における摺動面の面積比率をa、軸受孔2の軸心に対する螺旋の角度(螺旋角度)θとして、軸受孔2の長さをbとするとき、sinθ≧(W/((1-a)×b))かつ摺動面の面積比率aは0.40以上1.0未満とされ、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.9以下とされる。この式を満たす寸法設定とすることにより、軸11が挿入されて軸受孔2の内周面に接触したときに、軸受孔2の長さbの(a×100)%の範囲で摺動面3に接することになる。なお、前述したように、軸受孔2の内周面の両端部は凹部(給油面)4を有しない摺動面3に形成されている。
[0028]
 次に、この焼結含油軸受1の製造方法について説明する。
[0029]
 この焼結含油軸受1の製造方法は、図3に示すように、原料粉末を成形金型に充填して加圧し、筒状の圧粉体を成形する圧粉体成形工程と、この圧粉体を焼結する焼結工程と、焼結工程後の圧粉体の内周面及び外周面を矯正する矯正加工と、矯正後の圧粉体の内周面に凹部(給油面)を形成する給油面付与工程とを有している。
[0030]
 成形工程には、図4に示すように、ダイプレート21、コアロッド22、下パンチ23及び上パンチ24を備える成形金型20が用いられる。この成形金型20において、ダイプレート21に形成された円柱状の貫通孔21aと、この貫通孔21aの中心に挿入された円柱状のコアロッド22と、これら貫通孔21aとコアロッド22との間に下方から挿入された円筒状の下パンチ23とによって、円筒状空間が形成される。この円筒状空間に、所定量の原料粉末Pを上方から投入し、上方から上パンチ24を挿入して下パンチ23と上パンチ24との間隔を狭めて原料粉末Pを圧縮することにより、圧粉体が形成される。
[0031]
 焼結含油軸受1の材料となる金属としては、特に限定されるものではないが、原料粉末Pは、銅系粉末あるいは鉄銅系粉末が好適である。
[0032]
 銅系粉末は、主成分が銅又は銅合金からなる銅粉であり、融点が焼結温度以下である低融点金属粉(例えば、錫粉)が0.1~5質量%、黒鉛等の固体潤滑剤が0.5~5質量%含有する。低融点金属粉は、焼結温度以下の温度で溶融し、液相化した金属が鉄粉や銅粉の間に介在してバインダとして作用し、焼結体の機械的強度を高めるとともに、固体潤滑剤も強固に保持して、その脱落を防止するものである。
[0033]
 鉄銅系粉末は、銅粉が15~80質量%、低融点金属粉が0.1~5質量%、固体潤滑剤が0.5~5質量%、残部が鉄粉とされる。
[0034]
 また、これら原料粉末Pのうち、銅粉の形状としては、扁平状粉末P1と粒状粉末P2との二種類が用いられる。粒状粉末P2は、略球状の電解銅粉やアトマイズ銅粉が用いられる。扁平状粉末P1は、アスペクト比(直径/厚さ)が10以上であり、例えば銅箔片を用いることができる。そして、銅粉中の扁平状粉末P1の混合比率は、銅系粉末の場合は5質量%~30質量%、鉄銅系粉末の場合は20質量%~60質量%が好ましい。銅系粉末の粒状粉末P2と、扁平状粉末P1とは、例えば、扁平状粉末P1の最大直径が1μm以上100μm以下であるのに対して、粒状粉末P2は5μm以上100μm以下の平均粒径に形成される。また、鉄銅系粉末においては、鉄粉の平均粒径は銅粉の平均粒径と同等以上に形成される。
[0035]
 この原料粉末Pを成形金型20内に充填して振動を与えると、扁平状粉末P1が表層部に集まる。銅系粉末の場合は、表層部が扁平状粉末P1と粒状粉末P2とが緻密に集合し、内部に向けて粒状粉末P2の割合が増加した状態となる。図4では、コアロッド22の外周面付近に扁平状粉末P1が集合した状態を模式的に示している。
[0036]
 これにより、鉄銅系粉末の場合は、表層部が銅リッチとなり、内部に向かって鉄の割合が増加した状態となる。したがって、得られた圧粉体は、表層部が銅による緻密な層となっている。
[0037]
 次に、この圧粉体を焼結した後、その焼結後の圧粉体(以下、焼結体Sと称す)を矯正金型で矯正する。この矯正金型30は、焼結体Sの外形を矯正するものであり、図5に示すように、成形金型20と同様に、ダイプレート31、コアロッド32、下パンチ33及び上パンチ34を備えているが、焼結体Sに接触するダイプレート31の内周面や下パンチ33及び上パンチ34の端面は平滑な表面に仕上げられている。
[0038]
 そして、この矯正金型30により焼結体Sを配置し、内周面の緻密層S1をコアロッド32、両パンチ33,34の間に加圧することにより、焼結体Sが圧縮されて、その外径及び内径が製品寸法に仕上げられるとともに、内周面に形成された柔らかい扁平状銅粉末の層がコアロッドとダイプレートの内周面と摺動することで塑性流動を起こすため空孔6が目潰しされる。これにより、図1(a)に示すように、焼結体Sの内周面の全面が目潰しされた状態に形成され、より一層の緻密層7となる。
[0039]
 次に、図1(b)に示すように、焼結体Sの内周面に、その両端部を除き、切削加工により帯状の凹部(給油面)4を軸心に沿う螺旋状に形成する。この凹部(給油面)4の深さdは、前述した成形工程において扁平状粉末P1が集合しかつ矯正工程により目潰しされることにより形成された緻密層7を除去して、その内部の比較的粗い層が露出する程度の深さである。これにより、内周面の凹部(給油面)4では表面開口率が大きく、凹部(給油面)4以外の表面では、緻密層7により表面開口率が小さいままに残される。
[0040]
 最後に、潤滑油を含浸させることにより、焼結含油軸受1として製造される。
[0041]
 このようにして製造した焼結含油軸受1は、その内周面が軸受孔2とされ、挿入された軸11を回転自在に支持する。この場合、軸受孔2の内周面には、凹部(給油面)4が螺旋状に形成されており、この凹部(給油面)4以外の表面が軸11を支持する摺動面3とされ、凹部4の底面と軸11の外周面との間には隙間が形成される。そして、その摺動面3は、銅の緻密層7により空孔6の表面開口率が小さく、前述した10%以下とされ、凹部(給油面)4は10%を超える表面開口率とされる。
[0042]
 このため、軸11が回転すると、凹部(給油面)4から油が浸みだして、軸11と摺動面3との間に供給され、摺動面3では表面開口率が10%以下と小さいことから、油が内部に浸透することなく、摺動面3と軸11との間に油膜を形成して軸11を支持する。この場合、摺動面3の表面開口率が10%を超えていると、油を保持できずに軸受内部に流入させてしまうので、軸11と摺動面3との間の油膜が少なくなり、焼付きを生じるおそれがある。また、凹部(給油面)4の表面開口率が10%以下であると、内部から摺動面3に油を十分に供給することが困難になる。
[0043]
 本実施形態では、摺動面3と軸11との間に十分に油が供給されることから、その油膜によって摩擦抵抗を低減し、摺動特性を向上させることができる。
[0044]
 この場合、凹部(給油面)4は前述した螺旋状に形成されていることにより、軸受孔2の内周面のどの位置に軸11が接触したとしても、軸受孔2の長さの(a×100)%の範囲で摺動面3に接することになり、軸11を安定して支持することができる。
[0045]
 さらに、軸受孔2の両端部には凹部(給油面)4が形成されずに、その全周にわたって摺動面3が形成されているので、給油面を通じて軸受の両端に油が漏れることがなく、凹部(給油面)4からの油を効率よく摺動面に供給することができる。
[0046]
 この焼結含油軸受1は、これらの相乗作用により、油切れを確実に防止して、良好な摺動特性を長期に発揮することができる。
実施例
[0047]
 本発明の効果を実証するために行った試験結果について説明する。試験に用いた原料粉末は、鉄、銅、錫(低融点合金)、黒鉛等を所定の割合で混合した鉄銅系粉末を用いた。その混合割合としては、銅粉が50質量%、錫粉が2質量%、銅‐リン粉が5質量%、銅‐亜鉛粉が10質量%、黒鉛等の固体潤滑剤が0.5質量%、そして残部を鉄粉として調整した。その原料粉末を圧縮成形し、950℃の温度で焼結した後、矯正工程を得て、切削加工により軸受孔の内周面に凹部を形成した。いずれも、軸受の長さは8mm、軸受孔の(摺動面の)内径は8mmとした。
[0048]
 得られた軸受について、軸受孔の内周面を顕微鏡で観察し、軸受孔の内周面全体に対する摺動面の面積比率、摺動面及び凹部(給油面)のそれぞれの表面開口率を測定した。摺動面及び給油面のそれぞれの表面開口率は、軸受の摺動面と給油面とのそれぞれについて倍率500倍のSEM像(SEI)を撮影し、その写真を画像解析ソフトで2値化して開口部を抽出した後、開口部の面積率を計測した。開口部の面積率の計測は、条件の異なる軸受毎に5個の試料(軸受)を用意し、開口部の面積率の撮影箇所は、各軸受の摺動面と給油面とについてそれぞれ5視野とした。そして、それぞれ25か所の撮影箇所の計測結果の平均値を表面開口率とした。
 なお、表1中、No.5は凹部を形成しなかったものであり、No.6は摺動面をすべて切削したものである。このため、No.5では凹部底面、No.6では摺動面についての表面開口率の欄を「-」で表した。
[0049]
 また、軸受に潤滑油を含浸させた後、軸受孔に軸を挿入して、軸心に直交する垂直方向に表1に示す負荷面圧を付与した状態で軸を回転させ、軸受にかかる回転トルクを測定し、その回転トルクから摩擦係数を算出した。軸の回転数は12500rpmで、それぞれ30分間回転させた後の摩擦係数を算出した。
[0050]
[表1]


[0051]
 表1に示す結果より、試料1~4は負荷面圧にかかわらずに摩擦係数が小さく、軸受特性に優れていることがわかる。これにより、摺動面の面積比率としては、0.4以上1.0未満が好ましい。
[0052]
 なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
 例えば、前記実施形態では給油面を1本の螺旋状に形成したが、sinθ≧(W/((1-a)×b))を満たす摺動面の面積比率aの範囲内で複数本形成してもよい。

産業上の利用可能性

[0053]
 内部に潤滑油を含浸させて潤滑を円滑に行わせることができる焼結含油軸受を提供することができる。

符号の説明

[0054]
1…焼結含油軸受
2…軸受孔
3…摺動面
4…凹部(給油面)
6…空孔
7…緻密層
11…軸
20…成形金型
21…ダイプレート
21a…貫通孔
22…コアロッド
23…下パンチ
24…上パンチ
30…矯正金型
31…ダイプレート
32…コアロッド
33…下パンチ
33…両パンチ
34…上パンチ
P…原料粉末
P1…扁平状粉末
P2…粒状粉末
S…焼結体
S1…緻密層

請求の範囲

[請求項1]
 軸が挿入される軸受孔の内周面に、前記軸の外周面を支持する摺動面と、給油面とが隣接して形成されており、前記摺動面における表面開口率は10%以下であり、前記給油面の表面開口率が10%を超えていることを特徴とする焼結含油軸受。
[請求項2]
 前記給油面は、前記軸受孔の軸心を中心とする螺旋状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の焼結含油軸受。
[請求項3]
 前記軸受孔の両端部の内周面に、その全周にわたって前記摺動面が形成されていることを特徴とする請求項2記載の焼結含油軸受。
[請求項4]
 前記軸受孔の長さをb、前記軸心に対する前記給油面の螺旋角度をθ、前記給油面の幅をW、前記摺動面の面積比率をaとするとき、sinθ≧(W/((1-a)×b))であり、aが0.4以上1.0未満であることを特徴とする請求項2又は3記載の焼結含油軸受。
[請求項5]
 請求項1から3のいずれか一項記載の焼結含油軸受を製造する方法であって、金型のダイプレートとコアロッドとの間の筒状空間内に原料粉末を充填して加圧することにより圧粉体を成形する圧粉体成形工程と、前記圧粉体を焼結する焼結工程と、焼結後の圧粉体の内周面及び外周面を矯正する矯正工程と、矯正後の圧粉体の内周面に前記給油面を形成する給油面付与工程とを有し、前記圧粉体成形工程では、前記原料粉末として扁平状粉末と粒状粉末とを混合して充填するとともに、前記扁平状粉末を前記コアロッドの外周面上に偏在させた状態で加圧し、前記矯正工程では、前記圧粉体の内周面を塑性流動させることにより該内周面の表面開口率を小さくして緻密層を形成し、前記給油面付与工程では、前記緻密層を除去して前記給油面を形成することを特徴とする焼結含油軸受の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]