Some content of this application is unavailable at the moment.
If this situation persist, please contact us atFeedback&Contact
1. (WO2013125660) ZEOLITE MEMBRANE COMPLEX
Document

明 細 書

発明の名称 ゼオライト膜複合体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007  

先行技術文献

特許文献

0008  

非特許文献

0009  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0010   0011   0012   0013   0014  

課題を解決するための手段

0015   0016  

発明の効果

0017   0018  

図面の簡単な説明

0019  

発明を実施するための形態

0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187  

実施例

0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244  

産業上の利用可能性

0245  

符号の説明

0246  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : ゼオライト膜複合体

技術分野

[0001]
 本発明は、複数の成分からなる気体混合物または液体混合物から特定の成分を分離するために用いるゼオライト膜複合体であって、ある種の物性をもつゼオライト膜が、無機多孔質支持体上に形成されてなるゼオライト膜複合体、該ゼオライト膜複合体を気体混合物または液体混合物の分離手段として用いる分離または濃縮方法に関するものである。

背景技術

[0002]
 近年、気体(ガス)または液体の混合物の分離方法として、高分子膜やゼオライト膜などの膜を用いた膜分離、濃縮方法が提案されている。高分子膜、例えば平膜や中空糸膜などは、加工性に優れるが、耐熱性が低いという欠点がある。また高分子膜は、耐薬品性が低く、特に有機溶媒や有機酸といった有機化合物との接触で膨潤するものが多いため、分離、濃縮対象の適用範囲が限定的である。ゼオライト膜は、通常、無機材料よりなる支持体上に、膜状にゼオライトを形成させたゼオライト膜複合体として分離、濃縮に用いられている。無機材料の膜を用いた分離、濃縮は、高分子膜よりも広い温度範囲で分離、濃縮を実施でき、更に有機化合物を含む混合物の分離にも適用できる。
[0003]
 膜による気体混合物(ガス)の分離方法としては、1970年代から高分子膜を用いた方法が提案されている。しかし、高分子膜は加工性に優れる特徴をもつ一方で、熱や化学物質、圧力により劣化して性能が低下することが問題であった。近年、これらの問題を解決すべく耐薬品性、耐酸化性、耐熱安定性、耐圧性が良好な種々の無機膜が提案されてきている。その中でもゼオライトは、サブナノメートルの規則的な細孔を有しているため、分子ふるいとしての働きをもつので選択的に特定の分子を透過でき、高分離性能を示すことが期待されている。
[0004]
 具体的な混合ガスの膜分離の例としては、火力発電所や石油化学工業などから排出されるガスの分離で、二酸化炭素と窒素、二酸化炭素とメタン、水素と炭化水素、水素と酸素、水素と二酸化炭素、窒素と酸素、パラフィンとオレフィンの分離などがある。用い得るガス分離用ゼオライト膜としては、A型膜、FAU膜、MFI膜、SAPO-34膜、DDR膜などのゼオライト膜が知られている。
[0005]
 A型ゼオライト膜は、水分の影響を受けやすく、結晶間隙のない膜にすることが難しく、分離性能は高くない。FAU膜はゼオライトの細孔が0.6~0.8nmであり、気体分子2個分がゼオライト細孔内に入りうる大きさである。この膜は、ゼオライト細孔への吸着特性を持つ分子と持たない分子の分離、例えば二酸化炭素と窒素の分離に向いている。しかし、吸着性のない分子は分離しにくく、適用範囲が狭い。MFI膜の細孔径は0.55nmであり、気体分子の分離には細孔がやや大きく分離性能も高くない。
[0006]
 また、天然ガスの精製プラントや、生ごみなどをメタン発酵させてバイオガスを発生させるプラントでは、二酸化炭素とメタンの分離が望まれているが、これらを良好に分離するゼオライト膜としてはゼオライトの分子ふるい機能を利用した、DDR(特許文献1)、SAPO-34(非特許文献1)、SSZ-13(非特許文献2)が性能のよい膜として知られている。
[0007]
 ゼオライト膜を用いた液体混合物の分離方法としては、例えば、A型ゼオライト膜複合体を用いて水を選択的に透過させてアルコールを濃縮する方法(特許文献2)、モルデナイト型ゼオライト膜複合体を用いてアルコールと水の混合系から水を選択的に透過させてアルコールを濃縮する方法(特許文献3)や、フェリエライト型ゼオライト膜複合体を用いて酢酸と水の混合系から水を選択的に透過させて酢酸を分離・濃縮する方法(特許文献4)などが提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0008]
特許文献1 : 日本国特開2004-105942号公報
特許文献2 : 日本国特開平7-185275号公報
特許文献3 : 日本国特開2003-144871号公報
特許文献4 : 日本国特開2000-237561号公報

非特許文献

[0009]
非特許文献1 : Shiguang Li et al., "Improved SAPO-34 Membranes for CO2/CH4Separation", Adv. Mater. 2006, 18, 2601-2603
非特許文献2 : Halil Kalipcilar et al., "Synthesis and Separation Performance of SSZ-13 Zeolite Membranes on Tubular Supports", Chem. Mater. 2002, 14, 3458-3464

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0010]
 しかしながら、気体混合物の分離について、DDR(特許文献1)は、分離性能は良好であるが、ゼオライトの構造が二次元であるために、二酸化炭素のパーミエンス(Permeance、「透過度」ともいう)が低い。また、三次元構造であるCHA型のアルミノホスフェートであるSAPO-34(非特許文献1)は、分離性能やパーミエンスが良好だが、水存在下での性能が悪化する。化学プラントでは、混合ガスに水分が含まれる場合が多く、SAPO-34は実用には耐えない場合がある。
[0011]
 同じくSUS支持体の膜であるCHA型のアルミノシリケートであるSSZ-13(非特許文献2)は、ゼオライト膜に非ゼオライト細孔(欠陥)が共存するために分離性能が不十分で、二酸化炭素のパーミエンスも充分ではなかった。このように実用に耐えうる気体混合物用の分離膜は知られていなかった。
[0012]
 また、液体混合物の分離については、例えば、特許文献3のモルデナイト型ゼオライト膜複合体や特許文献4のフェリエライト型ゼオライト膜複合体は、透過流束が小さく、実用化には処理量が不十分である。また、酸性条件下で脱Al化反応が進行するので、使用時間が長くなるにつれ分離性能が変化し、有機酸存在条件下での使用は望ましくない。特許文献2のA型ゼオライトは、耐酸性や耐水性がなく、適用範囲が限られていた。
[0013]
 一方、本発明者らは、水熱合成により多孔質支持体上にゼオライト膜を形成する際に、特定の組成の反応混合物を用いれば、支持体上に結晶化するゼオライトの結晶配向性が向上し、有機化合物と水の混合物の分離において、実用上十分な処理量と分離膜性能を両立する緻密なゼオライト膜が形成することを見出し、先に提案した(国際公開第2010/098473号、日本国特開2011-121040号公報、日本国特開2011-121045号公報、日本国特開2011-121854号公報)。このゼオライト膜複合体を気体または液体混合物の分離に用いた場合、処理量、分離性能ともに高い値が得られるが、特に気体混合物の分離を行う場合、プロセス規模によるが、通常、その処理量は膨大であり、必要となる膜面積は大きくなる。このため、気体混合物の分離に適用するには膜の処理量、つまりガスの透過度のさらなる向上が求められていた。また液体混合物の分離においてもさらに透過度を向上させ必要膜面積を減らすことで、コストの低下、装置の小型化を達成することが求められていた。
[0014]
 本発明は、かかる従来技術の問題が解決された、耐水性に優れ、処理量や分離性能が高く、気体混合物や液体混合物の分離に優れた特性を持つゼオライト膜複合体の提供を課題とするものである。

課題を解決するための手段

[0015]
 本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ある種の物性をもつCHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトが、実用上十分な処理量と分離処理性能を両立する、気体混合物や液体混合物の分離手段に好適なゼオライト膜複合体になり得ることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
[0016]
 即ち、本発明の要旨は、下記の(1)~(19)に存する。
(1)複数の成分からなる気体混合物または液体混合物から、透過性の高い成分を透過して分離するために用いるゼオライト膜複合体であって、ゼオライト膜が、CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを含み、膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、2θ=17.9°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の0.5倍未満の値を有するものであり、かつ2θ=9.6°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の2.0倍以上4.0倍未満の値を有するものであり、無機多孔質支持体上に形成されてなる、ゼオライト膜複合体。
(2)前記ゼオライトのSiO /Al モル比が6以上500以下である、(1)に記載のゼオライト膜複合体。
(3)前記ゼオライト膜複合体の水蒸気吸着等温線より求めた、相対圧0.8におけるゼオライト膜複合体の水吸着量が、相対圧0.2における水吸着量の2倍以上10倍以下である、(1)または(2)に記載のゼオライト膜複合体。
(4)複数の成分からなる気体混合物または液体混合物から、透過性の高い成分を透過して分離するために用いるゼオライト膜複合体であって、ゼオライト膜が、CHA型アルミノ珪酸塩であり、かつSiO /Al モル比が30以上100以下のゼオライトを含み、無機多孔質支持体上に形成されてなる、ゼオライト膜複合体。
(5)前記ゼオライト膜が、膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、2θ=17.9°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の0.5倍未満の値を有するものである、(4)に記載のゼオライト膜複合体。
(6)前記ゼオライト膜が、膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、2θ=9.6°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の2.0倍以上4.0倍未満の値を有するものである、(4)または(5)に記載のゼオライト膜複合体。
(7)前記ゼオライト膜複合体の水蒸気吸着等温線より求めた、相対圧0.8におけるゼオライト膜複合体の水吸着量が、相対圧0.2における水吸着量の2倍以上10倍以下である、(4)~(6)のいずれか1つに記載のゼオライト膜複合体。
(8)複数の成分からなる気体混合物または液体混合物から、透過性の高い成分を透過して分離するために用いるゼオライト膜複合体であって、ゼオライト膜が、CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを含み、無機多孔質支持体上に形成されてなるものであり、該ゼオライト膜複合体の水蒸気吸着等温線より求めた、相対圧0.8におけるゼオライト膜複合体の水吸着量が、相対圧0.2における水吸着量の2倍以上10倍以下である、ゼオライト膜複合体。
(9)前記ゼオライト膜が、膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、2θ=17.9°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の0.5倍未満の値を有するものである、(8)に記載のゼオライト膜複合体。
(10)前記ゼオライト膜が、膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、2θ=9.6°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の2.0倍以上4.0倍未満の値を有するものである、(8)または(9)に記載のゼオライト膜複合体。
(11)前記ゼオライトのSiO /Al モル比が6以上500以下である、(8)~(10)のいずれか1つに記載のゼオライト膜複合体。
(12)前記ゼオライトのSiO /Al モル比が30以上50以下である、(2)、(4)~(7)および(11)のいずれか1つに記載のゼオライト膜複合体。
(13)前記ゼオライト膜複合体を、絶対圧5kPaの真空ラインに接続した時の空気透過量が100L/(m ・h)以上1000L/(m ・h)以下である、(1)~(12)のいずれか1つに記載のゼオライト膜複合体。
(14)前記ゼオライト膜が、アルカリ源として少なくともカリウム(K)を含む水熱合成用の反応混合物を用いて形成されたものである、(1)~(13)のいずれか1つに記載のゼオライト膜複合体。
(15)複数の気体成分からなる気体混合物から、透過性の高い気体成分を透過して分離するために用いるゼオライト膜複合体である、(1)~(14)のいずれか1つに記載のゼオライト膜複合体。
(16)複数の成分からなる液体混合物から、透過性の高い成分を透過して分離するために用いるゼオライト膜複合体である、(1)~(14)のいずれか1つに記載のゼオライト膜複合体。
(17)(1)~(15)のいずれか1つに記載のゼオライト膜複合体に、複数の気体成分からなる気体混合物を接触させ、該気体混合物から、透過性の高い気体成分を透過させて分離する、または、透過性の高い気体成分を透過させて分離することにより透過性の低い気体成分を濃縮する、気体混合物の分離または濃縮方法。
(18)前記気体混合物が、二酸化炭素、水素、酸素、窒素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、1-ブテン、2-ブテン、イソブテン、六フッ化硫黄、ヘリウム、一酸化炭素、一酸化窒素及び水よりなる群から選ばれる少なくとも1種の成分を含むものである、(17)に記載の方法。
(19)(1)~(14)および(16)のいずれか1つに記載のゼオライト膜複合体に、複数の成分からなる液体混合物を接触させ、該液体混合物から、透過性の高い成分を透過させて分離する、または、透過性の高い成分を透過させて分離することにより透過性の低い成分を濃縮する、液体混合物の分離または濃縮方法。

発明の効果

[0017]
 本発明によれば、耐薬品性、耐熱安定性、耐酸化性、耐圧性に優れ、特に透過量が多く、高い分離係数、湿熱安定性の高い、気体混合物や液体混合物の分離に優れた特性を持つゼオライト膜複合体を提供することができる。
 本発明のゼオライト膜複合体を気体混合物の分離手段として用いることにより、小規模な設備、省エネルギー、低コストで高性能に気体の分離を効率的に実施できる。また、本発明のゼオライト膜複合体を、液体混合物の分離手段として用いることにより、有機化合物を含む液体混合物から透過性の高い物質の分離を小規模な設備、省エネルギー、低コストで高性能に効率的に実施できる。
[0018]
 また、本発明によれば、気体混合物または液体混合物から透過性の大きい成分を透過させ、透過性の小さい気体は濃縮されることにより、透過性の大きい成分を系外に分離し、透過性の小さい成分を濃縮・回収することで目的成分を高純度で分離することができる。

図面の簡単な説明

[0019]
[図1] 図1は、ガスの透過試験に用いた装置の模式図である。
[図2] 図2は、ガス分離に用いる装置の模式図である。
[図3] 図3は、ベーパーパーミエーション法に用いた装置の模式図である。
[図4] 図4は、実施例1で作製したCHA型ゼオライト膜のXRDパターンである。
[図5] 図5は、実施例2で作製したCHA型ゼオライト膜のXRDパターンである。
[図6] 図6は、粉末のCHA型ゼオライトのXRDパターンである。
[図7] 図7は、実施例4で作製したCHA型ゼオライト膜のXRDパターンである。

発明を実施するための形態

[0020]
 以下、本発明の実施の形態について更に詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。なお、本明細書において、「ゼオライト膜が無機多孔質支持体上に形成されてなるゼオライト膜複合体」を「無機多孔質支持体-ゼオライト膜複合体」と称することがある。また、該「無機多孔質支持体-ゼオライト膜複合体」を「ゼオライト膜複合体」または「膜複合体」と、「無機多孔質支持体」を「支持体」と、「CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライト」を「CHA型ゼオライト」と略称することがある。
[0021]
 本発明のゼオライト膜複合体は、複数の成分からなる気体混合物または液体混合物から、透過性の高い成分を透過して分離するために用いるゼオライト膜複合体であって、ゼオライト膜が、CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを含み、膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、2θ=17.9°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の0.5倍未満の値を有するものであり、かつ2θ=9.6°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の2.0倍以上4.0倍未満の値を有するものであり、無機多孔質支持体上に形成されてなることに特徴をもつものである。
[0022]
 また、本発明の別の態様のゼオライト膜複合体は、複数の成分からなる気体混合物または液体混合物から、透過性の高い成分を透過して分離するために用いるゼオライト膜複合体であって、ゼオライト膜が、CHA型アルミノ珪酸塩であり、かつSiO /Al モル比が30以上100以下のゼオライトを含み、無機多孔質支持体上に形成されてなることに特徴をもつものである。
[0023]
 また、本発明の別の態様のゼオライト膜複合体は、複数の成分からなる気体混合物または液体混合物から、透過性の高い成分を透過して分離するために用いるゼオライト膜複合体であって、ゼオライト膜が、CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを含み、無機多孔質支持体上に形成されてなるものであり、該ゼオライト膜複合体の水蒸気吸着等温線より求めた、相対圧0.8におけるゼオライト膜複合体の水吸着量が、相対圧0.2における水吸着量の2倍以上10倍以下であることに特徴をもつものである。
[0024]
 本発明において、ゼオライト膜複合体は、上記のとおり、複数の成分からなる気体混合物または液体混合物から、透過性の高い成分を透過して分離する膜分離手段として用いられるものである。気体成分、液体成分、分離方法、分離性能などの、分離または濃縮方法に係る事項は、ゼオライト膜複合体の詳細を説明した後に説明する。
[0025]
<ゼオライト膜複合体>
 (ゼオライト膜)
 本発明において、ゼオライト膜は、上記のとおり特定の性質をもつゼオライトを含むものであるが、ゼオライト膜を構成する成分としては、ゼオライト以外にシリカ、アルミナなどの無機バインダー、ポリマーなどの有機物、あるいはゼオライト表面を修飾するシリル化剤などを必要に応じ含んでいてもよい。
 ゼオライト膜は、一部アモルファス成分などが含有されていてもよいが、好ましくは実質的にゼオライトのみで構成されるゼオライト膜である。
[0026]
 ゼオライト膜に含まれるCHA型アルミノ珪酸塩の割合は、通常10体積%以上、好ましくは30体積%以上、より好ましくは60体積%以上、さらに好ましくは80体積%以上である。ゼオライト膜がCHA型アルミノ珪酸塩のみで構成されるものが、ガスの透過性、分離性において最も優れるために最も好ましい。
[0027]
 ゼオライト膜の厚さは特に限定されないが、通常0.1μm以上、好ましくは0.6μm以上、より好ましくは1.0μm以上である。また、通常100μm以下、好ましくは60μm以下、より好ましくは20μm以下の範囲である。膜厚が大きすぎると透過量が低下する傾向があり、小さすぎると選択性が低下したり、膜強度が低下したりする傾向がある。
[0028]
 ゼオライト膜を形成するゼオライトの粒子径は特に限定されないが、小さすぎると粒界が大きくなるなどして透過選択性などを低下させる傾向がある。それ故、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上であり、上限は膜の厚さ以下である。さらに、ゼオライトの粒子径が膜の厚さと同じである場合がより好ましい。ゼオライトの粒子径が膜の厚さと同じであるとき、ゼオライトの粒界が最も小さくなる。後に述べる水熱合成で得られたゼオライト膜は、ゼオライトの粒子径と膜の厚さが同じになる場合があるので好ましい。
[0029]
 ゼオライト膜の形状は特に限定されず、管状、中空糸状、モノリス型、ハニカム型などあらゆる形状を採用できる。また大きさも特に限定されず、例えば、管状の場合は、通常長さ2cm以上200cm以下、内径0.5cm以上2cm以下、厚さ0.5mm以上4mm以下が実用的で好ましい。
[0030]
 (ゼオライト)
 本発明において、ゼオライト膜はCHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを含む。好ましくはゼオライト膜を構成するゼオライトはCHA型アルミノ珪酸塩である。アルミノ珪酸塩は、SiとAlの酸化物を主成分とするものであり、本発明の効果を損なわない限り、それ以外の元素が含まれていてもよい。
[0031]
 本発明において、アルミノ珪酸塩のSiO /Al モル比は特に限定されないが、通常6以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは32以上、さらに好ましくは35以上、特に好ましくは40以上である。上限は、通常Alが不純物程度の量であり、SiO /Al モル比としては、通常500以下、好ましくは100以下、より好ましくは90以下、さらに好ましくは80以下、特に好ましくは70以下、最も好ましくは50以下である。SiO /Al モル比が前記下限未満ではゼオライト膜の緻密性が低下する場合があり、また耐久性が低下する傾向がある。
 SiO /Al モル比は、後に述べる水熱合成の反応条件により調整することができる。
[0032]
 なお、SiO /Al モル比は、走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)により得られた数値である。数ミクロンの膜のみの情報を得るために通常はX線の加速電圧を10kVで測定する。
[0033]
 (CHA型ゼオライト)
 本発明において、CHA型ゼオライトとは、International Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードでCHA構造のものを示す。天然に産出するチャバサイトと同等の結晶構造を有するゼオライトである。CHA型ゼオライトは0.38×0.38nmの径を有する酸素8員環からなる3次元細孔を有することを特徴とする構造をとり、その構造はX線回折データにより特徴付けられる。
[0034]
 CHA型ゼオライトのフレームワーク密度(T/nm )は14.5である。また、SiO /Al モル比は上記と同様である。
 ここで、フレームワーク密度(T/nm )とは、ゼオライトのnm (1000Å )あたりの、骨格を構成する酸素以外の元素(T元素)の数を意味し、この値はゼオライトの構造により決まるものである。なお、フレームワーク密度とゼオライトの構造との関係はATLAS OF ZEOLITE FRAMEWORK TYPES Fifth Revised Edition 2001 ELSEVIERに示されている。
[0035]
 (無機多孔質支持体)
 無機多孔質支持体は、その表面などにゼオライトを膜状に結晶化できるような化学的安定性がある多孔質の無機物質であれば如何なるものであってもよい。具体的には、例えば、シリカ、α-アルミナ、γ-アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などのセラミックス焼結体、鉄、ブロンズ、ステンレスなどの焼結金属や、ガラス、カーボン成型体などが挙げられる。
[0036]
 無機多孔質支持体の中で、セラミックス焼結体は、その一部がゼオライト膜合成中にゼオライト化することで界面の密着性を高める効果がある。
 さらに、アルミナ、シリカ、ムライトのうち少なくとも1種を含む無機多孔質支持体は、支持体の部分的なゼオライト化が容易であるため、支持体とゼオライトの結合が強固になり緻密で分離性能の高い膜が形成されやすくなるのでより好ましい。
[0037]
 支持体の形状は、気体混合物や液体混合物を有効に分離できるものであれば特に制限されず、具体的には、例えば、平板状、管状のもの、または円筒状、円柱状や角柱状の孔が多数存在するハニカム状のものやモノリスなどが挙げられる。
 本発明において、無機多孔質支持体の表面などにゼオライト膜を形成、好ましくはゼオライトを膜状に結晶化させる。
[0038]
 支持体が有する平均細孔径は特に制限されないが、細孔径が制御されているものが好ましい。細孔径は、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上であり、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。細孔径が小さすぎると透過量が小さくなる傾向があり、大きすぎると支持体自体の強度が不十分になったり、緻密なゼオライト膜が形成されにくくなる傾向がある。
 支持体の平均細孔径は、水銀圧入法により測定できる。
[0039]
 支持体の表面は必要に応じて表面をやすり等で研磨してもよい。なお、支持体の表面とはゼオライト膜を形成させる支持体の表面部分を意味し、表面であればそれぞれの形状のどこの表面であってもよく、複数の面であっても良い。例えば円筒管の支持体の場合には外側の表面でも内側の表面でもよく、場合によっては外側と内側の両方の表面であってよい。
[0040]
 また、支持体の気孔率は特に制限されず、また特に制御する必要は無いが、気孔率は、通常20%以上60%以下であることが好ましい。気孔率は、気体や液体を分離する際の透過流量を左右し、前記下限未満では透過物の拡散を阻害する傾向があり、前記上限超過では支持体の強度が低下する傾向がある。
 支持体の気孔率は、水銀圧入法により測定できる。
[0041]
 (ゼオライト膜複合体)
 ゼオライト膜複合体とは、支持体の表面などにゼオライトが膜状に固着しているものであり、場合によっては、ゼオライトの一部が、支持体の内部にまで固着している状態のものが好ましい。
[0042]
 ゼオライト膜複合体としては、例えば、支持体の表面などにゼオライトを水熱合成により膜状に結晶化させたものが好ましい。
[0043]
 ゼオライト膜の支持体上の位置は特に限定されず、管状の支持体を用いる場合、外表面にゼオライト膜をつけてもよいし、内表面につけてもよく、さらに適用する系によっては両面につけてもよい。また、支持体の表面に積層させてもよいし、支持体の表面層の細孔内を埋めるように結晶化させてもよい。この場合、結晶化した膜層の内部に亀裂や連続した微細孔が無いことが重要であり、いわゆる緻密な膜を形成させることが分離性を向上させることになる。
[0044]
 本発明においてゼオライト膜複合体は、膜表面にX線を照射して得たX線回折のパターンにおいて、2θ=17.9°付近のピークの強度が、2θ=20.8°付近のピークの強度の0.5倍未満であることが好ましい。
[0045]
 ここで、ピークの強度とは、測定値からバックグラウンドの値を引いたものをさす。(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)で表されるピーク強度比(以下これを「ピーク強度比A」ということがある。)でいえば、通常0.5未満、好ましくは0.45以下である。下限は特に限定されないが、通常0.001以上である。
[0046]
 また、本発明においてゼオライト膜複合体は、X線回折のパターンにおいて、2θ=9.6°付近のピークの強度が、2θ=20.8°付近のピークの強度の2.0倍以上4.0倍未満の大きさであることが好ましい。
[0047]
 (2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)で表されるピーク強度比(以下これを「ピーク強度比B」ということがある。)でいえば、通常2.0以上、好ましくは2.1以上、より好ましくは2.3以上、特に好ましくは2.5以上である。上限は、通常4.0未満、好ましくは3.9以下、より好ましくは3.7以下、特に好ましくは3.5以下である。
[0048]
 ここでいうX線回折パターンとは、ゼオライトが主として付着している側の表面にCuKαを線源とするX線を照射して、走査軸をθ/2θとして得るものである。測定するサンプルの形状としては、膜複合体のゼオライトが主として付着している側の表面にX線が照射できるような形状なら何でもよく、膜複合体の特徴をよく表すものとして、作製した膜複合体そのままのもの、あるいは装置によって制約される適切な大きさに切断したものが好ましい。
[0049]
 ここでいうX線回折パターンは、ゼオライト膜複合体の表面が曲面である場合には自動可変スリットを用いて照射幅を固定して測定してもかまわない。自動可変スリットを用いた場合のX線回折パターンとは、可変→固定スリット補正を実施したパターンを指す。
[0050]
 ここで、2θ=17.9°付近のピークとは、基材に由来しないピークのうち17.9°±0.6°の範囲に存在するピークのうち最大のものを指す。
[0051]
 2θ=20.8°付近のピークとは、基材に由来しないピークのうち20.8°±0.6°の範囲に存在するピークで最大のものを指す。
[0052]
 2θ=9.6°付近のピークとは、基材に由来しないピークのうち9.6°±0.6°の範囲に存在するピークのうち最大のものを指す。
[0053]
 X線回折パターンで2θ=9.6°付近のピークは、COLLECTION OF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERによればrhombohedral settingで空間群を
[0054]
[数1]


[0055]
(No.166)とした時にCHA構造において指数が(1,0,0)の面に由来するピークである。
[0056]
 また、X線回折パターンで2θ=17.9°付近のピークは、COLLECTION OF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERによればrhombohedral settingで空間群を
[0057]
[数2]


[0058]
(No.166)とした時にCHA構造において指数が(1,1,1)の面に由来するピークである。
[0059]
 X線回折パターンで2θ=20.8°付近のピークは、COLLECTION OF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERによればrhombohedral settingで空間群を
[0060]
[数3]


[0061]
(No.166)とした時にCHA構造において指数が(2,0,-1)の面に由来するピークである。
[0062]
 CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライト膜における(1,0,0)面由来のピークの強度の(2,0,-1)の面に由来のピーク強度の典型的な比(ピーク強度比B)は、非特許文献2によれば2未満である。
[0063]
 そのため、この比が2.0以上4.0未満であるということは、例えば、CHA構造をrhombohedral settingとした場合の(1,0,0)面が膜複合体の表面と平行に近い向きになるように、ゼオライト結晶が中程度に配向して成長していることを意味すると考えられる。ゼオライト膜複合体においてゼオライト結晶が配向して成長することは分離性能の高い緻密な膜が出来るという点で有利である。
[0064]
 ここでいう中程度の配向とは、(1,0,0)面が膜複合体の表面と平行に近い向きに向いた結晶子が全体の結晶子に対して中程度の割合で存在するということであり、この割合は、粉末のCHA型アルミノ珪酸塩のような結晶子の向きがランダムなものよりも大きく、ピーク強度比Bが4以上のような、多くの結晶子の(1,0,0)面が表面と平行に近い向きに向いたCHA型アルミノ珪酸塩のゼオライト膜よりも低い。
[0065]
 CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライト膜における(1,1,1)面由来のピークの強度と(2,0,-1)の面に由来のピーク強度の典型的な比(ピーク強度比A)は、非特許文献2によれば0.5未満である。
[0066]
 そのため、この比が0.5未満であるということは、例えば、CHA構造をrhombohedral settingとした場合の(1,1,1)面が膜複合体の表面と平行に近い向きになるようにゼオライト結晶が配向して成長している程度が低いことを意味すると考えられる。
[0067]
 ここでいうゼオライト結晶が配向して成長している程度が低いとは、(1,1,1)面が膜複合体の表面と平行に近い向きに向いたゼオライト結晶子の、全体の結晶子に対する存在割合が低いということであり、結晶子の(1,1,1)面の向きはほぼランダムであるということである。
[0068]
 このように、ピーク強度比A、Bが、上記した特定の範囲の値であるということは、ゼオライト結晶が中程度に配向して成長し、分離性能の高い緻密な膜が形成されていることを示すものである。
[0069]
 CHA型ゼオライト結晶が中程度に配向して成長している緻密なゼオライト膜は、次に述べる通り、ゼオライト膜を水熱合成法により形成する際に、例えば、特に好ましくは特定の有機テンプレートを用い、水性反応混合液中にK イオンを共存させることにより達成することができる。
[0070]
 また、本発明において、ゼオライト膜複合体の水蒸気吸着等温線より求めた、相対圧0.8におけるゼオライト膜複合体の水吸着量は、相対圧0.2における水吸着量の2倍以上10倍以下であることが好ましい。
[0071]
 ここで、吸着等温線とは、材料を一定温度にし、圧力と吸着量の変化を測定したグラフである。一般的に横軸には平衡圧力を飽和蒸気圧で割った相対圧(P/P )とし0~1の値を取る。本発明においては、相対圧0.8と相対圧0.2におけるゼオライト膜複合体への水(水蒸気)吸着量(g/g)を指標とする。
[0072]
 上記のとおり、本発明のゼオライト膜複合体は、相対圧0.2における水吸着量に対する相対圧0.8における水吸着量の比が2以上10以下の値をもつことが好ましいが、この値は、好ましくは2.1以上、より好ましくは2.2以上であり、また、好ましくは8以下、より好ましくは5以下である。
[0073]
 この値は、一般的にゼオライト膜中のメソ孔への水の吸着と相関しているものであり、値が大きいほど、親水的なメソ孔容積が大きい傾向があることを意味し、値が小さいほど、親水的なメソ孔容積が小さい傾向があることを意味する。この値が大きすぎるものでは、メソ孔が多く存在する緻密度の小さい膜となり、透過量は高いが、分離性能の低い膜となる傾向があり、一方、この値が小さすぎるものではメソ孔がほとんど存在しない緻密度が高い膜となり、分離性能は高いが透過量が低い膜となる傾向がある。この値を2以上10以下とすることにより、分離性能が良好で透過量が高い膜とすることが可能となる。
[0074]
<ゼオライト膜複合体の製造方法>
 本発明において、ゼオライト膜の形成方法は、上記した特定のゼオライト膜が支持体上に形成可能な方法であれば特に制限されず、例えば、(1)支持体上にゼオライトを膜状に結晶化させる方法、(2)支持体にゼオライトを無機バインダー、あるいは有機バインダーなどで固着させる方法、(3)ゼオライトを分散させたポリマーを固着させる方法、(4)ゼオライトのスラリーを支持体に含浸させ、場合によっては吸引させることによりゼオライトを支持体に固着させる方法などの何れの方法も用いることができる。これらの方法により無機多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を得ることができる。
[0075]
 これらの中で、無機多孔質支持体にゼオライトを膜状に結晶化させる方法が特に好ましい。結晶化の方法に特に制限はないが、支持体を、ゼオライト製造に用いる水熱合成用の反応混合物(以下これを「水性反応混合物」ということがある。)中に入れて、直接水熱合成することで支持体表面などにゼオライトを結晶化させる方法が好ましい。
[0076]
 具体的には、例えば、組成を調整して均一化した水性反応混合物を、支持体を内部に緩やかに固定した、オートクレーブなどの耐熱耐圧容器に入れて密閉して、一定時間加熱すればよい。
[0077]
 水性反応混合物としては、Si元素源、Al元素源、アルカリ源および水を含み、さらに必要に応じて有機テンプレートを含むものが好ましい。
[0078]
 水性反応混合物に用いるSi元素源としては、例えば、無定形シリカ、コロイダルシリカ、シリカゲル、ケイ酸ナトリウム、無定形アルミノシリケートゲル、テトラエトキシシラン(TEOS)、トリメチルエトキシシラン等を用いることができる。
[0079]
 Al元素源としては、例えば、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酸化アルミニウム、無定形アルミノシリケートゲル等を用いることができる。なお、Al元素源以外に他の元素源、例えばGa、Fe、B、Ti、Zr、Sn、Znなどの元素源を含んでいてもよい。
[0080]
 アルカリ源として用いるアルカリの種類は特に限定されず、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物を用いることができる。
[0081]
 金属水酸化物の金属種は、通常Na、K、Li、Rb、Cs、Ca、Mg、Sr、Ba等が挙げられ、好ましくはNa、Kであり、より好ましくはKである。また、金属水酸化物の金属種は2種類以上を併用してもよく、具体的には、NaとK、あるいはLiとKを併用するのが好ましい。
[0082]
 具体的には、アルカリ源としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物等を用いることができる。
[0083]
 水性反応混合物に用いるアルカリ源として、次に述べる有機テンプレートのカウンターアニオンの水酸化物イオンを用いることができる。
[0084]
 ゼオライトの結晶化において、必要に応じて有機テンプレート(構造規定剤)を用いることができるが、有機テンプレートを用いて合成したものが好ましい。有機テンプレートを用いて合成することにより、結晶化したゼオライトのアルミニウム原子に対するケイ素原子の割合が高くなり、結晶性が向上する。
[0085]
 有機テンプレートとしては、所望のゼオライト膜を形成しうるものであれば種類は問わず、如何なるものであってもよい。また、テンプレートは1種類でも、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
 有機テンプレートとしては、通常、アミン類、4級アンモニウム塩類が用いられる。例えば、米国特許第4544538号明細書、米国特許公開第2008/0075656号明細書に記載の有機テンプレートが好ましいものとして挙げられる。
[0086]
 具体的には、例えば、1-アダマンタンアミンから誘導されるカチオン、3-キナクリジナールから誘導されるカチオン、3-exo-アミノノルボルネンから誘導されるカチオン等の脂環式アミンから誘導されるカチオンが挙げられる。これらの中で、1-アダマンタンアミンから誘導されるカチオンがより好ましい。1-アダマンタンアミンから誘導されるカチオンを有機テンプレートとしたとき、緻密な膜を形成しうるCHA型ゼオライトが結晶化する。
[0087]
 1-アダマンタンアミンから誘導されるカチオンのうち、N,N,N-トリアルキル-1-アダマンタンアンモニウムカチオンがさらに好ましい。N,N,N-トリアルキル-1-アダマンタンアンモニウムカチオンの3つのアルキル基は、通常、それぞれ独立したアルキル基であり、好ましくは低級アルキル基、より好ましくはメチル基である。それらの中で最も好ましい化合物は、N,N,N-トリメチル-1-アダマンタンアンモニウムカチオンである。
[0088]
 このようなカチオンは、CHA型ゼオライトの形成に害を及ぼさないアニオンを伴う。このようなアニオンを代表するものには、Cl 、Br 、I などのハロゲンイオンや水酸化物イオン、酢酸塩、硫酸塩、およびカルボン酸塩が含まれる。これらの中で、水酸化物イオンが特に好適に用いられ、水酸化物イオンの場合には上記のようにアルカリ源として機能する。
[0089]
 その他の有機テンプレートとしては、N,N,N-トリアルキルベンジルアンモニウムカチオンも用いることができる。この場合もアルキル基は、それぞれ独立したアルキル基であり、好ましくは低級アルキル基、より好ましくはメチル基である。それらの中で、最も好ましい化合物は、N,N,N-トリメチルベンジルアンモニウムカチオンである。また、このカチオンが伴うアニオンは上記と同様である。
[0090]
 水性反応混合物中のSi元素源とAl元素源の比は、通常、それぞれの元素の酸化物のモル比、すなわちSiO /Al モル比として表わす。
[0091]
 このSiO /Al 比は、上記したSiO /Al 比をもつゼオライトが形成可能な比であれば特に限定されないが、通常5以上、好ましくは20以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは40以上、特に好ましくは50以上である。また上限は、通常500以下、好ましくは200以下、より好ましくは150以下、さらに好ましくは140以下である。SiO /Al 比がこの範囲にあるとき、緻密な膜を形成しうるCHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを結晶化させることができる。
[0092]
 水性反応混合物中のシリカ源と有機テンプレートの比は、SiO に対する有機テンプレートのモル比(有機テンプレート/SiO 比)で、通常0.005以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上であり、通常1以下、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.2以下である。この範囲にあるとき緻密なゼオライト膜が生成しうることに加えて、生成したゼオライトが耐酸性に強くAlが脱離しにくい。また、この条件において、特に緻密で耐酸性のCHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを形成させることができる。
[0093]
 Si元素源と金属水酸化物の比は、M (2/n)O/SiO (ここで、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示し、nはその価数1または2を示す。)モル比で、通常0.02以上、好ましくは0.04以上、より好ましくは0.05以上であり、通常0.5以下、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下である。
[0094]
 CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライト膜を形成する際、アルカリ金属の中でカリウム(K)が含まれる場合がより緻密で結晶性の高い膜を生成させるという点で好ましい。アルカリ金属及びアルカリ土類金属の合計に対するKのモル比は、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上であり、上限は通常1以下である。
[0095]
 本発明の好ましい範囲で構成された水性反応混合物中へのKの添加は、前記のとおり、rhombohedral settingで空間群を
[0096]
[数4]


[0097]
(No.166)とした時に、CHA構造において指数が(1,0,0)の面に由来するピークである2θ=9.6°付近のピーク強度と指数が(2,0,-1)の面に由来するピークである2θ=20.8°付近のピーク強度の比を中程度に大きくする傾向がある。
[0098]
 Si元素源と水の比は、SiO に対する水のモル比(H O/SiO モル比)で、通常10以上、好ましくは30以上、より好ましくは40以上、特に好ましくは50以上であり、通常1000以下、好ましくは500以下、より好ましくは200以下、特に好ましくは150以下である。
[0099]
 水性反応混合物中の物質のモル比がこれらの範囲にあるとき、緻密なゼオライト膜が生成しうる。水の量は緻密なゼオライト膜の生成においてとくに重要であり、粉末合成法の一般的な条件よりも水がシリカに対して多い条件のほうが緻密な膜ができやすい傾向にある。
[0100]
 一般的に、粉末のCHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを合成する際の水の量は、H O/SiO モル比で、15~50程度である。H O/SiO モル比が高い(50以上1000以下)、すなわち水が多い条件にすることにより、支持体の表面などにCHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトが緻密な膜状に結晶化した分離性能の高いゼオライト膜複合体を得ることができる。
[0101]
 さらに、水熱合成に際して、必ずしも反応系内に種結晶を存在させる必要は無いが、種結晶を加えることで、支持体上にゼオライトの結晶化を促進できる。種結晶を加える方法としては特に限定されず、粉末のゼオライトの合成時のように、水性反応混合物中に種結晶を加える方法や、支持体上に種結晶を付着させておく方法などを用いることができる。ゼオライト膜複合体を製造する場合は、支持体上に種結晶を付着させておくことが好ましい。支持体上に予め種結晶を付着させておくことで緻密で分離性能良好なゼオライト膜が生成しやすくなる。
[0102]
 使用する種結晶としては、結晶化を促進するゼオライトであれば種類は問わないが、効率よく結晶化させるためには形成するゼオライト膜と同じ結晶型であることが好ましい。CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライト膜を形成する場合は、CHA型ゼオライトの種結晶を用いることが好ましい。
[0103]
 種結晶の粒子径は小さいほうが望ましく、必要に応じて粉砕して用いても良い。粒径は、通常0.5nm以上、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上であり、通常5μm以下、好ましくは3μm以下、より好ましくは2μm以下である。
[0104]
 支持体上に種結晶を付着させる方法は特に限定されず、例えば、種結晶を水などの溶媒に分散させて、その分散液に支持体を浸けて表面に種結晶を付着させるディップ法や、種結晶を水などの溶媒と混合してスラリー状にしたものを支持体上に塗りこむ方法などを用いることができる。種結晶の付着量を制御し、再現性良く膜複合体を製造するにはディップ法が望ましい。
[0105]
 種結晶を分散させる溶媒は特に限定されないが、特に水、アルカリ性水溶液が好ましい。アルカリ性水溶液の種類は特に限定されないが、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液が好ましい。またこれらのアルカリ種は混合されていてもよい。アルカリ濃度は特に限定されず、通常0.0001mol%以上、好ましくは0.0002mol%以上、より好ましくは0.001mol%以上、さらに好ましくは0.002mol%以上である。また、通常1mol%以下、好ましくは0.8mol%以下、より好ましくは0.5mol%以下、さらに好ましくは0.2mol%以下である。
[0106]
 分散させる種結晶の量は特に限定されず、分散液の全質量に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。また、通常20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
[0107]
 分散させる種結晶の量が少なすぎると、支持体上に付着する種結晶の量が少ないため、水熱合成時に支持体表面に部分的にゼオライトが生成しない箇所ができ、欠陥のある膜となる可能性がある。分散液中の種結晶の量が多すぎると、ディップ法によって支持体上に付着する種結晶の量がほぼ一定となるため、種結晶の無駄が多くなりコスト面で不利である。
[0108]
 支持体にディップ法あるいはスラリーの塗りこみによって種結晶を付着させ、乾燥した後にゼオライト膜の形成を行うことが望ましい。
[0109]
 支持体上に予め付着させておく種結晶の量は特に限定されず、基材1m あたりの質量で、通常0.01g以上、好ましくは0.05g以上、より好ましくは0.1g以上であり、通常100g以下、好ましくは50g以下、より好ましくは10g以下、さらに好ましくは8g以下である。
[0110]
 種結晶の量が下限未満の場合には、結晶ができにくくなり、膜の成長が不十分になる場合や、膜の成長が不均一になったりする傾向がある。また、種結晶の量が上限を超える場合には、表面の凹凸が種結晶によって増長されたり、支持体表面から落ちた種結晶によって自発核が成長しやすくなって支持体上の膜成長が阻害されたりする場合がある。何れの場合も、緻密なゼオライト膜が生成しにくくなる傾向となる。
[0111]
 水熱合成により支持体上にゼオライト膜を形成する場合、支持体の固定化方法に特に制限はなく、縦置き、横置きなどあらゆる形態をとることができる。この場合、静置法でゼオライト膜を形成させてもよいし、水性反応混合物を攪拌させてゼオライト膜を形成させてもよい。
[0112]
 ゼオライト膜を形成させる際の温度は特に限定されないが、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは190℃以下、さらに好ましくは180℃以下である。反応温度が低すぎると、ゼオライトが結晶化し難くなることがある。また、反応温度が高すぎると、本発明におけるゼオライトとは異なるタイプのゼオライトが生成し易くなることがある。
[0113]
 加熱(反応)時間は特に限定されないが、通常1時間以上、好ましくは5時間以上、さらに好ましくは10時間以上であり、通常10日間以下、好ましくは5日以下、より好ましくは3日以下、さらに好ましくは2日以下である。反応時間が短すぎるとゼオライトが結晶化し難くなることがある。反応時間が長すぎると、本発明におけるゼオライトとは異なるタイプのゼオライトが生成し易くなることがある。
[0114]
 ゼオライト膜形成時の圧力は特に限定されず、密閉容器中に入れた水性反応混合物を、この温度範囲に加熱したときに生じる自生圧力で十分である。さらに必要に応じて、窒素などの不活性ガスを加えても差し支えない。
[0115]
 水熱合成により得られたゼオライト膜複合体は、水洗した後に、加熱処理して、乾燥させる。ここで、加熱処理とは、熱をかけてゼオライト膜複合体を乾燥又はテンプレートを使用した場合にテンプレートを焼成することを意味する。
[0116]
 加熱処理の温度は、乾燥を目的とする場合は、通常50℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは150℃以下である。また、テンプレートの焼成を目的とする場合は、通常350℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは430℃以上、さらに好ましくは450℃以上であり、通常900℃以下、好ましくは850℃以下、さらに好ましくは800℃以下、特に好ましくは750℃以下である。
[0117]
 加熱処理の時間は、ゼオライト膜が十分に乾燥、またはテンプレートが焼成する時間であれば特に限定されず、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上である。上限は特に限定されず、通常200時間以内、好ましくは150時間以内、より好ましくは100時間以内、特に好ましくは24時間以内である。
[0118]
 水熱合成を有機テンプレートの存在下で行った場合、得られたゼオライト膜複合体を、水洗した後に、例えば、加熱処理や抽出などにより、好ましくは加熱処理、すなわち焼成により有機テンプレートを取り除くことが適当である。
[0119]
 焼成温度が低すぎると有機テンプレートが残っている割合が多くなる傾向があり、ゼオライトの細孔が少なく、そのために分離・濃縮の際のガスの透過量が減少する場合がある。
 焼成温度が高すぎると支持体とゼオライトの熱膨張率の差が大きくなるためゼオライト膜に亀裂が生じやすくなる可能性があり、ゼオライト膜の緻密性が失われ分離性能が低くなることがある。
[0120]
 焼成時間は、昇温速度や降温速度により変動するが、有機テンプレートが十分に取り除かれる時間であれば特に限定されず、好ましくは1時間以上、より好ましくは5時間以上である。上限は特に限定されず、例えば、通常200時間以内、好ましくは150時間以内、より好ましくは100時間以内、特に好ましくは24時間以内である。焼成は空気雰囲気で行えばよいが、空気に酸素や不活性ガスを付加した雰囲気で行ってもよい。
[0121]
 焼成の際の昇温速度は、支持体とゼオライトの熱膨張率の差がゼオライト膜に亀裂を生じさせることを少なくするために、なるべく遅くすることが望ましい。昇温速度は、通常5℃/分以下、好ましくは2℃/分以下、さらに好ましくは1℃/分以下、特に好ましくは0.5℃/分以下である。通常、作業性を考慮し0.1℃/分以上である。
[0122]
 また、焼成後の降温速度もゼオライト膜に亀裂が生じることを避けるためにコントロールする必要がある。昇温速度と同様、遅ければ遅いほど望ましい。降温速度は、通常5℃/分以下、好ましくは2℃/分以下、さらに好ましくは1℃/分以下、特に好ましくは0.5℃/分以下である。通常、作業性を考慮し0.1℃/分以上である。
[0123]
 ゼオライト膜は、必要に応じてイオン交換しても良いし、シリル化処理を施しても良い。
 イオン交換は、テンプレートを用いて合成した場合は、通常、テンプレートを除去した後に行う。イオン交換するイオンとしては、プロトン、Na 、K 、Li などのアルカリ金属イオン、Ca 2+、Mg 2+、Sr 2+、Ba 2+などの第2族元素イオン、Fe、Cu、Zn、Ag、Al、Ga、Laなどの遷移金属のイオンなどが挙げられる。これらの中で、プロトン、Na 、Mg 2+およびFe、Al、Ga、Laイオンが好ましい。
[0124]
 イオン交換は、焼成後(テンプレートを使用した場合など)のゼオライト膜を、NH NO 、NaNO などアンモニウム塩あるいは交換するイオンを含む水溶液、場合によっては塩酸などの酸で、通常、室温から100℃の温度で処理後、水洗する方法などにより行えばよい。さらに、必要に応じて200℃~500℃で焼成してもよい。
[0125]
 シリル化処理は、ゼオライト膜複合体を、例えばSi化合物を含む溶液に浸漬して行う。これにより、ゼオライト膜表面がSi化合物により修飾されて、上記した特定の物理化学的性質を有するものとすることができる。例えば、ゼオライト膜表面にSi-OHを多く含む層を確実に形成することで膜表面の極性が向上し、極性分子の分離性能を向上させることが出来ると考えられる。またゼオライト膜表面をSi化合物により修飾することで膜表面に存在する微細な欠陥をふさぐ効果が副次的に得られることがある。
[0126]
 シリル化処理に用いる溶媒は、水であっても有機溶媒であってもよい。また溶液は酸性、塩基性であってもよく、この場合には酸、塩基によってシリル化反応が触媒される。用いるシリル化剤に制限はないが、アルコキシシランが好ましい。処理温度は通常、室温から150℃以下、処理は10分から30時間程度行えばよく、シリル化剤、溶媒種によって決めればよい。
[0127]
 加熱処理後のゼオライト膜複合体の空気透過量は、通常10L/(m ・h)以上、好ましくは20L/(m ・h)以上、より好ましくは30L/(m ・h)以上、さらに好ましくは35L/(m ・h)以上であり、特に好ましくは100L/(m ・h)以上である。透過量の上限は特に限定されないが、好ましくは1000L/(m ・h)以下、より好ましくは800L/(m ・h)以下、さらに好ましくは700L/(m ・h)以下である。
[0128]
 ここで、空気透過量とは、実施例の項で詳述するとおり、ゼオライト膜複合体を大気圧下におき、ゼオライト膜複合体の内側を5kPaの真空ラインに接続した時の空気の透過量[L/(m ・h)]である。
[0129]
 空気透過量はガス透過量に繋がる数値である。空気透過量が多いものはガス透過量も多くなるが、空気透過量が多すぎるものは分離が低くなる傾向にある。本発明のゼオライト膜は、上記のとおり空気透過量が適度に多く、ガス透過量が多く、かつ良好な分離性能をもつものであり、特に気体成分の分離に好適な性能をもつものである。
[0130]
 かくして製造されるゼオライト膜複合体は、優れた特性をもつものであり、本発明における気体混合物または液体混合物の膜分離手段として好適に用いることができる。
[0131]
<気体混合物の分離または濃縮方法>
 本発明の気体混合物の分離または濃縮方法は、上記ゼオライト膜複合体に、複数の気体成分からなる気体混合物を接触させ、該気体混合物から、透過性の高い気体成分を透過して分離する、または、透過性の高い気体成分を透過させて分離することにより透過性の低い気体成分を濃縮することに特徴をもつものである。本発明におけるゼオライト膜の分離機能の一つは、分子ふるいとしての分離であり、用いるゼオライトの有効細孔径以上の大きさを有する気体分子とそれ以下の気体分子とを好適に分離することができる。
[0132]
 従って、本発明における透過性の高い気体成分とは、CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライト結晶相の細孔を通過しやすい気体分子からなる気体成分であり、分子径が概ね0.38nm程度より小さい気体分子からなる気体成分が好ましい。
 ゼオライトの有効細孔径は導入する金属種やイオン交換、酸処理、シリル化処理などによって制御することが可能である。有効細孔径を制御することによって、分離性能を向上させることも可能である。
[0133]
 ゼオライト骨格に導入する金属種の原子径によって、細孔径はわずかに影響を受ける。ケイ素よりも原子径が小さな金属、具体的には、例えばホウ素(B)等を導入した場合には細孔径は小さくなり、ケイ素よりも大きな原子径の金属、具体的には、例えばスズ(Sn)等を導入した場合には細孔径は大きくなる。また、酸処理によって、導入されている金属を骨格から脱離することによって、細孔径が影響される場合がある。
[0134]
 イオン交換により、イオン半径の大きな1価のイオンで交換した場合には、有効細孔径は小さくなる方向となり、一方イオン半径の小さな1価のイオンで交換した場合には有効細孔径は、CHA構造がもつ細孔径に近い値となる。またカルシウムのような2価のイオンの場合にも交換サイトの位置によっては、有効細孔径が、CHA構造がもつ細孔径に近い値となる。
[0135]
 シリル化処理によっても、ゼオライトの有効細孔径を小さくすることが可能である。外表面の末端シラノールをシリル化し、さらに、シリル化層を積層することによって、ゼオライトの外表面に面した細孔の有効細孔径は小さくなる。
[0136]
 また、本発明のゼオライト膜複合体のもうひとつの分離機能は、ゼオライトの表面物性の制御により気体分子のゼオライト膜への吸着性を制御することである。すなわち、ゼオライトの極性を制御することによりゼオライトへの吸着性の大きな分子を透過させやすくすることもできる。
[0137]
 ゼオライト骨格のSiをAlで置換することにより極性を大きくすることが可能であり、これにより、極性の大きい気体分子を積極的にゼオライト細孔に吸着、透過させることができる。また、Alの置換量が減少すると極性の小さいゼオライト膜となり、極性の小さい気体分子を透過させるに有利となる。また、Ga、Fe、B、Ti、Zr、Sn、ZnをAl元素源以外に他の元素源にいれて、極性を制御することも可能である。
[0138]
 このほか、イオン交換によって、分子の吸着性能や、ゼオライトの細孔径を制御し、透過性能をコントロールすることもできる。
[0139]
 本発明において、望ましい気体混合物としては、二酸化炭素、水素、酸素、窒素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、1-ブテン、2-ブテン、イソブテン、六フッ化硫黄、ヘリウム、一酸化炭素、一酸化窒素、水などから選ばれる少なくとも1種の成分を含むものが挙げられる。前記ガスを含む気体混合物の成分のうち、パーミエンスの高い気体成分は、ゼオライト膜複合体を透過し分離され、パーミエンスの低い気体成分は供給ガス側に濃縮される。
[0140]
 さらに気体混合物としては、上記成分の少なくとも2種の成分を含むものがより好ましい。この場合、2種の成分としては、パーミエンスの高い成分とパーミエンスの低い成分の組合せが好ましい。
[0141]
 ガス分離の条件は、対象とするガス種や組成、膜の性能により異なるが、温度は、通常-20~300℃、好ましくは0~200℃、より好ましくは0~150℃である。0~25℃での分離は、外気温に近い場合が多く、分離対象ガスの温度調整のためのエネルギーを必要としない、あるいはエネルギーが小さい点で好ましい。ゼオライト膜に吸着性の高いガスは低温で透過度が上がる傾向があるため、このようなガスの透過度を上げる目的で、25℃以下、-20℃以上の範囲で冷却してもよい。
[0142]
 供給ガスの圧力は、分離対象のガスが高圧であればそのままの圧力でもよく、適宜圧力を減圧調整して所望の圧力にして用いても良い。分離対象のガスが、分離に用いる圧力より低い場合は、圧縮機などで増圧して用いることができる。
[0143]
 供給ガスの圧力は特に制限されないが、通常大気圧若しくは大気圧より大きく、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.11MPa以上である。また上限値は、通常20MPa以下、好ましくは10MPa以下、より好ましくは1MPa以下である。
[0144]
 供給側のガスと透過側のガスの差圧は特に制限されないが、通常20MPa以下、好ましくは10MPa以下、より好ましくは5MPa以下、さらに好ましくは1MPa以下である。また、通常0.001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.02MPa以上である。
[0145]
 ここで、差圧とは、当該ガスの供給側の分圧と透過側の分圧の差をいう。また、圧力[Pa]は、特に断りのない限り、絶対圧を指す。
[0146]
 透過側の圧力は特に制限されないが、通常10MPa以下、好ましくは5MPa以下、より好ましくは1MPa以下、さらに好ましくは0.5MPa以下である。下限値は特に制限なく、0MPa以上であればよい。0MPaとした時に、透過性の低いガス中の透過性の大きい気体の濃度を最も低い状態となるまで分離することができる。透過側ガスを高い圧力のまま使用する用途があれば、透過側圧力は高く設定すればよい。
[0147]
 供給ガスの流速は、透過するガスの減少を補うことが可能である程度の流速で、また供給ガスにおいて透過性の小さなガスの膜のごく近傍における濃度とガス全体における濃度が一致するように、ガスを混合できるだけの流速であればよく、分離ユニットの管径、膜の分離性能にもよるが、通常0.5mm/sec以上、好ましくは1mm/sec以上であり、上限は特に制限なく、通常1m/sec以下、好ましくは0.5m/sec以下である。
[0148]
 本発明の気体混合物の分離または濃縮方法において、スイープガスを用いてもよい。スイープガスを用いた方法とは、透過側に供給ガスとは異なる種類のガスを流し、膜を透過したガスを回収するものである。
 スイープガスの圧力は、通常大気圧であるが特に制限はなく、好ましくは20MPa以下、より好ましくは10MPa以下、さらに好ましくは1MPa以下であり、下限は、好ましくは0.09MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上である。場合によっては、減圧にして用いても良い。
[0149]
 スイープガスの流速は、特に制限はないが、透過するガスを十分置換できればよく、通常0.5mm/sec以上、好ましくは1mm/sec以上であり、上限は特に制限なく、通常1m/sec以下、好ましくは0.5m/sec以下である。
[0150]
 ガス分離に用いる装置は、特に限定されないが、通常はモジュールにして用いる。膜モジュールは、例えば、図1及び2に模式的に示したような装置でもよいし、例えば「ガス分離・精製技術」(株)東レリサーチセンター2007年発行22頁等に例示されている膜モジュールを用いてもよい。
[0151]
 ガスの膜分離を行う際には膜を多段にして用いてもよい。すなわち、膜モジュールに分離を行うガスを供給して、膜を透過しなかった非透過側のガスをさらに別の膜モジュールに供給する、あるいは、透過したガスを別の膜モジュールに供給してもよい。前者の方法では、非透過側の透過性の低い成分の濃度をさらに上げることなどができ、後者の方法では透過したガス中の透過性の高い成分の濃度をさらに上げることなどができる。
 多段の膜で分離する場合には、後段の膜にガスを供給する際に、必要に応じてガス圧力を昇圧器などで調整してもよい。
[0152]
 また多段で使用する場合には、各段に性能が異なる膜を設置してもよい。通常、膜の性能として、透過性能が高い膜では分離性能が低く、一方、分離性能が高い膜では透過性能が低い傾向がある。このため、分離あるいは濃縮したい気体成分が所定の濃度になるまで処理する際に、透過性が高い膜では、必要膜面積は小さくなる一方、非透過側に濃縮したい透過性の低い成分が透過側へ透過しやすい傾向があり、分離性能が高い膜では、非透過側に濃縮したい透過性の低い成分の透過側へ透過は起こりにくいが、必要膜面積が大きくなる傾向がある。1種類の膜による分離では、必要膜面積と濃縮目的ガスの透過量の関係は制御しにくいが、異なる性能の膜を使用することで、制御が容易になる。膜コストと分離・回収するガスの価格によって、最適な膜面積と濃縮目的ガスの透過量の関係になるよう膜を設置し、全体としてのメリットを最大化できる。
[0153]
 本発明のゼオライト膜複合体は、耐薬品性、耐酸化性、耐熱安定性、耐圧性に優れかつ、高い透過性能、分離性能を発揮し、耐久性に優れた性能を持つ。特に無機ガス、低級炭化水素の分離に優れた分離性能を示す。
[0154]
 ここでいう高い透過性能とは、十分な処理量を示し、例えば、膜を透過する気体成分のパーミエンス(Permeance)[mol・(m ・s・Pa) -1]が、例えば二酸化炭素を、温度50℃、差圧0.098MPaで透過させた場合、通常3×10 -8以上、好ましくは3×10 -7以上、より好ましくは5×10 -7以上、さらに好ましくは7×10 -7以上、特に好ましくは1×10 -6である。上限は特に限定されず、通常3×10 -4以下である。
[0155]
 また、パーミエンス[mol・(m ・s・Pa) -1]は、例えばメタンを同様の条件で透過させた場合、通常3×10 -7以下、好ましくは3×10 -8以下、より好ましくは3×10 -9以下であり、理想的にはパーミエンスは0であるが、実用上10 -10~10 -14程度以上のオーダーとなる場合がある。
[0156]
 ここで、パーミエンス(Permeance、「透過度」ともいう)とは、透過する物質量を、膜面積と時間と透過する物質の供給側と透過側の分圧差の積で割ったものであり、単位は、[mol・(m ・s・Pa) -1]であり、実施例の項において述べる方法により算出される値である。
[0157]
 また、ゼオライト膜の選択性は理想分離係数、分離係数により表される。理想分離係数、分離係数は膜分離で一般的に用いられる選択性を表す指標であり、理想分離係数は実施例の項において述べる方法により、分離係数は以下に述べる方法により算出される値である。
[0158]
 また混合ガスの分離において、分離係数を求める場合は下記式(2)により算出する。
 分離係数=(Q’ /Q’ )/(P’ /P’ )   (2)
〔式(2)中、Q’ およびQ’ は、それぞれ、透過性の高いガスおよび透過性の低いガスの透過量[mol・(m ・s) -1]を示し、P’ およびP’ は、それぞれ、供給ガス中の透過性の高いガスおよび透過性の低いガスの分圧[Pa]を示す。〕
[0159]
 分離係数は、また下記式(3)のように算出できる。
 分離係数=(C’ /C’ )/(C /C )    (3)
〔式(3)中、C’ およびC’ は、それぞれ、透過ガス中の透過性の高いガスおよび透過性の低いガスの濃度[mol%]を示し、C およびC は、それぞれ、供給ガス中透過性の高いガスおよび透過性の低いガスの濃度[mol%]を示す。〕
[0160]
 理想分離係数は、例えば、二酸化炭素とメタンを温度50℃、差圧0.1MPaで透過させた場合、通常10以上、好ましくは20以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは40以上、特に好ましくは50以上である。理想分離係数の上限は完全に二酸化炭素しか透過しない場合でありその場合は無限大となるが、実用上、分離係数は10万程度以下となる場合がある。
[0161]
 分離係数は、例えば、二酸化炭素とメタンの体積比1:1の混合ガスを、温度50℃、差圧0.098MPaで透過させた場合、通常10以上、好ましくは20以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは40以上、特に好ましくは50以上である。分離係数の上限は完全に二酸化炭素しか透過しない場合でありその場合は無限大となるが、実用上、分離係数は10万程度以下となる場合がある。
[0162]
 本発明のゼオライト膜複合体は、上記のとおり、耐薬品性、耐酸化性、耐熱安定性、耐圧性に優れかつ、高い透過性能、分離性能を発揮し、耐久性に優れるものであり、例えば次のようなガス分離技術として特に好適に用いることができる。
[0163]
 二酸化炭素分離技術としては、天然ガスからの二酸化炭素の除去、生活系廃棄物などの有機物の埋め立てにより発生するランドファイルガス(メタン約60%、二酸化炭素約40%、微量の窒素、水蒸気含有)からの二酸化炭素除去等が挙げられる。
[0164]
 水素分離技術としては、石油精製工業における水素回収、化学工業の各種反応プロセスにおける水素回収・精製(水素、一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素等の混合物)、燃料電池用の高純度水素の製造などがある。燃料電池用の水素製造は、メタンの水蒸気改質反応により得られ、H 、CO、CH 、H Oの混合ガスから水素の分離が必要とされている。
[0165]
 そのほか、酸素分離技術として、空気からの酸素富化ガスの製造(医療用、燃焼用酸素富化空気など)、窒素分離技術として空気からの窒素素富化ガスの製造(防爆用、酸化防止など)、水蒸気分離(精密機械等の脱湿)、溶存ガス分離(水、有機液体からの脱気)、有機ガス分離(石油精製工業、石油化学工業における有機ガス分離、オレフィン、パラフィンの分離)などが挙げられる。
[0166]
<液体混合物の分離または濃縮方法>
 本発明の液体混合物の分離または濃縮方法は、上記ゼオライト膜複合体に、複数の成分からなる液体混合物を接触させ、該液体混合物から、透過性の高い成分を透過させて分離する、または、透過性の高い成分を透過させて分離することにより透過性の低い成分を濃縮することに特徴をもつものである。この発明において、ゼオライト膜複合体は、上記と同様のものが用いられる。また、好ましいものも上記と同様である。
[0167]
 この発明において、ゼオライト膜を備えた無機多孔質支持体を介し、支持体側又はゼオライト膜側の一方の側に有機化合物を含む液体混合物を接触させ、その逆側を混合物が接触している側よりも低い圧力とすることによって液体混合物から、ゼオライト膜に透過性が高い成分(透過性が相対的に高い混合物中の物質)を選択的に、すなわち透過物質の主成分として透過させる。これにより、液体混合物から透過性の高い成分(物質)を分離することができる。その結果、混合物中の特定の有機化合物(透過性が相対的に低い混合物中の物質)の濃度を高めることで、特定の有機化合物を分離回収、あるいは濃縮することができる。
[0168]
 分離または濃縮の対象となる液体混合物としては、本発明のゼオライト膜複合体によって、分離または濃縮が可能な複数の成分からなる液体混合物であれば特に制限はなく、如何なる混合物であってもよい。
[0169]
 液体混合物が、例えば、有機化合物と水との混合物(以下これを、「含水有機化合物」ということがある。)の場合、通常水がゼオライト膜に対する透過性が高いので、混合物から水が分離され、有機化合物は元の混合物中で濃縮される。パーベーパレーション法(浸透気化法)、ベーパーパーミエーション法(蒸気透過法)と呼ばれる分離または濃縮方法は、本発明の方法におけるひとつの実施形態である。パーベーパレーション法は、液体混合物をそのまま分離膜に導入する分離または濃縮方法であるため、分離または濃縮を含むプロセスを簡便なものにすることができる。
[0170]
 ベーパーパーミエーション法は、液体混合物を気化させてから分離膜に導入する分離・濃縮方法であるため、蒸留装置と組み合わせて使用することや、より高温、高圧での分離に用いることができる。またベーパーパーミエーション法は、液体混合物を気化させてから分離膜に導入することから、供給液中に含まれる不純物や、液体状態では会合体やオリゴマーを形成する物質が膜に与える影響を低減することができる。本発明のゼオライト膜複合体はいずれの方法に対しても好適に用いることができる。
[0171]
 また、ベーパーパーミエーション法で高温での分離を行う場合、一般に温度が高いほど分離性能が低下するが、本発明のゼオライト膜複合体は、高温でも高い分離性能を発現することができる。そして通常、ベーパーパーミエーション法は、液体混合物を気化させてから分離するため、通常はパーベーパレーション法よりも過酷な条件での分離となるため、膜複合体の耐久性も要求される。本発明のゼオライト膜複合体は、高温条件下でも分離が可能な耐久性を有している上でベーパーパーミエーション法に好適である。
[0172]
 本発明のゼオライト膜複合体は、含水率が20質量%以上の含水有機化合物を処理した場合でも、高い透過性能、選択性を発揮し、耐久性に優れた分離膜としての性能を持つ。
[0173]
 ここでいう高い透過性能とは、十分な処理量を示し、例えば、膜を透過する物質の透過流束が、例えば含水率30質量%の2-プロパノールまたはN-メチル-2-ピロリドンと水の混合物を、70℃において、1気圧(1.01×10 Pa)の圧力差で透過させた場合、1kg/(m ・h)以上、好ましくは3kg/(m ・h)以上、より好ましくは5kg/(m ・h)以上であることをいう。透過流束の上限は特に限定されず、通常20kg/(m ・h)以下、好ましくは15kg/(m ・h)以下である。
[0174]
 また、高い透過性能をパーミエンス(Permeance、「透過度」ともいう)で表すこともできる。パーミエンスとは、圧力差あたりの透過流束(Pressure normalized flux)を表し、透過する物質量を膜面積と時間と水の分圧差の積で割ったものである。パーミエンスの単位で表した場合、水のパーミエンスとして、例えば含水率30質量%の2-プロパノールまたはN-メチル-2-ピロリドンと水の混合物を、70℃において、1気圧(1.01×10 Pa)の圧力差で透過させた場合、通常3×10 -7mol/(m ・s・Pa)以上、好ましくは5×10 -7mol/(m ・s・Pa)以上、より好ましくは1×10 -6mol/(m ・s・Pa)以上、特に好ましくは2×10 -6mol/(m ・s・Pa)以上である。パーミエンスの上限は特に限定されず、通常1×10 -4mol/(m ・s・Pa)以下、好ましくは5×10 -5mol/(m ・s・Pa)以下である。
[0175]
 選択性は分離係数により表される。分離係数は膜分離で一般的に用いられる選択性を表す下記式(4)により算出する。
 分離係数=(P α/P β)/(F α/F β)    (4)
[式(4)中、P αは透過液中の主成分の質量パーセント濃度、P βは透過液中の副成分の質量パーセント濃度、F αは透過液において主成分となる成分の被分離混合物中の質量パーセント濃度、F βは透過液において副成分となる成分の被分離混合物中の質量パーセント濃度である。]
[0176]
 分離係数は、例えば含水率30質量%の2-プロパノールまたはN-メチル-2-ピロリドンと水の混合物を、70℃において、1気圧(1.01×10 Pa)の圧力差で透過させた場合、通常1000以上、好ましくは4000以上、より好ましくは10000以上、特に好ましくは20000以上である。分離係数の上限は完全に水しか透過しない場合であり、その場合は無限大となるが、好ましくは10000000以下、より好ましくは1000000以下である。
[0177]
 分離対象が含水有機化合物の場合、含水率は、通常20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは45質量%以上であり、通常95質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。
 この発明の方法では、ゼオライト膜を透過する物質は、通常水である。その場合、含水率が少なくなると処理量が低下するため効率的でない。また含水率が多すぎると濃縮に必要な膜が大面積となり(膜が管状に形成されている場合は数が多くなり)経済的な効果が小さくなる。
[0178]
 含水有機化合物としては、適当な水分調節方法により、予め含水率を調節したものであってもよい。この場合、好ましい含水率は上記と同様である。また、水分調節方法としては、それ自体既知の方法、例えば、蒸留、圧力スイング吸着(PSA)、温度スイング吸着(TSA)、デシカントシステムなどが挙げられる。
[0179]
 さらに、ゼオライト膜複合体によって水が分離された含水有機化合物から、さらに水を分離してもよい。これにより、より高度に水を分離し、含水有機化合物をさらに高度に濃縮することができる。
[0180]
 有機化合物としては、例えば、酢酸、アクリル酸、プロピオン酸、蟻酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸などのカルボン酸類や、スルフォン酸、スルフィン酸、ハビツル酸、尿酸、フェノール、エノール、ジケトン型化合物、チオフェノール、イミド、オキシム、芳香族スルフォンアミド、第1級および第2級ニトロ化合物などの有機酸類;メタノール、エタノール、イソプロパノール(2-プロパノール)などのアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミドなどの窒素を含む有機化合物(N含有有機化合物)、酢酸エステル、アクリル酸エステル等のエステル類などが挙げられる。
[0181]
 これらの中から、分子ふるいと親水性の両方の特徴を生かすことのできる、有機酸と水との混合物から有機酸を分離するときにゼオライト膜複合体の効果が際立って発現する。好ましくはカルボン酸類と水との混合物、特に好ましくは酢酸と水の分離などがより好適な例である。
 また、有機酸以外の有機物と水との混合物から有機物と水を分離する場合の有機物は、炭素数が2以上であることが好ましく、炭素数が3以上であることがより好ましい。
[0182]
 これら有機酸以外の有機物の中では、特にアルコール、エーテル、ケトン、アルデヒド、アミドから選ばれる少なくとも一種を含有する有機化合物が望ましい。これら有機化合物の中で、炭素数が2から10のものが好ましく、炭素数が3から8のものがより好ましい。
[0183]
 また有機化合物としては、水と混合物(混合溶液)を形成し得る高分子化合物でもよい。かかる高分子化合物としては、分子内に極性基を有するもの、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールなどのポリオール類;ポリアミン類;ポリスルホン酸類;ポリアクリル酸などのポリカルボン酸類;ポリアクリル酸エステルなどのポリカルボン酸エステル類;グラフト重合等によってポリマー類を変性させた変性高分子化合物類;オレフィンなどの非極性モノマーとカルボキシル基等の極性基を有する極性モノマーとの共重合によって得られる共重合高分子化合物類などが挙げられる。
[0184]
 前記含水有機化合物としては、水とフェノールの混合物のように、共沸混合物を形成する混合物でもよく、共沸混合物を形成する混合物の分離においては、水を選択的にかつ、蒸留による分離よりも効率よく分離可能な面で好ましい。具体的には、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等のアルコール類と水の混合物;酢酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル等のエステル類と水の混合物;ギ酸、イソ酪酸、吉草酸等のカルボン酸類と水の混合物;フェノール、アニリン等の芳香族有機物と水の混合物、アセトニトリル、アクリロニトリル等の窒素含有物と水との混合物等が挙げられる。
[0185]
 さらに、含水有機化合物としては、水とポリマーエマルジョンとの混合物でもよい。ここで、ポリマーエマルジョンとは、接着剤や塗料等で通常使用される、界面活性剤とポリマーとの混合物である。ポリマーエマルジョンに用いられるポリマーとしては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリオレフィン、エチレン-ビニルアルコール共重合体などのオレフィン-極性モノマー共重合体、ポリスチレン、ポリビニルエーテル、ポリアミド、ポリエステル、セルロース誘導体等の熱可塑性樹脂;尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂;天然ゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン-ブタジエン共重合体などのブタジエン共重合体等のゴム等が挙げられる。また界面活性剤としては、それ自体既知のものを用いればよい。
[0186]
 本発明のゼオライト膜複合体は、耐酸性を有するため、特に水と酢酸など有機酸の混合物からの水分離、エステル化反応促進のための水分離などにも有効に利用できる。
[0187]
 本発明の液体混合物の分離または濃縮方法は、前記ゼオライト膜複合体を用いて、適当な分離または濃縮装置、例えば図3に模式的に示したような装置を作製し、それに複数の成分からなる液体混合物を導入することにより行えばよい。これら分離または濃縮装置は、それ自体既知の部材により作製することができる。
実施例
[0188]
 以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は、前記上限または下限の値と下記実施例の値または実施例同士の値との組合せで規定される範囲であってもよい。
[0189]
 また、以下の実施例、比較例において、ゼオライト膜の物性及び分離性能は、次の方法で測定した。
(1)X線回折(XRD)
 XRD測定は以下の条件に基づき行った。
・装置名:オランダPANalytical社製X’PertPro MPD
・光学系仕様 入射側:封入式X線管球(CuKα)
           Soller Slit (0.04rad)
           Divergence Slit (Valiable Slit)
       試料台:XYZステージ
       受光側:半導体アレイ検出器(X’ Celerator)
           Ni-filter
           Soller Slit (0.04rad)
       ゴニオメーター半径:240mm
・測定条件  X線出力(CuKα):45kV、40mA
       走査軸:θ/2θ
       走査範囲(2θ):5.0-70.0°
       測定モード:Continuous
       読込幅:0.05°
       計数時間:99.7sec
       自動可変スリット(Automatic-DS):1mm(照射幅)
       横発散マスク:10mm(照射幅)
[0190]
 なお、X線は円筒管の軸方向に対して垂直な方向に照射した。またX線は、できるだけノイズ等がはいらないように、試料台においた円筒管状の膜複合体と、試料台表面に平行な面とが接する2つのラインのうち、試料台表面に接するラインではなく、試料台表面より上部にあるもう一方のライン上に主にあたるようにした。
 また、照射幅を自動可変スリットによって1mmに固定して測定し、Materials Data, Inc.のXRD解析ソフトJADE 7.5.2(日本語版)を用いて可変スリット→固定スリット変換を行ってXRDパターンを得た。
[0191]
(2)SEM-EDX
・装置名:SEM:FE-SEM Hitachi:S-4800
     EDX:EDAX Genesis
・加速電圧:10kV
 倍率5000倍での視野全面(25μm×18μm)を走査し、X線定量分析を行った。
[0192]
(3)SEM
 SEM測定は以下の条件に基づき行った。
・装置名:SEM:FE-SEM Hitachi:S-4100
・加速電圧:10kV
[0193]
(4)空気透過量
 大気圧下で、ゼオライト膜複合体の一端を封止し、他端を、気密性を保持した状態で5kPaの真空ラインに接続して、真空ラインとゼオライト膜複合体の間に設置したマスフローメーターでゼオライト膜複合体を透過した空気の流量を測定し、空気透過量[L/(m ・h)]とした。マスフローメーターとしてはKOFLOC社製8300、N ガス用、最大流量500ml/min(20℃、1気圧換算)を用いた。KOFLOC社製8300においてマスフローメーターの表示が10ml/min(20℃、1気圧換算)以下であるときはLintec社製MM-2100M、Airガス用、最大流量20ml/min(0℃、1気圧換算)を用いて測定した。
[0194]
(5)水蒸気吸着等温線
 35℃における水蒸気吸着等温線を吸着等温線測定装置(ベルソープ18:日本ベル社製)で測定した。なお、ゼオライト膜複合体は、予め測定セルに入るよう適当なサイズに切断し、真空排気しながら120℃で5時間加熱乾燥させて測定に用いた。測定は、空気恒温槽温度50℃、吸着温度35℃、初期導入圧力3torr(4.00×10 Pa)、飽和蒸気圧42.181torr(56.237×10 Pa)、平衡時間500秒で行った。
 この測定結果から、相対圧0.8と0.2におけるCHA型ゼオライト膜複合体1gあたりの水吸着量(g)を求めた。
[0195]
(6)単成分ガス透過試験
 単成分ガス透過試験は、図1に模式的に示す装置を用いて、以下のとおり行った。用いた試料ガスは、二酸化炭素(純度99.9%、高圧ガス工業社製)、メタン(純度99.999%、ジャパンファインプロダクツ製)、水素(純度99.99%以上、HORIBA STEC社製水素発生器OPGU-2200より発生)、窒素(純度99.99%、東邦酸素工業社製)、ヘリウム(純度99.99、ジャパンヘリウムセンター社製)である。
[0196]
 図1において、円筒形のゼオライト膜複合体1は、ステンレス製の耐圧容器2に格納された状態で恒温槽(図示せず)に設置されている。恒温槽には、試料ガスの温度調整が可能なように、温度制御装置が付設されている。
 円筒形のゼオライト膜複合体1の一端は、円柱状のエンドピン3で密封されている。他端は接続部4で接続され、接続部4の他端は、耐圧容器2と接続されている。円筒形のゼオライト膜複合体1の内側と、透過ガス8を排出する配管(透過ガス排出用配管)11が、接続部4を介して接続されており、配管11は、耐圧容器2の外側に伸びている。耐圧容器2に通ずるいずれかの箇所には、試料ガスの供給側の圧力を測る圧力計5が接続されている。各接続部は気密性よく接続されている。
[0197]
 図1の装置において、単成分ガス透過試験を行う場合は、試料ガス(供給ガス7)を、一定の圧力で耐圧容器2とゼオライト膜複合体1の間に供給し、ゼオライト膜複合体1を透過した透過ガス8を、配管11に接続されている流量計(図示せず)にて測定する。
[0198]
 なお、図2に模式的に示す装置においても、次のとおり単成分ガス透過試験を行うことができる。
 図2において、円筒形のゼオライト膜複合体1は、ステンレス製の耐圧容器2に格納された状態で、恒温槽(図示せず)に設置されている。恒温槽には、試料ガスの温度調整が可能なように、温度制御装置が付設されている。
 円筒形のゼオライト膜複合体1の一端は、円形のエンドピン3で密封されている。他端は、接続部4で接続され、接続部4の他端は耐圧容器2と接続されている。円筒形のゼオライト膜複合体1の内側と透過ガス8を排出する配管11が、接続部4を介して接続されており、配管11は、耐圧容器2の外側に伸びている。また、ゼオライト膜複合体1には、配管11を経由して、スイープガス9を供給する配管(スイープガス導入用配管)12が挿入されている。さらに、耐圧容器2に通ずるいずれかの箇所には、試料ガスの供給側の圧力を測る圧力計5、供給側の圧力を調整する背圧弁6が接続されている。各接続部は気密性よく接続されている。
[0199]
 図2の装置において、単成分ガス透過試験を行う場合は、試料ガス(供給ガス7)を、一定の流量で耐圧容器2とゼオライト膜複合体1の間に供給し、背圧弁6により供給側の圧力を一定とする。配管11から排出される排出ガス10の流量を測定する。
[0200]
 さらに具体的には、水分や空気などの成分を除去するため、測定温度以上での乾燥、及び、排気若しくは使用する供給ガスによるパージ処理をした後、試料温度及びゼオライト膜複合体1の供給ガス7側と透過ガス8側の差圧を一定として、透過ガス流量が安定したのちに、ゼオライト膜複合体1を透過した試料ガス(透過ガス8)の流量を測定し、ガスのパーミエンス[mol・(m ・s・Pa) -1]を算出する。パーミエンスを計算する際の圧力は、供給ガスの供給側と透過側の圧力差(差圧)を用いる。
[0201]
 上記測定結果に基づき、理想分離係数αを下記式(1)により算出する。
 α=(Q /Q )/(P /P )   (1)
〔式(1)中、Q およびQ は、それぞれ、透過性の高いガスおよび透過性の低いガスの透過量[mol・(m ・s) -1]を示し、P およびP は、それぞれ、透過性の高いガスおよび透過性の低いガスの供給側と透過側の圧力差[Pa]を示す。
 これは、各ガスのパーミエンスの比率を示しており、従って、各ガスのパーミエンスを算出し、その比率から求めることができる。
[0202]
(7)ベーパーパーミエーション法
 ベーパーパーミエーション法に用いた装置の模式図を図3に示す。図3において、被分離液13は送液ポンプ14によって気化器15に所定流量で送られ、気化器15での加熱により全量が気化され、被分離ガスとなる。被分離ガスは恒温槽16内のゼオライト膜複合体モジュール17に導入され、ゼオライト膜複合体の外側に供給される。ゼオライト膜複合体モジュール17は、ゼオライト膜複合体を筐体中に納めたものである。ゼオライト膜複合体は真空ポンプ21によって内側が減圧され、被分離ガスとの圧力差が約1気圧になっている。内側の圧力は、図示はしないがピラニーゲージで測定することができる。この圧力差によって被分離ガス中、透過物質の水がゼオライト膜複合体を透過する。透過した物質は透過液捕集用トラップ19で捕集される。透過液捕集用トラップ19で捕集しきれなかった物質がある場合にはコールドトラップ20で捕集される。一方、被分離ガス中の透過しなかった成分は、被分離液回収用トラップ18で液化、捕集される。
[0203]
[実施例1]
 無機多孔質支持体上にCHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを直接水熱合成することにより無機多孔質支持体-CHA型ゼオライト膜複合体を作製した。
 水熱合成用の反応混合物は次のとおり調製した。
[0204]
 1mol/L-NaOH水溶液12.0g、1mol/L-KOH水溶液8.0g、水115gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al  53.5質量%含有、アルドリッチ社製)0.306gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、N,N,N-トリメチル-1-アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(以下これを「TMADAOH」と称する。)水溶液(TMADAOH 25質量%含有、セイケム社製)2.7gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック-40)12.0gを加えて2時間撹拌し、水性反応混合物とした。
 この反応混合物の組成(モル比)は、SiO /Al /NaOH/KOH/H O/TMADAOH=1/0.02/0.15/0.1/100/0.04、SiO /Al =50である。
[0205]
 無機多孔質支持体としては、多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm)を80mmの長さに切断した後、超音波洗浄機で洗浄したのち乾燥させたものを用いた。
 種結晶として、SiO /Al /NaOH/KOH/H O/TMADAOH=1/0.066/0.15/0.1/100/0.04のゲル組成(モル比)で、多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm)存在条件で160℃、2日間水熱合成して生成した沈澱物を、ろ過、水洗、乾燥して得られたCHA型ゼオライトを用いた。種結晶の粒径は2~4μm程度であった。
 この種結晶を、NaOHが0.33質量%、KOHが0.31%のアルカリ水溶液に約1質量%に分散させたものに、上記支持体を所定時間浸した後、100℃で4時間以上乾燥させて種結晶を付着させた。乾燥後の質量増加は8.1g/m であった。
[0206]
 種結晶を付着させた支持体を、上記水性反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒(200ml)に垂直方向に浸漬して、オートクレーブを密閉し、160℃で48時間、静置状態で、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後、放冷した後にゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し、洗浄後、100℃で4時間以上乾燥させた。
 この膜複合体を、空気中、電気炉で、500℃、5時間焼成した。このときの昇温速度と降温速度はともに0.5℃/分とした。焼成後の膜複合体の質量と支持体の質量の差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの質量は148g/m であった。
 SEM測定から求めた膜厚は平均して約10μmであった。また、焼成後、円筒管状の膜複合体の一端を封止し、他の一端を真空ラインに接続することで管内を減圧とし、真空ライン設置した流量計で空気の透過量を測定した透過量の空気透過量は413L/(m ・h)であった。
[0207]
 生成したゼオライト膜のXRDパターンを図4に示す。図中の「*」は支持体由来のピークである。XRD測定からCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。また(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=3.5、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=0.46であった。
[0208]
 粉末のCHA型ゼオライト(米国特許第4544538号明細書においてSSZ-13と一般に呼称されるゼオライト、以下これを「SSZ-13」と称する。)のXRDパターンを図6に示す。(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=0.91、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=0.32であった。
[0209]
 粉末のCHA型ゼオライトに比べて、実施例1で得られたゼオライト膜は(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)は同程度にあるのに対して(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)は高く、rhombohedral settingにおける(1,0,0)面への配向が推測された。
[0210]
 また、SEM-EDXにより測定した、ゼオライト膜のSiO /Al モル比は37.2であった。
 水蒸気吸着等温線により測定した相対圧0.8における水吸着量は相対圧0.2における水吸着量の2.2倍であった。
[0211]
 上記で作製したCHA型ゼオライト膜複合体を用いて、図1に示した装置を用いて単成分ガス透過試験を行った。前処理として、ゼオライト膜複合体を、140℃で、供給ガス7としてCO を、耐圧容器2とゼオライト膜複合体1との円筒の間に導入して、圧力を約0.16MPaに保ち、ゼオライト膜複合体1の円筒の内側を0.098MPa(大気圧)として、約70分間乾燥した。評価したガスは二酸化炭素、メタン、水素、窒素、ヘリウムである。
 その後、供給側の圧力を0.2MPaとし、供給ガスを各評価ガスに変更した。このとき、ゼオライト膜複合体1の供給ガス7側と透過ガス8側の差圧は、0.1MPaであった。
 その後、温度を50℃とし、温度が安定した後に供給ガスを各評価ガスに変更した。このとき、ゼオライト膜複合体1の供給ガス7側と透過ガス8側の差圧は、0.1MPaであった。
[0212]
 このようにして得られた各ガスのパーミエンスを表1に示す。50℃での二酸化炭素のパーミエンスは1.6×10 -6と高い値となった。また水素においても7.3×10 -7と高い値が得られており、パーミエンスの高いゼオライト膜複合体が得られたことがわかる。また50℃における二酸化炭素とメタンの理想分離係数αは73であった。
[0213]
[表1]


[0214]
[実施例2]
 水酸化アルミニウム(Al  53.5質量%含有、アルドリッチ社製)の添加量を0.152として、反応混合物の組成(モル比)は、SiO /Al /NaOH/KOH/H O/TMADAOH=1/0.01/0.15/0.1/100/0.04、SiO /Al =100とした以外は実施例1と同様に無機多孔質支持体-CHA型ゼオライト膜複合体を作製した。種結晶を付着後の乾燥した後の質量増加は9.9g/m であった。
 焼成後のゼオライト膜複合体の質量と支持体の質量の差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの質量は122g/m であった。
 SEM測定から求めた膜厚は平均して約8μmであった。また、実施例1と同様に測定した焼成後の空気透過量は570L/(m ・h)であった。
[0215]
 生成したゼオライト膜のXRDパターンを図5に示す。図中の「*」は支持体由来のピークである。XRD測定からCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。また(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=3.4、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=0.34であった。
 図6の粉末のCHA型ゼオライトのXRDパターンと比べて、実施例2で得られたゼオライト膜のXRDパターンは(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)は同程度にあるのに対して(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)は高く、rhombohedral settingにおける(1,0,0)面への配向が推測された。
[0216]
また、SEM-EDXにより測定した、ゼオライト膜のSiO /Al モル比は40.2であった。
 水蒸気吸着等温線により測定した相対圧0.8における水吸着量は相対圧0.2における水吸着量の2.2倍であった。
[0217]
 上記で作製したCHA型ゼオライト膜複合体を用いて、実施例1と同様に単成分ガス透過試験を行った。得られた各ガスのパーミエンスを表2に示す。50℃での二酸化炭素のパーミエンスは2.4×10 -6と高い値となった。また水素においても1.0×10 -6と高い値が得られており、パーミエンスの高いゼオライト膜複合体が得られたことがわかる。また50℃における二酸化炭素とメタンの理想分離係数αは60であった。
[0218]
[表2]


[0219]
[比較例1]
 無機多孔質支持体-CHA型ゼオライト膜複合体はCHA型ゼオライトを無機多孔質支持体上に直接水熱合成することで作製した。
 水熱合成のための反応混合物として、以下のものを調製した。
[0220]
 1mol/L-NaOH水溶液30.1gと水66.0gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al  53.5質量%含有、アルドリッチ社製)0.057gを加えて撹拌し溶解させ、ほぼ透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、N,N,N-トリメチル-1-アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(TMADOH)水溶液(TMADAOH 25質量%含有、セイケム社製)12.7gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック-40)23.6gを加えて2時間撹拌し、水性反応混合物を調製した。この反応混合物の組成(モル比)は、SiO /Al /NaOH/KOH/H O/TMADAOH=1/0.002/0.2/0/44/0.1、SiO /Al =500である。
[0221]
 無機多孔質支持体としてはニッカトー社製のムライトチューブPM(外径12mm、内径9mm)を80mmの長さに切断した後、外表面を耐水性紙やすりを用いて滑らかにして、超音波洗浄機で洗浄したのち乾燥させたものを用いた。支持体上には水熱合成に先立ち、ディップ法で上記と同様の方法によりSiO /Al /NaOH/H O/TMADOH=1/0.033/0.1/40/0.1のゲル組成で160℃、2日間水熱合成して結晶化させた粒径0.5μm程度のCHA型ゼオライトの種結晶を付着させた。付着した種結晶の質量は約3g/m であった。
[0222]
 実施例1と同様にこの種結晶を付着させた支持体を上記反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒に垂直方向に浸漬してオートクレーブを密閉し160℃で48時間、自生圧力下で加熱し、洗浄、乾燥した。焼成後の膜複合体の質量と支持体の質量の差から支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの質量は109g/m であった。
 実施例1と同様に測定した焼成後の空気透過量は542L/(m ・h)であった。
[0223]
 生成した膜のXRDを測定したところCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。生成した膜のXRDにおいて(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=1.7であり、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=0.3であった。
 このように、生成した膜のXRDピークに特異な強度を示すものはなかった。これから例えば、生成した膜がrhombohedral settingにおける(1,0,0)面、(1,1,1)面のいずれにも配向していないことが推測される。
[0224]
 また、SEM-EDXにより、ゼオライト膜のSiO /Al モル比を測定したが、正確な値が得られなかった。ゼオライト膜のSEM-EDXでは、通常、SiO /Al モル比の測定限界値が100程度と考えられるため、少なくともこのゼオライト膜のSiO /Al モル比は100を超えると推測される。
 水蒸気吸着等温線により測定した相対圧0.8における水吸着量は相対圧0.2における水吸着量の1.9倍であった。
[0225]
 上記で作製したCHA型ゼオライト膜複合体を用いて、実施例1と同様に単成分ガス透過試験を行った。得られた各ガスのパーミエンスを表3に示す。50℃での二酸化炭素のパーミエンスは7.8×10 -7、水素のパーミエンスは7.52×10 -6となった。50℃における二酸化炭素とメタンの理想分離係数αは6.1であった。配向していないために緻密な膜が形成されず、分離性能が低くなったと思われる。また膜が緻密でないために欠陥をガスが透過するため、パーミエンスとしてはある程度高い値が得られたと考えられる。
[0226]
[表3]


[0227]
[実施例3]
[0228]
 実施例1と同様の方法で得られた無機多孔質支持体-CHA型ゼオライト膜複合体を、次の方法でシリル化処理を施した。
 脱塩水121.5gとテトラエトキシシラン2.5gおよび1M硫酸13.5gが入ったテフロン(登録商標)製内筒に垂直方向に浸漬してオートクレーブを密閉し、100℃で20時間、自生圧力下で加熱し、所定時間経過後、放冷した後にゼオライト膜複合体を取りだし、脱塩水で洗浄した。
[0229]
 シリル化処理を施したゼオライト膜複合体を用いてベーパーパーミエーション法により、水/酢酸混合溶液(15/85wt%)から水を選択的に透過させる分離を行った。無機多孔質支持体-CHA型ゼオライト膜複合体は130℃の恒温槽内に設置し、水/酢酸混合溶液を0.8cm /minの流量で気化器に送液し、全量を気化させて無機多孔質支持体-CHA型ゼオライト膜複合体に供給した。
 5時間後の透過成績は、透過流束:1.4kg/m /h、分離係数:900、透過液中の水の濃度:99.38質量%であった。水のパーミエンスで表すと、5.8×10 -7mol/m /s/Paであった。この結果から、本発明のゼオライト膜複合体は、水のパーミエンスが高く、また分離係数も高いことが分かる。
[0230]
[実施例4]
 無機多孔質支持体上にCHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを直接水熱合成することにより無機多孔質支持体-CHA型ゼオライト膜複合体を作製した。
 水熱合成用の反応混合物は次のとおり調製した。
[0231]
 1mol/L-NaOH水溶液1.24g、1mol/L-KOH水溶液4.98g、水酸化アルミニウム(Al  53.5質量%含有、アルドリッチ社製)0.104gを混合したものに水114g加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、N,N,N-トリメチル-1-アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(以下これを「TMADAOH」と称する。)水溶液(TMADAOH 25質量%含有、セイケム社製)2.44gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック-40)10.8gを加えて2時間撹拌し、水性反応混合物とした。
 この反応混合物の組成(モル比)は、SiO /Al /NaOH/KOH/H O/TMADAOH=1/0.0077/0.017/0.069/100/0.04、SiO /Al =130である。
[0232]
 無機多孔質支持体としては、多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm)を400mmの長さに切断した後、圧空で切断時に生じた粉末を除去したものを使用した。
 支持体上には水熱合成に先立ち、種結晶を付着させた。上記の方法と同様の方法によりSiO /Al /NaOH/KOH/H O/TMADAOH=1/0.033/0.1/0.06/40/0.07のゲル組成で160℃、2日間水熱合成して結晶化させた粒径0.5μm程度のCHA型ゼオライトを種結晶として用いた。
[0233]
 この種結晶を脱塩水に約1質量%に分散させたものに、上記支持体を所定時間浸した後、100℃で4時間以上乾燥させて種結晶を付着させた。乾燥後の種結晶の付着量は1.4g/m であった。
[0234]
 実施例1と同様にこの種結晶を付着させた支持体を上記反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒に垂直方向に浸漬してオートクレーブを密閉し160℃で48時間、自生圧力下で加熱し、洗浄、乾燥した。焼成後のゼオライト膜複合体の質量と支持体の質量の差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの質量は46g/m であった。
 また、実施例1と同様に測定した焼成後の空気透過量は315L/(m ・h)であった。
[0235]
 生成したゼオライト膜のXRDパターンを図7に示す。図中の「*」は支持体由来のピークである。XRD測定からCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。また(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=3.8、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=0.45であった。図6の粉末のCHA型ゼオライトのXRDパターンと比べて、実施例4で得られたゼオライト膜のXRDパターンは(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)は同程度にあるのに対して(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)は高く、rhombohedral settingにおける(1,0,0)面への配向が推測された。
[0236]
 水蒸気吸着等温線により測定した相対圧0.8における水吸着量は相対圧0.2における水吸着量の2.3倍であった。
[0237]
 上記で作製したCHA型ゼオライト膜複合体を用いて、実施例1と同様に単成分ガス透過試験を行った。得られた各ガスのパーミエンスを表4に示す。50℃での二酸化炭素のパーミエンスは2.0×10 -6と高い値となった。また水素においても6.6×10 -7と高い値が得られており、パーミエンスの高いゼオライト膜複合体が得られたことがわかる。また50℃における二酸化炭素とメタンの理想分離係数αは126であり分離性能においても高い値を示すゼオライト膜複合体が得られたことがわかる。
[0238]
[表4]


[0239]
[比較例2]
 水酸化アルミニウム(Al  53.5質量%含有、アルドリッチ社製)の添加量を0.503として、反応混合物の組成(モル比)は、SiO /Al /NaOH/KOH/H O/TMADAOH=1/0.033/0.15/0.1/100/0.04、SiO /Al =30とした以外は実施例1と同様に無機多孔質支持体-CHA型ゼオライト膜複合体を作製した。種結晶を付着後の乾燥した後の質量増加は9.1g/m であった。
[0240]
 焼成後のゼオライト膜複合体の質量と支持体の質量の差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの質量は126g/m であった。また、実施例1と同様に測定した焼成後の空気透過量は121L/(m ・h)であった。
[0241]
 生成した膜のXRDを測定したところCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。生成した膜のXRDにおいて(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=3.2であり、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=1.5であった。図6の粉末のCHA型ゼオライトのXRDパターンと比べて、比較例2で得られたゼオライト膜のXRDパターンは(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)が十分高く、rhombohedral settingにおける(1,1,1)面への配向が推測された。
[0242]
 上記で作製したCHA型ゼオライト膜複合体を用いて、実施例1と同様に単成分ガス透過試験を行った。得られた各ガスのパーミエンスを表5に示す。50℃での二酸化炭素のパーミエンスは7.5×10 -7、水素のパーミエンスは1.0×10 -6であり、50℃における二酸化炭素とメタンの理想分離係数αは88であった。(1,1,1)面への配向のため分離性能はある程度高い値であるが、その半面パーミエンスとしては低い値となったと考えられる。
[0243]
[表5]


[0244]
 本発明を詳細にまた特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は、2012年2月24日出願の日本特許出願(特願2012-039272)および2012年8月31日出願の日本特許出願(特願2012-192013)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

産業上の利用可能性

[0245]
 本発明は産業上の任意の分野に使用可能であるが、例えば、化学工業プラント、天然ガスの精製プラント、生ゴミなどからバイオガスを発生させるプラント等の気体混合物(ガス)の分離が必要とされる分野において、また例えば、化学工業プラント、発酵プラント、精密電子部品工場、電池製造工場等の含水有機化合物から水を分離し、有機化合物の回収などが必要とされる分野において、特に好適に使用することができる。

符号の説明

[0246]
1:ゼオライト膜複合体
2:耐圧容器
3:エンドピン
4:接続部
5:圧力計
6:背圧弁
7:供給ガス
8:透過ガス
9:スイープガス
10:排出ガス
11:透過ガス排出用配管
12:スイープガス導入用配管
13:被分離液
14:送液ポンプ
15:気化器
16:恒温槽
17:ゼオライト膜複合体モジュール
18:被分離液回収用トラップ
19:透過液捕集用トラップ
20:コールドトラップ
21:真空ポンプ

請求の範囲

[請求項1]
 複数の成分からなる気体混合物または液体混合物から、透過性の高い成分を透過して分離するために用いるゼオライト膜複合体であって、ゼオライト膜が、CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを含み、膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、2θ=17.9°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の0.5倍未満の値を有するものであり、かつ2θ=9.6°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の2.0倍以上4.0倍未満の値を有するものであり、無機多孔質支持体上に形成されてなる、ゼオライト膜複合体。
[請求項2]
 前記ゼオライトのSiO /Al モル比が6以上500以下である、請求項1に記載のゼオライト膜複合体。
[請求項3]
 前記ゼオライト膜複合体の水蒸気吸着等温線より求めた、相対圧0.8におけるゼオライト膜複合体の水吸着量が、相対圧0.2における水吸着量の2倍以上10倍以下である、請求項1または請求項2に記載のゼオライト膜複合体。
[請求項4]
 複数の成分からなる気体混合物または液体混合物から、透過性の高い成分を透過して分離するために用いるゼオライト膜複合体であって、ゼオライト膜が、CHA型アルミノ珪酸塩であり、かつSiO /Al モル比が30以上100以下のゼオライトを含み、無機多孔質支持体上に形成されてなる、ゼオライト膜複合体。
[請求項5]
 前記ゼオライト膜が、膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、2θ=17.9°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の0.5倍未満の値を有するものである、請求項4に記載のゼオライト膜複合体。
[請求項6]
 前記ゼオライト膜が、膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、2θ=9.6°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の2.0倍以上4.0倍未満の値を有するものである、請求項4または請求項5に記載のゼオライト膜複合体。
[請求項7]
 前記ゼオライト膜複合体の水蒸気吸着等温線より求めた、相対圧0.8におけるゼオライト膜複合体の水吸着量が、相対圧0.2における水吸着量の2倍以上10倍以下である、請求項4~請求項6のいずれか1項に記載のゼオライト膜複合体。
[請求項8]
 複数の成分からなる気体混合物または液体混合物から、透過性の高い成分を透過して分離するために用いるゼオライト膜複合体であって、ゼオライト膜が、CHA型アルミノ珪酸塩のゼオライトを含み、無機多孔質支持体上に形成されてなるものであり、該ゼオライト膜複合体の水蒸気吸着等温線より求めた、相対圧0.8におけるゼオライト膜複合体の水吸着量が、相対圧0.2における水吸着量の2倍以上10倍以下である、ゼオライト膜複合体。
[請求項9]
 前記ゼオライト膜が、膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、2θ=17.9°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の0.5倍未満の値を有するものである、請求項8に記載のゼオライト膜複合体。
[請求項10]
 前記ゼオライト膜が、膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて、2θ=9.6°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の2.0倍以上4.0倍未満の値を有するものである、請求項8または請求項9に記載のゼオライト膜複合体。
[請求項11]
 前記ゼオライトのSiO /Al モル比が6以上500以下である、請求項8~請求項10のいずれか1項に記載のゼオライト膜複合体。
[請求項12]
 前記ゼオライトのSiO /Al モル比が30以上50以下である、請求項2、請求項4~請求項7および請求項11のいずれか1項に記載のゼオライト膜複合体。
[請求項13]
 前記ゼオライト膜複合体を、絶対圧5kPaの真空ラインに接続した時の空気透過量が100L/(m ・h)以上1000L/(m ・h)以下である、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載のゼオライト膜複合体。
[請求項14]
 前記ゼオライト膜が、アルカリ源として少なくともカリウム(K)を含む水熱合成用の反応混合物を用いて形成されたものである、請求項1~請求項13のいずれか1項に記載のゼオライト膜複合体。
[請求項15]
 複数の気体成分からなる気体混合物から、透過性の高い気体成分を透過して分離するために用いるゼオライト膜複合体である、請求項1~請求項14のいずれか1項に記載のゼオライト膜複合体。
[請求項16]
 複数の成分からなる液体混合物から、透過性の高い成分を透過して分離するために用いるゼオライト膜複合体である、請求項1~請求項14のいずれか1項に記載のゼオライト膜複合体。
[請求項17]
 請求項1~請求項15のいずれか1項に記載のゼオライト膜複合体に、複数の気体成分からなる気体混合物を接触させ、該気体混合物から、透過性の高い気体成分を透過させて分離する、または、透過性の高い気体成分を透過させて分離することにより透過性の低い気体成分を濃縮する、気体混合物の分離または濃縮方法。
[請求項18]
 前記気体混合物が、二酸化炭素、水素、酸素、窒素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、1-ブテン、2-ブテン、イソブテン、六フッ化硫黄、ヘリウム、一酸化炭素、一酸化窒素及び水よりなる群から選ばれる少なくとも1種の成分を含むものである、請求項17に記載の方法。
[請求項19]
 請求項1~請求項14および請求項16のいずれか1項に記載のゼオライト膜複合体に、複数の成分からなる液体混合物を接触させ、該液体混合物から、透過性の高い成分を透過させて分離する、または、透過性の高い成分を透過させて分離することにより透過性の低い成分を濃縮する、液体混合物の分離または濃縮方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]