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1. (WO2010073920) ULTRASONIC PROBE AND METHOD FOR FABRICATING ULTRASONIC PROBE
Document

明 細 書

発明の名称 超音波探触子及び超音波探触子の作製方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013   0014  

発明の効果

0015  

図面の簡単な説明

0016  

発明を実施するための形態

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123  

符号の説明

0124  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25  

明 細 書

発明の名称 : 超音波探触子及び超音波探触子の作製方法

技術分野

[0001]
 本発明は、超音波診断装置等の超音波機器に用いるに好適な超音波探触子及びその作製方法に関する。

背景技術

[0002]
 超音波診断装置は、体内の血流や体組織の断面形状の画像化に広く使われている。超音波診断装置は、超音波プローブを用いて生体組織に超音波を送信し、超音波を細いビームに絞り込み、組織界面のインピーダンス差によって生じる反射エコーを受信し、体内組織の画像形成を行い、超音波画像を得る。
[0003]
 超音波診断装置は、通常、1次元状に圧電素子を配列したアレイ型探触子を超音波プローブ内に配置し、超音波を2次元状にスキャンし、体内断面画像の形成を行っている。
[0004]
 最近、圧電素子を2次元状に配列した圧電素子アレイを搭載した2Dアレイ型探触子が登場してきている。特に、受信帯域を広くするために、被検体内からの反射波のうちの基本波を受信する第1圧電素子アレイと、高調波を受信する第2圧電素子アレイとを設けた超音波プローブが提案されている(特許文献1参照)。
[0005]
 第1圧電素子アレイと第2圧電素子アレイの二つの圧電素子アレイを設けることで、各圧電素子アレイを構成する圧電素子への信号線の接続が難しくなる。これに対し、圧電素子の背面に配設された音響制動部材内に、信号線が占める空間を減少させる目的で、信号線を貫通させて配線する技術が提案されている。(特許文献2参照)。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開平11-276478号公報
特許文献2 : 特開2000-166923号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 特許文献2に記載の技術を用いた場合、音響制動部材の音響インピーダンスに対して信号線の音響インピーダンスが大きいことから、音響制動部材と信号線の間で超音波が反射し、圧電素子に音響的クロストークが発生してしまう。
[0008]
 特に、特許文献1に記載の技術において、第2の圧電素子アレイを構成する圧電素子からの信号線を、第1の圧電素子アレイの圧電素子同士の間を貫通させて配線する構成とすると、第1の圧電素子アレイを構成する圧電素子同士の間の音響分離材の間に高音響インピーダンスの信号線が存在することになり、第1圧電素子にクロストークが発生し、超音波探触子の性能を悪化させることになる。
[0009]
 本発明の目的は、圧電素子アレイを構成する圧電素子同士の音響的クロストークの発生を防止した信号線を有する超音波探触子、及びその作製方法を提供することである。

課題を解決するための手段

[0010]
 前述の目的は、下記に記載する発明により達成される。
[0011]
 1.両面に電極を有する第1圧電素子が2次元状に配列された第1圧電素子アレイと、前記第1圧電素子アレイに積層して配置され、前記第1圧電素子アレイと反対側の面に第1電極を有し、前記第1圧電素子アレイ側の面に第2電極を有する第2圧電素子が2次元状に配列された第2圧電素子アレイと、
前記第1圧電素子アレイに配列された前記第1圧電素子同士の間に備えられた音響分離部と、
前記音響分離部を貫通して前記第2電極それぞれに接続され、前記音響分離部の音響インピーダンスに略等しい音響インピーダンスを有する芯材と、該芯材外周に沿って覆設された導電性層からなる信号線と、
を有することを特徴とする超音波探触子。
[0012]
 2.前記第1圧電素子に電圧が印加される面積と、前記第2圧電素子に電圧が印加される面積とは異なることを特徴とする前記1に記載の超音波探触子。
[0013]
 3.前記第1圧電素子アレイに配列された前記第1圧電素子の個数と、前記第2圧電素子アレイに配列された前記第2圧電素子の個数とは異なることを特徴とする前記1または2に記載の超音波探触子。
[0014]
 4.両面に電極を有する第1圧電素子が2次元状に配列された第1圧電素子アレイの該第1圧電素子同士の間に形成された音響分離部に貫通孔を形成する工程と、該貫通孔の内周面に内空間を形成するように導電性層を形成する工程と、該貫通孔の内空間に前記音響分離部の音響インピーダンスに略等しい音響インピーダンスを有する芯材を充填する工程とを有することを特徴とする超音波探触子の作製方法。

発明の効果

[0015]
 超音波探触子の大きさを保ったままでコストアップとならずに、圧電素子アレイの圧電素子間での音響的クロストークの発生を防止した信号線を有する超音波探触子、及びその作製方法を提供できる。

図面の簡単な説明

[0016]
[図1] 実施形態における超音波診断装置Hの外観構成を示す図である。
[図2] 実施形態における超音波診断装置Hの電気的な構成を示すブロック図である。
[図3] 実施形態の超音波診断装置における超音波探触子2の構成を示す断面図である。
[図4] 超音波探触子2の作製方法についての作製フロー図である。
[図5] 有機圧電素子アレイ5の作製方法の概要図である。
[図6] 音響制動部材23の概要図である。
[図7] 音響整合層31の概要図である。
[図8] 平板状の両面電極付無機圧電素子50を搭載したワークの概要図である。
[図9] 無機圧電素子22をアレイ化されたワークの概要図である。
[図10] 音響分離部24を形成したワークの概要図である。
[図11] 共通接地電極25を形成したワークの概要図である。
[図12] 音響整合層26を形成したワークの概要図である。
[図13] 穿孔されたワークの概要図である。
[図14] フォトレジストを形成したワークの概要図である。
[図15] ワーク上に導電性部材32である金属を蒸着する工程の概要図である。
[図16] フォトレジストとともにフォトレジスト上の導電性部材32である金属を除去したワークの概要図である。
[図17] レーザ加工孔51に芯材33を形成したワークの概要図である。
[図18] 有機圧電素子アレイを積層したワークの概要図である。
[図19] 音響整合層27を形成したワークの概要図である。
[図20] 第1圧電素子アレイ4の作製方法についての作製フロー図である。
[図21] 圧電材料付基板の概要図である。
[図22] サンドブラスト加工を施したワークの概要図である。
[図23] 音響分離部24を形成したワークの概要図である。
[図24] 研磨を施して音響分離部を両面に露出させたワークの概要図である。
[図25] PZT201の両面に電極102、103を形成したワークを示す概要図である。

発明を実施するための形態

[0017]
 以下、本発明に係る実施の一形態を図面に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
[0018]
 (超音波診断装置および超音波探触子の各構成および動作)
 図1は、実施形態における超音波診断装置の外観構成を示す図である。図2は、実施形態における超音波診断装置の電気的な構成を示すブロック図である。図3は、実施形態の超音波診断装置における超音波探触子の構成を示す図である。
[0019]
 超音波診断装置Hは、図1に示すように、図略の生体等の被検体に対して超音波(超音波信号)を送信すると共に、被検体で反射した超音波の反射波(エコー、超音波信号)を受信する超音波探触子2と、超音波探触子2とケーブル3を介して接続され、超音波探触子2へケーブル3を介して電気信号の送信信号を送信することによって超音波探触子2に被検体に対して超音波を送信させると共に、超音波探触子2で受信された被検体内からの超音波の反射波に応じて超音波探触子2で生成された電気信号の受信信号に基づいて被検体内の内部状態を超音波画像として画像化する超音波診断装置本体1とを備えて構成される。
[0020]
 超音波診断装置本体1は、例えば、図2に示すように、診断開始を指示するコマンドや被検体の個人情報等のデータを入力する操作入力部11と、超音波探触子2へケーブル3を介して電気信号の送信信号を供給して超音波探触子2に超音波を発生させる送信回路12と、超音波探触子2からケーブル3を介して電気信号の受信信号を受信する受信回路13と、受信回路13で受信した受信信号に基づいて被検体内の内部状態の画像(超音波画像)を生成する画像処理部14と、画像処理部14で生成された被検体内の内部状態の画像を表示する表示部15と、これら操作入力部11、送信回路12、受信回路13、画像処理部14および表示部15を当該機能に応じて制御することによって超音波診断装置Hの全体制御を行う制御部16と、を備えて構成される。
[0021]
 超音波探触子(超音波プローブ)2は、無機圧電素子と有機圧電素子とを備えている。無機圧電素子は無機圧電材料を備えて成り、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号との間で相互に信号を変換することができる。有機圧電素子は有機圧電材料を備えて成り、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号との間で相互に信号を変換することができる。
[0022]
 このような構成の超音波探触子2は、例えば、図3に示す構成の超音波探触子2を例示することができる。
[0023]
 この超音波探触子2は、平板状の音響制動部材23と、この音響制動部材23の上に積層された音響整合層31と、この音響制動部材23の一方主面上に支持されて積層された複数の無機圧電素子22(第1圧電素子)を備えた無機圧電素子アレイ(第1圧電素子アレイ)4と、これら複数の無機圧電素子22同士の隙間に音響分離材を充填して作製される音響分離部24と、これら複数の無機圧電素子22上に積層された共通接地電極25と、この共通接地電極25上に積層される音響整合層26と、この音響整合層26上に積層される有機圧電素子21(第2圧電素子)を備えた有機圧電素子アレイ(第2圧電素子アレイ)5と、この有機圧電素子21上に積層される音響整合層27と、外部からの電気信号を受ける導電パッド28と無機圧電素子22の電極とを接続する第1信号線29と、外部からの電気信号を受ける導電パッド28と有機圧電素子の電極とを接続する第2信号線30などから構成される。
[0024]
 音響制動部材23は、超音波を吸収する材料から構成され、複数の無機圧電素子22から音響制動部材23方向へ放射される超音波を吸収するものである。
[0025]
 音響整合層31は、音響制動部材23と無機圧電素子22の各々の音響インピーダンスの中間の音響インピーダンスを有し、音響制動部材23と無機圧電素子22の音響インピーダンスの整合を図る。
[0026]
 各無機圧電素子22は、無機圧電材料から構成される圧電素子101における互いに対向する両面にそれぞれ電極102、103を備えて構成される。複数の無機圧電素子22は、互いに所定の間隔を空けて平面視にて2次元状に配列され、第1圧電素子アレイとして音響制動部材23上に配置されている。
[0027]
 複数の無機圧電素子22は、超音波の反射波を受信するように構成されてもよいが、本実施形態における超音波探触子2および超音波診断装置Hでは、超音波を送信するように構成されている。より具体的には、複数の無機圧電素子22には、送信回路12からケーブル3と導電パッド28、第1信号線29を介して電気信号が入力される。この電気信号は、無機圧電素子22の電極102と電極103との間に入力される。複数の無機圧電素子22は、この電気信号を超音波信号に変換することによって超音波信号を送信する。
[0028]
 音響分離部24は、無機圧電素子22の音響インピーダンスと値が大きく異なる低音響インピーダンス樹脂から構成され、音響インピーダンスが大きく異なることにより、音響分離材として働き、これら複数の無機圧電素子22の相互干渉を低減する機能を有する。
[0029]
 共通接地電極25は、導電性の材料から構成され、図略の配線によって接地されており、そして、複数の無機圧電素子22上にまたがって直線状に積層されることによってこれら無機圧電素子22における各電極103を電気的に接地している。
[0030]
 音響整合層26は、後工程で積層する有機圧電素子21と無機圧電素子22の各々の音響インピーダンスの中間の音響インピーダンスを有し、有機圧電素子21と無機圧電素子22の音響インピーダンスの整合を図る。
[0031]
 有機圧電素子21は、所定の厚さを持った平板状の有機圧電材料から成る圧電素子105と、この圧電素子105の一方主面に形成された互いに分離した複数の電極106と、この圧電素子105の他方主面に略全面に亘って一様に形成された電極107とを備えて構成されたシート状の圧電素子である。
[0032]
 このように複数の電極106が圧電素子105の一方主面に形成されることによって、有機圧電素子21は、1個の電極107と圧電素子105と電極106とから成る圧電素子を2次元状に第2圧電素子アレイとして備えることができ、これら各圧電素子が個別に動作することができる。
[0033]
 有機圧電素子21における複数の圧電素子は、個別に機能させるために無機圧電素子22のように個々に分離する必要がなく、一体的なシート状で構成することが可能である。従って、有機圧電素子21の作製方法において、有機圧電材料から成るシート状の板状体に溝を形成する工程が必要なく、有機圧電素子21の作製方法がより単純化され、より少ない工数で有機圧電素子21を形成することができる。なお、有機圧電素子21は、複数の圧電素子を備えると看做せるために、電極107に代え、複数の電極106とそれぞれ一対となる複数の電極で構成されてもよい。
[0034]
 有機圧電素子21は、図3に示す例では、複数の無機圧電素子22の全体に亘って、共通接地電極25および音響整合層26を介して間接的に複数の無機圧電素子22に積層されている。なお、有機圧電素子21は、複数の無機圧電素子22の一部に亘って積層されてもよい。
[0035]
 また、有機圧電素子21の電極106の個数(有機圧電素子21の個数)と無機圧電素子22の個数とは、同一でもよいが、本実施形態では、有機圧電素子21の電極106の個数と無機圧電素子22の個数とは、異なっている。すなわち、有機圧電素子21が備える圧電素子の個数と無機圧電素子22の個数とは、異なっている。このため、複数の無機圧電素子22の合計の面積と複数の圧電素子を備える有機圧電素子21の合計の面積とが同一であっても、1個の無機圧電素子22が占有する面積と有機圧電素子21における1個の圧電素子が占有する面積とをそれぞれ独立に設定することが可能となる。従って、無機圧電素子22をその無機圧電素子22に要求される仕様に応じて設計することができると共に、有機圧電素子21をその有機圧電素子21に要求される仕様に応じて設計することが可能となる。
[0036]
 また、有機圧電素子21の電極106の面積と無機圧電素子22の電極102、103面積とを異ならせることで、無機圧電素子22と有機圧電素子21に要求される仕様に応じて、有機圧電素子21の電極106の面積と無機圧電素子22の電極102、103の面積とを設計することが可能となる。
[0037]
 例えば1個の無機圧電素子22の面積を大きくして、無機圧電素子22同士を画する溝の総面積を小さくし、以って各無機圧電素子22の面積を合わせた総面積を増加させることで、超音波探触子2の送信パワーを大きくすることができる。また、有機圧電素子21が備える圧電素子の個数を多くして、各圧電素子の面積を小さくすることが可能となり、有機圧電素子21を受信用に用いる場合に、その受信分解能を向上することができる。
[0038]
 有機圧電素子21は、超音波を送信するように構成されてもよいが、本実施形態における超音波探触子2および超音波診断装置Hでは、超音波の反射波を受信するように構成されている。より具体的には、有機圧電素子21は、反射波の超音波信号が受信され、この超音波信号を電気信号に変換することによってこの電気信号を出力する。この電気信号は、有機圧電素子21における電極106と電極107とから出力される。この電気信号は、ケーブル3を介して受信回路13へ出力される。
[0039]
 第2信号線30は、外部からの電気信号を受ける導電パッド28と有機圧電素子21の電極106とを接続する。すなわち第2信号線30は有機圧電素子21の電極106から、音響整合層26、音響分離部24、音響整合層31、音響制動部材23を貫通して導電パッド28に接続されている。導電パッド28から音響制動部材23、音響整合層31を貫通する部分は、無機圧電素子22に外部から電気信号を供給する第1信号線29と同じ構造を有す。
[0040]
 音響分離部24と音響整合層26を貫通する部分は、導電性部材32と低音響インピーダンスを有する芯材33からなる。導電性部材32は、導電パッド28から音響制動部材23、音響整合層31を貫通する部分と、有機圧電素子21の電極106とを導電させる機能を有す。芯材33は音響分離部24と同等の音響インピーダンスを有する。
[0041]
 芯材33が円筒状に形成され、導電性部材32は芯材33の外周面上に薄く覆設して形成されている。芯材33の直径は、例えば50~60μmが好適であり、導電性部材32の厚みは、例えば0.05μm程度が好適である。0.05μm程度にすることで、有機圧電素子21を超音波駆動させるに十分な電力を供給しつつ、音響分離部24と導電性部材32との界面、および芯材33と導電性部材32との界面における超音波の反射をほぼ無くすることができ、無機圧電素子22間の音響的クロストークの発生を防止できる。
[0042]
 音響分離部24と芯材33の各々の音響インピーダンスは、近い値を有するように、それぞれの材料を選択する。2つの材料の音響インピーダンスの値を近くなるように設定することで、音響分離部24と芯材33の間における超音波の反射を非常に少なくでき、無機圧電素子22間の音響的クロストークの発生を防止できる。
[0043]
 音響整合層27は、有機圧電素子21の音響インピーダンスと被検体の音響インピーダンスとの整合をとる部材である。そして、音響整合層27は、円弧状に膨出した形状とされ、被検体に向けて送信される超音波を収束する音響レンズの機能を有する。
[0044]
 このような構成の超音波診断装置Hでは、例えば、操作入力部11から診断開始の指示が入力されると、制御部16の制御によって送信回路12で電気信号の送信信号が生成される。この生成された電気信号の送信信号は、ケーブル3を介して超音波探触子2へ供給される。より具体的には、この電気信号の送信信号は、超音波探触子2における複数の無機圧電素子22へそれぞれ供給される。この電気信号の送信信号は、例えば、所定の周期で繰り返される電圧パルスである。複数の無機圧電素子22は、それぞれ、この電気信号の送信信号が供給されることによってその厚み方向に伸縮し、この電気信号の送信信号に応じて超音波振動する。この超音波振動によって、複数の無機圧電素子22は、共通接地電極25、音響整合層26、有機圧電素子21および音響整合層27を介して超音波を放射する。超音波探触子2が被検体に例えば当接されていると、これによって超音波探触子2から被検体に対して超音波が送信される。
[0045]
 なお、超音波探触子2は、被検体の内部に挿入して、例えば、生体の体腔内に挿入して用いられてもよい。
[0046]
 この被検体に対して送信された超音波は、被検体内部における音響インピーダンスが異なる1または複数の境界面で反射され、超音波の反射波となる。この反射波には、送信された超音波の周波数(基本波の基本周波数)成分だけでなく、基本周波数の整数倍の高調波の周波数成分も含まれる。例えば、基本周波数の2倍、3倍および4倍などの第2高調波成分、第3高調波成分および第4高調波成分なども含まれる。この反射波の超音波は、超音波探触子2で受信される。より具体的には、この反射波の超音波は、音響整合層27を介して有機圧電素子21で受信され、有機圧電素子21で機械的な振動が電気信号に変換されて受信信号として取り出される。この取り出された電気信号の受信信号は、ケーブル3を介して制御部16で制御される受信回路13で受信される。
[0047]
 ここで、上述において、各無機圧電素子22から順次に超音波が被検体に向けて送信され、被検体で反射した超音波が有機圧電素子21で受信される。
[0048]
 そして、画像処理部14は、制御部16の制御によって、受信回路13で受信した受信信号に基づいて、送信から受信までの時間や受信強度などから被検体内の内部状態の画像(超音波画像)を生成し、表示部15は、制御部16の制御によって、画像処理部14で生成された被検体内の内部状態の画像を表示する。本実施形態における超音波探触子2および超音波診断装置Hでは、上述したように基本波の高調波が受信されるので、ハーモニックイメージング技術によって超音波画像を形成することが可能となる。このため、本実施形態における超音波探触子2および超音波診断装置Hは、より高精度な超音波画像の提供が可能となる。そして、比較的パワーの大きい第2および第3高調波が受信されるので、より鮮明な超音波画像の提供が可能となる。
[0049]
 また、本実施形態における超音波探触子2および超音波診断装置Hでは、複数の無機圧電素子22が超音波を送信するように構成されているので、超音波探触子2および超音波診断装置Hは、比較的簡単な構造で送信パワーを大きくすることができる。従って、本実施形態における超音波探触子2および超音波診断装置Hは、高調波のエコーを得るために比較的大きなパワーで基本波を送信することが必要なハーモニックイメージング技術に好適であり、より高精度な超音波画像の提供が可能となる。
[0050]
 また、本実施形態における超音波探触子2および超音波診断装置Hでは、有機圧電素子21は、超音波の反射波を受信するように構成されている。一般に、無機圧電材料の圧電素子は、基本波の周波数に対する2倍程度の周波数の超音波しか受信することができないが、有機圧電材料の圧電素子は、基本波の周波数に対する例えば4~5倍程度の周波数の超音波を受信することができ、受信周波数帯域の広帯域化に適している。このような超音波を広い周波数に亘って受信可能な特性を持つ有機圧電素子21によって超音波信号が受信されるので、本実施形態における超音波探触子2および超音波診断装置Hは、比較的簡単な構造で周波数帯域を広帯域にすることができる。このため、本実施形態における超音波探触子2および超音波診断装置Hは、基本波の高調波を受信することが必要なハーモニックイメージング技術に好適であり、より高精度な超音波画像の提供が可能となる。
[0051]
 また、以上の説明では、無機圧電素子22と有機圧電素子21とは2次元状に配列されている場合を示したが、用途に応じて1次元状であってもよい。
[0052]
 (超音波探触子2の作製方法)
 超音波探触子2の作製方法について、図4から図16を用いて説明する。
[0053]
 図4は、超音波探触子2の作製方法についての作製フロー図である。図5は有機圧電素子アレイ5の作製方法の概要図である。図6は、音響制動部材23の概要図である。図7は、音響整合層31の概要図である。図8は、平板状の両面電極付無機圧電素子50を搭載したワークの概要図である。図9は、無機圧電素子22をアレイ化されたワークの概要図である。図10は、音響分離部24を形成したワークの概要図である。図11は、共通接地電極25を形成したワークの概要図である。図12は、音響整合層26を形成したワークの概要図である。図13は、穿孔されたワークの概要図である。
[0054]
 図14は、フォトレジストを形成したワークの概要図である。図15は、ワーク上に導電性部材32である金属を蒸着する工程の概要図である。図16は、フォトレジストとともにフォトレジスト上の導電性部材32である金属を除去したワークの概要図である。図17はレーザ加工孔51に芯材33を形成したワークの概要図である。図18は、有機圧電素子アレイを積層したワークの概要図である。図19は、音響整合層27を形成したワークの概要図である。
[0055]
 なお、図6から図19においては、各図(a)は各工程において作製されたワークの断面図であり、各図(b)は斜めから観察した図である。各図(a)は各図(b)中の矢印Yの方向へ観察した図である。
[0056]
 以下、図4の作製フロー図を基に超音波探触子2の作製方法を説明する。
[0057]
 最初に、ステップS10にて、有機圧電素子アレイ(第2圧電素子アレイ)5を作製する。図5(a)に示すように、所定の厚さを持った平板状の有機圧電材料から成る圧電素子105が用意される。圧電素子105の厚さは、受信すべき超音波の周波数や有機圧電材料の種類等によって適宜に設定されるが、例えば、中心周波数8MHzの超音波を受信する場合では、圧電素子105の厚さは、約50μmである。
[0058]
 有機圧電材料は、例えば、フッ化ビニリデンの重合体を用いることができる。また例えば、有機圧電材料は、フッ化ビニリデン(VDF)系コポリマを用いることができる。このフッ化ビニリデン系コポリマは、フッ化ビニリデンと他の単量体との共重合体(コポリマ)であり、他の単量体としては、3フッ化エチレン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、パーフルオロアルコキシエチレン(PAE)およびパーフルオロヘキサエチレン等を用いることができる。フッ化ビニリデン系コポリマは、その共重合比によって厚み方向の電気機械結合定数(圧電効果)が変化するので、例えば、超音波探触子の仕様等に応じて適宜な共重合比が採用される。例えば、フッ化ビニリデン/3フッ化エチレンのコポリマの場合では、フッ化ビニリデンの共重合比が60mol%~99mol%が好ましく、有機圧電素子を無機圧電素子に積層する複合素子の場合では、フッ化ビニリデンの共重合比が85mol%~99mol%がより好ましい。また、このような複合素子の場合では、他の単量体は、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、パーフルオロアルコキシエチレン(PAE)およびパーフルオロヘキサエチレンが好ましい。また例えば、有機圧電材料は、ポリ尿素を用いることができる。このポリ尿素の場合では、蒸着重合法で圧電素子105を作成することが好ましい。ポリ尿素用のモノマとして、一般式、H N-R-NH 構造を挙げることができる。ここで、Rは、任意の置換基で置換されてもよいアルキレン基、フェニレン基、2価のヘテロ環基、ヘテロ環基を含んでもよい。ポリ尿素は、尿素誘導体と他の単量体との共重合体であってもよい。好ましいポリ尿素として、4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MDA)と4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)を用いる芳香族ポリ尿素を挙げることができる。
[0059]
 次に、図5(b)に示すように、この有機圧電材料から成る圧電素子105の一方主面に互いに分離した複数の電極106(106-11と106-12)が例えばスクリーン印刷、蒸着あるいはスパッタ等によって形成される。これら複数の電極106は、平面視にて線形独立な2方向に、例えば互いに直交する2方向にm行×n列の2次元アレイ状に配列するように形成されてもよい(m、nは、正の整数である)。電極106は、例えば、平面視にて矩形状とされ、そのサイズは、例えば分解能等によって適宜に設定されるが、例えば、約0.1mm×0.1mmとされる。
[0060]
 なお、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
[0061]
 そして、図5(c)および図5(d)に示すように、この有機圧電材料から成る圧電素子105の他方主面に電極107が例えばスクリーン印刷、蒸着あるいはスパッタ等によって形成される。これによってm行×n列の2次元アレイ状に配列された複数の電極106を一方主面に備えると共に他方主面に電極107を備える有機圧電素子アレイ(第2圧電素子アレイ)5が形成される。
[0062]
 このような構成の有機圧電素子21は、電極106と、これに対向する電極107と、これら電極106と電極107との間に介在する有機圧電材料の圧電素子105とから1個の圧電素子が構成されることから、複数の圧電素子を含むと言える。
[0063]
 このように本実施形態における超音波探触子2の作製方法では、有機圧電材料から成るシート状の圧電素子105に、分離した複数の電極106をその表面に形成することによって複数の圧電素子が形成される。このため、複数の圧電素子を形成するためにシート状の圧電素子105に溝を形成する工程が必要ない。従って、このような構成の超音波探触子2では、有機圧電素子21に対して溝を形成する工程が必要ではないため、有機圧電素子21の作製方法がより単純化され、より少ない工数で超音波探触子2を作製することが可能となる。
[0064]
 なお、上述では、圧電素子105の一方主面に複数の電極106を形成した後に、圧電素子105の他方主面に電極107を形成したが、圧電素子105の他方主面に電極106を形成した後に、圧電素子105の一方主面に電極106の形状に対応した複数の電極107を形成してもよい。
[0065]
 次に、ステップS11にて、図6(a)、(b)に示すように有機圧電素子21の大きさに応じた音響制動部材23を用意する。音響制動部材23は、超音波を吸収する平板状の超音波吸収体を備えて構成され、無機圧電素子22の音響制動部材23に接する面から放射される超音波を吸収するものである。
[0066]
 音響制動部材23は後述する信号線Sに近い音響インピーダンスを有し、音響制動部材23と信号線Sとの界面における超音波の反射を抑制し、無機圧電素子22への音響的クロストークの発生を防止する。音響制動部材23は、例えばシリコンゴムで形成されている。
[0067]
 次に、ステップS12にて、図7(a)、(b)に示すように音響制動部材23の主面上に音響整合層31を形成し、音響制動部材23と音響整合層31を貫通させる形で、信号線S(S1~S5等)を形成し、信号線Sの音響制動部材23の反対側の面に導電パッド28を形成する。この信号線Sは、後工程で積層する無機圧電素子22と有機圧電素子21の電極に接続する。
[0068]
 次に、ステップS13にて、無機圧電素子22をアレイにして作製する。最初に、図8(a)、(b)に示すように、平板状の両面電極付無機圧電素子50が音響整合層31上に積層される。両面電極付無機圧電素子50は、無機圧電板の両面に電極を形成したものである。電極の形成法は、有機圧電素子の電極の形成法と同様の方法を採用する。例えばスクリーン印刷、蒸着あるいはスパッタ等によって形成される。
[0069]
 両面電極付無機圧電素子50を音響整合層31に積層する際には、信号線S1からS5は、両面電極付無機圧電素子50の一方主面に形成された電極に電気的に接続される。
[0070]
 無機圧電板の材料は、例えば、いわゆるPZT、水晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO )、ニオブ酸タンタル酸カリウム(K(Ta,Nb)O )、チタン酸バリウム(BaTiO )、タンタル酸リチウム(LiTaO )およびチタン酸ストロンチウム(SrTiO )等である。
[0071]
 次に、図9(a)、(b)に示すように、音響整合層31が露出するまで積層方向に溝41が両面電極付無機圧電素子50に、例えばダイシングソー等によって形成され、アレイ化する。溝41は、平面視にて線形独立な2方向に、例えば互いに直交する2方向にp行×q列で配列する2次元アレイ状の複数の無機圧電素子22(22-1~22-3等)を有する第1圧電素子アレイ4を構成するように、これら2方向に複数形成される(p、qは、正の整数である)。
[0072]
 溝41が形成されることによって、両面電極付無機圧電素子50における各面の電極が分割される。上面の電極は電極103に分割され、下面の電極は電極102に分割される。そのサイズは、例えば分解能等によって適宜に設定されるが、例えば、約0.4mm×0.4mmとされる。各電極102は信号線S1、S3、S5と接続され、導電パッド28を通じて外部から電気信号を供給される。
[0073]
 次に、ステップS14にて、図10(a)、(b)に示すように、溝41に、各無機圧電素子22の音響的クロストークや共振を回避するために、各無機圧電素子22と音響インピーダンスが異なる部材、例えば低音響インピーダンス樹脂等の音響分離材が充填されて、音響分離部24が形成される。このような樹脂は、例えば、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等が用いられる。
[0074]
 次に、ステップS15にて、図11(a)、(b)に示すように、第1圧電素子アレイ4の上面に、共通して接地させる電極となる共通接地電極25が、例えばスクリーン印刷、蒸着あるいはスパッタ等によって層状に形成される。この共通接地電極25は図示しない配線によって接地される。
[0075]
 次に、ステップS16にて、図12(a)、(b)に示すように、共通接地電極25の上から音響整合層26を形成する。
[0076]
 次に、ステップS17にて、図13(a)、(b)に示すように、音響整合層26の上に上記のように作製した有機圧電素子21を積載する前に、有機圧電素子21と接続する第2信号線30を形成するための孔を穿つ穿孔作業を実施する。前述のように第2信号線30は、音響整合層31の上面にまで形成されており、第2信号線30の断面が露出する状態となっている。音響整合層26の上面から信号線Sまでの音響整合層26と音響分離部24の一部を除去し穿孔して貫通孔を形成する。
[0077]
 音響整合層26と音響分離部24の一部を除去して貫通孔を形成する穿孔作業には、例えば、レーザやドリルを用いる。レーザを用いる場合、エキシマレーザなどの紫外レーザを採用すれば、アブレーション加工により音響整合層26と音響分離部24を切れよく除去し、レーザ加工孔51を得ることができる。レーザ加工孔51の深さはレーザ照射時間で制御でき、適切な深さのレーザ加工孔51を形成することができる。なお、炭酸ガスレーザなどのハイパワーレーザを用いた熱加工により、音響整合層26と音響分離部24を昇華させて除去することもできる。
[0078]
 レーザ加工孔51は第2信号線30の直径を定めるものである。第2信号線の直径は、加工容易性を考慮しつつ、超音波を遮らない直径が望ましく、例えば50~60μmが好適である。
[0079]
 また、ドリルを用いた場合、ドリルと信号線Sとが導通するかどうかを監視しつつ穿孔する。信号線Sにドリルの先端が到達することを検知でき、余分な穿孔を防ぐことができる。
[0080]
 次にステップS18にて、図14(a)、(b)に示すようにフォトレジスト膜53を形成する。フォトレジストの塗布にはスピナー等の塗布機を用いる。塗布の際、レーザ加工孔51内にフォトレジストが入り込まないように注意する。
[0081]
 次にステップS19にて、レーザ加工孔51の内周面に導電性部材32を形成する。図15は、蒸着装置を用いて導電性層を成膜する概要図である。蒸着チャンバ60の上部には、ボード61、ボード61に備えられた電極58、ボード61の熱源である高周波電源59、金属板56をロール状に巻いた金属ロール55が備えられている。金属板56は金属ロール55からボード61上に矢印57方向へ送り出される。金属板56に用いる金属の例としてはアルミ、金などがある。
[0082]
 ボード61の下方向にステップS18までの作製工程を経たワーク62を接地し、蒸着を行う。レーザ加工孔51の内周面に金属の導電性層である導電性部材32が形成されるとともに、フォトレジスト膜53上にも金属の層が形成される。
[0083]
 導電性部材32の厚みは、前述のように0.05μm程度が好適である。
[0084]
 次にステップS20において、フォトレジスト膜を、溶液等を用いて除去する。図16はフォトレジストが除去されることで、フォトレジスト上の金属膜が除去されたワークを表す概要図である。
[0085]
 次にステップS21において、レーザ加工孔51の内空間に芯材33の材料となる低音響インピーダンス部材を充填し固化する。導電性部材32は芯材33の外周面上に薄く覆設された状態となる。図17(a)、(b)は、レーザ加工孔51に低音響インピーダンス部材を充填し固化して芯材33が形成されたワークを示す図である。音響整合層26と音響分離部24を貫通して信号線Sに到達する信号線部分が形成させる。芯材33には、音響分離部24と略同じ音響インピーダンスを有する低音響インピーダンス導電性部材を採用し、音響的クロストークを防ぐ。
[0086]
 具体的には、音響分離部24の音響インピーダンスと芯材33の音響インピーダンスとが条件式(1)を満足するように、それぞれの材料を選択する。
|Z1-Z2|≦0.5・10 kg/m ・s         (1)
 ここで、Z1は音響分離部24の音響インピーダンス、Z2は芯材33の音響インピーダンスである。条件式(1)を満足する材料を選択することで、音響分離部24と芯材33の間における超音波の反射を非常に少なくできる。
[0087]
 無機圧電材料には通常PZTが採用され、PZTの音響インピーダンスは29~38(×10 kg/m ・s)程度である。無機圧電素子22同士の間の音響分離部24には、PZTとの界面において超音波を透過させないように、PZTに比べて音響インピーダンスの値が大きく異なる材料、例えばシリコンゴムを採用する。シリコンゴムの音響インピーダンスは、0.99~1.46(×10 kg/m ・s)程度であり、PZTの音響インピーダンスと大きく異なる。従って、PZT内で発生した超音波はPZTとシリコンゴムとの界面で殆ど反射する。
[0088]
 芯材33は、音響分離部24と音響インピーダンスが近い材料を選択する。
[0089]
 具体的な材料としてはアルミ、アルミ合金(たとえばAL-Mg合金)、マグネシウム合金、マコールガラス、ガラス、溶融石英、コッパーグラファイト、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ABC樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、ナイロン(PA6,PA6-6)、PPO(ポリフェニレンオキシド),PPS(ポリフェニレンスルフィド:ガラス繊維入りも可),PPE(ポリフェニレンエーテル),PEEK(ポリエーテルエーテルケトン),PAI(ポリアミドイミド),PETP(ポリエチレンテレフタレート),PC(ポリカーボネート)、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができる。
[0090]
 好ましくはエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂に充填剤として亜鉛華、酸化チタン、シリカやアルミナ、ベンガラ、フェライト、酸化タングステン、酸化イットリビウム、硫酸バリウム、タングステン、モリブデン、その他の金属酸化物等を入れて成形したものを用いることができる。
[0091]
 例えば、芯材33を金属酸化物とシリコーン樹脂で構成する場合は、Si-O結合であるシロキサン結合を複数有するシリコーン樹脂である。
[0092]
 シリコーン樹脂としては、ジメチルポリシロキサンを主成分とするものが好ましく、重合度としては3000から10000のものが好ましく用いられる。
[0093]
 また、下記一般式(1)で表される、シリコーン化合物をさらに含有するものも好ましく用いられる。
[0094]
 一般式(1)
 R (R SiO) (R SiO) SiR (R は1価炭化水素基または水素原子、R はアルキル基、ポリエーテル基、Xは0以上の整数、Yは1以上の整数)。
[0095]
 これらは、市販品として入手することができ、たとえば信越化学社製、KE742U、KE752U、KE931U、KE941U、KE951U、KE961U、KE850U、KE555U、KE575U等や、モメンティブパフォーマンスマテリアル社製、TSE221-3U、TE221-4U、TSE2233U、XE20-523-4U、TSE27-4U、TSE260-3U、TSE-260-4Uやダウコーニング東レ社製のSH35U、SH55UA、SH831U、SE6749U、SE1120USE4704Uなどを用いることができる。
[0096]
 シリコーン樹脂の含有量としては、芯材33が占める部分に対して、40質量%以上であることが好ましく、特に40~80質量%であることが、音響特性、耐久性の面から好ましい。
[0097]
 本発明において用いられる金属酸化物粒子としては、TiO 、SnO 、ZnO、Bi 、WO 、ZrO 、Fe 、MnO 、Y 、MgO、BaO、Yb が挙げられる。これらの中でも、ZnO、TiO 、Yb が、音響特性の面から好ましく用いられる。
[0098]
 金属酸化物粒子の平均粒径は、1~200nmが好ましく特に、5~20nmであることが好ましい。平均粒径は、粒径を、100個について測定し、これらの値の数平均を求めた値である。粒径は、電子顕微鏡観察による画像から求めた、粒子の最大径と最小径との平均値である。
[0099]
 金属酸化物粒子の含有量としては、音響特性の面から、10~60質量%が好ましく、特に、15~50質量%であることが好ましい。
[0100]
 金属酸化物粒子は、市販品として入手することができ、ZnOとしては堺化学(株)の1種酸化亜鉛、微細酸化亜鉛、FINEX-30、FINEX-30SLP2、FINEX3OWLP2、FINEX-50、FINEX-50SLP2、FINEX-50WLP2、NANOFINE-50、NANOFINE-50A、NANOFINE-50SD、ハクスイテック(株)の局方酸化亜鉛、Zincox Super F-1、F-2、F-3、昭和電工(株)製マックスライトZS-64(シリカ被覆酸化亜鉛)等が挙げられ、TiO2としては、堺化学(株)製のR-45M、R32、R-11P、R-21、D-918、STR-60C-LP、STR-100C-LP、STR-100A-LPや石原産業(株)製のR-820、R-830、R-670や昭和電工(株)製マックスライトTS-043(シリカ被覆酸化チタン)など、Yb2O3としては、信越化学(株)製の高純度Yb2O3粒子を用いることができる。
[0101]
 芯材33は、シリコーン樹脂とシリカ被覆酸化物粒子を混合し混練し、混練物に加硫剤を添加して加硫成形するものでも良い。
[0102]
 さらに必要に応じ2加硫を行うことができる。加硫剤としては、たとえば2,5-ジメチル-2,5-ジターシャリーブチルパーオキシヘキサン、p-メチルベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイドなどの過酸化物系の加硫剤を用いることができる。この過酸化物系の加硫剤の量は、たとえば音響レンズ組成物中のシリコーンゴムに対して0.3~2質量%にすることが好ましい。また、前記過酸化物系の加硫剤以外の加硫剤を用いてもよい。
[0103]
 シリコーン樹脂とシリカ被覆酸化物粒子を混合する際には、金属酸化物粒子は、加熱などにより水分を取り除くことが好ましい。加硫成形の温度としては、100~200℃が好ましく範囲である。
[0104]
 また、下記のような添加物を大略5質量%以下の範囲で含有してもよい。たとえば酸化チタン、アルミナ、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム、有機物フィラー、着色顔料などが挙げられる。
[0105]
 以上のように、芯材33と音響分離部24のインピーダンスを整合させることで、音響分離部24と芯材33の間の超音波の反射を少なくすることができる。
[0106]
 芯材33のレーザ加工孔51への注入は、例えば、芯材を充填したディスペンサのニードルを穿孔した孔に近づけ、芯材を空気圧で押し出して行う。
[0107]
 次に、ステップS22にて、図18(a)、(b)に示すように、音響整合層26の上に、上述したように別工程で作製したシート状の有機圧電素子アレイ(第2圧電素子アレイ)5が積層される。例えば、有機圧電素子アレイ5は、接着で無機圧電素子22上に固定される。
[0108]
 有機圧電素子21に設けた電極106が、第2信号線30に対応するように積層する。有機圧電素子21の電極107は共通電極であり、図示しない配線により接地される。
[0109]
 次に、ステップS23にて、図19(a)、(b)に示すように、有機圧電素子21上に、音響整合層27が形成される。音響整合層27は、必要に応じて単層または複数層で構成される。例えば、受信周波数帯域を広帯域化する場合では、音響整合層27は、複数層で構成されることが好ましい。以上で図3に示す構成の超音波探触子2が作製され、超音波探触子2の作製フローが終了する。
[0110]
 本実施形態では、無機圧電素子22は、両面に各電極102、103が形成された圧電素子101の単層で構成されたが、両面に各電極102、103が形成された圧電素子101が積層した複数層で構成されてもよい。
[0111]
 また、本実施形態では、有機圧電素子21は、両面に電極106および電極107が形成された圧電素子105の単層で構成されたが、両面に電極106および電極107が形成された圧電素子105が複数層で構成されてもよい。複数層とすることによって、超音波を送信する場合には、そのパワーを大きくすることが可能となり、超音波を受信する場合には、受信感度を向上させることが可能となる。
[0112]
 また、図8で説明したように、平板状の両面電極付無機圧電素子50を音響整合層31上に積層した後にアレイ化して第1圧電素子アレイ4を作製する方法以外に、予め第1圧電素子アレイ4を作製して音響整合層31上に積層する方法がある。第1圧電素子アレイ4を別途作製することで、第1圧電素子アレイ4の量産性が向上する。予め第1圧電素子アレイ4を作製する方法について図20から図24を用いて以下に説明する。
[0113]
 図20は、第1圧電素子アレイ4の作製方法についての作製フロー図である。図21は、圧電材料付基板の概要図である。図22は、サンドブラスト加工を施したワークの概要図である。図23は、音響分離部24を形成したワークの概要図である。図24は、研磨を施して音響分離部を両面に露出させたワークの概要図である。図25は、PZT201の両面に電極102、103を形成したワークを示す概要図である。
[0114]
 以下、図20の作製フロー図を基に第1圧電素子アレイ4の作製方法を説明する。最初にステップS30にて、図21(a)に示すような圧電材料付基板を準備する。無機圧電材料は前述のようにPZT等を用いる。PZTを基板202上に塗布し、焼成することで基板202上に焼結したPZT201を得る。
[0115]
 次にステップS31にて、基板202を研磨により除去し、図21(b)に示すように焼結したPZT201の基板を得る。
[0116]
 次にステップS32にて、サンドブラスト加工を行い、第1圧電素子アレイ4を形成する各無機圧電素子22の形状を浮彫りにする。図22は、サンドブラスト加工を行ったワークの概要図である。図22(b)は上面図であり、図22(a)は図22(b)におけるジグザグの一点鎖線ABに沿った断面図である(以下、図23から図25まで同様)。無機圧電素子22の配列は、図9で示したような碁盤面状でもよいが、図22(b)に示すように、ハニカム構造でもよい。サンドブラスト加工の特徴として、図22(a)に示すようにエッチング部分がややすり鉢状になるが、超音波探触子の機能を発揮させる上で問題ない。
[0117]
 次にステップS33にて、音響分離部24の作製を行う。具体的には、上記した芯材33に用いた材料と音響インピーダンスが略等しい材料を選択し、図23に示すように、PZT201の基板のエッチングした部分に埋めこむ。芯材33にシリコンゴムを採用すれば、音響分離部24には同じ組成のシリコンゴムを採用してもよいし、作製上の都合を考慮して異なる組成のシリコンゴムを選択してもよい。また、上記のようにエポキシ樹脂を採用してもよい。
[0118]
 次にステップS34にて、ステップS33にて作製したワークにおいて、音響分離部24をワークの表裏面に露出させることで、第1圧電素子アレイ4を形成する個々の無機圧電素子22に分離するため、ワークの一方の面を研磨する。図24に研磨後のワークの概要を示す。
[0119]
 最後にステップS35にて、図25に示すように、PZT201が露出している面に電極102、103を形成して、第1圧電素子アレイ4が完成する。
[0120]
 以上のように本実施形態によれば、前記第1圧電素子アレイに配列された第1圧電素子の間に音響分離部を設け、前記音響分離部を貫通して前記第2電極に接続される信号線を、前記音響分離部の音響インピーダンスに略等しい音響インピーダンスを有する芯材と、該芯材外周に沿って覆設された導電性層からなる信号線と、を用いて形成することで、複数の無機圧電素子22の間における音響的クロストークの発生を防止することができる。
[0121]
 また、有機圧電素子21の電極106の個数(有機圧電素子21の個数)と無機圧電素子22の個数とを異ならせることで、無機圧電素子22と有機圧電素子21に要求される仕様に応じて、有機圧電素子21の電極106の個数と無機圧電素子22の個数とを設計することが可能となる。例えば、有機圧電素子21が備える圧電素子の個数を多くして、各圧電素子の面積を小さくすることが可能となり、有機圧電素子21を受信用に用いる場合に、その受信分解能を向上することができる。
[0122]
 また、有機圧電素子21の電極106の面積と無機圧電素子22の電極102、103面積とを異ならせることで、無機圧電素子22と有機圧電素子21に要求される仕様に応じて、有機圧電素子21の電極106の面積と無機圧電素子22の電極102、103の面積とを設計することが可能となる。例えば1個の無機圧電素子22の面積を大きくして、無機圧電素子22同士を画する溝の総面積を小さくし、以って各無機圧電素子22の面積を合わせた総面積を増加させることで、超音波探触子2の送信パワーを大きくすることができる。
[0123]
 また、第1圧電素子アレイに配列された第1圧電素子同士の間に音響分離部を形成する工程と、音響分離部に貫通孔を形成し、貫通孔の内周面に導電性層を形成した後に、貫通孔の内空間に音響分離部の音響インピーダンスに略等しい音響インピーダンスを有する芯材を充填し固化する工程と、を超音波探触子の作製方法に採用することで、前記第1圧電素子アレイに配列された前記第1圧電素子間における音響的クロストークの発生を防止することができる。

符号の説明

[0124]
 1 超音波診断装置本体
 2 超音波探触子
 3 ケーブル
 4 第1圧電素子アレイ
 5 有機圧電素子アレイ
 11 操作入力部
 12 送信回路
 13 受信回路
 14 画像処理部
 15 表示部
 16 制御部
 21 有機圧電素子
 22 無機圧電素子
 23 音響制動部材
 24 音響分離部
 25 共通接地電極
 26、27、31 音響整合層
 28 導電パッド
 29 第1信号線
 30 第2信号線
 32 導電性部材
 33 芯材
 41 溝
 50 両面電極付無機圧電素子
 51 レーザ加工孔
 53 フォトレジスト膜
 55 金属ロール
 56 金属板
 58 電極
 59 高周波電源
 60 蒸着チャンバ
 61 ボード
 62 ワーク
 102、103、106、107 電極
 202 基板

請求の範囲

[請求項1]
両面に電極を有する第1圧電素子が2次元状に配列された第1圧電素子アレイと、
前記第1圧電素子アレイに積層して配置され、前記第1圧電素子アレイと反対側の面に第1電極を有し、前記第1圧電素子アレイ側の面に第2電極を有する第2圧電素子が2次元状に配列された第2圧電素子アレイと、
前記第1圧電素子アレイに配列された前記第1圧電素子同士の間に備えられた音響分離部と、
前記音響分離部を貫通して前記第2電極それぞれに接続され、前記音響分離部の音響インピーダンスに略等しい音響インピーダンスを有する芯材と、該芯材外周に沿って覆設された導電性層からなる信号線と、
を有することを特徴とする超音波探触子。
[請求項2]
前記第1圧電素子に電圧が印加される面積と、前記第2圧電素子に電圧が印加される面積とは異なることを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
[請求項3]
前記第1圧電素子アレイに配列された前記第1圧電素子の個数と、前記第2圧電素子アレイに配列された前記第2圧電素子の個数とは異なることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波探触子。
[請求項4]
両面に電極を有する第1圧電素子が2次元状に配列された第1圧電素子アレイの該第1圧電素子同士の間に形成された音響分離部に貫通孔を形成する工程と、該貫通孔の内周面に内空間を形成するように導電性層を形成する工程と、該貫通孔の内空間に前記音響分離部の音響インピーダンスに略等しい音響インピーダンスを有する芯材を充填する工程とを有することを特徴とする超音波探触子の作製方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]