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1. WO2020137496 - METHOD AND APPARATUS FOR CLEANING AND MAINTAINING BOILER PLANT

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明 細 書

発明の名称 ボイラプラントの洗浄保管方法および洗浄保管装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008  

先行技術文献

特許文献

0009  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

課題を解決するための手段

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039  

発明の効果

0040  

図面の簡単な説明

0041  

発明を実施するための形態

0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115  

符号の説明

0116  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

明 細 書

発明の名称 : ボイラプラントの洗浄保管方法および洗浄保管装置

技術分野

[0001]
 本開示は、ボイラプラントを洗浄保管するための洗浄保管装置およびその洗浄保管方法に関する。

背景技術

[0002]
 ドラムを保有するボイラおよび排熱回収ボイラ(HRSG)などを備えたボイラプラントを運転停止などで数日間にわたり保管する場合、給水またはボイラ水の溶存酸素が、ボイラプラント構成要素の腐食要因となる。そのため、ボイラプラントの保管時には、防食剤を用いて腐食を防止している(特許文献1参照)。防食剤としては、脱酸素能を有するヒドラジンなどが用いられている。
[0003]
 従来、ボイラプラントの運転停止などの保管時には、ボイラプラント構成要素内の運転用水(給水およびボイラ水)を保管水としてヒドラジン水へと入れ替え、ボイラプラントを再起動する際には、保管水であるヒドラジン水を運転用水へと入れ替えるという作業が行われているものがある。
[0004]
 ヒドラジン水と運転用水との入れ替えには多量の純水が使用される。入れ替え作業で排出されたヒドラジン水および運転用水の廃棄には排水処理を要する。そのため、ヒドラジン水と運転用水との入れ替えは排水処理設備の負荷を増加させる要因となる。
[0005]
 更には、ヒドラジンは、発がん性物質であるなど運転用水への切り替えの排水処理に課題がある。このため、ヒドラジンを使用せずに更には保管水を排水することなく運転用水へと転用が可能となり、プラント構成要素の腐食を数日間以上に渡り防止可能なボイラプラントの保管方法の利用が好ましくなっている。
[0006]
 ヒドラジンを使用せずにボイラプラント構成要素の腐食を防止する方法として、給水およびボイラ水に添加されたアンモニアの濃度を調整して、保管水としての給水およびボイラ水のpHを高くする対応が知られている(特許文献2参照)。給水およびボイラ水のpHを9.8以上に設定すると、ボイラプラントの保管時にヒドラジンを添加しなくてもプラント構成要素内の腐食を防止することが可能となる。例えば、給水およびボイラ水のpHを10とすると、ヒドラジンを添加しなくてもボイラプラントを保管することが可能となる。
[0007]
 また、特許文献3は、中性の除錆剤を含む洗浄液を使用して低温(加熱なし/常温)で洗浄を実施する排熱回収ボイラの洗浄方法を開示する。
[0008]
 特許文献4は、排熱回収ボイラの排ガス供給口および排ガス出口を閉塞した状態で、伝熱管内に加熱された洗浄液を流通させる洗浄方法を開示する。

先行技術文献

特許文献

[0009]
特許文献1 : 特開昭62-233606号公報
特許文献2 : 特開2014-159925号公報
特許文献3 : 特開2015-105786号公報
特許文献4 : 特開平11-37405号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0010]
 排熱回収ボイラは複数の蒸気ドラムと蒸発器とから構成されている。複数の部位を洗浄する場合、図12に示すように、洗浄設備30からの洗浄液を給水系統から節炭器31、蒸気ドラム32、蒸発器33に入れて、洗浄を実施する方法がある。
[0011]
 排熱回収ボイラの蒸発器には、放熱量の高いフィンチューブが採用されるのが一般的である。しかしながら、例えば特許文献4のように加熱された洗浄液を用いる洗浄方法では、フィンチューブからの放熱により洗浄液の温度を高温(50℃から90℃)に保つことが難しいため、洗浄効果が低下する。これに対する対策として、特許文献3では、中性除錆剤を用いて洗浄液を高温にせずに蒸発器を洗浄する。
[0012]
 図13に従来の化学洗浄方法の工程図を示す。従来の化学洗浄方法では、まず、洗浄対象に仮設系統を接続する(S31)。次に、高温(50℃から90℃)で化学洗浄(S32)した後、洗浄液をブロー(S33)し、水洗(S34)で洗浄液を洗い流す。
[0013]
 化学洗浄処理でスケールが除去され露出した母材は酸素と反応し易いため、伝熱管内表面は発錆しやすい状態にある。水洗後、若干錆が発生するため、発生した錆をリンス液(濃度の薄い酸)で洗い流す(S35、20℃から90℃)。その後、系統内を中和(S36、20℃から90℃)し、ヒドラジン水を入れて防錆処理(S37、80℃から90℃)して伝熱管内表面に防錆皮膜を形成させた後、ブロー(S38)する。最後に、仮設系統を解体(S39)する。
[0014]
 上記防錆処理は、洗浄後から通常運転に入るまでの期間の発錆を防止する目的で、ヒドラジン水を入れて80℃から90℃で防錆処理を実施される。しかしながら、特許文献3のような低温での防錆処理では十分な防錆皮膜が形成されない。不十分な状態では、防錆処理液をブローした後に伝熱管内表面で発錆する場合がある。伝熱管内表面での発錆は洗浄工事品質、運転時の水質、設備の信頼性の観点から好ましくない。
[0015]
 系統内を高い濃度のアンモニアを含む保管水で満水とする防錆処理も考えられるが、仮設系統の解体工事のために保管水を抜かないといけない。よって、保管水で満水とするのは、工事の自由度(系統の一部切り離し、切り離し箇所の復旧)の観点から好ましくない場合がある。
[0016]
 本開示は、上記問題に鑑みなされたものであって、化学洗浄から通常運転を開始するまでの期間に、低コスト且つ短時間でボイラの洗浄対象部位の防錆処理を行い、ボイラを保管することができるボイラプラントの洗浄保管方法および洗浄保管装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0017]
 上記課題を解決するために、本開示のボイラプラントの洗浄保管方法および洗浄保管装置は以下の手段を採用する。
[0018]
 本開示の第1の態様は、スケールが付着した洗浄対象部位を、除錆剤を含む中性の洗浄液により常温で中性洗浄する工程と、前記洗浄対象部位に、アンモニア系化合物を含むpH9.8以上の常温のアンモニア系化合物水溶液を循環させる工程と、前記洗浄対象部位から、前記アンモニア系化合物水溶液をブローする工程を備えたボイラプラントの洗浄保管方法を提供する。
[0019]
 第1の態様によれば、常温で洗浄を実施することから、昇温設備および洗浄液の予熱工程が不要となり、洗浄工程中での放冷による洗浄液温度低下の監視が不要になる。これにより、洗浄コストおよび洗浄時間を低減させることが可能である。なお、「常温」とは、室温程度を意味し、外部から予熱や加熱を行わない温度である。具体的に5℃から50℃、より好ましくは15℃から30℃である。
[0020]
 スケールを除去した後の洗浄対象部位の母材の表面にpH9.8以上の常温のアンモニア系化合物水溶液を循環させた後、洗浄対象部位からアンモニア系化合物水溶液をブローすると、該表面がアンモニア含有水膜で覆われる。これにより、運転開始までの期間、発錆を抑制できるようになる。アンモニア含有水膜の主成分はアンモニア水であり、ボイラプラントの運転時に使用する給水処理薬品と同じである。このことから、運転開始時にアンモニア含有水膜を除去する必要がないため、ボイラプラントを保管した後に、そのまま運転を開始できる。それにより作業時間が短縮され、コストも低減できる。さらに、ヒドラジンを使用せずに発錆を抑制できるため、環境性に優れている。
[0021]
 上記第1の態様では、前記中性洗浄する工程において、前記洗浄対象部位内に前記中性の洗浄液を循環させ、循環させた前記中性の洗浄液中の鉄イオンを分析し、前記中性の洗浄液中の鉄イオン濃度変化が飽和傾向を示したことを確認した後、前記中性洗浄を終了することが望ましい。
[0022]
 洗浄液中の鉄イオン濃度変化が飽和傾向となるということは洗浄の対象であるスケールが除去され、スケール溶解量が低下していることを意味する。これを確認して洗浄終了を判断することで、なるべく短い時間で最大の洗浄効果を得ることができる。
[0023]
 上記第1の態様では、前記アンモニア系化合物水溶液を循環させる工程の前に、酸性の洗浄液により常温で酸洗浄する工程を設けることが望ましい。
[0024]
 プラントの運用によっては、スケール成分にカルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などが含まれる。Ca、AlおよびCuは、中性付近での溶解度が低いため、中性除錆剤を用いた低温洗浄では、これらスケール成分を溶解・除去しきれないことがある。除去できなかったスケールは、スラッジとして系統内に残留することがある。残留したスラッジは、洗浄後に洗浄液のブローあるいは水洗を行うことによって、幾分かは系外に排出できるが、全量排出は難しく、系統内に残留する可能性がある。特に、ガス竪流れ型の排熱回収ボイラは、伝熱管が水平に配置され、長さも20m級と大きく、洗浄時および排出(ブロー)時の水流の流速ではスラッジを排出することが難しいため、特に注意が必要となる。残留したスラッジは、伝熱管の伝熱性能低下やスラッジ含有成分による腐食発生の要因になる。
[0025]
 酸洗浄では、中性の洗浄液に溶解しにくいこれらのスケール成分(Ca,Al,Cu等)を除去でき、洗浄対象部位へのスラッジの残留量を低減できる。
[0026]
 上記第1の態様では、前記酸洗浄する工程において、前記洗浄対象部位内に前記酸性の洗浄液を循環させ、循環させた前記酸性の洗浄液中の鉄イオンを分析し、前記酸性の洗浄液中の鉄イオン濃度変化が飽和傾向を示したことを確認した後、前記酸洗浄を終了することが望ましい。
[0027]
 上記第1の態様では、前記酸洗浄の後、前記アンモニア系化合物水溶液を用いて前記酸性の洗浄液を押出ブローする工程をさらに備え、前記押出ブローする工程において、前記押出ブローで前記酸性の洗浄液の略全量をブローし、前記洗浄対象部位内の前記アンモニア系化合物水溶液を循環した後に前記アンモニア系化合物水溶液のpHについて分析し、分析した前記pHが基準値以上となるまで、前記押出ブローおよび前記アンモニア系化合物水溶液の循環を継続することが望ましい。
[0028]
 押出ブローでは酸性の洗浄液をアンモニア系化合物水溶液で押出して置換する。ブロー液のpHに基づいて押出ブローの継続時間を判断することで、余分な時間を費やさずに済む。
[0029]
 上記第1の態様において、前記中性洗浄の後、前記アンモニア系化合物水溶液を用いて前記中性の洗浄液を押出ブローする工程をさらに備え、前記押出ブローする工程において、押出ブローで前記中性の洗浄液の略全量をブローし、洗浄対象部位内のアンモニア系化合物水溶液を循環した後にアンモニア系化合物水溶液中の前記除錆剤に由来する成分について分析し、分析した前記除錆剤に由来する成分の濃度が基準値以下となるまで、前記押出ブローおよび前記アンモニア系化合物水溶液の循環を継続することが望ましい。
[0030]
 押出ブローでは中性の洗浄液をアンモニア系化合物水溶液で押出して置換する。ブロー液中の除錆剤に由来する成分の濃度が低下したことで押出ブローの継続時間を判断することで、余分な時間を費やさずに済む。
[0031]
 上記第1の態様において、前記アンモニア系化合物水溶液をブローする工程の後、洗浄対象部位内に気化性のアンモニア化合物の固体を投入することができる。
[0032]
 投入された気化性のアンモニア化合物の固体は、洗浄対象部位内で気化し、速やかに拡散されアンモニア含有水膜に取り込まれる。アンモニア含有水膜形成後に洗浄対象部位を長期間保存した場合、アンモニア含有水膜からアンモニア成分が抜けるが、気化性のアンモニア化合物の固体の投入により、水膜の防錆効果を維持できる。
[0033]
 上記第1の態様において、前記酸性の洗浄液および前記中性の洗浄液の少なくも一方を循環の途中でろ過してもよい。
[0034]
 循環させている洗浄液をろ過することで、スラッジを除去できる。これにより洗浄時に発生したスラッジの残留量を低減できるため、スラッジ残留による伝熱管の伝熱性能低下およびスラッジ含有成分による腐食発生のリスクを低減できる。
[0035]
 上記第1の態様において、前記洗浄対象部位を排熱回収ボイラの蒸発器としてもよい。洗浄対象部位を蒸発器に限定することで、洗浄液の使用量を抑え、排水量も少なくできる。
[0036]
 本開示の第2の態様は、スケールが付着した洗浄対象部位内に流体を循環するよう構成された循環部と、前記循環部に除錆剤を含む中性の洗浄液を供給する中性洗浄液供給部と、前記循環部にアンモニア系化合物を含むpH9.8以上のアンモニア系化合物水溶液を供給するアンモニア系化合物水溶液供給部と、前記循環部から前記アンモニア系化合物水溶液を排出するブロー流路と、を備えたボイラプラントの洗浄保管装置を提供する。
[0037]
 上記第2の態様では、前記循環部が、両端が前記洗浄対象部位の出入口に接続された循環流路と、前記循環流路の途中に設けられたポンプと、前記ポンプよりも下流側の前記循環流路の途中に設けられたろ過装置と、を備えていてもよい。
[0038]
 上記第2の態様では、一端が前記循環部、前記洗浄対象部位の入口および出口の少なくともいずれかに接続され、他端が前記酸性洗浄液供給部、前記中性洗浄液供給部および前記アンモニア系化合物水溶液供給部の少なくともいずれかに接続されたブロー流路をさらに備えていてもよい。
[0039]
 上記第2の態様によれば、ブロー液を酸性洗浄液供給部、中性洗浄液供給部およびアンモニア系化合物水溶液供給部の少なくともいずれかに戻すことができるため、排水タンクの設置を省略できる。

発明の効果

[0040]
 本開示によれば、化学洗浄から通常運転を開始するまでの期間に、低コスト且つ短時間でボイラの洗浄対象部位の防錆処理を行い、ボイラを保管できるボイラプラントの洗浄保管方法および洗浄保管装置となる。

図面の簡単な説明

[0041]
[図1] 第1実施形態に係る洗浄保管方法の工程図である。
[図2] 中性洗浄でのスラッジ量を例示するグラフである。
[図3] 第1実施形態における洗浄時間と中性洗浄液中のFeイオン濃度の推移の模式図である。
[図4] アンモニア含有水膜の模式図である。
[図5] 特定部位洗浄時の模式図である。
[図6] 第2実施形態に係る洗浄保管方法の工程図である。
[図7] 第2実施形態における酸洗浄および中性洗浄でのスラッジ量を例示するグラフである。
[図8] 第2実施形態における洗浄時間と洗浄液中のFeイオン濃度の推移の模式図である。
[図9] 第3実施形態に係る洗浄保管方法の工程図である。
[図10] 洗浄保管装置の一例を示す模式図である。
[図11] 洗浄保管装置の一例を示す模式図である。
[図12] 複数部位洗浄時の模式図である。
[図13] 従来の化学洗浄方法の工程図である。

発明を実施するための形態

[0042]
 以下に、本開示に係るボイラプラントの洗浄保管方法および洗浄保管装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
[0043]
 以下の実施形態では、排熱回収ボイラの洗浄保管方法を例示する。以下の実施形態に係る洗浄保管方法の各工程では、常温の洗浄液を用いて、加温せず洗浄対象機器(洗浄対象部位)内を洗浄する。「常温」とは、室温程度を意味し、外部から予熱や加熱を行わない温度である。「常温」は、具体的に5から50℃、より好ましくは15℃から30℃である。
[0044]
〔第1実施形態〕
 図1に、本実施形態に係るボイラプラントの洗浄保管方法の工程図を示す。本実施形態に係る洗浄保管方法は、ステップ1(S1)からステップ6(S6)を順に含む。
[0045]
(S1)仮設系統(洗浄保管装置)接続
 まず、洗浄対象機器内に洗浄液を供給するための仮設系統を接続する。以降、洗浄液等は仮設系統を介して洗浄対象機器内に注入される。
[0046]
(S2)中性洗浄
 仮設系統から除錆剤を含む中性の洗浄液を注入して洗浄対象機器内を中性の洗浄液で満たした後、該中性の洗浄液を常温で系統内に循環させる。循環させている間、洗浄液を加温することはない。
[0047]
 除錆剤を含む中性の洗浄液のpHは、4から8である。除錆剤は、キレート剤、還元剤、またはキレート剤と還元剤との混合剤であり、洗浄対象機器内部に付着した除去対象物(例えば、金属酸化物や金属塩などを含むスケール、さびこぶなど)を除去可能な薬剤である。「さびこぶ」とは、鉄鋼の表面に生じるこぶ状の腐食生成物(JIS Z 0103 1050参照)である。中性の洗浄液は、所望の洗浄能力および洗浄時間が得られように、キレート剤、還元剤および腐食抑制剤の濃度が適切に調整されている。
[0048]
 キレート剤は、例えばEDTA、BAPTA、DOTA、EDDS、INN、NTA、DTPA、HEDTA、TTHA、PDTA、DPTA-OH、HIDA、DHEG、GEDTA、CMGA、EDDSなどのアミノカルボン酸およびこれらの塩などのアミノカルボン酸系キレート剤、クエン酸、グルコン酸、ヒドロキシ酢酸などのオキシカルボン酸およびこれらの塩などのオキシカルボン酸系キレート剤、ATMP、HEDP、NTMP、PBTC、EDTMP等の有機リン酸およびこれらの塩などの有機リン系キレート剤である。還元剤は、例えば、Fe 2+、Sn 2+などの各種金属イオン、亜硫酸ナトリウムなどの亜硝酸塩、シュウ酸、蟻酸、アスコルビン酸、ピロガロールなどの有機化合物、ヒドラジン、水素などである。中性の洗浄液には腐食抑制剤が添加されていても良い。
[0049]
(S3)押出ブロー
 循環させた中性の洗浄液の液中Feイオンを分析し、液中Feイオン濃度の変化が飽和傾向になることが確認された後、洗浄対象機器内に常温のアンモニア系化合物水溶液を注入しながら中性の洗浄液を押出ブローする。飽和傾向とは、前回の液中Feイオン鉄濃度測定値と比較して、液中Feイオン濃度の変化幅が100mg/L以下となることを意味する。押出ブローに使用するアンモニア化合物水溶液の液量は、例えば洗浄対象機器の容量の1倍から1.5倍程度である。
[0050]
 アンモニア系化合物水溶液は、pHが9.8から11、好ましくはpH9.8から10.5となるような濃度でアンモニア系化合物を含む。アンモニア系化合物は、例えば、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、3-メトキシプロピルアミン、及びアンモニアから選ばれる揮発性アミン化合物である。
[0051]
(S4)アンモニア系化合物水溶液循環
 上記(S3)において、アンモニア化合物水溶液で中性の洗浄液の略全量を押出ブローした後、押出ブローを一旦停止し、洗浄対象機器内のアンモニア系化合物水溶液を循環させる。アンモニア系化合物水溶液循環の間、アンモニア系化合物水溶液を加温することはない。
[0052]
 アンモニア系化合物水溶液を循環したのちに、該アンモニア系化合物水溶液を分析し、液中の除錆剤に由来する成分を確認する。
[0053]
 例えば、中性の洗浄液がキレート剤として有機リン酸を含む場合、アンモニア系化合物水溶液中のリン(P)を分析する。P分析は、JIS K 0102 工業排水試験法 46.3 全りんに記載のモリブデン青吸光光度法、イオンクロマトグラフィー、ICP質量分析法または原子吸光法などで実施できる。
[0054]
 液中の除錆剤由来成分が基準値以下となるまで、上記(S3)、(S4)を繰り返す。基準値は予備試験等で事前に設定する。液中の除錆剤由来成分が基準値以下となったことを確認する。
[0055]
(S5)アンモニア系化合物水溶液ブロー
 上記(S4)の後、洗浄対象機器内からアンモニア系化合物水溶液をブローし、洗浄対象機器内面にアンモニア含有水膜を形成する。このアンモニア含有水膜部分は防錆効果がある。
[0056]
(S6)仮設系統解体
 上記(S5)の後、仮設系統を解体する。
[0057]
 上記ステップ2からステップ5の洗浄は、1回のみ実施しても良いし、複数回実施しても良い。
[0058]
 洗浄対象機器が常設の洗浄保管装置を備えている場合、上記(S1)および(S6)は省略される。
[0059]
 図2に、(S2)中性洗浄前後のスラッジ量(規格値)を例示する。同図において、縦軸は洗浄対象機器内に残留したスラッジ量である。(S2)中性洗浄のみで9割程度のスラッジを除去できる。
[0060]
 (S2)中性洗浄では、Feスケールが溶解除去される。図3に、洗浄時間と洗浄液中のFeイオン濃度の推移の模式図を示す。同図において、横軸は洗浄時間、縦軸はFeイオン濃度、破線は中性洗浄時の推移である。中性洗浄では、ある程度洗浄が進むと洗浄の対象であるスケールが除去され、Feスケール溶解量が低下し、洗浄液中のFeイオン濃度変化が飽和傾向となる。上記洗浄保管方法では、Feイオン濃度変化の飽和傾向を確認して各洗浄工程を終了することで、必要以上の洗浄継続を避け、必要最低時間で中性洗浄を実施できる。これにより、各洗浄時間の延長を抑制できる。
[0061]
 上記洗浄保管方法によれば、中性の洗浄液を洗い流した後、アンモニア系化合物水溶液を系内に循環させることで、洗浄対象機器の母材10の表面に高pH(9.8以上)のアンモニア含有水膜11が形成される(図4参照)。高pHの水膜部分は防錆効果があり、当該効果はアンモニア系化合物水溶液をブローした後、洗浄設備仮設配管の復旧工事が完了するまで持続される。アンモニア含有水膜11のpHが9.8以上であるので、ヒドラジンがなくても防錆効果を奏するため、ヒドラジンが不要となり環境性にも優れている。
[0062]
 洗浄設備仮設配管の取合箇所復旧工程が長引き、開放時間が長くなる場合は、アンモニア含有水膜11からアンモニア成分が抜ける。そのため、(S6)仮設系統の解体中に、常温常圧で気化性のアンモニア化合物の固形物を追加で洗浄対象機器内に投入し、アンモニアガスを補充してもよい。投入されたアンモニア化合物は、速やかに気化し、アンモニア系ガスを発生させる。アンモニア系ガスは系統内に拡散し、アンモニア含有水膜に溶解される。それにより、アンモニア含有水膜11のpHを高く維持できるため、pH低下によるアンモニア含有水膜11の防錆効果の低下を低減できる。
[0063]
 運転開始時に残留しているアンモニア系化合物水溶液の水膜またはアンモニア化合物の固形物は、運転用水に容易に溶解する。排熱回収ボイラでは、運転時の給水のpH調整にアンモニアを使用する。上記実施形態において水膜を形成するために用いるアンモニア系化合物水溶液は、主成分がアンモニアであるため、排熱回収ボイラの運転開始時に除去する必要がない。そのため、排熱回収ボイラを保管した後、そのまま運転を開始できるため、作業時間が短縮され、プラントの稼働率向上の他、薬品コスト、排水処理コスト低減も可能となる。
[0064]
 中性の洗浄液を循環の途中でろ過してもよい。それにより、洗浄時のスラッジ残留量を低減できるため、スラッジ残留による伝熱管の伝熱性能低下やスラッジ含有成分による腐食発生のリスクを低減できる。
[0065]
 上記実施形態に係る洗浄保管方法は、排熱回収ボイラのボイラ水系統の洗浄に好適である。特に、図5に示すように、洗浄の必要性がある洗浄対象機器をスケールが付着しやすい特定の部位(例えば、温度、圧力条件からスケールが付着しやすい蒸発器の伝熱管)に特定した洗浄が、洗浄液の使用量および洗浄に係る作業時間を削減でき、より好適である。
[0066]
〔第2実施形態〕
 図6に、本実施形態に係るボイラプラントの洗浄保管方法の工程図を示す。本実施形態は、中性洗浄の前に酸洗浄の工程を実施するところが第1実施形態と異なる。本実施形態に係る洗浄保管方法は、ステップ11(S11)からステップ19(S19)を順に含む。
[0067]
(S11)仮設系統(洗浄保管装置)接続
 第1実施形態の(S1)と同様に、まず、洗浄対象機器内に洗浄液を供給するための仮設系統を接続する。以降、洗浄液等は仮設系統を介して洗浄対象機器内に注入される。
[0068]
(S12)酸洗浄
 仮設系統から酸性の洗浄液を注入して洗浄対象機器内を酸性の洗浄液で満たした後、該酸性の洗浄液を常温で洗浄対象機器内に循環させる。循環させている間、洗浄液を加温することはない。酸性の洗浄液は、Ca,AlおよびCu等を溶解可能な無機酸溶液または有機酸溶液であればよい。酸性の洗浄液のpHは4以下が好ましく、3以下がさらに好ましい。例えば、酸性の洗浄液として1質量%から10質量%塩酸水溶液を用いることができる。
[0069]
(S13)酸性洗浄液ブロー
 循環させた酸性の洗浄液の液中鉄(Fe)イオンを分析し、Feイオン濃度変化の飽和傾向が確認された後、洗浄液をブローして酸洗浄を終了する。飽和傾向とは、前回の液中Feイオン鉄濃度測定値と比較して、液中Feイオン濃度の変化幅が100mg/L以下となることを意味する。
[0070]
 液中鉄イオンは、JIS K 0101 工業用水試験法 60 鉄(Fe)に記載のフェナントロリン吸光光度法、フレーム原子吸光法、電気加熱原子吸光法またはICP発光分光分析法、または、JIS B 8224のボイラの給水およびボイラ水―試験方法 26 鉄(Fe)に記載の1,10-フェナントロリン吸光光度法、2,4,6-トリ-ピリジル-1,3,5-トリアジン(TPTZ)吸光光度法、フレーム原子吸光法、電気加熱原子吸光法、ICP発光分光分析法またはICP質量分析法、スルホサリチル吸光光度法などで分析できる。JISは、日本工業規格の略称である。
[0071]
(S14)水洗
 洗浄対象機器内を水で満たした後、該水を常温で循環させて洗浄対象機器内に残る酸性の洗浄液を水で置換する。当該工程は、省略されてもよい。
[0072]
(S15)中性洗浄
 上記(S14)の水をブローした後、除錆剤を含む中性の洗浄液で洗浄対象機器内を満たし、該中性の洗浄液を常温で系統内に循環させる。循環させている間、洗浄液を加温することはない。中性の洗浄液は、第1実施形態と同様のものを使用できる。
[0073]
(S16)押出ブロー
 第1実施形態の(S3)と同様に、循環させた中性の洗浄液の液中Feイオンを分析し、液中Feイオン濃度の変化が飽和傾向になることが確認された後、洗浄対象機器内に常温のアンモニア系化合物水溶液を注入しながら中性の洗浄液を押出ブローする。アンモニア系化合物水溶液は、第1実施形態と同様のものを使用できる。
[0074]
(S17)アンモニア系化合物水溶液循環
 第1実施形態の(S4)と同様に、上記(S16)において、中性の洗浄液の略全量をアンモニア化合物水溶液で押出ブローした後、押出ブローを一旦停止し、洗浄対象機器内のアンモニア系化合物水溶液を循環させる。アンモニア系化合物水溶液循環の間、アンモニア系化合物水溶液を加温することはない。
[0075]
 アンモニア系化合物水溶液循環したのちに該アンモニア系化合物水溶液を分析し、液中の除錆剤に由来する成分を確認する。
[0076]
 液中の除錆剤由来成分が基準値以下となるまで、上記(S16)、(S17)を繰り返す。基準値は予備試験等で事前に設定する。液中の除錆剤由来成分が基準値以下となったことを確認する。
[0077]
(S18)アンモニア系化合物水溶液ブロー
 第1実施形態の(S5)と同様に、上記(S17)の後、洗浄対象機器内からアンモニア系化合物水溶液をブローし、洗浄対象機器内面にアンモニア含有水膜を形成する。このアンモニア含有水膜部分は防錆効果がある。
[0078]
(S19)仮設系統解体
 第1実施形態の(S6)と同様に、上記(S18)の後、仮設系統を解体する。
[0079]
 上記洗浄保管方法のステップ12からステップ18の洗浄は、1回のみ実施しても良いし、複数回実施しても良い。
[0080]
 洗浄対象機器が常設の保管装置を備えている場合、上記(S11)および(S19)は省略される。
[0081]
 上記洗浄保管方法によれば、Ca,AlおよびCu等の中性の洗浄液に溶解しにくいスケールを(S12)酸洗浄で除去した後、洗浄対象機器内に残留するスラッジを(S15)中性洗浄で除去する。中性の洗浄液を使用することで、対象機器の母材腐食を極力抑えながら残りのスケールを溶解除去し、スラッジの残留量を低減できる。
[0082]
 図7に(S12)酸洗浄および(S15)中性洗浄でのスラッジ残留量(規格値)を例示する。同図において、縦軸は洗浄対象機器内に残留したスラッジ量(酸洗浄前を100とする)である。図2に示すように、常温の酸洗浄では2割程度のスラッジが残留するが、中性洗浄することで残留した2割の内の7割程度のスラッジを除去できた。
[0083]
 (S12)酸洗浄および(S15)中性洗浄では、ともにFeスケールも溶解除去される。図8に、洗浄時間と洗浄液中のFeイオン濃度の推移の模式図を示す。同図において、横軸は洗浄時間、縦軸はFeイオン濃度、実線は酸洗浄時の推移、破線は中性洗浄時の推移である。酸洗浄および中性洗浄では、ある程度洗浄が進むと洗浄の対象であるスケールが除去され、Feスケール溶解量が低下し、洗浄液中のFeイオン濃度変化が飽和傾向となる。本実施形態に係る洗浄保管方法では、Feイオン濃度変化の飽和傾向を確認して各洗浄工程を終了することで、必要以上の洗浄継続を避け、必要最低時間で酸洗浄および中性洗浄を実施できる。これにより、各洗浄時間の延長を抑制できる。
[0084]
 本実施形態に係る洗浄保管方法によれば、中性の洗浄液を洗い流した後、アンモニア系化合物水溶液を系内に循環させることで、洗浄対象機器の母材10の表面に高pH(9.8以上)のアンモニア含有水膜11が形成される。高pHの水膜部分は防錆効果があり、当該効果はアンモニア系化合物水溶液をブローした後、洗浄設備仮設配管の復旧工事が完了するまで持続される。アンモニア含有水膜11のpHが9.8以上であるので、ヒドラジンがなくても防錆効果を奏するため、ヒドラジンが不要となり環境性にも優れている。
[0085]
 洗浄設備仮設配管の取合箇所復旧工程が長引き、開放時間が長くなる場合は、アンモニア含有水膜11からアンモニア成分が抜ける。そのため、(S19)仮設系統の解体中に、常温常圧で気化性のアンモニア化合物の固形物を追加で洗浄対象機器内に投入し、アンモニアガスを補充してもよい。投入されたアンモニア化合物は、速やかに気化し、アンモニア系ガスを発生させる。アンモニア系ガスは系統内に拡散し、アンモニア含有水膜に溶解される。それにより、アンモニア含有水膜11のpHを高く維持できるため、pH低下によるアンモニア含有水膜11の防錆効果の低下を低減できる。
[0086]
 運転開始時に残留しているアンモニア系化合物水溶液の水膜またはアンモニア化合物の固形物は、運転用水に容易に溶解する。排熱回収ボイラでは、運転時の給水のpH調整にアンモニアを使用する。上記実施形態において水膜を形成するために用いるアンモニア系化合物水溶液は、主成分がアンモニアであるため、排熱回収ボイラの運転開始時に除去する必要なない。そのため、排熱回収ボイラを保管した後、そのまま運転を開始できるため、作業時間が短縮され、プラントの稼働率向上の他、薬品コスト、排水処理コスト低減も可能となる。
[0087]
 酸性の洗浄液および中性の洗浄液の少なくも一方を循環の途中でろ過してもよい。それにより、洗浄時のスラッジ残留量を低減できるため、スラッジ残留による伝熱管の伝熱性能低下およびスラッジ含有成分による腐食発生のリスクを低減できる。
[0088]
 上記実施形態に係る洗浄保管方法は、排熱回収ボイラのボイラ水系統の洗浄に好適である。特に、図5に示すように、洗浄の必要性がある洗浄対象機器をスケールが付着しやすい特定の部位(例えば、温度、圧力条件からスケールが付着しやすい蒸発器の伝熱管)に特定した洗浄が、洗浄液の使用量および洗浄に係る作業時間を削減でき、より好適である。
[0089]
〔第3実施形態〕
 図9に、本実施形態に係るボイラプラントの洗浄保管方法の工程図を示す。本実施形態は、酸洗浄の工程を中性洗浄の後に実施するところが第1,2実施形態と異なる。本実施形態に係る洗浄保管方法は、ステップ21(S21)からステップ28(S28)を順に含む。
[0090]
(S21)仮設系統(保管装置)接続
 第1実施形態の(S1)と同様に、まず、洗浄対象機器内に洗浄液を供給するための仮設系統を接続する。以降、洗浄液等は仮設系統を介して洗浄対象機器内に注入される。
[0091]
(S22)中性洗浄
 第1実施形態の(S2)と同様に、仮設系統から除錆剤を含む中性の洗浄液を注入して洗浄対象機器内を中性の洗浄液で満たした後、該中性の洗浄液を常温で系統内に循環させる。循環させている間、洗浄液を加温することはない。中性の洗浄液は、第1実施形態と同様のものを使用できる。
[0092]
(S23)中性洗浄液ブロー
 循環させた中性の洗浄液の液中鉄(Fe)イオンを分析し、Feイオン濃度変化の飽和傾向が確認されたら洗浄液をブローして中性洗浄を終了する。
[0093]
(S24)酸洗浄
 上記(S23)で中性の洗浄液をブローした後、除錆剤を含む酸性の洗浄液で洗浄対象機器内を満たし、該酸性の洗浄液を常温で系統内に循環させる。循環させている間、洗浄液を加温することはない。酸性の洗浄液は、第2実施形態と同様のものを用いることができる。
[0094]
(S25)押出ブロー
 循環させた酸性の洗浄液の液中Feイオンを分析し、液中Feイオン濃度の変化が飽和傾向になることが確認された後、洗浄対象機器内に常温のアンモニア系化合物水溶液を注入しながら中性の洗浄液を押出ブローする。アンモニア系化合物水溶液は、第1実施形態と同様のものを使用できる。
[0095]
(S26)アンモニア系化合物水溶液循環
 上記(S25)において、アンモニア化合物水溶液で酸性の洗浄液の略全量をアンモニア化合物水溶液で押出ブローした後、押出ブローを一旦停止し、洗浄対象機器内のアンモニア系化合物水溶液を循環させる。アンモニア系化合物水溶液循環の間、アンモニア系化合物水溶液を加温することはない。
[0096]
 アンモニア系化合物水溶液循環したのちにアンモニア系化合物水溶液を分析し、アンモニア系化合物水溶液のpHの値を確認する。
[0097]
 アンモニア系化合物水溶液のpHが基準値以上となるまで、上記(S25)、(S26)を繰り返す。基準値は予備試験等で事前に設定する。アンモニア系化合物水溶液のpHが基準値以上となったことを確認する。基準値は、例えばヒドラジンがなくても防錆効果を奏するpH9.8以上である。
[0098]
(S27)アンモニア系化合物水溶液ブロー
 第1実施形態の(S5)と同様に、上記(S26)の後、洗浄対象機器内からアンモニア系化合物水溶液をブローし、洗浄対象機器内面にアンモニア含有水膜を形成する。このアンモニア含有水膜部分は防錆効果がある。
[0099]
(S28)仮設系統解体
 第1実施形態の(S6)と同様に、上記(S27)の後、仮設系統を解体する。
[0100]
 上記ステップ22からステップ27の洗浄は、1回のみ実施しても良いし、複数回実施しても良い。
[0101]
 次に、洗浄対象機器を排熱回収ボイラの蒸発器とした場合の洗浄について、図10および図11を参照して説明する。
[0102]
 図10は、仮設系統(洗浄保管装置2)の模式図である。図10において、洗浄対象機器は、蒸発器1の伝熱管である。図10では図の簡略化のため洗浄保管装置2が接続される伝熱管の入口管寄せ1aおよび出口寄せ1bのみを記載する。図10において、入口管寄せ1aに入る矢印は蒸発器ドラムからのつながり、出口管寄せ1bから出る矢印は蒸発器ドラムへのつながりを表す。
[0103]
 洗浄保管装置2は、循環部3、薬液タンク4、薬液ポンプ5、補給水タンク6、排水タンク7およびそれらを接続する配管L からL を備えている。循環部3は、循環流路(配管L )およびポンプ8を備えている。
[0104]
 循環流路(配管L )は、一端が伝熱管の入口側(入口管寄せ1a)に接続され、他端が伝熱管の出口側(出口管寄せ1b)に接続されている。循環流路(配管L )の途中にはポンプ8が設けられており、伝熱管内に洗浄液等を循環できるよう構成されている。循環流路(配管L )には、バルブV からV が設置されている。
[0105]
 薬液タンク4は、配管L および薬液ポンプ5を介して循環流路(配管L )の途中に接続されている。配管L には薬液ポンプ5を挟むようバルブV とバルブV が配置されている。薬液タンク4内には、循環させたい薬液(酸、除錆剤またはアンモニア系化合物水溶液)が貯留されうる。薬液タンク4は、薬液タンク4を含むタンクローリであってもよい。図10では薬液タンク4が1つなので、薬液タンク4内の薬液を順番に入れ替える。
[0106]
 循環流路(配管L )には、配管L を介して補給水タンク6が接続されている。配管L にはバルブV およびバルブV が配置されている。補給水タンク6の接続位置は、薬液タンク4の接続位置の循環流上流、下流側どちらでも良い。補給水タンク6には、純水等の水が貯留されている。
[0107]
 排水タンク7は、配管L からL を介して循環流路(配管L )の両端付近および伝熱管の入口管寄せ1aまたは伝熱管の入口管寄せに接続される連絡管(図示なし)に接続されている。配管L にはバルブV およびバルブV 10が配置されている。配管L にはバルブV 11およびバルブV 12が配置されている。配管L にはバルブV 13およびバルブV 14が配置されている。
[0108]
 図10の洗浄保管装置2では、ポンプ8の循環流下出口流側の循環流路(配管L )にろ過装置9が設けられている。ろ過装置9は、フィルターまたは膜濾過により微固形物を除去する装置である。ろ過装置9を備えることで、中性洗浄工程や酸洗浄工程で発生するスラッジを回収し、洗浄時のスラッジ残留量を低減できるため、スラッジ残留による腐食トラブルのリスクを低減できる。
[0109]
 図10の洗浄保管装置2には、常温で動作するため、流体の温度を調整する手段は設置されない。
[0110]
 図11は、図10とは別の仮設系統(洗浄保管装置20)の模式図である。図10と共通の構成は同じ符号で表す。図11の洗浄保管装置20では、薬液タンク24aから24cを複数並列に接続し、かつ、排水タンク7の代わりに薬液タンク24aから24cのいずれかに排水(ブロー液)を戻すブロー流路L 21を設けている。ブロー流路L 21にはバルブV 27が配置されている。
[0111]
 図11では、補給水タンク6、薬液タンク24a、バルブV 25a、バルブ V26a、薬液ポンプ5、配管L およびバルブV が酸性洗浄液供給部、補給水タンク6、薬液タンク24b、バルブV 25b、バルブV 26b、薬液ポンプ5、配管L およびバルブV が中性洗浄液供給部、補給水タンク6、薬液タンク24c、バルブV 25c、バルブV 26c、薬液ポンプ5、配管L およびバルブV がアンモニア系化合物水溶液供給部である。
[0112]
 薬液タンク24aには酸が貯留される。薬液タンク24bには中性の除錆剤が貯留される。薬液タンク24cにはアンモニア系化合物水溶液が貯留される。
[0113]
 各薬液毎に薬液タンク24aから24cを設けることで、酸性洗浄液ブロー、水洗、押出ブロー、アンモニア系化合物水溶液ブローの各工程のブロー液を薬液タンク24aから24cのいずれかに戻せる。
[0114]
 なお、図10および図11の洗浄保管装置2,20は、使用時に洗浄対象機器に取り付けて使用できるとともに、不使用時には洗浄対象機器から取り外しできる着脱可能型、または、常設型のいずれであってもよい。
[0115]
 図10は、上記第1実施形態から第3実施形態のボイラプラントの洗浄保管方法に適用できる。図11は、上記第1実施形態から第3実施形態のボイラプラントの洗浄保管方法に適用できる。図11は、特に上記第2実施形態および第3実施形態のボイラプラントの洗浄保管方法に好適である。

符号の説明

[0116]
1 蒸発器
1a 入口管寄せ
1b 出口管寄せ
2 洗浄保管装置
3 循環部
4,24a,24b,24c 薬液タンク
5 薬液ポンプ
6 補給水タンク
7 排水タンク
8 ポンプ
9 ろ過装置
10 母材
11 アンモニア含有水膜

請求の範囲

[請求項1]
 スケールが付着した洗浄対象部位を、除錆剤を含む中性の洗浄液により常温で中性洗浄する工程と、
 前記洗浄対象部位に、アンモニア系化合物を含むpH9.8以上の常温のアンモニア系化合物水溶液を循環させる工程と、
 前記洗浄対象部位から、前記アンモニア系化合物水溶液をブローする工程を備えたボイラプラントの洗浄保管方法。
[請求項2]
 前記中性洗浄する工程において、
 前記洗浄対象部位内に前記中性の洗浄液を循環させ、
 循環させた前記中性の洗浄液中の鉄イオンを分析し、
 前記中性の洗浄液中の鉄イオン濃度変化が飽和傾向を示したことを確認した後、前記中性洗浄を終了する請求項1に記載のボイラプラントの洗浄保管方法。
[請求項3]
 前記アンモニア系化合物水溶液を循環させる工程の前に、酸性の洗浄液により常温で酸洗浄する工程を備えた請求項1または2に記載のボイラプラントの洗浄保管方法。
[請求項4]
 前記酸洗浄する工程において、
 前記洗浄対象部位内に前記酸性の洗浄液を循環させ、
 循環させた前記酸性の洗浄液中の鉄イオンを分析し、
 前記酸性の洗浄液中の鉄イオン濃度変化が飽和傾向を示したことを確認した後、前記酸洗浄を終了する請求項3に記載のボイラプラントの洗浄保管方法。
[請求項5]
 前記酸洗浄の後、前記アンモニア系化合物水溶液を用いて前記酸性の洗浄液を押出ブローする工程をさらに備え、
 前記押出ブローする工程において、
 前記押出ブローで前記酸性の洗浄液の略全量をブローし、前記洗浄対象部位内の前記アンモニア系化合物水溶液を循環した後に前記アンモニア系化合物水溶液のpHについて分析し、
 分析した前記pHが基準値以上となるまで、前記押出ブローおよび前記アンモニア系化合物水溶液の循環を継続する請求項3または4に記載のボイラプラントの洗浄保管方法。
[請求項6]
 前記中性洗浄の後、前記アンモニア系化合物水溶液を用いて前記中性の洗浄液を押出ブローする工程をさらに備え、
 前記押出ブローする工程において、
 前記押出ブローで前記中性の洗浄液の略全量をブローし、前記洗浄対象部位内の前記アンモニア系化合物水溶液を循環した後に前記アンモニア系化合物水溶液中の前記除錆剤に由来する成分について分析し、
 分析した前記除錆剤に由来する成分の濃度が基準値以下となるまで、前記押出ブローおよび前記アンモニア系化合物水溶液の循環を継続する請求項1から4のいずれかに記載のボイラプラントの洗浄保管方法。
[請求項7]
 前記アンモニア系化合物水溶液をブローする工程の後、前記洗浄対象部位内に気化性のアンモニア化合物の固体を投入する請求項1から6のいずれかに記載のボイラプラントの洗浄保管方法。
[請求項8]
 前記酸性の洗浄液および前記中性の洗浄液の少なくとも一方を循環の途中でろ過する請求項1から7のいずれかに記載のボイラプラントの洗浄保管方法。
[請求項9]
 前記洗浄対象部位を排熱回収ボイラの蒸発器とする請求項1から8のいずれかに記載のボイラプラントの洗浄保管方法。
[請求項10]
 スケールが付着した洗浄対象部位内に流体を循環するよう構成された循環部と、
 前記循環部に除錆剤を含む中性の洗浄液を供給する中性洗浄液供給部と、
 前記循環部にアンモニア系化合物を含むpH9.8以上のアンモニア系化合物水溶液を供給するアンモニア系化合物水溶液供給部と、
 前記循環部から前記アンモニア系化合物水溶液を排出するブロー流路と、
を備えたボイラプラントの洗浄保管装置。
[請求項11]
 前記循環部が、
 両端が前記洗浄対象部位の出入口に接続された循環流路と、
 前記循環流路の途中に設けられたポンプと、
 前記ポンプよりも下流側の前記循環流路の途中に設けられたろ過装置と、
を備えた請求項10に記載のボイラプラントの洗浄保管装置。
[請求項12]
 前記ブロー流路は、一端が前記循環部、前記洗浄対象部位の入口および出口の少なくともいずれかに接続され、他端が前記中性洗浄液供給部および前記アンモニア系化合物水溶液供給部の少なくともいずれかに接続された請求項10または11に記載のボイラプラントの洗浄保管装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]