Search International and National Patent Collections
Some content of this application is unavailable at the moment.
If this situation persists, please contact us atFeedback&Contact
1. (WO2012173209) ALCOHOL COMPOUND AND METHOD FOR PRODUCING SAME, METHOD FOR PRODUCING LACTONE COMPOUND, (METH)ACRYLATE ESTER AND METHOD FOR PRODUCING SAME, POLYMER AND METHOD FOR PRODUCING SAME, AND RESIST COMPOSITION AND METHOD FOR PRODUCING SUBSTRATE USING SAME
Document

明 細 書

発明の名称 アルコール化合物とその製造方法、ラクトン化合物の製造方法、(メタ)アクリル酸エステルとその製造方法、重合体とその製造方法、レジスト組成物とこれを用いた基板の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

非特許文献

0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009   0010   0011   0012   0013   0014  

課題を解決するための手段

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042  

発明の効果

0043  

図面の簡単な説明

0044  

発明を実施するための形態

0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169  

実施例

0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : アルコール化合物とその製造方法、ラクトン化合物の製造方法、(メタ)アクリル酸エステルとその製造方法、重合体とその製造方法、レジスト組成物とこれを用いた基板の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、重合性単量体として有用な(メタ)アクリル酸エステルとその製造方法、(メタ)アクリル酸エステルの中間体として有用な、ラクトン化合物、アルコール化合物とその製造方法、該(メタ)アクリル酸エステルを用いた重合体とその製造方法、該重合体を含むレジスト組成物、該レジスト組成物を用いた基板の製造方法、ならびに新規な(メタ)アクリル酸エステルとこれを用いた重合体に関する。
 本願は、2011年6月14日に日本に出願された特願2011-132183号および2011年9月27日に日本に出願された特願2011-210667号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002]
 近年、半導体素子や液晶素子の製造における微細加工の分野においては、リソグラフィー技術の進歩により急速に微細化が進んでいる。その微細化の手法としては、一般に、照射光の短波長化が用いられ、具体的には、従来のg線(波長:438nm)、i線(波長:365nm)に代表される紫外線からDUV(Deep Ultra Violet)へと照射光が変化してきている。現在では、KrFエキシマレーザー(波長:248nm)リソグラフィー技術が市場に導入され、さらなる短波長化を図ったArFエキシマレーザー(波長:193nm)リソグラフィー技術も導入されようとしている。さらに、次世代の技術として、F エキシマレーザー(波長:157nm)リソグラフィー技術が研究されている。また、これらとは若干異なるタイプのリソグラフィー技術として、電子線リソグラフィー技術、波長13.5nm近傍の極端紫外光(Extreme Ultra Violet light:EUV光)を用いるEUVリソグラフィー技術についても精力的に研究されている。
[0003]
 このような短波長の照射光あるいは電子線に対する高解像度のレジストとして、光酸発生剤を含有する「化学増幅型レジスト」が提唱され、現在、この化学増幅型レジストの改良および開発が精力的に進められている。
 化学増幅型レジストに使用する重合体としては、高い透明性から、(メタ)アクリル酸エステルを単量体として用いたアクリル系重合体が盛んに開発されており、レジストに種々機能を持たせるために、これらの重合体を構成する単量体の改良も日々進められている。近年、レジストに高いドライエッチング耐性と基盤密着性を付与することができる重合性単量体として、ノルボルネンラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルが提案されており、それらの中間体も含めた化合物の製造方法が種々開示されている(例えば特許文献1~3)。
[0004]
 ラクトン化合物は、医薬、農薬等の機能性化学品の原料として広く用いられる。特に、活性な炭素-炭素二重結合を有するラクトン化合物には、例えば、(メタ)アクリル酸等の重合性カルボン酸を付加させることが可能である。こうして得られたラクトン骨格含有(メタ)アクリル酸エステルを原料とした高分子化合物を含むレジスト材料は、感度、解像性、エッチング耐性に優れているため、電子線や遠紫外線による微細加工に有用である。
[0005]
 分子内に炭素-炭素二重結合を有する酸無水物の還元によって、炭素-炭素二重結合を残したまま、酸無水物のみを選択的に還元してラクトン化合物を得るための還元剤と溶媒との組み合わせとしては、例えば、下記の組み合わせが知られている。
 (1)水素化ホウ素ナトリウムとN,N-ジメチルアセトアミドとの組み合わせ(特許文献4)。
 (2)水素化ホウ素ナトリウムとエタノールとの組み合わせ(非特許文献1)。
 (3)水素化ホウ素ナトリウムと、テトラヒドロフランおよびアルコール類の混合溶媒との組み合わせ(特許文献5)。
[0006]
 (メタ)アクリル酸エステルは、上記レジスト用途のほかにも、各種紫外線硬化型または電子線硬化型樹脂等の光硬化性樹脂組成物の硬化性成分と使用されている。かかる光硬化性樹脂組成物を利用した用途として、プラスチック、紙、木、無機質素材等における塗料、インキ、接着剤等が挙げられる。最近では、半導体、液晶に代表される電子材料分野や光ファイバー、光学レンズ等に代表されるオプトエレクトロニクス分野、さらには医療分野等に拡大してきている。
 そのような中で、ノルボルネンラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルを単量体として用いて得られる重合体はこれまで使われていない。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2002-234882号公報
特許文献2 : 特開2004-359669号公報
特許文献3 : 特開2011-81340号公報
特許文献4 : 特開2002-275215号公報
特許文献5 : 特開2003-146979号公報

非特許文献

[0008]
非特許文献1 : Tetrahedron Letters,1994年、第35巻,第8号,p.1165-1168

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
 ノルボルネンラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルの中でも、特にノルボルネン骨格の橋頭位に酸素原子や硫黄原子などのヘテロ原子を有する(メタ)アクリル酸エステルは、光酸発生剤の分散や露光時の酸の拡散制御が容易であり、化学増幅型レジストに使用する重合体を構成する重合性単量体として有用である。しかし、このような(メタ)アクリル酸エステルを特許文献1および2に記載の方法で製造しようとした場合、目的の化合物が得られない、得られたとしても収率がかなり低くなる等の問題がある。具体的には、特許文献1に記載の方法では、ノルボルネンラクトン化合物に酸触媒存在下で低級カルボン酸を付加させ、得られるエステルを加水分解することによりアルコールを得、これを(メタ)アクリルエステル化することにより目的の重合性単量体を得ている。特許文献2に記載の方法では、ノルボルネンラクトン化合物に(メタ)アクリル酸を付加することにより目的の重合性単量体を得ている。これらの方法においては、低級カルボン酸または(メタ)アクリル酸を付加させる工程で高温(たとえば85~120℃)での加熱が必要であるために、ノルボルネンラクトン化合物が逆Diels-Alder反応等で分解してしまい、対応する付加体が得られない。
[0010]
 また、特許文献3の実施例1には、ノルボルネンラクトン骨格を有する酸無水化合物を、NaBH で処理し、得られたラクトン体をBH -THF錯体と反応させてヒドロキシラクトン体とし、これをエステル化反応させてノルボルネンラクトン骨格を含む(メタ)アクリル酸エステルを製造した例が記載されている。
 しかしながら、この方法では、中間体であるヒドロキシラクトン体の反応収率が50%と低く、クロマトグラフィーで精製を行っている。このため歩留りが悪く、手間がかかる。
[0011]
 ラクトン化合物の製造方法に関して、上記(3)の水素化ホウ素ナトリウムと、テトラヒドロフランおよびアルコール類の混合溶媒との組み合わせは、酸無水物を還元してラクトン化合物を得る際の反応収率に優れている。しかし、この(3)の組み合わせによる酸無水物の還元では、例えば、下式で表されるようなジアルコール体が副生成する。
[0012]
[化1]


[0013]
 ジアルコール体の副生成については、特許文献5にはなんら記載されていない。ジアルコール体を含むラクトン化合物に、(メタ)アクリル酸等の重合性カルボン酸を付加させ、ラクトン骨格含有(メタ)アクリル酸エステルを合成した場合、ジアルコール体の2つの水酸基と(メタ)アクリル酸のカルボン酸とが反応したジエステル化体が生成する。ジエステル化体を含むラクトン骨格含有(メタ)アクリル酸エステルを原料に用いて高分子化合物を合成すると、ジエステル化体が他のモノマーと共重合することによって高分子化合物の一部が架橋する。このような高分子化合物を含むレジスト材料は、ディフェクト(現像欠陥)を増加させる可能性がある。
[0014]
 本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、(メタ)アクリル酸エステルの中間体として有用な、不純物が少ないアルコール化合物を高収率で製造する方法、および該方法を用いて、ノルボルネンラクトン骨格を含む(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法を提供する。
 本発明は、アルコール体の副生成を抑えつつ、炭素-炭素二重結合を有するラクトン化合物を高収率で製造する方法、および該方法を用いてアルコール化合物を製造する方法を提供する。
 本発明は、不純物の含有量が少ない、ノルボルネンラクトン骨格を含むアルコール化合物を提供する。
 本発明は、不純物の含有量が少ない、ノルボルネンラクトン骨格を含む(メタ)アクリル酸エステル、これを用いた重合体とその製造方法、該重合体を含むレジスト組成物、および該レジスト組成物を用いてパターンが形成された基板を製造する方法を提供する。
 本発明は、ノルボルネンラクトン骨格と(メタ)アクリロイルオキシ基を有する新規化合物およびこれを用いた新規重合体を提供する。

課題を解決するための手段

[0015]
 本発明は以下の<1>~<20>である。
<1>下記一般式(D)で表されるアルコール化合物を製造する方法であって、
 溶媒中で、下記一般式(C)で表される化合物と、ジボランおよびボラン錯体からなる群から選ばれるホウ素化剤とを反応させて反応液を得るハイドロボレーション反応工程と、該反応液を過酸化水素処理した後、酸を加えてpH0.5~4にする酸処理工程を有することを特徴とするアルコール化合物の製造方法。
[0016]
[化2]


[0017]
[式中、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表す。]
[0018]
<2>前記ホウ素化剤として、ボラン-ジメチルスルフィド錯体またはボラン-1,2-ジメトキシエタン錯体を用いる、<1>記載のアルコール化合物の製造方法。
<3>前記酸処理工程後の反応液をpH5~9に調整して再結晶を行って、前記一般式(D)で表されるアルコール化合物を単離する単離工程を有する、<1>または<2>に記載のアルコール化合物の製造方法。
[0019]
<4>下記式(1)で表される化合物を水素化ホウ素ナトリウムで還元し、下記式(2)で表されるラクトン化合物およびまたは下記式(3)で表されるラクトン化合物を製造する方法において、前記水素化ホウ素ナトリウムの使用量が、下記式(1)で表される化合物に対して0.7~0.95倍モルであることを特徴とするラクトン化合物の製造方法。
[0020]
[化3]


[0021]
[式中、R 11~R 16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基であり;A 11およびA 12は、ともに水素原子である、もしくは連結して-CH -、-CH CH -、-O-、または-S-を形成する。]
[0022]
<5>前記式(1)で表される化合物が、下記式(4)で表される化合物であり、前記式(2)で表されるラクトン化合物が、下記式(5)で表されるラクトン化合物であり、前記式(3)で表されるラクトン化合物が、下記式(6)で表されるラクトン化合物である、<4>に記載のラクトン化合物の製造方法。
[0023]
[化4]


[0024]
[式中、R 11~R 16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表す。]
[0025]
<6><4>または<5>に記載のラクトン化合物の製造方法を用いて前記一般式(C)で表される化合物を製造する工程をさらに有する、<1>~<3>のいずれか一項に記載のアルコール化合物の製造方法。
<7><1>~<3>のいずれか一項に記載のアルコール化合物の製造方法により、下記一般式(C)で表される化合物から下記一般式(D)で表されるアルコール化合物を得る工程、および下記一般式(D)で表される化合物からエステル化反応により下記式(A)で表される(メタ)アクリル酸エステルを得る工程を有する、(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
[0026]
[化5]


[0027]
[式中、R は水素原子またはメチル基を表し、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表す。]
[0028]
<8><4>または<5>に記載のラクトン化合物の製造方法を用いて前記一般式(C)で表される化合物を製造する工程をさらに有する、<7>記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
<9>不純物として下記一般式(ii)で表される化合物の含有量が9質量%未満である、下記一般式(D)で表されるアルコール化合物。
[0029]
[化6]


[0030]
[式中、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表す。]
<10>不純物として下記一般式(iii)で表される化合物の含有量が9質量%未満である、下記一般式(A)で表される(メタ)アクリル酸エステル。
[0031]
[化7]


[0032]
[式中、R は水素原子またはメチル基を表し、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表し、R はアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。]
[0033]
<11>下記一般式(A’)で表される(メタ)アクリル酸エステル(A’)であって、高速液体クロマトグラフィーによるクロマトグラムにおいて、保存時に分解してメタクリル酸を発生する分子量308の不純物(X)のピーク面積が、前記(メタ)アクリル酸エステル(A’)のピーク面積に対して0.3%以下である、(メタ)アクリル酸エステル。
<12>下記一般式(A’)で表される(メタ)アクリル酸エステル(A’)であって、(メタ)アクリル酸エステル(A’)に対してメタクリル酸の含有量が0.04倍モル以下であり、かつ高速液体クロマトグラフィーによるクロマトグラムにおいて、保存時に分解してメタクリル酸を発生する分子量308の不純物(X)のピーク面積が、前記(メタ)アクリル酸エステル(A’)のピーク面積に対して0.3%以下である、(メタ)アクリル酸エステル。
[0034]
[化8]


[0035]
[式中、R は水素原子またはメチル基を表す。]
[0036]
<13>不純物として下記一般式(v)で表される化合物の含有量が9質量%未満である、下記一般式(A)で表される(メタ)アクリル酸エステル。
[0037]
[化9]


[0038]
[式中、R は水素原子またはメチル基を表し、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表し、R は水素原子、アクリロイル基、またはメタクリロイル基を表す。]
[0039]
<14>1種以上の単量体を重合させて得られる重合体であって、前記単量体が、<10>~<13>のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル酸エステルを含む、重合体。
<15>2種以上の単量体を重合させて得られる重合体であって、前記単量体が、<10>~<13>のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル酸エステルと、それ以外の(メタ)アクリル酸エステルを含む、重合体。
<16><10>~<13>のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体を重合させる工程を有する、重合体の製造方法。
[0040]
<17><14>または<15>記載の重合体、および活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有するレジスト組成物。
<18><17>に記載のレジスト組成物を、基板の被加工面上に塗布してレジスト膜を形成する工程と、該レジスト膜に対して、露光する工程と、露光されたレジスト膜を現像液を用いて現像する工程とを含む、パターンが形成された基板の製造方法。
<19>下記一般式(iii)で表される化合物。
[0041]
[化10]


[0042]
[式中、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表し、R はアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。]
<20><19>に記載の化合物を単量体として用いて得られる重合体。

発明の効果

[0043]
 本発明によれば、(メタ)アクリル酸エステルの中間体として有用なアルコール化合物を高収率で製造することができ、これを用いてノルボルネンラクトン骨格を含む(メタ)アクリル酸エステルを効率良く製造することができる。
 本発明によれば、ジアルコール体の副生成を抑えつつ、炭素-炭素二重結合を有するラクトン化合物を製造することができる。
 本発明によれば、不純物の含有量が少ない、ノルボルネンラクトン骨格を含むアルコール化合物が得られる。
 本発明によれば、不純物の含有量が少ない、ノルボルネンラクトン骨格を含む(メタ)アクリル酸エステルが得られ、これを用いることにより性能が良好な重合体、レジスト組成物が得られる。該レジスト組成物を用いて、パターンが形成された基板を良好に製造することができる。
 本発明によれば、ノルボルネンラクトン骨格と(メタ)アクリロイルオキシ基を有する新規化合物およびこれを用いた新規重合体が得られる。

図面の簡単な説明

[0044]
[図1] 実施例で得られた化合物(iii-1)の H-NMRスペクトルである。
[図2] 実施例で得られた化合物(iii-1)のMSスペクトルである。である。

発明を実施するための形態

[0045]
 以下、本発明を詳細に説明する。
 なお、本明細書においては、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
 以下において、一般式(A)を単に式(A)ということがある(他の式についても同様である。)。式(A)で表される化合物を化合物(A)ということがある(他の式で表される化合物についても同様である。)。
[0046]
<アルコール化合物の製造方法(I)>
 一般式(D)で表されるアルコール化合物(D)の製造方法の実施態様を説明する。
 本実施態様のアルコール化合物(D)の製造方法は、溶媒中で、一般式(C)で表されるラクトン化合物(C)とホウ素化剤とを反応させて反応液を得るハイドロボレーション反応工程と、過酸化水素処理工程と、酸処理工程を有する。
[0047]
[化11]


[0048]
[式中、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表す。]
[0049]
 式(C)、(D)において、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基が好ましい。一分子中のメチル基およびエチル基の合計数は0~6個のいずれでもよいが、化合物(D)に由来する構成単位を有する重合体をレジスト用樹脂として用いる場合、0~2個が好ましく、0~1個が特に好ましい。Xは酸素原子またはメチレン基が好ましい。
 ラクトン化合物(C)は公知の方法で製造できる。後述のラクトン化合物の製造方法(II)によりラクトン化合物(C)を製造し、これを用いて本態様のハイドロボレーション反応工程を行うことが好ましい。
[0050]
〔ハイドロボレーション反応工程〕
 ハイドロボレーション反応は、ジボランおよびボラン錯体からなる群から選ばれるホウ素化剤を用いて行われる。好ましいホウ素化剤としては、ジボラン、ボラン-ジメチルスルフィド錯体、ボラン-1,2-ジメトキシエタン錯体(以下、ボラン-DME錯体と示す)、ボラン-THF錯体、ボラン-テトラヒドロピラン錯体等が挙げられる。これらの中でも、反応速度や副生成物抑制の観点から、ボラン-ジメチルスルフィド錯体、ボラン-DME錯体が好ましい。
 ホウ素化剤の使用量は、ハイドロボレーション反応を完結させるためには、ホウ素原子換算で、ラクトン化合物(C)に対して0.5モル当量以上用いることが好ましく、副生成物抑制のためにはラクトン化合物(C)に対して2.0モル当量以下であることが好ましい。
 ホウ素化剤は、あらかじめ合成したものを単離して用いてもよいし、系中で発生させたものを用いてもよい。ホウ素化剤を系中で発生させる方法は公知であり、例えば、ボラン錯体を発生させる方法としては、水素化ホウ素ナトリウムと0.5倍モルの濃硫酸またはジメチル硫酸を、錯体形成させたい溶媒の存在下で反応させる方法が挙げられる。
[0051]
 本工程のハイドロボレーション反応を行う方法としては、ラクトン化合物(C)をあらかじめ溶媒に溶解させた溶液に、単離したホウ素化剤を滴下する方法、または系中で発生させたホウ素化剤を滴下する方法;単離または系中で発生させたホウ素化剤にラクトン化合物(C)をあらかじめ溶媒に溶解させた溶液を滴下する方法;または、ボラン錯体を形成させたい溶媒(DMEなど)にラクトン化合物(C)および水素化ホウ素ナトリウムを加えておき、硫酸またはジメチル硫酸を滴下する方法等が挙げられる。
 ラクトン化合物(C)をあらかじめ溶解させる溶媒は、ホウ素化剤と反応しないものであれば特に限定されないが、ラクトン化合物(C)の溶解性や取り扱いの容易さから、DME、テトラヒドロフラン(以下、THFと示す)が好ましい。
 上記いずれの方法で行う場合においても、滴下の際に発熱するが、反応を暴走させないためには、滴下の際の被滴下反応液の温度を40℃以下、好ましくは-10~30℃に保つような速度で滴下することが好ましい。
[0052]
〔過酸化水素処理工程〕
 ハイドロボレーション反応終了後の反応液には、ラクトン化合物(C)のヒドロホウ素化物が含まれる。該ヒドロホウ素化物を過酸化水素処理することにより、アルコール化合物(D)を得ることができる。
 過酸化水素処理は、ヒドロホウ素化物からアルコールを得る方法として公知の方法により実施でき、具合的には、ハイドロボレーション反応終了後の反応液に水を添加した後、塩基存在下で過酸化水素処理する方法が挙げられる。
[0053]
〔酸処理工程〕
 また、ハイドロボレーション反応においては、式(i)で表される化合物が副生成し、その一部は式(ii)で表される化合物となっている。
 本工程では、ハイドロボレーション反応終了後に、酸化処理を行うことによって、式(i)で表される化合物からアルコール化合物(D)を得る。具体的には、ハイドロボレーション反応終了後の反応液に対して、上記過酸化水素処理を行った後、酸を加えてpH0.5~4にする。処理速度の点から、pHは3以下に調整することが好ましく、2以下に調整することがより好ましい。処理後の中和時の塩基使用量の点から、pHは0.8以上に調整することが好ましく、1以上に調整することがより好ましい。
 本工程において反応液に添加する酸としては、例えば、鉱酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等)、酸性イオン交換樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。取り扱いやすさ等の点から硫酸が好ましい。
[0054]
[化12]


[0055]
 式(i)、(ii)におけるA ~A およびXは、好ましい態様も含めて式(D)におけるA ~A およびXとそれぞれ同様である。
[0056]
〔単離工程〕
 酸化処理後の反応液からのアルコール化合物(D)の取り出し方法については、特に限定されないが、アルコール化合物(D)の水への溶解性が高いことから、反応に使用した溶媒を留去した後、有機溶媒を添加して、副生成した硫酸ナトリウムを析出させ、ろ過した後に有機溶媒を再度留去することが好ましい。
 この際に使用する有機溶媒としては、例えばアセトン、メタノール、エタノール、アセトニトリル等が挙げられる。後述する工程(3)のエステル化反応に水分が影響することがあるため、水との共沸能が高く、アルコール化合物(D)から除去しやすい点で、エタノールが好ましい。
 工程(3)に供するアルコール化合物(D)の水分量は、5000ppm以下とすることが好ましく、2000ppm以下とすることがより好ましい。該水分量は、共沸させる有機溶媒の量や共沸回数により調整できる。共沸させる有機溶媒の量や共沸回数は特に限定されず、適宜選択すれば良い。また、該水分量は、カールフィッシャー水分計により測定できる。
[0057]
 単離工程の好ましい態様においては、前記酸処理工程後の反応液をpH5~9に調整して再結晶を行って、アルコール化合物(D)を単離する。該pHの値は6~8がより好ましい。pHを上記範囲に調整する方法は、例えばアンモニアやアンモニア水、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などによる中和があげられる。精製時の収率の点からアンモニアやアンモニア水による中和がより好ましい。
[0058]
<アルコール化合物>
 本実施態様によれば、ハイドロボレーション反応の後に酸処理工程を行うことにより、不純物の含有量が低いアルコール化合物(D)を得ることができる。
 本明細書において、アルコール化合物(D)中の不純物の含有量は、アルコール化合物(D)の純度90質量%以上の乾燥粉体中における含有量である。
 具体的には、化合物(ii)の含有量が9質量%未満、好ましくは6質量%以下であるアルコール化合物(D)が得られる。該アルコール化合物(D)は、化合物(i)を実質的に含まないことが好ましい。
 該アルコール化合物中の不純物の含有量は、紫外検出器(UV検出器)を用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により求めることができる。本明細書において「実質的に含まない」とは検出限界以下であることを意味する。紫外検出器(UV検出器)を用いた液体クロマトグラフィーにおける検出限界は、通常0.01質量%以下である。
 このような、不純物が極めて少ないアルコール化合物は、特にレジスト用重合体を合成するための原料として好適である。
 なお、化合物(D)、化合物(i)、(ii)には異性体が存在し得るが、本明細書において、これらの含有量は、各異性体の含有量の合計値とする。
[0059]
<ラクトン化合物の製造方法(II)>
 下式(2)または(3)で表されるラクトン化合物を製造する方法の実施態様を説明する。
 本実施態様のラクトン化合物の製造方法は、式(1)で表される化合物を水素化ホウ素ナトリウムで還元し、式(2)で表されるラクトン化合物および式(3)で表されるラクトン化合物の一方または両方を製造する方法である。
[0060]
[化13]


[0061]
(式中、R 11~R 16は、それぞれ水素原子、メチル基またはエチル基であり;A 11およびA 12は、ともに水素原子である、もしくは連結して-CH -、-CH CH -、-O-、または-S-を形成する。)
[0062]
 具体的には、下記の工程(a)~工程(c)を有する。
 (a)下記式(1)で表される化合物を水素化ホウ素ナトリウムで還元し、下記式(7)で表される化合物およびまたは下記式(8)で表される化合物を得る工程(還元工程)。
 (b)前記工程(a)で得られた反応液にpH調整剤を加えることによって、未反応の水素化ホウ素ナトリウムを分解して反応を停止するとともに、下記式(2)で表されるラクトン化合物およびまたは下記式(3)で表されるラクトン化合物を得る工程(pH調整工程)。すなわち該pH調整工程によって、(7)で表される化合物または下記式(8)で表される化合物の閉環反応を行う。
 (c)必要に応じて、前記工程(b)で得られた反応液からのラクトン化合物の抽出、水洗浄等の処理を行う工程(精製工程)。
[0063]
[化14]


[0064]
〔工程(a)〕
(式(1)で表される化合物)
 式(1)で表される化合物としては、例えば、下記の化合物が挙げられる。
[0065]
[化15]


[0066]
 式(1)で表される化合物としては、良好な反応収率で反応が進行する点から、式(4)で表される化合物が好ましい。
 式(4)において、R 11~R 16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を表す。Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表し、酸素原子またはメチレン基が好ましい。
 式(4)で表される化合物としては、例えば、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、2-メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、4,10-ジオキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカ-8-エン-3,5-ジオン等が挙げられる。
[0067]
[化16]


[0068]
  式(1)で表される化合物は、1,3-ジエンと無水マレイン酸とのディールス・アルダー付加反応で合成することができる。
 1,3-ジエンとしては、1,3-ブタジエン、シクロペンタジエン、1-メチルシクロペンタジエン、1,3-ジメチルシクロペンタジエン、1-エチルシクロペンタジエン、1-エチル-3-メチルシクロペンタジエン、1,3-ジエチルシクロペンタジエン、1,3-シクロヘキサジエン、1-メチル-1,3-シクロヘキサジエン、1,3-ジメチル-1,3-シクロヘキサジエン、1-エチル-1,3-シクロヘキサジエン、1-エチル-3-メチル-1,3-シクロヘキサジエン、1,3-ジエチル-1,3-シクロヘキサジエン、フラン、1-メチルフラン、1,3-ジメチルフラン、1-エチルフラン、1-エチル-3-メチルフラン、1,3-ジエチルフラン等が挙げられる。1,3-ジエンは、目的生成物に応じて適宜決めればよい。また、式(1)で表される化合物としては、市販品を用いてもよい。
[0069]
(水素化ホウ素ナトリウム)
 水素化ホウ素ナトリウムとしては、市販の試薬を用いることができる。水素化ホウ素ナトリウムの使用量は、転化率向上(反応収率向上)の点から、式(1)で表される化合物の1モルに対して0.7モル以上であり、0.8モル以上が好ましい。水素化ホウ素ナトリウムの使用量は、ジアルコール体の副生成を抑制する点から、式(1)で表される化合物の1モルに対して0.95モル以下であり、0.9モル以下が好ましい。
[0070]
(溶媒)
 式(1)で表される化合物の水素化ホウ素ナトリウムによる還元は、通常、溶媒中で行われる。
[0071]
 本態様において、溶媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール等)、エーテル類(ジエチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等)、エステル類(酢酸エチル、γ-ブチロラクトン等)、ニトリル類(アセトニトリル等)、アミド類(N,N―ジメチルホルムアミド、N,N―ジメチルアセトアミド等)、炭化水素類(トルエン、キシレン、ヘキサン等)等が挙げられる。溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
[0072]
 溶媒としては、反応速度が速く、水素化ホウ素ナトリウムおよび式(1)で表される化合物の溶解性が高く、ジアルコール体の副生成を抑制する点から、テトラヒドロフラン、メタノール、N,N―ジメチルホルムアミド、N,N―ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフランとアルコール類との混合溶媒、ジメトキシエタンとアルコール類の混合溶媒が好ましく、高い反応収率で目的のラクトン化合物が得られる点や、ジアルコール体の副生成を十分に抑制する点から、テトラヒドロフランとメタノールとの混合溶媒、ジメトキシエタンとアルコール類の混合溶媒が特に好ましい。
[0073]
 混合溶媒の使用量は、アルコール類の種類に応じて適宜決定されるが、通常は、反応速度の点から、水素化ホウ素ナトリウムの1モルに対して0.1モル以上が好ましく、0.5モル以上がより好ましい。混合溶媒の使用量は、水素化ホウ素ナトリウムの安定性の点から、水素化ホウ素ナトリウムの1モルに対して20モル以下が好ましく、10モル以下がより好ましい。
[0074]
 溶媒の使用量は、反応速度の点から、式(1)で表される化合物の1質量部に対して100質量部以下が好ましく、33質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。溶媒の使用量は、反応液の粘性悪化の抑制の点から、式(1)で表される化合物の1質量部に対して0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。
[0075]
(還元反応)
 工程(a)における還元反応は、例えば、反応器に水素化ホウ素ナトリウムおよび溶媒を仕込み、これに溶媒に溶解した式(1)で表される化合物を連続的または間欠的に滴下することによって進行させることができる。また、反応器に式(1)で表される化合物および溶媒を仕込み、これに水素化ホウ素ナトリウムまたはその懸濁液を連続的または間欠的に滴下することによっても進行させることができる。
 なお、溶媒を2種以上併用して用いる場合、各々の溶媒は別途滴下してもよく、混合して加えてもよい。
[0076]
(反応条件)
 最適な反応温度は、原料溶液の滴下速度や濃度によって変化するが、反応温度は、通常は、反応速度の点から、-50℃以上が好ましく、-40℃以上がより好ましく、-30℃以上がさらに好ましい。反応温度は、副反応防止の点から、100℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、40℃以下がさらに好ましい。
[0077]
 滴下時間は、温度制御の容易さの点から、0.1時間以上が好ましく、0.2時間以上がより好ましく、0.5時間以上がさらに好ましい。滴下時間は、反応液の粘性悪化の抑制の点から、30時間以下が好ましく、20時間以下がより好ましく、10時間以下がさらに好ましい。該滴下時間は、0.1~30時間が好ましく、0.2~20時間がより好ましく、0.5~10時間がさらに好ましい。
 必要に応じて、滴下終了後に20時間以内の熟成時間を設けることもできる。
[0078]
 反応は、水分の混入を可能な限り避けながら行う。そのためには、反応器および原料溶液の受器を不活性ガス雰囲気としておくことが好ましい。不活性ガスとしては、反応の円滑な進行を阻害しないものであればよく、ヘリウムガス、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。
[0079]
〔工程(b)〕
(pH調整剤)
 pH調整剤としては、少なくとも酸が用いられる。酸としては、例えば、鉱酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等)、酸性イオン交換樹脂等が挙げられる。pH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。pH調整剤としては、大量合成の取り扱いやすさ等の点から、硫酸が好ましい。
[0080]
 pH調整剤を水と混合して滴下する場合、混合物中のpH調整剤の濃度(質量百分率)は、分子内環化反応が効率よく進行する点から、0.1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。pH調整剤の濃度(質量百分率)は、発泡防止の点から、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
 該pH調整剤の濃度は0.1~70質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましい。
[0081]
(pH調整剤の添加)
 工程(b)においては、工程(a)で得られた反応液にpH調整剤および水を添加し、該反応液の水相を酸性にすることで還元反応を停止する。pH調整剤の使用量は、pH調整剤添加後の水相のpH(20℃におけるpH)に応じて適宜調節する。該pHは、ラクトン化合物の加水分解体生成抑制の点から、4.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.0以下がさらに好ましい。また、該pHは、0.1以上とする。これにより、式(2)で表されるラクトン化合物およびまたは式(3)で表されるラクトン化合物が得られる。該pHは、効率的な酸の除去を行う点から、1.0以上が好ましい。
 該pH調整剤添加後の水相のpHは、0.1~4.0が好ましく、1.0~3.0がより好ましく、1.0~2.0がさらに好ましい。
[0082]
 pH調整剤の添加終了後、必要に応じて、0.01時間以上50時間以内の保持時間を設けることが好ましい。これにより、分子内環化反応をより効率よく進行させることができる。該保持時間は、0.1~40時間がより好ましい。
[0083]
(ラクトン化合物)
 式(2)で表されるラクトン化合物または式(3)で表されるラクトン化合物としては、例えば、下記の化合物が挙げられる。
[0084]
[化17]


[0085]
[化18]


[0086]
 式(2)で表されるラクトン化合物としては、収率がよい点から、式(5)で表されるラクトン化合物が好ましい。式(3)で表されるラクトン化合物としては、収率がよい点から、式(6)で表されるラクトン化合物が好ましい。
 式(5)において、R 11~R 16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表す。
[0087]
[化19]


[0088]
〔工程(c)〕
 ラクトン化合物の抽出は、該ラクトン化合物を溶解する有機溶媒を用いて実施できる。
 抽出に用いる有機溶媒としては、エーテル類(ジメチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等)、ケトン類(メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、エステル類(酢酸エチル等)等が挙げられる。有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
[0089]
 有機溶媒の使用量は、特に限定されないが、抽出効率の点から、ラクトン化合物に対して0.05倍量以上20倍以下が好ましい。
 抽出は、複数回実施してもよい。
[0090]
 反応液または抽出液を水で洗浄すると、pH調整剤として用いた酸等を低減できる。
 反応液または抽出液を得た後、蒸留、再結晶、クロマトグラフィ等の方法により目的のラクトン化合物を精製してもよい。純度が高い場合は必ずしも精製する必要はなく、例えば、抽出液を濃縮することによって目的のラクトン化合物を得てもよい。
[0091]
〔作用効果〕
 以上説明した本態様のラクトン化合物の製造方法にあっては、水素化ホウ素ナトリウムの使用量を式(1)で表される化合物に対して0.7~0.95倍モルとしたことにより、ジアルコール体の副生成を抑えつつ、炭素-炭素二重結合を有するラクトン化合物を高収率で製造できる。具体的には、本発明のラクトン化合物の製造方法によれば、ジアルコール体の副生成を1質量%未満に抑制できる。
[0092]
 このようなジアルコール体の副生成が抑えられた、炭素-炭素二重結合を有するラクトン化合物に、(メタ)アクリル酸等の重合性カルボン酸を付加させ、ラクトン骨格含有(メタ)アクリル酸エステルを合成した場合、ジエステル化体の副生成が抑制され、ラクトン骨格含有(メタ)アクリル酸エステルを高収率で製造することが可能となる。そして、ジエステル化体が他のモノマーと共重合し、高分子化合物の一部が架橋することによって起こるディフェクト(現像欠陥)が大幅に低減されたレジスト材料を得ることが可能になる。
 本実施態様の製造方法で得られた、炭素-炭素二重結合を有するラクトン化合物は、レジスト材料に用いられる高分子化合物の原料であるラクトン骨格含有(メタ)アクリル酸エステルの原料として有用である。
[0093]
(ジアルコール体)
 本発明のラクトン化合物の製造方法において、副生成が抑制されるジアルコール体は、下記式(9)で表される化合物である。
[0094]
[化20]


[0095]
 式中、R 11~R 16、A 11およびA 12は、式(1)と同様である。
 式(9)で表される化合物としては、例えば、下記の化合物が挙げられる。
[0096]
[化21]


[0097]
<(メタ)アクリル酸エステルの製造方法>
 (メタ)アクリル酸エステル(A)の製造方法の実施態様を説明する。
 本実施態様の製造方法は、下記一般式(A)で表される(メタ)アクリル酸エステルの製造方法であって、下記工程(1)~(3)を含む。
 工程(1):下記一般式(B)で表される化合物(酸無水物化合物(B)ということもある。)から還元反応により下記一般式(C)で表される化合物(ラクトン化合物(C)ということもある。)を得る工程。
 工程(2):ラクトン化合物(C)からハイドロボレーション反応により下記一般式(D)で表される化合物(アルコール化合物(D)ということもある。)を得る工程。
 工程(3):アルコール化合物(D)からエステル化反応により式(A)で表される化合物(A)を得る工程。
[0098]
[化22]


[0099]
[式中、R は水素原子またはメチル基を表し、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表す。]
 式(A)~(D)において、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基が好ましい。一分子中のメチル基およびエチル基の合計数は0~6個のいずれでもよいが、化合物(D)に由来する構成単位を有する重合体をレジスト用樹脂として用いる場合、0~2個が好ましく、0~1個が特に好ましい。Xは酸素原子またはメチレン基が好ましい。
[0100]
[工程(1)(還元工程)]
 工程(1)は、酸無水物化合物(B)から還元反応によりラクトン化合物(C)を得る工程である。
 本工程は前述のラクトン化合物の製造方法(II)で行うことが好ましい。なお、式(B)は、式(1)においてA 11とA 12とが連結している場合に該当する。
 または以下のラクトン化合物の製造方法(III)でも行うことができる。
[0101]
〔ラクトン化合物の製造方法(III)〕
 酸無水物化合物(B)は、例えば無水マレイン酸と、フラン等の1,3-ジエンとのDiels-Alder反応などの公知の方法で容易に合成可能である。また、市販品を使用することもできる。1,3-ジエンは前記ラクトン化合物の製造方法(II)と同様である。
[0102]
 還元反応は、還元剤を用いて行われる。本工程に使用する還元剤としては、金属水素化物、金属水素錯化合物等が挙げられる。これらの化合物としては、特に限定するものではないが、例えばボラン・ジメチルスルフィド、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化トリ-s-ブチルホウ素リチウム、水素化トリ-s-ブチルホウ素カリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化トリ-t-ブトキシアルミニウムリチウム、水素化ビス(メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、副反応の抑制および取り扱いの容易さから、水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
 還元剤の使用量としては、反応を完結させるためには、酸無水物化合物(B)に対して0.5モル当量以上が好ましく、副反応を抑制するためには、酸無水物化合物(B)に対して1.5モル当量以下であることが好ましい。0.7~0.95モル当量がより好ましい。
[0103]
 還元反応は通常、溶媒の存在下で実施する。還元反応に用いられる溶媒としては、非プロトン性極性溶媒が好ましい。非プロトン性極性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒、トルエン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは1種を用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
 非プロトン性極性溶媒として、酸無水物化合物(B)の還元反応が速やかに進行する点で、DMF、DMAcから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、DMAcを含むことが特に好ましい。
[0104]
 酸無水物化合物(B)の還元反応により、下記一般式(E)で表される化合物(ラクトン化合物(C)のラクトン環が開環した化合物。以下、化合物(E)と示す)が得られる。したがって、ラクトン化合物(C)を得るためには、酸で閉環反応させる必要がある。
 つまり、工程(1)においては、酸無水物化合物(B)の還元反応と、その反応生成物(化合物(E))に対する酸を用いた閉環反応を行うことでラクトン化合物(C)を得ることができる。
 閉環反応に用いられる酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸等が挙げられる。また、酸性イオン交換樹脂を用いることもできる。
 この際、収率よく閉環させるためには、酸添加後の反応溶液の20℃におけるpHは2.0以下であることが好ましい。
[0105]
[化23]


[0106]
[式中、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表す。]
[0107]
 このようにして得られた反応溶液から、ラクトン化合物(C)を取り出すためには、通常、有機溶媒による抽出を行う。この際に使用される有機溶媒は、水と分離可能であって、ラクトン化合物(C)を溶解するものであれば特に限定されないが、例えばメチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、t-ブチルメチルエーテル(MTBE)等が挙げられる。
 ラクトン化合物(C)は、抽出に使用した溶媒を留去したものをそのまま次の工程に用いてもよく、精製してから次の工程に用いてもよい。精製方法は特に限定されず、カラムクロマトグラフィー、晶析、蒸留等の通常の精製方法から適宜選択すればよい。
[0108]
[工程(2)(ハイドロボレーション工程)]
 工程(2)は、ラクトン化合物(C)からハイドロボレーション反応によりアルコール化合物(D)を得る工程である。
 本工程は、上述のアルコール化合物の製造方法(I)により行う。
[0109]
[工程(3)(エステル化工程)]
 エステル化工程は、工程(2)で得られたアルコール化合物(D)からエステル化反応により化合物(A)を得る工程である。
 エステル化反応の方法は、通常行われる公知のエステル化反応であれば問題なく進行し、特に限定されないが、例えば酸触媒または縮合剤の存在下で(メタ)アクリル酸とアルコール化合物(D)を反応させる方法、塩基存在下で(メタ)アクリル酸ハロゲン化物または(メタ)アクリル酸無水物とアルコール化合物(D)を反応させる方法、金属触媒存在下で(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルとアルコール化合物(D)を反応させエステル交換する方法等が挙げられる。
 収率の点から、塩基存在下で(メタ)アクリル酸ハロゲン化物または(メタ)アクリル酸無水物とアルコール化合物(D)を反応させる方法、金属触媒存在下で(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルとアルコール化合物(D)を反応させエステル交換する方法が好ましく、着色が少ない点及び不純物の生成量が少ない点から、(メタ)アクリル酸無水物とアルコール化合物(D)を反応させる方法がより好ましい。
[0110]
 得られた化合物(A)は、適宜精製して用いてもよい。精製の方法としては特に限定されないが、カラムクロマトグラフィー、晶析等が挙げられる。
 好適な態様において、エステル化反応後の反応液を、非極性溶媒に溶解し、アルカリ水溶液および/または水で洗浄した後、再結晶を行うことが好ましい。
 再結晶の後、さらに極性の低い溶媒を添加すると、収量の増加の点で好ましい。
 例えば、再結晶を行う際の非極性溶媒として、トルエンを用い、その後のさらに極性の低い溶媒としてヘキサンまたはヘプタンを用いることが好ましい。
[0111]
<(メタ)アクリル酸エステル>
 本実施態様によれば、工程(3)において、工程(2)で得られたアルコール化合物(D)から化合物(A)を製造することにより、不純物の含有量が低い(メタ)アクリル酸エステル(A)を得ることができる。
 具体的には、式(iii)で表される化合物の含有量が9質量%未満、好ましくは6質量%以下である(メタ)アクリル酸エステル(A)が得られる。
 本明細書において、(メタ)アクリル酸エステル(A)中の式(iii)の含有量は、式(iii)を除いた(メタ)アクリル酸エステル(A)を100質量%としたときの含有割合である。
[0112]
[化24]


[0113]
[式中、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表し、R はアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。]
 式(iii)におけるA ~A およびXは、好ましい態様も含めて式(A)におけるA ~A およびXとそれぞれ同様である。
[0114]
 (メタ)アクリル酸エステル中の化合物(iii)の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により求めることができる。
 なお化合物(iii)には異性体が存在し得るが、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステル中の不純物としての化合物(iii)の含有量は、これら異性体の含有量の合計値とする。
[0115]
 化合物(iii)は、化合物(ii)に由来すると考えられる。したがって、不純物である化合物(ii)の含有量が少ないアルコール化合物を用いて(メタ)アクリル酸エステルを製造することによって、不純物としての化合物(iii)の含有量が少ない(メタ)アクリル酸エステルを得ることができる。
 式(iii)で表される化合物は、3官能であるため、重合体を製造する際に架橋を生じる。かかる架橋が多く生じると設計通りの分子量分布が得られなくなる。
 後述の実験例に示されるように、単量体の一部として(メタ)アクリル酸エステル(A)を用いて得られる重合体において、(メタ)アクリル酸エステル(A)に対して化合物(iii)の含有量が9質量%以上になると、重合体の平均分子量が顕著に増大する。すなわち、不純物としての化合物(iii)の含有量を(メタ)アクリル酸エステル(A)に対して9質量%未満とすることによって、重合体製造における不純物による影響を良好に低減させることができる。
[0116]
 また、本実施態様によれば、式(A’)で表される(メタ)アクリル酸エステル(A’)であって、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるクロマトグラムにおいて、保存時に分解してメタクリル酸を発生する分子量308の不純物(X)のピーク面積が、目的物である(メタ)アクリル酸エステル(A’)のピーク面積に対して0.3%以下、好ましくは0.2%以下である、(メタ)アクリル酸エステル(A’)が得られる。
 式(A’)におけるR は、式(A)におけるR と同様である。
[0117]
[化25]


[0118]
 上記不純物(X)は、以下のHPLC条件において、16.8分付近に検出される化合物である。
 カラム:Zorbax XDB-C18 3.5μm、2.1mm×150 mm(アジレント・テクノロジー株式会社製)。
 移動相:水/アセトニトリル グラジエント 90/10→0/100(30分)。
 検出器:UV(210nm)。
[0119]
 HPLCクロマトグラムにおけるピーク面積は含有量と相関する。
 「保存時に分解してメタクリル酸を発生する」とは、(メタ)アクリル酸エステル(A’)を、例えば-100℃以上、分解温度以下の温度範囲、好ましくは-20~10℃で保存して、HPLCにより分子量308の不純物(X)とメタクリル酸の含有量の経時変化を測定した場合に、不純物(X)の含有量が経時的に減少し、かつメタクリル酸の含有量が経時的に増加することを意味する。
 かかる不純物(X)は、下記式(iv)で表される化合物であると推定される。
[0120]
[化26]


[0121]
 かかる不純物(X)が含まれている(メタ)アクリル酸エステル(A’)は、これを単量体として用いて得られる重合体が、不純物としてメタクリル酸を含む重合体となりやすい。特に化学増幅型のレジスト用重合体にあっては、メタクリル酸が含まれていると、レジストとしての性能低下の一因となりやすい。
 (メタ)アクリル酸エステル(A’)中の、不純物(X)の含有量を低減することにより、性能に優れた(メタ)アクリル酸エステル(A’)が得られる。
[0122]
 また、本実施態様によれば、式(A’)で表される(メタ)アクリル酸エステル(A’)であって、(メタ)アクリル酸エステル(A’)に対してメタクリル酸の含有量が0.04倍モル以下であり、かつ高速液体クロマトグラフィーによるクロマトグラムにおいて、保存時に分解してメタクリル酸を発生する分子量308の不純物(X)のピーク面積が、前記(メタ)アクリル酸エステル(A’)のピーク面積に対して0.3%以下、好ましくは0.2%以下である、(メタ)アクリル酸エステルが得られる。
 (メタ)アクリル酸エステル(A’)中の、不純物(X)とメタクリル酸の含有量の合計量を低減することにより、性能に優れた(メタ)アクリル酸エステル(A’)が得られる。
[0123]
 また、本実施態様によれば、不純物として式(v)で表される化合物の含有量が9質量%未満、好ましくは6質量%以下である、(メタ)アクリル酸エステル(A)が得られる。
 本明細書において、(メタ)アクリル酸エステル(A)中の化合物(v)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル(A)の純度90質量%以上の乾燥粉体中における含有量である。
 式(v)において、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表し、R は水素原子、アクリロイル基、またはメタクリロイル基を表す。
[0124]
[化27]


[0125]
 式(v)で表される化合物の含有量は、式(ii)で表される化合物と、式(iii)で表される化合物の合計量である。
 (メタ)アクリル酸エステル中の化合物(ii)または化合物(iii)の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により求めることができる。
 なお化合物(v)には異性体が存在し得るが、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステル中の不純物としての化合物(v)の含有量は、これら異性体の含有量の合計値とする。
 (メタ)アクリル酸エステル中の、式(v)で表される化合物の含有量を低減することにより、性能に優れた(メタ)アクリル酸エステルが得られる。
[0126]
<重合体(P)>
 重合体(P)の実施態様を説明する。
 本実施態様の重合体(P)は、1種以上の単量体を重合させて得られる重合体であって、前記単量体が、上記不純物の含有量が特定の量以下である(メタ)アクリル酸エステル(A)または(A’)の1種以上を含む。
 該不純物の含有量が特定の量以下である(メタ)アクリル酸エステル(A)または(A’)とは、上記化合物(iii)の含有量が特定の量以下である(メタ)アクリル酸エステル(A)、上記不純物(X)の含有量が特定の量以下である(メタ)アクリル酸エステル(A’)、上記不純物(X)とメタクリル酸の合計の含有量が特定の量以下である(メタ)アクリル酸エステル(A’)、または化合物(v)の含有量が特定の量以下である(メタ)アクリル酸エステル(A)である。
[0127]
 重合体(P)は、単独重合体でもよく、共重合体でもよい。共重合体は、ランダム共重合体であっても、交互共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
 共重合体である場合、2種以上の単量体を重合させて得られる重合体であって、前記単量体が、上記不純物の含有量が特定の量以下である(メタ)アクリル酸エステル(A)または(A’)の1種以上を含むことが好ましい。
[0128]
 本実施態様の重合体(P)は、例えば、レジスト組成物用、特に化学増幅型レジスト組成物用に好適である。以下、重合体(P)が化学増幅型レジスト組成物用の共重合体である場合について説明する。
[0129]
 化学増幅型レジスト組成物用樹脂には、酸によりアルカリ水溶液に可溶となる性質と、ドライエッチング耐性とが要求される。上記式(A)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を有する重合体は、酸によりアルカリ水溶液に可溶となる性質と高いドライエッチング耐性とを有し、さらには優れた有機溶媒に対する溶解性をも有する。また、このような重合体に、酸の作用で脱離しやすい官能基を有する構造や、環状炭化水素基等の高いドライエッチング耐性を有する構造を導入してもよい。
[0130]
 酸の作用で脱離しやすい官能基を有する構造としては、例えば、アセチル基、t-ブチル基、テトラヒドロピラニル基、メチルアダマンチル基、エチルアダマンチル基等によりヒドロキシ基やカルボキシ基を保護した構造が挙げられる。
[0131]
 酸の作用で脱離しやすい官能基を有する構造、または、高いドライエッチング耐性を有する構造を導入するためには、上記式(A)で示される単量体と、このような構造を有する単量体とを共重合すればよい。
[0132]
 このような構造を有する単量体としては、例えば、これまで化学増幅型レジスト組成物用樹脂の原料単量体として知られているものが使用可能である。本実施態様の重合体(P)に用いる原料単量体は、リソグラフィーに使用される光源によって任意に選択される。
[0133]
 例えば、KrFエキシマレーザーや電子線を光源とする場合は、その高いエッチング耐性を考慮して、上記式(A)で示される単量体とp-ヒドロキシスチレンあるいはその誘導体とを共重合した重合体(P)が好適に用いられる。この場合、重合体(P)の全構成単位に対する、上記式(A)で示される単量体に由来する構成単位の比率は、1~50モル%が好ましく、1~25モル%がより好ましい。
[0134]
 ArFエキシマレーザーを光源とする場合は、上記式(A)で示される単量体と環状炭化水素基を有する単量体とを共重合した重合体(P)が好適である。環状炭化水素基を有する単量体を共重合することにより、高い光線透過率、高いエッチング耐性が得られやすい。
 この場合、重合体(P)中の上記式(A)で示される単量体に由来する構成単位の比率は、1~50モル%が好ましく、1~25モル%がより好ましい。
[0135]
 中でも、上記式(A)で示される単量体と環状炭化水素基を有する単量体と親水性官能基を有する単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合体、上記式(1)で示される単量体と環状炭化水素基を有する単量体と無水マレイン酸とを共重合して得られるアクリル系共重合体、または、上記式(A)で示される単量体と環状炭化水素基を有する単量体とγ-ブチロラクトン構造等のラクトン構造を有する単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合体が好適である。環状炭化水素基を有する単量体と親水性官能基を有する単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合体、環状炭化水素基を有する単量体と無水マレイン酸とを共重合して得られるアクリル系共重合体、または、環状炭化水素基を有する単量体とラクトン構造を有する単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合体は、ArFエキシマレーザーリソグラフィー用樹脂として好適であることが知られている。このような重合体に上記式(A)で示される単量体単位を導入することにより、ドライエッチング耐性が向上し、ドライエッチング後のレジスト表面荒れの少ない、優れたレジストパターンが得られる。
[0136]
 環状炭化水素基を有する単量体単位は、これを含む重合体に高いドライエッチング耐性を付与するものである。特に、酸により脱離する保護基(環状炭化水素基が直接保護基になっていてもよい。)を含有するものは、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたフォトリソグラフィーにおける高い感度も付与することができる。環状炭化水素基を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
[0137]
 環状炭化水素基を有する単量体単位としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、および、これらの単量体の環状炭化水素基上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体が好ましい。
[0138]
 親水性官能基を有する単量体単位は、これを含む重合体に基板に対する密着性を付与するものである。特に、酸により脱離する保護基を含有するものは、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたフォトリソグラフィーにおける高い感度も付与することができる。親水性官能基としては、例えば、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基、アミノ基、アルキル置換エーテル基(好ましくは炭素数4以下のアルキル置換エーテル基)、δ-バレロラクトニル基、γ-ブチロラクトニル基等を挙げることができる。なお、上記の親水性官能基には、通常、疎水性に含まれるものもあるが、リソグラフィー工程において必要な親水性が得られればよいので、上記のものが含まれる。親水性官能基を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
[0139]
 親水性官能基を有する単量体単位としては、(メタ)アクリル酸、末端ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート、アルキル置換エーテル基を有する(メタ)アクリレート、δ-バレロラクトニル基を有する(メタ)アクリレート、γ-ブチロラクトニル基を有する(メタ)アクリレート、および、(メタ)アクリル酸を除くこれらの単量体の親水性官能基上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基等の置換基を有する誘導体が好ましい。
[0140]
 ラクトン構造を有する単量体単位は、これを含む重合体に高いドライエッチング耐性、および、基板に対する密着性を付与するものである。ラクトン構造を有する単量体単位は、必要に応じて、1種としても、2種以上としてもよい。
 ラクトン構造を有する単量体単位としては、4~8員環のα-メチレンラクトン、および、そのラクトン環炭素上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体が好ましい。
[0141]
 化学増幅型レジスト組成物用樹脂として、化合物(A)に由来する構成単位1~60モル%と、環状炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位1~60モル%と、親水性官能基を有する単量体に由来する構成単位1~60モル%、ラクトン構造を有する構成単位1~60モル%からなるアクリル系共重合体が好ましい。
[0142]
 化学増幅型レジスト組成物用樹脂として用いる重合体(P)の場合、重合体(P)の質量平均分子量は特に限定されないが、1,000~100,000が好ましく、3,000~30,000がより好ましい。質量平均分子量が大きいほどドライエッチング耐性が向上してレジスト形状がよくなる傾向があり、また、質量平均分子量が小さいほどレジスト溶液に対する溶解性が向上して解像度が向上する傾向がある。
[0143]
<重合体(P)の製造方法>
 本実施態様の重合体(P)は公知の重合法により製造することができるが、簡便に製造できるという点で、あらかじめ単量体および重合開始剤を有機溶剤に溶解させた単量体溶液を一定温度に保持した有機溶剤中に滴下する、いわゆる滴下重合法により製造することが好ましい。
[0144]
 滴下重合法に用いられる有機溶剤としては特に限定されないが、単量体および得られる共重合体のいずれも溶解できる溶剤が好ましく、例えば、1,4-ジオキサン、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、乳酸エチル等が挙げられる。なお、有機溶剤の使用量は特に限定されず、適宜決めればよい。
[0145]
 滴下重合法に用いられる重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物等が挙げられる。また、n-ブチルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン等のメルカプタン類を連鎖移動剤として用いてもよい。なお、重合開始剤および連鎖移動剤の使用量は特に限定されず、適宜決めればよい。
[0146]
 滴下重合法における重合温度は特に限定はされないが、通常、50~150℃の範囲であることが好ましい。滴下時間は特に限定されないが、通常、6時間以上であることが好ましい。また、さらに滴下終了後1~3時間程度その温度を保持し、重合を完結させることが好ましい。
[0147]
 滴下重合法によって製造された重合体溶液は、必要に応じてテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等の良溶媒で適当な溶液粘度に希釈した後、ヘプタン、メタノール、水等の多量の貧溶媒中に滴下して重合体を析出させる。その後、その析出物を濾別し、十分に乾燥して本実施態様の重合体(P)を得る。
[0148]
 重合溶液を多量の貧溶媒中に滴下して重合体を析出させる工程は再沈殿と呼ばれ、重合溶液中に残存する未反応の単量体や重合開始剤等を取り除くために非常に有効である。これらの未反応物等は、そのまま残存しているとレジスト性能に悪影響を及ぼす可能性があるため、できれば取り除くことが好ましい。この再沈殿工程は、場合により不要となることもある。
[0149]
<レジスト組成物>
 レジスト組成物の実施態様を説明する。
 本実施態様のレジスト組成物は、上記重合体(P)(上記実施態様の化学増幅型レジスト組成物用樹脂)および活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有する化学増幅型レジスト組成物である。重合体(P)は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
 レジスト組成物(溶剤を除く)に対して、重合体(P)の含有量は、特に限定されないが、70~99.8質量%が好ましい。
[0150]
 本実施態様のレジスト組成物に用いる光酸発生剤は、レジスト組成物の酸発生剤として使用可能なものの中から任意に選択することができる。光酸発生剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
[0151]
 光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられる。中でも、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等のオニウム塩化合物を用いることが好ましい。
[0152]
 光酸発生剤の使用量は、用いる光酸発生剤の種類等により適宜決められるが、通常、重合体(P)100質量部に対して0.1~20質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましい。光酸発生剤の使用量が上記範囲の下限値以上であると、露光により発生した酸の触媒作用による化学反応を十分に生起させやすい。また、上記範囲の上限値以下であると、レジスト組成物の安定性が向上し、組成物を塗布する際の塗布むらや現像時のスカム等の発生が十分に少なくなりやすい。
[0153]
 本実施態様のレジスト組成物に用いる溶剤は目的に応じて任意に選択されるが、溶剤の選択は樹脂の溶解性以外の理由、例えば、塗膜の均一性、外観あるいは安全性等からも制約を受けることがある。
[0154]
 本実施態様において通常使用される溶剤としては、例えば、2-ペンタノン、2-ヘキサノン等の直鎖状ケトン類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の環状ケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルアセテート類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル類、酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類、シクロヘキサノール、1-オクタノール等のアルコール類、炭酸エチレン、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
[0155]
 溶剤の使用量は、形成させるレジスト膜の厚みにもよるが、通常、重合体(P)(レジスト用重合体)100質量部に対して100~10,000質量部の範囲が好ましい。
[0156]
 さらに、本実施態様のレジスト組成物には、必要に応じて、界面活性剤、クエンチャー、増感剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤等の公知の各種添加剤を配合することもできる。これらの添加剤の配合量は特に限定されず、適宜決めればよい。
[0157]
<パターンが形成された基板の製造方法>
 パターンが形成された基板の製造方法の実施態様を説明する。
 本実施態様のパターンが形成された基板の製造方法は、上記実施態様のレジスト組成物を、基板の被加工面上に塗布してレジスト膜を形成する工程と、該レジスト膜に対して、露光する工程と、露光されたレジスト膜を現像液を用いて現像する工程とを含む。
[0158]
 具体的には、まず、パターンを形成するシリコンウエハー等の被加工基板の表面(被加工面)上に、レジスト組成物をスピンコート等により塗布する。そして、このレジスト組成物が塗布された被加工基板を、ベーキング処理(プリベーク)等で乾燥し、基板上にレジスト膜を形成する。
[0159]
 次いで、得られたレジスト膜に、フォトマスクを介して、250nm以下の波長の光を照射する(露光)。露光に用いる光は、220nm以下の波長の光、特にArFエキシマレーザーであることが好ましい。
[0160]
 光照射(露光)後、適宜ベーキング処理(PEB)し、基板をアルカリ現像液に浸漬し、レジスト膜の露光部分を現像液に溶解除去する(現像)。アルカリ現像液は公知のものいずれを用いてもよい。そして、現像後、基板を純水等で適宜リンス処理する。このようにして被加工基板上にレジストパターンが形成される。
[0161]
 このようにして、レジストパターンが形成された被加工基板は、通常、適宜ベーキング処理(ポストベーク)してレジストを強化し、レジストのない部分を選択的にエッチングする。エッチングを行った後、レジストは、通常、剥離剤を用いて除去される。
[0162]
<新規化合物>
 式(iii)で表される化合物は、新規合物である。
 式(iii)において、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基であり、水素原子またはメチル基が好ましい。1分子中のメチル基およびエチル基の合計数は0~6個のいずれでもよいが、レジスト用樹脂の単量体として用いる場合は、0~2個が好ましく、0~1個が特に好ましい。
 Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基であり、酸素原子またはメチレン基が好ましい。R はアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。
[0163]
 式(iii)で表される化合物として、下記式(iii’)で表される化合物が特に好ましい。式中、R はアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。
[0164]
[化28]


[0165]
 式(iii)で表される化合物は、酸無水物化合物(B)から還元反応により式(ii)で表される化合物(トリオール化合物)を生成させ、これをエステル化する方法で製造できる。
 還元剤としては、上記ラクトン化合物の製造方法(II)または上記工程1(還元工程)と同様の還元剤を用いることができる。反応活性の点で、水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
 還元剤の使用量は、酸無水物化合物(B)の1モルに対して1~30モルが好ましく、3~10モルがより好ましい。還元剤の使用量が上記範囲の下限値以上であると目的物の収量が低下し、上限値以下であると反応後の処理が煩雑になる。
 還元反応に用いる溶媒は、上記ラクトン化合物の製造方法(II)または上記工程1(還元工程)と同様のものを用いることができる。原料の溶解性の点でテトラヒドロフランとメタノールとの混合溶媒、またはジメトキシエタンとアルコール類の混合溶媒が特に好ましい。
 還元反応において、反応温度は-50~100℃が好ましく、-30~30℃がより好ましい。
 十分に還元反応させた後、酸を添加して中和する。得られた反応溶液から、化合物(ii)を取り出す方法は抽出、晶析、蒸留、カラム精製などいづれの方法でも良い。
[0166]
 次に化合物(ii)をエステル化して化合物(iii)を得る。エステル化反応の方法は、前記工程(3)(エステル化工程)と同様に、通常行われる公知のエステル化反応方法で行うことができる。例えば、塩基存在下で(メタ)アクリル酸ハロゲン化物または(メタ)アクリル酸無水物と化合物(iii)を反応させる方法を用いることができる。
[0167]
<重合体(Q)>
 化合物(iii)を単量体として用いた重合体(Q)の実施態様を説明する。
 本実施態様の重合体(Q)は、1種以上の単量体を重合させて得られる重合体であって、前記単量体のうちの少なくとも1種が化合物(iii)である。
 重合体(Q)は、単独重合体でもよく、共重合体でもよい。共重合体は、ランダム共重合体であっても、交互共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
 共重合体である場合、2種以上の単量体を重合させて得られる重合体であって、前記単量体が、化合物(iii)と、それ以外の(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましい。
 化合物(iii)と共重合させる(メタ)アクリル酸エステルは特に限定されず、用途等に応じて適宜選択できる。
 重合体(Q)の全構成単位に対して、化合物(iii)に由来する単量体単位は1~100モル%が好ましく、3~100モル%がより好ましく、5~100モル%がさらに好ましい。
[0168]
<重合体(Q)の製造方法>
 本実施態様の重合体(Q)は公知の重合法により製造することができる。前記重合体(P)と同様の重合法を用いることができる。
[0169]
 化合物(iii)に由来する構成単位を有する重合体(Q)は、優れた硬化性、耐水性、可とう性、耐アルカリ性を有し、さらにその特異な立体構造により、エーテル結合がポリマー鎖の外側に来ることにより基盤への密着性を上げることが可能である。また、この構造により重合体の異性体比を制御することにより、重合体の立体規則性を制御することが可能である。
実施例
[0170]
 以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施例に用いた反応試薬および単量体は、特に記載がないものについては市販品を精製することなくそのまま用いた。
 pHは、pH計(METTLER TOLEDO社製 セブンイージーKS)により測定した。
[0171]
{酸無水物化合物(B)の製造例}
〔合成例B1〕
[0172]
[化29]


[0173]
 滴下ロート、温度計、塩化カルシウム管、攪拌子を備えたフラスコに、無水マレイン酸(98.06g、1mmol)、トルエン(400mL)を添加して攪拌を開始した。さらに20℃でフラン(68.07g、1mmol)を滴下した後、20℃で16時間攪拌した。反応終了後に析出した結晶を吸引ろ過することで酸無水物化合物(B-1)(128.58g、収率77.4%)を得た。
[0174]
{ラクトン化合物(C)の製造例}
 以下の測定方法を用いた。
(HPLC測定)
 目的物である4-オキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デセン-3-オン、原料である5-ノルボルネン-2,3-カルボン酸無水物、および副生成物である(3-ヒドロキシメチル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの濃度の測定は、下記の条件にてHPLCで行った。
 カラム:イナートシルODS-3V(4.6φ×250mm)ジーエルサイエンス社製、
 移動相:0.1質量%のリン酸水溶液とアセトニトリルとを質量比50:50で混合した溶液、
 流速:1.0mL/min、
 検出器:示差屈折率検出器(RI検出器)、
 カラム温度:40℃。
[0175]
 原料である4,10-ジオキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカ-8-エン-3,5-ジオン、目的物である4,10-ジオキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカ-8-エン-3-オン、および副生成物である(3-ヒドロキシメチル-7-オキサ-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの濃度の測定は、下記の条件にてHPLCで行った。
 カラム:YMC Pack Pro C18(4.6φ×150mm)
 移動相:0.1質量%のリン酸水溶液とMeOHとを質量比95:5で混合した溶液、
 流速:0.5mL/min、
 検出器:示差屈折率検出器(RI検出器)、
 カラム温度:40℃。
[0176]
 5-ノルボルネン-2,3-カルボン酸無水物の濃度は、下記の式によって求めた。
 (5-ノルボルネン-2,3-カルボン酸無水物の面積)/(5-ノルボルネン-2,3-カルボン酸無水物の面積+4-オキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デセン-3-オンの面積+(3-ヒドロキシメチル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの面積)×100
[0177]
 4-オキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デセン-3-オンの濃度は、下記の式によって求めた。
 (4-オキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デセン-3-オンの面積)/(5-ノルボルネン-2,3-カルボン酸無水物の面積+4-オキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デセン-3-オンの面積+(3-ヒドロキシメチル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの面積)×100
[0178]
 (3-ヒドロキシメチル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの濃度は、下記の式によって求めた。
 ((3-ヒドロキシメチル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの面積)/(5-ノルボルネン-2,3-カルボン酸無水物の面積+4-オキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デセン-3-オンの面積+(3-ヒドロキシメチル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの面積)×100
[0179]
 4,10-ジオキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカ-8-エン-3,5-ジオンの濃度は、下記の式によって求めた。
 (4,10-ジオキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカ-8-エン-3,5-ジオンの面積)/(4,10-ジオキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカ-8-エン-3,5-ジオンの面積+4,10-ジオキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカ-8-エン-3-オンの面積+(3-ヒドロキシメチル-7-オキサ-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの面積)×100
[0180]
 4,10-ジオキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカ-8-エン-3-オンの濃度は、下記の式によって求めた。
 (4,10-ジオキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカ-8-エン-3-オンの面積)/(4,10-ジオキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカ-8-エン-3,5-ジオンの面積+4,10-ジオキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカ-8-エン-3-オンの面積+(3-ヒドロキシメチル-7-オキサ-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの面積)×100
[0181]
 ((3-ヒドロキシメチル-7-オキサ-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの濃度は、下記の式によって求めた。
 ((3-ヒドロキシメチル-7-オキサ-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの面積)/(4,10-ジオキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカ-8-エン-3,5-ジオンの面積+4,10-ジオキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカ-8-エン-3-オンの面積+(3-ヒドロキシメチル-7-オキサ-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの面積)×100
[0182]
H-NMR測定)
  H-NMRは、超伝導FT-NMR(日本電子社製、JNM-GX270型)を用いて、約5質量%の(3-ヒドロキシメチル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの溶液(重水素化クロロホルム溶液)または(3-ヒドロキシメチル-7-オキサ-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの溶液(重水素化クロロホルム溶液)を直径5mmφのサンプル管に入れ、観測周波数:270MHz、シングルパルスモードにて、 H 32回の積算を行った。溶媒に用いる重水素化クロロホルムは、試料調整直前にアンプル瓶を開封して用いた。測定温度は20℃で行った。
[0183]
〔実施例C1〕
 容量50mLの側管付き滴下ロート、温度計および逆流冷却器を付した容量50mLの三頸丸底フラスコ(反応器)に磁気撹拌子を入れ、窒素ガスを流しながら加熱乾燥した。ここに順次、テトラヒドロフラン(以下、THFと記す。)の2.07gと水素化ホウ素ナトリウムの0.62g(0.016mol)を仕込んだ。滴下ロートに、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物(式(4)におけるR 11~R 16がすべて水素原子であり、Xがメチレン基である化合物)の3.00g(0.018mol)、THFの9.68g、メタノールの0.59g(0.061mol)を仕込み、溶解させた。反応器を氷浴で5℃に冷却し、撹拌しつつ、滴下ロートから原料溶液を15分で滴下した。その間、反応液の温度は10~15℃に保たれた。
[0184]
 滴下終了後、反応液の温度を13~17℃に保ちながら撹拌を続け、滴下終了から30分後、90分後、150分後に反応液の0.2mLを10mLメスフラスコに分取した。分取した反応液の質量を計り、続いて0.2mLの30質量%硫酸水溶液を加え、よく撹拌した。その後、HPLCの移動相を加えて10mLにメスアップし、よく撹拌した後にHPLCにて分析した。結果を表1に示す。
[0185]
〔実施例C2〕
 実施例C1において、三頸丸底フラスコ(反応器)に仕込んだTHFを1.83gに、水素化ホウ素ナトリウムを0.55g(0.015mol)に変更した以外は、実施例C1と同様の反応操作および後処理操作を行なった。結果を表1に示す。
[0186]
〔実施例C3〕
 実施例C1において、三頸丸底フラスコ(反応器)に仕込んだTHFを2.19gに、水素化ホウ素ナトリウムを0.65g(0.017mol)に変更した以外は、実施例C1と同様の反応操作および後処理操作を行なった。結果を表1に示す。
[0187]
〔比較例C1〕
 実施例C1において、三頸丸底フラスコ(反応器)に仕込んだTHFを1.60gに、水素化ホウ素ナトリウムを0.48g(0.013mol)に変更した以外は、実施例C1と同様の反応操作および後処理操作を行なった。結果を表1に示す。
[0188]
〔比較例C2〕
 実施例C1において、三頸丸底フラスコ(反応器)に仕込んだTHFを2.30gに、水素化ホウ素ナトリウムを0.69g(0.018mol)に変更した以外は、実施例C1と同様の反応操作および後処理操作を行なった。結果を表1に示す。
[0189]
〔実施例C4〕
 実施例C1において、三頸丸底フラスコ(反応器)に仕込んだTHFをDME6.97gに、水素化ホウ素ナトリウムを0.70g(0.018mol)に変更し、滴下ロートに仕込んだ5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物を4,10-ジオキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカ-8-エン-3,5-ジオン(式(4)におけるR 11~R 16がすべて水素原子であり、Xが酸素原子である化合物。合成例B1で製造した酸無水物化合物B-1を用いた。)の3.40g(0.020mol)に、THF9.68gをDME39.10gに、メタノール0.59g(0.061mol)を0.66g(0.020mol)に変更した以外は、実施例C1と同様の反応操作および後処理操作を行なった。結果を表2に示す。
[0190]
〔実施例C5〕
 実施例C4において、三頸丸底フラスコ(反応器)に仕込んだDMEを6.19gに、水素化ホウ素ナトリウムを0.62g(0.016mol)に変更した以外は、実施例C4と同様の反応操作および後処理操作を行なった。結果を表2に示す。
[0191]
〔比較例C3〕
 実施例C4において、三頸丸底フラスコ(反応器)に仕込んだDMEを4.65gに、水素化ホウ素ナトリウムを0.46g(0.012mol)に変更した以外は、実施例C4と同様の反応操作および後処理操作を行なった。結果を表2に示す。
[0192]
〔比較例C4〕
 実施例C4において、三頸丸底フラスコ(反応器)に仕込んだDMEを7.74gに、水素化ホウ素ナトリウムを0.77g(0.020mol)に変更した以外は、実施例C4と同様の反応操作および後処理操作を行なった。結果を表2に示す。
[0193]
〔参考例C1〕
((3-ヒドロキシメチル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの同定)
 比較例C1で得られた反応液を10~20℃に保持しながら、30質量%硫酸水溶液の6.0g(0.018mol)を60分かけて滴下した。滴下終了後、反応液を20℃に保ちながら1時間保持し、12gのトルエンを加えて抽出を3回行った。トルエン相に対して4gの飽和重曹水で一回水洗し、さらに4gの水で一回水洗した。得られたトルエン相を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィにて精製を行ない、0.04gの(3-ヒドロキシメチル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールを得た。
 (3-ヒドロキシメチル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの H-NMR測定結果を以下に示す。
 1.3-1.4ppm 2H (C7-H2), 2.5-2.6ppm 2H(C2-H,C3-H), 2.8ppm 2H(C1-H, C4-H), 3.3-3.7ppm 6H (OH,-O-C-H2), 6.0ppm 2H (C5-H, C6-H)
[0194]
〔参考例C2〕
((3-ヒドロキシメチル-7-オキサ-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの同定)
 比較例C2で得られた反応液を用いたこと以外は参考例C1と同様の操作を行い、(3-ヒドロキシメチル-7-オキサ-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノール0.05gを得た。
 (3-ヒドロキシメチル-7-オキサ-ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-5-エン-2-イル)-メタノールの H-NMR測定結果を以下に示す。
 1.9-2.0ppm 2H (C2-H, C3-H), 3.5-3.6ppm 2H(OH), 3.7-3.9ppm 4H(-O-C-H2), 4.6-4.7ppm 2H (C1-H,C4-H), 6.4ppm 2H (C5-H, C6-H)
[0195]
[表1]


[0196]
[表2]


[0197]
 表1、2に示すとおり、還元反応の際に、水素化ホウ素ナトリウムの使用量が、上記式(1)で表される化合物に対して0.7~0.95倍モルの場合(実施例C1~C5)には、特に、反応終了30分後のジアルコール体の副生成を1質量%未満に抑制できるとともに、十分に高い反応収率が得られることが確認された。一方、水素化ホウ素ナトリウムの使用量が、上記式(1)で表される化合物に対して1.0倍モルの場合(比較例C2、C4)には、反応終了30分後のジアルコール体の副生成が1質量%未満には抑制できないことが確認された。また水素化ホウ素ナトリウムの使用量が、上記式(1)で表される化合物に対して0.6倍モルの場合(比較例C1、C3)には、反応終了30分後のジアルコール体の副生成を1質量%未満には抑制できたが、反応収率が低いことが確認された。
[0198]
{アルコール化合物(D)の製造例}
 以下の例において、ラクトン化合物(C-1)は、前記実施例C4と同様にして製造した下記式(C-1)で表される化合物(4,10-ジオキサトリシクロ[5.2.1.0 2,6]デカ-8-エン-3-オン)である。
[0199]
〔実施例D1〕
 温度計、塩化カルシウム管、攪拌子、窒素導入管を備えたフラスコに、ラクトン化合物(C-1)の1.5g(0.01mol)、ジメトキシエタン18gを入れ、室温で30分間攪拌してラクトン溶液とした後、冷却して温度を20℃に下げた。このラクトン溶液に、BH ・ジメチルスルフィド錯体0.56gを、該ラクトン溶液の温度が20~23℃に維持される速度で滴下添加した。添加終了後、得られた混合物を20℃で1.5時間撹拌した。以上の操作は窒素気流下で行った。
 こうして得られた混合物に5質量%のNaOH水溶液7.9gを添加し、次いで過酸化水素(30質量%水溶液)1.2mlをゆっくり添加した。この混合物を30℃に保ちながら2時間攪拌した。その後、冷却しながら反応混合物に50質量%硫酸を滴下して、pHを1(30℃でのpH)にし、30℃で1時間攪拌した。さらに冷却しながら28質量%アンモニア水を滴下して、中和してpHを6.5(20℃でのpH)とした後、ろ過を行い、ろ残をジメトキシエタンで洗浄した。
 ろ液を下記条件の液体クロマトグラフ(HPLC)で分析した結果、溶媒以外の成分の面積百分率は下記式(C-1)で表される化合物が0%、下記式(D-1)で表される化合物が75%、下記式(ii-1)で表される化合物が1%、下記式(i-1)で表される化合物が0%であった。そのほかにホウ酸塩や硫酸塩のピークが検出された。
[0200]
[化30]


[0201]
(HPLC条件)
 カラム:イナートシルODS-3V(4.6φ×250mm)ジーエルサイエンス社製、
 移動相:0.1質量%リン酸水溶液/アセトニトリル グラジエント 100/0(5分)、100/0→10/90(25分)
 流速:1.0mL/min、
 検出器:紫外検出器(UV検出器)、
 カラム温度:40℃。
[0202]
 ろ液をエバポレータで濃縮し、エタノールを30g添加し、再度濃縮した。この操作を2回繰り返したのち、濃縮液をエタノール30gに溶解させて、ろ過を行った。ろ液を全量が4.1gになるまで濃縮し、70℃で溶解させた。毎時20℃の割合で温度20℃まで降温し、ジイソプロピルエーテル6.3gを滴下した後、3℃で15分保持後、ろ過を行い、ろ残をジイソプロピルエーテルで洗浄した。
 以上の操作は撹拌しながら行った。
 乾燥後のろ残(アルコール化合物の乾燥品)の重量は1.3g、面積百分率で、式(D-1)で表される化合物を99%含有し、式(C-1)で表される化合物および式(ii-1)で表される化合物は検出されなかった。
[0203]
〔実施例D2〕
 温度計、塩化カルシウム管、攪拌子、窒素導入管を備えたフラスコに、ラクトン化合物(C-1)の1.8g(0.012mol)、15mlのテトラヒドロフランを入れ、室温で30分間攪拌してラクトン溶液とした後、冷却して温度を0℃に下げた。このラクトン溶液に、1MのBH ・テトラヒドロフラン錯体4mLを、該ラクトン溶液の温度が0℃に維持される速度で滴下添加した。添加終了後、得られた混合物を0℃で3分間攪拌し、室温で4時間攪拌した。以上の操作は窒素気流下で行った。
 こうして得られた混合物に3NのNaOH水溶液4mLを添加し、次いで過酸化水素(30質量%水溶液)4mLをゆっくり添加した。添加後、反応混合物を50℃で1.5時間攪拌した。この反応液に50質量%硫酸を滴下して、pHを1(30℃でのpH)にして、30℃で1時間攪拌した。
 反応液を、実施例D1と同様にしてHPLCで分析した結果、溶媒以外の成分の面積百分率は式(C-1)で表される化合物が4%、式(D-1)で表される化合物が95%、式(ii-1)で表される化合物が1%、式(i-1)で表される化合物は0%であった。ホウ酸塩や硫酸塩のピークは、溶媒による負ピークと重なり検出できなかった。
[0204]
 反応液を冷却しながら28質量%アンモニア水を滴下し、中和してpHを6.5(30℃でのpH)とした後、ろ過を行い、ろ残をジメトキシエタンで洗浄した。
 ろ液をエバポレータで濃縮し、エタノールを30g添加し、再度濃縮した。この操作を2回繰り返したのち、濃縮液をエタノール30gに溶解させて、ろ過を行った。ろ液を全量が4.1gになるまで濃縮し、70℃で溶解させた。毎時20℃の割合で温度20℃まで降温し、ジイソプロピルエーテル6.3gを滴下した後、3℃で15分保持後、ろ過を行い、ろ残をジイソプロピルエーテルで洗浄した。
 以上の操作は撹拌しながら行った。
 乾燥後のろ残の重量は1.3g、面積百分率で、式(D-1)で表される化合物が96%、式(C-1)で表される化合物が4%含まれ、式(ii-1)で表される化合物は検出されなかった。
[0205]
〔比較例D1〕
 式(C-1)で表される化合物とBH ・テトラヒドロフラン錯体とを反応させ、NaOH水溶液および過酸化水素を添加して50℃で1.5時間攪拌する工程までを、実施例D2と同様に行い、得られた反応液を液体クロマトグラフで分析した。該反応液に酸を加える処理はしなかった。
 その結果、面積百分率は式(C-1)で表される化合物が3%、式(D-1)で表される化合物が34%、式(ii-1)で表される化合物が1%、式(i-1)で表される化合物が38%であった。ホウ酸塩や硫酸塩のピークは、溶媒による負ピークと重なり検出できなかった。
 すなわち、目的物である式(D-1)で表される化合物と、副生成物である式(i-1)で表される化合物が同量程度含まれていた。
 この反応混合物を炭酸カリウムで飽和させたところ2層が認められ、この2層を分けて、水性層をTHFで抽出した。得られたTHF溶液を飽和NaClで洗浄し、溶媒を減圧下で除去して、白色半固体生成物を生じさせた。
 この白色個体をクロマトグラフィーで精製したが、目的物(化合物(D-1))は回収できなかった(塩化メチレン95質量%、メタノール5質量%の溶液を使用)。
[0206]
{(メタ)アクリル酸エステル(A)の製造例}
[実施例A1]
<1-1.還元工程>
 滴下ロート、温度計、塩化カルシウム管、攪拌子を備えたフラスコに、水素化ホウ素ナトリウム(3.43g、90.7mmol)、DMAc(3.43mL)を添加し、5℃まで冷却した。別途、合成例B1で合成した酸無水物化合物(B-1)(25.11g、151.1mmol)をDMAc(100mL)に溶解させ、滴下ロートから1時間かけて滴下した。この際、被滴下液の内温は15℃以下であった。20℃で4時間反応させた後5℃まで冷却し、硫酸(36.2g、368.2mmol)を水99.6mLで希釈した水溶液を、内温が15℃以下になるように保ちながら、ゆっくり滴下した。20℃で2時間反応させたところ、反応液のpH(20℃)は1であった。反応液をMIBK(100mL)で3回抽出し、有機層を合わせて20質量%食塩水(100mL)で洗浄した。得られた有機層をエバポレーターで溶媒を留去した後、得られた固体にトルエン100mLを添加し、40℃まで加熱して溶解させた。この溶液を10℃/時間の速度で5℃まで冷却することで、晶析を行った。析出した結晶をろ過し、30℃で減圧乾燥した結果、ラクトン化合物(C-1)(7.1g、収率30.9%)を得た。
[0207]
[化31]


[0208]
<1-2.ハイドロボレーション工程>
 滴下ロート、冷却管、温度計、窒素ガス吹き込み口、攪拌子を備えたフラスコに、ラクトン化合物(C-1)(6.09g、40.0mmol)、水素化ホウ素ナトリウム(1.51g、40.0mmol)を添加した後、窒素置換し、窒素は以後反応中フローし続けた。容器を冷却しながらDME(80mL)を添加した。別途、95質量%硫酸(2.06g、20mmol)を滴下ロートに測りとり、内温が15℃以下に維持されるように、30分間かけてゆっくり滴下し、滴下終了後、20℃まで昇温した後、4時間攪拌を継続した。このとき、水素化ホウ素ナトリウムは、硫酸、DMEと反応し、B ・DME錯体となって作用する。
 反応終了後、反応液を5℃まで冷却した後、水(1mL)を添加し、次いで3M-NaOH水溶液(5.44mL)を添加した。この溶液に30質量%過酸化水素水(5.44mL)を内温度20℃以下になるように調節しながらゆっくり滴下し、滴下終了後に50℃で1時間、加熱、攪拌した。反応液を20℃まで冷却した後、30質量%硫酸水溶液を添加して、反応液のpH(20℃)を1とした後、3M-水酸化ナトリウム水溶液で中和してpHを7とした。反応液をエバポレーターで濃縮した後、アセトニトリル50mLを添加した。硫酸ナトリウムの結晶が析出したため、それらを減圧ろ過で除いた後、ろ液を濃縮した。更にアセトニトリル50mLを加えて濃縮の操作を2回繰り返した結果、アルコール化合物(D-1)の粗体を得た(3.5g、粗収率51.4%)。得られた粗体の水分は1800ppmであった。得られた粗体は精製することなく次の工程に使用した。
[0209]
[化32]


[0210]
<1-3.エステル化工程>
 滴下ロート、温度計、塩化カルシウム管、攪拌子を備えたフラスコに、アルコール化合物(D-1)の粗体(0.50g、2.94mmol)、アセトニトリル(3.8mL)、トリエチルアミン(0.33g、3.23mmol)を添加し、内温を20℃に調節した。
 別途計量したメタクリル酸クロリド(0.34g、3.25mmol)をゆっくり滴下し、20℃で4時間反応させた。反応終了後の反応液に水5.0mLを添加した後、酢酸エチル(5.0mL)で3回抽出し、有機層を合わせて20質量%食塩水で洗浄した。有機層をエバポレーターで濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して化合物(A-1)を得た(1.01g、収率72.0%、純度99質量%)。
[0211]
[化33]


[0212]
[比較例A1]
 還元工程を実施例A1と同様にして行い、ラクトン化合物(C-1)を得た。
 滴下ロート、温度計、ジム氏ロート、攪拌子を備えたフラスコに、ラクトン化合物(C-1)(1.33g、8.74mmol)、ギ酸(2.98g、64.9mmol)を添加し、攪拌した。そこに、別途滴下ロートに測りとったトリフルオロメタンスルホン酸(0.252g、1.68mmol)を、発熱に注意しながら少量ずつ添加した。溶液の内温が100℃になるように加熱した後、100℃で6時間攪拌した。その結果、即ち、酸触媒下、低級カルボン酸を付加し、加水分解でアルコール体を得る製法を用いた場合は、ラクトン化合物(C-1)は完全に消失したが、目的とするギ酸付加体は全く得られなかった。
[0213]
[比較例A2]
 還元工程を実施例A1と同様にして行い、ラクトン化合物(C-1)を得た。
 滴下ロート、温度計、ジム氏ロート、攪拌子を備えたフラスコに、ラクトン化合物(C-1)(1.33g、8.74mmol)、メタクリル酸(3.01g、35.0mmol)を添加し攪拌した。そこに、別途滴下ロートに測りとった95質量%硫酸(0.18g、1.75mmol)を、発熱に注意しながら少量ずつ添加した。溶液の内温が85℃になるように加熱した後、85℃で4時間攪拌した。その結果、即ち、アルコール体を経由せず、直接メタクリロイル化する製法を用いた場合は、ラクトン化合物(C-1)は完全に消失したが、目的とするメタクリル酸付加体は全く得られなかった。
[0214]
[実施例A2]
 冷却管、温度計、空気バブリング口、攪拌子を備えたフラスコに、実施例D1と同じ方法で合成したアルコール化合物(D-1)2.2g(0.12mol)を1,2-ジメトキシエタン9.4gに溶解させた後、ジブチルヒドロキシトルエン5mg、メタクリル酸無水物3.0g(0.19mol)を入れ、酸化マグネシウム0.26g、0.06molを添加した。反応液を空気をバブリングしながら70℃にまで昇温し、8時間加熱・攪拌した。
 この反応液をトルエン16gに溶解し、4―ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル0.8mgを加えて溶解させた後、ろ過し、重量が21gになるまで減圧濃縮した。濃縮液を8gの水で洗浄した後、このときの水相に再度トルエン16gを加え、目的物を回収した。二つのトルエン相を合わせて、8gの飽和重曹水で2回洗浄した後、8gの水で3回洗浄した。4―ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル1mgと、ジブチルヒドロキシトルエン2mgを加えたのち、減圧濃縮した。
[0215]
 目的の化合物(A-1)を2.2g(収率73%)得た。得られた化合物(A-1)中の分子量308の不純物(X)のピーク面積は、化合物(A-1)のピーク面積に対して0.1%であった。メタクリル酸は検出されなかった。
メタクリル酸は検出されなかった。
 化合物(A-1)中の分子量308の不純物(X)は、以下の条件で分析した(以下、同様)。該不純物(X)は16.8分付近に検出される化合物である。
 カラム:Zorbax XDB-C18 3.5μm、2.1mm×150 mm(アジレント・テクノロジー株式会社製)。
 移動相:水/アセトニトリル グラジエント 90/10→0/100(30分)。
 検出器:UV(210nm)。
[0216]
[実施例A3]
 実施例D1と同じ方法で合成したアルコール化合物(D-1)に替えて、実施例D2と同じ方法で合成したアルコール化合物(D-1)を使用した以外は、実施例A2と同様の方法で反応および精製を行った。目的の化合物(A-1)を1.9g(収率63%)得た。
 得られた化合物(A-1)中の分子量308の不純物(X)のピーク面積は、化合物(A-1)のピーク面積に対して0.2%であった。メタクリル酸は検出されなかった。
[0217]
[実施例A4]
 滴下ロート、温度計、塩化カルシウム管、攪拌子を備えたフラスコに、実施例D1と同じ方法で合成したアルコール化合物(A-1)2.2g(0.12molを入れて、1,2-ジメトキシエタン9.4gに溶解させた後、ジブチルヒドロキシトルエン5mg、トリエチルアミン2.0g(0.02mol)を添加し、内温を5℃に調節した。別途計量したメタクリル酸クロリド2.1g(0.02mol)をゆっくり滴下し、5℃で1時間反応させた。反応終了後の反応液に水19gを添加して過剰のメタクリル酸クロリドを分解させた。
 実施例A2と同じ方法で精製した結果、目的の化合物を1.5g(収率50%)で得た。
 得られた化合物(A-1)中の分子量308の不純物(X)のピーク面積は、化合物(A-1)のピーク面積に対して0.3%であった。メタクリル酸は検出されなかった。
[0218]
{重合体(P)の製造例}
〔製造例P1、P2、製造例P3〕
 下記式(a)、(d)、(e)、(f)でそれぞれ表される単量体(a)、(d)、(e)、(f)を共重合させて重合体(P)を製造した。
 製造例P1では、単量体(a)として、実施例A2で得られたメタクリル酸エステル(A-1)を用いた。
 製造例P2では、単量体(a)として、実施例A3で得られたメタクリル酸エステル(A-1)を用いた。
 製造例P3では、単量体(a)として、実施例A4で得られたメタクリル酸エステル(A-1)を用いた。
 各例で使用した単量体(a)(メタクリル酸エステル(A-1))中の分子量308の不純物(X)の含有量を表3に示す。単量体(d)、(e)、(f)は同一ロットのものを使用した。
[0219]
[化34]


[0220]
 窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、滴下漏斗、および温度計を備えたフラスコに、窒素雰囲気下で、乳酸エチル41.2質量部とγ-ブチロラクトン23.2質量部を入れた。フラスコを水浴に入れ、フラスコ内を攪拌しながら水浴の温度を上げ、フラスコ内の液温を80℃に上げた。
 その後、下記混合物を滴下漏斗より4時間かけてフラスコ内に滴下し、さらに80℃の温度を3時間保持して反応溶液を得た。
(混合物)
 下記単量体(a)8.09質量部、
 下記単量体(d)6.97質量部、
 下記単量体(e)5.78質量部、
 下記単量体(f)17.82質量部、
 乳酸エチル43.8質量部、
 γ-ブチロラクトン46.4部、
 ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート(和光純薬工業社製、V601(商品名))1.173質量部。
[0221]
 得られた反応溶液を約6倍量のメタノールおよび水の混合溶媒(メタノール/水=80/20容量比)に攪拌しながら滴下し、白色の析出物(重合体(P))の沈殿を得た。沈殿を濾別し、再度、前記反応溶液に対して約6倍量のメタノールおよび水の混合溶媒(メタノール/水=90/10容量比)へ投入し、撹拌しながら沈殿の洗浄を行った。そして、洗浄後の沈殿を濾別し、重合体湿粉を得た。減圧下60℃で約36時間乾燥して得られた重合体(P)について、核磁気共鳴分析法( H-NMR)により、単量体(a)、(d)、(e)、(f)にそれぞれ由来する構成単位(a)、(d)、(e)、(f)および不純物であるメタクリル酸(MAA)の組成比(単位:モル%)を測定した。その結果を表3に示す。
[0222]
[表3]


[0223]
 表3の結果より、単量体(a)中に分子量308の不純物(X)が多いほど、重合体(P)中に、単量体の分解により生じるメタクリル酸の量が多く含まれていた。特に製造例P1、P2は該メタクリル酸の量が少なかった。
[0224]
{化合物(iii)の製造例}
〔実施例F1〕
 本例では、式(ii-1)で表される化合物から式(iii-1)で表される化合物を製造した。
[0225]
[化35]


[0226]
(式(ii-1)で表される化合物の合成)
 温度計、塩化カルシウム管、攪拌子を備えたフラスコに、水素化ホウ素ナトリウム11.3g(0.3mol)、ジメトキシエタン20gを入れて撹拌しながら5℃まで冷却し、水素化ホウ素ナトリウムが一部溶解したスラリーAとした。ビーカーに式(B-1)で表される化合物10g(0.06mol)とメタノール3g、ジメトキシエタン100gを入れて、一部溶解したスラリーBとした。スラリーAを冷却及び撹拌しながら、液温が10℃を超えないようにスラリーBを少しずつ滴下した。この反応液を室温で一昼夜撹拌した後、冷却しながら、20質量%硫酸水溶液を加えて中和(20℃でのpH=6.5)した。
 エバポレーターで溶媒と水をほぼ除いたのち、得られた粉末にエタノール200gを添加して、懸濁した後、ろ過し、ろ液を濃縮して、オイル状の物質を得た。これにアセトンを500mlを加えて、一部溶解させ、静置してアセトン相とオイル相に分離させた。アセトン相をろ過して、ろ液を濃縮する操作を6回繰り返した。
 その結果、4.4gの式(ii-1)で表される化合物を得た。この化合物にはわずかにホウ酸塩が含まれていた。
[0227]
(式(iii-1)で表される化合物の合成)
 温度計、攪拌子、空気導入管を備えたフラスコに、式(ii-1)で表される化合物1.7g、BHT4.1mg、メタクリル酸無水物9.3g(0.06モル)、酸化マグネシウム0.48g(0.12モル)を入れて撹拌し、70℃に昇温し、8時間反応させた。その後、50℃に冷却し、メタノール3.6mlを添加して50℃で2時間撹拌した。以上の操作は少量の空気をバブリングさせながら実施した。冷却後ろ過し、4―ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル2mgを加えて、エバポレーターでろ液を濃縮した。濃縮物をトルエン15mlに溶解し、7.5gの水で洗浄した。このときの水相にトルエンを加えて抽出操作を行った。二つのトルエン相を合わせて、飽和重曹水10mlで6回、10mlの水で2回洗浄した。トルエン相を濃縮し、シリカゲルカラムで精製(ヘキサン6、酢酸エチル1の比率の溶液を使用)して、式(iii-1)で表される化合物を2.1g(オイル状、液体クロマトグラフィーでの面積百分率99%)得た。
 図1は本例で得られた化合物(iii-1)の H-NMRスペクトルである。
 図2は本例で得られた化合物(iii-1)のMSスペクトルである。
[0228]
〔実験例1~5〕
 単量体としての(メタ)アクリル酸エステル中に、不純物として化合物(iii)が含まれる場合の影響を調べるために、実施例F1で製造した化合物(iii-1)を所定量添加して、重合体を製造した。
 本例で用いた単量体は、下記式(a)~(d)で表される単量体(a)~(d)である。
 単量体(a)として、実施例A1で得られたメタクリル酸エステル(A-1)を用いた。単量体(a)中の化合物(iii)は検出されなかった。単量体(b)として、実施例F1で製造した化合物(iii-1)を用いた。単量体(c)、(d)は同一ロットのものを使用した。
[0229]
[化36]


[0230]
 すなわち、密閉容器に乳酸エチル1.55部、重合開始剤V―601HP230を1.04部入れ、溶解させた。窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、および温度計を備えたフラスコに、乳酸エチル12.6質量部、γ-ブチロラクトン9.4質量部を入れ、さらに下表4の組成で単量体を入れて、30分間窒素バブリングを行った後、フラスコを水浴につけて昇温を開始し、フラスコ内の液温を80℃にした。この液に重合開始剤の溶液を添加し、さらに80℃で4時間保持した。以上の操作は窒素気流下で撹拌しながら実施した。
 得られた反応溶液について、下記条件でGPC(ゲル浸透クロマトグラフ)により重量平均分子量を測定した。その結果を表4に示す。
(GPC条件)
 カラム:Shodex GPC KF-801(昭和電工株式会社製)、2本。
 温度:40℃。
 流量:1.0ml/min。
 移動相:テトラヒドロフラン。
 検出器:示差屈折率検出器(RI)
[0231]
 また該反応溶液の全量にメタノールを160g添加して重合体を沈殿させた。この沈殿をろ取して重合体湿粉を得、60℃で36時間真空乾燥して重合体を得た。
 乾燥した重合体を2-ブタノンの10質量%とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90質量%の混合液に溶解し、27℃で濁度(単位:NTU)を測定した。
 濁度の測定は、Orbeco-Hellige社製、濁度計(製品名:TB200)を用い、3回測定して平均値を求めた。結果を表5に示す。
[0232]
[表4]


[0233]
[表5]


[0234]
 表4、5の結果より、単量体(a)であるメタクリル酸エステル(A)に対して、単量体(b)である化合物(iii)の含有量が9質量%以上になると、重合体の重量平均分子量が顕著に大きくなり、濁度も顕著に増大することがわかる。

請求の範囲

[請求項1]
 下記一般式(D)で表されるアルコール化合物を製造する方法であって、
 溶媒中で、下記一般式(C)で表される化合物と、ジボランおよびボラン錯体からなる群から選ばれるホウ素化剤とを反応させて反応液を得るハイドロボレーション反応工程と、該反応液を過酸化水素処理した後、酸を加えてpH0.5~4にする酸処理工程を有することを特徴とするアルコール化合物の製造方法。
[化1]


[式中、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表す。]
[請求項2]
 前記ホウ素化剤として、ボラン-ジメチルスルフィド錯体またはボラン-1,2-ジメトキシエタン錯体を用いる、請求項1記載のアルコール化合物の製造方法。
[請求項3]
 前記酸処理工程後の反応液をpH5~9に調整して再結晶を行って、前記一般式(D)で表されるアルコール化合物を単離する単離工程を有する、請求項1または2に記載のアルコール化合物の製造方法。
[請求項4]
 下記式(1)で表される化合物を水素化ホウ素ナトリウムで還元し、下記式(2)で表されるラクトン化合物およびまたは下記式(3)で表されるラクトン化合物を製造する方法において、
 前記水素化ホウ素ナトリウムの使用量が、下記式(1)で表される化合物に対して0.7~0.95倍モルであることを特徴とするラクトン化合物の製造方法。
[化2]


(式中、R 11~R 16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基であり;A 11およびA 12は、ともに水素原子である、もしくは連結して-CH -、-CH CH -、-O-、または-S-を形成する。)
[請求項5]
 前記式(1)で表される化合物が、下記式(4)で表される化合物であり、
 前記式(2)で表されるラクトン化合物が、下記式(5)で表されるラクトン化合物であり、
 前記式(3)で表されるラクトン化合物が、下記式(6)で表されるラクトン化合物である、請求項4に記載のラクトン化合物の製造方法。
[化3]


(式中、R 11~R 16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表す。)
[請求項6]
 前記請求項4または5に記載のラクトン化合物の製造方法を用いて前記一般式(C)で表される化合物を製造する工程をさらに有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のアルコール化合物の製造方法。
[請求項7]
 前記請求項1~3のいずれか一項に記載のアルコール化合物の製造方法により、下記一般式(C)で表される化合物から下記一般式(D)で表されるアルコール化合物を得る工程、および
 下記一般式(D)で表される化合物からエステル化反応により下記式(A)で表される(メタ)アクリル酸エステルを得る工程を有する、(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
[化4]


[式中、R は水素原子またはメチル基を表し、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表す。]
[請求項8]
 前記請求項4または5に記載のラクトン化合物の製造方法を用いて前記一般式(C)で表される化合物を製造する工程をさらに有する、請求項7記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
[請求項9]
 不純物として下記一般式(ii)で表される化合物の含有量が9質量%未満である、下記一般式(D)で表されるアルコール化合物。
[化5]


[式中、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表す。]
[請求項10]
 不純物として下記一般式(iii)で表される化合物の含有量が9質量%未満である、下記一般式(A)で表される(メタ)アクリル酸エステル。
[化6]


[式中、R は水素原子またはメチル基を表し、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表し、R はアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。]
[請求項11]
 下記一般式(A’)で表される(メタ)アクリル酸エステル(A’)であって、高速液体クロマトグラフィーによるクロマトグラムにおいて、保存時に分解してメタクリル酸を発生する分子量308の不純物(X)のピーク面積が、前記(メタ)アクリル酸エステル(A’)のピーク面積に対して0.3%以下である、(メタ)アクリル酸エステル。
[化7]


[式中、R は水素原子またはメチル基を表す。]
[請求項12]
 下記一般式(A’)で表される(メタ)アクリル酸エステル(A’)であって、(メタ)アクリル酸エステル(A’)に対してメタクリル酸の含有量が0.04倍モル以下であり、かつ高速液体クロマトグラフィーによるクロマトグラムにおいて、保存時に分解してメタクリル酸を発生する分子量308の不純物(X)のピーク面積が、前記(メタ)アクリル酸エステル(A’)のピーク面積に対して0.3%以下である、(メタ)アクリル酸エステル。
[化8]


[式中、R は水素原子またはメチル基を表す。]
[請求項13]
 不純物として下記一般式(v)で表される化合物の含有量が9質量%未満である、下記一般式(A)で表される(メタ)アクリル酸エステル。
[化9]


[式中、R は水素原子またはメチル基を表し、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表し、R は水素原子、アクリロイル基、またはメタクリロイル基を表す。]
[請求項14]
 1種以上の単量体を重合させて得られる重合体であって、前記単量体が、請求項10~13のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル酸エステルを含む、重合体。
[請求項15]
 2種以上の単量体を重合させて得られる重合体であって、前記単量体が、請求項10~13のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル酸エステルと、それ以外の(メタ)アクリル酸エステルを含む、重合体。
[請求項16]
 請求項10~13のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体を重合させる工程を有する、重合体の製造方法。
[請求項17]
 請求項14または15記載の重合体、および活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を含有するレジスト組成物。
[請求項18]
 請求項17に記載のレジスト組成物を、基板の被加工面上に塗布してレジスト膜を形成する工程と、該レジスト膜に対して、露光する工程と、露光されたレジスト膜を現像液を用いて現像する工程とを含む、パターンが形成された基板の製造方法。
[請求項19]
 下記一般式(iii)で表される化合物。
[化10]


[式中、A ~A は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン基、またはエチレン基を表し、R はアクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。]
[請求項20]
 請求項19に記載の化合物を単量体として用いて得られる重合体。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]