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1. (WO2010076854) COMMUNICATION DEVICE, MOBILE STATION, AND COMMUNICATION CONTROL METHOD
Document

明 細 書

発明の名称 通信装置、移動局および通信制御方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

発明の開示

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための最良の形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

明 細 書

通信装置、移動局および通信制御方法

技術分野

[0001]
 本発明は無線通信における通信装置、移動局および通信制御方法に関する。

背景技術

[0002]
 現在、携帯電話システムや無線LAN(Local Area Network)などの無線通信システムが広く利用されている。無線通信では、送信装置は、データの誤り訂正符号化および変調を行い、得られた変調信号を物理層で無線リソースにマッピングして送信する。受信装置は、無線リソースにマッピングされた信号を抽出して復調および誤り訂正復号を行い、データを再生する。例えば、3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、携帯電話システムの物理層の仕様が議論されている(例えば、非特許文献1~4参照)。
[0003]
 また、無線通信システムでは、複数のアンテナを用いて無線信号を送受信するMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術が用いられる場合がある(例えば、特許文献1参照)。MIMOでは、通信チャネルの変動に応じて、複数のアンテナから送信する信号の位相を調整すること(プリコーディング)が可能である。例えば、位相調整量を定義したプリコーディング行列の集合(コードブック)から、通信チャネルの変動に応じたプリコーディング行列を選択して送信信号に適用する方法が考えられる(例えば、非特許文献1参照)。
[0004]
 また、無線通信システムでは、複数の送信装置が協調して同一のデータを送信するCoMP(Coordinated Multiple Point)送信技術が議論されている(例えば、非特許文献5参照)。受信装置は、同一のデータを含む受信信号を合成することで、受信品質を向上させることができる。CoMP送信の適否の判断として、例えば、受信装置で各送信装置からの信号の受信電力を測定し、1位の受信電力と2位の受信電力との差が閾値以下の場合にCoMP送信を行う方法が考えられる(例えば、非特許文献6参照)。また、受信電力が1位の信号のSINR(Signal to Interference and Noise Ratio)が閾値以下である場合にCoMP送信を行う方法も考えられる(例えば、非特許文献7参照)。
[0005]
 なお、CoMP送信では、合成された信号のチャネル推定を容易にするため、各送信装置が送信装置固有の参照信号(RS:Reference Signal)に加えて、受信装置固有の参照信号を送信することも考えられる(例えば、非特許文献8参照)。また、CoMP送信においてプリコーディング技術を用いることも考えられる(例えば、非特許文献9参照)。
また、データ送信のスケジューリングを行う通信装置と無線処理を行う無線送信装置とを別装置として分離することも考えられる(例えば、非特許文献10参照)。
特許文献1 : 特開2007-221746号公報
非特許文献1 : 3rd Generation Partnership Project, "Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical Channels and Modulation (Release 8)", 3GPP TS36.211, 2008-09 V8.4.0.
非特許文献2 : 3rd Generation Partnership Project, "Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Multiplexing and channel coding (Release 8)", 3GPP TS36.212, 2008-09 V8.4.0.
非特許文献3 : 3rd Generation Partnership Project, "Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical layer procedures (Release 8)", 3GPP TS36.213, 2008-09 V8.4.0.
非特許文献4 : 3rd Generation Partnership Project, "Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical layer - Measurements (Release 8)", 3GPP TS36.214, 2008-09 V8.4.0.
非特許文献5 : 3rd Generation Partnership Project, "Further Advancements for E-UTRA Physical Layer Aspects", 3GPP TR36.814, 2008-09 V0.1.1.
非特許文献6 : 3rd Generation Partnership Project, "Efficient HARQ Protocol for SIC based DL CoMP", 3GPP TSG-RAN WG1 #55 R1-084294, 2008-11.
非特許文献7 : 3rd Generation Partnership Project, "Further discussion on Inter-Cell Interference Mitigation through Limited Coordination", 3GPP TSG-RAN WG1 #54bis R1-083569, 2008-09.
非特許文献8 : 3rd Generation Partnership Project, "Downlink coordinated transmission - Impact on specification", 3GPP TSG-RAN WG1 #54bis R1-083931, 2008-09.
非特許文献9 : 3rd Generation Partnership Project, "Discussion and Link Level Simulation Results on LTE-A Downlink Multi-site MIMO Cooperation", 3GPP TSG-RAN WG1 #55 R1-084465, 2008-11.
非特許文献10 : 3rd Generation Partnership Project, "Application of Remote Radio Equipment to LTE-Advanced", 3GPP TSG-RAN WG1 #55 R1-084254, 2008-11.

発明の開示

発明が解決しようとする課題

[0006]
 ここで、移動局に対して複数の送信アンテナから同一のデータを含む信号を送信可能な無線通信システムを考える。このような無線通信システムでは、仮に複数の送信アンテナから信号を同時に送信したとしても、移動局では受信タイミング差が生じることが多い。移動局での受信タイミング差は、各送信アンテナが地理的に離れているほど顕著である。また、受信タイミング差は、移動局の移動に伴って変動する。そして、このような受信タイミング差は、移動局の受信品質を低下させる原因になるという問題がある。
[0007]
 例えば、先行信号に対しこれと同一内容の遅延量の大きな遅延信号が重なっていると、移動局ではチャネル変動が非常に大きいように見える。チャネル変動が大きいと、移動局では周波数毎のチャネル推定値を正確に求めることが容易でない。また、複数の送信アンテナにプリコーディング技術を適用する場合、近接する周波数でも適切な位相調整量が異なると、適切なプリコーディング行列を選択することが容易でない。すなわち、受信時のチャネル推定や送信時の位相調整などの機能が生かせず、受信品質を向上できない。
[0008]
 本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、複数の送信アンテナから同一のデータを含む信号を受信する場合の受信品質を向上できる通信装置、移動局および通信制御方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 上記課題を解決するために、移動局に対して複数の送信アンテナから同一のデータを含む信号が送信されるよう制御可能な通信装置が提供される。この通信装置は、受信部と制御部とを有する。受信部は、移動局における第1の送信アンテナの信号と第2の送信アンテナの信号との間の受信タイミング差を示す情報を取得する。制御部は、受信タイミング差に応じて、第1の送信アンテナの信号および第2の送信アンテナの信号の少なくとも一方の送信タイミングを変更するよう制御する。
[0010]
 また、上記課題を解決するために、複数の送信アンテナから同一のデータを含む信号を送信可能な無線通信システムと通信を行う移動局が提供される。この移動局は、測定部と送信部と受信部とを有する。測定部は、第1の送信アンテナの信号と第2の送信アンテナの信号との間の受信タイミング差を測定する。送信部は、測定部で測定した受信タイミング差を示す情報を無線通信システムに通知する。受信部は、送信部が受信タイミング差を示す情報を通知した後、第1の送信アンテナの信号と第2の送信アンテナの信号とを合成して復調する。
[0011]
 また、上記課題を解決するために、移動局に対して複数の送信アンテナから同一のデータを含む信号を送信可能な無線通信システムの通信制御方法が提供される。この通信制御方法では、移動局から、移動局における第1の送信アンテナの信号と第2の送信アンテナの信号との間の受信タイミング差を示す情報を取得する。受信タイミング差に応じて、第1の送信アンテナの信号および第2の送信アンテナの信号の少なくとも一方の送信タイミングを変更する。

発明の効果

[0012]
 上記通信装置、移動局および通信制御方法によれば、複数の送信アンテナから同一のデータを含む信号を受信する場合の受信品質が向上する。
 本発明の上記および他の目的、特徴および利点は本発明の例として好ましい実施の形態を表す添付の図面と関連した以下の説明により明らかになるであろう。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 通信装置および移動局の例を示す図である。
[図2] 第1の実施の形態の移動通信システムの構成を示す図である。
[図3] 第1の実施の形態の無線基地局を示すブロック図である。
[図4] 第1の実施の形態の移動局を示すブロック図である。
[図5] 無線フレームの構造例を示す図である。
[図6] 下り無線リソースの使用例を示す図である。
[図7] プリコーディング行列の例を示す図である。
[図8] 下りリンク通信の制御を示すフローチャートである。
[図9] シンボルの送受信タイミングを示す図である。
[図10] 受信信号のチャネル変動を示す図である。
[図11] 第2の実施の形態の無線基地局を示すブロック図である。
[図12] 送信信号生成部の詳細を示すブロック図である。
[図13] 第3の実施の形態の移動通信システムの構成を示す図である。
[図14] 第3の実施の形態の通信制御局を示すブロック図である。
[図15] 第4の実施の形態の移動局を示すブロック図である。
[図16] 下りリンク通信の他の制御例を示すフローチャートである。

発明を実施するための最良の形態

[0014]
 以下、本実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
 図1は、通信装置および移動局の例を示す図である。通信装置1は、移動局4に対して送信アンテナ2a,3aから同一のデータを含む信号が送信されるよう制御可能である。例えば、通信装置1は、送信アンテナ2aを備える送信装置2と、送信アンテナ3aを備える送信装置3とに、データを含む信号の送信タイミングを指示する。ただし、送信装置2および送信装置3の一方または両方が、通信装置1と一体の装置として形成されていてもよい。移動局4は、送信アンテナ2a,3aの信号を受信可能である。
[0015]
 通信装置1は、受信部1aおよび制御部1bを有する。受信部1aは、移動局4における送信アンテナ2aの信号と送信アンテナ3aの送信との間の受信タイミング差を示す情報を取得する。受信タイミング差を示す情報は、移動局4から無線で直接受信してもよいし、通信装置1とは別の受信装置を経由して取得してもよい。制御部1bは、移動局4から通知された受信タイミング差に応じて、送信アンテナ2aおよび送信アンテナ3aの少なくとも一方の送信タイミングを変更するよう制御する。
[0016]
 例えば、送信アンテナ3aの信号が送信アンテナ2aの信号より遅れて移動局4に到達している場合、送信アンテナ3aの信号の送信タイミングを、通知された受信タイミング差だけ早くすることが考えられる。逆に、送信アンテナ2aの信号の送信タイミングを、通知された受信タイミング差だけ遅くすることも考えられる。送信アンテナ2aの信号と送信アンテナ3aの信号の両方の送信タイミングを変更してもよい。また、通知された受信タイミング差の分をすぐに補償するのでなく、1回の変更量を制限してもよい。
[0017]
 送信装置2,3は、制御部1bの制御に基づき、送信アンテナ2a,3aから出力する信号の送信タイミングを変更する。例えば、送信装置2,3は、周波数領域上で位相回転することで、送信タイミングを変更できる。また、時間領域上の所定の信号区間内で信号を巡回シフトすることでも、送信タイミングを変更できる。なお、通信装置1と送信装置2,3とが別装置として形成されている場合に、送信装置2,3は無線送信処理のみを行い、通信装置1が送信タイミングの変更までの処理を行ってもよい。
[0018]
 移動局4は、測定部4a、送信部4bおよび受信部4cを有する。測定部4aは、送信アンテナ2aの信号と送信アンテナ3aの信号との間の受信タイミング差を測定する。受信タイミング差の測定には、例えば、受信部4cで受信した既知信号を用いる。送信部4bは、測定部4aで測定した受信タイミング差を示す情報を通信装置1側に通知する。例えば、受信タイミング差と対応付けられた所定ビット長のビット列(インデックスなど)を送信する。受信部4cは、送信アンテナ2aの信号と送信アンテナ3aの信号とを合成して復調する。
[0019]
 なお、測定部4aで受信タイミング差を決定する際の基準とする送信アンテナは、予め決めておいてもよいし、受信電力などの指標に基づいて選択してもよい。後者の場合、送信部4bは、基準の送信アンテナを示す情報を通信装置1側に通知してもよい。また、受信タイミング差が所定の閾値を超えた場合のみ、受信タイミング差を通信装置1側に通知するようにしてもよい。プリコーディング技術を用いる場合、測定部4aは、送信タイミングの変更量も考慮して、送信アンテナ2a,3aに適用するプリコーディング行列を選択することもできる。
[0020]
 このような通信装置1によれば、受信部1aにより、移動局4における送信アンテナ2aの信号と送信アンテナ3aの信号との間の受信タイミング差を示す情報が取得される。制御部1bにより、受信タイミング差に応じて、送信アンテナ2aの信号および送信アンテナ3aの信号の少なくとも一方の送信タイミングが変更されるよう制御される。また、このような移動局4によれば、測定部4aにより、送信アンテナ2aの信号と送信アンテナ3aの信号との間の受信タイミング差が測定され、送信部4bにより、受信タイミング差を示す情報が送信される。その後、受信部4cにより、送信アンテナ2aの信号と送信アンテナ3aの信号とが合成されて復調される。
[0021]
 これにより、移動局4における送信アンテナ2aの信号と送信アンテナ3aの信号との間の受信タイミング差が抑制される。すなわち、受信側での受信タイミングができる限り揃うように、送信側で各送信アンテナの送信タイミングが調整される。これは、送信アンテナ2aと送信アンテナ3aとが、地理的に大きく離れている場合に特に有効である。この結果、移動局4から見てチャネル変動が非常に大きくなることが防止され、チャネル推定やプリコーディング行列の選択を精度よく行うことができる。すなわち、受信時の補償処理や送信時の補償処理による通信品質の向上が図られる。
[0022]
 なお、上記の通信制御方法は、送信アンテナ数が3以上の場合にも適用できる。以下、2つの送信アンテナを備える無線基地局を2つ用いて1つの移動局に対してデータ送信を行う例(すなわち、4つの送信アンテナを用いる例)について、更に詳細に説明する。また、以下の実施の形態では、無線基地局から移動局へのデータ送信に、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調を用いることとする。
[0023]
 [第1の実施の形態]
 図2は、第1の実施の形態の移動通信システムの構成を示す図である。第1の実施の形態の移動通信システムは、無線基地局100,100aおよび移動局200を有する。無線基地局100と無線基地局100aとは、ネットワーク10を介して接続されている。
[0024]
 無線基地局100,100aは、移動局200と無線通信を行うことができる無線通信装置である。無線基地局100,100aは、下りリンク(無線基地局100,100aから移動局200への方向の無線リンク)によって、移動局200に対してユーザデータおよび制御情報を送信する。また、無線基地局100,100aは、上りリンク(移動局200から無線基地局100,100aへの方向の無線リンク)によって、移動局が送信したユーザデータおよび制御情報を受信する。
[0025]
 移動局200は、無線基地局100,100aと無線通信を行うことができる移動型の無線端末装置であり、例えば、携帯電話機である。移動局200は、上りリンクによって無線基地局100,100aにユーザデータおよび制御情報を送信する。また、移動局200は、下りリンクによって自局宛てのユーザデータおよび制御情報を受信する。なお、移動局200に加えて、移動局200以外の移動局が無線基地局100,100aと無線通信することも可能である。
[0026]
 ここで、無線基地局100,100aは、協調して同一のデータを移動局200に対して送信することが可能である。協調送信の制御は、無線基地局100または無線基地局100aが行う。例えば、現在の移動局200のメインの通信相手(サービング基地局)が無線基地局100である場合に、無線基地局100が協調送信を制御することが考えられる。この場合、無線基地局100は、ネットワーク10を介して無線基地局100aに、送信データを転送すると共に送信タイミングの指示についての情報を送信する。
[0027]
 協調送信を開始するか否かは、移動局200が決定するようにしてもよい。例えば、移動局200が、無線基地局100からの信号の受信電力と無線基地局100aからの信号の受信電力とを比較して、両者の差が所定の閾値以下である場合、協調送信を行うと決定する方法が考えられる。また、受信電力が大きい方のSINRを測定して、SINRが所定の閾値以下である場合、協調送信を行うと決定する方法も考えられる。
[0028]
 以下では、特に、無線基地局100,100aから移動局200への下りリンク通信の制御に着目して説明する。また、移動局200の現在のサービング基地局が無線基地局100であり、無線基地局100の制御のもと、無線基地局100と無線基地局100aとが協調送信を行う場合を考える。
[0029]
 図3は、第1の実施の形態の無線基地局を示すブロック図である。無線基地局100は、無線受信部111、CP削除部112、FFT部113、デマッピング部114、制御情報抽出部115、スケジューラ116、符号化部117、変調部118、通信インタフェース119、RS生成部120,121、プリコーディング部122、位相回転部123、マッピング部124,125、IFFT部126,127、CP挿入部128,129および無線送信部130,131を有する。なお、無線基地局100aも、無線基地局100と同様のブロック構成によって実現できる。
[0030]
 無線受信部111は、無線基地局100が備える受信アンテナで受信した無線信号を、デジタルベースバンド信号に変換する。例えば、無線受信部111は、無線信号を低周波数帯にダウンコンバートし、直交復調を行う。更に、A/D(Analog to Digital)変換器を用いて、連続信号(アナログ信号)を離散信号(デジタル信号)に変換する。そして、無線受信部111は、デジタルベースバンド信号をCP削除部112に出力する。
[0031]
 CP削除部112は、無線受信部111から取得したデジタルベースバンド信号から、CP(Cyclic Prefix)と呼ばれるガードインターバルを削除して、有効シンボルを抽出する。ここで、有効シンボルは、フーリエ変換および逆フーリエ変換の処理単位である。有効シンボルの間には、送信時にCPが挿入されている。CP削除部112は、抽出した有効シンボルを順次FFT部113に出力する。
[0032]
 FFT部113は、CP削除部112から有効シンボルとして取得した信号に対し高速フーリエ変換を行い、各周波数成分を抽出する。すなわち、FFT部113は、CP削除部112から取得した時間領域上の信号を、周波数領域上の信号に変換する。そして、FFT部113は、得られた周波数領域上の信号を、デマッピング部114に出力する。なお、時間領域から周波数領域への変換に際し、高速フーリエ変換以外の変換アルゴリズムを用いるようにしてもよい。
[0033]
 デマッピング部114は、FFT部113から取得した周波数領域上の信号を並べ替えて、すなわち、送信側のマッピング処理と逆の処理を行って、変調信号を再生する。そして、デマッピング部114は、得られた変調信号を制御情報抽出部115に出力する。
[0034]
 制御情報抽出部115は、デマッピング部114から取得した変調信号から、所定の制御情報を分離して抽出する。ここで抽出される制御情報には、移動局200で測定された受信タイミング差を示す情報や、移動局200で選択されたプリコーディング行列を示す情報などが含まれる。そして、制御情報抽出部115は、抽出した制御情報を、スケジューラ116に出力する。
[0035]
 スケジューラ116は、制御情報抽出部115から取得した制御情報に基づいて、符号化部117でのユーザデータの符号化、プリコーディング部122でのプリコーディング処理、および、位相回転部123での位相回転処理を制御する。また、スケジューラ116は、通信状態に応じて、適応的に変調符号化方式(MCS:Modulation and Coding Scheme)を変更することも可能である。
[0036]
 例えば、スケジューラ116は、移動局200における受信タイミング差を示す制御情報を取得すると、受信タイミング差を補償するための位相回転量を決定する。そして、無線基地局100の送信信号に位相回転を施す場合は、位相回転部123に位相回転量を指示する。また、無線基地局100aの送信信号に位相回転を施す場合は、通信インタフェース119を介して、無線基地局100aに位相回転量を通知する。なお、無線基地局100aがサービング基地局として機能するときは、スケジューラ116は、無線基地局100aから位相回転量を示す情報を取得する。
[0037]
 また、スケジューラ116は、移動局200が選択したプリコーディング行列を示す制御情報を取得すると、制御情報が示すプリコーディング行列を変調信号に適用するようにプリコーディング部122に指示する。また、通信インタフェース119を介して、無線基地局100aにプリコーディング行列を通知する。なお、無線基地局100aがサービング基地局として機能するときは、スケジューラ116は、無線基地局100aからプリコーディング行列を示す情報を取得する。
[0038]
 符号化部117は、スケジューラ116でのスケジューリング結果に基づいて、ユーザデータを誤り訂正符号化する。符号化方式としては、例えば、ターボ符号や畳み込み符号などを用いることができる。符号化方式は、スケジューラ116からの指示に応じて、適応的に変更してもよい。そして、符号化部117は、符号化データを変調部118に出力すると共に、通信インタフェース119を介して無線基地局100aに送信する。
[0039]
 変調部118は、符号化部117から取得した符号化データをデジタル変調する。変調方式としては、例えば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)や16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAMなどを用いることができる。変調方式は、スケジューラ116からの指示に応じて、適応的に変更してもよい。そして、変調部118は、得られた変調信号をプリコーディング部122に出力する。なお、無線基地局100aがサービング基地局として機能するときは、変調部118は、無線基地局100aから符号化データを取得する。
[0040]
 通信インタフェース119は、ネットワーク10経由で無線基地局100aと有線通信を行う。例えば、無線基地局100が移動局200のサービング基地局として機能するとき、スケジューラ116から取得した巡回シフト量を示す情報やプリコーディング行列を示す情報、符号化部117から取得した符号化データを無線基地局100aに送信する。一方、無線基地局100aが移動局200のサービング基地局として機能するとき、無線基地局100aから受信した巡回シフト量を示す情報やプリコーディング行列を示す情報をスケジューラ116に通知すると共に、符号化データを変調部118に出力する。
[0041]
 RS生成部120,121は、既知信号である参照信号(RS)を生成する。具体的には、RS生成部120は、各移動局に固有のRSを生成し、プリコーディング部122に出力する。移動局固有RSは、各移動局に静的に割り当てられていてもよいし、動的に割り当ててもよい。一方、RS生成部121は、送信装置(送信アンテナ)に固有のRSを生成し、マッピング部124,125に出力する。
[0042]
 プリコーディング部122は、変調部118から取得した変調信号およびRS生成部120から取得した移動局固有RSに対し、プリコーディング処理を行う。すなわち、プリコーディング部122は、変調信号および移動局固有RSに、スケジューラ116から指定されたプリコーディング行列を適用して、送信アンテナ毎の送信信号を生成する。そして、プリコーディング部122は、生成した信号を位相回転部123に出力する。なお、プリコーディング部122は、プリコーディング行列の候補の集合であるコードブックを予め保持している。
[0043]
 位相回転部123は、プリコーディング部122から取得したプリコーディング後の信号に対し、位相回転処理を行う。移動局毎の位相回転量は、スケジューラ116から指定される。そして、位相回転部123は、送信アンテナ毎の位相回転後の信号を、マッピング部124,125に出力する。なお、プリコーディング処理および位相回転処理の詳細は後で説明する。
[0044]
 マッピング部124,125は、位相回転部123から取得した位相回転後の信号およびRS生成部121から取得した送信装置固有RSを、送信に用いる無線リソースの各周波数にマッピングして、周波数領域上の信号と見なす。そして、マッピング部124は、マッピング後の信号を順次IFFT部126に出力する。同様に、マッピング部125は、マッピング後の信号を順次IFFT部127に出力する。
[0045]
 IFFT部126,127は、マッピング部124,125から取得した信号に対して逆高速フーリエ変換を行う。すなわち、IFFT部126,127は、マッピング部124,125から取得した周波数領域上の信号を時間領域上の信号に変換する。ここで得られる時間領域上の信号は、所定長の有効シンボルである。そして、IFFT部126は、得られた有効シンボルをCP挿入部128に出力する。同様に、IFFT部127は、得られた有効シンボルをCP挿入部129に出力する。なお、周波数領域から時間領域への変換に際し、逆高速フーリエ変換以外の変換アルゴリズムを用いるようにしてもよい。
[0046]
 CP挿入部128,129は、IFFT部126,127から取得した有効シンボルの間にCPを挿入する。CPとしては、例えば、有効シンボルに含まれる信号の一部を複製したものを用いる。そして、CP挿入部128は、有効シンボルにCPを付加した信号(シンボル)を無線送信部130に出力する。同様に、CP挿入部129は、シンボルを無線送信部131に出力する。
[0047]
 無線送信部130,131は、CP挿入部128,129から取得したシンボルを無線信号に変換する。例えば、無線送信部130,131は、D/A(Digital to Analog)変換器を用いて、デジタル信号をアナログ信号に変換する。更に、直交変調を行い、高周波数帯に変換する。そして、無線送信部130,131は、それぞれ、無線基地局100が備える送信アンテナから無線出力する。なお、受信アンテナと送信アンテナとを共用するようにしてもよい。
[0048]
 ここで、無線基地局100では、逆高速フーリエ変換前に、変調信号を周波数領域上で位相回転している。これにより、逆フーリエ変換後の信号を時間領域上で巡回シフトすることと同様の効果が得られている。なお、無線基地局100は、符号化後かつ変調前のデータを無線基地局100aに転送するようにしたが、符号化前のデータを転送してもよいし、変調後の信号を転送してもよい。すなわち、無線基地局100と無線基地局100aとの処理の分担は、上記以外にも様々な変形が考えられる。
[0049]
 図4は、第1の実施の形態の移動局を示すブロック図である。移動局200は、無線受信部211,212、CP削除部213,214、FFT部215,216、デマッピング部217,218、復調部219、復号部220、制御情報抽出部221、シフト量選択部222、行列選択部223、チャネル推定部224、制御情報生成部225、マッピング部226、IFFT部227、CP挿入部228および無線送信部229を有する。
[0050]
 無線受信部211,212は、それぞれ、移動局200が備える受信アンテナで受信した無線信号を、デジタルベースバンド信号に変換する。例えば、無線受信部211,212は、無線信号を低周波数帯にダウンコンバートし、直交復調を行う。更に、A/D変換器を用いて、アナログ信号をデジタル信号に変換する。そして、無線受信部211は、デジタルベースバンド信号をCP削除部213に出力する。同様に、無線受信部212は、デジタルベースバンド信号をCP削除部214に出力する。
[0051]
 CP削除部213,214は、無線受信部211,212から取得したデジタルベースバンド信号から、CPを削除して、有効シンボルを抽出する。そして、CP削除部213は、抽出した有効シンボルを順次FFT部215に出力する。同様に、CP削除部214は、抽出した有効シンボルを順次FFT部216に出力する。
[0052]
 FFT部215,216は、CP削除部213,214から有効シンボルとして取得した信号に対し高速フーリエ変換を行い、各周波数成分を抽出する。すなわち、FFT部215,216は、CP削除部213,214から取得した時間領域上の信号を、周波数領域上の信号に変換する。そして、FFT部215は、周波数領域上の信号をデマッピング部217に出力する。同様に、FFT部216は、周波数領域上の信号をデマッピング部218に出力する。
[0053]
 デマッピング部217,218は、FFT部215,216から取得した周波数領域上の信号を並べ替えて、すなわち、送信側のマッピング処理と逆の処理を行って、変調信号を再生する。そして、デマッピング部217,218は、得られた変調信号を復調部219および制御情報抽出部221に出力する。また、デマッピング部217,218は、送信装置固有RSをシフト量選択部222および行列選択部223に出力すると共に、移動局固有RSをチャネル推定部224に出力する。
[0054]
 復調部219は、デマッピング部217,218から取得した変調信号をMIMO分離・復調する。すなわち、復調部219は、チャネル推定部224から取得するチャネル推定値を用いて、変調信号に対しチャネル補償を行う。そして、チャネル補償後の変調信号に重畳されている異なる送信アンテナから出力された信号を分離・合成し、復調を行う。その後、復調部219は、得られた符号化データ(ユーザデータ)を復号部220に出力する。
[0055]
 復号部220は、復調部219から取得した符号化データを復号する。そして、復号部220は、得られたユーザデータを、データの種類に応じたデータ処理を行うモジュール(図示ぜず)に出力する。これにより、移動局200において受信データが利用される。
[0056]
 制御情報抽出部221は、デマッピング部217,218から取得した変調信号から、所定の制御情報を分離して抽出する。ここで抽出される制御情報には、無線基地局100で決定された(無線基地局100,100aの送信信号に適用されている)巡回シフト量を示す情報が含まれる。そして、制御情報抽出部221は、巡回シフト量を、行列選択部223に通知する。
[0057]
 シフト量選択部222は、デマッピング部217,218から取得した送信装置固有RSを用いて、各送信アンテナからの信号の遅延プロファイルを測定する。送信装置固有RSは、巡回シフトが行われていない既知信号であるため、本来の遅延量を求めることができる。シフト量選択部222は、遅延プロファイルに基づいて、各送信アンテナからの信号の受信タイミングを一致させるための巡回シフト量(受信タイミング差)を求める。そして、シフト量選択部222は、受信タイミング差を制御情報生成部225に通知する。
[0058]
 なお、受信タイミング差を求める際の基準とする送信アンテナは、例えば、受信電力の長区間平均が最も大きいものを選択することが考えられる。ただし、サービング基地局の送信アンテナを基準とすると決めておいてもよい。
[0059]
 行列選択部223は、デマッピング部217,218から取得した送信装置固有RSと制御情報抽出部221から取得した現在の巡回シフト量を示す制御情報を用いて、適切なプリコーディング行列を選択する。具体的には、行列選択部223は、送信装置固有RSから送信アンテナと受信アンテナの間の各パスのチャネル推定を行う。そして、チャネル推定値と現在の巡回シフト量とを用いて、各プリコーディング行列の候補を評価し、適切なものを選択する。プリコーディング行列の選択の詳細は後で説明する。そして、行列選択部223は、選択したプリコーディング行列を、制御情報生成部225に通知する。
[0060]
 チャネル推定部224は、デマッピング部217,218から取得した移動局固有RSを用いて、チャネル推定を行う。移動局固有RSは、プリコーディングおよび位相回転が施された既知信号であるため、プリコーディング後のチャネル推定値を求めることができる。そして、チャネル推定部224は、チャネル推定値を復調部219に出力する。
[0061]
 制御情報生成部225は、サービング基地局である無線基地局100に送信する制御情報を生成する。例えば、制御情報生成部225は、シフト量選択部222から受信タイミング差(所望の巡回シフト量)が通知されると、受信タイミング差を示す制御情報(例えば、所定ビット長のビット列)を生成する。また、行列選択部223から選択されたプリコーディング行列が通知されると、プリコーディング行列を示す制御情報(例えば、各プリコーディング行列に予め付与されている識別番号)を生成する。そして、制御情報生成部225は、生成した制御情報の信号をマッピング部226に出力する。
[0062]
 マッピング部226は、制御情報生成部225から取得した制御情報の信号を、送信に用いる無線リソースの各周波数にマッピングして周波数領域上の信号と見なす。そして、マッピング部226は、マッピング後の信号を順次IFFT部227に出力する。
[0063]
 IFFT部227は、マッピング部226から取得した信号に対して逆フーリエ変換を行う。すなわち、IFFT部227は、マッピング部226から取得した周波数領域上の信号を時間領域上の信号に変換する。ここで得られる時間領域上の信号は、所定長の有効シンボルである。そして、IFFT部227は、得られた有効シンボルをCP挿入部228に出力する。なお、周波数領域から時間領域への変換に際し、逆高速フーリエ変換以外の変換アルゴリズムを用いるようにしてもよい。
[0064]
 CP挿入部228は、IFFT部227から取得した有効シンボルの間にCPを挿入してシンボルを生成する。CPとしては、例えば、有効シンボルに含まれる信号の一部を複製したものを用いる。そして、CP挿入部228は、シンボルを無線送信部130に出力する。
[0065]
 無線送信部229は、CP挿入部228から取得したシンボルを無線信号に変換する。例えば、無線送信部229は、D/A変換器を用いて、デジタル信号をアナログ信号に変換する。更に、直交変調を行い、高周波数帯に変換する。そして、無線送信部229は、移動局200が備える送信アンテナから無線出力する。なお、受信アンテナと送信アンテナとを共用するようにしてもよい。
[0066]
 なお、上記説明では、無線基地局100から移動局200に対し、現在の巡回シフト量を通知することとした。一方で、移動局200が無線基地局100に通知した所望の巡回シフト量(受信タイミング差)がそのまま適用される場合には、無線基地局100から移動局200への通知は行わなくてもよい。すなわち、行列選択部223は、シフト量選択部222で測定した受信タイミング差を用いて、適切なプリコーディング行列を選択することも可能である。
[0067]
 図5は、無線フレームの構造例を示す図である。このような構造の無線フレームが、無線基地局100,100aと移動局200との間で送受信される。1つの無線フレームは複数のサブフレームを含む。各サブフレームでは、周波数領域×時間領域の無線リソースが細分化されて管理される。周波数方向の最小単位はサブキャリアと呼ばれる。時間方向の最小単位はシンボルである。1サブキャリア×1シンボルで特定される無線リソースの最小単位はリソースエレメントと呼ばれる。移動局200には、例えば、1サブフレーム内の複数のサブキャリア分の無線リソースが、リソースブロックとして割り当てられる。また、適用するプリコーディング行列は、例えば、複数のリソースブロックを纏めたサブバンドと呼ばれる単位で選択される。
[0068]
 図6は、下り無線リソースの使用例を示す図である。上側に示す無線リソースが、無線基地局100の1つの送信アンテナから出力される信号の配置例を表したものである。また、下側に示す無線リソースが、無線基地局100aの1つの送信アンテナから出力される信号の配置例を表したものである。図6の例では、各サブフレームの先頭3シンボルを制御情報の送信に用いる制御チャネルに割り当て、残りのシンボルをユーザデータの送信に用いるデータチャネルに割り当てている。
[0069]
 ここで、送信装置固有RSは、制御チャネルおよびデータチャネル全体に分散して配置されている。なお、送信装置固有RSは、送信アンテナ毎に異なるリソースエレメントに配置されていることが好ましい。これにより、移動局200で各送信アンテナの信号を分離して認識することが容易となる。一方、移動局固有RSは、データチャネル全体に分散して配置されている。移動局固有RSは、何れの送信アンテナについても、同じリソースエレメントに配置することができる。
[0070]
 図7は、プリコーディング行列の例を示す図である。無線基地局100,100aおよび移動局200は、図7に示すような共通のコードブックを保持している。この例は、送信ストリーム数を4、送信アンテナ数を4、プリコーディング行列数を8とした場合である。なお、各プリコーディング行列には、識別番号を付与することができる。この場合、無線基地局100,100aおよび移動局200は、識別番号を指定することで、プリコーディング行列を一意に特定することができる。
[0071]
 ここで、無線基地局100,100aで実行されるプリコーディング処理と位相回転処理、および、移動局200で実行されるプリコーディング行列の選択処理の詳細を説明する。ただし、2つの送信アンテナを備える無線基地局2つが協調する場合に限らず、送信アンテナ数について一般化した形で上記処理を定義する。
[0072]
 それぞれN 個(i=0,1,・・・,J-1)の送信アンテナを備えるJ個の無線基地局が協調する場合を考える。また、n番目のサブキャリアに適用するプリコーディング行列をW(n)、n番目のサブキャリアの変調信号ベクトルをx(n)とする。複数の送信アンテナから出力する送信信号ベクトルy(n)は、数式1のように定義できる。
[0073]
 数式1において、Ξ(n)は、位相回転処理のため行列であり、数式2のように定義できる。数式2において、Nは有効シンボル長(1回のFFTで処理するサンプル数)、Δ は移動局200で測定された受信タイミング差(所望の巡回シフト量)を示すサンプル数、I (i)はN ×N の単位行列である。2つの送信アンテナを備える無線基地局2つが協調する場合は、J=2,N =N =2であり、数式3のように定義できる。
[0074]
[数1]


[0075]
[数2]


[0076]
[数3]


 一方、移動局200で受信される信号r(n)は、n番目のサブキャリアでのチャネル行列をH(n)、n番目のサブキャリアでのノイズ行列をN(n)とすると、数式4のように定義できる。行列選択部223は、各プリコーディング行列の候補W(n)に対し、チャネル推定値行列H (n)と位相回転行列Ξ(n)とプリコーディング行列W(n)との行列積を所定の評価関数で評価する。そして、評価値が最も高いプリコーディング行列を選択する。評価関数としては、例えば、数式5で定義される関数fを用いる。
[0077]
[数4]


[0078]
[数5]


 図8は、下りリンク通信の制御を示すフローチャートである。以下、図8に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[0079]
 [ステップS11]移動局200は、無線基地局100,100aの各送信アンテナから出力される送信装置固有RSを用いて、各送信アンテナからの信号の受信タイミング差を測定する。
[0080]
 [ステップS12]移動局200は、ステップS11で測定した受信タイミング差を示す制御情報(所望の巡回シフト量を示す制御情報)を、サービング基地局である無線基地局100に送信する。受信タイミング差を示す制御情報には、例えば、基準の送信アンテナの識別情報、および、それ以外の各送信アンテナの基準の送信アンテナに対する受信タイミング差を示すサンプル数が含まれる。
[0081]
 [ステップS13]無線基地局100は、ステップS12で移動局200が送信した制御情報を受信し、無線基地局100,100aが備える各送信アンテナの送信信号に適用する巡回シフト量を決定する。通常は、移動局200から報告された受信タイミング差を補償するだけの巡回シフト量(移動局200が所望する巡回シフト量)を適用する。
[0082]
 [ステップS14]無線基地局100は、ステップS13で決定した巡回シフト量を示す制御情報を移動局200に送信する。また、無線基地局100は、決定した巡回シフト量を、協調送信を行う無線基地局100aにネットワーク10経由で通知する。
[0083]
 [ステップS15]移動局200は、ステップS14で無線基地局100が送信した制御情報を受信し、各送信アンテナの信号に適用された巡回シフト量と各送信アンテナから出力される送信装置固有RSとを用いて、予め定義されたコードブックの中から、適切なプリコーディング行列を選択する。
[0084]
 [ステップS16]移動局200は、ステップS15で選択したプリコーディング行列を示す制御情報(例えば、選択したプリコーディング行列の識別番号を含む制御情報)をサービング基地局である無線基地局100に送信する。
[0085]
 [ステップS17]無線基地局100は、ステップS16で移動局200が送信した制御情報を受信し、送信信号に適用するプリコーディング行列を決定する。通常は、移動局200が選択したプリコーディング行列を適用する。
[0086]
 [ステップS18]無線基地局100は、ステップS17で決定したプリコーディング行列を、協調送信を行う無線基地局100aにネットワーク10経由で通知する。
 [ステップS19]無線基地局100aは、ステップS14で通知された巡回シフト量およびステップS18で通知されたプリコーディング行列を用いて、ユーザデータを含む信号を生成し、移動局200に送信する。
[0087]
 [ステップS20]無線基地局100は、ステップS13で決定した巡回シフト量およびステップS17で決定したプリコーディング行列を用いて、ユーザデータを含む信号を生成し、移動局200に送信する。
[0088]
 なお、巡回シフト量およびプリコーディング行列は、協調送信の開始後、定期または不定期で更新することが可能である。更新は、上記と同様の処理で実現できる。なお、巡回シフト量とプリコーディング行列とは、同じタイミングで更新するようにしてもよいし、異なるタイミングで更新してもよい。
[0089]
 図9は、シンボルの送受信タイミングを示す図である。変調信号が周波数領域上で位相回転されることにより、高速フーリエ変換後の有効シンボルに含まれるN個のサンプルは図9に示すように有効シンボル内で巡回シフトする。
[0090]
 例えば、位相回転を行わない状態では、無線基地局100aの送信アンテナの信号が、無線基地局100の送信アンテナの信号よりτサンプルだけ遅れて移動局200に到達しているとする。この場合、例えば、無線基地局100aの送信アンテナから、τサンプルだけ送信タイミングが早くなるように巡回シフトされた信号が送信される。
[0091]
 このようにして送信された2つの有効シンボルは、移動局200に到達する時点で、タイミングが揃っている。すなわち、一方の有効シンボルのサンプル#τと他方の有効シンボルのサンプル#τとのタイミングが一致する。従って、同一内容の先行波と遅延波とが多重されて受信される状態を回避できる。
[0092]
 なお、図9の例で、移動局200は、無線基地局100aから受信した有効シンボルのサンプル#0~#τ-1を復調に用いてもよいし、用いずに捨ててもよい。また、無線基地局100は、無線基地局100aの送信タイミングを早める代わりに無線基地局100の送信タイミングを遅らせるようにしてもよい。また、無線基地局100の送信タイミングをτ/2だけ遅らせると共に無線基地局100aの送信タイミングをτ/2だけ早めるようにしてもよい。
[0093]
 図10は、受信信号のチャネル変動を示す図である。チャネル推定では、周波数領域上に間欠的に挿入された既知信号(RS)を用いて、その周波数のチャネル推定値を求め、他の周波数のチャネル推定値は直接に測定されたチャネル推定値から予測する(例えば、線形補間する)方法が考えられる。
[0094]
 しかし、同一内容の先行波と遅延波とが多重されていると、周波数領域上でのチャネル変動が非常に大きくなり、チャネル推定値の予測が極めて困難となる。すなわち、チャネル推定値が実際のチャネル状態と乖離し、チャネル補償の効果が十分に得られなくなる。これに対し、位相回転(巡回シフト)により受信タイミング差が補償されて、受信タイミングが揃うと、周波数領域上でのチャネル変動が抑制される。このため、チャネル推定値の予測が容易となり、受信処理におけるチャネル補償の効果が期待できる。
[0095]
 第1の実施の形態の移動通信システムによれば、移動局200における複数の送信アンテナからの信号の受信タイミング差が抑制される。すなわち、移動局200での受信タイミングができる限り揃うように、無線基地局100が各送信アンテナの送信タイミングを調整する。この結果、移動局200から見てチャネル変動が非常に大きくなることが防止され、通信品質の向上が図られる。
[0096]
 なお、第1の実施の形態では、シンボル内での巡回シフトを実現するために、周波数領域上での位相回転を行った。これは、周波数方向に複数の移動局が多重されている場合でも移動局毎に逆高速フーリエ変換処理を行わなくて済み、送信処理および送信回路を簡略化できるという利点がある。
[0097]
 [第2の実施の形態]
 次に、第2の実施の形態を説明する。前述の第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。第2の実施の形態の移動通信システムでは、周波数領域上で位相回転を行う代わりに、時間領域上で巡回シフトを行うことで、送信タイミングを変更できるようにしている。
[0098]
 図11は、第2の実施の形態の無線基地局を示すブロック図である。無線基地局300は、第1の実施の形態の無線基地局100に代えて用いられる。無線基地局300は、無線受信部311、CP削除部312、FFT部313、デマッピング部314、制御情報抽出部315、スケジューラ316、通信インタフェース317、送信信号生成部320,330、多重化部341,342および無線送信部343,344を有する。
[0099]
 ここで、送信信号生成部320,330および多重化部341,342以外のモジュールで実行される処理は、第1の実施の形態の無線基地局100における同名のモジュールと同様である。
[0100]
 送信信号生成部320,330は、それぞれ、スケジューラ316の制御のもと、各送信アンテナから出力する送信信号を生成する。図11の例では、2つの送信信号生成部が設けられているが、無線基地局300が同時に収容可能な移動局数だけ設けることができる。すなわち、送信信号生成部320,330は、互いに異なる移動局宛ての送信信号を生成する。送信信号生成部320,330の詳細は後述する。
[0101]
 多重化部341,342は、送信信号生成部320,330から取得した移動局毎の送信信号を多重化する。すなわち、多重化部341は、2つの送信アンテナの一方から出力する移動局毎の送信信号を多重化し、無線送信部343に出力する。多重化部342は、他方の送信アンテナから出力する移動局毎の送信信号を多重化し、無線送信部344に出力する。
[0102]
 図12は、送信信号生成部の詳細を示すブロック図である。送信信号生成部320は、符号化部321、変調部322、RS生成部323,324、プリコーディング部325、マッピング部326,326a、IFFT部327,327a、CP挿入部328,328aおよびシフト部329,329aを有する。なお、送信信号生成部330も、送信信号生成部320と同様のモジュール構成によって実現できる。
[0103]
 ここで、シフト部329,329a以外のモジュールで実行される処理は、第1の実施の形態の無線基地局100における同名のモジュールと同様である。ただし、プリコーディング部325でプリコーディング処理が施された変調信号は、周波数領域上の位相回転が行われずに、マッピング部326,326aに出力される。
[0104]
 シフト部329,329aは、CP挿入部328,328aから取得したデジタルベースバンド信号を、シンボル単位で巡回シフトする。巡回シフト量は、スケジューラ316から指定される。すなわち、送信信号生成部320では、逆フーリエ変換前の周波数領域上の信号を位相回転する代わりに、逆フーリエ変換後の時間領域上の信号を巡回シフトする。これによっても、周波数領域上で位相回転と同様の効果が得られる。
[0105]
 第2の実施の形態の移動通信システムによれば、第1の実施の形態と同様、移動局200における複数の送信アンテナからの信号の受信タイミング差が抑制される。すなわち、移動局200での受信タイミングができる限り揃うように、無線基地局300が各送信アンテナの送信タイミングを調整する。この結果、通信品質の向上が図られる。
[0106]
 [第3の実施の形態]
 次に、第3の実施の形態を説明する。前述の第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。第3の実施の形態の移動通信システムでは、複数の送信アンテナを用いた協調送信を制御するために、無線基地局の上位局として通信制御局が設けられている。
[0107]
 図13は、第3の実施の形態の移動通信システムの構成を示す図である。第3の実施の形態の移動通信システムは、移動局200、通信制御局400および無線基地局500,500aを有する。通信制御局400と無線基地局500,500aとは、有線で接続されている。
[0108]
 通信制御局400は、無線基地局500,500a経由で、移動局200とユーザデータおよび制御情報を送受信する通信装置である。通信制御局400は、無線基地局500,500aから受信した信号を復調・復号する。また、符号化・変調により移動局200宛ての信号を生成し、無線基地局500,500aに送信する。更に、通信制御局400は、無線基地局500,500aの無線送信のタイミングを制御することもできる。
[0109]
 無線基地局500,500aは、移動局200と無線通信を行うことができる無線通信装置である。無線基地局500,500aは、無線信号処理のみを行う。すなわち、無線基地局500,500aは、移動局200からの受信信号を通信制御局400に対し転送する。また、通信制御局400からの受信した信号を移動局200に無線出力する。
[0110]
 図14は、第3の実施の形態の通信制御局を示すブロック図である。
 通信制御局400は、CP削除部411、FFT部412、デマッピング部413、制御情報抽出部414、スケジューラ415、符号化部416、変調部417、RS生成部418,419、プリコーディング部420、位相回転部421、マッピング部422,423,424,425、IFFT部426,427,428,429およびCP挿入部430,431,432,433を有する。
[0111]
 無線基地局500は、無線受信部511および無線送信部512,513を有する。無線基地局500aは、無線送信部512a,513aを有する。
 ここで、通信制御局400および無線基地局500,500aが備える各モジュールで実行される処理は、第1の実施の形態の無線基地局100が備える同名のモジュールと同様である。ただし、通信制御局400が符号化からシンボル生成までを行い、無線基地局500,500aが無線信号処理を行う。送信タイミング調整のための位相回転処理は、通信制御局400で行われる。
[0112]
 このように、地理的に離れた複数の送信アンテナを用いた協調送信を、通信制御局400が一括して制御することができる。なお、通信制御局400と無線基地局500,500aとの間の処理分担は、図14に示した例以外にも種々の形態が考えられる。
[0113]
 第3の実施の形態の移動通信システムによれば、第1の実施の形態と同様、移動局200における複数の送信アンテナからの信号の受信タイミング差が抑制される。すなわち、移動局200での受信タイミングができる限り揃うように、通信制御局400が、通信制御局400と分離して設置された無線基地局500,500aの各送信アンテナの送信タイミングを調整する。この結果、通信品質の向上が図られる。
[0114]
 [第4の実施の形態]
 次に、第4の実施の形態を説明する。前述の第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。第4の実施の形態の移動通信システムでは、移動局が、移動局固有RSを用いたチャネル推定に加えて、送信装置固有RSを用いたチャネル推定も併せて行い、受信性能の一層の向上を図っている。
[0115]
 図15は、第4の実施の形態の移動局を示すブロック図である。移動局200aは、第1の実施の形態の移動局200に代えて用いられる。移動局200aは、無線受信部211,212、CP削除部213,214、FFT部215,216、デマッピング部217,218、復調部219a、復号部220、制御情報抽出部221a、シフト量選択部222、行列選択部223、チャネル推定部224,224a、制御情報生成部225、マッピング部226、IFFT部227、CP挿入部228および無線送信部229を有する。
[0116]
 ここで、復調部219a、制御情報抽出部221aおよびチャネル推定部224a以外のモジュールで実行される処理は、第1の実施の形態の移動局200における同名のモジュールと同様である。
[0117]
 復調部219aは、デマッピング部217,218から取得した変調信号をMIMO分離・復調する。その際、復調部219aは、チャネル推定部224から取得するチャネル推定値に加え、チャネル推定部224aから取得するチャネル推定値も用いて、チャネル補償を行う。例えば、2つのチャネル推定値の平均値を用いてチャネル補償を行うことが考えられる。
[0118]
 制御情報抽出部221aは、デマッピング部217,218から取得した変調信号から所定の制御情報を分離して抽出する。ここで抽出される制御情報には、無線基地局100で決定された巡回シフト量を示す情報とプリコーディング行列を示す情報が含まれる。そして、制御情報抽出部221aは、巡回シフト量を行列選択部223およびチャネル推定部224aに通知し、プリコーディング行列をチャネル推定部224aに通知する。
[0119]
 チャネル推定部224aは、デマッピング部217,218から取得した送信装置固有RSと、制御情報抽出部221aから通知された巡回シフト量およびプリコーディング行列とを用いて、チャネル推定を行う。
[0120]
 すなわち、まず、チャネル推定部224aは、プリコーディングおよび位相回転が施されていない既知信号である送信装置固有RSを用いてチャネル推定を行う。そして、得られたチャネル推定値行列と位相回転行列とプリコーディング行列との行列積により、プリコーディング後のチャネル推定値を算出する。そして、チャネル推定部224aは、チャネル推定部224と同様、チャネル推定値を復調部219aに出力する。
[0121]
 第4の実施の形態の移動通信システムによれば、第1の実施の形態と同様、移動局200aにおける複数の送信アンテナからの信号の受信タイミング差が抑制される。更に、プリコーディングおよび位相回転が施された既知信号を用いたチャネル推定と、プリコーディングおよび位相回転が施されていない既知信号を用いたチャネル推定とを併用することで、チャネル推定の精度が一層向上する。この結果、通信品質の一層の向上が図られる。
[0122]
 [第5の実施の形態]
 次に、第5の実施の形態を説明する。前述の第1の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。第5の実施の形態の移動通信システムでは、協調送信の開始時とその後とで、巡回シフト量の1回の変動幅を変えるようにしている。例えば、協調送信の開始時には巡回シフト量の1回の変動幅を大きくしておき、その後の更新時には巡回シフト量の1回の変動幅を小さくする方法が考えられる。これは、協調送信の開始時には大きな受信タイミング差が存在する可能性がある一方、通信開始後は少しずつ受信タイミング差が変動していくことが多いと考えられるためである。
[0123]
 図16は、下りリンク通信の他の制御例を示すフローチャートである。ステップS11~S14の処理は、第1の実施の形態で述べた通りである。なお、ステップS12で移動局200から無線基地局100に送信される制御情報は、受信タイミング差の絶対値(サンプル数)を示している。そして、ステップS11~S14の処理に続き、以下のステップS21~S24の処理が実行される。
[0124]
 [ステップS21]移動局200は、無線基地局100,100aの各送信アンテナから出力される送信装置固有RSを用いて、各送信アンテナからの信号の受信タイミング差を測定する。
[0125]
 [ステップS22]移動局200は、ステップS21で測定された受信タイミング差と現在の巡回シフト量(ステップS11で前回測定された受信タイミング差)とを比較し、受信タイミング差の変化量(巡回シフト量の相対値)を算出する。そして、移動局200は、受信タイミング差の変化量を示す制御情報を、無線基地局100に送信する。
[0126]
 [ステップS23]無線基地局100は、ステップS22で移動局200が送信した制御情報を受信し、制御情報が示す相対値に基づいて、無線基地局100,100aが備える各送信アンテナの送信信号に適用する巡回シフト量を更新する。
[0127]
 [ステップS24]無線基地局100は、ステップS23で更新した後の巡回シフト量を示す制御情報を移動局200に送信する。また、無線基地局100は、更新後の巡回シフト量を、協調送信を行う無線基地局100aにネットワーク10経由で通知する。
[0128]
 ここで、移動局200は、ステップS12の絶対値もステップS22の相対値も、同一のビット長のビット列で表現することができる。この場合、同一のビット列であっても、協調送信の開始時とその後とで、意味する巡回シフト量が異なる。これにより、移動局200は、限られたビット数で効率的にフィードバックを行うことができる。
[0129]
 第5の実施の形態の移動通信システムによれば、第1の実施の形態と同様、移動局200における複数の送信アンテナからの信号の受信タイミング差が抑制され、通信品質の向上が図られる。更に、移動局200から無線基地局100へのフィードバックに用いられる制御情報の量を削減でき、制御情報の送信に伴うオーバーヘッドを抑制できる。
[0130]
 [第6の実施の形態]
 次に、第6の実施の形態を説明する。第6の実施の形態の移動通信システムでは、巡回シフト量の1回の変更幅を、より柔軟に変更できるようにする。具体的には、移動局200から無線基地局100に送信するビット列の粒度、すなわち、1ビット差に対応するサンプル数を、RRC(Radio Resource Control)層などの上位層から物理層に通知するようにする。
[0131]
 例えば、巡回シフト量を示すビット列を2の補数表現の5ビット(-16~+15)に固定する一方、粒度を4マイクロ秒、2マイクロ秒、1マイクロ秒、0.5マイクロ秒から選択する。この場合、巡回シフト量の1回の変更幅を、-64マイクロ秒~+60マイクロ秒、-32マイクロ秒~+30マイクロ秒、-16マイクロ秒~+15マイクロ秒、-8マイクロ秒~+7.5マイクロ秒の4段階で設定できる。粒度は、例えば、無線基地局100で設定して、報知チャネルで移動局200に通知することが考えられる。
[0132]
 第6の実施の形態の移動通信システムによれば、制御情報量の削減と受信タイミング差の補償精度とのバランスを図り、受信タイミング差の抑制を効率的に実行できる。
 [第7の実施の形態]
 次に、第7の実施の形態を説明する。第7の実施の形態の移動通信システムでは、瞬時フェージングに柔軟に追従できるよう、巡回シフト量を高速制御できるようにする。具体的には、移動局200は、まず、送信装置固有RSを用いて送信アンテナ毎の遅延プロファイルを測定する。遅延プロファイルは、瞬間的な測定結果を示すものでもよいし、所定の短区間で平均化したものでもよい。
[0133]
 次に、移動局200は、パス受信電力の合計が最大である送信アンテナを、受信タイミング差を求める際の基準の送信アンテナとして選択する。そして、各送信アンテナについて受信電力が最大であるパス(最大パス)のタイミングを特定し、基準の送信アンテナと比較したときの最大パスのタイミング差を、受信タイミング差とする。
[0134]
 第7の実施の形態の移動通信システムによれば、受信タイミング差を高速に測定することができ、瞬時フェージングにも柔軟に追従できる。
 [第8の実施の形態]
 次に、第8の実施の形態を説明する。第8の実施の形態の移動通信システムでは、第7の実施の形態と異なる方法で、巡回シフト量を高速制御できるようにする。具体的には、移動局200は、まず、送信装置固有RSを用いて送信アンテナ毎の遅延プロファイルを測定する。次に、送信アンテナ毎に受信電力で重み付けしたパス重心を求める。そして、サービング基地局(例えば、無線基地局100)の送信アンテナからの信号のパス重心を基準タイミングとして、他の送信アンテナについて受信タイミング差を求める。
[0135]
 第8の実施の形態の移動通信システムによれば、第7の実施の形態と同様、受信タイミング差を高速に測定することができ、瞬時フェージングにも柔軟に追従できる。
 [第9の実施の形態]
 次に、第9の実施の形態を説明する。第9の実施の形態の移動通信システムでは、巡回シフト量とプリコーディング行列の両方を高速に決定できるようにする。具体的には、移動局200は、候補となる巡回シフト量(受信タイミング差)それぞれに対し、プリコーディング後のSNR(Signal to Noise Ratio)が最大になるプリコーディング行列を求めておく。すなわち、巡回シフト量とプリコーディング行列の最適な組み合わせを求めておく。
[0136]
 これにより、移動局200で受信タイミング差が測定されると、それに対応する適切なプリコーディング行列も同時に特定される。なお、巡回シフト量の候補の範囲が広いほど移動局200の処理負荷が高くなる。そのため、候補範囲は、移動局200が許容できる処理量や、移動通信システムで発生しうる最大の受信タイミング差などを考慮して、できる限り狭く設定しておく方が好ましい。また、候補範囲は、無線基地局100から移動局200に通知するようにしてもよい。
[0137]
 第9の実施の形態の移動通信システムによれば、巡回シフト量とリコーディング行列の両方を同時に決定でき、通信制御のオーバーヘッドを抑制できる。
 [第10の実施の形態]
 次に、第10の実施の形態を説明する。第10の実施の形態の移動通信システムでは、移動局200はある程度の受信タイミング差を許容する。具体的には、移動局200は、まず、各送信アンテナからの信号の受信タイミング差を測定する。そして、受信タイミング差が所定の閾値を超えているか否か判断する。
[0138]
 受信タイミング差が閾値を超えている場合、移動局200は、無線基地局100にその旨のイベント通知を行う。無線基地局100は、イベント通知を受け取ると移動局200に受信タイミング差(所望の巡回シフト量)を報告するよう要求する。移動局200は、無線基地局100から報告要求があると、受信タイミング差(所望の巡回シフト量)を送信する。ただし、イベント通知と受信タイミング差の報告とを同時に行ってもよい。
[0139]
 一方、受信タイミング差が所定の閾値を超えていない間は、無線基地局100に受信タイミング差を報告しない。すなわち、移動局200は、ある程度の受信タイミング差は許容し、受信タイミング差が十分に大きくなった場合のみ、無線基地局100に送信タイミングの変更を要求することになる。
[0140]
 第10の実施の形態の移動通信システムによれば、移動局200の受信品質への影響が大きい場合のみ受信タイミング差を補償する処理が実行されることになり、無線基地局100,100aおよび移動局200の処理負荷が軽減される。
[0141]
 上記については単に本発明の原理を示すものである。さらに、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、本発明は上記に示し、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではなく、対応するすべての変形例および均等物は、添付の請求項およびその均等物による本発明の範囲とみなされる。

符号の説明

[0142]
 1 通信装置
 1a 受信部
 1b 制御部
 2,3 送信装置
 2a,3a 送信アンテナ
 4 移動局
 4a 測定部
 4b 送信部
 4c 受信部

請求の範囲

[1]
 移動局に対して複数の送信アンテナから同一のデータを含む信号が送信されるよう制御可能な通信装置であって、
 前記移動局における第1の送信アンテナの信号と第2の送信アンテナの信号との間の受信タイミング差を示す情報を取得する受信部と、
 前記受信タイミング差に応じて、前記第1の送信アンテナの信号および前記第2の送信アンテナの信号の少なくとも一方の送信タイミングを変更するよう制御する制御部と、
 を有することを特徴とする通信装置。
[2]
 前記制御部の制御に基づき、前記データを含む信号を周波数領域上で位相回転することにより、前記送信タイミングを変更する送信部を有することを特徴とする請求の範囲第1項記載の通信装置。
[3]
 前記制御部の制御に基づき、時間領域上の所定の信号区間内で前記データを含む信号を巡回シフトすることにより、前記送信タイミングを変更する送信部を有することを特徴とする請求の範囲第1項記載の通信装置。
[4]
 前記制御部は、前記移動局の通信状況に応じて、前記送信タイミングの1回の変更量を制限することを特徴とする請求の範囲第1項記載の通信装置。
[5]
 前記データを含む信号をOFDM変調する送信部を有し、
 前記送信部は、前記制御部の制御に基づき、OFDMシンボル内で前記送信タイミングを変更する、
 ことを特徴とする請求の範囲第1項記載の通信装置。
[6]
 複数の送信アンテナから同一のデータを含む信号を送信可能な無線通信システムと通信を行う移動局であって、
 第1の送信アンテナの信号と第2の送信アンテナの信号との間の受信タイミング差を測定する測定部と、
 前記測定部で測定した前記受信タイミング差を示す情報を前記無線通信システムに通知する送信部と、
 前記送信部が前記受信タイミング差を示す情報を通知した後、前記第1の送信アンテナの信号と前記第2の送信アンテナの信号とを合成して復調する受信部と、
 を有することを特徴とする移動局。
[7]
 前記送信部は、前記受信タイミング差が所定の閾値を超えたとき、前記受信タイミング差を示す情報を通知することを特徴とする請求の範囲第6項記載の移動局。
[8]
 前記測定部は、前記第1の送信アンテナの信号および前記第2の送信アンテナの信号の受信電力を用いて、前記受信タイミング差を求める際の基準とする送信アンテナを選択することを特徴とする請求の範囲第6項記載の移動局。
[9]
 前記測定部は、前記第1の送信アンテナおよび前記第2の送信アンテナに適用されるプリコーディング行列を、前記受信タイミング差を用いて、複数の前記プリコーディング行列の候補から選択し、
 前記送信部は、前記測定部で選択した前記プリコーディング行列を前記無線通信システムに通知する、
 ことを特徴とする請求の範囲第6項記載の移動局。
[10]
 前記送信部は、前記受信タイミング差を示す情報として、前記受信タイミング差に対応する所定ビット長のビット列を送信することを特徴とする請求の範囲第6項記載の移動局。
[11]
 前記受信部は、OFDM変調された信号を受信し、
 前記測定部は、既知信号を含むOFDMシンボルを用いて、前記OFDMシンボル内での前記受信タイミング差を測定する、
 ことを特徴とする請求の範囲第6項記載の移動局。
[12]
 移動局に対して複数の送信アンテナから同一のデータを含む信号を送信可能な無線通信システムの通信制御方法であって、
 前記移動局から、前記移動局における第1の送信アンテナの信号と第2の送信アンテナの信号との間の受信タイミング差を示す情報を取得し、
 前記受信タイミング差に応じて、前記第1の送信アンテナの信号および前記第2の送信アンテナの信号の少なくとも一方の送信タイミングを変更する、
 ことを特徴とする通信制御方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]