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1. WO2007086517 - METHOD AND APPARATUS FOR SYNTHESIZING HYPOCHLOROUS ACID

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[ JA ]
明 細書

次亜塩素酸合成方法及び装置

技術分野

[0001] 本発明は、 NaClなどの金属塩化物から次亜塩素酸 (HCIO)又は次亜塩素酸ィォ ン (CIO—)を生成する次亜塩素酸合成方法及び装置に関し、更に詳しくは、光電池 を用いて無電源により次亜塩素酸 (HCIO)又は次亜塩素酸イオン (CIO— )を経済的 に生成する次亜塩素酸合成方法及び装置に関する。なお、本明細書では、特にこと わりのない限り、次亜塩素酸は HC10、 CIO—の両方を意味する。

背景技術

[0002] 次亜塩素酸は強力な殺菌力を有しており、例えばプール水の殺菌に使用されてい る。次亜塩素酸を生成する方法としては、例えば電気分解法があり、プール用などに 、電気分解で次亜塩素酸を発生させる殺菌装置は市販されてヽる。

[0003] 次亜塩素酸の電解生成法では、金属塩化物を含む電解質溶液 (例えば NaCl水溶 液)が電気分解され、陽極側で次亜塩素酸が発生する。特許文献 1では、次亜塩素 酸の電解生成に使用する電極材料として酸ィ匕チタンが用いられている。電極材料と しての酸ィ匕チタンの優位性は各方面で立証されている。

[0004] 特許文献 1 :特公平 2— 25994号公報

[0005] 次亜塩素酸の電解生成法では、電極材質に関係なく多量の電気が必要であり、電 源設備、電力料金等にコストが嵩むのを避け得ない。これに加え、プール水の殺菌 装置では、プール力離れた場所に殺菌装置を設置して、プール水を殺菌装置に 送り、殺菌装置で電解生成した次亜塩素酸で処理した後に、そのプール水をプール に戻すことが行われている。つまり、プール内では殺菌処理は行われていない。この ため設備が複雑化 ·大型化し、これによるコスト上昇も避けられな!/ヽ。

[0006] 一方、特許文献 1で電極材料として使用された酸化チタンに関しては、光半導体効 果があり、これによる酸化還元現象、発電作用はホンダ'フジシマ効果として知られて いる。ホンダ'フジシマ効果を利用した酸ィ匕チタン使用の光電池は、例えば特許文献 2に記載されている。

[0007] 特許文献 2 :特開昭 50— 124584号公報

[0008] n型半導体である酸ィ匕チタンの光半導体効果を利用した光電池では、図 14に示す ように、電気的に接続された酸化チタン電極 1と対極 2が、活物質 3である水の中に浸 漬され、この状態で酸ィ匕チタン電極 1に光エネルギーが付与される。これにより、陽極 である酸化チタン電極 1及び陰極である対極 2では、化学式 1に示す反応が進む。

[0009] [化 1]

酸化チタ ン電極側

H 2 0 + h v→H 2 + 1 / 2 0 2

T i 0 2 + 2 h v→2 e一 + 2 p +

2 p + + H 2 0→ 1 / 2 0 2 + 2 H + 対極側

2 e - + 2 H + →H 2

[0010] 陽極である酸ィ匕チタン電極 1では、光照射により正孔 (p+ )及び電子 (e—)が発生し、 発生した正孔 (P+ )が水分子 (H 2 O)と反応して酸素ガス (O 2 )を生じる。発生した電 子 (e— )は陰極である対極 2に移動し、対極 2ではその電子 (e— )が水素イオン (H+ )と 結合して水素ガス (H 2 )を生じる。こうして酸化チタン電極 1から対極 2へ電子が移動 することにより、電力が発生する。

[0011] 水以外の活物質として、特許文献 2では塩化ナトリウム水溶液等の電解質水溶液が 挙げられている。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0012] 本発明の目的は、次亜塩素酸を外部力もの電力エネルギーの供給なしに、若しく は太陽電池等の経済的な電源を使用して、経済的に生成できる次亜塩素酸合成方 法及び装置を提供することにある。本発明の他の目的は、設備構造を大幅に簡略化 できる次亜塩素酸合成方法及び装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0013] 次亜塩素酸を経済的に製造することを目的として、本発明者らは酸化チタンの光半 導体効果を利用した光電池、特にその発電反応で派生する電解反応に着目した。

[0014] すなわち、酸化チタンの光半導体効果を利用した光電池では、これまではその発 電反応が利用されていた。しかし、化学式 1からも分力るように、その発電反応に伴つ て活物質である水の電気分解反応が起こっている。本発明者らはこの電気分解反応 において、その水を塩化ナトリウム水溶液等の金属塩化物水溶液に変更すると、これ が電気分解し、外部からの電力エネルギーの供給なしに次亜塩素酸を生成できる可 能性があることに着目した。

[0015] このような新たな視点から、本発明者らは金属塩化物水溶液中での光電池、電解 実験を繰り返し解析'検討を重ねた。その結果、次のような意外な事実に到達した。 第 1に、光電池における活物質として水を用いた場合と金属塩ィ匕物水溶液を用いた 場合とでは、電気分解反応形態が大きく異なる。第 2に、電気分解反応形態が異なる 結果、金属塩化物水溶液を用いた場合、次亜塩素酸は発生するものの、その反応 速度は小さい。第 3に、次亜塩素酸生成反応を効果的に継続させるためには、外部 から対極への酸素の供給という特殊な付加条件が必要となる。第 4に、太陽電池等 の補助的な外部電源を光電池に組み合わせることにより、次亜塩素酸の発生効率が 上がる。外部電源の組み合わせは、光電池における酸化チタン電極が多孔質体の 場合に特に有効である。第 5に、次亜塩素酸と共に他の強力な酸化剤 (オゾン、過酸 化水素など)が生成されている可能性がある。この酸化剤は防藻、殺菌等に有効で ある。

[0016] 本発明の次亜塩素酸合成方法は、かかる知見を基礎として完成されたものであり、 酸化チタン電極と対極とで構成した光電池を、金属塩化物を含む電解質溶液中に 設置し、電解質溶液中の光電池の対極へ酸素を供給しつつ酸化チタン電極に光を 照射して、酸ィ匕チタン電極力 HCIO (次亜塩素酸)又は CIO— (次亜塩素酸イオン) を発生させるものである。

[0017] また、本発明の次亜塩素酸合成装置は、金属塩化物から HCIO (次亜塩素酸)又 は CIO— (次亜塩素酸イオン)を生成する次亜塩素酸合成装置であって、前記金属塩 化物を含む電解質溶液を収容する容器と、酸化チタン電極と対極とで構成されてお り、前記酸ィヒチタン電極に光が照射されると共に前記対極へ酸素が供給される環境 下で、前記容器内の電解質溶液中に浸漬された光電池とを具備して!/ヽる。

[0018] 本発明の次亜塩素酸合成方法及び装置における反応を、電解質溶液が塩化ナトリ ゥム水溶液の場合について図 1により説明する。また、酸化チタン電極及び対極にお ける反応を化学式 2に表す。

[0019] [化 2]

酸化チタン電極側

T i 0 2 + 2 h v→ 2 e - + 2 p +

C I + 2 0 H - + 2 p + →C 1 0 - + H 2 0

(又は C I— + H 2 0 + 2 p + →H C 1 0 + H + ) 対極側


[0020] 外部回路 4により電気的に接続された酸ィ匕チタン電極 1と対極 2が、活物質 3である 塩ィ匕ナトリウム水溶液の中に浸漬され、この状態で酸化チタン電極 1に光エネルギー が付与される。その結果、酸ィ匕チタン電極 1の側では、光照射により正孔 (P+ )及び電 子 (e— )が発生し、発生した正孔 (p+ )が塩素イオン (C1— )と、更に水 (H 2 O)或いは水 酸基イオン (OH—)と反応することにより、 HCIO (次亜塩素酸)又は CIO— (次亜塩素 酸イオン)が発生する。一方、対極 2の側では、酸化チタン電極 1から移動した電子( e—)が水溶液中の水分子 (H 2 O)及び酸素分子 (O 2 )と反応して水酸基イオン (OH—

)が生成される。これにより、電子 (e—)が酸化チタン電極 1から対極 2へ移動し、酸ィ匕 チタン電極 1での次亜塩素酸の生成が継続される。より具体的には、水溶液が酸性 側では HCIO (次亜塩素酸)が生成され、アルカリ性側では CIO— (次亜塩素酸イオン )が生成される。

[0021] ここで注目すべきは、対極 2の側における反応であり、反応が成立するためには水 分子の (H 2 O)の他に酸素分子 (O 2 )が必要とされることである。この酸素分子は、電 解質溶液中に溶存酸素として存在するが、その濃度は低ぐ外部から供給する必要 がある。換言すれば、外部からの酸素分子の供給なしには、この反応は成立せず、 継続しないのである。このため、本発明の次亜塩素酸合成法及び装置では、酸ィ匕チ タン電極への酸素供給が可能な環境が必須とされ、これにより始めて無電源での次 亜塩素酸の生成が可能となる。

[0022] 本発明の次亜塩素酸合成方法及び装置における電極電位と電流との関係を図 2 に示す。ここで、図 2中の破線 (c)は対極側を示す。また、実線は n型半導体である酸 化チタン電極側を示し、実線 (a)は光照射なし、実線 (b)は光照射下の場合である。 酸ィ匕チタン陽極では、光照射によりエネルギーレベルが上がり(a→b)、これにより、 酸ィ匕チタン陽極 (b)と対極 (c)との間に、外部電源なしで電流が流れる。電流値は、 対極側と酸ィ匕チタン電極側で等しくなる値であり、酸ィ匕チタン電極側でのエネルギー レベルの上昇に応じて増大する。図 2中の Vは n型半導体である酸ィ匕チタン電極に固 有のフラットバンド電位である。

[0023] 活物質が水の場合、すなわち酸化チタンの光半導体効果を利用した単なる光電池 の場合と異なるのは、前述したとおり、対極側で水分子の (H 2 O)の他に酸素分子 (O

2 )力 S必要とされることである。

[0024] 以上の説明から分かるように、本発明の次亜塩素酸合成方法及び装置では、次亜 塩素酸の生成に光電池を利用することと共に、対極への酸素供給が可能な環境を 確保することが重要である。対極への酸素供給が可能な環境は、例えば空気等の酸 素含有ガスの電解質溶液中へのパブリングであり、好ましくは対極近傍でのバブリン グである。電解質溶液を収容する容器の開口部が広い場合、すなわち電解質溶液と 外気の接触面 (液面)が広、場合も、その液面力の酸素含有ガスの効率的な自然 供給が可能であるので、その環境に合致する。後者の環境として代表的なのはブー ルである。また電解質溶液の攪拌もその環境に合致する。電解質溶液の攪拌により 外気が液面力液中に効率的に取り込まれる。これらの組合せが可能、有効なことは 言うまでもない。

[0025] 図 3は外部電源を使用する場合の電池'電解反応を示す模式図である。酸化チタ ン電極 1と対極 2とを電気的に接続する外部回路 4に太陽電池等の補助的な外部電 源 5が介装されている。外部電源 5の極性は、外部回路 4における電子移動(通電)を 助長する方向とされる。外部電源 5による強制通電により酸ィ匕チタン電極 1での次亜 塩素酸の生成効率が上がる力その理由は次のように考えられる。

[0026] 本発明の次亜塩素酸合成方法及び装置では、前述したとおり、酸化チタン電極 1と 対極 2との間の電位 (電極電位)に見合う電流の発生により、酸化チタン電極 1の側で 次亜塩素酸が生成する。外部回路 4に外部電源 5を挿入すると、電極電位が強制的 に増大され、これによる電極電流の増加により、次亜塩素酸の生成効率が向上する。 この外部電源 5の付カ卩による効果は、酸ィ匕チタン電極 1の種類による影響を受けるが 、これについては後で説明する。

[0027] 酸化チタン電極は、代表的には導電性の基板の表面に TiO 2をコーティングした被 覆板である。導電性の基板は、その材質を問わず鉄板等でもよいが、耐食性等の点 力 はチタン板が好ましぐ球状チタン粒子等のチタン粒子を板状に焼結したものが 表面積が大きく反応面積が大きい点力特に好ましい。 TiO 2のコーティング法は特 に問わず、 CVD等の化学的方法でもよいし、簡単なところでは塗布でよもい。

[0028] 図 4は電極電位と次亜塩素酸生成量との関係を、外部電源なし (短絡状態)の場合 と外部電源あり(強制通電)の場合について模式的に示したグラフである。外部回路 に付加した外部電源により電極電位を貴にする場合、酸ィ匕チタンが板のようなバルタ 材の場合も、球状チタン粒子焼結体のような多孔質体の場合も、電位が貴になるに つれて次亜塩素酸の生成量は多くなる。但し、その傾向は大きく異なる。

[0029] 具体的に説明すると、外部電源を付加して電極電位を貴にして、つたとき、電極電 位が比較的卑な電位では、酸ィ匕チタン電極がバルク材の場合、電位上昇に伴って 次亜塩素酸の生成量が増える。一方、酸化チタン電極が多孔質体の場合、電極電 位が比較的卑な電位では、次亜塩素酸の生成量はほぼ一定である。電極電位が貴 になると、酸ィ匕チタン電極が多孔質体の場合に次亜塩素酸の生成量が急激に上昇 し始め、最終的には酸ィ匕チタン電極がバルク材の場合を大きく凌ぐ。ちなみに、酸ィ匕 チタン電極がバルク材の場合、電極電位が貴になると、次亜塩素酸の生成量は逆に 低下する。再び増え始めるが、多孔質体の場合には遠く及ばない。

[0030] 貴な電位の場合に多孔質体の次亜塩素酸生成量が多くなるのは、多孔質体はバ ルク材と比べて表面積が大きぐ通液も行われることと、電気的な抵抗は大きいためと 考えられる。

[0031] 対極の材質も特に限定するものではなぐ炭素、白金、銅白金等、酸素過電圧が低

V、か表面積が大き、汎用材を適宜用いることができる。

[0032] 金属塩ィ匕物としては塩ィ匕ナトリウム (NaCl)が代表的であるが、塩ィ匕カリウム (KC1) などでもよい。

[0033] 電解質溶液中の溶存酸素量は、次亜塩素酸発生効率を高めるために飽和濃度に 近いほど好ましい。

[0034] 電解質溶液中の金属塩化物濃度は 0. 01〜: LmolZLが好ましい。なぜなら濃度が 低すぎると次亜塩素酸発生効率が低下するが、高くなり過ぎても単極電位が貴となり 、起電力差が小となって電解電流が低下するからである。

[0035] 電解質用中の酸ィ匕チタン電極に照射する光は可視光線のみでもよ、が、紫外線を 含む光でもよぐ光触媒物質である酸ィ匕チタンの種類によって使い分けるのがよい。

[0036] 電解質溶液が K 2 SO 4水溶液の場合、溶液中の光電池に光を照射しても次亜塩素 酸は生じない。溶液中に塩素イオンが存在しないからである。しかし、光を所定時間 照射した後にその照射を停止し、溶液中に KC1を加える。そうすると、光を照射して いなにもかかわらず、次亜塩素酸が生じる。これは、光照射時に塩素イオンを酸ィ匕で きる物質が生成したと考えられる。よって、本発明の次亜塩素酸合成方法及び装置 でも、次亜塩素酸と共にオゾン、過酸ィ匕水素などの酸ィ匕力の強い酸化剤が二次的に 生成されてヽることが考えられる。

発明の効果

[0037] 本発明の次亜塩素酸合成方法及び装置は、次亜塩素酸の生成に光電池を利用し 、且つその光電池の対極へ酸素を供給することにより、無電源で、若しくは太陽電池 等の経済的な電源を使用して金属塩ィ匕物から継続的に次亜塩素酸を生成すること ができる。したがって、次亜塩素酸の生成に要する設備コスト及び運転コストを大幅 に低減できる。また、光電池を電解質溶液中に浸漬し、その電解質溶液中に次亜塩 素酸を生成するので、プール水のように電解質溶液と被処理物が一致する場合は、 装置を被処理物中へ設置できるので、配管系統を含む設備構造を顕著に簡略ィ匕で き、この点からもコスト低減を図ることができる。

発明を実施するための最良の形態

[0038] 以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する図 5は本発明の一実施形 態を示す次亜塩素酸合成装置の斜視図、図 6は同次亜塩素酸合成装置の縦断側 面図である。

[0039] 本実施形態の次亜塩素酸合成装置は、次亜塩素酸によるプール水 20の殺菌消毒 装置であって、横に長い平板形状をしており、プール内の水面より下の内側面に取 付けられている。この次亜塩素酸合成装置 10は、取付けベースを兼ねる横に長い平 板状の対極 11と、対極 11の正面側に所定の隙間をあけて組み合わされた酸ィ匕チタ ン電極 12と、これらを覆うカバー 13とを備えている。対極 11と酸化チタン電極 12とは 、カバー 13内で導線 14により電気的に接続されて光電池を構成している。

[0040] 対極 11は例えば横長のグラフアイト板である。酸ィ匕チタン電極 12は、対極 11と同じ 横長の基板 12aの表面に光触媒である TiO 2膜 12bをコーティングした積層構造にな つている。基板 12aは例えば Ti板又は鉄板等である。カバー 13は、内部の光電池を 保護すると共に、遊泳者の保護も図る。このカバー 13は TiO 2膜 12bの全体に光が 効率的に当たるように透明榭脂等力もなり、且つプール水 20がカバー 13内に自由 に出入りでき、カバー 13内の対極 11と酸ィ匕チタン電極 12との間を通過できるように、 多数の通水孔を有して!/、る。

[0041] 当該プールが屋外プールの場合は、当該次亜塩素酸合成装置 10にその太陽光 が効率よく照射されるように、南を向く面に当該合成装置を取り付けるのがよい。

[0042] 次に、本実施形態の次亜塩素酸合成装置 10の機能について説明する。

[0043] プール水 20は遊泳者の汗等が溶け込むことにより比較的高濃度の NaClを含んで いる。すなわちプール水 20は一種の NaCl水溶液で、電解質溶液であり、プールは その容器である。プールでは、深さに比べて水面が広ぐその水面から水中へ空気 が溶け込み安い上に、その水が遊泳者により泡立つほどに激しく攪拌される。このた め、プール水 20には多量の空気が含まれ酸素分子が溶解している。

[0044] 屋外プールでは、この状態で次亜塩素酸合成装置 10の酸化チタン電極 12の表面 に太陽光が当たる。屋内プールでは照明光があたる。そうすると、前述したとおり、光 半導体効果により光電池が活性状態となり、プール水 20中の NaClが分解されて、 酸ィ匕チタン電極 12の側で次亜塩素酸が発生し、対極 11の側では酸素(O 2 )が消費 される。

[0045] こうして次亜塩素酸合成装置 10で発生した次亜塩素酸はプール全体に広く拡散 する。力くしてプール水 20は、そのプール水 20をプール外へ取り出すことなくプール 内で次亜塩素酸により消毒処理される。し力も、その次亜塩素酸の発生に光ェネル ギーを使用するので、電気分解のための電力エネルギーを必要としない。次亜塩素 酸の生成に伴ってプール水 20中の NaCl及び酸素は消費される力 NaClは遊泳者 から、酸素はプールでの遊泳、これによる攪拌等によりそれぞれ補給され続ける。こ のため、継続的に次亜塩素酸が発生し、プール水の消毒が続けられる。

[0046] 付加的に攪拌装置やパブリング装置、外部電源を設けることは差し支えない。外部 電源の使用により、次亜塩素酸の生成効率が上がることは前述したとおりである。外 部電源は太陽電池などの小型で経済的なものでよぐこれを付加したとしても、電気 分解に必要とされる電力エネルギー量は低く抑えることができる。

[0047] 図 7〜図 10は本発明の別の実施形態を示す次亜塩素酸合成装置の縦断側面図 である。図 7〜図 10により酸ィ匕チタン電極と対極との構造上の関係について説明す る。

[0048] 図 7の次亜塩素酸合成装置では、対極 11と酸化チタン電極 12との間が導線 14〖こ より電気的に接続されると共に、通液性を有する絶縁材 15により機械的に接続され ている。この光電池が容器 40内の電解質溶液 30中に浸漬され、酸化チタン電極 12 の表面に光エネルギーが付与されることにより、酸ィ匕チタン電極 12の側で次亜塩素 酸が発生する。パブリング、攪拌等により対極 11の側に酸素を供給すること、対極 11 と酸化チタン電極 12との間への電解質溶液 30の流通により反応効率が向上すること は前述したとおりである。

[0049] 図 8の次亜塩素酸合成装置では、対極 11と酸ィ匕チタン電極 12との間力通液性を 有しない緻密な絶縁材 16により機械的に接続されている。また、図 9の次亜塩素酸 合成装置では、所定の抵抗を有する導電性の板材 17により対極 11と酸ィ匕チタン電 極 12との間が接続されている。これらの実施形態のように、対極 11と酸化チタン電極 12との間に必ずしも電解質溶液 30を流通させる必要はない。

[0050] 図 10の次亜塩素酸合成装置では、酸ィ匕チタン電極 12の裏面に対極 11としてカー ボンなどの導電材料がコーティングされてヽる。この例のように対極 11と酸化チタン 電極 12は密着させてもよい。すなわち、必ずしも両者の間に隙間を設ける必要はな い。

[0051] 図 11〜図 13は本発明の更に別の実施形態を示す次亜塩素酸合成装置の縦断側 面図である。図 11〜図 13により酸ィ匕チタン電極の構造、特に取付け部である容器内 面と酸ィ匕チタン電極の構造上の関係について更に詳しく説明する。

[0052] 図 5及び図 6の次亜塩素酸合成装置では、容器内面であるプール内側面に対極 1 1を取付け、その対極 11の内側 (溶液側)に酸ィ匕チタン電極 12を配置した力図 11 〜図 13の次亜塩素酸合成装置のように、電解質溶液 30を収容する容器 40の側壁 4 1の内面に酸ィ匕チタン電極 12を取付け、その内側 (溶液側)に対極 11を配置してもよ い。

[0053] 図 11の次亜塩素酸合成装置では、酸ィ匕チタン電極 12は、基板 12aの表面に光触 媒である TiO 2膜 12bをコーティングした積層構造であり、容器 40の内側、すなわち 溶液側の基板表面に TiO 2膜 12bを有し、ここに光を受けるようになつている。 TiO 2 膜が溶液側を向くこの表面 TiO 2型の酸ィ匕チタン電極 12は、容器 40の側壁内面に 取り付けてもよいし(図 11)、容器 40の側壁内面に取付けた対極 11の表面側に配置 してもよい(図 5及び図 6)。前者の場合、酸ィ匕チタン電極 12の受光側に対極 11が配 置される力その対極 11は光を遮らないようにメッシュ、線材等で構成するのが好ま しい。

[0054] 図 12の次亜塩素酸合成装置では、酸ィ匕チタン電極 12は、導電性を有する透明な 基板 12aの表面に光触媒である TiO 2膜 12bをコーティングした積層構造であり、容 器 40の内側、すなわち溶液側の基板表面に TiO 2膜 12bを有している。光は容器 40 の透明な側壁 41を通し、更に透明な基板 12aを通して溶液側の TiO 2膜 12bに照射 される。すなわち、この酸ィ匕チタン電極 12は、 TiO 2膜が溶液側を向く表面 TiO 2型で あると同時に、透光性の基板 12aをもち、 TiO 2膜 12bが形成されていない背面側か ら光を受ける背面受光型である。

[0055] 図 13の次亜塩素酸合成装置では、酸ィ匕チタン電極 12は、球状チタン粉末等のチ タン粉末の焼結体力なる多孔質の基板の両面又は片面に TiO 2をコーティングし、 その基板の内部にも TiO 2が担持された TiO 2担持型である。この TiO 2担持型の酸 化チタン電極 12の受光側に対極 11が配置される場合、その対極 11は光を遮らない ようにメッシュ、線材等で構成するのが好ましい。

[0056] TiO 2膜が溶液側を向く表面 TiO 2型の酸化チタン電極をもつ次亜塩素酸合成装置 は水浄化、防藻に有効であり、より具体的にはプールにおける殺菌、洗面所の流し 台における垢分解、食器洗い機における殺菌、浄水器における殺菌(以上、水浄化) 、船舶におけるフジッボの付着防止、橋脚喫水線部における防藻、岸壁、池内壁に おける防藻 (以上、防藻)に特に有効である。

[0057] また、背面受光型の酸化チタン電極をもつ次亜塩素酸合成装置も水浄化、防藻に 有効であり、より具体的には浴槽における垢付着防止、ガラスボートにおける付着物 分解、風呂蓋の清浄化 (以上、水浄化)、水族館、水槽におけるガラスの防藻、親水 性ガラスの防藻 (以上、防藻)に特に有効である。

[0058] 多孔質の基板内部に TiO 2が担持された TiO 2担持型の酸化チタン電極をもつ次亜 塩素酸合成装置も水浄化、防藻に有効であり、より具体的には洗濯機における殺菌 、水用フィルタにおける浄化(以上、水浄化)、水用フィルタにおける防藻 (以上、防 藻)に特に有効である。

実施例

[0059] 最後に、本発明の有効性を明らかにするための実施例について説明する。

[0060] (実施例 1)

容量が 500mLのビーカーに 0. 6gZLの塩化ナトリウム水溶液(食塩水)を 200mL 収容した。酸ィ匕チタン電極として、両面に TiO 2を CVDコートした球状チタン粉末の 焼結板(寸法 50mmWX 50mmL X 0. 5mmt、粉末粒径 45 m以下)を使用し、対 極として木炭片(寸法約 20mm径 X 50mmL)を使用した光電池を前記水溶液中に 浸漬し、その光電池の酸ィ匕チタン電極にブラックライトによりビーカーの外力も光を照 射した。

[0061] ビーカー内の水溶液が静置状態の場合、光照射直後は陰極である対極力陽極 である酸ィ匕チタン電極へビーカー外の回路を通して 60 Aの電流が流れ、陽極であ る酸化チタン電極からは次亜塩素酸が発生した。このとき、ビーカー内の水溶液をガ ラス棒にて攪拌しても前記電流値は殆ど変化しな力つた。 72時間後に前記電流値は 約 1 Aに低下し、次亜塩素酸の発生量はほぼ 0に減少した。そこで、ビーカー内の 水溶液をガラス棒にて攪拌した。その結果、前記電流値は 60 Aに回復し、次亜塩 素酸の発生量も回復した。

[0062] (実施例 2)

容量が 200mLのビーカーに 3. 5gZLの塩化ナトリウム水溶液 (食塩水)を 150mL 収容した。酸ィ匕チタン電極として、両面に TiO 2を CVDコートした球状チタン粉末の 焼結板(寸法 50mmWX 50mmL X 0. 5mmt、粉末粒径 45 m以下)を使用し、対 極として黒鉛板(寸法 50mmW X 50mmL X 5mmt)を使用した光電池を前記水溶 液中に浸漬し (浸漬深さ 40mm)、その光電池の酸ィ匕チタン電極にブラックライトによ りビーカーの外力も光を照射した。照射強度は実施例 1と同じである。

[0063] 17時間の反応継続で次亜塩素酸が 0. 55mgZL生成した。次亜塩素酸濃度は D PD試薬により測定した。攪拌は特に行わな力つた。対極における酸素供給は、水溶 液中の溶存酸素、その消費を補うための液面力液中への酸素溶解により行われた と考えられる。

[0064] (実施例 3)

実施例 2で使用した実験装置において、光電池の外部回路に強制通電用のポテン シォスタツトを揷入し、電極電位を様々に設定した。照合電極には AgCl電極を用い た。塩ィ匕ナトリウム水溶液 (食塩水)の濃度は 1. 8gZL、通電反応時間は 30分とした 。比較のために、酸化チタン電極として、両面に TiO 2を CVDコートしたチタン板(寸 法 50mmWX 50mmL X lmmt)を使用した実験も合わせて行った。浸漬深さは 40 mmとした。次亜塩素酸生成量は、反応後の水溶液の次亜塩素酸濃度を DPD試薬 で測定することにより行った。酸ィ匕チタン電極がチタン板、球状チタン粉末焼結板の 各場合につヽて、電極電位と次亜塩素酸発生量との関係を表 1に示す。

[0065] [表 1]


[0066] 酸化チタン電極が TiO 2コートチタン板の場合、外部電源なしの短絡状態では、電 極電位は 1. IVであり、次亜塩素酸生成量は 0. 04mgZLである。外部電源によ り電極電位を OV 0. 4V 0. 8V 1. 2Vと段階的に高め、通電量を増やすにしたが つて次亜塩素酸生成量は最高 0. 6mgZLまで増加する。電極電位が 1. 5Vになると 次亜塩素酸生成量が 0. 06mgZLに低下する。これは、反応の主体が水の電気分 解に移行したためと考えられる。電極電位を 2. OV 2. 5Vと更に高めれば次亜塩素 酸生成量は再び増加し始める。ここでは、次亜塩素酸以外の酸化剤 (オゾン、過酸 化水素等)や塩素ガスの生成も考えられる。

[0067] 酸化チタン電極が TiO 2コートチタン粉末焼結板の場合、外部電源なしの短絡状態 では、電極電位は 1. 5Vであり、次亜塩素酸生成量は 0. 04mgZLである。外部 電源により電極電位を OV 0. 4V 0. 8V 1. 2Vと段階的に高め、通電量を増やす にしたがって次亜塩素酸生成量は増加する。しかし、その生成量は最大で 1. 2V時 の 0. lmgZLであり、酸化チタン電極が TiO 2コートチタン板の場合に比べて少ない

。電極電位を 2. 5Vまで高めても次亜塩素酸生成量は 0. llmgZLである。ところが 、電極電位が 3. 0Vになると、次亜塩素酸生成量は 0. 84mgZLとなり、 3. 5Vでは 1. 5mgZLとなる。つまり、酸化チタン電極が TiO 2コートチタン板の場合よりも格段 に多量の次亜塩素酸が生成される。

[0068] 外部電源による強制通電力多孔質体の酸化チタン電極に対して有効なことは、こ の実験から明らかである。

図面の簡単な説明

[0069] [図 1]本発明の次亜塩素酸合成方法での電池'電解反応を示す模式図である。

[図 2]本発明の次亜塩素酸合成方法での電池 ·電解反応を示すグラフである。

[図 3]本発明の別の次亜塩素酸合成方法での電池 ·電解反応を示す模式図である。

[図 4]電極電位と次亜塩素酸生成量との関係を、外部電源なし (短絡状態)の場合と 外部電源ありの場合について模式的に示したグラフである。

[図 5]本発明の一実施形態を示す次亜塩素酸合成装置の斜視図である。

[図 6]同次亜塩素酸合成装置の縦断側面図である。

[図 7]本発明の別の実施形態を示す次亜塩素酸合成装置の縦断側面図である。

[図 8]本発明の更に別の実施形態を示す次亜塩素酸合成装置の縦断側面図である

[図 9]本発明の更に別の実施形態を示す次亜塩素酸合成装置の縦断側面図である

[図 10]本発明の更に別の実施形態を示す次亜塩素酸合成装置の縦断側面図である

[図 11]本発明の更に別の実施形態を示す次亜塩素酸合成装置の縦断側面図である

[図 12]本発明の更に別の実施形態を示す次亜塩素酸合成装置の縦断側面図である

[図 13]本発明の更に別の実施形態を示す次亜塩素酸合成装置の縦断側面図である

[図 14]光触媒による電池 ·電解反応を示す模式図である。

符号の説明

[0070] 1 酸化チタン電極

2 対極

3 活物質

4 外部回路

5 外部電源

次亜塩素酸合成装置 対極

酸化チタン電極 導線

プーノレ水

電解質溶液 容器

側壁