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1. WO2014156898 - GAS PRODUCTION APPARATUS

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明 細 書

発明の名称 ガス製造装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056  

実施例

0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070  

符号の説明

0071  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : ガス製造装置

技術分野

[0001]
 本発明は、ガス製造装置に係り、詳しくは、光を受けて水を分解して水素及び酸素を製造するガス製造装置に関する。

背景技術

[0002]
 従来、再生可能なエネルギとして太陽光エネルギを利用する形態の1つとして、太陽電池に使用される光電変換材料を用いて、光電変換で得られる電子と正孔とを水の分解反応に利用して、燃料電池等に用いられる水素を製造する水素製造装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
 特許文献1及び2に開示の水素製造装置は、いずれも、太陽光が入射されると起電力を発生するPN接合を2つ以上直列にした光電変換部又は太陽電池を設け、その上側の太陽光を受光する受光面とは逆の光電変換部又は太陽電池の下側に電解液室を設け、電解室内をイオン伝導性隔壁又は隔膜によって分け、太陽光の受光により光電変換部又は太陽電池で発生する電力により、水を電解して水素を生成することを開示している。
[0003]
 特許文献1に開示の水素製造装置は、さらに、受光面の太陽光に対する向きを調整することができるので、光電変換する入射光の量を多くすることができ、かつ、水素生成効率を低下させることはないとしている。
 また、特許文献2に開示の水素製造装置は、太陽電池のp型及びn型半導体に接続された電極板をそれぞれ陽極及び陰極として水を電解しているので、太陽エネルギから水素への変換効率を高くすることができるとしている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2012-177160号公報
特許文献2 : 特開2004-197167号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 ところで、特許文献1及び2に開示の水素製造装置では、いずれも、光電変換部又は太陽電池の受光面とは逆側、即ち裏面側の電解液室において、水を電解して水素及び酸素を生成しているため、生成された水素や酸素等のガスが光電変換部のガス生成電極や太陽電池の電極板等のガス発生面に付着し、ガス発生面と電解液等の水溶液との間に滞留すると、ガス発生面と水溶液との接触面積が低下するため、水素及び酸素等のガス生成効率を低下させるという問題があった。
 特許文献1及び2に開示の水素製造装置は、特に、ガス生成の初期には、高いガス生成効率を発揮するものであっても、時間が経過すると、ガス発生面と電解液等の水溶液との間に滞留するガスの量が増加して、ガス発生面と水溶液との接触面積がさらに低下するため、水素及び酸素等のガス生成効率を大きく低下させてしまい、安定したガス生成ができないという問題があった。
[0006]
 本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、ガス生成の初期であっても、時間が経過した場合であっても、高いガス生成効率を維持することができ、水素及び酸素のガスを完全に分離された高純度の気体として安定して製造することができるガス製造装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記目的を達成するために、本発明のガス製造装置は、それぞれ一方の面に受光面を、他方の面に裏面を有し、無機半導体から構成され、直列接続される複数のPN接合からなるPN接合モジュールと、このPN接合モジュールの受光面の側において、PN接合モジュールの一方の末端のPN接合の開放端及び他方の末端のPN接合の開放端にそれぞれ設けられる2つガス生成部と、この2つのガス生成部と接触する電解水溶液、及び2つのガス生成部で生成されるガスを収容する電解室と、この電解室を、それぞれ1つのガス生成部を含む2つの領域に仕切るイオン透過性、かつガス非透過性の隔膜とを有し、PN接合モジュールは、隣接するPN接合の一方のPN接合の裏面と他方のPN接合の受光面を導電性材料で接続することにより、直列接続され、隔膜は、電解室を、PN接合モジュールの受光面に光を入射させることによって、電解水溶液と接触する一方のガス生成部で生成される水素を収容する領域、及び電解水溶液と接触する他方のガス生成部で生成される酸素を収容する領域との2つの領域に仕切るものであることを特徴とする。
[0008]
 ここで、さらに、2つのガス生成部を除く、PN接合モジュールの導電性材料表面を覆う光透過性絶縁材料を有することが好ましい。
 また、無機半導体が、CIGS化合物半導体、又はCZTS化合物半導体を含むことが好ましく、また、無機半導体の吸収波長端が、800nm以上であることが好ましい。
[0009]
 また、PN接合のN側表面は、受光面であり、PN接合のP側表面は、裏面であり、さらに、PN接合のP側表面に設けられた裏面電極を有することが好ましい。
 また、PN接合モジュールの一方の末端のPN接合のN側表面は、水素を生成する一方のガス生成部として機能し、さらに、一方の末端のPN接合を除く、PN接合モジュールの残りのPN接合のN側表面をそれぞれ覆う光透過性導電材料製の光透過性導電膜を有することが好ましい。
 又は、さらに、PN接合のN側表面を覆う光透過性導電材料製の光透過性導電膜を有し、PN接合モジュールの一方の末端のPN接合のN側表面を覆う光透過性導電膜は、水素を生成する一方のガス生成部として機能することが好ましい。
 又は、さらに、PN接合のN側表面を覆う光透過性導電材料製の光透過性導電膜を有し、水素を生成する一方のガス生成部は、PN接合モジュールの一方の末端のPN接合のN側表面を覆う光透過性導電膜に電気的に接続され、隔膜は、一方のガス生成部と、一方の末端のPN接合との間に設けられることが好ましい。
[0010]
 また、PN接合モジュールの他方の末端のPN接合のP側表面に設けられた裏面電極の一部は、酸素を生成する他方のガス生成部として機能することが好ましい。
 又は、さらに、PN接合モジュールの他方の末端のPN接合のP側表面に設けられた裏面電極の延長部上に設けられる、接合の順序が逆である逆PN接合とを有し、この逆PN接合のP側表面が、受光面となり、逆PN接合のN側表面が、裏面電極の延長部と接触することが好ましく、また、逆PN接合のP側表面は、酸素を生成する他方のガス生成部として機能することが好ましく、また、さらに、受光面である逆PN接合のP側表面を覆う光透過性導電材料製の光透過性導電膜を有し、逆PN接合のP側表面を覆う光透過性導電膜は、酸素を生成する他方のガス生成部として機能することが好ましい。
 又は、PN接合モジュールの他方の末端のPN接合のP側表面に設けられた裏面電極の延長部は、酸素を生成する他方のガス生成部として機能し、隔膜は、他方のガス生成部と、PN接合モジュールの他方の末端のPN接合との間に設けられることが好ましい。
[0011]
 また、さらに、2つのガス生成部の少なくとも一方の表面(のガス生成面)に設けられる助触媒を有することが好ましく、水素を生成する一方のガス生成部の表面に設けられる助触媒は、水素生成触媒としての白金であることが好ましく、また、酸素を生成する他方のガス生成部の表面に設けられる助触媒は、酸素生成触媒としての金属、CoO 、又はIrO であることが好ましい。
 また、複数のPN接合における光照射による発生電流量がそれぞれ等しいことが好ましく、複数のPN接合の受光面の受光面積がそれぞれ等しいことが好ましい。

発明の効果

[0012]
 本発明によれば、ガス生成の初期であっても、時間が経過した場合であっても、高いガス生成効率を維持することができ、水素及び酸素のガスを完全に分離された高純度の気体として安定して製造することができる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] (A)及び(B)は、それぞれ本発明の一実施形態に係るガス製造装置の一実施例を模式的に示す断面図及び上面図である。
[図2] (A)及び(B)は、それぞれ本発明の一実施形態に係るガス製造装置の他の実施例を模式的に示す断面図及び上面図である。
[図3] (A)及び(B)は、それぞれ本発明の一実施形態に係るガス製造装置の他の実施例を模式的に示す断面図及び上面図である。
[図4] (A)及び(B)は、それぞれ本発明の他の実施形態に係るガス製造装置の一実施例を模式的に示す断面図及び上面図である。
[図5] 本発明の他の実施形態に係るガス製造装置の他の実施例を模式的に示す断面図である。
[図6] 本発明の他の実施形態に係るガス製造装置の一実施例を模式的に示す断面図である。
[図7] 本発明の他の実施形態に係るガス製造装置の他の実施例を模式的に示す断面図である。
[図8] 図1に示すガス製造装置を製造するプロセスの一例を示すフローチャートである。
[図9] (A)及び(B)は、それぞれ従来技術のガス製造装置を模式的に示す断面図及び上面図である。
[図10] (A)及び(B)は、それぞれ他の従来技術のガス製造装置を模式的に示す断面図及び底面図である。

発明を実施するための形態

[0014]
 以下に、本発明に係るガス製造装置を添付の図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
 本発明は、無機半導体から構成された複数のPN接合の組を、これらの組の受光面がそれぞれ光を吸収できるように外側に向けて配置し、それらを直列に接続してPN接合の組の両端の直列接続されていない側のそれぞれのガス生成面に水溶液を接触させ、受光面に光を入射することで、それぞれ異なるガス生成面から水素と酸素とを受光面側の異なる2つの領域に生成させる装置であって、これら2つの領域の間をイオン透過性かつ、ガス非透過性の隔膜で仕切り、好ましくは水素及び酸素の発生領域以外の導電性材料表面を光透過性絶縁材料で覆って、水の光分解反応により水素および酸素を製造する装置である。
[0015]
 まず、従来技術の装置に対する本発明に係るガス製造装置の特徴について説明する。
 上述したように、従来技術ではガスを生成する電解用電極の表面(ガス生成面)が太陽光を受光する受光面とは逆側の光電変換部の裏面側に設けられているのに対し、本発明の特徴は、ガス生成面が、太陽光を受光する受光面と同じ側に設けられている点にある。このように、ガス生成面を受光面側に配置することにより、時間の経過によらず、高いガス生成効率を維持することができ、水素及び酸素のガスを安定して製造することができるという所望の効果が得られる。
[0016]
 図1(A)及び図1(B)は、それぞれ本発明の第1実施形態に係るガス製造装置の一実施例を模式的に示す断面図及び上面図である。
 まず、同図に示すように、ガス製造装置10は、無機半導体からなる複数のPN接合が電気的に直列に接続されたPN接合モジュール12と、PN接合モジュール12の両端のPN接合の開放端にそれぞれ設けられるガス生成部14a及び14bと、この2つのガス生成部14a及び14bと接触する電解水溶液AQ、及びガス生成部14a及び14bで生成される水素及び酸素のガスを収容する電解室16を構成する容器18と、この電解室16を、それぞれガス生成部14a及び14bの1つを含む2つの電解室16a及び16bに仕切る隔膜20とを有する。
[0017]
 PN接合モジュール12は、受光面から太陽光などの光を受光して水の光分解反応により水素及び酸素を生成させるためのもので、絶縁性を有する支持基板22と、この支持基板22上に、その長手方向において直列に接続された複数(図示例では3つ)のPN接合セル24(24a,24b,24c)とを有する集積構造体である。
 PN接合モジュール12において、3つのPN接合セル24(24a,24b,24c)は、支持基板22の長手方向Lに沿って直列接続されている。なお、直列に接続されるPN接合セル24の数は、以下では3つを代表例として説明するが、PN接合セル24の起電力の和が水の電解開始電圧以上であれば、図示例の3つに限定されず、幾つであっても良いのは勿論である。
[0018]
 支持基板22は、絶縁性、及び直列に接続された3つのPN接合セル24を支持することができる強度を有していれば、特に限定されるものではない。支持基板22としては、例えば、ソーダライムガラス(SLG)基板又はセラミックス基板を用いることができる。また、支持基板22には、金属基板上に絶縁層が形成されたものを用いることができる。ここで、金属基板としては、Al基板又はSUS基板等の金属基板、又はAlと、例えばSUS等の他の金属との複合材料からなる複合Al基板等の複合金属基板が利用可能である。なお、複合金属基板も金属基板の一種であり、金属基板および複合金属基板をまとめて、単に金属基板ともいう。更には、支持基板22としては、Al基板等の表面を陽極酸化して形成された絶縁層を有する絶縁膜付金属基板を用いることもできる。支持基板22は、フレキシブルなものであっても、そうでなくてもよい。なお、上述のもの以外に、支持基板22として、例えば、高歪点ガラスおよび無アルカリガラス等のガラス板、又はポリイミド材を用いることもできる。
[0019]
 支持基板22の厚さは、PN接合モジュール12を構成するPN接合セル24を支持できれば、特に制限的ではなく、どのような厚さでも良いが、例えば、20~20000μm程度あれば良く、100~10000μmが好ましく、1000~5000μmがより好ましい。
 なお、PN接合セル24として、CIGS系化合物半導体を含むものを用いる場合には、支持基板22側に、アルカリイオン((例えば、ナトリウム(Na)イオン:Na )を供給するものがあると、PN接合セル24の光電変換効率が向上するので、支持基板22の上面にアルカリイオンを供給するアルカリ供給層を設けておくのが好ましい。なお、例えば、SLG基板の場合には、アルカリ供給層は不要である。
[0020]
 PN接合セル24は、太陽電池として用いられる太陽電池セルと同様の構成を有する積層構造を有する光電変換素子であって、受光面から太陽光などの光を受光し、光電変換して電子及び正孔を生成し、生成した電子及び正孔をそれぞれガス生成部14a及び14bに送るためのものである。
 PN接合セル24bおよび24cは、支持基板22側から順に、裏面電極26、光電変換層28、バッファ層30、透明電極32、及び透明絶縁膜34が積層されて構成されている。また、左端のPN接合セル24aでは、水素を生成するガス生成部14aとして機能する透明電極32上に水素生成用の助触媒36aが点在する島状に形成され、右端のPN接合セル24cでは、ガス生成部14bとして機能する裏面電極26の延長部分上に酸素生成用の助触媒36bが点在する島状に形成されている。
 PN接合セル24、従って、裏面電極26、光電変換層28、バッファ層30、透明電極32、及び透明絶縁膜34、並びに助触媒36a,36bは、いずれも、支持基板22の長手方向Lと直交する幅方向(紙面に垂直な方向)に長く伸びている。
[0021]
 PN接合モジュール12では、PN接合セル24に透明電極32側から光が入射されると、この光が透明電極32およびバッファ層30を通過し、光電変換層28で起電力が発生し、例えば、裏面電極26から透明電極32に向かう電荷(電子)の移動が発生する。換言すれば、透明電極32から裏面電極26に向かう電流(正孔の移動)が発生する。このため、PN接合モジュール12では、左端のPN接合セル24aの透明電極32が、水素を生成するガス生成部14a(電気分解の負極)となり、右端のPN接合セル24cの裏面電極26が、酸素を生成するガス生成部14b(電気分解の正極)となる。
 なお、PN接合モジュール12におけるガス生成部14a及び14bの生成ガスの種類(極性)は、PN接合セル24の構成およびPN接合モジュール12の構成等に応じて適宜変わるものである。
[0022]
 裏面電極26は、例えば、Mo等からなり、支持基板22の長手方向Lに、所定の間隔に複数設けられた分離溝P1により、隣り合う裏面電極26と互いに分離されている。
 光電変換層28は、例えば、CIGS系化合物半導体やCZTS系化合物半導体の膜からなり、分離溝P1を埋めつつ裏面電極26上に形成されている。
 バッファ層30は、例えば、CdS等の薄膜からなり、光電変換層28の表面に形成されている。ここで、光電変換層28及びバッファ層30の界面においてPN接合が形成されている。
 バッファ層30および光電変換層28を貫き裏面電極26の表面に達する開口溝P2が、長手方向Lにおいて、分離溝P1の形成位置とは異なる位置に形成されている。
[0023]
 透明電極32は、例えば、ZnO:Al膜等の透明導電膜からなり、バッファ層30上に形成され、さらに、真中のPN接合セル24b、及び右端のPN接合セル24cでは、それぞれPN接合セル24aと24bとの間、及びPN接合セル24bと24cとの間の各開口溝P2の一部、具体的には、片側の側面(それぞれ、開口溝P2のPN接合セル24bと24c側の側面、換言すれば、PN接合セル24bと24cの図中左側の側面)を埋めるようにも形成されている。
 こうして、透明電極32は、バッファ層30及び光電変換層28からなるPN接合上の受光面として機能すると共に、PN接合セル24aの裏面電極26とPN接合セル24bとを、さらに、PN接合セル24bの裏面電極26とPN接合セル24cとを直接接続する導電膜としても機能する。
[0024]
 透明絶縁膜34は、PN接合セル24b及び24cの全ての透明電極32上、透明電極32が形成されていない側面(PN接合セル24bと24cの図中右側の側面)、並びに2つの開口溝P2の底面を構成するPN接合セル24a及び24bの裏面電極26上に覆うように形成されている。換言すれば、透明絶縁膜34は、ガス生成部14aを構成するPN接合セル24aの全ての外側面(裏面電極26を除く、透明電極32、バッファ層30及び光電変換層28の全外側面)を除いて、並びにガス生成部14bを構成するPN接合セル24cの裏面電極26の延長部分を除いて、PN接合モジュール12の全ての導電部分を覆うように形成されている。
[0025]
 裏面電極26は、例えばMo、Cr、W等の金属、又はこれらを組み合わせたものにより構成される。この裏面電極26は、単層構造でもよいし、2層構造等の積層構造でもよい。この中で、裏面電極26は、Moで構成することが好ましい。裏面電極26の膜厚は、一般的に、その厚さが800nm程度であるが、裏面電極26は、厚さが400nm~1000nm(1μm)であることが好ましい。
 PN接合セル24cの裏面電極26の延長部分は、酸素を生成するガス生成部14b(電気分解の正極)となるもので、水分子からイオン化した水酸イオンOH から電子を取り出して酸素分子、即ち酸素(酸素ガス)を発生させる(2OH  ―>H O+O /2+2e )もので、その表面は、ガス生成面として機能する。
[0026]
 光電変換層28は、バッファ層30との界面で、光電変換層28側をP型、バッファ層30側をN型とするPN接合を形成し、透明絶縁膜34、透明電極32及びバッファ層30を透過して到達した光を吸収して、P側に正孔を、N側に電子を生じさせる層であり、光電変換機能を有する。光電変換層28では、PN接合で生じた正孔を光電変換層28から裏面電極26側に移動させ、PN接合で生じた電子をバッファ層30から透明電極32側に移動させる。光電変換層28の膜厚は、好ましくは、1.0~3.0μmであるのが良く、1.5~2.0μmが特に好ましい。
[0027]
 光電変換層28は、例えば、カルコパイライト結晶構造を有するCIGS系化合物半導体やCZTS系化合物半導体で構成されるのが好ましい。即ち、光電変換層28はCIGS層で構成するのが好ましい。CIGS層は、Cu(In,Ga)Se のみならず、CuInSe (CIS)等のCIGS系に利用される公知のもので構成されていても良い。
 なお、CIGS層の形成方法としては、1)多源蒸着法、2)セレン化法、3)スパッタ法、4)ハイブリッドスパッタ法、及び5)メカノケミカルプロセス法等が知られている。
 その他のCIGS層の形成方法としては、スクリーン印刷法、近接昇華法、MOCVD法、及びスプレー法(ウェット成膜法)等が挙げられる。例えば、スクリーン印刷法(ウェット成膜法)又はスプレー法(ウェット成膜法)等で、Ib族元素、IIIb族元素、及びVIb族元素を含む微粒子膜を基板上に形成し、熱分解処理(この際、VIb族元素雰囲気での熱分解処理でもよい)を実施する等により、所望の組成の結晶を得ることができる(特開平9-74065号公報、特開平9-74213号公報等)。
[0028]
 本発明においては、上述したように、光電変換層28は、例えば、カルコパイライト結晶構造を有するCIGS系化合物半導体やCZTS系化合物半導体で構成されるのが好ましいが、本発明は、これに限定されず、無機半導体からなるPN接合を形成でき、水の光分解反応を生じさせ、水素及び酸素を発生できれば、如何なる光電変換素子でも良い。例えば、太陽電池を構成する太陽電池セルに用いられる光電変換素子が好ましく用いられる。このような光電変換素子としては、CIGS系薄膜型光電変換素子、CIS系薄膜型光電変換素子や、CZTS系薄膜型光電変換素子に加え、薄膜シリコン系薄膜型光電変換素子、CdTe系薄膜型光電変換素子、色素増感系薄膜型光電変換素子、又は有機系薄膜型光電変換素子を挙げることができる。
 なお、光電変換層28を形成する無機半導体の吸収波長は、光電変換可能な波長域であれば、特に制限的ではないが、太陽光等の波長域、特に、可視波長域から赤外波長域を含んでいればよいが、その吸収波長端は、800nm以上、即ち、赤外波長域までを含んでいるのが好ましい。その理由は、できるだけ多くの太陽光エネルギを利用できるからである。一方、吸収波長端が長波長化することは、すなわち、バンドギャップが小さくなることに相当し、これは水分解をアシストするための起電力が低下することが予想でき、その結果、水分解のために直列接続しなくてはならない数が増すことが予想できるので、吸収端が長ければ長い方が良いというわけでもない。
[0029]
 バッファ層30は、光電変換層28と共にPN接合層を構成し、即ち光電変換層28との界面でPN接合を形成し、透明電極32の形成時の光電変換層28を保護し、透明電極32に入射した光を光電変換層28まで透過させるために形成されたものである。
 バッファ層30は、例えば、具体的には、CdS、ZnS,Zn(S,O)、及び/又はZn(S,O,OH)、SnS,Sn(S,O)、及び/又はSn(S,O,OH)、InS,In(S,O)、及び/又はIn(S,O,OH)等の、Cd,Zn,Sn,Inからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属硫化物を含むことが好ましい。バッファ層30の膜厚は、10nm~2μmが好ましく、15~200nmがより好ましい。バッファ層30の形成には、例えば、化学浴析出法(以下、CBD法という)により形成される。
 なお、バッファ層30と透明電極32との間には、例えば、窓層を設けてもよい。この窓層は、例えば、厚さ10nm程度のZnO層で構成される。
[0030]
 透明電極32は、透光性を有し、光を光電変換層28に取り込むとともに、裏面電極26と対になって、光電変換層28で生成された正孔及び電子を移動させる(電流が流れる)電極として機能すると共に、3つのPN接合セル24a、24b、及び24cを直列接続するために、PN接合セル24aと24b、及び24bと24cとをそれぞれ直接接続するための透明導電膜として機能するものである。
 左端のPN接合セル24aの透明電極32は、水素を生成するガス生成部14a(電気分解の負極)となるもので、水分子からイオン化した水素イオン(プロトン)H に電子を供給して水素分子、即ち水素(水素ガス)を発生させる(2H +2e  ―>H )もので、その表面は、ガス生成面として機能する。
 透明電極32は、例えばAl、B、Ga、In等がドープされたZnO、又はITO(インジウム錫酸化物)により構成される。透明電極32は、単層構造でもよいし、2層構造等の積層構造でもよい。また、透明電極の厚さは、特に制限されるものではなく、0.3~1μmが好ましい。
 なお、透明電極の形成方法は、特に制限されるものではなく、電子ビーム蒸着法、スパッタ法及びCVD法等の気相成膜法又は塗布法により形成することができる。
[0031]
 なお、隣接するPN接合セル24aと24b、及び24bと24cとを直列接続するための透明導電膜としては、透明電極32に限定される訳では無いが、製造上の容易さから透明電極32と同じ透明導電膜で同時に形成するのが良い。
 即ち、光電変換層28の上に、バッファ層30を積層した後、裏面電極26の表面に達する開口溝P2をレーザースクライブ又はメカニカルスクライブにより形成し、バッファ層30上に、かつ開口溝P2を埋めるように透明電極32を構成する透明導電膜を形成し、その後、各開口溝P2内の透明導電膜の図中左側部分をスクライブにより除去して裏面電極26の表面に達する、少し小さい開口溝P2を再度形成し、隣接するPN接合セル24の裏面電極26と透明電極32とを直接接続する導電膜として残すことにより、隣接するPN接合セル24を直列接続するための導電膜を形成することができる。
[0032]
 透明絶縁膜34は、透光性を有し、ガス発生領域以外の部分を保護するために、ガス発生領域以外の部分を覆うように設けられるものである。ガス発生領域以外の部分とは、水素を生成するガス生成部14a及び酸素を生成するガス生成部14bの領域以外にあるPN接合セル24の導電材料表面、即ち、透明電極32、バッファ層30、光電変換層28、及び裏面電極26を言う。具体的には、PN接合セル24b及び24cの全ての透明電極32上、透明電極32が形成されていない側面(PN接合セル24bと24cの図中右側の側面)、並びに2つの開口溝P2の底面を構成するPN接合セル24a及び24bの裏面電極26をいう。
 透明絶縁膜34は、例えば絶縁性エポキシ樹脂、絶縁性シリコーン樹脂等により構成される。また、透明絶縁膜34の厚さは、特に制限されるものではなく、2~100μmが好ましい。
 なお、透明絶縁膜34の形成方法は、特に制限されるものではなく、塗布法、スパッタ法等により形成することができる。
 なお、透明絶縁膜34は、PN接合セル24を電解水溶液に浸漬する場合には設ける必要があるが、浸漬されないPN接合セル24の場合には、設けなくても良い。
[0033]
 上述したように、左端のPN接合セル24aの領域は、水素を生成するガス生成部14aとして機能し、水素ガスの発生領域を構成する。PN接合セル24aの透明電極32は、水素生成用電極として機能し、透明電極32の表面は、ガス生成面として機能する。
 この透明電極32の表面上には、水素生成用の水素生成助触媒36aが、点在するように、島状に形成されている。
 水素生成助触媒36aは、例えばPt(白金)、NiOx(酸化ニッケル)、RuO (酸化ルテニウム)等により構成される。また、水素生成助触媒36aのサイズは、特に制限されるものではなく、0.005~1μmであるのが好ましい。
 なお、水素生成助触媒36aの形成方法は、特に制限されるものではなく、光電着法、含浸法、スパッタ法、蒸着法等により形成することができる。
[0034]
 上述したように、右端のPN接合セル24c裏面電極26の延長部分の領域は、酸素を生成するガス生成部14bとして機能し、酸素ガスの発生領域を構成する。PN接合セル24c裏面電極26の延長部分は、酸素生成用電極として機能し、PN接合セル24c裏面電極26の延長部分の表面は、ガス生成面として機能する。
 このPN接合セル24cの裏面電極26の延長部分の表面上には、酸素生成用の酸素生成助触媒36bが、点在するように、島状に形成されている。
 酸素生成助触媒36bは、例えば、IrO 、CoO 等により構成される。また、酸素生成助触媒36bのサイズは、特に制限されるものではなく、0.005~1μmであるのが好ましい。
 なお、酸素生成助触媒36bの形成方法は、特に制限されるものではなく、浸漬法、含浸法、スパッタ法、蒸着法等により形成することができる。
[0035]
 PN接合モジュール12は、以下の製造方法により製造することができるが、これに限定されない。
 まず、例えば、支持基板22となるソーダライムガラス基板等を用意する。
 次に、支持基板22の表面に裏面電極26となる、例えば、Mo膜等を成膜装置を用いて、スパッタ法により形成する。
 次に、例えば、レーザースクライブ法を用いて、Mo膜の所定位置をスクライブして、支持基板22の幅方向に伸びた分離溝P1を形成する。これにより、分離溝P1により互いに分離された裏面電極26が形成される。
[0036]
 次に、裏面電極26を覆い、かつ分離溝P1を埋めるように、光電変換層28として、例えばCIGS膜(P型半導体層)を形成する。このCIGS膜は、前述のいずれかの成膜方法により、形成される。
 次に、光電変換層28上にバッファ層30となる、例えばCdS層(N型半導体層)をCBD(ケミカルバス)法により形成する。
 次に、図示の長手方向Lにおいて、分離溝P1の形成位置とは異なる位置に、支持基板22の幅方向に伸び、かつバッファ層30からCIGS層16を経て裏面電極26の表面に達する2つの開口溝P2を形成する。この場合、スクライブ方法としては、レーザースクライブ又はメカスクライブを用いることができる。
[0037]
 次に、支持基板22の幅方向に伸び、かつバッファ層30上に、開口溝P2を埋めるように、透明電極32となる、例えば、Al、B、Ga、Sb等が添加されたZnO:Al層を、スパッタ法又は塗布法により形成する。
 次に、開口溝P2内のZnO:Al層の一部を、図中右側の一部を残すようにして除去し、裏面電極26の表面に達する2つの少し小さい開口溝P2を再び形成する。この場合も、スクライブ方法としては、レーザースクライブ又はメカスクライブを用いることができる。このようにして、3つのPN接合セル24(24a,24b,24c)が形成される。
[0038]
 次に、ガス生成領域とならないPN接合セル24b及び24cの外面と、2つの開口溝P2の底面の裏面電極26の表面とに、塗布法により透明絶縁膜34となる、例えば、絶縁性エポキシ樹脂膜を形成する。
 次に、絶縁性エポキシ樹脂膜で覆われていないPN接合セル24aの透明電極32上に光電着法にて水素生成助触媒となる、例えば、Pt助触媒を担持させる。
 次に、絶縁性エポキシ樹脂膜で覆われていないもう一方の、PN接合セル24cの裏面電極26上に浸漬法にて酸素生成助触媒となる、例えば、IrO 助触媒を担持させる。
 これにより、PN接合モジュール12を製造することができる。
[0039]
 図1に示すガス製造装置10のPN接合モジュール12は、以上のように構成されるが、本発明はこれに限定されない。
 図2に示すガス製造装置10aのPN接合モジュール12aのガス生成部14cのように、左端のPN接合セル24aにおいて、透明電極32を形成せずに、バッファ層30に直接水素生成助触媒36aを点在するように島状に形成しても良い。この場合には、透明電極の無い左端のPN接合セル24aの領域(バッファ層30、光電変換層28)は、水素を生成するガス生成部14cとして機能し、水素ガスの発生領域を構成する。PN接合セル24aのバッファ層30は、水素生成用電極として機能し、バッファ層30の表面は、ガス生成面として機能する。なお、水素生成助触媒36aは、水素や酸素のガスの生成効率を考慮すると、透明電極32やバッファ層30に形成されているのが好ましいが、本発明では、複数のPN接合セル24を直列に接続することができるので、複数のPN接合セル24の起電力の和を水の電解開始電圧より十分に高くできる。この場合には、水素生成助触媒36aは、透明電極32やバッファ層30に形成されていなくても良い。
 また、図2に示すガス製造装置10aのPN接合モジュール12a及び図3に示すガス製造装置10bのPN接合モジュール12bのガス生成部14dのように、右端のPN接合セル24cの裏面電極26の延長部分の表面上に酸素生成助触媒36bを形成せずに、ガス生成面を裏面電極26の平坦な表面としても良い。
 なお、図3に示すガス製造装置10bのPN接合モジュール12bでは、図1に示す例と同様に、ガス生成部14aが備えられている。
[0040]
 容器18は、PN接合モジュール12を収納すると共に、ガス生成部14a又は14cを構成する左端のPN接合セル24aの透明電極32又はバッファ層30の上側表面と接触する電解水溶液AQ、及びガス生成部14a又は14cから生成されるガスである水素を収容(貯留)する電界室16a、及びガス生成部14b又は14dを構成する右端のPN接合セル24cの裏面電極26の延長部分の上側表面と接触する電解水溶液AQ、及びガス生成部14b又は14dから生成されるガスである水素を収容(貯留)する電解室16bからなる電解室16を構成する。
 電解水溶液AQを電解室16a内に供給するための供給口38aが、容器18内の電解室16aの図1(B)中の左手前側面(装置の左手前側)に、電解室16a内の電解水溶液AQを排出するための排出口40a、及び電解室16a内で生成された水素を回収するための回収口42aが、共に、容器内18の電解室16aの図1(B)中の上(奥)側面(装置の奥側)に設けられている。
 電解水溶液AQを電解室16b内に供給するための供給口38bが、容器18内の電解室16bの図1(B)中の右手前側面(装置の右手前側)に、電解室16b内の電解水溶液AQを排出するための排出口40b、及び電解室16b内で生成された酸素を回収するための回収口42bが、共に、容器18内の電解室16bの図1(B)中の上(奥)側面(装置の奥側)に設けられている。
[0041]
 供給口38a及び排出口40aは、電解室16a内において、PN接合セル24aの透明電極32又はバッファ層30で生成された水素が表面に滞留しないような水の流れができるように、透明電極32又はバッファ層30の位置より少し上側の位置となるように取り付けられている。このため、透明電極32又はバッファ層30の表面を常に電解水溶液AQに接触させておくことができ、効率よく水素を発生させることができる。なお、供給口38a及び排出口40aの位置が、電解室16a内の電解水溶液AQの水面となるのは勿論である。
 一方、供給口38b及び排出口40bは、電解室16b内の電解水溶液AQの水面を、電解室16a内の電解水溶液AQの水面と、同じ又は略同じにするので、供給口38a及び排出口40aの位置と同じ又は略同じ位置となるように取り付けられている。
 水素及び酸素は、それぞれ電解室16a及び16b内において電解水溶液AQの水面の上側に貯留されるので、回収口42a及び42bは、それぞれ貯留された水素及び酸素を効率よく回収するために、電解水溶液AQの水面の位置より少し上側、即ち、供給口38a及び排出口40aの位置より少し上側となるように取り付けられている。
[0042]
 図1に示す例では、水素を回収する回収口42a及び酸素を回収する回収口42bは、共に、容器内18の奥側の側面(装置の奥側)に設けられているが、本発明はこれに限定されない。
 図3に示すガス製造装置10bのように、水素を回収する回収口42a及び酸素を回収する回収口42bは、図3(A)及び(B)に示すように、図3(A)中上側、装置の上側天井に設けても良い。こうすることにより、軽い水素及び酸素を効率よく回収することができる。
[0043]
 隔膜20は、電解室16a内で生成された水素と電解室16b内で生成された酸素とを分離して高い純度で回収すると共に、電解室16a内での水素の生成によって増加した水酸イオン(PHも増加)と電解室16b内での酸素の生成によって増加した水素イオン(PHは減少)とが中和するように、水酸イオン及び水素イオンを通過させるために、容器18内の電解室16を、電解室16aと電解室16bと分離するためのもので、イオン透過性、かつガス非透過性を持つ膜である。
 隔膜20は、PN接合セル24bと23cとの間の開口溝P2に、その底面を構成する透明絶縁膜34と容器18の両側の内壁面とに隙間なく密着させて取り付けられる。こうして、隔膜20は、PN接合セル24a及び24bが含まれる電解室16aの領域と、PN接合セル24cが含まれる電解室16bの領域とを、ガスの透過が無く、イオンの透過は起こるように分離することができる。
 隔膜20は、例えばイオン交換膜、多孔室ガラス等により構成される。また、隔膜20の厚さは、特に制限されるものではなく、20~500μmであるのが好ましい。
 隔膜20は、PN接合セル24bと23cとの間の開口溝P2に取り付けられているが、本発明はこれに限定されず、PN接合セル24aと24bとの間の開口溝P2に取り付けられ、電解室16a側に1つのPN接合セル24aが、電解室16b側に2つのPN接合セル24b及び24cが、含まれるようにしても良い。
[0044]
 本発明の第1実施形態に係るガス製造装置は、以上のように構成されるが、本発明はこれに限定されない。
 図4(A)及び図4(B)は、それぞれの本発明の第2実施形態に係るガス製造装置の一実施例を模式的に示す断面図及び上面図である。
 同図に示すように、ガス製造装置50は、無機半導体からなる複数のPN接合が電気的に直列に接続されたPN接合モジュール52と、PN接合モジュール52の両端のPN接合の開放端にそれぞれ設けられるガス生成部14a及び54と、この2つのガス生成部14a及び54と接触する電解水溶液AQ及びガス生成部14a及び54で生成される水素及び酸素のガスを収容する電解室16を構成する容器18と、この電解室16を、それぞれガス生成部14a及び54の1つを含む2つの電解室領域16aと56とに仕切る隔膜20とを有する。
[0045]
 図4(A)及び(B)示すガス製造装置50は、図1(A)及び(B)に示すガス製造装置10と、PN接合モジュール52の、電解室領域56に含まれるPN接合セル58のPN接合の順序、即ちバッファ層30と光電変換層28との積層の順序が、ガス製造装置10のPN接合モジュール12の、電解室16bに含まれるPN接合セル24cのPN接合の順序と逆である点を除いて、同様の構成を有するものであるので、同一の構成要素には、同一の番号を付し、その説明を省略し、相違する部分について説明する。
 PN接合モジュール52は、支持基板22上に、3つのPN接合セル24a,24b,58を有する集積構造体である。
 PN接合セル24a及び24bでは、支持基板22側から順に、裏面電極26、光電変換層28、バッファ層30、及び透明電極32が積層されているのに対し、右端のPN接合セル58では、支持基板22側から順に、裏面電極26、バッファ層30、光電変換層28、及び透明電極32が積層されており、バッファ層30と光電変換層28との順序が逆転している。
[0046]
 PN接合モジュール52の右端のPN接合セル58の裏面電極26と、電解室領域16a内に含まれる真中のPN接合セル14bの裏面電極26とは、共通な裏面電極26である。したがって、この共通な裏面電極26には、真中のPN接合セル14bの裏面電極と右端のPN接合セル58の裏面電極とをそれぞれ分離する分離溝P1が設けられていない。
 PN接合セル58の裏面電極26の上面には、バッファ層30が積層されており、バッファ層30の上面には、光電変換層28が積層されている。
 光電変換層28は、図中右端側において、裏面電極26及びバッファ層30の右端を埋めて覆うように、支持基板22まで延びている。
 光電変換層28の上面には、透明電極32が積層されている。この透明電極32は酸素を生成するガス生成部54(電気分解の正極)となるもので、水から光分解反応によって酸素を発生させるもので、その表面は、ガス生成面として機能する。
[0047]
 右端のPN接合セル54では、酸素を生成するガス生成部54として機能する透明電極32上に酸素生成用の助触媒36bが点在する島状に形成されている。
 したがって、上述したように、電解室56内のPN接合セル58の領域は、酸素を生成するガス生成部54として機能し、酸素ガスの発生領域を構成する。PN接合セル58の透明電極32は、酸素生成用電極として機能し、PN接合セル58の透明電極32の表面は、ガス生成面として機能する。
 その結果、ガス生成面となるPN接合セル58の透明電極32の表面を、電解室56内の電解水溶液AQの水面より少し下に位置させることができるので、供給口38bから供給され、排出口40bから排出される電解水溶液AQの流れによって、透明電極32の表面に生成された酸素が滞留せず、いつでも電解水溶液AQを接触させることができる。このため、酸素を効率よく生成することができる。
[0048]
 なお、図5に示すガス製造装置50aのガス生成部54aのように、PN接合モジュール52aの右端のPN接合セル58において、透明電極32を形成せずに、光電変換層28に直接酸素生成助触媒36bを点在するように島状に形成しても良い。この場合には、透明電極の無い右端のPN接合セル58の領域(光電変換層28、バッファ層30)は、酸素を生成するガス生成部54aとして機能し、酸素ガスの発生領域を構成する。PN接合セル58の光電変換層28は、水素生成用電極として機能し、光電変換層28の表面は、ガス生成面として機能する。この場合も、同様の効果を挙げることができる。
 なお、同図のガス生成部54aのように、PN接合モジュール52aの左端のPN接合セル14aにおいて、透明電極32を形成せずに、バッファ層30上に直接水素生成助触媒36aを点在するように島状に形成しても良い。この形態は、図2に示す実施例と同様であるので、詳細な説明は省略する。
[0049]
 本発明の第2実施形態に係るガス製造装置は、以上のように構成されるが、本発明はこれに限定されない。
 図6は、本発明の第3実施形態に係るガス製造装置一実施例を模式的に示す断面図である。
 同図に示すように、ガス製造装置60は、無機半導体からなる複数のPN接合が電気的に直列に接続されたPN接合モジュール62と、PN接合モジュール62の両端のPN接合の開放端にそれぞれ設けられるガス生成部64a及び64bと、この2つのガス生成部64a及び64bと接触する電解水溶液AQ、及びガス生成部64a及び64bで生成される水素及び酸素のガスを収容する電解室66を構成する容器18と、この電解室66を、ガス生成部64a、PN接合モジュール62及びガス生成部64bをそれぞれ1つずつ含む3つの電解室66a、66b及び66cに仕切る2つの隔膜68a及び68bとを有する。
[0050]
 図6示すガス製造装置60は、図2(A)及び(B)に示すガス製造装置10と、PN接合モジュール62のPN接合セル24aの構成、ガス生成部64a及び64bの構成、電解室66a、66b及び66cの構成、及び2つの隔膜68a及び68bを備える点で相違するが、それら以外は、同様の構成を有するものであるので、同一の構成要素には、同一の番号を付し、その説明を省略し、相違する部分について説明する。
 PN接合モジュール62は、図1及び図2に示すPN接合モジュール12及び12aと同様に、支持基板22上に、3つのPN接合セル24a,24b,24cとを有する集積構造体である。
 左端のPN接合セル24aでも、真中及び右端のPN接合セル24b及び24cと同様に、支持基板22側から順に、裏面電極26、光電変換層28、バッファ層30、透明電極32、及び透明絶縁膜34が積層されている。
[0051]
 容器18の図中左端の電解室66a内には、支持基板22上に裏面電極26aが、形成されており、分離溝P1によって、PN接合モジュール62の左端のPN接合セル24aの裏面電極26と分離されている。この裏面電極26aの露出した上表面には、水素生成用の助触媒36aが点在する島状に形成されている。なお、PN接合セル24aの分離溝P1は、光電変換層28によって埋められている。
 左端のPN接合セル24aの透明電極32は、積層された光電変換層28及びバッファ層30の、電解室66a側の側面を覆うように、バッファ層30上面から連続して設けられ、電解室66a内に延びる裏面電極26aに接続されている。こうして、PN接合セル24a,24b,24cの各透明電極32によって、裏面電極26aから右端のPN接合セル24cの裏面電極26までの間において、3つのPN接合セル24a,24b,24cが直列接続される。
 3つのPN接合セル24a、24b及び24cの各透明絶縁膜34は、裏面電極26a及びPN接合セル24cの裏面電極26の延長部分を除いて、各PN接合セル24a、24b及び24cの裏面電極26、光電変換層28、バッファ層30、及び透明電極32に積層体の全外表面、具体的には、2つの開口溝P2内の裏面電極26の露出した上面及び透明電極32の上面、並びに積層された光電変換層28及びバッファ層30の両側面を覆うように、連続して設けられている。
[0052]
 図中、左端のPN接合セル24aの左側において、裏面電極26上に、隔膜68aが密着した状態で隙間なく取り付けられている。一方、図中、右端のPN接合セル24cの右側において、裏面電極26の延長部分上に、隔膜68bが密着した状態で隙間なく取り付けられている。なお、これらの隔膜68a及び68bは、共に、容器18の両側の内壁面にも密着した状態で隙間なく取り付けられている。
 こうして、隔膜68a及び68bは、図1及び図2に示す隔膜20と同様に、イオン透過性かつガス非透過性膜であり、容器18内の電解室66を、電解室66a,66b及び66cに分離する。
[0053]
 電解室66aの内部に延びている裏面電極26aは、その表面に水素生成助触媒36aが島状に形成されており、水素を生成するガス生成部64aの水素生成用電極として機能し、裏面電極26aの表面は、電解室66a内に貯留された電解水溶液AQと接触して、水素を発生するガス生成面として機能する。したがって、電解室66aは、水素を生成するガス生成部64aとして機能し、水素ガスの発生領域を構成する。
 電解室66cの内部に延びているPN接合セル24cの裏面電極26の延長部分は、酸素を生成するガス生成部64bの酸素生成用電極として機能し、この裏面電極26の延長部分の表面は、電解室66c内に貯留された電解水溶液AQと接触し、酸素を発生するガス生成面として機能する。したがって、電解室66cは、水素を生成するガス生成部64bとして機能し、酸素ガスの発生領域を構成する。
 電解室66bの内部には、PN接合モジュール62の3つのPN接合セル24a,24b及び24cが収納される。
[0054]
 電解室66b内において、PN接合モジュール62の3つのPN接合セル24a,24b及び24cの受光面(透明絶縁膜34)に光が入射されると、電解室66a内では、電解水溶液AQと接触している裏面電極26aの表面で、水の光分解反応が生じて、水素が生成され、水酸イオンが生成される。
 一方、電解室66c内では、電解水溶液AQと接触している裏面電極26の延長部分の表面で、水の光分解反応が生じて、酸素が生成され、水素イオンが生成される。
 電解室66a内で生成された水素は、図示しない回収口から回収され、電解水溶液AQにおいて生成された水酸イオンは、隔膜68aを透過して電解室66b内に移動すると共に、電解室66c内で生成された酸素は、図示しない回収口から回収され、電解水溶液AQにおいて生成された水素イオンは、隔膜68bを透過して電解室66b内に移動する。その結果、電解室66b内において、水素イオンと水酸イオンとは中和反応して水に戻る。
 このため、電解室66a内での水素生成及び電解室66c内での酸素生成を効率よく行うことができる。
[0055]
 なお、図7に示すガス製造装置60aの電解室66a内のガス生成部64cのように、電解室66a内の、隔膜68aに対向する位置に裏面電極26aと同様の導電性部材70aを設け、裏面電極26aと接続することにより、裏面電極26a及び導電性部材70aを水素生成用電極として、それらの両方の表面を水素を生成するガス発生面として機能させることにより、水素の生成効率を向上させることができる。このため、裏面電極26aの表面には、水素生成助触媒36aを形成しなくてもよい。
 同様に、電解室66c内のガス生成部64dのように、電解室66c内の、隔膜68bに対向する位置に、PN接合セル24cの裏面電極26の延長部分と同様の導電性部材70bを設け、裏面電極26の延長部分と接続することにより、裏面電極26の延長部分及び導電性部材70bを酸素生成用電極として、それらの両方の表面を酸素を生成するガス発生面として機能させることにより、酸素の生成効率を向上させることができる。
 本発明の第3実施形態に係るガス製造装置は、以上のように構成される。
[0056]
 以上、本発明のガス製造装置について詳細に説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
 例えば、上述した例では、水素生成用及び酸素生成用のガス生成部を、共に、PN接合モジュールの接合セルの受光面側に設けているが、本発明は、これに限定されず、水素生成用及び酸素生成用のいずれか一方のガス生成部を、PN接合モジュールの接合セルの受光面側に設けても良い。
実施例
[0057]
 以下、本発明のガス製造装置を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
 まず、実施例1として、光電変換層をCIGS膜で形成した図1に示すガス製造装置10を作製し、電解室16に電解水溶液を満たして、光照射を行い、水素及び酸素の発生ガス量を評価した。
 実施例1のガス製造装置を、図8のフローチャートに示す作製フローに従って製作した。
 まず、ステップS12において、ソーダライムガラス基板を支持基板22として用意した。
 次に、ステップS14において、ソーダライムガラス基板上に、スパッタ法にてMoを約200nm成膜して、Mo膜を形成した後、ステップS16において、レーザースクライブにより切断してパターニングし、分離溝P1となる間隙を形成し、図1(A)に示すように、Mo裏面電極26を形成した。
[0058]
 次に、ステップS18において、この間隙を埋めるようにMo裏面電極26上に光電変換層28となるCIGS系化合物半導体膜(CIGS膜)を成膜した。なお、この実施例1では、蒸着源として高純度銅とインジウム(純度99.9999%)、高純度Ga(純度99.999%)、高純度Se(純度99.999%)の粒状原材料を用いた。基板温度モニターとして、クロメル-アルメル熱電対を用いた。主真空チャンバーを10 -6Torr(1.3×10 -3Pa)まで真空排気した後、各蒸発源からの蒸着レートを制御して、最高基板温度530℃の製膜条件で、膜厚約1.8μmのCIGS膜を製膜した。
 続いて、ステップS20において、バッファ層30として、CdS薄膜を90nm程度溶液成長法で堆積した。次に、ステップS22において、このMo裏面電極26上に形成されたCIGS系化合物半導体膜及びCdS膜を一体として、メカニカルスクライビング法により、パターニングして裏面電極26にまで達する開口溝P2を形成し、光電変換層28及びバッファ層30を形成した。
[0059]
 続いて、ステップS24において、こうして形成されたバッファ層30上に、溝を埋めるように、透明電極32として透明導電膜のZnO:A1膜をDCスパッタ法で厚さ0.6μmとなるように形成した。
 次に、ステップS26において、こうして形成されたZnO:A1膜32、バッファ層30及び光電変換層28を一体として、メカニカルスクライビング法により切断して、隣接するPN接合セル24である太陽電池セル間に、裏面電極26にまで達する小開口溝P2を再び形成し、各太陽電池セル24に光電変換層28、バッファ層30及び透明電極層32を個々に分離して、複数の太陽電池セル24を形成した。
 その後、ガス発生領域でない部分を、図1(A)に示すように、透明絶縁膜34となる絶縁性のエポキシ樹脂で覆った。
[0060]
 最後に、エポキシ樹脂で覆われていない太陽電池セル24面を塩化白金酸を含むメタノール水溶液に浸漬させて、光電着法にて水素生成助触媒36aとしてPt助触媒を担持させた。一方、エポキシ樹脂で被覆していないMo裏面電極26の表面をNa IrCl の加水分解により得られたIrO コロイド溶液に30分間浸漬させることにより、Mo裏面電極26の表面に酸素生成助触媒36bとしてIrO コロイドを担持させた。
 この基板をイオン交換膜(ナフィオン:シグマアルドリッチ社製)で仕切り、pH=9.5に調整した0.1MのNa SO 水溶液で満たして、実施例1の2室型セルのガス製造装置を製作した。
 こうして製作された実施例1の2室型セルのガス製造装置に対して光照射を行い、発生ガス量を評価した。
[0061]
(実施例2)
 次に、実施例2として、光電変換層をCZTS膜で形成した図1に示すガス製造装置10を作製し、電解室16に電解水溶液を満たして、光照射を行い、水素及び酸素の発生ガス量を評価した。
 実施例2のガス製造装置を、光電変換層をCIGS膜からCZTS膜に変えた以外は、実施例1と同様にして製作した。
 まず、ソーダライムガラス基板上への、間隙を持つMo裏面電極26の形成までは、実施例1と同様に行った。
 次に、分離溝P1となる間隙を埋めるように、Mo裏面電極26上に光電変換層28としてCZTS膜を成膜した。なお、この実施例2では、蒸着源として高純度銅と亜鉛(純度99.999%)、高純度In(純度99.999%)、高純度Se(純度99.999%)の粒状原材料を用いた。基板温度モニターとして、クロメル-アルメル熱電対を用いた。主真空チャンバーを10 -6Torr(1.3×10 -3Pa)まで真空排気した後、各蒸発源からの蒸着レートを制御して、最高基板温度530℃の製膜条件で、膜厚約1.8μmのCZTS膜を製膜した。
[0062]
 続いてバッファ層30として、CdS薄膜を90nm程度溶液成長法で堆積した。このMo裏面電極26上に形成されたCZTS系化合物半導体膜及びCdS膜を一体として、メカニカルスクライビング法により、パターニングして裏面電極26にまで達する溝を形成し、光電変換層28及びバッファ層30を形成した。
 この後、実施例1と同様にして、実施例2の2室型セルのガス製造装置を製作した。
 こうして製作された実施例2の2室型セルのガス製造装置に対して、実施例1と同様にして、光照射を行い、発生ガス量を評価した。
[0063]
(実施例3)
 次に、実施例3として、光電変換層をCIGS膜で形成した図4に示すガス製造装置50を作製し、電解室16に電解水溶液を満たして、光照射を行い、水素及び酸素の発生ガス量を評価した。
 まず、ソーダライムガラス基板上への、間隙を持つMo裏面電極26の形成までは、実施例1と同様に行った。
 次にバッファ層30として、図4(A)に示すように、一部の領域(PN接合セル58の領域)以外をマスクして、ZnO薄膜を100nm程度スパッタ法で堆積した。分離溝P1としての間隙を埋めるようにMo裏面電極26上に光電変換層28となるCIGS膜を成膜した。なお、CIGS膜の成膜は、実施例1と同様に行った。
[0064]
 続いて、CIGS膜上に、バッファ層30として、CdS薄膜を90nm程度溶液成長法で堆積し、図4(A)に示すように、一部の領域(PN接合セル58の領域)を払拭により除去した。
 この後、実施例1と同様にして、PN接合モジュール52の3つのPN接合セル24a,24b,及び58となる複数の太陽セルを形成した。
 その後、ガス発生領域でない部分を、図4(A)に示すように、透明絶縁膜34となる絶縁性のエポキシ樹脂で覆った。
 この後、実施例1と同様にして、実施例3の2室型セルのガス製造装置を製作した。
 こうして製作された実施例3の2室型セルのガス製造装置に対して、実施例1と同様にして、光照射を行い、発生ガス量を評価した。
[0065]
(比較例1)
 PN接合の組が1つであることと絶縁性樹脂を使用していない点以外は、実施例1と同様にして、図9に示す比較例1の2室型セルのガス製造装置100を作製した。
 図示例のガス製造装置100は、隔膜20で分離された電解室102a内に1つのPA接合セル24aが配置され、水素生成部を形成し、もう1つの電解室102b内には、PA接合セル24aの裏面電極26が延長されて配置され、酸素生成部を形成している。
 こうして製作された比較例1の2室型セルのガス製造装置に対して、実施例1と同様にして、光照射を行い、発生ガス量を評価した。
[0066]
(比較例2)
 次に、比較例2として、光電変換層をCIGS膜で形成した図10に示すガス製造装置200を作製し、電解室に電解水溶液を満たして、光照射を行い、水素及び酸素をともに光の入射方向と反対側の面から発生させ、水素及び酸素の発生ガス量を評価した。
 ソーダライムガラス基板22の裏面に示すようなパターンとなるようにマスクをして、Mo膜202a,202bを約200nm成膜した後、基板22の上面に、スパッタ法にてMo膜26を約200nm成膜し、その後、実施例1と同様のプロセスで複数の太陽電池セル24(24a、24b、24c)を作製した。
 この太陽電池セル24の両端の電極26を基板下面のMo電極202a,202bを銅線204と銀ペーストを用いて電気的に接合し、露出している基板上面の導電部と銅線部分をエポキシ樹脂34で被覆した。
[0067]
 最後に、エポキシ樹脂で覆われていない太陽電池セル下面のMo電極202aを塩化白金酸を含むメタノール水溶液に浸漬させて、光電着法にてPt助触媒36aを担持させた。
 また、他方の基板下面のMo電極202bの表面をNa IrCl の加水分解により得られたIrO コロイド溶液に浸漬させることにより、Mo電極202bの表面にIrO コロイドを担持させた。この基板22の裏面側をイオン交換膜(ナフィオン)20で仕切り、電解室206a及び206bを形成し、電解室206a及び206bをpH=9.5に調整した0.1MのNa SO 水溶液で満して、比較例2の2室型セルのガス製造装置を製作した。
 こうして製作された比較例2の2室型セルのガス製造装置に対して光照射を行い、発生ガス量を評価した。
[0068]
 上述した実施例1~3および比較例1~2のガス製造装置を用いて、水素及び酸素の生成を行い、それぞれの装置のガス生成について、以下の評価を行った。
 ガス生成量(初期)として、光照射直後のガス生成量を求めた。
 ガス生成量(経時)として、光照射から10時間経過後のガス生成量を求めた。
 その結果を表1に示す。
 なお、表1においては、実施例1の水素ガス生成量(初期)を基準として、100とした。
[0069]
[表1]


[0070]
 表1に示すように、本発明の実施例1では、光照射直後も、高いガス生成量を示し、時間経過後も、高いガス生成量を維持でき、安定したガス発生を達成することができることが分かる。
 本発明の実施例2及び3では、光照射直後のガス生成量は、実施例1に比べて低いものの、時間経過後も、ガス生成量の低下が少なく、安定したガス発生を達成することができることが分かる。
 一方、比較例1では、PN接合の組が1組しかないため、水を水素と酸素に分解するために必要なポテンシャル(起電力)が得られないため、ガスが発生しなかった。
 また、比較例2では、3つのPN接合の組により、水を水素と酸素に分解するために必要なポテンシャルは有しているものの、発生したガスがガス発生面と電解水溶液との間に滞留してしまい、それによって、電解水溶液との接触面積が低下したことで、ガスの生成効率が低下してしまった。24時間後には、ガスの滞留量が初期と比較して多くなったため、ガス生成量がさらに低下した。
 以上の結果から、本発明の効果は明らかである。

符号の説明

[0071]
 10,10a,10b,50,50a,60,60a ガス製造装置
 12,12a,12b,52,52a,62 PN接合モジュール
 14a,14b,14c,14d,54,54a,64a,64b ガス生成部
 16,16a,16b,56,66a,66b,66c 電解室
 18 容器
 20,68a,68b 隔膜
 22 支持基板
 24、24a,24b,24c,58 PN接合セル(太陽電池セル)
 26,26a 裏面電極
 28 光電変換層
 30 バッファ層
 32 透明電極
 34 透明絶縁膜
 36a,36b 助触媒

請求の範囲

[請求項1]
 それぞれ一方の面に受光面を、他方の面に裏面を有し、無機半導体から構成され、直列接続される複数のPN接合からなるPN接合モジュールと、
 このPN接合モジュールの前記受光面の側において、前記PN接合モジュールの一方の末端のPN接合の開放端及び他方の末端のPN接合の開放端にそれぞれ設けられ、それぞれ水素及び酸素のガスを生成する2つのガス生成部と、
 この2つのガス生成部と接触する電解水溶液、及び各ガス生成部で生成されるガスを収容する電解室と、
 この電解室を、それぞれ1つの前記ガス生成部を含む2つの領域に仕切るイオン透過性、かつガス非透過性の隔膜とを有し、
 前記PN接合モジュールは、隣接するPN接合の一方のPN接合の裏面と他方のPN接合の受光面を導電性材料で接続することにより、直列接続され、
 前記隔膜は、前記電解室を、前記PN接合モジュールの前記受光面に光を入射させることによって、前記電解水溶液と接触する一方のガス生成部で生成される水素を収容する領域、及び前記電解水溶液と接触する他方のガス生成部で生成される酸素を収容する領域との前記2つの領域に仕切るものであることを特徴とするガス製造装置。
[請求項2]
 さらに、前記2つのガス生成部を除く、前記PN接合モジュールの前記導電性材料表面を覆う光透過性絶縁材料を有する請求項1に記載のガス製造装置。
[請求項3]
 前記無機半導体が、CIGS化合物半導体を含む請求項1又は2に記載のガス製造装置。
[請求項4]
 前記無機半導体が、CZTS化合物半導体を含む請求項1又は2に記載のガス製造装置。
[請求項5]
 前記無機半導体の吸収波長端が、800nm以上である請求項1~4のいずれか1項に記載のガス製造装置。
[請求項6]
 前記PN接合のN側表面は、前記受光面であり、
 前記PN接合のP側表面は、前記裏面であり、
 さらに、前記PN接合のP側表面に設けられた裏面電極を有する請求項1~5のいずれか1項に記載のガス製造装置。
[請求項7]
 前記PN接合モジュールの前記一方の末端の前記PN接合のN側表面は、水素を生成する前記一方のガス生成部として機能し、
 さらに、前記一方の末端の前記PN接合を除く、前記PN接合モジュールの残りの前記PN接合のN側表面をそれぞれ覆う光透過性導電材料製の光透過性導電膜を有する請求項6に記載のガス製造装置。
[請求項8]
 さらに、前記PN接合のN側表面を覆う光透過性導電材料製の光透過性導電膜を有し、
 前記PN接合モジュールの前記一方の末端の前記PN接合のN側表面を覆う前記光透過性導電膜は、水素を生成する前記一方のガス生成部として機能する請求項6に記載のガス製造装置。
[請求項9]
 さらに、前記PN接合のN側表面を覆う光透過性導電材料製の光透過性導電膜を有し、
 水素を生成する前記一方のガス生成部は、前記PN接合モジュールの前記一方の末端の前記PN接合のN側表面を覆う前記光透過性導電膜に電気的に接続され、
 前記隔膜は、前記一方のガス生成部と、前記一方の末端の前記PN接合との間に設けられる請求項6に記載のガス製造装置。
[請求項10]
 前記PN接合モジュールの前記他方の末端の前記PN接合の前記P側表面に設けられた前記裏面電極の一部は、酸素を生成する前記他方のガス生成部として機能する請求項6~9のいずれか1項に記載のガス製造装置。
[請求項11]
 さらに、前記PN接合モジュールの前記他方の末端の前記PN接合のP側表面に設けられた前記裏面電極の延長部上に設けられる、接合の順序が逆である逆PN接合とを有し、
 この逆PN接合のP側表面が、前記受光面となり、
 前記逆PN接合のN側表面が、前記裏面電極の延長部と接触する請求項6~9のいずれか1項に記載のガス製造装置。
[請求項12]
 前記逆PN接合のP側表面は、酸素を生成する前記他方のガス生成部として機能する請求項11に記載のガス製造装置。
[請求項13]
 さらに、前記受光面である前記逆PN接合のP側表面を覆う光透過性導電材料製の光透過性導電膜を有し、
 前記逆PN接合のP側表面を覆う前記光透過性導電膜は、酸素を生成する前記他方のガス生成部として機能する請求項11に記載のガス製造装置。
[請求項14]
 前記PN接合モジュールの前記他方の末端の前記PN接合の前記P側表面に設けられた前記裏面電極の延長部は、酸素を生成する前記他方のガス生成部として機能し、
 前記隔膜は、前記他方のガス生成部と、前記PN接合モジュールの前記他方の末端の前記PN接合との間に設けられる請求項6~9のいずれか1項に記載のガス製造装置。
[請求項15]
 さらに、前記2つのガス生成部の少なくとも一方の表面に設けられる助触媒を有する請求項1~14のいずれか1項に記載のガス製造装置。
[請求項16]
 前記水素を生成する前記一方のガス生成部の表面に設けられる前記助触媒は、水素生成触媒としての白金である請求項15に記載のガス製造装置。
[請求項17]
 前記酸素を生成する前記他方のガス生成部の表面に設けられる前記助触媒は、酸素生成触媒としての金属、CoO 、又はIrO である請求項15又は16に記載のガス製造装置。
[請求項18]
 前記複数のPN接合における光照射による発生電流量がそれぞれ等しい請求項1~17のいずれか1項に記載のガス製造装置。
[請求項19]
 前記複数のPN接合の前記受光面の受光面積がそれぞれ等しい請求項1~18のいずれか1項に記載のガス製造装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]