Processing

Please wait...

Settings

Settings

Goto Application

1. WO2020137091 - IN-VEHICLE CONTROL SYSTEM

Document

明 細 書

発明の名称 車載制御システム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013  

課題を解決するための手段

0014   0015  

発明の効果

0016   0017  

図面の簡単な説明

0018  

発明を実施するための形態

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137  

符号の説明

0138  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 車載制御システム

技術分野

[0001]
 本発明は、車載制御システムに関し、例えば、自動車に搭載されたセンサ(車載センサ)から受信したデータに基づいて車両の制御を実行する車載制御システムに関する。

背景技術

[0002]
 自動車の自動運転化が進んでいる。自動運転化が進み、運転者を必要としなくなると、自動車に故障があった場合でも、人が運転に介在することなく、車載制御システムのみで安全に動作させることが要求される。故障があった場合でも安全に動作させるために、電源を含めた車載制御システムの2重化が検討されている。特許文献1には、ステアリングシステムにおいて、センサから制御回路に送られるデータに異常があった場合に、電源の供給経路およびセンサからのデータ経路を切り替える技術が示されている。
[0003]
 また、自動運転化が進むと、車載センサが増加する。例えば、車両の周囲の状況を認識するために外界認識センサが増加する。外界認識センサとしては、例えばカメラ、レーダーあるいはLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)などのセンサがある。車載センサの増加に伴い、車載センサへ電源を給電する電源配線および車載センサのデータを伝達する信号配線が増加するため、配線スペースと配線重量が課題となる。この課題を解決するために、車載センサへの電力の供給とデータの伝達を一本の同軸ケーブルで送信可能なPoC(Power over Coaxial)技術の採用が進んでいる。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2009-120076号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 自動車の故障時には、自動運転の機能が一部制限されても構わないが、安全を確保する動作、すなわちFallback(縮退)動作が要求される。Fallback動作も様々な動作が考えられる。例えば、少なくとも、暴走することなく停車することは、車載制御システムに対して最低限求められる安全動作として考えられる。さらに、停車する場合にも、同一車線で停止するのではなく、路肩に自動車を寄せて停止する方が安全である。この場合、車載制御システムは、周辺の状況を把握する必要がある。
[0006]
 さらに、車道の幅が狭く、路肩に停車するスペースが無い場合や、見通しが悪い場合などには、路肩に停車スペースの余裕がある場所や、見通しが良い場所まで自動車を走行させる。また、高速道路を走行している場合であれば、サービスエリアまで、自動車を走行させるなどといった動作の方がより安全である。さらには、完全自動運転を実現したロボットタクシーなどでは、故障しても自動車工場まで、自走できることが最も望ましい。しかし、故障時の自動運転動作の高度化を求めるほど、車載制御システムの冗長化箇所が増加し、コストが増加することになる。例えば、安全に停車させるだけであれば、ブレーキシステム、ステアリングシステム、前方と後方の外界認識センサの一部を冗長化すればよいが、路肩に止める場合は左右の外界認識センサの冗長化も必要になる。
[0007]
 さらにより安全な路肩や避難場所に停車させるためには、走行距離が延びることになる。この場合には、冗長化が必要な外界認識センサの数がさらに増加することになる。また、外界認識センサのデータをもとに周辺の状況を判断し、自動車の軌道を決定し、車両の動作を制御する車載制御システムにより高い演算能力が要求される。このように冗長化する箇所を増やすほど、故障時にも、安全かつ快適な動作を実現することができるが、一方でコストが増加することになる。今後自動運転化が進むにつれて、Fallback動作の高度化が求められる一方で、コストの低減が課題になることが予想される。特に外界認識センサは、自動運転化が進むのに合わせて数が増加しており、冗長化した場合の影響が大きい。
[0008]
 また、電源故障時特有の課題として、電源システムの切り替えの課題がある。例えば、電源システムを冗長化することで、通常の電源システムに異常が生じた場合でも、対象の機器に、冗長電源システムから電源を供給することができる。この場合、通常電源システムから冗長電源システムに切り替えたときに、対象の機器に対して一定時間電源の供給が途絶えることが危惧される。あるいは、切り替えの際の電源電圧の変化が、電源変動となって、対象の機器が正常動作できなくなることも危惧される。いずれの場合も、車両の制御に問題が発生する可能性がある。特に外界認識センサや車載制御システムでは、システムの複雑化に伴い、電源が途絶えたあとの起動シーケンスが複雑化し起動に時間がかかる可能性がある。走行している自動車においては、システムの機能の喪失時間の発生は、安全性の観点で問題を増加させることになる。
[0009]
 そのため、電源故障等の電源異常においては、いかに電源の供給を途絶えさせることなく、電源変動による機器の異常動作を引きおこさないように冗長電源システムへ切り替えることが、重要である。
[0010]
 例えば、特許文献1ではセンサへの電源異常があったことを、センサからの信号の異常で検知する。そのため、センサが異常状態となっている時間が発生しており、自動車の制御に影響を与えることが危惧される。
[0011]
 また、2系統の電源をダイオードORで入力し、ダイオードORの出力電源を、対象の機器に供給する技術が知られている。この技術であれば、一方の電源電圧が低下した場合でも、連続して電源を給電することができる。ただし、電源スイッチに比べてダイオードによる電力損失が大きいという問題がある。また、対象の機器が、例えばダイオードを介さずに電源にショート(天絡)すると、機器には正常の電源電圧より高い高電圧が供給され、高電圧の供給により機器に異常が発生するのを防止できないという問題がある。さらに、外界認識センサをPoCで接続する場合には、電源の供給とセンサのデータの伝達が、同じ配線で行われるため、電源の他にセンサデータの伝達経路を切り替えることも必要となる。
[0012]
 本発明の目的は、Fallback動作の高度化に伴うコストの増加を低減することが可能な車載制御システムを提供することにある。また、本発明の他の目的は、電源異常時に、通常電源から冗長電源への切り替えを高速化することが可能な車載制御システムを提供することにある。
[0013]
 本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。

課題を解決するための手段

[0014]
 本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
[0015]
 すなわち、車載制御システムは、それぞれ相互にデータの通信を行う制御部を備えた複数の制御装置と、第1センサと、第1センサと複数の制御装置とを接続する複数の配線とを備える。ここで、複数の制御装置のそれぞれは、複数の配線のうち、対応する配線を介して、第1センサに電源を供給する第1電源部と、第1センサに供給される電源に関する異常を検知する第1検知部とを備える。異常を検知した第1検知部を備える制御装置における制御部は、他の制御装置が備える制御部から第1センサのデータを取得するように制御される。

発明の効果

[0016]
 本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
[0017]
 Fallback動作の高度化に伴うコストの増加を低減することが可能な車載制御システムを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0018]
[図1] 実施の形態1に係わる車載制御システムの構成を示すブロック図である。
[図2] 実施の形態2に係わる車載制御システムの構成を示すブロック図である。
[図3] 実施の形態2に係わる車載制御システムの動作を説明するためのブロック図である。
[図4] 実施の形態3に係わる電源モニタの構成を示すブロック図である。
[図5] 実施の形態3に係わる電源遮断回路の構成を示すブロック図である。
[図6] 実施の形態4に係わる外界認識センサの構成を示すブロック図である。
[図7] 実施の形態5に係わる車載制御システムの構成を示すブロック図である。
[図8] 本発明者らが検討した比較例の構成を示すブロック図である。

発明を実施するための形態

[0019]
 以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
[0020]
 さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
[0021]
 以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は原則として省略する。
 (実施の形態1)
 <比較例>
[0022]
 実施の形態1に係わる車載制御システムの理解を容易にするために、実施の形態1を説明する前に、本発明者らが、本発明に先だって検討した完全冗長化を施した比較例を説明する。図8は、本発明者らが検討した比較例の構成を示すブロック図である。
[0023]
 図8において、100は、車載制御システムを示している。車載制御システム100を構成する各ブロックは、特に制限されないが、図示されていない自動運転が可能な自動車(自動運転車)に搭載されている。自動運転車において、一部に故障が発生しても、Fallback動作を実現するために車載制御システム100は冗長化されている。すなわち、車載制御システム100に、第1の車載制御システムと第2の車載制御システムの2つの車載制御システムを設けることにより、冗長化を行っている。第1の車載制御システムは、自動車の周辺の情報を取得する外界認識センサa5および外界認識センサb6と、外界認識センサa5および外界認識センサb6のデータを基にして、車両周辺の状況を把握し、自動車の動作を制御する制御回路3と、電源を供給するバッテリ1によって構成されている。第2の車載制御システムは、第1の車載制御システムと同様に、外界認識センサa7および外界認識センサb8と、制御回路4と、バッテリ2とによって構成されている。
[0024]
 これにより、第1の車載制御システムにおいて何等かの故障が発生しても、第2の車載制御システムによって、車両を制御することが可能となるため、Fallback動作を実現することができる。また、制御回路3と制御回路4とは、信号配線15によって接続されており、この信号配線15を用いて制御回路3と制御回路4とは通信を行い、例えば故障に係わる情報を、制御回路3と制御回路4との間で共有することができる。
[0025]
 図8において、9および10は、バッテリ1および2からの電源電圧を、制御回路3および4に供給するための電源配線を示している。また、図8において、11~14は、外界認識センサa5、外界認識センサb6、外界認識センサa7および外界認識センサb8と制御回路3および4とを接続する配線を示している。制御回路3、4は、電源電圧を配線11~14によって、外界認識センサa5、外界認識センサb6、外界認識センサa7および外界認識センサb8に供給する。外界認識センサa5、外界認識センサb6、外界認識センサa7および外界認識センサb8は、供給された電源電圧を動作電圧として動作し、取得した自動車の周辺の情報を、データとして、配線11~14を介して、制御回路3、4に供給する。すなわち、配線11~14は、センサのデータを伝達する信号配線と、電源電圧を供給する電源配線として機能する。
[0026]
 比較例では、冗長化することにより、Fallback動作を実現することが可能となっているが、冗長化により部品数および配線数が増加し、コストが増加することになる。特に、外界認識センサの数は、自動運転の高度化に伴って増える。そのため、自動運転の高度化を図ると、冗長化によるコストの増加はさらに大きくなる。
 <車載制御システムの構成>
[0027]
 図1は、実施の形態1に係わる車載制御システムの構成を示すブロック図である。同図において、100は車載制御システムを示している。図8と同様に、車載制御システム100を構成する各ブロックは、図示しない自動運転車に搭載されている。特に制限されないが、実施の形態1では、2つの外界認識センサa5および外界認識センサb6を用いて、自動運転車の周囲の状況を把握し、自動運転車を制御する車載制御システムを説明する。
[0028]
 外界認識センサa5と外界認識センサb6とは、互いに異なる外界認識センサによって構成されている。例えば、外界認識センサa5と外界認識センサb6とは、互いに異なる種類のセンサによって構成されている。あるいは、同じ種類のセンサによって、外界認識センサa5とb6とが構成されている場合には、計測する方向、角度または/および距離が、外界認識センサa5とb6との間で異なっている。一例を述べると、外界認識センサa5とb6は、センサの種類としては同じカメラによって構成されている。しかしながら、外界認識センサa5は、例えば自動運転車の前方を撮影するような位置に搭載され、外界認識センサb6は、自動運転車の後方を撮影するような位置に搭載されている。車載制御システム100が、自動運転車に対して所望の車両制御を実現するためには、外界認識センサa5およびb6のいずれか一方によって取得された情報だけでは、不足しており、両方の外界認識センサによって取得された情報が必要とされる。
[0029]
 車載制御システム100は、バッテリ1、2と、制御回路3、4と、外界認識センサa5と、外界認識センサb6とを備えている。バッテリ1は、電源配線9によって制御回路3に接続され、バッテリ2は、電源配線10によって制御回路4に接続されている。これにより、電源配線9を介して、バッテリ1から制御回路3に電源電圧が供給され、電源配線10を介して、バッテリ2から制御回路4に電源電圧が供給される。
[0030]
 制御回路3、4は、バッテリ1、2から供給された電源電圧を動作電圧として動作する。また、制御回路3、4は、バッテリ1、2から供給された電源電圧に基づいて、外界認識センサa5、b6を動作させる電源電圧を発生し、外界認識センサa5、b6に供給する。
[0031]
 制御回路3は、配線11によって外界認識センサa5に接続され、配線12によって外界認識センサb6に接続されている。また、制御回路4は、配線14によって外界認識センサb6に接続され、配線13によって外界認識センサa5に接続されている。さらに、制御回路3と4は、信号配線15によって接続されている。
[0032]
 実施の形態1においては、電源異常等の故障が発生していないとき、すなわち通常動作(正常動作)時、外界認識センサと制御回路とは一対一に対応しているが、故障が発生して、Fallback動作が行われているとき、すなわち冗長動作時には、対応関係が自動的に変更される。
[0033]
 すなわち、通常動作時には、外界認識センサa5と制御回路3とが対応し、配線11を用いて、制御回路3から外界認識センサa5に給電が行われ、配線11を用いて、制御回路3と外界認識センサa5との間で通信が行われる。また、通常動作時には、外界認識センサb6と制御回路4とが対応し、配線14を用いて、制御回路4から外界認識センサb6に給電が行われ、配線14を用いて、制御回路4と外界認識センサb6との間で通信が行われる。
[0034]
 これに対して、冗長動作時には、制御回路3および制御回路4のいずれかが、外界認識センサa5およびb6の両方に対応する。冗長動作時において、例えば制御回路3が、両方の外界認識センサに対応する場合、制御回路3は、通常動作時と同様に、配線11を用いて、外界認識センサa5に対して給電を行うとともに、外界認識センサa5との間で通信を行う。また、制御回路3は、配線12を用いて、外界認識センサb6に対して給電を行い、配線12を用いて、外界認識センサb6との間で通信を行う。同様に、冗長動作時において、制御回路4が、両方の外界認識センサに対応する場合、制御回路4は、通常動作時と同様に、配線14を用いて、外界認識センサb6に対して給電を行うとともに、外界認識センサb6との間で通信を行う。また、制御回路4は、配線13を用いて、外界認識センサa5に対して給電を行い、配線13を用いて、外界認識センサa5との間で通信を行う。
[0035]
 このように、配線12および13は、冗長動作時に用いられるため、以下、冗長配線12および13と称する。一方、配線11および14は、冗長動作時だけでなく、通常動作時にも用いられるため、以下、通常配線と称する。
 <<通常動作時の車載制御システムの動作>>
[0036]
 外界認識センサa5は、通常配線11を介して、制御回路3から供給されている電源電圧を動作電圧として動作する。外界認識センサa5は、車両の周辺の状況(外界の状況)に応じた情報、例えば車両の前方を撮影した情報を、センサのデータとして、通常配線11に出力する。このデータは、通常配線11を伝播して、制御回路3に供給される。また、外界認識センサb6は、通常配線14を介して、制御回路4から供給されている電源電圧を動作電圧として動作する。外界認識センサb6は、車両の周辺の状況に応じた情報、例えば車両の後方を撮影した情報を、センサのデータとして、通常配線14に出力する。このデータは、通常配線14を伝播して、制御回路4に供給される。
[0037]
 制御回路3と制御回路4とは、信号配線15によって接続されており、信号配線15を介して、制御回路3と制御回路4とが通信を行う。すなわち、制御回路3は、対応する外界認識センサa5から取得したセンサのデータを、信号配線15を介して、制御回路4に送信する。また、制御回路4は、対応する外界認識センサb6から取得したセンサのデータを、信号配線15を介して、制御回路3に送信する。これにより、制御回路3および4のそれぞれが、外界認識センサa5およびb6からのデータを取得することになる。制御回路3および4のそれぞれは、取得した外界認識センサa5およびb6からのデータに対して所定の制御演算等の処理を行い、外界認識センサa5およびb6からのデータに基づいて、車両の周囲の状況、例えば車両の前方および後方を認識する。認識した車両の周囲の状況に従って、制御回路3および4は、車両を制御する。
[0038]
 また、制御回路3において実行された所定の制御演算の結果は、信号配線15を介して、制御回路4に送信される。同様に、制御回路4において実行された所定の制御演算の結果は、信号配線15を介して、制御回路3に送信される。制御回路3においては、自らが実行した所定の制御演算の結果と、信号配線15を介して受信した制御回路4における制御演算結果とを比較する。同様に、制御回路4においては、自らが実行した所定の制御演算の結果と、信号配線15を介して受信した制御回路3における制御演算結果とを比較する。このように比較することにより、制御回路3および4の両方において、異常を検知することが可能となる。なお、比較により検知された異常は、特に制限されないが、制御回路3および4に対して上位のシステムに、制御回路3および4から通知される。
 <<冗長動作時の車載制御システムの動作>>
[0039]
 次に故障等が生じたときの車載制御システム100の動作を説明する。ここでは、通常配線11に断線あるいは他の配線との間でショートが発生し、通常配線11に電源異常が発生した場合を例として説明する。
[0040]
 外界認識センサa5は、冗長配線13を介して制御回路4から給電されている電源電圧を動作電圧として動作する。この場合、外界認識センサa5によって取得された車両の周辺の情報は、センサのデータとして、冗長配線13に出力される。このとき、外界認識センサb6は、通常動作のときと同様に、通常配線14を介して供給されている電源電圧を動作電圧として動作する。動作することにより、外界認識センサb6が取得した車両の周辺の情報は、センサのデータとして、通常配線14に出力される。
[0041]
 制御回路4は、冗長配線13を介して、外界認識センサa5からのセンサのデータを受信し、通常配線14を介して、外界認識センサb6からのセンサのデータを受信する。制御回路4は、受信した外界認識センサa5からのデータと外界認識センサb6からのデータとを、信号配線15を介して、制御回路3へ送信する。これにより、制御回路3および4のそれぞれが、通常動作時のときと同様に、外界認識センサb6からのデータと外界認識センサa5からのデータの両方を取得する。
[0042]
 制御回路3および4のそれぞれは、取得した両方の外界認識センサからのデータに対して、通常動作のときと同様に、所定の制御演算を行い、車両の周囲の状況を認識し、車両の制御を行う。また、制御回路3において実行された所定の制御演算の結果は、信号配線15を介して、制御回路4に送信され、制御回路4において実行された所定の制御演算の結果は、信号配線15を介して、制御回路3に送信される。通常動作のときと同様に、制御回路3および4のそれぞれが、所定の制御演算の結果の比較を行い、異常の検知を行う。これにより、制御回路3または4において異常が発生している場合にも、異常を検知することが可能である。冗長動作時においても、比較により検知された異常は、制御回路3および4が、上位システムに通知する。
[0043]
 これにより、通常配線11に異常があった場合でも、制御回路3および制御回路4ともに外界認識センサa5、外界認識センサb6の両方のデータを基に、車両の制御を行うことができ、通常動作時と同等の制御が可能となる。
[0044]
 通常配線11に電源異常が発生した場合を例にして説明したが、通常配線14に電源異常が発生した場合も、車載制御システム100は、通常動作時と同等の制御を行うことが可能である。すなわち、通常配線14に電源異常があった場合、外界認識センサb6には冗長配線12を通じて制御回路3から電源が給電されるとともに、外界認識センサb6のデータは、冗長配線12を通じて制御回路3に送信される。制御回路3は外界認識センサa5および外界認識センサb6のデータを、信号配線15を通じて制御回路4に送信する。これにより、通常配線14に電源異常があった場合でも、制御回路3および4のそれぞれが、外界認識センサa5およびb6の両方のデータを基にして、車両の制御を行うことができ、通常動作時と同等の制御が可能となる。
[0045]
 実施の形態1によれば、完全冗長化を施した比較例(図8)に比べて、外界認識センサの数を半分に低減することが可能である。その結果、コストの低減を図りながら、Fallback動作を実現することが可能な車載制御システムを提供することができる。
 (実施の形態2)
[0046]
 図2は、実施の形態2に係わる車載制御システムの構成を示すブロック図である。実施の形態2では、実施の形態1で述べた車載制御システム100のより具体的な構成の一例が提示される。
[0047]
 図2には、図1に示した制御回路3、制御回路4および外界認識センサa5、b6の具体的な構成の一例が示されている。外界認識センサa5、b6と制御回路3、4とを接続する通常配線11、14および冗長配線12、13のそれぞれは、一本の同軸ケーブルで信号と電源電圧を供給するPoCで構成されている。すなわち、電源電圧が一本の同軸ケーブルで給電されるとともに、給電される電源電圧に、データ通信のデータが重畳されている。
[0048]
 バッテリ1は、電源配線9によって、制御回路3に接続され、電源配線9を介して、バッテリ1から制御回路3に電源電圧が供給される。同様に、バッテリ2は、電源配線10を介して、制御回路4に電源電圧を供給する。
[0049]
 図1と同様に、外界認識センサa5は、通常配線11を介して対応する制御回路3に接続され、冗長配線13を介して制御回路4に接続されている。また、外界認識センサb6は、通常配線14を介して対応する制御回路4に接続され、冗長配線12を介して制御回路3に接続されている。前記したように、通常配線11、14および冗長配線12、13のそれぞれは、一本の同軸ケーブルによって構成されている。
[0050]
 特に制限されないが、実施の形態2においては、制御回路3と制御回路4は互いに同じ構成を備えており、外界認識センサa5と外界認識センサb6は互いに同じ構成を備えている。そのため、制御回路3および外界認識センサa5を、制御回路および外界認識センサの代表例として説明する。
 <制御回路>
[0051]
 制御回路3は、電源(第1電源部)21と、プロセッサ(以下、MPUと称する)22と、通信用半導体装置(以下、通信ICまたは通信部と称する)23と、電源遮断回路24と、インダクタ27、28と、キャパシタ25、26とを備えている。
[0052]
 電源21は、電源配線9を介してバッテリ1に接続されている。電源21は、バッテリ1から供給された電源電圧から、MPU22、通信IC23、電源遮断回路24等を動作させるための動作電圧を生成し、電源配線29、30、31等を介して、MPU22、通信IC23、電源遮断回路24等に給電する。MPU22は、信号配線34、35、15を介して供給されるセンサのデータに対して、所定の制御演算を実行する。MPU22によって実行された所定の制御演算により、車両の周辺の状況が認識され、車両が制御される。
[0053]
 通信IC23は、キャパシタ25を介して通常配線11に接続された入力ノードと、キャパシタ26を介して冗長配線12に接続された入力ノードとを備えている。キャパシタ25、26によって、通信IC23の入力ノードは、通常配線11および冗長配線12から直流的には分離されており、通常配線11および冗長配線12において時間の経過とともに変化するセンサのデータが、通信IC23の入力ノードに供給される。通信IC23は、入力ノードに供給されたセンサのデータを、信号配線34、35を介してMPU22に供給する。
[0054]
 電源遮断回路24は、信号配線37を介して通信IC23に接続され、信号配線36を介してMPU22に接続されている。また、電源遮断回路24は、電源配線32を介してインダクタ27の一方の端部に接続され、電源配線33を介してインダクタ28の一方の端部に接続されている。インダクタ27の他方の端部は、冗長配線12に接続され、インダクタ28の他方の端部は、通常配線11に接続されている。電源遮断回路24は、電源配線31を介して電源21から供給されている電圧に基づいて、外界認識センサを動作させる電源電圧を生成し、電源配線32および33に供給する。また、電源遮断回路24は、電源配線32および33における電圧及び電流を監視(モニタ)し、電圧値または電流値が、所定の検知範囲外になると、異常が発生としたと判定する。電源遮断回路24は、異常と判定した電源配線に対して、電源電圧の供給を遮断する。また、電源遮断回路24は、異常を検知したことを、信号配線36、37を介して、制御信号により、通信IC23およびMPU22に通知する。
[0055]
 電源配線32、33は、インダクタ27、28を介して通常配線11、冗長配線12に接続されている。そのため、電源遮断回路24によって、異常が検知された電源配線への電源電圧の供給が遮断されることにより、インダクタを介して、異常が検知された電源配線に接続されている通常配線11または冗長配線12に対する電源電圧の供給が遮断されることになる。その結果、電源電圧の供給が遮断された通常配線11または冗長配線12に接続されている外界認識センサと電源21との間は電気的に分離されることになる。電源遮断回路24については、後で図5を用いて具体的な例を説明するので、これ以上の説明は省略する。
[0056]
 前記したように、通常配線11および冗長配線12と、電源配線33および32との間にインダクタ28、27が接続されている。このインダクタ28および27は、通常配線11、冗長配線12と電源配線33、32との間を、交流的に分離するように動作する。これにより、外界認識センサから、時間の経過に伴って変化するセンサのデータが、通常配線11、冗長配線12に送信された時、センサのデータが、電源21側に漏れるのを低減している。
[0057]
 すなわち、実施の形態2に係わる制御回路3は、PoC通信のために、電源配線32と冗長配線12とを交流的に分離するインダクタ27と、電源配線33と通常配線11とを交流的に分離するインダクタ28と、通信IC23の入力ノードと通常配線11とを直流的に分離するキャパシタ25と、IC23の入力ノードと冗長配線12とを直流的に分離するキャパシタ26とを備えている。これにより、電源電圧(電力)は直流成分として、センサのデータは交流成分として、分離され、同一配線で電力とデータを同時に送ることが可能となっている。
[0058]
 前記したように、制御回路4は、制御回路3と同じ構成であるため、対応関係のみを述べておく。制御回路4において、電源38が電源21に対応し、MPU39がMPU22に対応し、通信IC40が通信IC24に対応し、電源遮断回路41が電源遮断回路24に対応する。また、制御回路4において、インダクタ44がインダクタ28に対応し、インダクタ45がインダクタ27に対応し、キャパシタ43がキャパシタ25に対応し、キャパシタ42がキャパシタ26に対応する。
[0059]
 制御回路3内のMPU22と制御回路4内のMPU39との間は、信号配線15によって接続されており、信号配線15を介して、MPU22とMPU39との間で、例えばセンサのデータが送受信される。
[0060]
 なお、実施の形態2において、MPU22および39は、制御部と見なすことができる。このように見なした場合、制御回路3および4は、第1制御装置および第2制御装置と見なすことができる。また、電源遮断回路24、41は、異常を検知するため、第1検知部と見なすことができる。さらに、外界認識センサa5は、例えば第1センサと見なし、外界認識センサb6は、第2センサと見なすことができる。
 <外界認識センサ>
[0061]
 外界認識センサa5は、車両の周辺の状況、言い換えるならば外界情報を電気信号に変換するセンサ(センサ部)55と、通信IC56と、電源(第2電源部)57と、電源モニタ58と、スイッチ63、64と、キャパシタ59、60と、インダクタ61、62とを備えている。
[0062]
 後で説明するが、電源配線67は、スイッチ64または63と、インダクタ62または61を介して、通常配線11または冗長配線13に接続され、電源配線67には、通常配線11または冗長配線13における電源電圧が供給される。電源57は、電源配線67における電源電圧に基づいて、センサ55および通信IC56等を動作させる電源電圧を生成し、電源配線69および68等を介して、センサ55および通信IC56に供給する。
[0063]
 センサ55は、電源配線69における電源電圧を動作電圧として動作し、外界情報に応じたデータを、信号配線71を介して、通信IC56へ供給する。通信IC56は、センサ55から供給されたデータを、キャパシタ59または60を介して、通常配線11または冗長配線13に送信する。
[0064]
 インダクタ62は、通常配線11と電源配線(接続ノード)66との間に接続され、インダクタ61は、冗長配線13と電源配線(接続ノード)65との間に接続されている。キャパシタ59、60およびインダクタ61、62は、制御回路3で説明したキャパシタ25、26およびインダクタ27、28と同様に、交流成分のセンサのデータと、直流成分の電力とを分離するために、外界認識センサa5に設けられている。
[0065]
 電源モニタ58は、通常配線11および冗長配線13を介して、制御回路3および4から供給されている電源電圧を監視し、スイッチ64および63を制御するとともに、制御信号を、信号配線70を介して通信IC56に供給する。スイッチ64は、接続ノード66と電圧配線67との間に接続され、スイッチ63は、接続ノード65と電圧配線67との間に接続されている。スイッチ64は、信号配線72を介して電源モニタ58から供給される制御信号によって、導通または非導通に切り替えられる。同様に、スイッチ63は、信号配線73を介して電源モニタ58から供給される制御信号によって、非導通または導通に切り替えられる。なお、スイッチ63とスイッチ64とによってスイッチ部が構成されていると見なすことができる。
[0066]
 電源モニタ58は、接続ノード66に接続された入力ノードと、接続ノード65に接続された入力ノードとを備え、接続ノード65および66の電圧を監視し、監視した結果に従った制御信号を、スイッチ63、64および通信IC56に出力する。
[0067]
 前記したように、外界認識センサb6は、外界認識センサa5と同じ構成であるため、対応関係のみを述べておく。外界認識センサb6において、センサ74はセンサ55に対応し、電源76は電源57に対応し、通信IC75は通信IC56に対応し、電源モニタ77は電源モニタ58に対応し、スイッチ82、83はスイッチ63、64に対応する。また、外界認識センサb6において、インダクタ80、81はインダクタ62、61に対応し、キャパシタ78、79はキャパシタ60、59に対応する。
[0068]
 図2において、スイッチ63、64および82、83の導通/非導通状態は、故障等が発生していない通常動作のときの状態が示されている。すなわち、通常動作時に、電源モニタ58、77は、スイッチ63、64および82、83のうち、インダクタを介して通常配線11、14に接続されているスイッチ(通常電源スイッチ)64、82が導通状態となり、インダクタを介して冗長配線13、12に接続されているスイッチ(冗長電源スイッチ)63、83が非導通状態となるように、制御信号によりスイッチ63、64および82、83を制御する。
[0069]
 通常動作時には、通常配線11、14に断線あるいはショート等の電源異常が発生していないため、通常電源スイッチ64、82と冗長電源スイッチ63、83の両方を導通状態にしておき、通常配線および冗長配線の両方を用いて、制御回路から外界認識センサ内の電源に電源電圧を供給することも考えられる。しかしながら、通常配線および冗長配線を介して、制御回路3と制御回路4から供給される電源電圧が、それぞれの制御回路を構成する部品のバラツキ等により必ずしも同一ではないことが考えられる。もし、部品のバラツキ等によって制御回路3と制御回路4から供給される電源電圧が異なる場合、通常電源スイッチと冗長電源スイッチの両方を導通状態にしていると、制御回路3と4の電源21と38との間で電流が流れる可能性がある。
[0070]
 また、例えば電源21または38に異常があった場合、異常の影響が、導通状態の通常電源スイッチと冗長電源スイッチとを介して、異常の発生していない電源に及ぶ可能性がある。これらを防止するために、実施の形態2においては、通常動作時に、通常電源スイッチが導通状態となり、冗長電源スイッチが非導通状態となるように、通常電源スイッチおよび冗長電源スイッチは制御されている。
[0071]
 後で図4を用いて、電源モニタ58の具体的な構成例を示すが、電源モニタ58は、接続ノード66および65の電圧を監視し、接続ノードの電圧が、所定の正常電圧範囲内にあるか否かを判定する。接続ノード66または65の電圧が、正常電圧範囲から外れていると、電源モニタ58は、正常電圧範囲から外れていると判定した接続ノードに接続されているスイッチを、制御信号によって非導通状態にし、正常電圧範囲内にあると判定した接続ノードに接続されているスイッチを、制御信号によって導通状態にする。すなわち、実施の形態2においては、電源モニタ58、77が、通常配線における電圧と冗長配線における電圧が、正常電圧範囲内か否かを検知することによって、通常配線および冗長配線を介して供給される電源に係わる異常を検知している。この電源モニタ58、77は、電源に係わる異常を検知する第2検知部と見なすことができる。
 <通常配線における異常発生時の動作>
[0072]
 図3は、実施の形態2に係わる車載制御システムの動作を説明するためのブロック図である。図3は、図2に類似しており、相異点は、通常電源スイッチ64が非導通状態となっており、冗長電源スイッチ63が導通状態となっていることである。すなわち、通常配線11における電源電圧が、異常な電圧となり、接続ノード66の電圧が正常電圧範囲外となったときの状態が、図3に示されている。なお、通常配線14および冗長配線13における電圧は異常となっていないため、通常電源スイッチ82および冗長電源スイッチ83は、図2に示した通常動作時と同じ状態となっている。
[0073]
 この場合、電源モニタ58が、接続ノード66の電源電圧が正常電圧範囲外であると検知すると、電源モニタ58は、通常電源スイッチ64を非導通状態とし、冗長電源スイッチ63を導通状態となるように、スイッチ64、63を制御する。また、電源モニタ58は、信号配線70を介して、通常配線11に異常が発生したことを、制御信号によって、通信IC56に通知する。
[0074]
 通信IC56は、通常配線11の異常が通知されると、センサ55からのデータの送信先を、通常配線11から冗長配線13に切り替える。また、制御回路3においては、電源遮断回路24が、電源配線32、33における電圧及び電流を監視している。通常配線11に異常が発生しているため、電源配線33における電圧値または電流値が、所定の検知範囲外となり、電源遮断回路24は、電源配線31と電源配線33との間を遮断し、異常の発生を、信号配線37、36を介して、通信IC23およびMPU22に通知する。遮断により、電源配線33と電源配線31との間が電気的に分離されることにより、通常配線11における異常の影響が、他の電源57等に及ぶのを防ぐことが可能である。
[0075]
 通信IC23は、異常の発生の通知を受けると、通常配線11から供給されるデータに対する処理を停止し、MPU22へのデータの送信も停止する。また、MPU22は、異常の発生の通知を受けると、信号配線15を介して、制御回路4に設けられているMPU39に対して、通常配線11に異常が発生したことを通知し、冗長配線13を介して、制御回路4に外界認識センサa5からセンサのデータが送信されることを通知する。さらに、MPU22は、信号配線15を介して、MPU39に対して、外界認識センサa5からのデータも、MPU22へ送信するように要求する。
[0076]
 MPU22から通知および要求を受けた制御回路4内のMPU39は、信号配線51または52を介して、通信IC40に対して、外界認識センサa5からのデータが、冗長配線13を介して制御回路4に送信されることを通知する。通知を受けた通信IC40は、冗長配線13を介して送信されてくる外界認識センサa5のデータの受信を開始し、受信したデータを、信号配線51または52を介してMPU39へ送信する。また、通常動作のときと同様に、通信IC40は、通常配線14を介して送信されてくる外界認識センサb6のデータを受信し、受信したデータを信号配線52または51を介してMPU39へ送信する。
[0077]
 MPU39は、通信IC40から送信された外界認識センサa5のデータと、外界認識センサb6のデータとに対して、所定の制御演算を実行するとともに、外界認識センサa5のデータと外界認識センサb6のデータの両方を、信号配線15を介して、MPU22へ送信する。MPU22は、信号配線15を介して、MPU39から送信された外界認識センサa5のデータと外界認識センサb6のデータとに対して、所定の制御演算を実行する。また、MPU22は、実行した所定の制御演算の結果を、信号配線15を介して、MPU39へ送信し、MPU39も、実行した所定の制御演算の結果を、信号配線15を介して、MPU22へ送信する。MPU22および39のそれぞれにおいて、所定の演算結果を比較し、MPU22および39は、比較結果を上位システムに送信するとともに、故障が発生したことを、上位システムに送信し、ユーザーに通知する。
 <通常配線がショートまたは断線した場合の動作>
[0078]
 通常配線が接地電圧またはバッテリ等にショート(地絡または天絡)した場合あるいは通常配線が断線した場合も、ショートあるいは断線を検知し、車載制御システム100は、動作を継続することが可能である。
[0079]
 例えば通常配線11が、接地電圧またはバッテリにショートした場合、外界認識センサa5に対応する制御回路3における電圧配線33の電圧または電流が、ショートにより変化する。例えば、ショートにより、電圧配線33における電圧や電流が増加したり、電流が逆流する。これにより、電圧配線33における電圧・電流が、電源遮断回路24に設定されている所定の検知範囲外となり、<通常配線における異常発生時の動作>で述べたように、検知されるとともに、車載制御システム100は、動作を継続する。
[0080]
 例えば、通常配線11がGNDにショートした場合やバッテリ電圧などにショートした場合は、電源配線33における電圧の異常や電流の増加もしくは逆流が発生し、電源遮断回路24によって、所定の検知範囲外であるとして検知することが可能である。また、断線の場合には、電源配線33を電流が流れなくなるため、電源遮断回路24で、検知範囲外であるとして検知することが可能である。
[0081]
 通常配線11を例にして述べたが、通常配線14がショートした場合あるいは断線した場合も同様である。
 <冗長配線における異常発生時の動作>
[0082]
 次に、通常動作時に、データの送信および電源電圧の給電に用いられていない冗長配線に異常が発生した場合の動作を説明する。ここでは、冗長配線13に異常が発生した場合を例にして説明する。
[0083]
 冗長配線13に異常が発生すると、電源配線50における電圧値または電流値が、電源遮断回路41に設定されている所定の検知範囲を外れることになる。そのため、電源遮断回路41は、異常が発生したことを、信号配線54、53を介して、制御信号により通信IC40、MPU39に通知する。また、電源遮断回路41は、電源配線50と電源配線48との間を遮断し、電源配線50と電源配線48との間を電気的に分離する。
[0084]
 異常の発生の通知を受けたMPU39は、制御回路3内のMPU22に対して、冗長配線13に異常があることを通知する。また、MPU39は、故障が発生し、修理が必要であることを上位システムおよびユーザーに通知する。
[0085]
 なお、冗長配線に異常があっても、通常配線に異常が発生していなければ、通常動作時と同様に、制御回路3および4によって、車両の制御が行われる。冗長配線13を例にして説明したが、冗長配線12に異常が発生した場合も同様である。
 <電源、バッテリ等の電源系の異常時の動作>
[0086]
 通常配線または冗長配線に異常があった場合を説明したが、電源21、38から出力される電源電圧に異常があった場合、バッテリ1、2から制御回路3、4への電源供給に異常があった場合にも、異常を検知し、車載制御システム100は、動作を継続することが可能である。
[0087]
 電源21から出力される電源電圧に異常があった場合または/およびバッテリ1からの電源電圧に異常があった場合を例にして説明する。電源21または/およびバッテリ1に異常が発生すると、通常配線11における電圧が変化し、接続ノード66における電圧が、電源モニタ58に設定されている所定の正常電圧範囲外に変化する。電源モニタ58は、接続ノード66における電圧が、所定の正常電圧範囲外になったことを検知し、正常電源スイッチ64を導通状態から非導通状態に切り替え、冗長電源スイッチ63を非導通状態から導通状態へ切り替えるように動作する。また、電源モニタ58は、信号配線70を介して、通信IC56に異常を通知する。通信IC56は、通知を受けると、センサ55からのデータを、通常配線11から冗長配線13へ供給するように、センサのデータの送信先を変更する。
[0088]
 この場合、バッテリ1および電源21に対応する電源遮断回路24は、動作しない。これは、例えばバッテリ1または/および電源21の異常により、電源遮断回路24に供給される電源電圧が接地電圧となる場合があり、この場合には電源遮断回路24に動作電圧が供給されないことになるためである。この場合、MPU22および通信IC23にも動作電圧が供給されない状態となる。そのため、制御回路3は非動作状態となってしまう。
[0089]
 前記したように、外界認識センサa5に設けられているセンサ55のデータは、冗長配線13に送信されるため、冗長配線13における電圧・電流がセンサ55のデータに従って変化することになる。制御回路4に設けられている電源遮断回路41は、インダクタ45を介して冗長配線13に接続されている電圧配線50における例えば電流の変化を検知し、信号配線54を介して、通信IC40に、電流が変化していることを通知する。通知を受けた通信IC40は、冗長配線13におけるデータをチェックし、外界認識センサa5からのデータであると確認すると、信号配線51または52を介して、MPU39に、冗長配線13からデータが送信されていることを通知し、冗長配線13から受信したデータを、信号配線51または52を介して、MPU39へ送信する。
[0090]
 MPU39は、通信IC40からのデータと通知を受信し、信号配線15を介して制御回路3内のMPU22との通信を試みる。この通信において、例えば所定の時間内に、MPU22から応答がない場合、MPU39は、冗長配線13を用いて送信された外界認識センサa5からのデータと、通常配線14を用いて送信された外界認識センサb6からのデータとに対して、所定に制御演算を実行し、制御演算の結果に基づいて、車両の制御を実行する。さらに、MPU39は、制御回路3において電源21または/およびバッテリ1等の電源系に異常が発生していると判定し、この異常を、上位システムやユーザーに通知する。
[0091]
 制御回路3における電源系の異常を例にして説明したが、制御回路4における電源系に異常が発生した場合も同様である。この場合には、MPU39の代わりにMPU22が、外界認識センサa5およびb6のデータに基づいて車両の制御を実行し、上位システムやユーザーに、制御回路4における電源系の異常を通知する。
[0092]
 その結果、制御回路3または4における電源系に異常が発生しても、車載制御システム100は、動作を継続することが可能である。
[0093]
 実施の形態1および2においては、電源電圧の異常に基づいて、通常配線および冗長配線の異常を検知し、センサのデータを伝達する経路を切り替えるように制御が行われる。そのため、電源電圧に異常が発生し、これにより外界認識センサのデータに異常が発生するのを検知する制御に比べて、電源電圧に異常が発生してから、センサのデータ伝達経路を切り替えるまでの時間を短縮することが可能である。
[0094]
 また、実施の形態2においては、制御回路から外界認識センサへ供給される電源電圧が、外界認識センサを動作させることが可能な動作電圧よりも下回る前に、通常電源スイッチと冗長電源スイッチを切り替えることが可能である。例えば、通常配線11を介して供給される電源電圧は、電源57に供給され、電源57がセンサ55および通信IC56を動作させる電源電圧を生成するが、通常配線11における電圧が低下し、電源57が生成する電源電圧が、センサ55および通信IC56を正常に動作させることが可能な正常動作電圧範囲よりも下回る前に、電源モニタ58は、冗長電源スイッチ63を非導通状態から導通状態に変更する。これにより、通常配線11における電圧が低下しても、センサ55および通信IC56には、適切な動作電圧を給電することが可能となり、センサ55や通信IC56が異常動作状態になりパワーオンリセット動作が発生することを防止できるため故障から正常動作への復帰時間を短縮することができる。
[0095]
 さらに、電源モニタ58は、冗長電源スイッチ63を導通状態に変更するとき、通常電源スイッチ64を導通状態から非導通状態へ変更する。これにより、通常配線11における電圧低下の影響が、冗長配線13に与えられるのを防ぐことが可能である。
[0096]
 通常配線11における電圧の低下を例にして説明したが、通常配線14における電圧が低下した場合も同様である。
[0097]
 実施の形態1および2においては、外界認識センサと制御回路との間の接続が、PoC接続の場合を説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、電力とデータが、同一の配線を用いて、外界認識センサと制御回路との間を伝達される構成であればよい、なお、車両の制御には、前記した外界認識センサと制御回路の他に、ブレーキシステムやステアリングシステムといった制御システムも必要になるが、実施の形態1および2では省略している。
 (実施の形態3)
[0098]
 実施の形態3では、前記した電源モニタ58、77および電源遮断回路24、41の具体的な一例を提示する。
 <電源モニタ>
[0099]
 図4は、実施の形態3に係わる電源モニタの構成を示すブロック図である。電源モニタ58と77は、同じ構成であるため、ここでは電源モニタ58を代表例として説明する。電源モニタ58は、制御回路101と、定電圧源102と、コンパレータ103、104、105、106と、抵抗109、110、111、112と、ダイオード107、108とを備えている。
[0100]
 図3および図4に示したインダクタ62を介して通常配線11に接続された接続ノード66は、ダイオード107のアノードに接続され、インダクタ61を介して冗長配線13に接続された接続ノード65は、ダイオード108のアノードに接続されている。ダイオード107、108のカソードは、共通に接続されている。ダイオード107、108の共通接続のカソードは、制御回路101と、定電圧源102と、コンパレータ103~106とに接続されている。なお、図4では、図面が複雑になるのを避けるために、共通接続のカソードとコンパレータ103~106との間の接続は省略されている。
[0101]
 ダイオード107と108のカソードを共通接続することにより、ダイオードORが構成され、通常配線11および冗長配線13における電圧が、制御回路101、定電圧源102およびコンパレータ103~106の電源電圧として供給される。また、通常配線11または冗長配線13が接地電圧にショートして、接続ノード66または65の電圧が低下した場合、インダクタを介してショートした通常配線または冗長配線に接続されている接続ノードに接続されたダイオード107または108が逆バイアス状態となる。そのため、ショートしていない通常配線または冗長配線に接続されたダイオード107または108から、制御回路101、定電圧源102およびコンパレータ103~106に電源電圧が供給され、制御回路101、定電圧源102およびコンパレータ103~106は、正常に動作することが可能である。
[0102]
 また、電圧モニタ58を構成する素子の耐圧は、バッテリ1の電圧より高いものが使用されており、素子の正常動作範囲が、バッテリ1の電圧より高く設計されている。これにより、通常配線11もしくは冗長配線13のどちらかがバッテリ1にショートした場合でも、電源モニタ58は、正常に動作することが可能となっている。
[0103]
 抵抗109と110は、接続ノード66と接地電圧Vsとの間に直列接続されている。抵抗109と110との間の接続ノードは、電圧配線116を介して、コンパレータ105の入力(-)とコンパレータ106の入力(+)に接続されている。これにより、接続ノード66における電圧が、抵抗109と110の抵抗比により分圧され、分圧により形成された分圧電圧が、コンパレータ105の入力(-)とコンパレータ106の入力(+)に供給されることになる。同様に、抵抗111と112は、接続ノード65と接地電圧Vsとの間に直列接続されている。抵抗111と112との間の接続ノードは、電圧配線115を介して、コンパレータ103の入力(-)とコンパレータ104の入力(+)に接続されている。これにより、接続ノード65における電圧が、抵抗111と112の抵抗比により分圧され、分圧により形成された分圧電圧が、コンパレータ103の入力(-)とコンパレータ104の入力(+)に供給されることになる。
[0104]
 定電圧源102は、外界認識センサa5に含まれるセンサ55、通信IC56および電源57等を正常に動作させることが可能な正常電圧範囲の高電圧側のリミット値(上限電圧)に、抵抗109と110の分圧比を掛けた電圧を上限リミット電圧として生成し、電圧配線114に出力するように動作する。また、定電圧源102は、外界認識センサa5に含まれるセンサ55、通信IC56および電源57等を正常に動作させることが可能な正常電圧範囲の低電圧側のリミット値(下限電圧)に、抵抗111と112の分圧比を掛けた電圧を下限リミット電圧として生成し、電圧配線113に出力するように動作する。
[0105]
 コンパレータ104と106は、接続ノード66、65における電圧と、上限リミット値とを比較し、上限リミット値を超えているか否かを判定する。また、コンパレータ103と105は、接続ノード65、66における電圧と、下限リミット値とを比較し、下限リミット値を超えているか否かを判定する。すなわち、コンパレータ105と106によって、接続ノード66における電圧が、前記した正常電圧範囲内か範囲外かの判定が行われ、コンパレータ103と104によって、接続ノード65における電圧が、前記した正常電圧範囲内か範囲外かの判定が行われることになる。コンパレータ103~106の比較結果は、制御回路101に供給される。
[0106]
 制御回路101は、供給された比較結果に基づいて、高電圧異常、低電圧異常を判定する。すなわち、接続ノード66における電圧が、上限リミット値を超えていた場合、通常配線11における電圧が高電圧異常であると判定し、接続ノード65における電圧が、上限リミット値を超えていた場合、冗長配線13における電圧が高電圧異常であると判定する。また、制御回路101は、接続ノード66における電圧が、下限リミット値よりも下回って場合、通常配線11における電圧が低電圧異常であると判定し、接続ノード65における電圧が、下限リミット値よりも下回っていた場合、冗長配線13における電圧が低電圧異常であると判定する。制御回路101は、判定結果に基づいて制御信号を生成し、信号配線70、72、73に出力する。
[0107]
 例えば、制御回路101は、通常配線11における電圧が、高電圧異常または低電圧異常であると判定すると、通常電源スイッチ64を非導通状態にするような制御信号を、信号配線72に出力し、冗長電源スイッチ63を導通状態にするような制御信号を、信号配線73に出力し、異常の発生を通知する制御信号を、信号配線70を介して通信IC56に出力する。電源モニタ58を例にして説明したが、電源モニタ77も同様である。
 <電源遮断回路>
[0108]
 図5は、実施の形態3に係わる電源遮断回路の構成を示すブロック図である。図2および図3に示した電源遮断回路24および41は、同じ構成を備えているため、ここでは、電源遮断回路24を代表例として説明する。
[0109]
 電源遮断回路25は、制御回路140と、通常遮断スイッチ142と、冗長遮断スイッチ141とを備えている。通常遮断スイッチ142は、電源配線31と電源配線33との間に接続され、冗長遮断スイッチ141は、電源配線31と電源配線32との間に接続されている。図2で説明したように、電源配線31は、電源21に接続され、電源21から電源電圧が供給される。また、電源配線33は、インダクタ28を介して通常配線11に接続され、電源配線32は、インダクタ27を介して冗長配線12に接続されている。
[0110]
 制御回路140は、電源配線32と33に接続され、電源配線32、33における電圧および電流と、予め設定されている所定の電圧範囲および所定の電流範囲とを比較することにより、電源配線32、33における電圧・電流が、所定の検知範囲内か外かを監視し、監視の結果に従って、通常遮断スイッチ142および冗長遮断スイッチ142を導通状態または非導通状態に切り替える。また、制御回路140は、監視の結果に従って、制御信号を生成し、信号配線36および37を介して、MPU22および通信IC23に、監視の結果に従った通知を行う。
[0111]
 制御回路140は、電源配線31を介して電源電圧が給電されると、動作を開始する。動作を開始すると、制御回路140は、通常遮断スイッチ142および冗長遮断スイッチ141の両方が導通状態となるように、制御信号によって、通常遮断スイッチ142および冗長遮断スイッチ141を制御する。制御回路140は、前記したように、電源配線32および33の両方における電圧と電流と予め設定された所定の電圧範囲および所定の電流範囲とを比較する。比較により、電源配線32、33における電圧および電流が、予め設定した所定の電圧範囲および電流範囲内にあると判定すると、制御回路140は、通常遮断スイッチ142および冗長遮断スイッチ141の両方が継続して導通状態となるように、これらのスイッチを制御する。
[0112]
 これに対して、比較により、電源配線33または32における電圧または/および電流が、前記した所定の電圧範囲または/および電流範囲から外れたと判定すると、制御回路140は、所定の電圧範囲または/および電流範囲から外れた電圧または/および電流となっている電源配線33または32に接続されている通常遮断スイッチ142または冗長遮断スイッチ141を、導通状態から非導通状態に切り替わるように、制御信号で通常遮断スイッチ142または冗長遮断スイッチ141を制御する。
[0113]
 例えば、電源配線33における電圧が、所定の電圧範囲から外れると、制御回路140は、電源配線33に接続された通常遮断スイッチ142を非導通状態に切り替え、冗長遮断スイッチ141は導通状態を維持するように制御する。また、この場合、制御回路140は、信号配線36および37を介して、通常配線11に異常が発生したことを、MPU22および通信IC23に制御信号で通知する。この通知により、MPU22および通信ICは、実施の形態1および2で説明したように動作する。
[0114]
 また、制御回路140は、冗長配線12に対応する電源配線32を流れる電流の変化を検出する。制御回路140は、電源配線32を流れる電流の変化を検出すると、通常遮断スイッチ142および冗長遮断スイッチ141の両方を導通状態に維持しながら、冗長配線12に電流の変化が生じていることを、信号配線36を介する制御信号によって、MPU22に通知する。この通知により、MPU22は、実施の形態2の<電源、バッテリ等の電源系の異常時の動作>で説明したように、MPU39に対して通信を試みる動作を実行する。なお、通常遮断スイッチ141と冗長遮断スイッチ142とによって、スイッチ部が構成されていると見なすことができる。この場合、制御回路140は、異常を検知して、MPU22及び通信IC23に通知する検知制御部と見なすことができる。
 (実施の形態4)
[0115]
 図6は、実施の形態4に係わる外界認識センサの構成を示すブロック図である。図6に示す外界認識センサ121は、図3に示した外界認識センサa5と類似している。相異点は、接続ノード66と接地電圧Vsとの間にキャパシタ123が接続され、接続ノード65と接地電圧Vsとの間にキャパシタ122が接続されていることである。実施の形態4においては、インダクタ62とキャパシタ123によって、通常配線用のローパスフィルタが構成され、インダクタ61とキャパシタ122によって、冗長配線用のローパスフィルタが構成されている。異常が発生して、通常配線11もしくは冗長配線13における電源電圧が変化すると、接続ノード66もしくは65における電圧も変化する。しかしながら、接続ノード66および65には、ローパスフィルタを構成するキャパシタ123および122が接続されているため、通常配線11もしくは冗長配線13における電圧変化に対して、接続ノード66もしくは65における電圧変化は遅くなる。そのため、通常電源スイッチ64と冗長電源スイッチ63を切り替えている期間において、接続ノード66、65における電圧変化を小さくすることが可能である。すなわち、ローパスフィルタを構成するキャパシタ122および123の容量値は、電源モニタ58が電圧の異常を検知してスイッチ63、64を切り替えるまでの時間の間の接続ノード65、66の電圧変化が十分小さくなるように設定されている。言い換えるならば、ローパスフィルタの時定数は、第2検知部の応答時間よりも長く設定されている。
[0116]
 これにより、通常電源スイッチ64および冗長電源スイッチ63の状態を切り替えるときに、電源57に供給されている電圧の変化を十分に小さくすることが可能となり、電源57が出力している電源電圧の変化が、センサ55や通信IC56の正常動作の範囲に収まるような電圧変化にすることが可能である。
[0117]
 すなわち、通常配線11および冗長配線13における電圧に異常が発生して、通常電源スイッチ64および冗長電源スイッチ63の状態を切り替えているときにおいても、電源57から電圧変動の十分に小さな電源電圧をセンサ55や通信IC56に給電することが可能となる。その結果、電源異常が生じても、センサ55や通信ICに誤動作が発生したり、電源変動によるパワーオンリセット動作の発生によってセンサのデータが得られない状態を発生させずに、電源の切り替えを行い、動作を継続させることができる。
 (実施の形態5)
[0118]
 実施の形態5においては、異常検知および異常検知時の動作をテストすることが可能な車載制御システム100が提供される。図7は、実施の形態5に係わる車載制御システムの構成を示すブロック図である。図7は、図2に類似しているので、主に相異点を説明する。
[0119]
 図7においては、図2に示した制御回路3に対して、電源21とMPU22とを接続する信号配線133が追加され、制御回路3は、符号が131へ変更されている。同様に、制御回路4に対して、電源38とMPU39とを接続する信号配線134が追加され、制御回路4は、符号が132へ変更されている。また、図7においては、図2に示した外界認識センサa5に対して、電源モニタ58と通信IC56とを接続する信号配線135が追加され、外界認識センサa5は、符号が137へ変更されている。同様に、図2に示した外界認識センサb6に対して、電源モニタ77と通信IC75とを接続する信号配線136が追加され、外界認識センサb6は、符号が138へ変更されている。また、電源21および38は、出力する電圧を変更することが可能な可変電源によって構成されている。
 <電圧異常の検知動作およびデータ経路切り替え動作のテスト方法>
[0120]
 まず、電圧異常の検知動作およびデータ経路切り替え動作のテスト方法を説明する。この場合、MPU22が、追加された信号配線133によって、電源21に対して、電源配線31に出力する電源電圧として、通常よりも高い電圧または低い電圧を出力するように指示をする。ここで、通常よりも高い電圧または低い電圧とは、電源モニタ58、77が、正常と判断する電圧よりも高い電圧または低い電圧を意味している。言い換えるならば、通常よりも高い電圧または低い電圧は、配線を介して電源モニタに供給されたとき、電源モニタが、対応する通常電源スイッチおよび冗長電源スイッチの状態を切り替えるような電圧である。
[0121]
 これにより、電圧異常が発生したときと同じ異常状態が、意識的に発生させることができる。このときの電源モニタ58、77、スイッチ63、64、82、83、通信IC56、75、電源遮断回路24、41が所望の動作を行うか否かを確認することで、電圧異常の検知動作、電圧異常検知時の電源およびデータ経路の切り替え動作をテストすることができる。
[0122]
 同様に、MPU39が、追加された信号配線134によって、電源38に対して、電源配線48に出力する電源電圧として、通常よりも高い電圧または低い電圧を出力するように指示をする。これにより、通常配線13および冗長配線14を介して外界認識センサに供給される電圧が異常になった場合の電圧異常の検知動作、異常検知時の電源およびデータ経路の切り替え動作をテストすることができる。
 <通常配線および冗長配線の高抵抗化状態の検知>
[0123]
 次に、通常配線11、14および冗長配線12、13の高抵抗化状態の試験について説明する。通常配線および冗長配線は、断線までには至らないが、高抵抗となっている状態が考えられる。通常配線および冗長配線が高抵抗化状態となっていると、データの伝達の遅延または/および外界認識センサへ給電される電力が低下する恐れがある。
[0124]
 この場合、MPU22から信号配線34または35を介して通信IC23に、高抵抗化状態の試験を示す制御信号を供給する。通信IC23は、高抵抗化状態試験を示す制御信号を、通常配線11を介して通信IC56に送信する。通信IC56は、受信した制御信号を、追加された信号配線135を介して、電源モニタ58に送信する。電源モニタ58は、信号配線135を介して制御信号が供給されると、通常電源スイッチ64および冗長電源スイッチ63の両方を導通状態とするような制御信号を、信号配線72および73を介して、通常電源スイッチ64および冗長電源スイッチ63に供給する。
[0125]
 例えば、図4に示した電源モニタ58において、制御回路101が信号配線135によって通信IC56に接続されている。制御回路101は、高抵抗化状態試験を示す制御信号が供給されると、前記したように、通常電源スイッチ64および冗長電源スイッチ63の両方を導通状態とするような制御信号を、信号配線72および73に出力する。
[0126]
 また、MPU22は、信号配線133を介して、電源21に電源配線31に出力する電源電圧の値を変更するように指示する。この指示により、電源21は、電源38が電源配線48に出力する電源電圧の値とは異なる値の電源電圧を、電源配線31に出力するようになる。これにより、電源配線31と電源配線48との間で所望の電圧差が設定されることになる。
[0127]
 前記したように、通常電源スイッチ64および冗長電源スイッチ63の両方が導通状態となっているため、通常配線11と冗長配線13が、通常電源スイッチ64および冗長電源スイッチ63を介して電気的に接続されることになる。従って、電源配線31と電源配線48との間を、設定された所望の電圧差と通常配線11と冗長配線13の抵抗値とに応じた電流が流れることになる。この電流を、電源遮断回路24および41によって測定する。通常配線11と冗長配線13の合成の抵抗値は、測定した電流値と設定した所望の電圧差とから算出することできる。算出した抵抗値が、通常配線11と冗長配線13の合成抵抗値以下か否かを試験することが可能である。
[0128]
 通常配線14と冗長配線12の合成抵抗値についても、同様に算出することが可能である。すなわち、通常電源スイッチ82および冗長電源スイッチ83の両方を導通状態となるように、信号配線136を介して電源モニタ77に、高抵抗化状態試験を示す制御信号を供給する。また、信号配線134を介して、電源38に、電源21とは異なる値の電源電圧を出力するように指示する。このとき電圧配線32および49を流れる電流を、電源遮断回路24、41で測定することにより、通常配線14と冗長配線12の合成抵抗値を算出することが可能である。
[0129]
 このように試験を行うことにより、完全な断線ではないが、データ伝送および供給電力に影響を与えるような高抵抗化状態の通常配線および冗長配線を検知することが可能である。
[0130]
 実施の形態1~5においては、2つの外界認識センサと2つの制御回路を備えた車載制御システムを例にして説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、外界認識センサおよび制御回路は、2つ以上であってもよい。また、外界認識センサの数は、制御回路の数よりも少なくてもよい。実施の形態1を例にして述べると、車載制御システム100は、外界認識センサa5と、制御回路3、4とを備えるようにしてもよい。この場合、外界認識センサa5は、通常配線11によって、制御回路3に接続され、冗長配線13によって、制御回路4に接続されることになる。通常配線11において電源異常が発生した場合、外界認識センサa5は、冗長配線13を介して制御回路4から給電が行われ、外界認識センサa5のデータは、冗長配線13を介して制御回路4に送信されることになる。この場合、制御回路4は、受信した外界認識センサa5のデータを、信号配線15を介して、制御回路3に供給する。これにより、通常配線11に電源異常が発生した場合も、外界認識センサa5に対応する制御回路3は、外界認識センサa5のデータに基づいた制御演算を実行することが可能となる。これにより、冗長化を図りながら、コスト増加を抑制することが可能である。
[0131]
 実施の形態1~5によれば、特に自動運転において重要となる外界認識センサに関する技術が提供される。すなわち、実施の形態1~5によれば、自動車の外界認識センサの電源の多重化を低コストで実現し、電源異常からの復帰時間を短縮することができる。
[0132]
 実施の形態1~5に係わる車載制御システムは、外界認識センサと外界認識センサのデータを元に自動車の周辺の状況を把握し、車両の軌道を決定し、制御を行う制御回路を備える。この場合、制御回路としては、通常動作用と冗長動作用に2個の回路を有し、通常動作用の制御回路と冗長動作用の回路の電源は独立した電源経路から電源を供給されている。外界認識センサは、通常動作用と冗長動作用の制御回路の両方と、電源配線および信号配線が接続されている。これにより、どちらか一方の電源系に異常が発生しても、外界認識センサには電源が給電され、外界認識センサは動作を継続することができる。
[0133]
 また、外界認識センサは電源異常検知回路(例えば、図2の電源モニタ58)と電源切り替えスイッチ(63、64)を備え、異常があった電源系統を正常な電源系統と切り離すことが可能である。また、制御回路も外界認識センサに供給する電源の電源異常を検知する電源異常検知回路(電源遮断回路24)を備え、外界認識センサもしくは、外界認識センサと制御回路間の電源接続経路に異常があった場合に異常を検知し、異常があったセンサを電源系統から切り離すことができる。
[0134]
 また、外界認識センサ側の電源異常検知回路は電源異常を検知すると、電源スイッチの電源経路を切り替えるとともに通信ICに異常検知信号(信号配線70における制御信号)を送信する。これにより、通信ICは、外界認識センサのデータを送信する信号経路を切り替える。また、制御回路側の電源異常検知回路は、特定の外界認識センサのデータの制御経路で異常を検知すると、MPUにセンサ経路に異常が発生したことを通知し、MPUは外界認識センサからのデータを受け取る経路を切り替えるように制御をする。
[0135]
 また、車載制御システムは、通常動作用の制御回路と冗長動作用の制御回路はお互いの情報をやり取りする経路(信号配線15)を備える。これにより、一方の制御回路が外界認識センサから受け取ったデータを、他方の制御回路に送信することができる。これにより、一方の電源系統に異常が発生した場合にも、外界認識センサは動作可能であり、通常動作時と同等の外界認識センサデータで車両はFallback動作を行うことが可能となる。また、電源異常の発生を電源電圧や電流値の異常で検知し、電源を切り替えるので、電源異常によって外界認識センサが異常動作をする前に、正常な動作状態に移行し、かつ異常が発生したことを検知できるため、電源異常発生時に外界認識センサのデータが途絶える時間を短くすることが可能となる。
[0136]
 冗長化を図るために、実施の形態に係わる車載制御システムは複数の制御回路を備えている。外界認識センサへの電源の供給が、複数の制御回路から行われるとともに、いずれかの制御回路から外界認識センサへの電源供給に異常が生じた場合には、電源供給経路および信号経路が共に変更され、複数の制御回路間でセンサデータの共有が行われ、低コストで外界認識センサの冗長化を実現することが可能である。また、外界認識センサのデータの異常ではなく、電源電圧や電流異常によって電源異常を検知し、電源供給経路および制御回路へのセンサデータの伝達経路を切り替えることで、外界認識センサが異常動作をする前に電源及び信号経路の切り替えを行い、電源異常発生から正常な動作への復帰時間を短縮することが可能である。
[0137]
 以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。

符号の説明

[0138]
1、2 バッテリ
3、4、131、132 制御回路
5、137 外界認識センサa
6、138 外界認識センサb
11、14 通常配線
12、13 冗長配線
15 信号配線
21、38、57、76 電源
22、39 MPU
23、40、57、75 通信IC
24、41 電源遮断回路
55、57 センサ
58、77 電源モニタ
63、64、82、83 スイッチ
100 車載制御システム

請求の範囲

[請求項1]
 それぞれ相互にデータの通信を行う制御部を備えた複数の制御装置と、
 第1センサと、
 前記第1センサと前記複数の制御装置とを接続する複数の配線と、
 を備え、
 前記複数の制御装置のそれぞれは、前記複数の配線のうち、対応する配線を介して、前記第1センサに電源を供給する第1電源部と、前記第1センサに供給される電源に関する異常を検知する第1検知部と、を備え、
 前記異常を検知した第1検知部を備える制御装置における制御部は、他の制御装置が備える制御部から前記第1センサのデータを取得するように制御される、車載制御システム。
[請求項2]
 請求項1に記載の車載制御システムにおいて、
 前記複数の配線は、前記複数の制御装置のうち、前記第1センサに対応する第1制御装置と前記第1センサとの間を接続する通常配線と、前記第1制御装置とは異なる第2制御装置と前記第1センサとの間を接続する冗長配線とを備え、
 前記第1制御装置における第1検知部が、電源に関する異常を検知したとき、前記第1制御装置における制御部は、前記第2制御装置における制御部から前記第1センサのデータを取得するように制御される、車載制御システム。
[請求項3]
 請求項2に記載の車載制御システムにおいて、
 前記第1センサとは異なり、前記第2制御装置に対応する第2センサを、さらに備え、
 前記複数の配線は、前記第2制御装置と前記第2センサとの間を接続する通常配線と、前記第1制御装置と前記第2センサとの間を接続する冗長配線とを備え、
 前記第2制御装置における第1検知部が、電源に関する異常を検知したとき、前記第2制御装置における制御部は、前記第1制御装置における制御部から前記第2センサのデータを取得するように制御される、車載制御システム。
[請求項4]
 請求項3に記載の車載制御システムにおいて、
 前記第1検知部は、
  前記第1電源部と前記通常配線および前記冗長配線との間に接続されたスイッチ部と、
  前記通常配線および前記冗長配線に接続され、前記異常を検知したとき、前記通常配線と前記第1電源部との間を分離するように、前記スイッチ部を制御し、前記異常の検知を、前記制御部に通知する検知制御部と、
 を備える、車載制御システム。
[請求項5]
 請求項4に記載の車載制御システムにおいて、
 前記第1制御装置および前記第2制御装置のそれぞれは、前記通常配線および前記冗長配線に接続され、前記検知制御部によって制御される通信部を備え、
 前記通信部で受信されたセンサのデータは、前記制御部に供給される、車載制御システム。
[請求項6]
 請求項2に記載の車載制御システムにおいて、
 前記第1センサは、
  外界を認識するセンサ部と、
  前記センサ部と前記通常配線および前記冗長配線に接続され、前記センサ部からのデータを送信する通信部と、
  前記センサ部および前記通信部に接続された第2電源部と、
  前記第2電源部と前記通常配線および前記冗長配線との間に接続されたスイッチ部と、
  前記通常配線および前記冗長配線における電源をモニタし、モニタの結果に基づいて、前記スイッチ部を制御する第2検知部と、
 を備える、車載制御システム。
[請求項7]
 請求項6に記載の車載制御システムにおいて、
 前記第1センサは、前記通常配線および前記冗長配線に接続され、前記第2検知部の応答時間よりも長い時定数のローパスフィルタを、さらに備える、車載制御システム。
[請求項8]
 請求項2に記載の車載制御システムにおいて、
 前記第1電源部は可変電源によって構成され、
 前記第1電源部から前記第1センサに供給される電源を変更することにより、動作確認が行われる、車載制御システム。
[請求項9]
 請求項8に記載の車載制御システムにおいて、
 前記第1センサにおいて、前記複数の配線間が短絡状態とされ、前記複数の制御装置における第1電源から前記複数の配線に供給される電源の電圧差と短絡状態にされた配線間を流れる電流とに基づいて、配線の抵抗値が測定可能な、車載制御システム。
[請求項10]
 請求項1に記載の車載制御システムにおいて、
 前記配線には、前記第1センサに供給される電源と、前記第1センサのデータが重畳され、前記配線によって前記第1センサへの給電とデータ通信とが行われる、車載制御システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]