Description
US 60/814,066 20060616 US 60/944,131 20070615 20121226 G06Q 10/00-50/34 patcit 1 : 国際公開第2006/047789(WO,A1)
patcit 2 : 特開2002−203112(JP,A)
patcit 3 : 米国特許出願公開第2005/0240510(US,A1)
US2007014175 20070618 WO2007149378 20071227 2009541821 20091126 20100521 関 博文
Technical Field
[0001]
本発明は、全般的には、流動性を識別するためのシステムおよび方法に関する。具体的に言うと、本願は、注文控元帳内の隠れ指値注文の存在を判定するためのシステムおよび方法に関する。
Background Art
[0002]
関連出願の相互参照
本願は、そのそれぞれの内容が参照によって本明細書に組み込まれている、2006年6月16日出願の米国仮出願シリアル番号第60/814066号、名称「ALGORITHMIC TRADING SYSTEM AND METHOD」、および2007年6月15日出願の米国仮出願シリアル番号第60/944131号、名称「SYSTEM AND METHOD FOR DETERMINING THE LOCATION AND SIZE OF UNDISCLOSED LIMIT ORDER VOLUME」の利益を主張するものである。
[0003]
ファイナンシャルトレーダの間に、“NASDAQ”および“NYSE”が提供する新しいレベル2およびリアルタイムデータプロダクトなど、オーダードリブン電子市場での市場情報のより高い透明性および現在性の需要がある。たとえば“Euronext”、“ロンドン証券取引所”、“XETRA”、“スペイン証券取引所”、および“トロント証券取引所”を含む、電子指値注文控元帳を提供する市場は、現在性および透明性の尺度を提供する。電子指値注文市場は、匿名の買い手および売り手が価格/量対(price-quantity pairs)、すなわち、市場参加者が買おうとする(または売ろうとする)株の付けられた買い唱え値(売り呼値)および関連する量(深さ)をポストする取引プラットフォームである。指値注文控元帳は、実行されていない指値注文の価格および量を表示することによって、市場流動性のレベルを観察する能力を市場参加者に提供する。このデータを利用することによって、市場参加者は、ある範囲の「ゲーム理論」戦略を実施し、指定された価格、量、およびタイミングを有する指値注文を選択することができ、したがって、市場参加者が、実行コストおよび不確実性を最小にし、市場情報を隠し、おそらくは所望の価格に向けて市場を動かすことが可能になる。
[0004]
発注に起因する情報漏れに関連する懸念を考慮して、一部の市場は、市場参加者が「隠れ」指値注文を入力することを可能にし、この「隠れ」指値注文は、完全な出来高サイズおよび/または関連する価格レベルを明らかにはしない(「氷山」指値注文、「非開示」指値注文、または「裁量」指値注文とも呼ばれる)。これは、露出のリスク(不都合な選択)、市場流動性、および透明性の必要性の間の複雑な相互関係をもたらす。市場設計の観点からは、隠れ指値注文は、流動性と透明性との間のトレードオフを表す。取引システムは、流動性と取引活動を引き付ける必要がある。隠れ指値注文の可用性は、そうでなければ彼らの取引の関心を十分に開示し、流動性を提供することをためらう指値注文トレーダを奨励し、したがって、システムでの流動性を高める。しかし、隠れ指値注文量は、その性質によって、市場に情報を追加せず、したがって、市場の透明性に役立たない。
[0005]
具体的に言うと、スプレッドの中の隠れ注文は、ほとんどの注文ルーティングシステムが可視(すなわち、表示される)情報に作用することしかできないので、現場に活動を引き付けない。したがって、“ANANTH MADHAVANによる「Market microstructure: a survey」、Journal of Financial Markets、3 (2000年)、205〜258頁”によって報告されているように、隠れ指値注文は、透明なオーダードリブン市場の想像される利益、すなわち、価格効率、市場監視の低いコスト、およびより少ない情報非対称性を明らかに減じる。
[0006]
トランザクション指紋隠蔽(hiding transaction fingerprint)という概念が、数年にわたって存在したが、最近、「Dark Books」からの連続的なミッドポイントクロス(mid-point cross)を利用する“ITGの「Dark Server」”または“CSFBの「Guerilla」”などのアルゴリズム的取引システムの出現に起因して、人気が高まってきた。より高い日中ボラティリティ(日計りボラティリティ)を有する非流動性株式について、隠蔽の概念は、市場参加者が市場への最小限の影響を伴って取引することを可能にする。
[0007]
隠れ指値注文は、重要な指値注文タイプになってきた。“Hasbrouck and Saar [2002]”で開示されているように、隠れ注文は、アイスランドで実行されるすべての注文の12%超を占め、“Tuttle [2002]”は、隠れ流動性が“Nasdaq”の100株式の内側の深さ(inside depth:内側の市場の厚み)の20%を表すと報告している。“D'Hondt, De Winne, and Francois-Heude [2004]”は、“Euronext Paris”の隠れ深さ(hidden depth:隠れ厚み)が、上位5つの取引値で使用可能な合計の深さ(depth:市場の厚み)の45%、最高指値の合計の深さ(depth:市場の厚み)の55%を占めることを開示している。
[0008]
これらの発見は、隠れ指値注文の使用の背後にある異論の多い原理を考慮して、市場参加者に可視指値注文に対して隠れ指値注文を使用させる、基礎になる要因があることを暗示する。前の文献と一貫して、隠れ指値注文の存在に関する2つの主な確信がある。第1に、隠れ指値注文は、大流動性トレーダによって、彼らの取引の意図を隠蔽することにより彼らの露出のリスクを減らすのに使用され得る。言い換えると、流動性トレーダは、他のより情報を与えられたトレーダに対する自己保護戦略として、隠れ指値注文を使用する。第2に、隠れ指値注文は、ほとんどが、インサイダ情報を隠蔽するために、情報を有するトレーダによって提示され得る。(アグレッシブな)隠れ指値注文を行うことによって、インサイダ情報を有する市場参加者は、すばやく、ほとんど観察されずに取引することができる。したがって、情報を有するトレーダは、ある種の市場条件について、表示される指値注文に対して非開示指値注文を使用することを好む可能性がある。
[0009]
非開示指値注文を考慮に入れることによって、ある日の任意の所与の時刻の指値注文控元帳の状況が劇的に変化する可能性がある。たとえば、図1を参照すると、会社“Argonaut Group Inc.”の1000株の買い市場注文の瞬間的実行が望まれる場合に、(既存のミッドクォート(mid-quote:中間相場)に基づいてベンチマークされた)その取引に関連するコストは、1株あたり0.05ドルになる。このコストは、まず、観察可能な量だけが使用可能であると仮定し、次に、以下の平均約定価格xを支払うために帳簿を登ること(climbing up the book)によって計算される。
[0010]
[Math. 1]
[0011]
は、次の1株あたりのコストyを与える
y = 35.07 - ミッドクォート
= 35.07 - 35.02 = 0.05
しかし、注文控元帳を、一般の市場条件からの情報を使用して推論された隠れ株を含めた形で再構成できる場合には、1000株の「真の」コストが実際には1株あたり約0.045ドルにすぎないことがわかる。
[0012]
[Math. 2]
[0013]
したがって、隠れ量を考慮した後の1株あたりのコストyは、
y = 35.06537 - ミッドクォート
= 35.06537 - 35.02 = 0.04537
である。
[0014]
図1ではなく「真の」指値注文控元帳を見るトレーダは、スプレッド内から所望の量の一部分だけを除去すること(1株あたりの取引コストの改善につながる)に関連する市場力学に関する機会費用を考慮することに前向きである可能性がある。“Pascual and Veredas [2004]”によって報告されているように、帳簿の説明能力は、可視の最高取引値に関連する力学の中に集中している。このトレーダは、注文が既存の可視の最高売り指値以内で満足される確率を評価することもできる。
Citation List
Patent Literature
[0015]
patcit 1 : 米国仮出願第60/814066号
patcit 2 : 米国仮出願第60/944131号
Non Patent Literature
[0016]
nplcit 1 : ANANTH MADHAVAN、「Market microstructure: a survey」、Journal of Financial Markets、3 (2000年)、205〜258頁
nplcit 12 : CHARLES LEE AND MARK READY, "Inferring Trade Direction from Intraday Data", The Journal of Finance, 46(2) (1991年), 733〜746頁
Summary of Invention
Technical Problem
[0017]
したがって、隠れ指値注文を推定でき、トレーダがこの情報を要因として取引ポジションに含めることを可能にする、推論された隠れ指値注文を含む確率的な「再構成された」注文控元帳を提供できるシステムの必要性が依然として存在する。
Technical Solution
[0018]
本発明の実施形態によれば、隠れ流動性を識別するためのシステムおよび方法が提供される。最高の付け値と売り値との間の隠れ流動性の量の計算ならびに隠れ量の実際の位置(価格)の予測を含む、隠れ流動性の存在の確率を判定するためのシステムおよび方法を提供する。この情報があれば、適当な価格レベルの期待される隠れ量を含む完全な指値注文控元帳を構成し、表示することができる。
[0019]
本発明の実施形態によれば、ヒストリカル注文データに基づいて注文控元帳内の隠れ指値注文の存在を推論するためのシステムおよび方法が提供される。たとえば、
レベル2メッセージを、所定の時間枠内で検査して、価格、サイズ、および交換において特定の取引に対応する取消または変更の注文メッセージを識別することができる。取引を指値注文メッセージと一致させることができない場合には、その取引は、隠れ取引として分類される。
[0020]
本発明の実施形態によれば、取引フォーラムおよび/または取引可能な資産(たとえば、証券)の隠れ流動性の量および価格(「位置」)を予測するモデルを構成することができる。このモデルは、ヒストリカル注文情報から構成され、このヒストリカル注文情報は、表示される注文および実行データから隠れ注文の量および位置を推論するのに使用される。このモデルは、各取引可能な資産の隠れ量および/または位置を市場条件に関連付ける複数の係数からなるものとすることができる。したがって、これらの係数を使用して、現在の市場条件に基づいて取引可能な資産の現在の隠れ流動性を推定することができる。
[0021]
モデルは、ヒストリカルデータの検査から作成することができ、その後、取引フォーラム内の隠れ注文(たとえば、非表示指値注文)の存在を予測するために現在のデータに適用することができる。表示された注文データと隠れ注文データとの両方を含む注文控元帳を再構成することができる。
[0022]
本発明の実施形態によれば、隠れ流動性は、21日中央値取引出来高などのヒストリカルデータに基づいて推定される。
[0023]
本発明のさまざまな実施形態のさらなる応用および利益を、添付図面を参照して以下で述べる。
Brief Description of Drawings
[0024]
[fig. 1] 例示的な株の指値注文控元帳を示すグラフである。
[fig. 2] 流動性グループによって推定される例示的な隠れ注文量モデルの係数およびパラメータを示すグラフである。
[fig. 3]
時刻によって推定される例示的な隠れ注文位置モデルの係数およびパラメータを示すグラフである。
[fig. 4] 非開示売り指値注文がビッド(bid)-アスク(ask)スプレッドの特定の領域
の中に存在する確率を示すグラフである。
[fig. 5] 再構成された指値注文控元帳を示すグラフである。
“VPE”は仮想価格誤差を
表し、“NVPE”は新規仮想価格誤差を表す。
[fig. 6] 時間の関数として平均約定価格を示すグラフである。
[fig. 7] 本発明の特徴を実施できるコンピュータシステムを示す論理概略図である。
[fig. 8] 本発明の実施形態による方法を示す流れ図である。
[fig. 9] 本発明の実施形態による隠れ発注のモデルを展開し、評価する方法を示す流れ図である。
[fig. 10] 本発明の実施形態による隠れ注文を推論するモデルを評価する方法を示す流れ図である。
[fig. 11] 本発明の実施形態による隠れ注文量のモデルを展開し、評価する方法を示す流れ図である。
[fig. 12] 本発明の実施形態による隠れ注文を推論するモデルを展開する方法を示す流れ図である。
Description of Embodiments
[0025]
本発明は、多数の異なる形で実施することができるが、本開示が本発明の原理の例を提供するものと考えられねばならないことと、そのような例が本発明を本明細書で示されまたは説明される実施形態に限定することを意図されていないこととを理解しての上で、複数の例示的実施形態を本明細書で説明する。
[0026]
本発明の一態様によれば、最高レベル前後の指値注文控元帳の再構成は、市場注文または売買のできる指値注文が行われる場合の「真の」約定価格の測定を可能にする。期待よりよい約定価格を得る可能性は、次の2つの含意を有する。
・最良の実行を定量化し(実行改善の無視は、かなりの非表示追加流動性を有する市場にまたがって実行の質を比較する時に、人を誤らせるものになり得る)、
・非開示(たとえば、「隠れ」または非表示)量は、価格設定プロセスの一体化された部分である。スプレッドが狭く、ボラティリティが大きい時に、価格改善が最大になることがわかる。トレーダ挙動は、指値注文控元帳内の追加情報に関してよりよく理解される。これらの発見は、純オーダードリブン市場のモデル化およびトレーダの挙動の特徴を表すことに関してのみならず、自動検索(流動性および非対称情報)アルゴリズムの実装に関係するので、利益を与えることにおいても非常に重要である。取引前の透明性と、よりよい取引アルゴリズムを開発し、取引性能を改善する時に直面する課題とのいくつかの基本的な疑問に関して、より詳しくは、“Borkovec and Yang [2005]”、“Domowitz and Yegerman [2005a]”、“Yang and Jiu [2006]”、および“Domowitz and Yegerman [2005b]”を参照されたい。“Madhavan [2000, 234頁]”は、「現在の買い気配および売り気配、深さ、およびおそらくは大きい注文アンバランスの存在などの情報を広く行き渡らせること」として、取引前透明性を定義している。
[0027]
本発明の好ましい実施形態の諸態様は、次のように説明される。データを、「データ」と題するセクションで説明する。隠れ量およびその配置に関連する静的な経験的証拠を、「モデル」と題するセクションで説明する。推論された隠れ指値注文および応用例と共に、指値注文控元帳の構成を、「応用例」と題するセクションで説明する。
[0028]
「データ」
データの次の説明は、本発明の諸態様を開発する際に本発明人らによって使用されたデータの説明を含む。このデータは、性質において例示的であり、本発明は、説明される特定のデータに限定されない。当業者は、次の議論から、本発明を作るかまたは使用する方法をたやすく理解するであろう。
[0029]
研究データは、“ARCA”が提供する3ヵ月分のComstockレベル2(L2)リアルタイム情報を含む(たとえば“INET direct exchange”レベル2データなど、他の適切なデータソースが使用可能であることに留意されたい)。2005年6月から7月までの2ヵ月分のデータが、経験的モデルを推定するのに使用された。2005年8月のデータが、サンプル外テストに使用された。
[0030]
データ供給は、対応する交換に追加され、除去され、実行された順序を記述する一連のシーケンス化されたメッセージからなる。一般に、「追加注文メッセージ」は、新規注文が、システムによって受け入れられ、表示される指値注文控元帳に追加されたことを示す。「変更注文メッセージ」は、部分的に実行された(株数が既に減らされている)、以前に提示された注文を参照する。「取消注文メッセージ」は、帳簿上の注文が取り消される時に必ず送信され、“Archipelago”フィードの場合には、このメッセージは、取り消されたまたは実行されたことを意味する。“INET”からのメッセージは、「実行メッセージ」(帳簿上の注文が全体としてまたは部分的に実行される時に必ず送信される)および「取引メッセージ」(“INET”帳簿上で不可視の注文を含む実行イベントに関する情報を提供する)を含む。
[0031]
“Archipelago”フィードの場合に、Level 1取引メッセージは、(1)どの注文が実行されまたは実際に取り消されたか、および(2)どの取引が非開示指値注文を介して実行されたかを判定するために、変更注文メッセージまたは取消注文メッセージと照合されなければならない。取引を指値注文と照合するために、L2メッセージを2秒時間帯域幅内で検査して、価格、サイズ、および交換において特定の取引に対応する注文取消メッセージまたは注文変更メッセージを見つけることができる。取引が注文メッセージと一致する場合に、この取引のサイド分類が、そのメッセージから入手され、そのような取引は、可視として分類されるはずである。
[0032]
複数の一致がある場合には、正しい一致は、タイムスタンプとメッセージ時刻との間の絶対時間差において最も近い一致であると仮定される。取引を指値注文メッセージと一致させることができない場合には、その取引は、隠れ取引(すなわち、隠れ/非開示指値注文に由来する)として分類される。隠れ取引のサイドを判定するために、その内容が参照によって本明細書に組み込まれている“CHARLES LEE AND MARK READYによる,「Inferring Trade Direction from Intraday Data」, The Journal of Finance, 46(2) (1991年), 733〜746頁”に開示されたアルゴリズムの一般化を使用することができる。サイド分類アルゴリズムの信頼性のレベルは、サイドが既知である実行データに対してテストされた時に90〜95%正確であることがわかっている。
[0033]
以下の表1は、2005年6月〜8月からの329個のティッカー(ticker)でのComstockのARCAデータフィードからのデータに基づく例示的取引データの要約を含む。表1は、時価総額に基づく、このモデルで使用されるティッカーを開示するものである。選択されたティッカーの78%超が小型株に属し、13%が
ミッドキャップストック(
mid cap stock)に属し、残りの9%は大型株に属する。株は、その時価総額が15億ドル未満の場合に小型株と定義される。時価総額が15億ドルを超えるが100億ドル未満である場合には、その株は
ミッドキャップストックと考えられる。他のすべての株は、大型株として分類される。
[0034]
大型株ごとに、図示の1日あたりの取引の平均回数は、7900回であり、920株の平均取引サイズを伴う。各小型株の1日あたりの取引の平均回数は、約280取引であり、520株の平均取引サイズを伴う。小型株の取引活動のうちで、すべての取引量のうちの28%は、隠れと分類されるが、この数は、大型株については21%にすぎない。帳簿に追加されたすべての注文のうちの約96%が、最終的に取り消される。取り消される注文のうちで、約10%は、フリーティングオーダー(fleeting order)(すなわち、2秒以内に、帳簿に追加されると共に取り消される注文と定義される)として分類される。注文タイムスタンプは、一般に1秒の増分を有する。
[0035]
このデータは、更に、平均して、隠れ注文が完全に表示される注文と比較してより大きいサイズを有することを示す。この結果は、トレーダがしばしば、特により大きい期待される売れ残りを伴う注文について、表示される注文を制限するという“Harris [1996]”の発見と一貫する。
[0036]
[Table 1]
[0037]
このモデルが、性質において取引ベースであることを考慮すると、時価総額による株の分類は、同一時価総額グループ内の株が取引量において大きく異なり得るので、不適切である。したがって、一般に使用される時価総額ではなく、株を、その21日中央値取引出来高に基づいてグループ化することができる。その結果、株を、同一グループ内の類似する取引量を伴って分類することができる。
[0038]
全世界にまたがるティッカーの代表的サンプルを得るために、すべての使用可能なティッカー(約7000個)を、サンプル期間の始めにおいて、その21日中央値取引量に従ってランク付けすることができる。次に、この世界を、11個の流動性グループに分割することができ、流動性グループ0は、最少の流通銘柄を表し、流動性グループ10は、最多の流通銘柄を表す。11個の流動性グループのそれぞれについて、ランダムに選択されたティッカーのサンプルが、プールドデータモデル(pooled data model)で使用される。おおざっぱに言うと、超小型株は、流動性グループ0から流動性グループ4までに属し、小型株は流動性グループ4から流動性グループ7までに属し、中型株は、流動性グループ8から流動性グループ9までに属し、大型株は、流動性グループ10に属する。
[0039]
このグループ化は、異なる流動性グループにまたがって指値注文が行われる形における明瞭な相違があることを示す、各流動性グループ内の発注の検査によって正当化される。指値注文発注は、3つのカテゴリすなわち、(1)最高レベルで行われる指値注文を表すAT、(2)最高の付け値と売り値との間で行われる指値注文を表すBETTER、および(3)最高レベルより悪い価格で行われる注文を表すAWAYに分類することができる。
[0040]
図2から、発注パターンが、どの流動性グループにまたがっても似ていないことがわかる。最低の流動性グループについては、すべての新規指値注文のうちの28%超が、最高の付け値および売り値レベル(AT)で行われたが、最高の流動グループについて、すべての新規指値注文のうちの48%が、最高の付け値および売り値レベル(AT)で行われた。パーセンテージのこの相違は、株取引量、注文を完了させることの緊急性、および流動性グループ内の競争における相違を反映する。
[0041]
このプールドデータ分析では、隠れ発注の確率に影響すると思われる特定の要因が識別される。1つの直観的な仮説は、隠れ注文が、高い露出リスクを有する株についてより頻繁に使用されるというものである(Harris [1997])。
[0042]
低いボラティリティを有する市場では、隠れ注文は、首位になるチャンスを減らす可能性があり、したがって、ボラティリティは、ある分析で能動的な役割を演ずる可能性がある。タイムプレシーデンス(time precedence:時刻優先)を実施する市場では、首位になることが、非常に高価である可能性がある。
[0043]
首位であることは、比較的低い価格を有する株についてより高価になると期待されるので、隠れ注文の使用は、これらの株についてより多くなると期待される。情報を与えられないトレーダに関して、指値注文のオプション価値は、ボラティリティ(ミッドクォートボラティリティ)、取引活動(深さサイズ、最後の取引以降の時間、およびスプレッド)、および全体的(部分的)実行までの時間などの要因によって影響される。注文露出リスクも、(全体的に)実行される注文の期待される時間に関連する可能性があり、部分的に表示される注文の頻度は、株の取引頻度に関係付けられる。
[0044]
時刻は、市場に隠れ注文を入れるための取引日にわたる特別に許可される期間がある場合があるので、もう1つの重要な変数である。市場参加者は、1日の特定の期間に指値注文を行うことができる。このモデルを拡張して、曜日および月に関連する異常を取り込むことができる。このモデルを拡張して、ポートフォリオの再バランスに関連するタイミングを処理することもできる。取引日を、13個の30分時間ビンに分割し、発注パターンを検査することができる。
[0045]
図3に示されているように、時刻は、注文が出される可能性がある場合を説明するように思われる。市場の開始時には、実際の情報なしで、市場参加者は、指値注文を“BETTER“、“AT”、または“AWAY”で同等に行う可能性が高い(33%)。その日が進むにつれて、たとえば“3:30〜4:00 pm”までに、市場参加者が最高の付け値および売り値内で指値注文を行う確率が18%まで下落する。1日全体を通じて行われる1ティッカーあたりの指値注文の平均回数は、ほとんどの指値注文が取引日の最初の2.5時間に行われることを示す。このパターンは、すべての流動性グループにまたがって一貫している。
[0046]
1日の時間期間に基づいて行われた注文の回数に関連するパターンを調べる時には、それがスプレッド曲線を模倣しているように見えることに気付くであろう。これは、時間ビンが、指値注文配置に関連する要因ではない可能性があることと、観察されたものが、実際にはスプレッドに対する相対的な指値注文配置であることとを暗示する。スプレッドは、更に、市場の短気を取り込み、おそらくは、市場プレイヤの間に非対称情報がある可能性があることの第1のヒントである。“Glosten [1987]”、“Glosten and Harris [1988]”、“George、Kaul、and Nimalendran [1991]”、“Brockman and Chung [1999]”は、
複数のビッド-アスクスプレッドの分解を検討している。
[0047]
“Glosten and Milgrom [1985]”は、投資家の間の情報非対称性がビッド-アスクスプレッドに影響することを突き止めた多数の論文の1つである。大きいスプレッドは、市場情報または市場活動が、ほとんどまたは全くないことを暗示すると思われる。一般に知られているスプレッドプロファイルを調べる場合に、スプレッドは、平均して、市場(情報検索期間)開始時に最大であり、その日が進み、情報が市場取引を介して取り込まれるにつれて、スプレッドは、減ると共に、取引日の終りまでにその最低レベルに達する。
[0048]
隠れ量予測変数(predictor)は、すべての上述の変数またはサブセットを考慮に入れることができる。これらの変数の一部は、株価力学を記述し、他の変数は、株の「基礎」特性またはヒストリカル特性を記述する。次のセクションでは、本モデルおよびそれに関連する入力変数をより詳細に述べる。
[0049]
動的変数には、取引関心のレベルを取り込み、市場プレイヤの間に非対称情報がある可能性があることをほのめかすことができる「スプレッド」と、高いボラティリティが市場不確実性およびミッドクォートから離れて実行される隠れ量の可能性を反映する「ミッドクォートボラティリティ」と、スプレッド内の使用可能な流動性およびおそらくは市場非対称性に関する最初のアイデアを提供する「平均第1レベル深さ(サイドによる)」と、市場への情報到着の強度を示す「発注/取消」と、取引界の状態が以前に観察されたものに関係付けられ、依存性のレベルが最後に観察された活動以降に経過した時間に関係付けられる「遅れ隠れ量(Lagged Hidden Volume)」と、市場参加者が市場価格の不均衡に対して反応する「
コンポジットミッドクォート(
composite mid-quote)に対する交換ミッドクォートの不整合」とを含めることができる。動的変数は、(1)時刻の影響を除去し、(2)極端なイベントをよりよく測定し、(3)断面分析を可能にするために標準化することができる。
[0050]
「モデル」
A. 非開示指値注文量のサイズ
このセクションでは、モデルは隠れ量のサイズの推定に関連する経験的結果と共に説明され、そのスプレッド間での位置(配置)が調べられる。この目標を達成するために、非開示指値注文を介して実行されたすべての取引およびそれに関連する市場条件を識別する。可視指値注文に対して隠れ指値注文を行うことの別個の選択のモデル化が望まれるので、取引量を市場条件に写像する確率回帰モデルを使用する。
[0051]
異なる取引期間(trading horizon)(瞬間的にまたは1分、2分、3分、4分、もしくは5分の期間内に取引する)を使用することができる。実際に実行される隠れ取引量を使用するのみの回帰モデルは、下向きに偏った推定量(estimator)を作るはずである。その態様を訂正するために、必要な検閲条件が指定される。
[0052]
(1)以前の確信を検査し、これを経験的結果と照合して、これらの結果がすべての流動性グループにまたがって一貫するかどうかを判定することと、(2)“McFaddenのLRI”を推定して、あてはめの良さを査定するために擬似R
2を近似することとによって、このモデルが評価されると共に、様式化された事実が識別された。
[0053]
図11を参照すると、隠れ注文量を識別するモデルを評価する方法は、異なる取引期間および/または間隔の隠れ注文量を比較するステップS11-1を含むことができる。そのような間隔は、たとえば、1分、2分、3分、4分、もしくは5分の期間または瞬間的とすることができる。次に、間隔ごとに、推論された隠れ注文量および取引条件(説明変数)を、ステップS11-3で判定する。ステップS11-5で、推論された隠れ注文量をヒストリカル量パターンと比較する。その後、ステップS11-7で、モデルの強さを評価する。この評価ステップには、以前の確信を調べ、これを経験的結果と照合して、結果が流動性グループにまたがって一貫するかどうかを調べることを含めることができる。この評価ステップには、あてはめの良さを査定するためにR
2を判定することを含めることもできる。
[0054]
いくつかの様式化された事実が、隠れ量のモデル化に関係する。たとえば、有効スプレッド測定値およびボラティリティ測定値は、首位であることのレベルおよび異常な市場の動きを取り込むことができ、この異常な市場の動きは、非対称情報、「ハーディング(herding)」、市場調整、または短期的な動きに関連付けることができる。正常未満の有効スプレッドは、多くの市場参加者が首位になっており、したがって、流動性需要の一部を偽装するために、隠れ量がより大きくなるはずであることを示す。ボラティリティに関して、高いボラティリティは、市場不確実性と、隠れ量がミッドクォートから離れて実行される可能性とを反映する。高いボラティリティレベルでは、実行される確率が高まり、情報または戦略が市場から隠されるので、市場参加者は、より多くの隠れ量を配置すると期待される。株のより大きい絶対値(日次スプレッド)は、より多くの隠れ注文量に関連する。流動性プロバイダは、首位になる尤度が高まるので、より大きいスプレッドを有する株について、より多くの隠れ量を隠す可能性がある。より多くの指値注文が発注される時に、市場参加者が市場および非対称情報に関する賭けにより活発にかかわるので、より多くの隠れ注文量が期待される。
[0055]
以下の表2に、隠れ売り指値注文量を予測するモデルで使用される変数のサブセットを示す。括弧内の数は、パラメータの標準誤差である。表2に示されているように、有効スプレッドに関連する係数は負であり、ボラティリティに関連する係数は正である。
[0056]
[Table 2]
[0057]
変数ミッドクォートについて、“ARCA”のミッドクォートがコンポジットミッドクォート(composite mid-quote)より大きい場合には“1”が代入され、ミッドクォートが等しい場合には“0”が代入され、それ以外の場合には“-1”が代入される。添字“ns”を伴う係数値は、これらの数が95%信頼レベルで有意でないことを示す。変数は、対応する過去3ヵ月の平均値および標準偏差によって標準化される。すなわち、
[0058]
[Math. 3]
[0060]
[Math. 4]
[0061]
は、平均値であり、σ(x)は、xの標準偏差である。
[0062]
市場参加者は、指値注文控元帳の形状の変化を監視し、株注文の追加、取消、深さ、以前の15秒のミッドクォート収益、および合成財市場に対する関連するミッドクォートの不整合を追跡することができる。これらの変数は、市場力学および参加者の賭け/戦略の取り込みに対する最前線の変数(frontline variable)として働く。その結果は、指値注文の取消より多数の追加は、おそらくは市場をその非開示量に向けて引き付けるために、そのようなアクションが市場を刺激すると期待する市場内のプレイヤがいることのシグナルであることを示唆する。
[0063]
ミッドクォートが不整合であり、“ECN”のミッドクォートがコンポジットミッドクォート価格未満である時には、期待される買い隠れ指値注文量は、コンポジットミッドクォート価格と等しいか、またはそれより高い場合さえあるミッドクォートを有する“ECN”の買い隠れ指値注文量未満になる(例示的な“ECN”は、“Archipelago”、“INET”、および“Brut”を含む)。言い換えると、隠れ買い(売り)指値注文量が、最高(最低)のミッドクォート価格を有する“ECN”に従うことが判定されている。
[0064]
これらの変数とは別に、以前の隠れ量実行を調べる。一見したところでは、この変数を、不可視であり、したがって信頼できる説明変数ではないものとして捨てることができるが、これは、隠れという概念と不可視という概念とを混同していることになる。隠れ量に対する実行が行われた後には、印刷される、隠そうとしても自然に現れる取引ティックが存在する。調査から、隠れ量が見つかる場合に、より多くの隠れ量、すなわち遅れ隠れ量がある十分な可能性があることが示されている。
[0065]
ある種の様式化された事実を認識することができる。たとえば、絶対(日次)スプレッドだけが考慮される時に、株の大きい絶対スプレッドは、より多くの隠れ注文量を示す。流動性プロバイダは、首位である尤度が高まるので、より大きいスプレッドを有する株のより多くの隠れ量を隠す可能性がある。指値注文配置だけを考慮する場合には、より多くの指値注文が発注される時に、市場参加者が市場および非対称情報に関する賭けにより活発にかかわるので、より多くの隠れ注文量が期待される。
[0066]
B.非開示指値注文量の位置
前のセクションでは、最高の付け値と売り値との間に位置すると仮定される隠れ量のサイズをモデル化した。このセクションでは、最高の付け値と売り値との間のこの量の位置を、本発明の実施形態に従ってどのように推定できるかを説明する。この目標を達成するために、スプレッドを、等間隔の領域に分割することができ、説明変数を、ある注文がその領域内で発注される確率を推定するのに使用する。
[0067]
前提は、市場参加者が市場条件を観察し、その市場条件から、隠れ量をどこに配置するかを判断するということである。したがって、指値注文控元帳の状態の変化は、参加者に彼らの配置戦略を再評価させる。「基礎」要因、すなわち絶対ヒストリカル(たとえば日中)スプレッド(セント単位)およびボラティリティが、隠れ注文が帳簿のどこに配置されているかの識別に寄与すると仮定する。この仮定は、配置が絶対スプレッドおよびボラティリティなどの看取された市場条件に基づいている、ということである。本モデルは、既存市場条件を用いて隠れ注文の位置を写像する。
[0068]
表3に、本発明の一態様による、売り指値注文量の位置を予測するモデルで使用される変数のサブセットを開示する。表3は、少数の市場変数と隠れ量の配置との間の簡単な関係を与える。
[0069]
[Table 3]
[0070]
括弧内の数は、そのパラメータの標準誤差である。添字“ns”を有する係数値は、その数が95%信頼レベルで有意でないことを示す。
[0071]
すべての変数は、それに対応する過去3ヵ月の平均値および標準偏差によって標準化される。すなわち、
[0072]
[Math. 5]
[0074]
[Math. 6]
[0075]
は、平均値であり、σ(x)は、xの標準偏差である。
[0076]
変数「最後の15秒間の収益」は、実行の前の15秒以内の時間加重パーセンテージミッドクォート収益である。
[0077]
流動性グループ8の株を調べ、ビッド-アスクスプレッドを6つの等しいサイズのグループに分割する場合に、図4は、隠れ量の配置がスプレッドに伴ってどのように変化するかを示し、ここで、領域1は最高売り指値を含み、領域6は最高の付け値の前の領域を含む。スプレッドがその正常レベルを超えて増えるにつれて、隠れ量は、スプレッド内で再分配される可能性がより高くなる可能性がある。このパターンは、すべての流動性グループにまたがって成り立つ。
[0078]
したがって、本発明の実施形態によれば、隠れ注文位置モデルを作成する方法は、図9を参照すると、各観察された(買い)隠れ指値注文の位置、すなわち、
領域1 = {付け値}
領域2 = (付け値, 付け値+0.2・(売り値-付け値))
領域3 = (付け値+0.2・(売り値-付け値), 付け値+0.4・(売り値-付け値))
領域4 = (付け値+0.4・(売り値-付け値), 付け値+0.6・(売り値-付け値))
領域5 = (付け値+0.6・(売り値-付け値), 付け値+0.8・(売り値-付け値))
領域6 = (付け値+0.8・(売り値-付け値), 売り値);
を判定するステップS9-1と、各観察された隠れ注文の時刻における市場および取引条件(説明変数)を判定するステップS9-3と、発注の確率モデルを推定するステップS9-5と、モデルの強さを評価するステップS9-7とを含むことができる。モデルの強さを評価するステップには、以前の確信を調べ、これを経験的結果と照合して、結果が流動性グループにまたがって一貫するかどうかを調べることと、あてはめの良さを査定するためにR
2を判定することとを含めることができる。
[0079]
ある種の様式化された事実を他の事実とは別に検討する時に、ある種の結論が引き出される場合がある。たとえば、増加するミッドクォートボラティリティだけを考慮する場合には、投資家は、スプレッド内で隠れ指値注文を行う意欲がより高いと期待される。また、市場参加者は、情報および戦略が市場に明かされないので、より多くの隠れ量をスプレッドの中に配置することになる。増加する日中(標準化済み)スプレッドだけを考慮する場合には、投資家は、スプレッド内で隠れ発注を再分配する意欲がより高い。また、指値注文配置だけを考慮する時に、より多くの指値注文が発注される場合に、スプレッド内のより多くの隠れ注文量が期待される。隠れ指値注文をスプレッドの中に配置することは、人の流動性需要を偽装し、したがって一歩先を行く可能性がある他の市場参加者に対して保護する。
[0080]
C. モデル展開
図12を参照すると、本発明の実施形態による、隠れ注文の確率、量、および/または配置を計算するモデルを作成するための方法の流れ図が示されている。処理は、ステップS12-1で開始され、ここで、上記の「データ」セクションで既に述べたように、リアルタイム取引メッセージを入手するか受け取ることができる。この注文データから、ステップS12-3では、取引を指値注文メッセージと一致させることができる場合に取引を可視として分類することができ、ステップS12-5では、指値注文メッセージと一致させることができない取引を隠れとして分類することができる。隠れとして分類された取引のサイドを、ステップS12-7で判定する。取引分類およびサイド判定は、上記の「データ」セクションで述べられている。
[0081]
ステップS12-9では、取引可能な資産を、事前に決定された流動性期間中の資産の中央値取引量に基づいて、流動性グループにグループ化することができる。流動性期間は、たとえば、リアルタイム取引メッセージの最初の21日間と一致する21日期間とすることができる。
[0082]
ステップS12-11では、1つまたは複数の市場条件を、事前に決定された取引期間にわたって取引可能な資産ごとに計算することができる。市場条件には、たとえば、有効スプレッド、ミッドクォートボラティリティ、付け値と売り値との間の追加、平均第1レベル深さ、発注、注文取消、および取消を引いた追加を含めることができる。取引期間は、たとえば、1秒、2秒、3秒、4秒、または5秒あるいは瞬間的とすることができる。
[0083]
ステップS12-13で、流動性グループごとおよび市場条件ごとに、可視取引量と比較した隠れ取引量、および可視取引位置と比較した隠れ取引位置に市場条件を関連付ける係数を計算する。この係数は、データベースまたは他のメモリデバイス内などの係数のテーブルに格納することができる。この係数のテーブルを、既に上述したように、現在の市場条件に基づいて取引フォーラム内の現在の隠れ流動性を推定するためのモデルとして利用することができる。
[0084]
したがって、1つの係数を使用して、1つまたは複数の市場条件を隠れ注文量および/または取引可能資産の位置に関係付けることができる度合を定量化することができる。上述したように、複数の係数を、流動性グループに関連付けることもできる。次に、モデル(たとえば、係数)をリアルタイムデータに適用して、隠れ流動性を推定することができる。
[0085]
「モデルのテスト」
隠れ量および注文控元帳でのその隠れ量の配置の予測におけるモデルの強さを調べるために、同一の符号(売りまたは買い)を有し、“ARCA”上でほぼ同一時刻に発生するすべての(部分的な)実行を集計した。これらの取引クラスタのそれぞれについて、既存の市場条件を識別すると共に保存し、クラスタ量、株重み付けされた平均約定価格、およびクラスタ実行の始めにおいて観察された未調整指値注文控元帳から導出された平均約定価格を計算した。
[0086]
指値注文控元帳の看取された約定価格v
iと実際の約定価格p
iとの間の差を、仮想価格誤差(Virtual Price Error)“v
i-p
i”と称する。仮想価格誤差は、通常、正であり、表示される指値注文控元帳だけの有用性に関する第1印象を与える。
[0087]
次に、指値注文控元帳を、上記のサブセクションAおよびBで述べたモデルを使用して、一般の市場条件に基づいて再構成することができ、適当な価格レベルでの推定される非開示指値注文量が、含まれる。調整された指値注文控元帳に基づいて、推定約定価格
[0088]
[Math. 7]
[0090]
[Math. 8]
[0092]
上の手順は、a)実際の価格と推定された価格との間の1対1比較を有することと、b)未調整指値注文控元帳に対する調整された指値注文控元帳の優越を評価することとを可能にする。正確さを査定するために、さまざまなシナリオを、異なる時刻および異なるレベルのボラティリティ、スプレッド、もしくは指値注文量活動を考慮して、流動性グループごとに調査することができる。より正確には、流動性グループおよびシナリオごとに、平均仮想価格誤差および平均新規仮想価格誤差を、各シナリオのすべてのサブグループについて計算することができる。
[0093]
図5に、流動性グループ2に分類されたすべての株の平均仮想価格誤差と平均新規仮想価格誤差との間のグラフ的比較を示す。取引日は、78個の5分ビンに分割することができ、これらのサブグループのそれぞれの平均仮想価格誤差および平均新規仮想価格誤差が提示されている。仮想価格誤差分布を取り込むために、5%レベルおよび95%レベルを同様にグラフに描くことができる。平均して、トレーダが表示された指値注文控元帳だけを見る場合にそのトレーダが瞬間的取引約定価格であると思うものと実際の約定価格との間に、約5セント差の誤差がある。この不等は、本モデルを使用して隠れ量を調整する時に除去される。類似する結果が、簡潔にするために本明細書では省略される他のすべての調べられたシナリオについて成り立つ。
[0094]
図10に示されているように、仮想価格誤差計算を使用することによって、モデルの性能を評価することができる。モデルを評価する方法のステップは、「サンプル外データ」の取引クラスタを作成するステップS10-1を含み、ここで、取引クラスタは、同一サイドでの短い時間枠(たとえば1ヵ月)以内の(部分的)実行の累積である。仮想価格は、インデックスiを参照することによって計算され、ここで、iは、取引クラスタに索引を付ける(取引クラスタの索引を示す)。インデックスiには、ステップS10-3で1がセットされる。次に、取引クラスタiの実行時間前後の市場条件をステップS10-5で判定し、その取引クラスタの平均約定価格を、ステップS10-7で計算する。ステップS10-9では、指値注文控元帳の看取された約定価格を計算し、ステップS10-11では、市場条件に基づく帳簿である「真の」指値注文を、モデルの約定価格を使用して再構成する。次に、ステップS10-15およびS10-17で、仮想価格誤差および新規仮想価格誤差を計算する。ステップS10-19で、iを増分し、次に、取引クラスタの個数と比較して、追加の仮想価格誤差を計算しなければならないかどうかを判定する。ステップS10-21では、仮想価格誤差を異なるシナリオに副分割し、平均誤差を、グループごとに比較することができる。
[0095]
シナリオを、時刻、ボラティリティ、スプレッド、指値注文量活動、および他の要因によって副分割することができる。図10の方法は、実際の約定価格と推定約定価格との間の1対1比較、ならびに未調整指値注文控元帳に対する調整された指値注文控元帳の優越の評価を可能にする。
[0096]
「応用例」
このセクションでは、本発明のモデルの実用的重要性を説明し、図示する。市場注文発注に関連する静的な例を作成して、瞬間的注文と2分ビン期間および5分ビン期間内の注文との実行に関連するコストと価格影響との両方を調べる。市場注文iの価格影響PI
iは、最後の約定価格
[0097]
[Math. 9]
[0098]
と市場注文iの直前のミッドクォートm
iとの間の差と定義される。同様に、市場注文iのコストC
iは、株重み付けされた平均約定価格
[0099]
[Math. 10]
[0100]
と市場注文iの直前のミッドクォートm
iとの間の差と定義される。より正確には、
[0101]
[Math. 11]
[0102]
であり、ここで、買い市場注文については“δ
i=1”、それ以外の場合については“δ
i=-1”である。
[0103]
図1は、会社“Argonaut Group Inc.”の1000株の買い市場注文の実行が、0.10ドルの価格影響を有し、1株あたりのコストが0.05ドルになることを示す。例示のために、“10:40 am”に、“Argonaut Group Inc.”が、平均より1偏差少ない有効スプレッドで非常に活発に取引され、ボラティリティが通常より偏差の1/2だけ高いと仮定する。さらに、1000株取引の以前の5分ビンで、30%が、隠れ株であるものとして分類されると仮定する。指定された市場条件から、最高の付け値と売り値との間で瞬間的に入手可能な約60株の隠れ株と、それぞれ次の2分および5分以内に売り指値注文の147株および280株の隠れ株があると推定される。表4に、完全な内訳を示す。
[0104]
[Table 4]
[0105]
“10:40 am”の“Argonaut Group Inc.”の既存の取引条件を考慮すると、表4は、異なる実行期間に関する隠れ売り指値注文量の量とその位置とを表す。推定隠れ量は、瞬間的に、2分以内に、または5分以内に実行される市場注文について使用可能と期待される。隠れ量がある場合に、列「確率」は、隠れ量がその価格に位置する尤度を示す。
[0106]
次に、推定隠れ売り指値注文量の位置を推定することができる。すなわち、ある人が非開示売り指値注文を期待できる価格レベルである。上記の「モデル」セクションのサブセクションBで述べた確率モデルを使用すると、最高の付け値と売り値との間の各価格レベルに関連する確率が推定される。
[0107]
“10:40 am”の“Argonaut Group Inc.”の市場条件を考慮すると、表4は、隠れ売り指値注文量の約4.6%が価格レベル35.00ドルに配置され、総隠れ売り指値注文量のうちの15.45%が35.02ドル以下で入手可能であることを示す。最高の売り指値(35.05ドル)に関して、総隠れ売り指値注文量のうちの約74%がそのレベルに配置されている。指値注文控元帳が、隠れ量を含むように再構成される(確率は、総隠れ売り指値注文量を乗じられる)場合に、(59株を配置するという仮定を伴う)瞬間的取引モデルの取引される株あたりの価格は、35.065ドルであり、コストは0.045ドルであり、これは、未調整帳簿の推定コストより低い。価格影響は、0.10ドル
のままである。
[0108]
図6は、取引期間、隠れ売り指値注文量、および平均約定価格のグラフ表現である。図6は、瞬間的ならびに1分、2分、3分、4分、および5分の期間内の取引を考慮に入れた調整済み帳簿と比較した未調整(静的)指値注文控元帳に基づく平均約定価格を示す。取引期間が増え、市場プレイヤが次の5分以内に推定量に逆らって実行するにつれて、平均期待約定価格は、35.052ドルまで下落し、期待価格影響は、0.05ドルまで減少する。
[0109]
市場は、より細粒度で最新の情報を有する市場データ製品を提供することによって、より高い透明性を達成しようと努力するが、市場参加者は、最小の情報漏れを求めて隠れ指値注文を行うことによって、彼らの取引の意図を隠し続ける。市場透明性とトレーダの秘密との間のこの衝突は、流動性と最良の実行との両方を求めるアルゴリズム的取引システムの仕事を複雑にし、市場の真の流動性を不明瞭にすることによって、市場参加者の仕事を複雑にする。
[0110]
表示される指値注文ではなく非開示指値注文を発注することの人気の高まりは、市場参加者の活動の透明性に関して言えば、指値注文控元帳の有用性を大幅に制限してきた。「単純な」指値注文控元帳を使用することは、真の流動性および取引コストの推定に不十分であることが示された。さらに、「単純な」指値注文控元帳の分析を利用し、非開示指値注文量を無視することは、実際に、実行最適化と取引コストおよび機会費用の削減を変更し、より低い使用可能流動性、および、より高い取引コストに向けて偏らせる。
[0111]
しかし、これらの結果から、スプレッド内の非開示量の確率を無視することが、市場注文の最高約定価格を見つけるアルゴリズム的取引システムおよびスマートオーダールーティングシステムの能力を(最善でも)大幅に制限すると簡単に推論することができる。アルゴリズム的取引システムは、(最大の機会費用で)異なる市場にまたがって均一に検索するか、使用可能な流動性を探すためのよりスマートな形を考案するか、のいずれかを行わなければならない。スプレッド内の非開示量の確率を考慮に入れない、いわゆる
“スマート
”オーダールーティングシステムは、スマート
ではない。
[0112]
本発明は、流動性に関して指値注文控元帳を監視するための市場参加者のシステムおよび方法を提供する。有効スプレッドは、隠れ流動性に対して負に相関し、ミッドクォートボラティリティ、最高の付け値と売り値との間の追加、および取消を引いた追加のすべてが、隠れ量に対して正に相関する。これらの事実は、「実際の」帳簿の再構成を可能にはしないが、それでも、更に全体的な隠れ流動性のサイズおよび位置を得ることにおいては有用でないかもしれないが、少なくとも全体的な隠れ流動性の理解を得ることにおいては有用である。
[0113]
本発明は、前述の開示および様式化された事実には限定されない。本発明は、その(帳簿内の)位置、サイズ、および現場を含む隠れ量の確率に基づいて、「実際の」指値注文控元帳を合成することによって、指値注文控元帳の既存の情況を機能強化するのに使用することができる。この追加の情報を利用することの主な含意は、2つ折りになっており、自動化された取引システムと市場参加者の戦略との両方に適用される。
[0114]
たとえば、アルゴリズム的取引システムおよびスマートルーティングシステムでは、複数の現場にまたがる等しい価格および流動性を与えられれば、どの現場にルーティングすべきかの最良選択が、スプレッド内の非開示量の最高の確率を有するものであることは明白であり、そのようなシステムは、スマートであると考えられる。市場参加者にとって、この機能強化された帳簿情報は、流動性トレーダを流動性の最良のソースに案内するのに使用でき、潜在的に、機能強化された指値注文取引モデルを駆動するのに使用することができる。指値注文を行うことを選択する際に、ならびにその価格、サイズ、時刻、現場、およびそれを表示すべきか否かを選択する際に、この機能強化された帳簿を利用することによって、市場参加者は、他者が彼の行動にどのように反応するかのより現実的な展望を有する。
[0115]
本発明の一態様を実施する隠れ量を推定する方法によれば、図8を参照すると、次のステップがある。ステップS8-1で、各交換所(たとえば、“NYSE”、“ARCA”、“ITCH”、“BATS”)からのレベル2データを使用して、リアルタイムでデータを取り込む。次に、ステップS8-3で、(交換所および集計/合併された控元帳ごとに)既存の指値注文控元帳をメモリ内で更新する。ステップS8-5で、各交換所での最近の帳簿活動(たとえば、過去30秒の指値注文取消、隠れ注文量活動)をメモリに格納し、集計/合併する。ステップS8-7で、関連するヒストリカルベースの統計(たとえば、過去5分間の取引量および隠れ量の平均値および標準偏差)を
マーケットデータ(MD)データベースから取り出す。ステップS8-9で、推定された隠れ量を、各取引現場の付け値と売り値との間でオンザフライで計算し、集計する。ステップS8-11で、最高の価格および(可視および隠れを含む)最も深い帳簿と、市場内での現在の流動性を考慮した取引の積極性とを有する交換所の判定を行う。
[0116]
次に図7を参照すると、本発明の実施形態による隠れ市場注文の確率を推定するためのプロセスなどであるがこれに限定はされない、上述の本発明の諸態様を実行するように構成できる例示的システム720の概略図が示されている。システム720には、たとえばローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、またはインターネットなどのネットワークあるいは直接データリンク接続を介して、1つまたは複数のユーザワークステーション724と通信するサーバ722を含めることができる。サーバ722およびワークステーション724は、本明細書で説明したそれぞれの機能を実行することができる限り、任意のタイプのコンピュータとすることができる。これらのコンピュータは、同一または相互に異なるものとすることができるが、好ましくは、それぞれが、少なくとも1つのプロセッサと、所望の機能を実行するためにその少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な機械可読命令のセット(すなわち、コンピュータソフトウェア)を格納できる少なくとも1つのメモリデバイスとを有し、ここで、「メモリデバイス」は、たとえば磁気ハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)など、永久的に、または一時的に、ディジタルフォーマットで情報を格納する任意のタイプの媒体またはデバイスを意味する。
[0117]
サーバ上に格納されたコンピュータソフトウェア(「サーバソフトウェア」)は、サーバのプロセッサによって実行される時に、サーバ722に、ワークステーション
724ならびに電子フォーマットでリアルタイム証券データを提供するデータベンダなどの金融データの1つまたは複数のソース726と通信させる。サーバソフトウェアは、サーバのプロセッサによって実行される時に、サーバ722に、以下でより詳細に説明するように、データベンダ726からのリアルタイムデータを使用し、隠れ市場注文の確率を推定し、1つまたは複数のワークステーション724での表示のために推定された注文控元帳データを提供する、ある種の計算を更に実行させる。
[0118]
ワークステーションに格納されたコンピュータソフトウェア(「ユーザソフトウェア」)は、ワークステーションプロセッサによって実行される時に、ワークステーション724に、サーバ722から推定された注文控元帳データを受け取らせ、推定された注文控元帳データをモニタ上でユーザに対して表示させる。システム720によって注文控元帳を推定するのに使用されるリアルタイム証券データおよびヒストリカル証券データは、データベンダなどのリモートソース720から、またはサーバ722に接続されるかサーバ722上で維持されるローカルデータベース730から受け取ることができる。
[0119]
サーバ722は、ユーザの施設に、またはユーザの施設から離れた場所に配置することができる。サーバ722とデータベンダ726および728との間の通信は、直接データリンク接続を介して、またはLAN、イントラネット、もしくはインターネットなどのネットワークを介して達成することができる。代替実施形態では、専用サーバが不要になるように、1つまたは複数のワークステーションを、サーバ機能を実行するように構成することができる。ワークステーションを、サーバまたは他のワークステーションに対してネットワーク化されることなく、データベンダおよび/またはローカルデータベースと個別に通信するように構成できることが、同様に理解されることになる。
[0120]
本発明の複数の実施形態を、図面を参照して上で十分に説明した。本発明は、これらの好ましい実施形態に基づいて説明されたが、当業者には、本発明の趣旨および範囲の中で、説明された実施形態に対するある種の修正構成、変形構成、および代替構成を作ることができることは明白であろう。たとえば、上述のように、本発明による証券の異常な取引状態のインジケータを生成するために、多数の他の分析を計算することができる。
Reference Signs List
[0121]
720 システム
722 サーバ
724 ユーザワークステーション
726 ソース(データベンダ)
728 データベンダ
730 ローカルデータベース
Claims
[1]
取引可能な資産の注文控元帳を構成するための方法であって、
サーバが、取引可能な資産の取引システムから、取引メッセージおよび注文メッセージを含む取引可能な資産の取引データを受信し、前記取引データを記憶手段に格納するステップと、
前記サーバが、前記注文メッセージが前記取引メッセージに一致するかどうかに基づいて、前記取引メッセージが隠れ注文に対応するかどうかを判定するステップと、
前記サーバが、前記資産を、前記取引可能な資産のそれぞれに関する事前に決定された期間中の個別の取引量に基づいて、流動性グループにグループ化するステップと、
前記サーバが、事前に決定された取引期間にわたって、各流動性グループに関する1つまたは複数の個別の市場条件を判定し、前記1つまたは複数の個別の市場条件を前記記憶手段に格納するステップと、
前記サーバが、前記流動性グループのそれぞれに関して判定された前記市場条件のそれぞれに関する個別の係数を計算し、前記個別の係数を前記記憶手段に格納するステップと、
前記サーバが、前記係数及びリアルタイムの取引データに基づいて、隠れ注文量を推定し、前記隠れ注文量を前記記憶手段に格納するステップと
を含むことを特徴とする方法。
[2]
各取引可能な資産に関する前記個別の取引量が、事前に決定された流動性期間中の前記取引可能な資産に関する中央値取引量を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[3]
所定の流動性グループに関する前記1つまたは複数の個別の市場条件が、取消を引いた追加、最高の付け値と売り値を含む最高の付け値と売り値との間の追加、ミッドクォートボラティリティ、及び有効スプレッドの内の1つ以上を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[4]
前記サーバが、前記係数及びリアルタイムの取引データに基づいて、隠れ注文価格を推定し、前記隠れ注文価格を前記記憶手段に格納するステップと、
前記サーバが、推定された前記隠れ注文量および推定された前記隠れ注文価格を、ユーザに対して表示される前記注文控元帳に合併するステップと
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[5]
流動性グループの市場条件に関する前記係数が、前記流動性グループに関する前記市場条件の過去の平均値に従って、及び前記流動性グループに関する前記市場条件の標準偏差によって、正規化される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
[6]
取引可能な資産の注文控元帳を構成するためのシステムであって、
取引可能な資産の取引システムから、取引メッセージおよび注文メッセージを含む取引可能な資産の取引データを受信し、前記取引データを記憶手段に格納するための手段と、
前記注文メッセージが前記取引メッセージに一致するかどうかに基づいて、前記取引メッセージが隠れ注文に対応するかどうかを判定するための手段と、
前記資産を、前記取引可能な資産のそれぞれに関する事前に決定された期間中の個別の取引量に基づいて、流動性グループにグループ化するための手段と、
事前に決定された取引期間にわたって、各流動性グループに関する1つまたは複数の個別の市場条件を判定し、前記1つまたは複数の個別の市場条件を前記記憶手段に格納するための手段と、
前記流動性グループのそれぞれに関して判定された前記市場条件のそれぞれに関する個別の係数を計算し、前記個別の係数を前記記憶手段に格納するための手段と、
前記係数及びリアルタイムの取引データに基づいて、隠れ注文量を推定し、前記隠れ注文量を前記記憶手段に格納するための手段と
を含むことを特徴とするシステム。
[7]
各取引可能な資産に関する前記個別の取引量が、事前に決定された流動性期間中の前記取引可能な資産に関する中央値取引量を含む
ことを特徴とする
請求項6に記載のシステム。
[8]
所定の流動性グループに関する前記1つまたは複数の個別の市場条件が、取消を引いた追加、最高の付け値と売り値を含む最高の付け値と売り値との間の追加、ミッドクォートボラティリティ、及び有効スプレッドの内の1つ以上を含む
ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
[9]
前記係数及びリアルタイムの取引データに基づいて、隠れ注文価格を推定し、前記隠れ注文価格を前記記憶手段に格納するための手段と、
推定された前記隠れ注文量および推定された前記隠れ注文価格を、ユーザに対して表示される前記注文控元帳に合併するための手段と
を更に含むことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
[10]
流動性グループの市場条件に関する前記係数が、前記流動性グループに関する前記市場条件の過去の平均値に従って、及び前記流動性グループに関する前記市場条件の標準偏差によって、正規化される
ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
[11]
取引可能な資産の注文控元帳を構成するためのコンピュータ実行可能命令を格納するコンピュータ可読媒体であって、
前記コンピュータ実行可能命令が、
取引可能な資産の取引システムから、取引メッセージおよび注文メッセージを含む取引可能な資産の取引データを受信し、前記取引データを記憶手段に格納するステップと、
前記注文メッセージが前記取引メッセージに一致するかどうかに基づいて、前記取引メッセージが隠れ注文に対応するかどうかを判定するステップと、
前記資産を、前記取引可能な資産のそれぞれに関する事前に決定された期間中の個別の取引量に基づいて、流動性グループにグループ化するステップと、
事前に決定された取引期間にわたって、各流動性グループに関する1つまたは複数の個別の市場条件を判定し、前記1つまたは複数の個別の市場条件を前記記憶手段に格納するステップと、
前記流動性グループのそれぞれに関して判定された前記市場条件のそれぞれに関する個別の係数を計算し、前記個別の係数を前記記憶手段に格納するステップと、
前記係数及びリアルタイムの取引データに基づいて、隠れ注文量を推定し、前記隠れ注文量を前記記憶手段に格納するステップと
を実行するようにコンピュータによって実行可能であることを特徴とするコンピュータ可読媒体。
[12]
各取引可能な資産に関する前記個別の取引量が、事前に決定された流動性期間中の前記取引可能な資産に関する中央値取引量を含む
ことを特徴とする
請求項11に記載のコンピュータ可読媒体。
[13]
所定の流動性グループに関する前記1つまたは複数の個別の市場条件が、取消を引いた追加、最高の付け値と売り値を含む最高の付け値と売り値との間の追加、ミッドクォートボラティリティ、及び有効スプレッドの内の1つ以上を含む
ことを特徴とする請求項11に記載のコンピュータ可読媒体。
[14]
前記コンピュータ実行可能命令が、
前記係数及びリアルタイムの取引データに基づいて、隠れ注文価格を推定し、前記隠れ注文価格を前記記憶手段に格納するステップと、
推定された前記隠れ注文量および推定された前記隠れ注文価格を、ユーザに対して表示される前記注文控元帳に合併するステップと
を実行するように前記コンピュータによって更に実行可能であることを特徴とする請求項11に記載のコンピュータ可読媒体。
[15]
流動性グループの市場条件に関する前記係数が、前記流動性グループに関する前記市場条件の過去の平均値に従って、及び前記流動性グループに関する前記市場条件の標準偏差によって、正規化される
ことを特徴とする請求項11に記載のコンピュータ可読媒体。
[16]
取引可能な資産の
注文控元帳の再構成に利用可能なモデルを作成するための方法であって、
サーバが、取引可能な資産の取引システムから、取引メッセージおよび注文メッセージを含む取引可能な資産の取引データを受信し、前記取引データを記憶手段に格納するステップと、
前記サーバが、前記注文メッセージが前記取引メッセージに一致するかどうかに基づいて、前記取引メッセージが隠れ注文に対応するかどうかを判定するステップと、
前記サーバが、前記資産を、前記取引可能な資産のそれぞれに関する事前に決定された期間中の個別の取引量に基づいて、流動性グループにグループ化するステップと、
前記サーバが、事前に決定された取引期間にわたって、各流動性グループに関する1つまたは複数の個別の市場条件を判定し、前記1つまたは複数の個別の市場条件を前記記憶手段に格納するステップと、
前記サーバが、前記流動性グループのそれぞれに関して判定された前記市場条件のそれぞれに関する個別の係数を計算し、前記個別の係数を前記記憶手段に格納するステップと、
前記サーバが、前記係数及びリアルタイムの取引データに基づいて、隠れ注文量を推定し、前記隠れ注文量を前記記憶手段に格納するステップと
を含むことを特徴とする方法。
[17]
各取引可能な資産に関する前記個別の取引量が、事前に決定された流動性期間中の前記取引可能な資産に関する中央値取引量を含む
ことを特徴とする
請求項16に記載の方法。
[18]
所定の流動性グループに関する前記1つまたは複数の個別の市場条件が、取消を引いた追加、最高の付け値と売り値を含む最高の付け値と売り値との間の追加、ミッドクォートボラティリティ、及び有効スプレッドの内の1つ以上を含む
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
[19]
前記サーバが、前記係数及びリアルタイムの取引データに基づいて、隠れ注文価格を推定し、前記隠れ注文価格を前記記憶手段に格納するステップと、
前記サーバが、推定された前記隠れ注文量および推定された前記隠れ注文価格を、ユーザに対して表示される前記注文控元帳に合併するステップと
を更に含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
[20]
流動性グループの市場条件に関する前記係数が、前記流動性グループに関する前記市場条件の過去の平均値に従って、及び前記流動性グループに関する前記市場条件の標準偏差によって、正規化される
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
Drawings