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1. (WO2015045999) PERMANENT MAGNET EMBEDDED ELECTRIC MOTOR, COMPRESSOR, AND REFRIGERATING AND AIR-CONDITIONING DEVICE
Document

明 細 書

発明の名称 永久磁石埋込型電動機、圧縮機及び冷凍空調装置

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006  

発明の効果

0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054  

符号の説明

0055  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28  

明 細 書

発明の名称 : 永久磁石埋込型電動機、圧縮機及び冷凍空調装置

技術分野

[0001]
 本発明は、永久磁石埋込型電動機、圧縮機及び冷凍空調装置に関するものである。

背景技術

[0002]
 従来の永久磁石埋込型電動機として、特許文献1には、ロータにおいて磁石挿入孔よりも径方向外側に複数のスリットを設けた永久磁石埋込型電動機が開示されている。かかる永久磁石埋込型電動機では、スリットの作用により、磁束密度波形の高調波成分が低減し、誘起電圧の高調波、コギングトルクが低減し、騒音及び振動の低減を図ることができる。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2008-167583号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 一方、永久磁石埋込型電動機のロータは、薄い電磁鋼板を積層して構成されるため、鋼板同士を固定するためにカシメが必要となる。そして、カシメは、ロータにおける径方向外側に位置している方が、鋼板同士を効果的に固定できる。
[0005]
 本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、カシメによる板部材の固定をより効果的に行うことができ、尚且つ、騒音及び振動の低減を図ることができる、永久磁石埋込型電動機を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 上述した目的を達成するための本発明は、ステータと、前記ステータに対向して回転可能に設けられたロータとを備え、前記ロータは、複数の板部材を積層して構成されたロータコアを有し、前記ロータコアには、それぞれ対応する永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔が形成されており、前記複数の磁石挿入孔は、前記ロータの中心側に凸となる形状で形成されている、永久磁石埋込型電動機であって、前記ロータにおけるロータ外周面と前記磁石挿入孔の径方向外側挿入孔外形面との間には、少なくとも一つのスリットと、少なくとも一つのカシメとが形成されており、前記スリットの一対の幅延長線の間に、前記カシメの少なくとも一部が位置している。
 前記複数の磁石挿入孔は、前記ロータの中心側に凸となる形状で形成されていてもよい。
 前記カシメは、その全体が、前記スリットの一対の幅延長線の間に、位置しているように構成してもよい。
 前記ロータにおけるロータ外周面と前記磁石挿入孔の径方向外側挿入孔外形面との間には、複数のスリットが形成されており、前記複数のスリットは、幅方向に並んでいるように構成してもよい。
 前記カシメは、対応する前記スリットの径方向内側に形成されているように構成してもよい。
 さらに、同目的を達成するため、本発明は圧縮機も提供するものであり、本発明に係る圧縮機は、密閉容器内に、電動機と、圧縮要素とを備え、前記電動機は、上述した本発明に係る永久磁石埋込型電動機である。
 さらに、同目的を達成するため、本発明は冷凍空調装置も提供するものであり、本発明に係る冷凍空調装置は、上述した本発明に係る圧縮機を冷凍回路の構成要素として含む。

発明の効果

[0007]
 本発明によれば、カシメによる板部材の固定をより効果的に行うことができ、尚且つ、騒音及び振動の低減を図ることができる。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 本発明の実施の形態1に係る永久磁石埋込型電動機の回転中心線と直交する断面を示す図である。
[図2] 図1における一つの永久磁石の周囲部を拡大して示す図である。
[図3] 図2における複数のスリットの周囲をさらに拡大して示す図である。
[図4] スリットの無いロータを示す図である。
[図5] スリットが形成されたロータを示す図である。
[図6] 図4に示すロータと、図5に示すロータとの電磁力の解析結果を示すグラフである。
[図7] 図5におけるロータの磁路(磁束の通路)を矢印で模式的に示す図である。
[図8] 図5のロータにおいて、さらに、カシメを追加した場合の構成を示す図である。
[図9] カシメの少なくとも一部がスリットの一対の幅延長線の間に位置する場合を示す図である。
[図10] カシメの全体がスリットの一対の幅延長線の間に位置しない場合を示す図である。
[図11] カシメが、スリットの径方向外側に形成されている形態を示す図である。
[図12] 図3のI-I線による断面図である。
[図13] 図11のII-II線による断面図である。
[図14] 本発明の実施の形態4に関し、ロータ部分の図1と同態様の図である。
[図15] 本実施の形態4に関する、図2と同態様の図である。
[図16] 本発明の実施の形態5に関し、ロータ部分の図1と同態様の図である。
[図17] 本実施の形態5に関する、図2と同態様の図である。
[図18] 本発明の実施の形態6に関し、ロータ部分の図1と同態様の図である。
[図19] 本実施の形態6に関する、図2と同態様の図である。
[図20] 本発明の実施の形態7に関し、ロータ部分の図1と同態様の図である。
[図21] 本実施の形態7に関する、図2と同態様の図である。
[図22] 本実施の形態8に関する、図2と同態様の図である。
[図23] 本実施の形態9に関する、図2と同態様の図である。
[図24] 本実施の形態10に関する、図2と同態様の図である。
[図25] 本実施の形態11に関する、図2と同態様の図である。
[図26] 本実施の形態12に関する、図2と同態様の図である。
[図27] 本実施の形態13に関する、図2と同態様の図である。
[図28] 永久磁石埋込型電動機を搭載した本発明の実施の形態14に係るロータリ圧縮機の縦断面図である。

発明を実施するための形態

[0009]
 以下、本発明の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。なお、図中、同一符号は同一又は対応部分を示すものとする。なお、図2~図5、図7~図11、図14~図21については、図の明瞭性を優先し、ハッチングは省略する。
[0010]
 実施の形態1.
 図1は、本発明の実施の形態1に係る永久磁石埋込型電動機の回転中心線と直交する断面を示す図であり、図2は、図1における一つの永久磁石の周囲部を拡大して示す図であり、図3は、図2における複数のスリットの周囲をさらに拡大して示す図である。
[0011]
 永久磁石埋込型電動機1は、ステータ3と、ステータに対向して回転可能に設けられたロータ5とを備える。ステータ3は、複数のティース部7を有している。複数のティース部7はそれぞれ、対応するスロット部9を介して別のティース部7と隣り合っている。複数のティース部7と複数のスロット部9とは、周方向に交互に且つ等間隔で並ぶように配置されている。複数のティース部7には、それぞれ、図示省略する公知のステータ巻線が公知の態様で巻回されている。
[0012]
 ロータ5は、ロータコア11と、シャフト13とを有している。シャフト13は、ロータコア11の軸心部に、焼嵌、圧入等により連結されており、ロータコア11に回転エネルギーを伝達する。ロータ5の外周面と、ステータ3の内周面との間には、エアギャップ15が確保されている。
[0013]
 このような構成において、ロータ5はエアギャップ15を介したステータ3の内側で、回転中心線CL(ロータの回転中心、シャフトの軸線)を中心に回転自在に保持されている。具体的には、ステータ3に、指令回転数に同期した周波数の電流を通電することにより、回転磁界を発生させ、ロータ5を回転させる。ステータ3とロータ5との間のエアギャップ15は、例を挙げると0.3~1mmの空隙である。
[0014]
 次に、ステータ3と、ロータ5との構成を詳細に説明する。ステータ3は、ステータコア17を有する。ステータコア17は、例えば、一枚あたりの厚さが0.1~0.7mm程度の電磁鋼板を所定の形状に打ち抜き、所定枚数の電磁鋼板をカシメで締結しながら積層して構成される。ここでは、一例として、板厚が0.35mmの電磁鋼板を用いている。
[0015]
 ステータコア17には、その内径側に周方向に略等間隔に9個のスロット部9が放射状に形成されている。そして、ステータコア17において隣接するスロット部9の間の領域をティース部7と称する。ティース部7はそれぞれ、径方向を延びており、回転中心線CLに向けて突出する。また、ティース部7の大部分は、径方向外側から径方向内側にかけて略等しい周方向の幅を有しているが、ティース部7の最も径方向内側となる先端部には、ティース歯先部7aを有している。ティース歯先部7aはそれぞれ、その両側部が周方向に広がる傘状の形状に形成されている。
[0016]
 ティース部には、回転磁界を発生させるコイル(図示せず)を構成するステータ巻線(図示せず)が巻かれている。コイルは、マグネットワイヤーを、絶縁体を介して磁極ティースに直接巻き付けて形成される。この巻線方式を、集中巻線という。そして、コイルは、3相Y結線に結線される。コイルのターン数や線径は、要求される特性(回転数やトルク等)、電圧仕様、スロットの断面積に応じて定まる。ここでは、巻線し易いように分割ティースを帯状に展開し、例えば、線径φ0.8~1.0mm程度のマグネットワイヤーを各磁極ティースに50~100ターン程度巻き付け、巻線後、分割ティースを環状に丸め、溶接してステータを構成している。
[0017]
 ステータ3の中心付近には、回転可能に保持されたシャフト13が配置されている。そして、そのシャフト13にロータ5が嵌合されている。ロータ5は、ロータコア11を有しており、そのロータコア11もまた、ステータコア17同様、例えば、厚さ0.1~0.7mm程度の電磁鋼板を所定の形状に打ち抜き、所定枚数の板部材としての電磁鋼板を後述するカシメで締結しながら積層して構成される。ここでは、一例として、板厚が0.35mmの電磁鋼板を用いている。ロータ外周面25と後述する側端挿入孔外形面57との間は、一様な肉厚の極間薄肉部が存在する。これらの極間薄肉部はそれぞれ、隣接する磁極間での漏れ磁束の経路となるため、できるだけ薄いことが好ましい。ここでは一例としてプレス可能な最小幅として電磁鋼板の板厚程度0.35mmに設定している。
[0018]
 ロータコア11の内部には、N極とS極とが交互になるように着磁された複数の(本具体例では6個の)の永久磁石19が設けられている。永久磁石19はそれぞれ、図1においてみて、弧状に湾曲しており、その弧形状の凸部側がロータ5の中心側に向くように配置されている。より詳細には、ロータコア11には、複数の永久磁石19に対応した数の磁石挿入孔21が形成されており、複数の磁石挿入孔21にはそれぞれ、対応する永久磁石19が挿入されている。つまり、複数の永久磁石19及び複数の磁石挿入孔21が共に、ロータ5の中心側に凸となる向きの弧状に形成されている。また、図1に示されているように、一つの磁石挿入孔21につき一つの永久磁石19が挿入されている。なお、ロータ5の磁極数は、2極以上であればいくつでもよいが、本例では、6極の場合を例示している。
[0019]
 本発明では、ロータにおけるロータ外周面と磁石挿入孔の後述する径方向外側挿入孔外形面との間に、少なくとも一つのスリットと、少なくとも一つのカシメとが形成されていることを要するが、本実施の形態1では、その一例として、6極の磁極それぞれに関して、複数の(より具体的には3つの)スリット72と、一つのカシメ76とが形成されている。
[0020]
 次に、主に図2に基づいて、永久磁石及び磁石挿入孔の詳細について説明する。永久磁石19はそれぞれ、径方向内側磁石外形面43と、径方向外側磁石外形面45と、一対の側端磁石外形面47とを有している。また、磁石挿入孔21はそれぞれ、径方向内側挿入孔外形面53と、径方向外側挿入孔外形面55と、一対の側端挿入孔外形面57とを有している。
[0021]
 径方向外側挿入孔外形面55は、第1円弧半径による第1円弧面によって構成されている。径方向内側挿入孔外形面53は、第1円弧半径よりも大きい第2円弧半径による第2円弧面によって構成されている。第1円弧半径と、第2円弧半径とは、共通の半径中心を有しており、その共通の半径中心は、永久磁石19及び磁石挿入孔21よりも径方向外側に在り、且つ、対応する磁極中心線ML上に在る。換言すると、径方向内側挿入孔外形面53と、径方向外側挿入孔外形面55とは、同心円状に構成され、第1円弧面の中心と第2円弧面の中心は、永久磁石の配向中心(配向焦点)に一致している。
[0022]
 また、一対の側端磁石外形面47はそれぞれ、図2においてみて、径方向内側磁石外形面43及び径方向外側磁石外形面45の対応する端部同士を結んでおり、一対の側端挿入孔外形面57はそれぞれ、図2においてみて、径方向内側挿入孔外形面53及び径方向外側挿入孔外形面55の対応する端部同士を結んでいる。
[0023]
 さらに、図2及び図3に基づいて、スリット及びカシメの詳細について説明する。スリット72は何れも、対応する磁極中心線MLと平行な方向に延びており、ロータコア11を回転中心線CL方向に貫通する孔である。対応する磁極中心線MLと直交する方向を幅方向WDとし、カシメ76と対応する1つのスリット72(カシメ並びスリット72a)の幅をSWとしたとき、本発明は、カシメ76と対応するスリット72の一対の幅延長線WEの間に、カシメ76の少なくとも一部が位置している。また、このようにカシメ76と対応するスリット72の一対の幅延長線WEの間に、カシメ76の少なくとも一部が位置している状態(一部が位置している状態と全体が位置している状態を含む)を、スリット72とカシメ76とが径方向に「並ぶ」状態とする。特に、本実施の形態1では、カシメ76は、その全体が、対応する1つのスリット72(カシメ並びスリット72a)の一対の幅延長線の間に、位置している。
[0024]
 本実施の形態1では、カシメ並びスリット72aの幅方向WDの両側それぞれに、カシメ76と並ばないスリット72(単独スリット72b)が位置している。3つのスリット72は、幅方向WDでみて、等間隔で離隔している。また、1つのカシメ並びスリット72aの延長長さは、2つの単独スリット72bの延長長さよりも短い。また、カシメ76の幅は、カシメ並びスリット72aの幅よりも小さくなっている。さらに、カシメ並びスリット72aと、カシメ76との、対応する磁極中心線MLの延びる方向でみた位置関係については、カシメ76が、カシメ並びスリット72aの径方向内側に形成されている。カシメ並びスリット72aの幅方向中心線と、カシメ76の幅方向中心線とは、同一線上に揃っている。そして、3つのスリット72と1つのカシメ76とは、対応する磁極中心線MLを中心とした線対称に配置されている。
[0025]
 以上のように構成された本実施の形態1に係る永久磁石埋込型電動機によれば、次のような利点が得られる。まず、図4に、スリットの無いロータを示す。このようなスリットの無いロータにおいては、ステータに磁束が発生した場合、ステータの磁束によってロータの磁石挿入孔の径方向外側のコアの部分に吸引力が働く。この力が振動・騒音となってしまうため、ロータの外周面付近に働く吸引力はできるだけ小さくしたい。
[0026]
 そこで、図5に示すように、ロータの磁石挿入孔の径方向外側のコアの部分に、スリット78を設けることが有用となる。スリット78の部分は、吸引力が発生しないため、ロータ回転時に働く吸引力を低減し、結果として騒音・振動を低減させることが可能となる。
[0027]
 図6には、図4に示すロータと、図5に示すロータとを、同一の運転条件下で駆動した時に発生する(騒音の原因となる)電磁力(基本波成分)の解析結果を示す。かかる結果から分かるように、スリットの無い図4のロータの電磁力を100%とした場合、スリットを有する図5のロータの電磁力は、40%程度となり、スリットを追加することで騒音が低減されることが分かる。ここで、さらなる低騒音化にはスリットを大きくしていくことが好ましいが、図7に矢印で示されるように、図5のロータに挿入された磁石の磁束はスリット以外の部分を通過するため、スリットを大きくする分だけ、磁路となる幅が小さくなり、ロータの磁力が小さくなることによる効率の悪化を招いてしまう。よって、スリットは、ロータの磁力を低減させないレベルで設けるバランスが重要となる。
[0028]
 しかし、その一方で、ロータを構成する部材の固定をより効果的に行うためには、カシメの配置が考える必要がある。カシメは、ロータの径方向外側に設けるほうがコアの開きを抑えるのに効果的となる。よって、かかる観点で図5のロータにカシメ79を設ける場合、図8に示されるように、スリット78の間に設けることとなる。
[0029]
 しかしながら、図8に示すように一対のスリット78の間にカシメ79を設けた場合、磁力の低下を招いてしまい望ましくない。
[0030]
 そこで、本発明では、図9に示されるように、スリット72の一対の幅延長線WEの間に、カシメ76の少なくとも一部を位置させ、換言すれば、図10に示されるように、カシメの全体がスリットの一対の幅延長線の間に位置しない状態とはならないようにする。本実施の形態1では、そのような一形態として、図3に示すように、カシメ76の全体が、スリット72の一対の幅延長線WEの間に、位置しているように構成されている。これにより、スリット幅の範囲内に位置するカシメの部分の面積分だけ、磁力の低下を抑制でき、特に、図3に示す構成を有する本実施の形態1では、隣り合うスリット72の間の磁路を占有することなくカシメ76を磁石挿入孔21の径方向外側に設けることができる。よって、カシメによるロータの構成板部材の固定をより効果的に行うことができ、尚且つ、騒音及び振動の低減を図ることができる。
[0031]
 また、スリット72の一対の幅延長線WEの間に、カシメ76の少なくとも一部が位置している本発明の一形態としては、図11に示されるように、カシメ76が対応するスリット72の径方向外側に形成されている形態が含まれる。一方、本実施の形態1では、図3に示されるように、カシメ76が対応するスリット72の径方向外側に形成されている。これら図3及び図11に示された形態は、双方とも、カシメによるロータの構成板部材の固定をより効果的に行うことが可能でありながら、騒音及び振動の低減を図ることができる利点がある。そして、図3に示す本実施の形態1では、図11の形態よりも、さらに有利な点がある。
[0032]
 図12及び図13はそれぞれ、図3のI-I線及び図11のII-II線による断面を示す。積層鋼板のカシメ76は圧入されることによって積層状態を維持できるが、圧入により応力が働く。このため、カシメ76がスリット72の径方向外側に形成されている態様では、図13に矢印で示される径方向外側向きの応力Fに起因し、ロータの外径が僅かに拡径してしまわないように注意する必要がある。一方、本実施の形態1のように、カシメ76がスリット72の径方向内側に形成されている態様では、図12に矢印で示される径方向外側向きの応力Fは、スリット72(カシメ並びスリット72a)の存在により、ロータのロータ外周面25近傍まで伝わりにくくなっている。よって、構造そのものから、カシメの圧入によるロータ外周面の膨らみを抑制する効果が期待できる。
[0033]
 実施の形態2.
 本発明の実施の形態2について説明する。本発明の実施の形態2としては、例えば図9に示されるように、スリットの一対の幅延長線の間に、カシメの少なくとも一部を位置させた形態を挙げる。なお、上記以外の構成については、本実施の形態2は実施の形態1と同様であるものとする。
[0034]
 実施の形態3.
 本発明の実施の形態3について説明する。本発明の実施の形態3としては、例えば図11及び図13に示されるように、カシメが、対応するスリットの径方向外側に形成されている形態を挙げる。なお、上記以外の構成については、本実施の形態3は実施の形態1又は2と同様であるものとする。
[0035]
 実施の形態4.
 次に、本発明の実施の形態4について説明する。本発明は、カシメが磁極中心線ML上にある形態や、カシメ及びカシメ並びスリットが、一対の単独スリットの間に挟まれている形態に限定されるものではなく、カシメが磁極中心線ML上にない形態、カシメ及びカシメ並びスリットの幅方向両側に単独スリットが無い形態として実施することも可能である。図14及び図15は、その一例であり、磁極中心線ML上には、スリット172(単独スリット172b)があり、そのスリット172(単独スリット172b)の幅方向両側に位置するように、一対のカシメ176と一対のスリット172(カシメ並びスリット72a)とが設けられている。なお、上記以外の構成については、本実施の形態4は実施の形態1又は2と同様であるものとする。本実施の形態4によれば、上述した実施の形態1又は2と同様な利点が得られることに加え、各磁極中心線MLの両側にカシメが設けられているので、コアの開きを抑制する効果がより強く得られる利点がある。
[0036]
 実施の形態5.
 次に、本発明の実施の形態5について説明する。本発明は、上記実施の形態4のように、一つに磁極に関し、複数のカシメ176が設けられていれもよく、その場合、カシメ176はそれぞれ、対応するカシメ並びスリット172aの径方向内側に位置することには限定されない。図16及び図17は、その一例であり、上記実施の形態4において、カシメ176と、スリット172(カシメ並びスリット172a)との間で、径方向内外の位置関係を入れ替えた形態である。なお、上記以外の構成については、本実施の形態5は実施の形態4と同様であるものとする。本実施の形態5によれば、上述した実施の形態1又は2と同様な利点が得られることに加え、実施の形態4のように、各磁極中心線MLの両側にカシメが設けられているので、コアの開きを抑制する効果がより強く得られる利点がある。また、本実施の形態5は、各磁極中心線MLの両側にあるカシメが、径方向のより外側に配置されたことにより積層鋼板の保持力が一層高まっており、より大幅な品質向上が期待できる。
[0037]
 実施の形態6.
 次に、本発明の実施の形態6について説明する。本発明は、カシメの幅方向中心と、カシメ並びスリットの幅方向中心とが、共に、磁極中心線ML上からずれ、且つ、磁極中心線ML上には、単独スリット72bが位置している態様でもよい。図18及び図19は、その一例である。磁極中心線ML上には、スリット272(単独スリット172b)があり、その幅方向の一方側に、スリット272(単独スリット72b)があり、他方側に、スリット272(カシメ並びスリット172a)及びカシメ276がある。なお、上記以外の構成については、本実施の形態6は実施の形態1又は2と同様であるものとする。本実施の形態6によれば、上述した実施の形態1又は2と同様な利点が得られる。
[0038]
 実施の形態7.
 次に、本発明の実施の形態7について説明する。本実施の形態7は、図20及び図21に示されるように、上記実施の形態6において、カシメ276と、スリット272(カシメ並びスリット172a)との間で、径方向内外の位置関係を入れ替えた形態である。なお、上記以外の構成については、本実施の形態7は実施の形態6と同様であるものとする。本実施の形態7によれば、上述した実施の形態1又は2と同様な利点が得られる。
[0039]
 実施の形態8.
 本発明の実施の形態8について説明する。本発明の実施の形態8としては、ロータの中心側に凸となる形状の上述した永久磁石および磁石挿入孔に代えて、例えば図22に示されるように、回転中心線CLを垂線とする断面においてみて、直線的に延びる永久磁石319および磁石挿入孔321が設けられている。特に、図22の図示例では、回転中心線CLを垂線とする断面においてみて、永久磁石319の径方向内側磁石外形面および径方向外側磁石外形面と、磁石挿入孔321の径方向内側挿入孔外形面および径方向外側挿入孔外形面とが、対応する磁極中心線MLと直交する方向(上記幅方向WD)に、直線的に延びている。また、回転中心線CLを垂線とする断面においてみて、永久磁石319の径方向内側磁石外形面と径方向外側磁石外形面とは平行に延びており、磁石挿入孔321の径方向内側挿入孔外形面と径方向外側挿入孔外形面とは平行に延びている。なお、上記以外の構成については、本実施の形態8は実施の形態1と同様であるものとする。また、本実施の形態8も、上記実施の形態2と同様、スリットの一対の幅延長線の間に、カシメの少なくとも一部を位置させるように改変することも可能である。
[0040]
 実施の形態9.
 本発明の実施の形態9について説明する。本発明の実施の形態9としては、例えば図23に示されるように、直線的に延びる永久磁石319および磁石挿入孔321が設けられており、且つ、カシメ76が、対応するスリット72の径方向外側に形成されている。なお、上記以外の構成については、本実施の形態3は、実施の形態1又は2と同様であるものとする。
[0041]
 実施の形態10.
 次に、本発明の実施の形態10について説明する。本発明の実施の形態10としては、例えば図24に示されるように、直線的に延びる永久磁石319および磁石挿入孔321が設けられており、且つ、磁極中心線ML上には、スリット172(単独スリット172b)があり、そのスリット172(単独スリット172b)の幅方向両側に位置するように、一対のカシメ176と一対のスリット172(カシメ並びスリット72a)とが設けられている。なお、上記以外の構成については、本実施の形態10は実施の形態1又は2と同様であるものとする。本実施の形態10によれば、上述した実施の形態4と同様、各磁極中心線MLの両側にカシメが設けられているので、コアの開きを抑制する効果がより強く得られる利点がある。
[0042]
 実施の形態11.
 次に、本発明の実施の形態11について説明する。本発明の実施の形態11としては、例えば図25に示されるように、直線的に延びる永久磁石319および磁石挿入孔321が設けられており、且つ、カシメ176と、スリット172(カシメ並びスリット172a)との間で、径方向内外の位置関係を上記実施の形態10に対して入れ替えた形態である。なお、上記以外の構成については、本実施の形態11は実施の形態10と同様であるものとする。本実施の形態11によれば、上述した実施の形態1又は2と同様な利点が得られることに加え、実施の形態10のように、各磁極中心線MLの両側にカシメが設けられているので、コアの開きを抑制する効果がより強く得られる利点がある。また、本実施の形態11は、各磁極中心線MLの両側にあるカシメが、径方向のより外側に配置されたことにより積層鋼板の保持力が一層高まっており、より大幅な品質向上が期待できる。
[0043]
 実施の形態12.
 次に、本発明の実施の形態12について説明する。本発明の実施の形態12としては、例えば図26に示されるように、直線的に延びる永久磁石319および磁石挿入孔321が設けられており、且つ、磁極中心線ML上には、スリット272(単独スリット172b)があり、その幅方向の一方側に、スリット272(単独スリット72b)があり、他方側に、スリット272(カシメ並びスリット172a)及びカシメ276がある。なお、上記以外の構成については、本実施の形態12は実施の形態1又は2と同様であるものとする。本実施の形態12によれば、上述した実施の形態1又は2と同様な利点が得られる。
[0044]
 実施の形態13.
 次に、本発明の実施の形態13について説明する。本発明の実施の形態13としては、例えば図27に示されるように、直線的に延びる永久磁石319および磁石挿入孔321が設けられており、且つ、カシメ276と、スリット272(カシメ並びスリット172a)との間で、径方向内外の位置関係を上記実施の形態12に対して入れ替えた形態である。なお、上記以外の構成については、本実施の形態13は実施の形態12と同様であるものとする。本実施の形態13によれば、上述した実施の形態1又は2と同様な利点が得られる。
[0045]
 実施の形態14.
 次に、本発明の実施の形態14として、上述した実施の形態1~13の何れかの永久磁石埋込型電動機を搭載したロータリ圧縮機について説明する。なお、本発明は、上述した実施の形態1~13の何れかの永久磁石埋込型電動機を搭載した圧縮機を含むものであるが、圧縮機の種別は、ロータリ圧縮機に限定されるものではない。
[0046]
 図28は、永久磁石埋込型電動機を搭載したロータリ圧縮機の縦断面図である。ロータリ圧縮機100は、密閉容器101内に、永久磁石埋込型電動機1(電動要素)と、圧縮要素103とを備えている。図示はしないが、密閉容器101の底部に、圧縮要素103の各摺動部を潤滑する冷凍機油が貯留されている。
[0047]
 圧縮要素103は、主な要素として、上下積層状態に設けられたシリンダ105と、永久磁石埋込型電動機1により回転するシャフトである回転軸107と、回転軸107に嵌挿されるピストン109と、シリンダ105内を吸入側と圧縮側に分けるベーン(図示せず)と、回転軸107が回転自在に嵌挿され、シリンダ105の軸方向端面を閉塞する上下一対の上部フレーム111及び下部フレーム113と、上部フレーム111及び下部フレーム113にそれぞれ装着されたマフラ115とを含んでいる。
[0048]
 永久磁石埋込型電動機1のステータ3は、密閉容器101に焼嵌または溶接等の方法により直接取り付けられ保持されている。ステータ3のコイルには、密閉容器101に固定されるガラス端子から電力が供給される。
[0049]
 ロータ5は、ステータ3の内径側に、空隙を介して配置されており、ロータ5の中心部の回転軸107(シャフト13)を介して圧縮要素103の軸受け部(上部フレーム111及び下部フレーム113)により回転自在な状態で保持されている。
[0050]
 次に、かかるロータリ圧縮機100の動作について説明する。アキュムレータ117から供給された冷媒ガスは、密閉容器101に固定された吸入パイプ119よりシリンダ105内へ吸入される。インバータの通電によって永久磁石埋込型電動機1が回転されていることで、回転軸107に嵌合されたピストン109がシリンダ105内で回転される。それにより、シリンダ105内では冷媒の圧縮が行われる。冷媒は、マフラ115を経た後、密閉容器101内を上昇する。このとき、圧縮された冷媒には冷凍機油が混入している。この冷媒と冷凍機油との混合物は、ロータコア11に設けた風穴を通過する際に、冷媒と冷凍機油との分離を促進され、冷凍機油が吐出パイプ121へ流入するのを防止できる。このようにして、圧縮された冷媒が、密閉容器101に設けられた吐出パイプ121を通って冷凍サイクルの高圧側へと供給される。
[0051]
 尚、ロータリ圧縮機100の冷媒には、従来からあるR410A、R407C、R22等を用いてもよいが、低GWP(地球温暖化係数)の冷媒等などいかなる冷媒も適用できる。地球温暖化防止の観点からは、低GWP冷媒が望まれている。低GWP冷媒の代表例として、以下の冷媒がある。
(1)組成中に炭素の二重結合を有するハロゲン化炭化水素:例えば、HFO-1234yf(CF3CF=CH2)である。HFOは、Hydro-Fluoro-Olefinの略で、Olefinは、二重結合を一つ持つ不飽和炭化水素のことである。尚、HFO-1234yfのGWPは4である。
(2)組成中に炭素の二重結合を有する炭化水素:例えば、R1270(プロピレン)である。尚、GWPは3で、HFO-1234yfより小さいが、可燃性はHFO-1234yfより大きい。
(3)組成中に炭素の二重結合を有するハロゲン化炭化水素または組成中に炭素の二重結合を有する炭化水素の少なくともいずれかを含む混合物:例えば、HFO-1234yfとR32との混合物等である。HFO-1234yfは、低圧冷媒のため圧損が大きくなり、冷凍サイクル(特に、蒸発器において)の性能が低下しやすい。そのため、HFO-1234yfより高圧冷媒であるR32又はR41等との混合物が実用上は有力になる。
[0052]
 以上に構成された本実施の形態14に係るロータリ圧縮機においても、上述した永久磁石埋込型電動機を用いれば、上述した実施の形態1~13の対応する何れかと同様な利点を有する。
[0053]
 実施の形態15.
 また、本発明は、上述した実施の形態14の圧縮機を冷凍回路の構成要素として含む、冷凍空調装置として実施することも可能である。なお、冷凍空調装置の冷凍回路における、圧縮機以外の構成要素の構成は、特に、限定されるものではない。
[0054]
 以上、好ましい実施の形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の改変態様を採り得ることは自明である。

符号の説明

[0055]
 1 永久磁石埋込型電動機、3 ステータ、5 ロータ、11 ロータコア、19 永久磁石、21 磁石挿入孔、25 ロータ外周面、55 径方向外側挿入孔外形面、72、172、272 スリット、72a、172a カシメ並びスリット、72b,172b 単独スリット,76,176,276 カシメ、100 ロータリ圧縮機、101 密閉容器、103 圧縮要素、105 シリンダ、ML 磁極中心線、WE 幅延長線。

請求の範囲

[請求項1]
 ステータと、
 前記ステータに対向して回転可能に設けられたロータとを備え、
 前記ロータは、複数の板部材を積層して構成されたロータコアを有し、
 前記ロータコアには、それぞれ対応する永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔が形成されている、永久磁石埋込型電動機であって、
 前記ロータにおけるロータ外周面と前記磁石挿入孔の径方向外側挿入孔外形面との間には、少なくとも一つのスリットと、少なくとも一つのカシメとが形成されており、
 前記スリットの一対の幅延長線の間に、前記カシメの少なくとも一部が位置している、
永久磁石埋込型電動機。
[請求項2]
 前記複数の磁石挿入孔は、前記ロータの中心側に凸となる形状で形成されている、
請求項1の永久磁石埋込型電動機。
[請求項3]
 前記カシメは、その全体が、前記スリットの一対の幅延長線の間に、位置している、
請求項1または2の永久磁石埋込型電動機。
[請求項4]
 前記ロータにおけるロータ外周面と前記磁石挿入孔の径方向外側挿入孔外形面との間には、複数のスリットが形成されており、
 前記複数のスリットは、幅方向に並んでいる、
請求項1~3の何れか一項の永久磁石埋込型電動機。
[請求項5]
 前記カシメは、対応する前記スリットの径方向内側に形成されている、
請求項1~4の何れか一項の永久磁石埋込型電動機。
[請求項6]
 密閉容器内に、電動機と、圧縮要素とを備えた圧縮機であって、
 前記電動機は、請求項1~5の何れか一項の永久磁石埋込型電動機である、
圧縮機。
[請求項7]
 請求項6の圧縮機を冷凍回路の構成要素として含む、冷凍空調装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]

[ 図 26]

[ 図 27]

[ 図 28]