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1. WO2021060407 - PROJECTION IMAGE DISPLAYING MEMBER, WINDSHIELD GLASS, AND HEAD-UP DISPLAY SYSTEM

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明 細 書

発明の名称 投映像表示用部材、ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008  

先行技術文献

特許文献

0009  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0010   0011   0012  

課題を解決するための手段

0013  

発明の効果

0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166  

実施例

0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202  

産業上の利用可能性

0203  

符号の説明

0204  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 投映像表示用部材、ウインドシールドガラスおよびヘッドアップディスプレイシステム

技術分野

[0001]
 本発明は、投映像表示用部材、この投映像表示用部材を有するウインドシールドガラス、および、このウインドシールドガラスを用いるヘッドアップディスプレイシステムに関する。

背景技術

[0002]
 車両等のウインドシールドガラスに画像を投映し、運転者に情報を提供する、いわゆるヘッドアップディスプレイ(ヘッドアップディスプレイシステム)が知られている。以下の説明では、ヘッドアップディスプレイを『HUD』とも言う。なお、HUDとは、『Head up Display』の略である。
 HUDによれば、運転者は、前方の外界を見ながら、視線を大きく動かすことなく、地図、走行速度、および、車両の状態など、様々な情報を得ることができるため、各種の情報を得ながら、より安全に運転を行うことが期待できる。
[0003]
 周知のように、光の反射では、s偏光をブリュースター角で入射すると、最も高い反射率が得られる。
 これに対応して、HUDでは、通常、プロジェクターからs偏光の投映像を投映して、s偏光の投映像をブリュースター角に近い角度でウインドシールドガラスに入射して、反射させることにより、投映像を表示する。
[0004]
 ここで、運転者は、サングラスを着用して運転する場合も多い。サングラスとしては、路上の水たまり等の反射光によるギラツキ、および、ボンネットの反射光によるギラツキ等の運転の妨げとなる光を抑制する偏光サングラスが知られている。
 路上の水たまり等の反射光によるギラツキなど、運転者が眩しいと感じるギラツキとなる光は、多くの場合、s偏光である。そのため、偏光サングラスは、通常、s偏光を遮光するように作られている。
 ところが、上述のように、HUDの投映光は、多くがs偏光である。そのため、通常のHUDでは、偏光サングラスを着用した場合には、投映像を観察できなくなってしまう。
[0005]
 また、一般的な車両用のウインドシールドガラスは、2枚のガラス板を中間膜と呼ばれる膜で貼着した、いわゆる合わせガラスである。
 合わせガラスのウインドシールドガラスによって投映像を反射するHUDでは、車内側のガラス板で反射された投映光が、観察される投映像となる。しかしながら、車内側のガラスを透過した投映光は、車外側のガラス板でも反射され、二重像を生じてしまう。
 この二重像を解消するために、s偏光をウインドシールドガラスに入射するHUDでは、ウインドシールドガラスは、2枚のガラス板を角度をつけて貼着する、いわゆする楔型の合わせガラスとする必要がある。
[0006]
 このような問題に対して、p偏光を反射するハーフミラーフィルムを用いるHUDも提案されている。このHUDでは、プロジェクターからp偏光の投映光を投映して、例えばウインドシールドガラスに組み込んだハーフミラーフィルムによってp偏光の投映光を反射することで、投映像を表示する。
[0007]
 例えば、特許文献1には、400nm以上500nm未満の中心反射波長をもち中心反射波長での通常光に対する反射率が5%以上25%以下である光反射層PRL-1と、500nm以上600nm未満の中心反射波長をもち中心反射波長での通常光に対する反射率が5%以上25%以下である光反射層PRL-2と、600nm以上700nm未満の中心反射波長をもち中心反射波長での通常光に対する反射率が5%以上25%以下である光反射層PRL-3のうち、1つ以上の光反射層を含み、かつ互いに異なる中心反射波長をもつ少なくとも2つ以上の光反射層が積層され、積層される少なくとも2つ以上の光反射層は、いずれも同じ向きの偏光を反射する、ハーフミラーフィルム(光反射フィルム)が記載されている。
[0008]
 特許文献2には、平面形状で400nm以上500nm未満の中心反射波長をもち中心反射波長での通常光に対する反射率が5%以上25%以下である光反射層PRL-1と、平面形状で500nm以上600nm未満の中心反射波長をもち中心反射波長での通常光に対する反射率が5%以上25%以下である光反射層PRL-2と、平面形状で600nm以上700nm未満の中心反射波長をもち中心反射波長での通常光に対する反射率が5%以上25%以下である光反射層PRL-3のうち、1つ以上の光反射層を含み、かつ互いに異なる中心反射波長をもつ少なくとも2つ以上の光反射層が積層され、積層される少なくとも2つ以上の光反射層は、いずれも同じ向きの偏光を反射する特性を有し、かついずれも無負荷状態で曲面形状を保持してなり、かつ厚さが50μm以上500μm以下である曲面形状のハーフミラーフィルム(光反射フィルム)が記載されている。
 特許文献1および特許文献2には、このハーフミラーフィルムが、HUDに用いられることが記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0009]
特許文献1 : 国際公開第2016/056617号
特許文献2 : 特開2017-187685号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0010]
 上述の特許文献1および特許文献2に記載されるハーフミラーフィルムは、例えば、ウインドシールドガラスに組み込まれて、HUDを構成する。
 ここで、特許文献1および特許文献2に記載されるハーフミラーフィルムは、p偏光を反射するものである。そのため、このハーフミラーフィルムと、p偏光の投映像を投映するプロジェクターを用いるHUDによれば、s偏光を遮光する偏光サングラスをかけた場合でも、投映像を観察できる。また、ガラス板で投映光を反射しないので、二重像を解消するために、ウインドシールドガラスを楔型にする必要もない。
[0011]
 ここで、上述のように、路上の水たまり等の反射光によるギラツキなど、運転者が眩しいと感じて運転の妨げになる光は、多くの場合、s偏光である。
 ところが、p偏光を反射するハーフミラーフィルムを有するウインドシールドフィルムを用いた場合、ウインドシールドガラスの車外側から侵入したs偏光は、ウインドシールドガラス中の光反射フィルムを通過する際に、光の偏光が変化して、p偏光の成分が混在してしまう。上述のように、偏光サングラスはs偏光を遮光するので、このp偏光の成分は、偏光サングラスを透過してしまう。そのため、p偏光で投映像を表示するHUDでは、s偏光が主成分である上述の反射光のギラツキを遮光する偏光サングラスの機能が損なわれ、運転の妨げになってしまう可能性が有る。
[0012]
 本発明の目的は、偏光サングラス適性に優れたHUDを実現可能な投映像表示用部材、この投映像表示用部材を有するウインドシールドガラス、および、このウインドシールドガラスを用いるHUDを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0013]
 上記目的を達成するために、本発明は、以下の構成を有する。
 [1] 面内レタデーションが5000nm以上である透明基材と、少なくとも1層の選択反射層とを有し、透明基材より選択反射層が投映光の入射側に位置する、投映像表示用部材。
 [2] 直線偏光を円偏光に変換する、または、直線偏光の偏光方向を変更する、偏光変換層を有し、
 透明基材、選択反射層および偏光変換層が、この順番で設けられる、[1]に記載の投映像表示用部材。
 [3] 偏光変換層は、波長550nmにおける面内位相差が100~450nmの位相差層である、[2]に記載の投映像表示用部材。
 [4] 偏光変換層は、厚さ方向に沿って伸びる螺旋軸に沿って捩れ配向した液晶化合物の螺旋配向構造を固定した層である、[2]に記載の投映像表示用部材。
 [5] 螺旋配向構造のピッチ数をx、偏光変換層の膜厚をy(μm)とした際に、
  (i)0.2≦x≦1.5
  (ii)1.0≦y≦5.0
の少なくとも一方を満たす、[4]に記載の投映像表示用部材。
 [6] 選択反射層が、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層である、[1]~[5]のいずれかに記載の投映像表示用部材。
 [7] 入射するs偏光と、透明基材の遅相軸とが成す角度が、10~30°である、[1]~[6]のいずれかに記載の投映像表示用部材。
 [8] 貼着される第1ガラス板および第2ガラス板と、[1]~[7]のいずれかに記載の投映像表示用部材と、を有するウインドシールドガラス。
 [9] 第1ガラス板と第2ガラス板との間に、投映像表示用部材を有する、[8]に記載のウインドシールドガラス。
 [10] 第1ガラス板の第2ガラス板とは逆側の面に、投映像表示用部材が貼着される、[8]に記載のウインドシールドガラス。
 [11] 第1ガラス板が車内側であり、投映像表示用部材は、透明基材を選択反射層よりも第2ガラス板側にして設けられる、[8]~[10]のいずれかに記載のウインドシールドガラス。
 [12] 実装された状態における水平方向と、投映像表示用部材の透明基材の遅相軸とが成す角度が、10~30°である、[8]~[11]のいずれかに記載のウインドシールドガラス。
 [13] [8]~[12]のいずれかに記載のウインドシールドガラスと、ウインドシールドガラスにp偏光の投映光を投映するプロジェクターとを有する、ヘッドアップディスプレイシステム。

発明の効果

[0014]
 本発明によれば、偏光サングラス適性に優れたHUDを実現可能な投映像表示用部材、この投映像表示用部材を有するウインドシールドガラス、および、このウインドシールドガラスを用いるHUDが提供される。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 図1は、本発明の投映像表示用部材の一例を概念的に示す図である。
[図2] 図2は、透明基材の作用を説明するための概念図である。
[図3] 図3は、透明基材の作用を説明するための概念図である。
[図4] 図4は、透明基材の作用を説明するための概念図である。
[図5] 図5は、本発明のウインドシールドガラスの一例を概念的に示す図である。
[図6] 図6は、本発明のウインドシールドガラスの別の例を概念的に示す図である。
[図7] 図7は、本発明のウインドシールドガラスの別の例を概念的に示す図である。
[図8] 図8は、本発明のHUDの一例を概念的に示す図である。
[図9] 図9は、配向膜の形成方法を説明するための概念図である。

発明を実施するための形態

[0016]
 以下、本発明の投映像表示用部材、ウインドシールドガラス、および、HUD(ヘッドアップディスプレイシステム)について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
[0017]
 本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
[0018]
 本明細書において、可視光は、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380~780nmの波長域の光を示す。非可視光は、380nm未満の波長域または780nmを超える波長域の光である。また、これに限定されるものではないが、可視光のうち、420~490nmの波長域の光は青色光(B光)であり、495~570nmの波長域の光は緑色光(G光)であり、620~750nmの波長域の光は赤色光(R光)である。さらに、これに限定されるものではないが、赤外線とは、非可視光のうち、780nm超2000nm以下の波長域を示す。
[0019]
 本明細書において、p偏光は光の入射面に平行な方向に振動する偏光を意味する。入射面は反射面に垂直で、入射光線と反射光線とを含む面を意味する。p偏光は電場ベクトルの振動面が入射面に平行である。
[0020]
 本明細書において、面内レタデーションRe(面内位相差)は、Axometrics(アクソメトリクス)社製のAxoScanを用いて測定した値である。特に言及のないときは、測定波長は550nmとする。
[0021]
 本明細書において、「投映像(projection image)」は、前方などの周囲の風景ではない、使用するプロジェクターからの光の投射に基づく映像を意味する。投映像は、観察者から見てウインドシールドガラスの投映像表示部位の先に浮かび上がって見える虚像として観測される。
 本明細書において、「画像(screen image)」はプロジェクターの描画デバイスに表示される像または、描画デバイスにより中間像スクリーン等に描画される像を意味する。虚像に対して、画像は実像である。
[0022]
 本明細書において、「可視光透過率」はJIS R 3212:2015(自動車用安全ガラス試験方法)において定められたA光源可視光透過率とする。すなわち、可視光透過率は、A光源を用い分光光度計にて、380~780nmの範囲の各波長の透過率を測定し、CIE(国際照明委員会)の明順応標準比視感度の波長分布および波長間隔から得られる重価係数を各波長での透過率に乗じて加重平均することによって求められる透過率である。
[0023]
 また、本明細書において、液晶組成物、液晶化合物とは、硬化等により、もはや液晶性を示さなくなったものも概念として含まれる。
[0024]
<<投映像表示用部材>>
 本発明の投映像表示用部材は、画像(投映像)を担持する投映光を反射し、投映光の反射光で、投映光が担持する画像を投映像として表示する、ハーフミラー(ハーフミラーフィルム)である。
 投映像表示用部材は可視光透過性を有する。具体的には、投映像表示用部材の可視光透過率は、80%以上が好ましく、82%以上がより好ましく、84%以上がさらに好ましい。このような高い可視光透過率を有することにより可視光透過率が低いガラスと組み合わせて合わせガラスとしたときであっても、車両のウインドシールドガラスの規格を満たす可視光透過率を実現することができる。
[0025]
 投映像表示用部材は、視感度の高い波長域において実質的な反射を示さないことが好ましい。
 具体的には、法線方向からの光に対して、通常の合わせガラスと、投映像表示用部材を組み込んだ合わせガラスとを比較したときに、波長550nm近辺で実質的に同等な反射を示すことが好ましい。特に、490~620nmの可視光波長域において、実質的に同等な反射を示すのが好ましい。
 「実質的に同等な反射」とは、例えば、日本分光社製の分光光度計「V-670」等の分光光度計で法線方向から測定した対象の波長における自然光(無偏光)の反射率の差が、10%以下であることを意味する。上述の波長域において、反射率の差は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましく、1%以下が特に好ましい。
 視感度の高い波長域において実質的に同等な反射を示すことによって、可視光透過率が低いガラスと組み合わせて合わせガラスとしたときであっても、車両のウインドシールドガラスの規格を満たす可視光透過率を実現することができる。
[0026]
 投映像表示用部材は、薄膜のフィルム状およびシート状等であればよい。投映像表示用部材は、ウインドシールドガラスに使用される前は、薄膜のフィルムとしてロール状等になっていてもよい。
[0027]
 投映像表示用部材は、少なくとも投映されている光の一部に対して、ハーフミラーとしての機能を有しているものであればよい。従って、投映像表示用部材は、例えば、可視光域全域の光に対してハーフミラーとして機能していることを必要とするものではない。
 また、投映像表示用部材は、全ての入射角の光に対して上述のハーフミラーとしての機能を有していてもよいが、少なくとも一部の入射角の光に対して、上述のハーフミラーとしての機能を有していればよい。
[0028]
 図1に、本発明の投映像表示用部材の一例を概念的に示す。
 図1に示すように、投映像表示用部材10は、透明基材12と、選択反射層14と、偏光変換層16と、貼着層18とを有する。
[0029]
 本発明の投映像表示用部材10は、投映光を反射して投映像を表示するためのハーフミラーフィルムであって、例えば、ウインドシールドガラスと組み合わされてHUDに用いられる。
 本発明の投映像表示用部材10は、透明基材12よりも、選択反射層14が投映光の入射側に配置される。すなわち、図1に示す投映像表示用部材であれば、偏光変換層16が投映光の入射面となる。
 従って、本発明の投映像表示用部材10は、HUD等に搭載された場合には、選択反射層14が車内側で、透明基材12側が車外側となる。すなわち、HUDの投映光は、選択反射層14(偏光変換層16)側から入射して、反射される。他方、車外からの外光は、透明基材12から入射して、貼着層18、選択反射層14および偏光変換層16を透過して、車内等に至る。
[0030]
 本発明の投映像表示用部材10において、透明基材12は、透明で、かつ、5000nm以上の面内レタデーションReを有する。
 透明基材12は、本発明の投映像表示用部材における特徴的な部材である。
 透明基材12に関しては、後に詳述する。
[0031]
<貼着層>
 貼着層18は、透明基材12と選択反射層14とを貼着するためのものである。
 貼着層18は、貼り合わせる際には流動性を有し、その後、固体になる、接着剤からなる層でも、貼り合わせる際にゲル状(ゴム状)の柔らかい固体で、その後もゲル状の状態が変化しない、粘着剤からなる層でも、接着剤と粘着剤との両方の特徴を持った材料からなる層でもよい。
[0032]
 接着剤としては硬化方式の観点からホットメルトタイプ、熱硬化タイプ、光硬化タイプ、反応硬化タイプ、硬化の不要な感圧接着タイプがあり、それぞれ素材としてアクリレート系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、エポキシ系、エポキシアクリレート系、ポリオレフィン系、変性オレフィン系、ポリプロピレン系、エチレンビニルアルコール系、塩化ビニル系、クロロプレンゴム系、シアノアクリレート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリスチレン系、および、ポリビニルブチラール系などの化合物を使用することができる。作業性および生産性の観点からは、硬化方式として光硬化タイプが好ましい。また、光学的な透明性および耐熱性の観点からは、素材はアクリレート系、ウレタンアクリレート系、および、エポキシアクリレート系等が好ましい。
[0033]
 貼着層18は、OCA(Optical Clear Adhesive(光学透明接着剤))を用いて形成されたものであってもよい。OCAとしては、画像表示装置用の市販品、特に画像表示装置の画像表示部表面用の市販品を用いればよい。市販品の例としては、パナック社製の粘着シート(PD-S1など)、および、日栄化工社製のMHMシリーズの粘着シートなどが挙げられる。
 貼着層18の厚さには、制限はない。貼着層18の厚さは、0.5~10μmが好ましく、1.0~5.0μmがより好ましい。また、OCAを用いて形成された貼着層18の厚さは、10~50μmであってもよく、15~30μmが好ましい。
[0034]
 なお、透明基材12に、十分な密着力で、直接、選択反射層14を形成できる場合には、貼着層18は不要である。
[0035]
<選択反射層>
 選択反射層14は、波長選択的に光を反射する層である。具体的には、選択反射層14は、特定の波長域の選択的に反射する層である。
 図示例において、選択反射層14は、所定の波長域の光を選択的に反射し、それ以外の光を透過する
[0036]
 選択反射層14は偏光反射層であるのが好ましい。偏光反射層は、直線偏光、円偏光、または楕円偏光を反射する層である。
 偏光反射層は、円偏光反射層または直線偏光反射層であるのが好ましい。円偏光反射層は、選択的な反射波長域において、いずれか一方のセンス(旋回方向)の円偏光を反射し、かつ、他方のセンスの円偏光を透過する層である。また、直線偏光反射層は、選択反射の中心波長において、1つの偏光方向の直線偏光を反射し、反射する偏光方向に直交する偏光方向の直線偏光を透過する層である。
 偏光反射層は反射しない偏光を透過させることができる。従って、偏光反射層を用いることで、選択反射層14が反射を示す波長域においても、一部の光を透過させることができる。
[0037]
 選択反射層14は、円偏光反射層であるのが好ましく、特に、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層であるのが好ましい。
 図に示す投映像表示用部材10の選択反射層14は、好ましい一例として、赤色光の波長域に選択反射中心波長を有する赤色反射コレステリック液晶層46R、緑色光の波長域に選択反射中心波長を有する緑色反射コレステリック液晶層46G、および、青色光の波長域に選択反射中心波長を有する青色反射コレステリック液晶層46Bの、3層の選択反射層を有する。
[0038]
 なお、図示例の投映像表示用部材10は、赤色光、緑色光および青色光を反射するフルカラーの投映像に対応するものであるが、本発明は、これに制限はされない。
 本発明において、投映像表示用部材の選択反射層14は、赤色反射コレステリック液晶層46Rおよび緑色反射コレステリック液晶層46Gのみを有する、または、赤色反射コレステリック液晶層46Rおよび青色反射コレステリック液晶層46Bのみを有する、または、緑色反射コレステリック液晶層46Gおよび青色反射コレステリック液晶層46Bのみを有する、2色の投映像に対応するものでもよい。または、選択反射層14は、赤色反射コレステリック液晶層46R、緑色反射コレステリック液晶層46G、および、青色反射コレステリック液晶層46Bのうちの、1層のみを有する、モノクロの投映光に対応するものでもよい。
 すなわち、本発明の投映上表示用部材は、基本的に、HUDのプロジェクターが投映する投映光がフルカラー画像である場合には、選択反射層14も青色光、緑色光および赤色光を、全て反射するように構成される。HUDのプロジェクターが投映する投映光が2色画像である場合には、選択反射層14も同じ色の2色を反射するように構成される。HUDのプロジェクターが投映する投映光がモノクロ画像である場合には、選択反射層14も同じ色を反射するように構成される。
[0039]
[コレステリック液晶層(円偏光反射層)]
 コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を固定してなる層を意味する。
 コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている層であればよい。コレステリック液晶層は、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射および加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、また外場または外力によって配向形態に変化を生じさせることがない状態に変化した層であればよい。なお、コレステリック液晶層においては、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、層中の液晶化合物は、もはや液晶性を示していなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
[0040]
 コレステリック液晶相は、右円偏光または左円偏光のいずれか一方のセンスの円偏光を選択的に反射させると共に、他方のセンスの円偏光を透過する円偏光選択反射を示すことが知られている。
 円偏光選択反射性を示すコレステリック液晶相を固定した層を含むフィルムとして、重合性液晶化合物を含む組成物から形成されたフィルムは従来から数多く知られており、コレステリック液晶層については、それらの従来技術を参照することができる。
[0041]
 コレステリック液晶層による選択反射の中心波長(選択反射中心波長)λは、コレステリック液晶相における螺旋構造(螺旋配向構造)の螺旋ピッチP(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶層の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。この式からわかるように、n値および/またはP値を調整することにより、選択反射中心波長を調整することができる。
 螺旋構造の螺旋ピッチP(螺旋1ピッチ)とは、言い換えれば、螺旋の巻き数1回分の螺旋軸方向の長さである。すなわち、螺旋ピッチPは、コレステリック液晶相を構成する液晶化合物のダイレクター(棒状液晶であれば長軸方向)が360°回転する螺旋軸方向の長さである。通常のコレステリック液晶層の螺旋軸方向は、コレステリック液晶層の厚さ方向と一致する。
 また、コレステリック液晶層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM(Scanning Electron Microscope))で観察すると、コレステリック液晶相に由来して、厚さ方向に明線(明部)と暗線(暗部)とを交互に有する縞模様が観察される。
 コレステリック液晶層の螺旋ピッチPは、明線間の距離の2倍となる。言い替えれば、コレステリック液晶層の螺旋ピッチPは、厚さ方向の明線3本および暗線2本分の長さ、すなわち、厚さ方向の暗線3本および明線2本分の長さに等しい。なお、この長さは、厚さ方向の上下の明線または暗線の中心間距離である。
[0042]
 コレステリック液晶層の選択反射中心波長および半値幅(半値全幅)は、一例として、下記のように求めることができる。
 分光光度計(日本分光社製、V-670)を用いて、法線方向からコレステリック液晶層の反射スペクトルを測定すると、選択反射帯域に透過率の低下ピークがみられる。このピークの極小透過率と低下前の透過率との中間(平均)の透過率となる2つの波長のうち、短波長側の波長の値をλ l(nm)、長波長側の波長の値をλ h(nm)とすると、選択反射中心波長λと半値幅Δλは下記式で表すことができる。
  λ=(λ l+λ h)/2Δλ=(λ h-λ l
 上述のように求められる選択反射中心波長は、コレステリック液晶層の法線方向から測定した円偏光反射スペクトルの反射ピークの重心位置にある波長と略一致する。
[0043]
 コレステリック液晶相の螺旋ピッチは、重合性液晶化合物と共に用いるキラル剤の種類、および、その添加濃度に依存するため、これらを調整することによって所望のピッチを得ることができる。なお、螺旋のセンスおよびピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
[0044]
 また、投映像表示用部材において、コレステリック液晶層は、投映光の入射側から見て、選択反射の中心波長が短いものから順に配置されていることが好ましい。
[0045]
 各コレステリック液晶層としては、螺旋のセンスが右または左のいずれかであるコレステリック液晶層が用いられる。コレステリック液晶層が反射する円偏光のセンス(円偏光の旋回方向)は、螺旋のセンスに一致する。
 なお、選択反射中心波長が異なる複数層のコレステリック液晶層は、螺旋のセンスは、すなわち反射する円偏光の旋回方向は、全て同じであるのが好ましい。
[0046]
 選択反射を示す選択反射帯の半値幅Δλ(nm)は、液晶化合物の複屈折Δnと上述のピッチPに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯の幅の制御は、Δnを調整して行うことができる。Δnの調整は重合性液晶化合物の種類または混合比率を調整したり、配向固定時の温度を制御したりすることで行うことができる。
 選択反射の中心波長が同一の1種のコレステリック液晶層の形成のために、ピッチPが同じで、同じ螺旋のセンスのコレステリック液晶層を複数積層してもよい。ピッチPが同じで、同じ螺旋のセンスのコレステリック液晶層を積層することによって、特定の波長で円偏光選択性を高くすることができる。
[0047]
 選択反射層14を構成する複数のコレステリック液晶層は、別に作製したコレステリック液晶層を接着剤等を用いて積層してもよく、あるいは、後述する方法で形成された先のコレステリック液晶層の表面に、直接、重合性液晶化合物等を含む液晶組成物(塗布液)を塗布し、配向および固定の工程を繰り返してもよいが、後者が好ましい。
 先に形成されたコレステリック液晶層の表面に直接次のコレステリック液晶層を形成することにより、先に形成したコレステリック液晶層の空気界面側の液晶分子の配向方位と、その上に形成するコレステリック液晶層の下側の液晶分子の配向方位が一致し、コレステリック液晶層の積層体の偏光特性が良好となるからである。また、接着層の厚さムラに由来して生じ得る干渉ムラが観測されないからである。
[0048]
 コレステリック液晶層の厚さは、0.2~10μmが好ましく、0.5~10μmがより好ましく、1.0~8.0μmがさらに好ましく、1.5~6.0μmが特に好ましい。
 また、コレステリック液晶層の厚さの総計は、2.0~30μmが好ましく、2.5~25μmがより好ましく、3.0~20μmがさらに好ましい。
[0049]
(コレステリック液晶層の作製方法)
 以下、コレステリック液晶層の作製材料および作製方法について説明する。
 上述のコレステリック液晶層の形成に用いる材料としては、重合性液晶化合物とキラル剤(光学活性化合物)とを含む液晶組成物等が挙げられる。必要に応じて、さらに、界面活性剤および重合開始剤等と混合して溶剤等に溶解した上述の液晶組成物を、支持体、配向膜、下層となるコレステリック液晶層等に塗布し、コレステリック配向熟成後、液晶組成物の硬化により固定化してコレステリック液晶層を形成することができる。
[0050]
(重合性液晶化合物)
 重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であることが好ましい。
 コレステリック液晶層を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、および、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
[0051]
 重合性液晶化合物は、重合性基を液晶化合物に導入することで得られる。重合性基の例には、不飽和重合性基、エポキシ基、および、アジリジニル基が含まれ、不飽和重合性基が好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。重合性基は種々の方法で、液晶化合物の分子中に導入できる。重合性液晶化合物が有する重合性基の個数は、好ましくは一分子中に1~6個、より好ましくは1~3個である。
 重合性液晶化合物の例は、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、米国特許第5622648号明細書、米国特許第5770107号明細書、WO95/022586、WO95/024455、WO97/000600、WO98/023580、WO98/052905、特開平1-272551号公報、特開平6-016616号公報、特開平7-110469号公報、特開平11-080081号公報、および、特開2001-328973号公報等に記載の化合物が含まれる。2種類以上の重合性液晶化合物を併用してもよい。2種類以上の重合性液晶化合物を併用すると、配向温度を低下させることができる。
[0052]
 また、液晶組成物中の重合性液晶化合物の添加量は、液晶組成物の固形分質量(溶媒を除いた質量)に対して、80~99.9質量%が好ましく、85~99.5質量%がより好ましく、90~99質量%がさらに好ましい。
[0053]
 可視光透過率を向上させるためには、コレステリック液晶層は低Δnであってもよい。低Δnのコレステリック液晶層は、低Δn重合性液晶化合物を用いて形成することができる。以下、低Δn重合性液晶化合物について具体的に説明する。
[0054]
(低Δn重合性液晶化合物)
 低Δn重合性液晶化合物を利用してコレステリック液晶相を形成し、これを固定したフィルムとすることにより、狭帯域選択反射層を得ることができる。低Δn重合性液晶化合物の例としては、WO2015/115390、WO2015/147243、WO2016/035873、特開2015-163596号公報、特開2016-053149号公報に記載の化合物が挙げられる。半値幅の小さい選択反射層を与える液晶組成物については、WO2016/047648の記載も参照できる。
[0055]
 液晶化合物は、WO2016/047648に記載の以下の式(I)で表される重合性化合物であることも好ましい。
[0056]
[化1]


[0057]
 式(I)中、Aは、置換基を有していてもよいフェニレン基または置換基を有していてもよいトランス-1,4-シクロヘキシレン基を示し、Lは単結合、-CH 2O-、-OCH 2-、-(CH 22OC(=O)-、-C(=O)O(CH 22-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-CH=CH-C(=O)O-、および-OC(=O)-CH=CH-からなる群から選択される連結基を示し、mは3~12の整数を示し、Sp 1およびSp 2はそれぞれ独立に、単結合、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の-CH 2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH 3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、または-C(=O)O-で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、Q 1およびQ 2はそれぞれ独立に、水素原子または以下の式Q-1~式Q-5で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、ただしQ 1およびQ 2のいずれか一方は重合性基を示す。
[0058]
[化2]


[0059]
 式(I)中の、フェニレン基は1,4-フェニレン基であることが好ましい。
 フェニレン基およびトランス-1,4-シクロヘキシレン基について「置換基を有していてもよい」というときの置換基は、特に限定されず、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルエーテル基、アミド基、アミノ基、およびハロゲン原子ならびに、上述の置換基を2つ以上組み合わせて構成される基からなる群から選択される置換基が挙げられる。また、置換基の例としては、後述の-C(=O)-X 3-Sp 3-Q 3で表される置換基が挙げられる。フェニレン基およびトランス-1,4-シクロヘキシレン基は、置換基を1~4個有していてもよい。2個以上の置換基を有するとき、2個以上の置換基は互いに同一であっても異なっていてもよい。
[0060]
 アルキル基は直鎖状および分岐鎖状のいずれでもよい。アルキル基の炭素数は1~30が好ましく、1~10がより好ましく、1~6がさらに好ましい。アルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、直鎖状または分岐鎖状のヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、またはドデシル基を挙げることができる。アルキル基に関する上述の説明はアルキル基を含むアルコキシ基においても同様である。また、アルキレン基というときのアルキレン基の具体例としては、上述のアルキル基の例それぞれにおいて、任意の水素原子を1つ除いて得られる2価の基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。
[0061]
 シクロアルキル基の炭素数は、3~20が好ましく、5以上がより好ましく、また、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基を挙げることができる。
[0062]
 フェニレン基およびトランス-1,4-シクロヘキシレン基が有していてもよい置換基としては特に、アルキル基、およびアルコキシ基、-C(=O)-X 3-Sp 3-Q 3からなる群から選択される置換基が好ましい。ここで、X 3は単結合、-O-、-S-、もしくは-N(Sp 4-Q 4)-を示すか、または、Q 3およびSp 3と共に環構造を形成している窒素原子を示す。Sp 3、Sp 4はそれぞれ独立に、単結合、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の-CH 2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH 3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、または-C(=O)O-で置換された基からなる群から選択される連結基を示す。
[0063]
 Q 3およびQ 4はそれぞれ独立に、水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の-CH 2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH 3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、もしくは-C(=O)O-で置換された基、または式Q-1~式Q-5で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示す。
[0064]
 シクロアルキル基において1つまたは2つ以上の-CH 2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH 3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、または-C(=O)O-で置換された基として、具体的には、テトラヒドロフラニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、および、モルホルニル基等が挙げられる。置換位置は特に限定されない。これらのうち、テトラヒドロフラニル基が好ましく、特に2-テトラヒドロフラニル基が好ましい。
[0065]
 式(I)において、Lは単結合、-CH 2O-、-OCH 2-、-(CH 22OC(=O)-、-C(=O)O(CH 22-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-CH=CH-C(=O)O-、および、-OC(=O)-CH=CH-からなる群から選択される連結基を示す。Lは-C(=O)O-または-OC(=O)-であることが好ましい。m-1個のLは互いに同一でも異なっていてもよい。
[0066]
 Sp 1、Sp 2はそれぞれ独立に、単結合、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、および炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つまたは2つ以上の-CH 2-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH 3)-、-C(=O)-、-OC(=O)-、または-C(=O)O-で置換された基からなる群から選択される連結基を示す。Sp 1およびSp 2はそれぞれ独立に、両末端にそれぞれ-O-、-OC(=O)-、および-C(=O)O-からなる群から選択される連結基が結合した炭素数1から10の直鎖のアルキレン基、-OC(=O)-、-C(=O)O-、-O-、および炭素数1から10の直鎖のアルキレン基からなる群から選択される基を1または2以上組み合わせて構成される連結基であることが好ましく、両方の末端に-O-がそれぞれ結合した炭素数1から10の直鎖のアルキレン基であることが好ましい。
[0067]
 Q 1およびQ 2はそれぞれ独立に、水素原子、もしくは上述の式Q-1~式Q-5で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、ただしQ 1およびQ 2のいずれか一方は重合性基を示す。
 重合性基としては、アクリロイル基(式Q-1)またはメタクリロイル基(式Q-2)が好ましい。
[0068]
 式(I)中、mは、3~12の整数を示す。mは、3~9の整数が好ましく、3~7の整数がより好ましく、3~5の整数がさらに好ましい。
[0069]
 式(I)で表される重合性化合物は、Aとして置換基を有していてもよいフェニレン基を少なくとも1つおよび置換基を有していてもよいトランス-1,4-シクロヘキシレン基を少なくとも1つ含むことが好ましい。式(I)で表される重合性化合物は、Aとして、置換基を有していてもよいトランス-1,4-シクロヘキシレン基を1~4個含むことが好ましく、1~3個含むことがより好ましく、2または3個含むことがさらに好ましい。また、式(I)で表される重合性化合物は、Aとして、置換基を有していてもよいフェニレン基を1個以上含むことが好ましく、1~4個含むことがより好ましく、1~3個含むことがさらに好ましく、2個または3個含むことが特に好ましい。
[0070]
 式(I)において、Aで表されるトランス-1,4-シクロヘキシレン基の数をmで割った数をmcとしたとき、0.1<mc<0.9が好ましく、0.3<mc<0.8がより好ましく、0.5<mc<0.7がさらに好ましい。液晶組成物が0.5<mc<0.7である式(I)で表される重合性化合物と共に、0.1<mc<0.3である式(I)で表される重合性化合物を含むことも好ましい。
[0071]
 式(I)で表される重合性化合物の例として具体的には、WO2016/047648の段落0051~0058に記載の化合物のほか、特開2013-112631号公報、特開2010-70543号公報、特許4725516号、WO2015/115390、WO2015/147243、WO2016/035873、特開2015-163596号公報、および、特開2016-53149号公報に記載の化合物等を挙げることができる。
[0072]
(キラル剤:光学活性化合物)
 キラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル化合物は、化合物によって誘起する螺旋のセンスまたは螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
 キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物を用いることができる。キラル剤の例としては、液晶デバイスハンドブック(第3章4-3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989)、特開2003-287623号、特開2002-302487号、特開2002-080478号、特開2002-080851号、特開2010-181852号、および、特開2014-034581号等の各公報に記載の化合物が挙げられる。
[0073]
 キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物も、キラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン、および、これらの誘導体が含まれる。
 キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
 また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
[0074]
 キラル剤としては、イソソルビド誘導体、イソマンニド誘導体、および、ビナフチル誘導体等を好ましく用いることができる。イソソルビド誘導体としては、BASF社製のLC756等の市販品を用いてもよい。
 液晶組成物における、キラル剤の含有量は、重合性液晶化合物量の0.01~200モル%が好ましく、1~30モル%がより好ましい。なお、液晶組成物中におけるキラル剤の含有量は、組成物中の全固形分に対するキラル剤の濃度(質量%)を意図する。
[0075]
(重合開始剤)
 液晶組成物は、重合開始剤を含有していることが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。
 光重合開始剤の例には、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、米国特許第2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、米国特許第2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63-040799号公報、特公平5-029234号公報、特開平10-095788号公報、特開平10-029997号公報、特開2001-233842号公報、特開2000-080068号公報、特開2006-342166号公報、特開2013-114249号公報、特開2014-137466号公報、特許4223071号公報、特開2010-262028号公報、特表2014-500852号公報記載)、オキシム化合物(特開2000-066385号公報、特許第4454067号公報記載)、および、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。例えば、特開2012-208494号公報の段落0500~0547の記載も参酌できる。
[0076]
 重合開始剤としては、アシルフォスフィンオキシド化合物またはオキシム化合物を用いることも好ましい。
 アシルフォスフィンオキシド化合物としては、例えば、市販品のBASFジャパン(株)製のIRGACURE810(化合物名:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド)を用いることができる。オキシム化合物としては、IRGACURE OXE01(BASF社製)、IRGACURE OXE02(BASF社製)、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、ならびに、アデカアークルズNCI-831およびアデカアークルズNCI-930(ADEKA社製)等の市販品を用いることができる。
 重合開始剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
 液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1~20質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
[0077]
(架橋剤)
 液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
 架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、4,4-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物等が挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
 架橋剤の含有量は、3~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量を3質量%以上とすることにより、架橋密度向上の効果を得ることができ、架橋剤の含有量を20質量%以下とすることにより、コレステリック液晶層の安定性の低下を防止できる。
 なお、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
[0078]
(配向制御剤)
 液晶組成物中には、安定的にまたは迅速にプレーナー配向のコレステリック液晶層とするために寄与する配向制御剤を添加してもよい。配向制御剤の例としては、特開2007-272185号公報の段落[0018]~[0043]等に記載のフッ素(メタ)アクリレート系ポリマー、特開2012-203237号公報の段落[0031]~[0034]等に記載の式(I)~(IV)で表される化合物、および、特開2013-113913号公報に記載の化合物等が挙げられる。
 なお、配向制御剤としては1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
[0079]
 液晶組成物中における、配向制御剤の添加量は、重合性液晶化合物の全質量に対して0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましく、0.02~1質量%が特に好ましい。
[0080]
(その他の添加剤)
 その他、液晶組成物は、塗膜の表面張力を調整し厚さを均一にするための界面活性剤、および重合性モノマー等の種々の添加剤から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。また、液晶組成物中には、必要に応じて、さらに、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、および、金属酸化物微粒子等を、光学性能を低下させない範囲で添加することができる。
[0081]
 コレステリック液晶層は、一例として、以下のように形成する。まず、重合性液晶化合物および重合開始剤、さらに必要に応じて添加されるキラル剤および界面活性剤等を溶媒に溶解させた液晶組成物を調製する。次いで、調製した液晶組成物を、樹脂層、配向膜、偏光変換層16、または、先に作製されたコレステリック液晶層等の上に塗布し、乾燥させて、塗膜を得る。さらに、この塗膜に活性光線を照射して液晶組成物(重合性液晶化合物)を重合し、コレステリック規則性が固定化されたコレステリック液晶層を形成することができる。
 なお、複数のコレステリック液晶層からなる積層膜は、コレステリック液晶層の上述の製造工程を繰り返し行うことにより形成することができる。
[0082]
(溶媒)
 液晶組成物の調製に使用する溶媒には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶媒が好ましく用いられる。
 有機溶媒には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、および、エーテル類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。
[0083]
(塗布、配向、重合)
 支持体、配向膜、下層となるコレステリック液晶層等への液晶組成物の塗布方法には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。塗布方法としては、例えば、ワイヤーバーコーティング法、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、および、スライドコーティング法等が挙げられる。また、別途支持体上に塗設した液晶組成物を転写することによっても実施できる。
 塗布した液晶組成物を加熱することにより、液晶分子を配向させる。加熱温度は、200℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。この配向処理により、重合性液晶化合物が、フィルム面に対して実質的に垂直な方向に螺旋軸を有するようにねじれ配向している光学薄膜が得られる。
[0084]
 配向させた液晶化合物をさらに重合させることにより、液晶組成物を硬化することができる。重合は、熱重合、光照射を利用する光重合のいずれでもよいが、光重合が好ましい。光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm 2~50J/cm 2が好ましく、100~1,500mJ/cm 2がより好ましい。
 光重合反応を促進するため、加熱条件下または窒素雰囲気下で光照射を実施してもよい。照射紫外線波長は350~430nmが好ましい。重合反応率は、安定性の観点から、高い方が好ましい。具体的には、重合反応率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。重合反応率は、重合性の官能基の消費割合を赤外線吸収スペクトルの測定により、決定することができる。
[0085]
[直線偏光反射層]
 投映像表示用部材10は、選択反射層として、直線偏光反射層を用いてもよい。
 直線偏光反射層としては、例えば、屈折率異方性の異なる薄膜を積層した偏光板が挙げられる。このような偏光板は、コレステリック液晶層と同様に高い可視光透過率を有し、HUDにおける使用時に斜めから入射する投映光を視感度の高い波長において反射することができる。
[0086]
 屈折率異方性の異なる薄膜を積層した偏光板としては、例えば、特表平9-506837号公報等に記載されたものを用いることができる。具体的には、屈折率関係を得るために選ばれた条件下で加工すると、広く様々な材料を用いて、偏光板を形成できる。一般に、第1の材料の一つが、選ばれた方向において、第2の材料とは異なる屈折率を有することが必要である。この屈折率の違いは、フィルムの形成中、またはフィルムの形成後の延伸、押出成形、或いはコーティングを含む様々な方法で達成できる。さらに、2つの材料が同時押出することができるように、類似のレオロジー特性(例えば、溶融粘度)を有することが好ましい。
[0087]
 屈折率異方性の異なる薄膜を積層した偏光板としては、市販品を用いることができる。市販品としては、反射型偏光板と仮支持体との積層体となっているものを用いてもよい。市販品としては、例えば、DBEF(登録商標)(3M社製)、および、APF(高度偏光フィルム(Advanced Polarizing Film(3M社製))として販売されている市販の光学フィルム等が挙げられる。
 直線偏光反射層の厚さは、2.0~50μmが好ましく、8.0~30μmがより好ましい。
[0088]
<偏光変換層>
 偏光変換層16は、直線偏光を円偏光に変換し、また、円偏光を直線偏光に変換するものである。あるいは、偏光変換層16は、直線偏光の偏光方向を変更するものである。
 本発明の投映像表示用部材10において、偏光変換層16は、選択反射層14よりも投映光の入射側に位置する。
[0089]
 なお、本発明の投映像表示用部材において、偏光変換層16は、必須の構成部材ではない。すなわち、本発明の投映像表示用部材は、例えば、選択反射層14および透明基材12のみで構成されてもよい。
 しかしながら、投映像表示用部材が偏光変換層16を有することにより、HUDに用いた場合の投映光の表示輝度を向上できる。従って、本発明の投映像表示用部材は、図示例のように、偏光変換層16を有するのが好ましい。
[0090]
 偏光変換層16としては、一例として、位相差層が例示される。中でも、面方向の位相差がλ/4であるλ/4層(λ/4位相差層)が好ましい。従って、位相差層は、例えば、波長550nmにおける面内レタデーションReが100~450nmであるのが好ましく、120~200nmあるいは300~400nmであるのがより好ましい。
 また、偏光変換層16としての位相差層は、λ/2層(λ/2位相差層)、および、3λ/4層(3λ/4位相差層)等も利用可能である。
 後述するが、偏光変換層16としての位相差層は、コレステリック液晶層が反射する円偏光の旋回方向に応じて、p偏光をコレステリック液晶層が反射する旋回方向の円偏光に変換するように、遅相軸の位置を設定して配置される。
[0091]
 位相差層には、制限はなく、直線偏光を円偏光に変換できるものであれば、公知の各種のものが利用可能である。
 位相差層としては、例えば、延伸されたポリカーボネートフィルム、延伸されたノルボルネン系ポリマーフィルム、炭酸ストロンチウムのような複屈折を有する無機粒子を含有して配向させた透明フィルム、支持体上に無機誘電体を斜め蒸着した薄膜、重合性液晶化合物を一軸配向させて配向固定したフィルム、および、液晶化合物を一軸配向させて配向固定したフィルム等が挙げられる。
[0092]
 中でも、重合性液晶化合物を一軸配向させて配向固定したフィルムは、位相差層として、好適に例示される。
 このような位相差層は、一例として、仮支持体、または配向膜表面に、重合性液晶化合物を含む液晶組成物を塗布し、そこで液晶組成物中の重合性液晶化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、硬化によって固定化して、形成することができる。
 この場合の位相差層の形成は、液晶組成物中にキラル剤を添加しない以外は、上述のコレステリック液晶層の形成と同様に行うことができる。ただし、液晶組成物の塗布後のネマチック配向の際、加熱温度は50~120℃が好ましく、60~100℃がより好ましい。
[0093]
 位相差層は、高分子液晶化合物を含む組成物を、仮支持体または配向膜等の表面に塗布して、液晶状態においてネマチック配向に形成後、冷却することによって、この配向を固定化して得られる層であってもよい。
[0094]
 位相差層の厚さには、制限はないが、0.2~300μmが好ましく、0.5~150μmがより好ましく、1.0~80μmがさらに好ましい。液晶組成物を用いて形成される位相差層の厚さは、特に限定はないが、0.2~10μmが好ましく、0.5~5.0μmがより好ましく、0.7~2.0μmがさらに好ましい。
[0095]
 位相差層は、例えば、図9に示すように、位相差層の任意の方向の軸Hに対して、角度α傾けて遅相軸Saが設定される。遅相軸Saの方向は、例えば、位相差層の下層となる配向膜のラビング処理により設定できる。
 位相差層の遅相軸Saの方向は、投映像表示用部材10をHUD(図8参照)に用いた場合における、投映像表示のための投映光の入射方向、および、選択反射層14を構成するコレステリック液晶層の螺旋のセンスに応じて決定することが好ましい。
[0096]
 後述するが、本発明の投映像表示用部材10を用いるHUDでは、プロジェクターがp偏光の投映光を出射し、投映像表示用部材10が、p偏光を反射することで、画像を表示する。
 具体的には、投映像表示用部材10では、まず、位相差層が、入射したp偏光の投映光を円偏光に変換する。次いで、選択反射層14(コレステリック液晶層)が、この円偏光を選択的に反射して、位相差層に再入射する。さらに、位相差層が、円偏光をp偏光に変換する。投映像表示用部材10は、これにより、入射したp偏光の投映光を、p偏光のまま反射する。
 従って、位相差層は、選択反射層14(コレステリック液晶層)が選択的に反射する円偏光のセンスに応じて、入射したp偏光を、選択反射層14が反射する旋回方向の円偏光に変換するように、遅相軸Saの方向が設定される。すなわち、選択反射層14が、右円偏光を選択的に反射する場合には、位相差層は、入射したp偏光を右円偏光にするように、遅相軸Saの方向が設定される。逆に、選択反射層14が、左円偏光を選択的に反射する場合には、位相差層は、入射したp偏光を左円偏光にするように、遅相軸Saの方向を、逆に傾けて設定される。
[0097]
 このような位相差層の遅相軸の設定は、一例として、図9に示す軸Hを、ウインドシールドガラスに搭載されてHUDとして使用される際における、上下方向(鉛直方向)と見なして、位相差層の遅相軸Saの方向を設定すればよい。
[0098]
 本発明の投映像表示用部材10において、偏光変換層16は、位相差層に制限はされない。偏光変換層16としては、厚さ方向に沿って伸びる螺旋軸に沿って捩れ配向した液晶化合物の螺旋配向構造を固定してなる、直線偏光(p偏光)の偏光方向を旋回させる旋光層(ツイスト層)も、利用可能である。すなわち、偏光変換層16としては、液晶化合物を捩じれ配向する旋光層(旋光フィルム)も利用可能である。
[0099]
 偏光変換層16としての旋光層は、これに制限はされないが、螺旋配向構造のピッチ数をx、旋光層の膜厚をy(単位μm)とした際に、
  (i)0.2≦x≦1.5
  (ii)1.0≦y≦5.0
の少なくとも一方を見たすのが好ましい。特に、旋光層は、式(i)および式(ii)の両者を満たすのがより好ましい。を満たすのが好ましい。
 なお、螺旋ピッチは、上述したコレステリック液晶層と同様である。
[0100]
 旋光層の螺旋配向構造のピッチ数xを0.2以上とすることにより、直線偏光の旋回効果を十分に得られる等の点で好ましい。旋光層の螺旋配向構造のピッチ数xを1.5以下とすることにより、直線偏光が不要に旋回することを防止できる等の点で好ましい。
 旋光層の膜厚を1.0μm以上とすることにより、直線偏光の旋回効果を十分に得られる等の点で好ましい。旋光層の膜厚を5.0μm以下とすることにより、旋光層が不要に厚くなることを防止できる等の点で好ましい。
[0101]
 偏光変換層16としての旋光層において、螺旋配向構造のピッチ数xは0.25~1.3がより好ましく、0.3~1.0がさらに好ましい。
 また、偏光変換層16としての旋光層において、膜厚は、1.1~4.5μmがより好ましく、1.2~4.0μmがさらに好ましい。
[0102]
 このような旋光層は、上述したコレステリック液晶層に準じて、上述した膜厚および螺旋ピッチ数を満たすように形成すればよい。
[0103]
<透明基材>
 本発明の投映像表示用部材10は、透明基材12を有する。
 透明基材12は、面内レタデーションReが5000nm以上である。
 また、透明基材12は、可視光透過率が、80%以上である。透明基材12の可視光透過率は、85%以上が好ましく、87%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
[0104]
 上述したように、本発明の投映像表示用部材10においては、透明基材12よりも選択反射層14が投映光の入射側に位置する。
 従って、投映像表示用部材10がウインドシールドガラスに装着され、HUDとして用いられる場合には、選択反射層14が投映光の入射側となる車内側(内面側)となり、透明基材12は、車外側(外面側)となる。すなわち、投映像表示用部材10においては、外光は、最初に透明基材12を通って、車内に侵入する。
 本発明の投映像表示用部材10は、このような透明基材12を、選択反射層14に対して投映光の入射側と反対側、すなわち、外光の入射側に有することにより、HUDの偏光サングラス適性を向上している。
[0105]
 本発明の投映像表示用部材10(本発明のウインドシールドガラス)を用いる本発明のHUDでは、p偏光の投映光をウインドシールドガラスに入射して、ウインドシールドガラスに組み込まれた投映像表示用部材10がp偏光を反射することにより、投映像を表示する。具体的には、投映像表示用部材10では、偏光変換層16が位相差層である場合には、位相差層(偏光変換層16)がp偏光を所定の旋回方向の円偏光に変換し、この円偏光を選択反射層14が反射し、位相差層がp偏光に再変換することで、入射したp偏光を反射する。
 p偏光をガラスに対して斜めに入射すると、ガラスによる反射は非常に少なくなる。本発明のHUDは、p偏光を投映して、投映像表示用部材10によってp偏光を反射することにより、ウインドシールドガラスの内面および外面で反射する光に起因する二重像を解消できる。従って、ウインドシールドガラスをクサビ型にする必要も無い。
 加えて、偏光変換層16を有する投映像表示用部材10は、入射したp偏光を無駄なく高い反射率で反射できるので、HUDによる投映像の輝度も向上できる。
[0106]
 一方、水たまりの反射光、対向車のウインドシールドの反射光、および、ボンネットの反射光など、車両等においてウインドシールドガラスの外部から侵入する、いわゆるギラツキ成分は、多くがs偏光である。そのため、偏光サングラスは、s偏光成分を遮光するようになっている。
 従って、通常のs偏光の投映光を投映するHUDでは、運転者が偏光サングラスを着用した場合には、投映像を観察できない。
 これに対して、本発明の投映像表示用部材10を用いるHUDは、投映像がp偏光である。そのため、本発明によれば、s偏光を投映するHUDとは異なり、運転者が偏光サングラスを使用した場合でも、HUDの投映像を適正に観察できる。
[0107]
 ここで、コレステリック層を用いる反射層など、所定の円偏光を選択的に反射する反射層に、非反射成分の偏光が入射して透過すると、偏光状態が変化する。
 上述のように、ウインドシールドガラスの外部から侵入するギラツキ成分は、主にs偏光である。従って、p偏光に対応する円偏光を選択的に反射する反射層を透過したs偏光は、理想的にはs偏光に対応する旋回方向の円偏光になる。この円偏光は、次いで、位相差層によって、再度、s偏光に変換される。そのため、ウインドシールドガラスの外部から侵入するギラツキ成分であるs偏光は、偏光サングラスを用いることで遮光できる。
[0108]
 ところが、外部からウインドシールドガラスに入射するs偏光は、ウインドシールドガラスの反射層(反射フィルム、ハーフミラー)に法線方向から入射する成分のみではなく、様々な角度でウインドシールドガラスに入射する。そのため、特許文献1および特許文献2に示されるような、従来の位相差層および円偏光反射層によってp偏光を投映するHUDでは、外部から侵入して、反射層を透過したs偏光は、円偏光ではなく、楕円偏光になってしまう。
 このような楕円偏光が位相差層を透過すると、透過光には、s偏光のみならず、p偏光の成分も混在する。p偏光は、偏光サングラスで遮光できないので、偏光サングラスを透過してしまう。
 そのため、従来のp偏光を投映するHUDでは、s偏光が主成分である上述の反射光のギラツキをカットする偏光サングラスの機能が損なわれ、p偏光のギラツキが偏光サングラスを透過してしまい、運転の支障となる。すなわち、特許文献1および特許文献2に示されるような、従来のp偏光を投映する、位相差層および円偏光反射層を用いるハーフミラーフィルムを利用するHUDは、偏光サングラス適性が低い。
[0109]
 これに対して、本発明の投映像表示用部材10では、選択反射層14における投映光の入射側とは逆側の面、すなわち、選択反射層14よりも外光の入射側に、面内レタデーションReが5000nm以上の透明基材12を有する。すなわち、ウインドシールドの外部から入射した、ギラツキとなるs偏光が主成分である反射光は、透明基材12を透過した後、選択反射層14および偏光変換層16を透過して、車内に至る。
 本発明の投映像表示用部材10は、このような構成を有することにより、p偏光を投映するHUDにおける偏光サングラス適性を向上している。
[0110]
 コレステリック層を用いる反射層などの所定の円偏光を選択的に反射する反射層と、位相差層(偏向変換層)とを有するハーフミラーフィルムに、反射層側から光が入射すると、図2に示すように、入射する光の偏光によって、p偏光に変換される比率が異なる。具体的には、円偏光がp偏光に変換される比率が最も高く、偏光方向がs偏光に対して15°の直線偏光がp偏光に変換される比率が低い。
 すなわち、このハーフミラーフィルムでは、反射層側から入射する直線偏光の偏光方向によって、透過光におけるp偏光の比率が異なる。
[0111]
 一方、面内レタデーションReが5000nm以上の透明基材12にs偏光が入射すると、偏光解消が生じて、左右の円偏光、および、偏光方向が異なる直線偏光など、様々な偏光に変換される。
 ここで、透明基材12では、入射する直線偏光の偏光方向と、透明基材12の遅相軸とが成す角度に応じて、透過後に変換される偏光の割合が異なる。
 従って、選択反射層14と偏光変換層16とを有するハーフミラーフィルムの外光入射側に面内レタデーションReが高い透明基材12を配置し、かつ、入射するs偏光と、透明基材12の遅相軸とが成す角度を調節して、選択反射層14に入射する直線偏光を、p偏光となる比率が低くなる直線偏光とすることで、外光として入射したs偏光がp偏光に変換される割合を、低減できる。
 なお、入射するs偏光と透明基材12の遅相軸とが成す角度とは、正確には、s偏光の振動面(s偏光の振動方向)と、透明基材12の遅相軸とが成す角度である。
[0112]
 図3および図4に、コレステリック液晶層からなる選択反射層とλ/4層とを有するハーフミラーフィルムの選択反射層側に、透明基材を設けた場合および設けない場合における、コレステリック液晶層側からs偏光を入射した場合のp偏光反射率を示す。
 図3は、s偏光と透明基材の遅相軸とが成す角度を15°とした例である。他方、図4は、s偏光の偏光方向と透明基材の遅相軸とが成す角度を60°とした例である。
 図3に示すように、コレステリック液晶層からなる選択反射層とλ/4層とを有するハーフミラーフィルムの選択反射層側に、s偏光に対して遅相軸を30°傾けて透明基材を配置することにより、透過光におけるp偏光の比率を大幅に低減できる。
[0113]
 従って、面内レタデーションReが5000nm以上の透明基材12を有する本発明の投映像表示用部材10(本発明のウインドシールドガラスおよび本発明のHUD)によれば、p偏光の投映光によって、偏光サングラスを着用したHUDの投映像の観察と可能にし、かつ、ウインドシールドガラスを楔型にする必要を無くすと共に、外光として入射するs偏光がp偏光に変換されることも抑制して、運転の支障となる外光のギラツキを遮蔽する偏光サングラス適性も向上できる。
[0114]
 本発明の投映像表示用部材10において、透明基材12の遅相軸と、s偏光とが成す角度には、制限はない。
 すなわち、外光として入射するs偏光がp偏光に変換される比率を低減できる、透明基材12の遅相軸とs偏光とが成す角度は、偏光変換層16に応じて異なる。例えば、外光として入射するs偏光がp偏光に変換される比率を低減できる、透明基材12の遅相軸とs偏光とが成す角度は、偏光変換層16として位相差層を用いる場合であっても、λ/4層と、λ/2層と、3λ/4層とで異なる。
 従って、透明基材12の遅相軸とs偏光とが成す角度は、使用する偏光変換層16に応じて、適宜、設定すればよい。
 例えば、偏光変換層16がλ/4層である場合には、透明基材12の遅相軸とs偏光とが成す角度は、10~30°が好ましく、15~25°がより好ましい。
[0115]
 なお、車両等に入射する外光のs偏光は、通常、水平方向の直線偏光である。水平方向の直線偏光とは、振動面(振動方向)が水平方向の直線偏光である。
 従って、本発明のウインドシールドガラスでは、s偏光を水平方向に置き換えて、水平方向と投映像表示用部材10の透明基材12の遅相軸とが成す角度とする。すなわち、本発明のウインドシールドガラスでは、例えば、偏光変換層16がλ/4層である場合には、透明基材12の遅相軸と水平方向とが成す角度が10~30°であるのが好ましい。
 この点に関しては、後述する本発明のウインドシールドガラスを用いる本発明のHUDでも、同様である。
[0116]
 透明基材12の形成材料には、制限はなく、上述した可視光透過率および面内レタデーションReが5000nm以上の透明基材12が得られるものであれば、各種の材料が利用可能である。
 一例として、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、(メタ)アクロニトリル系樹脂、および、シクロオレフィン系樹脂等が例示される。中でも、ポリエステル系樹脂が好ましく例示され、その中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、および、ポリエチレンナフタレート(PEN)がより好ましい。
[0117]
 透明基材12は、一例として、材料がPET等のポリエステルである場合には、以下のように作製できる。まず、材料のポリエステルを溶融し、シート状に押出し成型する。次いで、成型した未延伸のポリエステルをガラス転移温度以上の温度に加熱して、テンター等によって横延伸する。その後、熱処理を施すことにより、透明基材12を得ることができる。
 この際において、延伸倍率および延伸温度を調整することで、透明基材12の面内レタデーションReを調節できる。一般的に、延伸倍率が高いほど面内レタデーションReが大きくなり、また、延伸温度が低いほど面内レタデーションReが大きくなる。
[0118]
 透明基材12の厚さにも制限はない。すなわち、透明基材12の厚さは、目的とする面内レタデーションReを得られる厚さを、延伸倍率および延伸温度、ならびに、形成材料に応じて、適宜、設定すればよい。
 透明基材12の厚さは、10~200μmが好ましく、20~150μmがより好ましく、40~100μmがさらに好ましい。
[0119]
[配向膜]
 投映像表示用部材10は、選択反射層14(コレステリック液晶層)および/または偏光変換層16を形成する際に、液晶組成物が塗布される下層として、配向膜を有してもよい。
 配向膜は、ポリマーなどの有機化合物(ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドおよび変性ポリアミドなどの樹脂)からなる層のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、ならびに、ラングミュア・ブロジェット法(LB膜)を用いた有機化合物(例えば、ω-トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライドおよびステアリル酸メチル)の累積等の手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与または光照射により、配向機能が生じる配向膜を用いてもよい。
 中でも、配向膜となるポリマー層に、ラビング処理を行った配向膜は、好ましく例示される。ラビング処理は、公知の方法が利用可能であり、一例として、ポリマー層の表面を、紙、布で一定方向に、擦ることにより実施することができる。
 配向膜を設けずに、後述する樹脂層をラビング処理した表面に、液晶組成物を塗布してもよい。すなわち、樹脂層を配向膜として作用させてもよい。
 配向膜の厚さには制限はないが、0.01~5.0μmが好ましく、0.05~2.0μmがより好ましい。
 なお、仮支持体を用いて選択反射層等を有する投映像表示用部材を作製する場合は、配向層は仮支持体と共に剥離してもよい。すなわち、配向膜は、投映像表示用部材の作製時のみに存在し、投映像表示用部材が完成した時点では、投映像表示用部材を構成する層とはならなくてもよい。
[0120]
[樹脂層]
 投映像表示用部材10は、偏光変換層16の表面に樹脂層を有してもよい。偏光変換層16の表面とは、偏光変換層16の選択反射層14とは逆側の面である。
 偏光変換層16の表面に樹脂層を有することにより、偏光変換層16の損傷を防止できる等の点で好ましい。
[0121]
 樹脂層は可視光の透過率が高いのが好ましい。
 樹脂層の可視光透過率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
 樹脂層の可視光透過率を80%以上とすることにより、高輝度の投映像を投映できる、反射時の損失が少なく高輝度の投映像を投影できる等の点で好ましい。
[0122]
 樹脂層の面内レタデーションReには制限はないが、小さい方が好ましい。
 樹脂層の面内レタデーションReは、10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、2nm以下がさらに好ましい。
 樹脂層の面内レタデーションReを10nm以下とすることにより、樹脂層によって投映光の偏光が崩れることを防止できる、直線偏光が入射した際の干渉が減少する等の点で好ましい。
[0123]
 樹脂層の厚さには、制限はなく、樹脂層の形成目的および形成材料に応じて、必用な性能を得られる厚さを、適宜、設定すればよい。
 樹脂層の厚さは、5~1000μmが好ましく、20~400μmがより好ましく、40~100μmさらに好ましい。
 樹脂層の厚さを5μm以上とすることにより、樹脂層を形成した効果を好適に得られる、ある程度の剛性が確保できるため転写する際のフィルムの位置決めがしやすい等の点で好ましい。
 樹脂層の厚さを1000μm以下とすることにより、投映像表示用部材10が不要に厚くなることを防止できる、反射部材が曲率を持つ際に転写しやすい等の点で好ましい。
[0124]
 樹脂層の形成材料には、制限はなく、好ましくは上述の条件を満たすものであれば、各種の樹脂材料が利用可能である。
 一例として、PET、TAC(トリアセチルセルロース)、PC(ポリカーボネート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、および、PMMA(ポリメチルメタアクリレート)等が例示される。
 なお、樹脂層に変えて、ガラス板を偏光変換層16の表面に設けてもよい。
[0125]
 このような投映像表示用部材10は、各種の方法で作製可能である。
 一例として、樹脂層となる樹脂フィルム等の表面に配向膜となる膜を形成し、ラビング処理等を行って配向膜を形成する。次いで、配向膜に偏光変換層16を形成し、偏光変換層16の表面にコレステリック液晶層等の選択反射層14を形成する。一般的に、液晶層を積層した場合における液晶化合物の配向は、下層の液晶層の配向状態を踏襲する。
 次いで、樹脂層(配向膜)、偏光変換層16および選択反射層14からなる積層体を、OCA等の貼着層18によって、選択反射層14を向けて透明基材12に貼着することで、投映像表示用部材を完成する。
[0126]
[ハードコート層]
 投映像表示用部材10は、必用に応じて、偏光変換層16または樹脂層の上(選択反射層14の逆面)に、耐擦傷性を向上するために、ハードコート層を有してもよい。
[0127]
[ハードコート形成用組成物]
 ハードコート層は、ハードコート層形成用組成物を用いて形成するのが好ましい。
 ハードコート層形成用組成物は、分子内に3個以上のエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物を含むのが好ましい。
 エチレン性不飽和二重結合基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、および、アリル基等の重合性官能基が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基、および、-C(O)OCH=CH 2が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリロイル基である。エチレン性不飽和二重結合基を有する事によって、高い硬度を維持する事ができ、耐湿熱性も付与する事ができる。さらに、分子内に3個以上のエチレン性不飽和二重結合基を有する事によって、より高い硬度を発現できる。
[0128]
 分子内に3個以上のエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、ビニルベンゼンおよびその誘導体、ビニルスルホン、ならびに、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。中でも硬度の観点から、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、本業界で広範に用いられる高硬度の硬化物を形成するアクリレート系化合物が挙げられる。このような化合物としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが例示される。多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3-クロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、および、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
 3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート系化合物類の具体化合物としては、日本化薬社製のKAYARAD DPHA、同DPHA-2C、同PET-30、同TMPTA、同TPA-320、同TPA-330、同RP-1040、同T-1420、同D-310、同DPCA-20、同DPCA-30、同DPCA-60および同GPO-303、ならびに、大阪有機化学工業社製のV#400およびV#36095D等のポリオールと(メタ)アクリル酸のエステル化物を挙げることができる。
 また、紫光UV-1400B、同UV-1700B、同UV-6300B、同UV-7550B、同UV-7600B、同UV-7605B、同UV-7610B、同UV-7620EA、同UV-7630B、同UV-7640B、同UV-6630B、同UV-7000B、同UV-7510B、同UV-7461TE、同UV-3000B、同UV-3200B、同UV-3210EA、同UV-3310EA、同UV-3310B、同UV-3500BA、同UV-3520TL、同UV-3700B、同UV-6100B、同UV-6640B、同UV-2000B、同UV-2010B、同UV-2250EAおよび同UV-2750B(以上、日本合成化学社製)、UL-503LN(共栄社化学社製)、ユニディック17-806、同17-813、同V-4030および同V-4000BA(以上、大日本インキ化学工業社製)、EB-1290K、EB-220、EB-5129、EB-1830およびEB-4358(以上、ダイセルUCB社製)、ハイコープAU-2010および同AU-2020(以上、トクシキ社製)、アロニックスM-1960(東亜合成社製)、ならびに、アートレジンUN-3320HA,同UN-3320HC,同UN-3320HS、同UN-904および同HDP-4Tなどの3官能以上のウレタンアクリレート化合物、アロニックスM-8100,M-8030およびM-9050(以上、東亞合成社製)、ならびに、KBM-8307(ダイセルサイテック社製)などの3官能以上のポリエステル化合物等も、好適に使用することができる。
 また、分子内に3個以上のエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物は単一の化合物から構成しても良いし、複数の化合物を組み合わせて用いる事もできる。
[0129]
[ハードコート層の形成方法]
 ハードコート層は、樹脂層の表面に、上述したハードコート層形成用組成物を塗布して、乾燥、硬化させることで形成できる。
[0130]
<ハードコート層の塗布方式>
 ハードコート層は以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法、エクストルージョンコート法(ダイコート法)(特開2003-164788号公報参照)、および、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
[0131]
<ハードコート層の乾燥、硬化条件>
 本発明において、ハードコート層など塗布により層形成する場合の、乾燥、硬化方法に関して、好ましい例を以下に述べる。
 本発明では、電離放射線による照射と、照射の前、照射と同時または照射後の熱処理とを組み合わせることにより、硬化することが有効である。
 以下に、いくつかの製造工程のパターンを示すが、これらに制限はされない。なお、以下の例において、「-」は熱処理を行っていないことを示す。
[0132]
   照射前 →  照射と同時  →  照射後
(1)熱処理 → 電離放射線硬化 →   -
(2)熱処理 → 電離放射線硬化 →  熱処理
(3) -  → 電離放射線硬化 →  熱処理
[0133]
 その他、電離放射線硬化時に同時に熱処理を行う工程も好ましい。
[0134]
 本発明において、ハードコート層を形成する場合には、上述のとおり、電離放射線による照射と組み合わせて熱処理を行うことが好ましい。熱処理の温度は、ハードコート層の支持体、ハードコート層を含めた構成層を損なうものでなければ制限はないが、好ましくは25~150℃、より好ましくは30~80℃である。
[0135]
 熱処理の時間は、使用成分の分子量、その他の成分との相互作用、および、粘度などにより異なるが、15秒~1時間程度であり、好ましくは20秒~30分、より好ましくは30秒~5分である。
[0136]
 電離放射線の種類については、特に制限はなく、X線、電子線、紫外線、可視光、および、赤外線などが挙げられるが、紫外線が広く用いられる。
 例えば、塗膜が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプによって10~1000mJ/cm 2の照射量の紫外線を照射して各層を硬化するのが好ましい。照射の際には、上述のエネルギーの紫外線を一度に当ててもよいし、分割して照射することもできる。特に、塗膜の面内での性能ばらつきを少なくでき、さらに、カールを良化させるという観点からは、2回以上に分割して紫外線を照射するのが好ましい。一例として、初期に150mJ/cm 2以下の低照射量の紫外線を照射し、その後、50mJ/cm 2以上の照射量で、かつ初期よりも高い照射量の紫外線を当てるのが好ましい。
[0137]
<<ウインドシールドガラス>>
 本発明のウインドシールドガラスは、本発明の投映像表示用部材を有する、車両等に用いられるウインドシールドガラスである。本発明のウインドシールドガラスは、本発明の投映像表示用部材を有する以外は、基本的に、公知のウインドシールドガラス(風防ガラス)である。
 本発明のウインドシールドガラスは、車および電車等の車両、航空機、船舶、二輪車、ならびに、遊具等の乗り物一般に風防ガラスとして用いられる。
 なお、以下の説明において、車外および車内とは、航空機であれば機外および機内を、船舶であれば船外および船内、それぞれを示す。HUDにおいて、投映光は、車内側からウインドシールドガラスに投映される。
[0138]
 図5に、本発明の投映像表示用部材10を用いる、本発明のウインドシールドガラスの一例を概念的に示す。
 図5に示すウインドシールドガラス20Aは、上述した本発明の投映像表示用部材10を中間膜26で挟持し、この積層体を第1ガラス板24aと第2ガラス板24bとで挟持した構成を有する。なお、本発明のウインドシールドガラス20Aにおいて、投映像表示用部材10は、ウインドシールドガラス20Aの全面に設けても良く、一部に設けてもよい。この点に関しては、後に示す例も同様である。
 ウインドシールドガラス20Aにおいては、第1ガラス板24aが車内側となる。従って、投映像表示用部材10において、選択反射層14および透明基材12は、選択反射層14(偏光変換層16)が第1ガラス板24a側に位置し、透明基材12が第2ガラス板24b側に位置する。
[0139]
 第1ガラス板24aおよび第2ガラス板24bは、ウインドシールドガラスに一般的に用いられるガラス板が利用可能である。一例として、遮熱性の高いグリーンガラス等の、可視光透過率が73%および76%等の80%以下となるガラス板が例示される。
 第1ガラス板24aおよび第2ガラス板24bの形状も、装着される車両等に応じた各種の形状が利用可能である。従って、第1ガラス板24aおよび第2ガラス板24bの形状は、曲面状でも、平面状でも、曲面と平面とが混在した形状でもよい。
[0140]
 第1ガラス板24aおよび第2ガラス板24bの厚さには、制限はなく、ガラス板の形成材料等に応じて、十分な強度を得られる厚さを、適宜、設定すれば良い。
 第1ガラス板24aおよび第2ガラス板24bの厚さは、0.5~5.0mmが好ましく、1.0~3.0mmがより好ましく、2.0~2.3mmがさらに好ましい。
 なお、第1ガラス板24aおよび第2ガラス板24bは、材料および/または厚さが、同じでも、異なってもよい。
[0141]
 中間膜26も、第1ガラス板24aと第2ガラス板24bとを貼着すると共に、事故が起きた際にガラスが車内に突き抜けることを防止する、ウインドシールドガラスとして用いられる合わせガラスに設けられる、公知の中間膜である。
 中間膜26としては、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、および、塩素含有樹脂等の樹脂を含む樹脂膜を用いることができる。上述の樹脂は、中間膜の主成分であることが好ましい。なお、主成分であるとは、物を形成する成分の内の50質量%以上を占める成分のことをいう。
[0142]
 上述の樹脂のうち、ポリビニルブチラールおよびエチレン-酢酸ビニル共重合体が好ましく例示され、ポリビニルブチラールがより好ましく例示される。樹脂は、合成樹脂であるのが好ましい。
 ポリビニルブチラールは、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドによりアセタール化して得ることができる。上述のポリビニルブチラールのアセタール化度の好ましい下限は40%、好ましい上限は85%であり、より好ましい下限は60%、より好ましい上限は75%である。
[0143]
 ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られ、鹸化度80~99.8モル%のポリビニルアルコールが一般的に用いられる。
 また、上述のポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は200、好ましい上限は3000である。ポリビニルアルコールの重合度が200以上であると、得られる合わせガラスの耐貫通性が低下しにくく、3000以下であると、樹脂膜の成形性がよく、しかも樹脂膜の剛性が大きくなり過ぎず、加工性が良好である。より好ましい下限は500、より好ましい上限は2000である。
[0144]
 図6に、本発明のウインドシールドガラスの別の例を示す。
 なお、図6~図8では、ウインドシールドガラスは、同じ部材を多用するので、同じ部材には同じ符号を付す。従って、いずれの例においても、第1ガラス板24aが車内側で、第2ガラス板24bが車外側である。
[0145]
 図5に示すウインドシールドガラス20Aは、投映像表示用部材10を中間膜26で挟持し、この積層体を第1ガラス板24aと第2ガラス板24bとで挟持している。
 これに対し、図6に示すウインドシールドガラス20Bは、投映像表示用部材10を1枚の中間膜26に貼着し、投映像表示用部材10と1枚の中間膜26との積層体を、第1ガラス板24aと第2ガラス板24bとで挟持した構成と有する。投映像表示用部材10が中間膜よりも小さい場合(カットバック)には、このような構成も可能である。
 本例においても、投映像表示用部材10では、選択反射層14が第1ガラス板24a側に位置し、透明基材12が第2ガラス板24b側に位置する。
[0146]
 このようなウインドシールドガラスは、公知の方法に準じて作製すればよい。
 例えば、投映像表示用部材10を2枚の中間膜26で挟持した積層体、または、投映像表示用部材10を1枚の中間膜26に貼着した積層体を用意する。
 次いで、この積層体を、第1ガラス板24aと第2ガラス板24bとで挟持する。
 2枚のガラス板を積層した積層体に対して、加熱処理と加圧処理とを、数回、繰り返し、最後にオートクレーブ等を利用して加圧条件下での加熱処理を行うことにより、ウインドシールドガラスを作製する。加圧処理としては、ゴムローラーを用いた処理等が例示される。
[0147]
 図7に、本発明のウインドシールドガラスの別の例を示す。
 図7に示すウインドシールドガラス20Cは、第1ガラス板24aと第2ガラス板24bとの間に投映像表示用部材10を配置するのではなく、車内側の第1ガラス板24aに投映像表示用部材10を貼着した構成を有する。すなわち、図7に示すウインドシールドガラス20Cは、公知のウインドシールドガラスの車内側ガラスの内面(車内側表面)に、本発明の投映像表示用部材10を貼着したものである。
 ウインドシールドガラス20Cでは、外光は第1ガラス板24a側から投映像表示用部材10に入射する。また、車内側から投映光が入射するのは、他の例と同様である。
 従って、ウインドシールドガラス20Cの投映像表示用部材10において、選択反射層14および透明基材12は、透明基材12が第1ガラス板24a側に位置し、選択反射層14は、透明基材12より第1ガラス板24aと離間する側に位置する。
[0148]
 第1ガラス板24aへの投映像表示用部材10の貼着は、公知の方法で行えばよい。
 一例として、上述した投映像表示用部材10の貼着層18を用いて、第1ガラス板24aに投映像表示用部材10の貼着する方法が例示される。この際において、貼着層の厚さは、上述した貼着層18に準ずる。
[0149]
<<HUD(ヘッドアップディスプレイ(システム))>>
 図8に、本発明のHUDの一例を概念的に示す。
 図8に示すHUD30は、上述した本発明のウインドシールドガラス20Aと、プロジェクター32とを有する。なお、図8に示すHUDには、図6に示すウインドシールドガラス20Bおよび図7に示すウインドシールドガラス20Cも利用可能である。
[0150]
 本発明のHUD30において、プロジェクター32は、p偏光の投映光を投映する。
 図8に示すプロジェクター32は、画像形成部34と、中間像スクリーン36と、ミラー38と、凹面ミラー40と、を有して構成される。
[0151]
 図8に示すHUD30では、プロジェクター32が投映した投映光は、一点鎖線で示すように、ダッシュボード42に設けられた透過窓46を透過して、ウインドシールドガラス20Aに投映、反射され、運転者Oによって観察される。
 なお、公知のHUDと同様、図示例のHUDでも、運転者Oは、ウインドシールドガラス20Aに投映された画像の虚像を観察している。
[0152]
 なお、本発明の投映像表示用部材を用いるHUDは、図示例のようにウインドシールドガラス20Aに投映像を投映するHUD(ウインドシールドHUD)に制限はされない。
 すなわち、本発明を利用するHUDは、例えば、いわゆるコンバイナーに投映像を投映するHUD(コンバイナーHUD)等、各種の部材に投映像を投映する公知のHUDが、各種、利用可能である。なお、この際には、コンバイナーが、本発明の投映像表示用部材を有する。
[0153]
 画像形成部34は、LCD50(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)と、投映レンズ52とを有する。
 LCD50および投映レンズ52は、共に、HUD用のプロジェクターで用いられる公知の物である。画像形成部34は、LCD50が表示した画像を、投映レンズ52によって中間像スクリーン36に投映する。
 プロジェクター32では、中間像スクリーン36によって実像化し、この実像をミラー38および凹面ミラー40によって所定の光路に反射する。この反射光は、上述のように、ダッシュボード42に設けられた透過窓46を透過して、ウインドシールドガラス20Aに投映され、運転者Oによって観察される(一点鎖線参照)。
[0154]
 LCD50は、p偏光の画像(投映像)を表示するものである。
 なお、LCD50が、p偏光の投映光を表示するものでは無い場合には、例えば、LCD50から凹面ミラー40に至る投映光の光路の途中に、LCD50からの投映光をp偏光にする偏光板を設ける。
 または、プロジェクター32の外部、すなわち、凹面ミラー40からウインドシールドガラス20Aに至る投映光の光路の途中に、LCD50からの投映光をp偏光にする偏光板を設けてもよい。この際においては、この偏光板も、プロジェクター32を構成する光学素子と見なす。
 以上の点に関しては、後述する各種の画像形成手段も同様である。
[0155]
 偏光板としては、一例として、屈折率異方性の異なる薄膜を積層した偏光板が挙げられる。屈折率異方性の異なる薄膜を積層した偏光板としては、例えば特表平9-506837号公報などに記載されたものを用いることができる。具体的には、屈折率関係を得るために選ばれた条件下で加工すると、広く様々な材料を用いて、偏光板を形成できる。
 一般に、第1の材料の一つが、選ばれた方向において、第2の材料とは異なる屈折率を有することが必要である。この屈折率の違いは、フィルムの形成中、またはフィルムの形成後の延伸、押出成形、或いはコーティングを含む様々な方法で達成できる。さらに、2つの材料が同時押出することができるように、類似のレオロジー特性(例えば、溶融粘度)を有することが好ましい。
 屈折率異方性の異なる薄膜を積層した偏光板は、市販品を用いてもよい。市販品としては、反射型偏光板と仮支持体との積層体となっているものを用いてもよい。市販品としては、例えば、DBEF(3M社製)、および、APF(高度偏光フィルム(Advanced Polarizing Film(3M社製))等が挙げられる。
 また、偏光板は、ヨウ素化合物を含む吸収型偏光板、および、ワイヤーグリッドなどの反射型偏光板等の一般的な直線偏光板も利用可能である。
[0156]
 なお、本発明のHUDを構成するプロジェクターにおいて、画像形成部34は、LCD50を用いるものに制限はされず、HUDのプロジェクターで用いられている公知の画像形成手段が、各種、利用可能である。
 一例として、蛍光表示管、液晶を利用するLCOS(Liquid Crystal on Silicon)、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ディスプレイ、および、DMD(Digital Micromirror Device)を用いるDLP(Digital Light Processing)等、HUDのプロジェクター(イメージャー)で利用されている公知の画像形成手段が、各種、利用可能である。これらの画像形成手段では、LCD50と同様、投映レンズによって、投映像が中間像スクリーン36に投映される。
[0157]
 また、画像形成部34の画像形成手段としては、光源から、形成画像に応じて変調した光ビームを照射して、必用に応じてR光、G光およびB光を合光した後、光ビームをp偏光にして、光偏向器によって二次元的に走査することで投映像を形成する、光ビーム走査(光ビームスキャン)による画像形手段も利用可能である。
 なお、投映する画像に応じた光ビームの変調は、光源を直接変調しても、外部の光変調器を用いて行ってもよい。
 光源としては、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード、有機発光ダイオード(OLED(Organic Light Emitting Diode)を含む)、放電管、および、レーザー光源等が例示される。
 二次元的な光偏向器としては、ガルバノミラー(ガルバノメーターミラー)、ガルバノミラーとポリゴンミラーとの組み合わせ、および、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems、微小電子機械システム)等が例示される。中でも、MEMSは、好適に利用される。走査方法には制限はなく、ランダムスキャンおよびラスタースキャン等の公知の光ビームの走査方法が利用可能である。中でも、ラスタースキャンは好適に例示される。
[0158]
 画像形成部34から出射された投映光は、次いで、中間像スクリーン36によって実像化(可視像化)される。
 中間像スクリーン36には、制限はなく、HUDのプロジェクターにおいて、投映像を実像化する公知の中間像スクリーンが、各種、利用可能である。
[0159]
 中間像スクリーン36としては、散乱膜、マイクロレンズアレイ、および、リアプロジェクション用のスクリーン等が例示される。中間像スクリーン36としてプラスチック材料を用いる場合など、中間像スクリーン36が複屈折性を有すると、中間像スクリーン36に入射した偏光の偏光面および光強度が乱され、その結果、投映像に色ムラ等が生じやすくなる。この際には、所定の位相差を有する位相差層を用いることにより、この色ムラの問題が低減できる。
[0160]
 中間像スクリーン36は、入射した投映光を広げて透過させる機能を有するものが好ましい。投映像の拡大表示が可能となるからである。
 このような中間像スクリーンとしては、一例として、マイクロレンズアレイで構成される中間像スクリーンが例示される。HUDで用いられるマイクロアレイレンズについては、例えば、特開2012-226303号公報、特開2010-145745号公報、および、特表2007-523369号公報等に記載がある。
[0161]
 中間像スクリーン36で実像化された投映光は、上述のように、ミラー38および凹面ミラー40によって、所定の光路に反射され、ダッシュボード42に設けられた透過窓46を透過して、ウインドシールドガラス20Aに投映され、運転者Oによって観察される(一点鎖線参照)。
[0162]
 ミラー38は、プロジェクターにおいて投映光の光路の調整に用いられる公知のミラーである。また、ミラー38は、可視光を反射して赤外線を透過することにより、ウインドシールドガラスから入射した太陽光によるプロジェクターの構成部材の加熱を防止する、いわゆるコールドミラーであってもよい。
 一方、凹面ミラー40は、投映光を拡大投映する、HUDのプロジェクターに用いられる、公知の凹面ミラー(凹面鏡)である。
[0163]
 なお、図示例のプロジェクター32は、投映光の光路を変更する部材として、ミラー38および凹面ミラー40を用いているが、本発明は、これに制限はされない。
 例えば、プロジェクター32は、ミラー38および凹面ミラー40の一方のみを有するものでもよく、あるいは、ミラー38および/または凹面ミラー40に加え、または変えて、自由曲面ミラー等の他の光反射素子を、1以上、有してもよい。
 すなわち、本発明のHUDを構成するプロジェクターは、p偏光の投映光を投映可能なものであれば、各種の光反射素子を用いた構成が利用可能である。
[0164]
 プロジェクター32によって投映され、透過窓46を透過してウインドシールドガラス20Aに入射したp偏光の投映光は、第1ガラス板24aおよび中間膜26を透過して、投映像表示用部材10に入射する。
 投映像表示用部材10に入射したp偏光の投映光は、例えば、偏光変換層16がλ/4板である場合には、偏光変換層16によってp偏光に対応する旋回方向の円偏光に変換される。変換された円偏光の投映光は、選択反射層14によって反射される。選択反射層14によって反射された円偏光の投映光は、偏光変換層16(λ/4板)によって、再度、p偏光に変換されて反射光として出射され、投映像として運転者Oに観察される。
 この投映光はp偏光である。従って、運転者Oがs偏光を遮光する偏光サングラスを着用している場合でも、好適に投映像を観察できる。
[0165]
 一方、ウインドシールドガラス20Aの外面、すなわち第2ガラス板24bから入射した外光は、第2ガラス板24bおよび中間膜26を透過して、透明基材12側から投映像表示用部材10に入射する。
 投映像表示用部材10に入射したギラツキとなるs偏光は、まず、透明基材12を透過して、選択反射層14および偏光変換層16(λ/4板)によってp偏光に変換される偏光成分が少ない光に変換される。この光は、次いで、選択反射層14および偏光変換層16を透過して、中間膜24および第1ガラス板24aをして車内に侵入する。従って、車内に侵入した外光のうち、ギラツキとなる成分は主にs偏光であり、偏光サングラスによって遮光され、運転を阻害しない。
[0166]
 以上、本発明の投映像表示用部材、ウインドシールドおよびHUD(ヘッドアップディスプレイシステム)について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を加えてもよいのは、もちろんである。
実施例
[0167]
 以下に本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例、比較例、作製例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は、以下の実施例、および、参考例に限定されるものではない。
(コレステリック液晶層形成用組成物1、2および3)
 下記の成分を混合して、入射角5°で選択反射中心波長が480nmであるコレステリック液晶層を形成するコレステリック液晶層形成用組成物1、入射角5°で選択反射中心波長が650nmであるコレステリック液晶層を形成するコレステリック液晶層形成用組成物2、および、入射角5°で選択反射中心波長が700nmであるコレステリック液晶層を形成するコレステリック液晶層形成用組成物3を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
コレステリック液晶層形成用組成物1、2および3
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・混合物1                      100質量部
・配向制御剤1(フッ素系水平配向剤1)       0.05質量部
・配向制御剤2(フッ素系水平配向剤2)       0.02質量部
・右旋回性キラル剤LC756(BASF社製)
                   目標の反射波長に合わせて調整
・重合開始剤(IRGACURE OXE01、BASF社製)
                           1.0質量部
・溶媒(メチルエチルケトン)     溶質濃度が20質量%となる量
―――――――――――――――――――――――――――――――――
[0168]
[化3]


[0169]
[化4]


[0170]
[化5]


[0171]
 この組成のコレステリック液晶層形成用組成物を、右旋回性キラル剤LC756の処方量を調整して、コレステリック液晶層形成用組成物1~3を調製した。
 コレステリック液晶層形成用組成物1~3を用いて、後述する選択反射層の作製と同様に支持体上に単一層のコレステリック液晶層を作製し、可視域光の反射特性を確認した。なお、膜厚は、コレステリック液晶層形成用組成物1が0.2μm、コレステリック液晶層形成用組成物2が0.7μm、コレステリック液晶層形成用組成物3が2μmとした。その結果、作製したコレステリック液晶層は、全て右円偏光反射層であり、入射角5°における選択反射中心波長は、コレステリック液晶層形成用組成物1が480nm、コレステリック液晶層形成用組成物2が650nm、コレステリック液晶層形成用組成物3が700nmであった。
[0172]
(位相差層形成用組成物)
 下記の成分を混合し、下記組成の位相差層形成用組成物を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
位相差層形成用組成物
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・混合物1                      100質量部
・配向制御剤1                   0.05質量部
・配向制御剤2                   0.01質量部
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製)
                           1.0質量部
・溶媒(メチルエチルケトン)     溶質濃度が20質量%となる量
―――――――――――――――――――――――――――――――――
[0173]
 [実施例1]
<<投映像表示用部材の作製>>
<セルロースアシレートフィルムの鹸化>
 国際公開第2014/112575号の実施例20と同一の作製方法で得られた40μmセルロースアシレートフィルム(TACフィルム)を、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、フィルムの片面に下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて塗布量14mL/m 2で塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外ヒーター(ノリタケカンパニーリミテド社製)の下に10秒間滞留させた。
 次いで、同じくバーコーターを用いて、純水を3mL/m 2塗布した。
 次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したセルロースアシレートフィルム1を作製した。
 セルロースアシレートフィルム1の面内レタデーションReをAxoScanで測定したところ、1nmであった。
[0174]
―――――――――――――――――――――――――――――――――
アルカリ溶液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・水酸化カリウム                   4.7質量部
・水                        15.7質量部
・イソプロパノール                 64.8質量部
・界面活性剤(C 1633O(CH 2CH 2O) 10H)      1.0質量部
・プロピレングリコール               14.9質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
[0175]
<配向膜の形成>
 鹸化処理したセルロースアシレートフィルム1(樹脂層)の鹸化処理面に、下記に示す組成の配向膜形成用組成物を、ワイヤーバーコーターで24mL/m 2塗布し、100℃の温風で120秒乾燥した。
[0176]
―――――――――――――――――――――――――――――――――
配向膜形成用組成物の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・変性ポリビニルアルコール               28質量部
・クエン酸エステル(AS3、三共化学社製)      1.2質量部
・光開始剤(イルガキュア2959、BASF社製)  0.84質量部
・グルタルアルデヒド                 2.8質量部
・水                         699質量部
・メタノール                     226質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
[0177]
(変性ポリビニルアルコール)
[化6]


[0178]
<位相差層の形成>
 配向膜を形成したセルロースアシレートフィルム1の配向膜の表面に、図9に概念的に示すように、配向膜面から見て、セルロースアシレートフィルム1の長手方向を基準に時計回りに90°回転させた方向にラビング処理(レーヨン布、圧力:0.1kgf(0.98N)、回転数:1000rpm(revolutions per minute)、搬送速度:10m/min、回数:1往復)を施した。
 図9において、Hはセルロースアシレートフィルム1の長手方向、Saはラビング処理の方向、角度αは45°である。
[0179]
 セルロースアシレートフィルム1上の配向膜のラビングした表面に、位相差層形成用組成物をワイヤーバーを用いて塗布した。その後、塗膜を乾燥させて50℃のホットプレート上に置き、酸素濃度1000ppm以下の環境で、フュージョンUVシステムズ社製の無電極ランプ「Dバルブ」(60mW/cm 2)を用いて6秒間、紫外線を照射し、液晶相を固定して、偏光変換層としてのλ/4層を得た。
 作製したλ/4層の膜厚を非接触式膜厚計(フィルメトリクス社製、F20)によって測定したところ、0.7μmであった。
 作製した位相差層のレタデーションをAxoScanを用いて測定したところ、140nmであった。
[0180]
<選択反射層の形成>
 形成した位相差層の表面に、コレステリック液晶層形成用組成物1を乾燥後の乾膜の厚さが0.2μmになるようにワイヤーバーを用いて室温にて塗布して塗布層を得た。塗布層を室温にて30秒間乾燥させた後、85℃の雰囲気で2分間加熱し、その後、酸素濃度1000ppm以下の環境にて60℃でフュージョンUVシステムズ社製のDバルブ(90mW/cm 2のランプ)にて出力60%で6~12秒間、紫外線を照射し、コレステリック液晶相を固定して、厚さ0.2μmのコレステリック液晶層を得た。
 次に、得られたコレステリック液晶層の表面にさらにコレステリック液晶層形成用組成物2を用いて同様の工程を繰り返し、厚さ0.7μmのコレステリック液晶層を得た。
 次に、得られたコレステリック液晶層の表面にさらにコレステリック液晶層形成用組成物3を用いて同様の工程を繰り返し、厚さ2μmのコレステリック液晶層を得た。
[0181]
 このようにして、配向膜を有するセルロースアシレートフィルム1と、位相差層と、3層のコレステリック液晶層からなる選択反射層と、を有する積層体Aを得た。
 積層体Aの反射スペクトルを、分光光度計(日本分光株式会社製、V-670)で測定した。その結果、入射角5°において、波長480nm、波長650nm、および、波長700nmに選択反射中心波長を有する反射スペクトルが得られた。
[0182]
<透明基材の作製>
 PET材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。
 この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精社製)によって、120℃で1分間予熱した後、120℃で、延伸倍率4.5倍に延伸した。その後、先の延伸方向と直交する方向に延伸倍率1.5倍に延伸した。
 これにより、遅相軸方向の屈折率が1.70、進相軸方向の屈折率が1.60、膜厚84μm、波長550nmにおける面内レタデーションReが8400nmの透明基材を作製した。なお、これらの測定は、AxoScanを用いて行った。
[0183]
 作製した積層体Aを、OCA(日栄化工社製、MHM-UVC15)によって、透明基材に貼着した。貼着はコレステリック液晶層(選択反射層)を透明基材に向けて行った。
 また、貼着は、λ/4層を形成した配向膜におけるH方向を鉛直方向と見なして、H方向と直交する方向(水平方向)に対する透明基材の遅相軸の角度が15°となるように、透明基材の貼着を行った。
 得られた投映像表示用部材ついて、短辺を鉛直方向(H方向)と一致して、短辺(縦)250mm×長辺(横)280mmのサイズに切断した。
 これにより、
   透明基材/OCA/3層コレステリック液晶層/λ/4層/TAC
の層構成を有する投映像表示用部材を作製した。
[0184]
<合わせガラスの作製>
 縦300mm×横300mm、厚さ2mmのガラス板(セントラル硝子社製、FL2、可視光線透過率90%)を用意した。
 このガラス板の上に、同じサイズにカッティングした積水化学社製の厚さ0.38mmの中間膜としてPVBフィルムを設置した。
 中間膜の上に、シート状の投映像表示用部材を、位相差層側を上面にして設置した。なお、投映像表示用部材とガラス板とは、縦および横を一致して設置した。
 投映像表示用部材の上に、縦300mm×横300mm、厚さ2mmのガラス板(セントラル硝子社製、FL2、可視光線透過率90%)を設置した。
 この積層体を90℃、10kPa(0.1気圧)下で一時間保持した後に、オートクレーブ(栗原製作所製)にて115℃、1.3MPa(13気圧)で20分間加熱して気泡を除去し、合わせガラスを得た。
[0185]
 [実施例2]
 偏光変換層としてのλ/4層を有さない以外は、実施例1と同様にして、投映像表示用部材を作製した。
 作製した投映像表示用部材の層構成は、以下のとおりである。
   透明基材/OCA/3層コレステリック液晶層/TAC
 この投映像表示用部材を用いて、実施例1と同様に合わせガラスを作製した。
 なお、実施例2のように、偏光変換層としてのλ/4層を有さない場合には、透明基材にラビング等による配向処理を行い、透明基材の配向処理面にコレステリック液晶層を形成することも可能である。この際には、OCA(貼着層)およびTAC(樹脂層)を設けなくてもよいので、層構成は『透明基材/3層コレステリック液晶層』となる。
 [実施例3]
(旋光層形成用組成物)
 下記の成分を混合し、下記組成の旋光層形成用組成物を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
旋光層形成用組成物
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・混合物1                      100質量部
・配向制御剤1                   0.05質量部
・配向制御剤2                   0.02質量部
・右旋回性キラル剤LC756(BASF社製)    0.47質量部
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製)
                           1.0質量部
・溶媒(メチルエチルケトン)     溶質濃度が20質量%となる量
―――――――――――――――――――――――――――――――――
[0186]
 位相差層形成用組成物に変えて、この旋光層形成用組成物を用いて、同様に、偏光変換層としての旋光層を形成した以外は、実施例1と同様にして、投映像表示用部材を作製した。
 なお、螺旋構造の膜厚dは『螺旋構造のピッチP×ピッチ数』で表せる。上述のように、螺旋構造のピッチPとは、螺旋構造における1ピッチの長さである。また、コレステリック液晶層では、選択反射中心波長λは『1ピッチの長さP×面内の平均屈折率n』と一致する(λ=P×n)。従って、ピッチPは『選択反射中心波長λ/面内の平均屈折率n』となる(P=λ/n)。
 このことから、コレステリック液晶層とした場合に、選択反射中心波長λが5550nmとなるように、偏光変換層形成用組成物を調製し、ピッチ数が0.7となるように、塗膜の膜厚を2.5μmとした。
 作製した投映像表示用部材の層構成は、以下のとおりである。
   透明基材/OCA/3層コレステリック液晶層/旋光層/TAC
 この投映像表示用部材を用いて、実施例1と同様に合わせガラスを作製した。
[0187]
 [実施例4]
 実施例1と同じ投映像表示用部材を作製した。層構成は以下のとおりである。
   透明基材/OCA/3層コレステリック液晶層/λ/4層/TAC
[0188]
<合わせガラスの作製>
  縦300mm×横300mm、厚さ2mmのガラス板(セントラル硝子社製、FL2、可視光線透過率90%)を用意した。
 このガラス板の上に、同じサイズにカッティングした積水化学社製の厚さ0.38mmの中間膜としてPVBフィルムを設置した。
 中間膜の上に、縦300mm×横300mm、厚さ2mmのガラス板(セントラル硝子社製、FL2、可視光線透過率90%)を設置した。
 この積層体を90℃、10kPa(0.1気圧)下で一時間保持した後に、オートクレーブ(栗原製作所製)にて115℃、1.3MPa(13気圧)で20分間加熱して気泡を除去し、合わせガラスを得た。
[0189]
 作製した合わせガラスの一方の面に、OCA(日栄化工社製、MHM-UVC15)によって、投映像表示用部材を貼着した。
 なお、投映像表示用部材とガラス板とは、縦および横を一致して貼着した。
[0190]
 [実施例5]
 実施例2と同じ投映像表示用部材を作製した。層構成は以下のとおりである。
   透明基材/OCA/3層コレステリック液晶層/TAC
 この投映像表示用部材を、実施例4と同じ合わせガラスに、実施例4と同様にして貼着した。
[0191]
 [実施例6]
 透明基材の作製において、膜厚を60μmとした以外は、実施例1と同様に透明基材を作製した。実施例1と同様に作製した透明基材の面内レタデーションReを測定したところ、6000nmであった。
 この透明基材を用いた以外は、実施例1と同様にして、投映像表示用部材を作製した。層構成は以下のとおりである。
   透明基材/OCA/3層コレステリック液晶層/λ/4層/TAC
 この投映像表示用部材を、実施例4と同じ合わせガラスに、実施例4と同様にして貼着した。
[0192]
 [実施例7]
 透明基材の作製において、膜厚を100μmとした以外は、実施例1と同様に透明基材を作製した。実施例1と同様に作製した透明基材の面内レタデーションReを測定したところ、10000nmであった。
 この透明基材を用いた以外は、実施例1と同様にして、投映像表示用部材を作製した。作製した投映像表示用部材の層構成は以下のとおりである。
   透明基材/OCA/3層コレステリック液晶層/λ/4層/TAC
 この投映像表示用部材を、実施例4と同じ合わせガラスに、実施例4と同様にして貼着した。
[0193]
 [実施例8]
 積層体Aと透明基材との貼着の際に、λ/4層を形成した配向膜におけるH方向(鉛直方向)と直交する方向(水平方向)に対する透明基材の遅相軸の角度が40°となるように、透明基材の貼着を行った以外は、実施例1と同様にして、投映像表示用部材を作製した。作製した投映像表示用部材の層構成は以下のとおりである。
   透明基材/OCA/3層コレステリック液晶層/λ/4層/TAC
 この投映像表示用部材を用いた以外は、実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
[0194]
 [比較例1]
 透明基材に変えて、厚さが40μm、面内レタデーションReが1nmのTACフィルムを用いた以外は、実施例1と同様に投映像表示用部材を作製した。作製した投映像表示用部材の層構成は以下のとおりである。
   TAC/OCA/3層コレステリック液晶層/λ/4層/TAC
 この投映像表示用部材を用いた以外は、実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
[0195]
 [比較例2]
 透明基材の作製において、膜厚を32μmとした以外は、実施例1と同様に透明基材を作製した。実施例1と同様に面内レタデーションReを測定したところ、3200nmであった。
 この透明基材(PET)を用いた以外は、実施例1と同様にして、投映像表示用部材を作製した。作製した投映像表示用部材の層構成は以下のとおりである。
   PET/OCA/3層コレステリック液晶層/λ/4層/TAC
 この投映像表示用部材を用いた以外は、実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
[0196]
 [比較例3]
 透明基材を貼着しない以外は、実施例1と同様にして、投映像表示用部材を作製した。作製した投映像表示用部材の層構成は以下のとおりである。
   3層コレステリック液晶層/λ/4層/TAC
 この投映像表示用部材を用いた以外は、実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。
[0197]
 [比較例4]
 セルロースアシレートフィルムに変えて、実施例1と同じ透明基材(Re8400nmのPET)を用いて、実施例1と同様に、配向膜、λ/4層および選択反射層(3層コレステリック液晶層)を形成して、投映像表示用部材を作製した。
 なお、透明基材の遅相軸と、配向膜のH方向との関係は、実施例1と同様にした。
 作製した投映像表示用部材の層構成は以下のとおりである。
 3層コレステリック液晶層/λ/4層/透明基材
 この投映像表示用部材を用いて、実施例1と同様に合わせガラスを作製した。
[0198]
 作製した合わせガラスについて、以下の評価を行った。
 [輝度の評価]
 偏光変換層(λ/4層、旋光層)側のガラス面から、合わせガラスの法線方向に対し65°の方向からp偏光を入射し、その正反射光の反射率スペクトルを分光光度計(日本分光株式会社製、V-670)で測定した。正反射光とは、入射面内で法線方向に対して入射方向と反対側の、法線方向に対し65°の方向の反射光である。
 このとき、分光光度計の受光部に直線偏光板を配置した。直線偏光板は、透過軸の方向を、分光光度計に入射するp偏光の方向と平行にした。すなわち、この直線偏光板が、偏光サングラスとして作用する。
 また、合わせガラスの縦方向(鉛直方向)と、合わせガラスに入射するp偏光の方向とを平行にした。従って、λ/4層の透過軸は、s偏光およびp偏光に対して45°である。
 JIS R3106に従って、380~780nmでの10nm毎の波長において、反射率に視感度に応じた係数、および、一般的な液晶表示装置の発光スペクトルをそれぞれ乗じて投映像反射率を計算し、輝度として評価した。輝度の評価は、下記評価基準にて評価した。
[0199]
  A 投映像反射率25%以上
  B 投映像反射率11%以上25%未満
  C 投映像反射率11%未満
 A評価は、晴天下でも、投映像がハッキリ観察できるレベルである。
 B評価は、投映像が観察できるが、晴天下では、やや見えにくいレベルである。
 C評価は、投映像が見えにくいレベルである。
[0200]
 [偏光サングラス適性の評価]
 透明基材側のガラス面から、合わせガラスの法線方向に対し65°の方向からs偏光を入射し、合わせガラスを透過したp偏光を分光光度計(日本分光株式会社製、V-670)で測定した。
 このとき、分光光度計の受光部に直線偏光板を配置した。直線偏光板は、透過軸の方向と、分光光度計に入射するp偏光の方向とを平行にした。すなわち、この直線偏光板が、偏光サングラスとして作用する。
 また、合わせガラスの横方向(水平方向)と、合わせガラスに入射するs偏光の方向とを平行にした。従って、λ/4層の透過軸は、s偏光およびp偏光に対して45°である。
 JIS R3106に従って、380~780nmでの10nm毎の波長において、視感度に応じた係数およびD65光源の発光スペクトルをそれぞれ乗じて可視光線透過率を計算し、偏光サングラス適性として評価した。偏光サングラス適性の評価は、下記評価基準にて評価した。
 偏光サングラス適性の評価基準
  A 3%未満
  B 3%以上5%未満
  C 5%以上
 結果を下記の表に示す。
[0201]
[表1]


[0202]
 上記表に示されるように、外光の入射側に透明基材を有する本発明の投映像表示用部材によれば、透明基材側から入射して、投映像表示用部材を透過するp偏光成分を低減することができ、HUD等において、高い偏光サングラス適性が得られる。
 特に、実施例1と実施例8とに示されるように、投映像表示用部材が、偏光変換層としてλ/4層を有する場合には、透明基材の遅相軸と、s偏光(水平方向)とが成す角度を30°以下とすることで、より良好な偏光サングラス適性が得られる。また、実施例1と実施例2、および、実施例4と実施例5に示されるように、投映像表示用部材が偏光変換層を有することにより、p偏光輝度すなわちHUDの表示輝度も向上できる。
 これに対して、透明基材に変えて面内レタデーションReが1nmのTACフィルムを用いた比較例1、PET基材であるが面内レタデーションReが3200nmである比較例2、および、外光入射側に基材を有さない比較例3は、偏光サングラス適性が低く、HUDとした際に、運転に支障をきたすギラツキを偏光サングラスによって遮光できない。また、透明基材が投映光の入射側に位置する比較例4は、p偏光輝度すなわちHUDの表示輝度が低い。
 以上の結果より、本発明の効果は、明らかである。

産業上の利用可能性

[0203]
 車載用のHUD等に、好適に利用可能である。

符号の説明

[0204]
 10 投映像表示用部材
 12 透明基材
 14 選択反射層
 14R 赤色反射コレステリック液晶層
 14G 緑色反射コレステリック液晶層
 14B 青色反射コレステリック液晶層
 16 偏光変換層
 18 貼着層
 20A,20B,20C ウインドシールドガラス
 24a 第1ガラス板
 24b 第2ガラス板
 26 中間膜
 30 HUD
 32 プロジェクター
 34 画像形成部
 36 中間像スクリーン
 38 ミラー
 40 凹面ミラー
 42 ダッシュボード
 46 透過窓
 50 LCD(液晶ディスプレイ)
 52 投映レンズ
 O 運転者

請求の範囲

[請求項1]
 面内レタデーションが5000nm以上である透明基材と、少なくとも1層の選択反射層とを有し、前記透明基材より前記選択反射層が投映光の入射側に位置する、投映像表示用部材。
[請求項2]
 直線偏光を円偏光に変換する、または、直線偏光の偏光方向を変更する、偏光変換層を有し、
 前記透明基材、前記選択反射層および前記偏光変換層が、この順番で設けられる、請求項1に記載の投映像表示用部材。
[請求項3]
 前記偏光変換層は、波長550nmにおける面内位相差が100~450nmの位相差層である、請求項2に記載の投映像表示用部材。
[請求項4]
 前記偏光変換層は、厚さ方向に沿って伸びる螺旋軸に沿って捩れ配向した液晶化合物の螺旋配向構造を固定した層である、請求項2に記載の投映像表示用部材。
[請求項5]
 前記螺旋配向構造のピッチ数をx、前記偏光変換層の膜厚をy(μm)とした際に、
  (i)0.2≦x≦1.5
  (ii)1.0≦y≦5.0
の少なくとも一方を満たす、請求項4に記載の投映像表示用部材。
[請求項6]
 前記選択反射層が、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層である、請求項1~5のいずれか1項に記載の投映像表示用部材。
[請求項7]
 入射するs偏光と、前記透明基材の遅相軸とが成す角度が、10~30°である、請求項1~6のいずれか1項に記載の投映像表示用部材。
[請求項8]
 貼着される第1ガラス板および第2ガラス板と、請求項1~7のいずれか1項に記載の投映像表示用部材と、を有するウインドシールドガラス。
[請求項9]
 前記第1ガラス板と第2ガラス板との間に、前記投映像表示用部材を有する、請求項8に記載のウインドシールドガラス。
[請求項10]
 前記第1ガラス板の前記第2ガラス板とは逆側の面に、前記投映像表示用部材が貼着される、請求項8に記載のウインドシールドガラス。
[請求項11]
 前記第1ガラス板が車内側であり、前記投映像表示用部材は、前記透明基材を前記選択反射層よりも前記第2ガラス板側にして設けられる、請求項8~10のいずれか1項に記載のウインドシールドガラス。
[請求項12]
 実装された状態における水平方向と、前記投映像表示用部材の前記透明基材の遅相軸とが成す角度が、10~30°である、請求項8~11のいずれか1項に記載のウインドシールドガラス。
[請求項13]
 請求項8~12のいずれか1項に記載のウインドシールドガラスと、前記ウインドシールドガラスにp偏光の投映光を投映するプロジェクターとを有する、ヘッドアップディスプレイシステム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]