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1. WO2016136001 - CONTROL DEVICE OF INTERNAL-COMBUSTION ENGINE, AND SHIP PROVIDED WITH SAME, AND METHOD OF OPERATING INTERNAL-COMBUSTION ENGINE

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明 細 書

発明の名称 内燃機関の制御装置及びこれを備えた船舶並びに内燃機関の運転方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018  

発明の効果

0019   0020  

図面の簡単な説明

0021  

発明を実施するための形態

0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099  

符号の説明

0100  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

補正された請求の範囲(条約第19条)

1  *   2  *   3  *   4  *   5  *   6   7  *   8  *   9  *   10  *   11   12  *  

条約第19条(1)に基づく説明書

図面

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : 内燃機関の制御装置及びこれを備えた船舶並びに内燃機関の運転方法

技術分野

[0001]
 本発明は、燃料ガスを用いて予混合燃焼を行う内燃機関の制御装置及びこれを備えた船舶並びに内燃機関の運転方法に関するものである。

背景技術

[0002]
 近年、舶用低速2ストロークディーゼル機関に適用できるデュアルフュエル機関(以下「DF機関」ともいう。)の開発が行われている(下記特許文献1及び2参照)。このDF機関は、その運転モードとして、従来のように燃料油の燃焼を行う燃料油運転と、LNG等の燃料ガスの燃焼を行う燃料ガス運転とを備えている。なお、燃料ガス運転は、着火用のパイロット燃料として燃料油が用いられるのが一般的である。
[0003]
 また、このようなDF機関において、燃料油運転では、一般的に、燃料油の拡散燃焼を行う燃料油拡散燃焼方式を採用するが、燃料ガス運転では、燃料ガスの拡散燃焼を行う燃料ガス拡散燃焼方式と、燃料ガスの予混合燃焼を行う燃料ガス予混合燃焼方式との2つの燃焼方式を採用できる。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特許第5395848号公報
特許文献2 : 国際公開第2013/183737A1号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 ところで、予混合方式によれば、有害なNOxの排出が少ないためEGRやSCRは不要である。しかし、予混合方式は過早着火やノッキングなどの異常燃焼が生じ易く、これを回避するために、通常のディーゼルよりも圧縮比を下げざるを得ない。このため、予混合方式では、最大出力が制限されてしまう課題がある。このように圧縮比を下げたDF機関で燃料油運転をする場合、低い圧縮比のため熱効率の低下が生じる課題もある。
[0006]
 一方、燃料ガス拡散燃焼方式や燃料油拡散燃焼方式は異常燃焼の心配が無いため、圧縮比を通常のディーゼル機関並みに高くすることができ、この点での出力制限もない。しかし、このように圧縮比を高くしたDF機関で燃料油運転をする場合、熱効率の低下は生じないが、NOx排出量が多くなるため、排気規制強化海域では、機関にEGRやSCRなどの追加装置が必要となる課題がある。
[0007]
 本発明は、排気規制強化海域では、追加装置を用いずにNOxの排出を抑えることができるようにしながら、その他の海域では、機関の出力を確保することができるようにした、内燃機関の制御装置及びこれを備えた船舶並びに内燃機関の運転方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 (1)上記の目的を達成するために、本発明の内燃機関の制御装置は、内燃機関の運転中に少なくとも燃料ガス拡散燃焼方式と燃料ガス予混合燃焼方式とを選択可能な燃焼方式選択手段と、前記燃焼方式選択手段により選択された燃焼方式に応じた燃料噴射態様となるように燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段と、前記燃焼方式選択手段により選択された燃焼方式に応じた実圧縮比となるように実圧縮比を制御する実圧縮比制御手段と、を備え、前記実圧縮比制御手段は、前記燃料ガス予混合燃焼方式が選択されたら前記実圧縮比を低圧縮比に制御し、前記燃料ガス拡散燃焼方式が選択されたら前記実圧縮比を高圧縮比に制御することを特徴としている。
[0009]
 (2)前記燃料ガス予混合燃焼方式は、燃料ガスを用いて燃料ガス予混合燃焼方式だけで燃焼させる燃料ガス全部予混合燃焼方式と、燃料ガスの一部を予混合燃焼させ残りを拡散燃焼させる燃料ガス部分予混合燃焼方式とを含み、前記燃焼方式選択手段は、前記内燃機関の運転中に、少なくとも、前記燃料ガス拡散燃焼方式と、前記燃料ガス全部予混合燃焼方式と、前記燃料ガス部分予混合燃焼方式とを、選択可能であって、前記実圧縮比制御手段は、前記燃料ガス全部予混合燃焼方式或いは前記燃料ガス部分予混合燃焼方式が選択されたら前記実圧縮比を低圧縮比に制御し、前記燃料ガス拡散燃焼方式が選択されたら前記実圧縮比を高圧縮比に制御することが好ましい。
[0010]
 (3)前記機関は、排気弁閉止タイミングを変更可能な動弁装置を備え、前記実圧縮比制御手段は、前記排気弁閉止タイミングを操作して前記実圧縮比を制御し、前記実圧縮比を低圧縮比にする際には、前記排気弁閉止タイミングを遅角側に制御し、前記実圧縮比を高圧縮比にする際には、前記排気弁閉止タイミングを進角側に制御することが好ましい。
[0011]
 (4)前記機関は、過給量を増減操作可能な過給機を備え、少なくとも前記機関の負荷が一定負荷よりも大きい高負荷状態の場合に、前記燃焼方式選択手段が前記燃料ガス拡散燃焼方式を選択したら前記過給量を通常状態とし、前記燃焼方式選択手段が前記燃料ガス予混合燃焼方式を選択したら前記過給量を増加状態とする過給制御手段とを備えていることが好ましい。
[0012]
 (5)この場合、前記過給機は、2段過給と単段過給とが切り替え可能な過給機であって、前記過給制御手段は、前記過給量を通常状態とする際は前記過給機を単段過給とし、前記過給量を増加状態とする際は前記過給機を2段過給とすることが好ましい。
[0013]
 (6)また、前記過給制御手段は、前記燃焼方式選択手段が前記燃料ガス拡散燃焼方式を選択した場合に、前記内燃機関の負荷が前記一定負荷以下の低負荷状態であったら前記過給量を増加状態とすることが好ましい。
[0014]
 (7)前記機関の排気を規制すべき排気規制状態であるか否かを判定する判定手段を備え、前記燃焼方式選択手段は、前記判定手段により排気規制状態であると判定されると前記燃料ガス予混合燃焼方式を選択し、前記判定手段により排気規制状態でないと判定されると前記燃料ガス拡散燃焼方式を選択することが好ましい。
[0015]
 (8)前記機関は船舶に装備された舶用機関であって、前記判定手段は、前記船舶の航行している航行海域が排気規制海域内であれば前記排気規制状態であると判定し、前記航行海域が排気規制海域外であれば前記排気規制状態でないと判定することが好ましい。
[0016]
 (9)本発明の船舶は、上記(1)~(8)の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置と、前記制御装置により制御される前記内燃機関と、を有することを特徴としている。
[0017]
 (10)本発明の内燃機関の運転方法は、内燃機関の運転中に少なくとも燃料ガス拡散燃焼方式と燃料ガス予混合燃焼方式とを含む燃焼方式のうちの一つの燃焼方式を選択する燃焼方式選択工程と、前記燃焼方式選択工程において選択した燃焼方式に応じて、前記内燃機関の実圧縮比を制御する圧縮比制御工程と、を備えることを特徴としている。
[0018]
 (11)前記燃料ガス予混合燃焼方式は、燃料ガスを用いて燃料ガス予混合燃焼方式だけで燃焼させる燃料ガス全部予混合燃焼方式と、燃料ガスの一部を予混合燃焼させ残りを拡散燃焼させる燃料ガス部分予混合燃焼方式とを含み、前記燃焼方式選択工程では、前記内燃機関の運転中に、少なくとも、前記燃料ガス拡散燃焼方式と、前記燃料ガス全部予混合燃焼方式と、前記燃料ガス部分予混合燃焼方式とを含む燃焼方式のうちの一つの燃焼方式を選択することが好ましい。

発明の効果

[0019]
 本発明によれば、燃料噴射制御手段は、選択された燃焼方式に応じた燃料噴射態様となるように燃料噴射を制御し、実圧縮比制御手段は、選択された燃焼方式に応じた実圧縮比となるように実圧縮比を制御し、特に、実圧縮比制御手段は、燃料ガス予混合燃焼方式が選択されたら実圧縮比を低圧縮比に制御し、燃料ガス拡散燃焼方式が選択されたら前記実圧縮比を高圧縮比に制御するので、NOx排出量が少ない燃料ガス予混合燃焼方式を安定して実施することができる。これにより、例えば、舶用機関において、排気規制強化海域では、燃料ガス予混合燃焼方式を選択し追加装置を用いずにNOxの排出を抑えることができ、その他の海域では、燃料ガス拡散燃焼方式を選択し機関の出力を確保することができる。
[0020]
 また、内燃機関の燃料ガス予混合燃焼方式に、燃料ガスを用いて燃料ガス予混合燃焼方式だけで燃焼させる燃料ガス全部予混合燃焼方式と、燃料ガスの一部を予混合燃焼させ残りを拡散燃焼させる燃料ガス部分予混合燃焼方式とが含まれていれば、実圧縮比制御手段は、燃料ガス全部予混合燃焼方式又は燃料ガス部分予混合燃焼方式が選択されたら実圧縮比を低圧縮比に制御し、燃料ガス拡散燃焼方式が選択されたら前記実圧縮比を高圧縮比に制御するので、NOx排出量が少ない燃料ガス全部予混合燃焼方式又は燃料ガス部分予混合燃焼方式を安定して実施することができる。これにより、例えば、舶用機関において、排気規制強化海域では、燃料ガス全部予混合燃焼方式又は燃料ガス部分予混合燃焼方式を選択し追加装置を用いずにNOxの排出を抑えることができ、その他の海域では、燃料ガス拡散燃焼方式を選択し機関の出力を確保することができる。

図面の簡単な説明

[0021]
[図1] 図1は本発明の第1実施形態にかかる内燃機関の制御装置を示すブロック図である。
[図2] 図2は本発明の第1実施形態にかかる内燃機関を示す全体構成図である。
[図3] 図3A,図3Bは図2のシリンダライナを含む筒内周りの構成の概略図であり、図3Aは平面図、図3Bは縦断面図である。図3A,図3Bはでは、予混合燃料方式で燃料ガスを噴射した状態を示す。
[図4] 図4は本発明の第1実施形態にかかる内燃機関の制御装置による制御を説明するタイムチャートである。
[図5] 図5は本発明の第2実施形態にかかる内燃機関の制御装置を示すブロック図である。

発明を実施するための形態

[0022]
 以下、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
 なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
[0023]
 〔第1実施形態〕
 〔内燃機関の構成〕
 本発明の第1実施形態を説明する。まず、本実施形態及び後述の第2実施形態にかかる内燃機関の構成について、図2,図3A,図3Bを参照して説明する。
 本発明の実施形態にかかる内燃機関は、図2に示すように、クロスヘッド型ディーゼル機関(以下、単に機関とも言う)1である。この機関1は、例えばLNG船等の液化ガス運搬船の舶用主機として用いられる低速2ストローク1サイクルのユニフロー掃気方式とされている。また、機関1は、燃料油の他に燃料ガスを使用可能なデュアルフュエル機関(以下、DF機関とも言う)として構成される。
[0024]
 この機関1は、下方に位置する台板3と、台板3上に設けられた架構5と、架構5上に設けられたジャケット7とを備えている。これら台板3、架構5及びジャケット7は、上下方向に延在する複数のテンションボルト(図示せず)によって一体的に締め付けられて固定されている。
[0025]
 ジャケット7にはシリンダライナ9が設けられており、シリンダライナ9の下端側には複数の掃気ポート10が形成されている。シリンダライナ9の上端には、シリンダカバー11が設けられている。シリンダカバー11には、排気弁12が設けられている。このように、シリンダライナ9の下端側に設けた掃気ポート10から空気が掃気として下方から筒内に導入され、筒内の上方に位置する排気弁12から燃焼排ガスが排気されるユニフロー掃気方式が採用されている。
[0026]
 排気弁12から排出させた排ガスは、排気ガスマニホールド14に集められた後に、過給機16へと送られる。過給機16では、導かれた排ガスによって排気タービン(図2では図示略)が回転され、これにより同軸にて接続されたコンプレッサ(図2では図示略)が回転される。コンプレッサは、外部から取り込んだ空気を圧縮し、エアクーラ18にて冷却された後に掃気マニホールド20へと導かれる。掃気マニホールド20へと導かれた圧縮空気は、上述した掃気ポート10へと導かれる。なお、過給機16の詳細については後述する。
[0027]
 シリンダライナ9及びシリンダカバー11によって形成された空間内には、ピストン13が往復動可能に設けられている。ピストン13の下端には、ピストン棒15の上端が回動可能に取り付けられている。本実施形態のディーゼル機関1では、シリンダライナ9の内径に対するピストン13のストロークの比であるボアストローク比が3以上とされた超ロングストロークとされている。
[0028]
 台板3はクランクケースとされており、クランク軸17が設けられている。クランク軸17から取り出された回転出力が船舶の推進用プロペラへと伝達されるようになっている。クランク軸17の上端には、連接棒19の下端が回動可能に接続されている。
[0029]
 架構5には、ピストン棒15と連接棒19とを回動可能に接続するクロスヘッド21が設けられている。すなわち、ピストン棒15の下端および連接棒19の上端がクロスヘッド21に接続されている。クロスヘッド21の両側(図2において左右)には、上下方向に延在する一対の摺動板23が架構5側に固定された状態で設けられている。
[0030]
 図3A,図3Bには、ディーゼル機関1の筒内周りの構成が模式的に示されている。同図に示されているように、シリンダカバー11には、第1の燃料ガス噴射弁としての予混合用燃料ガス噴射弁(以下「予混合ガス弁」という。)30と、第2の燃料ガス噴射弁としての拡散用燃料ガス噴射弁(以下「拡散ガス弁」という。)32と、燃料油噴射弁(以下「燃料油弁」という。)34と、が設けられている。
[0031]
 予混合ガス弁30は、図示しない燃料ガス供給源に接続されており、シリンダライナ9及びシリンダカバー11によって形成される筒内に燃料ガスを高圧で噴射する。燃料ガスとしては、気化したLNGといった炭化水素系のガスが用いられる。
[0032]
 予混合ガス弁30からのガス噴射圧力は、例えば、絶対圧で1.0MPa以上50MPa以下、好ましくは絶対圧で20MPa以上30MPa以下とされる。予混合ガス弁30の先端に設けられたノズルには複数の噴孔が設けられており、それぞれの噴孔から燃料ガスが筒内に噴射される。例えば、図3Bに示す例では、4つの噴孔のそれぞれから燃料ガスが噴射された状態が示されている。この図に示すように、予混合ガス弁30から噴射される燃料ガスの向きは、ピストン13の方向、より詳しくは掃気ポート10をピストン13で閉じた後のピストン13の頂部すなわちピストン13上端の円形とされた頂面に向けて燃料ガスを噴射する向きとされている。
[0033]
 なお、予混合ガス弁30は少なくとも一つの噴孔からピストン13の方向に燃料ガスが噴射されるように各噴孔が設けられていればよく、全ての噴孔がピストン13の方向に燃料ガスを噴射するように設けられる必要はない。
[0034]
 予混合ガス弁30は、燃料ガスによる予混合燃焼(燃料ガス予混合燃焼)によりディーゼル機関1を動作させる場合に起動され、燃料ガスによる拡散燃焼運転(燃料ガス拡散燃焼運転)や燃料油による拡散燃焼運転(燃料油拡散燃焼運転)の際には起動されずに停止される。予混合ガス弁30の起動および停止は、後述の制御装置40からの指令によって行われる。
[0035]
 予混合ガス弁30の噴射タイミングは、後述の制御装置40によって制御され、排気弁12から燃料ガスが系外にリークしない範囲とされ、具体的には、例えば140以上20degBTDC以下(BTDCはBefore Top Dead Centre)、好ましくは100以上60degBTDC以下とされる。ここで、排気弁12が閉じるタイミングとしては、例えば約90degBTDCとされる。
 燃料ガスを噴射する期間(すなわち燃料ガスを噴射し続ける期間)としては、例えばディーゼル機関1の負荷が100%の場合には20deg以上30deg以下とされる。
[0036]
 拡散ガス弁32は、図3Aに示すように、シリンダカバー11を平面視した場合の外周側に2つ設けられている。2つの拡散ガス弁32は、シリンダカバー11の中心(すなわち排気弁12の中心)を挟んで互いに対向する位置に配置されている。本実施形態では、各拡散ガス弁32は、予混合ガス弁30に対して所定角度だけ周方向にずれた位置に配置されているが、拡散ガス弁32と予混合ガス弁30はシリンダカバー11上に配置されていればよい。なお、拡散ガス弁32の数は、例示として2つとしているだけであり、1つであってもよいし、3つ以上であってもよいが、燃料油弁34の数と同じとされる。
[0037]
 拡散ガス弁32は、図示しない燃料ガス供給源に接続されており、シリンダライナ9及びシリンダカバー11によって形成される筒内に燃料ガスを噴射する。燃料ガスとしては、予混合ガス弁30と同様に、気化したLNGといった炭化水素系のガスが用いられる。
[0038]
 拡散ガス弁32からのガス噴射圧力は、ピストン13によって圧縮された後の空気(掃気)よりも高い圧力であって50MPa以下とされており、例えば絶対圧で10MPa以上30MPa以下とされる。拡散ガス弁32の先端に設けられたノズルには複数の噴孔が設けられており、それぞれの噴孔から燃料ガスが筒内に噴射される。拡散ガス弁32から噴射される燃料ガスの向きは、ピストン13が上死点近傍まで上昇して狭められた燃焼空間内で燃料ガスによる拡散燃焼が行われるように、水平方向または水平方向から少しだけ下方を向いた方向とされ、しかもピストン13の頂部に向かわない方向とされている。
[0039]
 拡散ガス弁32は、拡散燃焼によりディーゼル機関1を動作させる場合に起動され、燃料ガスによる予混合燃焼運転や燃料油による拡散燃焼運転の際には起動されずに停止される。拡散ガス弁32の起動および停止は、後述の制御装置40からの指令によって行われる。
[0040]
 拡散ガス弁32が燃料ガスを噴射する期間(即ち噴射し続ける期間)は、図示しない制御部によって制御され、例えばディーゼル機関1の負荷が100%の場合には20deg以上30deg以下とされる。
[0041]
 燃料油弁34は、図3Aに示すように、シリンダカバー11を平面視した場合に、排気弁12よりも外周側でかつ予混合ガス弁30及び拡散ガス弁32よりも内周側に2つ設けられている。2つの燃料油弁34は、シリンダカバー11の中心(すなわち排気弁12の中心)を挟んで互いに対向する位置に配置されている。ただし、各燃料油弁34は、拡散ガス弁32及び予混合ガス弁30に対して所定角度だけ周方向にずれた位置に配置されている。なお、燃料油弁34の数は、例示として2つとしているだけであり、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、排気弁12よりも外周側であれば、予混合ガス弁30及び拡散ガス弁32よりも内周側でなくてもよい。
[0042]
 燃料油弁34は、図示しない燃料油供給源に接続されており、シリンダライナ9及びシリンダカバー11によって形成される筒内に燃料油を噴射する。燃料油としては、例えば我が国のJIS規格で言うC重油(90%以上が残渣油である重油)等の残渣油の割合が比較的高い重油が用いられる。
[0043]
 燃料油弁34からの噴射圧力は、ピストン13によって圧縮された後の空気(掃気)よりも高い圧力とされており、例えば絶対圧で30MPa以上80MPa以下とされる。燃料油弁34の先端に設けられたノズルには複数の噴孔が設けられており、それぞれの噴孔から燃料油が筒内に噴射される。例えば、燃料油弁34から噴射される燃料油の向きは、ピストン13が上死点近傍まで上昇して狭められた燃焼空間内で、着火または拡散燃焼が行われるように、水平方向または水平方向から少しだけ下方を向いた方向とされ、しかもピストン13の頂部に向かわない方向とされている。
[0044]
 燃料油弁34は、燃料油による拡散燃焼によりディーゼル機関1を動作させる場合には拡散燃焼のための燃料油を噴射するように動作し(いわゆる油専焼運転)、また、燃料ガスによる予混合燃焼運転および燃料ガスによる拡散燃焼運転の際には、着火用のパイロット油を噴射するように動作する。燃料油弁34の動作は、図示しない制御部からの指令によって行われる。
[0045]
 〔デュアルフュエル機関としての動作モード〕
 次に、上記構成のディーゼル機関1の動作モードについて説明する。機関1は、燃料ガス運転と燃料油運転とを適宜切り替えて運転し、燃料ガス運転では、燃料ガス拡散燃焼方式と、燃料ガス全部予混合燃焼方式と、燃料ガス部分予混合燃焼方式と、の3つの燃焼方式を選択的に用い、燃料油運転は燃料油拡散燃焼方式を用いる。
[0046]
 デュアルフュエル機関の動作モードには、燃料ガスを用いて燃料ガス予混合燃焼方式で燃焼させる燃料ガス全部予混合燃焼方式を実施する全部予混合燃料ガスモードと、燃料ガスを用いて燃料ガス拡散燃焼方式で燃焼させる拡散燃料ガスモードと、燃料ガスの一部を用いて予混合燃焼方式で燃焼させ残りの燃料ガスを用いて拡散燃焼方式で燃焼させる燃料ガス部分予混合燃焼方式を実施する部分予混合燃料ガスモードと、燃料油を用いて燃料油拡散燃焼方式で燃焼させる拡散燃料油モード(いわゆる油専焼モード)と、がある。なお、拡散燃焼或いは拡散燃焼方式について、燃料ガス拡散燃焼か燃料油拡散燃焼かを区別しない場合には、単に、拡散燃焼或いは拡散燃焼方式とも言う。また、燃料ガス予混合燃焼方式とは、少なくとも予混合ガス弁30を燃料供給用として用いる燃焼方式であり、燃料ガス全部予混合燃焼方式と燃料ガス部分予混合燃焼方式とを包含する。つまり、燃料ガス予混合燃焼方式とは、燃料ガスを用いて予混合燃焼方式で燃焼させる燃焼方式を広く示すもので、燃料ガス全部予混合燃焼方式と燃料ガス部分予混合燃焼方式との何れか又は両方を示すものとする。
[0047]
 全部予混合燃料ガスモードでは、予混合ガス弁30を燃料供給用として用い、燃料油弁34をパイロット用として用いる。
 拡散燃料ガスモードでは、拡散ガス弁32を燃料供給用として用い、燃料油弁34をパイロット用として用いる。
 部分予混合燃料ガスモードでは、燃料ガス予混合燃焼方式の燃焼に関しては予混合ガス弁30を燃料供給用として用いて燃料油弁34をパイロット用として用い、燃料ガス拡散燃焼方式の燃焼に関しては拡散ガス弁32を燃料供給用として用い、燃料油弁34をパイロット用として用いる。
 拡散燃料油モードでは、専ら燃料油弁34を用いる。
[0048]
 全部予混合燃料ガスモードは、NOx排出量が少ないため、例えば、船舶がECA(大気汚染物質放出規制海域、単に、排気規制海域とも言う)内を航行する際に好適である。しかし、全部予混合燃料ガスモードは過早着火やノッキングなどの異常燃焼が生じ易く、これを回避するためには、通常の(拡散燃焼方式の)場合よりも圧縮比を下げることが必要になる。圧縮比を下げると、最大出力が制限されてしまう。
[0049]
 拡散燃料ガスモードは、予混合燃料ガスモードよりも燃焼安定性が高いため高い圧縮比を採用できるが、一方で、予混合燃料ガスモードに比べてNOx発生量が多いので、例えば、船舶がECA外を航行する際に用いられる。ただし、拡散燃料ガスモードは、拡散燃料油モードのようにSOx発生量は少ないので、ECA内であってもNOx規制量を超えない範囲で所定の時間内あれば、燃焼安定性が求められる場合に予混合燃料ガスモードに代えて用いることができる。
[0050]
 拡散燃料油モードは、燃焼安定性がより高いため高い圧縮比を採用できるが、燃料油由来のSOxが燃料ガスを用いる場合に比べて多く発生する。そこで、例えば、SOx排出規制が比較的緩い海域を航行する際に、より高い燃焼安定性が求められる場合や、燃料ガスよりも燃料油を用いた方がよい場合に用いられる。
[0051]
 (全部予混合燃料ガスモード)
 全部予混合燃料ガスモードについて説明する。
 図3A,図3Bに示すように、排気弁12が閉じられてさらにピストン13が掃気ポート10を閉じた後の圧縮行程の初期に、制御部の指令によって、予混合ガス弁30から絶対圧で1.0MPa以上50MPa以下、好ましくは絶対圧で20MPa以上30MPa以下の高圧とされた燃料ガスがピストン13の頂部に向けて噴射される。なお、全部混合燃料ガスモードでは、拡散ガス弁32は閉じられていて、燃料ガスは専ら予混合ガス弁30から噴射される。ただし拡散ガス弁32を併用する場合もある。
[0052]
 なお、予混合ガス弁30からの燃料ガスの噴射タイミングとしては、掃気ポート10をピストン13が閉じた後でかつ排気弁12から燃料ガスが系外にリークしない範囲で選定され、例えば140以上20degBTDC以下、好ましくは100以上60degBTDC以下の間で選定される。この場合、排気弁12が閉じるタイミングは約90degBTDCである。予混合ガス弁30から燃料ガスが噴射し続ける噴射期間は、例えば内燃機関の負荷が100%の場合には20deg以上30deg以下とされる。
[0053]
 予混合ガス弁30は、上方のシリンダカバー11から下方のピストン13の頂部に向かって噴射するので、掃気ポート10をピストン13で閉じた後の縦長とされた燃焼空間の長手方向を有効に使って燃料ガスを全体に噴射することができ、空気(掃気;酸化剤ガス)に対する燃料ガスの混合が促進される。特に、本実施形態のディーゼル機関1は超ロングストロークとされているので、長手方向の燃料ガス噴射による混合は効果的とされる。
[0054]
 予混合ガス弁30から噴射された燃料ガスによって筒内に予混合気が形成された後、ピストン13は上方へと移動して予混合気を圧縮する。そして、上死点付近まで到達すると、燃料油弁34からパイロット油が噴射されて着火が行われる。この着火によって形成された火炎が予混合気内を伝播しながら予混合燃焼が行われ、燃焼及び膨張行程が行われ(このとき燃料油弁34からのパイロット油の噴射は停止されている)、ピストン13が下方へと移動する。
[0055]
 (拡散燃料ガスモード)
 拡散燃料ガスモードについて説明する。
 排気弁12が閉じられてさらにピストン13が掃気ポート10を閉じた後の圧縮行程では、掃気ポート10から導入した空気のみを圧縮する。そして、ピストン13が上死点付近まで到達すると、燃料油弁34から燃料油をパイロット油として噴射するとともに、このパイロット油と同時または直後に、拡散ガス弁32から、圧縮時の筒内圧以上50MPa(絶対圧)以下、より好ましくは絶対圧で10MPa以上30MPa以下の高圧とされた燃料ガスを噴射する。これにより、燃料ガスの噴射に応じて筒内で拡散燃焼が行われ(このとき燃料油弁34からのパイロット油の噴射は停止されている)、膨張行程によってピストン13が下方へと押し下げられる。
 なお、拡散燃料ガスモードでは、予混合ガス弁30は常時閉じられている。
[0056]
 (部分予混合燃料ガスモード)
 部分予混合燃料ガスモードについて説明する。
 部分予混合燃料ガスモードでは、燃料ガスの一部が、前記全部予混合燃料ガスモードと同様の絶対圧及びタイミングで、予混合ガス弁30からピストン13の頂部に向けて噴射される。このときには、拡散ガス弁32は閉じられている。また、その後、残りの燃料ガスが、前記拡散燃料ガスモードと同様の絶対圧及びタイミングで、拡散ガス弁32から噴射される。このときには、予混合ガス弁30は閉じられている。
[0057]
 (拡散燃料油モード)
 拡散燃料油モード(いわゆる油専焼モード)については、図示しないが、一般の燃料油を用いた拡散燃焼と同様である。具体的には、排気弁12を閉じてピストン13の上昇とともに空気の圧縮を行い、上死点付近で燃料油弁34から燃料油を高圧で噴射して拡散燃焼を行い、この拡散燃焼による膨張行程によりピストン13が下降する。
 このように拡散燃料油モードを備えることにより、燃料ガスを用いた運転と併用されるデュアルフュエル機関(DF機関)としてディーゼル機関1を成立させることができる。
 なお、拡散燃料油モードでは、予混合ガス弁30及び拡散ガス弁32は常時閉じられている。
[0058]
 (予混合移行制御)
 本実施形態の機関1は、さらに、拡散燃料ガスモード又は拡散燃料油モードから全部予混合燃料ガスモード又は部分予混合燃料ガスモードに移行する際に行われる予混合移行制御を備えている。
[0059]
 燃料ガスを用いた拡散燃料ガスモードから全部予混合燃料ガスモード又は部分予混合燃料ガスモードに切り替える際には、拡散ガス噴射弁32から噴射する燃料ガスを減少させるとともに予混合ガス弁30から噴射する燃料ガスを増大させる。すなわち、拡散燃料ガスモードから予混合燃料ガスモードへの切換時には、噴射する全燃料ガス中のうち予混合ガス弁30から噴射される燃料ガスの割合である予混合割合を0%(燃料ガス拡散燃焼のみの拡散燃料ガスモード)から所定割合(予混合燃焼のみの全部予混合燃料ガスモードの場合は100%、予混合燃焼及び拡散燃焼を併用する部分予混合燃料ガスモードの場合は設定された所定%)に向かって増大させていく。このとき、制御部による予混合移行制御により、拡散燃料ガスモードから予混合燃料ガスモードに切り替えた直後の最初のサイクルにおける燃焼行程にて、予混合ガス弁30から噴射される燃料ガスが完全燃焼する濃度まで、予混合ガス弁30から噴射される燃料ガス量を増大させて予混合割合を一気に上昇させる。具体的には、モード切換時の最初のサイクルで、予混合割合を0%から40%以上60%以下まで一気に上昇させる。そして、モード切替直後の最初のサイクルで40%以上60%以下の予混合割合とした後は、続く複数のサイクルにて徐々に予混合割合を所定割合に向けて増大させる。
[0060]
 これにより、拡散燃料ガスモードから予混合燃料ガスモードへの切替時に、最初のサイクルから予混合燃料の完全燃焼が行われることになり、未燃ガスが排気弁12から排出されることを防止することができる。すなわち、モード切替直後に複数のサイクルにわたって予混合割合を0%から徐々に増大させていくと、予混合割合が小さい初期のサイクルでは予混合ガス弁30から噴射される燃料ガス量が少なく予混合濃度が低すぎて燃料ガスを完全燃焼させることができず未燃の燃料ガスである炭化水素(HC)を排気弁12から排出してしまうという不具合を回避することができる。
[0061]
 また、燃料油を用いた拡散燃料油モードから予混合燃料ガスモードへの切替時においても、同様の制御を行う。すなわち、拡散燃料油モードから混合燃料ガスモードに切り替える際には、燃料油弁34から噴射する燃料油を減少させるとともに予混合ガス弁30から噴射する燃料ガスを増大させる。すなわち、拡散燃料油モードから予混合燃料ガスモードへの切換時には、噴射する全燃料のうち予混合ガス弁30から噴射される燃料ガスの発熱量割合である予混合割合を0%(燃料油拡散燃焼のみの拡散燃料油モード)から所定割合(予混合燃焼のみの予混合燃料ガスモードの場合は100%、予混合燃焼及び拡散燃焼を併用する部分予混合燃料ガスモードの場合は設定された所定%)に向かって増大させていく。このとき、制御部による予混合移行制御により、拡散燃料油モードから予混合燃料ガスモードに切り替えた直後の最初のサイクルにおける燃焼行程にて、予混合ガス弁30から噴射される燃料ガスが完全燃焼する濃度まで、予混合ガス弁30から噴射される燃料ガス量を増大させて予混合割合を一気に上昇させる。具体的には、モード切換時の最初のサイクルで、予混合割合を0%から40%以上60%以下まで一気に上昇させる。そして、モード切替直後の最初のサイクルで40%以上60%以下の予混合割合とした後は、続く複数のサイクルにて徐々に予混合割合を増大させる。
[0062]
 これにより、拡散燃料油モードから予混合燃料ガスモードへの切替時に、最初のサイクルから予混合燃料の完全燃焼が行われることになり、未燃ガスが排気弁12から排出されることを防止することができる。すなわち、モード切替直後に複数のサイクルにわたって予混合割合を0%から徐々に増大させていくと、予混合割合が小さい初期のサイクルでは予混合ガス弁30から噴射される燃料ガス量が少なく予混合濃度が低すぎて燃料ガスを完全燃焼させることができず未燃の燃料ガスである炭化水素(HC)を排気弁12から排出してしまうという不具合を回避することができる。
[0063]
 〔デュアルフュエル機関の制御装置による制御〕
 ここで、図1を参照して、本実施形態にかかるデュアルフュエル機関の制御装置40による制御について説明する。
[0064]
 図1に示すように、本制御装置40は、機関1が排気を規制すべき排気規制状態であるか否かを判定する判定部(判定手段)42と、機関1の運転中に作動モード(燃焼方式)を適宜選択して設定する作動モード選択部(燃焼方式選択手段)44と、選択設定された作動モードに対応した燃料噴射態様となるように燃料噴射を制御する燃料噴射制御部(燃料噴射制御手段)46と、選択設定された作動モードに対応した実圧縮比となるように実圧縮比を制御する実圧縮比制御部(実圧縮比制御手段)48と、過給機16の過給量を制御する過給制御部(過給制御手段)50とを、機能要素として備えている。
[0065]
 まず、判定部42による判定を説明する。判定部42は、機関1を搭載した船舶が航行する海域が、排気規制海域であるか否かを判定し、航行海域が排気規制海域であれば、機関1は排気を規制すべき状態にあると判定し、この航行海域の判定は、船舶の位置情報を例えばGPS等から取得して、この位置情報と予め記憶された排気規制海域の情報とから実施することができる。
[0066]
 作動モード選択部44は、判定部42が当該船舶の航行海域が排気規制海域である(機関1は排気規制状態にある)と判定したら全部予混合燃料ガスモード又は部分予混合燃料ガスモードを選択し、判定部42が当該船舶の航行海域が排気規制海域でない(機関1は排気規制状態にない)と判定したら拡散燃料油モード又は拡散燃料ガスモードを選択するようになっている。
[0067]
 燃料噴射制御部46は、作動モード選択部44により設定された作動モードに対応した燃料噴射態様となるように燃料噴射を制御する。つまり、全部予混合燃料ガスモードが設定されれば、前述のように、予混合ガス弁30を燃料供給用として用い燃料油弁34をパイロット用として用いて燃料噴射を行なう。部分予混合燃料ガスモードが設定されれば、前述のように、予混合ガス弁30,拡散ガス弁32を燃料供給用として用い燃料油弁34をパイロット用として用いて燃料噴射を行なう。また、拡散燃料ガスモードが設定されれば、前述のように、拡散ガス弁32を燃料供給用として用い、燃料油弁34をパイロット用として用いて燃料噴射を行なう。拡散燃料油モードが設定されれば、前述のように、燃料油弁34を用いて燃料噴射を行なう。
[0068]
 実圧縮比制御部48では、作動モード選択部44により設定された作動モードに対応して実圧縮比を制御する。つまり、全部予混合燃料ガスモード又は部分予混合燃料ガスモードが設定されれば、実圧縮比を低圧縮比に制御し、拡散燃料ガスモード又は拡散燃料油モードが設定されれば、実圧縮比を高圧縮比に制御する。
[0069]
 ここで、実圧縮比制御部48による実圧縮比の制御を説明する。
 上述のように、全部予混合燃料ガスモード又は部分予混合燃料ガスモードでは、予混合ガス弁30を用いて、掃気ポート10をピストン13で閉じた後のピストン13に向けて(例えば、上方から下方に向けて)燃料ガスを噴射することにより、掃気ポート10をピストン13で閉じた後の燃焼空間のピストン往復動方向(例えば上下方向)を有効に使って燃料ガスを全体に噴射することができ、酸化剤ガスに対する燃料ガスの混合を促進することができる。
[0070]
 したがって、局所的に燃料ガス濃度が高くなる局所的最小λ(λは空気過剰率)を大きくすることができ、過早着火やノッキング等の異常燃焼を可及的に回避することで燃焼安定性を向上させることができる。また、過早着火やノッキング等の異常燃焼を可及的に回避することができるので、従来の予混合機関よりも圧縮比の下げ代を小さくでき、熱効率の低下を最小化でき、高いPme(筒内平均有効圧力)とされた高負荷での運転も可能となる。
[0071]
 しかしながら、このように、従来の予混合機関よりも圧縮比の下げ代を小さくできるとしても、拡散燃料油モードや拡散燃料ガスモードにおいて、機関1の熱効率を高め大きな出力を得るには、全部予混合燃料ガスモード又は部分予混合燃料ガスモードで採用可能な圧縮比では十分でなく、より高い圧縮比を用いる必要がある。
[0072]
 そこで、機関1には、機関1の運転中に実圧縮比を変更可能に構成されている。
本実施形態では、この実圧縮比の変更を排気弁12の閉止タイミングを変更することで実現している。つまり、排気弁12の閉止タイミングを遅らせること(即ち、遅角させること)で、機関1の実質的な圧縮開始時の筒内容積が小さくなり、実圧縮比を小さくすることができる。逆に、排気弁12の閉止タイミングを進ませること(即ち、進角させること)で、機関1の実質的な圧縮開始時の筒内容積が大きくなり、実圧縮比を大きくすることができる。
[0073]
 このため、機関1には、少なくとも排気弁12の閉止タイミングを変更可能な動弁装置(可変動弁式動弁装置)12Aが備えられている。この動弁装置12Aは、排気弁12をアクチュエータ(図示略)で制御するいわゆるカムレス方式の動弁装置であり、制御装置40によって、アクチュエータの作動を制御することにより排気弁12の閉止タイミングを容易に変更することができる。ただし、可変動弁式動弁装置には、機関1のメカニカルな可変動弁機構を用いたものを用いてもよい。
[0074]
 過給制御部50では、作動モード選択部44により設定された作動モードに対応して過給量を制御する。つまり、少なくとも機関1の負荷が一定負荷よりも大きい高負荷状態の場合において、拡散燃料ガスモード又は拡散燃料油モードが設定されれば、過給量を通常状態とし、全部予混合燃料ガスモード又は部分予混合燃料ガスモードが設定されれば、過給量を増加状態とする。
[0075]
 これは、前述のように、全部予混合燃料ガスモード又は部分予混合燃料ガスモードが設定された際に、排気弁12の閉止タイミングの変更により実圧縮比を小さくすると、筒内にトラップされる空気量が減少して、機関1の最大出力が制限されてしまうので、本実施形態では、過給機16の過給量を増加させて筒内にトラップされる空気量を増大させることにより、機関1の最大出力の向上を図っているのである。
[0076]
 図4は、排気弁12の閉止タイミングの変更を例示するタイムチャートであり、掃気ポート10の開閉タイミングと、排気弁12の開閉タイミングと、これに応じた筒内圧を、燃料噴射のタイミングと併せて示す。図4に示すように、ピストン13が上死点TDCから下死点BDCへと移動するのにしたがって、筒内圧は低下し、時点t1で排気弁12が開放されると筒内圧は更に低下するが、その後、時点t2で掃気ポート10が開放されると、筒内圧はやや回復しながらピストン13は下死点BDCへ達する。時点t3で掃気ポート10が閉止され、その後時点t4で排気弁12が閉止されるとその後は、ピストン13が上死点TDCに向かうのに従って筒内圧は増大する。
[0077]
 通常の排気弁12の開閉タイミングを実線で示し、排気弁12の閉止タイミングを時点t4から時点t5へと遅らせると、実圧縮比を低下させることができる。しかし、これと同時に、筒内圧は実線で示す通常の閉止タイミングのレベル(拡散燃焼)から二点鎖線で示すように低下する(予混合燃焼2)。このため、筒内にトラップされる空気量が減少する。これに対して、過給機16の過給量を増加させることで、筒内にトラップされる空気量を増大し、この結果、筒内圧は破線で示すように回復する(予混合燃焼1)。
[0078]
 この過給制御部50による過給機16の過給量の制御について具体的に説明する。
 本実施形態では、機関1に装備される過給機16は、2つの過給機16A,16Bを直列に接続し、バルブの切替で2段過給と単段過給とを切り替えられる構成となっている。
[0079]
 つまり、掃気通路の上流側且つ排気通路の下流側の第1過給機16Aのコンプレッサ16ACと、掃気通路の下流側且つ排気通路の上流側の第2過給機16Bのコンプレッサ16BCとの間には、掃気用接続通路161aが設けられ、第1過給機16Aの排気タービン16ATと、第2過給機16Bの排気タービン16BTとの間には、排気用接続通路162aが設けられる。また、第1過給機16Aのコンプレッサ16ACと掃気マニホールド20(図2参照)との間には掃気用接続通路161bが設けられ、第1過給機16Aの排気タービン16ATと排気マニホールド14(図2参照)との間には排気用接続通路162bが設けられる。さらに、第2過給機16Bのコンプレッサ16BCと掃気マニホールド20との間には掃気用接続通路161cが設けられ、第2過給機16Bの排気タービン16BTと排気マニホールド14との間には排気用接続通路162cが設けられる。
 なお、各掃気用接続通路161b,161cにはエアクーラ18が設けられる。この掃気用接続通路161b,161cのエアクーラ18は兼用可能である。
[0080]
 そして、各掃気用接続通路161a~161cには、開閉バルブ163a~163cが介装され、各排気用接続通路163a~163cには、開閉バルブ164a~164cが介装されている。
[0081]
 開閉バルブ163b及び164bを閉鎖し、開閉バルブ163a,163c及び164a,164cを開放すると、機関1から排出された排気は、排気マニホールド14から第2過給機16Bの排気タービン16BT,第1過給機16Aの排気タービン16ATを経て排出されながら、排気タービン16BT,16ATを回転駆動する。これによって、コンプレッサ16AC,16BCが回転駆動され、掃気用空気を2段過給で加圧する。
[0082]
 開閉バルブ163a,163c及び164a,164cを閉鎖すると、開閉バルブ163b及び164bを開放し、機関1から排出された排気は、排気マニホールド14から第1過給機16Aの排気タービン16ATを経て排出されながら、排気タービン16ATを回転駆動する。これによって、コンプレッサ16ACが回転駆動され、掃気用空気を単段過給で加圧する。
[0083]
 このようにして、全部予混合燃料ガスモード又は部分予混合燃料ガスモードが設定された際には、排気弁12の閉止タイミングの変更により実圧縮比を小さくして過早着火やノッキングなどの異常燃焼を抑制しつつ、これにより筒内にトラップされる空気量の減少を、2段過給による過給圧の増大によって補うことで、機関1の最大出力の向上を図っているのである。
[0084]
 なお、過給制御部50では、拡散燃料ガスモード又は拡散燃料油モードが設定されている際には、機関1の負荷が高負荷状態の場合は単段過給によって過給量を通常状態するが、これは、高負荷時には二段過給による過給量の増加は困難なためであり、機関1の負荷が一定負荷以下の低負荷状態の場合は二段過給による過給量の増加を見込むことができるので、二段過給を実施する。
[0085]
 本発明の第1実施形態にかかるデュアルフュエル機関の制御装置及びこれを備えた船舶は、上述のように構成されているので、船舶が排気規制海域に進入したら、全部予混合燃料ガスモード又は部分予混合燃料ガスモードが選択され、NOx排出量が少ない状態で排気規制をクリアした状態で船舶を運行することができる。また、船舶が排気規制海域を脱出したら、拡散燃料ガスモード或いは拡散燃料油モードが選択され、高効率で大きな最大出力を得られる状態で船舶を運行することができる。
[0086]
 本制御装置では、特に、全部予混合燃料ガスモード又は部分予混合燃料ガスモードでは実圧縮比を低下させ、拡散燃料ガスモード或いは拡散燃料油モードでは実圧縮比を高めているので、安定した予混合燃料ガスモードでの運転と、実圧縮比を高めて高効率で大きな最大出力を得られる拡散燃料ガスモード或いは拡散燃料油モードでの運転を実施することができる。
[0087]
 しかも、全部予混合燃料ガスモード又は部分予混合燃料ガスモードが設定された際に、排気弁12の閉止タイミングの変更により実圧縮比を小さくすると、筒内にトラップされる空気量が減少して、機関1の最大出力が制限されてしまうが、本実施形態では、過給機16の過給量を増加させて筒内にトラップされる空気量を増大させているので、全部予混合燃料ガスモード又は部分予混合燃料ガスモードにおける機関1の最大出力を向上させることができる。
[0088]
 〔第2実施形態〕
 次に本発明の第2実施形態を説明する。
 本実施形態は、過給量を増減操作可能な過給機16の構成のみが第1実施形態と異なっている。
[0089]
 図5に示すように、本過給機16は、第1過給機16Cと第2過給機16Dとが並列に設けられている。第1過給機16Cのコンプレッサ16CCと掃気マニホールド20との間には掃気用接続通路165aが設けられ、第1過給機16Cの排気タービン16CTと排気マニホールド14との間には排気用接続通路166aが設けられる。さらに、第2過給機16Dのコンプレッサ16DCと掃気マニホールド20との間には掃気用接続通路165bが設けられ、第2過給機16Dの排気タービン16DTと排気マニホールド14との間には排気用接続通路166bが設けられる。
 なお、各掃気用接続通路165a,165bにはエアクーラ18が設けられる。
[0090]
 そして、掃気用接続通路165b及び排気用接続通路166bには、開閉バルブ167,168が介装されている。
 第1過給機16Cは常時作動であるが、第2過給機16Dは開閉バルブ167及び168を開放すると作動し、開閉バルブ167及び168を閉鎖すると停止する。
 機関1の低負荷時には、排気圧が低いので第1過給機16Cのみによって排気圧を集中的に使用し、機関1の高負荷時には、排気圧が高いので第1過給機16Cと第2過給機16Dとの両方を用いて排気圧を効果的に使用して過給量を増大させることができる。
[0091]
 本実施形態では、全部予混合燃料ガスモード又は部分予混合燃料ガスモードが設定された際には、筒内にトラップされる空気量が減少してしまうのを補うように、全部予混合燃料ガスモード又は部分予混合燃料ガスモードにおける機関1の高負荷時には、第1過給機16Cと第2過給機16Dとの両方を用いて過給量を増大させる。なお、拡散燃料ガスモード或いは拡散燃料油モードでは、第1過給機16Cと第2過給機16Dとの両方を用いると過給量が過剰になるので、機関1の高負荷時であっても第1過給機16Cのみを用いる。
[0092]
 本発明の第2実施形態にかかるデュアルフュエル機関の制御装置及びこれを備えた船舶は、上述のように構成されているので、第1実施形態と同様に、船舶が排気規制海域に進入したら、全部予混合燃料ガスモード或いは部分予混合燃料ガスモードが選択され、NOx排出量が少ない状態で排気規制をクリアした状態で船舶を運行し、船舶が排気規制海域を脱出したら、拡散燃料ガスモード或いは拡散燃料油モードが選択され、高効率で大きな最大出力を得られる状態で船舶を運行することができる。
[0093]
 また、全部予混合燃料ガスモード或いは部分予混合燃料ガスモードでは実圧縮比を低下させ、拡散燃料ガスモード或いは拡散燃料油モードでは実圧縮比を高めているので、第1実施形態と同様に、安定した全部予混合燃料ガスモード或いは部分予混合燃料ガスモードでの運転と、実圧縮比を高めて高効率で大きな最大出力を得られる拡散燃料ガスモード或いは拡散燃料油モードでの運転を両立することができる。
[0094]
 そして、全部予混合燃料ガスモード或いは部分予混合燃料ガスモードが設定された際に、過給機16の過給量を増加させて筒内にトラップされる空気量を増大させることにより、予混合燃料ガスモード或いは部分予混合燃料ガスモードにおける機関1の最大出力を向上させることができる。
[0095]
 〔その他〕
 以上、本発明の形態を説明したが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態を種々変形して実施することができる。
[0096]
 例えば、全部予混合燃料ガスモード時或いは部分予混合燃料ガスモード時に、過給量を増加可能な過給機16としては、例えば、電動アシスト式の過給機を適用し、予混合燃料ガスモード時には電動アシストを用いて過給量を増加させることもできる。また、容量可変式の過給機を適用し、予混合燃料ガスモード時には容量を増大して過給量を増加させることもできる。
[0097]
 また、上記実施形態では、制御装置40が船舶の航行している航行海域が排気規制海域内であるか否かを判定し、機関1の動作モード(燃焼方式)を自動で選択したが、船舶の航行している航行海域が排気規制海域内であるか否かを人為的に判定し、排気規制海域内である場合には、制御装置40の燃焼モード選択部(燃焼方式選択手段)に全部予混合燃料ガスモード(燃料ガス全部予混合燃焼方式)或いは部分予混合燃料ガスモード(燃料ガス部分予混合燃焼方式)を手動で選択指令し、排気規制海域内でない場合には、制御装置40の燃焼モード選択部(燃焼方式選択手段)に拡散燃料ガスモード又は拡散燃料油スモード(燃料ガス拡散燃焼方式)を手動で選択指令するようにしてもよい。
[0098]
 また、上記実施形態では、本発明は、内燃機関としてデュアルフュエル機関を例示したが、本発明にかかる内燃機関は、運転中に少なくとも燃料ガス拡散燃焼方式と燃料ガス予混合燃焼方式とを選択可能なもの、或いは、運転中に少なくとも燃料ガス拡散燃焼方式と燃料ガス全部予混合燃焼方式と燃料ガス部分予混合燃焼方式とを選択可能なものであればよく、デュアルフュエル機関に限定されず、燃料ガスのみによって運転する内燃機関(ガスエンジン)であってもよい。
[0099]
 そして、こうした内燃機関の運転中に、少なくとも燃料ガス拡散燃焼方式と燃料ガス予混合燃焼方式とを含む燃焼方式のうちの一つの燃焼方式、或いは、少なくとも燃料ガス拡散燃焼方式と燃料ガス全部予混合燃焼方式と燃料ガス部分予混合燃焼方式とを含む燃焼方式のうちの一つの燃焼方式、を選択する燃焼方式選択工程と、燃焼方式選択工程において選択した燃焼方式に応じて、内燃機関の実圧縮比を制御する圧縮比制御工程と、を実施することにより、燃焼方式の変更に伴う機関の性能変化分を実圧縮比の制御によって相殺する方向に操作することができる。

符号の説明

[0100]
 1 デュアルフュエル機関(内燃機関)
 9 シリンダライナ
 10 掃気ポート
 11 シリンダカバー
 12 排気弁
 13 ピストン
 14 排気ガスマニホールド
 16 過給機
 30 予混合ガス弁(第1の燃料ガス噴射弁)
 32 拡散ガス弁(第2の燃料ガス噴射弁)
 34 燃料油弁(燃料油噴射弁)
 40 制御装置
 42 判定部(判定手段)
 44 作動モード選択部(燃焼方式選択手段)
 46 燃料噴射制御部(燃料噴射制御手段)
 48 実圧縮比制御部(実圧縮比制御手段)
 50 過給制御部(過給制御手段)

請求の範囲

[請求項1]
 内燃機関の運転中に少なくとも燃料ガス拡散燃焼方式と燃料ガス予混合燃焼方式とを選択可能な燃焼方式選択手段と、
 前記燃焼方式選択手段により選択された燃焼方式に応じた燃料噴射態様となるように燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段と、
 前記燃焼方式選択手段により選択された燃焼方式に応じた実圧縮比となるように実圧縮比を制御する実圧縮比制御手段と、を備え、
 前記実圧縮比制御手段は、前記燃料ガス予混合燃焼方式が選択されたら前記実圧縮比を低圧縮比に制御し、前記燃料ガス拡散燃焼方式が選択されたら前記実圧縮比を高圧縮比に制御する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
[請求項2]
 前記燃料ガス予混合燃焼方式は、燃料ガスを用いて燃料ガス予混合燃焼方式だけで燃焼させる燃料ガス全部予混合燃焼方式と、燃料ガスの一部を予混合燃焼させ残りを拡散燃焼させる燃料ガス部分予混合燃焼方式とを含み、
 前記燃焼方式選択手段は、前記内燃機関の運転中に、少なくとも、前記燃料ガス拡散燃焼方式と、前記燃料ガス全部予混合燃焼方式と、前記燃料ガス部分予混合燃焼方式とを、選択可能であって、
 前記実圧縮比制御手段は、前記燃料ガス全部予混合燃焼方式或いは前記燃料ガス部分予混合燃焼方式が選択されたら前記実圧縮比を低圧縮比に制御し、前記燃料ガス拡散燃焼方式が選択されたら前記実圧縮比を高圧縮比に制御する
ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
[請求項3]
 前記内燃機関は、排気弁閉止タイミングを変更可能な動弁装置を備え、
 前記実圧縮比制御手段は、前記排気弁閉止タイミングを操作して前記実圧縮比を制御し、前記実圧縮比を低圧縮比にする際には、前記排気弁閉止タイミングを遅角側に制御し、前記実圧縮比を高圧縮比にする際には、前記排気弁閉止タイミングを進角側に制御する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。
[請求項4]
 前記内燃機関は、過給量を増減操作可能な過給機を備え、
 少なくとも前記内燃機関の負荷が一定負荷よりも大きい高負荷状態の場合に、前記燃焼方式選択手段が前記燃料ガス拡散燃焼方式を選択したら前記過給量を通常状態とし、前記燃焼方式選択手段が前記燃料ガス予混合燃焼方式を選択したら前記過給量を増加状態とする過給制御手段とを備えている
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項5]
 前記過給機は、2段過給と単段過給とが切り替え可能な過給機であって、
 前記過給制御手段は、前記過給量を通常状態とする際は前記過給機を単段過給とし、前記過給量を増加状態とする際は前記過給機を2段過給とする
ことを特徴とする請求項4記載の内燃機関の制御装置。
[請求項6]
 前記過給制御手段は、前記燃焼方式選択手段が前記燃料ガス拡散燃焼方式を選択した場合には、前記内燃機関の負荷が前記一定負荷以下の低負荷状態であったら前記過給量を増加状態とする
ことを特徴とする請求項4又は5記載の内燃機関の制御装置。
[請求項7]
 前記内燃機関の排気を規制すべき排気規制状態であるか否かを判定する判定手段を備え、
 前記燃焼方式選択手段は、前記判定手段により排気規制状態であると判定されると前記燃料ガス予混合燃焼方式を選択し、前記判定手段により排気規制状態でないと判定されると前記燃料ガス拡散燃焼方式を選択する
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
[請求項8]
 前記内燃機関は船舶に装備された舶用機関であって、
 前記判定手段は、前記船舶の航行している航行海域が排気規制海域内であれば前記排気規制状態であると判定し、前記航行海域が排気規制海域外であれば前記排気規制状態でないと判定する
ことを特徴とする請求項7記載の内燃機関の制御装置。
[請求項9]
 請求項1~8の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置と、前記制御装置により制御される前記内燃機関と、を有する
ことを特徴とする船舶。
[請求項10]
 内燃機関の運転中に少なくとも燃料ガス拡散燃焼方式と燃料ガス予混合燃焼方式とを含む燃焼方式のうちの一つの燃焼方式を選択する燃焼方式選択工程と、
 前記燃焼方式選択工程において選択した燃焼方式に応じて、前記内燃機関の実圧縮比を制御する圧縮比制御工程と、を備える
ことを特徴とする内燃機関の運転方法。
[請求項11]
 前記燃料ガス予混合燃焼方式は、燃料ガスを用いて燃料ガス予混合燃焼方式だけで燃焼させる燃料ガス全部予混合燃焼方式と、燃料ガスの一部を予混合燃焼させ残りを拡散燃焼させる燃料ガス部分予混合燃焼方式とを含み、
 前記燃焼方式選択工程では、前記内燃機関の運転中に、少なくとも、前記燃料ガス拡散燃焼方式と、前記燃料ガス全部予混合燃焼方式と、前記燃料ガス部分予混合燃焼方式とを含む燃焼方式のうちの一つの燃焼方式を選択する
ことを特徴とする請求項10記載の内燃機関の運転方法。

補正された請求の範囲(条約第19条)
[ 2016年3月31日 ( 31.03.2016 )  国際事務局受理 ]

[1]
[補正後] 
 内燃機関の運転中に少なくとも燃料ガス拡散燃焼方式と燃料ガス予混合燃焼方式とを選択可能な燃焼方式選択手段と、
 前記燃焼方式選択手段により選択された燃焼方式に応じた燃料噴射態様となるように燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段と、
 前記燃焼方式選択手段により選択された燃焼方式に応じた実圧縮比となるように実圧縮比を制御する実圧縮比制御手段と、
 前記内燃機関の排気を規制すべき排気規制状態であるか否かを判定する判定手段と、
を備え、
 前記燃焼方式選択手段は、前記判定手段により排気規制状態であると判定されると前記燃料ガス予混合燃焼方式を選択し、前記判定手段により排気規制状態でないと判定されると前記燃料ガス拡散燃焼方式を選択し、
 前記実圧縮比制御手段は、前記燃料ガス予混合燃焼方式が選択されたら前記実圧縮比を前記燃料ガス拡散燃焼方式の場合よりも低い低圧縮比に制御し、前記燃料ガス拡散燃焼方式が選択されたら前記実圧縮比を前記燃料ガス予混合燃焼方式の場合よりも高い高圧縮比に制御する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
[2]
[補正後] 
 前記燃料ガス予混合燃焼方式は、燃料ガスを用いて燃料ガス予混合燃焼方式だけで燃焼させる燃料ガス全部予混合燃焼方式と、燃料ガスの一部を予混合燃焼させ残りを拡散燃焼させる燃料ガス部分予混合燃焼方式とを含み、
 前記燃焼方式選択手段は、前記内燃機関の運転中に、少なくとも、前記燃料ガス拡散燃焼方式と、前記燃料ガス全部予混合燃焼方式と、前記燃料ガス部分予混合燃焼方式とを、選択可能であって、
前記実圧縮比制御手段は、前記燃料ガス全部予混合燃焼方式或いは前記燃料ガス部分予混合燃焼方式が選択されたら前記実圧縮比を前記低圧縮比に制御し、前記燃料ガス拡散燃焼方式が選択されたら前記実圧縮比を前記高圧縮比に制御する
ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
[3]
[補正後] 
 前記内燃機関は、排気弁閉止タイミングを変更可能な動弁装置を備え、
 前記実圧縮比制御手段は、前記排気弁閉止タイミングを操作して前記実圧縮比を制御し、前記実圧縮比を前記低圧縮比にする際には、前記排気弁閉止タイミングを前記高圧縮比にする場合よりも遅角側に制御し、前記実圧縮比を前記高圧縮比にする際には、前記排気弁閉止タイミングを前記低圧縮比にする場合よりも進角側に制御する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。
[4]
[補正後] 
 前記内燃機関は、過給量を増減操作可能な過給機を備え、
 少なくとも前記内燃機関の負荷が一定負荷よりも大きい高負荷状態の場合に、前記燃焼方式選択手段が前記燃料ガス拡散燃焼方式を選択したら前記過給量を通常状態とし、前記燃焼方式選択手段が前記燃料ガス予混合燃焼方式を選択したら前記過給量を前記通常状態よりも増加させた増加状態とする過給制御手段とを備えている
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
[5]
[補正後] 
 前記過給機は、2段過給と単段過給とが切り替え可能な過給機であって、
 前記過給制御手段は、前記過給量を前記通常状態とする際は前記過給機を単段過給とし、前記過給量を前記増加状態とする際は前記過給機を2段過給とする
ことを特徴とする請求項4記載の内燃機関の制御装置。
[6]
 前記過給制御手段は、前記燃焼方式選択手段が前記燃料ガス拡散燃焼方式を選択した場合には、前記内燃機関の負荷が前記一定負荷以下の低負荷状態であったら前記過給量を増加状態とする
ことを特徴とする請求項4又は5記載の内燃機関の制御装置。
[7]
[削除] 
[8]
[補正後] 
 前記内燃機関は船舶に装備された舶用機関であって、
 前記判定手段は、前記船舶の航行している航行海域が排気規制海域内であれば前記排気規制状態であると判定し、前記航行海域が排気規制海域外であれば前記排気規制状態でないと判定する
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
[9]
[補正後] 
 請求項1~6,8の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置と、前記制御装置により制御される前記内燃機関と、を有する
ことを特徴とする船舶。
[10]
[補正後] 
 内燃機関の排気を規制すべき排気規制状態であるか否かを判定する判定工程と、
 前記内燃機関の運転中に少なくとも燃料ガス拡散燃焼方式と燃料ガス予混合燃焼方式とを含む燃焼方式のうちの一つの燃焼方式を選択し、前記判定工程により排気規制状態であると判定されると前記燃料ガス予混合燃焼方式を選択し、前記判定工程により排気規制状態でないと判定されると前記燃料ガス拡散燃焼方式を選択する燃焼方式選択工程と、
 前記燃焼方式選択工程において選択した燃焼方式に応じて、前記内燃機関の実圧縮比を制御する圧縮比制御工程と、を備える
ことを特徴とする内燃機関の運転方法。
[11]
 前記燃料ガス予混合燃焼方式は、燃料ガスを用いて燃料ガス予混合燃焼方式だけで燃焼させる燃料ガス全部予混合燃焼方式と、燃料ガスの一部を予混合燃焼させ残りを拡散燃焼させる燃料ガス部分予混合燃焼方式とを含み、
 前記燃焼方式選択工程では、前記内燃機関の運転中に、少なくとも、前記燃料ガス拡散燃焼方式と、前記燃料ガス全部予混合燃焼方式と、前記燃料ガス部分予混合燃焼方式とを含む燃焼方式のうちの一つの燃焼方式を選択する
ことを特徴とする請求項10記載の内燃機関の運転方法。
[12]
[追加] 
 前記内燃機関は船舶に装備された舶用機関であって、
 前記判定工程では、前記船舶の航行している航行海域が排気規制海域内であれば前記排気規制状態であると判定し、前記航行海域が排気規制海域外であれば前記排気規制状態でないと判定する
ことを特徴とする請求項10又は11記載の内燃機関の運転方法。

条約第19条(1)に基づく説明書
 補正後の請求項1は、補正前の請求項1を補正前の請求項7で限定し、明細書の段落0068の記載を根拠に、「低圧縮比」及び「高圧縮比」が、何れも相対的なものであることを明確にした。
 補正後の請求項2は、「低圧縮比」及び「高圧縮比」が上位に記載されたものであることを明確にした。
 補正後の請求項3は、「低圧縮比」及び「高圧縮比」が上位に記載されたものであることを明確にし、明細書の段落0072の記載を根拠に、「遅角側」及び「進角側」が、何れも相対的なものであることを明確にした。
 補正後の請求項4は、明細書の段落0074,0075の記載を根拠に、「通常状態」及び「増加状態」が、何れも相対的なものであることを明確にした。
 補正後の請求項5は、「通常状態」及び「増加状態」が上位に記載されたものであることを明確にした。
 補正前の請求項7は削除した。
 補正後の請求項8,9は、何れも引用請求項を変更したものである。
 補正後の請求項10は、補正前の請求項10を補正前の請求項7に対応する事項で限定した。
 補正後の請求項12は、補正前の請求項8の記載を根拠に、新たに追加した。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]