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1. WO2020137529 - RETARDATION FILM, METHOD FOR PRODUCING SAME AND POLARIZING PLATE

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明 細 書

発明の名称 位相差フィルム及びその製造方法、並びに偏光板

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008  

発明の効果

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250  

実施例

0251   0252   0253   0254   0255   0256   0257   0258   0259   0260   0261   0262   0263   0264   0265   0266   0267   0268   0269   0270   0271   0272   0273   0274   0275   0276   0277   0278   0279   0280   0281   0282   0283   0284   0285   0286  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 位相差フィルム及びその製造方法、並びに偏光板

技術分野

[0001]
 本発明は、重合性液晶化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された位相差フィルム及びその製造方法、並びにその位相差フィルムを含む偏光板に関する。

背景技術

[0002]
 光学フィルムの一つとして、液晶化合物を用いて製造される位相差フィルムが知られている。この位相差フィルムは、一般に、配向した液晶化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成される。このような位相差フィルムとして、特許文献1に記載のものが提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2017-120431号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 従来の位相差フィルムは、長期間の光の照射を受けた場合、当該位相差フィルムが劣化し、色味変化を生じることがあった。このような光による色味変化は、位相差フィルムが設けられた画像表示装置の表示品質の低下の原因となりうる。そこで、位相差フィルムの耐光性を改善することが望まれる。
[0005]
 また、従来の位相差フィルムは、高温環境において面内レターデーションが変化することがあった。このような熱による面内レターデーションの変化も、位相差フィルムが設けられた画像表示装置の表示品質の低下の原因となりうる。そこで、位相差フィルムの耐熱性を改善することが望まれる。
[0006]
 本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、耐光性及び耐熱性の両方に優れる位相差フィルム及びその製造方法;並びに、前記の位相差フィルムを含む偏光板;を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、本発明者は、位相差フィルムの波長毎の吸光度を適切に調整することにより、耐光性及び耐熱性の両方に優れる位相差フィルムが得られることを見い出し、本発明を完成させた。
 すなわち、本発明は、以下のものを含む。
[0008]
 〔1〕 重合性液晶化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された位相差フィルムであって、
 前記位相差フィルムの波長380nmにおける吸光度A (380)、前記位相差フィルムの波長400nmにおける吸光度A (400)、及び、前記位相差フィルムの波長420nmにおける吸光度A (420)が、下記式(1)~(3)を満たす、位相差フィルム。
  A (380) < 2   (1)
  0.5 ≦ A (400)   (2)
  A (420)/A (400) ≦ 0.4   (3)
 〔2〕 前記液晶組成物が、紫外線吸収剤を含む、〔1〕に記載の位相差フィルム。
 〔3〕 前記紫外線吸収剤の波長365nmにおける吸光度A (365)、及び、前記紫外線吸収剤の波長400nmにおける吸光度A (400)が、下記式(4)を満たす、〔2〕に記載の位相差フィルム。
  A (400)/A (365) ≧ 1.6   (4)
 〔4〕 前記紫外線吸収剤が、380nm~420nmの波長範囲に極大吸収波長を有する、〔2〕又は〔3〕に記載の位相差フィルム。
 〔5〕 前記紫外線吸収剤が、ピリミジン骨格を含む、〔2〕~〔4〕のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
 〔6〕 波長450nmにおける前記位相差フィルムの面内レターデーションRe(450)、及び、測定波長550nmにおける前記位相差フィルムの面内レターデーションRe(550)が、下記式(5)を満たす、〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
  Re(450)/Re(550) < 1   (5)
 〔7〕 波長590nmにおける前記位相差フィルムの面内レターデーションRe(590)が、下記式(6)を満たす、〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
  100nm< Re(590) <200nm   (6)
 〔8〕 〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の位相差フィルムの製造方法であって、
 重合性液晶化合物を含む液晶組成物の層を形成する工程と、
 前記液晶組成物の層を硬化させる工程と、を含む、位相差フィルムの製造方法。
 〔9〕 〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の位相差フィルムと、直線偏光子とを備える、偏光板。

発明の効果

[0009]
 本発明によれば、耐光性及び耐熱性の両方に優れる位相差フィルム及びその製造方法;並びに、前記の位相差フィルムを含む偏光板;を提供できる。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
[0011]
 以下の説明において、量を表す「ppm」は、別に断らない限り、重量基準である。
[0012]
 以下の説明において、複屈折の逆波長分散性とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N1)を満たすことをいう。このような逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物は、通常、測定波長が長いほど、大きい複屈折を発現できる。
 Δn(450)<Δn(550) (N1)
[0013]
 以下の説明において、複屈折の順波長分散性とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N2)を満たすことをいう。このような順波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物は、通常、測定波長が長いほど、小さい複屈折を発現できる。
 Δn(450)>Δn(550) (N2)
[0014]
 以下の説明において、あるフィルムの面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx-ny)×dで表される値である。ここで、nxは、フィルムの厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、フィルムの前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。dは、フィルムの厚みを表す。レターデーションの測定波長は、別に断らない限り、590nmである。面内レターデーションReは、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて測定できる。
[0015]
 以下の説明において、固有複屈折値が正の樹脂とは、別に断らない限り、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きくなる樹脂を意味する。また、固有複屈折値が負の樹脂とは、別に断らない限り、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さくなる樹脂を意味する。固有複屈折値は、誘電率分布から計算しうる。
[0016]
 以下の説明において、ある層の遅相軸とは、別に断らない限り、面内方向の遅相軸をいう。
[0017]
 以下の説明において、置換基を有する基の炭素原子数には、別に断らない限り、前記置換基の炭素原子数を含めない。よって、例えば「置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキル基」との記載は、別に断らない限り、置換基の炭素原子数を含まないアルキル基自体の炭素原子数が1~20であることを表す。
[0018]
 以下の説明において、「偏光板」及び「波長板」は、別に断らない限り、樹脂フィルム等の可撓性を有するフィルム及びシートを含む用語として用いる。
[0019]
 以下の説明において、「紫外線」とは、別に断らない限り、波長が1nm以上400nm以下である光を意味する。
[0020]
 以下の説明において、別に断らない限り、用語「(メタ)アクリロイル」とは、メタクリロイル、アクリロイル及びそれらの組み合わせを包含し、用語「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート、アクリレート及びそれらの組み合わせを包含する。
[0021]
[1.位相差フィルムの概要]
 本発明の一実施形態に係る位相差フィルムは、重合性液晶化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成されている。この位相差フィルムの波長380nmにおける吸光度A (380)、位相差フィルムの波長400nmにおける吸光度A (400)、及び、位相差フィルムの波長420nmにおける吸光度A (420)は、下記式(1)~(3)を満たす。
  A (380) < 2   (1)
  0.5 ≦ A (400)   (2)
  A (420)/A (400) ≦ 0.4   (3)
 この位相差フィルムは、耐光性及び耐熱性の両方に優れる。また、通常、この位相差フィルムは、呈色が小さく、具体的には、L*a*b*表色系におけるa*及びb*がゼロに近い。
[0022]
[2.重合性液晶化合物]
 液晶組成物は、重合性液晶化合物を含む組成物である。この液晶組成物は、2種類以上の成分を含む材料だけでなく、1種類の重合性液晶化合物のみを含む材料を包含する。
[0023]
 重合性液晶化合物は、液晶性を有するので、通常、当該重合性液晶化合物を配向させた場合に、液晶相を呈することができる。
[0024]
 また、重合性液晶化合物は、重合性を有するので、液晶相を呈した状態で重合し、液晶相における分子の屈折率楕円体において最大の屈折率を示す方向を変化させないように重合体となることができる。よって、位相差フィルムにおいて重合性液晶化合物の配向状態を固定したり、重合性液晶化合物の重合度を高めて位相差フィルムの機械的強度を高めたりすることが可能である。このように重合性を有する重合性液晶化合物の分子は、通常、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びエポキシ基等の重合性基を含む。重合性液晶化合物の分子1つ当たりの重合性基の数は、1個でもよいが、2個以上が好ましい。
[0025]
 重合性液晶化合物の分子量は、好ましくは300以上、より好ましくは500以上、特に好ましくは800以上であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1700以下、特に好ましくは1500以下である。このような範囲の分子量を有する重合性液晶化合物を用いる場合に、液晶組成物の塗工性を特に良好にできる。
[0026]
 重合性液晶化合物としては、逆分散液晶化合物を用いてもよく、順分散液晶化合物を用いてもよく、逆分散液晶化合物と順分散液晶化合物との組み合わせを用いてもよい。
[0027]
 逆分散液晶化合物とは、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物である。また、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物とは、当該液晶化合物の層を形成し、その層において液晶化合物を配向させた際に、逆波長分散性の複屈折を発現する液晶化合物をいう。
[0028]
 順分散液晶化合物とは、順波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物である。また、順波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物とは、当該液晶化合物の層を形成し、その層において液晶化合物を配向させた際に、順波長分散性の複屈折を発現する液晶化合物をいう。
[0029]
 通常は、液晶化合物をホモジニアス配向させた場合に、液晶化合物の層が示す複屈折の波長分散性を調べることで、その液晶化合物が示す複屈折の波長分散性を確認できる。液晶化合物をホモジニアス配向させる、とは、当該液晶化合物を含む層を形成し、その層における液晶化合物の分子の屈折率楕円体において最大の屈折率の方向を、前記層の面に平行なある一の方向に配向させることをいう。また、前記の層の複屈折は、「(層の面内レターデーション)÷(層の厚み)」から求められる。
[0030]
 逆分散液晶化合物は、通常、測定波長が長いほど、大きい複屈折を発現できる。よって、広い波長範囲において、レターデーションを設計の理想値に近くできる。そのため、重合性液晶化合物として逆分散液晶化合物を用いると、レターデーションの理想値からのずれを少なくできる。
[0031]
 測定波長590nmにおける重合性液晶化合物の複屈折Δnは、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上であり、好ましくは0.15以下、より好ましくは0.10以下である。このような範囲の複屈折Δnを有する重合性液晶化合物を用いる場合に、配向欠陥の少ない位相差フィルムを得やすい。
[0032]
 液晶化合物の複屈折は、例えば、下記の方法により測定できる。
 液晶化合物の層を作製し、その層に含まれる液晶化合物をホモジニアス配向させる。その後、その層の面内レターデーションを測定する。そして、「(層の面内レターデーション)÷(層の厚み)」から、液晶化合物の複屈折を求めることができる。この際、面内レターデーション及び厚みの測定を容易にするために、ホモジニアス配向させた液晶化合物の層は、硬化させてもよい。
[0033]
 重合性液晶化合物は、芳香環構造を有する側鎖を有することが好ましい。芳香環構造を有する側鎖を構造に導入することによって、複屈折特性の設計が容易になり、重合性液晶化合物に高い複屈折を与えることができる。それによって位相差フィルムを薄くすることができ、硬化ムラなどによるレターデーション変化量の増加を抑えることができる。
[0034]
 重合性液晶化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
[0035]
 重合性液晶化合物の例としては、下記式(I)で表される液晶化合物が挙げられる。式(I)で表される液晶化合物は、通常、逆波長分散性の複屈折を発現できる。
[0036]
[化1]


[0037]
 式(I)において、Arは、芳香族複素環、複素環、および芳香族炭化水素環の少なくとも1つを有し、置換されていてもよい、炭素原子数6~67の2価の有機基を表す。芳香族複素環としては、例えば、1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン環、1-ベンゾフラン環、2-ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、ベンゾピラノン環等が挙げられる。複素環としては、例えば、1,3-ジチオラン環、ピロリジン、ピペラジン等が挙げられる。芳香族炭化水素環としては、例えば、フェニル環、ナフタレン環等が挙げられる。
[0038]
 Arの好ましい例としては、例えば、下記式(II-1)~式(II-4)のいずれかで表される基が挙げられる。式(II-1)~式(II-4)において、*は、Z 又はZ との結合位置を表す。また、Arは、ベンゾチアゾール環を有することが好ましい。
[0039]
[化2]


[0040]
 前記の式(II-1)~式(II-4)において、E 及びE は、それぞれ独立して、-CR 1112-、-S-、-NR 11-、-CO-及び-O-からなる群より選ばれる基を表す。また、R 11及びR 12は、それぞれ独立して、水素原子、又は、炭素原子数1~4のアルキル基を表す。中でも、E 及びE は、それぞれ独立して、-S-であることが好ましい。
[0041]
 前記の式(II-1)~式(II-4)において、D ~D は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい非環状基を表す。D 及びD は、一緒になって環を形成していてもよい。D ~D が表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、1~100である。
[0042]
 D ~D における非環状基の炭素原子数は、1~13が好ましい。D ~D における非環状基としては、例えば、炭素原子数1~6のアルキル基;シアノ基;カルボキシル基;炭素原子数1~6のフルオロアルキル基;炭素原子数1~6のアルコキシ基;-C(=O)-CH ;-C(=O)NHPh;-C(=O)-OR ;が挙げられる。中でも、非環状基としては、シアノ基、カルボキシル基、-C(=O)-CH 、-C(=O)NHPh、-C(=O)-OC 、-C(=O)-OC 、-C(=O)-OCH(CH 、-C(=O)-OCH CH CH(CH )-OCH 、-C(=O)-OCH CH C(CH -OH、及び-C(=O)-OCH CH(CH CH )-C 、が好ましい。前記のPhは、フェニル基を表す。また、前記のR は、炭素原子数1~12の有機基を表す。R の具体例としては、炭素原子数1~12のアルコキシ基、または、水酸基で置換されていてもよい炭素原子数1~12のアルキル基が挙げられる。
[0043]
 D ~D における非環状基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1~6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2~6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1~6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数1~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;-OCF ;-C(=O)-R ;-O-C(=O)-R ;-C(=O)-O-R ;-SO ;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0044]
 R は、炭素原子数1~6のアルキル基;並びに、炭素原子数1~6のアルキル基若しくは炭素原子数1~6のアルコキシ基を置換基として有していてもよい、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環基;からなる群より選ばれる基を表す。
[0045]
 R は、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3~12のシクロアルキル基;及び、置換基を有していてもよい炭素原子数6~12の芳香族炭化水素環基;からなる群より選ばれる基を表す。
[0046]
 R における炭素原子数1~20のアルキル基の炭素原子数は、好ましくは1~12、より好ましくは4~10である。R における炭素原子数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、1-メチルペンチル基、1-エチルペンチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、およびn-イコシル基等が挙げられる。
[0047]
 R における炭素原子数1~20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1~20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1~12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1~12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾール-2-イルチオ基等の、炭素原子数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3~8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3~8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2~12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6~14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、-CH CF 等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1~12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;及び、ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0048]
 R における炭素原子数2~20のアルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2~12である。R における炭素原子数2~20のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、およびイコセニル基等が挙げられる。
[0049]
 R における炭素原子数2~20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、R における炭素原子数1~20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0050]
 R における炭素原子数3~12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が好ましい。
[0051]
 R における炭素原子数3~12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環基;等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環基;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0052]
 R における炭素原子数6~12の芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基が好ましい。
[0053]
 R における炭素原子数6~12の芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1~20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1~12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1~12のアルコキシ基;ニトロ基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3~8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3~8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2~12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6~14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、-CH CF 等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1~12のフルオロアルキル基;-OCF ;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1~20のアルコキシ基;ニトロ基;フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3~8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、-CH CF 等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1~12のフルオロアルキル基;-OCF ;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0054]
 D 及びD が一緒になって環を形成している場合、前記のD 及びD によって環を含む有機基が形成される。この有機基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式において、*は、各有機基が、D 及びD が結合する炭素と結合する位置を表す。
[0055]
[化3]


[0056]
 R は、炭素原子数1~3のアルキル基を表す。
 R **は、炭素原子数1~3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
 R ***は、炭素原子数1~3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
 R ****は、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基、水酸基、及び、-COOR 13からなる群より選ばれる基を表す。R 13は、炭素原子数1~3のアルキル基を表す。
 フェニル基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基及びアミノ基が挙げられる。中でも、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基及びアルコキシ基が好ましい。フェニル基が有する置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0057]
 前記の式(II-1)~式(II-4)において、D は、-C(R )=N-N(R )R 、-C(R )=N-N=C(R )R 、及び、-C(R )=N-N=R からなる群より選ばれる基を表す。D が表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、通常、3~100である。
[0058]
 R は、水素原子;並びに、メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基等の、炭素原子数1~6のアルキル基;からなる群より選ばれる基を表す。
[0059]
 R は、水素原子;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数1~30の有機基;からなる群より選ばれる基を表す。
[0060]
 R における置換基を有していてもよい炭素原子数1~30の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキル基;炭素原子数1~20のアルキル基に含まれる-CH -の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、又は、-C(=O)-に置換された基(ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のアルキニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3~12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基;置換基を有していてもよい炭素原子数2~30の芳香族複素環基;-G -Y -F ;-SO ;-C(=O)-R ;-CS-NH-R ;が挙げられる。R 及びR の意味は、上述した通りである。
[0061]
 R における炭素原子数1~20のアルキル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、R における炭素原子数1~20のアルキル基と同じである。
[0062]
 R における炭素原子数1~20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1~20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1~12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1~12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3~8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3~8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2~12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6~14のアリールオキシ基;1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1~12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;-SO ;-SR ;-SR で置換された炭素原子数1~12のアルコキシ基;水酸基;等が挙げられる。R 及びR の意味は、上述した通りである。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0063]
 R における炭素原子数2~20のアルケニル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、R における炭素原子数2~20のアルケニル基と同じである。
[0064]
 R における炭素原子数2~20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、R における炭素原子数1~20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0065]
 R における炭素原子数2~20のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、2-プロピニル基(プロパルギル基)、ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、ペンチニル基、2-ペンチニル基、ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、2-オクチニル基、ノナニル基、デカニル基、7-デカニル基等が挙げられる。
[0066]
 R における炭素原子数2~20のアルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、R における炭素原子数1~20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0067]
 R における炭素原子数3~12のシクロアルキル基としては、例えば、R における炭素原子数3~12のシクロアルキル基と同じ例が挙げられる。
[0068]
 R における炭素原子数3~12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、R における炭素原子数1~20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0069]
 R における炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基がより好ましい。
[0070]
 R における炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、D ~D における非環状基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0071]
 R における炭素原子数2~30の芳香族複素環基としては、例えば、1-ベンゾフラニル基、2-ベンゾフラニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、キノリル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、およびベンゾピラゾリル基等が挙げられる。中でも、芳香族複素環基としては、フラニル基、ピラニル基、チエニル基、オキサゾリル基、フラザニル基、チアゾリル基、及びチアジアゾリル基等の、単環の芳香族複素環基;並びに、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キノリル基、1-ベンゾフラニル基、2-ベンゾフラニル基、フタルイミド基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピラジニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、及びベンゾチアジアゾリル基等の、縮合環の芳香族複素環基;がより好ましい。
[0072]
 R における炭素原子数2~30の芳香族複素環基が有しうる置換基としては、例えば、D ~D における非環状基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0073]
 G は、置換基を有していてもよい炭素原子数1~30の2価の脂肪族炭化水素基;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数3~30の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH -の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR 14-C(=O)-、-C(=O)-NR 14-、-NR 14-、または、-C(=O)-に置換された基(ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);からなる群より選ばれる有機基を表す。R 14は、水素原子、又は、炭素原子数1~6のアルキル基を表す。前記「2価の脂肪族炭化水素基」は、2価の鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。
[0074]
 Y は、-O-、-C(=O)-、-S-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR 15-C(=O)-、-C(=O)-NR 15-、-O-C(=O)-NR 15-、-NR 15-C(=O)-O-、-N=N-、及び、-C≡C-、からなる群より選ばれる基を表す。R 15は、水素原子、又は、炭素原子数1~6のアルキル基を表す。中でも、Y としては、-O-、-O-C(=O)-O-及び-C(=O)-O-が好ましい。
[0075]
 F は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する有機基を表す。この有機基の炭素原子数は、好ましくは2以上、より好ましくは7以上、更に好ましくは8以上、特に好ましくは10以上であり、好ましくは30以下である。前記の有機基の炭素原子数には、置換基の炭素原子を含まない。
[0076]
 F における芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、フルオレン環等の、炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環が挙げられる。F が、複数の芳香族炭化水素環を有する場合、複数の芳香族炭化水素環は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
[0077]
 F における芳香族炭化水素環は、置換基を有していてもよい。F における芳香族炭化水素環が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1~6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2~6のアルケニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の、炭素原子数1~6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;-OCF ;-C(=O)-R ;-C(=O)-O-R ;-O-C(=O)-R ;等が挙げられる。R の意味は、上述した通りである。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0078]
 F における芳香族複素環としては、例えば、1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン環、1-ベンゾフラン環、2-ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、ベンゾピラノン環等の、炭素原子数2~30の芳香族複素環が挙げられる。F が、複数の芳香族複素環を有する場合、複数の芳香族複素環は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
[0079]
 F における芳香族複素環は、置換基を有していてもよい。F における芳香族複素環が有しうる置換基としては、例えば、F における芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0080]
 F の好ましい例としては、「芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい、炭素原子数2~20の環状基」が挙げられる。以下、この環状基を、適宜「環状基(a)」ということがある。
[0081]
 環状基(a)が有しうる置換基としては、例えば、F における芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0082]
 環状基(a)の好ましい例としては、少なくとも一つの炭素原子数6~18の芳香族炭化水素環を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20の炭化水素環基が挙げられる。この炭化水素環基を、以下、適宜「炭化水素環基(a1)」ということがある。
[0083]
 炭化水素環基(a1)としては、例えば、フェニル基(炭素原子数6)、ナフチル基(炭素原子数10)、アントラセニル基(炭素原子数14)、フェナントレニル基(炭素原子数14)、ピレニル基(炭素原子数16)、フルオレニル基(炭素原子数13)、インダニル基(炭素原子数9)、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基(炭素原子数10)、1,4-ジヒドロナフチル基(炭素原子数10)等の、炭素原子数6~18の芳香族炭化水素環基が挙げられる。
[0084]
 前記の炭化水素環基(a1)の具体例としては、下記式(1-1)~(1-21)で表される基が挙げられる。また、これらの基は、置換基を有していてもよい。下記式中、「-」は、環の任意の位置からのびる、Y との結合手を表す。
[0085]
[化4]


[0086]
 環状基(a)の別の好ましい例としては、炭素原子数6~18の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2~18の芳香族複素環からなる群から選ばれる1以上の芳香環を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の複素環基が挙げられる。この複素環基を、以下、適宜「複素環基(a2)」ということがある。
[0087]
 複素環基(a2)としては、例えば、フタルイミド基、1-ベンゾフラニル基、2-ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジニル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノンニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ベンゾピラノニル基等の、炭素原子数2~18の芳香族複素環基;キサンテニル基;2,3-ジヒドロインドーリル基;9,10-ジヒドロアクリジニル基;1,2,3,4-テトラヒドロキノリル基;ジヒドロピラニル基;テトラヒドロピラニル基;ジヒドロフラニル基;およびテトラヒドロフラニル基;が挙げられる。
[0088]
 前記の複素環基(a2)の具体例としては、下記式(2-1)~(2-51)で表される基が挙げられる。また、これらの基は、置換基を有していてもよい。下記式中、「-」は、環の任意の位置からのびる、Y との結合手を表す。下記式中、Xは、-CH -、-NR -、酸素原子、硫黄原子、-SO-または-SO -を表す。YおよびZは、それぞれ独立して、-NR -、酸素原子、硫黄原子、-SO-または-SO -を表す。Eは、-NR -、酸素原子または硫黄原子を表す。ここで、R は、水素原子;または、メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1~6のアルキル基を表す。(但し、各式中において酸素原子、硫黄原子、-SO-、-SO -は、それぞれ隣接しないものとする。)。
[0089]
[化5]


[0090]
 F の好ましい別の例としては、「芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の環状基で、少なくとも一つの水素原子が置換され、且つ、前記環状基以外の置換基を有していてもよい、炭素原子数1~18のアルキル基」が挙げられる。この置換されたアルキル基を、以下、適宜「置換アルキル基(b)」ということがある。
[0091]
 置換アルキル基(b)における炭素原子数1~18のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
[0092]
 置換アルキル基(b)において、「芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の環状基」としては、例えば、環状基(a)として説明した範囲の基が挙げられる。
[0093]
 置換アルキル基(b)において、「芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方」は、炭素原子数1~18のアルキル基の炭素原子に、直接に結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば、-S-、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR 15-C(=O)-、-C(=O)-NR 15などが挙げられる。R 15の意味は、上述した通りである。よって、置換アルキル基(b)における「芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の環状基」には、フルオレニル基、ベンゾチアゾリル基等の、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する基;置換されていてもよい芳香族炭化水素環基;置換されていてもよい芳香族複素環基;連結基を有する置換されていてもよい芳香族炭化水素環よりなる基;連結基を有する置換されていてもよい芳香族複素環よりなる基;が含まれる。
[0094]
 置換アルキル基(b)における芳香族炭化水素環基の好ましい例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、およびフルオレニル基等の、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環基が挙げられる。
[0095]
 置換アルキル基(b)における芳香族炭化水素環基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、F における芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0096]
 置換アルキル基(b)における芳香族複素環基の好ましい例としては、フタルイミド基、1-ベンゾフラニル基、2-ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノンニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ベンゾピラノニル基等の、炭素原子数2~20の芳香族複素環基が挙げられる。
[0097]
 置換アルキル基(b)における芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、F における芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0098]
 置換アルキル基(b)における「連結基を有する芳香族炭化水素環よりなる基」及び「連結基を有する芳香族複素環よりなる基」としては、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、アントラセニルチオ基、フェナントレニルチオ基、ピレニルチオ基、フルオレニルチオ基、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、ピレニルオキシ基、フルオレニルオキシ基、ベンゾイソオキサゾリルチオ基、ベンゾイソチアゾリルチオ基、ベンゾオキサジアゾリルチオ基、ベンゾオキサゾリルチオ基、ベンゾチアジアゾリルチオ基、ベンゾチアゾリルチオ基、ベンゾチエニルチオ基、ベンゾイソオキサゾリルオキシ基、ベンゾイソチアゾリルオキシ基、ベンゾオキサジアゾリルオキシ基、ベンゾオキサゾリルオキシ基、ベンゾチアジアゾリルオキシ基、ベンゾチアゾリルオキシ基、ベンゾチエニルオキシ基、等が挙げられる。
[0099]
 置換アルキル基(b)における「連結基を有する芳香族炭化水素環よりなる基」及び「連結基を有する芳香族複素環よりなる基」は、それぞれ、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、F における芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0100]
 置換アルキル基(b)が有しうる環状基以外の置換基としては、例えば、F における芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0101]
 置換アルキル基(b)の具体例としては、下記式(3-1)~(3-11)で表される基が挙げられる。また、これらの基は、置換基を有していてもよい。下記式中、「-」は、環の任意の位置からのびる、Y との結合手を表す。また、下記式中、*は、結合位置を表す。
[0102]
[化6]


[0103]
 特に、Arが式(II-2)で表される場合、F は、下記式(i-1)~(i-9)のいずれかで表される基であることが好ましい。また、特に、Arが式(II-3)又は式(II-4)で表される場合、F は、下記式(i-1)~(i-13)のいずれかで表される基であることが好ましい。下記式(i-1)~(i-13)で表される基は、置換基を有していてもよい。また、下記式中、*は、結合位置を表す。
[0104]
[化7]


[0105]
 更には、Arが式(II-2)で表される場合、F は、下記式(ii-1)~(ii-18)のいずれかで表される基であることが特に好ましい。また、Arが式(II-3)又は式(II-4)で表される場合、F は、下記式(ii-1)~(ii-24)のいずれかで表される基であることが特に好ましい。下記式(ii-1)~(ii-24)で表される基は、置換基を有していてもよい。下記の式において、Yの意味は、上述した通りである。また、下記式中、*は、結合位置を表す。
[0106]
[化8]


[0107]
[化9]


[0108]
 Arが式(II-2)で表される場合、F 中の環構造に含まれるπ電子の総数は、8以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。また、Arが式(II-3)又は式(II-4)で表される場合、F 中の環構造に含まれるπ電子の総数は、4以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。
[0109]
 上述したものの中でも、R としては、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキル基;炭素原子数1~20のアルキル基に含まれる-CH -の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、または、-C(=O)-に置換された基(ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数3~12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基;置換基を有していてもよい炭素原子数2~30の芳香族複素環基;並びに、-G -Y -F ;が好ましい。その中でも、R としては、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキル基;炭素原子数1~20のアルキル基に含まれる-CH -の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、または、-C(=O)-に置換された基(ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基;並びに、-G -Y -F ;が特に好ましい。
[0110]
 R は、炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2~30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
[0111]
 R の好ましい例としては、(1)一以上の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6~40の炭化水素環基、が挙げられる。この芳香族炭化水素環を有する炭化水素環基を、以下、適宜「(1)炭化水素環基」ということがある。(1)炭化水素環基の具体例としては、下記の基が挙げられる。
[0112]
[化10]


[0113]
 (1)炭化水素環基は、置換基を有していてもよい。(1)炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1~6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2~6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1~6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環基;-OCF ;-C(=O)-R ;-O-C(=O)-R ;-C(=O)-O-R ;-SO ;等が挙げられる。R 及びR の意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1~6のアルキル基、および、炭素原子数1~6のアルコキシ基、が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0114]
 R の別の好ましい例としては、(2)炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2~30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2~40の複素環基が挙げられる。この芳香環を有する複素環基を、以下、適宜「(2)複素環基」ということがある。(2)複素環基の具体例としては、下記の基が挙げられる。Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表す。
[0115]
[化11]


[0116]
[化12]


[0117]
[化13]


[0118]
[化14]


[0119]
[化15]


[0120]
[化16]


[0121]
[化17]


[0122]
[化18]


[0123]
 (2)複素環基は、置換基を有していてもよい。(2)複素環基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0124]
 R の更に別の好ましい例としては、(3)炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2~30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数1~12のアルキル基が挙げられる。この置換されたアルキル基を、以下、適宜「(3)置換アルキル基」ということがある。
[0125]
 (3)置換アルキル基における「炭素原子数1~12のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
 (3)置換アルキル基における「炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、R における炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
 (3)置換アルキル基における「炭素原子数2~30の芳香族複素環基」としては、例えば、R における炭素原子数2~30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
[0126]
 (3)置換アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。(3)置換アルキル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0127]
 R の更に別の好ましい例としては、(4)炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2~30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2~12のアルケニル基が挙げられる。この置換されたアルケニル基を、以下、適宜「(4)置換アルケニル基」ということがある。
[0128]
 (4)置換アルケニル基における「炭素原子数2~12のアルケニル基」としては、例えば、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
 (4)置換アルケニル基における「炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、R における炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
 (4)置換アルケニル基における「炭素原子数2~30の芳香族複素環基」としては、例えば、R における炭素原子数2~30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
[0129]
 (4)置換アルケニル基は、更に置換基を有していてもよい。(4)置換アルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0130]
 R の更に別の好ましい例としては、(5)炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2~30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2~12のアルキニル基が挙げられる。この置換されたアルキニル基を、以下、適宜「(5)置換アルキニル基」ということがある。
[0131]
 (5)置換アルキニル基における「炭素原子数2~12のアルキニル基」としては、例えば、エチニル基、プロピニル基などが挙げられる。
 (5)置換アルキニル基における「炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、R における炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
 (5)置換アルキニル基における「炭素原子数2~30の芳香族複素環基」としては、例えば、R における炭素原子数2~30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
[0132]
 (5)置換アルキニル基は、更に置換基を有していてもよい。(5)置換アルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0133]
 R の好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
[0134]
[化19]


[0135]
 R の更に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
[0136]
[化20]


[0137]
 R の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
[0138]
[化21]


[0139]
 上述したR の具体例は、更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1~6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2~6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1~6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;-OCF ;-C(=O)-R ;-O-C(=O)-R ;-C(=O)-O-R ;-SO ;等が挙げられる。R 及びR の意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1~6のアルキル基、および、炭素原子数1~6のアルコキシ基が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0140]
 R は、炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2~30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
[0141]
 R の好ましい例としては、一以上の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6~40の炭化水素環基が挙げられる。
 また、R の別の好ましい例としては、炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2~30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2~40の複素環基が挙げられる。
[0142]
 R の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。Rの意味は、上述した通りである。
[0143]
[化22]


[0144]
 式(II-1)~式(II-4)のいずれかで表される基は、D ~D 以外に更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素原子数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数1~6のアルキルスルフィニル基、カルボキシル基、炭素原子数1~6のチオアルキル基、炭素原子数1~6のN-アルキルスルファモイル基、炭素原子数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0145]
 式(I)におけるArの好ましい例としては、下記の式(III-1)~式(III-7)で表される基が挙げられる。また、式(III-1)~式(III-7)で表される基は、置換基として炭素原子数1~6のアルキル基を有していてもよい。下記式中、*は、結合位置を表す。
[0146]
[化23]


[0147]
 式(III-1)の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。下記式中、*は、結合位置を表す。
[0148]
[化24]


[0149]
[化25]


[0150]
 式(I)において、Z 及びZ は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-O-CH -、-CH -O-、-O-CH -CH -、-CH -CH -O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR 21-C(=O)-、-C(=O)-NR 21-、-CF -O-、-O-CF -、-CH -CH -、-CF -CF -、-O-CH -CH -O-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH -C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH -、-CH -O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH -、-CH -CH -C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH -CH -、-CH -CH -O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH -CH -、-CH=CH-、-N=CH-、-CH=N-、-N=C(CH )-、-C(CH )=N-、-N=N-、及び、-C≡C-、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R 21は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表す。
[0151]
 式(I)において、A 、A 、B 及びB は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、及び、置換基を有していてもよい芳香族基、からなる群より選ばれる基を表す。A 、A 、B 及びB が表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、3~100である。中でも、A 、A 、B 及びB は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数5~20の環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の芳香族基が好ましい。
[0152]
 A 、A 、B 及びB における環状脂肪族基としては、例えば、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロヘプタン-1,4-ジイル基、シクロオクタン-1,5-ジイル基等の、炭素原子数5~20のシクロアルカンジイル基;デカヒドロナフタレン-1,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基等の、炭素原子数5~20のビシクロアルカンジイル基;等が挙げられる。中でも、置換されていてもよい炭素原子数5~20のシクロアルカンジイル基が好ましく、シクロヘキサンジイル基がより好ましく、シクロヘキサン-1,4-ジイル基が特に好ましい。環状脂肪族基は、トランス体であってもよく、シス体であってもよく、シス体とトランス体との混合物であってもよい。中でも、トランス体がより好ましい。
[0153]
 A 、A 、B 及びB における環状脂肪族基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0154]
 A 、A 、B 及びB における芳香族基としては、例えば、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、1,4-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、2,6-ナフチレン基、4,4’-ビフェニレン基等の、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環基;フラン-2,5-ジイル基、チオフェン-2,5-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基等の、炭素原子数2~20の芳香族複素環基;等が挙げられる。中でも、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環基が好ましく、フェニレン基がさらに好ましく、1,4-フェニレン基が特に好ましい。
[0155]
 A 、A 、B 及びB における芳香族基が有しうる置換基としては、例えば、A 、A 、B 及びB における環状脂肪族基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
[0156]
 式(I)において、Y ~Y は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR 22-C(=O)-、-C(=O)-NR 22-、-O-C(=O)-O-、-NR 22-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR 22-、及び、-NR 22-C(=O)-NR 23-、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R 22及びR 23は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表す。
[0157]
 式(I)において、G 及びG は、それぞれ独立して、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基;並びに、炭素原子数3~20の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(-CH -)の1以上が-O-又は-C(=O)-に置換された基;からなる群より選ばれる有機基を表す。G 及びG の前記有機基に含まれる水素原子は、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよい。ただし、G 及びG の両末端のメチレン基(-CH -)が-O-又は-C(=O)-に置換されることはない。
[0158]
 G 及びG における炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数1~20のアルキレン基が挙げられる。
[0159]
 G 及びG における炭素原子数3~20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数3~20のアルキレン基が挙げられる。
[0160]
 式(I)において、P 及びP は、それぞれ独立して、重合性基を表す。P 及びP における重合性基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の、CH =CR 31-C(=O)-O-で表される基;ビニル基;ビニルエーテル基;p-スチルベン基;アクリロイル基;メタクリロイル基;カルボキシル基;メチルカルボニル基;水酸基;アミド基;炭素原子数1~4のアルキルアミノ基;アミノ基;エポキシ基;オキセタニル基;アルデヒド基;イソシアネート基;チオイソシアネート基;等が挙げられる。R 31は、水素原子、メチル基、又は塩素原子を表す。中でも、CH =CR 31-C(=O)-O-で表される基が好ましく、CH =CH-C(=O)-O-(アクリロイルオキシ基)、CH =C(CH )-C(=O)-O-(メタクリロイルオキシ基)がより好ましく、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。
[0161]
 式(I)において、p及びqは、それぞれ独立して、0又は1を表す。
[0162]
 式(I)において、好ましくは、
 Arは、式(III-2)で表される基を表し、
 R は、水素原子ならびに炭素原子数1~6のアルキル基から選ばれる基を表し、
 R は、水素原子、並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数1~30の有機基からなる群より選ばれる基を表し、
 R は、炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2~30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表し、
 Z 及びZ は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-O-CH -、-CH -O-、-O-CH -CH -、-CH -CH -O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR 21-C(=O)-、-C(=O)-NR 21-、-CF -O-、-O-CF -、-CH -CH -、-CF -CF -、-O-CH -CH -O-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH -C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH -、-CH -O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH -、-CH -CH -C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH -CH -、-CH -CH -O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH -CH -、-CH=CH-、-N=CH-、-CH=N-、-N=C(CH )-、-C(CH )=N-、-N=N-、及び、-C≡C-、からなる群より選ばれるいずれかを表し、R 21は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、
 A 、A 、B 及びB は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、及び、置換基を有していてもよい芳香族基、からなる群より選ばれる基を表し、
 Y ~Y は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR 22-C(=O)-、-C(=O)-NR 22-、-O-C(=O)-O-、-NR 22-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR 22-、及び、-NR 22-C(=O)-NR 23-、からなる群より選ばれるいずれかを表し、R 22及びR 23は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、
 G 及びG は、それぞれ独立して、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基;並びに、炭素原子数3~20の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(-CH -)の1以上が-O-又は-C(=O)-に置換された基;からなる群より選ばれる有機基を表し、G 及びG の前記有機基に含まれる水素原子は、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよく、ただし、G 及びG の両末端のメチレン基(-CH -)が-O-又は-C(=O)-に置換されることはなく、
 P 及びP は、それぞれ独立して、重合性基を表し、
 p及びqは、それぞれ独立して、0又は1を表す。
[0163]
 式(I)で表される液晶化合物は、例えば、国際公開第2012/147904号に記載される、ヒドラジン化合物とカルボニル化合物との反応により製造しうる。
[0164]
 式(I)で表される液晶化合物としては、具体的には、例えば、下記の式で表される化合物が挙げられる。
[0165]
[化26]


[0166]
[3.紫外線吸収剤]
 液晶組成物は、重合性液晶化合物に組み合わせて、任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組合わせて用いてもよい。特に、液晶組成物は、任意の成分として、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。適切な紫外線吸収剤を用いることにより、位相差フィルムの耐光性を効果的に改善することができる。
[0167]
 紫外線吸収剤は、所定の吸光度を有することが好ましい。具体的には、下記式(4)を満たす吸光度A (365)及びA (400)を有する紫外線吸収剤が好ましい。A (365)は、紫外線吸収剤の波長365nmにおける吸光度を表す。また、A (400)は、紫外線吸収剤の波長400nmにおける吸光度を表す。
  A (400)/A (365) ≧ 1.6   (4)
[0168]
 詳細には、前記の吸光度の比A (400)/A (365)は、好ましくは1.6以上、より好ましくは1.7以上、特に好ましくは1.8以上である。吸光度の比A (400)/A (365)が前記の範囲にある場合、波長400nmの光に対する位相差フィルムの耐性を効果的に高められ、かつ、波長380nm以下の光が位相差フィルムを透過する透過率を高くできる。よって、耐光性及び耐熱性に特に優れる位相差フィルムを得やすい。吸光度の比A (400)/A (365)の上限は、特段の制限はなく、例えば3.0以下でありうる。
[0169]
 紫外線吸収剤の吸光度は、紫外線吸収剤を溶媒(例えば、1,3-ジオキソラン)に溶かして得た所定の濃度(例えば、10ppm)の試料溶液を用いて、透過吸収スペクトルを測定し、その透過吸収スペクトルから測定できる。透過吸収スペクトルは、適切な分光光度計(例えば、日本分光社製「V-500」)を用いて測定できる。
[0170]
 紫外線吸収剤は、380nm~420nmの波長範囲に極大吸収波長を有することが好ましい。極大吸収波長とは、透過吸収スペクトルにおいて光の吸収が極大値をとる極大ピークの波長を表す。前記の波長範囲に極大吸収波長を有する紫外線吸収剤は、通常、380nm~420nmの波長範囲の光を効果的に吸収できる。よって、波長400nmの光に対する位相差フィルムの耐性を効果的に高めることができる。
[0171]
 紫外線吸収剤の分子骨格に制限はなく、例えば、分子中にベンゾフェノン骨格を含むベンゾフェノン系紫外線吸収剤、分子中にベンゾトリアゾール骨格を含むベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等を用いてもよい。しかし、これらは、一般に、長波長領域の紫外線を吸収するためには、数十μm程度に位相差フィルムを厚くしたり、または当該紫外線吸収剤を高濃度にしたりすることが求められる。高濃度では析出及びブリードアウトを生じ易い傾向がある。そこで、析出及びブリードアウトを抑制する観点から、分子中にメチン骨格を含むメチン系紫外線吸収剤が好ましい。メチン系紫外線吸収剤は、耐光性に優れ、析出及びブリードアウトの抑制が可能である。また、メチン系紫外線吸収剤は、皮膚刺激性及び生物蓄積性が低い傾向があるので、安全性を高めることができる。さらに、メチン系紫外線吸収剤の中でも、分子中に窒素芳香環を含む紫外線吸収剤が更に好ましい。窒素芳香環とは、窒素原子を含む芳香環を表す。窒素芳香環を含むメチン系紫外線吸収剤は、波長400nm付近での吸光度が高い傾向があるため、波長400nmの光に対する位相差フィルムの耐性を効果的に高めることができる。特に、分子中にピリミジン骨格を含むピリミジン系紫外線吸収剤が特に好ましい。
[0172]
 さらに、ピリミジン系紫外線吸収剤のように窒素芳香環を含むメチン系紫外線吸収剤の中でも、特に電子吸引基を含む紫外線吸収剤は、400nm付近に極大吸収波長を有するので、波長400nm付近での吸光度が高い傾向がある。よって、波長400nmの光に対する位相差フィルムの耐性を効果的に高める観点では、窒素芳香環を含むメチン系紫外線吸収剤は、分子中に電子吸引基を含むことが好ましい。また、前記の効果を顕著に得る観点から、電子吸引基は、メチン骨格の炭素原子に結合していることが好ましく、よって、紫外線吸収剤は、メチン基(-CH=)の水素原子が電子吸引基で置換された構造を含むことが好ましい。
[0173]
 電子吸引基としては、例えば、-CH=C(CN) 、-NO 、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基等が挙げられる。紫外線吸収剤が含む電子吸引基の数は、1分子あたり、1個でもよく、2個以上でもよい。また、紫外線吸収剤が含む電子吸引基の種類は、1種類でもよく、2種類以上でもよい。
[0174]
 さらに、ピリミジン系紫外線吸収剤のように窒素芳香環を含むメチン系紫外線吸収剤は、電子吸引基に組み合わせて、更に電子供与基を含むことが好ましい。
[0175]
 電子供与基としては、例えば、無置換アミノ基、1級アミノ基、2級アミノ基等のアミノ基;エトキシ基等のアルコキシ基;等が挙げられる。紫外線吸収剤が含む電子供与基の数は、1分子あたり、1個でもよく、2個以上でもよい。また、紫外線吸収剤が含む電子供与基の種類は、1種類でもよく、2種類以上でもよい。
[0176]
 好ましい紫外線吸収剤の例としては、下記式(B1)に示す化合物が挙げられる。
[0177]
[化27]


[0178]
 式(B1)において、mは1~6の整数を表す。
 式(B1)において、Q b1は、mが1の場合は水素原子を表し、mが2~6の場合は2~6価の連結基を表す。
 式(B1)において、D b1は、下記式(B2)で表される化合物から水素原子が1つ外れた構造を有する基を表す。mが2~6の場合、複数のD b1は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
[0179]
[化28]


[0180]
 式(B2)において、R b1は、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、複素環含有基、-O-C(O)H、-C(O)-R b7又は-SO -R b8を表す。
 式(B2)において、R b2は、水素原子、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、複素環含有基、-O-C(O)H、-C(O)-R b7、-SO -R b8、又は-C(O)-R b9を表す。R b2が-C(O)-R b9を表す場合、R b1と、R b2と、R b1及びR b2が結合している炭素原子とで、置換基を有していてもよい4~8員の複素環を形成している。
 式(B2)において、R b7は、水素原子、ハロゲン原子、-NR b72b73又は-R b74を表す。
 式(B2)において、R b8は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、-OR b81、-NR b82b83又は-R b84を表す。
 式(B2)において、R b9は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、-OR b91、-NR b92b93又は-R b94を表す。
 式(B2)において、R b72~R b74、R b81~R b84及びR b91~R b94は、同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
 式(B2)において、R b3は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。
 式(B2)において、R b402及びR b403は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、-NR b406b407、-OR b408、シアノ基、-C(O)R b409、-O-C(O)R b410又は-C(O)OR b411を表す。
 式(B2)において、R b404~R b411は、同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。R b404と、R b405と、R b404及びR b405が結合している窒素原子とで、置換基を有していてもよい4~8員の含窒素複素環を形成してもよい。
[0181]
 式(B1)で示される化合物については、特開2018-188564号公報の記載を参照しうる。
[0182]
 紫外線吸収剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
[0183]
 紫外線吸収剤の量は、重合性液晶化合物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上であり、好ましくは4重量部以下、より好ましくは3重量部以下である。紫外線吸収剤の量が、前記範囲の下限値以上である場合、位相差フィルムの耐光性を効果的に高めることができる。また、紫外線吸収剤の量が、前記範囲の上限値以下である場合、位相差フィルムの呈色を効果的に抑制できる。
[0184]
[4.架橋剤]
 液晶組成物は、任意の成分として、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤は、通常、重合性液晶化合物と反応して橋かけ結合を形成できる。よって、架橋剤を用いることにより、位相差フィルムの耐熱性及び機械的強度を向上させることができる。ただし、架橋剤には、前記の重合性液晶化合物は含まれない。架橋剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
[0185]
 架橋剤は、好ましくは多官能性モノマーである。多官能性モノマーとは、重合性の基を1分子中に2個以上有する化合物を意味する。多官能性モノマーが有しうる重合性の基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、ビニル基が挙げられる。多官能性モノマーとしては、例えば、2官能性モノマー(例、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート);3官能性以上の、多官能性モノマー(例、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート)が挙げられる。
[0186]
 架橋剤は、より好ましくは、2官能性モノマーである。2官能性モノマーとは、重合性の基を1分子中に2個有する化合物を意味する。
[0187]
 架橋剤は、好ましくは脂環式構造を有する化合物であり、より好ましくは脂環式構造を有する2官能性モノマーである。
[0188]
 脂環式構造としては、例えば、単環の脂環式構造(例、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環)、2環以上の多環の脂環式構造(例、ビシクロヘプタン環、トリシクロデカン環、ビシクロデカン環)が挙げられる。
[0189]
 架橋剤の具体例としては、下記の式(C1)~(C3)で表される化合物が挙げられる。
[0190]
[化29]


[0191]
 式(C3)において、c1、c2、c3、c4、c5及びc6は、それぞれ独立して、1以上2以下の整数を表す。
 式(C3)において、Y は、アクリロイル基又はヒドロキシ基を表す。Y は、好ましくはアクリロイル基である。式(C3)で表される化合物であってY がアクリロイル基である化合物は、プロポキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートと称されることがある。
 式(C3)において、X は、下記式(C4)に示す基を表す。
[0192]
[化30]


[0193]
 架橋剤の量は、重合性液晶化合物100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上、特に好ましくは5重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは25重量部以下、特に好ましくは20重量部以下である。架橋剤の量が前記の範囲にある場合、位相差フィルムの耐熱性及び機械的強度を効果的に高めることができる。
[0194]
[5.界面活性剤]
 液晶組成物は、任意の成分として、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤を用いることにより、重合性液晶化合物の配向性を改善できるので、位相差フィルムの面状態を良好にしたり、配向欠陥の発生を抑制したりできる。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤が好ましい。また、界面活性剤としては、分子中にフッ素原子を含む界面活性剤が好ましい。
[0195]
 界面活性剤としては、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンシリーズ(S242、S386、S420など)、DIC社製のメガファックシリーズ(F251、F554、F556、F562、RS-75、RS-76-Eなど)、ネオス社製のフタージェントシリーズ(FTX601AD、FTX602A、FTX601ADH2、FTX650A、209Fなど)等が挙げられる。界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
[0196]
 界面活性剤の量は、重合性液晶化合物100重量部に対して、好ましくは0.005重量部以上、より好ましくは0.010重量部以上であり、好ましくは1.00重量部以下、より好ましくは0.50重量部以下である。界面活性剤の量が前記の範囲にある場合、位相差フィルムの面状態を良好にしたり、配向欠陥の発生を抑制したりできる。
[0197]
[6.重合開始剤]
 液晶組成物は、任意の成分として、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤を用いることにより、重合性液晶化合物の重合を促進できる。重合開始剤としては、熱重合開始剤及び光重合開始剤のいずれを用いてもよい。中でも、本発明の所望の効果を顕著に得る観点では、光重合開始剤を用いることが好ましい。
[0198]
 重合開始剤の種類は、液晶組成物に含まれる重合性の化合物の種類に応じて選択しうる。例えば、重合性の化合物がラジカル重合性であれば、ラジカル重合開始剤を使用しうる。また、重合性の化合物がアニオン重合性であれば、アニオン重合開始剤を使用しうる。さらに、重合性の化合物がカチオン重合性であれば、カチオン重合開始剤を使用しうる。重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
[0199]
 重合開始剤の量は、重合性液晶化合物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。重合開始剤の量が前記範囲にある場合、重合を効率的に進行させることができる。
[0200]
[7.液晶組成物が含みうるその他の成分]
 液晶組成物が含みうる任意の成分としては、例えば、溶媒が挙げられる。溶媒としては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素溶媒;シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリドン等のケトン溶媒;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素溶媒;及びこれらの混合物が挙げられる。溶媒の沸点は、取り扱い性に優れる観点から、60℃~250℃であることが好ましく、60℃~150℃であることがより好ましい。溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。溶媒の量は、重合性液晶化合物100重量部に対して、好ましくは100重量部以上1000重量部以下である。
[0201]
 また、液晶組成物が含みうる任意の成分としては、例えば、酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤を用いることにより、液晶組成物のゲル化を抑制できるので、液晶組成物のポットライフを長くできる。酸化防止剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類状を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。酸化防止剤の量は、重合性液晶化合物100重量部に対して、好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.005重量部以上、特に好ましくは0.010重量部以上であり、好ましくは5重量部以下、より好ましくは2重量部以下、特に好ましくは1重量部以下である。
[0202]
 液晶組成物が含みうるその他の任意の成分としては、例えば、金属;金属錯体;酸化チタン等の金属酸化物;染料、顔料等の着色剤;蛍光材料、燐光材料等の発光材料;レベリング剤;チキソ剤;ゲル化剤;多糖類;赤外線吸収剤;抗酸化剤;イオン交換樹脂;等が挙げられる。これらの成分の量は、重合性液晶化合物の合計100重量部に対して、各々0.1重量部~20重量部でありうる。
[0203]
[8.位相差フィルムの特性]
 位相差フィルムは、重合性液晶化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成されている。よって、位相差フィルムは、重合性液晶化合物を含む液晶組成物の硬化物を含む。したがって、位相差フィルムは、重合性液晶化合物を含みうる。
[0204]
 液晶組成物の硬化は、通常、当該液晶組成物が含む重合性の化合物の重合によって達成される。よって、位相差フィルムは、通常、液晶組成物が含んでいた成分の一部又は全部の重合体を含む。したがって、位相差フィルムは、重合性液晶化合物の重合体を含みうる。通常、重合によって重合性液晶化合物の液晶性は失われるが、本願においては、そのように重合した重合性液晶化合物も、用語「位相差フィルムに含まれる重合性液晶化合物」に含める。
[0205]
 位相差フィルムにおいては、一般に、液晶組成物が有していた流動性が失われる。よって、通常、位相差フィルムにおいては、重合性液晶化合物の配向状態が、固定されうる。用語「配向状態を固定された重合性液晶化合物」には、前記の重合性液晶化合物の重合体が包含される。位相差フィルムは、配向状態を固定された重合性液晶化合物の分子に組み合わせて配向状態を固定されていない重合性液晶化合物の分子を含んでいてもよいが、位相差フィルムに含まれる重合性液晶化合物の分子の全てが配向状態を固定されていることが好ましい。
[0206]
 位相差フィルムの波長380nm、400nm及び420nmにおける吸光度A (380)、A (400)及びA (420)は、前記の式(1)~(3)を満たす。このように式(1)~(3)を満たす吸光度A (380)、A (400)及びA (420)を有する位相差フィルムは、耐光性及び耐熱性の両方に優れる。
[0207]
 式(1)について詳細に説明する。位相差フィルムの波長380nmにおける吸光度A (380)は、通常2未満、好ましくは1.9未満、特に好ましくは1.8未満である。吸光度A (380)が前記範囲にある場合、位相差フィルムの耐熱性を効果的に高めることができる。
[0208]
 式(2)について詳細に説明する。位相差フィルムの波長400nmにおける吸光度A (400)は、通常0.5以上、好ましくは0.6以上であり、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。吸光度A (400)が前記範囲の下限値以上である場合、位相差フィルムの耐光性を効果的に高めることができる。また、吸光度A (400)が前記範囲の上限値以下である場合、可視波長域での位相差フィルムの透光性を高めることができるので、位相差フィルムの呈色を抑制できる。
[0209]
 式(3)について詳細に説明する。位相差フィルムの吸光度の比A (420)/A (400)は、通常0.4以下、好ましくは0.35以下、特に好ましくは0.30以下であり、理想的には0である。吸光度の比A (420)/A (400)が前記範囲にある場合、可視波長域において透光性を高め、位相差フィルムの呈色を効果的に小さくできる。
[0210]
 位相差フィルムの吸光度は、適切な分光光度計(例えば、日本分光社製「V-500」)を用いて入射角0°で透過吸収スペクトルを測定し、その透過吸収スペクトルから測定できる。
[0211]
 前記のような吸光度A (380)、A (400)及びA (420)を有する位相差フィルムは、例えば、重合性液晶化合物の種類;並びに、紫外線吸収剤の種類及び量;を調整することにより、実現できる。
[0212]
 前記のように、位相差フィルムは、優れた耐光性を有するので、光の照射を受けた場合に、色相の変化を生じないか、又は、色相の変化量を小さくできる。具体的には、位相差フィルムは、光の照射を受けた場合に、L*a*b*表色系におけるa*及びb*の変化を小さくできる。
[0213]
 また、前記のように、位相差フィルムは、優れた耐熱性を有するので、高温環境に置かれた場合に、レターデーションの変化を生じないか、又は、レターデーションの変化を小さくできる。具体的には、位相差フィルムは、高温環境に置かれた場合に、面内レターデーションReの変化を小さくできる。
[0214]
 さらに、前記のように、位相差フィルムは、通常、呈色が小さい。具体的には、位相差フィルムは、L*a*b*表色系におけるa*及びb*の値を、通常、0.0に近づけることができる。
[0215]
 このように優れた特性を達成できる仕組みを、本発明者は、下記の通りと推察する。ただし、本発明の技術的範囲は、下記に説明する仕組みに制限されない。
[0216]
 式(2)は、位相差フィルムが400nm近傍の波長の光を遮ることができることを表す。一般に、400nm近傍の波長の光は、位相差フィルムに対するダメージの大きい光を含みうる。よって、400nm近傍の波長の光を遮る能力を位相差フィルムが有することにより、位相差フィルム内部への前記光の侵入を抑制して、その光による劣化を抑制できる。したがって、位相差フィルムの耐光性を高めることができる。
[0217]
 また、式(1)は、位相差フィルムが380nm近傍の波長の光を透過させることができることを表す。一般に、380nm近傍の波長の光は、重合性液晶化合物の光重合に用いられうる。よって、380nm近傍の波長の光を透過させる能力の高い位相差フィルムは、その内部にまで前記光が進入できるので、重合性液晶化合物の重合を十分に進行させることができる。したがって、重合性液晶化合物の重合度を高められるので、位相差フィルムの耐熱性を高めることができる。
[0218]
 さらに、式(3)は、位相差フィルムが波長400nmの光に比べ、波長420nmの光をより高い透過率で透過させうることを表す。波長420nmの光は、可視光線を代表する光であり、前記の式(3)を満たす吸光度A (400)及びA (420)を有する位相差フィルムは、通常、可視波長域の全体において光を良好に透過させられるので、位相差フィルムの呈色を、小さくすることができる。
[0219]
 よって、式(1)~(3)を満たす吸光度A (380)、A (400)及びA (420)を有する位相差フィルムは、耐光性及び耐熱性の両方に優れ、更に通常は呈色が小さい。
[0220]
 位相差フィルムが含む重合性液晶性化合物の分子が通常は配向しているので、位相差フィルムは、面内レターデーションを有しうる。ここで、波長450nmにおける位相差フィルムの面内レターデーションRe(450)、及び、測定波長550nmにおける位相差フィルムの面内レターデーションRe(550)は、下記式(5)を満たすことが好ましい。
  Re(450)/Re(550) < 1   (5)
[0221]
 詳細には、面内レターデーションの比Re(450)/Re(550)は、好ましくは1.00未満、より好ましくは0.90未満、特に好ましくは0.85未満であり、また、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.72以上、特に好ましくは0.75以上である。面内レターデーションの比Re(450)/Re(550)が前記の範囲にある位相差フィルムは、逆波長分散性を示すことができるので、1/4波長板、1/2波長板等の光学用途において、広い波長帯域において均一に機能を発現できる。
[0222]
 式(5)を満たす面内レターデーションの比Re(450)/Re(550)を有する位相差フィルムは、例えば、重合性液晶化合物として逆分散液晶化合物を用いることで得られる。
[0223]
 位相差フィルムの具体的な面内レターデーションの範囲は、位相差フィルムの用途に応じて任意に設定しうる。例えば、波長590nmにおける位相差フィルムの面内レターデーションRe(590)は、下記式(6)を満たしうる。
  100nm< Re(590) <200nm   (6)
[0224]
 詳細には、位相差フィルムの面内レターデーションRe(590)は、好ましくは100nmより大きく、より好ましくは120nmより大きく、特に好ましくは130nmより大きく、また、好ましくは200nm未満、より好ましくは180nm未満、特に好ましくは160nm未満である。このような面内レターデーションRe(590)を有する位相差フィルムは、通常、1/4波長板として機能できる。
[0225]
 位相差フィルムの厚み方向に垂直な方向(面内方向)においては、重合性液晶化合物の分子の配向方向は、通常、均一である。よって、位相差フィルムは、通常、位相差フィルムを厚み方向から見た重合性液晶化合物の分子の配向方向に平行な遅相軸を有する。
[0226]
 他方、位相差フィルムの厚み方向においては、重合性液晶化合物の分子の配向方向は、任意である。例えば、位相差フィルムの厚み方向において、重合性液晶化合物の分子の配向方向は、位相差フィルムのフィルム面に平行でもよく、非平行でもよい。また、位相差フィルムの厚み方向において、重合性液晶化合物の分子の配向方向は、均一でもよく、不均一でもよい。具体例を挙げると、重合性液晶化合物の分子は、位相差フィルムのフィルム面に平行なある一の方向に配向していてもよい(ホモジニアス配向)。さらに、重合性液晶化合物の分子は、位相差フィルムのフィルム面に垂直な方向に配向していてもよい(垂直配向)。また、重合性液晶化合物の分子は、位相差フィルムのフィルム面に平行でも垂直でもないある一の方向に配向していてもよい(傾斜配向)。さらに、重合性液晶化合物の分子は、当該重合性液晶化合物の分子が位相差フィルムのフィルム面に対してなす傾斜角が、位相差フィルムの一側に近いほど小さく、前記一側から遠いほど大きい態様で配向していてもよい(ハイブリッド配向)。
[0227]
 位相差フィルムは、透明性に優れることが好ましい。具体的には、位相差フィルムの全光線透過率は、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは84%以上である。また、位相差フィルムのヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。全光線透過率は、紫外・可視分光計を用いて、波長400nm~700nmの範囲で測定できる。また、ヘイズは、ヘイズメーターを用いて測定できる。
[0228]
 位相差フィルムの厚みは、レターデーション等の特性を所望の範囲にできるように、適切に設定しうる。具体的には、位相差フィルムの厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下である。
[0229]
 位相差フィルムは、単独で用いてもよく、任意の層と組み合わせて光学積層体として用いてもよい。この光学積層体は、位相差フィルム及び任意の層を備える複層構造のフィルムである。任意の層としては、液晶硬化層の製造に用いる基材;延伸又は未延伸の樹脂フィルム;他の部材と接着するための接着層又は粘着層;フィルムの滑り性を良くするマット層;耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層;反射防止層;防汚層;等が挙げられる。
[0230]
[9.位相差フィルムの製造方法]
 位相差フィルムは、例えば、
 (i)液晶組成物の層を形成する工程と、
 (ii)液晶組成物の層を硬化させる工程と、
 を含む製造方法によって、製造できる。以下、この製造方法について説明する。
[0231]
 工程(i)では、通常、適切な支持面に、液晶組成物の層を形成する。支持面としては、液晶組成物の層を支持できる任意の面を用いうる。この支持面としては、位相差フィルムの面状態を良好にする観点から、凹部及び凸部の無い平坦面を用いることが好ましい。また、位相差フィルムの生産性を高める観点から、前記の支持面としては、長尺の基材の表面を用いることが好ましい。ここで「長尺」とは、幅に対して、5倍以上の長さを有する形状をいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムの形状をいう。長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して1万倍以下としうる。
[0232]
 基材としては、通常、樹脂フィルム又はガラス板を用いる。特に、配向処理又は加熱処理を行う場合、その処理温度に耐えられる基材を選択するのが好ましい。樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂を用いる。中でも、配向規制力の高さ、機械的強度の高さ、及びコストの低さといった観点から、樹脂としては、正の固有複屈折値を有する樹脂が好ましい。更には、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性に優れることから、ノルボルネン系樹脂等の、脂環式構造含有重合体を含む樹脂を用いることが好ましい。基材に含まれる樹脂の好適な例を商品名で挙げると、ノルボルネン系樹脂として、日本ゼオン社製「ゼオノア」を挙げられる。
[0233]
 支持面としての基材の表面には、液晶組成物の層における重合性液晶化合物の配向を促進するため、配向規制力を付与するための処理が施されていることが好ましい。配向規制力とは、液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物等の液晶化合物を配向させることができる、面の性質をいう。支持面に配向規制力を付与するため処理としては、例えば、配向膜形成処理、光配向処理、ラビング処理、イオンビーム配向処理、延伸処理などが挙げられる。
[0234]
 液晶組成物の層を形成する工程(i)において、液晶組成物は、通常、流体状で用意される。そのため、通常は、支持面に液晶組成物を塗工して、液晶組成物の層を形成する。液晶組成物を塗工する方法としては、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。
[0235]
 液晶組成物の層を形成する工程(i)の後で、液晶組成物の層に含まれる重合性液晶化合物を配向させる工程(iii)を行ってもよい。配向処理を行う際には、通常、液晶組成物の層を、所定の温度条件に所定の時間だけ保持する。これにより、液晶組成物の層において、重合性液晶化合物等の液晶化合物が配向する。この配向処理の条件は、使用する液晶組成物の性質に応じて適切に設定しうる。配向処理の条件の具体例を挙げると、50℃~160℃の温度条件において、30秒間~5分間処理する条件としうる。
[0236]
 工程(i)の後、更に必要に応じて重合性液晶化合物を配向させる工程(iii)を行った後で、液晶組成物の層を硬化させて、位相差フィルムを得る工程(ii)を行う。この工程(ii)では、通常、液晶組成物に含まれる重合性の化合物の重合により、液晶組成物の層を硬化させる。よって、重合性液晶化合物の一部又は全部は、この工程(ii)において重合する。硬化によって、硬化前の流動性が失われるので、通常、得られる位相差フィルムでは、重合性液晶化合物の配向状態は、固定されうる。
[0237]
 重合方法としては、液晶組成物に含まれる成分の性質に適合した方法を選択しうる。重合方法としては、例えば、活性エネルギー線を照射する方法、及び、熱重合法が挙げられる。中でも、加熱が不要であり、室温で重合反応を進行させられるので、活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。ここで、照射される活性エネルギー線には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光、並びに電子線等の任意のエネルギー線が含まれうる。
[0238]
 なかでも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。紫外線照射時の温度は、基材のガラス転移温度以下とすることが好ましく、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、特に好ましくは80℃以下である。紫外線照射時の温度の下限は、15℃以上としうる。紫外線の照射強度は、好ましくは0.1mW/cm 以上、より好ましくは0.5mW/cm 以上であり、好ましくは10000mW/cm 以下、より好ましくは5000mW/cm 以下である。紫外線の照射量は、好ましくは0.1mJ/cm 以上、より好ましくは0.5mJ/cm 以上であり、好ましくは10000mJ/cm 以下、より好ましくは5000mJ/cm 以下である。
[0239]
 位相差フィルムの製造方法は、更に、位相差フィルムに熱処理を施す工程(iv)を含んでいてもよい。熱処理を施すことにより、位相差フィルムの耐熱性を更に向上させることができる。
[0240]
 工程(iv)における熱処理温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、特に好ましくは100℃以上であり、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下、特に好ましくは160℃以下である。熱処理温度が前記範囲の下限値以上である場合、位相差フィルムの耐熱性を効果的に高めることができる。また、熱処理温度が前記の範囲の上限値以下である場合、耐熱性の低い基材を用いることが可能となり、基材の選択の自由度を高めることができる。
[0241]
 熱処理時間は、好ましくは1秒以上、より好ましくは2秒以上、特に好ましくは3秒以上であり、好ましくは15分以下、より好ましくは12分以下、特に好ましくは10分以下である。熱処理時間が前記範囲の下限値以上である場合、位相差フィルムの耐熱性を効果的に高めることができる。また、熱処理時間が前記範囲の上限値以下である場合、位相差フィルムの生産効率を高めることができる。
[0242]
 上述した例に係る位相差フィルムの製造方法は、更に任意の工程を含んでいてもよい。
 例えば、上述した例に係る製造方法によれば、基材上に位相差フィルムを得ることができる。そこで、上述した製造方法は、基材を剥離する工程を含んでいてもよい。
[0243]
 また、上述した製造方法は、例えば、液晶組成物の層を硬化させる工程(ii)の前に、液晶組成物の層を乾燥させる工程を含んでいてもよい。かかる乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等の乾燥方法で達成しうる。かかる乾燥により、液晶組成物の層から、溶媒を除去することができる。
[0244]
 前記のような製造方法によれば、長尺の基材を用いて、長尺の位相差フィルムを得ることができる。このような長尺の位相差フィルムは、連続的な製造が可能であり、生産性に優れる。また、長尺の位相差フィルムは、他のフィルムとの貼り合わせを、ロールトゥロールによって行うことができるので、この点でも、生産性に優れる。通常、長尺の位相差フィルムは、巻き取られてロールの状態で保存及び運搬がなされる。
[0245]
[10.偏光板]
 本発明の一実施形態に係る偏光板は、上述した位相差フィルムと直線偏光子とを備える。この偏光板は、円偏光板又は楕円偏光板として機能できることが好ましい。このような偏光板は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、適宜「有機EL表示装置」ということがある。)に設けることにより、有機EL表示装置の表示面において外光の反射を抑制できる。
[0246]
 直線偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるフィルム;ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させ延伸しさらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるフィルム;が挙げられる。また、直線偏光子の他の例としては、グリッド偏光子、多層偏光子などの、偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子が挙げられる。これらのうち、直線偏光子としては、ポリビニルアルコールを含有する偏光子が好ましい。
[0247]
 直線偏光子に自然光を入射させると、一方の偏光だけが透過する。この直線偏光子の偏光度は特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。
 また、直線偏光子の厚みは、好ましくは5μm~80μmである。
[0248]
 偏光板を円偏光板として機能させたい場合、直線偏光子の偏光吸収軸に対して位相差フィルムの遅相軸がなす角度は、45°またはそれに近い角度であることが好ましい。前記の角度は、具体的には、好ましくは40°以上、より好ましくは41°以上、特に好ましくは42°以上であり、また、好ましくは50°以下、より好ましくは49°以下、特に好ましくは48°以下である。
[0249]
 偏光板は、位相差フィルム及び直線偏光子に組み合わせて、更に任意の層を含んでいてもよい。任意の層としては、例えば、直線偏光子と位相差フィルムとを貼り合わせるための接着層又は粘着層;直線偏光子を保護するための偏光子保護フィルム層;などが挙げられる。
[0250]
 偏光板は、例えば、位相差フィルムと直線偏光子とを貼り合わせることを含む製造方法によって、製造できる。貼り合せには、必要に応じて、接着剤及び粘着剤を用いてもよい。また、特に基材上に形成された位相差フィルムと直線偏光子とを貼り合わせた場合には、必要に応じて基材を剥離してもよい。これにより、基材から直線偏光子上に位相差フィルムが転写されて、基材を含まない偏光板が得られる。さらに、偏光板の製造方法は、任意の層を形成する工程等の、任意の工程を含んでいてもよい。
実施例
[0251]
 以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
[0252]
 以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
[0253]
[評価方法]
 以下、各実施例及び比較例で行った評価方法を説明する。以下に説明する評価は、別に断らない限り、耐光性試験及び耐熱性試験を実施する前に行った。
[0254]
(紫外線吸収剤の透過吸収スペクトルの測定方法)
 紫外線吸収剤を、1,3-ジオキソランに溶かして、濃度10ppmの試料溶液を調整した。この試料溶液を用いて、紫外線吸収剤の透過吸収スペクトルを測定した。測定は、分光光度計(日本分光社製「V-500」)を用いて、測定波長200nm~800nmの範囲で実施した。
 透過吸収スペクトルから、波長340nm~420nmの範囲における極大ピークの波長を、極大吸収波長として求めた。波長340nm~420nmの範囲に複数の極大ピークがある場合には、波長340nm~420nmで最も吸収が大きい極大ピークの波長を、極大波長として求めた。
 また、透過吸収スペクトルから、波長365nm及び400nmにおける吸光度A (365)及びA (400)を求め、その比A (400)/A (365)を計算した。
[0255]
(位相差フィルムの面内レターデーションの測定方法)
 位相差フィルムを基材フィルムから剥がし、位相差フィルム単体で、位相差計(Axometorics社製「AxoScan」)を用いて面内レターデーションを測定した。
[0256]
(位相差フィルムの透過吸収スペクトルの測定方法)
 位相差フィルムの透過吸収スペクトルを測定した。測定は、分光光度計(日本分光社製「V-500」)を用いて、入射角0°で、測定波長200nm~800nmの範囲で実施した。
 透過吸収スペクトルから、波長380nm、400nm及び420nmにおける吸光度A (380)、A (400)及びA (420)を求めた。
[0257]
(位相差フィルムの耐光性の評価方法)
 波長390nm以下の光をカットできる紫外線カットフィルムを用意した。この紫外線カットフィルムは、紫外線吸収剤を含む熱可塑性ノルボルネン樹脂のフィルムであった。また、この紫外線カットフィルムの波長380nm、390nm、400nm及び420nmにおける透過率は、それぞれ、0.013%、0.028%、3.2%及び38.94%であった。
[0258]
 直線偏光子に、粘着材(日東電工社製「LUCIAS CS9861US」)を貼合した。この粘着材と、前記の紫外線カットフィルムの一方の面とを、貼合した。さらに、紫外線カットフィルムのもう一方の面に、粘着材を貼合した。
[0259]
 実施例又は比較例で製造した複層フィルムの位相差フィルムの面に、コロナ処理装置を用いて、コロナ処理を施した。この位相差フィルムのコロナ処理面に、紫外線カットフィルムと貼合した粘着材を貼合した。この貼合は、位相差フィルムの遅相軸と、直線偏光子の透過軸とが45°の角度をなすように行った。その後、基材フィルムを剥離して、直線偏光子/粘着材/紫外線カットフィルム/粘着材/位相差フィルムの層構成を有する円偏光板を得た。
[0260]
 さらに、この円偏光板の位相差フィルム側の面と、平板状のガラス板とを、粘着材を用いて貼合して、直線偏光子/粘着材/紫外線カットフィルム/粘着材/位相差フィルム/粘着材/ガラス板の層構成を有する試料片を得た。
[0261]
 試料片のガラス板側にアルミ板を配置し、色差計(コニカミノルタ社製「分光測色計CM-2500d」)を用いて、耐光性試験前の試料片の反射色相a* 、b* を測定した。この測定では、光源としてキセノンランプを用いて試料片を照らしながら、反射色相を測定した。
[0262]
 その後、前記の試料片の耐光性試験を実施した。この耐光性試験では、カーボンアーク試験機(スガ試験機社製「紫外線フェードメーター U48」)を用い、試験片の直線偏光子側の面を300時間、紫外線に暴露した。この耐光性試験は、アルミ板を取り除いた状態で行った。
[0263]
 その後、色差計を用いて、耐光性試験前の反射色相a* 、b* の測定と同じ方法により、耐光性試験後の試料片の反射色相a*’、b*’を測定した。
 そして、下記の式(F1)により、耐光性試験による色相の変化量Δa*b*を算出した。この変化量Δa*b*が小さいほど、位相差フィルムの耐光性が優れることを表す。
 Δa*b* = {(a*’-a* +(b*’-b* 1/2   (F1)
[0264]
(位相差フィルムの耐熱性の評価方法)
 実施例又は比較例で製造した複層フィルムの位相差フィルムと、スライドガラスとを、粘着材(日東電工社製「LUCIAS CS9861US」)を介して貼合した。その後、基材フィルムを剥離した。基材フィルムの剥離により現れた位相差フィルムの面と、別のスライドガラスとを、粘着材を介して貼り合わせた。これにより、スライドガラス/粘着材/位相差フィルム/粘着材/スライドガラスの層構成を有する試料片を得た。この試験片の耐熱性試験前の面内レターデーションRe0を、位相差計(Axometorics社製「AxoScan」)を用いて測定した。
[0265]
 その後、前記の試験片の耐熱性試験を実施した。この耐熱性試験では、試験片を85℃の恒温恒湿槽に投入し、100時間後に取り出した。
[0266]
 その後、耐熱性試験前のレターデーションRe0の測定と同じ方法により、耐熱性試験後の試験片の面内レターデーションRe100を測定した。
 そして、下記の式(F2)により、耐熱性試験による面内レターデーションの変化率ΔRe(%)を算出した。
  ΔRe(%)= {(Re100-Re0)/Re0}×100   (F2)
[0267]
(位相差フィルムの透過色相の測定方法)
 位相差フィルムの透過吸収スペクトルを測定した。測定は、分光光度計(日本分光社製「V-500」)を用いて、入射角0°で、測定波長200nm~800nmの範囲で実施した。測定された透過吸収スペクトルから、透過の色相a*及びb*を算出した。
[0268]
[実施例1]
(1-1.液晶組成物の調製)
 下記式(X1)に示す重合性液晶化合物19.42部、架橋剤(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート;式(C1)で表される化合物;新中村化学社製「NKエステルA-DCP」)1.94部、界面活性剤(DIC社製「メガファックF-562」)0.06部、光重合開始剤(BASF社製「Irgacure OXE03」)0.85部、下記式(X2)に示す紫外線吸収剤(山田化学工業社製「FDB-009」)0.19部、酸化防止剤(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール;BHT)0.02部、及び、1,3-ジオキソランとシクロペンタノンの混合溶媒(1,3-ジオキソラン:シクロペンタノン=60:40(重量比))77.50部を混合して、液晶組成物を得た。式(X1)に示す重合性液晶化合物は、逆分散液晶化合物である。
[0269]
[化31]


[0270]
[化32]


[0271]
(1-2.基材の用意)
 脂環式構造含有重合体を含むペレット状の熱可塑性ノルボルネン樹脂(日本ゼオン社製、ガラス転移温度Tg=126℃)を、90℃で5時間乾燥させた。乾燥させた樹脂を押し出し機に供給し、押し出し機内で溶融させた。溶融した樹脂を、ポリマーパイプ及びポリマーフィルターを通した後、Tダイからキャスティングドラム上に、シート状に押し出した。この押し出された樹脂を冷却して、長尺の延伸前フィルムを得た。この延伸前フィルムを、マスキングフィルム(トレデガー社製「FF1025」)で保護しながら巻取り、厚み80μm、幅1490mmの延伸前フィルムのロールを得た。
[0272]
 前記のロールから延伸前フィルムを繰り出し、長手方向に搬送しながら、以下の処理を行った。
 繰り出された延伸前フィルムから連続的にマスキングフィルムを剥離して、テンター延伸機に供給した。このテンター延伸機を用いて、延伸前フィルムを斜め方向に延伸して、幅手方向に対して45°(長手方向に対して45°)の角度をなす遅相軸を有する長尺の基材フィルムを得た。その後、基材フィルムの幅手方向の両端をトリミングし、幅を1350mmに調整した。得られた基材フィルムの測定波長590nmにおける面内レターデーションは143nm、厚みは77μmであった。得られた基材フィルムは、新たなマスキングフィルム(トレデガー社製「FF1025」)で保護しながら巻取り、基材フィルムのロールを得た。
[0273]
(1-3.位相差フィルムの製造)
 前記のロールから基材フィルムを繰り出し、長手方向に搬送しながら、以下の処理を行った。
 繰り出された基材フィルムから連続的にマスキングフィルムを剥離した。基材フィルムのマスキングフィルムが貼合されていた面に、前記の液晶組成物を、ダイコーターを用いて直接に塗布し、液晶組成物の層を形成した。ここで液晶組成物の基材フィルムの面への塗布が「直接」とは、基材フィルムの面と液晶組成物との間に他の層が無いことをいう。その後、基材フィルム上の液晶組成物の層を、110℃で4分加熱した。この加熱により、液晶組成物の層の含まれる重合性液晶化合物を配向させる配向処理が行われた。また、この加熱により、液晶組成物の層に含まれる溶媒を除去する乾燥処理が行われた。その後、窒素雰囲気下で、基材フィルムを温度40℃の支持ロールで支持した状態で、液晶組成物の層に対して、積算照度800mJ/cm (照射強度400mW/cm )以上の紫外線を照射した。紫外線の光源としては、アイグラフィック社製「水銀ランプ」を用いた。この紫外線の照射により、重合性液晶化合物の重合が進行して、液晶組成物の層が硬化した。その後、硬化した液晶組成物の層と基材フィルムとを、一緒に、110℃×8分で加熱して、基材フィルム及び位相差フィルム(厚み80μm)を備える長尺の複層フィルムを得た。
 この複層フィルムに含まれる位相差フィルムについて、上述した方法により評価を行った。
[0274]
[実施例2]
 前記工程(1-1)において、紫外線吸収剤の量を、0.19部から0.11部に変更した。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、位相差フィルムの製造及び評価を行った。
[0275]
[実施例3]
 前記工程(1-1)において、紫外線吸収剤の種類を、下記式(X3)に示す紫外線吸収剤(オリエント化学工業社製「BONASORB UA3911」)に変更した。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、位相差フィルムの製造及び評価を行った。
[0276]
[化33]


[0277]
[実施例4]
 前記工程(1-1)において、紫外線吸収剤の種類を、紫外線吸収剤(オリエント化学工業社製「BONASORB UA3912」)に変更した。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、位相差フィルムの製造及び評価を行った。
[0278]
[比較例1]
 前記工程(1-1)において、紫外線吸収剤を使用しなかった。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、位相差フィルムの製造及び評価を行った。
[0279]
[比較例2]
 前記工程(1-1)において、紫外線吸収剤の種類を、下記式(X4)に示す紫外線吸収剤(ADEKA社製「LA-F70」)に変更した。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、位相差フィルムの製造及び評価を行った。
[0280]
[化34]


[0281]
[比較例3]
 前記工程(1-1)において、紫外線吸収剤の量を、0.19部から0.92部に変更した。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、位相差フィルムの製造及び評価を行った。
[0282]
[比較例4]
 前記工程(1-1)において、式(X2)に示す紫外線吸収剤(山田化学工業社製「FDB-009」)0.19部を、式(X3)に示す紫外線吸収剤(オリエント化学工業社製「BONASORB UA3911」)0.92部に変更した。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、位相差フィルムの製造及び評価を行った。
[0283]
[比較例5]
 前記工程(1-1)において、式(X2)に示す紫外線吸収剤(山田化学工業社製「FDB-009」)0.19部を、紫外線吸収剤(オリエント化学工業社製「BONASORB UA3912」)0.92部に変更した。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、位相差フィルムの製造及び評価を行った。
[0284]
[結果]
 上述した実施例及び比較例の結果を、下記の表1及び表2に示す。下記の表において、略称の意味は、以下のとおりである。
 UVA:紫外線吸収剤。
 UVA量:重合性液晶化合物100重量%に対する紫外線吸収剤の量。
[0285]
[表1]


[0286]
[表2]


請求の範囲

[請求項1]
 重合性液晶化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された位相差フィルムであって、
 前記位相差フィルムの波長380nmにおける吸光度A (380)、前記位相差フィルムの波長400nmにおける吸光度A (400)、及び、前記位相差フィルムの波長420nmにおける吸光度A (420)が、下記式(1)~(3)を満たす、位相差フィルム。
  A (380) < 2   (1)
  0.5 ≦ A (400)   (2)
  A (420)/A (400) ≦ 0.4   (3)
[請求項2]
 前記液晶組成物が、紫外線吸収剤を含む、請求項1に記載の位相差フィルム。
[請求項3]
 前記紫外線吸収剤の波長365nmにおける吸光度A (365)、及び、前記紫外線吸収剤の波長400nmにおける吸光度A (400)が、下記式(4)を満たす、請求項2に記載の位相差フィルム。
  A (400)/A (365) ≧ 1.6   (4)
[請求項4]
 前記紫外線吸収剤が、380nm~420nmの波長範囲に極大吸収波長を有する、請求項2又は3に記載の位相差フィルム。
[請求項5]
 前記紫外線吸収剤が、ピリミジン骨格を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
[請求項6]
 波長450nmにおける前記位相差フィルムの面内レターデーションRe(450)、及び、測定波長550nmにおける前記位相差フィルムの面内レターデーションRe(550)が、下記式(5)を満たす、請求項1~5のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
  Re(450)/Re(550) < 1   (5)
[請求項7]
 波長590nmにおける前記位相差フィルムの面内レターデーションRe(590)が、下記式(6)を満たす、請求項1~6のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
  100nm< Re(590) <200nm   (6)
[請求項8]
 請求項1~7のいずれか一項に記載の位相差フィルムの製造方法であって、
 重合性液晶化合物を含む液晶組成物の層を形成する工程と、
 前記液晶組成物の層を硬化させる工程と、を含む、位相差フィルムの製造方法。
[請求項9]
 請求項1~7のいずれか一項に記載の位相差フィルムと、直線偏光子とを備える、偏光板。