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1. (WO2016060185) SOLAR CELL
Document

明 細 書

発明の名称 太陽電池

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

非特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057  

発明の効果

0058  

図面の簡単な説明

0059  

発明を実施するための形態

0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077  

産業上の利用可能性

0078  

符号の説明

0079  

請求の範囲

1   2   3  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 太陽電池

技術分野

[0001]
本発明は、光電変換効率に優れ、封止時の劣化(初期劣化)が少なく、高温耐久性があり、温度サイクル耐性に優れた太陽電池に関する。

背景技術

[0002]
従来から、対向する電極間にN型半導体層とP型半導体層とを配置した積層体を備えた光電変換素子が開発されている。このような光電変換素子では、光励起により光キャリアが生成し、電子がN型半導体を、ホールがP型半導体を移動することで、電界が生じる。
[0003]
現在、実用化されている光電変換素子の多くは、シリコン等の無機半導体を用いて製造される無機太陽電池である。しかしながら、無機太陽電池は製造にコストがかかるうえ大型化が困難であり、利用範囲が限られてしまうことから、無機半導体の代わりに有機半導体を用いて製造される有機太陽電池が注目されている。
[0004]
有機太陽電池においては、ほとんどの場合フラーレンが用いられている。フラーレンは、主にN型半導体として働くことが知られている。例えば、特許文献1には、P型半導体となる有機化合物とフラーレン類とを用いて形成された半導体ヘテロ接合膜が記載されている。しかしながら、フラーレンを用いて製造される有機太陽電池において、その劣化の原因はフラーレンであることが知られており(例えば、非特許文献1参照)、フラーレンに代わる材料が求められている。
[0005]
一方、有機太陽電池においては、対向する電極間にN型半導体層とP型半導体層とを配置した積層体を、シール材等の封止樹脂を用いて封止することが一般的である(例えば、非特許文献2参照)。しかしながら、シール材等の封止樹脂を用いて封止された有機太陽電池においては、半導体材料の種類によっては封止時に半導体材料が劣化してしまい、光電変換効率が低下するという問題が生じていた(初期劣化)。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2006-344794号公報

非特許文献

[0007]
非特許文献1 : Reese et al.,Adv.Funct.Mater.,20,3476-3483(2010)
非特許文献2 : Proc.of SPIE Vol.7416 74160K-1

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
本発明は、光電変換効率に優れ、封止時の劣化(初期劣化)が少なく、高温耐久性があり、温度サイクル耐性に優れた太陽電池を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
本発明は、電極と、対向電極と、前記電極と前記対向電極との間に配置された光電変換層とを有する積層体と、前記対向電極上を覆って前記積層体を封止する封止材とを有する太陽電池であって、前記光電変換層は、一般式R-M-X (但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含み、前記封止材は、分子中のC原子/O原子が4以上である(メタ)アクリル樹脂を含む太陽電池である。
以下、本発明を詳述する。
[0010]
本発明者は、電極と、対向電極と、前記電極と前記対向電極との間に配置された光電変換層とを有する積層体が、封止材で封止されている太陽電池において、光電変換層に特定の有機無機ペロブスカイト化合物を用いることを検討した。有機無機ペロブスカイト化合物を用いることにより、太陽電池の光電変換効率の向上が期待できる。
しかしながら、有機無機ペロブスカイト化合物を用いた光電変換層を含む積層体を、従来の封止材で封止したところ、封止時に光電変換効率が低下してしまうことがわかった(初期劣化)。
そこで本発明者らは、有機無機ペロブスカイト化合物を用いた光電変換層を含む積層体を、封止材により封止したときの劣化の原因について詳しく検討した。その結果、封止時に、有機無機ペロブスカイト化合物中の有機成分が封止材に溶け込んでしまい、有機無機ペロブスカイト化合物が劣化してしまうことが原因であることを見出した。
本発明者らは、鋭意検討の結果、封止材として分子中のC原子/O原子が4以上である(メタ)アクリル樹脂を用いることにより、封止時に有機無機ペロブスカイト化合物中の有機成分が溶出してしまうのを抑制できることを見出した。更に、本発明者は、封止材に比較的疎水性の高い特定の(メタ)アクリル樹脂を用いることにより、太陽電池の高温耐久性及び温度サイクル耐性をも向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
[0011]
本発明の太陽電池は、電極と、対向電極と、上記電極と上記対向電極との間に配置された光電変換層とを有する積層体と、上記対向電極上を覆って上記積層体を封止する封止材とを有する。
なお、本明細書中、層とは、明確な境界を有する層だけではなく、含有元素が徐々に変化する濃度勾配のある層をも意味する。なお、層の元素分析は、例えば、太陽電池の断面のFE-TEM/EDS線分析測定を行い、特定元素の元素分布を確認する等によって行うことができる。また、本明細書中、層とは、平坦な薄膜状の層だけではなく、他の層と一緒になって複雑に入り組んだ構造を形成しうる層をも意味する。
[0012]
上記電極及び上記対向電極の材料は特に限定されず、従来公知の材料を用いることができる。なお、上記対向電極は、パターニングされた電極であることが多い。
上記電極及び上記対向電極の材料として、例えば、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム-銀混合物、マグネシウム-インジウム混合物、アルミニウム-リチウム合金、Al/Al 混合物、Al/LiF混合物、金等の金属、CuI、ITO(インジウムスズ酸化物)、SnO 、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム亜鉛酸化物)等の導電性透明材料、導電性透明ポリマー等が挙げられる。これらの材料は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、上記電極及び上記対向電極は、それぞれ陰極になっても、陽極になってもよい。
[0013]
上記光電変換層は、一般式R-M-X (但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含む。
上記光電変換層に上記有機無機ペロブスカイト化合物を用いることにより、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
[0014]
上記Rは有機分子であり、C (l、m、nはいずれも正の整数)で示されることが好ましい。
上記Rは、具体的には例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、ヘキシルメチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、ホルムアミジン、グアニジン、イミダゾール、アゾール、ピロール、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾール、イミダゾリン、カルバゾール及びこれらのイオン(例えば、メチルアンモニウム(CH NH )等)、及び、フェネチルアンモニウム等が挙げられる。なかでも、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ホルムアミジン及びこれらのイオン、及び、フェネチルアンモニウムが好ましく、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ホルムアミジン及びこれらのイオンがより好ましい。
[0015]
上記Mは金属原子であり、例えば、鉛、スズ、亜鉛、チタン、アンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、コバルト、銀、銅、ガリウム、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、インジウム、アルミニウム、マンガン、クロム、モリブデン、ユーロピウム等が挙げられる。これらの金属原子は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
[0016]
上記Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子であり、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、セレン等が挙げられる。これらのハロゲン原子又はカルコゲン原子は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、構造中にハロゲンを含有することで、上記有機無機ペロブスカイト化合物が有機溶媒に可溶になり、安価な印刷法等への適用が可能になることから、ハロゲン原子が好ましい。更に、上記有機無機ペロブスカイト化合物のエネルギーバンドギャップが狭くなることから、ヨウ素がより好ましい。
[0017]
上記有機無機ペロブスカイト化合物は、体心に金属原子M、各頂点に有機分子R、面心にハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立方晶系の構造を有することが好ましい。
図1は、体心に金属原子M、各頂点に有機分子R、面心にハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立方晶系の構造である、有機無機ペロブスカイト化合物の結晶構造の一例を示す模式図である。詳細は明らかではないが、上記構造を有することにより、結晶格子内の八面体の向きが容易に変わることができるため、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上すると推定される。
[0018]
上記有機無機ペロブスカイト化合物は、結晶性半導体であることが好ましい。結晶性半導体とは、X線散乱強度分布を測定し、散乱ピークが検出できる半導体を意味している。上記有機無機ペロブスカイト化合物が結晶性半導体であることにより、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。
[0019]
また、結晶化の指標として結晶化度を評価することもできる。結晶化度は、X線散乱強度分布測定により検出された結晶質由来の散乱ピークと非晶質部由来のハローとをフィッティングにより分離し、それぞれの強度積分を求めて、全体のうちの結晶部分の比を算出することにより求めることができる。
上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度の好ましい下限は30%である。結晶化度が30%以上であると、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、太陽電池の光電変換効率が向上する。結晶化度のより好ましい下限は50%、更に好ましい下限は70%である。
また、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を上げる方法として、例えば、熱アニール、レーザー等の強度の強い光の照射、プラズマ照射等が挙げられる。
[0020]
上記光電変換層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物に加えて、更に、有機半導体又は無機半導体を含んでいてもよい。なお、ここでいう有機半導体又は無機半導体は、後述する電子輸送層又はホール輸送層としての役割を果たしてもよい。
上記有機半導体として、例えば、ポリ(3-アルキルチオフェン)等のチオフェン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、例えば、ポリパラフェニレンビニレン骨格、ポリビニルカルバゾール骨格、ポリアニリン骨格、ポリアセチレン骨格等を有する導電性高分子等も挙げられる。更に、例えば、フタロシアニン骨格、ナフタロシアニン骨格、ペンタセン骨格、ベンゾポルフィリン骨格等のポルフィリン骨格、スピロビフルオレン骨格等を有する化合物、及び、表面修飾されていてもよいカーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン等のカーボン含有材料も挙げられる。
[0021]
上記無機半導体として、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛、CuSCN、Cu O、CuI、MoO 、V 、WO 、MoS 、MoSe 、Cu S等が挙げられる。
[0022]
上記光電変換層は、上記有機半導体又は上記無機半導体を含む場合、薄膜状の有機半導体又は無機半導体部位と薄膜状の有機無機ペロブスカイト化合物部位とを積層した積層構造体であってもよいし、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合構造体であってもよい。製法が簡便である点では積層構造体が好ましく、上記有機半導体又は上記無機半導体中の電荷分離効率を向上させることができる点では複合構造体が好ましい。
[0023]
上記薄膜状の有機無機ペロブスカイト化合物部位の厚みは、好ましい下限が5nm、好ましい上限が5000nmである。上記厚みが5nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが5000nm以下であれば、電荷分離できない領域が発生することを抑制できるため、光電変換効率の向上につながる。上記厚みのより好ましい下限は10nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は20nm、更に好ましい上限は500nmである。
[0024]
上記光電変換層が、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合構造体である場合、上記複合構造体の厚みの好ましい下限は30nm、好ましい上限は3000nmである。上記厚みが30nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが3000nm以下であれば、電荷が電極に到達しやすくなるため、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は40nm、より好ましい上限は2000nmであり、更に好ましい下限は50nm、更に好ましい上限は1000nmである。
[0025]
上記積層体においては、上記電極と上記光電変換層との間に、電子輸送層が配置されていてもよい。
上記電子輸送層の材料は特に限定されず、例えば、N型導電性高分子、N型低分子有機半導体、N型金属酸化物、N型金属硫化物、ハロゲン化アルカリ金属、アルカリ金属、界面活性剤等が挙げられ、具体的には例えば、シアノ基含有ポリフェニレンビニレン、ホウ素含有ポリマー、バソキュプロイン、バソフェナントレン、ヒドロキシキノリナトアルミニウム、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸化合物、ペリレン誘導体、ホスフィンオキサイド化合物、ホスフィンスルフィド化合物、フルオロ基含有フタロシアニン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛等が挙げられる。
[0026]
上記電子輸送層は、薄膜状の電子輸送層のみからなっていてもよいが、多孔質状の電子輸送層を含むことが好ましい。特に、上記光電変換層が、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合構造体である場合、より複雑な複合構造体(より複雑に入り組んだ構造)が得られ、光電変換効率が高くなることから、多孔質状の電子輸送層上に複合構造体が成膜されていることが好ましい。
[0027]
上記電子輸送層の厚みは、好ましい下限が1nm、好ましい上限が2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分にホールをブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、電子輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記電子輸送層の厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
[0028]
上記積層体においては、上記対向電極と上記光電変換層との間に、ホール輸送層が配置されていてもよい。
上記ホール輸送層の材料は特に限定されず、例えば、P型導電性高分子、P型低分子有機半導体、P型金属酸化物、P型金属硫化物、界面活性剤等が挙げられ、具体的には例えば、ポリエチレンジオキシチオフェンのポリスチレンスルホン酸付加物、カルボキシル基含有ポリチオフェン、フタロシアニン、ポルフィリン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化スズ、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化銅、硫化スズ等、フルオロ基含有ホスホン酸、カルボニル基含有ホスホン酸、CuSCN、CuI等の銅化合物、表面修飾されていてもよいカーボンナノチューブ、グラフェン等のカーボン含有材料等が挙げられる。
[0029]
上記ホール輸送層の厚みは、好ましい下限は1nm、好ましい上限は2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分に電子をブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、ホール輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
[0030]
上記積層体は、更に、基板等を有していてもよい。上記基板は特に限定されず、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等の透明ガラス基板、セラミック基板、透明プラスチック基板等が挙げられる。
[0031]
本発明の太陽電池は、上記積層体が、封止材で封止されたものである。上記積層体を、上記封止材で封止することにより、太陽電池の耐久性を向上させることができる。これは、上記封止材で封止を行うことにより、水分が内部に浸透することを抑制できるためと考えられる。ここで、上記封止材は、その端部を閉じるようにして上記積層体全体を覆うことが好ましい。これにより、水分が内部に浸透することを確実に防止することができる。
なお、上記積層体が封止材で封止されていれば、上記積層体の電極側又は対向電極側のいずれが封止材で覆われていてもよい。
[0032]
上記封止材は、分子中のC原子/O原子が4以上である(メタ)アクリル樹脂(以下、単に「(メタ)アクリル樹脂」ともいう。)を含む。
上記光電変換層に上記有機無機ペロブスカイト化合物を用いた場合、封止時に上記有機無機ペロブスカイト化合物中の有機成分が上記封止材に溶け込んでしまい、上記有機無機ペロブスカイト化合物が劣化する(初期劣化)。これに対して、本発明の太陽電池においては、上記(メタ)アクリル樹脂を用いることにより、上記光電変換層に上記有機無機ペロブスカイト化合物を用いていても、封止時に上記有機無機ペロブスカイト化合物中の有機成分の溶出を抑えて、光電変換層が劣化してしまうのを防止することができる。これは、上記(メタ)アクリル樹脂は比較的疎水性が高く、上記有機無機ペロブスカイト化合物に対する親和性が低いためではないかと考えられる。更に、上記封止材に上記(メタ)アクリル樹脂を用いることにより、経時での分子拡散を抑えることができるため、太陽電池の耐熱耐久性を向上させることができる。
上記(メタ)アクリル樹脂は、分子中のC原子/O原子が5以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましい。また、樹脂の溶剤溶解性の観点より、上記(メタ)アクリル樹脂は、分子中のC原子/O原子が30以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましい。
なお、(メタ)アクリル樹脂の分子中のC原子/O原子の値は、例えば、有機微量元素分析装置(例えば、Perkin Elmer社製、2400II)を用いたCHN/O元素分析や、NMR装置(例えば、JEOL社製、ECA II)を用いた溶液NMR等により測定することができる。
[0033]
上記(メタ)アクリル重合体の分子中のC原子/O原子の値は、原料とする(メタ)アクリルモノマーの種類及び組成を調整することにより容易に制御できる。
具体的には例えば、分子中のC原子/O原子が4以上である(メタ)アクリルモノマーを単独重合又は共重合することにより上記(メタ)アクリル重合体を得ることができる。
上記分子中のC原子/O原子が4以上である(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アルキルアクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート等の芳香族骨格含有(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式骨格含有(メタ)アクリレート;ヒドロキシルエチルヘキシル(メタ)アクリレート等の反応性官能基を付加できる基(例えば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等)を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリルモノマーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アルキルアクリレート、脂環式骨格含有(メタ)アクリレート、反応性官能基を付加できる基(例えば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等)を有する(メタ)アクリレート等が好ましく、脂環式骨格含有(メタ)アクリレートが好適である。
[0034]
また、原料となる(メタ)アクリルモノマーとして、反応性官能基を付加できる基(例えば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等)を有する(メタ)アクリレートを用い、かつ、該反応性官能基を付加できる基の数を調整することで、付加する反応性官能基の数を制御することにより、上記封止材の硬化収縮を減らし微細にパターニングされた電極からの剥離を抑制することができ、太陽電池の高温耐久性をも向上させることができる。
更に、原料となる(メタ)アクリルモノマーの種類及び組成を調整することにより、上記封止材の広い温度域における被着体に対する密着性を制御することが容易であるため、太陽電池の温度サイクル耐性をも向上させることができる。
[0035]
屋外での使用を考慮すると過酷な環境下でも耐えうる太陽電池が求められることから、上記封止材は、後述するように無機層で覆われる場合がある。
この場合、上記(メタ)アクリル樹脂として、上記脂環式骨格含有(メタ)アクリレートを含むモノマーを単独重合又は共重合したものを用いることにより、上記封止材は、例えばポリイソブチレン樹脂等のその他の樹脂を含む封止材と比較して、スパッタリング法により無機層を形成する際に要求されるスパッタリング耐性にも優れたものとなる。
[0036]
また、上記(メタ)アクリル樹脂は、反応性官能基を有する共重合体を製膜した後、上記反応性官能基を架橋剤により架橋反応させた樹脂であってもよい。この場合、上記反応性官能基の数を調整することにより、架橋反応に伴う硬化収縮による太陽電池の封止時の劣化(初期劣化)を抑制することができ、また、スパッタリング耐性を向上させることができる。上記反応性官能基として、例えば、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アルケニル基、イソシアネート基等が挙げられる。
上記架橋剤は特に限定されず、触媒等を用いて上記反応性官能基の架橋反応を開始させることができる。
また、上記(メタ)アクリル樹脂は、上記(メタ)アクリルモノマーをモノマーのままで製膜した後、熱又はUV等で上記(メタ)アクリルモノマーを架橋又は重合させた樹脂であってもよい。
[0037]
上記(メタ)アクリル樹脂として、具体的には例えば、イソボルニルアクリレートとエチルヘキシルアクリレートとヒドロキシブチルアクリレート(反応性官能基を付加できる基として水酸基を有する(メタ)アクリレート)との共重合体の2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート付加物(反応性官能基としてメタクリロイルオキシ基を有する)や、イソボルニルアクリレートとエチルヘキシルアクリレートとアクリロイロキシエチル-コハク酸(反応性官能基を付加できる基としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート)との共重合体の2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート付加物(反応性官能基としてメタクリロイルオキシ基を有する)等が挙げられる。
[0038]
上記(メタ)アクリル樹脂は、溶解パラメータ(SP値)の好ましい下限が7.0、好ましい上限が10.0である。上記(メタ)アクリル樹脂の溶解パラメータ(SP値)が7.0以上であれば、樹脂の選択肢が広がり、成型が容易となる。上記(メタ)アクリル樹脂の溶解パラメータ(SP値)が10.0以下であれば、封止時の上記有機無機ペロブスカイト化合物中の有機成分の溶出をより抑えて、光電変換層が劣化してしまうのをより抑制することができる。上記(メタ)アクリル樹脂の溶解パラメータ(SP値)のより好ましい下限は7.5、更に好ましい下限は8.0である。太陽電池の高温耐久性を高める観点からは、上記封止樹脂の溶解パラメータ(SP値)のより好ましい上限は9.5、更に好ましい上限は9.0である。
[0039]
なお、SP値は溶解性パラメータ(Solubility Parameter)と呼ばれ、溶解のしやすさを表すことのできる指標である。本明細書においてSP値の算出にはFedorsにより提案された方法(R.F.Fedors, Polym. Eng. Sci.,14(2),147-154(1974))を用い、繰り返し単位内の各原子団に対する蒸発エネルギー(Δecoh)(cal/mol)及びモル体積(Δv)(cm /mol)から下記式(1)に従って計算することができる。式(1)中、δがSP値(cal/mol) 1/2を表す。
[0040]
[数1]


[0041]
Δecoh及びΔvとしては、J.Brandrup ら、「Polymer Handbook, Fourth Edition」,volume2に記載の値を用いることができる。
また、Tg≧25℃の場合、主鎖骨格原子数をnとして、n≧3の時は2n、n<3の時は4nをΔvに加えて計算する。
[0042]
共重合体のSP値は、共重合体中のそれぞれの繰り返し単位単独でのSP値を算出し、その体積分率を使って下記式(2)により計算することができる。式(2)中、δcopは共重合体のSP値を表し、φ1、φ2は繰り返し単位1、2の体積分率を表し、δ1、δ2は繰り返し単位1、2単独のSP値を表す。
[0043]
[数2]


[0044]
上記封止材の厚みは、好ましい下限が100nm、好ましい上限が100000nmである。上記厚みのより好ましい下限は500nm、より好ましい上限は50000nmであり、更に好ましい下限は1000nm、更に好ましい上限は20000nmである。
[0045]
本発明の太陽電池においては、更に、上記封止材上に無機層を有することが好ましい。これにより、上記無機層が水蒸気バリア性を有し、水分が内部に浸透することを抑制できるため、太陽電池の高湿耐久性を向上させることができる。
[0046]
また、本発明の太陽電池においては、上記積層体と上記封止材との間に無機層を有することも好ましい。この場合にも、上記無機層が水蒸気バリア性を有し、水分が内部に浸透することを抑制できるため、太陽電池の高湿耐久性を向上させることができる。
[0047]
上記無機層は、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸窒化物を含むことが好ましい。
上記金属酸化物、金属窒化物又は金属酸窒化物は、水蒸気バリア性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、Si、Al、Zn、Sn、In、Ti、Mg、Zr、Ni、Ta、W、Cu若しくはこれらを2種以上含む合金の酸化物、窒化物又は酸窒化物が挙げられる。なかでも、Si、Al、Zn又はSnの酸化物、窒化物又は酸窒化物が好ましく、Zn又はSnの酸化物、窒化物又は酸窒化物がより好ましく、上記無機層に特に高い水蒸気バリア性及び柔軟性を付与できることから、Zn及びSnの両金属元素を含む金属元素の酸化物、窒化物又は酸窒化物が更に好ましい。
[0048]
なかでも、上記金属酸化物、金属窒化物又は金属酸窒化物は、一般式Zn Sn で表される金属酸化物であることが特に好ましい。ここで、a、b、cは正の整数を表す。
上記無機層に上記一般式Zn Sn で表される金属酸化物を用いることにより、上記金属酸化物がスズ(Sn)原子を含むため、上記無機層に適度な可撓性を付与することができ、上記無機層の厚みが増した場合であっても応力が小さくなるため、上記無機層、電極、半導体層等の剥離を抑えることができる。これにより、上記無機層の水蒸気バリア性を高め、太陽電池の耐久性をより向上させることができる。一方、上記金属酸化物が亜鉛(Zn)原子を含むため、上記無機層は特に高いバリア性を発揮することができる。
[0049]
上記一般式Zn Sn で表される金属酸化物においては、ZnとSnとの総和に対するSnの比Xs(重量%)が70>Xs>0を満たすことが好ましい。また、Y=c/(a+2b)で表される値Yが、1.5>Y>0.5を満たすことが好ましい。
なお、上記無機層中の上記一般式Zn Sn で表される金属酸化物に含まれる亜鉛(Zn)、スズ(Sn)及び酸素(O)の元素比率は、X線光電子分光(XPS)表面分析装置(例えば、VGサイエンティフィックス社製のESCALAB-200R等)を用いて測定することができる。
[0050]
上記無機層は、上記一般式Zn Sn で表される金属酸化物を含む場合、更に、ケイ素(Si)及び/又はアルミニウム(Al)を含むことが好ましい。
上記無機層にケイ素(Si)及び/又はアルミニウム(Al)を添加することにより、上記無機層の透明性を高め、太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
[0051]
上記無機層の厚みは、好ましい下限が30nm、好ましい上限が3000nmである。上記厚みが30nm以上であれば、上記無機層が充分な水蒸気バリア性を有することができ、太陽電池の耐久性が向上する。上記厚みが3000nm以下であれば、上記無機層の厚みが増した場合であっても、発生する応力が小さいため、上記無機層、電極、半導体層等の剥離を抑制することができる。上記厚みのより好ましい下限は50nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は100nm、更に好ましい上限は500nmである。
なお、上記無機層の厚みは、光学干渉式膜厚測定装置(例えば、大塚電子社製のFE-3000等)を用いて測定することができる。
[0052]
また、本発明の太陽電池においては、更に、上記封止材上を、例えばガラス板、樹脂フィルム、無機材料を被覆した樹脂フィルム、アルミニウム等の金属箔等のその他の材料が覆っていてもよい。即ち、本発明の太陽電池は、上記積層体と上記その他の材料との間を、上記封止材によって封止、充填又は接着している構成であってもよい。これにより、仮に上記封止材にピンホールがあった場合にも充分に水蒸気をブロックすることができ、太陽電池の高湿耐久性をより向上させることができる。なかでも、無機材料を被覆した樹脂フィルムを配置することがより好ましい。
[0053]
図2は、本発明の太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。
図2に示す太陽電池1においては、基板6上に電極2と、対向電極3と、この電極2と対向電極3との間に配置された光電変換層4とを有する積層体が、対向電極3上を覆う封止材5で封止されている。ここで封止材5の端部は、基板6に密着することにより閉じている。なお、図2に示す太陽電池1において、対向電極3はパターニングされた電極である。図示はしないが、積層体と封止材5の間、又は、封止材5上に無機層が配置されていてもよい。
[0054]
本発明の太陽電池を製造する方法は特に限定されず、例えば、上記基板上に上記電極、上記光電変換層、上記対向電極をこの順で形成して積層体を作製した後、上記封止材で上記積層体を封止し、更に、上記封止材上を無機層で覆う方法等が挙げられる。
[0055]
上記光電変換層を形成する方法は特に限定されず、真空蒸着法、スパッタリング法、気相反応法(CVD)、電気化学沈積法、印刷法等が挙げられる。なかでも、印刷法を採用することで、高い光電変換効率を発揮できる太陽電池を大面積で簡易に形成することができる。印刷法として、例えば、スピンコート法、キャスト法等が挙げられ、印刷法を用いた方法としてロールtoロール法等が挙げられる。
[0056]
上記封止材で上記積層体を封止する方法は特に限定されず、例えば、シート状の封止材を用いて上記積層体をシールする方法、封止材を有機溶媒に溶解させた封止材溶液を上記積層体に塗布する方法、封止材となる反応性官能基を有する化合物を上記積層体に塗布した後、熱又はUV等で反応性官能基を有する化合物を架橋又は重合させる方法、封止材に熱をかけて融解させた後に冷却する方法等が挙げられる。
[0057]
上記封止材上を上記無機層で覆う方法として、真空蒸着法、スパッタリング法、気相反応法(CVD)、イオンプレーティング法が好ましい。なかでも、緻密な層を形成するためにはスパッタリング法が好ましく、スパッタリング法のなかでもDCマグネトロンスパッタリング法がより好ましい。なお、上記(メタ)アクリル樹脂として上記脂環式骨格含有(メタ)アクリレートを原料としたものを用いることにより、上記封止材は、例えばポリイソブチレン樹脂等のその他の樹脂を含む封止材と比較して、スパッタリング法により無機層を形成する際に要求されるスパッタリング耐性にも優れたものとなる。また、上記(メタ)アクリル樹脂が、反応性官能基を有する共重合体を製膜した後、上記反応性官能基を架橋剤により架橋反応させた樹脂である場合にも、スパッタリング耐性を向上させることができる。
上記スパッタリング法においては、金属ターゲット、及び、酸素ガス又は窒素ガスを原料とし、上記封止材上に原料を堆積して製膜することにより、無機層を形成することができる。

発明の効果

[0058]
本発明によれば、光電変換効率に優れ、封止時の劣化(初期劣化)が少なく、高温耐久性があり、温度サイクル耐性に優れた太陽電池を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0059]
[図1] 有機無機ペロブスカイト化合物の結晶構造の一例を示す模式図である。
[図2] 本発明の太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。

発明を実施するための形態

[0060]
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
[0061]
(実施例1)
(積層体の作製)
ガラス基板上に、電極として厚み1000nmのFTO膜を形成し、純水、アセトン、メタノールをこの順に用いて各10分間超音波洗浄した後、乾燥させた。
FTO膜の表面上に、2%に調整したチタンイソプロポキシドエタノール溶液をスピンコート法により塗布した後、400℃で10分間焼成し、厚み20nmの薄膜状の電子輸送層を形成した。更に、薄膜状の電子輸送層上に、有機バインダとしてのポリイソブチルメタクリレートと酸化チタン(平均粒子径10nmと30nmとの混合物)とを含有する酸化チタンペーストをスピンコート法により塗布した後、500℃で10分間焼成し、厚み500nmの多孔質状の電子輸送層を形成した。
次いで、有機無機ペロブスカイト化合物形成用溶液として、N,N-Dimethylformamide(DMF)を溶媒としてCH NH IとPbI をモル比1:1で溶かし、CH NH IとPbI の合計重量濃度を20%に調製した。この溶液を電子輸送層上にスピンコート法によって積層して、光電変換層を形成した。
更に、クロロベンゼン25μLにSpiro-OMeTAD(スピロビフルオレン骨格を有する)を68mM、Tert-butylpyridineを55mM、Lithium Bis(trifluoromethylsufonyl)imide塩を9mM溶解させた溶液を調製した。この溶液を光電変換層上にスピンコート法によって300nmの厚みに積層し、ホール輸送層を形成した。
ホール輸送層上に、対向電極として真空蒸着により厚み100nmの金膜を形成し、積層体を得た。
[0062]
(積層体の封止)
得られた積層体上に、イソボルニルアクリレート(iB、共栄社化学社製)とエチルヘキシルアクリレート(EH、三菱化学社製)とアクリロイロキシエチル-コハク酸(反応性官能基を付加できる基としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート、共栄社化学社製)との共重合体の2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI、昭和電工社製)付加物(反応性官能基としてメタクリロイルオキシ基を有する)と、反応触媒としての過酸化物(パークミルD、日油社製)とを含有する混合物をドクターブレードにより厚み10μmに積層し、150℃10分で上記共重合体を架橋反応させて封止材とした。
なお、iBとEHとMOIの添加したモノマー比率はmol比で4.5:4.5:1である。また、CHN/O元素分析により測定したところ、得られた共重合体分子中のC原子/O原子は6であった。
[0063]
(無機層の形成)
得られた積層体をスパッタリング装置の基板ホルダーに取り付け、更に、スパッタリング装置のカソードAにZnSn合金(Zn:Sn=95:5重量%)ターゲットを、カソードBにSiターゲットを取り付けた。スパッタリング装置の成膜室を真空ポンプにより排気し、5.0×10 -4Paまで減圧した。その後、スパッタ条件Aに示す条件でスパッタリングし、積層体に無機膜(封止層)としてZnSnO(Si)薄膜を100nm形成し、薄膜太陽電池を得た。
<スパッタ条件A>
 アルゴンガス流量:50sccm、酸素ガス流量:50sccm
 電源出力:カソードA=500W、カソードB=1500W
[0064]
(実施例2~5)
積層体の作製において、有機無機ペロブスカイト化合物形成用溶液の配合成分を変更することによって表1に示す光電変換層(有機無機ペロブスカイト化合物)を形成したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
なお、実施例2では、N,N-Dimethylformamide(DMF)を溶媒としてCH NH Br、CH NH I、PbBr 、PbI をモル比1:2:1:2で溶かした。実施例3では、N,N-Dimethylformamide(DMF)を溶媒としてCH NH IとPbCl をモル比3:1で溶かした。実施例4では、N,N-Dimethylformamide(DMF)を溶媒としてCH NH BrとPbBr をモル比1:1で溶かした。実施例5では、N,N-Dimethylformamide(DMF)を溶媒としてCH (NH IとPbI をモル比1:1で溶かした。
[0065]
(実施例6)
積層体の封止において、表1に示す封止材厚みに変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
[0066]
(実施例7~9)
積層体の封止において、表1に示す封止材に変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
実施例7では、イソボルニルアクリレート(iB)とエチルヘキシルアクリレート(EH)との共重合体を用いた。得られた共重合体分子中のC原子/O原子は6であった。なお、iBとEHの添加したモノマー比率はmol比で5:5である。
実施例8では、イソボルニルアクリレート(iB)とアクリロイロキシエチル-コハク酸(反応性官能基を付加できる基としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート)との共重合体の2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)付加物(反応性官能基としてメタクリロイルオキシ基を有する)を用いた。得られた共重合体分子中のC原子/O原子は6.5であった。なお、iBとMOIの添加したモノマー比率はmol比で9:1である。
実施例9では、エチルヘキシルアクリレート(EH)とアクリロイロキシエチル-コハク酸(反応性官能基を付加できる基としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート)との共重合体の2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)付加物(反応性官能基としてメタクリロイルオキシ基を有する)を用いた。得られた共重合体分子中のC原子/O原子は5.5であった。なお、EHとMOIの添加したモノマー比率はmol比で9:1である。
[0067]
(実施例10~12)
封止材上に無機層を形成する代わりに積層体上に無機層を形成してから封止材を積層したこと、表1に示す無機層に変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
なお、実施例11では、金属ターゲットとして、Siターゲットを用いた。実施例12では、金属ターゲットとして、Snターゲットを用いた。
[0068]
(実施例13)
封止材上に無機層を形成しないこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
[0069]
(実施例14~16)
積層体の封止において、表1に示す封止材に変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
実施例14では、シクロヘキシルアクリレート(CH、東京化成社製)とアクリロイロキシエチル-コハク酸(反応性官能基を付加できる基としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート)との共重合体の2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)付加物(反応性官能基としてメタクリロイルオキシ基を有する)を用いた。得られた共重合体分子中のC原子/O原子は4.5であった。なお、CHとMOIの添加したモノマー比率はmol比で9:1である。
実施例15では、t-ブチルメタクリレート(tB、東京化成社製)とアクリロイロキシエチル-コハク酸(反応性官能基を付加できる基としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート)との共重合体の2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)付加物(反応性官能基としてメタクリロイルオキシ基を有する)を用いた。得られた共重合体分子中のC原子/O原子は4であった。なお、tBとMOIの添加したモノマー比率はmol比で9:1である。
実施例16ではエチルヘキシルアクリレート(EH、三菱化学社製)の代わりにメチルアクリレート(Me、三菱化学社製)を使用した。得られた共重合体分子中のC原子/O原子は4.5であった。
[0070]
(比較例1~5)
積層体の封止において、表1に示す封止材に変更したこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
比較例1では、積層体上に、ポリビニルアルコール(PVA)(和光純薬工業社製)の溶液をドクターブレードにより塗布し、乾燥させて封止材とした。
比較例2では、積層体上に、硬化剤としての4mol%のイミダゾール化合物2MZA(四国化成社製)と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製)とを含有する混合物を塗布し、120℃1時間加熱して硬化させて封止材とした。
比較例3では、積層体上に、ポリイソブチレン樹脂(OPPANOL B 50、BASF社製)の溶液をドクターブレードにより塗布し、乾燥させて封止材とした。
比較例4では、積層体上に、ノルボルネン樹脂(Polyplastics社製)の溶液をドクターブレードにより塗布し、乾燥させて封止材とした。比較例5では、積層体上に、ポリメチルメタクリレート樹脂(和光純薬工業社製)の溶液をドクターブレードにより塗布し、乾燥させて封止材とした。
比較例5ではt-ブチルアクリレート(tB、大阪有機化学工業社製)とアクリロイロキシエチル-コハク酸(反応性官能基を付加できる基としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート)との共重合体の2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)付加物(反応性官能基としてメタクリロイルオキシ基を有する)を用いた。得られた共重合体分子中のC原子/O原子は3.5であった。なお、tBとMOIの添加したモノマー比率はmol比で9:1である。
[0071]
(比較例6)
積層体の封止を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池を得た。
[0072]
<評価>
実施例及び比較例で得られた太陽電池について、以下の評価を行った。
[0073]
(1)封止時の劣化(初期劣化)
封止前の積層体の電極間に、電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、強度100mW/cm のソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用いて光電変換効率を測定し、初期変換効率とした。
封止直後の太陽電池の電極間に、電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、強度100mW/cm のソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用いて光電変換効率を測定し、封止直後の光電変換効率/初期変換効率の値を求めた。
○:封止直後の光電変換効率/初期変換効率の値が0.5以上
×:封止直後の光電変換効率/初期変換効率の値が0.5未満
[0074]
(2)高湿耐久性
太陽電池を70%30℃の条件下に24時間置いて高湿耐久試験を行った。高湿耐久試験後の太陽電池の電極間に、電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、強度100mW/cm のソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用いて光電変換効率を測定し、高湿耐久試験後の光電変換効率/封止直後の光電変換効率の値を求めた。
◎:高湿耐久試験後の光電変換効率/封止直後の光電変換効率が0.9以上
○:高湿耐久試験後の光電変換効率/封止直後の光電変換効率が0.5以上0.9未満
×:高湿耐久試験後の光電変換効率/封止直後の光電変換効率が0.5未満
[0075]
(3)高温耐久性
太陽電池を150℃のホットプレートに30分加熱し、高温耐久試験を行った。高温耐久試験後の太陽電池の電極間に、電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、強度100mW/cm のソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用いて光電変換効率を測定し、高温耐久試験後の光電変換効率/封止直後の光電変換効率の値を求めた。
◎:高温耐久試験後の光電変換効率/封止直後の光電変換効率が0.9以上
○:高温耐久試験後の光電変換効率/封止直後の光電変換効率が0.7以上0.9未満
△:高温耐久試験後の光電変換効率/封止直後の光電変換効率が0.5以上0.7未満
×:高温耐久試験後の光電変換効率/封止直後の光電変換効率が0.5未満
[0076]
(4)温度サイクル耐性
太陽電池に対して-55℃から125℃までのサイクルを300サイクル行い、温度サイクル試験を行った。温度サイクル試験後の太陽電池の電極間に、電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、強度100mW/cm のソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用いて光電変換効率を測定し、温度サイクル試験後の光電変換効率/封止直後の光電変換効率の値を求めた。
○:温度サイクル試験後の光電変換効率/封止直後の光電変換効率の値が0.5以上
×:温度サイクル試験後の光電変換効率/封止直後の光電変換効率の値が0.5未満
(5)スパッタリング耐性
太陽電池の製造工程において封止材上にスパッタリング法により無機層を形成する際に、封止材の表面を目視観察した。
○:変化なし
△:封止材にわずかな白化が見られる
×:封止材に白化が見られる
[0077]
[表1]


産業上の利用可能性

[0078]
本発明によれば、光電変換効率に優れ、封止時の劣化(初期劣化)が少なく、高温耐久性があり、温度サイクル耐性に優れた太陽電池を提供することができる。

符号の説明

[0079]
1 太陽電池
2 電極
3 対向電極(パターニングされた電極)
4 光電変換層
5 封止材
6 基板

請求の範囲

[請求項1]
電極と、対向電極と、前記電極と前記対向電極との間に配置された光電変換層とを有する積層体と、前記対向電極上を覆って前記積層体を封止する封止材とを有する太陽電池であって、
前記光電変換層は、一般式R-M-X (但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表される有機無機ペロブスカイト化合物を含み、
前記封止材は、分子中のC原子/O原子が4以上である(メタ)アクリル樹脂を含む
ことを特徴とする太陽電池。
[請求項2]
封止材上に無機層を有し、前記無機層は、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸窒化物を含むことを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
[請求項3]
積層体と封止材との間に無機層を有し、前記無機層は、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸窒化物を含むことを特徴とする請求項1記載の太陽電池。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]