Processing

Please wait...

Settings

Settings

Goto Application

1. WO2020137699 - VEHICULAR HEAT MANAGEMENT SYSTEM

Document

明 細 書

発明の名称 車両用熱マネジメントシステム 0001  

技術分野

0002  

背景技術

0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

0005   0006   0007   0008   0009   0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : 車両用熱マネジメントシステム

関連出願への相互参照

[0001]
 本出願は、2018年12月26日に出願された日本特許出願番号2018-243349号に基づくもので、ここにその記載内容が参照により組み入れられる。

技術分野

[0002]
 本開示は、車両に搭載される車両用熱マネジメントシステムに関するものである。

背景技術

[0003]
 特許文献1には、車両用熱マネジメントシステムが開示されている。このシステムは、走行用モータに電力を供給する車両走行用の電池と、電池から受けた熱を輸送する液状の熱輸送媒体と、電池との熱交換によって熱輸送媒体に受熱させる受熱部と、車両の外部の空気との熱交換によって熱輸送媒体を放熱させる放熱器とを備える。このシステムでは、電池の熱が熱輸送媒体を介して車両の外部の空気に伝達されることによって、電池が冷却される。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2015-131597号公報

発明の概要

[0005]
 上記のシステムでは、熱輸送媒体の導電性が高い場合、漏れた熱輸送媒体が電池に触れると、液絡が生じる。このため、この対策として、例えば、熱輸送媒体の漏れが発生しないように、受熱部を流れる熱交換媒体の流量を少なく抑えることが必要となる。また、他の例として、漏れた熱輸送媒体が電池にかからないように、電池と受熱部との間に隔壁を配置することが必要となる。また、他の例として、漏れた熱輸送媒体と電池との接触面積を極力小さくするために、電池に対する受熱部の設置領域を小さく抑えることが必要となる。
 しかし、これらの対策を行うと、電池から熱輸送媒体への受熱量が少なく抑えられる。このため、放熱器の放熱能力が、電池の冷却に十分に発揮されない。これが、放熱器の大型化の原因となる。
[0006]
 本開示は、放熱器の放熱能力を電池の冷却に十分に発揮させることができる車両用熱マネジメントシステムを提供することを目的とする。
[0007]
 上記目的を達成するため、本開示の第1の観点によれば、
 車両用熱マネジメントシステムは、
 充放電に伴い発熱する車両走行用の電池と、
 電池から受けた熱を輸送する液状の熱輸送媒体と、
 電池との熱交換によって熱輸送媒体を受熱させる受熱部と、
 車両の外部の空気との熱交換によって熱輸送媒体を放熱させる放熱器とを備え、
 熱輸送媒体は、液状の基材と、基材に相溶するオルト珪酸エステルとを含み、かつ、イオン性防錆剤を含まない。
[0008]
 これによれば、熱輸送媒体は、オルト珪酸エステルを含み、かつ、イオン性防錆剤を含まない。熱輸送媒体に、オルト珪酸エステルが含まれることで、熱輸送媒体は防錆の機能を有する。このため、熱輸送媒体に、イオン性防錆剤が含まれなくてもよい。この熱輸送媒体は、イオン性防錆剤を含まないので、イオン性防錆剤を含む場合と比較して、導電率が低く、高い電気絶縁性を有する。
[0009]
 このシステムでは、電気絶縁性が高い熱輸送媒体が用いられる。これにより、上記した液絡の対策が不要になる。このため、上記した液絡の対策を行うことによる、電池から熱輸送媒体への受熱量が抑えられることを回避できる。換言すると、このシステムによれば、液絡を気にせずに、電池から熱輸送媒体への受熱量が多くなるように、熱輸送媒体の流量を設定したり、受熱部を電池に対して設けたりすることができる。よって、放熱器の放熱能力を電池の冷却に十分に発揮させることができる。
[0010]
 なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 第1実施形態における車両用熱マネジメントシステムの全体構成を示す模式図である。

発明を実施するための形態

[0012]
 以下、本開示の実施形態について図に基づいて説明する。
[0013]
 (第1実施形態)
 図1に示す車両用熱マネジメントシステム10は、電動車両に搭載される。以下では、車両用熱マネジメントシステム10は、単に、システム10と呼ばれる。電動車両は、走行用電動モータ2から車両走行用の駆動力を得る。電動車両としては、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、電動2輪等が挙げられる。電動車両の車輪数や車両用途は限定されない。電動車両には、走行用電動モータ2と、電池4、インバータ6が搭載されている。
[0014]
 走行用電動モータ2は、電池4から供給された電力を車両走行用の動力に変換するとともに、減速時に車両の動力を電力に変換するモータジェネレータである。走行用電動モータ2は、動力と電力との変換に伴い発熱する。
[0015]
 電池4は、走行用電動モータ2に電力を供給する車両走行用の電池である。電池4は、車両減速時に走行用電動モータ2から供給される電力を充電する。電池4は、車両停車時に外部電源(すなわち、商用電源)から供給される電力の充電が可能である。電池4は、充放電に伴い発熱する。
[0016]
 インバータ6は、電池4から走行用電動モータ2へ供給される電力を直流から交流へ変換する電力変換装置である。また、インバータ6は、走行用電動モータ2から電池4へ充電される電力を交流から直流へ変換する。インバータ6は、電力の変換に伴い発熱する。
[0017]
 システム10は、電池4と、熱輸送媒体14と、受熱部16と、空気熱交換器20と、オイル熱交換器22と、インバータ熱交換器24と、イオン交換器26と、ポンプ30と、ホース34とを備える。
[0018]
 熱輸送媒体14は、液状であり、電池4から受けた熱を輸送する。熱輸送媒体14は、液状の基材と、オルト珪酸エステルとを含み、イオン性防錆剤を含まない。
[0019]
 基材は、熱輸送媒体14のベースとなる材料である。液状の基材とは、使用状態で液体の状態であることを意味する。基材としては、凝固点降下剤が添加された水が用いられる。水が用いられるのは、水は熱容量が大きく、安価であり、粘性が低いからである。凝固点降下剤が水に添加されるのは、環境温度が氷点下であっても液体の状態を確保するためである。凝固点降下剤は、水に溶解し、水の凝固点を降下させる。凝固点降下剤としては、有機アルコール、例えば、アルキレングリコールまたはその誘導体が用いられる。アルキレングリコールとしては、例えば、モノエチレングリコール、モノプロピレングリコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、グリセリンが単独または混合物として用いられる。凝固点降下剤としては、有機アルコールに限らず、無機塩等が用いられてもよい。
[0020]
 オルト珪酸エステルは、基材に相溶する。オルト珪酸エステルは、熱輸送媒体14に防錆の機能を持たせるための化合物である。オルト珪酸エステルが熱輸送媒体14に含まれることで、熱輸送媒体14は防錆の機能を有する。このため、熱輸送媒体14にイオン性防錆剤が含まれなくてもよい。
[0021]
 オルト珪酸エステルとしては、一般式(I)で示される化合物が用いられる。
[0022]
[化1]


 一般式(I)において、置換基R ~R は、同じ又は異なり、かつ、炭素数1~20のアルキル置換基、炭素数2~20のアルケニル置換基、炭素数1~20のヒドロキシアルキル置換基、置換又は非置換の炭素数6~12のアリール置換基及び/又は式-(CH -CH -O)n-R のグリコールエーテル-置換基を表す。R は、水素又は炭素数1~5のアルキルを表す。nは、1~5の数を表す。
[0023]
 オルト珪酸エステルの典型的な例は、純粋なテトラアルコキシシラン、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n-プロポキシ)シラン、テトラ(イソプロポキシ)シラン、テトラ(n-ブトキシ)シラン、テトラ(t-ブトキシ)シラン、テトラ(2-エチルブトキシ)シラン、又はテトラ(2-エチルヘキソキシ)シラン、並びにさらにテトラフェノキシシラン、テトラ(2-メチルフェノキシ)シラン、テトラビニルオキシシラン、テトラアリルオキシシラン、テトラ(2-ヒドロキシエトキシ)シラン、テトラ(2-エトキシエトキシ)シラン、テトラ(2-ブトキシエトキシ)シラン、テトラ(1-メトキシ-2-プロポキシ)シラン、テトラ(2-メトキシエトキシ)シラン又はテトラ[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]シランである。
[0024]
 オルト珪酸エステルとしては、一般式(I)において、置換基R ~R は、同じであり、かつ、炭素数1~4のアルキル置換基又は式-(CH -CH -O)n-R のグリコールエーテル置換基を表し、R は水素、メチル又はエチルを表し、nは1、2又は3の数を表す化合物が用いられることが好ましい。
[0025]
 オルト珪酸エステルは、熱輸送媒体14の全体に対するケイ素の濃度が1~10000質量ppmとなるように、熱輸送媒体14に含まれる。このケイ素の濃度は、1質量ppm以上2000質量ppm以下であることが好ましい。また、このケイ素の濃度は、2000質量ppmより高く10000質量ppm以下であることが好ましい。上記のオルトケイ酸エステルは、市販されているか又は1当量のテトラメトキシシランを、4当量の相応する長鎖アルコール又はフェノールで簡単にエステル交換し、メタノールを留去することにより製造可能である。
[0026]
 熱輸送媒体14にイオン性防錆剤が含まれないため、熱輸送媒体14の導電率は、熱輸送媒体にイオン性防錆剤が含まれる場合と比較して低い。熱輸送媒体14の導電率は、50μS/cm以下であり、好ましくは、1μS/cm以上5μS/cm以下である。参考として、水を含む液状の基材と、イオン性防錆剤と、を含む熱輸送媒体としては、車両用エンジンの冷却に用いられるエンジン冷却水がある。エンジン冷却水の導電率は、4000μS/cm以上である。このように、防錆のためにイオン性防錆剤を含む熱輸送媒体は、導電率が高く、電気絶縁性を有していない。
[0027]
 なお、熱輸送媒体14には、オルト珪酸エステルに加えて、防錆剤としてのアゾール誘導体が含まれていてもよい。
[0028]
 受熱部16は、電池4との熱交換によって熱輸送媒体14を受熱させる。受熱部16を構成する部材を介して、電池4から熱輸送媒体14へ熱が移動する。なお、電池4が熱輸送媒体14に浸漬され、電池4から熱輸送媒体14へ直に熱が移動するように、受熱部16が構成されていてもよい。
[0029]
 空気熱交換器20は、車両の外部の空気21との熱交換によって、熱輸送媒体14を放熱させる放熱器である。図示しない送風機の作動によって、空気熱交換器20に空気21が供給される。
[0030]
 オイル熱交換器22は、走行用電動モータ2から熱を受けたオイル36との熱交換によって、熱輸送媒体14を受熱させる熱交換器である。オイル熱交換器22は、オイル36が流れる配管38を介して、走行用電動モータ2のオイル流路部と接続されている。
[0031]
 インバータ熱交換器24は、インバータ6との熱交換によって、熱輸送媒体14を受熱させる熱交換器である。受熱部16、空気熱交換器20、オイル熱交換器22およびインバータ熱交換器24のそれぞれでは、熱輸送媒体14と接触する部分が、アルミニウムを含む部材で構成されている。
[0032]
 イオン交換器26は、熱輸送媒体14に発生するイオンを捕捉する。イオン交換器26は、イオン交換体と、ろ過部材とを含む。イオン交換体としては、アニオン性樹脂、カチオン性樹脂が挙げられる。ろ過部材としては、活性炭フィルターが挙げられる。
[0033]
 ポンプ30は、熱輸送媒体14を送る流体機械である。ホース34は、熱輸送媒体14が流れる流路を形成する流路形成部材である。
[0034]
 受熱部16と、空気熱交換器20と、オイル熱交換器22と、インバータ熱交換器24と、イオン交換器26と、ポンプ30とは、ホース34によって接続されている。これによって、熱輸送媒体14が循環して流れる熱輸送媒体回路12が形成されている。具体的には、受熱部16と、オイル熱交換器22と、インバータ熱交換器24と、イオン交換器26と、空気熱交換器20と、ポンプ30とが、この記載順に環状に接続されている。
[0035]
 ポンプ30が作動することによって、受熱部16、オイル熱交換器22、インバータ熱交換器24、イオン交換器26、空気熱交換器20、ポンプ30の順に、熱輸送媒体14が循環する。このとき、受熱部16で、熱輸送媒体14は電池4から熱を受ける。オイル熱交換器22で、熱輸送媒体14はオイル36から熱を受ける。インバータ熱交換器24で、熱輸送媒体14はインバータ6から熱を受ける。空気熱交換器20で、熱輸送媒体14は熱を車両の外部の空気21へ放出する。これにより、電池4、走行用電動モータ2およびインバータ6が冷却される。
[0036]
 また、熱輸送媒体14が熱輸送媒体回路12を流れているとき、種々の理由により、熱輸送媒体14にイオンが発生する。この発生したイオンは、イオン交換器26によって捕捉される。
[0037]
 次に、本実施形態の効果について説明する。
[0038]
 (1)本実施形態では、システム10は、電池4と、熱輸送媒体14と、受熱部16と、空気熱交換器20とを備える。熱輸送媒体14は、液状の基材と、オルト珪酸エステルとを含み、かつ、イオン性防錆剤を含まない。
[0039]
 これによれば、熱輸送媒体14に、オルト珪酸エステルが含まれることで、熱輸送媒体14は防錆の機能を有する。このため、熱輸送媒体14にイオン性防錆剤が含まれなくてもよい。この熱輸送媒体14は、イオン性防錆剤を含まないので、イオン性防錆剤を含む場合と比較して、導電率が低く、高い電気絶縁性を有する。
[0040]
 このように、システム10では、電気絶縁性が高い熱輸送媒体14が用いられる。これにより、上記した液絡の対策が不要になる。このため、上記した液絡の対策を行うことによる、電池4から熱輸送媒体14への受熱量が抑えられることを回避できる。換言すると、このシステム10によれば、液絡を気にせずに、電池4から熱輸送媒体14への受熱量が多くなるように、熱輸送媒体14の流量を設定したり、受熱部16を電池4に対して設けたりすることができる。よって、空気熱交換器20の放熱能力を電池4の冷却に十分に発揮させることができる。
[0041]
 このため、本実施形態によれば、外部電源からの急速充電時の電池4の冷却が可能となる。すなわち、電池4の急速充電に要する時間を短縮させると、電池4の発熱量が多くなる。本実施形態によれば、空気熱交換器20の放熱能力を十分に発揮できるので、電池4の急速充電に要する時間を短縮することができる。
[0042]
 (2)システム10は、オイル熱交換器22と、インバータ熱交換器24とをさらに備える。これによれば、熱輸送媒体14を利用して、走行用電動モータ2とインバータ6とを冷却することができる。
[0043]
 (3)受熱部16、空気熱交換器20、オイル熱交換器22およびインバータ熱交換器24のそれぞれでは、熱輸送媒体14と接触する部分が、アルミニウムを含む部材で構成されている。熱輸送媒体14の基材は、水が含まれる。
[0044]
 熱輸送媒体14と接触する部分がアルミニウムを含む部材で構成され、かつ、熱輸送媒体14に水が含まれると、熱輸送媒体14と接触する部分での水の電気化学反応により、水素が発生する場合がある。しかしながら、熱輸送媒体14にオルト珪酸エステルが含まれることで、この水素の発生を抑制することができる。このことは、本発明者が行った実験によって確認されている。なお、受熱部16、空気熱交換器20、オイル熱交換器22およびインバータ熱交換器24の全部ではなく、これらの少なくとも1つにおいて、熱輸送媒体14と接触する部分が、アルミニウムを含む部材で構成されていればよい。
[0045]
 (4)システム10は、イオン交換器26をさらに備える。これによれば、熱輸送媒体14にイオンが発生しても、イオン交換器26によってイオンを捕捉することができる。このため、熱輸送媒体14の高い電気絶縁性を維持することができる。
[0046]
 (他の実施形態)
 (1)熱輸送媒体回路12の構成部品である受熱部16、空気熱交換器20、オイル熱交換器22、インバータ熱交換器24の接続の順番は、図1に示す順番に限られず、任意に変更が可能である。
[0047]
 (2)第1実施形態では、システム10は、オイル熱交換器22、インバータ熱交換器24を備えている。しかしながら、システム10は、これらの熱交換器22、24のうちいずれか1つのみを備えていてもよい。また、システム10は、これらの熱交換器22、24を備えていなくてもよい。
[0048]
 (3)上記した各実施形態では、熱輸送媒体14の基材として、凝固点降下剤が添加された水が用いられている。しかしながら、熱輸送媒体14の基材として、有機溶剤が用いられてもよい。熱輸送媒体14に有機溶剤が含まれる場合、有機溶剤が気化することで、熱輸送媒体14からガスが発生する。この場合、上記した各実施形態に記載の水素ガスを有機溶剤が気化したガスに読み替えればよい。また、この場合、受熱部16、空気熱交換器20、オイル熱交換器22およびインバータ熱交換器24のそれぞれのうち熱輸送媒体14と接触する部分は、アルミニウムを含む材料で構成されていなくてよい。
[0049]
 (4)上記した各実施形態では、熱輸送媒体14にイオン性防錆剤が含まれない。しかしながら、熱輸送媒体14が電気絶縁性を有していれば、熱輸送媒体14にイオン性防錆剤が含まれていてもよい。イオン性防錆剤としては、例えば、亜硝酸塩、モリブデン酸塩、クロム酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、セバシン酸、トリアゾール系化合物などが挙げられる。ここでいう「熱輸送媒体14が電気絶縁性を有する」とは、熱輸送媒体14の導電率が500μS/cm以下であることを意味する。この導電率は、室温、例えば、25℃での測定値である。本発明者の実験結果によれば、熱輸送媒体14の導電率が500μS/cm以下であることにより、漏れた熱輸送媒体14が電池4に触れた場合の液洛の発生を抑制することができる。液絡を抑制するためには、熱輸送媒体14の導電率は、100μS/cm以下であることが好ましく、10μS/cm以下であることがより好ましい。
[0050]
 この場合においても、熱輸送媒体14にオルト珪酸エステルが含まれることで、熱輸送媒体14は防錆の機能を有する。このため、防錆のためにイオン性防錆剤が含まれる熱輸送媒体14(例えば、エンジン冷却水)と比較して、熱輸送媒体14に含まれるイオン性防錆剤を少なくすることができる。すなわち、防錆のためにイオン性防錆剤が含まれる熱輸送媒体14と比較して、熱輸送媒体14の導電率を低くすることができる。これにより、熱輸送媒体14に電気絶縁性を持たせることができる。
[0051]
 (5)本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能であり、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
[0052]
 (まとめ)
 上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、車両用熱マネジメントシステムは、充放電に伴い発熱する車両走行用の電池と、電池から受けた熱を輸送する液状の熱輸送媒体と、電池との熱交換によって熱輸送媒体を受熱させる受熱部と、車両の外部の空気との熱交換によって熱輸送媒体を放熱させる放熱器とを備える。熱輸送媒体は、液状の基材と、基材に相溶するオルト珪酸エステルとを含み、かつ、イオン性防錆剤を含まない。
[0053]
 また、第2の観点によれば、車両用熱マネジメントシステムは、モータジェネレータを冷却するオイルとの熱交換によって熱輸送媒体を受熱させるオイル熱交換器をさらに備える。これによれば、熱輸送媒体を利用して、モータジェネレータを冷却することができる。
[0054]
 また、第3の観点によれば、車両用熱マネジメントシステムは、インバータとの熱交換によって熱輸送媒体を受熱させるインバータ熱交換器をさらに備える。これによれば、熱輸送媒体を利用して、インバータを冷却することができる。
[0055]
 また、第4の観点によれば、受熱部と放熱器との少なくとも一方のうち熱輸送媒体と接触する部分は、アルミニウムを含む部材で構成されている。基材は、水を含む。
[0056]
 また、第5の観点によれば、オイル熱交換器のうち熱輸送媒体と接触する部分は、アルミニウムを含む部材で構成されている。基材は、水を含む。
[0057]
 また、第6の観点によれば、インバータ熱交換器のうち熱輸送媒体と接触する部分は、アルミニウムを含む部材で構成されている。基材は、水を含む。
[0058]
 熱輸送媒体と接触する部分がアルミニウムを含む部材で構成され、かつ、熱輸送媒体に水が含まれると、熱輸送媒体と接触する部分での水の電気化学反応により、水素が発生する場合がある。しかしながら、第4~第6の観点によれば、熱輸送媒体にオルト珪酸エステルが含まれることで、この水素の発生を抑制することができる。
[0059]
 また、第7の観点によれば、車両用熱マネジメントシステムは、熱輸送媒体に発生するイオンを捕捉するイオン交換器をさらに備える。これによれば、熱輸送媒体にイオンが発生しても、イオン交換器によってイオンを捕捉することで、熱輸送媒体の高い電気絶縁性を維持することができる。
[0060]
 また、第8の観点によれば、車両用熱マネジメントシステムは、充放電に伴い発熱する車両走行用の電池と、電池から受けた熱を輸送する液状の熱輸送媒体と、電池との熱交換によって熱輸送媒体を受熱させる受熱部と、車両の外部の空気との熱交換によって熱輸送媒体を放熱させる放熱器とを備える。熱輸送媒体は、液状の基材と、基材に相溶するオルト珪酸エステルとを含み、電気絶縁性を有する。
[0061]
 これによれば、熱輸送媒体は、オルト珪酸エステルを含み、電気絶縁性を有する。熱輸送媒体に、オルト珪酸エステルが含まれることで、熱輸送媒体は防錆の機能を有する。このため、防錆のためにイオン性防錆剤が含まれる熱輸送媒体と比較して、熱輸送媒体に含まれるイオン性防錆剤を少なくすることができる。すなわち、防錆のためにイオン性防錆剤が含まれる熱輸送媒体と比較して、熱輸送媒体の導電率を低くすることができる。これにより、熱輸送媒体に電気絶縁性を持たせることができる。
[0062]
 このシステムでは、電気絶縁性を有する熱輸送媒体が用いられる。これにより、上記した液絡の対策が不要になる。このため、上記した液絡の対策を行うことによる、電池から熱輸送媒体への受熱量が抑えられることを回避できる。換言すると、このシステムによれば、液絡を気にせずに、電池から熱輸送媒体への受熱量が多くなるように、熱輸送媒体の流量を設定したり、受熱部を電池に対して設けたりすることができる。よって、放熱器の放熱能力を電池の冷却に十分に発揮させることができる。
[0063]
 また、第9の観点によれば、熱輸送媒体の導電率は、500μS/cm以下である。このように、熱輸送媒体は、導電率が500μS/cm以下である電気絶縁性を有する。これにより、漏れた熱輸送媒体が電池に触れた場合の液洛の発生を抑制することができる。

請求の範囲

[請求項1]
 車両に搭載される車両用熱マネジメントシステムであって、
 充放電に伴い発熱する車両走行用の電池(4)と、
 前記電池から受けた熱を輸送する液状の熱輸送媒体(14)と、
 前記電池との熱交換によって前記熱輸送媒体を受熱させる受熱部(16)と、
 前記車両の外部の空気(21)との熱交換によって前記熱輸送媒体を放熱させる放熱器(20)とを備え、
 前記熱輸送媒体は、液状の基材と、前記基材に相溶するオルト珪酸エステルとを含み、かつ、イオン性防錆剤を含まない、車両用熱マネジメントシステム。
[請求項2]
 モータジェネレータ(2)を冷却するオイル(36)との熱交換によって前記熱輸送媒体を受熱させるオイル熱交換器(22)をさらに備える、請求項1に記載の車両用熱マネジメントシステム。
[請求項3]
 インバータ(6)との熱交換によって前記熱輸送媒体を受熱させるインバータ熱交換器(24)をさらに備える、請求項1または2に記載の車両用熱マネジメントシステム。
[請求項4]
 前記受熱部と前記放熱器との少なくとも一方のうち前記熱輸送媒体と接触する部分は、アルミニウムを含む部材で構成されており、
 前記基材は、水を含む、請求項1に記載の車両用熱マネジメントシステム。
[請求項5]
 前記オイル熱交換器のうち前記熱輸送媒体と接触する部分は、アルミニウムを含む部材で構成されており、
 前記基材は、水を含む、請求項2に記載の車両用熱マネジメントシステム。
[請求項6]
 前記インバータ熱交換器のうち前記熱輸送媒体と接触する部分は、アルミニウムを含む部材で構成されており、
 前記基材は、水を含む、請求項3に記載の車両用熱マネジメントシステム。
[請求項7]
 前記熱輸送媒体に発生するイオンを捕捉するイオン交換器(26)をさらに備える、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両用熱マネジメントシステム。
[請求項8]
 車両に搭載される車両用熱マネジメントシステムであって、
 充放電に伴い発熱する車両走行用の電池(4)と、
 前記電池から受けた熱を輸送する液状の熱輸送媒体(14)と、
 前記電池との熱交換によって前記熱輸送媒体を受熱させる受熱部(16)と、
 前記車両の外部の空気(21)との熱交換によって前記熱輸送媒体を放熱させる放熱器(20)とを備え、
 前記熱輸送媒体は、液状の基材と、前記基材に相溶するオルト珪酸エステルとを含み、電気絶縁性を有する、車両用熱マネジメントシステム。
[請求項9]
 前記熱輸送媒体の導電率は、500μS/cm以下である、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の車両用熱マネジメントシステム。

図面

[ 図 1]