Some content of this application is unavailable at the moment.
If this situation persist, please contact us atFeedback&Contact
1. (WO2011093126) POWER STORAGE DEVICE CELL, PROCESS FOR PRODUCING SAME, METHOD FOR STORING SAME, AND ELECTRICITY STORAGE DEVICE
Document

明 細 書

発明の名称 電力貯蔵デバイスセルとその製造方法、保管方法および蓄電デバイス

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099  

符号の説明

0100  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

明 細 書

発明の名称 : 電力貯蔵デバイスセルとその製造方法、保管方法および蓄電デバイス

技術分野

[0001]
 この発明は、リチウムイオンキャパシタとリチウムイオン電池との構成を内蔵した電力貯蔵デバイスセルの構成とその製造方法、保管方法および蓄電デバイスに関する。

背景技術

[0002]
 電力貯蔵デバイスセルとしては、物理的に電荷を蓄えるキャパシタと電気化学反応によりエネルギーを蓄える二次電池がある。キャパシタは、エネルギー密度は低いものの、出力密度が高く、急速な充放電に対応でき、二次電池はキャパシタと較べると瞬発力は劣るもののエネルギー密度が高く、持続力に優れるという特徴を有する。したがってキャパシタの瞬発力と二次電池の持続力との両方を兼ね備えた電力貯蔵デバイスセルを実現できれば、ハイブリッド自動車や各種のブレーキ回生など、さまざまな用途に利用することができる。
[0003]
 キャパシタと二次電池とは、上述したように電力を蓄えるメカニズムが異なっているが、キャパシタの中でも電解液を用いるキャパシタ(電気二重層キャパシタ、スーパーキャパシタ、電気化学キャパシタなどとも呼ばれ、以下に記述するリチウムイオンキャパシタもその仲間である)は、セパレータを挟んで互いに対向する分極性電極(正極および負極)を設け、電解液中においてこの分極性電極の表面に形成される電気二重層の静電容量を利用して電荷を蓄えるものであり、二次電池と類似した材料により構成されている。
[0004]
 そこで、本発明の発明者は、二次電池の中でもとくにエネルギー密度の高いリチウムイオン電池に注目し、リチウムイオン電池と共通の電解液で作動するリチウムイオンキャパシタとリチウムイオン電池とを共通負極を用いてひとつの構造体とした新しい電力貯蔵デバイスセルを提案した(例えば特許文献1参照)。これにより、電気二重層キャパシタの瞬発力とリチウムイオン電池の持続力を併せ持つ電力貯蔵デバイスセルを実現することができた。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2009-141181号公報(段落0015、0068、図1、図12)
特許文献2 : 特開2007-273241号公報(段落0027~0032、図1、図4)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、上記構成では、共通負極の集電箔に、リチウムイオンキャパシタ負極に使用される銅箔を用いているので、電気二重層キャパシタのように、0Vにまで放電できず、最低でも端子電圧を1V以上の電圧を保持しないと、銅が溶出して不可逆的な劣化を招いてしまう。そのため、充放電時は、端子電圧の上限値だけでなく、端子電圧の下限値を常に監視する必要があった(例えば特許文献2参照)。また、保管時でも、端子電圧を1V以上に保持しないと、劣化するため、電気二重層キャパシタのように正極と負極を短絡して保持することができず、バッテリと同様に、電圧を有する状態で保管する必要があり、管理が大変であった。
[0007]
 この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、下限電圧を飛躍的に下げて端子電圧が0.1V以下の低端子電圧を可能にし、過放電での劣化を解消すると共に、端子電圧の下限値の監視を不要にした電力貯蔵デバイスセルを提供するものである。

課題を解決するための手段

[0008]
 この発明に係る電力貯蔵デバイスセルは、アルミニウム製の第1の集電箔の一方の面に活性炭の微粒子を含む第1の電極層が形成された第1の電極と、アルミニウム製の第2の集電箔の一方の面に第2の電極層が形成された第2の電極と、アルミニウム製の第3の集電箔の少なくとも一方の面に第3の電極層が形成された第3の電極と、多孔質の絶縁フィルムからなる第1のセパレータと、多孔質の絶縁フィルムからなる第2のセパレータと、を備え、前記第3の集電箔には透過孔が形成され、前記第1の電極層と前記第3の電極の一方の面との間に前記第1のセパレータを挟持して前記第3の電極を負極とするキャパシタを形成し、前記第2の電極層と前記第3の電極の他方の面との間に前記第2のセパレータを挟持して前記第3の電極を前記キャパシタとの共通負極とするリチウムイオン電池を形成し、前記第1の電極と前記第2の電極を短絡接続した電力貯蔵デバイスセルであって、前記第2の電極層がオリビン型構造を有するリン酸型リチウム化合物の粒子を含んで構成され、前記第3の電極層がチタン酸リチウムの粒子を主成分として構成されていることを特徴とする。

発明の効果

[0009]
 リチウム電池とキャパシタとが共通負極で一体化された電力貯蔵デバイスでは、リチウム電池正極の電位特性が短絡したキャパシタ正極の影響で変化する現象を発見した。その現象を利用することにより、従来のリチウム電池、リチウムイオンキャパシタ個々の材料では実現できなかった充電率が0%での端子電圧の下限を0.1V以下に低減できる電極材料の組合せを見出した。これにより、実質的に過放電での劣化が解消され、最低電圧の常時監視が不要になる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 本発明の実施の形態1にかかる電力貯蔵デバイスセルの部分断面模式図である。
[図2] 本発明の効果を説明するための図であって、従来のセル構成において正極にコバルト系金属酸化物リチウムを用い、負極に黒鉛系カーボンを用いた場合の電位と充電率との関係を示す図である。
[図3] 本発明の効果を説明するための図であって、従来のセル構成において正極にオリビン型リン酸鉄リチウムを用い、負極に黒鉛系カーボンを用いた場合の電位と充電率との関係を示す図である。
[図4] 本発明の効果を説明するための図であって、従来のセル構成において正極にコバルト系金属酸化物リチウムを用い、負極にチタン酸リチウムを用いた場合の電位と充電率との関係を示す図である。
[図5] 本発明の効果を説明するための図であって、従来のセル構成において正極にオリビン型リン酸鉄リチウムを用い、負極にチタン酸リチウムを用いた場合の電位と充電率との関係を示す図である。
[図6] 本発明の効果を説明するための図であって、本発明の実施の形態1における電力貯蔵デバイスセルの正極に活性炭の粒子を主成分とするキャパシタ正極とオリビン型リン酸鉄リチウムの粒子を主成分とするリチウム電池正極のハイブリッド正極を用い、共通負極にチタン酸リチウムの粒子を主成分として用いた場合の電位と充電率との関係を示す図である。
[図7] 本発明の効果を説明するための図であって、本発明の実施の形態1における電力貯蔵デバイスセルのチタン酸リチウムを、充電率=0%の時に一般式Li Ti 12(4.0≦x≦4.1)となる結晶系を含んでいる場合の電位と充電率との関係を示す図である。
[図8] 本発明の実施の形態1にかかる電力貯蔵デバイスの性能試験用セルの平面構成図である。
[図9] 本発明の実施の形態2にかかる電力貯蔵デバイスセルの部分断面模式図である。
[図10] 本発明の実施の形態3にかかる電力貯蔵デバイスセルの部分断面模式図である。
[図11] 本発明の実施の形態4にかかる電力貯蔵デバイスセルの部分断面模式図である。
[図12] 本発明の実施の形態5にかかる電力貯蔵デバイスセルの部分断面模式図である。
[図13] 本発明の実施の形態6にかかる電力貯蔵デバイスセルの部分断面模式図である。
[図14] 本発明の実施の形態6にかかる電力貯蔵デバイスセルの製造方法を説明するためのフローチャートである。
[図15] 本発明の実施の形態7にかかる電力貯蔵デバイスセルの部分断面模式図である。
[図16] 本発明の実施の形態7にかかる電力貯蔵デバイスセルの製造方法を説明するためのフローチャートである。

発明を実施するための形態

[0011]
実施の形態1.
 図1は、本発明の実施の形態1にかかる電力貯蔵デバイスセルの部分的な構成を示す断面図である。図において、電力貯蔵デバイスセルは、アルミニウム製の集電箔10aの図中下面に活性炭の微粒子を含むキャパシタ正極電極層8が形成されたキャパシタ正極11aと、アルミニウム製の集電箔10bの図中上面にオリビン型構造を有するリン酸型リチウム化合物の1種であるオリビン型リン酸鉄リチウムの粒子を含んだリチウム正極層9が形成されたリチウム正極11bと、透過孔4を有するアルミニウム集電箔3の上面と下面にそれぞれキャパシタ負極電極層5とリチウム負極電極層6が形成された共通負極7と、多孔質の絶縁フィルムからなる第1のセパレータ12と、多孔質の絶縁フィルムからなる第2のセパレータ13を備え、キャパシタ正極電極層8と共通負極7のキャパシタ負極電極層5が形成された面との間に第1のセパレータ12を挟持してキャパシタ部を形成し、リチウム正極層9と共通負極7のリチウム負極電極層6が形成された面との間に第2のセパレータ13を挟持してリチウム電池部を形成しキャパシタ正極11aとリチウム電池正極11bを短絡接続したものである。
[0012]
 上記構成の電力貯蔵デバイスセルでは、キャパシタ部とリチウム電池部の負極が共通負極7で共用され、キャパシタ正極11aとリチウム正極11bとが短絡接続されている。そのため、充放電の際に、共通負極7に設けられた透過孔4を介してキャパシタ部とリチウム電池部間でのLiイオンが迅速に移動できるので、キャパシタ部も充放電に参加でき、急速な充放電に対応できるようになる。
[0013]
<電力貯蔵デバイスセルの基本的な構造>
 図1において、共通負極7は、複数の透過孔を面内に分散して設けたアルミニウム製の負極集電箔3の表裏に、チタン酸リチウム粒子を主成分とするキャパシタ負極電極層5とリチウム電池負極電極層6を形成することにより構成される。正極としては、正極集電箔10の表裏に、活性炭粒子を含むキャパシタ正極電極層8と、オリビン型リン酸鉄リチウムの粒子を含むリチウム電池正極電極層9を形成したハイブリッド正極11として構成している。キャパシタ正極電極層8とキャパシタ負極電極層5を第1のセパレータ12を介して対峙させ、キャパシタ部を構成し、リチウムイオンの電池正極電極層9とリチウム電池負極電極層6を第2のセパレータ13を介して対峙させている。つまり、集電箔10の一方の面に、キャパシタ正極電極層8、他方の面にリチウム電池正極電極層9が形成された同仕様のハイブリッド正極11を、図1では配置の違い(使用する面の違い)により、11aをキャパシタ正極、11bをリチウム電池正極と、それぞれ役割を変えるようにしている。
[0014]
 ここで、短冊状の正極集電箔10aの片面(下側)にキャパシタ正極電極層8を設けたキャパシタ正極と、第1のセパレータ12と、共通負極7と、第2のセパレータ13と、正極集電箔10bの片側(上側)にリチウム電池正極電極層9を設けたリチウム電池正極を積層し、キャパシタ正極とリチウム電池正極とを短絡することで、もっとも単純な積層形の電力貯蔵デバイスセルを構成することができる。
[0015]
 また、短冊状の共通負極7と第1のセパレータ12とハイブリッド正極11と第2のセパレータ13とを交互に積層することで多数の正極および負極を並列に積層した主積層部を有する積層体で構成した、いわゆる積層形の蓄電デバイスが構成される。並列積層形の場合には、最外層に両端とも共通負極7を配置することが望ましい。最外層にハイブリッド正極11を配置すると、キャパシタ正極電極層8もしくはリチウム電池正極電極層9が高電位になり劣化が生じる恐れがある。また、並列積層形の場合に、両端の最外層を、短冊状の負極集電箔の片面にキャパシタ負極電極層5を設けたキャパシタ負極と、負極集電箔の片側にリチウム電池負極電極層6を設けたリチウム電池負極とを用いることもできる。この場合、負極集電箔に透過孔の無いものを用いても良い。あるいは両端の最外層を、短冊状の正極集電箔の片面にキャパシタ正極電極層8を設けたキャパシタ正極と、正極集電箔の片側にリチウム電池正極電極層9を設けたリチウム電池正極とを用いることもできる。
[0016]
 また、ロール状の共通負極7と第1のセパレータ12とハイブリッド正極11と第2のセパレータ13とを一緒に巻回することで、巻回形もしくは扁平巻回形の蓄電デバイスが構成される。この場合、最外層は共通負極7に接した第1のセパレータ12とすることが望ましい。もしも最外層をハイブリッド正極11に接した第2のセパレータ13とした場合には、キャパシタ正極電極層8もしくはリチウム電池正極電極層9が高電位になり劣化が生じる恐れがある。
[0017]
<構成材料について>
 キャパシタ負極電極層5とリチウム電池負極電極層6としては、チタン酸リチウムの粒子を主成分とし、PVDFなどのバインダーとアセチレンブラックなどの導電剤とを混合して構成される。チタン酸リチウムの粒子は、1μm未満の微粒子であることが望ましく、導電性を改善するために、カーボン繊維が混合されていてよい。あるいは、カーボンナノチューブやカーボンナノホーンなどのカーボン繊維に数nmレベルのチタン酸リチウム超微粒子が担持されていてもよい。
[0018]
 キャパシタ正極電極層8としては、フェノール樹脂、石油ピッチ、石油コークス、ヤシガラなどを原料として、水蒸気賦活もしくはアルカリ賦活を施した、平均粒子径が1~10μm程度の粒子を主成とし、スチレンブチレンゴム系バインダーもしくはポリテトラフルオロエチレン系バインダーやアセチレンブラックなどの導電剤を混合して構成される。活性炭の代わりにナノゲートカーボンやナノストレージカーボンと呼称されるカーボン粒子を用いても良い。
[0019]
 リチウム電池正極電極層9としては、例えば、オリビン型構造を有するリン酸鉄リチウム化合物の粒子に導電性の改善のため、カーボン超微粒子を付着させた粒子を主成分として、PVDFなどのバインダーとアセチレンブラックなどの導電剤とを混合して構成される。オリビン型構造を有するリン酸鉄リチウム化合物としては上述したリン酸鉄リチウムの他、リン酸鉄リチウムの鉄の一部をマンガン、コバルトなど少なくとも1種類の遷移金属元素で置換したものでもよい。上述した化合物を使用することにより、放電時のリチウム基準の電位を2V以下とすることができるため、負極にチタン酸リチウムを使用した場合に放電電圧を0.1V以下にすることができる。
[0020]
 負極集電箔3は、あらかじめ透過孔4が面内に形成された厚さ約10μm以上20μm以下のパンチングメタルのアルミニウム箔やエキスパンドメタルのアルミニウム箔などの他、マスクを使って部分的に多数の孔を化学エッチングで設けるエッチング箔を用いても良い。その表裏に、キャパシタ負極電極層5とリチウム電池負極電極層6を形成して用いることができる。正極集電箔10には、厚さ7μm以上50μm以下のアルミニウム箔を用いることができる。
[0021]
 電解液としては、例えば電解質であるLiPF を有機溶媒に含有させた電解液を用いることができ、キャパシタ部とリチウム電池部とで共用する。有機溶媒としては、例えば炭酸プロピレン(PC:Propylene Carbonate)や炭酸エチレン(EC:Ethylene Carbonate)と炭酸ジエチル(DEC:Diethyl Carbonate)などを用いることができる。
[0022]
 第1のセパレータ12および第2のセパレータ13は、例えば厚さが10~50μm程度、気孔率(空隙率)が60~80体積%程度、平均気孔径が数~数十μm程度の多孔質のセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの絶縁フィルムを用いることができる。
[0023]
 <下限電圧のメカニズム>
 従来のリチウム電池において、下限電圧が存在する理由について、図2~図5を用いて説明する。図2は、正極にコバルト系金属酸化物リチウムを用い、負極に黒鉛系カーボンを用いた場合の電位と充電率との関係を示したものである。充電率は、一般にSOC(State of Charge)と呼ばれ、充放電可能な電気量を100%として、0から100%まで
を定義した指標である。
[0024]
 図2において、過放電で、充電率が0%近くになると、負極電位(破線)が上昇し、正極電位(実線)が下降する。負極電位が上昇すると、負極に使用される銅箔の溶出が僅かながら起こり始め、不可逆で急激な劣化になる。また、正極電位が下がりすぎると、コバルト系金属酸化物リチウムの結晶構造が大きく変化してしまい、物理的な変化も伴って、元にもどれなくなる部分が生じて不可逆な劣化につながる。従って、正極にコバルト系金属酸化物リチウムを用い、負極に黒鉛系カーボンを用いた場合には、背景技術で説明したように最低電圧を設定し、それ以下に下がるとアラームを出すように、常時、下限電圧を監視する必要がる。そのときの最低必要電圧はおよそ2.5V程度であり、これよりも大きく下回った場合、例えば、外部短絡等で、1V以下にまで下がってしまった場合には、銅箔が溶出するなど極めて大きな劣化が生じているので、電池自体の交換を余儀なくされる。
[0025]
 図3は、正極にオリビン型リン酸鉄リチウムを用い、負極に黒鉛系カーボンを用いた場合の電位と充電率との関係を示したものであり、図2の系に対して正極材料を変更した場合での関係である。図3においても、過放電で、充電率が0%近くになると、やはり負極電位が上昇し、正極電位が下降する。負極電位が上昇すると、銅箔の溶出が僅かながら起こり始め、不可逆で急激な劣化になる。また、正極電位が下がりすぎると、オリビン型リン酸鉄リチウムの結晶構造が変化し、不可逆な劣化につながる。従って、正極にオリビン型リン酸鉄リチウムを用い、負極に黒鉛系カーボンを用いた場合にも、最低電圧が存在し、それ以下に下がるとアラームを出すように。常時、下限電圧を監視する必要がる。そのときの最低必要電圧はおよそ1V程度であり、コバルト系材料を使用した場合よりは小さくなっているが、この場合でも、例えば外部短絡等で、0.5V以下にまで下がってしまった場合には、銅箔が溶出するなど極めて大きな劣化が起こっているので、やはり電池自体の交換を余儀なくされる。
[0026]
 図4は、正極にコバルト系金属酸化物リチウムを用い、負極にチタン酸リチウムを用いた場合の電位と充電率との関係を示したものであり、図2の系に対して負極材料を変更した場合での関係である。図4においても、過放電で、充電率が0%近くになると、やはり負極電位が上昇し、正極電位が下降する。チタン酸リチウムを用いる場合には、負極電位が1V以上に高くなるので、銅箔ではなくアルミ箔を負極集電箔としてもちいることができる。アルミは銅と異なり、1V以下の低電位では溶出するが、逆に高電位では溶出しなくなるので、負極電位が上昇しても、銅箔のように溶出が起こることはない。しかし、チタン酸リチウムからリチウムを抜きすぎると、電位が上昇して結晶系が変化するので、電位が上昇しすぎると劣化につながる。また、正極電位が下がりすぎると、コバルト系金属酸化物リチウムの結晶構造が変化し、不可逆な劣化につながる。従って、正極にコバルト系金属酸化物リチウムを用い、負極にチタン酸リチウムを用いた場合にも、最低電圧が存在し、それ以下に下がるとアラームを出すように常時、下限電圧を監視する必要がある。最低必要電圧はおよそ1.7V程度である。これよりも大きく下回った場合、外部短絡等で、例えば1.0V以下にまで下がってしまった場合には、主としてコバルト系金属酸化物リチウムの結晶系の変化による劣化が顕著になる。
[0027]
 図5は、正極にオリビン型リン酸鉄リチウムを用い、負極にチタン酸リチウムを用いた場合の電位と充電率との関係を示したものであり、図2の系に対し正極材料と負極材料ともに変更した場合での関係である。図5においても、過放電で、充電率が0%近くになると、やはり負極電位が上昇し、正極電位が下降する。チタン酸リチウムを用いる場合には、負極集電箔に銅箔ではなくアルミ箔をもちいることができ、負極電位が上昇しても、銅箔の溶出が起こることはない。しかし、チタン酸リチウムからリチウムを抜きすぎると、電位が上昇して結晶系が変化するので、電位が上昇しすぎると劣化につながる。また、正極電位が下がりすぎると、オリビン型リン酸鉄リチウムの結晶構造が変化し、不可逆な劣化につながる。従って、正極にオリビン型リン酸鉄リチウムを用い、負極にチタン酸リチウムを用いた場合にも、外部短絡等で、例えば0V近くまで下がってしまった場合には、オリビン型リン酸鉄リチウムやチタン酸リチウムの結晶系の変化による劣化が顕著になる。
[0028]
 つまり、リチウム電池材料として考えられる材料を組み合わせただけでは、端子電圧を0V近くまで下げることが困難であることがわかった。しかし、リチウム電池とキャパシタとが共通負極で一体化された電力貯蔵デバイスにおいて、キャパシタ正極と短絡したリチウム電池正極の電位特性が、リチウム電池単独の時の電位特性から変化する現象を発見した。その現象を利用することにより、下記に示すように、本発明の実施の形態1にかかる電力貯蔵デバイスセルでは、充電率が0%で端子電圧の下限を0.1V以下に低減することができる。
[0029]
 本発明の実施の形態1にかかる電力貯蔵デバイスセルでのリチウム電池部の電位図を図6と図7に示す。図6は、正極に活性炭の粒子を主成分とするキャパシタ正極とオリビン型リン酸鉄リチウムの粒子を主成分とするリチウム電池正極のハイブリッド正極を用い、共通負極にチタン酸リチウムの粒子を主成分として用いた場合の電位と充電率との関係を示したものである。図5の系と同様に、オリビン型リン酸鉄リチウムを正極に、チタン酸リチウムを負極に用いているが、キャパシタ部とリチウム電池部の正極が短絡されているので、電位図は、キャパシタ部の影響を大きく受けて、異なる曲線になっている。充電率が90%から100%の領域で大きく異なるのは、ハイブリッド正極の電位(一点鎖線)で、キャパシタ正極の影響で、4.3Vから3.5Vまで一定の傾きで低下する部分が生じる。この部分はキャパシタからの放電に基づく部分である。同様に、10%から0%の領域でも、キャパシタからの放電に基づく部分があり、傾斜が生じる。このため、オリビン型リン酸鉄リチウムのみの場合(実線)よりも大きく低下している。一方、共通負極の電位(2点鎖線)も、キャパシタ部の影響を受けて、チタン酸リチウムのみの場合(破線)よりも上昇が大きくなっている。これによって、充電率が0%の時点で、0.1Vを下回る端子電圧になっている。端子電圧が0.1Vを下回ると、内部抵抗が存在するために、実質的には電流を取り出すことが困難になり、過放電による劣化も起こらない。従って、最低電圧の常時監視が不要にできる。
[0030]
 図7は、図6と同様に、正極に活性炭の粒子を主成分とするキャパシタ正極とオリビン型リン酸鉄リチウムの粒子を主成分とするリチウム電池正極のハイブリッド正極を用い、共通負極にチタン酸リチウムの粒子を主成分として用いた場合の電位と充電率との関係を示したものである。図6との違いは、共通負極7の電極材料であるチタン酸リチウムの組成が、充電率=0%の時に一般式Li Ti 12(4.0≦x≦4.1)の結晶系を含むように調整したことである。
[0031]
 充電率が0%のときに、一般式Li Ti 12(4.0≦x≦4.1)となる結晶系では、充電率=0%の時にリチウムが不足するために負極電位が大きく上昇する。このため、充電率=0%の時には端子電圧は0Vに達する。また、劣化が起こるのは、端子電圧が逆転して-0.2Vに到った場合であり、通常は負の電圧になる放電はないので、0Vで安定であることを意味する。
[0032]
 一般式Li Ti 12(4.0≦x≦4.1)となる結晶系とするには、充電率が0%のときに、チタン酸リチウムが不足する程度にチタン酸リチウムの総量とリチウムイオンの総量を設計することで実現できる。チタン酸リチウムは、一般式Li Ti 12(x=7)までリチウムを吸蔵することができる。一般式Li Ti 12(x=4.1)の状態まで放電した状態で、オリビン型リン酸鉄リチウムへのリチウム吸蔵やキャパシタ正極へのリチウムイオン吸蔵が可能な状況にあれば、電解液にまだリチウムイオンを受けいれる余地があり、チタン酸リチウムからさらにリチウムイオンが放出されて、一般式Li Ti 12(4.0≦x≦4.1)となる結晶系が生じる。例えば、初期の電解液中のリチウムイオンを少なく設定することで、充電率=0%において一般式Li Ti 12(4.0≦x≦4.1)となる結晶系を生じさせることができ、充電率=0%において端子電圧を0Vにすることが可能になる。
[0033]
 端子電圧が0Vになれば、電気二重層キャパシタと同様に、正極と負極とを金属線などを用いて電気短絡して安全に持ち運びし、輸送、設置、取り外しすることができる。また、電位差がなく、劣化が起こらないので、高温での耐久性も増す効果が得られる。つまり、本発明の実施の形態にかかる電力貯蔵デバイスセルや蓄電デバイスは、リチウム電池正極とキャパシタ正極とを短絡した正極端子と共通負極とを短絡することで安全に保管することができる。
[0034]
 また、電力貯蔵デバイスを直列に接続している場合には、放電末期には、一部の電力貯蔵デバイスセルで端子電圧がマイナス電圧になる場合が生じる。図7のように充電率が0%のときに、一般式Li Ti 12(4.0≦x≦4.1)となるように調整していれば、端子電圧がマイナスになっても許容できるので、過放電時の劣化が飛躍的に改善できる。
[0035]
 つぎに、本発明の実施の形態1にかかる電力貯蔵デバイスセルの性能を検証するため、共通負極の構成を色々と変化させたセルを試作し、性能試験を実施した。なお、本性能試験においては、試験条件を単純化するために、正極はハイブリッド正極ではなく、リチウム電池正極専用の正極とキャパシタ正極専用の正極を使用することとした。
[0036]
実施例1
[共通負極の作製]
 一般式Li Ti 12(x=4.0)のチタン酸リチウム微粒子と導電剤としてのアセチレンブラックとバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)を重量比87:5:8で混合し、溶媒としてのn-メチルピロリドンからなる電極ペーストを混合調製した。次にこのペーストを負極集電箔3として、幅300mm、厚さ20μmで、直径1mmの孔(透過孔4)が5mmピッチでパンチングされたアルミニウム箔の両面に塗工形成して乾燥し150℃でホットプレスし共通負極とした。この負極を32mm×52mmの短冊に切断し、角から20mm×20mmの部分を切除して、7mm×20mmのタブ部を設け電流端子タブ部とした。
[0037]
[キャパシタ正極の作製]
 キャパシタ正極電極層として、平均粒径5μmの活性炭とバインダーとしてのアクリル系ポリマー、溶媒としての水からなる電極ペーストを混合調製した。次にこのペーストを幅300mm、厚さ50μmの純アルミニウム製の集電箔10Cの片面に塗工し厚さ100μmのキャパシタ正極電極層8を形成して、キャパシタ正極11Cを得た。この正極11Cを30mm×50mmの短冊に切断し、角から23mm×20mmの部分を切除して、7mm×20mmのタブ部を設け、その部分のキャパシタ正極電極層8を剥がし、箔部を露出させて電流端子タブ部とした。
[0038]
[リチウム電池正極の作製]
 厚さ50μmの純アルミ集電箔10Lの裏面にリチウム電池正極電極層として、平均粒径5μmのオリビン型リン酸鉄リチウム、アセチレンブラック、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)をn-メチルピロリドン(NMP)に分散させ100℃で乾燥させて厚さ100μmのリチウム電池正極電極層9を形成し、150℃でホットロールプレスして、リチウム電池正極11Lを得た。この正極11Lを30mm×50mmの短冊に切断し、角から23mm×20mmの部分を切除して、7mm×20mmのタブ部を設け、そのリチウム電池正極電極層9を剥がし、箔部を露出させて電流端子タブ部とした。
[0039]
[セルの作製]
 キャパシタ正極11C(電極層8のみ片面形成)、共通負極7、リチウム電池正極11L(電極層9のみ片面形成)の順に互いの電極層が対向するように中心を揃えて積層し、間にそれぞれ厚さ35μmのセルロース系紙セパレータを1枚ずつはさんだ。2枚の正極11C、11Lの集電タブを重ねてこの集電タブにアルミニウム箔を超音波溶接により接続(短絡)して正極集電端子TPとした。この電極積層体を図8のようにアルミラミネートフィルムの外装に収納し、電解液として、1.5mol/lのLiPF を含む、エチレンカーボネート-ジエチルカーボネート3:7混合溶媒を注液し、最後にアルミラミネート外装19を封口し試験用セルとした。図8は、アルミラミネート外装を施した試験用セルの半透過図である。図において、アルミラミネートフィルムの外装19は2つ折りして、3辺を熱可塑性樹脂で熱融着20する。電流端子部TP、TNには、金属との密着性を改善した熱可塑性樹脂17を装着した後、外装に熱融着している。図5の底辺については、真空引きを行って電解液を含浸した後、最終的に熱融着して封止した。なお、図5において、外装19が電極部分の大きさと較べて長くなっているのは、3cm×3cmの電極部に面圧をかけて充放電試験を実施する際に、電極から劣化に伴うガスが発生しても、長くなった外装部に発生したガスを溜めて、試験を継続できるようにするためである。なお、正極11C、11Lよりも負極7を外形で4辺とも1mm大きくして、正極と負極のずれによる測定誤差を防いでいる。
[0040]
[セルの評価]
 このセルについて3cm×3cmの電極部にステンレス製の押さえ板で5kg/cm の面圧をかけて、5℃環境下で下限電圧0V、上限電圧4.0Vで20分間充電、20分間放電(3C)を48時間繰り返す充放電試験を行った。試験前と試験後に、充放電を3回繰り返し、3回目の放電曲線から、静電容量を求めた。初期の静電容量を100%として、試験後の静電容量維持率を求めた。
[0041]
実施例2
 電解液として、1.2mol/lのLiPF を含む、エチレンカーボネート-ジエチルカーボネート3:7混合溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同じとした。
[0042]
比較例1
 キャパシタ負極電極層5およびリチウム負極電極層6を、黒鉛系カーボン粒子を主成分とし、アルミ箔ではなく、パンチングして貫通孔を設けた銅箔を共通負極集電箔3として用いて作製したこと以外は、実施例1と同じとした。
[0043]
比較例2
 リチウム負極電極層6をコバルト酸リチウムの微粒子を用いて作製したこと以外は、実施例1と同じとした。
[0044]
 実施例1、2と比較例1、2の評価結果をまとめて表1に示す。
[0045]
[表1]


[0046]
 表1において、実施例1、2と比較例1、2とを比較すると、実施例1、2は静電容量維持率が初期値の90%以上と高い値が保たれたが、比較例1、2では、1/3以下まで著しく低下している。比較例1、2のセルを分解調査した結果、比較例1は、明らかに銅箔が溶出しており、電解液が着色していた。比較例2は、リチウム電池正極電極層に多くの亀裂が生じており、副反応として電解液の分解と思われるガス発生が生じていて、外装のアルミラミネート容器が膨らんでいた。
[0047]
 また、実施例1と実施例2についても比較すると、実施例2の方が実施例1よりも静電容量維持率が高く保たれており、実施例1よりも安定性が改善されていることが明らかである。
[0048]
 実施例2のセルについては、さらに正極と負極をみのむしクリップを用いて電気短絡した状態で1ヶ月間、室温で保持し、3回、充放電を行って、静電容量を調べた。静電容量維持率は96%と高い値が保たれており、内部抵抗も高くなっていなかったことから、電気短絡による保持が可能であることが明らかになった。
[0049]
 なお、上記実施例と比較例では、小型セルでの試験のため、正極集電箔の片面に正極電極層を設けたそれぞれ専用のキャパシタ正極11C、リチウム電池正極11Lを形成した場合を示したが、図1のように正極集電箔11の両面に正極電極層8、9を設けたハイブリッド正極11を用いて、セパレータを介して交互に積層する構成でも、同じ効果が得られることは自明である。また、長尺にして、巻回、あるいは扁平巻回しても同じ効果が得られることは自明である。
[0050]
 以上のように、本発明の実施の形態1にかかる電力貯蔵デバイスセルや蓄電デバイスによれば、アルミニウム製の第1の集電箔10aの一方の面に活性炭の微粒子を含む第1の電極層であるキャパシタ正極層8が形成された第1の電極(キャパシタ正極)11aと、アルミニウム製の第2の集電箔10bの一方の面に第2の電極層であるリチウム電池正極層9が形成された第2の電極(リチウム正極)11bと、第3の集電箔3の少なくとも一方の面に第3の電極層5、6が形成された第3の電極7と、多孔質の絶縁フィルムからなる第1のセパレータ12と、多孔質の絶縁フィルムからなる第2のセパレータ13と、を備え、第3の集電箔3には透過孔4が形成され、第1の電極層8と第3の電極5側の面との間に第1のセパレータ12を挟持して第3の電極7を負極とするキャパシタを形成し、第2の電極層9と第3の電極7の電極層6側の面との間に第2のセパレータ13を挟持して第3の電極7をキャパシタとの共通負極とするリチウムイオン電池を形成し、第1の電極10aと第2の電極10bを短絡接続した電力貯蔵デバイスセルであって、第2の電極層9がオリビン型リン酸鉄リチウムの粒子を含んで構成され、第3の電極層5、6がチタン酸リチウムの粒子を主成分とするとともに第3の集電箔3をアルミニウム箔で構成したので、放電時の端子電圧が0.1V以下の低端子電圧を可能にし、過放電での劣化を解消すると共に、端子電圧の下限値の監視を不要にした電力貯蔵デバイスセルを得ることができる。
[0051]
 とくに、電力貯蔵デバイスセルでの充電率が0%のときに、チタン酸リチウムの組成が、一般式Li Ti 12(4.0≦x≦4.1)となるように構成したので、端子電圧が完全に0Vになっても劣化を生じさせることがない。
[0052]
 また、本発明の実施の形態1にかかる電力貯蔵デバイスセルや蓄電デバイスの保管方法によれば、短絡した第1の電極10aと第2の電極10bとの端子TPと、第3の電極7とを電気的に短絡して保管するので、電極電位が安定して劣化を防止できるとともに、漏電や感電の恐れがなく安全に保管することができる。
[0053]
実施の形態2.
 図9は、この発明の実施の形態2にかかる電力貯蔵デバイスセルの断面模式図である。実施の形態1との違いは、共通負極を貫通する貫通孔によって集電箔の透過孔を形成していることである。図において、共通負極207には、負極集電箔203材料として透過孔が形成されていない厚さ約10μm以上20μm以下のアルミニウム箔を用い、表裏にハードカーボン粒子と黒鉛粒子を混合したペーストを塗布してキャパシタ負極電極層205とリチウム電池負極電極層206を形成した後に、剣山(生け花で、花や枝の根元と固定するための道具で、金属の台に、複数の針を上向きに並べたもの)のような先端の尖った針状物が面内に並んだものを用いて物理的に共通負極207を貫く貫通孔14を開口して形成した。つまり、孔開け前のアルミ箔に電極層を塗布した後、突起物を押し当てて貫通孔14を形成し、貫通項14のうちの集電箔203部分を実施の形態1における集電箔の透過孔とした。
[0054]
 共通負極207の厚み方向全体を貫通する多数の貫通孔14は、共通負極207の電気化学電位を一定に保ち、キャパシタ正極11aもしくはリチウム電池正極11bの局部的な高電位や低電位による腐食の危険性を大幅に軽減することができる効果が得られる。また、電解液やイオンを、貫通孔14を介して表裏のセパレータ12、13間を速やかに移動させることができるので、電極の膨張収縮に速やかに応答して、急速な充放電による劣化を防止する効果が得られる。また、電極層を孔のない金属箔に塗布できるので、容易に電極層を塗布でき、均質な電極層を形成することができる。
[0055]
 なお、図9では、負極集電箔203の両側に電極層205、206を形成する場合について記載したが、これに限られることはない。例えば、電極層205のみ、または206のみを形成した場合でも電極層形成後に貫通孔14を形成でき、電解液やイオンを、表裏のセパレータ12、13間で速やかに移動させることができる。
[0056]
 以上のように、本発明の実施の形態2にかかる電力貯蔵デバイスセルによれば、第3の電極である共通負極207に共通負極207の厚み方向を貫通する貫通孔14を設けるように構成したので、キャパシタ側とリチウム電池側の電解質の移動がスムーズになり、急速充放電への応答がよくなる。
[0057]
 また、本発明の実施の形態2にかかる電力貯蔵デバイスセルの製造方法によれば、第3の集電箔である負極集電箔203に透過孔が形成される前に第3の電極層205、206を形成するためのペーストを塗布し、塗布後に突起物を押し当てて貫通孔14を形成するようにしたので、集電箔に透過孔を設けることができるとともに、電極層が良好に塗布でき、品質が安定する。
[0058]
実施の形態3.
 図10は、この発明の実施の形態3にかかる電力貯蔵デバイスセルの断面模式図である。実施の形態2と同様に、共通負極全体を貫通する貫通孔を有しているが、実施の形態2との違いとして、共通負極全体を貫通する貫通孔の形状を錐状とし、キャパシタ負極電極層側に向かって狭まる貫通孔314Aとリチウム電池負極電極層側に向かって狭まる貫通孔314Bとの2種類(2方向)の貫通孔を設けたことである。そのため突起物は、キャパシタ負極電極層305側からとリチウム電池負極電極層306側からの両方から押し当てることになる。具体的には、共通負極307の穴開け加工方法としては、例えば、底辺0.4mm、高さ0.7mmの四角錐の突起が0.8mm間隔で形成されている金属金型と、表面が平滑な金属板の間に両面に電極層305、306を塗布した共通負極307を設置し、0.3MPa程度の圧力でプレスする操作を表側、裏側それぞれでおこなうことで形成できる。また、針をもったローラーに表裏ひっくり返して2回通して同様に多数の孔を開けることができる。
[0059]
 共通負極307の表裏両面から構成された四角錐の貫通孔30は、その狭まる方向へ選択的に電解液を流通しやすくなり、貫通孔314Bでは第1セパレータ12から第2セパレータ13への電解液の移動、貫通孔314Aでは、第2セパレータ13から第1セパレータ12への電解液の移動を容易にしてリチウムイオン濃度を均一化し、集電箔303での貫通孔近傍でのリチウムデンドライトの発生を抑制する効果が得られる。
[0060]
 貫通孔のうちの集電箔303の透過孔に当たる部分の開口面積としては、負極集電箔303の全面積に対して、1~50面積%が好ましく、さらには5~20面積%が望ましい。1~50面積%の範囲であればイオン伝導性および電気伝導性をともに確保することができ、さらに5~20面積%の範囲であれば、イオン伝導性と電気伝導性のバランスが良好となるとともに、集電箔の強度を十分に保つことができる。この開口面積を変化させることによって、貫通孔314A、314Bを透過する場合のイオン伝導抵抗が変化するので、キャパシタ部およびリチウム電池部の電気化学電位の差異を制御することができ、開口面積を小さくするほど、電気化学電位の差異が大きくなって、リチウム電池部の電気化学電位が緩慢に変化するようになる。
[0061]
 以上のように、本発明の実施の形態3にかかる電力貯蔵デバイスセルによれば、第3の電極層305、306が第3の集電箔303の両面に設けられており、貫通孔として、第3の電極307の電極層305が設けられた一方の面側から電極層306が設けられた他方の面側に向かうにつれて狭くなる第1の貫通孔314Bと、第1の貫通孔314Bとは逆に、第3の電極307の電極層306が設けられた他方の面側から電極層305が設けられた一方の面側に向かうにつれて狭くなる第2の貫通孔314Aとの2種類の貫通孔を有するように構成したので、キャパシタ側からリチウム電池側、リチウム電池側からキャパシタ側と双方向の電解質の移動がスムーズになり、急速充放電への応答がよくなる。
[0062]
 また、本発明の実施の形態3にかかる電力貯蔵デバイスセルの製造方法によれば、貫通孔314A、314Bを金属箔の両面に電極層305、306を形成するためのペーストを塗布した後に、それぞれの面から突起物を押し当てて形成するように構成したので、電極層が良好に塗布でき、品質が安定する。
[0063]
 なお、本実施の形態2または3においては、貫通孔を開ける際に集電箔に生じた孔を電解質の透過孔としたが、貫通孔とは別に透過孔を形成していても、貫通孔によって電解質の移動をスムーズにする効果を得ることができることはいうまでもない。
[0064]
実施の形態4.
 図11は、この発明の実施の形態4にかかる電力貯蔵デバイスセルの断面模式図である。実施の形態1との違いは、共通負極407には、集電箔403の一方の面にキャパシタ負極電極層405が形成され、集電箔403の他方の面であるリチウム電池部側には、電気絶縁層18が形成されていることである。電気絶縁層18としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのフィルムやPVDFを塗布した層などが望ましい。キャパシタ負極電極層5は、リチウム電池負極電極層6としても機能する。そして、電気絶縁層18も含めて共通負極407全体を貫通する錐状の貫通孔414は、電気絶縁層18側から形成しており、電気絶縁層18側からキャパシタ負極電極層405に向かうにつれて狭くなるようになっている。針をもったローラーに、電気絶縁層18側が針に向かうように共通負極407を通すことにより、多数の貫通孔414を開けることができる。開孔率としては、30%以上70%以下が望ましく、開孔率が30%を下回ると、キャパシタ負極電極層5の、リチウム電池負極電極層6としての機能が低下する。また、開孔率が70%を上回ると、負極電極層の面積低下による性能低下をもたらす恐れがある。
[0065]
 キャパシタ負極電極層405が、リチウム電池負極電極層406としても機能する場合にも、リチウム電池正極層9がオリビン型リン酸鉄リチウムの粒子を含んで構成され、共通負極7の電極層がチタン酸リチウムの粒子を主成分として構成され、共通負極の集電箔3がアルミニウム箔であることが重要であり、充填率0%のときの端子電圧を下げて劣化を防止することができる。さらに、負極集電箔403の電極層が設けられない面に、電気絶縁層18を設けたので、集電箔のアルミ金属部分のうち、反応に寄与しない部分が電解液に触れることがなくなり、集電箔の溶出(腐食)を抑制できる。
[0066]
 以上のように、本発明の実施の形態4にかかる電力貯蔵デバイスセルによれば、共通負極407は、集電箔403のセパレータ12を介してキャパシタ正極電極層8に対峙する面となる一方の面に電極層405を形成し、集電箔403のセパレータ13を介して電極層9に対峙する面となる他方の面に絶縁皮膜18が設けられ、絶縁被膜18側から電極層405に向かうにつれて狭くなる共通負極407の厚み方向を貫通する貫通孔414が設けられているように構成したので、集電箔のアルミ金属部分のうち、反応に寄与しない部分が電解液に触れることがなくなり、集電箔の溶出(腐食)を抑制できる。
[0067]
実施の形態5.
 図12は、この発明の実施の形態5にかかる電力貯蔵デバイスセルの断面模式図である。実施の形態1との違いは、共通負極507には、集電箔503の一方の面にリチウム電池負極電極層507が形成され、集電箔503の他方の面であるキャパシタ側には、電気絶縁層518が形成されていることである。共通負極507については、実施の形態4の共通負極407と厚み方向でちょうど逆の構成になる。リチウム電池負極電極層506は、キャパシタ負極電極層505としても機能する。
[0068]
 共通負極507全体を貫通する錐状の貫通孔514は、電気絶縁層518側から形成しており、電気絶縁層518側からリチウム負極電極層506に向かうにつれて狭くなるようになっている。針をもったローラーに、電気絶縁層518側が針に向かうように共通負極507を通すことにより、多数の貫通孔514を開けることができる。開孔率としては、30%以上70%以下が望ましく、開孔率が30%を下回ると、キャパシタ負極電極層5の、リチウム電池負極電極層6としての機能が低下する。また、開孔率が70%を上回ると、負極電極層の面積低下による性能低下をもたらす恐れがある。
[0069]
 リチウム電池負極電極層506が、キャパシタ負極電極層505としても機能する場合にも、リチウム電池正極層9がオリビン型リン酸鉄リチウムの粒子を含んで構成され、共通負極7の電極層がチタン酸リチウムの粒子を主成分として構成され、共通負極の集電箔3がアルミニウム箔であることが重要であり、充填率0%のときの端子電圧を下げて劣化を防止することができる。また、本実施の形態でも、負極集電箔503の電極層が設けられない面に、電気絶縁層518を設けたので、アルミ集電箔の金属部分のうち、反応に寄与しない部分が電解液に触れることがなくなり、集電箔の溶出(腐食)を抑制できる。
[0070]
 以上のように、本発明の実施の形態5にかかる電力貯蔵デバイスセルによれば、共通負極507は、集電箔503のセパレータ13を介して電極層9に対峙する面となる一方の面に電極層506を形成し、集電箔503のセパレータ12を介してキャパシタ正極電極層8に対峙する面となる他方の面に絶縁皮膜518が設けられ、絶縁被膜518側から電極層506に向かうにつれて狭くなる共通負極507の厚み方向を貫通する貫通孔514が設けられているように構成したので、集電箔のアルミ金属部分のうち、反応に寄与しない部分が電解液に触れることがなくなり、集電箔の溶出(腐食)を抑制できる。
[0071]
実施の形態6.
 本実施の形態6では、共通負極の両面に電極層を設けた電力貯蔵デバイスセルで、両面に設けられた電極層のうち、少なくとも一方の電極層に、透過孔から他方の電極層内に食い込む複数の食い込み部を設けるようにしたものである。以下、詳細を説明する。図13は本実施の形態6にかかる電力貯蔵デバイスセルの断面模式図、図14は電力貯蔵デバイスセルの製造方法を説明するためのフローチャートである。図13において、共通負極607を構成する集電箔603、電極層605、606のうち、電極層606には、集電箔603内の透過孔となる貫通孔624から電極層605内部にまで食い込む複数の食い込み部21が設けられている。その他の構成については、実施の形態1で説明した電力貯蔵デバイスと同様である。
[0072]
 そして、図14に示すように、共通負極607を作製する際に、集電箔603の一方の面に電極層を構成する粒子のペーストを塗布して負極電極層605を形成(ステップS10)した後、他方の面である集電箔603側から穿孔により少なくとも電極層605内部に達し、透過孔として機能する到達孔624を穿孔(ステップS20)する。そして、穿孔面側から再度電極層を構成する粒子のペーストを塗布して負極電極層606を形成(ステップS30)することにより、電極層606は、電極層605内部にまで食い込む複数の食い込み部21を有する電極層となる。なお、食い込み部21は機能的には電極層605として機能する。また、ステップS30の後に電極層をプレスすることにより電極密度を調整する(ステップS40)。その後電極を積層する(ステップS50)ことにより電力貯蔵デバイスセルを作製する。
[0073]
 この製造方法によって、製造工程中に穿孔された到達孔624内は電極層606本体と一体となって形成される複数の食い込み部21で充填され、集電箔603と電極層605、606の密着性が向上する。穿孔によって形成される到達孔624は電極(電極層605)の表面まで貫通していても良いが、電極層の途中までで止まっていてもよい。要するに集電箔603にリチウムが通過するとともに、電極層605内部まで到達する孔が形成されていればよい。図13において到達孔624が電極表面を貫通して形成された場合、電極表面に貫通による凹凸が形成されるため、これをプレスによって平坦化することが望ましい。図14においてステップS20の穿孔を行った後にプレスする工程(ステップS40)を行ってもよい。その後、上記各実施の形態と同様にセパレータやキャパシタ正極とリチウム正極(またはハイブリッド正極)とを順次積層すれば電力貯蔵デバイスセルが製造できる。
[0074]
 なお、図14において、ステップS20を省略すれば実施の形態1の製造方法に対応し、ステップS20をステップS30の後ろに持っていけば、実施の形態2や3の製造方法に対応するフローとなる。
[0075]
実施の形態7.
 本実施の形態7では、共通負極の集電箔には、透過孔の周縁から共通負極の少なくとも一方の面に設けられた電極層に掛かるバリが形成されているようにしたものである。以下、詳細を説明する。図15は本実施の形態7にかかる電力貯蔵デバイスセルの断面模式図、図16は電力貯蔵デバイスセルの製造方法を説明するためのフローチャートである。図15において、共通負極707を構成する集電箔703には、貫通孔714の周縁から電極層706に掛かるバリ22が形成されている。その他の構成については、実施の形態1あるいは実施の形態2で説明した電力貯蔵デバイスと同様である。
[0076]
 そして、図16に示すように、共通負極707を作製する際に、集電箔703の一方の面に電極層を構成する粒子のペーストを塗布して負極電極層705を形成(ステップS710)した後、負極電極層705の塗布面側から突起物を押し当てる事で少なくとも集電箔703を貫通し、透過孔として機能する貫通孔714を形成(ステップS720)する。そして、電極層が塗布されていない他方の面側から再度電極層を構成する粒子のペーストを塗布して負極電極層706を形成(ステップS730)する。これにより、集電箔703には、貫通孔714の周縁から電極層706に掛かるバリ22が形成され、電極層706はバリ22を包み込むようにして形成される。その後負極707をプレスして電極密度を調整(ステップS740)した後、積層を行い(ステップS750)、電力貯蔵デバイスセルを作製する。
[0077]
 この製造方法においては、穿孔の際に集電箔603の下に、ゴム等のやわらかい基材を敷くことにより、突起物が集電箔703を押し破る際に、バリ22が、電極層706に向かって突出し、先端が孔の中心から開くように広がり電極層706に対して返し状に形成される。これにより、電極層706を塗布すると、バリ22を包み込むように電極層706が形成されるので、負極電極層706と負極集電箔703の密着強度が向上する。その後、上記各実施の形態と同様にセパレータやキャパシタ正極とリチウム正極(またはハイブリッド正極)とを順次積層すれば電力貯蔵デバイスセルが製造できる。
[0078]
 なお、本実施の形態においては集電箔の両面に電極層を有する場合の構成及び製造方法について説明したが、必ずしも両面に形成する必要はない。例えば、電極層が形成されていない集電箔に突起物で穿孔し、バリを形成した後で、バリが出ている面側に電極層を塗布して形成するようにしてもよい。したがって、集電箔の両面にそれぞれバリが出るように穿孔方向を変えて穿孔するようにしてもよい。
[0079]
 つぎに、本発明の実施の形態6および7にかかる電力貯蔵デバイスセルの性能を検証するため、共通負極の構成を色々と変化させたセルを試作し、性能試験を実施した。なお、本性能試験においても、実施の形態1と同様に、試験条件を単純化するために、正極はハイブリッド正極ではなく、リチウム電池正極専用の正極とキャパシタ正極専用の正極を使用することとした。
[0080]
実施例3
[共通負極の作製]
 一般式Li Ti 12(x=4.0)のチタン酸リチウム微粒子と導電剤としてのアセチレンブラックとバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)を重量比87:5:8で混合し、溶媒としてのn-メチルピロリドンからなる電極ペーストを混合調製した。次にこのペーストを負極集電箔として、幅300mm、厚さ20μmのプレーンなアルミニウム箔の両面に塗工形成して乾燥し110℃でホットロールプレスをした。この電極を底辺0.4mm、高さ0.7mmの四角錐の突起が0.8mm間隔で形成されている平板型の金属金型と、表面が平滑な金属板の間に設置し、さらにその上にアクリル板を乗せて0.5MPaの圧力でプレスする操作を2回繰り返し共通負極とした。この負極を32mm×52mmの短冊に切断し、角から20mm×20mmの部分を切除して、7mm×20mmのタブ部を設け電流端子タブ部とした。
[0081]
[キャパシタ正極の作製]
 実施の形態1で説明した実施例1と同様に作製した。
[0082]
[リチウム電池正極の作製]
 実施の形態1で説明した実施例1と同様に作製した。
[0083]
 [セルの作製]
 実施の形態1で説明した実施例1と同様に作製した。
[0084]
実施例4<実施の形態6相当>
[共通負極の作製]
 一般式Li Ti 12(x=4.0)のチタン酸リチウム微粒子と導電剤としてのアセチレンブラックとバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)を重量比87:5:8で混合し、溶媒としてのn-メチルピロリドンからなる電極ペーストを混合調製した。次にこのペーストを負極集電箔として、幅300mm、厚さ20μmのプレーンなアルミニウム箔の片面に塗工形成して乾燥した後、この電極を底辺0.4mm、高さ0.7mmの四角錐の突起が0.8mm間隔で形成されている平板型の金属金型と、表面が平滑な金属板の間に設置し、さらにその上にアクリル板を乗せて0.5MPaの圧力でプレスして集電箔側から電極層内部に達する到達孔を穿孔する操作を2回繰り返した。この後前述したペーストを集電箔上に塗布し、到達孔を埋めるようにもう一方の電極層を形成することにより、両面に電極層を有する負極を形成した。この電極を110℃でホットロールプレスして共通負極とした。
[0085]
 なお、[キャパシタ正極の作製]、[リチウム電池正極の作製]及び[セルの作製]は実施の形態1で説明した実施例1と同様に行った。
[0086]
実施例5<実施の形態7相当>
 一般式Li Ti 12(x=4.0)のチタン酸リチウム微粒子と導電剤としてのアセチレンブラックとバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)を重量比87:5:8で混合し、溶媒としてのn-メチルピロリドンからなる電極ペーストを混合調製した。次にこのペーストを負極集電箔として、幅300mm、厚さ20μmのプレーンなアルミニウム箔の片面に塗工形成して乾燥した後、この電極を底辺0.4mm、高さ0.7mmの四角錐の突起が0.8mm間隔で形成されている平板型の金属金型と、表面が平滑な金属板の間に設置し、さらにその上にアクリル板を乗せて0.5MPaの圧力でプレスして電極層側から穿孔する操作を2回繰り返した。穿孔により集電箔は突き破られ孔の周辺に約90μmのバリが生じていた。この後前述したペーストを集電箔上に塗布し、バリを包み込むように電極層を形成することにより、両面に電極層を有する負極を形成した。この電極を110℃でホットロールプレスして共通負極とした。
[0087]
 なお、[キャパシタ正極の作製]、[リチウム電池正極の作製]及び[セルの作製]は実施の形態1で説明した実施例1と同様に行った。
[0088]
[電極の評価]
 実施例3~5の共通負極について、14mm×14mmのサイズに切り出し、上下面に10mm×10mmのアルミニウム箔を挟み、上から10kg/cm の圧力で加圧した状態で電極の抵抗を測定した。表2に各電極の抵抗率を示す。
[0089]
[表2]


[0090]
 表2に示すように、各実施例では、それぞれ集電箔の両面に電極層が形成された共通負極を有するものである。しかし、両面の電極層のそれぞれが集電箔を境にして分離されている実施例1の電極や実施例3の電極の抵抗率が12Ωcm以上であるのに対し、一方の電極層606が他方の電極層605に食い込んでいる実施例4の電極では8.5Ωcmと抵抗率が低くなっている。これは、共通負極において後から形成した電極層606が、先に形成した電極層605にまで達する到達孔724を埋めるように形成したので、両電極層605、606で集電箔603を抑え込む形となり、集電箔603と電極層605、606との密着性が向上しているためと考えられる。
[0091]
 実施例1の電極や実施例3の電極と、集電箔703のバリが電極層706に掛かる実施例4の電極の抵抗率を比較すると、実施例4の電極も9.2Ωcmと、実施例1や3の電極よりも抵抗率が低くなっている。これは、共通負極の製造工程において、集電箔703を貫通する貫通孔714を形成した際に生じたバリ22を包むように電極層706を形成したので集電箔703と電極層606との密着性が向上しているためと考えられる。
[0092]
[セルの評価]
 実施例3~5のセルについて、3cm×3cmの電極部にステンレス製の押さえ板で5kg/cm の面圧をかけて、5℃環境下で下限電圧0V、上限電圧4.0Vで20分間充電、20分間放電(3C)を48時間繰り返す充放電試験を行った。試験前と試験後に、充放電を3回繰り返し、3回目の放電曲線から、静電容量を求めた。初期の静電容量を100%として、試験後の静電容量維持率を求めた。この評価結果および、実施の形態1における実施例1の結果(表1)を表3に示す。
[0093]
[表3]


[0094]
 表3に示すように、集電箔の両面に電極層を形成しただけの実施例1のセルに比べて、少なくとも工程中に穿孔工程を有する実施例3~5のセルの静電容量維持率が高くなっている。これは、穿孔工程によって生じた凹凸を吸収するためにプレスを行った結果、各電極層の厚みムラが減少し平坦度が向上したためであると考えられる。さらに、一方の電極層が他方の電極層へ食い込む実施例4のセルや、集電箔のバリが一方の電極層に掛かる実施例5のセルは、両面の電極層のそれぞれが集電箔を境にして分離されている実施例3のセルよりもさらに静電容量維持率が向上している。
[0095]
 実施例1及び3~5のセルについて、さらに正極と負極をみのむしクリップを用いて電気短絡した状態で1ヶ月間、室温で保持し、3回、充放電を行って、静電容量を調べた。その結果、静電容量維持率は92%と高い値が保たれており、内部抵抗も高くなっていなかったことから、電気短絡による保持が可能であることが明らかになった。
[0096]
 以上のように、本実施の形態6にかかる電力貯蔵デバイスによれば、共通負極607は、集電箔603の両面に電極層605、606が設けられており、集電箔603の両面に設けられた電極層605、606のうち、少なくとも一方の電極層606には、集電箔603の透過孔624から他方の電極層605内に食い込む複数の食い込み部21が設けられているように構成したので、集電箔603と電極層605、606の密着性が向上し、信頼性の高い電力貯蔵デバイスセルが得られる。
[0097]
 また、本実施の形態6にかかる電力貯蔵デバイスの製造方法によれば、共通負極607を形成する工程において、集電箔603の一方の面に、チタン酸リチウムの粒子に導電剤とバインダーを加えたペーストを塗布(ステップS10)し、ペーストを塗布した後に、集電箔603の他方の面側から突起物を押し当てて、少なくとも一方の電極層605内部に達し、透過孔として機能する到達孔614を穿孔(ステップS20)し、集電箔603の突起物を押し当てた面側からチタン酸リチウムの粒子に導電剤とバインダーを加えたペーストを到達孔614を埋めるように塗布(ステップS30)して、他方の電極層606を形成し、その後、電極11a、セパレータ12、共通負極607、セパレータ13、電極11bを積層(ステップS40)して、電力貯蔵デバイスセルを製造するように構成したので、上述した電力貯蔵デバイスを容易に製造することができる。
[0098]
 以上のように、本実施の形態7にかかる電力貯蔵デバイスによれば、共通負極707の集電箔703には、透過孔714の周縁から少なくとも一方の面の電極層703に掛かるバリ22が形成されているように構成したので、集電箔703と電極層706の密着性が向上し、信頼性の高い電力貯蔵デバイスセルが得られる。
[0099]
 また、本実施の形態7にかかる電力貯蔵デバイスの製造方法によれば、共通負極707を形成する工程において、集電箔703の面のうち、電極層が形成されていない面の反対側の面側から突起物を押し当てて、少なくとも集電箔703を貫通し、透過孔として機能する貫通孔714を形成し、貫通孔714の形成に伴い、集電箔703のバリ22が生じた面にペーストを塗布して、電極層706を形成し、その後、電極11a、セパレータ12、共通負極607、セパレータ13、電極11bを積層(ステップS40)して、電力貯蔵デバイスセルを製造するように構成したので、上述した電力貯蔵デバイスを容易に製造することができる。

符号の説明

[0100]
 3 負極集電箔(第3の集電箔)、 4 負極集電箔の透過孔、 5 キャパシタ負極電極層(第3の電極層)、 6 リチウム電池負極電極層(第3の電極層)、 7 共通負極(第3の電極)、 8 キャパシタ正極電極層(第1の電極層)、 9 リチウム電池正極電極層(第1の電極層)、 10 正極集電箔(10a:第1の集電箔、10b:第2の集電箔)、
11 正極(11a:ハイブリッド正極(キャパシタ正極扱い)、11b:ハイブリッド正極(リチウム電池正極扱い)、11C:キャパシタ正極、
11L:リチウム電池正極、 12 第1のセパレータ、 13 第2のセパレータ、 14 共通負極の貫通孔、 18 電気絶縁層、 19 外装、 20 熱融着部、 21 食い込み部、 22 バリ
 100位の数字は実施の形態ごとの変形例を示す。

請求の範囲

[請求項1]
 アルミニウム製の第1の集電箔の一方の面に活性炭の微粒子を含む第1の電極層が形成された第1の電極と、
 アルミニウム製の第2の集電箔の一方の面に第2の電極層が形成された第2の電極と、
 アルミニウム製の第3の集電箔の少なくとも一方の面に第3の電極層が形成された第3の電極と、
 多孔質の絶縁フィルムからなる第1のセパレータと、
 多孔質の絶縁フィルムからなる第2のセパレータと、を備え、
 前記第3の集電箔には透過孔が形成され、前記第1の電極層と前記第3の電極の一方の面との間に前記第1のセパレータを挟持して前記第3の電極を負極とするキャパシタを形成し、前記第2の電極層と前記第3の電極の他方の面との間に前記第2のセパレータを挟持して前記第3の電極を前記キャパシタとの共通負極とするリチウムイオン電池を形成し、前記第1の電極と前記第2の電極を短絡接続した電力貯蔵デバイスセルであって、
 前記第2の電極層がオリビン型構造を有するリン酸型リチウム化合物の粒子を含んで構成され、前記第3の電極層がチタン酸リチウムの粒子を主成分として構成されていることを特徴とする電力貯蔵デバイスセル。
[請求項2]
 当該電力貯蔵デバイスセルでの充電率が0%のときに、前記チタン酸リチウムの組成が、一般式Li Ti 12(4.0≦x≦4.1)となることを特徴とする請求項1記載の電力貯蔵デバイスセル。
[請求項3]
 前記第3の電極に前記第3の電極の厚み方向を貫通する貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電力貯蔵デバイスセル。
[請求項4]
 前記第3の電極層は、前記第3の集電箔の両面に設けられており、
 前記貫通孔は、当該第3の電極の一方の面側から他方の面側に向かうにつれて狭くなる第1の貫通孔と、当該第3の電極の他方の面側から一方の面側に向かうにつれて狭くなる第2の貫通孔との2種類の貫通孔であることを特徴とする請求項3に記載の電力貯蔵デバイスセル。
[請求項5]
 前記第3の電極は、前記第3の集電箔の両面に前記第3の電極層が設けられており、
 前記第3の集電箔の両面に設けられた第3の電極層のうち、少なくとも一方の電極層には、前記透過孔から他方の電極層内に食い込む複数の食い込み部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電力貯蔵デバイスセル。
[請求項6]
 前記第3の集電箔には、前記透過孔の周縁から前記第3の電極層に掛かるバリが形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電力貯蔵デバイスセル。
[請求項7]
 前記第3の電極は、前記第3の集電箔の一方の面に前記第3の電極層が形成され、前記第3の集電箔の他方の面に絶縁皮膜が設けられ、前記絶縁被膜側から前記第3の電極層に向かうにつれて狭くなる前記第3の電極の厚み方向を貫通する貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電力貯蔵デバイスセル。
[請求項8]
 前記第3の電極層を前記第1のセパレータを介して前記第1の電極層に対峙させ、前記絶縁皮膜を前記第2のセパレータを介して前記第2の電極層に対峙させたことを特徴とする請求項7に記載の電力貯蔵デバイスセル。
[請求項9]
 前記第3の電極層を前記第2のセパレータを介して前記第2の電極層に対峙させ、前記絶縁皮膜を前記第1のセパレータを介して前記第1の電極層に対峙させたことを特徴とする請求項7に記載の電力貯蔵デバイスセル。
[請求項10]
 活性炭の微粒子にバインダーを加えたペーストを前記第1の集電箔に塗布して前記第1の電極層を有する前記第1の電極を形成し、
 オリビン型構造を有するリン酸型リチウム化合物の粒子に導電剤とバインダーを加えたペーストを前記第2の集電箔に塗布して前記第2の電極層を有する前記第2の電極を形成し、
 チタン酸リチウムの粒子に導電剤とバインダーを加えたペーストを前記第3の集電箔に塗布して前記第3の電極層を有する前記第3の電極を形成し、
 前記第1の電極、前記第1のセパレータ、前記第3の電極、前記第2のセパレータ、前記第2の電極を積層して、前記電力貯蔵デバイスセルを製造する方法であって、
 前記第3の電極は、前記第3の集電箔に前記透過孔が形成される前にペーストを塗布し、塗布後に突起物を押し当てて前記貫通孔を形成することを特徴とする請求項3または4に記載の電力貯蔵デバイスセルの製造方法。
[請求項11]
 活性炭の微粒子にバインダーを加えたペーストを前記第1の集電箔に塗布して前記第1の電極層を有する前記第1の電極を形成し、
 オリビン型構造を有するリン酸型リチウム化合物の粒子に導電剤とバインダーを加えたペーストを前記第2の集電箔に塗布して前記第2の電極層を有する前記第2の電極を形成し、
 チタン酸リチウムの粒子に導電剤とバインダーを加えたペーストを前記第3の集電箔の両面に塗布して前記第3の電極層を両面に有する前記第3の電極を形成し、
 前記第1の電極、前記第1のセパレータ、前記第3の電極、前記第2のセパレータ、前記第2の電極を積層して、前記電力貯蔵デバイスセルを製造する方法であって、
 前記第3の電極を形成する工程において、
 前記第3の集電箔の一方の面にペーストを塗布して、前記両面の電極層のうちの一方の電極層を形成し、
 前記一方の電極層を形成した後に、前記第3の集電箔の他方の面側から突起物を押し当てて、少なくとも前記一方の電極層内部に達し、前記透過孔として機能する到達孔を穿孔し、
 前記第3の集電箔の前記突起物を押し当てた面側から前記到達孔を埋めるようにペーストを塗布して、他方の電極層を形成することを特徴とする請求項5に記載の電力貯蔵デバイスセルの製造方法。
[請求項12]
 活性炭の微粒子にバインダーを加えたペーストを前記第1の集電箔に塗布して前記第1の電極層を有する前記第1の電極を形成し、
 オリビン型構造を有するリン酸型リチウム化合物の粒子に導電剤とバインダーを加えたペーストを前記第2の集電箔に塗布して前記第2の電極層を有する前記第2の電極を形成し、
 チタン酸リチウムの粒子に導電剤とバインダーを加えたペーストを前記第3の集電箔に塗布して前記第3の電極層を有する第3の電極を形成し、
 前記第1の電極、前記第1のセパレータ、前記第3の電極、前記第2のセパレータ、前記第2の電極を積層して、前記電力貯蔵デバイスセルを製造する方法であって、
 前記第3の電極を形成する工程において、
 前記第3の集電箔の面のうち、電極層が形成されていない面の反対側の面側から突起物を押し当てて、少なくとも前記第3の集電箔を貫通し、前記透過孔として機能する貫通孔を形成し、
 前記貫通孔の形成に伴い、前記第3の集電箔のバリが生じた面にペーストを塗布して、前記第3の電極層を形成することを特徴とする請求項6に記載の電力貯蔵デバイスセルの製造方法。
[請求項13]
 活性炭の微粒子にバインダーを加えたペーストを前記第1の集電箔に塗布して前記第1の電極層を有する前記第1の電極を形成し、
 オリビン型リン酸鉄リチウムに導電剤とバインダーを加えたペーストを前記第2の集電箔に塗布して前記第2の電極層を有する前記第2の電極を形成し、
 チタン酸リチウムの粒子に導電剤とバインダーを加えたペーストを前記第3の集電箔に塗布して前記第3の電極層を有する前記第3の電極を形成し、
 前記第1の電極、前記第1のセパレータ、前記第3の電極、前記第2のセパレータ、前記第2の電極を積層して、前記電力貯蔵デバイスセルを製造する方法であって、
 前記第3の電極は、前記第3の集電箔に前記透過孔が形成される前にペーストを塗布し、塗布後に前記絶縁被膜側から突起物を押し当てて前記貫通孔を形成することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の電力貯蔵デバイスセルの製造方法。
[請求項14]
 前記第1の電極および前記第2の電極は、集電箔の一方の面に前記第1の電極層を形成し、他方の面に前記第2の電極層を形成したハイブリッド電極であり、
 前記第3の電極、前記第1のセパレータ、前記ハイブリッド電極、前記第2のセパレータの順で積層を繰り返して請求項1ないし9のいずれかに記載の電力貯蔵デバイスセルの複数を積層した主積層部を有する積層体で構成したことを特徴とする蓄電デバイス。
[請求項15]
 前記積層体の両端部が前記第3の電極となるように積層したことを特徴とする請求項14に記載の蓄電デバイス。
[請求項16]
 前記第1の電極および前記第2の電極は、集電箔の一方の面に前記第1の電極層を形成し、他方の面に前記第2の電極層を形成したハイブリッド電極であり、
 前記第3の電極、前記第1のセパレータ、前記ハイブリッド電極、前記第2のセパレータの順で積層し、積層したものを巻回して請求項1ないし9のいずれかに記載の電力貯蔵デバイスセルを構成したことを特徴とする蓄電デバイス。
[請求項17]
 前記短絡した第1の電極と第2の電極との端子と、前記第3の電極とを電気的に短絡して保管することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の電力貯蔵デバイスセルの保管方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]