Processing

Please wait...

Settings

Settings

Goto Application

1. WO2021039038 - ELASTIC WAVE DEVICE

Document

明 細 書

発明の名称 弾性波装置

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006  

発明の効果

0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061  

符号の説明

0062  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : 弾性波装置

技術分野

[0001]
 本発明は、弾性波装置に関する。

背景技術

[0002]
 従来、弾性波装置は、携帯電話機のフィルタなどに広く用いられている。下記の特許文献1には、弾性波装置の一例が開示されている。この弾性波装置のIDT電極(Interdigital Transducer)は、下地電極層及び下地電極層上に設けられているAl電極層により構成されている。Al電極層は、エピタキシャル成長した配向膜である。このような配向膜が用いられることにより、耐電力性が高められている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2003-258594号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 しかしながら、特許文献1に記載された弾性波装置のように、電極指の長さ方向全体にわたりエピタキシャル成長した配向膜が含まれていると、大きな電力が瞬間的に印加され易い電極指の先端部において、特に電極破壊が生じるおそれがあった。
[0005]
 本発明の目的は、耐電力性を高めることができ、かつ瞬間的な電力の印加による電極破壊が生じ難い、弾性波装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明に係る弾性波装置は、圧電性基板と、前記圧電性基板上に設けられているIDT電極とを備え、前記IDT電極が、対向し合う第1のバスバー及び第2のバスバーと、前記第1のバスバーに一方端が接続された複数の第1の電極指と、前記第2のバスバーに一方端が接続されており、かつ前記複数の第1の電極指と間挿し合っている複数の第2の電極指とを有し、弾性波伝搬方向を第1の方向とし、前記第1の方向に直交する方向を第2の方向としたときに、前記第1の電極指と前記第2の電極指とが前記第1の方向において重なり合っている部分が交叉領域であり、前記交叉領域が、前記第2の方向における中央側に位置している中央領域と、前記中央領域の前記第1のバスバー側に配置されている第1のエッジ領域と、前記中央領域の前記第2のバスバー側に配置されている第2のエッジ領域とを有し、前記中央領域において、前記第1の電極指及び前記第2の電極指がエピタキシャル成長した配向膜を含み、前記第1のエッジ領域及び前記第2のエッジ領域において、前記第1の電極指及び前記第2の電極指が、前記配向膜を含まない部分を有する。

発明の効果

[0007]
 本発明によれば、耐電力性を高めることができ、かつ瞬間的な電力の印加による電極破壊が生じ難い、弾性波装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 図1は、本発明の第1の実施形態に係る弾性波装置の平面図である。
[図2] 図2は、本発明の第1の実施形態に係る弾性波装置のIDT電極付近を示す斜視図である。
[図3] 図3は、図1中のI-I線に沿う断面図である。
[図4] 図4は、エピタキシャル成長した配向膜のX線回折極点図である。
[図5] 図5は、図1中のII-II線に沿う断面図である。
[図6] 図6は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る弾性波装置のIDT電極付近を示す斜視図である。
[図7] 図7は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る弾性波装置の、図1中のII-II線に沿う断面に相当する部分を示す断面図である。
[図8] 図8は、本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る弾性波装置の、図1中のII-II線に沿う断面に相当する部分を示す断面図である。
[図9] 図9は、本発明の第1の実施形態の第4の変形例に係る弾性波装置の、図1中のII-II線に沿う断面に相当する部分を示す断面図である。
[図10] 図10は、本発明の第1の実施形態の第5の変形例に係る弾性波装置の、図1中のII-II線に沿う断面に相当する部分を示す断面図である。
[図11] 図11は、本発明の第2の実施形態に係る弾性波装置の、図1中のI-I線に沿う断面に相当する部分を示す断面図である。
[図12] 図12は、本発明の第2の実施形態に係る弾性波装置のIDT電極付近を示す斜視図である。

発明を実施するための形態

[0009]
 以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
[0010]
 なお、本明細書に記載の各実施形態は、例示的なものであり、異なる実施形態間において、構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることを指摘しておく。
[0011]
 図1は、本発明の第1の実施形態に係る弾性波装置の平面図である。
[0012]
 弾性波装置1は圧電性基板2を有する。圧電性基板2上にはIDT電極7が設けられている。IDT電極7に交流電圧を印加することにより、弾性波が励振される。ここで、弾性波伝搬方向を第1の方向xとし、第1の方向xに直交する方向を第2の方向yとする。圧電性基板2上の、IDT電極7の第1の方向xにおける両側には、一対の反射器8及び反射器9が設けられている。
[0013]
 IDT電極7は、対向し合う第1のバスバー16及び第2のバスバー17と、複数の第1の電極指18及び複数の第2の電極指19とを有する。複数の第1の電極指18のそれぞれの一方端は、第1のバスバー16に接続されている。複数の第2の電極指19のそれぞれの一方端は、第2のバスバー17に接続されている。複数の第1の電極指18と複数の第2の電極指19とは互いに間挿し合っている。
[0014]
 IDT電極7、反射器8及び反射器9は、例えば、圧電性基板2側から、Ti層、AlCu層及びTi層が積層された積層金属膜からなる。もっとも、IDT電極7、反射器8及び反射器9の材料は上記に限定されない。例えば、AlCu層の代わりにAl層を用いてもよい。IDT電極7、反射器8及び反射器9は単層の金属膜からなっていてもよい。
[0015]
 IDT電極7において、第1の電極指18と第2の電極指19とが第1の方向xにおいて重なり合っている部分は、交叉領域Aである。交叉領域Aは、第2の方向yにおける中央側に位置している中央領域Bを有する。
[0016]
 交叉領域Aは、中央領域Bの第1のバスバー16側に配置されている第1のエッジ領域C と、中央領域Bの第2のバスバー17側に配置されている第2のエッジ領域C とを有する。第1のエッジ領域C は、複数の第2の電極指19の先端を含む第1の先端領域E と、第1の先端領域E よりも第2の方向y内側に位置する第1の内側エッジ領域D とを有する。第2のエッジ領域C は、複数の第1の電極指18の先端を含む第2の先端領域E と、第2の先端領域E よりも第2の方向y内側に位置する第2の内側エッジ領域D とを有する。
[0017]
 IDT電極7は、第1のエッジ領域C 及び第1のバスバー16の間に位置する第1のギャップ領域F と、第2のエッジ領域C 及び第2のバスバー17の間に位置する第2のギャップ領域F とを有する。なお、第1のエッジ領域C 、第2のエッジ領域C 、第1のギャップ領域F 及び第2のギャップ領域F は、第1の方向xに延びている。第1のエッジ領域C の第1の先端領域E 及び第1の内側エッジ領域D 並びに第2のエッジ領域C の第2の先端領域E 及び第2の内側エッジ領域D も、第1の方向xに延びている。
[0018]
 図2は、第1の実施形態に係る弾性波装置のIDT電極付近を示す斜視図である。図3は、図1中のI-I線に沿う断面図である。なお、図2においては、IDT電極7をハッチングにより示す。他の斜視図においても同様である。
[0019]
 図2及び図3に示すように、第1の電極指18は、エピタキシャル成長した配向膜を含む第1の部分18aと、エピタキシャル成長した配向膜を含まない第2の部分18bとを有する。より具体的には、第1の電極指18の第2の部分18bは、例えば一軸配向の結晶膜や無配向の多結晶膜などにより構成されている。本実施形態においては、第1の部分18aは、中央領域B及び第1のギャップ領域F に位置する。第2の部分18bは、第1のエッジ領域C 及び第2のエッジ領域C の全体に位置する。
[0020]
 同様に、図1及び図2に示すように、第2の電極指19は、エピタキシャル成長した配向膜を含む第1の部分19aと、エピタキシャル成長した配向膜を含まない第2の部分19bとを有する。より具体的には、第2の電極指19の第2の部分19bは、例えば一軸配向の結晶膜や無配向の多結晶膜などにより構成されている。本実施形態においては、第1の部分19aは、中央領域B及び第2のギャップ領域F に位置する。第2の部分19bは、第1のエッジ領域C 及び第2のエッジ領域C の全体に位置する。
[0021]
 本実施形態では、第1のバスバー16及び第2のバスバー17は、エピタキシャル成長した配向膜を含む。もっとも、第1のバスバー16及び第2のバスバー17は、エピタキシャル成長した配向膜を含んでいなくともよい。第1のバスバー16及び第2のバスバー17は、例えば一軸配向の結晶膜や無配向の多結晶膜などにより構成されていてもよい。
[0022]
 上述したように、本実施形態のIDT電極7はTi層、AlCu層及びTi層が積層された積層金属膜からなる。第1の電極指18の第1の部分18a及び第2の電極指19の第1の部分19aにおいて、Ti層、AlCu層及びTi層はいずれも、エピタキシャル成長した配向膜からなる。他方、第1の電極指18の第2の部分18b及び第2の電極指19の第2の部分19bにおいて、Ti層、AlCu層及びTi層はいずれも、例えば一軸配向の結晶膜や無配向の多結晶膜などからなる。なお、本明細書においてエピタキシャル成長した配向膜とは、双晶構造を有する多結晶膜をいう。
[0023]
 図4は、エピタキシャル成長した配向膜のX線回折極点図である。なお、図4においては、Al層の(200)面のX線回折極点図を示す。
[0024]
 上記のように、エピタキシャル成長した配向膜は双晶構造を有する。そのため、X線回折法によりエピタキシャル成長した配向膜の極点測定を行うと、図4において破線で囲んで示すように、回折パターンが複数の対称中心を有する。
[0025]
 図5は、図1中のII-II線に沿う断面図である。
[0026]
 第1のエッジ領域C において、第1の電極指18及び第2の電極指19と、圧電性基板2との間に誘電体膜15が設けられている。より具体的には、第1のエッジ領域C の全体において、誘電体膜15が設けられている。同様に、図2に示すように、第2のエッジ領域C の全体において、第1の電極指18及び第2の電極指19と、圧電性基板2との間に誘電体膜15が設けられている。本実施形態では、誘電体膜15は、第1の方向xに延びる帯状の形状を有する。誘電体膜15は酸化タンタル膜である。もっとも、誘電体膜15の材料は上記に限定されず、例えば、酸化ハフニウムまたは酸化テルルなどを用いることもできる。なお、弾性波装置1は必ずしも誘電体膜15を有していなくともよい。
[0027]
 本実施形態では、第1の電極指18の第1の部分18a及び第2の電極指19の第1の部分19aは、圧電性基板2上に直接的に設けられている。第1の電極指18の第2の部分18b及び第2の電極指19の第2の部分19bは、圧電性基板2上に、誘電体膜15を介して間接的に設けられている。もっとも、第1の電極指18の第2の部分18b及び第2の電極指19の第2の部分19bが、圧電性基板2上に直接的に設けられていてもよい。
[0028]
 図1に示すように、第1のエッジ領域C 及び第2のエッジ領域C においては、第1の電極指18及び第2の電極指19と誘電体膜15とが積層されている。それによって、第1のエッジ領域C 及び第2のエッジ領域C における音速は、中央領域Bにおける音速よりも低い。このように、第1のエッジ領域C において第1の低音速領域L が構成されており、第2のエッジ領域C において第2の低音速領域L が構成されている。
[0029]
 ここで、中央領域Bにおける音速をV1とし、第1の低音速領域L 及び第2の低音速領域L における音速をV2としたときに、V2<V1である。
[0030]
 第1のギャップ領域F においては、複数の第1の電極指18及び複数の第2の電極指19のうち複数の第1の電極指18のみが設けられている。それによって、中央領域Bにおける音速よりも第1のギャップ領域F における音速が高い。このように、第1のギャップ領域F において第1の高音速領域H が構成されている。
[0031]
 同様に、第2のギャップ領域F においては、複数の第1の電極指18及び複数の第2の電極指19のうち複数の第2の電極指19のみが設けられている。それによって、中央領域Bにおける音速よりも第2のギャップ領域F における音速が高い。このように、第2のギャップ領域F において第2の高音速領域H が構成されている。ここで、第1の高音速領域H 及び第2の高音速領域H における音速をV3としたときに、V1<V3である。
[0032]
 各領域における音速の関係は、V2<V1<V3となっている。上記のような各音速の関係を図1に示す。なお、図1における音速の関係を示す部分においては、矢印Vで示すように、各音速の高さを示す線が左側に位置するほど音速が高いことを示す。
[0033]
 第2の方向yにおいて、中央領域B、第1の低音速領域L 及び第1の高音速領域H がこの順序で配置されている。同様に、第2の方向yにおいて、中央領域B、第2の低音速領域L 及び第2の高音速領域H がこの順序で配置されている。これら各領域の音速差によりピストンモードを生じさせることによって、横モードによるスプリアスを抑制することができる。なお、弾性波装置1は必ずしも第1の低音速領域L 、第2の低音速領域L 、第1の高音速領域H 及び第2の高音速領域H を有していなくともよい。
[0034]
 図5に示すように、圧電性基板2は、支持基板3、高音速材料層としての高音速膜4、低音速膜5及び圧電体層6がこの順序で積層された積層基板である。圧電体層6上に上記IDT電極7が設けられている。本実施形態では、圧電体層6はタンタル酸リチウム層である。なお、圧電体層6の材料は上記に限定されず、例えば、ニオブ酸リチウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、水晶またはPZTなどを用いることもできる。
[0035]
 低音速膜5は相対的に低音速な膜である。より具体的には、低音速膜5を伝搬するバルク波の音速は、圧電体層6を伝搬するバルク波の音速よりも低い。本実施形態では、低音速膜5は酸化ケイ素膜である。酸化ケイ素はSiO により表すことができる。xは任意の正数である。本実施形態では、低音速膜5はSiO 膜である。なお、低音速膜5の材料は上記に限定されず、例えば、ガラス、酸窒化ケイ素、酸化タンタル、または、酸化ケイ素にフッ素、炭素やホウ素を加えた化合物を主成分とする材料を用いることもできる。
[0036]
 高音速材料層は相対的に高音速な層である。より具体的には、高音速材料層を伝搬するバルク波の音速は、圧電体層6を伝搬する弾性波の音速よりも高い。本実施形態では、高音速材料層は高音速膜4である。弾性波装置1の高音速膜4は窒化ケイ素膜である。なお、高音速膜4の材料は上記に限定されず、例えば、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、シリコン、サファイア、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、水晶、アルミナ、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト、マグネシア、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜またはダイヤモンドなど、上記材料を主成分とする媒質を用いることもできる。
[0037]
 支持基板3は、本実施形態ではシリコン基板である。なお、支持基板3の材料は上記に限定されず、例えば、酸化アルミニウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、水晶などの圧電体、アルミナ、マグネシア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライトなどの各種セラミック、サファイア、ダイヤモンド、ガラスなどの誘電体、窒化ガリウムなどの半導体または樹脂などを用いることもできる。
[0038]
 本実施形態の弾性波装置1は、高音速膜4、低音速膜5及び圧電体層6がこの順序において積層された積層構造を有するため、弾性波のエネルギーを圧電体層6側に効果的に閉じ込めることができる。なお、圧電性基板2は、圧電体層6のみからなる圧電基板であってもよい。
[0039]
 本実施形態の特徴は、以下の構成を有することにある。1)第1の電極指18及び第2の電極指19が、中央領域Bにおいて、第1の電極指18及び第2の電極指19がエピタキシャル成長した配向膜を含む第1の部分18a及び第1の部分19aを有すること。2)第1のエッジ領域C 及び第2のエッジ領域C において、第1の電極指18及び第2の電極指19が、エピタキシャル成長した配向膜を含まない第2の部分18b及び第2の部分19bを有すること。それによって、耐電力性を高めることができ、かつ瞬間的な電力の印加による電極破壊が生じ難い。これを以下において説明する。
[0040]
 IDT電極7の励振強度は、中央領域Bにおいて特に大きい。そのため、IDT電極7は、一定の電力を加えられ続けた場合においては、中央領域Bにおいて特に破損し易い。これに対して、本実施形態では、第1の電極指18及び第2の電極指19が、中央領域Bにおいてエピタキシャル成長した配向膜を含む第1の部分18a及び第1の部分19aを有する。それによって、耐電力性を高めることができる。より具体的には、一定の電力を加えられ続けた場合におけるIDT電極7の耐久性を高めることができる。
[0041]
 IDT電極7においては、各電極指の先端付近が位置する第1のエッジ領域C 及び第2のエッジ領域C において、大きな電力が瞬間的に印加され易い。これに対して、本実施形態では、第1のエッジ領域C 及び第2のエッジ領域C において、第1の電極指18がエピタキシャル成長した配向膜を含まない第2の部分18bを有し、第2の電極指19がエピタキシャル成長した配向膜を含まない第2の部分19bを有する。それによって、第1のエッジ領域C 及び第2のエッジ領域C において、瞬間的な電力の印加に対するIDT電極7の耐久性を高めることができる。従って、本実施形態では、大きな電力が瞬間的に印加された場合において、電極破壊が生じ難い。
[0042]
 ここで、本実施形態の弾性波装置1の各構成における材料及び設計パラメータを以下に示す。もっとも、以下の材料や設計パラメータは一例であり、これに限定されるものではない。なお、IDT電極7の電極指ピッチにより規定される波長をλとする。電極指ピッチとは、隣り合う第1の電極指18及び第2の電極指19の間の電極指中心間距離である。IDT電極7の交叉領域Aの第2の方向yに沿う寸法を交叉幅とする。
[0043]
 支持基板3:材料…Si(シリコン)、面方位…(111)
 高音速膜4:材料…SiN(窒化ケイ素)、膜厚…300nm
 低音速膜5:材料…SiO 、膜厚…300nm
 圧電体層6:材料…LiTaO (タンタル酸リチウム)、膜厚…400nm
 誘電体膜15:材料…Ta (酸化タンタル)、膜厚…30nm
 IDT電極7:材料…圧電性基板2側からTi/AlCu/Ti、膜厚…圧電性基板2側から12nm/100nm/4nm
 IDT電極7の波長λ:2μm
 IDT電極7のデューティ:0.5
 IDT電極7の第1の電極指18及び第2の電極指19の対数:100対
 IDT電極7の交叉幅:40μm
[0044]
 本実施形態においては、第1のバスバー16及び第2のバスバー17は、エピタキシャル成長した配向膜を含む。もっとも、第1のバスバー16及び第2のバスバー17は、エピタキシャル成長した配向膜を含んでいなくともよい。第1のバスバー16及び第2のバスバー17は、例えば一軸配向の結晶膜や無配向の多結晶膜などにより構成されていてもよい。
[0045]
 IDT電極7は、例えば、フォトリソグラフィ法により形成することができる。より具体的には、圧電性基板2上に、フォトリソグラフィ法などにより、第1のバスバー16、第2のバスバー17、第1の電極指18の第1の部分18a及び第2の電極指19の第1の部分19aを形成する。このとき、第1のバスバー16、第2のバスバー17、第1の電極指18の第1の部分18a及び第2の電極指19の第1の部分19aを構成するTi層、AlCu層及びTi層を、それぞれエピタキシャル成長させて形成する。
[0046]
 次に、フォトリソグラフィ法などにより、第1の電極指18の第2の部分18b及び第2の電極指19の第2の部分19bを形成する。このとき、第1の電極指18の第2の部分18b及び第2の電極指19の第2の部分19bを構成するTi層、AlCu層及びTi層を、それぞれエピタキシャル成長させずに形成する。
[0047]
 なお、本実施形態のような、誘電体膜15を有する弾性波装置1の製造に際しては、IDT電極7の形成の前に誘電体膜15を形成することが好ましい。
[0048]
 ここで、第1の電極指18及び第2の電極指19の第1の方向xに沿う寸法を幅とする。本実施形態においては、第1の電極指18及び第2の電極指19の幅は一定である。なお、IDT電極7の第1の電極指18は、第1のエッジ領域C 及び第2のエッジ領域C のうち少なくとも一方に位置する部分において、中央領域Bに位置する部分よりも幅が広い幅広部を有していてもよい。同様に、第2の電極指19は、第1のエッジ領域C 及び第2のエッジ領域C のうち少なくとも一方に位置する部分において、幅広部を有していてもよい。これにより、第1の低音速領域L 及び第2の低音速領域L が構成されていてもよい。
[0049]
 本実施形態の誘電体膜15は帯状であるが、誘電体膜15の形状はこれに限定されない。図6に示す第1の実施形態の第1の変形例においては、第1のエッジ領域C 及び第2のエッジ領域C において、それぞれ複数の誘電体膜25が設けられている。第1のエッジ領域C 及び第2のエッジ領域C において、各誘電体膜25上に各第1の電極指18または各第2の電極指19が設けられている。
[0050]
 上述したように、第1の実施形態の圧電性基板2においては、高音速材料層としての高音速膜4上に、低音速膜5を介して間接的に圧電体層6が設けられている。もっとも、圧電性基板2の構成は上記に限定されない。以下において、圧電性基板の構成のみが第1の実施形態と異なる、第1の実施形態の第2~第4の変形例を示す。第2~第4の変形例においても、第1の実施形態と同様に、耐電力性を高めることができ、かつ瞬間的な電力の印加による電極破壊が生じ難い。加えて、弾性波のエネルギーを圧電体層側に効果的に閉じ込めることができる。
[0051]
 図7に示す第2の変形例においては、高音速材料層は高音速支持基板24である。圧電性基板22Aは、高音速支持基板24と、高音速支持基板24上に設けられている低音速膜5と、低音速膜5上に設けられている圧電体層6とを有する。
[0052]
 高音速支持基板24の材料としては、例えば、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、シリコン、サファイア、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、水晶、アルミナ、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト、マグネシア、DLC膜またはダイヤモンドなど、上記材料を主成分とする媒質を用いることができる。
[0053]
 図8に示す第3の変形例においては、圧電性基板22Bは、支持基板3と、支持基板3上に設けられている高音速膜4と、高音速膜4上に設けられている圧電体層6とを有する。本変形例においては、高音速材料層としての高音速膜4上に直接的に圧電体層6が設けられている。
[0054]
 図9に示す第4の変形例においては、圧電性基板22Cは、高音速支持基板24と、高音速支持基板24上に直接的に設けられている圧電体層6とを有する。
[0055]
 他方、図10に示す第1の実施形態の第5の変形例においては、圧電性基板22Dは、圧電体層のみからなる圧電基板である。本変形例においても、第1の実施形態と同様に、耐電力性を高めることができ、かつ瞬間的な電力の印加による電極破壊が生じ難い。
[0056]
 図11は、第2の実施形態に係る弾性波装置の、図1中のI-I線に沿う断面に相当する部分を示す断面図である。図12は、第2の実施形態に係る弾性波装置のIDT電極付近を示す斜視図である。
[0057]
 図11及び図12に示すように、本実施形態は、第1のエッジ領域C 及び第2のエッジ領域C における第1の電極指38及び第2の電極指39の構成並びに誘電体膜15の位置が、第1の実施形態と異なる。上記の点以外においては、第2の実施形態の弾性波装置31は第1の実施形態の弾性波装置1と同様の構成を有する。
[0058]
 第1のエッジ領域C 及び第2のエッジ領域C において、IDT電極37の第1の電極指38は、第1の部分18a及び第2の部分18bを有する。同様に、第1のエッジ領域C 及び第2のエッジ領域C において、第2の電極指39は、第1の部分19a及び第2の部分19bを有する。より具体的には、第1の電極指38の第1の部分18a及び第2の電極指39の第1の部分19aは、第1のエッジ領域C の第1の先端領域E 及び第2のエッジ領域C の第2の先端領域E に位置する。第1の電極指38の第2の部分18b及び第2の電極指39の第2の部分19bは、第1のエッジ領域C の第1の内側エッジ領域D 及び第2のエッジ領域C の第2の内側エッジ領域D に位置する。
[0059]
 第1のエッジ領域C の第1の先端領域E 及び第2のエッジ領域C の第2の先端領域E においては、第1の電極指38及び第2の電極指39と、圧電性基板2との間に誘電体膜15は設けられていない。他方、第1のエッジ領域C の第1の内側エッジ領域D 及び第2のエッジ領域C の第2の内側エッジ領域D において、第1の電極指38及び第2の電極指39と、圧電性基板2との間に誘電体膜15が設けられている。
[0060]
 弾性波装置31の製造に際し、製造ばらつきにより、誘電体膜15及びIDT電極37の位置関係にずれが生じる場合もある。このような場合においても、第1の低音速領域L 及び第2の低音速領域L をより確実に構成することができる。従って、横モードによるスプリアスをより確実に抑制することができる。
[0061]
 加えて、本実施形態においても、第1の電極指38及び第2の電極指39が、中央領域Bにおいて、第1の部分18a及び第1の部分19aを有し、第1のエッジ領域C 及び第2のエッジ領域C において、第2の部分18b及び第2の部分19bを有する。従って、第1の実施形態と同様に、耐電力性を高めることができ、かつ瞬間的な電力の印加による電極破壊が生じ難い。

符号の説明

[0062]
1…弾性波装置
2…圧電性基板
3…支持基板
4…高音速膜
5…低音速膜
6…圧電体層
7…IDT電極
8,9…反射器
15…誘電体膜
16,17…第1,第2のバスバー
18,19…第1,第2の電極指
18a,19a…第1の部分
18b,19b…第2の部分
22A~22D…圧電性基板
24…高音速支持基板
25…誘電体膜
31…弾性波装置
37…IDT電極
38,39…第1,第2の電極指

請求の範囲

[請求項1]
 圧電性基板と、
 前記圧電性基板上に設けられているIDT電極と、
を備え、
 前記IDT電極が、対向し合う第1のバスバー及び第2のバスバーと、前記第1のバスバーに一方端が接続された複数の第1の電極指と、前記第2のバスバーに一方端が接続されており、かつ前記複数の第1の電極指と間挿し合っている複数の第2の電極指と、を有し、
 弾性波伝搬方向を第1の方向とし、前記第1の方向に直交する方向を第2の方向としたときに、前記第1の電極指と前記第2の電極指とが前記第1の方向において重なり合っている部分が交叉領域であり、前記交叉領域が、前記第2の方向における中央側に位置している中央領域と、前記中央領域の前記第1のバスバー側に配置されている第1のエッジ領域と、前記中央領域の前記第2のバスバー側に配置されている第2のエッジ領域と、を有し、
 前記中央領域において、前記第1の電極指及び前記第2の電極指がエピタキシャル成長した配向膜を含み、
 前記第1のエッジ領域及び前記第2のエッジ領域において、前記第1の電極指及び前記第2の電極指が、前記配向膜を含まない部分を有する、弾性波装置。
[請求項2]
 前記第1のエッジ領域及び前記第2のエッジ領域において、前記第1の電極指及び前記第2の電極指と、前記圧電性基板との間の少なくとも一部に誘電体膜が設けられている、請求項1に記載の弾性波装置。
[請求項3]
 前記第1のエッジ領域が、前記複数の第2の電極指の先端を含む第1の先端領域を有し、前記第2のエッジ領域が、前記複数の第1の電極指の先端を含む第2の先端領域を有し、
 前記第1の先端領域及び前記第2の先端領域において、前記第1の電極指及び前記第2の電極指が、前記圧電性基板上に直接的に設けられている、請求項1または2に記載の弾性波装置。
[請求項4]
 前記第1のエッジ領域が、前記複数の第2の電極指の先端を含む第1の先端領域を有し、前記第2のエッジ領域が、前記複数の第1の電極指の先端を含む第2の先端領域を有し、
 前記第1の先端領域及び前記第2の先端領域において、前記第1の電極指及び前記第2の電極指が、前記配向膜を含まない、請求項1~3のいずれか1項に記載の弾性波装置。
[請求項5]
 前記中央領域において、前記第1の電極指及び前記第2の電極指が、前記圧電性基板上に直接的に設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の弾性波装置。
[請求項6]
 前記IDT電極の前記第1のエッジ領域及び前記第2のエッジ領域において、前記中央領域よりも音速が低い低音速領域が構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の弾性波装置。
[請求項7]
 前記圧電性基板が、高音速材料層と、前記高音速材料層上に直接的または間接的に設けられている圧電体層と、を含み、
 前記高音速材料層を伝搬するバルク波の音速が、前記圧電体層を伝搬する弾性波の音速よりも高い、請求項1~6のいずれか1項に記載の弾性波装置。
[請求項8]
 前記圧電性基板が、前記高音速材料層と前記圧電体層との間に設けられている低音速膜を含み、
 前記低音速膜を伝搬するバルク波の音速が、前記圧電体層を伝搬するバルク波の音速よりも低い、請求項7に記載の弾性波装置。
[請求項9]
 前記高音速材料層が高音速支持基板である、請求項7または8に記載の弾性波装置。
[請求項10]
 前記圧電性基板が支持基板を含み、
 前記高音速材料層が、前記支持基板上に設けられている高音速膜である、請求項7または8に記載の弾性波装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]