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明 細 書

発明の名称 接合構造体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019  

発明の効果

0020  

図面の簡単な説明

0021  

発明を実施するための形態

0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056  

産業上の利用可能性

0057  

符号の説明

0058  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 接合構造体

技術分野

[0001]
 本発明は、種類の異なる樹脂部材同士が接合された接合構造体に関し、特に、レーザ透過性樹脂部材とレーザ吸収性樹脂部材とがレーザ接合された接合構造体に関するものである。

背景技術

[0002]
 従来から、種類の異なる樹脂部材同士を接合させた接合構造体が知られている。このような接合構造体を形成する場合には、接着剤等を介して樹脂部材同士を接着させるのが一般的であったが、最近では、リサイクル性や工数の削減等を考慮して、レーザビームを用いたレーザ接合により種類の異なる樹脂部材同士を接合させることが多い。
[0003]
 もっとも、このような接合構造体は本来接合し難い異種部材同士を接合させるものであることから、レーザ接合を用いる方法では、樹脂同士の相溶性(レーザ接合性)が低い場合や相溶性がない場合には、十分な強度が得られないため、接合構造体を構成する樹脂部材の組合せが自ずと限られるという問題がある。
[0004]
 このような問題を解決するために、例えば特許文献1には、第1の熱可塑性樹脂で構成された第1の樹脂成形体、および、第2の熱可塑性樹脂で構成された第2の樹脂成形体のうち、少なくとも一方に、第1および第2の熱可塑性樹脂に対する相溶化剤を含有させ、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とをレーザ照射により接合することが開示されている。この特許文献1のものによれば、接合させる樹脂成形体のうち、少なくとも一方を構成する熱可塑性樹脂組成物に相溶化剤を含有させるので、広範囲の樹脂の組合せに適用可能であり、接合強度を大きく改善することができるとされている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 日本国特開2006-312303号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 上記特許文献1のものによれば、第1および第2の熱可塑性樹脂に相溶性を有する相溶化剤を、第1および第2の樹脂成形体の少なくとも一方に含有させるので、例えば、第1の熱可塑性樹脂と相溶性を有しない成分が第2の樹脂成形体に含まれる場合でも、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とをレーザ照射により接合させることが可能である。
[0007]
 しかしながら、単に相溶化剤を含有させてレーザを照射したというだけでは、第1および第2の熱可塑性樹脂と相溶化剤との相溶性に、換言すると、化学的な接合に頼っているに過ぎないため、接合強度の改善という点では確実性に欠けるという問題がある。すなわち、例えば第2の樹脂成形体に含有される相溶化剤と第1の熱可塑性樹脂との相溶性は高いが、そもそも相溶化剤とこれを含有した第2の熱可塑性樹脂との相溶性が低いような場合には、接合構造体としては十分な強度が得られず、相溶化剤が第1の樹脂成形体に引っ付いたまま、第2の樹脂成形体から剥がれてしまう場合も想定される。
[0008]
 本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、レーザ透過性樹脂部材とレーザ吸収性樹脂部材とで構成される接合構造体において、レーザ透過性樹脂部材とレーザ吸収性樹脂部材とを強固に接合することにある。

課題を解決するための手段

[0009]
 前記目的を達成するため、本発明に係る接合構造体では、化学的な接合に加えて、レーザ吸収性樹脂部材の構造に基づく機械的な接合を利用することで、レーザ透過性樹脂部材とレーザ吸収性樹脂部材との接合強度を高めるようにしている。
[0010]
 具体的には、本発明は、レーザ透過性樹脂部材とレーザ吸収性樹脂部材とで構成される接合構造体であって、上記レーザ吸収性樹脂部材は、上記レーザ透過性樹脂部材と相溶性を有する樹脂成分を少なくとも1種含む、共連続構造を有するポリマーアロイであることを特徴とするものである。
[0011]
 なお、本発明において「レーザ透過性樹脂部材」とは、照射されたレーザビームを透過させる樹脂部材を意味し、「レーザ吸収性樹脂部材」とは、照射されたレーザビームを吸収して発熱する樹脂部材を意味する。
[0012]
 また、本発明において「相溶性」とは、レーザ接合性を意味する。そして、「相溶性を有する」とは、例えば、密着させたレーザ透過性樹脂部材およびレーザ吸収性樹脂部材に対し、レーザ透過性樹脂部材側からレーザビームを照射した場合に、透過したレーザビームを吸収したレーザ吸収性樹脂部材が発熱することによって、レーザ透過性樹脂部材とレーザ吸収性樹脂部材とが接合(溶着)可能であることを意味する。
[0013]
 この構成によれば、レーザ透過性樹脂部材と相溶性を有する樹脂成分がレーザ吸収性樹脂部材に含まれることから、接合界面では、レーザ透過性樹脂部材とレーザ吸収性樹脂部材とを化学的に接合することができる。加えて、かかる樹脂成分が、三次元的に連続した相をなし、レーザ吸収性樹脂部材の内部で、同じく三次元的に連続した相をなす他の樹脂成分とアリの巣状に複雑に絡み合うことから、アンカー効果によってレーザ透過性樹脂部材とレーザ吸収性樹脂部材とを機械的に接合することができる。このように、相溶性のみに頼るのではなく、レーザ吸収性樹脂部材の構造に基づくアンカー効果を利用することで、化学的な接合と機械的な接合とが相俟って、レーザ透過性樹脂部材とレーザ吸収性樹脂部材とを強固に接合することができる。したがって、仮に、レーザ透過性樹脂部材と相溶性を有する樹脂成分と、レーザ吸収性樹脂部材に含まれる他の樹脂成分との相溶性が低い場合にも、十分な接合強度を得ることができる。
[0014]
 また、上記接合構造体では、上記レーザ吸収性樹脂部材は、上記レーザ透過性樹脂部材と相溶性を有しない第1樹脂成分と、上記レーザ透過性樹脂部材と相溶性を有する第2樹脂成分と、を含んでいることが好ましい。
[0015]
 この構成によれば、レーザ透過性樹脂部材と相溶性を有しない第1樹脂成分がレーザ吸収性樹脂部材に含まれている場合でも、アリの巣状の構造に基づくアンカー効果を利用することで、レーザ透過性樹脂部材とレーザ吸収性樹脂部材とを強固に接合することができる。これにより、レーザ吸収性樹脂部材の選択肢が広くなり、それに伴い広範囲の樹脂部材の組合せが可能となる。
[0016]
 さらに、上記接合構造体では、上記レーザ透過性樹脂部材と上記レーザ吸収性樹脂部材との接合部を構成する溶融凝固部における上記第2樹脂成分の存在比率が、上記レーザ吸収性樹脂部材における上記第2樹脂成分の存在比率よりも高いことが好ましい。
[0017]
 この構成によれば、レーザ透過性樹脂部材と相溶性を有する第2樹脂成分が、レーザ透過性樹脂部材とレーザ吸収性樹脂部材との接合部に相対的に多く存在することから、第2樹脂成分の拡散現象が発生し、レーザ透過性樹脂部材とレーザ吸収性樹脂部材とをより一層強固に接合することができる。
[0018]
 また、上記接合構造体では、上記第2樹脂成分の融点は、上記第1樹脂成分の融点よりも低いことが好ましい。
[0019]
 この構成によれば、レーザ照射によってレーザ吸収性樹脂部材の接合界面およびその近傍部が溶融する際に、融点の低い第2樹脂成分が第1樹脂成分よりも先に溶けてレーザ吸収性樹脂部材の接合界面に滲み出し易くなり、これにより、接合部における第2樹脂成分の存在比率が高まることから、レーザ透過性樹脂部材とレーザ吸収性樹脂部材とをより一層強固に接合することができる。

発明の効果

[0020]
 以上説明したように、本発明に係る接合構造体によれば、レーザ透過性樹脂部材とレーザ吸収性樹脂部材とを強固に接合することができる。

図面の簡単な説明

[0021]
[図1] 本発明の実施形態1に係る接合構造体における接合部およびその近傍部を模式的に示す部分拡大断面図である。
[図2] 実験例に用いた供試体の作成方法を模式的に説明する図である。
[図3] 比較例の海島構造を模式的に示す部分拡大断面図である。

発明を実施するための形態

[0022]
 以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
[0023]
 -接合構造体の全体構成-
 図1は、本実施形態に係る接合構造体1における接合部4およびその近傍部を模式的に示す部分拡大断面図である。なお、図1は断面図であるが、図を見易くするために、レーザ透過性樹脂部材2のハッチングを省略している。
[0024]
 この接合構造体1は、図1に示すように、熱可塑性樹脂からなるレーザ透過性樹脂部材2と、同じく熱可塑性樹脂からなるレーザ吸収性樹脂部材3とで構成されている。より詳しくは、この接合構造体1は、レーザ透過性樹脂部材2とレーザ吸収性樹脂部材3とを対面させて設置し、加圧して面接触させた後、レーザ透過性樹脂部材2側からレーザビームを照射して、透過したレーザビームを吸収したレーザ吸収性樹脂部材3を発熱させることにより、面接触した表面部を溶融凝固させて、両部材2,3を接合したものである。
[0025]
 レーザ吸収性樹脂部材3は、レーザ透過性樹脂部材2を構成する熱可塑性樹脂と相溶性を有しない第1樹脂成分5と、レーザ透過性樹脂部材2を構成する熱可塑性樹脂と相溶性を有する第2樹脂成分6と、を含んでいる。このように、レーザ透過性樹脂部材2と相溶性を有しない第1樹脂成分5がレーザ吸収性樹脂部材3に含まれているにもかかわらず、レーザ透過性樹脂部材2とレーザ吸収性樹脂部材3とを強固に接合することが、本時実施形態の接合構造体1の特徴の1つとなっている。
[0026]
 なお、本実施形態において「相溶性」とはレーザ接合性を意味する。そして、「相溶性を有する」とは、例えば、面接触させたレーザ透過性樹脂部材2およびレーザ吸収性樹脂部材3に対し、レーザ透過性樹脂部材2側からレーザビームを照射した場合に、透過したレーザビームを吸収したレーザ吸収性樹脂部材3が発熱することによって、レーザ透過性樹脂部材2とレーザ吸収性樹脂部材3とが接合可能であることを意味する。
[0027]
 -レーザ透過性樹脂部材-
 レーザ透過性樹脂部材2を構成する熱可塑性樹脂の一例としては、PVC(ポリ塩化ビニル)、PS(ポリスチレン)、AS(アクリロニトリル・スチレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)、m-PPE(変性ポリフェニレンエーテル)、PA6(ポリアミド6)、PA66(ポリアミド66)、POM(ポリアセタール)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PSF(ポリサルホン)、PAR(ポリアリレート)、PEI(ポリエーテルイミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルサルホン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PAI(ポリアミドイミド)、LCP(液晶ポリマー)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)およびPVDF(ポリフッ化ビニリデン)が挙げられる。また、レーザ透過性樹脂部材2は、TPE(熱可塑性エラストマ)であってもよく、TPEの一例としては、TPO(オレフィン系)、TPS(スチレン系)、TPEE(エステル系)、TPU(ウレタン系)、TPA(ナイロン系)およびTPVC(塩化ビニル系)が挙げられる。
[0028]
 なお、これらの熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマには、充填剤が添加されていてもよい。充填剤の一例としては、無機系充填剤(ガラス繊維、無機塩類など)、金属系充填剤、有機系充填剤および炭素繊維などが挙げられる。
[0029]
 そうして、レーザ透過性樹脂部材2には、レーザビームを透過することが要求されることから、これらの熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマのナチュラル材を用いることが好ましい。なお、レーザ透過性樹脂部材2を着色する場合には、レーザビームを吸収、散乱する顔料よりも、レーザビームを透過させる染料を用いるのが好ましい。
[0030]
 -レーザ吸収性樹脂部材-
 上述の如く、レーザ吸収性樹脂部材3は、レーザ透過性樹脂部材2と相溶性を有しない第1樹脂成分5と、レーザ透過性樹脂部材2と相溶性を有する第2樹脂成分6と、を含んでいる。これら第1樹脂成分5および第2樹脂成分6は、レーザ吸収性樹脂部材3に単に含まれているだけではなく、図1に示すように、相分離した第1樹脂成分5の相と第2樹脂成分6の相とが共に三次元連続相を成す共連続構造を形成している。つまり、レーザ吸収性樹脂部材3は、レーザ透過性樹脂部材2と相溶性を有する樹脂成分を少なくとも1種(本実施形態では第2樹脂成分6)含む、共連続構造を有するポリマーアロイとして構成されている。また、接合構造体1における、第1樹脂成分5と第2樹脂成分6との比は例えば7:3である。
[0031]
 レーザ吸収性樹脂部材3には、レーザビームを吸収し、発熱することが要求されることから、第1樹脂成分5および第2樹脂成分6としては、レーザ透過性樹脂部材2を構成する上記例示した熱可塑性樹脂に、例えばカーボンブラックといったレーザ吸収色素を添加したものを用いることが好ましい。また、第1樹脂成分5および第2樹脂成分6は、上記TPE(熱可塑性エラストマ)にレーザ吸収色素を添加したものであってもよい。
[0032]
 なお、必須ではないが、共連続構造が形成され易くなるように、レーザ吸収性樹脂部材3には分散材(図示省略)が含まれていてもよい。分散材としては、例えば、分子末端または側鎖に極性基を有する、変性ポリマー、ブロックポリマーおよびグラフトポリマー等が好ましい。このような分散材の一例としては、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、SEBS(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体)、PS(ポリスチレン)、AS(アクリロニトリル・スチレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)を幹ポリマーとする、これらの無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、オキサゾリン(エポキシ変性)、イミド変性などの変性体が挙げられる。このような分散材を用いれば、仮にレーザ吸収性樹脂部材3が混ざり難い2種の熱可塑性樹脂で構成されている場合でも、これら2種の熱可塑性樹脂が、海島構造(マトリックスドメイン構造)になったり、分離したりするのを抑えて、共連続構造を有するポリマーアロイを形成することができる。
[0033]
 ここで、上記例示したレーザ透過性樹脂部材2を構成する熱可塑性樹脂に対して、相溶性を有する熱可塑性樹脂と、相溶性を有しない熱可塑性樹脂との組合せは多岐に渡るため、各具体例を一々挙げることは割愛し、ここでは1つの具体例を示すに止める。レーザ透過性樹脂部材2を構成する熱可塑性樹脂がPMMAの場合には、例えば、第1樹脂成分5としてPA(ポリアミド)を、第2樹脂成分6としてABSを用いることができる。
[0034]
 -接合部-
 本実施形態の接合構造体1は、上述の如く、レーザ透過性樹脂部材2とレーザ吸収性樹脂部材3とを対面させて設置し、加圧して面接触させた後、レーザ透過性樹脂部材2側からレーザビームを照射することで形成される。このレーザ照射では、レーザビームを吸収して発熱したレーザ吸収性樹脂部材3の接合界面およびその近傍部の温度が、第1樹脂成分5および第2樹脂成分6が共に溶融して流動可能な状態となるような温度以上、且つ、樹脂分解温度以下となるように熱制御を行う。それ故、接合構造体1における、レーザ透過性樹脂部材2とレーザ吸収性樹脂部材3との接合部4は、レーザ透過性樹脂部材2とレーザ吸収性樹脂部材3との接合界面およびその近傍部が溶融し、溶融したレーザ透過性樹脂部材2とレーザ吸収性樹脂部材3とが混ざった状態で凝固した溶融凝固部によって構成されている。
[0035]
 そうして、本実施形態の接合構造体1では、接合部4においてレーザ透過性樹脂部材2とレーザ吸収性樹脂部材3とが単に混ざっている訳ではなく、接合部4における第2樹脂成分6の存在比率が、レーザ吸収性樹脂部材3(バルク)における第2樹脂成分6の存在比率(約30重量%)よりも高くなっている。具体的には、接合構造体1は、接合部4における第2樹脂成分6の存在比率が50重量%以上となるように構成されている。このように、レーザ透過性樹脂部材2と相溶性を有する第2樹脂成分6が、接合部4に相対的に多く含まれるようにすることで、第2樹脂成分6の拡散現象が発生し、レーザ透過性樹脂部材2と相溶性を有しない第1樹脂成分5がレーザ吸収性樹脂部材3に含まれているにもかかわらず、レーザ透過性樹脂部材2とレーザ吸収性樹脂部材3とを化学的に強固に接合することができる。
[0036]
 なお、接合部4における第2樹脂成分6の存在比率をレーザ吸収性樹脂部材3(バルク)における第2樹脂成分6の存在比率よりも高くすることは、例えば、第2樹脂成分6として、第1樹脂成分5の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂を選択することにより、容易に実現することができる。すなわち、第2樹脂成分6として第1樹脂成分5の融点よりも融点が低い熱可塑性樹脂を選択すれば、レーザ照射によってレーザ吸収性樹脂部材3の接合界面およびその近傍部が溶融した際、融点が低い第2樹脂成分6が第1樹脂成分5よりも先に溶けてレーザ吸収性樹脂部材3の接合界面に滲み出し、接合部4に多く集まることから、接合部4における第2樹脂成分6の存在比率を容易に高めることができる。なお、第2樹脂成分6がレーザ吸収性樹脂部材3の接合界面に滲み出しも、溶融した第1樹脂成分5によって滲み出した部分が埋められるので、レーザ吸収性樹脂部材3に空隙が生じることはない。
[0037]
 このように、レーザ透過性樹脂部材2とレーザ吸収性樹脂部材3とを接合界面で化学的に強固に接合することができることに加えて、本実施形態の接合構造体1では、レーザ吸収性樹脂部材3の構造に基づくアンカー効果も接合強度に寄与するようになっている。すなわち、図1に示すように、第2樹脂成分6が三次元的に連続した相をなし、レーザ吸収性樹脂部材3の内部で、同じく三次元的に連続した相をなす第1樹脂成分5とアリの巣状に複雑に絡み合うことから、アンカー効果によってレーザ透過性樹脂部材2とレーザ吸収性樹脂部材3とを機械的に強固に接合することができる。
[0038]
 このように、本実施形態の接合構造体1では、レーザ透過性樹脂部材2と第2樹脂成分6との相溶性のみに頼るのではなく、レーザ吸収性樹脂部材3の有する共連続構造に基づくアンカー効果を利用することで、化学的な接合と機械的な接合とが相俟って、レーザ透過性樹脂部材2とレーザ吸収性樹脂部材3とをより一層強固に接合することができる。したがって、仮に第1樹脂成分5と第2樹脂成分6との相溶性が低い場合にも、十分な強度を得ることができるので、レーザ吸収性樹脂部材3の選択肢が広くなり、それに伴い広範囲の樹脂部材の組合せが可能となる。
[0039]
 なお、第2樹脂成分6の滲み出しが生じるのは、レーザビームを吸収することで発熱する接合界面およびその近傍部のみであり、レーザ吸収性樹脂部材3におけるそれ以外の部位では第2樹脂成分6の移動は起こらない。これにより、共連続構造を有するポリマーアロイの性質を変えることなく、レーザ透過性樹脂部材2とポリマーアロイであるレーザ吸収性樹脂部材3とで構成される接合構造体1を好適に形成することができる。
[0040]
 -実験例-
 次に、本発明に係る接合構造体1による接合強度の向上を確認するために行った実験例について、図2および図3を参照しながら説明する。
[0041]
 実験例では、海島構造を有するレーザ吸収性樹脂部材23と比較することにより、レーザ吸収性樹脂部材13が共連続構造を有することによって、接合構造体(供試体11)の接合強度が向上するか否かを確認した。
[0042]
 具体的には、PMMA(ポリメチルメタクリレート)のナチュラル材からなる、長さ100mm×幅17.5mm×厚さ1mmの板状のレーザ透過性樹脂部材12,22を2枚用意した。また、カーボンブラックを添加したPA(ポリアミド)とABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)とを含む、長さ100mm×幅17.5mm×厚さ2mmの板状のレーザ吸収性樹脂部材13,23を2枚用意した。
[0043]
 一方のレーザ吸収性樹脂部材13は、PMMAと相溶性を有しないPAの相と、PMMAと相溶性を有するABSの相とが共に、上記図1に示すような、三次元連続相を成す共連続構造を有するポリマーアロイを用いた。これに対し、他方のレーザ吸収性樹脂部材23は、図3に示すように、PAを海成分25としABSを島成分26とする海島構造を有するポリマーアロイを用いた。
[0044]
 図2に示すように、レーザ透過性樹脂部材12,22とレーザ吸収性樹脂部材13,23とを対面させて設置し、加圧して面接触させた後、下記のレーザ照射条件でレーザ透過性樹脂部材12,22側からレーザビーム30を照射することにより(図2のハッチング部参照)、面接触した表面部を溶融凝固させて、両者を接合した供試体11,21を作製した。そうして、レーザ吸収性樹脂部材13として共連続構造を有するポリマーアロイを用いて作製された供試体11を用いた実験例を本発明例とし、レーザ吸収性樹脂部材23として海島構造を有するポリマーアロイを用いて作製された供試体21を用いた実験例を比較例とした。
[0045]
 <レーザ照射条件>
 レーザ:半導体レーザ(波長808nm)
 発振モード:連続発振
 レーザ出力:5.8W
 焦点径:2mm
 密着圧力:0.2MPa
 これら本発明例および比較例について、接合評価を行うとともに、接合部14または接合界面におけるABSの存在比率を測定した。接合評価としては、ほとんど接合せず、直ぐに剥がれてしまうようなものは当然×(不合格)とした。また、直ぐに剥がれなくても、1mの高さから自然落下させて剥離してしまうようなものも×(不合格)とした。そうして、1mの高さから自然落下させても剥離しないもののみを○(合格)とした。また、接合部14または接合界面におけるABSの存在比率の測定は、ナノスケールの分解能を有する赤外分光分析装置であるnano-IRを用いて行った。
[0046]
 このようにして得られた実験結果を表1に示す。
[表1]


[0047]
 表1に示すように、共連続構造を有するポリマーアロイを用いた本発明例では、1mの高さから自然落下させても剥離することはなく、接合構造体(供試体11)の接合強度が向上することが確認された。また、本発明例では、接合部14における上記第2樹脂成分6としてのABSの存在比率が50%に達していることが確認された。
[0048]
 これは、レーザ照射によってレーザ吸収性樹脂部材13が発熱した際、融点が低いABSがPAよりも先に溶けてレーザ吸収性樹脂部材13の接合界面に滲み出したことにより、接合部14におけるABSの存在比率が50%に達したと考えられる。そうして、ABSが接合部14に50%も存在することで、ABSの拡散現象が発生し、レーザ透過性樹脂部材12とレーザ吸収性樹脂部材13とが化学的に接合されたと考えられる。加えて、アリの巣状の構造に基づくアンカー効果によってレーザ透過性樹脂部材12とレーザ吸収性樹脂部材13とが機械的にも接合され、化学的な接合と機械的な接合とが相俟って、レーザ透過性樹脂部材12とレーザ吸収性樹脂部材13とが強固に接合されたと考えられる。
[0049]
 一方、海島構造を有するポリマーアロイを用いた比較例では、レーザ透過性樹脂部材22とレーザ吸収性樹脂部材23とが直ぐに剥がれてしまうことが確認された。また、比較例では、接合界面におけるABSの存在比率が0%であることが確認された。
[0050]
 これは、レーザ照射によってレーザ吸収性樹脂部材23が発熱した際、融点が低いABS(島成分26)は溶融したが、融点が高いPA(海成分25)が溶融しないため、海成分25であるPAによって囲まれた島成分26であるABSは溶融しても流動することができず、レーザ吸収性樹脂部材23の接合界面に拡散しなかったと考えられる。そうして、PMMAと相溶性を有するABSが接合界面に存在しないため、レーザ透過性樹脂部材22とレーザ吸収性樹脂部材23とが化学的に接合されず、また、海島構造ではアンカー効果による機械的な接合もないことから、レーザ透過性樹脂部材22とレーザ吸収性樹脂部材23とが接合されなかったと考えられる。
[0051]
 なお、海成分25であるPAが溶融するまでレーザ出力を上げれば、海島構造を有するポリマーアロイを用いた比較例でも接合可能とも思われるが、この場合には、レーザ吸収性樹脂部材23が発熱し過ぎて、島成分26であるABSやレーザ透過性樹脂部材22であるPMMAが熱分解温度に達してしまうため、接合が困難となる。
[0052]
 以上により、本発明に係る接合構造体1によれば、レーザ透過性樹脂部材2と共連続構造を有するレーザ吸収性樹脂部材3とを強固に接合可能であることを確認することができた。
[0053]
 (その他の実施形態)
 本発明は、実施形態に限定されず、その精神または主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
[0054]
 上記実施形態では、共連続構造を有するポリマーアロイを、レーザ透過性樹脂部材2と相溶性を有しない第1樹脂成分5と、レーザ透過性樹脂部材2と相溶性を有する第2樹脂成分6とで構成したが、これに限らず、共連続構造をなす樹脂成分を共にレーザ透過性樹脂部材2と相溶性を有する樹脂成分で構成してもよい。
[0055]
 さらに、上記実施形態では、第2樹脂成分6として第1樹脂成分5を構成する熱可塑性樹脂よりも融点が低い熱可塑性樹脂を示したが、接合部4における第2樹脂成分6の存在比率を高められるのであれば、これに限らず、第2樹脂成分6として第1樹脂成分5を構成する熱可塑性樹脂の融点以上の融点を有する熱可塑性樹脂を用いてもよい。
[0056]
 このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。この出願は、日本特許出願の特願2015-230459号に基づく優先権を請求する。これに言及することにより、その全ての内容は本出願に組み込まれるものである。

産業上の利用可能性

[0057]
 本発明によると、レーザ透過性樹脂部材とレーザ吸収性樹脂部材とを強固に接合することができるので、レーザ透過性樹脂部材とレーザ吸収性樹脂部材とで構成される接合構造体に適用して極めて有益である。

符号の説明

[0058]
1    接合構造体
2    レーザ透過性樹脂部材
3    レーザ吸収性樹脂部材
4    接合部
5    第1樹脂成分
6    第2樹脂成分

請求の範囲

[請求項1]
 レーザ透過性樹脂部材とレーザ吸収性樹脂部材とで構成される接合構造体であって、
 上記レーザ吸収性樹脂部材は、上記レーザ透過性樹脂部材と相溶性を有する樹脂成分を少なくとも1種含む、共連続構造を有するポリマーアロイであることを特徴とする接合構造体。
[請求項2]
 上記請求項1に記載の接合構造体において、
 上記レーザ吸収性樹脂部材は、上記レーザ透過性樹脂部材と相溶性を有しない第1樹脂成分と、上記レーザ透過性樹脂部材と相溶性を有する第2樹脂成分と、を含んでいることを特徴とする接合構造体。
[請求項3]
 上記請求項2に記載の接合構造体において、
 上記レーザ透過性樹脂部材と上記レーザ吸収性樹脂部材との接合部を構成する溶融凝固部における上記第2樹脂成分の存在比率が、上記レーザ吸収性樹脂部材における上記第2樹脂成分の存在比率よりも高いことを特徴とする接合構造体。
[請求項4]
 上記請求項2または3に記載の接合構造体において、
 上記第2樹脂成分の融点は、上記第1樹脂成分の融点よりも低いことを特徴とする接合構造体。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]