Search International and National Patent Collections
Some content of this application is unavailable at the moment.
If this situation persists, please contact us atFeedback&Contact
1. (JP3280667) 透明導電性被膜形成用塗布液、その製造方法、導電性基材、その製造方法および透明導電性基材を備えた表示装置
Note: Text based on automatic Optical Character Recognition processes. Please use the PDF version for legal matters
【発明の詳細な説明】
技術分野
本発明は、透明導電性被膜形成用塗布液、その製造方法、導電性基材、その製造方法および透明導電性基材を備えた表示装置に関する。さらに詳しくは本発明は、密着性、表面の平滑性に優れるとともに、耐水性、耐アルカリ性などの耐久性に優れ、かつ透明な導電性被膜を形成し得る透明導電性被膜形成用塗布液、その製造方法、このような優れた性質を有する透明導電性被膜が表面に形成された導電性基材、その製造方法および透明導電性基材を備えた表示装置に関する。
背景技術
ガラスあるいはプラスチックは、各種の透明基材として用いられているが、絶縁体であるため、その表面に静電気が発生し易い。これらのガラスあるいはプラスチックなどの基材をそのままブラウン管(CRT)、蛍光表示管(FIP)、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示パネル部位に用いると、表示パネルの外表面に静電気が発生してゴミ、ホコリなどが付着し、画像が見え難くなる。特にLCDでは、このような静電気によってIC破壊や誤動作を起こすことがある。
また、自動原稿供給装置(ADF)を備えた電子写真方式の普通紙複写機(PPC)では、複数の原稿をADFを通して順次複写しようとすると、原稿載置台であるコンタクトガラス板とADFを通して供給されたシート状の原稿との間に摩擦が生じてコンタクトガラス板に静電気が発生し、この静電気によってコンタクトガラス板上に原稿が付着して停止し、ADF中で原稿が紙詰りを起こすことがある。
従来より、上述したような表示装置の表示パネル部位、ADFを備えたPPCのコンタクトガラス板などに生じる静電気の発生を防止するために、静電気が発生するこれらの表面に透明導電性被膜を形成した透明基材が用いられている。
ところでこのような透明導電性基材を得る方法としては、たとえば透明基材の表面に、金属あるいは無機酸化物からなる透明導電性被膜を、CVD法、PVD法、真空蒸着法、スパッタリング法などの乾式被膜形成法によって形成する方法、あるいは酸化ガスなどの導電性物質と透明マトリックス形成成分とを含む塗布液を基材表面に塗布し、次いで乾燥硬化させる湿式被膜形成法によって導電性被膜を形成する方法が知られている。
このうちCVD法などの乾式被膜形成法では、真空蒸着装置などによってバッチ方式で被膜を形成しなければならず、しかもその装置の大きさによって被膜が形成される基材の面積あるいは形状が制限されるという問題点がある。
他方、湿式被膜形成法においては、アクリル系樹脂、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、塩ビ・酢ビ共重合体樹脂などのバインダー樹脂を透明マトリックス形成成分として用いて形成された透明導電性被膜は、透明性、耐擦傷性、基材との密着性あるいは耐アルカリ性、耐酸性、耐水性、耐溶剤性などの耐久性に劣るといった問題点があった。
最近、このような問題点を解決するため、種々の導電性被膜形成用塗布液、およびこのような導電性被膜形成用塗布液を用いて形成される透明導電性被膜が提案されている。
たとえば特開昭63−193971号公報には、導電性粒子とビヒクル(マトリックス)とを主成分としてなり、かつ前記導電性粒子の平均粒子径が10オングストローム以上であり、かつ5μm以下であるような導電性被膜が提案されている。
また特開平2−22340号公報には、平均粒子径が1〜300mμのスズ酸化物からなる微粒子状無機物を5〜80重量%含有する透明被膜層(透明導電性被膜)を有する成形体(透明基材)が提案されている。
これらの提案においては、マトリックスとして、
下記一般式(A):
R 1 aR 2 bSi(OR 34-a-b …(A)
で表される有機ケイ素化合物が用いられている。
ところで本出願人は、特開昭64−54613号公報、国際公開WO89/03114号公報、国際公開WO90/02157号公報において、導電性物質と、マトリックスとしてアルコキシシラン部分加水分解物およびビスアセチルアセトナトジアルコキシジルコニウムなどのアセチルアセトナトキレートが水−有機溶媒の混合溶媒中に混合されてなる導電性被膜形成用塗布液、およびこの塗布液から得られる透明導電性被膜を表面に有する基材を提案している。
これらの透明導電性被膜付基材は、導電性および透明性に優れるとともに、耐久性などについても一応満足し得るものであるが、最近では、より一層の耐久性が求められると同時に平滑性にも優れていることが要求されている。
さらに透明導電性被膜付表示パネルでは、該表示パネルを備えた表示装置で表示される表示画像の画質、とりわけ解像力が、透明導電性被膜によって低下しないようにすることが求められている。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであって、密着性、表面の平滑性に優れ、耐アルカリ性、耐水性などの耐久性にも優れた透明導電性被膜をガラス、プラスチックなどの表面に形成し得る透明導電性被膜形成用塗布液、その製造方法、このような優れた性質を有する透明導電性被膜が基材表面に形成された導電性基材、その製造方法および透明導電性基材を備えた表示装置を提供することを主要な目的としている。
発明の開示
本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液は、
(a)平均粒径が50〜500Åの範囲であり、
(b)600Å以下の粒子が60重量%以上であり、
(c)100Å以下の粒子が5重量%以上であり、
(d)1000Å以上の粒子が15重量%以下である導電性粒子と、
(イ)平均重合度が1,500〜10,000であり、
(ロ)重合度3,000以下の重合体が50重量%以下であり、
(ハ)重合度10,000以上の重合体が20重量%以下であるようなシリカ重合体からなるマトリックスとを含有してなることを特徴としている。
上記透明導電性被膜形成用塗布液は、粉末状の導電性粒子または導電性粒子分散ゾルを、必要に応じて粉砕および/または分級して、上記のような特定の平均粒径と粒度分布を有する導電性粒子を得、このようにして得られた導電性粒子と上記のような特定の重合度を有するマトリックスとを水および/または有機溶媒に分散または溶解することによって製造することができる。
また本発明に係る導電性基材は、このような透明導電性被膜形成用塗布液を塗布してなる透明導電性被膜が、基板上に形成されていることを特徴としている。
さらにこのような導電性基材は、基材表面に上述したような透明導電性被膜形成用塗布液を塗布し、次いでこのようにして基材表面に形成された透明導電性被膜を加熱し、硬化することによって製造することができる。
また上記のような導電性基材は、上述したような透明導電性被膜形成用塗布液を塗布した後、加熱前の未硬化段階の透明導電性被膜に可視光線よりも波長の短い電磁波を照射するかあるいは未硬化段階の透明導電性被膜を硬化反応を促進するガス雰囲気中に晒すことによって好ましく製造することができる。
本発明に係る表示装置は、上述したような透明導電性被膜形成用塗布液を塗布してなる透明導電性被膜が、表示パネルの外表面に形成されていることを特徴としている。
図面の簡単な説明
第1図は、本発明に係る解像度測定用のバーチャートを示す図面、第2図は、解像度の測定方法を示す説明図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、まず本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液、ならびに導電性基材およびその製造方法について具体的に説明する。
I)透明導電性被膜形成用塗布液
本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液は、a)平均粒径および粒度分布が共に上記特定範囲を満足する導電性粒子と、b)上記特定のマトリックスが水および/または有機溶媒からなる分散媒中に分散されている。
a)導電性粒子
本発明において用いられるa)導電性粒子としては、従来公知の導電性粒子が広く用いられ、具体的には、酸化錫、Sb、F、Pなどがドープされた酸化錫、酸化インジウム、Sn、Fなどがドープされた酸化インジウム、酸化アンチモンなどが挙げられる。
このような導電性粒子は、たとえば本出願人が先に出願した特開昭62−230617号公報、特開昭63−11519号公報、特開平2−221124号公報などに記載された方法によって得ることができる。
本発明で用いられる導電性粒子は、
平均粒径が50〜500Åの範囲、好ましくは50〜300Åであり、
かつ透明導電性粒子全体に占める600Å以下の粒子が、60重量%以上、好ましくは80重量%以上であり、
100Å以下の粒子が、5重量%以上、好ましくは20重量%以上であり、
1,000Å以上の粒子が、15重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
このような特定の平均粒径および粒度分布を有する導電性粒子は、上記のような従来公知の導電性粒子を、平均粒径および粒度分布が上記特定の範囲を満足するようになるまで、適宜の手段で粉砕および/または分級することによって得ることができる。
このような導電性粒子の平均粒径および粒度分布をコントロールするための粉砕および/または分級は、粉末状で行なってもよく、ゾル状で行なってもよい。またこのような粉砕および/または分級は、透明導電性被膜形成用塗布液を調製前に行なってもよく、調製後に行なってもよい。
本発明においては、上記のように特定の粒径分布を有する導電性粒子を用いているため、導電性粒子の分散性がきわめて良好で安定な塗布液が得られる。
b)マトリックス
本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液においては、マトリックスとして、シリカ重合体が用いられる。
これらのシリカ重合体は、平均重合度が1,500〜10,000、好ましくは2,500〜7,500であって、重合度3,000以下の成分が50重量%以下、好ましくは20重量%以下であり、
重合度10,000以上の成分が20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
ここでいうシリカ重合体とは、アルコキシシランなどの有機珪素化合物を加水分解して得られる重縮合物を意味する。
また有機珪素化合物としては、具体的には、下記式[I]で表わされるアルコキシシランの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
R a−Si−(OR') 4-a …[I]
(ただし、式中、
Rは、−C nH 2n+1(n=1〜4)で表わされるアルキル基、水素原子またはハロゲン原子であり、
R'は、−C nH 2n+1(n=1〜4)で表わされるアルキル基、−C 2H 4OC nH 2n+1(n=1〜4)で表わされるアルキルアルコキシ基または水素原子であり、
aは0〜3の整数である。)
なお本発明でいう重合度とは、ゲルクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算重合度を意味する。
本発明で用いられるシリカ重合体を得る方法としては、たとえば水−アルコールなどの混合溶媒中で硝酸、塩酸、酢酸などの酸の存在下で上記アルコキシシランを加水分解する方法が挙げられる。
このようなアルコキシシランの加水分解は、
酸/SiO 2=0.0001〜0.05(wt/wt)
および
水/SiO 2=4〜16(モル/モル)
(上記式中、SiO 2は、アルコキシシランをSiO 2に換算した値である。)
の条件下で行なうことが好ましい。
また上記アルコキシシランの加水分解温度は、室温〜200℃が好ましい。
さらに加水分解反応に用いるアルコキシシランの濃度は、SiO 2として約3〜25重量%の範囲が好ましく、加水分解温度が低い程高い濃度にすることが好ましい。
本発明においては、上述したような特定の平均粒径と粒度分布を有する導電性粒子と特定の重合度を有するマトリックスとを水および/または有機溶媒に分散または溶解して透明導電性被膜形成用塗布液を調製することができる。
このような塗布液の調製はたとえば次のようにして行なわれる。
上述したような粒径分布を有する導電性粒子が分散したゾルに、上述したような重合度のシリカ重合体の水−アルコール分散液を所定量加える。このとき水および/またはアルコールを添加して固形分濃度(導電性粒子とシリカ重合体の合計濃度)を調整する。
次いでこの混合液に塩酸、硝酸などの酸を添加して液のpHを約1.5〜6.0、好ましくは1.5〜4.0に調整して塗布液とする。
本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液に含まれる導電性粒子とマトリックスとの配合比は、
EO x/SiO 2=0.5〜5.0(wt/wt)
(式中、EO xは、導電性粒子の酸化物換算の重量を示し、SiO 2は、シリカ重合体の酸化物換算の重量を示す。)
の範囲にあることが好ましい。
透明導電性被膜形成用塗布液中において、マトリックス成分の量が多すぎると基材表面に形成される被膜の導電性が低下し、逆に導電性粒子の量が多過ぎると塗布液中の導電性粒子の分散性、塗布液の保存性が低下したり、あるいはこのような塗布液を用いて形成した被膜の透明性、基材との密着性が低下する場合がある。
また透明導電性被膜形成用塗布液中において、導電性粒子とマトリックスとの合計固形分濃度は、15重量%以下であることが好ましい。
上述したような導電性粒子およびマトリックスの分散媒として用いられる有機溶媒としては、特に限定されないが、たとえば
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのアルコール類、
酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類、
ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、
アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アテト酢酸エステルなどのケトン類などが挙げられる。
上述した方法で得られた本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液に、さらに別の機能を付与する目的で、種々の成分を添加することも可能である。
たとえば少量の染料が添加された塗布液を用いて形成された透明導電性被膜を有する表示パネル、特にCRTのフェイスプレートは、特定の波長に光を吸収し、コントラストを向上させることができる。
また被膜中にZrO 2、TiO 2、CeO 2などの金属酸化物またはこれらの複合酸化物を共存させると、被膜の屈折率を調整することができるが、この場合、塗布液にこれら金属酸化物微粒子またはその前駆物質を添加する。
このような前駆物質としては、ジブトキシ−ビスアセチルアセトナトジルコニウム、ジブトキシ−ビスアセチルアセトナトチタンなどのアセチルアセトナトキレート化合物、またはテトラブトキシジルコニウム、テトライソプロポキシチタンなどの金属アルコキシド化合物が好ましく用いられる。
また、アルカリ金属珪酸塩を脱アルカリして得られる珪酸液を補助バインダーとして添加することもできる。
II)導電性基材
本発明に係る導電性基材は、ガラス、プラスチックなどの基材表面に、上述したような透明導電性被膜形成用塗布液を塗布することにより基材表面に透明導電性被膜が形成された基材である。
ちなみにこの透明導電性被膜が形成された基材は、いずれも10 3〜10 10Ω/□の表面抵抗を有している。このうち、後述するようなノングレア処理を施さない場合は、ヘイズが1%以下であり、ノングレア処理を施した場合には、光沢度が40〜90%であるものが得られる。
さらに本発明に係る導電性基材は、このような透明導電性被膜の表面に透明保護膜が形成されていてもよい。
本発明に係る導電性基材に形成される透明導電性被膜は、大粒径の導電性粒子が少ない。すなわち、この透明導電性被膜は、粒径600Å以下の粒子が60重量%以上を占め、さらに粒径1000Å以上の粒子が15重量%以下である導電性粒子が分散した塗布液を用いて形成されている。このため、この透明導電性被膜の表面は、膜厚を薄くしても平滑性に優れ、大粒子の存在に起因する凹凸がほとんどない。従って、本発明に係る導電性基材では、透明導電性被膜の表面で散乱光を低下させることができ、同時にこの被膜中で粒子によって生じる散乱光も抑制することができる。
本発明においては、上述したように、透明導電性被膜形成用塗布液に含まれる導電性粒子の粒径範囲が限定されていることに加えて、粒径100Å以下の粒子の含有量も5重量%以上に限定されているので、塗布液中に含まれる大粒子の割合は、このような限定がない場合に比較してさらに少ない。従って、このような塗布液を用いて基材上に形成された被膜中には大粒径の導電性粒子がほとんど存在していない。このため、この大粒径の導電性粒子に起因する散乱光が、さらに低下し、透明性に優れ、かつヘイズの低い導電性基材が得られる。
特に、このような透明導電性被膜を表示装置の表示パネルに形成することにより、解像性に優れた表示パネルが得られる。
本発明に係る導電性基材に形成された透明導電性被膜は、上述したように大粒子の割合が少なく、特定範囲の粒径を有する導電性粒子が分散した塗布液を用いているため、導電性粒子が均一に分散した被膜が得られる。
したがって大粒径の導電性粒子を多く含む従来の塗布液により得られる被膜と同じ表面抵抗の被膜を得ようとする場合、その膜厚を薄くすることが可能である。
また本発明においては上述したような特定の重合度分布を有するシリカ重合体をマトリックスとして用いているため、基材に本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液を塗布した後に硬化することによりボイド(細孔または微細なクラック)がほとんどない緻密な被膜が得られる。したがってこのような特徴を有するマトリックスと微細な導電性粒子とを組み合わせた本発明に係る塗布液で形成された被膜は、その表面がきわめて平滑である。
本発明でいう平滑性とは、凹凸がなく、被膜の表面粗さが小さいことに加えて、上記のボイドのない緻密さを合わせ持った平滑性を意味する。
このため本発明に係る導電性基材は、透明でヘイズが低いという光学的特性に優れていることに加えて表面硬度に優れていることは勿論、酸、アルカリなどの雰囲気あるいは高温多湿の雰囲気に対する耐久性および被膜と基材との密着性が向上すると同時に耐汚染性に優れている。なお、本発明で耐汚染性とは被膜表面が汚染され難く、また汚染されても容易に汚染物質を除去し得るような被膜の性質を意味する。
本発明に係る基材の表面に形成された透明導電性被膜の膜厚は、約500〜7,000Åであることが好ましい。
本発明に係る導電性基材は、このような透明導電性被膜上にさらに透明保護膜が形成されていてもよい。
上記膜厚の透明導電性被膜を基材の表面に形成し、さらに必要に応じて透明導電性被膜上に透明保護膜を形成することにより、10 3Ω/□〜10 10Ω/□の範囲にある任意の表面抵抗を有し、ヘイズが1%以下の導電性基材を得ることができる。さらに、被膜形成時に後述するようなノングレア処理を行なえば、ノングレア処理を行なわない場合と同様の表面抵抗を有し、かつ40〜90%の範囲の光沢度を有する導電性基材を得ることができる。
また、後述するようにこの透明導電性被膜および透明保護膜の光学的な特性をコントロールすることにより、表面抵抗が10 3〜10 10Ω/□、光沢度が40〜90%、表面反射率が1%以下である導電性基材を得ることができる。
III)導電性基材の製造方法
本発明に係る導電性基材は、ガラス、プラスチックなどの基材表面に透明導電性被膜形成用塗布液をディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法などの方法で塗布し、次いでこのようにして基材表面上に形成された透明導電性被膜を常温〜90℃で乾燥し、次いで100℃以上に加熱して硬化することによって得ることができる。
さらに本発明では次のような方法で導電性基材を製造することにより、上述したような効果がより一層顕著に発揮される導電性基材が得られる。
すなわち、上述したような塗布工程または乾燥工程の後に、あるいは乾燥工程中に、未硬化段階の透明導電性被膜に可視光線よりも波長の短い電磁波を照射するかあるいは未硬化段階の透明導電性被膜を硬化反応を促進するガス雰囲気中に晒す。
このような加熱前の未硬化段階の透明導電性被膜に照射する電磁波としては、具体的には紫外線、電子線、X線、γ線などが例示されるが、紫外線が好ましい。たとえば、発光強度が約250nmと360nmとにおいて極大となり、光強度が10mW/cm 2以上、好ましくは100mW/cm 2以上である水銀ランプを紫外線源として使用し、100mJ/cm 2以上、好ましくは100mJ/cm 2以上のエネルギー量の紫外線を未硬化段階の透明導電性被膜に照射する。
また、加熱前の未硬化段階の透明導電性被膜の硬化反応を促進するガスとしては、たとえばアンモニア、オゾンなどが例示される。透明導電性被膜の硬化促進は、たとえば、未硬化段階の透明導電性被膜を、このような活性ガス雰囲気下で、ガス濃度を100〜100,000ppm、好ましくは1000〜10,000ppmとして1〜60分間処理することによって達成される。
上述したような硬化促進処理を行なうことにより、マトリックスの重合促進と同時に、被膜中に残存する水および溶媒の蒸発も促進される。その結果、次の加熱工程において必要とされる加熱温度、加熱時間などの加熱硬化条件を緩和することができる。
なお本発明において、ガラス、プラスチックなどの基材の表面に塗布液を塗布する際その表面を約40〜90℃に予熱し、この温度を維持しつつ塗布液をスプレー法で塗布し、その後、加熱硬化処理を行なうと、被膜の表面に多数の微細なリング状の凹凸が形成され、ギラツキの少ないノングレアな透明導電性基材が得られる。したがってこのような方法で透明導電性基材を製造した場合、被膜表面の見かけの表面粗さは多少失われるが、基材の耐汚染性、耐久性などの性能が低下することはない。
また、この加熱硬化処理を行なう前に上述したような硬化促進処理を行なうこともできる。
本発明においては、既に説明したように、上述したような方法で形成された透明導電性被膜上に透明保護膜を形成してもよい。
このような透明保護膜の膜厚は約0.5μm以下であることが好ましく、またこのような透明保護膜は、上述した透明導電性被膜の形成方法と同様の方法で塗布、乾燥、加熱を順次行なうことによって製造することができる。この際、上述したような硬化促進処理および/またはノングレア処理を透明保護膜形成時に施してもよい。
この際に用いられる透明保護膜形成用塗布液としては、上記透明導電性被膜形成用塗布液から導電性粒子を除いた塗布液、あるいは上記透明導電性被膜形成用塗布液よりも少量の導電性粒子を含む塗布液が好ましく用いられる。
本発明に係る導電性基材は、導電性被膜と透明保護膜とを順次基材上に積層して形成する際に、屈折率調整用化合物粒子、すなわちそれぞれの被膜の屈折率を調整することができるような化合物粒子が添加された被膜形成用塗布液を用いて、所望の屈折率と膜厚とを有する被膜が得られるように、各被膜形成用塗布液の量を制御して、それぞれの被膜を形成することにより、外光の反射率が1%以下の反射防止性能を備えた導電性基材が得られる。
この場合、透明導電性被膜形成用塗布液に添加される化合物粒子としては、ZrO 2、TiO 2、CeO 2などの金属酸化物粒子あるいはこれらの複合酸化物粒子、またはこれらの前駆物質からなる化合物粒子が挙げられる。
また、透明保護膜形成用塗布液に添加される化合物粒子としては、MgF 2、CaF 2などの化合物粒子が挙げられる。
IV)透明導電性基材を備えた表示装置
本発明に係る表示装置は、ブラウン管(CRT)、蛍光表示管(FIP)、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)等のような電気的に画像を表示する装置であり、その表示パネルの外表面には、透明導電性被膜が形成されている。すなわち本発明に係る表示装置は、透明導電性基材としての透明導電性被膜付表示パネルを備えている。
この透明導電性被膜は、上記本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液を用いて形成される。
また、このようにして形成された透明導電性被膜付表示パネルは、導電性、平滑性、耐久性、被膜と基材との密着性および耐汚染性に優れている。またこの透明導電性被膜付表示パネルを通して観察される表示画像の解像度は高水準に維持される。
ちなみに、本発明で用いられる透明導電性被膜付表示パネルは、いずれも10 3〜10 10Ω/□の表示抵抗を有している。このうち、ノングレア処理を施さない場合は、ヘイズが1%以下で、70本/cm以上の解像度を有しており、ノングレア処理を施した場合は、光沢度が40〜90%で、60本/cm以上の解像度のものが得られる。ここでいう解像度とは、次のような方法で測定した値である。
第1図に示すような、1cm当り所定本数のバー2が等間隔で印刷されたバーチャート1を、透明導電性被膜が形成された測定用表示パネル3の被膜が形成されていない側にはりつけ、第2図に示すような測定装置4にバーチャートをはりつけた側が内側になるように配置する。測定装置は、内壁を白色とし、測定用表示パネル配置位置から50cm離れた反対側に蛍光灯(20W)5を2本、30cm離して設けた。そして、測定用表示パネルから30cm離れた場所からバーチャートを観察する。このとき1cm当りのバーの本数の少ないバーチャートから本数の多いバーチャートに変えて行き、バーの本数が視認可能な最大のバーチャートの1cm当りのバーの本数を解像度とする。
また本発明に係る表示装置では、表示パネルの外表面に、上述したようなTiO 2、ZrO 2等の屈折率調整用化合物粒子を含有する透明導電性被膜を形成し、さらにこの透明導電性被膜の表面に上述したようなMgF 2、CaF 2等の屈折率調整用化合物粒子を含有する保護膜を形成すれば、表示パネルの光反射率を1%以下に低減することができる。すなわち表示画面の表面で起こる光反射が防止され、表示パネル上に表示される画像が見やすくなる。
このように本発明に係る表示装置は、表示パネルの外表面に形成された透明導電性被膜の上に特殊な保護膜を形成するなどにより、表示画面の光反射防止等の様々な改良が可能である。
発明の効果
本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液は、特定の粒径分布を有する導電性粒子と、特定のシリカ重合体からなるマトリックスとを含んでいるため、密着性、表面の平滑性に優れるとともに耐水性耐アルカリ性などの耐久性に優れ、かつ透明性およびヘイズ、光沢度などの光学的特性にも優れた導電性被膜を基材表面に形成することができる。
すなわち、導電性粒子が上述したような大粒子の割合が少ない特定の粒度分布を有する微小粒子であるため、膜厚を薄くしても平滑でヘイズの低い透明導電性被膜を得ることができる。
また、塗布液中での導電性粒子の分散性が良好であり、塗布液中の導電性粒子の量を少なくしても表面抵抗の充分低い被膜を得ることができる。
またマトリックスが特定の重合度のシリカ重合体からなるため、前記の導電性粒子を塗布液に分散したとき、凝集粒子がほとんどない塗布液が得られ、これを被膜化しても単分散状態が保持される。したがって、被膜の平滑化に寄与するとともに凝集粒子による被膜中の空隙がほとんどなくなり、被膜の緻密化が促進され、密着性に優れ、耐湿性、耐アルカリ性などの耐久性および耐汚染性に優れたきわめて平滑な透明導電性被膜を得ることができる。
本発明に係る導電性基材の製造方法によれば、加熱前の未硬化段階の透明導電性被膜に可視光線よりも波長の短い電磁波を照射するかあるいは特定のガス雰囲気中に晒すなどの硬化促進処理をすることにより、加熱硬化条件を緩和することができる。
本発明に係る表示装置は、上述したような優れた性質を有する透明導電性被膜が形成された表示パネルを備えているので、苛酷な環境下でも長期間にわたって表示画面への帯電防止がなされる。このため表示画面にゴミ、ホコリなどが付着し難く、IC破壊および誤動作の少ない状態が長期間にわたって保持される。
また、上記透明導電性被膜付表示パネルを通して観察される表示画像の解像度が高水準に維持されるので、本発明に係る表示装置によれば鮮明な画像が得られる。
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
まず、実施例に用いられているマトリックスおよび導電性粒子の製造例を示す。
[製造例1]
マトリックスの調製
エチルシリケート28(SiO 2濃度28重量%)またはエチルシリケート40(SiO 2濃度40重量%)を、有機溶媒、水、および酸の混合溶液に添加し、表1に示す諸条件で加水分解してマトリックスA〜Gを調製した。
[製造例2]
導電性粒子の調製
1)錫酸カリウム333gと吐酒石69.5gを純水1019gに溶解した水溶液を調製した。この水溶液を、50℃に保持された1876gの純水中に12時間かけて添加した。この時同時に濃HNO 3を添加し、系内のpHを8.5に維持した。得られた酸化錫水和物分散液から酸化錫水和物を限外膜で濾過、洗浄して乾燥した後、空気中で550℃、3時間焼成した。
こうして得られたアンチモンがドープした酸化錫微粉末400gを、40gのKOHを含む水溶液1600g中に加えた。この混合液を30℃に保持しながらサンドミルで5時間撹拌した後、陽イオン交換樹脂で脱アルカリし、表2に示すような粒度を持った導電性酸化錫コロイド粒子分散液Iを得た。
2)1)において酸化錫水和物生成時のpHを10にした以外は、すべて1)と同一条件で導電性酸化錫コロイド粒子分散液IIを得た。
3)2)と同一条件で得られた酸化錫水和物分散液を限外膜で濾過、洗浄した後、5重量%のH 2O 2水溶液300gを加えた。これを100℃30分間加熱した後、さらにオートクレーブに移し、300℃、2時間加熱し、導電性酸化錫コロイド粒子分散液IIIを得た。
4)サンドミル処理を3時間行った後、遠心分離(5000ppm、1時間)処理を行った以外は1)と同一条件で導電性酸化錫コロイド粒子分散液IVを得た。
5)サンドミル処理時のKOH水溶液のKOH含有量を10gとした以外は1)と同一条件で導電性酸化錫コロイド粒子分散液Vを得た。
[実施例1〜8、比較例1〜3]
透明導電性被膜形成用塗布液の調製
製造例1で得られたマトリックス、製造例2で得られた導電性酸化錫コロイド粒子分散液、希釈剤として有機溶媒および純水を混合した後、酸を添加してpHを調整して表3に示す実施例1〜8および比較例1〜3の透明導電性被膜形成用塗布液を調製した。
[実施例9〜16、比較例4〜6]
透明導電性被膜付表示パネルの製造
ブラウン管用表示パネル(14インチ)を所定温度に予熱した後、または予熱せずに表3に示されている実施例1〜8および比較例1〜3の塗布液を用いて表4に示す条件で実施例9〜16および比較例4〜6の透明導電性被膜付表示パネルを製造した。塗布条件および硬化促進処理条件は次のとおりである。
スプレー条件 :SPRAYING SYSTEM社製、1Aノズル、空気圧1.5kg/cm 2、液供給速度20ml/分で1分
スピンナー条件:100rpm、30秒
紫外線照射 :水銀灯、500 mW/cm 2、6000 mJ
アンモニア処理:10000ppm NH 3蒸気雰囲気中に5分間
透明導電性被膜付表示パネルの評価
上記のようにして得られた実施例9〜16および比較例4〜6の透明導電性被膜付表示パネルについて、下記のような項目について評価した。
結果を表5に示す。
ヘイズ :ヘイズコンピューター(スガ試験機製)で測定。
光沢度 :JIS K7105−81に基づき測定。(測定角60゜)
表面抵抗:ハイレスターまたはローレスター(三菱油化(株)製)で測定。
膜強度 :事務用消ゴム(LION製No.50−50相当品)を被膜のうえに置き、1kgの荷重をかけて200回往復摺動した後、テスト前後の光沢度(△G)および表面抵抗(テスト前(Rs)とテスト後(Rm)の比)を比較。
耐煮沸性:基板を沸騰水に30分間および60分間浸した後の光沢度、表面抵抗を比較。
耐汚染性:被膜のうえに6B〜9Hまでの鉛筆で1kgの荷重をかけて線を引き、その痕跡をエタノールを浸したガーゼで軽く拭きとる。10回拭きとった後に痕跡が残った鉛筆の硬度を指標として評価(耐汚染性の定義は11頁11〜18行参照)。
解像度 :前述の方法で評価。
表5からわかるとおり本発明の塗布液で形成された透明導電性被膜は、膜強度テスト、耐煮沸性テストにおいて、いずれも光沢度変化、表面抵抗変化がほとんどないか、少ない。また、耐汚染性テストにおいても優れている。さらに、平均重合度が小さいマトリックスを用いた比較例3の塗布液により形成した被膜付表面パネルでは、表面抵抗が5×10 11Ω/□と高くなっており、これはマトリックス中の低分子成分による導電性粒子表面のカップリング現象により少なくとも一部の導電粒子の周囲に絶縁層が形成されるためと推定される。一方、本発明においては、このような現象がみられないため、安定した表面抵抗をもった膜が得られる。
[実施例17〜24、比較例7〜9]
表示装置の製造および評価
上記実施例9〜16および比較例4〜6の透明導電性被膜付表示パネルを有するブラウン管を用いて実施例17〜24および比較例7〜9の表示装置(ターミナルディスプレイ)を組立てた。
なお表示装置の実施例および比較例は、透明導電性被膜付表示パネルのこれらに対応し、例えば実施例17の表示装置は実施例9の透明導電性被膜付表示パネルを具備している。
実施例17〜24の表示装置は、長期間の保存および使用の後にも表示画面がゴミ、ホコリなどで汚染されることもなく、鮮明な画像が形成できた。これに対して比較例7の表示装置は、表示画像の鮮明度が若干低く、かつ表示画面がゴミ、ホコリなどで汚染され易いことが判明した。また比較例8の表示装置は、長期間の使用の後に表示パネルの表面に形成した透明導電性被膜が剥離するという欠陥が生じた。比較例9の表示装置は、表示画面への帯電防止効果が充分でなく、長期間の保存の後、表示画面にゴミ、ホコリなどが付着する傾向が見られた。
[実施例25]
透明導電性被膜形成用塗布液および保護膜形成用塗布液にそれぞれ屈折率調整粒子を添加して、表6に示すような塗布液を調製した。なお屈折率調整用粒子のうち、TiO 2は、平均粒径200Åの粒子が分散したチタニアゾル(TiO 2)濃度20wt%)、MgF 2は、平均粒径300Åの粒子が分散したフッ化マグネシウムゾル(MgF 2濃度5wt%)を用いた。
40℃に予熱したブラウン管用表示パネル(14")の表面に、まず表6の導電性被膜形成用塗布液を、スピンナー法(100rpm、1分)で塗布した後、180℃、30分間加熱して導電性被膜(膜厚800Å)を形成した。
次いで、上記の被膜付表示パネルを40℃に予熱した後、表6に示す保護膜形成用塗布液を上記と同一条件で塗布して保護膜(1000Å)を形成した。
このようにして得られた実施例25の反射防止膜付表示パネルについて、実施例9と同様の評価を行い、さらに表面反射率を測定した。
結果を表7に示す。
[実施例26]
複写機用天板ガラスに用いるガラス基板(450×300mm)の表面に、表8に示すような条件で被膜を形成した。この被膜付ガラス基板について、実施例9と同様の評価を行った。
結果を表9に示す。
さらに、このガラス基板をADF装着の複写機に組み込み、コピー紙を供給して紙詰まりを起すまでの枚数を調べた。
その結果、被膜を形成しない天板ガラスでは2000枚で紙詰まりを起したが、本発明の被膜付天板ガラスは10万枚以上でも紙詰まりを起さなかった。