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1. WO2020136696 - METHOD FOR INDUCING MUSCULAR CELLS USING CELLS IN SPOT URINE

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明 細 書

発明の名称 随時尿中細胞を用いた筋系細胞の誘導方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

非特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049  

実施例

0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 随時尿中細胞を用いた筋系細胞の誘導方法

技術分野

[0001]
 本発明は、尿中細胞から筋管を作製するための方法及びキットに関する。また本発明は、筋管を用いた筋ジストロフィーのエクソン・スキップ治療薬の検定方法に関する。

背景技術

[0002]
 デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、ジストロフィン欠損により発症する重篤な遺伝性筋疾患である。このDMDに対しては、アンチセンス・オリゴヌクレオチド(AON)を用いたエクソン・スキップ治療の実用化が期待されている。エクソン・スキップ治療は、mRNA前駆体を標的に遺伝子変異近傍のエクソンを、AONを用いてスキップすることで(スプライシング異常の修正)、フレームシフト変異をイン・フレーム化し、短縮型ジストロフィンタンパク質の発現を回復させる治療である。発明者らは、そのようなエクソン・スキップ治療薬として、ジストロフィン遺伝子のエクソン53をスキップさせることによりジストロフィンタンパク質の発現を回復させるアンチセンスオリゴヌクレオチドNS-065/NCNP-01を開発し、医師主導早期探索的試験を無事に完了し(非特許文献1)、現在は次相試験を進めている。今後は対象患者数が多いエクソンを標的に新規エクソン・スキップ薬の開発が進むと見込まれる。
[0003]
 一方、必ずしもゲノムDNA変異パターンから、ジストロフィンのmRNAとタンパク質レベルでの治療効果を予測できないことが知られている。つまり、特定のゲノムDNA変異パターンに基づいてエクソン・スキップ治療を行った場合でも、望ましいジストロフィンタンパク質の発現の程度に違いが見られることが知られている。DMDに対するエクソン・スキップ薬開発を加速させ、治療効果があると見込まれる被験者を選別し効果的な治療を実施するためには、実際に治療を開始する前に、被験者由来筋細胞を対象に、治験薬の効果をin vitroで検証することが重要と考えられる。

先行技術文献

非特許文献

[0004]
非特許文献1 : Komaki, H. et al., Science translational medicine. vol. 10, eaan0713, 2018
非特許文献2 : Saito, T. et al, PlosOne. vol. 5, e12239, 2010
非特許文献3 : Kim, E.Y. et al., Skeletal Muscle vol.6: 32, 2016

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 発明者らはこれまで、筋制御因子(muscle regulatory factor)であるMYOD1導入により患者皮膚由来線維芽細胞を筋管に変換し、筋管分化のうえエクソン・スキップ薬の効果を検証するin vitro検定系を確立している(非特許文献2)。しかしながら、皮膚線維芽細胞を用いた手法は侵襲的な皮膚生検が必要であり、MYOD1陽性細胞の分取には特殊な機器と技術が必要なフローサイトメトリーが必要であるなどの課題がある。そのため、無侵襲かつ簡便な治験薬のin vitro検定系の確立が望まれる。
[0006]
 一方、尿中細胞にMYOD1を導入することにより筋管へダイレクト・リプログラミングを行う方法が報告されているが(非特許文献3)、尿中細胞から予め特定の形態を示す細胞を選択していること、また筋管の誘導には分化誘導後4~5週間を要することなどの課題があった。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明者は、非侵襲的な観点から尿中細胞に着目し、非特許文献3のように尿中細胞へMYOD1遺伝子を導入して筋管への誘導を試みたが、MYOD1の下流に位置する筋制御因子であるMyogeninはほとんど発現せず、十分な筋管を誘導することはできなかった。そこで、筋管を誘導可能な条件を探索したところ、MYOD1遺伝子を導入した尿中細胞をヒストンメチル基転移酵素阻害剤(HMTI)などのエピジェネティクス制御化合物に曝露することにより、効率的に筋管を誘導することに成功した。また、誘導された筋管を使用して、筋ジストロフィー治療薬であるエクソン・スキップ治療薬の効果を検定することができた。これらの知見から本発明を完成するに至った。
[0008]
 すなわち本発明は以下の実施形態を包含する。
(1)尿中細胞から筋管を作製する方法であって、
 尿中細胞にMYOD1遺伝子を導入する導入ステップと、
 前記尿中細胞を少なくとも1種のエピジェネティクス制御化合物に曝露する曝露ステップと、
を含む方法。
(2)前記導入ステップ及び前記曝露ステップ後の前記尿中細胞が筋芽細胞及び筋管からなる群より選択される少なくとも1種を含む、(1)に記載の方法。
(3)エピジェネティクス制御化合物が、ヒストンメチル基転移酵素阻害剤、ヒストン脱メチル化酵素阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、SIRT2阻害剤、及びPARP阻害剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)ヒストンメチル基転移酵素阻害剤が、3-デアザネプラノシンA及び3-デアザネプラノシンA塩酸塩(DZNep)、GSK343、SGC707、フラミジン二塩酸塩、UNC2327、E7438、及びMI-2(メニン-MLL阻害剤)からなる群より選択される少なくとも1種を含む、(3)に記載の方法。
(5)ヒストン脱メチル化酵素阻害剤が、IOX 1及びGSK-J1からなる群より選択される少なくとも1種を含む、(3)に記載の方法。
(6)ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤が、LMK-235、CAY10603、BRD73954、及びVORINOSTATからなる群より選択される少なくとも1種を含む、(3)に記載の方法。
(7)SIRT2阻害剤がSirReal 2を含む、(3)に記載の方法。
(8)PARP阻害剤がEB47を含む、(3)に記載の方法。
(9)MYOD1遺伝子の導入が、誘導性プロモーターの制御下にあるMYOD1遺伝子を含む発現ベクターの導入により行われる、(1)~(8)のいずれかに記載の方法。
(10)発現ベクターが選択マーカー遺伝子をさらに含む、(9)に記載の方法。
(11)尿中細胞が、筋疾患患者又は筋ジストロフィー患者由来のものである、(1)~(10)のいずれかに記載の方法。
(12)尿中細胞から筋管を作製するためのキットであって、
 尿中細胞にMYOD1遺伝子を導入するための導入手段と、
 少なくとも1種のエピジェネティクス制御化合物と、
を備えるキット。
(13)前記導入手段が、MYOD1遺伝子を尿中細胞へ導入するための発現ベクターである、(12)に記載のキット。
(14)エピジェネティクス制御化合物が、ヒストンメチル基転移酵素阻害剤、ヒストン脱メチル化酵素阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、SIRT2阻害剤、及びPARP阻害剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む、(12)又は(13)に記載のキット。
(15)エピジェネティクス制御化合物が、3-デアザネプラノシンA及び3-デアザネプラノシンA塩酸塩(DZNep)、GSK343、SGC707、フラミジン二塩酸塩、UNC2327、E7438、及びMI-2(メニン-MLL阻害剤)、IOX 1及びGSK-J1、LMK-235、CAY10603、BRD73954、及びVORINOSTAT、SirReal 2、並びにEB47からなる群より選択される少なくとも1種を含む、(12)~(14)のいずれかに記載のキット。
(16)筋ジストロフィー患者に対するエクソン・スキップ治療薬の検定方法であって、
 (1)~(11)のいずれかに記載の方法により筋ジストロフィー患者の尿中細胞から筋管を作製する作製ステップと、
 前記筋管にエクソン・スキップ治療薬を適用する適用ステップと、
 前記筋管におけるジストロフィンmRNA及び/又はタンパク質の回復を検出する検出ステップと、を含む方法。
(17)前記検出ステップにおいて、ジストロフィンmRNA及び/又はタンパク質の回復が、RT-PCR、ウエスタンブロット、及び免疫細胞染色からなる群より選択される少なくとも1つの方法により検出される、(16)に記載の方法。
(18)エクソン・スキップ治療薬が、エクソン44スキップ薬、エクソン45スキップ薬、エクソン50スキップ薬、エクソン51スキップ薬及びエクソン53スキップ薬からなる群より選択される少なくとも1種を含む、(16)又は(17)に記載の方法。
(19)骨格筋障害を引き起こす状態の治療薬又は予防薬候補のスクリーニング方法であって、
 骨格筋障害を引き起こす状態を有する患者の尿中細胞から(1)~(11)のいずれかに記載の方法により筋管を作製する作製ステップと、
 前記筋管に被験物質又は因子を適用する適用ステップと、
 前記適用ステップ後の前記筋管における変化をモニターすることにより前記被験物質又は因子を治療薬又は予防薬候補として同定する同定ステップと、
を含む方法。

発明の効果

[0009]
 本発明に係る方法及びキットによって、尿中細胞から無侵襲かつ効率的に筋管を誘導することができる。誘導された筋管は、ヒト由来疾患モデル筋細胞を用いた基盤的研究や、筋疾患及び骨格筋障害をはじめとした、筋障害を引き起こす個々の患者に対する精密医療の進展を加速し得る。従って、本発明は、医療及び創薬の分野において有用である。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 尿の培養によりコロニーを形成した尿中細胞の位相差顕微鏡像を示す写真である。写真は、初代培養開始7日後の像である。
[図2] 尿中細胞へのMYOD1遺伝子の導入に使用したレトロウイルスベクターを示す。
[図3] 免疫細胞染色によるミオシン重鎖タンパク質の発現レベルで評価した筋分化度を示すグラフである。横軸は添加した化合物の種類を示し、縦軸は免疫細胞染色によるミオシン重鎖陽性領域の面積を示す。A:1μM低分子化合物、B:10μM低分子化合物。
[図4] 免疫細胞染色による3-デアザネプラノシンA塩酸塩(DZNep)の筋分化促進効果を示す写真である。赤色はミオシン重鎖を示し、青色は核染色を示す。
[図5] ウエスタンブロットによる3-デアザネプラノシンA塩酸塩(DZNep)の筋分化促進効果を示すブロット(A)及びグラフ(B)である。
[図6] DMD患者由来の尿中細胞から誘導された筋管(尿細胞由来筋管)を用いたエクソン・スキップ治療の効果の検定(RT-PCR)を示す。AはRT-PCRによるジストロフィン遺伝子の発現を示し、Bは、Aの結果に基づいて求めたエクソン・スキップ効率を示すグラフである。
[図7] DMD患者由来の尿細胞由来筋管を用いたエクソン・スキップ治療の効果の検定を示す。Aはウエスタンブロットによるジストロフィンタンパク質の発現を示し、Bは、Aの結果に基づくグラフである。
[図8] DMD患者由来の尿細胞由来筋管を用いたエクソン・スキップ治療の効果の検定(免疫細胞染色)を示す。赤色はジストロフィンタンパク質を示し、青色は核染色を示す。
[図9] 最適なエクソン・スキップ治療薬の配列を選定するための検定系の結果を示す。Aは、免疫細胞染色によるジストロフィンタンパク質の発現を示し、Bは、Aをもとに蛍光が陽性の領域を半定量したヒートマップを示し、CはBに基づくグラフである。

発明を実施するための形態

[0011]
 以下、本発明を詳細に説明する。
 本発明は、非侵襲的かつ効率的に尿中細胞から尿細胞由来筋管を作製するための方法及びキット、並びにかかる尿細胞由来筋管の用途に関する。
[0012]
 一態様において、本発明は、尿中細胞から筋管を作製する方法に関し、該方法は、尿中細胞にMYOD1遺伝子を導入する導入ステップと、前記尿中細胞を少なくとも1種のエピジェネティクス制御化合物に曝露する曝露ステップと、を含む。本方法では、上記導入ステップと曝露ステップとにより尿中細胞から筋管への誘導が促進される。
[0013]
 本発明において、「筋管」とは、MYOD1を発現し、複数の筋芽細胞が融合したものを指す。筋管であるか否かは、当技術分野で公知の方法により評価することができ、例えば、多核化した細胞形態の観察、あるいは筋制御因子(MYOD1、Myogenin等)、ミオシン、ジストロフィンなどの発現の測定によって、筋管であるかどうかを評価可能である。
[0014]
 本発明において、「尿中細胞」とは、随意尿中細胞又はUDCs(urine-derived cells)とも称され、尿を培養することにより得られる細胞集団を指す。培養前の尿には、例えば腎上皮細胞や尿路系上皮細胞などの様々な形態の細胞が含まれるが、培養によって細胞増殖するに従い、比較的均一な細胞集団が得られることが知られている(Zhou, T. et al. Generation of human induced pluripotent stem cells from urine samples. Nature protocols 7, 2080-2089 (2012))。
[0015]
 本方法では、尿を培養して得られる尿中細胞を使用する。尿中細胞の由来となる尿の供給源は、筋管誘導後の目的・用途に応じて異なるものであるが、動物、好ましくは哺乳動物、例えばヒト、実験動物(マウス、ラット、イヌ、ウサギ等)、家畜動物(ウシ、ブタ等)などとすることができる。好ましい実施形態では、尿の供給源はヒトであり、特に好ましくは遺伝子欠陥による筋疾患(例えば筋ジストロフィー)を有するヒトである。
[0016]
 尿中細胞の取得は、当技術分野で公知であり(例えばZhou, T. et al. Nature protocols vol.7, pp.2080-2089, 2012)、特に限定されるものではない。例えば、採取された尿を遠心して上清を除去した後、ペレットを初期培地と混合して約37℃でインキュベートし、続いて増殖培地で培養し、培養開始のおよそ数日から2週間後にコロニー形成された細胞を選択する。このように得られた細胞は、複数回継代培養した後も近似した特徴を有する安定した細胞系となる。
[0017]
 本方法では、尿中細胞にMYOD1遺伝子を導入する。MYOD1遺伝子は、筋制御因子の1つであり、MYODファミリーに属する。MYOD1遺伝子を線維芽細胞などに導入すると、筋管へと分化誘導できることが知られている。MYOD1遺伝子及びその細胞への導入方法は当技術分野で周知であり、特に限定されるものではない。好ましくは、尿中細胞が由来する動物、好ましくはヒトのMYOD1遺伝子を使用する。MYOD1遺伝子の配列、例えばヒトMYOD1遺伝子の配列は、アクセッション番号NM_002478.4としてGenBankに登録されている。
[0018]
 尿中細胞へのMYOD1遺伝子の導入は、当技術分野で公知の方法により行うことができる。これにより、導入ステップが行われる。例えば、MYOD1遺伝子をクローニングし、適当な発現ベクター(例えばレトロウイルスベクター)に組み込む。発現ベクターには、MYOD1遺伝子の他、プロモーター及びエンハンサー、選択マーカー遺伝子などを挿入してもよい。プロモーターは、尿中細胞の由来(ヒト由来など)に応じて適宜選択することができ、誘導性プロモーターを使用することが好ましい。尿中細胞は、MYOD1が発現すると筋分化を開始し、増殖能が著明に低下するため、誘導性プロモーターを使用して細胞増殖と筋管への分化とを制御できることが好ましい。具体的には、誘導性プロモーターとして例えばTRE3GSプロモーターを使用してMYOD1遺伝子を尿中細胞に導入した後、MYOD1遺伝子が導入された尿中細胞を増殖させ、続いてドキシサイクリン(Dox)を培地へ添加してプロモーターを活性化し、MYOD1遺伝子を発現させて筋管への分化を誘導する。また選択マーカー遺伝子は必須ではないが、MYOD1遺伝子が導入された尿中細胞を簡便に選択することができるため、発現ベクターに組み込むことが好ましい。選択マーカー遺伝子としては、ピューロマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子などが挙げられる。このような発現ベクターを当技術分野で公知の方法を使用して、例えば市販のトランスフェクション試薬などを使用して、尿中細胞へ導入する。導入された細胞の選択もまた当技術分野で公知であり、例えば発現ベクター中にピューロマイシン耐性遺伝子を挿入した場合には、ピューロマイシンに抵抗性を示す細胞を選択する。
[0019]
 また本方法では、尿中細胞をエピジェネティクス制御化合物に曝露する。これにより、曝露ステップが行われる。具体的には、尿中細胞をエピジェネティクス制御化合物の存在下で培養する。本実施形態では、一例として導入ステップの後に曝露ステップを行う。なお、曝露ステップと同時に、又は曝露ステップの後に、上述した導入ステップを行ってもよい。すなわち、エピジェネティクス制御化合物の存在下で尿中細胞を所定時間培養中又は培養した後にMYOD1遺伝子を導入してもよい。
[0020]
 エピジェネティクス制御とは、DNAの塩基配列の変化を伴わずに、染色体の変化によって遺伝子発現を制御することを指す。そのような染色体の変化として、ヌクレオソーム中のDNAのメチル化、ヒストンのアセチル化及びメチル化などの化学修飾があり、このようなDNA及びヒストンの化学修飾が遺伝子発現を制御している。そのため、エピジェネティクス制御化合物には、そのようなエピジェネティクス制御に関与する酵素の阻害剤、例えばヒストンメチル基転移酵素(ヒストンメチルトランスフェラーゼ:HMT)、ヒストン脱メチル化酵素(ヒストンデメチラーゼ)、ヒストン脱アセチル化酵素(ヒストンデアセチラーゼ:HDAC)、SIRT2(Sirtuin 2)、PARP(ポリADPリボースポリメラーゼ)の阻害剤が含まれる。
[0021]
 ヒストンメチル基転移酵素阻害剤は、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤又はHMTIとも呼ばれ、ヒストンのメチル化を阻害する化合物である。適当なヒストンメチル基転移酵素阻害剤としては、例えば3-デアザネプラノシンA及び3-デアザネプラノシンA塩酸塩(DZNep)、GSK343、SGC707、フラミジン二塩酸塩(Furamidine dihydrochloride)、UNC2327、E7438、MI-2(メニン-MLL阻害剤)などが挙げられる。好ましくは、3-デアザネプラノシンA塩酸塩(DZNep)、GSK343、フラミジン二塩酸塩、UNC2327、E7438であり、特に好ましくは3-デアザネプラノシンA塩酸塩(DZNep)である。これらの化合物のヒストンメチル基転移酵素阻害活性を有する誘導体もまた使用することができる。
[0022]
 ヒストン脱メチル化酵素(ヒストンデメチラーゼ)阻害剤は、ヒストンの脱メチル化を阻害する化合物である。適当なヒストン脱メチル化酵素阻害剤としては、例えばIOX 1、GSK-J1などが挙げられる。これらの化合物のヒストン脱メチル化酵素阻害活性を有する誘導体もまた使用することができる。
[0023]
 ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤又はHDAC阻害剤とも呼ばれ、ヒストンの脱アセチル化を阻害する化合物である。適当なヒストン脱アセチル化酵素阻害剤としては、LMK-235、CAY10603、BRD73954、VORINOSTATなどが挙げられる。好ましくは、LMK-235、CAY10603、BRD73954である。これらの化合物のヒストン脱アセチル化酵素阻害活性を有する誘導体もまた使用することができる。
[0024]
 SIRT2(Sirtuin 2)阻害剤は、SIRT2を阻害する化合物であり、例えばSirReal 2が挙げられる。この化合物のSIRT2阻害活性を有する誘導体もまた使用することができる。
[0025]
 PARP(ポリADPリボースポリメラーゼ)阻害剤は、PARPを阻害する化合物であり、例えばEB47が挙げられる。この化合物のPARP阻害活性を有する誘導体もまた使用することができる。
[0026]
 エピジェネティクス制御化合物は、1種類の化合物を使用してもよいし、又は2種以上の化合物を組み合わせて(例えば同時に若しくは順次に)使用してもよい。
[0027]
 曝露ステップにおいて、曝露条件は、使用するエピジェネティクス制御化合物の種類に応じて、適宜設定することが可能である。具体的には、尿中細胞の培養に適した培地、温度及び環境を設定し、エピジェネティクス制御化合物を培地に添加して、尿中細胞を培養する。使用し得る培地としては、限定されるものではなく、増殖培地(REGM Bullet Kit(Lonza; CC-3190)と高グルコースDMEMを等量混合し、テトラサイクリンを含まない15%ウシ胎児血清、0.5%Glutamax(Thermo Fisher Scientific; 35050-061)、0.5%非必須アミノ酸(Thermo Fisher Scientific; 11140-050)、2.5ng/mL fibroblast growth factor-basic(bFGF)(Sigma, St Louis, USA; F0291)、PDGF-AB(Peprotech, Rocky Hill, NJ; 100-00AB)、EGF(Peprotech; AF-100-15)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、0.5μg/mLアムホテリシンBを添加したもの)、分化培地(高グルコース含有DMEM with GlutaMAX-I(Thermo Fisher Scientific; 10569-010)、5%ウマ血清、ITS Liquid Media Supplement(Sigma; I3146)、1μg/mL ドキシサイクリンを含む)などが挙げられる。この培地に、適当な濃度、例えば0.01μM~100μMの最終濃度のエピジェネティクス制御化合物を添加する。エピジェネティクス制御化合物の濃度は、筋管の誘導能や細胞毒性を考慮して、当業者であれば適宜設定することができる。培養温度は、哺乳動物の培養に適した温度、例えば30~40℃、好ましくは約37℃とすることができ、pHは中性付近に保持する。培養期間は、1時間~4週間、好ましくは1日~2週間程度とすることができる。
[0028]
 上記導入ステップ及び曝露ステップにより、尿中細胞の筋管への分化誘導が促進される。筋管への誘導の確認は、培養後の細胞が筋管であるか否かを評価することによって、例えば筋制御因子(MYOD1、Myogenin等)、ミオシン、ジストロフィンなどの発現を測定することによって、行うことができる。
[0029]
 上述のようにして、対象の尿から尿中細胞を取得し、尿中細胞から筋管を作製することができる。本発明の方法は、従来法とは異なり、非侵襲的で効率的に筋管を作製できる点で有利である。
[0030]
 上述した方法は、キットを使用することにより容易かつ簡便に行うことができる。すなわち、別の態様において、本発明は、尿中細胞から筋管を作製するためのキットに関する。本キットは、尿中細胞にMYOD1遺伝子を導入するための導入手段と、少なくとも1種のエピジェネティクス制御化合物と、を備える。導入手段は、例えば上述したようなMYOD1遺伝子を尿中細胞へ導入するための発現ベクターである。エピジェネティクス制御化合物は、筋管への分化誘導に適した培地と共に提供されてもよい。本キットは、構成要素として導入手段及びエピジェネティクス制御化合物を含み、さらに構成要素は上述した方法を実施するための手順及びプロトコールを記載した説明書などを含んでもよい。
[0031]
 本キットに含まれる構成要素は、個別に別途提供されてもよく、又は単一の容器内に収納されて提供されてもよい。好ましくは、本キットは、上述した方法を実施するために必要な構成要素の全てを、即時に使用することができるように、例えば調整された濃度の構成要素として含む。
[0032]
 上述した方法及びキットにより作製された筋管は、骨格筋障害を引き起こす状態の治療薬の効果を評価するために使用することができる。例えば、上述した方法及びキットにより作製された筋管は、筋ジストロフィー患者に対するエクソン・スキップ治療薬の効果を評価するため、並びに/あるいは骨格筋障害を引き起こす状態の治療薬又は予防薬候補のスクリーニングのために使用することができる。
[0033]
 すなわち、別の態様において、本発明は、骨格筋障害を引き起こす状態の治療薬の検定方法に関する。本検定方法は、
 骨格筋障害を引き起こす状態を有する患者の尿中細胞から上述した方法により筋管を作製する作製ステップと、
 前記筋管に治療薬を適用する適用ステップと、
 前記筋管における骨格筋障害の状態の改善を検出する検出ステップと、
を含む。具体的な実施形態において、本発明は、筋ジストロフィー患者に対するエクソン・スキップ治療薬の検定方法であって、
 上述した方法によって筋ジストロフィー患者の尿中細胞から筋管を作製する作製ステップと、
 前記筋管にエクソン・スキップ治療薬を適用する適用ステップと、
 前記適用ステップ後の前記筋管におけるジストロフィンmRNA及び/又はタンパク質の回復を検出する検出ステップと、
を含む方法に関する。
[0034]
 本検定方法における「骨格筋障害を引き起こす状態」は、筋原性あるいは神経原性に筋肉が障害されて様々な症状を生じる状態の総称であり、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィーの他、福山型筋ジストロフィー、メロシン欠損症、Ullrich症候群などの先天性筋ジストロフィー、ミオパチー、炎症性筋疾患、筋無力症候群などの神経筋接合部疾患、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患、脊髄性筋萎縮症などの末梢神経障害、脳卒中後遺症をはじめとした廃用性筋萎縮を来す疾患、サルコペニア、がん悪液質(カヘキシア)等が含まれる。
[0035]
 本検定方法では、骨格筋障害を引き起こす状態を有する患者の尿中細胞から筋管を作製する。これにより、作製ステップが行われる。骨格筋障害を引き起こす状態を有する患者は、実際にその骨格筋障害又は骨格筋障害を引き起こす状態を患うヒト患者、好ましくは検定対象の治療薬を投与する候補となるヒト患者である。上述した方法により、骨格筋障害を引き起こす状態を有する患者から採取された尿から尿中細胞を得て、その患者由来の筋管を作製する。
[0036]
 次いで、検定対象の治療薬を前記作製された筋管に適用する。これにより、適用ステップが行われる。治療薬は、その骨格筋障害又は骨格筋障害を引き起こす状態の治療に使用されている治療薬であれば特に限定されるものではない。例えば、筋ジストロフィーの治療として、エクソン・スキップ治療薬、リードスルー治療薬、ウイルスベクターを用いた遺伝子治療が知られている。エクソン・スキップ治療薬は、ジストロフィンのmRNA前駆体を標的に遺伝子変異近傍のエクソンを、アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)を用いてスキップすることで、フレームシフト変異をイン・フレーム化し、短縮型ジストロフィンタンパク質の発現を回復させる治療薬である。例えばエクソン44スキップ薬、エクソン45スキップ薬、エクソン50スキップ薬、エクソン51スキップ薬及びエクソン53スキップ薬が知られ、それらのAONの配列も公知である(例えばエクソン44スキップ薬、エクソン45スキップ薬とエクソン53スキップ薬はWilton, S. D. et al. Mol Ther 15, 1288-1296 (2007)、エクソン50スキップ薬はWu, B. et al. PLoS One 6, e19906 (2011)、エクソン51スキップ薬はeteplirsen(AVI-4658)などを参照)。また本検定方法では、単一の治療薬について検定してもよいし、あるいは複数の治療薬を並行して検定して治療薬の効果を比較してもよい。
[0037]
 治療薬を適用する条件は当業者であれば容易に決定することができる。例えば、筋管を、治療薬を添加した培地中で、一定期間、例えば1時間~5日間にわたり培養する。治療薬の効果及び有効性は、いくつかの条件で検定することも可能である。そのような条件としては、治療薬を適用する時間、治療薬の適用量、適用回数などを挙げることができる。
[0038]
 続いて、筋管における骨格筋障害の状態の改善を検出する。これにより、検出ステップが行われる。検出する状態は、骨格筋障害又は骨格筋障害を引き起こす状態の種類に応じて異なる。例えば、筋細胞におけるジストロフィンタンパク質発現に欠陥のある筋ジストロフィーの場合には、筋管におけるジストロフィンmRNA及び/又はタンパク質の回復を検出する。ジストロフィンの回復は、当技術分野で公知の方法により検出することができ、具体的にはmRNAレベルで(例えばRT-PCRにより)、あるいはタンパク質レベルで(例えばウエスタンブロット、免疫細胞染色により)検出することができる。対照として、治療薬を適用していない筋管、健常者由来の筋管(好ましくは、同じ手法により尿中細胞から誘導された筋管)などを用いて、治療薬の効果を比較してもよい。
[0039]
 本検定方法により、骨格筋障害を引き起こす状態、特に筋ジストロフィーに対する治療薬の効果を評価することができる。特に、ある骨格筋障害又は骨格筋障害を引き起こす状態を有する患者(筋ジストロフィー患者)に対する治療薬を検定し、効果が高いと予測される治療薬を選択することが可能となる。
[0040]
 さらに本発明は、別の態様において、骨格筋障害を引き起こす状態の治療薬又は予防薬候補のスクリーニング方法に関する。本発明に係るスクリーニング方法は、
 骨格筋障害を引き起こす状態を有する患者の尿中細胞から上述した方法によって筋管を作製する作製ステップと、
 前記筋管に被験物質又は因子を適用する適用ステップと、
 前記適用ステップ後の前記筋管における変化をモニターすることにより前記被験物質又は因子を治療薬又は予防薬候補として同定する同定ステップと、
を含む。
[0041]
 本スクリーニング法において、「骨格筋障害を引き起こす状態」は、筋原性あるいは神経原性に筋肉が障害されて様々な症状を生じる状態の総称であり、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィーの他、福山型筋ジストロフィー、メロシン欠損症、Ullrich症候群などの先天性筋ジストロフィー、ミオパチー、炎症性筋疾患、筋無力症候群などの神経筋接合部疾患、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患、脊髄性筋萎縮症などの末梢神経障害、脳卒中後遺症をはじめとした廃用性筋萎縮を来す疾患、サルコペニア、がん悪液質(カヘキシア)等が含まれる。
[0042]
 本スクリーニング方法では、骨格筋障害を引き起こす状態を有する患者の尿中細胞から筋管を作製する。骨格筋障害を引き起こす状態を有する患者は、実際にその骨格筋障害を引き起こす状態を患うヒト患者であってもよいし、その骨格筋障害を引き起こす状態のモデル動物であってもよい。例えば、筋ジストロフィーのモデルマウス(mdxマウス)、モデルイヌ(GRMD、CXMDJ)、モデルネコ(HFMDネコ)などが知られている。骨格筋障害を引き起こす状態を有する患者又はモデル動物から採取された尿から上述した方法によって、尿中細胞を得て、その患者又はモデル動物のための筋管を作製する。これにより、作製ステップが行われる。
[0043]
 本スクリーニング方法の対象となる被験物質又は因子の種類は特に限定されるものではない。例えば、被験物質又は因子は、任意の物質、具体的には、天然に生じる分子、例えば、アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、脂質、炭水化物(糖等)、ステロイド、グリコペプチド、糖タンパク質、プロテオグリカンなど;天然に生じる分子の合成アナログ又は誘導体、例えば、ペプチド擬態物、核酸分子(アプタマー、アンチセンス核酸、エクソン・スキップ治療薬、二本鎖RNA(RNAi)等)など;天然に生じない分子、例えば、コンビナトリアルケミストリー技術等を用いて作製した低分子有機化合物(無機及び有機化合物ライブラリー、又はコンビナトリアルライブラリー等)など;並びにそれらの混合物を挙げることができる。また被験物質又は因子は、単一物質であってもよいし、複数の物質から構成される複合体や、転写因子等であってもよい。さらに、因子は、放射線、紫外線、酸素又は二酸化炭素濃度、温度などの環境因子であってもよい。
[0044]
 本スクリーニング方法では、筋管に被験物質又は因子を適用するが、その条件は当業者であれば容易に決定することができる。例えば、被験物質を添加した培地中で筋管を培養することにより、被験物質を含む溶液中に筋管を浸漬することにより、筋管上に被験物質を積層することにより、又は被験因子の存在下で筋管を培養することにより行うことができる。これにより、適用ステップが行われる。
[0045]
 また、被験物質又は因子の効果及び有効性は、いくつかの条件で検討することも可能である。そのような条件としては、被験物質又は因子の適用する時間又は期間、適用量、適用回数などが挙げられる。例えば、被験物質の希釈系列を調製するなどして複数の用量を設定することができる。被験物質又は因子の処置期間も適宜設定することができるが、例えば、1時間から数日、数週間、数ヶ月、数年の期間にわたって処置を行うことができる。
[0046]
 さらに、複数の被験物質及び/又は因子の相加作用、相乗作用などを検討する場合には、被験物質及び/又は因子を組み合わせて用いてもよい。
[0047]
 続いて、筋管の変化をモニターする。モニターする変化は、骨格筋障害を引き起こす状態の種類に応じて異なる。例えば、筋細胞におけるジストロフィンタンパク質発現に欠陥のある筋ジストロフィーの場合には、筋管におけるジストロフィンタンパク質の発現をモニターする。筋管の変化をモニターした後、対照と比較し、骨格筋障害の状態を改善し得る被験物質又は因子を治療薬又は予防薬候補として選択する。対照としては、被験物質又は因子の不在下における筋管、健常者由来の筋管(好ましくは、同じ手法により尿中細胞から誘導された筋管)などを用いることができる。これにより、同定ステップが行われる。
[0048]
 さらに、治療薬又は予防薬候補のスクリーニングにおいては、さらに、選択された被験物質又は因子を、骨格筋障害又は骨格筋障害を引き起こす状態のモデル動物(骨格筋障害発症動物又は骨格筋障害保因動物)に投与して、被験物質又は因子がモデル動物における骨格筋障害の病態に影響を及ぼすか否かを判定してもよい。被験物質又は因子がモデル動物における骨格筋障害の病態に影響を及ぼすか否かの判定は、骨格筋障害の種類、モデル動物の種類、判定しようとする病態、要因などにより異なるが、当業者であれば、骨格筋障害に及ぼす影響を適宜判定することができる。例えば、筋ジストロフィーの場合には、筋力、血清クレアチンキナーゼ値の測定、単離骨格筋の張力測定、組織学的な筋最大直径及び中心核線維の頻度の計測などを行うことができる。一般的には、モデル動物において被験物質又は因子の有効性が確認された後に、ヒトにおいて、例えば臨床試験などにより有効性の評価が行われる。
[0049]
 上述のようにして、骨格筋障害を引き起こす状態の改善(例えば、症状の改善、発症若しくは進行の遅延)が認められる場合の被験物質又は因子は、骨格筋障害又は骨格筋障害を引き起こす状態の治療薬又は予防薬の候補として選択することができる。例えば、筋ジストロフィーの症状(例えば筋力低下、筋萎縮、運動能力の低下、歩行障害、心筋疾患など)を改善する、又は症状の発症若しくは進行の遅延を生じる被験物質又は因子を選択する。
実施例
[0050]
 以下、本発明を実施例及び図面によりさらに具体的に説明する。ただし、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。
[0051]
 なお、実施例に示すすべての実験は国立精神・神経医療研究センター(NCNP)の承認を得た上で行った。また、随時尿の提供は本人又は代諾者から書面で同意を得たうえで実施した。
[0052]
[実施例1]尿中細胞の採取と培養
 滅菌したプラスチックボトル(Corning Incorporated, NY, USA; 430281)に対して対象に排尿させることによって尿を採取した。Zhouらの方法(Zhou, T. et al. Nature protocols vol.7, pp.2080-2089, 2012)を若干変更して、採取した尿の初代細胞培養を採取後数時間以内に行った。
[0053]
 簡単に述べると、採取した尿を複数の50mLコニカルチューブに分注して400×gで10分間、室温で遠心し、上清を除去した。その後、ペレットをPBSに懸濁した後に1本のコニカルチューブに集め、10mLの洗浄液(Ca 2+とMg 2+を含まず、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA; 15140-122)と0.5μg/mLアムホテリシンB(Sigma, St Louis, USA; A2942)を含有するPBS)を入れ、200×gで10分間、室温で遠心後に上清を除去した。ペレットを1.5mLの初期培地(高グルコースDMEM(GE Healthcare, Logan, UT; SH30022.FS)とHam’s F-12 Nutrient Mix(Thermo Fisher Scientific; 11765-054)を等量混合し、REGM SingleQuots(Lonza, Basel, Switzerland; CC-4127)、テトラサイクリンを含まない10%ウシ胎児血清(Clontech; 631106)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、0.5μg/mLアムホテリシンBを添加)に懸濁し、ゼラチンコートした6ウェルプレート(IWAKI, Shizuoka, Japan; 4810-020)上で、5%CO 2、37℃のインキュベーター内で培養した。毎日1.5mLずつ初期培地を加え、培養開始4日目に2mLの増殖培地(REGM Bullet Kit(Lonza; CC-3190)と高グルコースDMEMを等量混合し、テトラサイクリンを含まない15%ウシ胎児血清、0.5%Glutamax(Thermo Fisher Scientific; 35050-061)、0.5%非必須アミノ酸(Thermo Fisher Scientific; 11140-050)、2.5ng/mL fibroblast growth factor-basic(bFGF)(Sigma, St Louis, USA; F0291)、PDGF-AB(Peprotech, Rocky Hill, NJ; 100-00AB)、EGF(Peprotech; AF-100-15)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、0.5μg/mLアムホテリシンBを添加したもの。REGM Bullet KitのアムホテリシンB/ゲンタマイシンは除く)に置換した。培養開始後数日から2週間程度で尿中細胞がコロニーを形成した。図1に、培養開始後7日目の位相差顕微鏡像の写真を示す。
[0054]
[実施例2]レトロウイルスベクターの作成
 In-Fusion HD Cloning Plus(Clontech; 638909)を用いてMYOD1配列(CCDS 7826.1)をpRetroX-TetOne-Puroベクター(Clontech; 634307)に挿入した。GP2-293細胞(Clontech; 631458)をコラーゲンコートした細胞培養用プレート上で、10%ウシ胎児血清を含むDMEM培地で培養した。GP2-293細胞に、pVZV-Gカプシドベクターと作製したMYOD1挿入後のpRetroX-TetOne-Puroベクターを、Xfect trasfection reagent(Clontech; 631317)を用いてGP2-293細胞に導入した。GP2-293細胞が産生したレトロウイルスベクター(以下「MYOD1ウイルスベクター」という)(図2)を、24時間後と48時間後に培養上清から回収し、-80℃フリーザー内に保存した。図2に示すレトロウイルスベクターは、MYOD1遺伝子がTRE3GSプロモーターの制御下にあるため、ドキシサイクリン(Dox)によりMYOD1遺伝子の発現を誘導可能である。また、選択マーカーとしてピューロマイシン耐性遺伝子を含む。
[0055]
[実施例3]尿中細胞へのMYOD1導入
 尿中細胞を培養用ディッシュ又はプレート上に播種し(例えば、3,000~5,000個/cm 2)、増殖培地内で培養後(例えば24時間後)にポリブレンなどを用いてMYOD1ウイルスベクターを感染させることにより尿中細胞にMYOD1を導入した。これにより、導入ステップが行われた。感染の一定期間後にピューロマイシンを培地に添加し数日間培養することで、MYOD1陽性尿中細胞を選択した。
[0056]
[実施例4]低分子化合物への曝露による尿細胞由来筋管の誘導の促進
 MYOD1陽性尿中細胞をコラーゲンコートした培養用ディッシュ又はプレート上に播種し、ドキシサイクリン(例えば1μg/mL)を添加した分化培地(高グルコース含有DMEM with GlutaMAX-I(Thermo Fisher Scientific; 10569-010)、5%ウマ血清、ITS Liquid Media Supplement(Sigma; I3146)、1μg/mL ドキシサイクリンを含む)で培養し、筋管を誘導した。その際、化合物ライブラリー(Sigma; S990043-EPI1)を用いた低分子化合物を分化培地に添加することにより、筋分化を促進し得るかを検討した。低分子化合物は最終濃度を0.1、1又は10μMとして添加した。筋管誘導の評価は免疫細胞染色及びウエスタンブロットで行った。
[0057]
 免疫細胞染色は、培養細胞をPBSで洗浄後に4%パラホルムアルデヒドで固定し、0.1%Triton-Xを加え室温で10分間インキュベーションした。一次抗体として抗ミオシン重鎖抗体(1:50, R&D, Minneapolis, USA; MAB4470)、抗ジストロフィン抗体(1:30, Novocastra, Newcastle, UK; NCL-DYS1)、二次抗体としてAlexa Fluor 546 goat anti-mouse IgG (H+L)(1:300, Invitrogen; A11003)を使用した。核染色はHoechst 33342を使用した。蛍光顕微鏡(BZ-9000又はBZ-X800, KEYENCE, Osaka, Japan)で撮像し、画像をBZ-X Analyzer(KEYENCE)で解析した。
[0058]
 その結果、エピジェネティクス制御化合物を分化培地中に添加すると、免疫細胞染色によるミオシン重鎖タンパク質の発現レベルで評価した筋分化度が有意に高まることを見出した(図3及び4)。特に、ヒストンメチル基転移酵素阻害剤である3-デアザネプラノシンA塩酸塩(以下「DZNep」という)の効果が高く、ヒストンメチル基転移酵素阻害剤のGSK343、SGC707、フラミジン二塩酸塩(Furamidine dihydrochloride)、UNC2327、E7438、MI-2(メニン-MLL阻害剤)、ヒストン脱メチル化酵素阻害剤のIOX 1、GSK-J1、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤のVORINOSTAT、LMK-235、CAY10603、BRD73954、SIRT2阻害剤のSirReal 2、PARP阻害剤であるEB47についても効果が確認された。図3中、横軸は添加した化合物の種類を示し、縦軸は免疫細胞染色によるミオシン重鎖陽性領域の面積を示す。図3のAは1μM低分子化合物を用いた結果を示し、Bは10μM低分子化合物を用いた結果を示す。統計解析はKruskal-Wallis検定で行い、p<0.05 を有意水準とした。「*」、「**」及び「***」はそれぞれp<0.05, p<0.01, p<0.001を意味している。
[0059]
 また、DZNepの筋管誘導促進効果をウエスタンブロットでも確認した。具体的には、ウエスタンブロットを次のように行った。プロテアーゼインヒビター(Roche, Indianapolis, IN, USA; 04693116001)を含むRIPAバッファー(Thermo Fisher Scientific; 89900)で細胞を溶解し、4℃、14,000×gで15分間遠心して上清を回収した。総タンパク質濃度をBCA protein assay kit(Thermo Fisher Scientific; 23227)で測定し、NuPAGE(登録商標) LDS Sample Buffer(Thermo Fisher Scientific; NP0007)で変性後にNuPAGE(登録商標) Novex Tris-Acetate Gel 3~8%(Invitrogen; EA03785BOX)でSDS-PAGEを行い、PVDFメンブレン(Millipore, Billerica, MA, USA; IPVH304F0)に転写した。抗体反応は一次抗体としてウサギ抗ジストロフィン抗体(1:500, Abcam, Cambridge, UK; ab15277)、マウス抗ミオシン重鎖抗体(1:200, R&D, Minneapolis, USA; MAB4470)、マウス抗α-チューブリン抗体(1:1000, Sigma; T6199)を使用し、二次抗体としてヒストファインシンプルステインMAX-PO(1:100, NICHIREI BIOSCIENCE INC., Tokyo, Japan; 424151)を使用した。抗体反応後にECL Prime Western Blotting Detection Reagent(GE Healthcare, UK; RPN2232)を用いて目的のバンドを検出した。
[0060]
 ウエスタンブロットの結果を図5のAに示し、バンドシグナルの相対強度をグラフ化したものを図5のBに示す。図5に示されるように、4人の健常人の尿中細胞から誘導された筋管を用いたウエスタンブロットにより、DZNepの存在下ではミオシン重鎖及びジストロフィンの両方が高発現し、筋管が誘導されていることがわかった。そのため、DZNepを含むエピジェネティクス制御化合物は、MYOD1遺伝子を導入した尿中細胞からの筋管誘導促進効果があることがわかった。以上により、曝露ステップが行われ、作製ステップが完了した。
[0061]
[実施例5]DMD患者の尿中細胞から誘導された筋管を用いたエクソン・スキップ治療薬のin vitro検定
 DMD患者の尿中細胞から誘導された筋管(尿細胞由来筋管)を対象に、エクソン・スキップ治療薬であるアンチセンス・オリゴヌクレオチド(AON)の治療効果を検定可能か検討するために以下の実験を行った。DMD遺伝子にエクソン45欠損を有するDMD患者(1名)から尿を採取し、実施例1~3に記載の手順で尿中細胞から筋管を誘導した。筋分化誘導後7日時点で、エクソン・スキップ治療薬であるAONと6μMエンドポーター(Gene Tools, Philomath, OR, USA)を含む分化培地に変更した。さらに3日後に分化培地のみの培地に変更し、筋分化誘導後14日時点で細胞を回収した。使用したAONの詳細は、Wilton, S. D. et al. Mol Ther 15, 1288-1296 (2007)に従った。これにより、適用ステップが行われた。
[0062]
 RT-PCRによるエクソン・スキップ効率の検定は、まずRNeasy kit(Qiagen, Hilden, Germany)を用いてtotal RNAを回収し、1μgのtotal RNAをcDNA reverse transcription kits(Applied Biosystems, Warrington, UK)を用いて逆転写し、1μLのcDNAテンプレート、14.9μLの蒸留水、0.2μLのフォワードプライマー(10μM)、0.2μLのリバースプライマー(10μM)、1.6μLの2.5mM dNTPs、2μLの10× Ex Taq Buffer、及び0.1μLのEx Taq HS(Takara Bio, Shiga, Japan)を用いてRT-PCRを行った。フォワードプライマーは5’-GCTCAGGTCGGATTGACATT-3’(配列番号1)、リバースプライマーは5’-GGGCAACTCTTCCACCAGTA-3’(配列番号2)を使用した。PCR産物のバンドはMultiNA(Shimadzu, Kyoto, Japan)を用いて解析し、エクソン・スキップ効率を算出した。
[0063]
 ジストロフィンタンパク質の発現は、実施例4に記載の方法と同様にウエスタンブロットを行って検討した。また、実施例4に記載の方法と同様に免疫細胞染色によりジストロフィンタンパク質を蛍光顕微鏡で観察した。これにより、検出ステップが行われた。
[0064]
 以上のエクソン・スキップ効率の検定についての実験結果をそれぞれ図6~8に示す。図6は、RT-PCRによるジストロフィン遺伝子の発現を示し、Aに示したRT-PCRのバンドを定量化して求めたエクソン・スキップ効率をBにグラフ化して示す。図6のAにおいて、健常人に現れるバンドは全長のジストロフィン遺伝子である。無治療の場合には、エクソン・スキップなしの矢印で示されるエクソン45欠損のジストロフィン遺伝子のバンドが現れ、エクソン・スキップ治療薬(AON)存在下の場合には、全長よりも短縮されたジストロフィン遺伝子の発現がエクソン・スキップありの矢印で示されている。
[0065]
 エクソン・スキップ効率は以下の式に基づいて求めた:
  エクソン・スキップ効率 =
    エクソン・スキップあり/(エクソン・スキップなし+エクソン・スキップあり)
 なお、図6のBに示すグラフは、求めたエクソン・スキップ効率を平均値±標準誤差で示し、***はP<0.001、****はP<0.0001を表す。
[0066]
 図7及び8は、それぞれウエスタンブロット及び免疫細胞染色によるジストロフィンタンパク質の発現を示す。図7は、ウエスタンブロットの結果(A)と、Aに基づいてグラフ化したジストロフィンタンパク質のレベル(B)を示している。なお、図7のBに示すグラフは、求めたジストロフィンタンパク質のレベル(αチューブリンに対する相対値)を平均値±標準誤差で示し、**はP<0.01、***はP<0.001、****はP<0.0001を表す。
[0067]
 図8は、DMD患者由来の尿細胞由来筋管の免疫細胞染色結果を示し、未治療の場合及びエクソン・スキップ治療を行った場合を比較した。未治療と比較して、エクソン・スキップ治療後はジストロフィンタンパク質(赤色)が発現していることがわかる。
[0068]
 以上から、検出ステップが行われ、AONの用量依存的なエクソン・スキップ治療効果がmRNA及びタンパク質レベルで検定可能であることがわかった。
[0069]
[実施例6]特定のDMD遺伝子変異に最適なエクソン・スキップ治療薬の配列を選定する検定系の確立
 DMD遺伝子にエクソン45-54欠損を有するDMD患者から尿を採取し、尿細胞由来筋管を誘導した。筋分化誘導後7日時点で配列の異なるアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)と6μMエンドポーター(Gene Tools, Philomath, OR, USA)を含む分化培地に変更した。さらに3日後に分化培地のみの培地に変更し、筋分化誘導後14日時点で、実施例4に記載の方法と同様にジストロフィンタンパク質の発現を免疫細胞染色により半定量化した。使用したAONは、エクソン44スキップ薬であり、コントロールとしてエクソン45スキップ薬、エクソン50スキップ薬及びエクソン51スキップ薬を使用した。これらのAONの詳細は、エクソン44スキップ薬とエクソン45スキップ薬はWilton, S. D. et al. Mol Ther 15, 1288-1296 (2007)、エクソン50スキップ薬はWu, B. et al. PLoS One 6, e19906 (2011)に従い、エクソン51スキップ薬はeteplirsen(AVI-4658)を使用した。
[0070]
 この実験結果を図9に示す。図9のAは、免疫細胞染色の結果を示し、図9のBは、図9のAをもとに蛍光が陽性の領域を半定量したヒートマップを示す。図9のCは図9のBに基づいて求めたジストロフィンタンパク質のシグナル強度を平均値±標準誤差で示す。1-way ANOVAの検定(N=4~5)を行い、****はP<0.0001を表す。
[0071]
 図9では、エクソン・スキップにより、フレームシフト変異をイン・フレーム化し、ジストロフィンタンパク質の発現が予想されるエクソン44スキップ薬の蛍光シグナルが有意に高いことが示された。そのため、このDMD患者には、エクソン44スキップ薬を選定して治療を行うと高い効果が得られることが予測できる。これにより、同定ステップが行われる。
[0072]
 以上のように、特定のDMD患者に対して、実際に治療を行う前に、尿中細胞から誘導された筋管を使用してエクソン・スキップ治療薬の検定を行うことができる。これにより、効果が予測される最適なエクソン・スキップ治療薬の配列を選定することが可能である。
[0073]
配列番号1~2:人工(合成オリゴヌクレオチド)

請求の範囲

[請求項1]
 尿中細胞から筋管を作製する方法であって、
 尿中細胞にMYOD1遺伝子を導入する導入ステップと、
 前記尿中細胞を少なくとも1種のエピジェネティクス制御化合物に曝露する曝露ステップと、
 を含む方法。
[請求項2]
 前記導入ステップ及び前記曝露ステップ後の前記尿中細胞が筋芽細胞及び筋管からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
 エピジェネティクス制御化合物が、ヒストンメチル基転移酵素阻害剤、ヒストン脱メチル化酵素阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、SIRT2阻害剤、及びPARP阻害剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の方法。
[請求項4]
 ヒストンメチル基転移酵素阻害剤が、3-デアザネプラノシンA及び3-デアザネプラノシンA塩酸塩(DZNep)、GSK343、SGC707、フラミジン二塩酸塩、UNC2327、E7438、及びMI-2(メニン-MLL阻害剤)からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項3に記載の方法。
[請求項5]
 ヒストン脱メチル化酵素阻害剤が、IOX 1及びGSK-J1からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項3に記載の方法。
[請求項6]
 ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤が、LMK-235、CAY10603、BRD73954、及びVORINOSTATからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項3に記載の方法。
[請求項7]
 SIRT2阻害剤がSirReal 2を含む、請求項3に記載の方法。
[請求項8]
 PARP阻害剤がEB47を含む、請求項3に記載の方法。
[請求項9]
 前記導入ステップにおいて、MYOD1遺伝子の導入が、誘導性プロモーターの制御下にあるMYOD1遺伝子を含む発現ベクターの導入により行われる、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
[請求項10]
 発現ベクターが選択マーカー遺伝子をさらに含む、請求項9に記載の方法。
[請求項11]
 前記尿中細胞が、筋疾患患者又は筋ジストロフィー患者由来のものである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
[請求項12]
 尿中細胞から筋管を作製するためのキットであって、
 尿中細胞にMYOD1遺伝子を導入するための導入手段と、
 少なくとも1種のエピジェネティクス制御化合物と、
 を備えるキット。
[請求項13]
 前記導入手段が、MYOD1遺伝子を尿中細胞へ導入するための発現ベクターである、請求項12に記載のキット。
[請求項14]
 エピジェネティクス制御化合物が、ヒストンメチル基転移酵素阻害剤、ヒストン脱メチル化酵素阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、SIRT2阻害剤、及びPARP阻害剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項12又は13に記載のキット。
[請求項15]
 エピジェネティクス制御化合物が、3-デアザネプラノシンA及び3-デアザネプラノシンA塩酸塩(DZNep)、GSK343、SGC707、フラミジン二塩酸塩、UNC2327、E7438、及びMI-2(メニン-MLL阻害剤)、IOX 1及びGSK-J1、LMK-235、CAY10603、BRD73954、及びVORINOSTAT、SirReal 2、並びにEB47からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項12~14のいずれか1項に記載のキット。
[請求項16]
 筋ジストロフィー患者に対するエクソン・スキップ治療薬の検定方法であって、
 請求項1~11のいずれか1項に記載の方法によって、筋ジストロフィー患者の尿中細胞から筋管を作製する作製ステップと、
 前記筋管に前記エクソン・スキップ治療薬を適用する適用ステップと、
 前記筋管におけるジストロフィンmRNA及び/又はタンパク質の回復を検出する検出ステップと、を含む方法。
[請求項17]
 前記検出ステップにおいて、ジストロフィンmRNA及び/又はタンパク質の回復が、RT-PCR、ウエスタンブロット、及び免疫細胞染色からなる群より選択される少なくとも1つの方法により検出される、請求項16に記載の方法。
[請求項18]
 エクソン・スキップ治療薬が、エクソン44スキップ薬、エクソン45スキップ薬、エクソン50スキップ薬、エクソン51スキップ薬及びエクソン53スキップ薬からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項16又は17に記載の方法。
[請求項19]
 骨格筋障害を引き起こす状態の治療薬又は予防薬候補のスクリーニング方法であって、
 請求項1~11のいずれか1項に記載の方法によって、骨格筋障害を引き起こす状態を有する患者の尿中細胞から筋管を作製する作製ステップと、
 前記筋管に被験物質又は因子を適用する適用ステップと、
 前記適用ステップ後の前記筋管における変化をモニターすることにより前記被験物質又は因子を治療薬又は予防薬候補として同定する同定ステップと、
 を含む方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]