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1. WO2021065409 - CONTROL DEVICE

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明 細 書

発明の名称 制御装置 0001  

技術分野

0002  

背景技術

0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : 制御装置

関連出願の相互参照

[0001]
 本出願は、2019年10月2日に出願された日本国特許出願2019-182360号に基づくものであって、その優先権の利益を主張するものであり、その特許出願の全ての内容が、参照により本明細書に組み込まれる。

技術分野

[0002]
 本開示は、粒子状物質検出センサの制御装置に関する。

背景技術

[0003]
 近年の車両には、排ガスと共に外部に排出される粒子状物質を低減することが求められている。このため、排ガスの通る排気配管には、粒子状物質を捕集するためのフィルタや、当該フィルタの下流側において粒子状物質を検出するための粒子状物質検出センサ等が設けられている。粒子状物質検出センサからの出力により、その上流側にあるフィルタが正常に機能しているか否かを判定することができる。
[0004]
 下記特許文献1に記載されているように、粒子状物質検出センサは、一対の電極が形成された素子部を有している。当該電極間に電圧が印加されると、素子部における粒子状物質の付着量に応じた電流が流れる。
[0005]
 下記特許文献1に記載されている故障検出装置は、先ず、ヒーターによる素子部の加熱を行い、当初から素子部に付着していた粒子状物質を燃焼させ除去する再生処理を行う。その後、故障検出装置は、素子部の電極間に電圧を印可しながら、素子部における粒子状物質の付着量、すなわち、時間の経過と共に次第に増加して行く付着量を推定する。当該推定は、フィルタが故障している場合において素子部に付着すると推測される粒子状物質の量を、現在における排ガスの流量や温度等に基づいて算出することにより行われる。
[0006]
 推定された付着量が、電極間に電流が流れ始めるような量に到達したタイミングにおいて、実際には電流が流れなかった場合には、フィルタが正常であると判定される。一方、上記のタイミングにおいて実際に電流が流れた場合には、フィルタが故障していると判定される。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2012-122399号公報

発明の概要

[0008]
 上記特許文献1に記載されている故障検出装置において、フィルタが故障しているか否かの判定を正しく行うためには、上記のような付着量の推定を正確に行う必要がある。しかしながら、例えば内燃機関の出力が変動しているときなど、粒子状物質検出センサの周囲の状態が不安定になっているときにおいては、粒子状物質検出センサの周囲に存在する粒子状物質の量が安定しないので、付着量の推定を正確に行うことが難しくなる。
[0009]
 そこで、粒子状物質検出センサの周囲の状態が安定するのを待ってから、粒子状物質検出センサの再生処理、及び粒子状物質の付着量の推定を順に行うことも考えられる。しかしながら、再生処理が行われている途中において、粒子状物質検出センサの周囲の状態が再び不安定になってしまい、付着量の推定を正確に行えなくなってしまう可能性もある。
[0010]
 このように、粒子状物質の付着量の推定を正確に行うことについては、従来においては更なる改良の余地があった。
[0011]
 本開示は、粒子状物質検出センサの素子部における粒子状物質の付着量を、正確に推定することのできる制御装置、を提供することを目的とする。
[0012]
 本開示に係る制御装置は、粒子状物質検出センサの制御装置である。制御対象である粒子状物質検出センサは、対向する一対の電極が形成された素子部と、素子部を加熱するためのヒーターと、を有し、素子部における粒子状物質の付着量に応じた電流が、電極の間を流れるように構成されたものである。この制御装置は、電極の間に印加される電圧を調整する電圧調整部と、ヒーターの発熱量を調整するヒーター調整部と、粒子状物質検出センサの周囲の状態が安定状態であるか否か、を判定する状態判定部と、を備える。ヒーター調整部は、ヒーターにより素子部を加熱して、素子部に付着した粒子状物質を燃焼させ除去する再生処理と、再生処理が完了してから、状態判定部により安定状態と判定されるまでの間、素子部の温度を、新たな粒子状物質の付着が抑制される付着抑制温度に維持する付着抑制処理と、を実行する。この制御装置は、状態判定部により安定状態と判定されると、ヒーター調整部はヒーターによる発熱を停止させ、電圧調整部は、電極の間への電圧の印可を開始するように構成されている。
[0013]
 このような構成の制御装置では、再生処理が完了してから安定状態と判定されるまでの間、付着抑制処理が行われることにより、素子部に対する新たな粒子状物質の付着が抑制される。このため、素子部は、再生処理が完了した直後の状態、すなわち、粒子状物質の付着量が概ね0の状態に保たれる。その後、安定状態になると、電極の間への電圧の印可が電圧調整部によって開始される。安定状態になった後に再生処理を実行する必要が無いので、安定状態が保たれている間のうちに、素子部における粒子状物質の付着量の推定を正確に行い、当該推定に基づくフィルタの故障判定を完了できる可能性が高くなる。
[0014]
 本開示によれば、粒子状物質検出センサの素子部における粒子状物質の付着量を、正確に推定することのできる制御装置、が提供される。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 図1は、本実施形態に係る制御装置、及び制御装置が搭載される車両の構成を、模式的に示す図である。
[図2] 図2は、粒子状物質検出センサの構成を示す断面図である。
[図3] 図3は、粒子状物質検出センサが有する素子部の外観を示す図である。
[図4] 図4は、粒子状物質検出センサが有する素子部の構成を示す分解組立図である。
[図5] 図5は、本実施形態に係る制御装置により実行される処理の流れを示すフローチャートである。
[図6] 図6は、本実施形態に係る制御装置により実行される処理の流れを示すフローチャートである。
[図7] 図7は、本実施形態に係る制御装置により実行される処理の流れを示すフローチャートである。
[図8] 図8は、本実施形態に係る制御装置により実行される処理の流れを示すフローチャートである。
[図9] 図9は、本実施形態に係る制御装置による、付着量の推定の精度について説明するための図である。
[図10] 図10は、比較例に係る制御装置による、付着量の推定の精度について説明するための図である。

発明を実施するための形態

[0016]
 以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
[0017]
 本実施形態に係る制御装置10は、粒子状物質検出センサ20と共に車両MVに搭載され、粒子状物質検出センサ20の制御を行うための装置として構成されている。図1を参照しながら、車両MVの構成について先ず説明する。
[0018]
 図1には、車両MVのうち、内燃機関100及びその排気系の構成のみが模式的に示されている。車両MVは、内燃機関100と、排気配管130と、粒子フィルタ110と、排ガス温度センサ120と、を備えている。
[0019]
 内燃機関100は所謂エンジンである。内燃機関100は、燃料を燃焼させることにより、車両MVを走行させるための駆動力を発生させる。排気配管130は、内燃機関100の燃焼で生じた排ガスを、外部に排出するための配管である。
[0020]
 粒子フィルタ110は、排気配管130の途中に設けられており、排ガスに含まれる粒子状物質を捕集するためのフィルタである。粒子フィルタ110は、DPF(Diesel Particulate Filter)やGPF(Gasoline Particulate Filter)とも称される。粒子フィルタ110は、多孔質のセラミックスに格子状の通路を多数形成し、その入口側及び出口側を交互に閉塞することにより構成されたものである。尚、このような粒子フィルタ110の構成としては公知のものを採用し得るので、その具体的な図示や説明については省略する。
[0021]
 排ガス温度センサ120は、排気配管130を通る排ガスの温度を検出するためのセンサである。排ガス温度センサ120は、排気配管130のうち粒子フィルタ110よりも下流側となる位置、具体的には、次に述べる粒子状物質検出センサ20の近傍となる位置に配置されている。排ガス温度センサ120によって測定された排ガスの温度は、後述の制御装置10へと送信される。
[0022]
 粒子状物質検出センサ20は、粒子フィルタ110を通過した排ガスに含まれる粒子状物質の量を検出するためのセンサである。粒子状物質検出センサ20は、排気配管130のうち粒子フィルタ110よりも下流側となる位置に配置されている。このような粒子状物質検出センサ20が設けられていることで、粒子状物質を多く含む排ガスが外部に排出されてしまうことを検出することができる。また、粒子フィルタ110に異常が生じた場合には、当該異常を迅速に検知することもできる。粒子状物質検出センサ20から出力される信号、すなわち、粒子状物質の量を示す信号は、制御装置10へと送信される。
[0023]
 粒子状物質検出センサ20の具体的な構成について、図2を参照しながら説明する。図2において符号130が付されているのは、排気配管130を構成する管壁の断面である。同図においては、当該管壁よりも上方側が排気配管130の外側の空間であり、当該管壁よりも下方側が排気配管130の内側の空間である。粒子状物質検出センサ20は、排気配管130に形成された貫通孔131に対して外側から挿通されており、その一部が排気配管130の内部に向けて突出している。
[0024]
 粒子状物質検出センサ20は、その内側に素子部200を有している。素子部200は、粒子状物質を検出する部分として構成された素子である。図3には、素子部200の外観が示されている。図4には、素子部200の具体的な構成が分解組立図として示されている。
[0025]
 図4に示されるように、素子部200は、矩形の板状部材である基板を複数積層することにより構成されている。それぞれの基板はセラミックスにより形成されている。図4において最も下方側に配置された基板210は、その上面に、ヒーター211と、リード電極212、213と、センス電極214と、が形成されている。これらは全体が一つの電極パターンとなっており、基板210の上面に対して、例えばスクリーン印刷により形成されたものである。
[0026]
 ヒーター211は、電力の供給を受けて発熱する電気ヒーターとして構成された部分である。ヒーター211は、基板210の長手方向に沿った一端側の近傍となる位置に形成されている。ヒーター211は、素子部200のうち、特に後述の検出面201を加熱するためのものとして設けられている。
[0027]
 リード電極212、213は、ヒーター211に電力を供給するために形成された一対の電極である。リード電極212、213は、ヒーター211から、基板210の長手方向に沿って他方側の端部へと伸びるように形成されている。リード電極212の幅及び長さと、リード電極213の幅及び長さとは、互いに概ね等しくなっている。リード電極212、213には、図2に示される電力配線27が接続されている。電力配線27は、制御装置10からヒーター211へと電力を供給するために設けられた一対の配線である。電力配線27は、制御装置10からヒーター211へと電力を供給し得るよう、リード電極212、213と制御装置10との間を繋ぐように設けられている。一対の電力配線27のうちの一方はリード電極212に接続されており、他方はリード電極213に接続されている。
[0028]
 図4において符号212Aが付されている部分には、基板210を貫くように不図示のスルーホールが形成されている。電力配線27のうちの一方は、当該スルーホールを介してリード電極212に外側から接続されている。同様に、図4において符号213Aが付されている部分には、基板210を貫くように不図示のスルーホールが形成されている。電力配線27のうちの他方は、当該スルーホールを介してリード電極213に外側から接続されている。
[0029]
 センス電極214は、その一端が、リード電極213とヒーター211との接続部CPに対して接続されている。センス電極214は、接続部CPから、基板210の長手方向に沿って伸びるように形成されている。センス電極214は、リード電極213とヒーター211との接続部CPにおける電位を取得するために形成された電極である。
[0030]
 センス電極214には、図2に示されるセンス配線28が接続されている。センス配線28は、接続部CPの電位を制御装置10が取得し得るよう、センス配線28と制御装置10との間を繋ぐように設けられている。図4において符号214Aが付されている部分には、基板210を貫くように不図示のスルーホールが形成されている。センス配線28は、当該スルーホールを介してセンス電極214に外側から接続されている。
[0031]
 基板210の上方側に配置される基板220のうち、基板210とは反対側の面には、電極221、222が形成されている。これらは全体が一つの電極パターンとなっており、先に述べたヒーター211等と同様に、例えばスクリーン印刷により形成されたものである。電極221は、基板220の長手方向に沿った一端側の縁、具体的にはヒーター211が形成されている方と同じ側の縁に沿って伸びるように形成されている。電極222は、電極221のうち基板220の短手方向に沿った端部、具体的には、図4の紙面奥側における端部から、基板220の長手方向に沿って伸びるように形成されている。
[0032]
 基板220の更に上方側に配置される基板230のうち、基板220とは反対側の面には、電極231、232が形成されている。これらは全体が一つの電極パターンとなっており、先に述べたヒーター211等と同様に、例えばスクリーン印刷により形成されたものである。電極231は、基板230の長手方向に沿った一端側の縁、具体的にはヒーター211が形成されている方と同じ側の縁に沿って伸びるように形成されている。電極232は、電極231のうち基板230の短手方向に沿った端部、具体的には、図4の紙面手前側における端部から、基板230の長手方向に沿って伸びるように形成されている。
[0033]
 図4において最も下方側の基板210と、最も上方側の基板240との間には、上記のような基板220及び基板230が交互に並ぶように複数ずつ配置されている。このため、図3に示されるように、素子部200のうち長手方向に沿った端面である検出面201には、電極221及び電極231が露出しており、これらが交互に並ぶように配置された状態となっている。
[0034]
 図4において最も上方側の基板240のうち、基板230等とは反対側の面には、一対の電極241、242が形成されている。これらはいずれも、基板240の長手方向に沿った一方側、具体的には、ヒーター211が形成されている方とは反対側の端部近傍となる位置に形成されている。
[0035]
 電極241は、電極222のうち、図4において符号222Aが付されている部分と上下に重なる位置に形成されている。同様に、電極242は、電極232のうち、図4において符号232Aが付されている部分と上下に重なる位置に形成されている。
[0036]
 基板220、230、240のそれぞれのうち、符号222Aと上下に重なる位置には、各基板を貫くようにスルーホールが形成されている。電極241は、これらのスルーホールを介して、それぞれの電極222及び電極221と電気的に接続されている。
[0037]
 同様に、基板220、230、240のそれぞれのうち、符号232Aと上下に重なる位置には、各基板を貫くようにスルーホールが形成されている。電極242は、これらのスルーホールを介して、それぞれの電極232及び電極231と電気的に接続されている。
[0038]
 電極241、242には、図2に示される検出配線26が接続されている。検出配線26は、電極241、242と制御装置10との間を繋ぐ一対の配線である。一対の検出配線26のうちの一方は電極241に接続されており、他方は電極242に接続されている。
[0039]
 尚、本実施形態では、検出面201において電極221が複数存在しており、電極231も複数存在している。ただし、複数の電極221は、上記のように互いに導通するように接続されているので、全体を一つの電極とみなすことのできるものである。複数の電極231も同様である。このため、電極221及び電極231は、互いに対向するように形成された「一対の電極」、ということができる。
[0040]
 制御装置10は、一対の検出配線26を介して、電極241と電極242との間に所定の電圧を印可する。このとき、検出面201に露出している電極221と電極231との間にも電圧が印加されることとなる。
[0041]
 検出面201に粒子状物質が付着していないときには、電極221と電極231との間には電流が流れない。一方、検出面201に粒子状物質が付着し、その付着量が一定量に達すると、粒子状物質は導電性を有するので、電極221と電極231との間には電流が流れるようになる。検出面201における粒子状物質の付着量が多くなる程、当該電流も大きくなる。
[0042]
 このように、本実施形態における粒子状物質検出センサ20は、対向する一対の電極221、231が形成された素子部200を有し、当該素子部200における粒子状物質の付着量に応じた電流が、電極221、231の間を流れるように構成されたものとなっている。
[0043]
 制御装置10は、当該電流を、一対の検出配線26を流れる電流として検出する。制御装置10は、素子部200の検出面201における粒子状物質の付着量を、上記電流の大きさに基づいて検出することができる。
[0044]
 検出面201における粒子状物質の付着量がある適度多くなると、上記電流の大きさは一定となる。このため、制御装置10は、新たに付着する粒子状物質を検知することができなくなってしまう。この場合、制御装置10は、ヒーター211に電力を供給して発熱させ、素子部200の検出面201を加熱することで、検出面201に付着していた粒子状物質を燃焼させる。これにより粒子状物質が検出面201から除去されるので、制御装置10は、引き続き粒子状物質の量を検出することが可能となる。
[0045]
 図2を再び参照しながら、粒子状物質検出センサ20のその他の構成について説明する。粒子状物質検出センサ20は、先に説明した素子部200の他、保持部21と、ハウジング22と、締結部23と、カバー24、25と、を有している。
[0046]
 保持部21は、素子部200を保持するための部材であって、絶縁体であるセラミックスにより形成されている。素子部200は、その先端にある検出面201を排気配管130の内側に向けて突出させた状態で、保持部21によって保持されている。
[0047]
 ハウジング22は、金属からなる円筒形状の部材である。ハウジング22は、粒子状物質検出センサ20の概ね外形を成す部材であって、保持部21を外側から囲んでいる。ハウジング22のうち、排気配管130の内側に配置されている方の端部は開放されており、当該端部から素子部200が突出している。
[0048]
 締結部23は、粒子状物質検出センサ20を排気配管130に固定するための部分である。締結部23は、ハウジング22の一部を外周側から囲むように配置されている。締結部23は金属により形成されている。
[0049]
 締結部23の外周面には、不図示の雄螺子が形成されている。また、排気配管130に形成された貫通孔131の内周面には、不図示の雌螺子が形成されている。締結部23の外周面にある雄螺子は、貫通孔131の内周面にある雌螺子に螺合している。これにより、粒子状物質検出センサ20が排気配管130に対して締結固定されている。
[0050]
 カバー24、25は、いずれもハウジング22の先端に取り付けられており、当該先端から突出する素子部200の周囲を2重に覆うように設けられている。このうち、カバー25は内側に設けられており、カバー24は外側に設けられている。カバー24、25のそれぞれには、複数の貫通穴が形成されている。排気配管130を通る排ガスは、その一部がこれらの貫通穴を通じてカバー24、25の内側に入り込む。当該排ガスに含まれる粒子状物質の一部は、素子部200の検出面201に付着し、上記のように制御装置10によって検出されることとなる。
[0051]
 粒子状物質検出センサ20のうち、排気配管130の外側に向けて突出している部分の先端には、先に述べた検出配線26、電力配線27、及びセンス配線28のそれぞれが接続されている。尚、図2においては、一対の検出配線26が束ねられており、これらが1本の配線のように描かれている。同様に、一対の電力配線27とセンス配線28とが束ねられており、これらが1本の配線のように描かれている。
[0052]
 図1に戻って説明を続ける。同図に示される内燃機関ECU30は、内燃機関100の動作を制御するための制御装置である。内燃機関ECU30は、CPU、ROM、RAM等を有するコンピュータシステムとして構成されている。内燃機関ECU30は、不図示のスロットルバルブの開度等を、運転者の行う操作等に応じて調整することで、内燃機関100から出力される駆動力の大きさを調整する。また、内燃機関ECU30は、排ガスに含まれる窒素酸化物などの濃度が可能な限り小さくなるように、内燃機関100における空燃比を調整する。内燃機関ECU30によって行われるこれらの制御は、従来と同様のものであるから、その具体的な内容については説明を省略する。
[0053]
 内燃機関ECU30と、次に述べる制御装置10との間では、双方向の通信を行うことができる。内燃機関ECU30は、例えば内燃機関100の回転数や冷却水の温度等、内燃機関100の状態を示す様々なパラメータを継続的に取得している。制御装置10は、これらのパラメータを、内燃機関ECU30から上記の通信によって取得している。
[0054]
 本実施形態に係る制御装置10は、先に述べたように、粒子状物質検出センサ20の制御を行うための装置として構成されている。制御装置10は、上記の内燃機関ECU30と同様に、CPU、ROM、RAM等を有するコンピュータシステムとして構成されている。制御装置10は、粒子状物質検出センサ20による、粒子状物質の付着量に応じた電流の検出に必要な処理等を行うものである。
[0055]
 制御装置10は、機能的な制御ブロックとして、電圧調整部11と、温度取得部12と、ヒーター調整部13と、状態判定部14と、付着量推定部15と、フィルタ故障判定部16と、を備えている。
[0056]
 尚、以下において説明する制御装置10の機能の一部又は全部を、内燃機関ECU30が有しているような態様としてもよい。つまり、内燃機関ECU30が制御装置10としても機能し、粒子状物質検出センサ20の制御を行うような態様であってもよい。逆に、内燃機関ECU30の機能の一部又は全部を、制御装置10が有しているような態様としてもよい。内燃機関ECU30及び制御装置10における役割の分担や、具体的な装置の構成については、何ら限定されない。
[0057]
 電圧調整部11は、電極221、231の間に印加される電圧を調整する処理を行う部分である。電極221、231の間に電圧が印加されているときには、素子部200の周囲に存在する粒子状物質の一部が帯電し、静電気力によって引き寄せられて素子部200に付着する。また、先に述べたように、電極221、231の間に電圧が印加されているときには、素子部200における粒子状物質の付着量に応じた電流が、電極221、231の間を流れる。当該電流は、粒子状物質検出センサ20から出力される信号であって、素子部200における粒子状物質の付着量を示すもの、ということもできる。電圧調整部11は、当該電流の値を取得する処理も行う。
[0058]
 温度取得部12は、素子部200の温度を取得する処理を行う部分である。本実施形態の温度取得部12は、素子部200の温度がヒーター211の温度と概ね一致しているという前提の下、ヒーター211の抵抗値に基づいて素子部200の温度を取得している。
[0059]
 よく知られているように、素子部200の温度、すなわちヒーター211の温度が高くなる程、それに比例してヒーター211の抵抗値も大きくなる。両者の対応関係は予め測定されており、制御装置10が有する不図示の記憶装置に予め記憶されている。温度取得部12は、ヒーター211を流れている電流と、ヒーター211に印加されている電圧と、をそれぞれ取得し、これらに基づいてヒーター211の抵抗値を算出する。その後、ヒーター211の抵抗値と、記憶されている上記の対応関係とを用いて、ヒーター211の温度、すなわち素子部200の温度を取得する。
[0060]
 尚、ヒーター211に印加されている電圧の値は、センス配線28を介して取得された接続部CPの電位を用いることにより、更に正確に算出することが可能である。その具体的な算出方法としては、既に公知となっている方法を用いることができるので、具体的な説明については省略する。
[0061]
 上記のような態様に替えて、温度取得部12が、粒子状物質検出センサ20に設けられた温度センサからの信号に基づいて、素子部200の温度を取得する態様としてもよい。
[0062]
 ヒーター調整部13は、ヒーター211の発熱量を調整する処理を行う部分である。ヒーター調整部13は、温度取得部12によって取得される素子部200の温度が、所定の目標温度に一致するように、ヒーター211を流れる電流の大きさを調整する。
[0063]
 ヒーター調整部13は、ヒーター211によって素子部200を加熱し、素子部200に付着している粒子状物質を燃焼させ除去する処理、すなわち、素子部200における粒子状物質の付着量を概ね0とする処理を実行する。当該処理のことを、以下では「再生処理」とも称する。
[0064]
 ヒーター調整部13は、素子部200の温度を、新たな粒子状物質の付着が抑制される温度に維持するよう、ヒーター211の発熱量を調整する処理も行う。「新たな粒子状物質の付着が抑制される温度」とは、再生処理の実行時における素子部200の温度よりも低い温度であって、粒子状物質検出センサ20の周囲を流れる排ガスの温度よりも高い温度である。素子部200の温度がこのような温度に保たれているときには、粒子状物質が素子部200から遠ざかる方向に熱泳動力を受けるので、素子部200に対する新たな粒子状物質の付着が抑制される。「新たな粒子状物質の付着が抑制される温度」として設定される目標温度のことを、以下では「付着抑制温度」とも称する。また、素子部200の温度を付着抑制温度に維持するよう、ヒーター211の発熱量を調整する処理のことを、以下では「付着抑制処理」とも称する。後に説明するように、付着抑制処理は、上記の再生処理に続けて実行される。
[0065]
 状態判定部14は、粒子状物質検出センサ20の周囲の状態が安定状態であるか否か、を判定する処理を行う部分である。「粒子状物質検出センサ20の周囲の状態」とは、排気配管130の内部のうち、素子部200の周囲の状態のことである。「安定状態」とは、粒子状物質検出センサ20からの出力、具体的には、電極221、231の間を流れる電流に影響を与えるパラメータの変動が少なく、安定している状態のことである。このようなパラメータとしては、例えば、内燃機関100の回転数、排気配管130を流れる排ガスの流速、当該排ガスの温度、もしくは、これらに基づいて推定される粒子状物質の濃度等が挙げられる。安定状態であるか否かを判定するための具体的な方法については後に説明する。
[0066]
 付着量推定部15は、素子部200における粒子状物質の付着量を推定する処理、を行う部分である。推定される「付着量」とは、粒子フィルタ110が現在故障していると仮定した場合において、粒子状物質検出センサ20の素子部200に付着すると推定される粒子状物質の量のことである。この付着量は、現在における排ガスの流量や温度、内燃機関100の状態等に基づいて、例えばシミュレーションを行うことにより算出される。付着量推定部15は、付着量を推定する処理を、所定の制御周期が経過する毎に繰り返し行う。このため、付着量推定部15により推定される粒子状物質の付着量は、時間の経過と共に増加して行くこととなる。尚、粒子状物質の付着量を推定する方法としては、例えば特開2012-122399号公報に記載されているような公知の方法を採用することができるので、その具体的な内容については説明を省略する。
[0067]
 フィルタ故障判定部16は、粒子フィルタ110が故障しているか否かを判定する処理を行う部分である。当該判定は、付着量推定部15により推定される付着量と、電極221、231の間を流れる電流と、に基づいて行われる。その具体的な判定方法については後に説明する。
[0068]
 制御装置10によって実行される処理の具体的な流れについて、図5を参照しながら説明する。図5に示される一連の処理は、粒子フィルタ110が正常であるか否かを確認するために、内燃機関100が始動された直後のタイミングにおいて実行開始されるものである。
[0069]
 当該処理の最初のステップS01では、排気配管130の温度が、所定の乾燥温度以上であるか否かが判定される。乾燥温度とは、排気配管130の内部に液体の水が存在し得ない程度に高い温度として、予め設定されている温度である。排気配管130の温度が乾燥温度未満であれば、ステップS01の処理が再度実行される。排気配管130の温度が乾燥温度以上となった場合には、ステップS02に移行する。
[0070]
 ステップS02では、ヒーター調整部13によって再生処理が実行される。先に述べたように、再生処理とは、ヒーター211によって素子部200を加熱し、素子部200に付着している粒子状物質を燃焼させ除去する処理である。再生処理が完了した時点においては、素子部200における粒子状物質の付着量は概ね0となっている。
[0071]
 再生処理が完了するとステップS03に移行する。ステップS03では、ヒーター調整部13によって付着抑制処理が開始される。先に述べたように、付着抑制処理とは、素子部200の温度を、新たな粒子状物質の付着が抑制される温度に維持する処理である。
[0072]
 付着抑制処理が行われている期間、すなわち、ステップS03の処理が行われた以降の期間においては、図6に示される一連の処理が繰り返し実行される。当該処理は、付着抑制処理の目標温度である付着抑制温度を設定し、素子部200の温度をこれに一致させる処理である。
[0073]
 当該処理の最初のステップS21では、排ガス温度センサ120によって排ガスの温度が取得される。当該温度は、粒子状物質検出センサ20の周囲を流れる排ガスの温度、ということができる。
[0074]
 ステップS21に続くステップS22では、付着抑制温度が設定される。ここでは、再生処理の実行時における素子部200の温度よりも低く、且つ、ステップS21で取得された排ガスの温度よりも所定温度だけ高い温度となるように、付着抑制温度が設定される。
[0075]
 ステップS22に続くステップS23では、温度取得部12によって現在の素子部200の温度が取得される。ステップS23に続くステップS24では、ヒーター調整部13によってヒーター211の発熱量が調整される。ここでは、ステップS23で取得される素子部200の温度が、ステップS22で設定される付着抑制温度に近づくように、ヒーター211の発熱量が調整される。当該調整には、例えばPID制御のような公知の制御手法を用いることができる。
[0076]
 付着抑制処理の実行時には、以上のような処理が繰り返し実行される。このため、素子部200の温度は、概ね付着抑制温度に一致することとなる。
[0077]
 図5に戻って説明を続ける。ステップS03において付着抑制処理が開始された後は、ステップS04に移行する。尚、ステップS04以降の処理の実行中においても、図6に示される付着抑制処理は継続して行われており、素子部200の温度は付着抑制温度に維持されている。
[0078]
 ステップS04では、時間の計測を開始する処理が行われる。この時間の計測は、次のステップS05において、安定状態であるか否かを判定するために行われるものである。時間の計測が開始されるタイミングは、付着抑制処理が開始されたタイミング、ということができる。
[0079]
 ステップS04に続くステップS05では、粒子状物質検出センサ20の周囲の状態が安定状態であるか否かが、状態判定部14によって判定される。図7に示されるフローチャートは、当該判定のために実行される処理の流れを示すものである。当該処理は、ステップS05の処理が最初に実行された以降、図5に示される一連の処理と並行して繰り返し実行される処理となっている。
[0080]
 最初のステップS31では、電極221、231の間を流れる電流に影響を与えるパラメータの値が、予め設定された所定範囲内に収まっているか否かが判定される。本実施形態では、上記の「パラメータ」として、排ガスの温度が用いられる。先に述べたように、上記のパラメータとしては、内燃機関100の回転数、排気配管130を流れる排ガスの流速、もしくは、推定される粒子状物質の濃度等を用いることができる。
[0081]
 尚、上記の所定範囲は、その上限及び下限の両方が設定されているような範囲であってもよいが、上限又は下限のいずれか一方のみが設定されているような範囲であってもよい。例えば、パラメータとして排ガスの温度が用いられる場合には、その上限のみが規定された範囲として「所定範囲」が設定されていてもよい。
[0082]
 パラメータの値が所定範囲内に収まっている場合には、ステップS32に移行する。ステップS32では、パラメータの値の変動幅の大きさが、予め設定された所定幅を超えているか否かが判定される。この「所定幅」としては、上記の「所定範囲」の幅よりも小さな値が設定されている。ステップS32における当該判定は、ステップS04の実行から現時点までの間にサンプリングされたパラメータの時間変化の波形を、解析することにより行われる。
[0083]
 パラメータの値の変動幅の大きさが所定幅を超えていなかった場合には、ステップS33に移行する。ステップS33では、パラメータの値の微分値の絶対値が、予め設定された所定値を超えるか否かが判定される。ステップS33における当該判定は、ステップS04の実行時から現時点までの間にサンプリングされたパラメータの時間変化の波形を、解析することにより行われる。
[0084]
 パラメータの値の微分値の絶対値が、所定値を超えていなかった場合には、ステップS34に移行する。ステップS34では、ステップS04で時間の計測が開始されてから現時点までの間に、予め設定された所定時間が経過したか否かが判定される。所定時間が経過していればステップS35に移行する。
[0085]
 ステップS35では、軌跡長が所定長さを超えているか否かが判定される。ここでいう「軌跡長」とは、パラメータの時間変化の波形を示すグラフを描いた場合における、当該グラフの曲線の長さのことである。当該グラフは、現時点までの直近の上記所定時間の間における、パラメータの時間変化を示すグラフである。ステップS35における当該判定は、現時点までの間にサンプリングされたパラメータの時間変化の波形を、解析することにより行われる。
[0086]
 軌跡長が所定長さを超えていない場合にはステップS36に移行する。ステップS36では、粒子状物質検出センサ20の周囲の状態が「安定状態である」と判定される。
[0087]
 ステップS34において、所定時間が経過していなかった場合にはステップS38に移行する。ステップS38では、粒子状物質検出センサ20の周囲の状態が「安定状態ではない」と判定される。
[0088]
 ステップS31において、パラメータの値が所定範囲内に収まっていなかった場合には、ステップS37に移行する。また、ステップS32において、パラメータの値の変動幅の大きさが所定幅を超えていた場合にも、ステップS37に移行する。更に、ステップS33において、パラメータの値の微分値の絶対値が所定値を超えていた場合にも、ステップS37に移行する。
[0089]
 ステップS37では、図5のステップS04で開始されていた時間の計測を、リセットする処理が行われる。その後、ステップS34における所定時間が経過したか否かの判定は、ステップSS37からの経過時間について行われることとなる。ステップS37の後は、先に述べたステップS38に移行する。
[0090]
 図5に戻って説明を続ける。ステップS05において「安定状態である」と判定された場合には、後述のステップS07に移行する。一方、「安定状態ではない」と判定された場合には、ステップS06に移行する。ステップS06では、ステップS04において時間の計測が開始された時点から、現時点までの間に、予め設定された上限時間が経過したか否かが判定される。この「上限時間」は、図7のステップS34の判定で用いられる「所定時間」よりも長い時間として設定されている。尚、図7のステップS37において時間の計測がリセットされている場合であっても、ステップS06の判定における時間の始点は変わらない。つまり、ステップS06では常に、ステップS04において時間の計測が開始された時点から、現時点までの間に、予め設定された上限時間が経過したか否かが判定されることとなる。
[0091]
 上限時間が経過していなければ、ステップS05の処理が再度実行される。上限時間が経過していれば、その時点では未だ「安定状態である」との判定がなされていなくても、強制的にステップS07に移行する。
[0092]
 ステップS07では、ヒーター211による発熱を停止させる処理が、ヒーター調整部13によって行われる。これにより、素子部200の温度は付着抑制温度に維持されなくなるので、この時点で付着抑制制御は終了する。ただし、付着抑制制御が終了した後も、図7に示される一連の処理は引き続き繰り返し実行される。
[0093]
 ステップS07に続くステップS08では、電極221、231の間への電圧の印可を開始する処理が、電圧調整部11によって実行される。尚、ステップS07の処理が完了した後、素子部200の温度が概ね一定となってからステップS08に移行するように、ステップS08への移行前において所定の待ち時間が設定されていてもよい。
[0094]
 ステップS08に続くステップS09では、電極221、231の間を流れる電流が、所定の閾値以下となっているか否かが判定される。当該電流が閾値を超えている場合には、ステップS11に移行する。
[0095]
 ステップS11に移行したということは、電極221、231の間への電圧の印可を開始した直後において、本来であれば粒子状物質の付着量が0であるにも拘らず、閾値を超えるような電流が電極221、231の間を流れたということである。この場合、ステップS02の再生処理が充分には行わなかったことにより、素子部200に粒子状物質の一部が燃え残ってしまっていると推測される。
[0096]
 このため、ステップS11では、電極221、231の間への電圧の印可を停止する処理が、電圧調整部11によって実行される。その後、ステップS02以降の処理が再度実行される。すなわち、ヒーター調整部13による再生処理が再度実行され、素子部200から完全に粒子状物質を除去することが試みられる。再度の再生処理により、素子部200に付着していた粒子状物質が除去されれば、次回のステップS09においてはYesと判定され、次に述べるステップS10に移行することとなる。
[0097]
 ステップS09において、電極221、231の間を流れる電流が閾値以下であった場合には、ステップS10に移行する。ステップS10では、粒子フィルタ110が故障しているか否かを判定する処理が、フィルタ故障判定部16によって行われる。図7に示されるフローチャートは、当該判定のために実行される処理の流れを示すものである。
[0098]
 最初のステップS41では、粒子状物質検出センサ20の周囲の状態が安定状態であるか否かが、状態判定部14によって判定される。当該判定の方法は、図7を参照しながら先に説明したとおりである。既に述べたように、図7に示される一連の処理は、図5のステップS05の処理が最初に実行された以降、付着抑制制御が終了した後も繰り返し実行されている。ステップS41では、当該処理の結果に基づいて、安定状態であるか否かが判定される。
[0099]
 安定状態であった場合には、ステップS42に移行する。ステップS42では、素子部200における粒子状物質の付着量を推定する処理が、付着量推定部15によって行われる。先に述べたように、付着量推定部15は、粒子フィルタ110が現在故障していると仮定した場合における粒子状物質の付着量を、現在の排ガスの流量や温度、内燃機関100の状態等に基づいて算出する。
[0100]
 ステップS42に続くステップS43では、ステップS43で推定された付着量が、所定量以上となっているか否かが判定される。この「所定量」とは、電極221、231の間において検出可能な電流が流れ始めるような粒子状物質の付着量として、予め設定されているものである。推定された付着量が所定量未満である場合には、ステップS41以降の処理が再度実行される。推定された付着量が所定量以上である場合には、ステップS44に移行する。
[0101]
 ステップS44では、電極221、231の間を流れる電流の値が、閾値以上となっているか否かが判定される。この「閾値」とは、素子部200における粒子状物質の付着量が上記の「所定量」となったときに、電極221、231の間を流れると予測される電流の値として、予め設定されているものである。尚、ステップS44の判定に用いられる閾値は、図5のステップS09の判定に用いられる閾値と同じ値であってもよいが、異なる値であってもよい。
[0102]
 電流の値が閾値以上である場合にはステップS45に移行する。ステップS45に移行した場合には、粒子フィルタ110が故障している場合と同じか、それ以上の量の粒子状物質が素子部200に付着しているということである。このため、ステップS45では、粒子フィルタ110が故障していると判定される。
[0103]
 ステップS44において、電流の値が閾値未満である場合にはステップS46に移行する。ステップS46に移行した場合には、粒子フィルタ110が故障している場合よりも少ない量の粒子状物質しか素子部200に付着していないということである。このため、ステップS46では、粒子フィルタ110が正常であると判定される。
[0104]
 ステップS41において、安定状態ではなかった場合には、ステップS47に移行する。ステップS47では、電極221、231の間への電圧の印可を停止する処理が、電圧調整部11によって実行される。その後は、図5のステップS02以降の処理が再度実行される。
[0105]
 以上に説明したような処理が行われることの利点について説明する。上記のように、本実施形態の制御装置10では、ヒーター調整部13が、図5のステップS02において、ヒーター211により素子部200を加熱して、素子部200に付着した粒子状物質を燃焼させ除去する再生処理を実行する。ヒーター調整部13は、再生処理が完了した後のステップS03から、状態判定部14によりステップS05において安定状態と判定されるまでの間、素子部200の温度を、新たな粒子状物質の付着が抑制される付着抑制温度に維持する付着抑制処理を実行する。状態判定部14により安定状態と判定されると、ヒーター調整部13は、ステップS07においてヒーター211による発熱を停止させる。また、電圧調整部11は、ステップS08において電極221、231の間への電圧の印可を開始する。
[0106]
 このような制御装置10によれば、再生処理が完了してから安定状態と判定されるまでの間、付着抑制処理が行われることにより、素子部200に対する新たな粒子状物質の付着が抑制される。このため、素子部200は、再生処理が完了した直後の状態、すなわち、粒子状物質の付着量が概ね0の状態に保たれる。その後、安定状態になると、電極221、231の間への電圧の印可が電圧調整部11によって開始され、粒子状物質の付着量の推定、及び、当該推定に基づく粒子フィルタ110の故障判定が実行される。安定状態になった後に再生処理を実行する必要が無いので、安定状態が保たれている間のうちに、素子部200における粒子状物質の付着量の推定を正確に行い、当該推定に基づく粒子フィルタ110の故障判定を完了できる可能性が高くなる。
[0107]
 図10には、比較例に係る制御装置10によって、従来と同様の方法で付着量の推定が行われた場合における、付着量の推定値の時間変化の例が示されている。従来においては、再生処理が完了した後、安定状態であるか否かに拘らず電極への電圧の印加が行われ、測定される電流値に基づいて付着量の推定が行われていた。このため、安定状態でなかった場合には、図10において実線で示されるように、実際の付着量の変化を示すグラフの傾きは時間とともに変化し、その波形は複雑な形状となる。このような付着量を正確に推定することは困難であり、その推定値は、点線L1と点線L2との間において変動するので、実際の変化との間には大きな誤差が生じてしまう傾向があった。
[0108]
 図10には、ステップS43の判定で用いられる所定量、すなわち、電極221、231の間において検出可能な電流が流れ始めるような粒子状物質の付着量として設定された値が、「TH」として示されている。付着量の推定値がTHを超えたタイミングで、そのときの電流値に基づく粒子フィルタ110の故障判定が行われる。しかしながら、図10の例のように、付着量の推定値が大きく変動する場合には、上記のタイミングは、推定の誤差により時刻t11から時刻t12の範囲で大きく変動してしまう。その結果、電流値に基づく粒子フィルタ110の故障判定が正確には行われず、誤判定が生じてしまう可能性が高かった。
[0109]
 図9には、本実施形態の方法で付着量の推定が行われた場合における、付着量の推定値の時間変化の例が示されている。本実施形態では、付着抑制処理が開始された後、安定状態になると、再生処理を経ることなく直ちに電極221、231への電圧の印加が行われ、測定される電流値に基づいて付着量の推定が行われる。安定状態においては、図9において実線で示されるように、実際の付着量の変化を示すグラフの傾きは概ね一定となる。付着量の推定値は、図9の例においても点線L1と点線L2との間において変動するのであるが、その変動幅は図10に比べて小さくなっている。付着量の推定値がTHを超えるタイミングは、時刻t1から時刻t2までの比較的小さな範囲でしか変動しない。その結果、電流値に基づく粒子フィルタ110の故障判定を正確に行い、誤判定が生じてしまう可能性を従来よりも低減することが可能となる。
[0110]
 本実施形態のヒーター調整部13は、図6を参照しながら説明したように、付着抑制処理における目標温度である付着抑制温度として、粒子状物質検出センサ20の周囲を流れる排ガスの温度よりも高い温度を設定する。これにより、粒子状物質が素子部200から遠ざかる方向に熱泳動力を受けるので、素子部200に対する新たな粒子状物質の付着を確実に抑制することができる。
[0111]
 ところで、粒子状物質検出センサ20の周囲を流れる排ガスの温度は、例えば粒子フィルタ110の再生処理の実行等に伴い、一時的に上昇してしまうことがある。このような排ガスの温度の変動を考慮し、その変動範囲の上限よりも更に高い温度として、付着抑制温度を設定しておくことも考えられる。しかしながら、その場合には、ヒーター211における消費電力が無駄に大きくなってしまうので好ましくない。
[0112]
 そこで、本実施形態のヒーター調整部13は、図6を参照しながら説明したように、粒子状物質検出センサ20の周囲を流れる排ガスの温度に応じて、付着抑制温度を変化させることとしている。これにより、付着抑制温度を排ガスの温度近くまで下げながら、排ガスの温度よりも常に高い温度として設定することが可能となる。
[0113]
 本実施形態の状態判定部14は、図7を参照しながら説明したように、粒子状物質検出センサ20からの出力に影響を与えるパラメータが、所定時間に亘って所定範囲内に収まっているとき、すなわち、ステップS31及びステップS34における判定のいずれもがYesであるときに、安定状態であると判定する。これにより、安定状態であるか否かを正確に判定し、その後における粒子状物質の付着量の推定を正確に行うことが可能となる。
[0114]
 状態判定部14は、パラメータが所定時間に亘って所定範囲内に収まっており、且つ、当該所定時間の間において、パラメータの変動幅の大きさが所定幅を超えなかったとき、すなわち、ステップS31、ステップS32、及びステップS34における判定のいずれもがYesであるときに、安定状態であると判定する。パラメータが所定範囲内に収まっているときであっても、その変動幅が大きい場合には安定状態ではないと判定することで、安定状態と判定される条件が更に厳しくなる。これにより、その後における粒子状物質の付着量の推定を更に正確に行うことが可能となる。
[0115]
 状態判定部14は、パラメータが所定時間に亘って所定範囲内に収まっており、且つ、当該所定時間の間において、パラメータの微分値の絶対値が所定値を超えなかったとき、すなわち、ステップS31、ステップS33、及びステップS34における判定のいずれもがYesであるときに、安定状態であると判定する。パラメータが所定範囲内に収まっているときであっても、その変化速度が大きい場合には安定状態ではないと判定することで、安定状態と判定される条件が更に厳しくなる。これにより、その後における粒子状物質の付着量の推定を更に正確に行うことが可能となる。
[0116]
 状態判定部14は、パラメータが所定時間に亘って所定範囲内に収まっており、且つ、パラメータの時間変化を示すグラフの軌跡長が所定長さを超えなかったとき、すなわち、ステップS31、ステップS34、及びステップS35における判定のいずれもがYesであるときに、安定状態であると判定する。パラメータが所定範囲内に収まっているときであっても、その変化が大きい場合には安定状態ではないと判定することで、安定状態と判定される条件が更に厳しくなる。これにより、その後における粒子状物質の付着量の推定を更に正確に行うことが可能となる。
[0117]
 図5のステップS08において、電極221、231の間への電圧の印可が開始された後に、状態判定部14によって安定状態ではないと判定された場合、すなわち、図8のステップS41の判定がNoであった場合には、電圧調整部11は、ステップS47において電極221、231の間への電圧の印可を停止する。また、ヒーター調整部13は、ステップS02において、再生処理を再び実行する。粒子フィルタ110の故障判定が行われている途中の段階において安定状態ではなくなってしまった場合には、故障判定を中断し再生処理からやり直すこととなるので、粒子状物質の付着量の推定を更に正確に行うことが可能となる。
[0118]
 図5のステップS03において付着抑制処理が開始されてから、予め設定された上限時間が経過した場合、すなわち、ステップS06における判定がYesであった場合には、状態判定部14により安定状態と判定されていなくても、ヒーター調整部13は、ステップS7においてヒーター211による発熱を停止させる。また、電圧調整部11は、ステップS08において電極221、231の間への電圧の印可を開始する。
[0119]
 つまり、長時間に亘って安定状態とならなかった場合には、制御装置10は強制的に電圧の印加等を開始し、粒子フィルタ110の故障判定を開始する。これにより、故障判定の実行頻度を確保することができる。
[0120]
 図5のステップS08で電圧の印可が開始された直後において、電極221、231の間を流れる電流が所定の閾値を超えた場合、すなわち、ステップS09の判定がNoであった場合には、電圧調整部11は、ステップS11において電極221、231の間への電圧の印可を停止する。また、ヒーター調整部13は、ステップS02において再生処理を再び実行する。これにより、素子部200において粒子状物質の一部が燃え残ってしまっているような場合であっても、再度の再生処理により、当該粒子状物質を確実に除去することが可能となる。
[0121]
 ヒーター調整部13は、内燃機関100が始動された後、排気配管130の温度が所定の乾燥温度以上となったとき、すなわち、図5のステップS01における判定がYesとなったときに、ステップS02に移行して再生処理を実行する。これにより、素子部200に水分が付着している状態でヒーター211による加熱が開始され、素子部200が破損してしまうような事態を防止することができる。
[0122]
 本実施形態における粒子状物質検出センサ20の素子部200は、図3、図4等を参照しながら説明したように、複数の基板220等を積層することにより構成されている。このような構成においては、電極221、231の配置ピッチを狭くできるので、粒子状物質の付着量が少なくても、電極221、231の間を電流が流れる。つまり、粒子状物質検出センサ20は、高感度なセンサとして構成されている。このような高感度の粒子状物質検出センサ20を用いた場合には、図5におけるステップS10の処理、つまり、図8に示される一連の処理に要する期間が短くなるので、安定状態が続いている間に、粒子フィルタ110の故障判定を完了できる可能性が高くなる。
[0123]
 このような高感度のセンサとしては、本実施形態のような粒子状物質検出センサ20とは異なる態様のセンサが用いられてもよい。例えば、国際公開第2018/216561号に記載されているような、素子部の電極と直列に接続されたコンデンサを有し、当該コンデンサの電圧に基づいて粒子状物質を検出するような構成のセンサが用いられてもよい。
[0124]
 以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
[0125]
 本開示に記載の制御装置及び制御方法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ又は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された1つ又は複数の専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載の制御装置及び制御方法は、1つ又は複数の専用ハードウェア論理回路を含むプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載の制御装置及び制御方法は、1つ又は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと1つ又は複数のハードウェア論理回路を含むプロセッサとの組み合わせにより構成された1つ又は複数の専用コンピュータにより、実現されてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。専用ハードウェア論理回路及びハードウェア論理回路は、複数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路により実現されてもよい。

請求の範囲

[請求項1]
 粒子状物質検出センサ(20)の制御装置(10)であって、
 前記粒子状物質検出センサは、対向する一対の電極(221,231)が形成された素子部(200)と、前記素子部を加熱するためのヒーター(211)と、を有し、前記素子部における粒子状物質の付着量に応じた電流が、前記電極の間を流れるように構成されたものであり、
 前記電極の間に印加される電圧を調整する電圧調整部(11)と、
 前記ヒーターの発熱量を調整するヒーター調整部(13)と、
 前記粒子状物質検出センサの周囲の状態が安定状態であるか否か、を判定する状態判定部(14)と、を備え、
 前記ヒーター調整部は、
 前記ヒーターにより前記素子部を加熱して、前記素子部に付着した粒子状物質を燃焼させ除去する再生処理と、
 前記再生処理が完了してから、前記状態判定部により前記安定状態と判定されるまでの間、前記素子部の温度を、新たな粒子状物質の付着が抑制される付着抑制温度に維持する付着抑制処理と、を実行し、
 前記状態判定部により前記安定状態と判定されると、
 前記ヒーター調整部は前記ヒーターによる発熱を停止させ、
 前記電圧調整部は、前記電極の間への電圧の印可を開始するように構成されている制御装置。
[請求項2]
 前記ヒーター調整部は、
 前記付着抑制温度として、前記粒子状物質検出センサの周囲を流れる排ガスの温度よりも高い温度を設定する、請求項1に記載の制御装置。
[請求項3]
 前記ヒーター調整部は、
 前記粒子状物質検出センサの周囲を流れる排ガスの温度に応じて前記付着抑制温度を変化させる、請求項2に記載の制御装置。
[請求項4]
 前記状態判定部は、
 前記粒子状物質検出センサからの出力に影響を与えるパラメータが、所定時間に亘って所定範囲内に収まっているときに、前記安定状態であると判定する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の制御装置。
[請求項5]
 前記状態判定部は、
前記パラメータが前記所定時間に亘って前記所定範囲内に収まっており、且つ、当該所定時間の間において、前記パラメータの変動幅の大きさが所定幅を超えなかったときに、前記安定状態であると判定する、請求項4に記載の制御装置。
[請求項6]
 前記状態判定部は、
前記パラメータが前記所定時間に亘って前記所定範囲内に収まっており、且つ、当該所定時間の間において、前記パラメータの微分値の絶対値が所定値を超えなかったときに、前記安定状態であると判定する、請求項4に記載の制御装置。
[請求項7]
 前記状態判定部は、
前記パラメータが前記所定時間に亘って前記所定範囲内に収まっており、且つ、前記パラメータの時間変化を示すグラフの軌跡長が所定長さを超えなかったときに、前記安定状態であると判定する、請求項4に記載の制御装置。
[請求項8]
 前記電圧調整部による、前記電極の間への電圧の印可が開始された後に、前記状態判定部によって前記安定状態ではないと判定された場合には、
 前記電圧調整部は前記電極の間への電圧の印可を停止し、
 前記ヒーター調整部は、前記再生処理を再び実行する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の制御装置。
[請求項9]
 前記付着抑制処理が開始されてから、予め設定された上限時間が経過すると、前記状態判定部により前記安定状態と判定されていなくても、
 前記ヒーター調整部は前記ヒーターによる発熱を停止させ、
 前記電圧調整部は、前記電極の間への電圧の印可を開始する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の制御装置。
[請求項10]
 前記電圧調整部が、前記電極の間への電圧の印可を開始した直後において、前記電極の間を流れる電流が所定の閾値を超えた場合には、
 前記電圧調整部は前記電極の間への電圧の印可を停止し、
 前記ヒーター調整部は、前記再生処理を再び実行する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の制御装置。
[請求項11]
 前記粒子状物質検出センサは、内燃機関(100)から排ガスを排出するための排気配管(130)に設けられており、
 前記ヒーター調整部は、
 前記内燃機関が始動された後、前記排気配管の温度が所定の乾燥温度以上となったときに前記再生処理を実行する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の制御装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]