Processing

Please wait...

Settings

Settings

Goto Application

1. WO2020137739 - EXHAUST PURIFICATION SYSTEM FOR ENGINE

Document

明 細 書

発明の名称 エンジンの排気浄化システム 0001  

技術分野

0002  

背景技術

0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

0005   0006   0007   0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24  

明 細 書

発明の名称 : エンジンの排気浄化システム

関連出願の相互参照

[0001]
 本出願は、2018年12月28日に出願された特許出願番号2018-247795号に基づくものであり、ここにその記載内容を援用する。

技術分野

[0002]
 本開示は、エンジンの排気浄化システムに関する。

背景技術

[0003]
 従来、エンジンの排気に含まれる所定の成分を還元浄化する排気浄化システムが知られている。特許文献1に開示された排気浄化システムは、触媒の上流側に還元剤またはその前駆体(以下、還元剤等)を噴射供給し、触媒で排気中のNOxを還元浄化する。また、上記排気浄化システムは、噴射ノズルから触媒までの間の排気通路壁面温度が所定温度未満である場合、還元剤等の添加流量を減量する。これにより、還元剤等成分の析出物(以下、デポジット)の発生が抑制される。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2011-106313号公報

発明の概要

[0005]
 ところが、デポジットの発生抑制のために還元剤等の供給量が制限されると、排気の浄化に必要な量の還元剤等を供給できないおそれがあった。
[0006]
 本開示は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、還元剤等の供給量を減らすことなくデポジットの発生を抑制可能な排気浄化システムを提供することである。
[0007]
 本開示のエンジンの排気浄化システムは、エンジンの排気中の所定成分を還元浄化する触媒と、エンジンの運転状態に応じて還元剤またはその前駆体の必要供給量を算出する供給量算出部と、還元剤またはその前駆体の液体を噴霧として供給する噴射装置と、噴霧の排気流れ方向の速度を制御可能な噴霧速度制御部とを備える。噴霧速度制御部は、エンジンの運転状態に基づきデポジットが発生しやすいと判断されるほど噴霧の排気流れ方向の速度を遅くする。
[0008]
 このように噴霧の排気流れ方向の速度を遅くすることで、噴霧が排気経路にある壁面に到達するまでの時間が長くなる。つまり、噴霧と排気との接触時間が長くなるので、還元剤等の気化が促進する。これにより、還元剤等の供給量を確保しつつ、液体の状態で壁面に付着する還元剤等を低減することができる。したがって、還元剤等の供給量を減らすことなく好適に排気の浄化を行いながら、デポジットの発生を抑制可能である。

図面の簡単な説明

[0009]
 本開示についての上記目的およびその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。その図面は、
[図1] 図1は、第1実施形態の排気浄化システムおよびそれが適用されたエンジンを示す模式図であり、
[図2] 図2は、必要供給量算出マップを示す図であり、
[図3] 図3は、要求噴霧流れ速度と噴射圧との関係を示す図であり、
[図4] 図4は、噴霧流れ速度算出マップを示す図であり、
[図5] 図5は、補正係数算出マップを示す図であり、
[図6] 図6は、制御ユニットが実行する処理を説明するフローチャートであり、
[図7] 図7は、制御ユニットが実行する処理を説明するサブフローチャートであり、
[図8] 図8は、第2実施形態の排気浄化システムおよびそれが適用されたエンジンを示す模式図であり、
[図9] 図9は、噴射時間と噴射速度との関係を示す図であり、
[図10] 図10は、制御ユニットが実行する処理を説明するサブフローチャートであり、
[図11] 図11は、要求噴霧流れ速度と噴射時間との関係を示す図であり、
[図12] 図12は、開弁時間と噴射1回あたりの噴射量との関係を示す図であり、
[図13] 図13は、第3実施形態の排気浄化システムおよびそれが適用されたエンジンを示す模式図であり、
[図14] 図14は、要求噴霧流れ速度と噴射圧との関係を示す図であり、
[図15] 図15は、第4実施形態の排気浄化システムおよびそれが適用されたエンジンを示す模式図であり、
[図16] 図16は、要求噴霧流れ速度とバルブリフト量との関係を示す図であり、
[図17] 図17は、要求噴霧流れ速度と噴射圧との関係を示す図であり、
[図18] 図18は、制御ユニットが実行する処理を説明するサブフローチャートであり、
[図19] 図19は、第5実施形態の排気浄化システムおよびそれが適用されたエンジンを示す模式図であり、
[図20] 図20は、ガス噴出速度算出マップを示す図であり、
[図21] 図21は、制御ユニットが実行する処理を説明するフローチャートであり、
[図22] 図22は、他の実施形態において制御ユニットが用いるエンジン回転数とアクセル開度と必要供給量との関係を示す図であり、
[図23] 図23は、他の実施形態において制御ユニットが用いる要求噴霧流れ速度と噴射時間との関係を示す図であり、
[図24] 図24は、他の実施形態において制御ユニットが用いる排気温度と要求噴霧流れ速度との関係を示す図である。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、エンジンの排気浄化システムの複数の実施形態を図面に基づき説明する。実施形態同士で実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
[0011]
[第1実施形態]
 第1実施形態の排気浄化システムは、図1に示すエンジン90に適用されている。排気浄化システム10は、触媒11と、ミキサ12と、噴射装置13と、制御ユニット14とを備える。
[0012]
 触媒11は、エンジン90の排気通路91の途中に設けられており、排気中の所定成分を還元浄化する。第1実施形態では、触媒11は、還元剤としての尿素水と排気中の窒素酸化物(以下、NOx)とを選択的に反応させ、NOxを窒素ガスN 2等に分解して無害化する機能を持つ。
[0013]
 ミキサ12は、排気通路91のうち触媒11に対し上流側に設けられており、還元剤と排気とを攪拌して混ぜ合わせる。還元剤は、霧状態(すなわち噴霧)、ガス状態、またはそれらの混合状態でミキサ12に供給される。
[0014]
 噴射装置13は、尿素水を貯留するタンク16と、タンク16の尿素水を圧送するポンプ17と、ポンプ17から圧送された尿素水を噴霧として排気通路91内に供給する還元剤噴射弁18とを有する。還元剤噴射弁18は、排気通路91のうちミキサ12に対し上流側に設けられている。
[0015]
 制御ユニット14は、エンジン90の制御部であるとともに、排気浄化システム10の制御部でもある。制御ユニット14には、アクセル開度センサ93、エンジン回転数センサ94、吸気量センサ95、排気量センサ96、排気温度センサ97、NOx濃度センサ98等のセンサ、および図示しない他の制御部が接続されている。制御ユニット14は、各センサの検出信号等に基づきプログラム処理を実行し、燃料添加弁92、ポンプ17および還元剤噴射弁18等の駆動を制御する。排気量センサ96、排気温度センサ97およびNOx濃度センサ98は、エンジン90のすぐ下流に設置されているが、これに限らず、触媒11やそのすぐ上流に設置されてもよい。
[0016]
 具体的には、制御ユニット14は、情報取得部21、温度判定部22、供給量算出部23および噴霧速度制御部24を有する。
[0017]
 情報取得部21は、各種センサの検出信号から、例えば排気流量、排気温度、およびNOx濃度等の各種情報を取得する。
[0018]
 温度判定部22は、排気温度が「触媒11においてNOxの浄化反応がおこる温度」および「尿素水が気化する温度」に達しているか否かを判定する。すなわち、排気温度が閾値Tx以上か否かが判定される。排気温度が閾値Tx以上ではない場合、浄化できず、また還元剤等成分の析出物(以下、デポジット)が発生するので、噴射装置13による尿素水の噴射が行われない。
[0019]
 供給量算出部23は、エンジン90の運転状態に応じて、触媒11でNOxを浄化するために必要な尿素水の供給量(以下、必要供給量)を算出する。第1実施形態では、上記運転状態を示す情報として排気流量、排気温度、およびNOx濃度が用いられる。また、図2に示すような3次元マップが用いられ、排気流量Q、排気温度T、およびNOx濃度Cに基づき尿素水の必要供給量Wが算出される。
[0020]
 噴霧速度制御部24は、噴射装置13が供給する噴霧の排気流れ方向の速度(噴霧流れ速度)を制御可能である。第1実施形態では、還元剤噴射弁18の噴射方向は排気の流れ方向を向いており、噴霧速度制御部24は、噴霧の貫徹力を調節することにより噴霧流れ速度を制御する。すなわち、噴霧速度制御部24は、図3に示すように、要求される噴霧流れ速度Xが遅いほど噴射装置13の噴射圧を小さくして噴射速度を抑える。このように、噴霧速度制御部24は、噴射装置13による還元剤の噴射速度を調節することにより、噴霧の排気流れ方向の速度を制御する。
[0021]
 また、噴霧速度制御部24は、エンジン90の運転状態に基づきデポジットが発生しやすいと判断されるほど、噴霧流れ速度を遅くする。具体的には、噴霧速度制御部24は、排気経路にある壁面に液体の状態で衝突する尿素水を所定以下にするために要求される噴霧流れ速度を算出し、噴霧流れ速度が要求値になるように噴射装置13を駆動する。つまり、デポジット発生抑制の観点において、壁面に到達するまでに還元剤の気化を進めるために噴霧がどの程度の速度になっていればよいかが考慮される。要求される噴霧流れ速度Xは、図4に示すような3次元マップが用いられて、排気流量Q、排気温度T、および必要供給量Wに基づき算出される。噴霧速度制御部24は、排気流量Qが大きいほど、排気温度Tが低いほど、また必要供給量Wが大きいほど、噴霧流れ速度Xを遅くする。
[0022]
 また、噴霧速度制御部24は、噴霧が衝突すると予想される壁面の温度(以下、壁面温度)が低いほど噴霧流れ速度Xを遅くする。壁面温度は、排気通路91に設けられた壁面温度センサ99の検出信号から取得される。図5に示すような関係が用いられ、壁面温度Twが低いほど小さな補正係数Cが算出される。最終的な噴霧流れ速度Xの要求値は、図4のマップの読み取り値と補正係数Cとを掛けた値となる。
[0023]
 制御ユニット14の各機能部21~24は、専用の論理回路によるハードウェア処理により実現されてもよいし、コンピュータ読み出し可能非一時的有形記録媒体等のメモリーに予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理により実現されてもよいし、あるいは、両者の組み合わせで実現されてもよい。各機能部21~24のうちどの部分をハードウェア処理により実現し、どの部分をソフトウェア処理により実現するかは、適宜選択可能である。この点については以降に記載する機能部についても同様である。
[0024]
 (制御ユニットが実行する処理)
 制御ユニット14は図6に示す各処理を実行する。図6のルーチンは、所定のタイミングで繰り返し実行される。以降、「S」はステップを意味する。
[0025]
 先ずS10では、各種センサの検出信号から排気流量Q、排気温度T、およびNOx濃度Cが取得される。S10の後、処理はS20に移行する。
[0026]
 S20では、排気温度Tが閾値Tx以上か否かが判定される。排気温度Tが閾値Tx以上である場合(S20:YES)、処理はS30に移行する。排気温度Tが閾値Txよりも小さい場合(S20:NO)、処理は図6のルーチンを抜ける。
[0027]
 S30では、S10で取得された情報に応じて必要供給量Wが算出される。S30の後、処理はS40に移行する。
[0028]
 S40では、S10で取得された情報およびS30で算出された必要供給量Wに基づき噴霧流れ速度Xの要求値が算出される。排気流量Qが大きいほど、排気温度Tが低いほど、必要供給量Wが大きいほど、また壁面温度Twが低いほど、噴霧流れ速度Xが遅くされる。S40の後、処理はS50に移行する。
[0029]
 S50では、図7に示す噴霧流れ速度制御のためのサブルーチンが呼び出されて実行される。図7のサブルーチンが開始されると、S101において、噴霧流れ速度Xに応じて噴射装置13の目標噴射圧が算出される。S101の後、処理はS102に移行する。
[0030]
 S102では、噴射装置13の噴射圧が目標噴射圧になるようにポンプ17が制御される。S102の後、処理は図6のメインルーチンに戻る。
[0031]
 図6のS60では、還元剤噴射弁18が駆動されて還元剤が噴射される。S60の後、処理は図6のルーチンを抜ける。
[0032]
 (効果)
 以上説明したように、第1実施形態では、排気浄化システム10は、エンジン90の排気中の所定成分を還元浄化する触媒11と、エンジン90の運転状態に応じて還元剤の必要供給量を算出する供給量算出部23と、還元剤の液体を噴霧として供給する噴射装置13と、噴霧流れ速度を制御可能な噴霧速度制御部24とを備える。噴霧速度制御部24は、エンジン90の運転状態に基づきデポジットが発生しやすいと判断されるほど噴霧流れ速度を遅くする。
[0033]
 このように噴霧流れ速度を遅くすることで、噴霧が排気経路にある壁面に到達するまでの時間が長くなる。つまり、噴霧と排気との接触時間が長くなるので、還元剤等の気化が促進する。これにより、還元剤の供給量を確保しつつ、液体の状態で壁面に付着する還元剤量を低減することができる。したがって、還元剤の供給量を減らすことなく好適に排気の浄化を行いながら、デポジットの発生を抑制可能である。
[0034]
 また、デポジット発生の抑制により還元剤の供給が安定することで、還元剤スリップ(還元剤が触媒11を通過して下流へ流れること)の低減へとつながる。そのため、スリップした還元剤を浄化するための触媒の小型化、または廃止が可能である。
[0035]
 また、第1実施形態では、噴霧速度制御部24は、噴射装置13による還元剤の噴射速度を調節することにより、噴霧流れ速度を制御する。これによりデポジットが発生しやすい条件下において噴霧流れ速度を遅くすることができる。
[0036]
 また、第1実施形態では、噴霧速度制御部24は、排気温度が低いほど噴霧流れ速度を遅くする。排気温度が低いほど排気からの受熱が遅く、還元剤が壁面に堆積しやすいため、噴霧流れ速度を遅くして気化を促進する。
[0037]
 また、第1実施形態では、噴霧速度制御部24は、噴霧が衝突すると予想される壁面の温度が低いほど噴霧流れ速度を遅くする。排気温度が高くても衝突する壁面が冷えている場合、その壁面が温まるまでデポジットが発生しやすい条件下であることを考慮し、噴霧流れ速度を遅くする。
[0038]
 また、第1実施形態では、噴霧速度制御部24は、必要供給量が大きいほど噴霧流れ速度を遅くする。壁面に堆積してデポジット化する還元剤量を抑えるため、壁面到達までに気化する還元剤量を増やすことで、必要供給量が増えることとのバランスをとる。また、潜熱で排気温度も下がって気化しにくくなることとのバランスもとれる。
[0039]
 また、第1実施形態では、噴霧速度制御部24は、排気流量が大きいほど噴霧流れ速度を遅くする。還元剤が壁面に到達するまでの時間が短くなることを抑制するために、噴霧流れ速度を遅くして還元剤が気化する時間を多くする。
[0040]
 [第2実施形態]
 第2実施形態では、図8に示す噴霧速度制御部34は、噴射装置13の噴射1回あたりの噴射時間を比較的長くすることにより、還元剤の噴射速度を比較的速くする。噴射時間とは、還元剤噴射弁18の開弁時間である。このことは、図9に示すように、噴射直後から噴射が安定するまでにかけて徐々に噴霧の貫徹力(すなわち噴射速度)が上昇する関係を利用している。
[0041]
 図6のS50において呼び出される図10のサブルーチンのS111において、図11に示すような関係が用いられ、要求される噴霧流れ速度Xに応じて、噴射装置13の噴射1回あたりの噴射時間Tiが決定される。S111の後、処理はS112に移行する。
[0042]
 S112では、噴射装置13の噴射周期Piが決定される。具体的には、先ず図12に示す関係から開弁時間Tiから噴射1回あたりの噴射量qが算出される。続いて、必要供給量Wと噴射量qに基づき、1秒あたりの必要噴射回数fが算出される。この必要噴射回数fに基づき噴射周期Piが決定される。S112の後、処理はS113に移行する。
[0043]
 S113では、噴射周期Piの補正が行われる。具体的には、先ず必要供給量Wと実際の噴射量Wfとの差である噴射量の誤差ΔWが算出される。実際の噴射量Wfは、例えば還元剤噴射弁18の上流に設けられた流量計により検出される。続いて、次式(1)から補正後の必要噴射回数f*が算出される。この補正後の必要噴射回数f*に基づき補正後の噴射周期Pi*が決定される。S113の後、処理はS114に移行する。
 f*=f×ΔW/W (1)
[0044]
 S114では、噴射時間Tiおよび補正後の噴射周期Pi*に応じて噴射信号が設定される。S114の後、処理は図6のメインルーチンに戻る。
[0045]
 以上説明したように、第2実施形態では、噴霧速度制御部34は、噴射装置13の噴射1回あたりの噴射時間を比較的長くすることにより、還元剤の噴射速度を比較的速くする。このように噴射時間による噴霧の貫徹力の変化を利用することにより、噴霧流れ速度を制御することができる。
[0046]
 [第3実施形態]
 第3実施形態では、図13に示すように、還元剤噴射弁18の噴射方向は排気の流れに逆らう方向を向いており、噴霧速度制御部44は、還元剤の噴射速度を比較的速くすることにより、噴霧流れ速度を比較的遅くする。すなわち、噴霧速度制御部44は、図14に示すように、要求される噴霧流れ速度Xが遅いほど噴射装置13の噴射圧を大きくして噴射速度を速くする。これにより、噴射直後の噴霧流れ速度を0にしても気化時間が不足する条件であっても、還元剤の供給量を減らすことなくデポジットの発生を抑制可能である。また、噴射圧の高圧化により噴霧の微粒化が促進され、気化もしやすくなるという補助効果も得られる。
[0047]
 [第4実施形態]
 第4実施形態では、図15に示すように、噴霧速度制御部54は、還元剤噴射弁18の噴射圧およびバルブリフト量を変更することにより、還元剤の噴射速度を調整する。具体的には、噴霧速度制御部54は、図16に示すように、要求される噴霧流れ速度Xが遅いほど、バルブリフト量を比較的小さくして還元剤の噴射速度を比較的遅くする。バルブリフト量を小さくすることで、還元剤噴射弁18内部における還元剤の横流れが強まり、乱れが強まることで微粒化が促進される。微粒化するほど噴霧の速度がすぐに減衰し、噴霧の貫徹力が小さくなる。
[0048]
 微粒化されると気化しやすくなる。しかし均質化のためには、ある程度の貫徹力が必要であるため、常に低貫徹力とする制御は好ましくない。また、低バルブリフト量ほど噴霧が安定しにくく、流量等に誤差が生まれやすい。そのため、バルブリフト量を可変させるメリットがある。図16には3段階変化の例を示す。
[0049]
 噴射圧は、図17に示すようにバルブリフト量に対応して設定される。バルブリフト量が下がるごとに微粒化が進む。そのため、貫徹力を保持するために、同じバルブリフト量の区間において要求される噴霧流れ速度Xが大きいほど噴射圧を大きくする。
[0050]
 図6のS50において呼び出される図18のサブルーチンのS121において、要求される噴霧流れ速度Xが所定値X2よりも大きいか否かが判定される。要求される噴霧流れ速度Xが所定値X2よりも大きい場合(S121:YES)、処理はS123に移行する。要求される噴霧流れ速度Xが所定値X2以下場合(S121:NO)、処理はS122に移行する。
[0051]
 S122では、要求される噴霧流れ速度Xに応じてバルブリフト量が変更される。S122の後、処理はS123に移行する。
[0052]
 S123では、要求される噴霧流れ速度Xに応じて噴射装置13の目標噴射圧が算出される。S123の後、処理はS124に移行する。
[0053]
 S124では、バルブリフト量が制御されるとともに、噴射装置13の噴射圧が目標噴射圧になるようにポンプ17が制御される。S124の後、処理は図6のメインルーチンに戻る。
[0054]
 以上説明したように、第4実施形態では、噴霧速度制御部54は、還元剤噴射弁18の噴射圧およびバルブリフト量を変更することにより、還元剤の噴射速度を調整する。噴霧速度制御部54は、バルブリフト量を比較的小さくすることにより還元剤の噴射速度を比較的遅くする。バルブリフト量を小さくすることで、還元剤噴射弁18内部における還元剤の横流れが強まり、乱れが強まることで微粒化が促進されるとともに、噴霧の貫徹力が小さくなる。これを利用して噴霧流れ速度を制御することができる。
[0055]
 [第5実施形態]
 第5実施形態では、図19に示すように、噴霧に外力を加えることが可能なガス噴出部61が排気通路91に設けられている。ガス噴出部61は、噴霧に向けてガスを噴出する。噴霧はガスに衝突することで押し留められ、噴霧流れ速度が低下する。
[0056]
 噴霧速度制御部64は、噴霧に作用する外力を調節することにより、噴霧流れ速度を制御する。具体的には、噴霧速度制御部64は、ガス噴出部61が噴出するガスの運動量を調節することにより、噴霧流れ速度を制御する。ガス噴出部61によるガス噴出速度Gは、図20に示すような3次元マップが用いられて、排気流量Q、要求される噴霧流れ速度X、および必要供給量Wに基づき算出される。噴霧速度制御部64は、排気流量Qが大きいほど、要求される噴霧流れ速度Xが遅いほど、また必要供給量Wが大きいほど、ガス噴出速度Gを大きくする。
[0057]
 制御ユニット14は図21に示す各処理を実行する。第1実施形態同様にS10~S50が実施された後、S55において、ガス噴出速度Gが決定される。S55の後、処理はS65に移行する。
[0058]
 S65では、還元剤噴射弁18が駆動されて還元剤が噴射されつつ、ガス噴出部61が駆動されてガスが噴霧に向けて噴射される。S65の後、処理は図21のルーチンを抜ける。
[0059]
 以上説明したように、噴霧に向けてガスを噴出し、噴霧とガスとの運動量交換により噴霧流れ速度を制御してもよい。
[0060]
 [他の実施形態]
 他の実施形態では、浄化対象はNOxに限らず、例えば一酸化二窒素N 2Oや二酸化炭素CO 2等であってもよい。また、還元剤は、尿素水に限らず、浄化対象よりも酸化しやすい例えば炭化水素やアルコールなどの有機物、過酸化水素水などが用いられてもよい。他の実施形態では、還元剤に限らず、還元剤の前駆体が供給されてもよい。
[0061]
 他の実施形態では、還元剤の必要供給量を算出するとき、排気流量を例えばエンジン回転数等に置き換えてもよいし、排気温度を例えばアクセル開度または燃料噴射量等に置き換えてもよい。また、還元剤の必要供給量を算出するときNOx濃度を用いず、図22に示すような2次元マップが用いられ、エンジン回転数Rおよびアクセル開度Aに基づき尿素水の必要供給量Wが算出されてもよい。
[0062]
 他の実施形態では、第3実施形態のように還元剤噴射弁の噴射方向が排気の流れに逆らう方向を向けられ、図23に示すように要求される噴霧流れ速度Xが遅いほど噴射装置の噴射時間を長くして噴射速度を速くしてもよい。
[0063]
 第5実施形態では、ガス噴射速度を変更することで噴霧流れ速度を制御していた。これに対して、他の実施形態では、ガス噴射量を変更することで噴霧流れ速度を制御してもよいし、ガス噴射速度およびガス噴射量の両方を変更することで噴霧流れ速度を制御してもよい。
[0064]
 他の実施形態では、第3実施形態のように還元剤噴射弁から排気の流れに逆らう方向に噴射された噴霧に対して、第5実施形態のようにガス噴出部からガスが噴射されるように構成され、噴霧流れ速度を制御してもよい。
[0065]
 他の実施形態では、複数の還元剤噴射弁を使い分けることで噴射圧または噴射方向を変更し、噴霧流れ速度を制御してもよい。
[0066]
 第5実施形態では、外力としてガスの衝突により噴霧流れ速度を制御していた。これに対して他の実施形態では、還元剤噴射弁としてエアアシストインジェクタが用いられ、当該エアアシストインジェクタ内部で供給する空気量を減らすことで、擬似的に負の運動量付与と同等の効果を与えて、噴霧流れ速度を制御してもよい。この場合、ガス噴出部が噴射装置に設けられ、噴射前の還元剤に外力を加えることになる。また、他の実施形態では、噴霧と共に排気管の一部と触媒の一方または両方を同極に帯電または帯磁させ、反発力により噴霧を減速させて、噴霧流れ速度を制御してもよい。また、他の実施形態では、複数の還元剤噴射弁から噴射される噴霧同士を衝突させて、噴霧流れ速度を制御してもよい。
[0067]
 他の実施形態では、噴射前の還元剤の温度を取得し、その温度が高いほどデポジットができにくいと判断するように補正をかけてもよい。
[0068]
 所定の排気温度領域においては、壁面までに気化が進むことで噴霧中の還元剤が濃縮され、本来の濃度では壁面に付着せずにデポジット化しない条件であっても、デポジット化する可能性がある。他の実施形態では、上記を考慮して、図24に示すように所定の排気温度領域Rtにおいて局所的に噴霧流れ速度Xを大きくし、デポジット化を抑制してもよい。
[0069]
 本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
[0070]
 本開示は、実施形態に基づき記述された。しかしながら、本開示は当該実施形態および構造に限定されるものではない。本開示は、様々な変形例および均等の範囲内の変形をも包含する。また、様々な組み合わせおよび形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせおよび形態も、本開示の範疇および思想範囲に入るものである。

請求の範囲

[請求項1]
 エンジン(90)の排気中の所定成分を還元浄化する触媒(11)と、
 前記エンジンの運転状態に応じて還元剤またはその前駆体の必要供給量を算出する供給量算出部(23)と、
 前記還元剤またはその前駆体の液体を噴霧として供給する噴射装置(13)と、
 前記噴霧の排気流れ方向の速度を制御可能な噴霧速度制御部(24、34、44、54、64)と、
 を備え、
 前記噴霧速度制御部は、前記エンジンの運転状態に基づきデポジットが発生しやすいと判断されるほど前記噴霧の排気流れ方向の速度を遅くするエンジンの排気浄化システム。
[請求項2]
 前記噴霧速度制御部は、前記噴射装置による前記還元剤またはその前駆体の噴射速度を調節することにより、前記噴霧の排気流れ方向の速度を制御する請求項1に記載のエンジンの排気浄化システム。
[請求項3]
 前記噴霧速度制御部は、前記噴霧または噴射前の前記還元剤またはその前駆体に作用する外力を調節することにより、前記噴霧の排気流れ方向の速度を制御する請求項1または2に記載のエンジンの排気浄化システム。
[請求項4]
 前記噴霧速度制御部は、排気の温度が低いほど前記噴霧の排気流れ方向の速度を遅くする請求項1~3のいずれか一項に記載のエンジンの排気浄化システム。
[請求項5]
 前記噴霧速度制御部は、前記噴霧が衝突すると予想される壁面の温度が低いほど前記噴霧の排気流れ方向の速度を遅くする請求項1~4のいずれか一項に記載のエンジンの排気浄化システム。
[請求項6]
 前記噴霧速度制御部は、前記必要供給量が大きいほど前記噴霧の排気流れ方向の速度を遅くする請求項1~5のいずれか一項に記載のエンジンの排気浄化システム。
[請求項7]
 前記噴霧速度制御部は、排気の流量が大きいほど前記噴霧の排気流れ方向の速度を遅くする請求項1~6のいずれか一項に記載のエンジンの排気浄化システム。
[請求項8]
 前記噴霧速度制御部は、前記噴射装置の噴射1回あたりの噴射時間を比較的長くすることにより、前記還元剤またはその前駆体の噴射速度を比較的速くする請求項2に記載のエンジンの排気浄化システム。
[請求項9]
 前記噴霧速度制御部は、前記噴射装置の噴射圧およびバルブリフト量の一方または両方を変更することにより、前記還元剤またはその前駆体の噴射速度を調節する請求項2に記載のエンジンの排気浄化システム。
[請求項10]
 前記噴霧速度制御部は、前記バルブリフト量を比較的小さくすることにより、前記還元剤またはその前駆体の噴射速度を比較的遅くする請求項9に記載のエンジンの排気浄化システム。
[請求項11]
 前記噴射装置の噴射方向が排気の流れに逆らう方向に設定されており、
 前記噴霧速度制御部は、前記還元剤またはその前駆体の噴射速度を比較的速くすることにより、前記噴霧の排気流れ方向の速度を比較的遅くする請求項2に記載のエンジンの排気浄化システム。
[請求項12]
 前記排気浄化システムは、排気通路または前記噴射装置の一方または両方に設けられ、前記噴霧または噴射前の前記還元剤またはその前駆体に外力を加えることが可能なガス噴出部をさらに備え、
 前記噴霧速度制御部は、前記ガス噴出部が噴出するガスの運動量を調節することにより、前記噴霧の排気流れ方向の速度を制御する請求項3に記載のエンジンの排気浄化システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]