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1. (WO2017094288) METHOD FOR MANUFACTURING RUBBER ARTICLE MOLD AND RUBBER ARTICLE MOLD
Document

明 細 書

発明の名称 ゴム物品用モールドの製造方法及びゴム物品用モールド

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008  

課題を解決するための手段

0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066  

符号の説明

0067  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17  

明 細 書

発明の名称 : ゴム物品用モールドの製造方法及びゴム物品用モールド

技術分野

[0001]
 本発明は、複数の分割モールドを備えたゴム物品用モールドの製造方法と、ゴム物品用モールドに関する。

背景技術

[0002]
 複数の分割モールドを備えたゴム物品用モールドにおいては、複数の分割モールドが分割面を対向させて組み合わされて、複数の分割モールドによりゴム物品が成形される。また、ゴム物品は、分割モールドに押し付けられ、分割モールドにより加熱されて硬化する。その際、ゴム物品と分割モールドの間に空気が閉じ込められて、ゴムの充填不足(ベア、気泡等)がゴム物品に発生することがある。特に、ゴム物品であるタイヤは、トレッド部に複雑な溝を有しており、タイヤ用の分割モールドは、タイヤの溝に対応する複雑な突起を有する。そのため、突起により、分割モールドとタイヤの間に閉じた空間が形成されて、ゴムの充填不足が発生し易い。
[0003]
 ゴムの充填不足を防止するため、ゴム物品用モールドは、一般に、分割モールドに空気抜き機構(ベント部)を有し、空気抜き機構により空気を排出する。空気抜き機構は、例えば、分割モールドに形成された貫通孔(ベントホール)、又は、分割モールドの間に形成されるスリット(スリットベント)である。ベントホールは、スリットベントに比べて、分割モールドに容易に形成できる。ところが、ベントホールにゴムが入ることで、ひげ状のゴム(スピュー)がゴム物品に形成されて、ゴム物品の外観又は初期性能に影響が生じる虞がある。
[0004]
 スリットベントは、分割面のスリット形成部により、分割モールドの間に形成される。スリットベントでは、幅と形状を調整することで、スリットベントにゴムが入るのが抑制され、ゴム物品にゴムのバリが生じるのが抑制される。しかしながら、このようなスリットベントのスリット形成部を分割モールドの分割面に精度よく形成するのは難しく、スリット形成部の形成には高い技術を要する。そのため、ゴム物品用モールドの製造工数とコストが増加することがある。
[0005]
 これに対し、従来、ピース金型(分割モールド)を鋳造により製作して、シムにより、ピース金型の間の隙間(スリットベント)を形成するタイヤ成形用の金型が知られている(特許文献1参照)。
[0006]
 しかしながら、特許文献1に記載された従来の金型では、タイヤを繰り返し成形することで、ピース金型の分割面が次第に変形する虞がある。この場合には、スリットベントの状態(例えば、形状、寸法)を長期間にわたって維持するのは難しく、分割面のスリットベントが次第に変化する。また、ピース金型のクリーニング時に、浸食性の高いクリーニング手法(例えば、サンドブラスト)を用いることで、スリット形成部が損なわれて、スリットベントが変化する虞もある。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2007-15152号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、複数の分割モールドを備えるゴム物品用モールドにおいて、分割モールドの分割面にスリット形成部を容易に形成し、スリット形成部により形成されるスリットベントの変化を抑制することである。

課題を解決するための手段

[0009]
 本発明は、分割面を対向させて組み合わされてゴム物品を成形する複数の分割モールド、及び、分割モールドの間にスリットベントを形成する分割面のスリット形成部を備えるゴム物品用モールドの製造方法である。ゴム物品用モールドの製造方法は、スリット形成部を含む分割面を分割モールドに形成する形成工程と、分割モールドの分割面にメッキを施して、スリット形成部が形成された分割面をメッキ皮膜で被覆するメッキ工程と、を有する。
 また、本発明は、分割面を対向させて組み合わされてゴム物品を成形する複数の分割モールド、及び、分割モールドの間にスリットベントを形成する分割面のスリット形成部を備えるゴム物品用モールドである。ゴム物品用モールドは、スリット形成部が形成された分割面を被覆するメッキ皮膜を有する。

発明の効果

[0010]
 本発明によれば、複数の分割モールドを備えるゴム物品用モールドにおいて、分割モールドの分割面にスリット形成部を容易に形成でき、スリット形成部により形成されるスリットベントの変化を抑制することができる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 第1実施形態のゴム物品用モールドを示す図である。
[図2] 第1実施形態のゴム物品用モールドの分割モールドを示す図である。
[図3] メッキを施した分割モールドを示す図である。
[図4] 第2実施形態のゴム物品用モールドの製造手順を示す図である。
[図5] 第2実施形態のゴム物品用モールドの製造手順を示す図である。
[図6] 第2実施形態のゴム物品用モールドの製造手順を示す図である。
[図7] 第3実施形態のゴム物品用モールドの製造手順を示す図である。
[図8] 第3実施形態のゴム物品用モールドの製造手順を示す図である。
[図9] 第3実施形態のゴム物品用モールドの製造手順を示す図である。
[図10] 第4実施形態のゴム物品用モールドの製造手順を示す図である。
[図11] 第4実施形態のゴム物品用モールドの製造手順を示す図である。
[図12] 第4実施形態のゴム物品用モールドの製造手順を示す図である。
[図13] 第4実施形態のゴム物品用モールドの製造手順を示す図である。
[図14] 第5実施形態のゴム物品用モールドの製造手順を示す図である。
[図15] 第5実施形態のゴム物品用モールドの製造手順を示す図である。
[図16] 第5実施形態のゴム物品用モールドの製造手順を示す図である。
[図17] 第5実施形態のゴム物品用モールドの製造手順を示す図である。

発明を実施するための形態

[0012]
 本発明のゴム物品用モールドの製造方法、及び、ゴム物品用モールドの一実施形態について、図面を参照して説明する。
 本実施形態のゴム物品用モールドは、ゴム物品(ゴム製の物品)を成形するゴム成形用モールドであり、本実施形態のゴム物品用モールドの製造方法により製造される。以下では、ゴム物品用モールドがタイヤ用モールド(タイヤ成形用モールド)である場合を例にとり、ゴム物品用モールド(以下、単に、モールドという)の製造方法、及び、モールドの複数の実施形態について説明する。従って、ゴム物品は、タイヤであり、モールドは、タイヤの成形時(加硫時)にタイヤ用モールドとして用いられて、タイヤを成形する。
[0013]
 (第1実施形態)
 図1は、第1実施形態のモールド1を示す図であり、モールド1の一部を模式的に示している。図1Aは、モールド1の斜視図であり、図1Bは、図1Aの矢印Y1方向からみたモールド1の断面図である。図1Cは、図1Aの矢印Y2方向からみたモールド1の正面図であり、モールド1の成形部10を示している。
 図示のように、モールド1は、タイヤの外面を成形する外型であり、タイヤを成形する複数の成形部10(図1では、1つの成形部10のみ示す)と、成形部10を保持する保持部材13を有する。複数の成形部10は、モールド1の周方向(モールド周方向S)に分割されたセグメントモールドであり、それぞれタイヤのトレッド部を成形する意匠面部材(トレッドモールド)である。
[0014]
 モールド1の開閉機構により、複数の成形部10が保持部材13とともに接近及び離間して、モールド1が開閉する。複数の成形部10は、モールド1が開いた状態で、モールド周方向Sに離間し、モールド1が閉じた状態で、リング状に組み合わされる。成形部10は、タイヤに接触する成形面11(接触面)と、成形面11に形成された突起12(図1Aでは、省略する)を有する。複数の成形部10は、リング状に組み合わされた状態でタイヤを収容して、成形面11により、タイヤ(ここでは、トレッド部)を成形する。成形面11の突起12は、タイヤの溝に対応する形状に形成され、成形面11から突出して、タイヤに溝を成形する。
[0015]
 モールド1の成形部10は、複数の分割モールド20を有する。複数の分割モールド20は、成形面11を有する成形ピースであり、モールド周方向Sに分割されて、1つの保持部材13により保持される。モールド1の複数の成形部10が、それぞれ複数の分割モールド20に分割されて、複数の分割モールド20が、それぞれ保持部材13に取り付けられる。分割モールド20は、成形面11でタイヤに接触して、成形面11によりタイヤを成形する。その際、複数の分割モールド20は、互いの分割面21、22を対向させて組み合わされる。
[0016]
 分割モールド20の分割面21、22は、隣り合う分割モールド20同士の対向部(分割部)であり、複数の分割モールド20の分割位置T(図1C参照)に配置される。複数の分割モールド20の分割面21、22は、分割位置Tで組み合わされて、互いに対向する。隣り合う2つの成形部10の組み合わせ位置でも、2つの成形部10の分割モールド20は、分割面21、22を対向させて組み合わされる。従って、2つの成形部10の組み合わせ位置は、分割モールド20の分割位置Tでもある。
[0017]
 分割モールド20の分割面21、22は、湾曲面に形成され、保持部材13の端面も、分割面21、22に対応する湾曲面に形成されている。なお、図1A、図1Bでは、分割モールド20の分割面21、22の形状と保持部材13の端面の形状を簡略にして平面で示している。このように、分割モールド20の分割面21、22と保持部材13の端面は、平面に形成してもよく、他の形状(例えば、屈曲形状、ジグザグ形状)に形成してもよい。
[0018]
 モールド1は、複数の分割モールド20と保持部材13の間に形成された複数の排出路14を有する。タイヤの成形時に、空気は、タイヤと分割モールド20の間に閉じ込められずに、成形部10のスリットベントを通って、排出路14に排出される。また、空気は、排出路14を通って、モールド1の外部に排出される。スリットベントは、タイヤと分割モールド20の間の空気を排気するスリット状のベント部であり、分割面21、22のスリット形成部により、隣り合う分割モールド20の間に形成される。
[0019]
 図2は、第1実施形態のモールド1の分割モールド20を示す図であり、図1A、図1Bと同様に、簡略化した1つの分割モールド20を示している。図2Aは、分割モールド20の正面図であり、図2Bは、図2Aの矢印Y3方向からみた分割モールド20の側面図である。図2Cは、図2Aの矢印Y4方向からみた分割モールド20の側面図であり、図2Dは、図2Aの矢印Y5方向からみた分割モールド20の底面図である。
[0020]
 図示のように、スリットベント30は、分割モールド20の成形面11に開口する開口部31と、開口部31から空気を排出する排出部32を有する。開口部31は、成形面11側の分割面21、22の縁部に沿って形成されるとともに、分割面21、22の縁部の全体に形成される。排出部32は、開口部31と分割モールド20の外部とを連結して、開口部31の空気を分割モールド20の外部に排出する。ここでは、排出部32により、開口部31と排出路14とが連結されて、空気が開口部31から排出路14に排出される。
[0021]
 分割モールド20の製作時には、分割モールド20の外面を加工して、スリット形成部23を含む分割面21、22を分割モールド20に形成する。スリット形成部23は、分割面21、22のスリットベント30を形成する部分である。一対の分割面21、22のスリット形成部23は、スリットベント30の壁面を含み、対向して配置される。対向するスリット形成部23により、スリットベント30が区画されて、分割モールド20の間に所定幅のスリットベント30が形成される。なお、スリットベント30の幅は、スリット形成部23における隣り合う分割モールド20の間の距離である。
[0022]
 一方の分割面21では、スリット形状加工により、スリット形状(スリット形成部23)を形成する。分割面21のスリット形成部23は、分割面21に形成された凹部であり、スリットベント30の形状に対応した形状に形成される。凹状のスリット形成部23を含む分割面21が分割モールド20に形成される。他方の分割面22は、平滑面であり、スリット形成部23は、分割面22内で、一方の分割面21のスリット形成部23に対向する部分である。平滑なスリット形成部23を含む分割面22が分割モールド20に形成される。分割面21、22が対向した状態で、一対のスリット形成部23の間の空間(隙間)がスリットベント30になる。
[0023]
 分割面21、22の形成後に、分割モールド20の表面にメッキ(メッキ処理)を施す。従って、分割面21、22の形成時には、メッキ前の形状(中間形状)の分割面21、22を分割モールド20に形成する。中間形状は、メッキを施す状態の形状であり、分割モールド20と分割面21、22は、メッキにより最終形状に形成される。分割モールド20のメッキを施す部分の寸法は、最終寸法からメッキの厚みを引いた寸法である。分割モールド20は、最終形状よりもメッキ分だけ小さい形状に形成される。続いて、分割モールド20の少なくとも分割面21、22にメッキを施す。
[0024]
 図3は、メッキを施した分割モールド20を示す図であり、図2と同様に、1つの分割モールド20を示している。図3では、メッキを施した部分をハッチングで示す。
 図示のように、メッキ処理により、分割モールド20の表面にメッキを施して、メッキ皮膜40を分割モールド20の表面に形成し、分割モールド20の表面をメッキ皮膜40で被覆する。メッキ皮膜40は、所定厚みの金属層であり、硬質金属により形成される。ここでは、メッキは鉄メッキであり、メッキ皮膜40は鉄メッキ皮膜である。鉄メッキにより、鉄、又は、鉄合金のメッキ皮膜40が形成される。
[0025]
 メッキ処理により、形成後の分割面21、22にメッキを施して、スリット形成部23が形成された分割モールド20の分割面21、22をメッキ皮膜40で被覆する。分割面21、22の一部又は全部にメッキが施されて、分割面21、22の一部又は全部にメッキ皮膜40が形成される。これにより、スリット形成部23を含む分割面21、22を最終形状に形成し、メッキ皮膜40で被覆された分割面21、22にスリット形成部23を形成する。ここでは、分割モールド20の全体にメッキを施して、分割モールド20の全体をメッキ皮膜40で被覆する。
[0026]
 分割面21、22の全部(スリット形成部23、及び、スリット形成部23以外の部分)にメッキが施されて、分割面21、22の全部がメッキ皮膜40で被覆される。一方の分割面21では、メッキ皮膜40で被覆された凹状のスリット形成部23が分割面21に形成される。他方の分割面22では、メッキ皮膜40で被覆された平滑なスリット形成部23が分割面22に形成される。タイヤの成形時には、メッキ皮膜40で被覆された分割面21、22が接触して、スリット形成部23によりスリットベント30が形成される。スリットベント30は、スリット形成部23により形成された分割モールド20の間の隙間であり、スリット形成部23のメッキ皮膜40により囲まれる。
[0027]
 モールド1は、複数の分割モールド20、複数のスリット形成部23、及び、複数のスリットベント30を備える。タイヤの成形時に、複数の分割モールド20が分割位置T(図1参照)で組み合わされて、分割面21、22のメッキ皮膜40同士が接触する。スリット形成部23は、メッキ皮膜40を有する分割面21、22に形成され、複数の分割モールド20の間に、スリットベント30を形成する。モールド1は、スリットベント30から空気を排出しつつ、複数の分割モールド20によりタイヤを成形する。これにより、ゴムの充填不足がタイヤに発生するのが抑制される。
[0028]
 以上説明したように、モールド1は、スリット形成部23が形成された分割面21、22を被覆するメッキ皮膜40を有する。メッキ皮膜40により、分割面21、22を強化して、分割面21、22の強度を向上させることができる。その結果、分割面21、22とスリット形成部23が変形し難くなり、タイヤの成形の繰り返しに伴うスリットベント30の変化を抑制することができる。スリットベント30の状態(例えば、形状、寸法)も長期間にわたって維持される。
[0029]
 メッキにより、スリット形成部23を含む分割面21、22の状態を調整して、スリットベント30に対応したスリット形成部23を分割面21、22に容易に形成することができる。また、スリット形成部23を精度よく形成でき、スリットベント30の幅と形状を容易に調整することもできる。そのため、スリットベント30にタイヤのゴムが入るのが抑制され、タイヤにゴムのバリが生じるのが抑制される。
[0030]
 分割モールド20がアルミニウム合金製であるときには、分割モールド20を容易に加工することができる。また、メッキ皮膜40のビッカース硬さ(HV)は150~700であるのが好ましく、メッキ皮膜40の厚みは5~50μmであるのが好ましい。ビッカース硬さが150より小さいときには、メッキ皮膜40により分割面21、22を充分に補強できない虞があり、ビッカース硬さが700より大きいときには、メッキ皮膜40に亀裂が生じ易くなる。ビッカース硬さが150~700であるときには、メッキ皮膜40に亀裂が生じるのを抑制しつつ、メッキ皮膜40により分割面21、22を確実に補強することができる。
[0031]
 メッキ皮膜40の厚みが5μmより薄いときには、メッキ皮膜40により分割面21、22を充分に補強できない虞がある。メッキ皮膜40の厚みが50μmより厚いときには、メッキ皮膜40の厚みにバラツキが生じ易くなり、スリットベント30の幅の精度に影響が生じる虞がある。メッキ皮膜40の厚みが5~50μmであるときには、メッキ皮膜40により分割面21、22を確実に補強できるとともに、スリットベント30の幅の精度を向上させることができる。
[0032]
 メッキは、鉄メッキ以外のメッキ(例えば、ニッケルメッキ、クロムメッキ)であってもよい。ただし、メッキがニッケルメッキであるときには、メッキとタイヤのゴムの化学反応により、メッキへのゴムの密着、又は、ゴムの変色が生じる虞がある。また、メッキが銅メッキであるときには、メッキへのゴムの密着がより生じ易くなる。メッキがクロムメッキであるときには、厚みの増加に応じてクラックが生じ易くなり、メッキ皮膜40の厚みを増加させるのが難しい。ニッケルメッキの後にクロムメッキを施すことで、以上の各問題に対処できるが、メッキ処理のコストが高くなる。これに対し、メッキが鉄メッキであるときには、メッキとゴムの化学反応が生じ難く、メッキ処理のコストも削減できる。また、メッキ皮膜40の機械的性質も向上するため、メッキは鉄メッキであるのが、より好ましい。
[0033]
 なお、分割モールド20の少なくとも分割面21、22をメッキ皮膜40で被覆すればよい。従って、分割モールド20の分割面21、22以外の部分にメッキを施さないようにしてもよい。また、分割モールドは、タイヤのトレッド部以外の部分を成形するモールド(分割面とスリット形成部を有するモールド)であってもよい。複数の成形部10が分割モールドであってもよい。この場合には、成形部10が複数の分割モールド20に分割されず、複数の成形部10が分割面を対向させて組み合わされる。
[0034]
 次に、他の実施形態のモールドの製造方法、及び、モールドについて説明するが、他の実施形態のモールドの製造方法は、基本的には、第1実施形態のモールド1の製造方法と同様に構成され、同様の効果を発揮する。従って、以下では、既に説明した事項と相違する事項を説明し、既に説明した事項と同じ事項の説明は省略する。また、他の実施形態のモールドに関して、モールド1が備える構成に相当する構成には、モールド1の構成と同じ名称と符号を用いる。
[0035]
 (第2実施形態)
 図4~図6は、第2実施形態のモールド2の製造手順を示す図であり、図2、図3と同様に、モールド2の1つの分割モールド20を示している。
 図示のように、モールド2では、分割モールド20の分割面21、22は、平滑面である(図4参照)。平滑なスリット形成部23を含む分割面21、22が分割モールド20に形成される。なお、図4では、一方の分割面21のスリット形成部23(スリット形成部23の形成位置)を点線で示している。
[0036]
 メッキ前に、マスキング処理により、一方の分割面21の一部(メッキ皮膜40で被覆する部分)を除いて、分割モールド20の表面(メッキ皮膜40で被覆しない部分)をマスキング材で覆う(図5参照)。一方の分割面21では、スリット形成部23にマスキング処理を施し、スリット形成部23以外の部分にはマスキング処理を施さない。分割モールド20の分割面21以外の部分にはマスキング処理を施す。その状態で、分割モールド20にメッキを施し、分割モールド20をメッキ皮膜40で被覆する。続いて、マスキング材を分割モールド20から取り除く。これにより、分割面21のスリット形成部23以外の部分のみにメッキを施す。分割面21では、スリット形成部23はメッキ皮膜40で被覆されず、スリット形成部23以外の部分はメッキ皮膜40で被覆される。
[0037]
 分割面21へのメッキ時に、スリット形成部23(スリット形成部23の形成位置)にメッキを施さずに、メッキ皮膜40を施したメッキ部とメッキ皮膜40のない非メッキ部(スリット形成部23)を分割面21に形成する。メッキ部のメッキ皮膜40により、分割面21にスリット形成部23が区画される。スリット形成部23は、分割面21に形成された凹部であり、メッキ皮膜40の分だけ分割面21内で窪む。このように、分割面21にメッキを施して、メッキ皮膜40で被覆された分割面21に、メッキ皮膜40で被覆されない凹状のスリット形成部23を形成する。
[0038]
 一方の分割面21の一部に加えて(図6参照)、他方の分割面22にメッキを施してもよい。この場合には、マスキング処理時に、一方の分割面21の一部と他方の分割面22を除いて、分割モールド20の表面をマスキング材で覆う。一方の分割面21の一部に加えて、他方の分割面22の全部にもマスキング処理を施さない。その結果、分割面22の全部にメッキが施されて、分割面22の全部がメッキ皮膜40で被覆される。このように、分割面22にメッキを施し、メッキ皮膜40で被覆された分割面22に、メッキ皮膜40で被覆された平滑なスリット形成部23を形成する。
[0039]
 第2実施形態のモールド2では、スリット形成部23の機械加工、又は、分割面21へのシムの取り付け等を行うことなく、メッキにより、分割面21に凹状のスリット形成部23が形成される。その結果、機械加工に比べて、スリット形成部23を分割面21に容易に、かつ、精度よく形成することができる。また、シムの取り付けに比べて、スリット形成部23の状態を確実に維持することができる。なお、分割モールド20の分割面21、22以外の部分にメッキを施してもよい。
[0040]
 (第3実施形態)
 図7~図9は、第3実施形態のモールド3の製造手順を示す図であり、図2、図3と同様に、モールド3の1つの分割モールド20を示している。
 図示のように、モールド3では、第2実施形態のモールド2と同様に、分割モールド20の分割面21、22は平滑面であり、平滑なスリット形成部23を含む分割面21、22が分割モールド20に形成される(図7参照)。また、モールド2(図5参照)と同様に、マスキング処理により、一方の分割面21に、メッキ皮膜40で被覆されない凹状のスリット形成部23を形成する(図8参照)。続いて、分割モールド20の全体にメッキを施して、分割モールド20の全体をメッキ皮膜40で被覆する(図9参照)。
[0041]
 分割面21、22にメッキを施し、メッキ皮膜40で被覆された分割面21、22にスリット形成部23を形成する。一方の分割面21では、分割面21内で、スリット形成部23のメッキ皮膜40を他の部分のメッキ皮膜40より薄くして、メッキ皮膜40の厚い部分とメッキ皮膜40の薄い部分(スリット形成部23)を分割面21に形成する。相対的に厚いメッキ皮膜40により、分割面21にスリット形成部23が区画される。スリット形成部23は、分割面21に形成された凹部であり、メッキ皮膜40の厚み差の分だけ分割面21内で窪む。このように、メッキ皮膜40で被覆された分割面21に、メッキ皮膜40で被覆された凹状のスリット形成部23を形成する。また、他方の分割面22では、メッキ皮膜40で被覆された分割面22に、メッキ皮膜40で被覆された平滑なスリット形成部23を形成する。
[0042]
 第3実施形態のモールド3では、メッキにより、分割面21に凹状のスリット形成部23を形成しており、第2実施形態のモールド2と同様の効果が得られる。なお、分割モールド20の全体にメッキを施した後に、マスキング処理により、分割面21のスリット形成部23以外の部分のみにメッキを施してもよい。ただし、この場合には、分割面21において、2回目のメッキ皮膜40の縁部(不連続部)が露出する。これに対し、図7~図9に示す手順で分割モールド20にメッキを施すときには、メッキ皮膜40の縁部が露出せず、メッキ皮膜40の剥離が抑制される。
[0043]
 (第4実施形態)
 図10~図13は、第4実施形態のモールド4の製造手順を示す図である。図10A~図13Aは、複数の分割モールド20を図1Cと同様に示す正面図であり、図10B~図13Bは、図10A~図13Aの矢印Y6方向からみた分割モールド20の側面図である。
 図示のように、モールド4では、モールド部材15が切断により分割されて、分割モールド20が製作される。モールド部材15は、2つ以上の分割モールド20を含む1つの部材であり、ここでは、モールド4の1つの成形部10を構成する複数の分割モールド20を含む。
[0044]
 モールド部材15は、一体的に加工されて、複数の分割モールド20が連続した形状に形成される(図10参照)。次に、切断加工(例えば、ワイヤカット、レーザカット、電子ビームカット)により、1つのモールド部材15を、各分割モールド20に切断して、複数の分割モールド20に分割する(図11参照)。ここでは、ワイヤカット(ワイヤ放電加工)により、モールド部材15を切断して、切断面である分割面21、22を分割モールド20に形成する。続いて、切断により形成されたスリット形成部23を含む分割面21、22にメッキを施して、分割面21、22をメッキ皮膜40で被覆する(図12参照)。分割面21、22の一部又は全部にメッキが施されて、分割面21、22の一部又は全部にメッキ皮膜40が形成される。
[0045]
 モールド部材15の切断に伴い、分割モールド20の分割面21、22が欠損して、分割面21、22の切断形状と許容形状との間に差が生じる。例えば、モールド部材15をワイヤカットで切断すると、ワイヤの直径と放電ギャップ(アーク放電の長さ)の合計値(除去幅という)の分だけ、モールド部材15の切断箇所が除去される。そのため、複数の分割モールド20を組み合わせたときに、複数の分割モールド20のモールド周方向Sの長さが縮む。また、分割モールド20の間の隙間(スリットベント30)の幅が部分的に広くなる虞もある。
[0046]
 これに対し、メッキ皮膜40により、分割面21、22の欠損を補修して、分割面21、22の形状を修正する。同時に、メッキ皮膜40で被覆されたスリット形成部23を分割面21、22に形成する。メッキ皮膜40の厚みは、分割面21、22の欠損厚み以下の厚みである。欠損厚みと同じ厚みのメッキ皮膜40、又は、欠損厚みより薄いメッキ皮膜40で分割面21、22を被覆して、欠損の一部又は全部に相当するメッキ皮膜40により分割面21、22の形状を修正する。これにより、分割面21、22の形状の精度が向上し、複数の分割モールド20のモールド周方向Sの長さが修正される。
[0047]
 ここでは、メッキ皮膜40は、成形面11側の分割面21、22の一部に被覆されて、成形面11側の分割面21、22の縁部に沿って形成される。また、メッキ皮膜40の厚みは、分割面21、22の欠損厚みより薄い。スリット形成部23は、分割面21、22のメッキ皮膜40で被覆された部分であり、スリットベント30は、分割面21、22のスリット形成部23の間に形成される隙間である。複数の分割モールド20を組み合わせたときに(図13参照)、スリット形成部23を含む分割面21、22は、接触せずに隙間を形成した状態で対向する。分割面21、22のスリット形成部23により、所定幅のスリットベント30が分割モールド20の間に形成される。分割面21、22のスリット形成部23以外の部分では、分割モールド20の間に、スリットベント30よりも広い隙間が形成される。
[0048]
 第4実施形態のモールド4では、メッキにより、スリットベント30の幅を調整してスリットベント30を精度よく形成することができる。また、機械加工により個別に加工される分割モールドに比べて、複数の分割モールド20を容易に製作することができる。なお、分割モールド20の全体にメッキを施すようにしてもよい。
[0049]
 (第5実施形態)
 図14~図17は、第5実施形態のモールド5の製造手順を示す図であり、図10~図13と同様に、モールド5の分割モールド20を示している。
 図示のように、モールド5では、第4実施形態のモールド4と同様に、モールド部材15を各分割モールド20に切断して、切断面である分割面21、22を分割モールド20に形成する(図14参照)。次に、分割モールド20に形成された分割面21、22に補修部材16を付加する(図15参照)。分割面21、22の一部又は全部に補修部材16が設けられて、補修部材16により分割面21、22の形状が補修される。
[0050]
 補修部材16は、例えば、金属板であり、仮止め処理(抵抗溶接等)により、分割面21、22に仮止めされる。補修部材16の厚みは分割面21、22の欠損厚みより薄く、分割面21、22の欠損の一部に相当する補修部材16により分割面21、22の形状が補修される。ここでは、補修部材16は、成形面11側の分割面21、22の一部に付加されて、成形面11側の分割面21、22の縁部に沿って配置される。その状態で、分割モールド20の全体にメッキを施すことで(図16参照)、補修部材16を付加した分割面21、22にメッキを施す。これにより、補修部材16と分割面21、22をメッキ皮膜40で被覆して、分割面21、22の形状を修正しつつ、メッキ皮膜40で被覆された分割面21、22にスリット形成部23を形成する。
[0051]
 メッキ皮膜40の厚みは、分割面21、22の欠損厚みより薄い。また、補修部材16とメッキ皮膜40の合計厚みは、分割面21、22の欠損厚み以下の厚みであり、補修部材16とメッキ皮膜40は、それぞれ分割面21、22の欠損の一部に相当する。ここでは、補修部材16を付加した分割面21、22をメッキ皮膜40で被覆し、補修部材16とメッキ皮膜40の合計厚みを分割面21、22の欠損厚みより薄くする。補修部材16とメッキ皮膜40により、分割面21、22の欠損を補修して、分割面21、22の形状を修正する。
[0052]
 スリット形成部23は、分割面21、22の補修部材16が付加された部分であり、スリットベント30は、分割面21、22のスリット形成部23の間に形成される隙間である。複数の分割モールド20を組み合わせたときに(図17参照)、スリット形成部23を含む分割面21、22は、接触せずに隙間を形成した状態で対向する。分割面21、22のスリット形成部23により、所定幅のスリットベント30が分割モールド20の間に形成される。分割面21、22のスリット形成部23以外の部分では、分割モールド20の間に、スリットベント30よりも広い隙間が形成される。
[0053]
 第5実施形態のモールド5では、第4実施形態のモールド4と同様の効果が得られる。また、補修部材16により、分割面21、22の欠損を補修して、分割面21、22の形状を容易に修正することができる。また、メッキ皮膜40により、補修部材16の剥離を防止できるとともに、分割面21、22内の段差を小さくすることができる。
[0054]
 例えば、モールド部材15をワイヤカットで切断したときには、モールド部材15の除去幅は0.25~0.35mm程度であり、分割面21、22の欠損厚みは0.125~0.175mm程度である。この場合に、メッキ皮膜40のみにより分割面21、22の形状を修正すると、メッキ処理の時間が長くなる。これに対し、補修部材16を分割面21、22に付加することで、メッキ処理の時間を短縮することができる。また、メッキ皮膜40の厚みが部分的に厚くなるのが抑制され、分割モールド20の角にコブが生じるのも抑制される。その結果、メッキ皮膜40の表面を平滑にすることができる。
[0055]
 なお、分割モールド20の分割面21、22のみにメッキを施すようにしてもよい。また、補修部材16は、金属板に限定されず、分割面21、22に付加可能な部材であればよい。例えば、補修部材16は、分割面21、22に溶射された金属層でもよく、メッキ(無電解ニッケルメッキ等)により分割面21、22に形成されたメッキ層でもよい。
[0056]
 以上、ゴム物品がタイヤである場合を例にとり、モールドについて説明したが、ゴム物品は、タイヤに限定されず、他のゴム物品であってもよい。ゴム物品は、モールドにより成形されるゴム製の物品であり、例えば、ゴムのみからなる物品、又は、ゴムと他の部材からなる物品である。
[0057]
 (モールドの製造試験)
 本発明の効果を確認するため、以上説明した製造方法によりモールドを製造して、各種の試験を行った。各試験の結果について順に説明する。
[0058]
 (第1試験)
 第1実施形態の製造方法によりモールド1(図2、図3参照)を製造して、スリットベント30について調査した。モールド1の成形部10は、アルミニウム合金(JIS規格:AC4C)製であり、成形部10の形状は、リング(内径:φ600mm、高さ:300mm、厚み:30mm)をモールド周方向Sに9分割した形状である。保持部材13(厚み:20mm)は、鋼(JIS規格:SS400)製である。分割モールド20の形状は、成形部10をモールド周方向Sに5~7分割した形状である。一方の分割面21には、機械加工により、スリット形成部23(深さ:0.02mm)を形成した。分割モールド20の全体に鉄メッキを施して、分割モールド20の全体を鉄のメッキ皮膜40(厚み:25μm、ビッカース硬さ(HV):500程度)で被覆した。
[0059]
 試験では、モールド1によりタイヤの成形を繰り返し、サンドブラストにより、分割モールド20をクリーニングした。その結果、5回目のクリーニングまで、スリットベント30の幅が0.01~0.02mmに維持された。これに対し、分割モールド20に鉄メッキを施さないときには、1回目のクリーニングに伴い、スリットベント30の多くの箇所で、スリットベント30の幅が0.01mm以下の幅になった。この分割モールド20では、スリットベント30による空気の排出能力が低下して、分割モールド20をタイヤの成形に使用できなかった。これより、モールド1では、スリットベント30の幅の変化が抑制されることが分かった。
[0060]
 鉄メッキに替えて、ニッケルメッキ(厚み:22μm)を分割モールド20に施した後、クロムメッキ(厚み:3μm)を分割モールド20に施した。この分割モールド20では、サンドブラストにより分割モールド20をクリーニングしたときに、モールド1の分割モールド20と同等の損傷抵抗が得られた。しかしながら、通常のタイヤの外観に対して、成形後のタイヤの外観(光沢、色)が変化した。
[0061]
 (第2試験)
 第2実施形態の製造方法によりモールド2(図4、図5参照)を製造して、アルミニウム合金(JIS規格:AC4C)製の分割モールド20によりタイヤを成形した。分割モールド20の形状は、第1試験の分割モールド20と同じ形状であり、分割面21の一部を鉄のメッキ皮膜40(厚み:20μm)で被覆した。この分割モールド20では、スリットベント30の変化が抑制され、第1試験のタイヤと同等の品質のタイヤが成形できた。また、ドライアイスクリーニングにより分割モールド20をクリーニングすることで、分割モールド20の損傷を抑制できた。
[0062]
 (第3試験)
 第3実施形態の製造方法によりモールド3(図7~図9参照)を製造して、分割モールド20の性能を評価した。分割モールド20は、アルミニウム合金(JIS規格:AC4C)製であり、分割モールド20の形状は、第1試験の分割モールド20と同じ形状である。1回目(図8参照)の鉄メッキ(厚み:20μm)の後、分割モールド20の全体に鉄メッキ(厚み:10μm)を施した(図9参照)。分割面21のスリット形成部23以外の部分では、メッキ皮膜40の厚みは30μmであり、その他の部分のメッキ皮膜40の厚みは10μmである。この分割モールド20は、第1試験の分割モールド20と同等の性能を発揮した。
[0063]
 (第4試験)
 第4実施形態の製造方法によりモールド4(図10~図13参照)を製造して、スリットベント30について調査した。分割モールド20は、アルミニウム合金(鋳造の材質:Al-5%Mg)製であり、分割モールド20の形状は、第1試験の分割モールド20と同じ形状である。モールド部材15を鋳造した後、機械加工によりモールド部材15を加工した。また、モールド部材15をワイヤカットにより切断して、分割モールド20を形成した。モールド部材15の除去幅は0.23mm程度である。分割面21、22の一部(成形面11から20mmの領域)に鉄メッキ(厚み:100μm)を施した。この分割モールド20では、スリットベント30の幅を0.010~0.025mmに調整して、スリットベント30の幅を維持することができた。その結果、スリットベント30にタイヤのゴムが入るのが抑制され、タイヤにゴムのバリが生じるのが抑制された。
[0064]
 (第5試験)
 第5実施形態の製造方法によりモールド5(図14~図17参照)を製造して、スリットベント30について調査した。分割モールド20は、第4試験の分割モールド20と同様にメッキ前の状態に製作した。補修部材16を分割面21、22の一部(成形面11から20mmの領域)に付加した後、分割モールド20の全体に鉄メッキ(厚み:10μm)を施した。補修部材16は、無電解ニッケルメッキ(厚み:90μm)により形成されたメッキ層である。この分割モールド20では、スリットベント30の幅を0.020~0.025mmに調整して、スリットベント30の幅を維持することができた。その結果、スリットベント30にタイヤのゴムが入るのが抑制され、タイヤにゴムのバリが生じるのが抑制された。また、第4試験のスリットベント30に比べて、スリットベント30の精度が高くなった。
[0065]
 (第6試験)
 第6試験では、金属粉末(材質:18%Ni系マルエージング鋼)をレーザにより焼結する粉末積層造形により、モールド部材15を形成した。モールド部材15の形状は、リング(内径:φ600mm、高さ:300mm、厚み:0.8mm)をモールド周方向Sに9分割した形状である。また、分割モールド20の形状は、モールド部材15をモールド周方向Sに5~7分割した形状である。モールド部材15をワイヤカットにより切断して、分割モールド20を形成した。モールド部材15の除去幅は0.23mm程度である。
[0066]
 分割モールド20の全体に無電解ニッケルメッキ(厚み:100μm)を施した後、分割モールド20の全体に鉄メッキ(厚み:10μm)を施した。無電解ニッケルメッキは、分割面21、22に付加された補修部材16である。メッキ後の分割モールド20の厚みは、約1mmである。この分割モールド20では、スリットベント30の幅を0.020~0.025mmに調整して、スリットベント30の幅を維持することができた。その結果、スリットベント30にタイヤのゴムが入るのが抑制され、タイヤにゴムのバリが生じるのが抑制された。

符号の説明

[0067]
 1~5・・・モールド、10・・・成形部、11・・・成形面、12・・・突起、13・・・保持部材、14・・・排出路、15・・・モールド部材、16・・・補修部材、20・・・分割モールド、21・・・分割面、22・・・分割面、23・・・スリット形成部、30・・・スリットベント、31・・・開口部、32・・・排出部、40・・・メッキ皮膜、S・・・モールド周方向、T・・・分割位置。

請求の範囲

[請求項1]
 分割面を対向させて組み合わされてゴム物品を成形する複数の分割モールド、及び、分割モールドの間にスリットベントを形成する分割面のスリット形成部を備えるゴム物品用モールドの製造方法であって、
 スリット形成部を含む分割面を分割モールドに形成する形成工程と、
 分割モールドの分割面にメッキを施して、スリット形成部が形成された分割面をメッキ皮膜で被覆するメッキ工程と、
 を有するゴム物品用モールドの製造方法。
[請求項2]
 請求項1に記載されたゴム物品用モールドの製造方法において、
 形成工程は、凹状のスリット形成部を含む分割面を分割モールドに形成し、
 メッキ皮膜で被覆された凹状のスリット形成部を分割面に形成するゴム物品用モールドの製造方法。
[請求項3]
 請求項1に記載されたゴム物品用モールドの製造方法において、
 分割モールドの分割面内で、スリット形成部のメッキ皮膜を他の部分のメッキ皮膜より薄くして、メッキ皮膜で被覆された凹状のスリット形成部を分割面に形成するゴム物品用モールドの製造方法。
[請求項4]
 請求項1に記載されたゴム物品用モールドの製造方法において、
 形成工程は、2つ以上の分割モールドを含む1つのモールド部材を各分割モールドに切断して、切断面である分割面を分割モールドに形成し、
 分割面をメッキ皮膜で被覆して、分割面の形状を修正しつつ、メッキ皮膜で被覆されたスリット形成部を分割面に形成するゴム物品用モールドの製造方法。
[請求項5]
 請求項4に記載されたゴム物品用モールドの製造方法において、
 分割面の形状を補修する補修部材を分割モールドに形成された分割面に付加する工程を有し、
 メッキ工程は、補修部材を付加した分割面をメッキ皮膜で被覆し、
 補修部材とメッキ皮膜により、分割面の形状を修正するゴム物品用モールドの製造方法。
[請求項6]
 請求項1ないし5のいずれかに記載されたゴム物品用モールドの製造方法において、
 メッキが鉄メッキであるゴム物品用モールドの製造方法。
[請求項7]
 分割面を対向させて組み合わされてゴム物品を成形する複数の分割モールド、及び、分割モールドの間にスリットベントを形成する分割面のスリット形成部を備えるゴム物品用モールドであって、
 スリット形成部が形成された分割面を被覆するメッキ皮膜を有するゴム物品用モールド。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]