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1. JP1999507215 - アゴニスト活性を実質的にもたないC5a受容体アンタゴニストおよび製造方法

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【発明の詳細な説明】アゴニスト活性を実質的にもたないC5a受容体アンタゴニストおよび製造方法
発明の分野
この発明は、免疫学分野、より具体的には哺乳類における補体仲介疾患および炎症状態の処置に関するものである。
発明の背景
炎症は傷害により誘導される局在的な防御的事象であり、傷害源および損傷組織の両方を破壊、減殺または壁防止する働きがある。炎症は、動脈、毛細管および小静脈の拡張を含み、導管透過性を高め、血流を増加させ、体液および血漿タンパク質を滲出させる一連の複雑な事象を伴う。これらのプロセスの後、多くの場合急速に白血球が血管内皮に接着し、それに続いて細胞から周囲組織への流入が起こる。
補体系、すなわち異物に対する主要免疫防御機構は、炎症反応を含む因子の各々に影響を及ぼすことが示された。一般に、補体は、組織および血液から微生物および他の抗原を排除すべく働く一組のタンパク質を含む。この働きは、補体成分単独または抗体もしくは補体受容体を発現する細胞と協同することにより達成される。さらに具体的には、この系は約30の血漿タンパク質から成り、それらは細胞受容体および数種の膜調節タンパク質に相当する。キノシタ、「イミュノロジー・トゥデー」、12:291−300(1991)。例えば抗原−抗体複合体または細菌表面構造による補体系の活性化が、補体成分のタンパク質分解的開裂およびタンパク質会合事象の増幅カスケードを誘発することにより、最終的には異物は破壊され、最後には排出される。ムラー-エーベルハルト、「アニュアル・レビュー・オブ・バイオケミストリー」57:321−347(1988)。
数種の生物活性ペプチドは、補体系の活性化により生成される。74アミノ酸を含み、約11000の分子量を有する糖蛋白質C5aは、C5転換酵素により補体の第5成分、C5のN−終止末端のタンパク質分解的開裂により生成される。ニルッソンら、「ジャーナル・オブ・イミュノロジー」114:815−822(1975)。C5aの生物学的特性は、急性および慢性の両炎症プロセスに関与した多数の細胞および組織全体に波及する。ハグリ、「CRC Crit.Rev.Immunol.」1:321−366(1981)。これらの特性の多くは免疫学的に有益である。C5aは、様々な病的状態に応じて宿主防御機構を伝達することが見いだされた。C5aは、炎症応答に普通伴う広く多様な特異的生物機能、例えば平滑筋収縮、血管透過性の増加、ヒト皮膚への注入時における膨疹紅斑応答、マスト細胞からのヒスタミン放出、および多形核白血球(PMNLs)からの酸化的バーストおよびリソソーム酵素放出の誘導に関与する。C5aは、好塩基性細胞、好酸球、単核細胞および好中球を含むあらゆる循環性白血球細胞からの測定可能な応答を刺激する。ハグリ、前出、バウチュら、「イミュノバイオロジー」185:41−52(1992)。C5aはさらに強力な化学誘引物質であることが見いだされた。フェルナンデスら、「ジャーナル・オブ・イミュノロジー」120:109−115(1978)。このタンパク質は、炎症部位へのPMNLs、例えば食細胞の誘引に対する中枢刺激因子である。
適当な標的、例えば侵入性微生物または腫瘍細胞に対して指向する場合、補体は有益であるが、不適当に活性化されると、明かな病原潜在性を有することになる。例えば、アナフィラトキシン、例えばC5aは、数種の炎症疾患、例えば成人呼吸窮迫症候群およびリウマチ様関節炎の発病において原因または増悪因子として関与しでいる。バウチュら、「バイオケミカル・ジャーナル」288:261−266(1992)、ハスレットら、「ジャーナル・オブ・イミュノロジー」142:3510−3517(1989)。特に、組織におけるC5aの迷入的存在は、これまでにリウマチ様関節炎、骨関節症、乾癬および非心臓性肺浮腫の患者から検出されている。ハマーシュミット、「ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション」244:199−(1980)。C5aは、炎症性白血球のリクルートおよび刺激および抗体産生の増大を含む追加的活性による補体活性化により生成される主たる炎症伝達物質であることが見いだされた。モリソンら、「プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ」86:292−296(1989)参照。
炎症のインビボまたは薬理的制御は、化学走性の調整に依存的であると推定される。阻害が行われ得る3つのレベルは既に認識されている。これらは、(1)走化性刺激物質に対する白血球応答の抑制、(2)ケモタキシン生成の阻害、および(3)ケモタキシンの不活化である。さらに、C5aは数種のヒト細胞、例えば好中球、好酸球および単核球誘導細胞の膜から見いだされる特異的C5a受容体に結合することによりその様々な機能を発揮するため、C5a伝達化学走性の阻害、および特にC5a受容体アンタゴニストの設計については、かなりの注意を惹いてきている。
クリアリーらによるUS4772584は、C5aのC−末端から6アミノ酸ペプチドを開裂することによりPMNLsへのC5aの結合を阻害するストレプトコッカスA群から単離されたポリペプチドについて開示している。ハーンによるUS4692511は、C5a遮断活性を示す必須コアテトラペプチドTyr-Asp-Gly-Ala(配列番号1)またはAsp-Gly-Ala-Tyr(配列番号2)、またはコアトリペプチドAsp-Gly-Alaを含むC5aに対するポリペプチド受容体アンタゴニストについて開示している。
アボット・ラボラトリーズによるUS5190922、WO90/09162および92/11858は、C5a受容体に結合し、主張によるとアナフィラトキシン活性を調整する様々なオリゴペプチドを開示している。しかしながら、これらの分子の幾つかは,重大なアゴニスト活性を保持していることが示された。モリソンら、「プログレス・イン・インフラメーション・リサーチ・アンド・セラピー」中「好中球受容体相互作用に関するC5a構造必要条件」、ビルクハウゼル・フェルラーク、バーゼル(1991)17−21頁、カワイら、「ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー」35:220−223(1992)、カワイら、「ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー」34:2068−2071(1991)、およびオルら、「ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー」35:402−406(1992)参照。
アゴニスト活性を実質的に無効にできる強力で治療上有効なC5a受容体アンタゴニストが依然として強く要望されている。さらに、かかるC5a受容体アンタゴニストの有効な製造方法も依然として強く要望されている。
発明の要約
本発明のー態様は、C5a受容体アンタゴニストであり、実質的にアナフィラトキシンまたはアゴニスト活性を呈しないヒトC5aのポリペプチド類似体またはポリペプチド誘導体、並びに類似体または誘導体の2量体形態に関するものである。
本発明の別の態様は、上記ポリペプチド類似体またはポリペプチド誘導体を含む融合タンパク質に関するものである。
ポリペプチド類(すなわち、類似体またはその誘導体)または融合タンパク質をコード化するDNA分子、プラスミド、ベクターおよびDNA分子により形質転換された宿主細胞、並びにC5a類似体、誘導体または融合タンパク質の製造方法もまた提供される。
C5a類似体、その誘導体または2量体を含む医薬製剤は、哺乳類におけるC5a仲介炎症状態および疾患の処置方法で、および上記炎症を阻止するための予防薬として有利に使用される。
本発明の別の態様は、実質的にヒトC5aとの交差反応性を呈しない、C5a類似体またはポリペプチド誘導体に特異的な抗体に関するものである。これらの抗体は、循環性C5a類似体または誘導体を(以前にこれを投与された)対象から検出または定量し、およびインビボでC5a類似体および誘導体の活性を修飾、例えば中和するのに使用される。
図面の簡単な記載
図1は、オリゴヌクレオチドカップリングによるヒトC5aをコード化する合成遺伝子の合成を説明する流れ図である。
図2は、pB−6/C5aのプラスミド地図である。
好ましい態様の記載
本発明のヒトC5aのC5aポリペプチド類似体またはポリペプチド誘導体は、実質的にアゴニスト活性をもたないC5a受容体アンタゴニストである。「C5a受容体」の語は、C5a、その分解産物C5a−desArgおよび上記アンタゴニストが結合するヒト血液細胞、例えばPMNLsおよび単核細胞の表面にある部位を指すものとして当業界では理解されている。例えば、US5177190およびオッパーマンら、「ジャーナル・オブ・イミュノロジー」151(7):3785−3794(1993)参照。C5aは、カルボキシペプチダーゼB様酵素によりヒト血清中でC5a−desArgに酵素的に変換される、ヒトにおける主要生理学的最終産物である。チェノウェスら、「モレキュラー・イミュノロジー」17:151−161(1980)。
「アンタゴニスト」の語は、上記ポリペプチドがC5aの阻害物質であることを意味する。すなわち、それらはC5aとC5a受容体の結合を妨害する。特別な理論で束縛する意図はないが、本出願者らは、ヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体が、C5a受容体への結合をめぐってC5aと競争する点でC5aの競争的阻害物質であると考えている。
ヒトC5aの上記C5a類似体またはポリペプチド誘導体の拮抗作用は、実施例7で詳述されている、セリグマンら、「エージェンツ・アンド・アクションズ」21:375−378(1987)に開示されたカルシウム増加検定でIC 50として定量され得る。IC 50は、100ピコモルのヒトC5aを含む対抗量投与後、C5a受容体を担持するPMNLsによるカルシウムイオンの細胞内動態化の50%を阻止するヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体の濃度として定義される。本発明のC5a受容体アンタゴニストは、セリグマンら、前出の文献で開示されたカルシウム増加検定において約2.0×10 -6モルを越えないIC 50を呈する。
「実質的にアナフィラトキシン活性をもたない」または「実質的にアゴニスト活性をもたない」の語は、受容体へヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体(以後、C5a受容体アンタゴニストと互換的に使用する)が結合しても、最終的にC5aとその受容体の結合により誘発されるアナフィラトキシン誘導炎症を通常伴う生理学的応答、例えば食細胞の活性化、平滑筋収縮、血管透過性の増加、および炎症伝達物質、例えばヒスタミン類、プロスタグランジン類、トロンボキサン類、ロイコトリエン類、インターロイキン(IL)−1、IL−6およびIL−8の過剰生産をもたらす内在性シグナル変換事象は誘導されないことを意味する。ハグリら、CRC Crit.Rev.Immunol.1:321−326(1981)およびPCT WO92/10205参照。この特性の定量的尺度はまた、セリグマンら、前出文献に開示され、実施例7にも記載されているカルシウム増加検定を用いて得られる。EC 50は、アゴニスト活性の尺度である。本発明の目的の場合、EC 50値は、ヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体によりそれぞれ誘発される最大応答の50%をもたらすヒトC5aの同C5a類似体またはポリペプチド誘導体の濃度である。本出願人らは、同カルシウム増加検定において少なくとも約8.0×10 -7モル、好ましくは少なくとも約3.0×10 -6モル以下の濃度でヒトC5aの上記C5a類似体またはポリペプチド誘導体のアゴニスト活性を検出したことはない。本発明のヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体は、EC 50が、セリグマンのカルシウム増加検定で応答が全く検出され得ないことから、この検定において少なくとも約8.0×10 -7 モル、好ましくは少なくとも約3.0×10 -6モルのC5a類似体またはポリペプチド誘導体濃度以下で測定され得ない場合のものである。
C5aは74−アミノ酸ポリペプチドであり、その配列はフェルナンデスら、「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」253:6955−6964(1978)に開示されている。誘導されたヌクレオチド配列に基づいて構築された合成遺伝子は、マンデッキら、「プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ」82:3543−3547(1985)およびデヴィドウらのUS4937189に開示されている。フェルナンデスにより開示されたC5aのアミノ酸配列およびデヴィドウらにより開示された対応する合成ヌクレオチド配列は、下記表1に示されている。
本出願人らは、予想外にもそして驚くべきことに、ヒトC5a(以後、「C5a(1-74)」と互換的に使用する)のC−末端領域、すなわちアミノ酸64−74をコード化する合成C5a遺伝子部分に突然変異を誘発させることにより生成されたヒトC5aのある種の類似体またはポリペプチド誘導体が、C5aとは劇的に異なる特性を有することを発見した。すなわち、それらは秀でたアンタゴニスト特性を呈し、実質的にアゴニスト活性をもたない。ヒトC5aの上記類似体またはそのポリペプチド誘導体のN−末端アミノ酸残基は、いずれかのアミノ酸残基、例えばヒトC5aのようにThr残基、またはMet残基であり得る。特に、ヒトC5aの上記ポリペプチド誘導体は、N−末端としてグリシン残基を有する。
すなわち、本出願の一態様では、ヒトC5aのポリペプチド誘導体であって、実質的にアゴニスト活性を呈しないC5a受容体アンタゴニストであり、N−末端としてグリシン残基を有する誘導体が提供される。
好ましくは、N−末端グリシン残基は付加物形態(N−末端付加残基)で有り得、または、同じく好ましくは、上記グリシン残基は、ヒトC5aのN−アミノ酸トレオニンに対する置換基である(置換Thr1Gly)。
特に、本発明によるヒトC5aのポリペプチド誘導体は、例えばヒトC5aトレオニン〜グリシンのN−末端アミノ酸残基に突然変異を誘発させ、さらにヒトC5a(以後、「C5a(1-74)」と互換的に使用する)のC−末端領域、すなわちアミノ酸64-74をコード化する合成C5a遺伝子部分に突然変異を誘発させることにより生成され得る。
具体的には、本発明のヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体は、C5a(1-74)のC−末端領域、
(C5a(1-74)のアミノ酸64−74)に対する2つの修飾または突然変異のうちの少なくとも1つまたは好ましくは両方に関して定義される。第一に、少なくともLeu(72)まで、すなわちGly(73)およびArg(74)残基を除去することにより先端切除されている。第二に、最も好ましい態様において、ポリペプチドのC−末端アミノ酸(すなわち、C−末端)がシステインである場合、およびC−末端システインのチオール(SH)基が還元形態である(すなわち、遊離チオール基を有する)か、または遊離チオール基に自発変換し得るかまたは容易に変換され得る形態である場合、少なくとも1個のシステインがこの領域で置換されている。別の好ましい態様では、システイン残基は付加物形態(C−末端付加残基)である。
すなわち、一実施態様では、上記ポリペプチド誘導体は、それがシステイン残基を有し、そのC−末端が少なくとも2個のアミノ酸残基により先端切除されているという点でヒトC5aの対応するC−末端領域とは異なるC−末端領域を含む。
好ましい態様では、ほとんどのC−末端アミノ酸の2〜6個は、C5a(1-74)から先端切除されている。従って、本発明の好ましいポリペプチド誘導体は、長さが64〜72アミノ酸、好ましくは68〜72アミノ酸、さらに好ましくは70〜72アミノ酸、および最も好ましくは71アミノ酸である。
すなわち、N−末端63アミノ酸領域が無傷で保たれ、唯一システインが置換されている場合、それぞれの対応する例または態様は、例えば次のように示され得る。すなわち、C5a(1-72、Leu72Cys)、C5a(1-72、Thr1Met、Leu72Cys)、好ましくはC5a(1-72、Thr1Gly,Leu72Cys)、C5a(1-71、Gln71Cys)、C5a(1-71、Thr1Met、Gln71Cys)、好ましくはC5a(1-71、Thr1Gly、Gln71Cys)、C5a(1-70、Met70Cys)、C5a(1-70、Thr1Met、Met70Cys)、好ましくはC5a(1-70、Thr1Gly、Met70Cys)、C5a(1-69、Asp69Cys)、C5a(1-69、Thr1Met、Asp69Cys)、好ましくはC5a(1-69、Thr1Gly、Asp69Cys)、およびC5a(1-68、Lys68Cys)、C5a(1-68、Thr1Met、Lys68Cys)、好ましくはC5a(1-68、Thr1Gly、Lys68Cys)。さらに好ましい態様において、C−末端領域は、Met70、Gln71またはLeu72まで(これらを含む)先端切除されており、それらは先に示された態様に相当する。
さらにC−末端領域はN−末端がAsn64まで先端切除され得、それらは代表的な上記の例または態様C5a(1-67、His67Cys)、C5a(1-67、Thr1Met、His67Cys)、好ましくはC5a(1-67、Thr1Gly、His67Cys)、C5a(1-66、Ser66Cys)、C5a(1-66、Thr1Met、Ser66Cys)、好ましくはC5a(1-66、Thr1Gly、Ser66Cys)、C5a(1-65、Ile65Cys)、C5a(1-65、Thr1Met、Ile65Cys)、好ましくはC5a(1-65、Thr1Gly、Ile65Cys)、およびC5a(1-64、Asn64Cys)、C5a(1-64、Thr1Met、Asn64Cys)、好ましくはC5a(1-64、Thr1Gly、Asn64Cys)に対応するが、ただし生成されたヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチドは、前述の必須アンタゴニスト特性(IC 50は約2.0×10 -6モルを越えない)を呈し、実質的にアナフィラトキシンまたはアゴニスト活性(C5a類似体またはポリペプチド誘導体濃度が少なくとも3.0×10 -6モル以下である測定不能なEC 50)をもたないものとする。当業界の熟練者であれば、ヒトC5aの「類似体」または「ポリペプチド誘導体」が、C5aまたはC5a受容体の部位に特異的な抗体を含まないことは理解できるはずである。
ここに記載されているヒトC5aのさらに別の誘導体も、本発明の範囲内に含まれる。これらは、N−末端63アミノ酸領域(C5a(1-74)のアミノ酸1-63)における修飾、例えば点突然変異、置換、付加および欠失、カーネイら、「プロテイン・サイエンス」2:1391−1399(1993)、およびこうして突然変異が誘発されたC−末端領域におけるさらに別のアミノ酸置換を包含する。上記と同様、生成される誘導体がC5a受容体アンタゴニストを保持し、かつ実質的にアゴニスト活性をもたなければ、修飾のタイプおよび範囲は総じて重要ではない。例えば、C5a(1-74)のN−末端領域にあるCys27残基が例えばセリン残基に変換されることにより、再生中の折り重なりが最小限になり得る。すなわち、C5a類似体誘導体は、例えばC5a(1-71、Cys27Ser、Gln71Cys)またはC5a(1-71、Thr1Met、Cys27Ser、Gln71Cys)、または好ましい態様では、C5a(1-71、Thr1Gly、Cys27Ser、Gln71Cys)で示され得る。また、N−末端は、置換または付加によりメチオニン残基に変えられ、様々な宿主細胞、例えばエシェリヒア・コリにおいてC5a類似体またはポリペプチド誘導体の発現が行われ得る。実施例1で説明され、表3で示されているところによると(実施例3、下記)、エシェリヒア・コリで直接産生された上述のC5a類似体はそのN−末端としてMet残基を有する。さらに、N−末端としてMet残基を有するC5a類似体またはポリペプチド誘導体は、融合タンパク質形態で生成され、それに続いて融合部分が開裂され得る。
N−末端置換はまた、本発明のヒトC5a類似体またはポリペプチド誘導体を融合タンパク質として様々な宿主細胞、例えばエシェリヒア・コリで発現させ、次いで融合タンパク質を好都合な部位で開裂することにより単離する場合に行われ得る。例えば、ヒドロキシルアミン結合により結合されたその融合タンパク質相手物質からヒトC5aのポリペプチド誘導体を開裂することにより、天然ヒトC5aトレオニン(Thr)N−末端に対するグリシン(Gly)残基の置換が行われる。置換を有するポリペプチド誘導体C5a(Th1Gly)の好ましい態様についでは上述されている。これらのうち、最も好ましい態様は、C5a(1-71、Thr1Gly、Gln71Cys)またはC5a(1-71、Thr1Gly、Cys27Ser、Gln71Cys)である。
C−末端領域のさらに別の修飾の一例は、C5a(1-74)の67位にある天然ヒスチジンに対するフェニルアラニン残基の置換である。一例として、C5a類似体誘導体は、C5a(1-71、Thr1Met、Cys27Ser、His67Phe、Gln71Cys)と称される。すなわち、別の好ましい具体例では、ヒトC5aのポリペプチド誘導体は上述のものであり、置換C5a(His67Phe)を含む。好ましいのは、C5a(1-71、Thr1Gly、Cys27Ser、His67Phe、Gln71Cys)と称されるヒトC5aのポリペプチド誘導体である。
本発明のヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体は、当業界では標準的な多くの方法により製造され得る。例えば、それらは直接化学合成により製造され得る。それらはまた、適当な宿主細胞においてポリペプチドをコード化するDNA分子、すなわち合成遺伝子の発現により製造され得る。
すなわち、本発明のさらに別の態様によると、ヒトC5aのポリペプチド誘導体をコード化するDNA分子であって、前記誘導体が実質的にアゴニスト活性を呈しないC5a受容体アンタゴニストであり、N−末端としてグリシン残基を有する誘導体である、DNA分子が提供される。その好ましい態様は、ここで述べられている本発明のヒトC5aのポリペプチド誘導体をコード化するDNA分子である。これらの中で、好ましいのは、本発明のヒトC5aのポリペプチド誘導体をコード化するDNA分子であり、長さは64〜72個、好ましくは71個のアミノ酸残基である。さらにいっそう好ましいのは、C5a(1-71、Thr1Gly、Cys27Ser、Gln71Cys)またはC5a(1-71、Thr1Gly、Cys27Ser、His67Phe、Gln71Cys)と称されるポリペプチド誘導体をコード化するDNA分子である。
これらのDNA分子は、ヒトC5aの類似体またはポリペプチド誘導体のアミノ酸配列から誘導可能であり、公知技術によっても製造され得る。DNAは、ナラング、「テトラヘドロン」39:3−22(1983)およびEPA146785、マンデッキら、「プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ」82:3543−3547(1985)(C5aをコード化する遺伝子の化学合成を開示している)に開示されている要領で化学的に合成され得る。DNA分子のフラグメントは、化学的に製造され得、次いで酵素的に結合される。「カレント・プロトコルズ・イン・モレキュラー・バイオロジー」の第1巻、第8章、アウスベルら(編集)、ウィリー、ニューヨーク(1990)参照。
本発明のヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体をコード化するDNAはまた、C5aをコード化する公知合成または天然遺伝子、例えばフェルナンデス、マンデッキおよびデヴィッドソンにより開示されたものの突然変異誘発により製造され得る。アウスベルら、前出、マニアチスら、「モレキュラー・クローニング、ア・ラボラトリー・マニュアル」の第II巻、15章、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)、およびモリソンら、「プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ」86:292−296(1989)参照。さらに、DNAはPCR技術により製造され得る。PCRプロトコルズ、イニスら(編集)、アカデミック・プレス、サンディエゴ、カリフォルニア(1990)。
本発明のC5a類似体またはポリペプチド誘導体をコード化するDNA分子は、当業界公認の技術に従い、既知調節配列、例えばプロモーター、エンハンサー、3'−非翻訳配列および5'翻訳配列、例えばシグナルおよび先導配列に機能し得るように結合され、次に遺伝子を発現し得る宿主細胞へ形質転換される。次いで、形質転換された宿主細胞を、アンタゴニストコード化遺伝子の発現に適した条件下で培養する。代表的な宿主細胞には、原核生物、例えばエシェリヒア・コリおよびバシラス、例えばバシラス・サチリス、および真核生物、例えば糸状菌、例えばアスペルギルス・ニガー、酵母、例えばサッカロミセス・セレヴィシエ、ピキア・パストリスおよびヤロヴィア・リポリティカ、バキュロウイルス/昆虫細胞培養物(サマーズら、「ア・マニュアル・オブ・メソッズ・フォー・バキュロヴィールス・ベクターズ・アンド・インセクト・セル・カルチャー・プロシージャーズ」、テキサス・アグリカルチュラル・エクスペリメント・ステーション(1987))、哺乳類セルライン、および植物(バンデケルクホーヴェら、「バイオ/テクノロジー」7:929−932(1989))がある。
一般に、ユシェリヒア・コリにおけるC5aの発現方法は、C5a類似体またはヒトC5aのポリペプチド誘導体の遺伝子発現に適用され得る。マンデッキ、「プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ」82:3543−3547(1985)、モリソンら、「プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ」86:292−296(1989)、およびバウチュら、「イミュノバイオロジー」185:41−52(1992)参照。適当な調節配列、例えばプロモーター(例、T7ポリメラーゼ、UV5−D、trpまたはlac)、リボソーム結合部位、および転写停止部位を含む適当なプラスミドベクター、例えばpKK223−2の選択は、当業界熟練者のレベルの範囲内に含まれる。エシェリヒア・コリにおける発現を最適化するためには、グオイら、「ヌクレイック・アシッズ・リサーチ」10:7055−7074(1982)に開示されたエシェリヒア・コリに好適なコドンを用いてDNA分子を合成すべきであり、幾つかの制限エンドヌクレアーゼ部位を考慮すれば、合成されたDNAの特性確認および恐らくはDNA配列の突然変異誘発が容易になる。この方法を用いて、ポリペプチドの第一アミノ酸をコードするトリプレットのすぐ上流に直接タンパク質合成用のATG開始コドンを導入することにより、本発明のC5a類似体またはポリペプチド誘導体の直接発現が可能となる。さらに、エシェリヒア・コリ株、例えばイオン(Ion)は、野生型細胞に存在する幾つかのプロテアーゼの一つを欠いているため、タンパク質の収率を高めるという利点を呈する。フランケら、「メソッズ・イン・エンザイモロジー」162:653−658(1988)。
すなわち、本発明のさらに別の態様は、本発明のヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体をコード化するDNA分子に機能し得るように結合された所定の宿主において機能し得るプロモーターを含む組換えDNA−分子に関するものである。さらに、本発明は、本発明のヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体をコード化する上述の組換えDNA分子を含む、所定の宿主と適合し得る組換えプラスミドに関するものである。より広い意味で、ある態様は、本発明のヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体をコード化する上述の組換えDNA分子を含む、所定の宿主と適合し得る組換えベクターに関するものである。
また、例えばエシェリヒア・コリのような宿主におけるC5a類似体遺伝子の発現性は、融合タンパク質形態で遺伝子を発現させることにより高められ得る。本発明のさらに別の態様である上記融合タンパク質は、一般にN−末端〜C−末端、融合相手、開裂可能なリンカー、およびそれに融合した状態で、ヒトC5aのポリペプチド誘導体という順序で構成され、この場合、上記ポリペプチド誘導体は、実質的にアゴニスト活性を呈しないC5a受容体アンタゴニストである。本発明の範囲内において、上記融合タンパク質のヒトC5a形成部分のポリペプチド誘導体は、上述されている本発明の特定類似体またはポリペプチド誘導体に制限されるわけではないが、それらは好ましい態様を形成している。反対に、こういった類似体または誘導体は、その類似体または誘導体が、実質的にアゴニスト活性を呈しないヒトC5aから誘導されたC5a受容体アンタゴニストであれば、ヒトC5aの他のいかなるC5a類似体またはポリペプチド誘導体であってもよい。特に、上記融合タンパク質のさらに別の好ましい類似体または誘導体形成部分は、本発明の類似体または誘導体にヒトC5aのN−末端置換、例えば置換Thr1GlyまたはThr1Metを導入することにより誘導される。同様に、ヒトC5aのN−末端(Thr1)に置換を伴わないヒトC5aの類似体またはポリペプチド誘導体も融合タンパク質に使用され得る。別の方法では、ヒトC5aの上記類似体またはポリペプチド誘導体のN−末端に他のアミノ酸が付加され得、付加物が得られる。好ましいのは、ヒトC5aのかかる類似体またはポリペプチド誘導体がさらに、上記で述べられているように、システイン残基を有し、少なくとも2個のアミノ酸残基によりそのC−末端が先端切除されている点が、ヒトC5aの対応するC−末端領域とは異なるC−末端領域を含む融合タンパク質である。さらに好ましくは、融合タンパク質は、付加物としてまたはさらに好ましくは置換基として、C−末端としてシステイン残基を有するヒトC5aのかかる類似体またはポリペプチド誘導体を含む。
化学的および酵素的開裂連鎖を用いる上記融合タンパク質の製造方法は、当業界では公知である。例えば、スミス、「メソッズ・イン・モレキュラー・バイオロジー」中、第3巻、「ニュー・プロテイン・テクニクス」、57−70および71−88頁(1984)、およびファン・ヘーケら、「プロテイン・エクスプレッション・アンド・ピュリフィケーション」4:265−74(1993)参照。一般に、融合相手は、宿主、例えばエシェリヒア・コリにおいて高度発現される遺伝子(またはそのフラグメント)である。エシェリヒア・コリの場合、適当な融合相手には、内在性エシェリヒア・コリ遺伝子および合成遺伝子、例えばエシェリヒア・コリ好適コドンを含むものがある。さらに、当業界では公知の他の融合相手、例えばヒトカルボニックアンヒドラーゼII(詳細については実施例16参照)も使用され得る。原則として、融合相手のサイズが小さいとき、ヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体の収率が高くなる。
本発明の非常に好ましい態様では、N−末端〜C−末端、融合相手、開裂可能なリンカーおよびそれに融合した状態でヒトC5aのポリペプチド誘導体といった順序で構成される融合タンパク質であって、上記ポリペプチド誘導体が実質的にアゴニスト活性を呈しないC5a受容体アンタゴニストであり、上記融合相手が細胞、好ましくはエシェリヒア・コリ細胞において封入体の形成を指令し得るポリペプチドである、融合タンパク質が提供される。
本出願人らは、予想外かつ驚くべきことに、本発明による融合タンパク質により、特に上記開裂可能なリンカーと共存する上記融合相手がヒトC5aの上記ポリペプチド誘導体のほぼアミノ酸長(または分子量)またはそれ未満のポリペプチドである場合、特にエシェリヒア・コリにおいて封入体形成を指令し得ることを発見した。すなわち、本発明の一実施態様は、上記融合タンパク質であって、融合相手が細胞、特にエシェリヒア・コリ細胞において封入体の形成を指令し得るポリペプチドである、融合タンパク質に関するものである。好ましいのは、上記開裂可能なリンカーと共存する上記融合相手がヒトC5aの上記ポリペプチド誘導体のほぼアミノ酸長(または分子量)またはそれ未満のポリペプチドである、融合タンパク質である。すなわち、例えば上述のヒトC5aの好ましいポリペプチド誘導体が64〜72アミノ酸長を有する場合、上記リンカーと共存する上記融合相手は好ましくはほぼ同じ長さ、好ましくは前記長さ未満、好ましくは42〜61アミノ酸またはそれ未満の長さを有する。上記融合相手自体は好ましくは40〜53アミノ酸長またはそれ未満の長さを有する。好ましくは、融合相手は、ヒトインターロイキン−1β(IL−1βまたはIL−IBとも称する)のN−末端フラグメントまたはその突然変異体を含む。熟練者が認めるところによると、点突然変異、例えばヒトIL−1β(Cys9Ser)のような単一点突然変異は、ヒト1L−1βのN−末端フラグメントにおいて誘発され得、その結果、封入体形成を指令し得るさらに好ましい融合相手が生成される。例えば、上記融合相手は、上記で述べたところによると、ヒトIL−1β(ディナレロ、「ブラッド」77:1627−52(1991))またはその突然変異体のアミノ酸残基1〜47を含む。所望によりさらに、上記融合相手は、例えばヒトIL−1βの上記N−末端フラグメントに対しC−末端に位置する3〜6個のアミノ酸長(ディナレロ、前出)を有するヒトインターロイキン1受容体アンタゴニスト(IL−1RAとも示す)の短いフラグメントを含む。当業界の熟練者であれば、標準的技術(例、融合相手のサイズ(長さ)を系統的に変えることによりC5a類似体融合タンパク質の発現力価を測定することによる)に従い融合相手の適当なサイズを決定することができる。
エシェリヒア・コリにおける発現に関して好ましい態様では、融合相手は、ハイブリッドタンパク質ヒトインターロイキン1ベータおよびインターロイキン1受容体アンタゴニストの53アミノ酸フラグメントをコード化する159−ヌクレオチドDNAによりコード化され、(ディナレロ、「ブラッド」77:1627−52(1991))、そのDNAはエシェリヒア・コリ好適コドンを含む。かかる融合相手は、例えばN−末端〜C−末端、上述されているヒトIL−1βまたはその突然変異体のアミノ酸残基1〜47およびヒトインターロイキン1受容体アンタゴニスト(ディナレロ、上記参照)のアミノ酸残基52〜57という順序で構成される。また、エシェリヒア・コリにおける発現に融合相手として好ましいのは、ヒトインターロイキン1ベータおよびインターロイキン1受容体アンタゴニストのハイブリッドタンパク質から成る50アミノ酸フラグメント(エシェリヒア・コリ好適コドンを含む150ヌクレオチドDNAによりコード化される)である。かかる融合相手は例えば、N−末端〜C−末端、上述のヒトIL−1βまたはその突然変異体のアミノ酸残基1〜47およびヒトインターロイキン1受容体アンタゴニスト(ディナレロ、上記参照)のアミノ酸52〜54という順序で構成される。
好ましい態様において、本発明の融合タンパク質の開裂可能なリンカーは、ヒドロキシルアミン感受性部位(Asn−Gly)(ヒドロキシルアミン開裂部位とも呼ばれる)(例、キャレイ、E.、クレイトン、T.E.(編):「プロテイン・ストラクチャー、ア・プラクティカル・アプローチ」中、IRプレス、オクスフォード、イギリス国(1989))を含む。所望によりさらに、かかるリンカーは、上記ヒドロキシルアミン開裂部位に対してN−末端に位置する、当技術分野(例、ファン・ヘーケら、「プロテイン・エクスプレッション・アンド・ピュリフィケーション」4:265−274(1993))で公知の、アミノ酸配列-Val-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys-(配列番号68)のエンテロキナーゼプロテアーゼ開裂部位を含み得、この場合上記リンカーは24ヌクレオチドDNAフラグメントによりコード化される。エシェリヒア・コリで発現させる場合、上記リンカーは、エシェリヒア・コリ好適コドンを含むDNA分子によりコード化される。熟練者であれば気付くように、上記リンカーと共存する上記融合相手の全長(または分子量)が生成されるヒトC5aのポリペプチド誘導体の長さ(または分子量)とほぼ同じまたはそれ未満である場合、上述の開裂部位(複数も可)を含むリンカーに追加のアミノ酸残基(複数も可)を含ませることにより、開裂が容易になり得る。例えば融合相手および上記開裂部位(複数も可)のいずれかの間に位置する追加的な1、2または3またはそれ以上のアミノ酸残基(複数も可)が存在し得る。別法として、複数の開裂部位が存在する場合、追加のアミノ酸残基(複数も可)は上記開裂部位の各2個間に存在し得る。
すなわち、好ましい態様において、本発明による融合タンパク質は、N−末端〜C−末端、上述のヒトIL−1βまたはその突然変異体のアミノ酸残基1〜47、およびヒトIL−1RAのアミノ酸残基52〜54、アミノ酸残基-Val-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys-Asn-Gly-(配列番号69)を含む開裂可能なリンカー配列、および上記ヒトC5aのポリペプチド誘導体という順序で構成され、ここで上記開裂可能リンカーのC−末端アミノ酸残基Glyは上記ポリペプチド誘導体におけるヒトC5aのN−末端アミノ酸残基Thrに対する置換基である。この明細書において、好ましいポリペプチド誘導体は、上記のもの、例えばアミノ酸残基の長さが64〜72、好ましくは71である本発明のポリペプチド誘導体である。上記誘導体の好ましい例は、C5a(1-71、Thr1GlyNCys27Ser、Gln71Cys)またはC5a(1-71、Thr1Gly、Cys27Ser、Hus67Phe、Gln71Cys)である。
本発明のさらに別の態様は、好ましい態様として上述した融合タンパク質をコード化するDNA分子に関するものである。例えば、好ましいのは、上述の融合タンパク質をコード化するDNA分子であり、この場合、上記融合相手は上述のヒトIL−1βまたはその突然変異体のアミノ酸残基1〜47、およびヒトIL−1RAのアミノ酸残基52〜57により構成されるか、または上記融合相手は上述のヒトIL−1βまたはその突然変異体のアミノ酸残基1〜47、およびヒトIL−1RAのアミノ酸残基52〜54により構成される。特に好ましい例は、N−末端〜C−末端、上述されたヒトIL−1βまたはその突然変異体のアミノ酸残基1〜47、ヒトIL−1RAのアミノ酸残基52〜54、アミノ酸配列-Val-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys-Asn-Gly-を含む開裂可能なリンカー、および請求項1記載のポリペプチド誘導体という順序で構成される、融合タンパク質をコード化するDNA分子であり、ここで上記リンカーのC−末端残基Glyは上記ポリペプチド誘導体におけるヒトC5aのN−末端アミノ酸残基Thrに対する置換基である。
本発明の別の態様は、上記の本発明による融合タンパク質をコード化するDNA分子に機能し得るように結合された所定の宿主において機能し得るプロモーターを含む、組換えDNA分子に関するものである。別の態様は、組換えプラスミドまたは、より広い意味で組換えベクターに関するものであり、それぞれ所定の宿主と適合し得、上記の組換えDNA分子を含む。上記組換えDNA分子、プラスミドまたはベクターそれぞれの好ましい具体例は、上記DNA分子および/または上記融合タンパク質に関連して上記で記載されたものである。
上記DNA分子、組換えDNA、プラスミドまたはベクターのそれぞれの製造方法は、上記方法と同様である。
一般に、C5a類似体コード化またはポリペプチド誘導体コード化合成遺伝子は、公知方法に従うことにより酵母において発現され得る。例えば、ロマノスら、「イースト」8:423−488(1992)、ゲーデル(編)、「メソッズ・イン・エンザイモロジー」6節、185:231−484(1990)、デヴィドウら、前出、およびUS4775622参照。酵母での発現を最適化するため、特に内在性KEX2プロテアーゼに関する標的であるArg−Arg対合を回避するために、DNA分子は酵母好適コドンを用いて製造されるべきである。N−末端として、メチオニンとは対立するものとしてグルタミンを使用すると、シグナル配列、例えばアルファ因子シグナル配列からのタンパク質分解的開裂が容易になる。さらに好ましくは、本C5a受容体アンタゴニストの様々な態様の潜在的グリコシル化部位、例えば64位のアスパラギンを排除する。
哺乳類細胞における本発明のC5a類似体-またはポリペプチド誘導体-コード化遺伝子の発現は、公知方法に従い遂行され得る。マニアティスら、前述の「哺乳類細胞におけるクローン化遺伝子の発現」、第16章参照。ヒト細胞における代表的発現方法は、ベルグら、「バイオ・テクニクス」14(6):972−978(1993)に開示されている。適当なヒト細胞には、公的に入手できるセルライン、例えばHeLA S3(ATCC CCL2.2)およびHEK293(ATCC CRL1573)がある。CHO細胞における発現は、例えばアッセルバーグスら、「フィブリノリシス」7:1−14(1993)に開示されている。適当なハムスターセルラインには、CHO-K1(ATCC CCL61)、BHK(ATCC CRL6281)、BHK-21(ATCC6281、CCL10およびCRL8544)がある。代表的なサル細胞は、CV−1(ATCC CCL70)、COS−7(ATCC CRL1650)およびVERO細胞(ATCC CCL81)である。適当なマウスセルラインは、C127(ATCC1804)である。好ましいセルラインは、ウリアウブら、「プロシーディング・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ」77:4216−4220(1980)に開示されたDHFR−マイナスCHOラインである。血清依存性セルラインの方がさらに好ましい。クラノら、
バイオ/テクノロジー
16:245−258(1990)参照。哺乳類宿主では、C5a類似体のグリコシル化または非グリコシル化形態が製造され得る。
すなわち、本発明のさらに別の態様は、全て上記に記載された、ヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体をコード化するかまたは融合タンパク質をコード化するDNA分子を含む、組換えDNA分子により安定して形質転換された組換え宿主に関するものである。好ましくは、上記組換え宿主は、細菌、真菌、昆虫、哺乳類および植物細胞から成る群から選択され、それらは熟練者の知るところである。いずれの場合でも組換え宿主として特に好ましいのはエシェリヒア・コリである。
好ましくは好都合な1段階方法を用いることにより、形質転換エシェリヒア・コリ細胞から単離されたヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体が復元され、C−末端システインが還元形態である、すなわち遊離チオール基を含む場合の生物活性を呈する。本出願人らは、予想外にも、還元剤対酸化剤のモル比が少なくとも約100:1〜約500:1である酸化還元対で変性の起こったC5a類似体を処理することにより、還元形態のC−末端システインを有する生物活性C5a類似体が得られることを発見した。この割合は、既知割合よりも約10倍〜約50倍大きい(10:1という還元スルフヒドリル対酸化スルフヒドリル化合物の好ましい割合は、ビルダーら、US4620948の17欄43−45行で開示されている)。この方法に従い、形質転換エシェリヒア・コリ細胞を、C5a類似体の生成を誘発するのに十分な条件下で培養後、変性および可溶化剤、例えば6MグアニジンHC1と混合すると、変性C5a類似体が生成され、所望により公知技術、例えば音波処理、フレンチ・プレスまたはダイノミルによりさらに粉砕してもよい。次いで、変性を起こしたC5a類似体を含む上記要領で混合または粉砕された細胞を、適当な条件下で還元剤/酸化剤の重量によるモル比が少なくとも約100:1〜約500:1の酸化還元対と混合すると、復元された生物活性C5a類似体が生成される。すなわち、本発明の別の好ましい態様は、ヒトC5aの生物活性ポリペプチド誘導体の製造方法であって、上記誘導体が実質的にアゴニスト活性を呈しないC5a受容体アンタゴニストであり、上記誘導体がN−末端としてグリシン残基を有するものであり、(1)DNA分子の発現誘発に適した条件下で上記ポリペプチド誘導体をコード化するDNA分子により安定して形質転換されたエシェリヒア・コリ細胞を培養し、(2)上記要領で培養された細胞を変性および可溶化剤と接触させることにより変性形態の上記ポリペプチド誘導体を製造し、そして(3)上記要領で変性を起こしたポリペプチド誘導体を、適当な条件下で還元剤対酸化剤のモル比が重量にして少なくとも約100:1である還元剤および酸化剤を含む溶液と混合することにより、生物活性形態のポリペプチド誘導体を製造するという段階を含む方法に関するものである。
適当な酸化還元対には、システイン/シスチンおよび還元グルタチオン/酸化グルタチオンが含まれる。当業界の他の熟練者であっても、他の酸化還元対を使用し得ることは認めるところである。グルタチオン酸化還元対が好ましい。適当な条件には、6.5〜7.5、好ましくは7.4のpHが含まれる。タンパク質の収率を最大にするのに十分な時間混合物を室温で放置する。好ましい時間は、約1/2時間〜約4時間である。すなわち、この方法により、細菌細胞から屈折力のある封入体(すなわち、発現されたタンパク質の不溶性塊)を分離し、次いでC−末端システインのチオール基を還元する必要が排除される。
融合タンパク質としてヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体を発現するのが望ましいことであり得るため、この発明のさらに別の態様は、上述の方法であって、上記DNA分子が融合タンパク質形態でポリペプチド誘導体をコード化する方法に関するものである。好ましくは、上記方法は、さらに上記混合段階の前に、発現された融合タンパク質を開裂する段階を含む。このため、ヒトC5aの生物活性C5a類似体またはポリペプチド誘導体の製造方法であって、上記類似体が実質的にアゴニスト活性を呈しないC5a受容体アンタゴニストであり、(1)上記ポリペプチド誘導体C5a類似体の融合タンパク質形態をコード化する組換えDNA分子により安定して形質転換された宿主細胞を培養し、ただし上記培養は上記融合タンパク質の発現誘発に適した条件下で行われるものとし、(2)上記要領で培養された宿主細胞から融合タンパク質を分離し、(3)上記要領で分離された融合タンパク質を開裂することにより、ヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体が得られるという段階を含む方法が提供される。
融合タンバク質および上記融合タンパク質に含まれるヒトC5aのポリペプチド誘導体の好ましい態様は、それぞれ上記の融合タンパク質またはポリペプチド誘導体である。好ましいポリペプチド誘導体は、アミノ酸残基の長さが64〜72であり、例えばC5a(1-71、Thr1Gly、Cys27Ser、Gln71Cys)またはC5a(1-71、Thr1Gly、Cys27Ser、His67Phe、Gln71Cys)である。上記方法のさらに別の反応条件は、上記の通りである。
C5a類似体またはそのポリペプチド誘導体が封入体として融合タンパク質形態で発現される態様は、ヒトC5aの生物活性ポリペプチド誘導体の製造方法であって、上記誘導体が実質的にアゴニスト活性を呈しないC5a受容体アンタゴニストであり、(1)上記ポリペプチド誘導体C5a類似体を融合タンパク質形態でコード化する組換えDNA分子により安定して形質転換された宿主細胞を培養し、ただし上記培養は封入体形態での上記融合タンパク質の発現誘発に適した条件下で行われるものとし、(2)上記要領で培養された宿主細胞から融合タンパク質を含む封入体を分離し、(3)上記要領で分離された封入体を変性および可溶化剤と接触させて、変性形態の融合タンパク質を生成し、(4)上記要領で分離された融合タンパク質を開裂することにより、ヒトC5aのポリペプチド誘導体が得られ、そして(5)上記要領で開裂された融合タンパク質を、適当な条件下、還元剤対酸化剤のモル重量比が少なくとも約100:1である還元剤および酸化剤を含む溶液と混合することにより、生物活性形態のポリペプチド誘導体が生成されるという段階から成る方法(ただし、段階3および4は同時または連続して行われる)に関するものである。
一般に、DNA分子、融合タンパク質、ポリペプチド誘導体および宿主細胞の好ましい具体例は、上述のものである。すなわち、好ましくは上記宿主細胞は、エシェリヒア・コリ細胞である。好ましい具体例において、上記組換えDNA分子は、N−末端〜C−末端、融合相手、開裂可能なリンカーおよび、それに融合して、ヒトC5aのポリペプチド誘導体という順序で構成され、上記ポリペプチド誘導体が実質的にはアゴニスト活性を呈しないC5a受容体アンタゴニストである、融合タンパク質をコード化する。上記で述べたところによると、上記誘導体は好ましくは、システイン残基を有し、C−末端が少なくとも2個のアミノ酸残基により先端切除されている点で、ヒトC5aの対応するC−末端領域とは異なるC−末端領域を含む。特に、上記誘導体はC−末端としてシステイン残基を有する。非常に好ましい具体例では、上記誘導体はN−末端としてグリシン残基を有する。
この方法を効果的に遂行させるために、上記開裂可能リンカーと共存する上記融合相手は、好ましくはヒトC5aの上記ポリペプチド誘導体とほぼ同じアミノ酸長(または分子量)のポリペプチドである。特に、上記融合相手は、上述のとおりヒトIL−1βのN−末端フラグメントを含む。例えば、上記融合相手は、上述のヒトIL−1βまたはその突然変異体のアミノ酸残基1〜47、およびヒトIL−1RAのアミノ酸残基52〜57により構成されるか、または上記融合相手は、上述のヒトIL−1βまたはその突然変異体のアミノ酸残基1〜47、およびヒトIL−1RAのアミノ酸残基52〜54により構成される。好ましい具体例では、上記リンカーはヒドロキシルアミン開裂部位を含む。さらに具体的には、上記リンカーは、N−末端〜C−末端、エンテロキナーゼプロテアーゼ開裂部位およびヒドロキシルアミン開裂部位という順序で構成される。
このため、かかる融合タンパク質は好ましくは、N−末端〜C−末端、上述のヒトIL−1βまたはその突然変異体のアミノ酸残基1〜47、ヒトIL−1RAのアミノ酸残基52〜54、アミノ酸配列-Val-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys-Asn-Gly-(配列番号69)を含む開裂可能なリンカー、および請求項1記載のポリペプチド誘導体という順序で構成され、ここで上記リンカーのC−末端残基Glyは、上記ポリペプチド誘導体におけるヒトC5aのN−末端アミノ酸残基Thrに対する置換基である。この誘導体は64〜72アミノ酸残基長であり得るか、または上述の別の好ましい長さを有し得る。この明細書における好ましいポリペプチド誘導体に関する例は、C5a(1-71、Thr1Gly、Cys27Ser、Gln71Cys)またはC5a(1-71、Thr1Gly、Cys27Ser、His67Phe、Gln71Cys)である。
特に、生成した融合タンパク質を含む封入体は、低速遠心分離(例、約3000xg)を用いる細胞溶解後定量的に採取され得るため、比較的高濃度のフラクションが得られ、次いでこれは適当に可溶化され得る。この方法は、発酵槽から採取された細胞の単位重量当たりの体積が20倍減少したものを用いるという利点を呈する。
その好ましい態様において、上記混合は上記要領で行われ、特にpHは約6.5〜約7.5である。好ましくは、上記混合は約1/2時間〜約4時間の期間行われる。酸化還元対は好ましくは、上記の通り、還元グルタチオン/酸化グルタチオンである。
別法として、ヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体は、例えば、標準的再生および精製計画、例えばビルダーら、US4620948に開示されたものに従って復元され得る。これらの方法に従うと、C−末端システインは付加物形態、例えばcys−cysまたはcys−グルタチオンとなる。従って、遊離チオール基を得るためには付加物をさらに還元しなければならない。本出願人らは、ヒトC5aの開示されたC5a類似体またはポリペプチド誘導体の付加物が、ここに記載されているとおり実質的にはアゴニスト活性を呈しないC5a受容体アンタゴニストとしても機能すること、そのため本発明の範囲内に含まれることを発見した。しかしながら、これらの標準復元技術を使用する場合、好ましい具体例を生成させるためには、さらに還元することが必要である。
復元後、ヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体は、所望の程度に精製され得る。代表的精製案には、限外濾過、ダイアフィルトレーション、ゲル電気泳動、クロマトグラフィー方法、例えばイオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、HPLC、逆相HPLC、セファデックスによる処理、透析、アフィニティー・クロマトグラフィーなどがある。当業界の熟練者であれば、精製案の組み合わせが使用され得ることは認めるはずである。
C−末端システイン残基を有する本発明のヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体は、標準的技術に従い酸化され二量体を形成し得る。すなわち、さらに別の態様は、ヒトC5aの第一および第二ポリペプチド誘導体を含む二量体であって、上記誘導体の各々が実質的にはアゴニスト活性を呈しないC5a受容体アンタゴニストであり、C−末端システイン残基を有し、上記第一および第二誘導体のシステイン残基がジスルフィド結合を介して結合されており、ヒトC5aの上記第一および第二ポリペプチド誘導体が同一または異なり得、さらにヒトC5aの上記第一および第二ポリペプチド誘導体の少なくとも一方が上記の、すなわちN−末端としてグリシン残基を有するヒトC5aのポリペプチド誘導体である、二量体に関するものである。好ましくは、かかる二量体では、上記第一および上記第二誘導体の各々のC−末端領域は、少なくとも2個のアミノ酸残基により先端が切除されている点で、ヒトC5aの対応するC−末端領域とは異なる。かかる二量体における好ましい具体例では、上記第一および第二誘導体の各々がヒトC5a誘導体C5a(1-71、Thr1Gly、Cys27Ser、Gln71Cys)である。二量体を製造するため、各単量体(類似体)のC−末端システインのチオール(−SH)基を酸化すると、ジスルフィド結合が生成される。ホモニ量体およびヘテロニ量体は「二量体」の語に包含される。
本発明の別の態様は、ヒトを含む哺乳類の治療または予防処置で使用される上記の本発明のヒトC5aのポリペプチド誘導体またはその二量体に関するものである。さらに別の態様は、ヒトを含む哺乳類におけるC5a仲介疾患または炎症状態を処置するための医薬組成物の製造を目的とする上記の本発明のヒトC5aのポリペプチド誘導体またはその二量体の使用に関するものである。
別の態様は、上記本発明のヒトC5aのポリペプチド誘導体またはその二量体の治療有効量および所望により医薬的に許容し得る担体を含む、ヒトを含む哺乳類におけるC5a仲介疾患または炎症状態の処置に有用な医薬組成物に関するものである。この明細書では、好ましいポリペプチド誘導体または二量体は、本発明による好ましい化合物として上述されているもの(上記参照)である。例えば、医薬組成物は、好ましくはヒトC5aのポリペプチド誘導体、すなわちC5a(1-71、Thr1Gly、Cys27Ser、Gln71Cys)または上記誘導体を含むその二量体を含む。
さらに別の態様は、哺乳類におけるC5a仲介疾患または炎症状態の処置方法であって、処置を必要とするヒトを含む哺乳類に上述の医薬組成物を投与する段階を含む方法に関するものである。さらに別の態様は、ヒトを含む哺乳類においてC5a仲介炎症を低減化させる方法であって、炎症の低減化に十分な程度補体活性化−誘発または悪化事象に対して一度に上記哺乳類に上述した医薬組成物を投与する段階を含む方法に関するものである。
特に、本発明のヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体およびその二量体は、補体系、より具体的にはC5aおよびアナフィラトキシンが関与する有害な状態または疾患の処置および/または予防に有用である。それらは、C5a伝達組織破壊および死の危険に瀕している哺乳類患者、特にヒトに投与されると治療上非常に有効である。一般に、これらの状態または疾患は、例えばC5aがタンパク質分解的に血清で生成される炎症疾患である。ヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体またはその二量体に反応する代表的な病状には、肺炎、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、特発性肺繊維症、肺炎症または傷害、慢性進行性肺膿疱異常性(discystic)繊維症、綿肺症、石綿誘発性炎症、心筋梗塞、心筋梗塞後炎症、虚血性心損傷、肝硬変、原発性胆汁性肝硬変炎症、慢性肝炎、膵炎、出血性膵炎、炎症性腸疾患、大腸炎、虚血性脳損傷、脳炎、髄膜炎における脳神経損傷、髄膜炎、ブドウ膜炎、パーチャー網膜症、免疫複合体仲介糸球体腎炎、腎皮質壊死、痛風、脈管炎、血清病、血管浮腫、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、リウマチ様関節炎、水疱性皮膚疾患、過敏症、乾癬、エンドトキシンショック、敗血症、重度外傷および火傷がある。それらはまた、移植拒絶に苦しむ患者、免疫抑制療法または大量輸血を受けている患者、医療装置に曝されている患者、血液透析およびロイコフェレシス(leukopheresis)後に肺機能不全を経験している患者を処置するため治療的に使用され得る。
さらにこれらの類似体、ポリペプチド誘導体およびその二量体は、特に再潅流、例えば虚血後の再潅流、および医療装置との循環的接触により誘発される状態における予防薬として、並びに移植拒絶を阻止するための治療用途を有する。この場合、C5a類似体または誘導体は、好適には炎症を誘発または既存の炎症状態を悪化させることが知られている事象の前または実質的に同時に投与される。
本発明のC5a類似体、ポリペプチド誘導体およびその二量体は、所望に応じて慣用的非毒性の医薬的に許容し得る担体、アジュバントおよび賦形剤を含む単位用量製剤で、タンパク質性医薬にとって治療上有効な経路、例えば非経口、鼻腔内、直腸または口内経路により投与され得る。「非経口」の語は、例えば皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内、動脈内注射および注入技術といったデリバリー方法を包含する。
本発明のC5a類似体またはポリペプチド誘導体(および二量体)の用量は、個々の患者にとって望ましい治療応答が得られるように変えられ得る。例えば、これは、特定アンタゴニストの活性、投与方法、処置される病状の重篤度、および患者の健康状態により異なる。所定の状態および患者に対する治療有効用量の決定は、当業界の熟練者レベルの範囲内である。一般に、1日に体重1キログラム当たり約1μg〜100mgの用量レベルが哺乳類宿主に投与される。好ましい用量レベルは、1日に体重1kg当たり約0.1mg〜約20mgの範囲である。C5a類似体は、長期間にわたり1回連続用量として患者に投与される。しかしながら、総有効用量は、所望ならば、多用量、例えば1日に2〜4回の個別用量に分割され得る。
本発明のC5a類似体またはポリペプチド誘導体(および二量体)は、公知の医薬的に許容し得る成分および製造方法の両方を用いて組成物に製剤化され得る。例えば、レミントンら、「ファーマシューティカル・サイエンシーズ」第15版、マック・パブ.(イーストン、ペンシルバニア)(1975)参照。非経口投与に適した組成物は、医薬的に許容し得る滅菌水性または非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョン、並びに使用直前に滅菌注射可能溶液または分散液に再構成される滅菌粉末を含む。適当な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒または賦形剤の代表的な例としては、水、エタノール、ポリオール類、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらの適当な混合物、植物油、例えばオリーブ油、および注射可能有機エステル類、例えばエチルオレエートがある。流動性は、コーティング材料、例えばレシチンの使用、要求される粒子サイズの維持(分散液の場合)、および界面活性剤を含む様々な手段により維持され得る。
これらの組成物はまた、補助薬剤、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールおよびソルビン酸、等張剤、例えば糖類、塩化ナトリウム、または吸収遅延剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含み得る。C5a受容体アンタゴニストは、遅効または持続放出または標的デリバリー系、例えばポリマーマトリックス、リポソームおよび微小球に組み込まれ得る。
注射可能製剤は、保菌性フィルターに通す濾過を含む多数の手段により、または使用直前に滅菌水または他の無菌注射可能媒質に溶解または分散され得る滅菌固体組成物形態で滅菌剤を混入することにより消毒され得る。
懸濁液は、C5a類似体、ポリペプチド誘導体またはその二量体および他の有効成分(あれば)に加えて、懸濁剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール類、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル類、微晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天-寒天、トラガカントゴムおよびそれらの混合物を含み得る。
直腸または膣投与用組成物は、通常本発明のポリペプチドを適当な非刺激性賦形剤または担体、例えばココア脂、ポリエチレングリコールまたは坐薬鑞など室温では固体であるが体温では液体であるため、直腸または膣腔で溶けて受容体アンタゴニストを放出するものと混合することにより製造され得る坐薬形態である。
眼病用製剤、眼用軟膏、散剤および溶液もまた、ここに開示された発明の範囲内に含まれる。
本発明のさらに別の態様は、本発明のポリペプチド誘導体または二量体に特異的な抗体であって、実質的にはヒトC5aとの交差反応性を呈しない抗体に関するものである。この抗体はポリクローナルまたはモノクローナルであり得る。好ましい抗体は、上述されている本発明のヒトC5aの好ましいポリペプチド誘導体または二量体に特異的なものである。例えば、本発明の好ましい抗体は、ヒトC5aのポリペプチド誘導体、すなわちC5a(1-71、Thr1Gly、Cys27Ser、Gln71Cys)に特異的である。別の好ましい抗体は、本発明の二量体に特異的であり、上記の第一および第二誘導体の各々はヒトC5a誘導体C5a(1-71、Thr1Gly、Cys27Ser、Gln71Cys)である。
本発明のヒトC5aのC5a類似体またはポリペプチド誘導体および二量体に特異的なポリクローナルおよびモノクローナル抗体は、標準技術に従い製造され得る。ポリクローナル抗体は、例えば、動物、例えばウサギ、ヤギ、ヒツジまたはウマにC5a類似体-またはポリペプチド誘導体-または二量体-担体タンパク質コンジュゲートを注射することにより産生され、それぞれ抗C5a類似体または抗ポリペプチド誘導体または抗二量体抗体が産生される。例えばA.ジョーンストーンおよびR.ソーペ、「イミュノケミストリー・イン・プラクティス」、ブラックウェル・サイエンティフィック・パブリケーションズ、オクスフォード(1982)参照。本発明のC5a類似体、ポリペプチド誘導体または二量体に特異的なモノクローナル抗体は、コーラーおよびミルスタイン、「ネイチャー」256:495−97(1975)に開示された技術に従い製造され得る。またピーターズ、J.H.、(編)「モノクローナル・アンティボディーズ」、スプリンガー・フェルラーク・ベルリン、ハイデルベルグ、ドイツ国(1992)参照。C5a類似体、ポリペプチド誘導体または二量体に特異的なポリクローナルおよびモノクローナル抗体は、実質的にはヒトC5aとの交差反応性を呈しない。「実質的には交差反応性(を呈しない)」という語は、抗C5a類似体、抗ポリペプチド誘導体または抗二量体抗体が呈するヒトC5aとの交差反応性が非常に低い(極僅かである)ため、生物試料における本発明C5a類似体またはポリペプチド誘導体または二量体に関する検定で内生C5aによる干渉が全く検出され得ないことを意味する。
本発明のC5a類似体−特異的、ポリペプチド誘導体−特異的または二量体−特異的抗体は、以前にC5a類似体、ポリペプチド誘導体または二量体をそれぞれ投与された対象における、循環している同物質の検出および定量、並びに循環しているC5a類似体の活性の調節、例えば中和に特に有用である。すなわち、本発明の別の態様は、活性調節を必要とする対象において本発明のヒトC5aのポリペプチド誘導体または二量体の活性を調節する方法であって、対象に本発明の抗体を好ましくは医薬組成物形態(下記参照)で投与する段階を含む方法に関するものである。本発明のさらに別の態様は、活性中和を必要とする対象において本発明のヒトC5aのポリペプチド誘導体または二量体の活性を中和する方法であって、対象に本発明の抗体を好ましくは医薬組成物形態(下記参照)で投与する段階を含む方法に関するものである。
本発明のヒトC5aの循環しているC5a類似体またはポリペプチド誘導体または二量体は、抗体を利用する標準免疫学的技術に従い検出され得る。一般に、流体または組織試料を対象から採取し、次いで類似体および抗体間に検出可能な免疫複合体を形成させ得るのに適した条件下、対象に投与されたC5a類似体に特異的な抗体と反応させる。かかる免疫複合体の形成は、試料中における類似体の存在の指標である。上記検定では、血漿または血清試料を用いるのが好ましい。しかしながら、組織、例えばある種の血液細胞、例えばPMNLもまた使用され得る。反応の存在および/または程度は、当業界で公知の様々な方法、例えば放射線免疫検定法、酵素免疫検定法、蛍光免疫検定法、蛍光顕微鏡法などで測定され得る。適当な定性および定量的免疫学的検定方法は、J.バトラー、「イミュノケミストリー・オブ・ソリッド-フェーズ・イミュノアッセイ」、CRCプレス(1991)に開示されている。
一般的には循環しているC5a類似体を検出する検定法を用いて、処置中の類似体のレベルをモニターする。すなわち、本発明のさらに別の態様は、対象における本発明のヒトC5aのポリペプチド誘導体または二量体の測定に関する定性的または定量的検定法であって、(1)対象から組織または液体試料を採取し、そして(2)抗体および誘導体間に検出可能な免疫複合体を形成(ここで、複合体の形成は対象における誘導体の存在の指標である)させ得るのに十分な条件下で本発明の抗体と試料を接触させるという段階を含む方法に関するものである。さらにかかる検定法は、対象におけるポリペプチド誘導体または二量体を定量する段階を含み得る。
さらに、本発明の抗体は、循環しているC5a類似体の活性を調節または中和するために医薬組成物において有利に使用され得る。このため、さらに別の態様は、本発明のヒトC5aのポリペプチド誘導体または二量体のインビボ活性の調節に有用な医薬組成物であって、誘導体の活性を調節するのに有効な量の本発明の抗体、および所望により医薬的に許容し得る担体を含む医薬組成物に関するものである。好ましいのは、上記抗体の量が上記誘導体または二量体のインビボ活性を実質的に中和するのに有効なものである上記医薬組成物である。
使用される抗体の量は、投与される類似体の量のモル当量である。組成物は対象に非経口投与され得る。静脈内注射は緊急事態では特に好ましい。抗体は、医薬的に許容し得る賦形剤、例えば食塩水またはリンガー溶液と組み合わせて単位用量注射可能形態で製剤化される。
以下、詳細な実施例により、本発明についてさらに説明する。当業界の熟練者が認めるところによると、実施例に記載された各製造または試験方法は、原則としてポリペプチド誘導体、二量体、融合タンパク質、DNA分子、プラスミド、ベクター、形質転換された宿主および抗体をそれぞれ製造または試験するのに適したものである。これらの実施例は、説明を目的としているのに過ぎず、特記していなければ限定を意図したものではないものとする。
実施例1
ヒトC5aコード化遺伝子の合成
ヒトC5a遺伝子は、オリゴヌクレオチドのカップリングにより合成される。この合成遺伝子のコドンの用い方は、エシェリヒア・コリでの最適な発現を目的として設計されている。合成方法は図1で説明されている。その方法は、AUGコドンの与える翻訳開始頻度が他のコドンの場合よりもかなり高いためThrからMetに変えられたN−末端残基をもつ5フラグメントの縮合を含む。フラグメント1は、シャインーデルガーノ配列および合成遺伝子のATG開始コドンをコード化する。フラグメント2−5はC5a遺伝子をコード化する。
オリゴヌクレオチド合成:
オリゴヌクレオチドは、固相ホスファーアミダイト方法によりジーン・アセンブラー(ファーマシア)で合成される。完全合成されたオリゴヌクレオチドは、固体支持体から開裂され、55℃で16時間濃NH 4OHとのインキュベーションにより脱保護される。次いで、オリゴヌクレオチドをプレパラティブゲル電気泳動により精製する。使用されるアクリルアミド濃度は、長さが70塩基対よりも大きいオリゴヌクレオチドの場合の10%から40塩基対より小さい場合の20%に変化した。電気泳動後、オリゴヌクレオチドをUVシャドウィングにより明視化し、主要高分子量フラグメントをゲルから削り取る。ゲル薄片をガラス棒により試験管中で微粉化し、37℃で16時間3.0mlの0.1モル重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)緩衝液(pH7.5)中でのインキュベーションによりDNAを抽出する。
ゲル残存物を遠心分離により除去し、セップ・パックC−18カラム(ウォーターズ・アソーシエイツ)でのクロマトグラフィーによりオリゴヌクレオチドを単離する。10mlのアセトニトリル、50ミリモルTEAB中30%アセトニトリル5mlおよび10mlの25ミリモルTEABで連続洗浄することにより、カラムを予め平衡状態にする。オリゴヌクレオチドを適用し、10mlの25ミリモルTEABで洗浄し、35.5ミリモルTEAB中50%アセトニトリル5mlによりカラムから溶離する。フラクションを集め、260nmでの吸光度により測定されるオリゴヌクレオチドを含むものをスピードヴァック(セイヴァント)で乾燥する。
オリゴヌクレオチドのアニーリングおよびカップリング:
アニーリング前、各オリゴヌクレオチドを5'末端でリン酸化する。キナーゼ反応混合物は、12ミリモルのMgCl 2、1ミリモルのDTT(ジチオトレイトール)および2ミリモルのATPを含む、pH7.5で77ミリモルのトリス40μlの総体積中1μgのオリゴヌクレオチドを含む。10単位のT4ポリヌクレオチドギナーゼを加えることにより反応を開始させ、37℃で40分間続行させる。10μlの滅菌水を各キナーゼ反応物に加え、48μlの相補オリゴヌクレオチドを加え、混合し、78℃の加熱ブロックに置く。加熱ブロックを消し、混合物を30℃に放冷する。次いで、試料を68℃で10分間第二の加熱ブロックに置き、再びブロックを消し、混合物を26℃に放冷する。アニーリングされた遺伝子フラグメントを用いて、ファージM13mp18(ニューイングランド・バイオラブズ)において遺伝子を組み立てる。M13mp18においてC5aコード化遺伝子を組み立てる方法は、3回のライゲーション反応を必要とする。
適当な遺伝子フラグメントをM13mp18へ各ライゲーション反応させた後、エシェリヒア・コリJM101をライゲーションされたM13DNAにより形質転換する。組換えクローンからM13ファージを単離した後、構築物の配列分析をする。最終C5a遺伝子をM13mp18へクローン化すると、M13mp18/C5a(Thr1Met、1-74)が得られる。C5a(1-74)遺伝子を、プラスミドpTZ19RおよびpKK223-3(両方ともファーマシアから誘導された)から誘導されたpB−6ベクターへサブクローン化すると、pB−6/C5a(Thr1Met、1−74)が得られる。図2参照。
実施例2
C5a遺伝子の位置指定突然変異導入法
オリゴヌクレオチド指定インビトロ突然変異導入システムバージョン2(アマーシャム)、C5a含有ベクターM13mp18/C5a(1-74)からの1本鎖DNAおよび突然変異原性オリゴヌクレオチドを用いることにより、位置指定突然変異導入が遂行される。C5aにおける突然変異Cys27Serは、製造業者により与えられた手順に従い、突然変異原性オリゴヌクレオチド、ACGGTGCTTCTGTTAACA(配列番号6)を用いて行われる。正確なCys27Ser突然変異に対するジデオキシDNA配列決定法により、4プラークを分析する。正確な突然変異体クローンのーつから2本鎖DNAを単離し、PstIおよびBamHIで制限する。突然変異を含む230bpフラグメントをpB−6ベクターにサブクローン化する。生成したプラスミド、pB−6/C5a(1-74、T1M、C27S)についても、ジデオキシ方法により配列決定し、突然変異を確認する。
実施例3
C5a遺伝子のカセット突然変異誘発
プラスミドpB−6/C5a(1−74、T1M、C27S)またはpB−6/C5a(1-74、T1M)を、EcoRIおよびHindIIIで制限し、同様に同酵素により制限されたベクターpWCBにおいてサブクローン化すると、C5a(1-74、T1M、C27S)をコード化する遺伝子を含むプラスミドpWCB112、およびC5a(1-74、T1M)をコード化する遺伝子を含むpWCB100がそれぞれ生成される。次いで、プラスミドをカセット突然変異誘発で使用すると、一連の新規遺伝子が製造される。カセット突然変異誘発で使用されるオリゴヌクレオチドは、アプライド・バイオシステムズ381A DNA合成装置により、製造業者の使用説明書に従い固相ホスファーアミダイト化学作用を用いで製造される。
約60μgのpWCB112を含む10μlのTEを、60UのPVUIIを含む6μlおよび60UのHindIII(ニューイングランド・バイオラブズ)を含む3μlおよび10×高塩緩衝液(1モルのNaCl、0.5モルのトリス/HCl、pH7.5、0.1モルのMgC 12、10ミリモルのDTT)10μlおよび71μlのddH 2Oと混合し、総体積100μlとする。この溶液を37℃で16時間インキュベーションする。こうして線形にされた約4.5Kbのベクターを、1%アガロースゲルを用いるプレパラティブ電気泳動により精製し、次いで削り取られたアガロースゲル薄片からDNAフラグメントを電気溶出する。回収されたDNAフラグメントをエッペンドルフ管に移し、1mlの無水エタノールを加え、管をエッペンドルフ遠心機中14000rpmで10分間遠心分離にかける。DNAペレットを真空乾燥し、それに続いて45μlのTE緩衝液(10ミリモルのトリス/HCl、pH7.4、1ミリモルのEDTA含有)に溶かすと、pWCB112/Aが得られる。
1本鎖オリゴヌクレオチドの35bp−配列 5'CTGCGTGCTAACATCTCTCACAAAGACATGTGCTA3'(配列番号7)および39bp−配列 5'AGCTTAGCACATGTCTTTGTGAGAGATGTTAGTTAGCACGCAG3'(配列番号8)を、8%ポリアクリルアミドゲルでのプレパラティブ電気泳動により精製する。電気泳動後、オリゴヌクレオチドをUVシャドウイングにより明視化し、適当なフラグメントをゲルから削り取る。ゲル薄片を試験管中でガラス棒により微粉化し、37℃で16時間pH7.5の0.1モルTEAB緩衝液3.0ml中でインキュベーションすることにより、DNAを抽出する。ゲル残存物を遠心分離により除去し、セップ・パックC−18カラム(ウォーターズ・アソーシエイツ)でのクロマトグラフィーによりオリゴヌクレオチドを単離する。10mlのアセトニトリル、50ミリモルTEAB中30%アセトニトリル5mlおよび10mlの25ミリモルTEABで連続洗浄することにより、カラムを予め平衡状態にする。オリゴヌクレオチドを適用し、10mlの25ミリモルTEABで洗浄し、35.5ミリモルTEAB中50%アセトニトリル5mlによりカラムから溶離する。
フラクションを集め、260nmでの吸光度により測定されるオリゴヌクレオチドを含むものをスピードヴァック(セイヴァント)で乾燥する。35および39bpのオリゴヌクレオチドのアニーリングは、等量の各オリゴヌクレオチドを、0.01モルMgCl 2含有0.05モルのトリス/HCl、pH7.6を含むクレノウ緩衝液と混合し、試料を10分間95℃に加熱し、それに続いて2時間かけて室温に冷却することにより行われ、その結果2本鎖DNAが形成され、制限ベクターpWCB112/Aへのライゲーションが行われる。2本鎖DNAは、1μl、2UのT4 DNAリガーゼ(BRL)と共にベクターに対し3倍過剰の挿入体を用いて、制限ベクターpWCB112にライゲーションされる。この反応は、4℃で17時間行われる。
本質的に同じ技術を用いて、単に異なるオリゴヌクレオチドおよびpWCB100またはpWCB112を用いることにより、若干の分子が製造される。それらは下記表2に示されている。
類似体番号10−20はアゴニストであり、本発明の範囲外である。それらは比較目的で記載されている。類似体番号8の二量体形態の製造は、下記実施例5cに記載されている。それは類似体番号22と命名されている。
C5a類似体番号21をコード化するポリヌクレオチドの完全なヌクレオチド配列は、下記表3に示されている。
しかしながら、当業界の熟練者であれば、遺伝子コードの縮重故に、同一C5a類似体をコード化する多くのポリヌクレオチドが製造され得ることは認めるはずである。例えばワトソンら、「リコンビナントDNA」、第2版、フリーマン、ニューヨーク(1993)参照。
実施例4
エシェリヒア・コリにおけるC5aおよびC5a類似体の発現
発現を達成するため、表1に示されたC5a類似体に対する合成遺伝子を、pWCBベクター、BamH1部位が欠失し、PvuII部位がPvuI部位に変えられ、イソプロピルーチオーベータ−D−ガラクトシド(IPTG)−誘導性tac−プロモーターおよびアンピシリン耐性遺伝子を含む修飾発現ベクターpKK223−3(ファーマシア)においてサブクローン化する。エシェリヒア・コリ株LCIQは、ゴフら、「プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ」81:6647−6651(1984)に開示された株LC137(ion、htpR)の誘導体である。それは、株DH5アルファF’IQ(BRLラボラトリーズ)からのlacIQをコード化するFプライム因子を含み、発現プラスミドに対する宿主である。OD 550が1に達するまで、適当な発現プラスミドを含むエシェリヒア・コリLCIQをLB肉汁中30℃で生長させる。培養物を3時間2.5ミリモル最終濃度でIPTGにより誘導する。細胞を遠心分離により採取し、使用時まで−80℃で貯蔵する。
実施例5a
C5aおよびC5a類似体の再生および精製
組換えタンパク質は、実施例4からの冷凍エシェリヒア・コリ細胞ペーストアリコートから、6モルのグアニジニウム塩酸塩を含む緩衝液中で解凍(5:1v:w、緩衝液:細胞ペースト)後に単離される。次いで、細胞を音波処理により破壊し、生成物を、1ミリモルのシステインおよび1ミリモルのシスチンまたは1ミリモルの還元/酸化グルタチオンを含む50ミリモルのトリス/HCl緩衝液(pH8.0)に対して一夜透析し、復元を促進する。次いで、6NのHClを加えることにより、透析物をpH3に酸性化する。沈澱物を遠心分離により除去し、30分にわたって0.1%TFAの存在下水中25%〜35%のアセトニトリルの直線勾配を用いてデルタ・パックC18、100オングストローム、15ミクロンの逆相HPLCカラム(ウォーターズ)で上清を精製する。約28%アセトニトリルでカラムから溶離する主要ピークを集め、凍結乾燥する。このフラクションは、C5a類似体のグルタチオン-付加物(表1における類似体5、7、8、9および21の付加物)またはC5a類似体のシステイン-付加物(類似体番号8の付加物、表1)を含んでいた。
C5a類似体遺伝子産物のシステイン付加物約0.002ミリモルを、0.1モルのトリス緩衝液(pH7.4)50mlに溶かす。0.02ミリモルのDTTを加える。4時間後、C−末端cys−cys連鎖の約80%は遊離システインに変換され、生成物を、30分間0.1%TFAの存在下水中25%〜35%のアセトニトリルの直線勾配を用いて、C4、15ミクロン、300オングストロームの逆相カラム(オールテック)で精製する。約29%アセトニトリルで溶離する生成物を含むフラクションを凍結乾燥し、次いで4℃で貯蔵し、真空乾燥する。
実施例5b
C5aおよびC5a類似体の再生および精製
組換えタンパク質は、実施例4からの冷凍細胞エシェリヒア・コリペーストのアリコートから、6モルのグアニジニウム塩酸塩を含む緩衝液中で解凍(5:1v:w、緩衝液:細胞ペースト)後に単離される。次いで、細胞を音波処理により破壊し、生成物を、1ミリモルの還元/0.01ミリモルの酸化グルタチオンを含む100ミリモルのトリス/HCl緩衝液(pH7.4)により20倍に希釈する。4時間後、6NのHClを加えることにより、溶液をpH3に酸性化する。生成した沈澱物を遠心分離により除去し、30分にわたって0.1%TFAの存在下25%〜35%のアセトニトリルの直線勾配を用いてデルタ・パックC18、100オングストローム、15ミクロンの逆相HPLCカラム(ウォーターズ)で上清を精製する。約30%アセトニトリルでカラムから溶離する主要ピークを集め、凍結乾燥する。こうして単離されたC5a類似体は、還元チオール基を有するC−末端システインを有する。
実施例5c
C5a類似体二量体の形成
C−末端領域に遊離チオール基を有するC5a類似体は、単量体形態(実施例5b記載の再生後)から二量体形態に変換される。
組換えタンバク質は、実施例4からの冷凍エシェリヒア・コリペーストアリコートから、100ミリモルのトリス/HCl(pH7.4)中1ミリモルの還元/0.01ミリモルの酸化グルタチオン混合物を用いて実施例5bによる再生後に単離される。4時間後、6NのHClを加えることにより、溶液をpH3に酸性化する。生成した沈澱物を遠心分離により除去し、25ミリモル緩衝液(pH7.0)で平衡状態にしたSP−スフェロデックス/イオン交換カラムに上清を吸着させる。25ミリモルのトリス(pH7.0)でカラムを洗浄後、C5a類似体は、0.75モルのNaClを含む25ミリモルのトリス(pH7.0)によりカラムから溶離される。部分精製C5a類似体を蟻酸によりpH3.0にし、蒸留水で希釈すると、約45mS/cmの伝導性を有するタンパク質溶液が得られ、0.6モルのNaClを含む、pH3.5で50ミリモル蟻酸中平衡状態に達したSP−高性能/イオン交換カラムに吸着させる。C5a類似体は、pH3.5で50ミリモル蟻酸緩衝液中0.6−1.0モルNaClの直線勾配を用いてカラムから溶離される。
約0.725モルのNaClでカラムから溶離する主要ピークを集める。そうして単離されたC5a類似体は、還元チオール基を有するC−末端システインを有する。25%アンモニア水溶液でpH7.0に調節し、溶液を貯蔵すると、分子はその二量体形態に変換される。pH7.0および約0.3−0.6mg/mlのタンパク質濃度および4−8℃での貯蔵では、変換は2日で少なくとも80%完了する。C5a類似体の二量体形態は、最終的に30分かけて0.1%TFAの存在下25%〜40%アセトニトリルの直線勾配を用いるデルタ・パックC18、100オングストローム、15ミクロン、逆相HPLCカラム(ウォーターズ)で精製される。約33%アセトニトリルでカラムから溶離する主要ピークを集め、凍結乾燥する。こうして単離された分子は、エシェリヒア・コリ発現系により産生されたC5a類似体の二量体である。
実施例6
受容体結合検定法
C5aおよびC5a受容体アンタゴニストを、C5a受容体に対するそれらの親和力について試験する。PMNL膜に対する、ハリスら、「ジャーナル・オブ・レセプター・リサーチ」11:115−128(1991)に記載された要領で製造された[125]BH−標識C5aの結合性を、ロリンスら、「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」、263:520−526(1988)に記載された要領に従い、ただしブラウンウォルダーら、「モレキュラー・イムノロジー」29(11):1319−1324(1992)に記載された修正を加えて測定する。PMNLを、Ca ++およびMg ++不含有で、10ミリモルのHEPES(pH7.3)、2.5ミリモルのMgCl 2、100単位/mlのデオキシリボヌクレアーゼI、0.1ミリモルのPMSF、10μg/mlのアプロチニンおよび10μg/mlのロイペプチンを含むハンクス平衡塩溶液に再懸濁する。次いで、それらを窒素キャビテーションボンベ中400psiで20分間4℃で平衡状態にする。25ミリモルEDTAおよび上記列挙のプロテアーゼ阻害剤を含む3倍容量の0.5モルのKHCO 3中へ排出後、ゼラチン質物質をピンセットで除去し、混合物を400×gで10分間4℃で遠心分離にかける。生成した上清を、4℃で60分間50000×gで遠心分離にかける。200×10 6細胞を示すアリコートからのペレットを−70℃で貯蔵する。結合試験するため、これらの膜を、20×10 6細胞/mlの当量で1ミリモルのCaCl 2、5ミリモルのMgCl 2、0.1ミリモルのPMSF、0.1%のバシトラシンおよび0.5%のBSAを含む50ミリモルHEPES(pH7.3)に再懸濁する。同緩衝液でさらに1:75に希釈後、50μlの[125]BH−C5a(比活性2200Ci/ミリモル、最終濃度4.0ピコモル)および50μlの緩衝液または試験されるC5a類似体を阻害剤特性に対して様々な濃度で含むデュプリケート管に、この懸濁液400μlを加える。
10ナノモル非標識C5aの存在下で非特異的結合を測定する。PMNL膜を加えることにより結合反応を開始させ、4℃で120分間続行する。細胞採取装置(ブランデル、ガイザーズバーグ、メリーランド)を用いて0.05%PEI(ポリエチレンイミン)により90分間前処理したGF/Cガラス繊維フィルター(ホワットマン)による真空濾過により、結合および遊離放射能を分離する。3×5mlの氷冷5ミリモルのトリス緩衝液(pH7.4)でフィルターを洗浄し、マルチウェルのガンマカウンター(ジーンシス)で計数する。非線形回帰分析プログラム、RS/1(ボルト、ベラネックおよびニューマン、ボストン)を用いてデータを分析し、IC 50値として表す。結果は、チェング-プレソフ等式を用いKi値として下記表4に示されている。ブラウンウォルダーら、前出参照。
これらの結果は、本発明のC5a類似体が、ナノモル単位のKiをもつ野生型C5aと競合的に置き換わることを示している。本発明のC5a類似体が有する、ブラウンウォルダーら、前出(放射性リガンド、[125I]ボルトン−ハンター標識C5a使用)で開示された競合的置換検定においてKiとして測定されるC5a受容体に対する親和力は、約1.0×10 -8モル未満、好ましくは約2.0×10 -9モル未満、およびさらに好ましくは約1.0×10 -10モル未満である。
実施例7
C5a誘導Ca++増加
組換えヒトC5aを、0.01%トウィーン−20を含むハンクス緩衝液に溶かし、C5aの全貯蔵希釈液をこの緩衝液で製造する。フラ−2(フラ2AM、モレキュラー・プローブス)のアセトキシメチルエステルをDMSOに溶かす。6%ヘタスターチ(ヘスパン、デュポン、ワウケーガン、イリノイ)における沈降、次いでチャプマン-キルクランドら、「ジャーナル・オブ・イミュノロジカル・メソッズ」142:95−104(1991)に記載された向流水簸により好中球をヒト末梢血から精製する。精製された細胞(2×10 6/ml)を、0.2マイクロモルのフラ−2AMと混合し、カルシウムまたはマグネシウム不含有のHEPES緩衝ハンクス溶液中37℃で30分間インキュベーションする。検定の15分前、撹拌棒を含むキュベット(curvette)に細胞懸濁液を移し、カルシウムを加えて1ミリモルとする。細胞懸濁液を37℃で撹拌しながらインキュベーションする。5時間の細胞精製時間内に検定は終結され、細胞応答が実験の時間中変化していないことを確実にするため、標準対照応答を定期的に得る。SLM8000分光蛍光計(SLM−アミンコ・インスツルメンツ、ウルバナ、イリノイ)を用いて、蛍光量を測定する。キュベットを蛍光計中に置き、10秒間基準線を得た後、アンタゴニスト特性について試験されるC5a受容体アンタゴニストを加え、340nm/380nmの蛍光励起割合(510nmの放出)における変化があればそれを測定する。類似体を加えた40秒後、対抗量のC5aを加えて100ピコモルの最終濃度とし、生じた励起割合における変化を測定する。
IC 50値をアンタゴニスト効力の尺度として使用する。これらの値は、100ピコモルC5a対抗量のカルシウム増加応答を50%減らすのに必要とされるC5a類似体濃度として定義される。EC 50値は、アゴニスト効力の尺度として使用される。EC 50は、類似体によりもたらされる最大カルシウム増加応答の50%を誘導するC5a類似体の濃度として定義される。結果を下記表5に示す。
Ca5類似体番号7は、1.0×10 6モルの濃度以下で試験される。C5a類似体番号8は3.0×10 -6モルの濃度以下で試験され、類似体番号9は1.5×10 6モルの濃度以下で試験され、類似体番号21は8.0×10 -7モルの濃度以下で試験される。アゴニスト活性は、どの場合にも検出されない。これらの結果と、上記表2に示された結果とを集合的に分析すると、本発明の類似体は、C5aの競合的阻害剤として機能することが示唆されている。それらは、最高の効力を獲得するためには、類似体のC−末端が、非複合体形成システインまたはジスルフィド結合により本発明の別のC5a類似体と複合体を形成するシステイン残基であるべきことを示している。
実施例8
炎症のウサギ皮膚モデル
実験は全て、体重2.5−3.0kgの雄のニュージーランド白ウサギにおいて遂行される。ウサギの背中を剃り、40−50の皮膚部位に色の異なるマーカーで印をつける。様々な刺激物質(すなわち、C5a、C5a類似体、C5a+C5a類似体、賦形剤対照など)を、無菌で使い捨ての26ゲージ、0.5インチ針および1.0ccツベルクリン注射器を用いて、0.1ml/部位の割合で皮内注射する。安楽死させるほぼ45分前に、6反復実験において皮内注射を投与する。C5a単独を50ng/部位の用量で注射し、同用量のC5aと共にC5a受容体アンタゴニストを様々な濃度で同時注射する。安楽死の20分前に、1.0mlの生理食塩水中18−36μCiの[1251]−標識牛血清アルブミンを、末端耳静脈から全身循環系へ導入する。45分後、ウサギを静脈内過剰量のペントバルビタールナトリウムにより安楽死させる。末梢血の5.0ml試料を、心臓穿剌により入手し、2000rpmで10分間遠心分離にかけ、1.0mlの血漿を集め、血漿中の[125I]の量を測定するための対照標準として使用する。死後、背部の皮膚を摘出し、木製解剖台にピンで留める。皮膚の主要脈管構造の血液を周辺に向かって手で絞り出す。この操作により、皮膚部位間の変動が減り、バックグラウンド放射能も減少する。次いで、15mmコルク穿孔器および小槌の補助器具により外部皮膚から炎症病変部に穴をあけ、12×75mmポリスチレン管中に入れる。次いで、注射部位を、ガンマカウンター(ジーンシス)を用いてそれらの放射能含有量について分析する。血管から滲出した、炎症部位に局在する[125I]−標識牛血清アルブミン(BSA)の量は、血管透過性の強化度合いに直接比例することが見いだされた。C5a類似体のID 50値は、同じ部位での50ngのC5a同時注射によりもたらされる放射能の50%減少を誘発するC5a類似体の用量である。
C5a類似体番号8(表1で)は、70ng/部位のID 50を有することが見いだされ、175ng/部位の用量では前炎症反応を誘発しない。この結果は、類似体がインビボアンタゴニストであり、インビボでアゴニスト特性を呈しないことを示している。
実施例9
ウサギにおけるC5a−誘導ニュートロペニア(neutropenia)
実験は全て、体重2.5−3.0kgの雄のニュージーランド白ウサギにおいて遂行される。1.0mg/kgキシラジンおよび50mg/kgケタミンを組み合わせて筋肉内投与することにより、ウサギに麻酔をかける。25ゲージのバタフライカテーテルを外側耳静脈に挿入して、注入に使用する。各血液試料(0.2ml)を中央耳動脈から25ゲージ、5/8インチ針を取り付けたプラスチック注射器中に集め、抗凝血物質として7.5%EDTAで満たす。即座に血液を10マイクロリットルの7.5%EDTAを含む微細遠心管中に絞り出す。初期動脈血試料(#1)を入手し、その直後に賦形剤または実施例8のC5a類似体を静脈内注入(ボーラス注射)する。20秒後、第二の血液試料(#2)を入手し、その20秒後に0.2ml中100ngのC5aを静脈内注入(ボーラス注射)する。20秒後、第三血液(#3)試料を採取する。30分後、第2回の血液試料(#4)--20秒--C5a注入--20秒--血液試料(#5)を行う。ウサギ血液に特異的なソフトウェアを用いる自動血液分析法(テクニコンH*1)により、血液試料を評価する。C5aにより誘導される好中球数(1ミリリットル当たりの数)の減少(C5a誘導ニュートロペニア、血液試料#3〜#2および#5〜#4を比較することにより測定)を、賦形剤処置およびC5a類似体処置動物間で比較する。C5a類似体が、正常動物からの基準線の好中球数を改変することはない、すなわち、C5a類似体はアゴニスト的(C5a様)特性を呈しない。C5a類似体処置ウサギにおけるC5a誘導ニュートロペニアは、40秒および30分C5a攻撃間隔でそれぞれ67%および41%と賦形剤処置ウサギの場合と比べて顕著に(P>0.05)阻害される。これらの結果は、C5a類似体の全身投与による効果を立証している。
実施例10
C5a類似体とデカペプチドH-Ile-Ser-Phe-Lys-Asp-Met-Gln-Leu-Gly-Arg-OH(配列番号52)の受容体結合およびC5a誘導カルシウム増加比較。
5種のC5a類似体(表2における番号5、7、8、9および10)を製造し、C5a受容体結合およびC5a受容体カルシウム増加検定にかけ、オルら、「ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー」35:402−406(1992)における表1(14番)に開示された合成デカペプチドと比較する。この実験の結果を下記表6に示す。
これらの結果は、試験されたC5a類似体が、受容体に対してデカペプチドよりも14000−10000倍大きい結合親和力を有することを示している。上記データはまた、記載されたC5a類似体が、実質的にはアゴニスト活性を呈しないC5a受容体アンタゴニスト分子であるが、デカペプチドは顕著なアゴニスト活性を呈することを示している。
実施例11
C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)に特異的なポリクローナル 抗体の製造
抗原製造
製造業者の説明書に従い、ピアス・ケミカル・カンパニー(ロックフォード、イリノイ、アメリカ合衆国)製のイムジェクト/イムノゲンEDCコンジュゲーションキット・を用いて、1mgのC5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)を、2mgのキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)にコンジュゲートする。3500cpmの 125I−C5a(ニューイングランド・ヌクリアー、ボストン、マサチューセッツ)を加えることにより、コンジュゲーション効率を追跡する。コンジュゲートの最終体積は、0.34mgのC5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)(0.15mg/ml)および推定0.9mg/mlのKLHを含む2.25mlである。
抗C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)抗血清の製造
C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)コンジュゲート(0.5ml)を、0.5mlのフロイント完全アジュバント(シグマ・ケミカル・カンパニー、セントルイス、ミズーリ)によりホモジネートする。雌のニュージーランド白ウサギをミルブロック・ファームズ(アムハースト、マサチューセッツ)から購入し、肩甲骨領域の2部位に皮下注射(1部位当たり0.2mlホモジネート)する。21日後、この操作を反復する。フロイント不完全アジュバント(シグマ)を用いてさらに注射を行う。合計55日後、第3の注射を行い、126日目に第4の注射を行う。各注射後3週間から5週間の間ウサギから血液(約30ml)を採取し、凝固させ、血清を除去する。
抗体吸着用のペプチド固定化
上記と同様、ピアス・ケミカル・カンパニー製のイムジェクト/イムノゲンEDCコンジュゲーションキットを用いて、C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)またはC5a(1mg)を、2mgの牛血清アルブミン(BSA)にコンジュゲートし、 125I−C5aを加えて効率を追跡する。C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)/BSAの最終体積は、0.25mg/ml C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)で2.25mlであり、C5a/BSAの場合、最終体積は、0.32mg/ml C5aで2.25mlである。両コンジュゲートとも、推定0.9mg/mlのBSAを含んでいた。
2つのペプチドコンジュゲートを、炭酸ナトリウムでpH8.6の緩衝液にした0.2モル炭酸水素ナトリウムに対して透析する。各コンジュゲートについて、同緩衝液中で予備洗浄された2mlのAH(アミノヘキシル)−アガロースゲル(シグマ・ケミカル・カンパニー、セントルイス、ミズーリ)を、グルタルアルデヒドを加えて1%v/vの最終濃度とし、20℃で15分間インキュベーションすることにより活性化する。ゲルを緩衝液中で十分洗浄することにより、グルタルアルデヒドを除去し、次いでコンジュゲート溶液を加え、20℃で1時間インキュベーションする。非結合タンパク質をゲルから洗い落とし、残存している結合部位を0.2モルのグリシルグリシン20mlと4℃で一夜インキュベーションすることにより遮断する。ゲルを0.5cm×10cmガラスカラム中に詰め入れ、0.1%アジ化ナトリウム含有ダルベッコのリン酸緩衝食塩水、pH7.2(PBS−A)で十分洗浄する。
アフィニティー・クロマトグラフィー
C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)により免疫化したウサギから採取した血清を、2ml/時でC5a/BSAカラムに通す。カラムから出現する吸着した抗血清を集める。カラムを、0.05モルのリン酸ナトリウムでpH7.2の緩衝液にした0.1%アジ化ナトリウム含有0.5モルNaClで十分洗浄する。結合抗体を3モルのチオシアン酸アンモニウムにより除去する。溶離している抗体は、280nmで読み取り0.2OD最大偏差で設定されたインラインUVモニターを用いて検出される。血清を最初2回通した後、溶離している抗体を集め、即座にPBS−Aに対して透析し、次いで限外濾過により1mg/ml前後に濃縮する。このプロセスを各血清バッチに対して数回反復する。C5aカラムから溶離しているタンパク質がそれ以上検出されなくなると、血清は吸着されたと考えられる。
次いで、吸着された抗血清を、C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)免疫吸着カラムに通す。結合抗体を3モルのチオシアン酸アンモニウムで溶離し、即座にPBS−Aに対して透析し、次いで約1mg/mlに濃縮する。
実施例12a
結合したC5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)を検出するための 標識抗体の製造
C5aカラムから溶離した抗C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)抗体(すなわち、C5aと交差反応しない抗体)を、アルカリ性ホスファターゼにコンジュゲートする。1mlのPBS中1.4mgの抗体を、5mg(5000単位)のアルカリ性ホスファターゼ(タイプVII−T、シグマ・ケミカル・カンパニー)に加える。グルタルアルデヒドを加えて0.2%v/vの最終濃度とする。混合物を20℃で90分間インキュベーションし、次いで4℃でPBS−Aに対して一夜透析する。緩衝液を、1ミリモル塩化マグネシウムを含む0.05モルのトリス緩衝液、pH8.0に変え、4℃で一夜透析する。
実施例12b
ELISAによる結合C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)の検出
0.57mg/mlでの特別精製ウサギ抗C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)を、0.1モルのほう酸ナトリウム/ほう酸、pH8.6中で1:500に希釈する。ELISAプレート(マキシソープ\、ヌンク、ネイパービル、イリノイ)を、20℃で4時間100μl/ウェルのこの溶液によりコーティングする。プレートを3回洗浄することにより、非結合物質が除去される。C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)含有試料またはC5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)の標準製剤を、好適にはPBS−A+1%BSA(PBS/BSA)で希釈したものを、100μl中20℃で4時間ウェルに加える。標識抗体を100μlのPBS/BSA中1:3000の割合で加え、4℃で一夜インキュベーションする。プレートを洗浄し、次いで酵素基質(アルカリ性ホスファターゼの場合、p−ニトロフェニルホスフェート(シグマ・ケミカル・カンパニー)、10%v/vジエチルアミン、pH9.8中1mg/ml)を加える。約5時間暗所中20℃で現像を進行させる。バイオメック1000(ベックマン・インスツルメンツ、カリフォルニア、アメリカ合衆国)を用いてプレートを405nmで読み取る。
上記と同じ条件を用いて、C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)の標準曲線を作製する(データは示さず)。
実施例12c
アフィニティー精製特異的抗C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C )の特異性
C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)またはC5aを用いて、20℃で4時間100μlコーティング緩衝液中1μg/ウェルでマイクロタイタープレートを被覆する。プレートを洗浄し、C5a吸着後C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)から溶離された抗体の系列希釈を、100μlのPBS/BSA中プレートウェルで行う。20℃で4時間インキュベーション後、プレートを再洗浄する。ウサギ抗体の結合は、PBS/BSA中1:1000、100μl/ウェルでヤギ抗ウサギ/西洋わさびペルオキシダーゼ(ピアス・ケミカル・カンパニー)により検出される。20℃で4時間第二抗体とインキュベーション後、プレートを洗浄し、2,2'-アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン)−6スルホン酸ジアンモニウム塩ABTS基質(ピアス・ケミカル・カンパニー)により西洋わさびペルオキシダーゼ活性が立証される。30分現像後、405nmで色を読み取る。
実施例13
ウサギ血漿試料におけるC5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)の測
麻酔した2匹のウサギ(#1および#2)からの血液試料を、ヘパリン被覆管へ採取後、C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)を静脈内注射する。さらに30分間隔をおいて血液を集める。次いで、さらにC5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)の注射を行い、血液を30分後に再び集める。これをさらに4回反復する。試料を遠心分離にかけて血液細胞を除去し、血漿を除去し、ELISAで使用するまで−20℃で貯蔵する。
試料をPBS/BSA中で希釈し、実施例11で作製された標準曲線に対してELISAで定量する。次いで、循環しているC5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)の経時的増加を測定する。C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)の注射前の2ウサギから採取した試料からは、活性は全く検出され得なく、抗体の特異性を示している。これらの結果はまた、抗体がウサギC5aとの交差反応性を全く呈しないこと、およびC5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)がウサギには本来存在しない物質であることを示している。
実施例14
ウサギ循環系におけるC5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)と標準 C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)の比較:C5a(1-71、T1 M、C27S、Q71C)に対する解毒薬としての特異的抗C5a(1-71、T 1M、C27S、Q71C)抗体の使用
ウサギ#2(実施例13から)の最終時点から得られた血漿試料に対し、系列二重希釈を行い、得られた曲線の傾きを標準曲線の傾きと比較する。2つの傾きは平行していることから、ウサギにおいて循環していたC5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)がまだその抗原特性を保持しており、標準C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)の場合と同様にELISAにおいて認められることがわかる。この結果はまた、循環系からのC5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)の除去が必要となる場合、類似体が抗体により中和されることを示している。
実施例15
モノクローナル抗C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)の製造
コーラーおよびミルスタイン、「ネイチャー」256:495−497(1975)により開発された標準的方法を用い、BALB/cマウスにおいてモノクローナル抗体の製造を行う。C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)抗原の同製品(KLHに結合)を用いてマウスを免疫化する。免疫化マウスからの脾臓細胞をハイブリドーマラインP3/NSI/1−Ag4−1(ATCCTIB18)と融合することにより製造されたモノクローナルセルラインのスクリーニングは、C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)/BSAおよびC5a/BSAを用いて行われる。ポリクローナルウサギ抗血清により行われた操作と直接平行して、C5aとではなくC5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)とのみ反応する抗体を、特異的モノクローナル抗C5a(1-71、T1M、C27S、Q71C)抗体として使用する。両方を認識するものを検出抗体として使用し、アルカリ性ホスファターゼで標識する。
実施例16
ヒトカルボニックアンヒドラーゼII(hCAII)遺伝子およびC5a受容体ア ンタゴニスト遺伝子間の遺伝子融合体の構築
プラスミドpWCB401は、C5a受容体アンタゴニストをコードするDNA配列を含む(C5a(1-71、Thr1Met、Cys27Ser、Gln71Cys))。このプラスミドは、実施例3記載のカセット突然変異誘発方法において配列番号23を用いて製造される。次いで、このプラスミドは、標準ライゲーションプロトコル(マニアチスら)を用いて、pWCB401の唯一のHindIII制限部位における2本鎖合成オリゴヌクレオチド(OL1/OL2、OL1-5'-AGC TGG GAT CCG ATA TCC-3'(配列番号53)、OL2 5'-A GCT GGA TAT CGG ATC CC-3'(配列番号54))の挿入により修飾され、プラスミドpWCB401BEが製造される。この挿入により、停止コドンのすぐ下流にBamHIおよびEcoRV制限部位が加えられ、HindIII部位が削除される。次いで、標準的方法(マニアチスら、1989)により、さらに2つのオリゴヌクレオチド(OL3/OL4; OL3-5'-A GCT TTC GTT GAC GAC GAC GAT AAA AAC GGT CTG CA-3'(配列番号55)、OL4-5'G ACC GTT TTT ATC GTC GTC GTC AAC GAA-3'(配列番号56))を合成し、リン酸化し、アニーリングする。この合成されたオリゴヌクレオチドは、C5a受容体アンタゴニストに関する遺伝子をhCAII遺伝子に結合し、エンテロキナーゼプロテアーゼーおよびヒドロキシルアミン化学的開裂部位をコード化する。
222bpPstI-EcoRVフラグメントをpWCB401BEから回収し、3方向ライゲーション実験でアニーリングした2本鎖オリゴヌクレオチドOL3/OL4およびHindIIIおよびEcoRI消化pB0304ΔRVにライゲーションする。pB0304ΔRVは、pB0304の誘導体であり(ファン・ヘーケら、「プロテイン・エクスプレッション・アンド・ピュリフィケーション」4:265−274(1993))、テトラサイクリン耐性遺伝子におけるEcoRV制限部位を削除することにより得られる。3方向ライゲーションの生成物はプラスミド29A−1と命名され、合成オリゴヌクレオチドを含むクローニング接合点周囲のDNA配列は、標準DNA配列決定方法(マニアチスら)により証明される。エシェリヒア・コリ株HMS174(DE3)pLysSおよびBL21(DE3)pLysS(両方ともノヴァゲン製、マディソン、ワイオミング)を、プラスミド29A−1により形質転換し、テトラサイクリンを補ったルリア肉汁寒天プレートにおいてコロニーを分離する(マニアチスら)。
実施例17A
C5a融合タンパク質の構築、エシェリヒア・コリにおける発現力価の測定
オーバーラップ外延PCRによりヒトインターロイキン−1β遺伝子のフラグメント(エシェリヒア・コリ好適コドンにより修飾、ブリティッシュ・バイオテクノロジー・リミテッドから入手、イギリス国)と、ヒトインターロイキン−1受容体アンタゴニスト(hIL1−RA)のペプチドフラグメントをコードするフラグメントとの交換を試みる実験が進むにつれて、72位のアミノ酸に対するコドンの後にアーチファクト翻訳停止コドンが得られる。後にBamHI開裂部位(GGATCC)を停止コドン部位に導入することにより、融合タンパク質の構築が容易になる。上記要領で得られた合成遺伝子は次の通りである:
NcoIおよびGamHI制限部位が両端に隣接するIL72のDNA配列
この合成遺伝子は、両端にNcoIおよびBamHI部位が隣接しており、ヒトインターロイキン−1β(hIL−1β)およびヒトインターロイキン−1受容体アンタゴニスト(hIL1−RA)の配列により構成されるハイブリッドタンパク質をコードする。
次いで、この合成遺伝子をNcoI−BamHIフラグメントとしてプラスミドpPLMuにクローニングすると、プラスミドpPLMuIL72が得られる。プラスミドpPLMuは、NcoI−HindIIIフラグメントが下記に示された多重クローニング部位により置き換えられたプラスミドpPLmuSMCori(ブエル,G.ら、「ヌクレイック・アシッズ・リサーチ」(1985)13:1023−1038)である。
リボソーム結合部位および多重クローニング部位を含むpPLmuSMCoriにおけるEcoRI−HindIIIフラグメントの配列
コード化されたハイブリッドタンパク質は、そのN−末端メチオニンから数えて、hIL−1βのアミノ酸1−47、次いでhIL1−RAのアミノ酸52−57、次いでhIL−1βのアミノ酸60−71、次いでアミノ酸配列Cys Val Leu Lys Ala Ala Ser(配列番号59)および翻訳停止コドンにより構成される。
次に、エシェリヒア・コリ株LC137(ゴフ、S.A.ら、Nat'l Proc.Acad.Sci.,USA 81:6647−6651(1984))を、熱不安定性ファージλCI 8 57リプレッサーをコード化する和合性プラスミドpcl 857を担うプラスミドpPLmuIL72により形質転換する。熱誘導エシェリヒア・コリ細胞(ブエルら、前出)のSDS−PAGEにより分析されたところによると、熱誘導によりハイブリッドタンパク質の高度発現がもたらされた。プラスミドpPLMuIL72によりコード化されるハイブリッドタンパク質は、3'プライマーとしてプライマーC、DおよびE:PCRプライマープライマーC
プライマーD
プライマーE
およびプライマーF
を5'プライマーとして用いるPCRによりさらに短くされ、それぞれプラスミドpPLMuIL33、pPLMuIL53およびpPLMuIL63が製造される。BamHI部位のこれらの全構築物における配列GAT(Asp)は、ハイブリッドタンパク質をコードするDNA配列との適切な読み枠内にある。BamHI開裂によりこの部位へクローン化された暗号化領域には、BamHI開裂配列に一部含まれる配列GATCCXによりコード化される酸不安定アミノ酸配列Asp-Proが先行する。これらの融合タンパク質の酸による開裂は、酸不安定性Asp-Pro部位における開裂を通じて融合相手を遊離させる。pPLMuIL63およびpPLMuIL53における構築物は、もとのpPLMuIL72と同量のハイブリッドタンパク質発現を示した。pPLMuIL33からは発現は全く観察されない。SDS−PAGEおよびクーマシー(商標)(ICI、リミテッド)ブリリアントブルー染色後に発現レベルを測定する。
次いで、pPLMuIL33およびpPLMuIL53を用いて、ヒトC5aとの融合タンパク質を構築する。次のhC5a遺伝子との適切な読み枠内にあるアスパラギン(GAT)をコードするBamHI部位は、プライマー指定PCR突然変異誘発法により導入される。BamHI−HindIII切断C5aフラグメントを、BamHI−HindIII切断プラスミドpPLMuIL33およびpPLMuIL53にライゲーションすると、それぞれプラスミドpPLMuIL33−C5aおよびpPLMuIL53−C5aが製造される。
両端にNcolおよびHindIII部位が隣接するIL33−C5aの配列
両端にNcolおよびHindIII部位が隣接するIL53−C5a配列
pPLMuIL33−C5aおよびpPLMuIL53−C5aを担うエシェリヒア・コリK12LC137の熱誘導により、SDS−PAGEおよび抗hC5aポリクローナル抗体によるウエスタン分析により判断されたところによると、融合タンパク質の高度発現がもたらされる。
実施例17b
ヒトインターロイキン1β/ヒトインターロイキン1受容体アンタゴニストの フラグメントおよびC5a類似体またはヒトC5aのポリペプチド誘導体間の遺 伝子融合の構築
コドン1−50を含むプラスミドpPLMuIL53−C5aの5'領域を回収し、C5aRAまたはヒトC5aのポリペプチド誘導体との融合タンパク質発現を目的としてPCRを用いて最適化する。簡単に述べると、5'末端を適合させると、pET系列細菌発現ベクターへのクローニングが容易になる。9位にあるシステインコドンをセリンコドンと置き換え、フラグメントの3'末端を修飾すると、C5aRAまたはヒトC5aのポリペプチド誘導体および開裂リンカーとの融合が行われ得る。下記の実験が行われる:
IL−1β/IL1RAフラグメントをコード化する遺伝子を回収し、標準DNA増幅条件(マニアチスら、1989)およびプライマーとしてG83およびG84と称するオリゴヌクレオチド(G83:5'-C GCA AGC TTG AGG CTC AAT GAA GCT CAT-3'(配列番号66))(G84:5'-GGA GAT ATA CAT ATG GCA CCG GTT AGA TCT CTG AAC AGC ACC CTT CGC-3'(配列番号67))を用いるPCRによりプラスミドpPLMuIL53−C5aから適合化する。増幅されたフラグメントを、制限エンドヌクレアーゼNde1およびHindIIIにより消化し、アガロースゲルから回収する(フラグメント1)。プラスミド29A−1をHindIIIおよびBamHIにより消化し、C5aRAまたはポリペプチド誘導体遺伝子を含むフラグメントを回収する(フラグメント2)。pET9c(pETシステム・マニュアル、第3版、1993、ノヴァゲン)をNdeIおよびBamHIで消化し、フラグメント1および2による3方向ライゲーション実験で使用することにより、プラスミド58A−1が構築される。この構築物では、C5aRAまたはポリペプチド誘導体をコードする遺伝子を、エンテロキナーゼおよびヒドロキシルアミン開裂部位をコードするリンカー配列によりハイブリッドIL1遺伝子フラグメントの修飾フラグメントに結合する。エシェリヒア・コリ株BL21(DE3)pLysSおよびHMS174(DE3)pLysSを、p58A−1により形質転換し、カナマイシンおよびクロラムフェニコールを補ったルリア肉汁寒天プレートにおいてコロニーを単離する(マニアチスら、1989)。
実施例18
エシェリヒア・コリにおけるヒトC5a融合タンパク質のC5a類似体または ポリペプチド誘導体の発現
発現実験は、スタディアら、「メソッズ・イン・エンザイモロジー」185:60−89(1990)およびファン・ヘーケら、「プロテイン・エクスプレッション・アンド・ピュリフィケーション」4:265−274(1993)に記載されたT7/pET発現系に関する標準的方法を用いて行われる。簡単に述べると、発現プラスミドを含む単一エシェリヒア・コリコロニーを、光学密度(550nmで測定)が約0.6に達するまで選択に適した抗生物質を補ったルリア肉汁中で生長させる。この時点で、IPTGおよびZn++を加えて、それぞれ0.4ミリモルおよび12.5マイクロモルの最終濃度とする。細胞のインキュベーションを21、30または37℃でさらに2−4時間続行する。細胞を遠心分離により採取し、使用時まで−80℃で貯蔵する。
実施例19
C5a類似体またはポリペプチド誘導体融合タンパク質のヒドロキシルアミン 開裂
組換え融合タンパク質を、実施例18からの冷凍したエシェリヒア・コリペーストアリコートから、pH8.0で1ミリモルのEDTAを含む50ミリモルのトリス/HCl緩衝液(5:1v:w、緩衝液:細胞ペースト)中で解凍後に単離する。次いで、細胞を音波処理により破壊し、粗抽出物を3000×gで20分間遠心分離にかける。融合タンパク質含有ペレットを、0.2モルのCAPSO、2モルのNH 2OH.HCL、6モルのグアニジニウム塩酸塩を含む溶液に可溶化し、LiOHによりpH9.3に調節する(7:1v:w、緩衝液:細胞ペレット)。
溶液を37℃で7時間インキュベーションして、ヒドロキシルアミンによる融合タンパク質開裂を促し、それが80%を越えると、4モルHClによりpHを8.0に調節する。80%を越える割合でヒドロキシルアミン開裂融合タンパク質を含む溶液を、25ミリモルのトリス.HCl(pH7.3)に対して一夜透析する。次いで、透析物を30000×gで20分間遠心分離し、C5aRA−(またはポリペブチド誘導体)含有沈澱物を集める。沈澱物を6モルグアニジニウム塩酸塩(5:lv/w、緩衝液:沈澱物)で可溶化し、実施例5bに記載された1ミリモル還元/0.01ミリモル酸化グルタチオンを含む100ミリモルのトリス/HCl緩衝液(pH7.4)で20倍に希釈する。
次いで、上記方法に従い精製および二量体化が行われる。
この明細書で述べられた出版物および特許出願は全て、この発明に関係がある当業界の熟練者の技術レベルを示すものである。各出版物または特許出願を具体的に個々に示して説明の一部している場合と同じ範囲までこれら全ての出版物および特許出願を引用して説明の一部としている。
ここに記載された発明の様々な修正は、当業界の熟練者であれば明白に理解できるものである。それらの修正も後記請求の範囲内に含まれるものとする。