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1. WO2007010858 - PLURIPOTENT STEM CELL CLONED FROM SINGLE CELL DERIVED FROM SKELETAL MUSCLE TISSUE

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明 細書

骨格筋組織由来の単一細胞よりクローン化した多能性幹細胞

技術分野

[0001] 本発明は、骨格筋組織由来の単離された多能性幹細胞、及び該多能性幹細胞の 単離方法に関する。また、本発明は、該多能性幹細胞を利用した心疾患の治療方法 及び医薬組成物に関する。更に、本発明は、該多能性幹細胞を分化誘導又は増幅 させる物質をスクリーニングする方法に関する。

背景技術

[0002] 心臓の機械的障害、心筋不全、調律異常等による心不全に対する治療としては、 従来、利尿薬による血流量の減少、強心薬による心筋収縮力の増強や心房粗細動 の脈拍の適正化、血管拡張薬による心臓の負荷の軽減等の対症療法が行われてい る。これに対して、重症心不全に対しては、上記の対症療法では十分な治療効果が 得られず、心臓移植による根本療法が必要とされている。しカゝしながら、心臓移植は 、ドナー不足や拒絶反応等の問題があり、救済医療として充分に機能していないの が現状である。そこで、近年、心臓移植にとって替わる根本療法として、心筋細胞に 分化し得る前駆細胞又は幹細胞を移植する方法が注目されて、る。

[0003] し力しながら、これまで報告されて、る細胞移植では、本質的に心筋細胞を再生で きるものはほとんど無ぐ虚血心筋の修復に重要な微小循環の血行上の改善効果や 、生着したドナー細胞力分泌されるサイト力インによる二次的な心筋保護効果により 心機能の改善を図っているのが殆どである(例えば、特許文献 1参照)。

[0004] また、これまで、間葉系幹細胞や骨格筋細胞から心筋細胞に分化する幹細胞を単 離する技術が精力的に検討されているが(例えば、特許文献 2参照)、従来の技術で は、細胞の付着性や特定の細胞表面抗原を指標として細胞を純ィ匕しているため、目 的の幹細胞以外の細胞が不可避的に混入してしまい、単離される幹細胞の純度は 極めて低くなると、う欠点があった。このように純度の低、幹細胞を用いて細胞移植 を行うと、重篤な副作用を引き起こす蓋然性があるので、臨床上応用できるものでは なかった。

[0005] 更に、これまでに報告されている心筋幹細胞の研究の多くでは、心筋細胞への分 化は細胞の拍動の有無のみで判定しており、心筋細胞と未分化の骨格筋芽細胞と 区別して、心筋細胞への分ィ匕を正確に判定しているものは殆どない。そのため、従来 報告されて、る心筋幹細胞は、筋細胞に分化し得なヽ細胞である場合や骨格筋芽 細胞である場合が多ぐ臨床的使用に供し得な、ものが殆どであるのが現状である。

[0006] このような従来技術を背景として、心筋細胞の本質的な再生を行うことができる幹細 胞を高、純度で単離し、これを利用して心筋細胞を障害心筋部位に移植することに より、根本的な心筋の再生治療方法を確立することが望まれている。

特許文献 1:国際公開第 03Z80798号パンフレット

特許文献 2 :国際公開第 03Z27281号パンフレット

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0007] 本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決することである。詳細には、本発明 は、少なくとも心筋細胞に分ィ匕して心筋を再生できる多能性幹細胞を高純度で単離 することを目的とする。更に、本発明は、上記多能性幹細胞を利用した発明、具体的 には、心疾患を治療する方法、各種疾患に有用な医薬組成物、及び該多能性幹細 胞を分化誘導又は増幅させる物質をスクリーニングする方法を提供することを目的と する。

課題を解決するための手段

[0008] 本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、採取した骨格筋組織 を酵素処理することにより得られる骨格筋組織由来細胞を培地 (serum free medium) において培養し、培養液中に浮遊しているコロニーを単離することによって、高い純 度で多能性幹細胞が得られることを見出した。更に、得られた多能性幹細胞が、少な くとも拍動性心筋細胞に分化できることを電気生理学的手法により確認した。本発明 は、力かる知見に基づいて、更に検討を重ねることによって完成したものである。

[0009] 即ち、本発明は、下記に掲げる発明である:

項 1. C- met陰性、 Pax- 7陰性、 Myf- 5陰性、 MyoD陰性、 Myogenin陰性、及び M- cad herin陰性を示し、ほ乳動物の骨格筋組織由来の単離された多能性幹細胞。

項 2. CD105及び CD90が陽性を示し、 c-kit及び CD45が陰性を示す、項 1に記載の 多能性幹細胞。

項 3. Sox- 2陽性、 Cripto陽性、 Nanog陽性、 Oct- 4陽性、 Bmi- 1陽性、及び Brcp陽 性を示す、項 1又は 2に記載の多能性幹細胞。

項 4. 骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、血液細胞、血管内皮細胞、脂肪細胞、 軟骨細胞、骨芽細胞、及び神経系細胞よりなる群力選択される 1種又は 2種以上の 細胞に分ィ匕する能力を有する多能性幹細胞である、項 1乃至 3のいずれかに記載の 多能性幹細胞。

項 5. 少なくとも拍動性心筋細胞に分ィ匕する能力を有する多能性幹細胞である、項 1乃至 3のいずれかに記載の多能性幹細胞。

項 6. ほ乳動物力ヒト、ラット、マウス、ヒッジ、ブタ、ィヌ、及びサルよりなる群力も選 択される少なくとも 1種である、項 1乃至 5のいずれかに記載の多能性幹細胞。

項 7. 下記工程を経て得られる、項 1乃至 6の何れかに記載の多能性幹細胞: (0ほ乳動物から骨格筋組織を採取し、得られた骨格筋組織を酵素処理することにより 骨格筋組織由来細胞を得る工程、

(ii)得られた骨格筋組織由来細胞を、上皮細胞増殖因子及び繊維芽細胞成長因子 を含む培地において培養する工程、及び

(iii)培養液中に浮遊してヽるコロニーを選択し、分離する工程。

項 8. 上記工程 (m)が、培養液中に浮遊しているコロニーの内、単一の細胞が増殖 して形成したコロニーを 1つだけ選択し、分離する工程である、項 7に記載の多能性 幹細胞。

項 9. 項 1乃至 8の何れかに記載の多能性幹細胞で構成され、単一細胞から増殖し て得られることを特徴とする、多能性幹細胞群。

項 10. 下記工程を経て得られる、項 9に記載の多能性幹細胞群:

(0ほ乳動物から骨格筋組織を採取し、得られた骨格筋組織を酵素処理することにより 骨格筋組織由来細胞を得る工程、

(ii)得られた骨格筋組織由来細胞を、上皮細胞増殖因子及び繊維芽細胞成長因子 を含む培地にぉ、て培養する工程、

(m)培養液中に浮遊しているコロニーを選択し、分離する工程、及び

(iv)上記工程 (m)で分離したコロニーを形成している細胞を増殖させる工程。

項 11. 上記工程 (m)力培養液中に浮遊しているコロニーの内、単一の細胞が増殖 して形成したコロニーを選択し、該コロニーが 1つだけ存在する状態に分離する工程 である、項 10に記載の多能性幹細胞群。

項 12. 項 1乃至 7のいずれかに記載の多能性幹細胞を、フオリスタチンを含む培地 で培養することを特徴とする、該多能性幹細胞の増殖方法。

項 13. フオリスタチンの、項 1乃至 7のいずれかに記載の多能性幹細胞を増殖させ るための使用。

項 14. 下記工程を含有する、項 1乃至 8のいずれかに記載の多能性幹細胞を単離 する方法:

(0ほ乳動物から骨格筋組織を採取し、得られた骨格筋組織を酵素処理することにより 骨格筋組織由来細胞を得る工程、

(ii)得られた骨格筋組織由来細胞を、上皮細胞増殖因子及び繊維芽細胞成長因子 を含む培地において培養する工程、及び

(m)培養液中に浮遊してヽるコロニーを選択し、分離する工程。

項 15. 上記工程 (m)力培養液中に浮遊しているコロニーの内、単一の細胞が増殖 して形成したコロニーを選択し、該コロニーが 1つだけ存在する状態に分離する工程 である、項 14に記載の多能性幹細胞の単離方法。

項 16. 下記工程を含有する、項 9に記載の多能性幹細胞群を調製する方法:

(0ほ乳動物から骨格筋組織を採取し、得られた骨格筋組織を酵素処理することにより 骨格筋組織由来細胞を得る工程、

(ii)得られた骨格筋組織由来細胞を、上皮細胞増殖因子及び繊維芽細胞成長因子 を含む培地にぉ、て培養する工程、

(m)培養液中に浮遊しているコロニーを選択し、分離する工程、及び

(iv)上記工程 (m)で分離したコロニーを形成している細胞を増殖させる工程。

項 17. 上記工程 (m)力培養液中に浮遊しているコロニーの内、単一の細胞が増殖 して形成したコロニーを選択し、該コロニーが 1つだけ存在する状態に分離する工程 である、項 16に記載の多能性幹細胞群の調製方法。

項 18. 項 1乃至 8のいずれかに記載の多能性幹細胞、又は該幹細胞力も分ィ匕した 細胞を、患者の組織又は臓器に移植することを特徴とする、組織又は臓器の疾患の 治療方法。

項 19. 治療対象疾患が心疾患である、項 18に記載の治療方法。

項 20. 項 1乃至 8のいずれかに記載の多能性幹細胞を含有する、医薬組成物。 項 21. 組織又は細胞の再生薬である、項 20に記載の医薬組成物。

項 22. 臓器不全の治療薬である、項 20に記載の医薬組成物。

項 23. 項 1乃至 8のいずれかに記載の多能性幹細胞の、組織又は臓器の疾患の 治療用医薬組成物の製造のための使用。

項 24. 医薬組成物が組織又は細胞の再生薬である、項 23に記載の使用。

項 25. 医薬組成物が心疾患治療用である、項 23に記載の使用。

項 26. 項 1乃至 8のいずれかに記載の多能性幹細胞を各種細胞へ分ィ匕誘導させ る物質をスクリーニングする方法であって、

(a)該多能性幹細胞に被験物質を接触させて培養する工程、及び

(b)該多能性幹細胞の分化誘導の有無を観察し、その結果に基づいて、被験物質を 選別する工程

を含む、方法。

項 27. 項 1乃至 8のいずれかに記載の多能性幹細胞を増幅させる物質をスクリー-ングする方法であって、

(a)該多能性幹細胞に被験物質を接触させて培養する工程、及び

(b)該多能性幹細胞の増幅の有無を観察し、その結果に基づいて、被験物質を選別 する工程

を含む、方法。

発明の効果

従来報告されている骨格筋組織由来多能性幹細胞は、いずれもその純度が低ぐ 骨格筋芽細胞や繊維芽細胞等の異種細胞を不可避的に含んで、るため、細胞移植 において臨床上応用することができなかった。例えば、骨格筋芽細胞が混入している 幹細胞を心臓に移植した場合、重篤な催不整脈作用が生じるという臨床上の問題が めつに。

[0011] これに対して、本発明の多能性幹細胞は、骨格筋組織に存在する単一の細胞をク ローンィ匕することにより単離されたものであり、異種細胞の混入が極めて少なぐ従来 報告されている幹細胞では実現し得ない高純度を備えている。それ故、本発明の多 能性幹細胞を使用することにより、心疾患等の患者に対して細胞移植を、異種細胞 の移植により生じる副作用を回避して安全に実施することが可能になる。

[0012] また、本発明の骨格筋組織由来多能性幹細胞は、未分化の状態を保持したまま、 長期間、継代により培養することができるので、臨床上の実用性が高く有用である。

[0013] また、本発明の多能性幹細胞は、特に心筋細胞への分化能が優れて!/、るので、心 臓移植に頼らざるを得ない重症心不全患者に細胞移植による新たな治療方法を提 供でき、その有用性は極めて高い。心不全患者に細胞移植による治療における当該 多能性幹細胞の心筋細胞への分化は、ホスト心筋細胞との細胞融合を介した心筋 細胞への分化、及びホスト心筋細胞との細胞融合を介することのな、能動的な心筋 細胞への分ィ匕の双方の機序に基づ、て、ることが解明されて、る。

図面の簡単な説明

[0014] [図 1]実施例 1の (2)において、マウス由来の骨格筋組織由来細胞を培養した際に観 察される細胞又は細胞のコロニーを示す図である。図中、 A及び Bは、培養液中に浮 遊している状態の幹細胞のコロニーを示す。また、図中、 Cは培養ディッシュの基底 に付着した、核が小さく細長く伸展した線維芽細胞を示す。更に、図中、 Dは培養デ イツシュの基底に付着した、球状に集団を形成した骨格筋芽細胞を示す。

[図 2]実施例 1の (4)にお、て、野生型マウス骨格筋組織由来細胞と GFP発現マウス 骨格筋組織骨格筋組織由来細胞とを混合して培養を行った際に、当該培養の前後 において観察された浮遊細胞又はコロニーの写真である。左上図は、 non-coating 1 0cm cell culture dishによる培養開始時に、細胞が浮遊している状態を位相差顕微鏡 にて撮影した写真;左下図は左上図と同一視野を蛍光顕微鏡にて撮影した写真;右 上図は 10cm fibronectin coating dishによる培養後に浮遊しているコロニーを位相差 顕微鏡にて撮影した写真;及び右下図は左上図と同一視野を蛍光顕微鏡にて撮影

した写真を示す。

[図 3]実施例 1の (3)で単離した幹細胞にっ、て、プロモデォキシゥリジン (BrdU)の発 現を観察した結果を示す図である。左下図は上記幹細胞の BrdUの発現を観察した 結果 (蛍光顕微鏡写真);左上図は、左下図の同一視野における位相差像;右下図 は、上記幹細胞を 5日間培養増殖させた周辺細胞の BrdUの発現を観察した結果 (蛍 光顕微鏡写真);及び右上図は、右下図の同一視野における位相差像を示す。

[図 4]実施例 1の (3)で単離した幹細胞、及び実施例 1の (3)で採取した付着細胞につ いて、増殖特性を経時的に観察した結果を示す。図中、 Aは上記幹細胞の培養 3日 目の状態; Bは上記幹細胞の培養 7日目の状態;及び Cは上記幹細胞の 3回目の継 代培養後の状態を示す顕微鏡写真である。また、図中、 Dは上記付着細胞が増殖し た状態; Eは上記付着細胞が myotube tubeを形成して、る状態;及び Fは上記付着 細胞が骨格筋細胞に分化した状態を示す顕微鏡写真である。

[図 5]実施例 1の (3)で単離した幹細胞 (コロニー)について、胚性幹細胞のマーカー( Bcrp、 Bmト 1、 Cripto、 UTF— 1、 Nanog、 Oct— 4、 HNF— 3 β、 Brachyury, Sox 2及び β -actin)の発現を分析した結果を示す図である。図中、各種マーカーの横の括弧内の 表記は、(陽性コロニー数 Z分析したコロニー数)を示す。

[図 6]実施例 1の (3)で単離したマウス由来幹細胞の各種細胞表面抗原 (CD34、 Sca-1 、 CD45、 CD90、 CD105、 CD117、 CD13、 CD31及び CD38)【こつ!/ヽて FACS分析した 結果である。図中、赤線がマウス由来幹細胞の分析結果であり、青線がコントロール (標識無しの細胞)の分析結果である。

[図 7]実施例 1の (3)で単離した幹細胞について、筋芽細胞 C2C12や骨格筋芽細胞の マーカー(Pax- 7、 Myf- 5、 c- met、 M- cadherin、 MyoD、及び Myogenin)の発現を PCR により分析した結果である。

[図 8]実施例 1の (3)で単離した幹細胞、及び実施例 1の (3)で採取した付着細胞につ いて、 CD34を Alex Fluor 555により赤色; Myf- 5を Alex Fluor488により緑色;細胞内の 核を DAPI (4'6-diamino-2-phenylindole)により青色に染色して観察された像である 。図 8中、 Aは上記付着細胞を CD34で染色した像; Bは、 Aと同一視野において上記 付着細胞を Myf-5で染色した像; Cは、 Aと同一視野にぉヽて上記付着細胞を DAPI

で染色した像; Dは、 A〜Cを重ね合わせた像; Eは、上記幹細胞を CD34で染色した 像; Fは、 Eと同一視野において上記幹細胞を Myf-5で染色した像; Gは Eと同一視野 において上記幹細胞を D APIで染色した像;及び Hは、 E〜Gを重ね合わせた像を示 す。

[図 9]実施例 2にお、て、幹細胞及び骨格筋芽細胞の局在部位を観察した結果であ る。図中、 Aは細胞基底膜下に存在している骨格筋芽細胞を示し、 Bは間質に局在 している幹細胞を示す。なお、 A及び Bにおいて、ラミニンの染色により緑色力 DAPI 染色により青色が、また CD34染色により赤色が、それぞれ呈されている。また、図中 、 Cは、細胞基底膜下に存在している骨格筋芽細胞 (黄色の矢印)、及び間質に存 在している幹細胞(白色の矢印)、を示している。 Cでは、ラミニンの染色により赤色が 、 DAPI染色により青色力また Myf-5染色により緑色力それぞれ呈されている。

[図 10]実施例 3において、実施例 1の (3)で単離した幹細胞が心筋細胞に分ィ匕したこ とを示す顕微鏡写真である。図中の Aにおいて、左上図は、上記幹細胞が prometap haseの心筋細胞に分化したこと;右上図は、上記幹細胞が early anaphaseの心筋細 胞に分ィ匕したこと;左下図は上記幹細胞が late anaphaseの心筋細胞に分ィ匕したこと; 及び右下図は上記幹細胞が late telophaseの心筋細胞に分ィ匕したことを示して、る。 なお、図中の Aにおいて、 DAPI染色により青色が呈され、心筋特異的トロポニン I 染色により緑色が呈されている。図中の Bは、 alpha-心筋重鎖プロモーターで制御さ れている GFP遺伝子が導入された組換え幹細胞が筋細胞に分ィ匕したことを示す顕微 鏡写真であり、 Bにおいて、左上図は位相差顕微鏡により観察した像;右上図は左上 図と同一視野を蛍光顕微鏡により観察した像;及び右下図は右上図に示す丸で囲ん だ部分を拡大した像を示す。

[図 11]実施例 3において、実施例 1の (3)で単離した幹細胞を心筋細胞に分ィ匕誘導す る前、及び分ィ匕誘導開始 14日後の細胞について、心筋細胞に認められる各種マー カー (各種心筋転写因子、構造タンパク、心筋結合タンパク、及びカルシウムイオン チャンネル)の発現を PCRにより分析した結果を示す図である。

圆 12]実施例 3において、実施例 1の (3)で単離した幹細胞及び骨格筋芽細胞が呈 する種々の分化又は未分化細胞の形態を示す顕微鏡写真である。図中、 Aには骨

格筋芽細胞力シート状に増殖分ィ匕して形成された拍動性の myotubeの状態; Bは、 骨格筋芽細胞が未分ィ匕の状態のまま、律動的拍動を呈する多核の細胞形態; Cは、 上記幹細胞が分ィ匕した単一または二核の形態を呈する拍動性心筋細胞の状態; D は、上記幹細胞が分ィ匕した規則性の拍動を示す単核の心筋細胞の状態を示す。

[図 13]実施例 3にお、て、実施例 1の (3)で単離した幹細胞及び骨格筋細胞の拍動 特性について、電気生理学的検討を行った結果である。図中、 Aには骨格筋細胞の 活動電位の振幅パターン; Bには骨格筋細胞におけるイソプロテレノール付加前後 の活動電位の振幅パターン; Cには上記幹細胞力分ィ匕誘導した心筋細胞の活動 電位の振幅パターン; Dには上記幹細胞力分ィ匕誘導した心筋細胞におけるイソプ ロテレノール付加前後の活動電位の振幅パターンを示す。

[図 14]実施例 4にお、て、実施例 1の (3)で得られた幹細胞が分ィ匕した各種細胞を観 察した結果である。図中、 Aは該幹細胞が分ィ匕した血管平滑筋細胞; Bは幹細胞が 分化した内皮細胞; Cは幹細胞が分化したグリア細胞; Dは幹細胞が分化した神経細 胞; Eは幹細胞が分化した脂肪細胞; Fは幹細胞が分化した上皮細胞; Gは幹細胞が 分化した骨細胞;及び Hは幹細胞が分ィ匕した骨格筋細胞を示す。

[図 15]実施例 5において、 LacZ発現マウスの骨格筋組織由来幹細胞をマウス梗塞心 筋に移植し、該幹細胞のマウスの心筋における生着及び分ィ匕の状態を示す図である 。図中、 A、 C及び Eは LacZを染色した結果; Bは、 Aと同一視野において、 DAPIによ る染色、及び心筋特異的トロポニン Iを用いた染色の結果; Dは、 Cと同一視野におい て、 DAPIによる染色、及び CD31を用いた染色の結果; Fは Eと同一視野において、 D APIによる染色、及び a - smooth muscle- MHCを用いた染色の結果を示す。

圆 16]実施例 6において、ヒト骨格筋組織由来幹細胞の状態を観察した結果を示す 。図中、 Aは、ヒト骨格筋組織由来細胞を培養し、培養液中に浮遊して増殖能を示す 幹細胞群 (コロニー)を示し、 Bは Aの拡大図を示す。また、 Cは、単離されたヒト骨格 筋組織由来幹細胞コロニーを示す。 Dは、単離されたヒト骨格筋組織由来幹細胞コロ ニーが培養 5日後に同円心状増殖した状態を示す。

[図 17]実施例 6において、得られたヒト骨格筋組織由来幹細胞について、胚性幹細 胞のマーカー(Nanog、 Oct- 4、 Rexl、 Brachyury及び Sox 2)の発現を分析した結果を 示す図である。

[図 18]実施例 6において、ヒト骨格筋組織由来幹細胞の各種細胞表面抗原 (CD56 CD34 CD45 CD117 CD90 CD105 CD31及び CD38)【こつ!/ヽて FACS分析した結 果を示す。図中、赤線がヒト骨格筋組織由来幹細胞の分析結果であり、青線がコント ロール (標識無しの細胞)の分析結果である。

圆 19]実施例 7において、実施例 6で得られたヒト骨格筋組織由来幹細胞が分ィ匕した 各種細胞を観察した結果である。図中、 Aは該幹細胞が分化した心筋細胞; Bは幹 細胞が分ィ匕した骨格筋細胞; Cは幹細胞が分ィ匕した平滑筋細胞;及び Dは幹細胞が 分化した内皮細胞を示す。

[図 20]実施例 8におヽて、実施例 6で得られたヒト骨格筋組織由来幹細胞をマウス梗 塞心筋に移植し、該細胞のマウスの心筋における生着の状態を示す図である。図中 Aには心筋型トロポニン- 1陽性心筋細胞を赤色に、及びヒト由来の核を緑色に染色 した結果を示し; Bには Aと同一視野において心筋型トロポニン- 1陽性心筋細胞を赤 色に、及び全ての核を D APIにより白色に染色した結果を示し; Cには alpha型 smooth scleミオシン重鎖陽性平滑筋細胞を赤色、ヒト由来の核を緑色に、及び全ての核 を DAPIにより青色に染色した結果を示し; Dには CD31陽性内皮細胞を赤色に、ヒト 由来の核を緑色に、及び全ての核を DAPIにより青色に染色した結果を示す。

[図 21]実施例 9の結果を示す図である。 Aには、 6 12及び 24週齢のマウス力も取得さ れたマウス骨格筋由来幹細胞のコロニーの数 (黒丸)と、 Myf5陽性を示すサテライト サテライト細胞の割合(白丸)を示す。また、 Bには、骨格筋由来幹細胞を、 120回継 代して 400日間培養した際に測定された細胞集団倍加数 (population doubling)を示 す。

[図 22]実施例 9において、 120回継代して 400日間培養したマウス骨格筋由来幹細胞 の特性を確認した結果を示す。 Aにおいて、左の写真には初期形成した幹細胞コロ ニー (継代 0回)の形態;;中の写真には付着培養で 120回継代した細胞の時点の細 胞の形態;右の写真には 120回継代後も serum free mediumに交換することでコロニー を形成しながら増幅していく幹細胞の形態を示す。また、 Bには、 120回継代して 400 日間培養したマウス骨格筋由来幹細胞のコロニーに対して、 Sca-1 CD34及び Nesti nを染色した結果を示す。また、 Cには、胚性幹細胞のマーカーである Nanog及び Oct -4の発現にっ、て PCRにより分析した結果を示す。

[図 23]実施例 10にお、て、骨格筋由来幹細胞の培養にフオリスタチンが与える影響 を検討した結果を示す図である。 Aには、 ES細胞 (mES)、実施例 9で得られた初期 (継 代 0回)骨格筋由来幹細胞 (primary sphere),実施例 9で得られた 3回継代した骨格 筋由来幹細胞 (tertiary sphere),マウス筋芽細胞 (C2C12)、サテライト細胞 (satellite d ells),成人の筋肉由来の成熟細胞 (adult muscle),及び成人の心筋由来の成熟細胞 ( adult heart)について、フオリスタチン及びマイォスタチンの発現をウェスタンブロッテ イング解析により分析した結果を示す。また、 Bにはマイォスタチン 0.5 g/mL又は 1.0 μ g/mLを添加した培地で培養した骨格筋由来幹細胞の p21、 Cdk2、及び Rbの発現 を PCRにより分析した結果を示す。なお、 B中、(-)は、フオリスタチン未添加の培地で 培養した骨格筋由来幹細胞につ、ての結果である。

[図 24]実施例 11にお、て、マイォスタチン欠損マウス (mstn-/-)の骨格筋由来幹細 胞と、 GFP発現マウス (GFP-Tg)の骨格筋由来幹細胞とを共培養した際に観察された 浮遊細胞 (sphere)と付着細胞 (satellite cells)の形態を示す図である。図中、位相差 顕微鏡で観察した結果を「phase」、蛍光顕微鏡で観察した結果を「GFP」の欄に示す

[図 25]Aには、実施例 11において、骨格筋由来幹細胞コロニーをフオリスタチン存在 下又は非存在下で培養した際に観察された浮遊細胞 (sphere)と付着細胞 (satellite cells)の形態を示す。浮遊細胞 (sphere)の形態の観察結果の内、上の写真には位相 差顕微鏡で観察した結果、下の写真には蛍光顕微鏡で観察した結果を示す。また、 Bには、骨格筋由来幹細胞コロニーをフオリスタチン存在下又は非存在下で培養した 後に、コロニーを構成している幹細胞における p-smad2/3、 smad2/3、 p- smadl/5/8 、 smadl/5/8, p21、 Cdk2及び Rbの発現を経時的にウェスタンブロッテイング解析によ り分析した結果を示す。

[図 26]Aには、実施例 11において、骨格筋由来幹細胞における Nodal、 Activin (Act A及び Act B)及び GDF11の発現を PCRにより分析した結果を示す。また、 Bには、骨 格筋由来幹細胞における activin受容体及び ALK2,3,4,5,7の発現を PCRにより分析し

た結果を示す。

[図 27]実施例 12における試験結果、即ち、 LacZリポーターマウス力も得られた骨格 筋由来幹細胞をマウス梗塞心筋に移植し、該幹細胞のマウスの心筋における生着の 状態を示す図である。上段の写真は、移植された骨格筋由来幹細胞がホスト心筋と の細胞融合をして心筋細胞に分ィ匕していることを示している。中段の写真には、移植 された骨格筋由来幹細胞が、細胞間融合を介さずに能動的心筋細胞にも分ィ匕して いることを示している。下段の写真は、移植された骨格筋由来幹細胞の一部が非心 筋細胞に分ィ匕したことを示して、る。

[図 28]実施例 13にお、て、骨格筋由来幹細胞が移植された梗塞心筋における心機 能を解析した結果を示す図である。 Aには、梗塞心筋を作成しなカゝつた C57B1/6Jマ ウス群(sham群)、心筋梗塞モデルマウスに PBSを注入した群(I + PBS群)、及び心筋 梗塞モデルマウスに骨格筋由来幹細胞を移植した群 (MI+sk+MSC群)の典型的な心 エコー図を示す。また、 Bには、 sham群(灰色、左)、 I + PBS群(中、白色)及び MI+sk +MSC群(黒色、右)について、左室拡張末期径 (LVDd)、内径短縮率 (FS)及び左室 拡張能 (E/A)を測定した結果を示す。

発明を実施するための最良の形態

[0015] 以下、本発明を詳細に説明する。

[0016] 本発明の多能性幹細胞は、ほ乳動物の骨格筋組織由来の単離された多能性幹細 胞であって、 C- met陰性、 Pax- 7陰性、 Myf- 5陰性、 MyoD陰性、 Myogenin陰性、及び M-cadherin陰性を示すことを特徴とするものであり、骨格筋芽細胞とは明確に区別さ れるものである。

[0017] 本発明の多能性幹細胞の具体例として、細胞表面抗原の特性について、 CD105及 び CD90が陽性を示し、 c-kit及び CD45が陰性を示す細胞が挙げられる。また、本発 明の多能性幹細胞として、 CD13及び CD38については、陰性又は弱陽性を示す細 胞が例示される。更に、本発明の多能性幹細胞の特徴として、ヒト由来の場合は CD3 4が陰性を示し、マウス由来の場合は CD34が陽性を示すことが挙げられる。

[0018] 更に、本発明の多能性幹細胞の好適な具体例として、 Sox-2陽性、 Cripto陽性、 Na nog陽性、 Oct- 4陽性、 Bmi- 1陽性、及び Brcp陽性を示す細胞が例示される。

[0019] 本発明の多能性幹細胞は、増殖能と共に、骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、 血液細胞、血管内皮細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、及び神経系細胞よりな る群から選択される 1種又は 2種以上の細胞に分化する能力を有している。本発明の 多能性幹細胞として、好ましくは上記全ての細胞に分ィ匕する能力を有するものある。

[0020] また、本発明の多能性幹細胞の 1つの特徴として、少なくとも拍動性心筋細胞に分 ィ匕することを挙げることができる。

[0021] 本発明の多能性幹細胞の由来ほ乳動物としては、特に制限されず、例えばヒト、ラ ット、マウス、ヒッジ、ブタ、ィヌ、及びサル等が挙げられる。本発明の多能性幹細胞を ヒトの心疾患の治療に使用する場合には、ヒト由来であることが好ましい。

[0022] また、本発明の多能性幹細胞は、ほ乳動物の骨格筋組織に由来するものであれば 、その骨格筋組織は如何なる身体部位に由来するものであってもよぐ例えば、脚部

、腕部、肩部、首部、背部、臀部、顔面 Z頭部、胸腹部等の骨格筋組織が例示され る。

[0023] 以下、本発明の多能性幹細胞に関して、「A.本発明の多能性幹細胞の単離方法」 、「B.本発明の多能性幹細胞の培養 (増殖)」、「C.本発明の多能性幹細胞の目的 細胞への分化誘導」、「D.疾患の治療方法」、「E.医薬組成物」及び「F.スクリー- ング方法」について、詳細に説明する。「A.本発明の多能性幹細胞の単離方法」及 び「B.本発明の多能性幹細胞の培養 (増殖)」に従って、本発明の多能性幹細胞を 単離し培養することによって、本発明の多能性幹細胞を高純度で含む細胞群 (細胞 集団)を得ることができる。

[0024] A.本発明の多能性幹細胞の単離方法

1.骨格筋組織由来細胞の取得

まず、ほ乳動物から骨格筋組織を採取し、得られた骨格筋組織を酵素処理すること により骨格筋組織由来細胞を取得する(工程 (0)。

[0025] ここで、ほ乳動物力の骨格筋組織の採取は、通常の外科的手法により骨格筋組 織を摘出することにより行われる。また、摘出された骨格筋細胞は、酵素処理に先立 つて、骨格筋組織以外の組織 (例えば、血管、神経、腱、靱帯、骨組織等)を極力取 り除いておくことが望ましい。また、酵素処理の効率を高めるために、採取された骨格 筋組織は、約 lmm3以下の断片になるまで細切した後に酵素処理に供することが望 ましい。

[0026] 上記の骨格筋組織は、適切な緩衝液中で酵素処理に供されることにより、目的の 骨格筋組織由来細胞が取得される。ここで、使用される緩衝液としては、細胞及び酵 素に悪影響を及ぼさない限り特に制限されないが、例えば 1重量%のペニシリンース トレプトマイシン及び 2mMの 1—グルタミンを含有する Hanks ' Balanced Salt Solution( GIBCO社製)が挙げられる。

[0027] また、酵素処理は、生体組織片から細胞を分離する際に一般的に使用される酵素 を使用して行われる。具体的には、コラーゲナーゼ、トリプシン、キモトリブシン、ぺプ シン等のプロテアーゼが例示される。これらの中で、好ましくはコラーゲナーゼが挙げ られる。かかるコラーゲナーゼとして、具体的には、 collagenase type 2 (Worthington 社製; 205U/mg)が例示される。なお、本明細書において、コラーゲナーゼ 1Uとは、 p H7.5、 37°C、 5時間で、コラーゲンから 1 μモルの L一口イシンを遊離できる酵素量を 表す。

[0028] また、酵素処理条件についても、特に制限されないが、一例として、下記酵素処理 条件が例示される:

酵素濃度:例えば、 collagenase type 2 (Worthington社製; 205U/mg)を使用する場合 であれば、通常 0.2〜0.6重量%、好ましくは 0.4重量%程度;或いは骨格筋組織 2g当 たり、通常 3075〜9225U、好ましくは 6150U程度となる濃度が挙げられる。

処理温度:通常 37°C程度となる温度が挙げられる。

処理時間:通常 30〜60分、好ましくは 45分程度となる時間が挙げられる。

[0029] 斯くして酵素処理することにより、骨格筋組織から骨格筋組織由来細胞が遊離する ので、酵素処理後に、遠心分離等の公知の手段により骨格筋組織由来細胞を分離 することによって、骨格筋組織由来細胞を取得することができる。斯くして得られた骨 格筋組織由来細胞には、該細胞の生育に適した培地を添加しておくことが望ましい 。このような培地としては、例えば 10容量%び牛胎児血清 (FBS)及び 1容量%のべ -シリンストレプトマイシン(5000U/ml penicillin及び 5000 μ g/ml streptomycin sulfa teの混合物)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)培地が例示される。

[0030] なお、斯くして得られる骨格筋組織由来細胞は、必要に応じて濾過処理等に供さ れて、細胞以外の成分が除去されていてもよい。

[0031] 2.骨格筋組織由来細胞の培養

次いで上記で得られた骨格筋組織由来細胞を、上皮細胞増殖因子 (EGF ;epider mal growth factor)及び繊維芽細胞成長因子 (FGF; fibroblast growth factor)を含む 培地におヽて培養する(工程 (ii))。

[0032] 上記工程 (i)で得られた骨格筋組織由来細胞同士が結合や付着してヽる場合には 、当該培養に先立って、該骨格筋組織由来細胞を更に酵素処理に供して、細胞同 士の結合や付着を解消してぉ、てもよ、。かかる酵素処理の具体的方法にっ、ては 、特に制限されず、プロテア一ゼ等を使用した公知の方法により行うことができる。該 酵素処理の一例として、骨格筋組織由来細胞群を 0.05重量%のトリプシン及び 0.53 mMの EDTAを含有する溶液で、 37°Cで 10分間程度処理する方法が例示される。ま た、当該酵素処理後にはプロテアーゼ阻害剤を添加し、プロテアーゼ活性を失活さ せた後に本工程 (iii)に供することが望ましい。

[0033] 本工程で使用される培地は、通常の細胞培養 (浮遊培養)に使用される培地に、上 皮細胞増殖因子及び繊維芽細胞成長因子が添加されて!ヽればよ!ヽ。該培地の好適 なものとして、例えば、 2容量%程度の B27サプリメント(GIBCO社製)を含む培地 (例 えば DMEMZF12培地等)に、上皮細胞増殖因子及び繊維芽細胞成長因子が添 加されている培地が例示される。また、本工程で使用される培地は、必要に応じて、 ストレプトマイシン、カナマイシン、ペニシリン等の抗生物質;グルタミン等のアミノ酸等 を含有していてもよい。

[0034] 本工程で使用される培地において、上皮細胞増殖因子及び繊維芽細胞成長因子 の配合割合については、例えば、上皮細胞増殖因子力 ^Ong/ml程度であり、繊維芽 細胞成長因子が 40ng/ml程度が例示される。

[0035] 本工程にぉ、て、培養開始時の細胞濃度が 1 X 104〜4 X 104cells/ml、好ましくは 2

X 104cells/ml程度となるように設定して、培養を行うことが望ましい。

[0036] なお、制限されないが、本工程において、上記工程 (0で得られた骨格筋組織由来 細胞をまず非コーティング培養ディッシュで培養した後に、得られた培養液をフイブ口

ネクチン等でコーティングされた培養ディッシュに移し替えて更に培養することが望ま しい。

[0037] 本工程における培養は、通常 37°C、 5%CO 2下で、通常 7〜21日間、好ましくは 10

〜 14日間行う。

[0038] 3.骨格筋組織由来多能性幹細胞の単離

上記工程 GOにより得られた培養液中には、骨格筋組織由来多能性幹細胞が増殖 することにより形成したコ口-一が浮遊した状態で存在しており、骨格筋組織由来の 繊維芽細胞や骨格筋芽細胞は、培養容器の基底に付着した状態で存在する。従つ て、上記工程 GOにより得られた培養液から、細胞増殖により形成されたコロニーを選 択し分離することにより、高純度の骨格筋組織由来多能性幹細胞を単離することが できる(工程 (m))。ここで、他の細胞が混在しないように、上記工程 GOにより得られた 培養液に浮遊した状態にある「単一細胞が増殖することにより形成したコロニー」を選 択し、該コロニーが単独で存在する状態に分離することにより、単一の上記多能性幹 細胞に由来する細胞塊を単離することができる。

[0039] 本工程において、細胞増殖により形成されたコロニーを選択し分離する方法として は、特に制限されないが、例えば、顕微鏡下でマイクロピペットを用いて採取する方 法等が例示される。

[0040] なお、本工程において、細胞増殖により形成されたコロニーと、単に骨格筋組織由 来細胞同士が付着した細胞塊とを区別して、正確に目的のコロニーを選択分離する ことが望ましい。本工程において、正確に目的のコロニーを選択分離する手法の具 体例として、以下の手法が例示される:まず、上記工程 GOにおいて、骨格筋組織由 来細胞と共に、色素発現細胞 (例えば緑色蛍光色素タンパク (GFP)発現細胞)を共存 させて培養しておく。本工程 (iii)において、培養液中から色素発現細胞が含まれてい ない細胞塊を目的のコロニーとして選択し分離する。力かる手法において、浮遊して いる細胞塊の内、色素発現細胞が含まれる細胞塊は単なる細胞同士の付着により形 成されたものであり、色素発現細胞が含まれない細胞塊は多能性幹細胞が増殖によ り形成されたコロニーであると判定することができる。

[0041] また、本工程で取得したコロニーが本発明の多能性幹細胞により構成されているこ とは、必要に応じて後述する培養によって増殖させた後、該幹細胞マーカーの発現 を測定することにより確認できる。

[0042] B.本発明の多能件榦細胞の焙着 (增殖)

上記で単離された単一の多能性幹細胞力も形成されたコロニーを、上皮細胞増殖 因子及び繊維芽細胞成長因子を含有する培地で培養して、該多能性幹細胞を増殖 させることによって、単一の多能性幹細胞に由来する高純度の該多能性幹細胞群( 細胞集団)を得ることができる。本発明の多能性幹細胞を増殖させるために使用され る培地としては、通常の細胞培養 (浮遊培養)に使用される培地に、上皮細胞増殖因 子、繊維芽細胞成長因子及び白血病抑制因子(LIF: leukemia inhibitory factor)が 添加されているものが挙げられる。また、本工程で使用される培地は、必要に応じて 、ストレプトマイシン、カナマイシン、ペニシリン等の抗生物質;グルタミン等のアミノ酸 等を含有していてもよい。該培地として、より具体的には、 2容量%程度のゥシ胎児血 清と 1容量0 /o程度の L- glutamine—(20mM)—penicillin(10000 units/mL) - streptomyc in(10mg/mL)を含む培地 [例えば、 Advanced DMEM/F12(GIBCO社製)等]に、上皮 細胞増殖因子、繊維芽細胞成長因子及び白血病抑制因子が添加されている培地が 例示される。

[0043] 本工程で使用される培地において、上皮細胞増殖因子、繊維芽細胞成長因子及 び白血病抑制因子の配合割合については、例えば、上皮細胞増殖因子力 ^Ong/ml 程度、繊維芽細胞成長因子が lOng/ml程度、及び白血病抑制因子が lOng/ml程度 が例示される。

[0044] 上記の培地に、更にフオリスタチン (follistatin)が添加されていると、本発明の多能 性幹細胞の増殖速度を選択適時速めることが可能になる。フオリスタチンの培地中へ の添加量としては、特に制限されるものではないが、例えば 652 ng/mL程度の濃度が 望ましい。

[0045] フオリスタチンを含む培地を用いた上記多能性幹細胞の培養では、例えば、培養 開始時の細胞濃度を 20cells/ 1程度として、 37°C、 5%CO 2下で、通常 10〜14日間 程度培養を行うことにより、該多能性幹細胞を選択的に増殖させることができる。

[0046] 上記多能性幹細胞は、長期間未分化の状態を維持して継代培養可能であるという

利点があり、フオリスタチンの添加の有無に拘わらず、必要に応じて、培養期間を 400 日以上の長期に設定することも可能である。

[0047] C.本発明の榦細胞の目的細胞への分化誘導

上記多能性幹細胞を、心筋細胞を初めとする各種細胞に分化誘導させる方法とし ては、例えば、増殖させた上記多能性幹細胞を、目的細胞に分化誘導するためのィ ンデューサーを含有する培地で培養する方法が挙げられる。

[0048] 特に、上記多能性幹細胞を心筋細胞に分ィ匕誘導させるには、インデューサ一とし てデキサメタゾンが好適に使用される。以下、心筋細胞に分化誘導させる場合を例 に挙げて説明する。

[0049] 心筋細胞への分ィ匕誘導に使用される培地において、添加されるデキサメサゾンの 割合については、心筋細胞への分ィ匕誘導が可能である限り特に制限されないが、通 常、培地中にデキサメサゾンカ^ X 10— 8モル /1程度の割合で含まれていればよい。

[0050] 心筋細胞への分ィ匕誘導に使用される培地の種類については特に制限されないが 、好適な培地として MEM培地(minimum essential medium, GIBCO社製)に、デキサ メサゾンが添加されている培地が例示される。また、該培地は、多能性幹細胞の増殖 に使用する培地と同様に、必要に応じて、ストレプトマイシン、カナマイシン、ぺ -シリ ン等の抗生物質;インスリン、トランスフェリン、セレニウム- X等のその他の成分等を含 有していてもよい。

[0051] 上記培地を用いて、通常 37°Cで、 5%CO 2下で、通常 7〜21日間、好ましくは 14日 間程度、上記多能性幹細胞を培養することにより、一定の割合で上記多能性幹細胞 を心筋細胞に分化誘導することができる。

[0052] また、上記多能性幹細胞を心筋細胞以外の各種細胞に分ィ匕誘導する場合、インデ ユーサー及びその培地中濃度として、例えば、血管平滑筋細胞に分化誘導する場 合、 lOng/ml程度の血小板由来成長因子 (PDGF-BB);内皮細胞に分ィ匕誘導する場 合、 lOng/ml程度の血管内皮成長因子 (VEGF);グリア細胞に分化誘導する場合、 5 mM程度の β メルカプトエタノール;神経細胞に分ィヒ誘導する場合、脳由来神経因 子(BDNF)を 10ng/ml程度;脂肪細胞に分化誘導する場合、 1 X ITS-A (Insulin transf erin- selenite)、 1 X 10— °M程度のデキサメタゾン、及び 0.5mM程度の IBMX(3- Isobutyl - 1-methylxanthine);及び骨細胞に分化誘導する場合、 10ng/ml程度の TGF(Transfo rming growth factor)及び 50nM程度のァスコルビン酸- 2-リン酸が例示される。これら の細胞への分ィ匕誘導において、その他の培地成分や培養条件等については、上記 心筋細胞への分化誘導の場合と同様である。

[0053] D. 疾康、の沧瘠方法

本発明の多能性幹細胞は、各種組織又は臓器の再生や修復に使用することがで きる。具体的には、組織又は臓器に疾患がある患者に、上記多能性幹細胞の治療有 効量を組織又は臓器の疾患部位に移植することにより、該疾患を治療することができ る。ここで、治療有効量については、対象となる疾患やその重篤度、患者の年齢や性 別等に応じて適宜設定される力例えば 1.0 X 107〜1.0 X 109 cells程度が例示される

[0054] また、上記多能性幹細胞を目的の細胞に分化させた後に、該分化細胞を組織又は 臓器の疾患部位に移植することによつても、該疾患を治療することができる。

[0055] 本発明の多能性幹細胞を用いた治療において、対象となる疾患として、好ましくは 、心疾患が挙げられる。本発明の多能性幹細胞は拍動性心筋細胞への分化能に優 れているので、上記疾患の中でも心疾患の治療に好適に使用される。

[0056] 対象となる心臓疾患としては、心筋若しくは冠動脈に障害を来し、収縮力が低下す るような心臓疾患が挙げられ、具体的には、心筋梗塞、拡張型心筋症、虚血性心疾 患、うつ血性心不全等が例示される。

[0057] 多能性幹細胞を移植する方法として、例えば、治療目的の組織又は臓器の疾患部 位にカテーテルを利用して上記多能性幹細胞を注入する方法、或いは切開して治 療目的の組織又は臓器の疾患部位に上記多能性幹細胞を直接注入する方法等が 挙げられる。

[0058] また、上記多能性幹細胞力分ィ匕させた細胞を移植する方法としては、例えば、シ ート状等の目的に応じた形態の生体吸収材料に該分化細胞を担持させて、これを治 療目的の組織又は臓器の疾患部位に貼付する方法を例示することができる。

[0059] 本発明の治療方法では、疾患を有する患者以外の者力採取した多能性幹細胞、 又は該多能性幹細胞力も分化させた細胞を使用してもよいが、拒絶反応を抑制する

観点から、患者自身の心臓組織由来の多能性幹細胞、又は該多能性幹細胞力分 ィ匕させた細胞を使用することが望ましい。

[0060] なお、本発明の治療方法には、心疾患の治療方法として、下記 (I)及び (II)の態様 の方法が挙げられる:

(I) 下記工程①〜 (V)を含有する疾患の治療方法:

(0ヒトから骨格筋組織を採取し、得られた骨格筋組織を酵素処理することにより骨格 筋組織由来細胞を得る工程、

(ii)得られた骨格筋組織由来細胞を、繊維芽細胞成長因子及び上皮細胞増殖因子 を含有する培地で培養する工程、

(m)上記工程 GOで得られた培養液中に浮遊してヽるコロニーを選択し、分離するェ 程

(iv)上記工程 (m)で分離したコロニーを形成してヽる細胞を増殖させる工程、及び

(V)上記工程 (iv)で増殖させた細胞を心疾患の患者の心臓に移植する工程。

[0061] (II) 下記工程 G)〜(v)を含有する疾患の治療方法:

(0ヒトから骨格筋組織を採取し、得られた骨格筋組織を酵素処理することにより骨格 筋組織由来細胞を得る工程、

(ii)得られた骨格筋組織由来細胞を、繊維芽細胞成長因子及び上皮細胞増殖因子 を含有する培地で培養する工程、

(m)上記工程 GOで得られた培養液中に浮遊してヽるコロニーを選択し、分離するェ 程 (iv)上記工程 (m)で分離したコロニーを形成している細胞を増殖させる工程、

(V)上記工程 (iv)で増殖させた細胞を、デキサメサゾンを含有する培地で培養して、心 筋細胞に分化誘導させる工程、及び

(vi)分ィ匕した心筋細胞を、心疾患を有する患者の心臓に移植する工程。

[0062] E.医薬組成物

前述するように、上記骨格筋組織由来多能性幹細胞は、各種組織又は臓器の再 生や修復に使用でき、各種疾患の治療に有用である。故に、本発明は、更に、上記 骨格筋組織由来多能性幹細胞を含有する医薬組成物を提供する。当該医薬組成物 には、上記骨格筋組織由来多能性幹細胞の他に、医学上又は薬学上許容される担

体、その他薬理成分等が含まれていてもよい。

[0063] 当該医薬組成物は、組織又は細胞の再生薬として使用でき、特に臓器不全の治療 薬として有用である。中でも、心疾患は好適な治療対象であり、その具体例について は、上記「D.疾患の治療方法」の欄に記載の通りである。

[0064] 当該医薬組成物において、上記骨格筋組織由来多能性幹細胞の配合量や投与 量につ!、ては、対象となる疾患の治療有効量に基づ、て適宜設定することができる

[0065] F.スクリーニング方法

上記骨格筋組織由来多能性幹細胞を使用して、該多能性幹細胞を各種細胞へ分 化誘導させる物質ゃ該多能性幹細胞を増幅させる物質をスクリーニングすることがで きる。即ち、本発明は、更に、下記態様 (III)の多能性幹細胞を各種細胞へ分ィ匕誘導 させる物質をスクリーニングする方法、及び下記態様 (IV)の多能性幹細胞を増幅さ せる物質をスクリーニングする方法を提供する。

(III) 上記骨格筋組織由来多能性幹細胞を各種細胞へ分化誘導させる物質をスクリ 一二ングする方法であって、

(a)該多能性幹細胞に被験物質を接触させて培養する工程、及び

(b)該多能性幹細胞の分化誘導の有無を観察し、その結果に基づいて、被験物質を 選別する工程、を含む方法。

(IV)上記骨格筋組織由来多能性幹細胞を増幅させる物質をスクリーニングする方法 であって、

(a)該多能性幹細胞に被験物質を接触させて培養する工程、及び

(b)該多能性幹細胞の増幅の有無を観察し、その結果に基づいて、被験物質を選別 するェ

程、を含む方法。

[0066] なお、本スクリーニング方法において、被験物質としては、特に制限されず、生体由 来物質、天然物質、合成物質のいずれであってもよい。

[0067] また、本スリーニング方法において、多能性幹細胞の使用時の濃度、被験物質の 添加濃度 (多能性幹細胞との接触時の被験物質濃度)、培養条件等については、被 験物質の種類やスクリーニング目的に応じて適宜設定することができる。

実施例

以下に、実施例等に基づいて本発明を詳細に説明する力本発明はこれらによつ て限定されるものではない。

実施例 1 マウス骨格筋組織由来幹細胞の取得

( 1)マウス骨格筋組織由細朐の B¾

6〜8週齢の雌 C57B1/6Jマウス (清水実験材料株式会社製)(以下、野生型マウスと 表記することもある)又は同マウスに緑色蛍光色素タンパク (GFP)発現能を付与したマ ウス(以下、 GFP発現マウスと表記することもある)をジェチルエーテル麻酔下に用手 的に頸椎脱臼にて安楽死させ、 70容量 %エチルアルコール水溶液に浸して全身を消 毒した。前もって高圧蒸気滅菌を施した尖鋭のピンセット及びはさみを用い、腰部以 下両下肢の皮膚を剥離した。極力出血による血球成分の混入を避けるため、鼠径部 に露出する大腿動脈を把持鉗子にて結紮後、可視範囲内で結紮部以下の動脈を剥 離した。その他の血管、神経、腱、靱帯、骨組織が混入しないよう注意深く筋肉のみ を切離し、切離した筋組織は、 2mM 1—グルタミン(ICN Biomedicals社製)及び 1容量 %ペニシリン—ストレプトマイシン (GIBCO社製)を含有する Hanks' Balanced Salt Soluti on(GIBCO社製)(以下、緩衝液 1と記す)内で血液成分が十分除去されるまですすい だ後、新鮮な緩衝液 1内に保存した。さらに先鋭のピンセットにて緩衝液 1内の組織 を破砕しながら、筋肉以外の組織を極力除去していく。滅菌済みのはさみを用いて 破砕した筋肉断片を泥砂状になるまで、約 lmm3以下の断片にまで細切した。緩衝液 1と共に筋肉断片を容量 50mlの円錐状チューブに回収し、一旦遠心して上清を除去 した。次いで、予め 37°Cに保温しておいた 0.4% collagenase type2 (Worthington社製) を筋組織約 2gに対して 15ml加え、 37°C恒温漕内で 45分間震盪して酵素処理を行つ た。酵素処理後、緩衝液 1を 1チューブ当たり 20ml加え、よく撹拌後遠心により上清を 除去し、次いで、 1チューブ当たり、 10mlの 10容量%FBS (牛胎仔血清) (Hyclone社製) 及び 1容量%ペニシリンストレプトマイシンを含有する DMEM(GIBCO社製)培地をカロ えて十分に細胞を懸濁し、 100 m cell strainer(FALCON社製)で濾過した後、更に 4 0 m cell strainer(FALCON社製)で濾過して、マウス骨格筋組織由来細胞を取得し

た。

[0069] (2)マウス骨格筋組織由榦細朐取得のための培着

上記 (1)で得られた、野生型マウス又は GFP発現マウス由来の骨格筋組織由来細胞 を serum free medium[DMEM/F12(GIBCO社製)、 2容量%B27 supplement(GIBCO社 製)、 1容量%L— glutamine(200mM)— penicillin(10000 units/ml)— streptomycin(10mg/ml) solution (SIGMA千土:^)、 20ng/ml recombinant human basic FGF (Promega社製)、 40 ng/ml mouse EGF (SIGMA社製)含有] (以下、培地 Aと記す)に懸濁して細胞数を計 測した。培地 Aを用いて、 non- coating 10cm cell culture dish (Corning Inc社製)で、 培養開始時の細胞濃度を 2 X 104cells / mlとして、 37°C、 5%CO 2下で 14日間培養した

。力かる培養により、培養液中に浮遊している状態の幹細胞のコロニー(図 1の A及 び B)が認められると共に、培養ディッシュの基底に付着した細胞として、核が小さく 細長く伸展した線維芽細胞(図 1の C)及び球状に集団を形成した骨格筋芽細胞(図 1の D)が認められた。

[0070] (3)マウス骨格筋組織由細朐のコロニーの単離、及び該細胞の焙着

上記 (2)で得られた培養液中に浮遊して増殖する細胞群 (コロニー)をマイクロピぺッ トで採取し 7こ。 fioronectin coating 24— well plate (Becton Dickinson)の各 well【こ、上 で得られた 1つの細胞群(コロニー)が入るように加えて、再度、 low- serum expansion medium [advanced DMEM/F12(GIBCO社製)、 2容量%FBS、 1容量%L— glutamine(200 mM)-penicillin( 10000 units/ml)— streptomycin(10mg/ml) solution (SIGMA社製)、 lOng /ml recombinant human basic FGF(Promega社製)、 20ng/ml mouse EGF (SIGMA社 製)、 lOng/ml mouse LIF(CHEMICON社製)含有] (以下、培地 Bと記す)で培養するこ とによって単クローン性の幹細胞群を得た。

[0071] また、比較検討のために、上記 (2)において、培養後に 10cm fibronectin coating dis hに付着している細胞(以下、「付着細胞」と表記する)についても酵素処理することに より採取した。

[0072] (4)マウス骨格筋組織由来榦細朐取得のための培着、及び該榦細胞のコロニーの 扁

上記 (1)で得られた野生型マウス骨格筋組織由来細胞と、上記 (1)で得られた GFP発

現マウス骨格筋組織骨格筋組織由来細胞とを 1: 1の比率で混合して、上記 (2)と同様 の条件で、 non-coating 10cm cell culture dishによる培養を行った。培養前後に浮遊 する細胞又はコロニーを観察した結果を図 2に示す。図 2において、左上図は、 non-coating 10cm cell culture dishによる培養開始時に、細胞が浮遊している状態を位相 差顕微鏡にて撮影した写真;左下図は左上図と同一視野を蛍光顕微鏡にて撮影し た写真;右上図は、 non-coating dish上で 14日間培養した後に浮遊しているコロニー を位相差顕微鏡にて撮影した写真;及び右下図は左上図と同一視野を蛍光顕微鏡 にて撮影した写真を示す。図 2の左上図の矢印が示す部分に観察されたコロニーは 、左下図では観察されな力つたことから、当該コロニーは野生型マウス骨格筋組織由 来細胞が増殖することにより形成されたコロニーであることが分かる。一方、図 2の左 上図の矢印が示す部分に以外で観察されたコロニーは、左下図でもは観察されてい ることから、当該コロニーは GFP発現マウス由来細胞が増殖することにより形成された コロニー、又は野生型マウス由来細胞と GFP発現マウス由来細胞が凝集することによ り形成された細胞塊であることが分かる。従って、図 2の左上図の矢印が示すコ口-一を採取することにより、細胞凝集塊による偽性幹細胞コロニーを誤って採取するこ とを回避でき、単一細胞力も形成されたコロニーを正確に単離することができる。

(5)マウス # fe 糸田の特徼の認

< BrdUの発現 >

上記 (3)で単離した幹細胞に対してプロモデォキシゥリジン (BrdU)染色を行!、、該 細胞の BrdUの取込の有無を確認した。更に、上記 (3)で単離した幹細胞を培地 Bを 用いて 37°Cで 5日間培養増殖させた周辺細胞についても、同様に BrdUの取込の有 無を確認した。この結果を図 3に示す。図 3において、左下図は上記 (3)で単離した幹 細胞の BrdUの発現を観察した結果 (蛍光顕微鏡写真);左上図は、左下図の同一視 野における位相差像;右下図は、上記 (3)で単離した幹細胞を 5日間培養増殖させた 周辺細胞の BrdUの発現を観察した結果 (蛍光顕微鏡写真);及び右上図は、右下図 の同一視野における位相差像を示す。図 3から分力るように、上記 (3)で単離した幹細 胞は BrdU陽性を示し、細胞分裂を盛んに行っていることが確認された。また、上記 (3) で単離した幹細胞を 5日間培養増殖させた周辺細胞も BrdU陽性を示すことが確認さ

れた。

[0074] <増殖特性 >

上記 (3)で単離した幹細胞を、上記培地 Bを用いて、 10cm fibronectin coating dish ( Becton Dickinson社製)で、 37°C、 5%CO 2下で 7日間培養したところ、経時的に増殖す ることが確認された(図 4の A及び B参照)。図 4において、 Aは培養 3日目の細胞の 顕微鏡写真; Bは培養 7日目の細胞の顕微鏡写真をそれぞれ示す。上記 (3)で単離し た幹細胞を、上記培地 Bを用いて培養することによって、他種細胞が混入することの ない高純度の該幹細胞の細胞集団を得ることができた。

[0075] また、上記 (3)で単離した幹細胞を 6日おきに継代して培養したところ、 3回目の継代 培養後でも、その増殖能は保持されていた(図 4の C参照)。図 4において、 Cは 3回 目の継代培養後の細胞の顕微鏡写真を示す。

[0076] 一方、上記 (3)で採取した付着細胞を上記培地 Bを用いて、 10cm fibronectin coatin g dishで、 37°C、 5%CO 2下で?〜 10日間培養したところ、培養時間の経過と共に、 dish に付着した状態で増殖して、 myotubeを形成し、骨格筋細胞に分化することが確認さ れた(図 4の D〜F参照)。図 4中、 Dは増殖した付着細胞; Eは該付着細胞が myotub eを形成している状態;及び Fは該付着細胞が骨格筋細胞に分化した状態を示す。こ のことから、上記付着細胞は、骨格筋組織中に存在する骨格筋芽細胞であることが 確認された。

[0077] <細胞表面抗原及びマーカー >

上記 (3)で単離した幹細胞について、胚性幹細胞のマーカー(Bcrp、 Bmi-1、 Cripto 、 UTF- 1、 Nanogゝ Oct- 4、 HNF- 3 β、 Brachyury, Sox 2及び j8 - actin)の発現を PCR により分析した。得られた結果を図 5に示す。この結果、上記 (3)で単離した幹細胞は 、 Bcrp、 Bmi-1、 Cripto, Nanog, Oct-4及び Sox 2が、胚性幹細胞と同様に強く発現し ていることが分かった。

[0078] また、上記 (3)で単離した幹細胞の各種細胞表面抗原(CD34、 Sca-1、 CD45、 CD90 、 CD105、 CD117、 CD13、 CD31及び CD38)について FACS分析した。得られた結果 を図 6に示す。この結果から、 CD90及び CD105が強陽性; CD34、 Sca-1、 CD13及び CD38が弱陽性; CD45、 CD117及び CD31は陰性を示すことが確認された。

[0079] 更に、上記 (3)で単離した幹細胞について、筋芽細胞 C2C12や骨格筋芽細胞のマ 一力一(Pax- 7、 Myf- 5、 c- met、 M- cadherin、 MyoD、及び Myogenin)の発現を PCRに より分析した。得られた結果を図 7に示す。この結果から、上記 (3)で単離した幹細胞 は、筋芽細胞 C2C12や骨格筋芽細胞に認められるマーカーを発現していないことが 確認された。

[0080] また、上記 (3)で単離した幹細胞につ!、て、 CD34を Alex Fluor 555 (Molecular Probe s社製)により赤色; Myf- 5を Alex Fluor 488 (Molecular Probes社製)により緑色;細胞 内の核を DAPI (4'6- diamino- 2- phenylindole)により青色に染色した。また、上記 (3) で採取した付着細胞についても、同様に染色を行った。得られた結果を図 8に示す。 図 8中、 A〜Dには付着細胞を染色した結果を示し、 E〜Fには上記 (3)で単離した幹 細胞を染色した結果を示す。この結果からも、上記 (3)で単離した幹細胞は、 CD34陽 性であって、骨格筋細胞の転写因子である Myf-5を発現して、な、ことが確認された 。また、付着細胞の一部は、 CD34陽性且つ Myf-5陽性であり、サテライト細胞の特徴 を示すことも確認された。

[0081] 実飾 12 マウス骨格筋組織由来幹細胞の局在部位の検討

6〜8週齢の雌 C57B1/6Jマウス (清水実験材料株式会社製)から、常法に従って骨 格筋片を採取し、この骨格筋片を検体として、ラミニンを Alex Fluor 488 (Molecular Pr obes社製)により緑色;細胞内の核を DAPIにより青色;及び CD34を Alex Fluor 555 (M olecular Probes社製)により赤色に染色した。斯くして染色した検体を顕微鏡観察し、 細胞基底膜及び間質における細胞の染色の有無を確認した。得られた結果を図 9A 及び Bに示す。図 9の Aには細胞基底膜の顕微鏡写真を示し、 Bには間質の顕微鏡 写真を示す。この結果から、骨格筋芽細胞は細胞基底膜下に存在しており(図 9の A 参照)、幹細胞は間質に局在していること(図 9の B参照)が確認された。

[0082] また、同様に、この骨格筋片を検体として、ラミニンを Alex Fluor 555 (Molecular Pro bes社製)により赤色;細胞内の核を DAPIにより青色;及び Myf- 5を Alex Fluor 488 (M olecular Probes社製)により緑色に染色して検体を顕微鏡観察し、細胞基底膜及び 間質における細胞の染色の有無を確認した。得られた結果を図 9Cに示す。この結 果から、 Myf-5陽性の骨格筋芽細胞は基底膜下に存在しており(図 9の Cの黄色矢印

部参照)、また Myf-5陰性である幹細胞は間質に存在していることが分力つた(図 9の Cの白矢印部参照)。

[0083] 実施例 3 マウス骨格筋組織由来幹細胞の心筋細胞への分化誘導

<形態観察及び GFPの発現の確認による心筋細胞への分化の確認 >

上記 (3)で得られた幹細胞を上記培地 Bで培養し、サブコンフルェントになった時点 で、培地を、分化誘導用培地 [MEM培地(GIBCO社製); 10容量%FBS、 1容量%pen icillin(10000 units/ ml)- streptomycin(10mg/ ml)、 1容量 %Insulin- transferrin- serenium -X (GIBCO社製)、及び 1 X 10— 8Mのデキサメサゾン (SIGMA社製)]に交換し、更に 37 °C、 5%CO 2下で 2〜3週間培養を行った。培地交換後 5日目頃力も自発収縮する細胞 の存在が観察された。また、培養後の細胞について形態的特徴を観察し、 DAPI及び 心筋特異的トロポニン—Iで細胞を染色した結果から、心筋細胞に分ィ匕していること が確認された(図 10の A参照)。また、 prometaphaseから late telophaseまでの心筋細 胞が確認されたこと(図 10の A参照)から、上記幹細胞が分ィ匕した心筋細胞は、細胞 分裂を行ヽ、増殖する能力を有して!/、ることが確認された。

[0084] 更に、上記 (3)で増殖させた幹細胞を上記分化誘導用培地で、 37°C、 5%CO 2下で 2

〜3週間培養を行った。分化誘導開始 5日後頃から自発収縮する細胞の存在が観察 された。分ィ匕誘導開始 10日後に alpha-心筋重鎖プロモーターで制御されている GFP 遺伝子を常法に従って導入し、その 3日後に細胞の状態を顕微鏡観察した結果を図 10の Bに示す。図 10の Bにおいて、左上図は位相差顕微鏡により観察した像;右上 図は左上図と同一視野を蛍光顕微鏡により観察した像;及び右下図は右上図に示 す丸で囲んだ部分を拡大した像を示す。この結果、 GFPが発現したことを示す緑色 が観察されたことから、上記幹細胞が心筋細胞に分ィ匕したことが裏付けられた。

[0085] <マーカーの確認による心筋細胞への分化の確認 >

上記 (3)で得られた幹細胞と、該幹細胞を上記分化誘導用培地で、 37°C、 5%CO 2 下で 14日間培養することにより分ィ匕誘導した細胞について、心筋細胞に認められる 各種マーカー(図 11に示す各種心筋転写因子、構造タンパク、心筋結合タンパク、 及びカルシウムイオンチャンネル)の発現を PCRにより分析した。得られた結果を図 1 1に示す。なお、陽性コントロールとして全心臓 (positive control)を用いた。この結果

からも、分化誘導 14日後に、上記幹細胞は心筋細胞に分ィヒしたことが確認された。

[0086] <形態的特徴に基づく心筋細胞への分化の確認 >

骨格筋芽細胞を、常法に従って分化誘導すると、シート状に増殖分化した拍動性 の myotubeが形成される(図 12の A参照)。また、骨格筋芽細胞が未分化の状態のま ま、多核の細胞形態を形成し、律動的拍動を呈することがある(図 12の B参照)。この ように、心筋細胞に分ィ匕していない細胞であっても、拍動性を示し、心筋細胞に類似 した特性を示すことがある。

[0087] これに対して、上記 (3)で得られた幹細胞を前述する条件で分化誘導すると、単一 または二核の形態を呈する拍動性心筋細胞(図 12の C参照)、特に骨格筋芽細胞よ り拍動数が少なぐ規則性の拍動を示す単核の心筋細胞(図 12の D参照)への分ィ匕 が認められる。このことからも、上記の幹細胞は、真に、心筋細胞に分ィ匕していること が確認された。

[0088] <電気生理学的検討による心筋細胞への分化の確認 >

上記 (3)で取得られた幹細胞を前述する条件で分ィヒ誘導させて得られた心筋細胞 の拍動について、以下の方法で試験を行い、電気生理学的検討を行った。また、比 較のため、骨格筋細胞についても、同様に電気生理学的検討を行った。

[0089] 具体的には、上記 (3)で取得られた幹細胞をコラーゲンコーティングしたカバーガラ ス(3mm X 7mm、厚さ 0.17〜0.25mm;MATSUNAMI社製)上で、上記分化誘導用培地 を用いて、 37°C、 5%CO 2下で培養し、分ィ匕誘導開始?〜 10日後の時点で膜電位の 測定を行った。膜電位の測定条件は次の通りである: Tyrode溶液(140mM NaCl、 0.3 3mM NaHPO 4、 5.4mM KC1、 1.8mM CaCl 2、 0.5 mM MgCl 2、 5.5mM glucoseゝ及び 5m

M HEPES含有; NaOHにて pH7.4に調整)で灌流した記録チャンバ一内に、上記培養 後の細胞が付着したカバーガラスを入れて、 2〜3Μ Ωの抵抗に調整された Borosilica te Glass Capillariesを Pipette溶液(120mM KC1、 ImM MgCl 2、 lOmM EGTA、 lOmM H

EPES、及び 3mM MgATP含有; KOHにて pH7.2に調整)で満たして、増幅器 (Axopatc h 200A、 Axonlnstruments社製)を用いて活動電位を記録(whole cell recording)する

[0090] 得られた結果を図 13に示す。図 13中、 Aには骨格筋細胞の活動電位の振幅パタ

ーン; Bには骨格筋細胞におけるイソプロテレノール付加前後の活動電位の振幅パ ターン; Cには上記幹細胞力分ィ匕誘導した心筋細胞の活動電位の振幅パターン; Dには上記幹細胞力分ィ匕誘導した心筋細胞におけるイソプロテレノール付加前後 の活動電位の振幅パターンを示す。図 13の A及び C力も分力るように、上記幹細胞 力 分ィ匕誘導した心筋細胞では、骨格筋細胞に比して notchを伴う幅の広、活動電 位が観察された。また、図 13の B及び D力も明らかなように、上記幹細胞から分化誘 導した心筋細胞では、イソプロテレノール付加によって有意に拍動数が増加したが、 骨格筋細胞ではイソプロテレノール付加前後で拍動数に変化は生じな力つた。この 結果からも、上記幹細胞から分化誘導した心筋細胞は、心筋細胞本来の拍動挙動を 示し、骨格筋が呈する拍動挙動とは異なるものであることが確認された。

[0091] 実飾 14 マウス骨格筋組織由来幹細胞の他の細胞への分化誘導

上記 (3)で得られた幹細胞を上記培地 Bで培養し、サブコンフルェントになった時点 で、培地を、各種インデューサーを添カ卩した MEM培地に交換して、 37°C、 5%CO 2下で 更に 2〜3週間培養して、各種細胞への分化誘導を行った。ここで、各種細胞の分化 誘導の為に使用したインデューサー及びその濃度は表 1の通りである。

[0092] [表 1]


各種培地で培養した後に細胞を観察したところ、上記 (3)で得られた幹細胞は、血 管平滑筋細胞(図 14の A)、内皮細胞(図 14の B)、グリア細胞(図 14の C)、神経細 胞(図 14の D)、脂肪細胞(図 14の E)、上皮細胞(図 14の F)、骨細胞(図 14の G)、 及び骨格筋細胞(図 14の H)に分ィ匕していることが確認された。これらの細胞への分 化は、細胞の形態的特徴と各種細胞染色の結果に基づいて確認された。なお、血管 平滑筋細胞は a -SMCによる染色;内皮細胞は CD31による染色;グリア細胞は GAFP による染色;神経細胞は NF2000による染色;脂肪細胞は oil-red染色;骨細胞は Aliza rin red染色;骨格筋細胞は fast skeleta卜 MHCによる染色によって判定した。この結果 から、上記 (3)で得られた幹細胞は、多臓器に分ィ匕し得る多能性幹細胞であることが 分かった。

[0094] 実施例 5 マウス由来幹細胞の移植

上記実施例 1と同様の方法によって、全身の細胞が LacZを発現する LacZ過剰発現 マウスカゝら骨格筋組織由来幹細胞を取得し、これを培養して増殖させた。斯くして得 られた LacZ発現幹細胞(約 1 X 106cells)を、 15 μ 1の PBS(-)(GIBCO社製)に懸濁し、こ れを、 BD Ultra Fine IIランセット (Becton Dickinson社製)を用いて、 10〜12週齢の C5 7B1/6Jマウス (清水実験材料株式会社製)に作成した梗塞心筋に移植した。幹細胞 の移植 21日後に、マウスから心臓を摘出した。摘出した心臓の心筋について、 LacZ を緑色に染色すると共に、細胞内の核を DAPIにより青色に染色し、更に心筋細胞を 心筋特異的トロポニン Iを用いて赤色に、内皮細胞を CD31を用いて赤色に、また血 管平滑筋細胞を a -smooth muscle-MHCを用いて赤色に染色した。

[0095] 得られた結果を図 15に示す。図 15中、 A、 C及び Eは LacZを染色した結果; Bは、 Aと同一視野において心筋特異的トロポニン Iを用いて染色した結果; Dは、 Cと同一 視野にお、て CD31を用いて染色した結果; Fは Eと同一視野にお!、て α -smooth mu scle-MHCを用いて染色した結果を示す。この結果から、移植した骨格筋由来の幹細 胞が、ホスト心筋に生着して、心筋細胞、内皮細胞及び血管平滑筋細胞に分化して おり、心臓の修復に寄与していることが明らかになった。

[0096] 実施例 6 ヒト由来幹細胞の取得

ヒトから採取した骨格筋組織片を用いて、上記実施例 1に記載の「(1)マウス骨格筋 組織由来細胞の取得」及び「(2)マウス骨格筋組織由来幹細胞取得のための培養」の 方法に従って、ヒト骨格筋組織由来細胞を培養すると、 dishに付着して増殖した細胞 と共に、培養液中に浮遊して増殖能を示す細胞群 (コロニー)が認められた(図 16の

A及び B参照)。

[0097] 更に、上記実施例 1に記載の「(3)マウス骨格筋組織由来幹細胞のコロニーの単離 、及び該幹細胞の培養」の方法に従って、単一の幹細胞から形成されたコロニーを 機械的に単離し、培養を行うことによって、ヒト骨格筋組織由来の幹細胞を単離培養 することに成功した。このとき単離した直後の幹細胞コロニーの顕微鏡写真を図 16の Cに、また培養 5日後において同円心状増殖した幹細胞コロニーの顕微鏡写真を図 16の Dに示す。

[0098] 上記で得られたヒト骨格筋組織由来の幹細胞にっ、て、胚性幹細胞のマーカー (N anog、 Oct- 4、 Rexl, Brachyury及び Sox 2)の発現を RT- PCRにより分析した。得られ た結果を図 17に示す。この結果、上記で単離した幹細胞は、 Nanog、 Oct-4、 Rexl及 び Sox 2を、胚性幹細胞と同様に発現していることが確認された。

[0099] また、上記で得られたヒト骨格筋組織由来の幹細胞の各種細胞表面抗原 (CD56、 CD34、 CD45、 CD117、 CD90、 CD105、 CD31及び CD38)【こつ!/ヽて FACS分析した。 得られた結果を図 18に示す。 CD56はヒト骨格筋芽細胞を 100%認識する表面抗原で ある。ヒト骨格筋組織由来の幹細胞は CD56はほぼ陰性であった。ここでヒト骨格筋組 織由来の幹細胞に関する結果は、マウスの場合と比べ、 CD34陰性と CD38が弱陽性 であることが大きな違いであった。一方、 CD105陽性、 CD90陽性は、ヒト及びマウスの 何れの場合でも一致していた。なお、 Sca-1についてはヒト由来細胞では存在しない ため検討しな力つた。

[0100] 上記で得られた幹細胞のマーカーの発現を測定すると、 c-met陰性、 Pax_7陰性、 Myf-5陰性、 MyoD陰性、 Myogenin陰性、及び M-cadherin陰性を示すことが確認され た。

[0101] 実施例 7 ヒト骨格筋組織由来幹細胞の各種細胞への分化誘導

上記実施例 6で得られたヒト骨格筋組織由来幹細胞を、上記実施例 4と同様の方法 で、各種細胞への分化誘導を行った。これによつて、上記幹細胞が、心筋細胞(図 1 9の A参照)、骨格筋細胞(図 19の B参照)、平滑筋細胞(図 18の C参照)及び内皮 細胞(図 18の D参照)に分ィ匕したことが確認された。これらの細胞への分ィ匕は、細胞 の形態的特徴と各種細胞染色の結果に基づいて確認された。細胞染色は、 DAPIに

よる細胞内の核の染色に加えて、心筋細胞は心筋性トポニン Iによる染色;骨格筋細 胞は速筋型骨格筋ミオシン重鎖による染色;平滑筋細胞は平滑筋ミオシン重鎖によ る染色;及び内皮細胞は CD31による染色を採用した。この結果から、上記実施例 6 で得られたヒト骨格筋組織由来幹細胞は、多臓器に分ィ匕し得る多能性幹細胞である こと確認された。

[0102] 実施例 8 ヒト骨格筋組織由来幹細胞の移植

上記実施例 6で得られたヒト骨格筋組織由来幹細胞 (約 1 X 106cells)を、 15 μ 1の ΡΒ S(- XGIBCO社製)に懸濁し、これを、 BD Ultra Fine IIランセット (Becton Dickinson社 製)を用いて、 10〜12週齢の N0D/SCIDマウス(Jackson Laboratoryより購入)に作成し た梗塞心筋に移植した。幹細胞の移植 21日後に、マウスから心臓を摘出した。摘出 した心臓の心筋にっ、て、細胞内の核を DAPI (4'6- diamino- 2- phenylindole)を用 V、て染色すると共に、心筋細胞を心筋特異的トロポニン Iを用いて赤色;平滑筋細胞 を alpha型 smooth muscleミオシン重鎖を用いて赤色;内皮細胞を CD31を用いて赤色 ;及びヒト由来の核 mouse anti-human nuclei monoclonal antibodyを用ヽ飞練色【こ 染色した。

[0103] 得られた結果を図 20に示す。図 20中、 Aには心筋型トロポニン- 1陽性心筋細胞を 赤色、及びヒト由来の核を緑色に染色した結果を示し; Bには Aと同一視野において 心筋型トロポニン- 1陽性心筋細胞を赤色、及び全ての核を DAPIにより白色に染色し た結果を示し; Cには alpha型 smooth muscleミオシン重鎖陽性平滑筋細胞を赤色、及 びヒト由来の核を緑色に染色した結果を示し; Dには CD31陽性内皮細胞を赤色、及 びヒト由来の核を緑色に染色した結果を示す。この結果から、ヒト骨格筋組織由来幹 細胞がホスト心筋に生着して心筋細胞に分ィ匕したことが確認された(図 20の Aの白 矢印部参照)。また、ヒト骨格筋組織由来幹細胞がホスト心筋に生着して、平滑筋細 胞ゃ内皮細胞に分ィ匕したことも確認された(図 20の C及び D参照)。以上の結果から 、移植した骨格筋組織由来の幹細胞力ホスト心筋に生着して心筋各種細胞に分ィ匕 して、心臓を修復していることが明らかになった。

[0104] 実施例 9 マウス骨格筋由来幹細胞の長期培養の検討

6、 12及び 24週齢の雌 C57B1/6Jマウス (清水実験材料株式会社製)を用いて、上記

実施例 1の (1)〜(3)と同様の方法で、マウス骨格筋由来幹細胞の取得を行った。取得 できたマウス骨格筋由来幹細胞のコロニーの数と、 fibronectin coating dishに付着し たサテライト細胞の数を計測した。結果を図 21の Aに示す。この結果、 Myf5陽性を示 すサテライト細胞(図 21A中、白丸)はマウスの週令の増加に伴い減少した。一方、 骨格筋由来幹細胞の組織含有量(図 21A中、黒丸)はマウスの週令の増加によって も変化せず一定量を保って!/、た。

[0105] また、上記培地 Bを用いて、 6週齢の雌 C57B1/6Jマウス力も得られた上記骨格筋由 来幹細胞の継代培養を行ったところ、 120回の継代によって 400日間培養可能である ことも確認された(図 21の B参照)。斯くして継代培養した際に観察した細胞の形態を 図 22に示す。図 22の Aにおいて、左の写真には初期形成した幹細胞コロニー (継代 0回)の形態;中の写真には付着培養で 120回継代した細胞の時点の細胞の形態;右 の写真には 120回継代後も serum free mediumに交換することでコロニーを形成しな がら増幅していく幹細胞の形態を示す。

[0106] また、 120回継代した上記骨格筋由来幹細胞コロニーについて、細胞染色により幹 細胞のマーカーである Sca-1、 CD34、及び nestinの発現の有無を確認した。その結果 、 120回継代した幹細胞コロニーは、上記幹細胞のマーカーのいずれをも提示してお り、未分ィ匕維持されていることが確認できた(図 22の B参照)。更に、 120回継代した 幹細胞コロニーにつ、て、胚性幹細胞のマーカーである Nanog及び Oct-4の発現を P CRにより分析した。この結果から、 120回継代した幹細胞コロニーは、 Nanog及び Oct -4を発現して、ることも確認できた(図 22の C参照)。

[0107] 実施例 10 骨格筋由来幹細胞の培養にマイォスタチンが与える影響の検討

ES細胞、実施例 9で得られた初期 (継代 0回)骨格筋由来幹細胞、実施例 9で得ら れた 3回継代した骨格筋由来幹細胞、マウス筋芽細胞 (C2C12細胞)、実施例 9にお けるマウス骨格筋由来幹細胞取得過程で fibronectin coating dishに付着したサテライ ト細胞、成人の筋肉由来の成熟細胞、及び成人の心筋由来の成熟細胞について、 フオリスタチンとその拮抗するリガンドであるマイォスタチン(myostatin)の発現を PCR により分析した。結果を図 23の Aに示す。この結果から、初期骨格筋由来幹細胞コロ ニー及び 3回継代した骨格筋由来幹細胞コ口-一に強く発現しており、分化した成熟

細胞には発現が少ないことが明ら力となった。一方、マイォスタチンは、フオリスタチン とは逆の発現パターンを示し、未分化の細胞にその発現が少な、ことが確認された。

[0108] また、実施例 9で得られた初期 (継代 0回)骨格筋由来幹細胞を、マイォスタチン 0.5 μ g/mL又は 1.0 μ g/mLを含む培地 Βで 37°C、 5%CO 2下で 1日間培養した。得られた 骨格筋由来幹細胞について、 p21、 Cdk2、 Rbの発現をウェスタンブロティング解析に より分析した。結果を図 23の Bに示す。この結果から、マイォスタチンを含む培地で 培養することによって、細胞増殖抑制系因子である細胞周期抑制因子 P21の発現が 増加し、逆に、細胞増殖促進因子である Cdk2の発現が低下していた。また、 Rbの脱 リン酸化も認められた。

[0109] 実施例 11 マイォスタチン及びフォリスタチンが骨格筋幹細胞の増殖に及ぼす影 響の検討

上記実施例 1の (1)に記載の方法に従って、マイォスタチン欠損マウス (mstn-/-)及 び GFP発現マウス (GFP-Tg)力も骨格筋組織由来細胞を取得した。次いで、マイォス タチン欠損マウス由来の細胞と GFP発現マウス由来の細胞を培地 Bを用いて、 37°C、 5%CO 2下で 14日間共培養した。培養後、浮遊している幹細胞コロニーと付着している 衛星細胞の形態を観察した結果を図 24に示す。マイォスタチン欠損マウス由来の幹 細胞コロニーは GFP発現マウス由来のものとサイズに変化がないものの、マイォスタ チン欠損マウス由来の衛星細胞では GFP発現マウス由来のものと比べ、細胞融合現 象が顕著に認められた。

[0110] また、実施例 1で得られた骨格筋由来幹細胞を、フオリスタチン 625ng/mLを含む培 地 A又はフォリスタチン未添カ卩の培地 Aで 37°C、 5%CO 2下で 14日間培養した。その結 果、フオリスタチンを含む培地での培養によって、骨格筋由来幹細胞コロニーの増幅 速度が速くなりコロニー径が拡大する一方、サテライト細胞の細胞間融合も顕著に認 められた(図 25の A参照)。また、実施例 1で得られた骨格筋由来幹細胞を、フォリス タチン 625ng/mLを含む培地 Bで、 37°C、 5%CO 2下で培養し、経時的にタンパク質の 抽出を行い、 p- smad2/3、 smad2/3、 p- smadl/5/8、 smadl/5/8、 p21、 Cdk2及び Rb の発現をウェスタンブロッテイング解析により分析した。その結果、フオリスタチンは、 骨格筋由来幹細胞における smad2/3の非活性ィ匕と smadl/5/8の活性ィ匕を促すと共に

、細胞周期抑制因子である p21の発現低下、増殖促進因子である Cdk2の発現上昇と Rbのリン酸ィ匕に寄与しており、幹細胞コロニーの増殖を促進していることが確認でき た。

[0111] 更に、実施例 9で得られた初期 (継代 0回)骨格筋由来幹細胞について Nodal, Acti vin及び GDF11の発現を PCRにより分析した。この結果から、フオリスタチンが直接抑 制して!/、るリガンドは Activinと GDF11である可能性が示唆された(図 26の A参照)。ま た、骨格筋由来幹細胞において、 activin受容体及び ALK2,3,4,5,7の発現も、 PCR分 祈により確認された。

[0112] 実施例 12 骨格筋由来幹細胞移植後の心筋細胞分化形態の検討

6〜8週齢の LacZリポーターマウス (大阪大学医学部宫崎博士より供給)を用いて 、実施例 1の (1)〜(3)と同様の方法で、骨格筋由来幹細胞を取得した。得られた骨格 筋由来幹細胞 (約 1 X 106cells)を、 15 μ 1の PBS(-)(GIBCO社製)に懸濁して、骨格筋 由来幹細胞懸濁液を得た。また、別途、 10〜12週齢の GFP発現能を有する CAG-EG FPマウス (大阪大学医学部岡部博士より供給)に(以下、 GFP発現マウスと表記する こともある)に梗塞心筋を作成した。上記の骨格筋由来幹細胞懸濁液 15 1を、 BD U1 tra Fine IIランセット (Becton Dickinson社製)を用いて、 GFP発現マウスの梗塞心筋に 移植した。幹細胞の移植 28日後に、マウスから心臓を摘出した。摘出した心臓の心 筋につ、て、心筋特異的構造蛋白トロポニン- 1 (cTnl)染色 (赤色として認識される) 及び LacZ染色 (青色として認識される)を行った。

[0113] その結果、 GFP陽性、 LacZ陽性且つ cTnl陽性を示す心筋細胞が確認されたことか ら、移植した骨格筋由来幹細胞がホスト心筋との細胞融合をして心筋細胞に分ィ匕し ていることが確認された(図 27の上段参照)。また、 GFP陰性、 LacZ陽性且つ cTnl陽 性を示す心筋細胞の存在も確認されたことから、移植した骨格筋由来幹細胞が細胞 間融合を介さずに能動的心筋細胞にも分ィ匕していることが明らかになった(図 27の 中段参照)。更に、 GFP陰性、トロポニン- 1陰性、且つ LacZ陽性を示す細胞も一部に 観察され、非心筋細胞に分化した細胞の存在も示唆された(図 27の下段参照)。な お、移植後のマウスの新機能を解析したところ、その改善が認められ、骨格筋由来幹 細胞の移植が有効であることが確認された。

[0114] 実施例 13 骨格筋由来幹細胞が移植された梗塞心筋における心機能の解析 実施例 1で得られた骨格筋由来幹細胞 (約 1 X 106cells)を、 15 μ 1の PBS(- XGIBCO 社製)に懸濁して、骨格筋由来幹細胞懸濁液を得た。また、別途、 10〜12週齢の雌 C 57B1/6Jマウス (清水実験材料株式会社製)に梗塞心筋を作成した。上記の骨格筋由 来幹細胞懸濁液 15 μ 1を、 BD Ultra Fine IIランセット (Becton Dickinson社製)を用いて 、 C57B1/6Jマウスの梗塞心筋に移植した。幹細胞の移植 14及び 28日後に、心エコー 法により心機能解析を行った。更に、左室拡張末期径、内径短縮率、及び左室拡張 能を測定した。なお、比較のために、梗塞心筋を作成した雌 C57B1/6Jマウスに PBS15 μ 1を投与した群 (MI + PBS群)、並びに梗塞心筋を作成しな力つた C57B1/6Jマウス群 (sham群)に対して、心エコー法による心機能解析及び心機能パラメーターの測定を 同様に実施した。

[0115] 心エコー法により心機能解析の結果、骨格筋由来幹細胞の移植によって、虚血の 前壁領域の壁運動に改善が認められた(図 28の A参照)。また、左室拡張末期径、 内径短縮率、及び左室拡張能の測定結果から、骨格筋由来幹細胞を移植したマウ スでは、 MI + PBS群のマウスに比べ、移植後 4週までに各種機能に有意な改善が認 められた(図 28の B参照)。