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1. (WO2017110269) METHOD FOR CONTROLLING HIGH-PRESSURE FUEL SUPPLYING PUMP, AND HIGH-PRESSURE FUEL SUPPLYING PUMP EMPLOYING SAME
Document

明 細 書

発明の名称 高圧燃料供給ポンプの制御方法およびそれを用いた高圧燃料供給ポンプ

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006  

発明の効果

0007   0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017  

実施例 1

0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116  

実施例 2

0117   0118   0119  

符号の説明

0120  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 高圧燃料供給ポンプの制御方法およびそれを用いた高圧燃料供給ポンプ

技術分野

[0001]
 本発明は、内燃機関に用いられる高圧燃料供給ポンプに関する。

背景技術

[0002]
 近年、快適性向上の観点から高圧燃料供給ポンプに対する静粛性のニーズが高まっている。高圧燃料供給ポンプの低騒音化に関しては様々な発明がなされている。低騒音化手法は、構造変更等によるものと制御によるものに大別できる。後者の制御で、電磁弁への電流を制御して弁の開閉時に発生する衝突音の低騒音化に関する技術としては、以下のような発明が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2015-21428号公報
特許文献2 : 特表2012-511658号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 特開2015-21428号公報(特許文献1)においては、電磁弁の開弁動作を開始し、電磁弁が開弁したのちにソレノイドへの通電を一旦停止し、完全な開弁状態になる前にソレノイドに一時的に再通電している。また、特表2012-511658号公報(特許文献2)では、プランジャが上死点を超えた直後に電磁弁のソレノイドへの一旦通電を終了し、その後、タペットがストッパに当たる直前に制動のための電流パルスを印加している。しかしながら、これらの発明では、印加する電流波形の形状等については具体的に記載されていないため、電流値の印加タイミングや大きさによって、電磁弁が開弁保持できない場合や印加によって所望の制動効果が得られない場合があると考えられる。
[0005]
 本発明は、このような点を鑑みて改良したものであり、本発明の主な目的は電磁弁の開弁時に発生する衝突音を低減することである。

課題を解決するための手段

[0006]
 上記目的を達成するための本発明の高圧燃料供給ポンプは、その一例として、加圧室の吸入側に配置される吸入弁と、前記吸入弁を開弁方向に付勢するロッドと、ソレノイドが通電されることで生じる磁気吸引力により吸引され前記ロッドを閉弁方向に移動させるアンカーとを備えた高圧燃料供給ポンプの制御方法において、前記アンカーが開弁方向に移動する際に第1駆動電流を所定時間、前記ソレノイドに流した後に、前記第1駆動電流よりも大きい第2駆動電流を所定時間、前記ソレノイドに流すことで実現できる。

発明の効果

[0007]
 本発明によれば、電磁弁の開弁時の衝突音を低減する制御方法および高圧燃料供給ポンプを提供できる。
[0008]
 上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 本発明に係る実施例1の高圧燃料供給ポンプの全体縦断面図である。
[図2] 本発明に係る実施例1の高圧燃料供給ポンプの全体構成である。
[図3] 本発明に係る実施例1の高圧燃料供給ポンプの取付け時の断面図である。
[図4] 本発明に係る実施例1の高圧燃料供給ポンプの電磁弁の吸入工程における断面図である。
[図5] 本発明に係る実施例1の高圧燃料供給ポンプの電磁弁の吐出工程、通電時における断面図である。
[図6] 本発明に係る実施例1の高圧燃料供給ポンプ電磁弁の吐出工程、無通電時における断面図である。
[図7] 本発明に係る実施例1の高圧燃料供給ポンプの電磁弁の動作タイミングチャートである。
[図8] 本発明に係る実施例2の高圧燃料供給ポンプの電磁弁の動作タイミングチャートである。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、本発明に係る実施例を説明する。
[0011]
 磁気吸引力によって移動する可動部を有する電磁弁を備えた高圧燃料供給ポンプにおいて、可動部をアンカー部と、アンカー部に挿通されたロッドから構成し、アンカー部を、アンカー部外周側に形成され、磁路を形成する磁路形成部と、アンカー部内周側に形成され、磁路形成部より硬度が高く、ロッドとの摺動面をガイドするガイド部とで構成する。
[0012]
 アンカー部を、磁路を形成する、すなわち磁気吸引力特性に影響を及ぼす磁路形成部と、磁路には影響せず、ロッドとの摺動部を形成するガイド部から形成し、ガイド部のみに熱処理などを施して硬度を上げることで、磁気特性を低下させることなく、摺動部の耐摩耗性を向上させることができる。
[0013]
 可動部が固定コア39に衝突する際、アンカー部の運動は停止するが、ロッドは運動を続けるため、その質量分だけ衝突質量が低減される。この結果、衝突荷重が低下し、衝突音を低減することができる。
[0014]
 また、磁路形成部とガイド部を別の部材でそれぞれ形成し、結合してアンカー部を形成してもよい。この際、磁路形成部をガイド部よりも磁気特性の高い磁性材で、ガイド部を磁路形成部よりも硬度の高い焼入れ材などで形成してもよい。
[0015]
 磁路形成部とガイド部を別部材で形成し、それぞれの機能に合わせて、磁路形成部に磁性材を、ガイド部に高硬度材を用いることで、加工および熱処理や表面処理の容易性を向上させることができる。なお、ガイド部の硬度を向上させる手法として、焼入れ処理などの熱処理やめっき処理などの表面処理を用いてもよい。
[0016]
 そして、硬度の高いガイド部に、ロッドとの接触部や、アンカー部を付勢するアンカー部付勢ばねのばね受け部、またアンカー部の運動を規制するストッパ部など、他部材と接触する機能を有する部位を集約することで、それらの耐摩耗性も同時に向上させることができる。
[0017]
 また、ガイド部にアンカー部の前後を液圧的に接続する貫通穴を形成することで、磁路の断面積を減らすことなく、アンカー部動作に必要な、排除体積を逃がすための呼吸穴を形成し、磁気吸引力の低下を防止することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
実施例 1
[0018]
 図2は、本発明が適用可能な高圧燃料供給ポンプを含む燃料供給システムの全体構成の一例を示す図である。この図を用いて、まず全体システムの構成と動作を説明する。
[0019]
 図2において、破線で囲まれた部分1が高圧燃料供給ポンプ本体を示し、この破線の中に示されている機構、部品は高圧燃料供給ポンプ本体1に一体に組み込まれていることを示す。高圧燃料供給ポンプ本体1には、燃料タンク20からフィードポンプ21を経由して燃料が送り込まれ、高圧燃料供給ポンプ本体1からインジェクタ24側に加圧された燃料が送られる。エンジンコントロールユニット27は圧力センサ26から燃料の圧力を取り込み、これを最適化すべくフィードポンプ21、高圧燃料供給ポンプ本体1内の電磁コイル43、インジェクタ24を制御する。
[0020]
 図2において、まず燃料タンク20の燃料は、エンジンコントロールユニット27からの制御信号S1に基づきフィードポンプ21によって汲み上げられ、適切なフィード圧力に加圧されて吸入配管28を通して高圧燃料供給ポンプ1の低圧燃料吸入口(吸入ジョイント)10aに送られる。低圧燃料吸入口10aを通過した燃料は、圧力脈動低減機構9、吸入通路10dを介して容量可変機構を構成する電磁吸入弁300の吸入ポート31bに至る。なお圧力脈動低減機構9は、エンジンのカム機構(図示せず)により往復運動を行うプランジャ2に連動して圧力を可変とする、環状低圧燃料室7aに連通することで、電磁吸入弁300の吸入ポート31bに吸入する燃料圧力の脈動を低減している。
[0021]
 電磁吸入弁300の吸入ポート31bに流入した燃料は、吸入弁30を通過し加圧室11に流入する。なお吸入弁30の弁位置は、エンジンコントロールユニット27からの制御信号S2に基づき、高圧燃料供給ポンプ本体1内の電磁コイル43が制御されることで定まる。加圧室11では、エンジンのカム機構(図示せず)により、プランジャ2に往復運動する動力が与えられている。プランジャ2の往復運動により、プランジャ2の下降工程では吸入弁30から燃料を吸入し、プランジャ2の上昇工程では吸入した燃料が加圧され、吐出弁機構8を介して圧力センサ26が装着されているコモンレール23へ燃料が圧送される。この後、エンジンコントロールユニット27からの制御信号S3に基づきインジェクタ24がエンジンへ燃料を噴射する。
[0022]
 なお、加圧室11の出口に設けられた吐出弁機構8は、吐出弁シート8a、吐出弁シート8aと接離する吐出弁8b、吐出弁8bを吐出弁シート8aに向かって付勢する吐出弁ばね8cなどで構成されている。この吐出弁機構8によれば、加圧室11内部圧力が吐出弁8bの下流側の吐出通路12側圧力よりも高く、かつ吐出弁ばね8cが定める抗力に打ち勝つときに吐出弁8bが開放し、加圧室11から吐出通路12側に加圧された燃料が圧送供給される。
[0023]
 また図2の電磁吸入弁300を構成する各部品について、30は吸入弁、35は吸入弁30の位置を制御するロッド、36はアンカー部、33は吸入弁ばね、40はロッド付勢ばね、41はアンカー部付勢ばねである。この機構によれば吸入弁30は、吸入弁ばね33により閉弁方向に付勢され、ロッド付勢ばね40によりロッド35を介して開弁方向に付勢されている。また、アンカー部36はアンカー部付勢ばねにより閉弁方向に付勢されている。吸入弁30の弁位置は、電磁コイル43によりロッド35を駆動することで制御される。
[0024]
 このように高圧燃料供給ポンプ1は、エンジンコントロールユニット27が電磁吸入弁300へ与える制御信号S2により高圧燃料供給ポンプ本体1内の電磁コイル43が制御され、吐出弁機構8を介してコモンレール23へ圧送される燃料が所望の供給燃料となるように燃料流量を吐出する。
[0025]
 また高圧燃料供給ポンプ1においては、加圧室11とコモンレール23の間が、リリーフバルブ100により連通されている。このリリーフバルブ100は、吐出弁機構8と並列配置された弁機構である。リリーフバルブ100は、コモンレール23側の圧力がリリーフバルブ100の設定圧力以上に上昇すると、リリーフバルブ100が開弁し高圧燃料供給ポンプ1の加圧室11内に燃料が戻されることでコモンレール23内の異常な高圧状態を防止する。
[0026]
 リリーフバルブ100は、高圧燃料供給ポンプ本体1内の吐出弁8bの下流側の吐出通路12と加圧室11とを連通する高圧流路110を形成し、ここに吐出弁8bをバイパスするように設けられたものである。高圧流路110には燃料の流れを吐出流路から加圧室11への一方向のみに制限するリリーフ弁102が設けられている。リリーフ弁102は、押付力を発生するリリーフばね105によりリリーフ弁シート101に押付けられており、加圧室11内と高圧流路110内との間の圧力差がリリーフばね105で定まる規定の圧力以上になるとリリーフ弁102がリリーフ弁シート101から離れ、開弁するように設定されている。
[0027]
 この結果、高圧燃料供給ポンプ1の電磁吸入弁300の故障等によりコモンレール23が異常な高圧となった場合、吐出流路110と加圧室11の差圧がリリーフ弁102の開弁圧力以上になると、リリーフ弁102が開弁し、異常高圧となった燃料は吐出流路110から加圧室11へと戻され、コモンレール23等の高圧部配管が保護される。
[0028]
 図1は、機構的に一体に構成された高圧燃料供給ポンプ本体1の具体事例を示した図である。この図によれば、図示中央高さ方向にエンジンのカム機構(図示せず)により往復運動(この場合には上下動)を行うプランジャ2がシリンダ6内に配置され、プランジャ上部のシリンダ6内に加圧室11が形成されている。
[0029]
 またこの図によれば、図示中央左側に電磁吸入弁300側の機構を配置し、図示中央右側に吐出弁機構8を配置している。また図示上部には、燃料吸入側の機構として低圧燃料吸入口10a、圧力脈動低減機構9、吸入通路10dなどを配置している。さらに、図1の中央下部にはプランジャ内燃機関側機構150を記述している。プランジャ内燃機関側機構150は、図3に示すように内燃機関本体に埋め込まれて固定される部分であることから、ここでは取り付け根部と称することにする。なお、図1の表示断面では、リリーフバルブ100機構を図示していない。リリーフバルブ100機構は、別角度の表示断面内には表示可能であるが、本発明と直接関係がないので説明、表示を割愛する。
[0030]
 図2各部の詳細説明は後述することにして、まず取り付け根部の取り付けについて図3で説明する。図3は、取り付け根部(プランジャ内燃機関側機構)150が内燃機関本体に埋め込まれて、固定された状態を示したものである。但し図3では取り付け根部150を中心として記述しているので、他の部分の記述を割愛している。図3において、90は内燃機関のシリンダヘッドの肉厚部分を示している。内燃機関のシリンダヘッド90には、予め取り付け根部取り付け用孔95が形成されている。取り付け根部取り付け用孔95は、取り付け根部150の形状に合わせて2段の径で構成されており、この根部取り付け用孔95に、取り付け根部150が嵌装配置される。
そのうえで、取り付け根部150が内燃機関のシリンダヘッド90に気密に固定される。図3の気密固定配置例では、高圧燃料供給ポンプはポンプ本体1に設けられたフランジ1eを用い内燃機関のシリンダヘッド90の平面に密着し、複数のボルト91で固定される。そのうえで取付けフランジ1eは、溶接部1fにてポンプ本体1に全周を溶接結合されて環状固定部を形成している。本実施例では、溶接部1fの溶接のためにレーザー溶接を用いている。またシリンダヘッド90とポンプ本体1間のシールのためにOリング61がポンプ本体1に嵌め込まれ、エンジンオイルが外部に漏れるのを防止する。
[0031]
 このように気密固定配置されたプランジャ根部150は、プランジャ2の下端2bにおいて、内燃機関のカムシャフトに取り付けられたカム93の回転運動を上下運動に変換し、プランジャ2に伝達するタペット92が設けられている。プランジャ2はリテーナ15を介してばね4にてタペット92に圧着されている。これによりカム93の回転運動に伴い、プランジャ2を上下に往復運動させている。
[0032]
 また、シールホルダ7の内周下端部に保持されたプランジャシール13がシリンダ6の図中下方部においてプランジャ2の外周に摺動可能に接触する状態で設置されており、環状低圧燃料室7aの燃料をプランジャ2が摺動した場合にでもシール可能な構造とし、外部に燃料が漏れることを防止する。同時に内燃機関内の摺動部を潤滑する潤滑油(エンジンオイルも含む)がポンプ本体1の内部に流入するのを防止する。
[0033]
 図3のように気密固定配置されたプランジャ根部150は、その内部のプランジャ2が内燃機関の回転運動に伴い、シリンダ6内で往復運動をすることになる。この往復運動に伴う各部の働きについて、図1に戻り説明する。図1において、高圧燃料供給ポンプ本体1にはプランジャ2の往復運動をガイドし、かつ内部に加圧室11を形成するよう端部(図1では上側)が有底筒型状に形成されたシリンダ6が取り付けられている。さらに加圧室11は燃料を供給するための電磁吸入弁300と加圧室11から吐出通路に燃料を吐出するための吐出弁機構8に連通するよう、外周側に環状の溝6aと、環状の溝6aと加圧室とを連通する複数個の連通穴6bが設けられている。
[0034]
 シリンダ6はその外径において、高圧燃料供給ポンプ本体1と圧入固定され、高圧燃料供給ポンプ本体1との隙間から加圧した燃料が低圧側に漏れないよう圧入部円筒面でシールしている。また、シリンダ6の加圧室側外径に小径部6cを有する。加圧室11の燃料が加圧されることによりシリンダ6が低圧燃料室10c側に力が作用するが、ポンプ本体1に小径部1aを設けることで、シリンダ6が低圧燃料室10c側に抜けることを防止している。お互いの面を軸方向に平面に接触させることで、高圧燃料供給ポンプ本体1とシリンダ6との前記接触円筒面のシールに加え、二重のシールの機能をも果たす。
[0035]
 高圧燃料供給ポンプ本体1の頭部にはダンパカバー14が固定されている。ダンパカバー14には吸入ジョイント51が設けられており、低圧燃料吸入口10aを形成している。低圧燃料吸入口10aを通過した燃料は、吸入ジョイント51の内側に固定されたフィルタ52を通過し、圧力脈動低減機構9、低圧燃料流路10dを介して電磁吸入弁300の吸入ポート31bに至る。
[0036]
 吸入ジョイント51内の吸入フィルタ52は、燃料タンク20から低圧燃料吸入口10aまでの間に存在する異物を燃料の流れによって高圧燃料供給ポンプ内に吸収することを防ぐ役目がある。
[0037]
 プランジャ2は、大径部2aと小径部2bを有することにより、プランジャの往復運動によって環状低圧燃料室7aの体積は増減を行う。体積の増減分は、燃料通路1d(図3)により低圧燃料室10と連通していることにより、プランジャ2の下降時は、環状低圧燃料室7aから低圧燃料室10へ、上昇時は、低圧燃料室10から環状低圧燃料室7aへと燃料の流れが発生する。このことにより、ポンプの吸入工程もしくは、戻し工程におけるポンプ内外への燃料流量を低減することができ、脈動を低減する機能を有している。
[0038]
 低圧燃料室10には高圧燃料供給ポンプ内で発生した圧力脈動が燃料配管28(図2)へ波及するのを低減させる圧力脈動低減機構9が設置されている。一度加圧室11に流入した燃料が、容量制御のため再び開弁状態の吸入弁体30を通して吸入通路10d(吸入ポート31b)へと戻される場合、吸入通路10d(吸入ポート31b)へ戻された燃料により低圧燃料室10には圧力脈動が発生する。しかし、低圧燃料室10に設けた圧力脈動低減機構9は、波板状の円盤型金属板2枚をその外周で張り合わせ、内部にアルゴンのような不活性ガスを注入した金属ダンパで形成されており、圧力脈動はこの金属ダンパが膨張・収縮することで吸収低減される。9bは金属ダンパを高圧燃料供給ポンプ本体1の内周部に固定するための取付金具であり、燃料通路上に設置されるため、複数の穴を設け前記取付金具9bの表裏に流体が自由に行き来できるようにしている。
[0039]
 加圧室11の出口に設けられた吐出弁機構8は、吐出弁シート8a、吐出弁シート8aと接離する吐出弁8b、吐出弁8bを吐出弁シート8aに向かって付勢する吐出弁ばね8c、吐出弁8bと吐出弁シート8aとを収容する吐出弁ホルダ8dから構成され、吐出弁シート8aと吐出弁ホルダ8dとは当接部8eで溶接により接合されて一体の吐出弁機構8を形成している。なお、吐出弁ホルダ8dの内部には、吐出弁8bのストロークを規制するストッパを形成する段付部8fが設けられている。
[0040]
 図1において、加圧室11と燃料吐出口12に燃料差圧が無い状態では、吐出弁8bは吐出弁ばね8cによる付勢力で吐出弁シート8aに圧着され閉弁状態となっている。加圧室11の燃料圧力が、燃料吐出口12の燃料圧力よりも大きくなった時に始めて、吐出弁8bは吐出弁ばね8cに逆らって開弁し、加圧室11内の燃料は燃料吐出口12を経てコモンレール23へと高圧吐出される。吐出弁8bは開弁した際、吐出弁ストッパ8fと接触し、ストロークが制限される。したがって、吐出弁8bのストロークは吐出弁ストッパ8dによって適切に決定される。これによりストロークが大きすぎて、吐出弁8bの閉じ遅れにより、燃料吐出口12へ高圧吐出された燃料が、再び加圧室11内に逆流してしまうのを防止でき、高圧燃料供給ポンプの効率低下が抑制できる。また、吐出弁8bが開弁および閉弁運動を繰り返す時に、吐出弁8bがストローク方向にのみ運動するように、吐出弁ホルダ8dの内周面にてガイドしている。以上のようにすることで、吐出弁機構8は燃料の流通方向を制限する逆止弁となる。
[0041]
 次に本発明の主要部である電磁吸入弁300側の構造について、図4、図5、図6を用いて説明する。なお図4はポンプ作動における吸入、戻し、吐出の各工程のうち、吸入工程における状態、図5、図6は吐出工程における状態を表している。まず図4により、電磁吸入弁300側の構造について説明する。電磁吸入弁300側の構造は、吸入弁30を主体に構成された吸入弁部Aと、ロッド35とアンカー部36を主体に構成されたソレノイド機構部Bと、電磁コイル43を主体に構成されたコイル部Cに大別して説明する
 まず吸入弁部Aは、吸入弁30、吸入弁シート31、吸入弁ストッパ32、吸入弁付勢ばね33、吸入弁ホルダ34からなる。このうち吸入弁シート31は円筒型で、内周側軸方向にシート部31a、円筒の軸を中心に放射状に1つが2つ以上の吸入通路部31bを有し、外周円筒面で高圧燃料供給ポンプ本体1に圧入保持される。
[0042]
 吸入弁ホルダ34は、放射状に2方向以上の爪を有し、爪外周側が吸入弁シート31の内周側で同軸に嵌合保持される。さらに円筒型で一端部につば形状を持つ吸入ストッパ32が吸入弁ホルダ34の内周円筒面に圧入保持される。
[0043]
 吸入弁付勢ばね33は、吸入弁ストッパ32の内周側に、一部前記ばねの一端を同軸に安定させるための細径部に配置され、吸入弁30が、吸入弁シート部31aと吸入弁ストッパ32の間に、弁ガイド部30bに吸入弁付勢ばね33が嵌合する形で構成される。吸入弁付勢ばね33は圧縮コイルばねであり、吸入弁30が吸入弁シート部31aに押し付けられる方向に付勢力が働く様に設置される。圧縮コイルばねに限らず、付勢力を得られるものであれば形態を問わないし、吸入弁と一体になった付勢力を持つ板ばねの様なものでも良い。
[0044]
 この様に吸入弁部Aを構成することで、ポンプの吸入工程においては、吸入通路31bを通過し内部に入った燃料が、吸入弁30とシート部31aの間を通過し、吸入弁30の外周側及び吸入弁ホルダ34の爪の間を通り、高圧燃料供給ポンプ本体1及びシリンダの通路を通過し、ポンプ室へ燃料を流入させる。また、ポンプの吐出工程においては、吸入弁30が吸入弁シート部31aと接触シールすることで、燃料の入口側への逆流を防ぐ逆止弁の機能を果たす。
[0045]
 なお、吸入弁30の動きを滑らかにするために、吸入弁ストッパの内周側の液圧を吸入弁30の動きに応じて逃がすために、通路32aが設けられている。
[0046]
 吸入弁30の軸方向の移動量30eは、吸入弁ストッパ32によって有限に規制されている。移動量が大きすぎると吸入弁30の閉じる時の応答遅れにより前記逆流量が多くなりポンプとしての性能が低下するためである。この移動量の規制は、吸入弁シート31a、吸入弁30、吸入弁ストッパ32の軸方向の形状寸法及び、圧入位置で規定することが可能である。
[0047]
 吸入弁ストッパ32には、環状突起32bが設けられ、吸入弁32が開弁している状態において、吸入弁ストッパ32との接触面積を小さくしている。開弁状態から閉弁状態へ遷移時、吸入弁32が吸入弁ストッパ32から離れやすい様、すなわち閉弁応答性を向上させるためである。前記環状突起が無い場合、すなわち前記接触面積が大きい場合、吸入弁30と吸入弁ストッパ32の間に大きなスクイーズ力が働き、吸入弁30が吸入弁32から離れにくくなる。
[0048]
 吸入弁30、吸入弁シート31a、吸入弁ストッパ32は、お互い作動時に衝突を繰返すため、高強度、高硬度で耐食性にも優れるマルテンサイト系ステンレスに熱処理を施した材料を使用する。吸入弁スプリング33及び吸入弁ホルダ34には耐食性を考慮しオーステナイト系ステンレス材を用いる。
[0049]
 次にソレノイド機構部Bについて述べる。ソレノイド機構部Bは、可動部であるロッド35、アンカー部36、固定部であるロッドガイド37、アウターコア38、固定コア39、そして、ロッド付勢ばね40、アンカー部付勢ばね41からなる。
[0050]
 可動部であるロッド35とアンカー部36は、別部材に構成している。ロッド35はロッドガイド37の内周側で軸方向に摺動自在に保持され、アンカー部36の内周側は、ロッド35の外周側で摺動自在に保持される。すなわち、ロッド35及びアンカー部36共に幾何学的に規制される範囲で軸方向に摺動可能に構成されている。
[0051]
 アンカー部36は燃料中で軸方向に自在に滑らかに動くために、部品軸方向に貫通する貫通穴36aを1つ以上有し、アンカー部前後の圧力差による動きの制限を極力排除している。
[0052]
 ロッドガイド37は、径方向には、高圧燃料供給ポンプ本体1の吸入弁が挿入される穴の内周側に挿入され、軸方向には、吸入弁シートの一端部に突き当てられ、高圧燃料供給ポンプ本体1に溶接固定されるアウターコア38と高圧燃料供給ポンプ本体1との間に挟み込まれる形で配置される構成としている。ロッドガイド37にもアンカー部36と同様に軸方向に貫通する貫通穴37aが設けられ、アンカー部が自在に滑らかに動くことができる様、アンカー部側の燃料室の圧力がアンカー部の動きを妨げない様に構成している。
[0053]
 アウターコア38は、高圧燃料供給ポンプ本体と溶接される部位との反対側の形状を薄肉円筒形状としており、その内周側に固定コア39が挿入される形で溶接固定される。固定コア39の内周側にはロッド付勢ばね40が、細径部をガイドに配置され、ロッド35が吸入弁30と接触し、前記吸入弁が吸入弁シート部31aから引き離す方向、すなわち吸入弁の開弁方向に付勢力を与える。
[0054]
 アンカー部付勢ばね41は、ロッドガイド37の中心側に設けた円筒径の中央軸受部37bに方端を挿入し同軸を保ちながら、アンカー部36にロッドつば部35a方向に付勢力を与える配置としている。アンカー部36の移動量36eは吸入弁30の移動量30eよりも大きく設定される。確実に吸入弁30が閉弁するためである。
[0055]
 ロッド35とロッドガイド37にはお互い摺動するため、またロッド35は吸入弁30と衝突を繰返すため、硬度と耐食性を考慮しマルテンサイト系ステンレスに熱処理を施したものを使用する。アンカー部36と固定コア39は磁気回路を形成するため磁性ステンレスを用い、ロッド付勢ばね40、アンカー部付勢ばね41には耐食性を考慮しオーステナイト系ステンレスを用いる。
[0056]
 上記構成によれば、吸入弁部Aとソレノイド機構部Bには、3つのばねが有機的に配置されて構成されている。吸入弁部Aに構成される吸入弁付勢ばね33と、ソレノイド機構部Bに構成されるロッド付勢ばね40、アンカー部付勢ばね41がこれに相当する。本実施例ではいずれのばねもコイルばねを使用しているが付勢力を得られる形態であればいかなるものでも構成可能である。
[0057]
 この3つのばね力の関係は、下記の式で構成する。
(数1)
ロッド付勢ばね40力>アンカー部付勢ばね41力+吸入弁付勢ばね33力+流体により吸入弁が閉じようとする力    ‥‥(1)
 (1)式の関係により、無通電時では、各ばね力により、ロッド35は吸入弁30を吸入弁シート部31aから引き離す方向、すなわち弁が開弁する方向に力f1として作用する。(1)式より、弁が開弁する方向の力f1は下記の(2)式で表現される。
(数2)
 f1=ロッド付勢ばね力-(アンカー部付勢ばね力+吸入弁付勢ばね力+流体により吸入弁が閉じようとする力) ‥‥(2)
 最後に、コイル部Cの構成について述べる。コイル部Cは、第一ヨーク42、電磁コイル43、第2ヨーク44、ボビン45、端子46、コネクタ47から成る。ボビン45に銅線が複数回巻かれたコイル43が、第一ヨーク42と第二ヨーク44により取り囲まれる形で配置され、樹脂部材であるコネクタと一体にモールドされ固定される。二つの端子46のそれぞれの方端はコイルの銅線の両端にそれぞれ通電可能に接続される。端子46も同様にコネクタと一体にモールドされ残りの方端がエンジン制御ユニット側と接続可能な構成としている。
[0058]
 コイル部Cは第一ヨーク42の中心部の穴部が、アウターコア38に圧入され固定される。その時、第二ヨーク44の内径側は、固定コア39と接触もしくは僅かなクリアランス近接する構成となる。
[0059]
 第一ヨーク42、第二ヨーク44共に、磁気回路を構成するために、また耐食性を考慮し磁性ステンレス材料とし、ボビン45、コネクタ47は強度特性、耐熱特性を考慮し、高強度耐熱樹脂を用いる。コイルに43は銅、端子46には真鍮に金属めっきを施した物を使用する。
[0060]
 上述の様にソレノイド機構部Bとコイル部Cとを構成することで、図4の矢印部に示す様に、アウターコア38、第一ヨーク42、第二ヨーク44、固定コア39、アンカー部36で磁気回路を形成し、コイルに電流を与えると、固定コア39、アンカー部36間に磁気吸引力が発生し、互いに引き寄せられる力が発生する。アウターコア38において、固定コア39とアンカー部36とがお互い磁気吸引力を発生させる軸方向部位を極力薄肉にすることで、磁束のほぼ全てが固定コア39とアンカー部36の間を通過するため、効率良く磁気吸引力を得ることができる。
[0061]
 上記磁気吸引力が前記(2)式の弁が開弁する方向の力f1を上回った時に、可動部であるアンカー部36がロッド35と共に固定コア39に引き寄せられる運動、またコア39とアンカー部36が接触し、接触を継続することを可能とする。
[0062]
 本発明に係る高圧燃料供給ポンプの上記構成によれば、ポンプ作動における吸入、戻し、吐出の各工程において、以下のように作動する。
[0063]
 まず吸入工程について説明する。吸入工程では、図3のカム93の回転により、プランジャ2がカム93方向に移動(プランジャ2が下降)する。つまりプランジャ2位置が上死点から下死点に移動している。吸入工程状態にある時は、例えば図1を参照しながら説明すると、加圧室11の容積は増加し加圧室11内の燃料圧力が低下する。この工程で加圧室11内の燃料圧力が吸入通路10dの圧力よりも低くなると、燃料は、開口状態にある吸入弁30を通り、高圧燃料供給ポンプ本体1に設けられた連通穴1bと、シリンダ外周通路6a、6bを通過し、加圧室11に流入する。
[0064]
 吸入工程における電磁吸入弁300側の各部位置関係が図4に示されているので図4を参照しながら説明する。この状態では、電磁コイル43は無通電状態を維持したままであり磁気付勢力は作用していない。よって、吸入弁30は、ロッド付勢ばね40の付勢力により、ロッド35に押圧された状態であり、開弁したままである。
[0065]
 次に戻し工程について説明する。戻し工程では、図3のカム93の回転により、プランジャ2が上昇方向に移動する。つまりプランジャ2位置が下死点から上死点に向かって、移動し始めている。このとき加圧室11の容積は、プランジャ2における吸入後の圧縮運動に伴い減少するが、この状態では、一度加圧室11に吸入された燃料が、再び開弁状態の吸入弁30を通して吸入通路10dへと戻されるので、加圧室の圧力が上昇することは無い。この工程を戻し工程と称する。
[0066]
 この状態で、エンジンコントロールユニット27からの制御信号が電磁吸入弁300に印加されると、戻し工程から吐出工程に移行する。制御信号が電磁吸入弁300に印加されると、コイル部Cにおいて磁気吸引力が発生し、これが各部に作用することになる。磁気吸引力作用時における電磁吸入弁300側の各部位置関係が図5に示されているので図5を参照しながら説明する。この状態では、アウターコア38、第一ヨーク42、第二ヨーク44、固定コア39、アンカー部36で磁気回路を形成し、コイルに電流を与えると、固定コア39、アンカー部36間に磁気吸引力が発生し、互いに引き寄せられる力が発生する。アンカー部36が固定部である固定コア39に吸引されると、アンカー部36とロッドつば部35aの係止機構により、ロッド35が吸入弁30から離れる方向に移動する。このとき、吸入弁付勢ばね33による付勢力と燃料が吸入通路10dに流れ込むことによる流体力により吸入弁30が閉弁する。閉弁後、加圧室11の燃料圧力はプランジャ2の上昇運動と共に上昇し、燃料吐出口12の圧力以上になると、吐出弁機構8を介して燃料の高圧吐出が行われ、コモンレール23へと供給される。この工程を吐出工程と称する。
[0067]
 すなわち、プランジャ2の圧縮工程(下始点から上始点までの間の上昇工程)は、戻し工程と吐出工程からなる。そして、電磁吸入弁300のコイル43への通電タイミングを制御することで、吐出される高圧燃料の量を制御することができる。電磁コイル43へ通電するタイミングを早くすれば、圧縮工程中の、戻し工程の割合が小さく、吐出工程の割合が大きい。すなわち、吸入通路10dに戻される燃料が少なく、高圧吐出される燃料は多くなる。一方、通電するタイミングを遅くすれば圧縮工程中の、戻し工程の割合が大きく吐出工程の割合が小さい。すなわち、吸入通路10dに戻される燃料が多く、高圧吐出される燃料は少なくなる。電磁コイル43への通電タイミングは、エンジンコントロールユニット27からの指令によって制御される。
[0068]
 以上のように構成することで、電磁コイル43への通電タイミングを制御することで、高圧吐出される燃料の量を内燃機関が必要とする量に制御することが出来る。
[0069]
 図6には、吐出工程における電磁吸入弁300側の各部位置関係が示されている。ここには、ポンプ室の圧力が十分増加した後の吸入弁が閉まった状態での、電磁コイル43への通電が解除された無通電の状態の図を示している。この状態では、次の周期の工程に備えて、次回の磁気吸引力発生、作用を有効に行わせるための体制を整えている。本構造では、この体制整備を行うことに特徴を有している。
[0070]
 図7のタイミングチャートには、上から順にa)プランジャ2の位置、b)コイル電流、c)吸入弁30の位置、d)ロッド35の位置、e)アンカー部36の位置、f)加圧室内圧力を示している。また横軸には、吸入工程から戻し工程、吐出工程を経て吸入工程に戻る一周期期間における各時刻tを時系列的に表示している。
[0071]
 図7の、a)プランジャ2の位置によれば、吸入工程はプランジャ2の位置が上死点から下死点に至る期間であり、戻し工程と吐出工程の期間がプランジャ2の位置が下死点から上死点に至る期間である。またb)コイル電流によれば、吸入工程の中でコイルに一旦吸引電流を流した後、通電を停止し、さらに、戻し工程の中でコイルに吸引電流を流し、それに引き続いて保持電流を流している状態の中で、吐出工程に移行する。本発明での電流制御については、後で詳細に説明する。
[0072]
 さらに、C)吸入弁30の位置、d)ロッド35の位置、e)アンカー部36の位置は、b)コイル電流の通流による磁気吸引力発生に対応してそれぞれの位置が変化し、吸入工程の初期に元の位置に復帰している。これらの位置変化を受けて、f)加圧室内圧力は吐出工程の期間に高い圧力となる。
[0073]
 以下、各工程での各部動作とその時の各物理量との関係について、説明する。まず、吸入工程について、時刻t0においてプランジャ2が上死点から下降を始めると、f)加圧室内の圧力が例えば20MPaレベルの高圧の状態から急激に小さくなる。この圧力低下に伴い、前述の(2)式の、弁が開弁する方向の力f1により、時刻t1においてロッド35、アンカー部36、吸入弁30が、吸入弁30の開弁方向に移動を始め、時刻t2において吸入弁30が全開、ロッド35とアンカー部36が図3の開弁位置状態となる。これにより吸入弁30が開弁することで、吸入弁シートの通路31bからバルブシート31内径側に流入した燃料が、加圧室内に吸入され始める。吸入工程初期における移動の際に、吸入弁30は吸入弁ストッパ32に衝突し、吸入弁30はその位置で停止する。同じくロッド35も先端が吸入弁30に接触する位置(図7におけるプランジャロッドの開弁位置)で停止する。
[0074]
 これに対しアンカー部36は、当初ロッド35と同速度で吸入弁30開弁方向に移動するが、ロッド35が吸入弁30に接触し停止した時刻t2後でも慣性力で移動を続けようとする。図7のOAに示す部分がこのオーバーシュートの領域である。この際、アンカー部付勢ばね41がその慣性力に打ち勝ち、アンカー部36は再び固定コア39に近付く方向に移動をし、ロッドつば部35aにアンカー部36が押し当てられる形で接触する位置(図7におけるアンカー部開弁位置)で停止することができる。ロッド35とアンカー部36の再接触によるアンカー部36の停止時刻がt3で示されている。停止時刻t3以降の安定状態における時刻t4でのアンカー部36、ロッド35、吸入弁30の各位置を示す状態が図4に示されている。
[0075]
 なお前述及び図7においては、OAに示す部分で、ロッド35とアンカー部36とが完全に離れる説明としているが、ロッド35とアンカー部36とが接触したままの状態でも良い。言い換えると、ロッドつば部35aとアンカー部36との接触部に作用する荷重は、ロッドの運動停止後減少し、0になるとアンカー部36がロッドに対し分離を開始するが、0にならず僅かの荷重を残すアンカー部付勢ばね41の設定力でも良い。吸入弁30が吸入弁ストッパ32に衝突する時には、製品としての重要な特性となる異音の問題が発生する。異音の大きさは前記衝突時のエネルギーの大きさに起因するが、本発明ではロッド35とアンカー部36とを別体に構成しているために、吸入弁ストッパ32に衝突するエネルギーは、吸入弁30の質量とロッド35の質量のみで発生することとなる。すなわちアンカー部36の質量は衝突エネルギーに寄与しないため、ロッド35とアンカー部36とを別体に構成することで、異音の問題を低減することができる。
[0076]
 なおロッド35とアンカー部36とを別体に構成したとしても、アンカー部付勢ばね41が無い構成の場合、前記慣性力でアンカー部36は吸入弁30の開弁方向に移動を続け、ロッドガイド37の中央軸受部37bに衝突し、前記衝突部とは相違する部分で異音が発生する問題が起こる。異音の問題に加え、衝突することでアンカー部36とロッドガイド37の摩耗や変形等が起こるばかりでなく、前記摩耗により金属異物が発生し、その異物が摺動部やシート部に挟まることで、又、変形し軸受機能を損なうことで、吸入弁ソレノイド機構の機能を損なう恐れがある。
[0077]
 また、アンカー部付勢ばね41が無い構成の場合、アンカー部が前記慣性力でコア39から離れ過ぎてしまう(図7のOA部)ため、動作時刻として後工程である、戻し工程から吐出工程に遷移させるためにコイル部に電流を加えた時に、必要な磁気吸引力が得られない問題が発生する。必要な磁気吸引力が得られない場合、高圧燃料供給ポンプから吐出する燃料を所望の流量に制御出来ない大きな問題となる。
[0078]
 このため、アンカー部付勢ばね41は前記問題を発生させないための重要な機能を持っている。
[0079]
 吸入弁30が開弁した後、さらにプランジャ2が降下を行い下死点に到達(時刻t5)する。この間、加圧室11には燃料が流入し続け、この工程が吸入工程である。下死点まで降下したプランジャ2は、上昇工程に入り、戻し工程に移行する。
[0080]
 このとき、吸入弁30は前記弁が開弁する方向の力f1で開弁状態に停止したままであり、吸入弁30を通過する流体の方向が真逆になる。すなわち吸入工程では、燃料が吸入弁シート通路31bから加圧室11に流入していたのに対し、上昇工程となった時点で、加圧室11から吸入弁シート通路31b方向に戻される。この工程が戻し工程である。
[0081]
 この戻し工程において、エンジン高回転時すなわちプランジャ2の上昇速度が大きい条件において、戻される流体による吸入弁30の閉弁力が増大し、前記弁が開弁する方向の力f1が小さくなる。この条件において、各ばね力の設定力を誤り、弁が開弁する方向の力f1が負の値になった場合、吸入弁30は意図せず閉弁してしまう。所望の吐出流量よりも大きな流量が吐出されてしまうため、燃料配管内の圧力が所望の圧力以上に上昇し、エンジンの燃焼制御に悪影響を及ぼすことになる。そのため、プランジャ2の上昇速度が最も大きい条件で、前記弁が開弁する方向の力f1が正の値を保つように各ばね力を設定する必要がある。
[0082]
 この戻し工程の途中の時刻t6においてコイル電流通電し、これにより、戻し工程から吐出工程への遷移状態を作り出す。なお図7においてt7は吸入弁30の閉弁運動開始時刻、t8は保持電流開始時刻、t9は吸入弁30の閉弁時刻、t10は通電終了時刻を意味している。
[0083]
 この場合に、所望の吐出時刻よりも、磁気吸引力の発生遅れ、吸入弁30の閉弁遅れを考慮した早い時刻において、電磁コイル43に電流が与えられると、アンカー部36と固定コア39の間に磁気吸引力が働く。電流は前記弁が開弁する方向の力f1に打ち勝つに必要な大きさの電流を与える必要がある。この磁気吸引力が、前記弁が開弁する方向の力f1に打ち勝った時点t7で、アンカー部36が固定コア39方向へ移動を開始する。アンカー部36が移動することで、軸方向につば部35aで接触しているロッド35も同じく移動し、吸入弁30が吸入弁付勢ばね33の力と、流体力、主には、加圧室側からシート部を通過する流速による静圧の低下により閉弁を完了(時刻t9)する。
[0084]
 電磁コイル43に電流が与えられた時、アンカー部36と固定コア39が規定の距離より離れすぎている場合、すなわちアンカー部36が図7の「開弁位置」を超えて、OAの状態が継続した場合、前記磁気吸引力が弱いために前記弁が開弁する方向の力f1に打ち勝つことができず、アンカー部36が固定コア39側に移動することに時間を要したり、移動できない問題が発生する。
[0085]
 この問題を起こさない為に本発明ではアンカー部付勢ばね41を設けている。アンカー部36が所望のタイミングで固定コア39に移動できない場合、吐出したいタイミングにおいても吸入弁30が開いた状態を維持するため、吐出工程が開始できず、すなわち必要な吐出量が得られないため所望のエンジン燃焼ができない懸念がある。このため、アンカー部付勢ばね41は、吸入工程で発生が懸念される異音問題を防止するため、また吐出工程が開始できない問題を防止するための重要な機能を持っている。
[0086]
 図7において、移動を始めたc)吸入弁30は、シート部31aに衝突し停止することで、閉弁状態となる。閉弁すると、筒内圧が急速に増大するため、吸入弁30は筒内圧により閉弁方向に前記弁が開弁する方向の力f1よりも遥かに大きい力で強固に押し付けられ、閉弁状態の維持を開始する。
[0087]
 e)アンカー部36についても、固定コア39に衝突し停止する。ロッド35はアンカー部36停止後も慣性力で運動を続けるが、ロッド付勢ばね40が慣性力に打ち勝ち押し戻され、つば部35aがアンカー部に接触する位置まで戻ることができる構成としている。
[0088]
 アンカー部36が固定コア39に衝突する時には、製品としての重要な特性となる異音の問題が発生する。この異音は、前述した吸入弁30と吸入弁ストッパ32とが衝突する異音の大きさよりも大きくより問題となる。異音の大きさは前記衝突時のエネルギーの大きさに起因するが、ロッド35とアンカー部36とを別体に構成しているために、固定コア39に衝突するエネルギーは、アンカー部36の質量のみで発生することとなる。すなわちロッド35の質量は衝突エネルギーに寄与しないため、ロッド35とアンカー部36とを別体に構成することで、異音の問題を低減している。
[0089]
 一度アンカー部36が固定コア39に接触した時刻t8後は、接触することにより十分な磁気吸引力が発生しているため、接触を保持するためだけの小さな電流値(保持電流)とすることができる。
[0090]
 ここで、本発明の電流制御について図7を用いて詳細に説明する。
[0091]
 時刻t6にコイルへの通電を開始すると磁気吸引力が発生し、磁気吸引力が、前記弁が開弁する方向の力f1に打ち勝った時点の時刻t7で、アンカー部36が固定コア39へ移動を開始する。一定の時間吸引電流を通電した後に、時刻t8で固定コア39がアンカー部36と当接した状態を維持するための保持電流に切り替える。その後、時刻t9で閉弁し、時刻t10にて通電を終了するが、時刻t9の閉弁時に、アンカー部36と固定コア39との当接の際の衝突により異音つまり騒音が発生することが分かっている。
[0092]
 衝突による騒音を低減するには、衝突エネルギーを低減する必要がある。具体的には、上述の通り、ロッド部35とアンカー部36を別体にすることによる衝突する質量の低減が挙げられる。また、アンカー部36と固定コア39との距離つまりギャップを狭くすることも衝突時のアンカー部36の速度を低減できるため有効である。
[0093]
 さらに、衝突時のアンカー部36の速度を低減する手段として、電流制御が挙げられる。これは、図7のコイル電流波形のように、時刻t6の通電時には、比較的大きめの吸引電流を通電し、アンカー部36と固定コア39が衝突する手前の時刻t8で吸引電流より低い電流、例えば、閉弁状態を保持できる保持電流に切り替える方法である。磁気吸引力が低下するので、アンカー部36の移動する速度を低減でき、衝突する際の衝突エネルギーつまり発生騒音を低減できる。
[0094]
 ここでは、印加する電流の波形を前半が大きめで後半が前半に比べて低めの2段階になっているが、通電開始の時刻t6に吸引電流を印加して閉弁が開始し、アンカー部36と固定コア39が衝突する手前に、保持電流よりさらに低い電流に切り替えて、衝突した後に保持電流へ切り替える方法も可能である。
[0095]
 時刻t9の閉弁後の時刻t10で通電終了となると、磁気吸引力がなくなるため前述の(2)式の弁が開弁する方向の力f1により、ロッド部35がロッド付勢ばね40に押されて移動を開始し、それに連動してアンカー部36も開弁方向に移動を開始する。そして、アンカー部36とロッド部35が吸入弁30に当接する。ここでアンカー部36は慣性によりロッド部35が吸入弁30に当接して停止した後も開弁方向に若干動く(OB)がアンカー付勢ばね41によりロッド部35と同じ位置に停止する。当接後、その状態でしばらく維持するが、プランジャ2が上死点(TDC)を通過して下降を始めて吸入工程に入ると、弁が開弁する方向の力f1により、時刻t11において、ロッド部35、アンカー部36、吸入弁30が一体で、吸入弁30の開弁方向へ移動を開始し、吸入弁30が吸入弁ストッパ32に当接し開弁が完了する。
[0096]
 ここで、吸入弁30と吸入弁ストッパ32が当接する際に、衝突により異音つまり騒音が発生する。そこで、本発明では、その衝突による騒音を低減するために、開弁するときに電流を再度印加している。
[0097]
 加圧室の吸入側に配置される吸入弁30と、前記吸入弁30を開弁方向に付勢するロッド部35と、ソレノイドは、通電されることで生じる磁気吸引力により吸引されロッド部35を閉弁方向に移動させるアンカー部36とを備えた高圧燃料供給ポンプの制御方法において、アンカー部36が開弁方向に移動する際に第1駆動電流を所定時間、前記ソレノイドに流した後に、前記第1駆動電流よりも大きい第2駆動電流を所定時間、前記ソレノイドに流す。また、前記した制御に伴い、前記アンカーは、前記アンカーが開弁方向に移動する際に第1駆動電流が所定時間、前記ソレノイドに流れた後に、前記第1駆動電流よりも大きい第2駆動電流が所定時間、前記ソレノイドに流れることで閉弁方向への電磁吸引力が作用する。
[0098]
 図7で示すように、時刻t13において、電流値を第1の電流値より高い第2の電流値に切り替える。ソレノイドへの通電が終了するとアンカー部36及びロッド部35は開弁方向へと移動し、ロッド部35は吸入弁30及び吸入弁ストッパ32へと当接・着座するが、その衝突音が非常に大きいことが問題となっている。そこで、閉弁動作終了後、吸入弁30を開弁させる際にも再度電磁コイル43に通電することにより、ロッド35の移動速度にブレーキをかける。この電磁コイル43への通電により、吸入弁30が吸入弁ストッパ32に衝突するスピードを低減し結果的に衝突音の低減が可能となる。また、第2駆動電流をかける時点において、アンカー部36及びロッド部35は固定コア39と逆方向に進行しており、第1駆動電流をかけた時点よりも、電磁コイル43の電流が届きにくい位置に移動している。よって、第2駆動電流は第1駆動電流よりも大きい電流をかける必要がある。ここで、印加する電流は、インパルス的にある値の電流値をある期間流すような、単発で印加する方式よりも複数段、例えば本発明のような2段階の形状にするのが望ましいと考える。理由を以下に述べる。単発での印加で、比較的小さな電流、例えば、保持電流より小さい電流を印加する場合、開弁開始前などの早いタイミングで印加すると、磁気吸引力によって吸入弁30は減速されるものの磁気吸引力が小さいため衝突時の騒音低減の効果は小さいと考えられ、開弁開始後の遅いタイミングで印加すると、発生する磁気吸引力が小さいため、吸入弁30の減速ができずに入弁ストッパ32に当接し、騒音低減効果が得られない可能性があると考えられる。
[0099]
 以上に述べたように、この通電を複数段階、例えば本実施例のように二段階に分割して行うことにより、ソフトランディングが可能となる。
[0100]
 次に、最大駆動電流を前記ソレノイドに流すことでアンカー部36を閉弁方向に移動させ、前記第1駆動電流は前記最大駆動電流よりも小さくなるよう設定する。ここで最大駆動電流とは、図7でいうところの吸引電流を指し、固定コア39側にアンカー部36及びロッド35を引きつけ、閉弁状態を保持するために比較的大きな電流値の電流をかけている。ここで、第1駆動電流とは、図7で示すところの時刻t11において通電が開始するものである。第1駆動電流はアンカー部36を開弁方向に移動させる際にかけるほど、大きい電流をかけると、吸入弁30が磁気吸引力により引っ張られ、開弁しなくなるといった問題が確認されているため、第1駆動電流は、最大駆動電流よりも小さな電流を流す必要がある。上記のように制御することで、吸入弁30を吸入弁ストッパ32に対し、ソフトランディングさせることができる。
[0101]
 アンカー部36は、最大駆動電流を前記ソレノイドに流すことで閉弁方向に移動させられ、その後、前記最大駆動電流よりも小さい保持電流を前記ソレノイドに流すことで前記アンカー部36を閉弁位置に保持させ、前記第1駆動電流は前記保持電流よりも小さく設定する。この動きに伴い、アンカー部36は、閉弁位置に保持されることを特徴とする。
[0102]
 保持電流とは、固定コア39側にアンカー部36とロッド部35を引きつけ続けるために必要な電流である。保持電流の通電終了後、アンカー部36及びロッド部35が吸入弁及び吸入弁ストッパ32に衝突する際の衝突音を抑える目的で第1駆動電流を通電する。第一駆動電流は、第1駆動電流はアンカー部36を開弁方向に移動させる際にかけるものであるため、仮に大きな電流をかけた場合、吸入弁30が磁気吸引力により引っ張られ、開弁しなくなるという問題が確認されている。そのため第1駆動電流は、最大駆動電流よりも小さな電流を流す必要がある。上記のように制御することにより、吸入弁30を吸入弁ストッパ32に対し、ソフトランディングさせることができるという特有の効果を奏す。
[0103]
 次に、最大駆動電流を前記ソレノイドに流すことでアンカー部36を閉弁方向に移動させ、その後、前記最大駆動電流よりも小さい保持電流を前記ソレノイドに流すことで前記アンカー部36を閉弁位置に保持させ、前記第1駆動電流は、前記保持電流よりも小さく、前記第2駆動電流は前記保持電流以上とする。
[0104]
 例えば、第1の電流は保持電流より低く、第2の電流は保持電流より高くすることが考えられる。このような最初に低い電流値、後に高い電流値という2段階の電流波形を印加することで開弁時の衝突騒音を低減できると考える。従来のように電流を印加しない場合においては、電磁加振力がゼロであるので、ロッド部35、アンカー部36、吸入弁30が開弁する方向の力f1により一体で加速を始め、内部の流体抵抗などで少しは減速する可能性はあるが、ある程度加速された後の速度で吸入弁ストッパ32と衝突するため騒音が発生する。
[0105]
 本発明のように、開弁開始後に電流を再度印加することによって、磁気吸引力が発生し、前述の開弁する方向の力f1に対して閉弁の方向に力がかかるので、制動つまりブレーキをかけることができる。これにより、衝突時のロッド部35、アンカー部36、吸入弁30の速度を低減できるため、衝突時の騒音を低減できる。
[0106]
 プランジャの位置が上死点を過ぎると、新たな燃料を加圧室に吸入する操作に入るため、吸入弁30を開ける動作に入る。吸入弁30閉弁のためのソレノイドへの通電を終了し、吸入弁30開弁のために第一の電流値を通電させる際は、上死点以降で前記第1駆動電流を前記ソレノイドに通電する。上死点以降で第一駆動電流を通電することで、時刻t10での通電終了後、自然に開弁方向への移動を開始した際の速度制御を行うことができる。つまり、吸入弁30が吸入弁ストッパ32に当接する直前に電流をかけて行う。この制御により、適切なタイミングで開弁方向への移動時に発生する異音を低減することができる。
[0107]
 言い換えると、前記第1駆動電流、及び前記第2駆動電流は、上死点以降で前記ソレノイドに流される。本実施例、図7に示すように、第1駆動電流及び第2駆動電流は、吸入弁30の開弁時の衝撃音を低減するために印加する電流である。よって上死点以降に印加される必要がある。
[0108]
 次に、アンカー部36は、最大駆動電流を前記ソレノイドに流すことで閉弁方向に移動させられ、前記第2駆動電流は前記最大駆動電流よりも小さくなるように設定する。また、それに伴い、アンカーは、閉弁方向への電磁吸引力が作用することを特徴とする。
[0109]
 ここで、第2駆動電流とは、吸入弁30開弁時に、アンカー部36及びロッド部35が吸入弁ストッパ32に衝突する速度を抑えるため、流す電流である。また、最大駆動電流とは、吸入弁30を閉弁させるために流す、比較的大きな電流である。第2駆動電流として最大駆動電流程度の大きさの電流を印加すると、開弁方向への移動を制御するはずが、閉弁方向へ再度磁気吸引力により吸引されてしまうため、第2駆動電流は最大駆動電流よりも小さくする必要がある。
[0110]
 また、前記アンカー部36は、最大駆動電流が前記ソレノイドに流れることで閉弁方向に移動した後、前記ソレノイドに流れる駆動電流が低下することで開弁方向に移動し、この際に前記第1駆動電流が所定時間、前記ソレノイドに流れた後に、前記第1駆動電流よりも大きい前記第2駆動電流が所定時間、前記ソレノイドに流れることで閉弁方向への電磁吸引力が作用することを特徴とする。
[0111]
 続いて、アンカー部36は最大駆動電流を前記ソレノイドに流すことにより、閉弁方向に移動させられ、前記第1駆動電流及び前記第2駆動電流は、前記最大駆動電流よりも小さい。吸入弁30の最大駆動電流は、吸入弁30を閉弁させるために印加する比較的大きな電流である。また、電流を受ける固定コア39から、ロッド部35とアンカー部36が最も遠い位置に存在するときに、閉弁方向に移動させる必要があるため、前記最大駆動電流が最も大き必要がある。また、第1駆動電流と第2駆動電流は吸入弁30が開弁する際に吸入弁ストッパ32にぶつかる衝撃音の低減のために印加する電流であるため、最大駆動電流より大きい必要はない。
[0112]
 前記第一駆動電流は、ソレノイドに前記保持電流を流した後、前記ソレノイドに流す駆動電流を遮断させた後に前記ソレノイドに流される。そして、吸入弁30と吸入弁ストッパ32が当接した完全開弁状態に電流を停止する。このとき電流を停止する通電終了タイミングは、閉弁が完了した後の方が望ましい。これは、ソレノイドへの通電により、閉弁方向へ移動させていたアンカー部36及びロッド部35を、駆動電流を遮断することにより自然と開弁方向へ移動させ、ロッド部35が吸入弁30及び吸入弁ストッパ32に移動する手前で電流をかけ、衝突音を減少させるという目的であるためである。また、電流をその都度遮断することにより、固定コア39、アンカー部36及びロッド部35の疲労低減も可能となる。
[0113]
 単発での印加で、比較的大きな電流、例えば、保持電流より大きい電流を印加する場合、開弁開始前などの早いタイミングで印加すると、吸入弁30が磁気吸引力に引っ張られて、閉弁方向に戻ってしまう可能性があり、開弁開始後の遅いタイミングで印加すると、磁気吸引力が発生する前に吸入弁30が吸入弁ストッパ32に当接つまり減速する前に当接してしまう可能性がある。
[0114]
 また、単発での印加で、比較的小さな電流、例えば、保持電流より小さい電流を印加する場合、開弁開始前などの早いタイミングで印加すると、磁気吸引力によって吸入弁30は減速されるものの磁気吸引力が小さいため衝突時の騒音低減の効果は小さいと考えられ、開弁開始後の遅いタイミングで印加すると、発生する磁気吸引力が小さいため、吸入弁30の減速ができずに入弁ストッパ32に当接し、騒音低減効果が得られない可能性があると考えられる。
[0115]
 本発明のように、開弁開始後の時刻t12に、まず、吸入弁30が戻らない程度の比較的小さな第1の電流値、例えば、保持電流より小さい電流値を印加して、軽い制動を吸入弁30にかけ、次に、時刻t13で前記の第1の電流より大きい第2の電流値、例えば、保持電流より大きい電流値に切り替えて印加することで、さらに制動をかけて吸入弁30を減速させることができる。このような制御によって、完全開弁時においては、理論上、磁気吸引力とf1とのバランスにより、吸入弁30の速度をゼロにすることが可能であると考える。したがって、吸入弁30と吸入弁ストッパ32との当接による衝突音を低減することが可能となる。
[0116]
 また、吸入弁30閉弁時の電流波形と開弁時の電流波形が上死点を挟んで対称の相似形となるように設定する。開弁時の移動距離と、閉弁時の移動距離は同一であるため、開弁時も、閉弁時もかける電流は相似形となるよう構成することを特徴とする。閉弁時の電流印加の波形が決定すれば、開弁時の電流印加の波形が決定するため、制御の工程の簡略化が可能となる。
実施例 2
[0117]
 図8に実施例2の高圧燃料供給ポンプの電磁弁動作のタイミングチャートを示す。同図のb)コイル電流以外は、実施例1と同様であるので説明は割愛し、ここでは、コイル電流の時間波形による発生する異音つまり騒音の低減効果について説明する。
[0118]
 同図に示すように、開弁から閉弁に移る時の電流波形は図7と同様であるが、閉弁から開弁に移る時の電流波形が図7と異なり、3段、つまり、最初に低い電流の第1の電流値、次に、第1の電流値より高い第2の電流値、最後に第2の電流値より高い第3の電流値を印加する波形になっている。このように2段以上の複数段にすることによって、よりきめ細かい電流による磁気吸引力の制御ができるので、よりきめ細かく吸入弁30の移動速度を制御することができ、上述した完全開弁時に吸入弁30の速度をゼロになるようなソフトランディングが可能となる。
[0119]
 以上で説明を終えるが、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

符号の説明

[0120]
 1:ポンプ本体
 2:プランジャ
 6:シリンダ
 7:シールホルダ
 8:吐出弁機構
 9:圧力脈動低減機構
 10a:低圧燃料吸入口
 11:加圧室
 12:燃料吐出口
 13:プランジャシール
 30:吸入弁
 31:吸入弁シート
 32:吸入弁ストッパ
 33:吸入弁ばね
 35:ロッド
 36:アンカー部
 38:アウターコア
 39:固定コア
 40:ロッド付勢ばね
 41:アンカー部付勢ばね
 43:電磁コイル
 300:電磁吸入弁
 361:磁路形成部
 362:ガイド部

請求の範囲

[請求項1]
 加圧室の吸入側に配置される吸入弁と、前記吸入弁を開弁方向に付勢するロッドと、ソレノイドが通電されることで生じる磁気吸引力により吸引され前記ロッドを閉弁方向に移動させるアンカーとを備えた高圧燃料供給ポンプの制御方法において、
 前記アンカーが開弁方向に移動する際に第1駆動電流を所定時間、前記ソレノイドに流した後に、前記第1駆動電流よりも大きい第2駆動電流を所定時間、前記ソレノイドに流すことを特徴とする高圧燃料供給ポンプの制御方法。
[請求項2]
 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプの制御方法において、
 最大駆動電流を前記ソレノイドに流すことでアンカーを閉弁方向に移動させ、
 前記第1駆動電流は前記最大駆動電流よりも小さいことを特徴とする高圧燃料供給ポンプの制御方法。
[請求項3]
 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプの制御方法において、
 最大駆動電流を前記ソレノイドに流すことでアンカーを閉弁方向に移動させ、その後、前記最大駆動電流よりも小さい保持電流を前記ソレノイドに流すことで前記アンカーを閉弁位置に保持させ、
 前記第1駆動電流は前記保持電流よりも小さいことを特徴とする高圧燃料供給ポンプの制御方法。
[請求項4]
 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプの制御方法において、
 最大駆動電流を前記ソレノイドに流すことでアンカーを閉弁方向に移動させ、その後、前記最大駆動電流よりも小さい保持電流を前記ソレノイドに流すことで前記アンカーを閉弁位置に保持させ、
 前記第1駆動電流は前記保持電流よりも小さく、前記第2駆動電流は前記保持電流以上であることを特徴とする高圧燃料供給ポンプの制御方法。
[請求項5]
 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプの制御方法において、
 上死点以降で前記第1駆動電流を前記ソレノイドに流すことを特徴とする高圧燃料供給ポンプの制御方法。
[請求項6]
 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプの制御方法において、
 前上死点以降で前記第1駆動電流、及び前記第2駆動電流を前記ソレノイドに流すことを特徴とする高圧燃料供給ポンプの制御方法。
[請求項7]
 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプの制御方法において、
 最大駆動電流を前記ソレノイドに流すことでアンカーを閉弁方向に移動させ、
 前記第2駆動電流は前記最大駆動電流よりも小さいことを特徴とする高圧燃料供給ポンプの制御方法。
[請求項8]
 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプの制御方法において、
 最大駆動電流を前記ソレノイドに流すことでアンカーを閉弁方向に移動させ、
 前記第1駆動電流及び前記第2駆動電流は前記最大駆動電流よりも小さいことを特徴とする高圧燃料供給ポンプの制御方法。
[請求項9]
 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプの制御方法において、
 前記保持電流を前記ソレノイドに流した後、前記ソレノイドに流す駆動電流を遮断させ、さらにその後、前記第1駆動電流を前記ソレノイドに流すことを特徴とする高圧燃料供給ポンプの制御方法。
[請求項10]
 吸入弁閉弁時の電流波形と開弁時の電流波形が上死点を挟んで対称の相似形となることを特徴とした高圧燃料供給ポンプの制御方法。
[請求項11]
 加圧室の吸入側に配置される吸入弁と、
 前記吸入弁を開弁方向に付勢するロッドと、ソレノイドが通電されることで生じる磁気吸引力により吸引され前記ロッドを閉弁方向に移動させるアンカーとを備えた高圧燃料供給ポンプにおいて、
 前記アンカーは、前記アンカーが開弁方向に移動する際に第1駆動電流が所定時間、前記ソレノイドに流れた後に、前記第1駆動電流よりも大きい第2駆動電流が所定時間、前記ソレノイドに流れることで閉弁方向への電磁吸引力が作用することを特徴とする高圧燃料供給ポンプ
[請求項12]
 請求項11に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
 前記アンカーは、最大駆動電流が前記ソレノイドに流れることで閉弁方向に移動した後、前記ソレノイドに流れる駆動電流が低下することで開弁方向に移動し、この際に前記第1駆動電流が所定時間、前記ソレノイドに流れた後に、前記第1駆動電流よりも大きい前記第2駆動電流が所定時間、前記ソレノイドに流れることで閉弁方向への電磁吸引力が作用することを特徴とする高圧燃料供給ポンプ
[請求項13]
 請求項12に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
 前記アンカーは、最大駆動電流が前記ソレノイドに流れることで閉弁方向に移動し、その後、前記最大駆動電流よりも小さい保持電流が前記ソレノイドに流れることで閉弁位置に保持されることを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]