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1. (JPWO2012169258) モリブデン造粒粉の製造方法およびモリブデン造粒粉
Document

Description

Title of Invention モリブデン造粒粉の製造方法およびモリブデン造粒粉 JP 2011128726 20110608

Technical Field

0001  

Background Art

0002  

Citation List

Patent Literature

0003  

Summary of Invention

Technical Problem

0004  

Technical Solution

0005  

Advantageous Effects

0006  

Brief Description of Drawings

0007  

Description of Embodiments

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031  

Reference Signs List

0032  

Claims

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18    

Drawings

1   2   3    

Description

モリブデン造粒粉の製造方法およびモリブデン造粒粉

JP 2011128726 20110608

Technical Field

[0001]
本発明は、モリブデン造粒粉の製造方法およびモリブデン造粒粉に関する。

Background Art

[0002]
モリブデン(Mo)は、融点が2620℃と高いことから耐熱材料として様々な分野に用いられている。例えば、溶射用材料、焼結炉用板材、電極部品、マグネトロン用ステム、スパッタリングターゲットなどに使用されている。溶射用材料は、Mo粉末やMoロッドで供給される材料である。また、板材は、焼結で製造する場合や、圧延と鍛造とを組合せて製造する場合がある。また、電極部品などは板材を加工する場合、線引き加工してワイヤ加工される場合や焼結法によって製造される場合がある。
このようにMoを使用する場合、(1)Moを粉末のまま使用する方法、(2)Moを焼結した焼結体として使用する方法、(3)圧延、鍛造、鋳造などにより板状に加工して使用する方法、(4)線引き加工してワイヤとして使用する方法などが挙げられる。いずれの使用方法であっても、Mo粉末かMo溶湯を初期原料として用いることになる。Mo溶湯は、原材料を溶解し鋳造して目的の形状に加工する方法で使用される。Mo溶湯を使用する方法は、金型に溶湯を流し込む方法であるため、比較的単純で、かつ大きな形状に加工することができる方法である。一方、Moは前述の通り、高融点金属であるため、Mo溶湯を厳格に管理するためには、耐熱性が高い大型設備が必要である。また、Mo溶湯を鋳型に流し込む方法であるため、複雑な形状には対応できない欠点がある。
このため、Mo粉末を焼結してMo焼結体として使用することが行われている。焼結法であれば、金型にMo粉末を充填することにより、複雑な形状を有する製品も作製可能である。例えば、特許第4157369号公報(特許文献1)では、断面がコの字状(カップ形状)の冷陰極管用焼結電極が開示されている。特許文献1では焼結法を用いて直径が1〜2mm程度のカップ形状の電極を作製している。
焼結法により、焼結体を作製する場合、Mo粉末に対して、造粒工程、成形工程、脱脂工程、焼結工程などが実施される。これまでの焼結法では、脱脂工程や焼結工程の改良を中心として、進められてきた。特許文献1の[0027]段落では、脱脂工程をウエット水素雰囲気中で実施する一方、焼結工程を水素雰囲気中で実施することが開示されている。これにより焼結性が改善され、歩留りの向上が図られている。
また、国際公開WO2011/004887A1のパンフレット(特許文献2)では、平均粒径が0.5〜100μmである高純度モリブデン粉末の製造方法が開示されている。特許文献2では、1次粒子の割合が50%以上であるモリブデン粉末が開示されている。
これまでのMo焼結法においては、Mo原料粉末、脱脂工程および焼結工程に関しての改良が行われていた。しかしながら、その改良を進めても製品歩留りは必ずしも100%には到達できていない。このような現象は、コバルト等を添加したMo粉末を使用したMo焼結体に関しても同様に生起していた。

Citation List

Patent Literature

[0003]
patcit 1 : 特許第4157369号公報
patcit 2 : 国際公開WO2011/004887A1のパンフレット

Summary of Invention

Technical Problem

[0004]
本発明者らは、Mo粉末を初期原料として使用した製品の歩留りが向上しない原因を追究した。その結果、造粒粉のサイズ、密度、流動性などのばらつき溶解したが大きなると、成形工程での充填密度や供給量にばらつき溶解したを生じ、製品歩留りが低下する原因となることが判明した。また、溶射粉としてMo造粒粉を使用する場合には、溶射フレーム炎への供給量(供給速度)にばらつき溶解したが生じ、溶射膜としての特性が安定しないなどの問題が生じていた。この原因を追及したところ、造粒工程において目的とする造粒粉の平均粒径に応じた管理がなされていないことに原因があることを見出した。
本発明は、このような問題を解決するためのものであり、Mo製品(粉末または焼結体)の品質の安定化や歩留りの向上を実現し、モリブデン造粒粉を高い歩留りで効率的に製造できるモリブデン造粒粉の製造方法を提供することを目的とするものである。

Technical Solution

[0005]
本発明に係るモリブデン造粒粉の製造方法は、容器に有機溶媒を注入する工程と、上記有機溶媒にバインダーとしてのポリビニルブチラールを添加する工程と、上記有機溶媒を攪拌しながら、スズ成分およびコバルト成分の少なくとも1種を添加した平均粒径が1〜10μmであるモリブデン粉末を投入することによりモリブデン含有溶液を調製する工程と、上記モリブデン含有溶液を分散するスプレードライヤーの回転板の回転数をA(rpm)とし、モリブデン造粒粉の平均粒径をB(μm)としたときに、A/Bが50〜700の範囲であるスプレードライヤーにモリブデン含有溶液を投入し、上記モリブデン含有溶液を分散すると共に乾燥してモリブデン造粒粉を調製する工程と、を有することを特徴とするものである。
また、前記スプレードライヤーによる造粒工程完了後の造粒粉に対して、造粒粉の平均粒径Bの2〜3倍のメッシュ径を有する篩を通す篩分け工程をさらに実施することが好ましい。また、モリブデン造粒粉の平均粒径Bが20〜150μmであることが好ましい。また、スプレードライヤーの回転板の回転数Aが5000〜16000rpmであることが好ましい。また、有機溶媒がエタノールであることが好ましい。
また、コバルト成分の含有量(添加量)が、コバルト元素単体換算で50〜500質量ppm(wtppm)の範囲であることが好ましい。また、スズ成分の含有量が、スズ元素単体換算で50〜500質量ppmの範囲であることが好ましい。また、スズ成分およびコバルト成分を共に添加することが好ましい。
また、投入するモリブデン粉末の合計量を100体積部にしたときに、バインダーの体積を3〜20体積部とすることが好ましい。また、得られるモリブデン造粒粉の見掛け密度が1.3〜3.0g/ccであることが好ましい。また、モリブデン含有溶液は、モリブデン粉末量を100質量部としたときに、有機溶媒量が0.2〜1リットルであることが好ましい。
また、スプレードライヤーは、100〜300℃の熱風を供給しながらモリブデン造粒粉の乾燥を実施することが好ましい。また、スプレードライヤーは、大気圧以下の減圧雰囲気でモリブデン造粒粉の乾燥を実施することが好ましい。また、得られたモリブデン造粒粉の流動性が50sec/50g以下であることが好ましい。
また、本発明に係るモリブデン造粒粉は、スズ成分およびコバルト成分の少なくとも1種を含み、見掛け密度が1.3〜3.0g/ccであることを特徴とするものである。
また、モリブデン造粒粉の平均粒径が20〜150μmであることが好ましい。また、モリブデン粉末の合計量を100体積部にしたとき、バインダーの体積が3〜20体積部であることが好ましい。また、モリブデン造粒粉の流動性が50sec/50g以下であることが好ましい。

Advantageous Effects

[0006]
本発明に係るモリブデン造粒粉の製造方法によれば、造粒工程において、有機溶媒を攪拌しながら、スズ成分または/およびコバルト成分を添加したモリブデン粉末およびバインダーを供給し、さらに目的とする造粒粉の平均粒径とスプレードライヤーの回転板の回転速度との比を所定範囲に制御しているために、平均粒径、見掛け密度および流動性が優れたモリブデン造粒粉を製造することができる。

Brief Description of Drawings

[0007]
[fig. 1] 本発明方法で使用するモリブデン含有溶液を調製する工程の一例を示す断面図である。
[fig. 2] 本発明方法で使用するスプレードライヤーにモリブデン含有溶液を投入する工程の一例を示す断面図である。
[fig. 3] 本発明に係るモリブデン造粒粉の形状例を示す正面図である。

Description of Embodiments

[0008]
本発明の実施形態に係るモリブデン造粒粉の製造方法は、容器に有機溶媒を注入する工程と、上記有機溶媒にバインダーとしてのポリビニルブチラールを添加する工程と、上記有機溶媒を攪拌しながら、スズ成分およびコバルト成分の少なくとも1種を添加した平均粒径が1〜10μmであるモリブデン粉末を投入することによりモリブデン含有溶液を調製する工程と、上記モリブデン含有溶液を分散するスプレードライヤーの回転板の回転数をA(rpm)とし、モリブデン造粒粉の平均粒径をB(μm)としたときに、A/Bが50〜700の範囲であるスプレードライヤーにモリブデン含有溶液を投入し、上記モリブデン含有溶液を分散すると共に乾燥してモリブデン造粒粉を調製する工程と、を有することを特徴とするものである。
図1に、モリブデン含有溶液を調製する工程の一例を示す。図中、符号1は容器(モリブデン含有溶液を調製するための容器)であり、2は有機溶媒であり、3はモリブデン粉末(スズ成分またはコバルト成分を添加したモリブデン粉末)であり、4はバインダーであり、5は必要に応じて再度投入する有機溶媒であり、6はモリブデン含有溶液である。
まず、容器1に有機溶媒2を注入する。この有機溶媒は、アルコールなどが使用される。アルコールとしては、エタノール(エチルアルコール:C OH)が好適である。エチルアルコールは、後述するバインダー(ポリビニルブチラール)を溶解し易いので好ましい。
また、容器1に有機溶媒を注入した後に、必要に応じ50℃以下に加熱する工程を実施してもよい。50℃を超えた加熱は有機溶媒が蒸発し過ぎてしまうので好ましくない。50℃以下の加熱であれば、バインダーを効率的に溶解することができる。
[0009]
次に、有機溶媒2にバインダー4を添加する工程を実施する。バインダーの材質は、ポリビニルブチラール(PVB:polyvinyl butyral)を用いる。ポリビニルブチラールは、有機溶媒、特にエタノールによく溶解する。また、均一に有機溶媒に溶け込ませるには、有機溶媒を攪拌しながらバインダーを添加することが好ましい。
次に、有機溶媒2を攪拌しながら平均粒径1〜10μmのモリブデン粉末3を投入することにより、モリブデン含有溶液6を調製する工程を実施する。モリブデン粉末3の平均粒径とは一次粒径の平均粒径である。ここではFSSS法(フィッシャー法)により求めた値を平均粒径とする。平均粒径が1μm未満では、Mo粉が過小であり、製造することが困難であり、コストアップの要因となる。
一方、平均粒径が10μmを超えると、一次粒径が過大になり、造粒粉の特性を安定化させることが困難となる。そのため、モリブデン粉末3の平均粒径は1〜10μmとされるが、さらには2〜5μmが好ましい。また、モリブデン粉末を、一度に大量に投入すると、モリブデン粉末が必要以上に凝集し易いので少量ずつ、例えば0.5〜2kgずつ投入することが好ましい。
[0010]
また、バインダーの全量が有機溶媒に溶解したことを確認してから、モリブデン粉末を添加することが好ましい。バインダーを粉末の状態で添加すれば、溶解したか否かが肉眼で判別できる。なお、バインダーとしてポリビニルブチラール粉末を使用したとき、ポリビニルブチラール粉末が有機溶媒(エタノール)に完全に溶解すると、モリブデン粉末を添加する前の有機溶媒(エタノール)が半透明になる。バインダーが有機溶媒(エタノール)に完全に溶解したか否かを判定し易くするためにも、バインダーを添加した後に、モリブデン粉末を添加する順番であることが好ましい。
有機溶媒2に、モリブデン粉末3、バインダー4を添加して、モリブデン含有溶液6を調製するに際し、投入するモリブデン粉末の合計量を100体積部にしたときに、バインダーの体積を3〜20体積部とすることが好ましい。バインダーはモリブデン造粒粉を形成する際に、モリブデン粉末同士を接着する接着剤の役割を果たす。
そのため、モリブデン粉末の合計量を100体積部としたときに、バインダーの添加量が3体積部未満ではバインダー量が過少となり、均一な造粒粉が得られない恐れがある。また、バインダーの添加量が20体積部を超えて大きいと、モリブデン粉末同士の隙間にバインダーが入りすぎて、密度のばらつき溶解したが大きな造粒粉となってしまう。そのため、バインダーの添加量はモリブデン粉末100体積部に対し、3〜20体積部とされるが、さらには5〜15体積部であることが好ましい。
[0011]
また、モリブデン含有溶液は、モリブデン粉末量を100質量部としたときに、有機溶媒量が0.2〜1リットルであることが好ましい。スプレードライヤーには、モリブデン含有溶液の状態で投入される。このとき、モリブデン粉末量100質量部に対し、有機溶媒量が0.2リットル未満では有機溶媒の量が過少であり、モリブデン含有溶液の粘性が上昇し、スプレードライヤーに安定的に供給することが困難である。また、有機溶媒量が1リットルを超えると有機溶媒の量が過多となり、安定供給し難い。なお、有機溶媒量が多いときは、攪拌しながら供給することにより、安定供給する方法も採用できる。このスプレードライヤーへのモリブデン含有溶液の供給は、機械化して自動化することも可能である。
また、必要に応じて、有機溶媒5を追加投入してもよい。例えば、エタノールは沸点が78.3℃と比較的に低いため、バインダーおよびモリブデン粉末を投入し混合している段階でエタノールが蒸発して溶媒量が大きく変化してしまう恐れもある。また、容器1として、容積が20リットル以上である大型の容器を使用する場合には、まず有機溶媒量を最終的な量の30〜60%でバインダーおよびモリブデン粉末と混合した後、残りの有機溶媒量70〜40%を追加投入してモリブデン粉末と有機溶媒量との配合比を調整する方法も採用可能である。バインダーが有機溶媒に完全に溶解したかを目視により確認し易くするためにも、有機溶媒を追加投入する方法は有効である。
[0012]
また、本発明のモリブデン粉末は、スズ成分およびコバルト成分の少なくとも1種を添加したモリブデン粉末である。スズ成分またはコバルト成分としては、それぞれ単体元素、酸化物、複合酸化物などの化合物が使用できる。
また、スズ成分の含有量(添加量)は、スズ(Sn)元素単体換算で50〜500質量ppmの範囲であることが好ましい。また、コバルト成分の含有量(添加量)は、コバルト(Co)元素単体換算で50〜500質量ppmの範囲であることが好ましい。また、上記スズ成分とコバルト成分とは、両方とも添加することが好ましい。
また、スズ成分またはコバルト成分は、金属元素単体換算で50質量ppm未満では添加の効果が小さい一方、500質量ppmを超えると、却って特性が低下する。
また、スズ成分またはコバルト成分の添加により、高純度モリブデンと比較して、再結晶温度が高くなり、高温強度が高くなる。また、再結晶熱処理後に延性が向上することから、ワイヤへの線引き加工などの二次加工性が向上する。二次加工は、ワイヤへの線引き加工の他に、ワイヤの折り曲げ加工、板材(Mo焼結体からなる板材)の圧延加工、曲げ加工や打ち抜き加工などが挙げられる。また、ワイヤの特性としては、ノンサグ性、高温耐振性、耐黒化性の向上も図ることができる。
また、スズ成分またはコバルト成分を添加したモリブデン粉末の製造方法は特に限定されるものではないが、次の方法が例示される。
まず、モリブデン粉末の原料として、アンモニウムダイモリブデート((NH ・Mo ))を用意し、水素気流中において600〜750℃で加熱し、Mo酸化物を得る。このMo酸化物に塩化スズまたは/および塩化コバルトをそれぞれ金属単体換算で50〜500質量ppmになるように添加する。このとき純水を加え、混練して、攪拌しながら100〜140℃に加熱して乾燥し、スズ成分または/およびコバルト成分添加モリブデン酸化物粉末とする。スズ成分または/およびコバルト成分添加モリブデン酸化物粉末を水素雰囲気中において、1000〜1200℃で2〜5時間加熱、還元して、スズ成分または/およびコバルト成分を添加したモリブデン粉末を得ることができる。
[0013]
スズ成分またはコバルト成分を添加したモリブデン粉末の純度に関しては特に限定されるものではないが、Moとスズまたは/およびコバルトの合計が99質量%以上、さらには99.9%質量以上であることが好ましい。
モリブデン粉末の主な不純物は、Fe(鉄)、Al(アルミニウム)、Ca(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Si(ケイ素)が挙げられる。また、これ以外の不純物としては、Ni(ニッケル)、Na(ナトリウム)、K(カリウム)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)、Cd(カドミウム)、Cu(銅)、Mn(マンガン)が挙げられる。
モリブデンの純度の測定は、Fe(鉄)、Al(アルミニウム)、Ca(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Si(ケイ素)、Ni(ニッケル)、Na(ナトリウム)、K(カリウム)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)、Cd(カドミウム)、Cu(銅)、Mn(マンガン)の合計量を100質量%から差し引いて求めるものとする。
また、それぞれの不純物量としては、Fe(鉄)は10質量ppm以下、Al(アルミニウム)は50質量ppm以下、Ca(カルシウム)は30質量ppm以下、Mg(マグネシウム)は20質量ppm以下、Si(ケイ素)は50質量ppm以下、Ni(ニッケル)は50質量ppm以下、Na(ナトリウム)は10質量ppm以下、K(カリウム)は20質量ppm以下、Pb(鉛)は70質量ppm以下、Bi(ビスマス)は70質量ppm以下、Cd(カドミウム)は70質量ppm以下、Cu(銅)は70質量ppm以下、Mn(マンガン)は20質量ppm以下であることが好ましい。
また、上記金属不純物以外の不純物として酸素などのガス成分が挙げられる。酸素量は7質量%以下とする一方、窒素量は7質量%以下であることが好ましい。
[0014]
次に、得られたモリブデン含有溶液6をスプレードライヤーに投入し造粒する工程を実施する。図2にスプレードライヤーによる造粒工程の一例を示す。図中、符号1はモリブデン含有溶液を入れた容器であり、6はモリブデン含有溶液であり、7はモリブデン含有水溶液の投入口であり、8は回転板であり、9はモリブデン造粒粉であり、10はスプレードライヤーの外壁であり、11はモリブデン造粒粉の回収容器である。
前記工程にて調整されたモリブデン含有溶液6を投入口7に流し込む。投入口7への投入量(投入速度)は、10〜80cc/分が好ましい。投入速度が10cc/分未満では、投入量が過少であり、量産性が悪化する。一方、投入速度が80cc/分を超えると、投入量が過多となり、得られる造粒粉の特性にばらつきが生じる。
[0015]
次に、投入されたモリブデン含有溶液6は回転板8上に供給される。回転板8は一定の回転数で回転している。回転している回転板にモリブデン含有溶液6が供給されると、一定量ずつ弾かれ表面張力により、球状のモリブデン造粒粉9が形成される。モリブデン造粒粉9はスプレードライヤーの外壁10に沿って落下し、モリブデン造粒粉の回収容器11に回収される。
モリブデン造粒粉の平均粒径は、スプレードライヤーの回転板8の回転速度との関連性が高い。そこで本発明では、回転板8の回転速度をA(rpm)とし、造粒粉の平均粒径をB(μm)としたときに、A/Bを50〜700の範囲に制御することを特徴とするものである。モリブデン含有溶液6を回転板8に供給したとき、回転板に一定量ずつ弾かれ、弾かれたモリブデン含有溶液6は表面張力により球状のモリブデン造粒粉9になる。また、バインダーを添加していることからも均一な造粒粉を製造することができる。
[0016]
上記比の値であるA/Bが50未満では、目的とする造粒粉の平均粒径に対して回転板の回転速度が不足しているため、目的とする造粒粉の平均粒径Bが得られない。また、A/Bが50未満の場合は、目的とする造粒粉の平均粒径Bに対して大きな平均粒径を有する造粒粉となる。
一方、A/Bが700を超えると、目的とする造粒粉の平均粒径に対して回転板の回転速度が速すぎるため、目的とする造粒粉の平均粒径Bが得られない。また、A/Bが700を超えると目的とする造粒粉の平均粒径Bに対して、小さな平均粒径となる。
A/Bを50〜700の範囲に制御することにより、目的とする造粒粉の平均粒径Bに対して±50%の範囲の平均粒径を有する造粒粉が得られる。例えば、目的とする造粒粉の平均粒径Bを50μmとしたとき、±50%の値は50×0.5=25μmであるから、平均粒径が25〜75μmの造粒粉が得られることを意味している。なお、造粒粉の平均粒径は拡大写真を使って、そこに写る造粒粉の最大径を粒径とし、造粒粉100粒の平均値を造粒粉の平均粒径とする。
[0017]
また、造粒粉の平均粒径Bは、20〜150μmであることが好ましい。造粒粉の平均粒径が20〜150μmの範囲であれば、様々な用途に適用できる。また、スプレードライヤーの回転板8の回転数Aは5000〜16000rpmであることが好ましい。上記回転数Aが5000〜16000rpmの範囲であれば、モリブデン含有溶液が回転板上で効率的に弾かれ、目的とする平均粒径を有する造粒粉が得やすい。
[0018]
また、スプレードライヤーは、100〜300℃の熱風を供給しながらモリブデン造粒粉の乾燥を実施することが好ましい。スプレードライヤーの外壁内に温度が100〜300℃の熱風を供給することにより、造粒粉中の有機溶媒を蒸発させ、バインダーによるモリブデン粉末同士の結合力を強化することができる。
その結果、目的とする平均粒径を有するモリブデン造粒粉を製造することができる。熱風は図示しない熱風供給口からスプレードライヤーの外壁10内に供給され、図示しない排気口から排気される。熱風を供給口から排気口に排気しながら供給することにより、常に新鮮な熱風を供給することにより造粒粉から蒸発した水分が他の造粒粉に取り込まれることを防止できる。なお、熱風の供給温度が100℃未満では有機溶媒分の蒸発速度が遅い一方、300℃を超えると有機溶媒が瞬間的に蒸発し過ぎて造粒粉の粒径のばらつきが発生する原因となる。
[0019]
また、スプレードライヤーは大気圧以下の減圧雰囲気でモリブデン造粒粉の乾燥を実施することが好ましい。スプレードライヤーの外壁10内を大気圧以下の減圧雰囲気とすることにより、造粒粉中の有機溶媒を蒸発し易くすることができる。なお、減圧雰囲気は、大気圧(1atm=1.01×10 Pa)から100〜500Pa低い減圧雰囲気であることが好ましい。100Pa未満では減圧雰囲気とする効果が十分でない。一方、500Paを超えると、減圧雰囲気を制御する負担が大きくなりコストアップの要因となる。
[0020]
本発明に係るモリブデン造粒粉の製造方法によれば、造粒粉の平均粒径に合わせてスプレードライヤーの回転板の回転速度を調整しているために、目的とする平均粒径に対し±50%の範囲の平均粒径を有する造粒粉を効率的に得ることができる。
また、得られるモリブデン造粒粉の見かけ密度が1.3〜3.0g/ccであることが好ましい。前述のように本発明ではモリブデン造粒粉の平均粒径は拡大写真を使用して測定している。この測定方法であれば、外観上の平均粒径は判断できる。
しかしながら、造粒粉の内部に空隙が多く密度が小さな造粒粉が存在すると、その後の製品(溶射用粉末や焼結体)に使用するときに、部分的にモリブデン粉末の存在比率にばらつきが生じる。存在比率のばらつきは、製品のばらつきに繋がる。例えば、造粒粉を溶射用粉末として使用する場合、密度が大きく異なる造粒粉が存在すると、溶射フレーム炎に投入されるモリブデン粉末量にばらつきが生じ、結果として溶射Mo膜のばらつきが発生する原因となる。また、焼結体を作製する場合は、成形金型に挿入されるモリブデン量のばらつきが生じ、焼結体中のポアが必要以上に大きくなる恐れがある。
[0021]
見掛け密度が1.3g/cc未満であると、モリブデン造粒粉中のモリブデン量が過少であり、その後の製品化における品質のばらつきが発生する原因となる。一方、見掛け密度が3.0g/ccを超えて過大になると、モリブデン粉末がぎっしり詰まった状態であるため、スプレードライヤーで安定的に製造することが困難になる。見掛け密度の測定方法は、JIS−Z−2504に準拠した測定方法に従うものとする。
また、得られたモリブデン造粒粉の流動性が50sec/50g以下であることが好ましい。この流動性の測定も、JIS−Z−2504に準拠した測定方法で実施するものとする。ここで流動性とは、造粒粉がどれだけ円滑迅速に移動する(流れる)かを示す指標である。流動性が良い(流動性50sec/50g以下)と、製品化する際の成形金型への供給充填が円滑迅速に行えるのである。つまりは、取扱い性が良好な造粒粉であると言える。
また、流動性が良いということは造粒粉の形状が球体に近いことを意味している。造粒粉が球体に近いとは、アスペクト比が1.5以下を示すものとする。図3にモリブデン造粒粉の一例を示す。図中、3はモリブデン粉末であり、9はモリブデン造粒粉であり、L1はモリブデン造粒粉の短径であり、L2は長径である。アスペクト比は「長径L2/短径L1」の算式から求める。アスペクト比が1.0であるとは真球に近い状態であることを示す。
[0022]
このように本発明に係るモリブデン造粒粉の製造方法によれば、平均粒径、見かけ密度、流動性が優れたモリブデン造粒粉を歩留り良く効率的に製造することができる。
また、モリブデン造粒粉の平均粒径、特に粒度分布の制御工程として、スプレードライヤーによる造粒工程完了後の造粒粉に対して、その平均粒径Bの2〜3倍のメッシュ径を有する篩を通す篩分け工程をさらに実施する方法も好ましい。この篩分け工程を実施することにより、過大な造粒粉を除去することができる。これにより、さらに平均粒径の制御が可能となる。また、この篩分け工程により、過小な造粒粉を除去することもでき有効である。
[0023]
以上のように本発明に係るモリブデン造粒粉の製造方法によれば、平均粒径、見かけ密度、流動性が優れたモリブデン造粒粉を歩留り良く効率的に製造することができる。そのため、各製品に応じた造粒粉を歩留り良く製造することができる。
この造粒粉の用途としては、溶射用粉末、各種焼結体の原料粉などが挙げられる。溶射用粉末として、平均粒径、見掛け密度および流動性が優れたモリブデン造粒粉を使用することにより、溶射フレーム炎への供給量を安定化させることができる。その結果、溶射膜の品質を均質なものとすることができる。また、各種焼結体の原料粉末としてモリブデン造粒粉を使用する場合、平均粒径、見掛け密度および流動性が優れたモリブデン造粒粉を使用することにより、成形金型への充填量を均質化できる。その結果、焼結体の密度などを安定化させることができる。特に、成形金型の形状に応じて、平均粒径を変更することにより、さらに歩留りの向上を図ることができる。例えば、厚さが1mm以下の焼結体では、造粒粉の平均粒径を50μm程度とする一方、厚さが5mm程度の焼結体では、造粒粉の平均粒径を100μm程度にすることにより、成形金型への充填を効率よく実施することができる。また、高温特性が優れていることから、ワイヤへ加工する際の加工性も向上する。
[0024]
(実施例)
(実施例1〜5および比較例1〜2)
表1に示すスズ成分および/またはコバルト成分を添加したモリブデン粉末と、バインダーとしてポリビニルブチラール(PVB)粉末およびエタノールを用意した。まずステンレス製容器に、エタノールを注入し、常温で攪拌しながら、ポリビニルブチラール粉末を添加し、添加したポリビニルブチラール粉末を全て溶解させた。ポリビニルブチラール粉末が全て溶解したときは、半透明の溶液となっていることが確認できた。その後、モリブデン粉末を1〜2kgずつ、合計40kg投入した。モリブデン粉末の攪拌に際して、エタノールが蒸発して不足する分は、必要に応じてエタノールを追加投入した。バインダーとしてポリビニルアルコール粉末を使用したモリブデン含有溶液を実施例1〜5とした。
ここまでのモリブデン含有溶液の調製工程の条件を下記表1,2に示す。
[0025]
[Table 1]


[0026]
[Table 2]


[0027]
次に、上記のように調製した実施例1〜5に係る各モリブデン含有溶液を使用して、スプレードライヤーによる造粒工程を実施した。スプレードライヤーによる造粒工程の条件を下記表3に示す。
[0028]
[Table 3]


[0029]
実施例1A〜5Bおよび比較例1〜2の製造方法によって得られたモリブデン造粒粉の平均粒径、アスペクト比、見掛け密度、流動性および製品歩留りを調査した。
なお、平均粒径は得られたモリブデン造粒粉の任意の100粒を抜き出し、拡大写真を撮り、そこに写る最大径を求め100粒の平均値を平均粒径とした。また、アスペクト比は同様の拡大写真を使用して、短径L1および長径L2を求め、それぞれのL2/L1の平均値をアスペクト比とした。また、見かけ密度および流動性は、JIS−Z−2504に準拠する測定方法に従って測定した。また、製品歩留りは、投入したモリブデン粉末40kg量と、回収したモリブデン造粒粉の合計量との比「(造粒粉の合計量/40kg)×100%」から算出した。
それらの測定結果を下記表4に示す。
[0030]
[Table 4]


[0031]
上記表4に示す結果から明らかなように、各実施例に係るモリブデン造粒粉の製造方法により製造された、スズ成分および/またはコバルト成分を添加したモリブデン造粒粉は、目的とする平均粒径Bに対するずれが小さく、アスペクト比、見掛け密度および流動性が優れていた。また、歩留りも高く効率の良い製造方法であると言える。それに対し、A/Bが本発明での規定範囲外である比較例1および比較例2では、いずれのパラメータも悪化した特性を示した。

Reference Signs List

[0032]
1…容器(モリブデン含有溶液を調製するための容器)
2…有機溶媒(エチルアルコール等)
3…モリブデン粉末(スズ成分またはコバルト成分を添加したモリブデン粉末)
4…バインダー
5…必要に応じて再度投入する有機溶媒
6…モリブデン含有溶液
7…モリブデン含有溶液の投入口
8…回転板
9…モリブデン造粒粉
10…スプレードライヤーの外壁
11…モリブデン造粒粉の回収容器

Claims

[1]
容器に有機溶媒を注入する工程と、
上記有機溶媒にバインダーとしてのポリビニルブチラールを添加する工程と、
上記有機溶媒を攪拌しながら、スズ成分およびコバルト成分の少なくとも1種を添加した平均粒径が1〜10μmであるモリブデン粉末を投入することによりモリブデン含有溶液を調製する工程と、
上記モリブデン含有溶液を分散するスプレードライヤーの回転板の回転数をA(rpm)とし、モリブデン造粒粉の平均粒径をB(μm)としたときに、A/Bが50〜700の範囲であるスプレードライヤーにモリブデン含有溶液を投入し、上記モリブデン含有溶液を分散すると共に乾燥してモリブデン造粒粉を調製する工程と、
を有することを特徴とするモリブデン造粒粉の製造方法。
[2]
前記スプレードライヤーによる造粒工程完了後のモリブデン造粒粉に対して、その平均粒径Bの2〜3倍のメッシュ径を有する篩を通す篩分け工程をさらに実施することを特徴とする請求項1記載のモリブデン造粒粉の製造方法。
[3]
前記モリブデン造粒粉の平均粒径Bが20〜150μmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモリブデン造粒粉の製造方法。
[4]
前記スプレードライヤーの回転板の回転数Aが5000〜16000rpmであることを特徴とする請求項1または請求項3に記載のモリブデン造粒粉の製造方法。
[5]
前記有機溶媒がエタノールであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のモリブデン造粒粉の製造方法。
[6]
前記コバルト成分の含有量が、コバルト元素単体換算で50〜500質量ppmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のモリブデン造粒粉の製造方法。
[7]
前記スズ成分の含有量が、スズ元素単体換算で50〜500質量ppmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のモリブデン造粒粉の製造方法。
[8]
前記スズ成分およびコバルト成分を共に添加することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のモリブデン造粒粉の製造方法。
[9]
前記投入するモリブデン粉末の合計量を100体積部にしたときに、バインダーの体積を3〜20体積部とすることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のモリブデン造粒粉の製造方法。
[10]
得られるモリブデン造粒粉の見掛け密度が1.3〜3.0g/ccであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のモリブデン造粒粉の製造方法。
[11]
前記モリブデン含有溶液は、モリブデン粉末量を100質量部としたとき、有機溶媒量が0.2〜1リットルであることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のモリブデン造粒粉の製造方法。
[12]
前記スプレードライヤーは、100〜300℃の熱風を供給しながらモリブデン造粒粉の乾燥を実施することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のモリブデン造粒粉の製造方法。
[13]
前記スプレードライヤーは大気圧以下の減圧雰囲気でモリブデン造粒粉の乾燥を実施することを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のモリブデン造粒粉の製造方法。
[14]
得られたモリブデン造粒粉の流動性が50sec/50g以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載のモリブデン造粒粉の製造方法。
[15]
スズ成分およびコバルト成分の少なくとも1種を含み、見掛け密度が1.3〜3.0g/ccであることを特徴とするモリブデン造粒粉。
[16]
前記モリブデン造粒粉の平均粒径が20〜150μmであること特徴とする請求項15に記載のモリブデン造粒粉。
[17]
前記モリブデン粉末の合計量を100体積部にしたときに、バインダーの体積が3〜20体積部であることを特徴とする請求項15または請求項16に記載のモリブデン造粒粉。
[18]
前記モリブデン造粒粉の流動性が50sec/50g以下であることを特徴とする請求項15乃至請求項17のいずれか1項に記載のモリブデン造粒粉。

Drawings

[ Fig. 1]

[ Fig. 2]

[ Fig. 3]