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1. (WO2007010707) FUEL INJECTION CONTROL DEVICE
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明 細書

燃料噴射制御装置

技術分野

[0001] 本発明は、複数気筒で多段噴射を行う燃料噴射制御装置に係り、失火を防止する 燃料噴射制御装置に関する。

背景技術

[0002] インジェクタによって燃料噴射を行う場合、アクセル踏み込み量やエンジン回転数 等の要素に基づいて 1燃焼サイクル中に供給するべき燃料の量がコンピュータ (EC U)によって決定される。

[0003] 複数の気筒を有するエンジンの場合、各気筒ごとにインジクタが設置され、それ ぞれのインジェクタが当該気筒内に燃料を噴射することになる。従って、インジェクタ の個体差が気筒間の性能の差となって現れる。つまり、インジヱクタに対してコンビュ ータが命令として与える噴射量は一定であっても実際にインジエタタカも噴射される 噴射量はインジェクタ個体によってわずかながら異なるため、気筒間の出力エネルギ に差が出る。

[0004] 一方、エンジンの振動を抑制するためには、クランクシャフトの角速度が回転角によ らず一定となることが望ましい。このためには、気筒間の出力エネルギ差をなくすこと が必要であるから、各気筒において実際に噴射される燃料の量を均一にしなければ ならない。よって、命令上の噴射量を気筒間で調整することになる。これを気筒間補 正という。具体的には、他の気筒より角速度が速い気筒は噴射量を減らし、他の気筒 より角速度が遅い気筒は噴射量を増やすことで各気筒の角速度が同一となるように 1 燃焼サイクルの噴射量を気筒ごとに補正するのである。ある気筒において、 1燃焼サ イタルの補正前噴射量を QFIN、気筒間補正量を Acyl、補正後噴射量を QFINRと すると、

QFINR = QFIN + Acyl

となる。

[0005] また、エンジン個体間において、エンジン自体の性能のばらつきやインジェクタのば らつきによって、 ECUが命令として与える噴射量が同じでもエンジンによって出力が 違ってくる。これを均一にするための補正が出力補正 (Q調補正)である。具体的に は、全負荷出力が一定となるよう噴射量を調整する補正を行うことになる。なお、各ェ ンジン回転にお!、て最も出力が大き!、部分を全負荷と!/ 、、その時の出力を全負荷 出力という。ある気筒において、 1燃焼サイクルの補正前噴射量を QFIN、気筒間補 正量を Apow、補正後噴射量を QFINRとすると、

QFINR = QFIN+Apow

となる。

[0006] また、燃料は温度によって体積が異なる。すなわち、熱膨張で体積が大きくなると、 インジエタタカゝらある体積の燃料を噴射しても、所望する重量の燃料を噴射したことに ならない。そこで、燃料温度によって重量燃料噴射量が変動しないよう、体積燃料噴 射量を調整する補正を行うことになる。

[0007] これらの異なる項目の補正を全て実行すると、総合の補正量は、個々の項目にお ける補正量を足し合わせたものになる。

[0008] 特許文献 1 :特開 2004— 27948号公報

特許文献 2:特開 2004— 27939号公報

特許文献 3:特開 2000— 205021号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0009] ところで、インジェクタによる燃料噴射を制御する燃料噴射制御装置にあっては、 1 燃焼サイクル中に供給するべき量の燃料を複数回の燃料噴射に分けて供給する多 段噴射 (マルチ噴射)制御が知られている。多段噴射制御には、噴射実行順にパイ口 ット噴射、プレ噴射、メイン噴射、アフター噴射と呼ばれる 4回の燃料噴射を行うもの が知られており、さらに、近年では、フィルタの目詰まり防止のために排気温度を上昇 させて強制再生を図るべくアフター噴射の後にポスト噴射を行うこともある。

[0010] 気筒が複数有り、 1燃焼サイクル中に当該気筒に供給するべき燃料の量が決まると 、多段噴射制御では、その量の燃料を複数回の燃料噴射で供給することになるので 、 ECUは、各気筒ごとの各回の目標噴射量を決定することが必要になる。

[0011] このような燃料噴射制御装置において、前述した各種補正を適用する方法として、 従来はメイン噴射の目標噴射量に 1燃焼サイクルの補正量を加算していた。例えば、 プレ噴射とメイン噴射との 2段噴射を行う燃料噴射制御装置にお、て、プレ噴射目標 噴射量を Ppre、メイン噴射目標噴射量を Pmain、 1燃焼サイクルの補正量を A、メイ ン噴射補正後噴射量を P' mainとすると、補正により決定される噴射量は、

Ppre + Pmain + A = Ppre + P main

となる。図 5に、この補正のイメージを示す。すなわち、横軸は時間軸であり、その時 間軸上の三角形は各回噴射を表し、その三角形の時間位置が噴射タイミングを、高 さ(または面積)が噴射量を表し、破線 (ただし、実線に重なる場合は実線を優先する )は目標噴射量、実線は補正後噴射量を表す (以下、各図においても同様とする)。 この図を見ると、プレ噴射は補正の前後で噴射量に変化がなぐメイン噴射だけが補 正によつて噴射量が変化して、ることが分かる。

[0012] また、 4回の燃料噴射を行う例でも、メイン噴射のみに補正が適用される。すなわち 、パイロット噴射目標噴射量を Ppil、プレ噴射目標噴射量を Ppre、メイン噴射目標噴 射量を Pmain、アフター噴射目標噴射量を Paft、 1燃焼サイクルの補正量を A、メイ ン噴射補正後噴射量を P' mainとすると、補正により決定される噴射量は、

Ppil + Ppre + Pmain +Paft+A=

Ppil + Ppre + P ' main + Paft

となる。図 6に、図 5と同様にして補正のイメージを示す。パイロット噴射、プレ噴射、ァ フタ一噴射は補正の前後で噴射量に変化がなぐメイン噴射だけが補正によって噴 射量が変化してヽることが分かる。

[0013] しかしながら、 1燃焼サイクルの補正量 Aとメイン噴射目標噴射量 Pmainとの大きさ の関係により、メイン噴射補正後噴射量 P, mainがゼロあるヽは微小になってしまうと 、燃焼特性の変化や失火によるドライバピリティ (走行性能)の劣化、昇温不良という 不具合が発生する可能性がある。例えば、図 7に示すような補正が行われると、メイン 噴射の噴射量が極端に少なくなつていることが分かる。

[0014] インジェクタでは噴射量が極端に少ないと、実際には噴射が起きない場合が生じる 。このため、燃料噴射の回数が減ることになる。しかし、多段噴射においては、燃料噴 射の回数は重要なファクタであり、回数が変わってしまうことは好ましくない。

[0015] また、多段噴射においては、メイン噴射より前の回の燃料噴射が重要であり、メイン 噴射より前の回の燃料噴射で燃料が噴射されないと、失火が起こる可能性がある。

[0016] そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、失火を防止する燃料噴射制御装置 を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0017] 上記目的を達成するために本発明は、複数の気筒を有するエンジンの各気筒ごと に設置されて当該気筒内に燃料を噴射するインジヱクタに対して、 1燃焼サイクル中 に当該気筒に供給するべき量の燃料を複数回の燃料噴射で供給するように各回の 目標噴射量を決定する目標噴射量決定手段と、 1燃焼サイクル中に当該気筒に供 給するべき燃料量に対して 1燃焼サイクルの燃料補正量を決定する燃料噴射補正量 決定手段とを備えた燃料噴射制御装置にお!ヽて、前記燃料噴射補正量決定手段は 、当該気筒における各回の目標噴射量の比率に応じて上記補正量を各回の燃料噴 射に分配するものである。

[0018] 前記燃料噴射補正量決定手段は、複数回の燃料噴射のうち実行される順番が先と なる燃料噴射力順に分配する補正量を決定し、その決定により当該回の燃料噴射 における噴射量(目標噴射量 +補正量)が回ごとにあらかじめ定められた最低基準 値を下回る場合には、噴射量が最低基準値以上となるよう補正量を決定し直し、この 決定し直しによる当該回の燃料噴射における補正量増分は次回以降の燃料噴射に おける補正量力も差し引くようにしてもょ、。

[0019] 前記燃料噴射補正量決定手段は、複数回の燃料噴射のうち実行される順番が後と なる燃料噴射カゝら順に、目標噴射量に補正量を加算して噴射量を決定し、この決定 による当該回の燃料噴射における噴射量があらかじめ定められた最低噴射量を下回 る場合には、噴射量が上記最低噴射量以上となるよう噴射量を決定し直し、この決定 し直しによる当該回の燃料噴射における噴射量増分はそれより以前の回の燃料噴射 における噴射量力も差し引くようにしてもょ、。

発明の効果

[0020] 本発明は次の如き優れた効果を発揮する。

[0021] 多段噴射において噴射量補正によって噴射回数が変化することを抑制し、失火の 虞を減少、させることができる。

図面の簡単な説明

[0022] [図 1]本発明の一実施形態による燃料噴射制御装置における燃料噴射イメージ図で ある。

[図 2]本発明の一実施形態による燃料噴射制御装置のハードウェア構成図である。

[図 3]本発明の一実施形態による補正量分配の計算処理のフローチャート (前半)で ある。

[図 4]本発明の一実施形態による補正量分配の計算処理のフローチャート (後半)で ある。

[図 5]従来の燃料噴射制御装置における燃料噴射イメージ図である。

[図 6]従来の燃料噴射制御装置における燃料噴射イメージ図である。

[図 7]従来の燃料噴射制御装置における燃料噴射イメージ図である。

符号の説明

[0023] 1 気筒

2 インジェクタ

3 目標噴射量決定手段

4 燃料噴射補正量決定手段

5 コンピュータ(ECU)

発明を実施するための最良の形態

[0024] 以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。

[0025] 本発明の基本的原理をパイロット噴射、プレ噴射、メイン噴射、アフター噴射の 4回 に分けて燃料噴射を行う例によって説明すると、パイロット噴射目標噴射量を Ppil、 プレ噴射目標噴射量を Ppre、メイン噴射目標噴射量を Pmain、アフター噴射目標噴 射量を Paft、 1燃焼サイクルの補正量を A、パイロット噴射補正後噴射量を P' pil、プ レ噴射補正後噴射量を P' pre、メイン噴射補正後噴射量を P' main、アフター噴射補 正後噴射量を P' aftとしたとき、 1燃焼サイクル中に当該気筒に供給するべき量とそ の 1燃焼サイクルの補正量を合計し、

Ppil + Ppre + Pmain + Paf t + A =

P' pil+P' pre + P' main+P' aft (1)

となる。このように、補正量を各回の燃料噴射に分配する。

[0026] このとき、各回の燃料噴射における補正量 Apil、 Apre、 Amain, Aaftは、

A = Apil + Apre + Amain + Aaf t (2)

の関係となる。

1燃焼サイクルに供給するべき燃料の量∑ Pは、

∑ P = Ppil + Ppre + Pmain + Paf t (3)

であるから、補正により決定される各回噴射量は、

P, pil = ( A X Ppil/ Σ Ρ) + Ppil (4)

P, pre = ( A X Ppre/ ∑ P) + Ppre (5)

P ' main= (A X Pmain/ ∑ P) + Pmain (6)

P, af t = ( A X Paf t/ ∑ P) + Paf t (7)

となる。すなわち、各回の燃料噴射における目標噴射量の比率に応じて 1燃焼サイク ルの補正量を各回の燃料噴射に分配することになる。

[0027] 図 1に補正のイメージを示す。各回の燃料噴射における目標噴射量は、図 7の例と 同じにしてある。また、 1燃焼サイクルの補正量 Aも同じとしてある。図 7の場合、メイン 噴射だけが補正されて噴射量が極端に少なくなつていたのに対し、図 1では、 1燃焼 サイクルの補正量 Aが全ての回の燃料噴射に分配されているため、パイロット噴射、 プレ噴射、メイン噴射、アフター噴射のいずれにおいても、噴射量が極端に少なくな ることがない。よって、燃焼特性の変化や失火が生じることがなぐ確実に多段噴射に おける燃焼を実行させることができる。

[0028] さらに、本発明では、各回の燃料噴射における噴射量に対して最低基準値のガー ドをかけると好ましい。これらの最低基準値を a pil、 a pre, a main, a aftとすると、 例えば、ノィロット噴射補正後噴射量 P' pilを決定するに際して、パイロット噴射補正 後噴射量 P' pilが最低基準値 a pilを下回るようであれば、パイロット噴射補正後噴射 量 P' pilが最低基準値 a pil以上となるよう、パイロット噴射補正量 Apilを決定し直す 。これにより、ノィロット噴射補正後噴射量 P' pil=最低基準値 a pilとなる。このガー ドにより、パイロット噴射補正後噴射量 P' pilがゼロまたは微小になるおそれが低減す る。

[0029] なお、最低基準値 α pil、 a pre, a main, a aftは、インジヱクタの設計上、制御可 能な噴射量の最小値 (2mm3程度)であったり、各回の燃料噴射にお!、て必要と思わ れる最小値である。

[0030] 各回の燃料噴射における補正量の具体的な計算の流れは次のようになる。

[0031] まず、最初の回の燃料噴射におけるパイロット噴射補正量 Apilは、

Apil= A X PpilZ (Ppil+Ppre

+ Pmain+Paft) (8)

となる。ただし、このままパイロット噴射補正量 Apilを採用したときに、パイロット噴射 補正後噴射量 P' pilが、

P' pil=Apil+Ppil< a pil (9)

となるような場合、パイロット噴射補正量 Apilは、

Apil = a pil— Ppil (10)

とする。

[0032] 次に、プレ噴射補正量 Apreは、

Apre= (A— Apil) X Ppre/ (Ppre

+ Pmain+Paft) (11)

となる。ただし、このままプレ噴射補正量 Apreを採用したときに、プレ噴射補正後噴 射量 P' preが、

P pre = Apre + Ppre < a pre (12)

となるような場合、プレ噴射補正量 Apreは、

Apre = pre― Ppre ( 13)

とする。

[0033] そして、メイン噴射補正量 Amainは、

Amain = (A― Apil― Apre) X Pmain

/ (Pmain+Paft) (14)

となる。ただし、このままメイン噴射補正量 Amainを採用したときに、メイン噴射補正 後噴射量 P' mainが、

P ' main = Amain + Pmain < a main (15)

となるような場合、メイン噴射補正量 Amainは、

Amain = a main— Pmain (16)

とする。

[0034] 最後に、アフター噴射補正量 Aaftは、無条件に、

Aaf t = A— Apil― Apre― Amain (17)

とする。

[0035] このように、最低基準値のガードをかける実施形態では、実行される順番が先となる 燃料噴射から順に分配する補正量を決定し、その決定により当該回の燃料噴射にお ける噴射量(目標噴射量 +補正量)が回ごとにあらかじめ定められた最低基準値 a P il、 a pre, a main, a aftを下回る場合には、噴射量がこれらの最低基準値以上と なるよう補正量を決定し直すことになる。そして、この決定し直しによる当該回の燃料 噴射における補正量増分は次回以降の燃料噴射における補正量力差し引くことに なる。つまり、分配比率を決めるための分母、分子を単純に∑P、 Aとせず、決定済み の数量は分母、分子から次々と省いていく。これにより、決定し直しによる補正量増 分が次回以降の燃料噴射に繰り越されていくことになる。ただし、最後の回となるァフ ター噴射については、繰り越す先がないので、無条件にそれまでの繰越分を総合し て補正量を決定することになる。

[0036] さらに、本発明では、各回の燃料噴射における噴射量に対して最低噴射量のガー ドをかけると好ましい。最低噴射量は、全ての回の燃料噴射に共通した値 j8とし、ここ では、 j8 =0とした場合について説明する。

[0037] 各回の燃料噴射における噴射量の具体的な計算の流れは次のようになる。

[0038] まず、最後の回の燃料噴射におけるアフター噴射補正後噴射量 P' aftは、無条件 に、

P ' aft = Aaft + Paft (18)

とする。計算上では、 P' aft< 0 ( |8で考えた場合は、 P' aftく β )となる場合が含まれ ることになる。

[0039] 次に、メイン噴射補正後噴射量 P' mainは、

P ' main = Amain + Pmain (19)

とする。ただし、直前の計算においてアフター噴射補正後噴射量 P' aftが、

P'aftく 0(j8で考えた場合は、 P,aft< j8) (20)

となるような場合、メイン噴射補正後噴射量 P' mainは、

P main = Amain + Pmam + P aft

( j8で考えた場合は、 P, aftの項が P, aft— β )

(21)

とする。

[0040] そして、プレ噴射補正後噴射量 P'preは、

P'pre=Apre + Ppre (22)

とする。ただし、直前の計算においてメイン噴射補正後噴射量 P' mainが、

P,main<0(j8で考えた場合は、 P,main< j8) (23)

となるような場合、プレ噴射補正後噴射量 P'preは、

P pre = Apre + Ppre + P mam

( j8で考えた場合は、 P 'mainの項が P, main— β )

(24)

とする。

[0041] 最後に、パイロット噴射補正後噴射量 P'pilは、

P,pil=Apil+Ppil (25)

とする。ただし、直前の計算においてプレ噴射補正後噴射量 P'preが、

?, ^<0(|8で考ぇた場合は、 P,pre< j8) (26)

となるような場合、パイロット噴射補正後噴射量 P'pilは、

P ' pil = Apil + Ppil + P ' pre

( βで考えた場合は、 P'preの項が P'pre— β )

(27)

とする。

[0042] このように、最低噴射量のガードをかける実施形態では、実行される順番が後となる 燃料噴射から順に、目標噴射量に補正量を加算して噴射量を決定し、この決定によ る当該回の燃料噴射における噴射量があらかじめ定められた最低噴射量 β (ここで は ι8 =0)を下回る場合には、最低噴射量 |8を下回った噴射量をそれより以前の回 の燃料噴射における噴射量力も差し引くことになる。これにより、最後の回となるァフ ター噴射においてアフター噴射補正後噴射量 P' aftが 0 ( |8 )以下、つまり噴射量が 0 ( β )以下となる状態になるような補正量の配分を決めてしまったときでも、そのマイナ ス分を一つ前の回であるメイン噴射において、そのマイナス分を噴射量を減らしてお くことができる。この結果、多段噴射において全ての回の燃料噴射をバランス良くする ことができる。すなわち、今回のように、前述の最低基準値 αを制御可能、もしくは各 噴射に必要とされる最小値であって、それらを下回っても噴射可能である量にして、 最低噴射量 ι8を噴射不可能な量にすると、相互の補正において噴射回数が減少す る虞がより抑制される。

[0043] 次に、本発明の燃料噴射制御装置のハードウェア構成を説明する。

[0044] 図 2に示されるように、本発明に係る燃料噴射制御装置は、複数の気筒 1を有する エンジンの各気筒 1ごとに設置されて当該気筒 1内に燃料を噴射するインジヱクタ 2 に対して、 1燃焼サイクル中に当該気筒 1に供給するべき量の燃料を複数回の燃料 噴射で供給するように各回の目標噴射量を決定する目標噴射量決定手段 3と、 1燃 焼サイクル中に当該気筒 1に供給するべき量に対して、気筒 1間のばらつきを補正す る気筒間補正、エンジン個体間のばらつきを補正する出力補正、燃料温度による膨 張分を補正する燃料温度補正のうちのひとつ以上の補正により、 1燃焼サイクルの補 正量を決定する燃料噴射補正量決定手段 4とを備えた燃料噴射制御装置において 、前記燃料噴射補正量決定手段 4は、当該気筒 1における各回の目標噴射量の比 率に応じて上記補正量を各回の燃料噴射に分配するものである。

[0045] 燃料噴射補正量決定手段 4が最低基準値のガード及び最低噴射量のガードをか けることは既に説明した通りである。

[0046] 目標噴射量決定手段 3及び燃料噴射補正量決定手段 4は、 ECU5内にソフトゥェ ァとして搭載することができる。 ECU5は、アクセル踏み込み量センサ 6を含む各種の 公知の車両状態センサに接続されていると共に、目標噴射量決定手段 3及び燃料

噴射補正量決定手段 4となるソフトウェアや定数、マップを記憶するメモリ、センサデ ータゃ計算結果を記憶するメモリを内蔵しているものである。

[0047] 燃料噴射補正量決定手段 4が行う計算処理のうち、本発明の特徴となっている補 正量分配の計算処理について図 3、図 4を用いて説明する。気筒間補正、出力補正

、燃料温度補正、その他の補正を総合した 1燃焼サイクルの補正量 Aを決定する方 法はマップデータ等を使用する公知の技術であるから説明を省略する。

[0048] ステップ S 1では、 1燃焼サイクルの補正量 Aを決定する。補正量 Aは、多段噴射を 構成する全ての回の燃料噴射における目標噴射量の総和に対してどれだけ補正を かけるかを示す量である。補正量 Aは、正負の値を取り得る。

[0049] ステップ S2では、パイロット噴射補正量 Apilを決定する。すなわち、目標噴射量の 総和のうちパイロット噴射目標噴射量 Ppilがどれだけの比率を占めるかを計算し、そ の比率と補正量 Aとを掛け合わせることで、補正量 Aのうちパイロット噴射に配分する 補正量を計算することになる (式 (8)参照)。

[0050] ステップ S3では、パイロット噴射補正量 Apilとパイロット噴射目標噴射量 Ppilを足し 合わせたパイロット噴射補正後噴射量 P ' pilがあら力じめ定められた最低基準値 a pi はりも大きいか否かを判断する(図中の式は式 (9)とは不等号が逆であるが、意図は 同じ)。

[0051] ステップ S4では、ステップ S3における判断結果が NOであるから、パイロット噴射補 正量 Apilを式(10)で算出する。すなわち、ノィロット噴射補正量 Apilとパイロット噴 射目標噴射量 Ppilを足し合わせたものが少なくとも最低基準値 ex pilには達するよう に担保しておく。

[0052] ステップ S5では、プレ噴射補正量 Apreを決定する。このとき、補正量 A力もパイ口 ット噴射補正量 Apilを差し引くと共に、 1燃焼サイクルに供給するべき燃料の量から ノィロット噴射目標噴射量 Ppilを除外する。つまり、補正量 Aからパイロット噴射補正 量 Apilを除外した補正量について、プレ噴射に配分する補正量を計算することにな る(式(1 1)参照)。この計算の前にステップ S4を経由していた場合、式(10)によって パイロット噴射補正量 Apilを決めたことによる繰越分が配分に加わることになる。

[0053] ステップ S6では、プレ噴射補正量 Apreとプレ噴射目標噴射量 Ppreを足し合わせ たプレ噴射補正後噴射量 P' preがあら力じめ定められた最低基準値 a preよりも大き いか否かを判断する(図中の式は式(12)とは不等号が逆であるが、意図は同じ)。

[0054] ステップ S7では、ステップ S6における判断結果が NOであるから、プレ噴射補正量

Apreを式(13)で算出する。

[0055] ステップ S8では、メイン噴射補正量 Amainを決定する(式(14)参照)。

[0056] ステップ S9では、メイン噴射補正量 Amainとメイン噴射目標噴射量 Pmainを足し 合わせたメイン噴射補正後噴射量 P' mainがあら力じめ定められた最低基準値 a ma inよりも大きヽか否かを判断する(図中の式は式(15)とは不等号が逆である力意図 は同じ)。

[0057] ステップ S 10では、ステップ S9における判断結果が NOであるから、メイン噴射補正 量 Amainを式( 16)で算出する。

[0058] ステップ S11では、アフター噴射補正量 Aaftを決定する(式(17)参照)。

[0059] ステップ S 12では、アフター噴射補正後噴射量 P' aftを決定する。個々で決定され たアフター噴射補正後噴射量 P' aftは、実際にアフター噴射においてインジェクタに 与えられる制御量となる (式( 18)参照)。

[0060] ステップ S13では、ステップ S 12で決定されたアフター噴射補正後噴射量 P' aftが

0より大力どうかを判断する(図中の式は式(20)とは不等号が逆であるが、意図は同 じ)。これは、ステップ S1からステップ S 11までの過程で補正量を決定する際に順次 繰り越された分によって、アフター噴射における噴射量が計算上で最低噴射量 |8以 下 (マイナス)となるかどうかを判断していることになる。

[0061] ステップ S 14では、ステップ S 13における判断結果が YESであるから、式(19)によ つて、メイン噴射補正後噴射量 P' mainを決定する。

[0062] ステップ S15では、ステップ S13における判断結果が NOであるから、式(21)によ つて、メイン噴射補正後噴射量 P' mainを決定する。つまり、アフター噴射量が最低 噴射量 β以下となる差分をメイン噴射から取り除いているわけである。

[0063] ステップ S16では、ステップ S14, 15で決定されたメイン噴射補正後噴射量 P' mai nが( |8 ) 0より大力どうかを判断する(図中の式は式(23)とは不等号が逆であるが、 意図は同じ)。

[0064] ステップ S17では、ステップ S16における判断結果が YESであるから、式(22)によ つて、プレ噴射補正後噴射量 P' preを決定する。

[0065] ステップ S18では、ステップ S16における判断結果が NOであるから、式(24)によ つて、プレ噴射補正後噴射量 P' preを決定する。

[0066] ステップ S19では、ステップ S17, 18で決定されたプレ噴射補正後噴射量 P' preが

0 ( β )より大力どうかを判断する(図中の式は式 (26)とは不等号が逆であるが、意図 は同じ)。

[0067] ステップ S20では、ステップ S 19における判断結果が YESであるから、式(25)によ つて、ノィロット噴射補正後噴射量 P, pilを決定する。

[0068] ステップ S21では、ステップ S19における判断結果が NOであるから、式(27)によ つて、ノィロット噴射補正後噴射量 P, pilを決定する。

[0069] ステップ S12からステップ S21までの過程は、ステップ S1〜S11で決定された補正 量を適用する際に各噴射量が最低噴射量 ι8以下となる噴射量の差分を、逆のルート を迪つて回収していることに相当する。

[0070] 以上説明した本発明の実施形態によれば、各回の燃料噴射における補正量が各 回の燃料噴射における目標噴射量の比率に合わせて分配されるため、特定の回の 燃料噴射だけが補正によって大きな影響を受けることが回避される。

[0071] また、最低基準値のガードあるいは最低噴射量のガードをかけることにより、決定さ れる補正量あるいは噴射量がマイナス、ゼロ、インジェクタの最低噴射能力以下の値 、最低必要とされる値以下の値などになることを回避することができるので、必要な回 の燃料噴射がなくなってしまうのを防ぐことができる。つまり、回数が変化するおそれ が減る。また、これらのガードにおける補正量あるいは噴射量の計算をタイミング順に 繰り越して計算する方法により、メイン噴射より前の回の燃料噴射において確実に燃 料を噴射することができる。そして、多段噴射であること (つまり、複数回の燃料噴射 が実際に行われること)を維持しつつ、気筒間補正、出力補正、燃料温度補正を総 合した補正を行うことが可能になる。

[0072] なお、上記の実施形態では、パイロット噴射、プレ噴射、メイン噴射、アフター噴射と 呼ばれる 4回の燃料噴射を行うものとした力 2回以上何回に分けて燃料を噴射する

場合でも本発明は実施できる。また、最低噴射量 )8は 0、すなわち噴射不可能な量と したが、最低基準値 αによる制限量より小さければよい。また、各噴射に対し別々の 値を設定してもよい。