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1. WO2007145348 - NEGATIVE PRESSURE BOOSTER

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明細書

負圧倍力装置

背景技術

[0001] 本発明は、ブレーキシステム等に用いられる負圧倍力装置の技術分野に 関し、特に、低出力領域(低減速度領域)では比較的小さいサ一ポ比で比 較的低い出力(減速度 G) を得、また、高出力領域(高減速度領域)では 低出力領域でのサーポ比より大きいサーポ比で比較的高い出力(減速度 G) を得ることで、小さな入力(ペダル踏力)で大きな出力(減速度 G) を得るとともに、ペダルストロークを短縮してペダルフィーリングを向上 させる負圧倍力装置の技術分野に関するものである。

[0002] 従来、乗用車等の自動車のブレーキシステムにおいては、ブレーキ倍力 装置に負圧を利用した負圧倍力装置が用いられている。このような従来の 一般的な負圧倍力装置では、パワーピストンで通常時負圧が導入される定 圧室と圧力が変わる変圧室とに区画されている。そして、ブレーキペダル の通常の踏み込みによる通常ブレーキ作動時に、入力軸の前進で制御弁が 切り換わり、変圧室に大気が導入される。すると、変圧室と定圧室との間 に差圧が生じてパワーピストンが前進するので、負圧倍力装置が入力軸の 入力(つまり、ペダル踏力)を所定のサ一ポ比で倍力して出力する。この 負圧倍力装置の出力により、マスタシリンダがマス夕シリンダ圧を発生し、 このマス夕シリンダ圧でホイールシリンダが作動して通常ブレーキが作動 する。

[0003] 従来の負圧倍力装置の 1つとして、所定出力以下の低出力領域(低減速 度領域;通常ブレーキ領域)では、入力軸の入力を比較的小さいサーポ比 で倍力して比較的小さな出力を発生し、また、所定出力より大きい高出力 領域(高減速度領域)では、入力軸の入力を所定出力以下の低出力領域で のサーポ比より大きなサ一ポ比で倍力して比較的大きな出力を発生すると ともに入力軸のストロークを短縮することにより、入力軸のストロークを 増大させることなく大きな出力を発生し、良好な操作フィーリングを得る ようにした負圧倍力装置が、国際公開 W0 2 0 0 4 / 1 0 1 3 4 0号公報 により提案されている。

[0004] この国際公開 W〇 2 0 0 4 / 1 0 1 3 4 0号公報に開示の負圧倍力装置 は、真空弁が可動真空弁座を備えた可動真空弁として構成されており、こ の可動真空弁座には負圧倍力装置の変圧室の圧力が作用されるとともにこ の変圧室の圧力の作用方向と対向する方向にばね荷重が作用される。そし て、負圧倍力装置の作動時、この負圧倍力装置の変圧室の圧力が所定圧以 下の低圧領域ではこの変圧室の圧力による可動真空弁座の押圧力が小さい ため可動真空弁座が移動しなく、真空弁および大気弁がともに閉じるパラ ンス位置がバルブボディに対して相対的に移動しない。したがって、反力 手段であるリアクションディスクと弁ブランジャつまり入力軸との間の隙 間が変化しなく、負圧倍力装置は比較的小さいサーポ比で倍力作動を行う。

[0005] また、負圧倍力装置の変圧室の圧力が所定圧を超える高圧領域ではこの 変圧室の圧力による可動真空弁座の押圧力が大きくなるため、可動真空弁 座がばね荷重に杭してバルブボディに対して相対的に後方(入力側)に移 動する。このため、真空弁および大気弁がともに閉じるバランス位置がバ ルブボディに対して相対的に後方に移動する。したがって、リアクション
まり入力軸との間の隙間が増加し、この隙間増 加に応じたジヤンピング量が出力を増大する。そして、変圧室の圧力が大 きくなるにしたがって可動真空弁座の後方移動量が増大するので、前述の バランス位置も変圧室の圧力が大きくなるにしたがってバルブボディに対 して相対的に後方に移動する。このため、前述の隙間も変圧室の圧力が大 きくなるにしたがつて増加するので、この隙間増加に応じたジヤンビング 量が出力を変圧室の圧力が大きくなるにしたがって増大し、サーポ比が可 動真空弁座の非移動時より大きくなる。このように特許文献 1に開示の負 圧倍力装置では、サーポ比が低出力領域の小さなサーポ比から高出力領域 の大きなサ一ポ比に切り換わるタイミング、つまり可動真空弁座の移動開 始のタイミングが、入力側である負圧倍力装置の変圧室の圧力に応じて制 御される。

[0006] ところで、この特許文献 1に開示の負圧倍力装置では、変圧室の圧力が 所定圧を超えたときこの変圧室の圧力で可動真空弁座を確実に作動させて 可動真空弁座の制御を容易にするためには、可動真空弁座の受圧面積を大 きくすることが求められる。しかしながら、可動真空弁座の受圧面積を大 きくすると、可動真空弁のシール部が大きくなって負圧倍力装置が大型に なるばかりでなく、可動真空弁座を高精度に作るのは難しい。このため、 可動真空弁座の受圧面積をあまり大きくすることはできず、可動真空弁座 の制御が比較的難しいものとなっている。しかも、可動真空弁座が、制御 された入力圧で移動されるようになっているため、可動真空弁座の移動開 始のタイミングの制御が更に難しくなつている。

発明の開示

[0007] 本発明の目的は、大きな出力を発生するときの入力部材のストロークを 短縮して、操作フィーリングを向上しつつ、コンパクトに形成することが でき、しかも可動真空弁座の制御を確実にかつ容易にすることのできる負 圧倍力装置を提供することである。

[0008] この目的を達成するために、本発明に係る負圧倍力装置は、シェルによ つて形成される空間内に対して進退自在に配設され、前記シェルを気密に かつ摺動自在に貫通するバルブボディと、このバルブボディに連結される とともに前記空間内を負圧が導入される定圧室と作動時に大気が導入され る変圧室とに区画するパワーピストンと、前記バルブボディに移動自在に 配設された弁プランジャと、この弁プランジャに連結され前記パルブポデ ィ内に進退自在に配設された入力軸と、前記パワーピストンの作動により 前記バルブボディとともに移動して出力を発する出力軸と、前記バルブボ ディ内に配設され、前記弁プランジャの前進または後退により制御されて 前記定圧室と前記変圧室との間を遮断または連通する真空弁と、前記パル ブボディ内に配設され、前記弁プランジャの前進または後退により制御さ れて前記変圧室と大気との間を連通または遮断する大気弁と、前記出力軸 からの反力を前記弁ブランジャに伝達する反力手段とを少なくとも備え、 前記真空弁および前記大気弁が共通の弁体を有しているとともに、前記真 空弁が前記弁体に設けられた真空弁部とこの真空弁部が着離座可能な真空 弁座とを有し、前記大気弁は前記弁体に設けられた大気弁部と前記弁ブラ ンジャに設けられて前記大気弁部が着離座可能な大気弁座とを有している 負圧倍力装置において、前記真空弁座が前記バルブボディに摺動可能に支 持された真空弁座部材に設けられており、前記出力軸からの反力によって 前記反力手段が発生する力を受けて前記真空弁座部材を押圧する力伝達部 材が、前記バルブボディに相対移動可能に設けられており、前記力伝達部 材の押圧力が所定値より大きいときは、前記力伝達部材からの押圧力で前 記真空弁座部材が前記弁体を前記大気弁が開くようになっていることを特 徴としている。

[0009] また、本発明に係る負圧倍力装置は、前記真空弁座部材を押圧する前記 ' 力伝達部材による押圧力と対向する付勢力で前記真空弁座部材を付勢する 真空弁座部材付勢手段を備えていることを特徴としている。

更に、本発明に係る負圧倍力装置は、前記反力手段が、前記出力軸から の反力により橈んで前記弁ブランジャに伝達するリアクションディスクを 備え、前記力伝達部材が、前記出力軸からの反力による前記リアクション ディスクの橈みによつて発生する力を受けて前記真空弁座部材を押圧する ことを特徴としている。

[0010] 更に、本発明に係る負圧倍力装置は、前記力伝達部材が、前記リアクシ ョンディスクから力を受けるピンと、このピンからの力を受けて前記真空 弁座部材を押圧する中間力伝達部材とからなることを特徴としている。

更に、本発明に係る負圧倍力装置は、前記入力軸が通常作動時より速く 作動されたときに前記出力を通常作動時より迅速の増大する迅速出力増大 手段を備えていることを特徴としている。

[0011] このように構成された本発明の負圧倍力装置によれば、作動時に出力軸 からの反力によって反力手段が発生する力を受ける力伝達部材が真空弁座 部材を大気弁の大気弁部が大気弁座から離れる方向に押圧するので、真空 弁座部材を押圧する力伝達部材の押圧力が所定値を超えると、力伝達部材 により真空弁座部材を作動させて大気弁と真空弁とがともに閉じるバラン ス位置をパルプボディに対して力伝達部材の押圧力に応じて入力側に移動 させるとともに、そのバランス位置の移動量を負圧倍力装置の出力に応じ て大きくすることができる。これにより、負圧倍力装置のサ一ポ比を低出 力領域の小さいサーポ比から、この低出力領域の小さいサ一ポ比より大き い高出力領域のサーポ比に切替設定することができる。したがって、高出 力領域において、比較的小さな入力で大きな出力を得ることができる。

[0012] また、真空弁座部材が弁体を後方に移動させることで入力と出力とがバ ランスする大気弁および真空弁の位置が後方(入力側)に移動するので、 大きな出力を発生するときの入力軸のストロークを短縮することができ、 入力操作のフィ一リングをより一層良好にすることができる。

[0013] したがって、本発明の負圧倍力装置をブレーキ倍力装置として用いるこ とで、中高減速度(中高 G) 領域で出力軸の大きなストロークを得る場合、 入力軸のストローク量を、低減速度(低 G) 領域での出力に対する前記入 力軸の操作ストローク量の変化率で変化した場合においてこの大きなスト ロークを得るために必要なストローク量より短縮させることができる。こ れにより、低減速度(低 G) 領域での通常ブレーキ作動時の減速度よりも 大きな減速度を得る場合に、低減速度(低 G) 領域での通常ブレーキ作動 時のサ一ポ比 S R 1でこの大きな減速度を得るために必要なブレーキぺダ ルの踏込み量より小さなペダル踏込み量で、所望の大きな減速度を得るこ とができる。したがって、車両重量が大きい車輛等の中高減速度(中高 G) 領域での通常ブレーキ作動時に低減速度(低 G) 領域での通常ブレー キ作動時より大きなブレーキ力を必要とする車輛に対して、ブレーキフィ 一リングをより効果的に良好にできる。

[0014] また、負圧倍力装置のサーボ比を小サーポ比から大サーポ比に切り替え る真空弁座部材の作動開始タイミングを、負圧倍力装置の出力に応じて制 御することができる。特に、真空弁座部材付勢手段のセット付勢荷重を適 宜調整することで、真空弁座部材の作動開始タイミングを所望のタイミン グに設定することができる。したがって、要求される種々の入出力特性の 負圧倍力装置に、柔軟にかつ容易に対応することが可能となる。

[0015] 更に、真空弁座部材を、出力軸からの反力によって反力手段が発生する 力で付勢される力伝達部材により作動させているので、真空弁座部材の作 動を確実にして真空弁座部材の制御を確実にかつ容易にすることができる とともに、真空弁座部材を作動させるための構造を簡単にすることができ る。特に、力伝達部材にピンを用いることで、真空弁座部材を作動させる ための構造をより一層簡単にかつ安価にすることができる。

[0016] 更に、このような力伝達部材による真空弁座部材の作動で、真空弁座部 材の受圧面積を不要にできるので、真空弁座部材の径を小さくすることが できる。これにより、バルブボディの径も小さくすることができることか ら、負圧倍力装置を全体的にコンパクトに形成することができる。

更に、真空弁座部材の受圧面積を不要にできることから、その分、パル ブボディに形成された空気が流れる通路の断面積を大きくすることができ、 応答性を良好にすることができる。

[0017] しかも、従来から一般的な負圧倍力装置に用いられている反力手段であ るリアクションディスクおよび弁プランジャに、ピン、中間力伝達部材、 真空弁座部材等の若干の構成部品を加えるだけで済ませることができる。 したがって、真空弁座部材を作動させるための構造を簡素化できるととも に組立を容易でき、しかもコストを低減できる。

[0018] 更に、入力軸が通常作動時より速く作動されたときには、迅速出力増大 手段により、出力を通常作動時より迅速に増大することができる。特に、 本発明の負圧倍力装置をブレーキ倍力装置として用いることで、緊急ブレ —キ作動時にブレーキ力が通常ブレーキ作動時より迅速に増大するので、 緊急ブレーキを迅速にかつ効果的に作動できる。このようにして、ブレー キペダルのペダルストロークを短くしながら、しかも、ブレーキアシスト (B A) 制御を行うことができるので、ブレーキ制御を良好にできる。

図面の簡単な説明

[0019] 図 1は、本発明に係る負圧倍力装置の実施の形態で負圧倍力装置の第 1 例を非作動状態で示す断面図である。

図 2は、図 1に示す第 1例の真空弁および大気弁の部分を拡大して示す 部分拡大断面図である。

図 3は、図 1に示す例の負圧倍力装置の入出力ストローク特性を示す図 である。

図 4は、図 1に示す例の負庄倍カ装置の入出力特性を示す図である。 図 5は、本発明の負圧倍力装置の実施の形態の第 2例を示す、図 2と同 様の図である。

発明を実施するための最良の形態

[0020] 以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。

図 1は、本発明に係る負圧倍力装置の実施の形態で負圧倍力装置の第 1 例を非作動状態で示す断面図、図 2は第 1例の真空弁および大気弁の部分 を拡大して示す部分拡大断面図である。なお、以下の説明において、 「前」および「後」はそれぞれ図において「左」および「右」を示す。ま た、以下の説明においては、第 1例の負圧倍力装置をブレーキシステムに 適用した場合について説明する。

[0021] 図 1および図 2に示すように、この第 1例の負圧倍力装置 1は、フロン トシエル 2およびリャシェル 3を備え、これらのフロントシェル 2および リヤシエル 3は互いに気密に結合されて内部空間を形成している。筒状の バルブボディ 4がリヤシエル 3を気密に貫通して、その前端部が内部空間 内に進入しているとともにその後端部が外部に位置している。

[0022] 内部空間内にはパワーピストン 5が配置されており、このパヮ一ピスト ン 5はバルブボディ 4に取り付けられたパワーピストン部材 6とバルブポ ディ 4およぴ両シェル 2, 3間に設けられたダイヤフラム 7とからなって いる。このパワーピストン 5により、両シェル 2 , 3内の内部空間を、通 常時負圧が導入される定圧室 8と、作動時大気圧が導入される変圧室 9と に区画されている。

[0023] パルブポディ 4内には弁プランジャ(本発明の入力部材に相当) 1 0が

パルプボディ 4と同心状に配設されており、この弁プランジャ 1 0はバル ブポディ 4に前後方向に摺動可能に支持されている。また、弁プランジャ 1 0を作動制御する入力軸(本発明の入力部材に相当) 1 1がこの弁ブラ ンジャ 1 0に連結されており、この入力軸 1 1の後端は図示しないブレ一 キペダルに連結されている。バルブボディ 4の後端部には筒状のリテ一ナ 部材 1 2が固定されており、このリテ一ナ部材 1 2に入力軸 1 1がフィル 夕部材 1 3を介して前後方向に摺動可能に支持されている。その場合、入 力軸 1 1はリテ一ナ部材 1 2との間に支持されたリターンスプリング 1 4 によって常時後方つまり非作動方向に付勢されている。

[0024] リテーナ部材 1 2には、筒状の弁体 1 5が気密にかつ前後方向に摺動可 能に支持されており、この弁体 1 5には大気弁部 1 6と真空弁部 1 7とが 形成されている。弁体 1 5はリテ一ナ部材 1 2との間に支持された第 1弁 制御スプリング 1 8によって常時前方つまり作動方向に付勢されている。 大気弁部 1 6は弁プランジャ 1 0の後端に形成された大気弁座 1 9に着離 座可能とされており、これらの大気弁部 1 6と大気弁座 1 9とで大気弁 2 0が構成されている。

[0025] また、バルブボディ 4には、筒状の真空弁座部材 2 1が気密にかつ前後 方向に摺動可能に支持されており、この真空弁座部材 2 1の後端に真空弁 座 2 2が形成されている。真空弁部 1 7は真空弁座 2 2に着離座可能とさ れており、これらの真空弁部 1 7と真空弁座 2 2とで真空弁 2 3が構成さ れている。真空弁座部材 2 1はリテーナ部材 1 2との間に支持された真空 弁座部材である第 2弁制御スプリング 2 4によつて常時前方つまり非作動 方向に付勢されている。

[0026] 更に、バルブボディ 4には、断面コ字状のアーム 2 5 (本発明の力伝達 部材および中間力伝達部材に相当)が前後方向に摺動可能に支持されてお り、このアーム 2 5の後端が真空弁座部材 2 1に当接している。したがつ て、アーム 2 5は第 2弁制御スプリング 2 4によって前方に付勢されてい る真空弁座部材 2 1に常時前方に付勢されている。

[0027] バルブボディ 4の前端部には、筒状のホルダ 2 6がバルブボディ 4と一 体に固定されており、このホルダ 2 6には間隔部材 2 7が前後方向に摺動 可能に設けられている。弁プランジャ 1 0の前端部がアーム 2 5を摺動可 能に貫通しており、この弁プランジャ 1 0の前端が間隔部材 2 7に当接し ている。間隔部材 2 7の中心に前後方向に穿設された軸方向孔にピン 2 8 (本発明の力伝達部材に相当)が摺動可能に貫通している。このピン 2 8 の後端部は弁プランジャ 1 0の前端部に摺動可能に支持されているととも にピン 2 8の後端がアーム 2 5の前端に当接している。ピン 2 8の前端は、 負圧倍力装置 1の非作動時には間隔部材 2 7の前端より若干の所定量前方 に突出している。なお、ピン 2 8は間隔部材 2 7の中心に必ずしも設ける 必要はなく、間隔部材 2 7の中心から偏心した位置に設けることもできる。

[0028] 更に、バルブボディ 4には、筒状の弁作動部材 2 9が前後方向に摺動可 能に支持されている。この弁作動部材 2 9は、バルブボディ 4および真空 弁座部材 2 1に摺動可能に支持された筒状摺動部 2 9 aと、この筒状摺動 部 2 9 aから前方に伸びた曲げ弾性変形可能な係合腕部 2 9 bとを有して いる。係合腕部 2 9 bは筒状摺動部 2 9 aを基端として曲げ弾性を有する 片持ち状に形成され、その自由端にはフック部 2 9 cが形成されている。 その場合、フック部 2 9 cはァ一ム 2 5を前後方向に相対移動可能に貫通 してアーム 2 5より前方に位置している。

[0029] また、筒状摺動部 2 9 aとフック部 2 9 cとの間の係合腕部 2 9 bには、 内側に突出する突出部 2 9 dが形成されているとともに、この突出部 2 9 dの後面は外側に向かって後方に傾斜するテーパ面に形成された被押圧面 2 9 eとされている。更に弁作動部材 2 9の内周側には、キ一部材 3 0に 当接可能なストッパ部 2 9 fが形成されている。

[0030] 弁作動部材 2 9の後端は、真空弁座部材 2 1の後端部に当接可能となつ ている。パルプボディ 4に設けられたリテ一ナ 3 1と弁作動部材 2 9の後 端部との間にはスプリング 3 2が縮設されており、このスプリング 3 2の ばね力により、弁作動部材 2 9が常時後方に付勢されている。

[0031] ホルダ 2 6の後端部外周にはフック部 2 6 aが設けられており、このフ ック部 2 6 aは係合腕部 2 9 b側のフック部 2 9 cと軸方向に係合可能と されている。そして、負圧倍力装置 1の非作動時には、フック部 2 6 aの 前端係合面とフック部 2 9 cの後端係合面とが軸方向に所定の間隔だけ離 間して、両フック部 2 6 a , 2 9 cは互いに軸方向に係合しない状態に設 定される。

[0032] 弁プランジャ 1 0には、外周に向かって後方に傾斜する截頭円錐台面状 のテーパ面からなる押圧面 1 0 aが、弁作動部材 2 9の被押圧面 2 9 eに 軸方向に対向して形成されている。そして、弁プランジャ 1 0が弁作動部 材 2 9に対して前方に相対移動したとき、弁プランジャ 1 0の押圧面 1 0 aが弁作動部材 2 9の被押圧面 2 9 eに当接しこの被押圧面 2 9 eを押圧 するようにされている。

[0033] 押圧面 1 0 aおよび被押圧面 2 9 eが前述のようにテ一パ面に形成され ていることから、押圧面 1 0 aによる被押圧面 2 9 eの押圧でくさび効果 が生じ、このくさび効果により、係合腕部 2 9 bが外方(図 2において下 方)に曲げ弾性的に撓むようにされている。そして、この係合腕部 2 9 b の橈みにより、軸方向に係合状態にあるホルダ側のフック部 2 6 aと係合 腕部側のフック部 2 9 cとの軸方向の係合が外れるようになつている。こ のように両フック部 2 6 a , 2 9 cの軸方向の係合が外れると、スプリン グ 3 2のばね力により、弁作動部材 2 9がバルブボディ 4に対して後方に 相対移動して真空弁座部材 2 1に当接し、この真空弁座部材 2 1を後方に 押圧することで、真空弁座部材 2 1が真空弁部 1 7を介して弁体 1 5を後 方に突き上げるようになつている。このように、両フック部 2 6 a , 2 9 cの係合が外れて、真空弁座部材 2 1が弁体 1 5を後方に突き上げた状態 が、ブレーキアシスト(B A) 作動の状態である。したがって、両フック 部 2 6 a , 2 9 cの係合が外れるときの弁プランジャ 1 0の弁作動部材 2 9に対する位置が、 B A作動開始のしきい位置となる。 B A作動開始時の 弁プランジャ 1 0の弁作動部材 2 9に対する位置は、弁プランジャ 1 0が 間隔部材 2 7を介して後述するリアクションディスク 3 5を押圧する押圧 力で生じるリアクションディスク 3 5の橈み量で制御されるようになって いる。

[0034] このようにして、本発明の迅速出力増大手段は、摺動部 2 9 a、係合腕 部 2 9 b、両フック部 2 6 a, 2 9 c、突出部 2 9 dの被押圧面 2 9 e、 弁プランジャ 1 0の押圧面 1 0 a、およびスプリング 3 2を含んで構成さ れている。

[0035] バルブボディ 4の前端部には、従来の一般的な負圧倍力装置と同様に、 図示しないマスタシリンダのピストンを作動する出力軸 3 4がバルブポデ ィ 4と同心状にかつ前後方向に摺動可能に設けられている。この出力軸 3 とバルブボディ 4の前端およびホルダ 2 6の前端との間に、反力手段で あるリアクションディスク 3 5が配設されている。このリアクションディ スク 3 5は、負圧倍力装置 1の作動時に出力軸 3 4からの反力で弾性的に 橈んで発生する反力に比例した力を、間隔部材 2 7、弁プランジャ 1 0、 および入力軸 1 1を介してブレーキペダルに伝達するようになっている。 また、負圧倍力装置 1の作動時に、リアクションディスク 3 5は出力軸 3 4からの反力で橈んでピン 2 8に当接する。これにより、ピン 2 8がリア クシヨンディスク 3 5の橈みによる圧力に基づく力を受けて後方に押圧さ れる。

[0036] すると、アーム 2 5がピン 2 8から力を受けて真空弁座部材 2 1を後方 に押圧するが、アーム 2 5による真空弁座部材 2 1の押圧力が第 1弁制御 スプリング 1 8の付勢力と第 2弁制御スプリング 2 4の付勢力との和より 大きくなると、第 1および第 2弁制御スプリング 1 8 , 2 4がともに収縮 して真空弁座部材 2 1は、真空弁座部材 2 1の真空弁座 2 2に真空弁部 1 7が着座している弁体 1 5を後方に突き上げるようになつている。すると、 大気弁部 1 6が大気弁座 1 9から離れるようにバルブボディ 4に対して後 方に移動するので、更に大気が変圧室 9に、大気弁 2 0が閉じてパランス する(真空弁 2 3は既に閉じている)まで流入する。これにより、前述の ように大気弁 2 0と真空弁のパランス位置がバルブボディ 4に対して後方 (入力側)に移動し、リアクションディスク 3 5と間隔部材 2 7との間隔 (隙間)および間隔部材 2 7と弁プランジャ 1 0との間隔(隙間)、つま り、リアクションディスク 3 5と弁プランジャ 1 0 (あるいは、入力軸 1 1 ) との間隔(隙間)が入力の増大にしたがって増加するとともに、この 間隔(隙間)が入力に応じて増加するので、出力が増大する。

[0037] したがって、この例の負圧倍力装置 1は、特許文献 1に開示の負圧倍力 装置と同様に図 3に示す入出力ストロ一ク特性を有するとともに、図 4に 示す入出力特性を有する。これらの入出力ストローク特性および入出力特 性の詳細は特許文献 1および前述の従来技術の説明を参照すれば容易に理 解できるが、一応、簡単に説明する。

[0038] すなわち、図 3に示すように、入出力ストローク特性は、中高減速度領 域 (中高 G領域)における入力ストロークに対する出力ストロークが低減 速度領域(低 G領域)における入カストロ一クに対する出力ストロークよ り増大する。換言すると、中高減速度領域(中高 G領域)においては、入 カストロークが同じ出力を発生させる場合に小さくて済むので、結果とし て短縮されるようになる。

[0039] また、図 4に示すように、入出力特性は、負圧倍力装置 1の出力が所定 出力 以下の出力領域である低 G領域では、真空弁座部材 2 1がバルブ ボディ 4に対して移動しないので、真空弁 2 3と大気弁 2 0とがともに閉 じるバランス位置がバルブボディ 4に対して変化しなく、同じ入力で通常 ブレーキ作動時と同じになる。したがって、この低 G領域では、従来の通 常ブレーキ作動時のサーポ比と同じ比較的小さいサ一ポ比 S R 1となる。 一方、負圧倍力装置 1の出力が所定出力を超える中高 G領域では、真 空弁座部材 2 1がバルブボディ 4に対して後方(入力側)に移動し、パラ ンス位置が入力に応じてバルブボディ 4に対して後方(入力側)に移動す るので、サ一ポ比が低 G領域で設定されている従来の通常ブレーキ作動時 のサーポ比 S R 1より大きいサーポ比 S R 2 ( S R 2 > S R 1 ) となる。 この中高出力領域(中高 G領域)では、入力が比較的大きく、ブレーキに よる減速度が比較的高重量(積載荷重を含む)の車輛に対して中高減速度 (中高 G) 領域として設定される。

[0040] この大きなサ一ポ比 S R 2について詳述する。この例の負圧倍力装置 1 では、前述の国際公開 WO 2 0 0 4 / 1 0 1 3 4 0号公報に開示の負圧倍 力装置と同じであり、次のようにしてサーポ比 S R 2を得ている。すなわ ち、前述のように大気弁 2 0と真空弁 2 3とのパランス位置をバルブポデ ィ 4に対して若干後方に移動させ、変圧室 9の圧力を上昇させて出力を若 干ジャンプアップさせる。そして、サーポ比 S R 1の状態でこの出力のジ ヤンプアップを繰り返してミクロ的に見て出力を小さなステップ量の階段 状に上昇させることで、見かけ上(マクロ的に見て)、サーポ比 S R 1よ り大きなサ一ポ比 S R 2が得られるようになる。

[0041] ところで、アーム 2 5が真空弁座部材 2 1および弁体 1 5をバルブディ 4に対して後方に相対移動させるためには、真空弁座部材 2 1に対するァ ーム 2 5の押圧力が、第 1弁制御スプリング 1 8の付勢力と第 2弁制御ス プリング 2 4の付勢力との和(つまり、所定値)より大きくなる必要があ る。そこで、この例の負圧倍力装置 1では、アーム 2 5の押圧力が第 1弁 制御スプリング 1 8の付勢力と第 2弁制御スプリング 2 4の付勢力との和 より大きくなるように第 1および第 2弁制御スプリング 1 8 , 2 4の各セ ットばね荷重および各ばね定数を設定している。

[0042] その場合、第 1弁制御スプリング 1 8のセットばね荷重およびばね定数 は、その負圧倍力装置 1の固有値であり、第 2弁制御スプリング 2 4のセ ットばね荷重よりきわめて小さく設定されている。このため、主として第 2弁制御スプリング 2 4のセットばね荷重およびばね定数により、真空弁 座部材 2 1および弁体 1 5を後方移動させるためのアーム 2 5の押圧力が 決定される。真空弁座部材 2 1を付勢する第 2弁制御スプリング 2 4のば ね定数おょぴセットばね荷重は、ともに任意に設定可能である。すなわち、 図 4に示す入出力特性において、小さなサ一ポ比 S R 1から大きなサーボ 比 S R 2に変わる変化点(レシオ点)ァの入力である設定入力 F。は、第 2弁制御スプリング 2 4のセットばね荷重を変えることで上下させること ができる。また、サ一ポ比 S R 2は、第 2弁制御スプリング 2 4のばね定 数を変えることによって大小変化させることが可能となる。

[0043] したがって、この例の負圧倍力装置 1は、第 2弁制御スプリング 2 4の ばね定数およびセットばね荷重を搭載される車両に応じて設定することで、 1つの形式で種々の車種のブレーキ倍力装置にその車種に応じて容易にか つより的確に適用可能となる。

[0044] 真空弁座部材 2 1の外周に形成された環状室 3 6はバルブボディ 4に形 成された真空通路 3 7を介して定圧室 8に常時連通しているとともに、弁 プランジャ 1 0の後端部の外周に形成された環状室 3 7はバルブボディ 4 内に形成された大気 ·真空通路 3 8 , 3 9を介して変圧室 9に常時連通し ている。

なお、図 1および図 2中において、符号 4 0はパワーピストン 5のリタ ーンスプリングであり、符号 4 1は図示しない負圧源に接続されて定圧室 8に負圧を導入する負圧導入口である。

[0045] このように構成されたこの例の負圧倍力装置 1の作動について説明する。

(非作動)

負圧倍力装置 1はその非作動時には、図 1および図 2に示す状態となつ ている。この状態では、バルブボディ 4がキ一部材 3 0がリヤシエル 3に 当接することで後退限の非作動位置にあり、したがってパワーピストン 5 および出力軸 3 4が非作動位置となっている。また、キ一部材 3 0により 弁プランジャ 1 0が後退限の非作動位置に規制されるとともに、入力軸 1 1も非作動位置となっている。 '

[0046] 更に、キー部材 3 0により弁作動部材 2 9が後退限の非作動位置に規制 されている。更に、非作動位置の弁作動部材 2 9により、アーム 2 5が前 進限の非作動位置に規制されるとともに、真空弁座部材 2 1もアーム 2 5 により前進限の非作動位置に規制されている。

[0047] この負圧倍力装置 1の非作動状態では、大気弁 2 0が閉じかつ真空弁 2 3が開いており、変圧室 9は大気から遮断されているとともに常時負圧が 導入されている定圧室 8に連通している。したがって、変圧室 9も負圧が 導入されて、定圧室 8と同じ圧力かあるいは定圧室 8より若干高い圧力に なっている。また、リアクションディスク 3 5が橈んでいなく、ピン 2 8 の前端および間隔部材 2 7の前端がともにリアクションディスク 3 5に当 接していない。更に、両フック部 2 6 a, 2 9 cが軸方向に離間して係合 していないとともに、押圧面 1 0 aと被押圧面 2 9 eも軸方向に離間して 当接していない。

[0048] (負圧倍力装置の低減速度領域での通常ブレーキ作動)

通常ブレーキを行うためにブレーキペダルが通常ブレーキ作動時での踏 込速度で踏み込まれると、入力軸 1 1が前進して弁プランジャ 1 0が前進 する。弁プランジャ 1 0の前進により、弁体 1 5の真空弁部 1 7が真空弁 座 2 2に着座して真空弁 2 3が閉じるとともに大気弁座 1 9が弁体 1 5の 大気弁部 1 6から離れて、大気弁 2 0が開く。すなわち、変圧室 9が定圧 室 8から遮断されるとともに大気に連通される。したがって、大気が、開 いている大気弁 2 0および大気 ·真空通路 3 8 , 3 9を通って変圧室 9に 導入される。その結果、変圧室 9と定圧室 8との間に差圧が生じてパワー ピストン 5およびバルブボディ 4が前進し、更にバルブボディ 4を介して 出力軸 3 4が前進して図示しないマス夕シリンダのピストンが前進する。

[0049] また、弁プランジャ 1 0の前進で間隔部材 2 7も前進するが、まだ間隔 部材 2 7は間隙によりリアクションディスク 2 3に当接するまでには至ら ない。したがって、出力軸 3 4から反力がリアクションディスク 3 5から 間隔部材 2 7に伝達されないので、この反力は弁プランジャ 1 0および入 力軸 1 1を介してブレーキペダルにも伝達されない。更に、バルブボディ 4の前進でホルダ 2 6も前進するので、ホルダ 2 6のフック部 2 6 aが弁 作動部材 2 9のフック部 2 9 cに軸方向に係合する。以後、バルブボディ 4の前進で弁作動部材 2 9も一体に前進する。このとき、弁プランジャ 1 0の押圧面 1 0 aが弁作動部材 2 9の被押圧面 2 9 eに当接しないので、 両フック部 2 6 a , 2 9 cの係合が保持される。入力軸 1 1が更に前進す ると、パワーピストン 5も更に前進し、バルブボディ 4および出力軸 3 4

[0050] マスタシリンダはブレーキ液を図示しないホイ一ルシリンダに送る。マ ス夕シリンダが液圧を発生すると、出力軸 3 4から反力がリアクションデ イスク 3 5に伝達され、リアクションディスク 3 5が弾性的に撓む。この リアクションディスク 3 5の橈みにより、リアクションディスク 3 5はま ずピン 2 8に当接し、ピン 2 8を後方に押圧する。このピン 2 8の押圧に より、アーム 2 5を介して真空弁座部材 2 1が後方に押圧される。このと き、ピン 2 8の押圧力はリアクションディスク 3 5の撓みによる圧力がピ ン 2 8を押圧することから、ピン 2 8の直径(つまり、断面積)に応じた 大きさの力となる。

[0051] そして、負圧倍力装置 1の出力が小さい低出力領域では、リアクション ディスク 3 5の橈み圧による真空弁座部材 2 1の後方への押圧力が第 2弁 制御スプリング 2 4の付勢力と第 1弁制御スプリング 1 8の付勢力との和 より小さいので、真空弁座部材 2 1がバルブディ 4に対して相対移動しな い。

[0052] マスタシリンダ以降のブレーキ系のロスストロークが消滅すると、負圧 倍力装置 1は実質的に出力を発生し、この出力でマスタシリンダがマス夕 シリンダ圧 (液圧) を発生し、このマス夕シリンダ圧でホイ一ルシリンダ が作動してブレーキ力を発生する。

[0053] このとき、マス夕シリンダから出力軸 3 4に加えられる反力によって、 リアクションディスク 3 5が後方に更に膨出し、間隙が消滅してリアクシ ヨンディスク 3 5が間隔部材 2 7に当接する。これにより、出力軸 3 4か らの反力はリアクションディスク 3 5から間隔部材 2 7に伝達され、更に 弁プランジャ 1 0および入力軸 1 1を介してブレーキペダルに伝達されて 運転者に感知されるようになる。すなわち、図 4に示すように負圧倍力装 置 1は通常ブレーキ作動時のジヤンピング特性を発揮する。このジヤンピ ング特性は、従来の一般的な負圧倍力装置のジヤンピング特性とほぼ同じ である。

[0054] 低減速度(低 G) 領域内で通常ブレーキが作動される塲合には、負圧倍 力装置 1の入力(つまり、ペダル踏力)が比較的小さい。この低減速度 (低 G) 領域では、出力が所定出力以下の低出力領域であり、真空弁 座部材 2 1は移動しなく、サーポ比は従来の通常ブレーキ作動時とほぼ同 じ比較的小さなサーポ比 S R 1となる。したがって、負圧倍力装置 1の出 力がペダル踏力による入力軸 1 1の入力をこのサ一ポ比 S R 1で倍力した 大きさになると、大気弁部 1 6が大気弁座 1 9に着座して大気弁 2 0も閉 じて中間負荷のパランス状態となる(真空弁 2 3は、真空弁部 1 7が真空 弁座 2 2に着座して既に閉じている)。こうして、図 4に示すように低減 速度(低 G) 領域においては、通常ブレーキ作動時のペダル踏力をサ一ポ 比 S R 1で倍力したブレーキ力で通常ブレーキが作動する。

[0055] (負圧倍力装置の低減速度領域での通常ブレーキ作動の解除)

通常ブレーキ作動時での負圧倍力装置 1の大気弁 2 0および真空弁 2 3 がともに閉じている状態から、通常ブレーキを解除するために、ブレーキ ペダルを解放すると、入力軸 1 1および弁プランジャ 1 0がともに後退す るが、バルブボディ 4および真空弁座部材 2 1は変圧室 9に空気(大気) が導入されているので、直ぐには後退しない。これにより、弁プランジャ 1 0の大気弁座 1 9が弁体 1 5の大気弁部 1 6を後方に押圧するので、真 空弁部 1 7が真空弁座 2 2から離座し、真空弁 2 3が開く。すると、変圧 室 9に導入された空気は、大気 ·真空通路 3 9 , 3 8、開いた真空弁 2 3 および真空通路 3 7、定圧室 8および負圧導入口 4 1を介して真空源に排 出される。

[0056] これにより、変圧室 9の圧力が低くなつて変圧室 9と定圧室 8との差圧 が小さくなるので、リターンスプリング 2 5のばね力により、パワーピス トン 5、バルブボディ 4および出力軸 3 4が後退する。バルブボディ 4の 後退に伴い、マス夕シリンダのピストンのリタ一ンスプリングのばね力に よってマスタシリンダのピストンおよび出力軸 3 4も後退し、通常ブレー キが解除開始される。

[0057] キー部材 3 0が図 1に示すようにリャシェル 3に当接すると、キー部材 3 0は停止してそれ以上後退しなくなる。しかし、バルブボディ 4、真空 弁座部材 2 1、弁プランジャ 1 0および入力軸 1 1が更に後退する。そし て、弁プランジャ 1 0が図 2に示すようにキー部材 3 0に当接するととも に、パルプボディ 4のキ一溝の前端が図 2に示すようにキー部材 3 0に当 接し、弁プランジャ 1 0およびバルブボディ 4が、それ以上後退しなくな る。こうして、負圧倍力装置 1は図 1および図 2に示す初期の非作動状態 になる。したがって、マス夕シリンダおよびホイ一ルシリンダも非作動状 態になって、通常ブレーキが解除される。

[0058] (負圧倍力装置の中高減速度領域での通常ブレーキ作動)

通常ブレーキ作動時において低減速度(低 G) より大きな減速度の中高 減速度領域で通常ブレーキ作動を行う場合には、負圧倍力装置 1の入力

(つまり、ペダル踏力)が低減速度(低 G) 領域での通常: /レーキ作動時 より大きく設定される。図 4に示すように入力が大きくなつて設定入力 F 。を超えると、負圧倍力装置 1の入出力特性は中高減速度(中高 G) 領域 となり、サ一ポ比が大きいサ一ポ比 S R 2に切り替わり、出力が所定出力 より大きい出力領域となる。

[0059] これを具体的に説明すると、設定入力 F。では負圧倍力装置 1の出力が 所定出力 であるので、出力軸 3 4の反力に基づくリアクションデイス ク 3 5によりピン 2 8およびアーム 2 5を介して真空弁座部材 2 1を押圧 する力が、第 1および第 2弁制御スプリング 1 8 , 2 4のばね力である所 定値より大きくなるので、真空弁座部材 2 1はバルブボディ 4に対して弁 体 1 5を押しながら後方に移動する。このため、大気弁部 1 6が大気弁座 1 9から離間し、大気弁 2 0が低 G領域での通常ブレーキ時より大きく開 く。したがって、図 4に示すように中高 G領域においては、サ一ポ比は従 来の通常ブレーキ作動時より大きなサーポ比 S R 2となる。すなわち、負 圧倍力装置 1の出力が入力軸 1 1の入力をこのサ一ポ比 S R 2で倍力した 大きさになると、前述と同様に大気弁部 1 6が大気弁座 1 9に着座して大 気弁 2 0も閉じて中間負荷のバランス状態となる(真空弁 2 3は、真空弁 部 1 7が真空弁座 2 2に着座して既に閉じている)。こうして、中高減速 度 (中高 G) 領域において、ペダル踏力をサーポ比 S R 2で倍力した低減 速度(低 G) 領域での通常ブレーキ作動時より大きなブレーキ力でブレー キが作動する。その場合、負圧倍力装置 1は、この中高減速度(中高 G) 領域においては、ペダル踏力つまり負圧倍力装置 1の入力が大きいが、サ ーボ比 S R 1の通常ブレーキ作動時での入力と同じ入力で、通常ブレーキ 作動時より大きな出力が得られるようになる。

[0060] また、前述の国際公開 W〇 2 0 0 4 / 1 0 1 3 4 0号公報に開示の負圧 倍力装置と同様に、中高減速度(中高 G) 領域の作動時では、真空弁座部 材 2 1が低減速度(低 G) 領域での作動時よりバルブボディ 4に対して後 方に移動することから、出力ストロークがこの移動量に応じて大きくなる。 換言すると、図 3に示すように同じ出力ストロークを得る場合、図 4に実 線で示す中高減速度(中高 G) 領域での入力ストローク量は、図 4に点線 で示す低減速度(低 G) 領域でのサーポ比 S R 1の通常作動時の出カスト ロークに対する入力ストロークの変化率(傾き)で変化した場合における 入カストロ一ク量よりもストローク量だけ小さくなり、入力軸 1 1のスト ロークつまりブレーキペダルのストロークが短縮される。

[0061] (負圧倍力装置の中高減速度領域での通常ブレーキ作動の解除)

真空弁座部材 2 1の作動時での負圧倍力装置 1の大気弁 2 0および真空 弁 2 3がともに閉じている状態から、通常ブレーキを解除するために、ブ レーキペダルを解放すると、前述と同様にして真空弁 2 3が開き、変圧室 9に導入された空気が、大気 ·真空通路 3 9 , 3 8、開いた真空弁 2 3、 真空通路 3 7、定圧室 8および負圧導入口 4 1を介して真空源に排出され る。

[0062] これにより、前述と同様に変圧室 9の圧力が低下し、リターンスプリン グ 4 0のばね力により、パワーピストン 5、バルブボディ 4および出力軸 3 4が後退する。バルブボディ 4の後退に伴い、マスタシリンダのピスト ンのリターンスプリングのばね力によってマスタシリンダのピストンおよ び出力軸 3 4も後退し、ブレーキが解除開始される。

[0063] 出力軸 3 4からの反力が小さくなり、アーム 2 5を介して真空弁座部材 2 1を押圧する力が、第 1および第 2弁制御スプリング 1 8 , 2 4のばね 力より小さくなるので、真空弁座部材 2 1はバルブボディ 4に対して前方 に移動する。そして、図 2に示すように真空弁座部材 2 1の前端がバルブ ボディ 4に当接することで真空弁座部材 2 1が非作動位置になるとともに、 アーム 2 5およびピン 2 8も非作動位置になる。これにより、真空弁座 2 2が真空弁部 1 7から大きく離座して真空弁 2 3が大きく開くので、変圧

室 9内の空気は多く排出されて、低減速度(低 G) 領域での通常ブレーキ 作動状態になる。これ以後、前述の低減速度(低 G) 領域での通常ブレー キ作動の場合と同様であり、最終的に負圧倍力装置 _ 1の移動した部材はす ベて図 2に示す非作動位置になり、低減速度(低 G) 領域での通常ブレー キ作動時より大きな入力によるブレーキが解除される。

[0064] (緊急ブレーキ作動)

緊急ブレーキを作動するために、ブレーキペダルが通常ブレーキ作動時 より速い踏込速度でかつ通常ブレーキ作動時より大きなペダル踏力で踏み 込まれると、前述の通常ブレーキ作動時と同様に真空弁 2 3が閉じて大気 弁 2 0が開いて変圧室 9に大気が導入されることで、負圧倍力装置 1が出 力する。前述の通常ブレーキ作動と同様にホルダ 2 6のフック部 2 6 aが 弁作動部材 2 9のフック部 2 9 cに軸方向に係合する。し力、し、このとき にはバルブボディ 4に対する入力軸 1 1および弁プランジャ 1 0の各前進 ストロークが、通常ブレーキ作動時より大きくなる。このため、弁プラン ジャ 1 0の押圧面 1 0 aが弁作動部材 2 9の被押圧面 2 9 eに当接してこ の被押圧面 2 9 eを押圧する。すると、押圧面 1 0 aと被押圧面 2 9 eの 各テーパ面の楔効果により、突出部 2 9 dが開く方向(図 2において下 方)に押圧されるので、係合腕部 2 9 bが弾性的に曲げ変形する(橈む)。 これにより、フック部 2 9 cがフック部 2 6 aから外れてフック部 2 9 c とフック部 2 6 aとの係合が解除され、弁作動部材 2 9がスプリング 3 2 の付勢力で押圧されて後方に移動する。

[0065] すると、弁作動部材 2 9が真空弁座部材 2 1の後端部に当接して真空弁 座部材 2 1を後方に押圧するので、真空弁座部材 2 1は弁体 1 5を後方に 突き上げ、弁体 1 5がパルブポディ 4に対して後方に移動する。この緊急 ブレーキ作動時の真空弁座部材 2 1による弁体 1 5の後方突き上げは、前 述の通常ブレーキ作動時とは異なり、出力軸 3 4からの反力により真空弁 座部材 2 1が弁体 1 5を押圧する力が第 1および第 2弁制御スプリング 1 8 , 2 4のばね力より小さいうちに開始される。したがって、前述のバラ ンス位置が通常ブレーキ作動時に比べて迅速に後方に移動するので、負圧

倍力装置 1は迅速に大きなサ一ポ比 S R 2に設定されて、より少ないぺダ ルストロークでより大きな出力を発生し、その結果、大きなブレーキ力が 得られるようになる。

[0066] (緊急ブレーキの解除)

緊急ブレーキ作動後、ブレーキペダルを解放すると、基本的には前述の 通常ブレーキ作動時と同様にしてブレーキが解除される。ただ、この緊急 ブレーキ作動解除の場合は、パルブポディ 4が後退してくると、フック部 2 6 aの後端に形成されているテ一パ面 2 6 bがフック部 2 9 cの前端に 形成されているテ一パ面 2 9 f に当接してそれらのテ一パ面の楔効果によ りフック部 2 9 cを開く方向(図 2において下方)に押圧する。このため、 係合腕部 2 9 bが弾性的に曲げ変形するので、フック部 2 6 aがフック部 2 9 cを通過してフック部 2 9 cの後方に位置するとともに係合腕部 2 9 bが弾性復帰する。こうして、負圧倍力装置 1は図 1および図 2に示す非 作動状態となる。

[0067] このようにブレーキシステムに適用したこの例の負圧倍力装置 1によれ ば、中高減速度(中高 G) 領域で出力軸 3 4の大きなストロークを得る場 合、入力軸 1 1のストローク量を、低減速度(低 G) 領域での出力に対す る前記入力軸の操作ストローク量の変化率で変化した場合においてこの大 きなストロークを得るために必要なストローク量より短縮させることがで きる。これにより、低減速度(低 G) 領域での通常ブレーキ作動時の減速 度よりも大きな減速度を得る場合に、低減速度(低 G) 領域での通常ブレ ーキ作動時のサーポ比 S R 1でこの大きな減速度を得るために必要なプレ ーキペダルの踏込み量より小さなペダル踏込み量で、所望の大きな減速度 を得ることができる。したがって、車両重量が大きい車輛等の中高減速度 (中高 G) 領域での通常ブレーキ作動時に低減速度(低 G) 領域での通常 ブレーキ作動時より大きなブレーキ力を必要とする車輛に対して、ブレー キフィーリングをより効果的に良好にできる。

[0068] また、第 2弁制御スプリング 2 4のセットばね荷重を適宜調整すること で、真空弁座部材 2 1の作動開始タイミング(つまり、サ一ボ比切替タイ ミング)を所望のタイミングに設定することができる。したがって、要求 される種々の入出力特性の負圧倍力装置 1に、柔軟にかつ容易に対応する ことが可能となる。

[0069] 更に、真空弁座部材 2 1を、出力軸 3 4からの反力によるリアクション ディスク 3 5の橈みで付勢されるピン 2 8およびァ一ム 2 5により作動さ せているので、真空弁座部材 2 1の作動を確実にして真空弁座部材 2 1の 制御を確実にかつ容易にすることができるとともに、真空弁座部材 2 1を 作動させるための構造を簡単にすることができる。特に、力伝達部材とし てピン 2 8を用いることで、真空弁座部材 2 1を作動させるための構造を より一層簡単にかつ安価にすることができる。

[0070] 更に、このようなピン 2 8およびアーム 2 5による真空弁座部材 2 1の 作動で、真空弁座部材 2 1の受圧面積を不要にできるので、真空弁座部材 2 1の径を小さくすることができる。これにより、バルブボディ 4の径も 小さくすることができることから、負圧倍力装置 1を全体的にコンパクト に形成することができる。

更に、真空弁座部材 2 1の受圧面積を不要にできることから、. その分、 バルブボディ 4に形成された空気が流れる通路 3 7 , 3 8·の断面積を大き くすることができ、応答性を良好にすることができる。

[0071] しかも、従来から一般的な負圧倍力装置に用いられているリアクション ディスク 3 5、ホルダ 2 6および弁プランジャ 1 0にピン 2 8、アーム 2 5、真空弁座部材 2 1等の若干の構成部品を加えるだけで済ませることが できる。したがって、真空弁座部材 2 1を作動させるための構造を簡素化 できるとともに組立を容易でき、しかもコストを低減できる。

[0072] 更に、緊急ブレーキ作動時には、大気弁 2 0と真空弁 2 3とのバランス 位置をバルブボディ 4に対して迅速に後方に移動させてサーポ比を通常時 のサーポ比より大きくすることにより、負圧倍力装置 1の出力を大きくす ることができる。これにより、緊急ブレーキ作動時におけるブレ一キアシ スト(B A) 制御を行うことができ、緊急ブレーキを迅速にかつ効果的に 作動させることができる。このようにして、ブレーキペダルのペダルスト 口一クを短くしながら、しかも、 B A制御を行うことができるので、ブレ ーキ制御を良好にできる。

[0073] 図 5は本発明の負圧倍力装置の実施の形態の第 2例を示す、図 2と同様 の図である。なお、前述の第 1例と同じ構成要素には同じ符号を付すこと で、その詳細な説明は省略するとともに、第 1例と同様に負圧倍力装置を ブレーキシステムに適用して説明する。

[0074] 前述の第 1例では、負圧倍力装置 1が B A機能を有しているが、図 5に 示すようにこの第 2例の負圧倍力装置 1は B A機能を有していない。した がって、第 2例の負圧倍力装置 1は B A機能を行うための弁作動部材 2 9 とこの弁作動部材 2 9を付勢するスプリング 3 2を備えていない。

[0075] この第 2例の負圧倍力装置 1の他の構成は、前述の第 1例の負圧倍力装 置 1の構成と同じである。また、第 2例の負圧倍力装置 1では、緊急ブレ ーキ作動時の B A作動が行われない。更に、第 2例の負圧倍力装置 1の効 果は、前述の第 1例の負圧倍力装置 1のうち、 B A制御による効果を除い た効果と同じである。

なお、前述の各例では真空弁座部材 2 1とアーム 2 5とが別体に形成さ れているが、真空弁座部材 2 1とアーム 2 5は一体に形成することもでき る。

産業上の利用可能性

[0076] 本発明の負圧倍力装置は、ブレーキシステム等に用いられる負圧倍力装 置に利用可能であり、特に、低出力領域(低減速度領域)では比較的小さ いサーボ比で比較的低い出力(減速度 G) を得、また、高出力領域(高減 速度領域)では低出力領域でのサーポ比より大きいサーポ比で比較的高い 出力(減速度 G) を得ることで、小さな入力(ペダル踏力)で大きな出力 (減速度 G) を得るとともに、ペダルストロークを短縮してペダルフィ一 リングを向上させる負圧倍力装置に好適に利用可能である。