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1. WO2020137722 - CONTINUOUS CASTING STOPPER AND CONTINUOUS CASTING METHOD

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明 細 書

発明の名称 連続鋳造用のストッパー及び連続鋳造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014  

発明の効果

0015   0016   0017   0018  

図面の簡単な説明

0019  

発明を実施するための形態

0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036  

符号の説明

0037  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : 連続鋳造用のストッパー及び連続鋳造方法

技術分野

[0001]
 本発明は,溶鋼の連続鋳造において,主としてタンディッシュから鋳型に溶鋼を排出する際に,そのタンディッシュ底部に設置されているノズルに上方から嵌合することにより溶鋼の流量制御を行う,ガス吹き込み機能を備える連続鋳造用のストッパー,及びこのストッパーを使用する連続鋳造方法に関する。

背景技術

[0002]
 溶鋼の連続鋳造においてタンディッシュから鋳型に溶鋼を排出する際に溶鋼の流量制御を行うストッパーには,溶鋼中の介在物を浮上させる,又はノズル内壁等への介在物付着等を防止する目的で,ガス吹き込み機能を備えるものがある。
[0003]
 例えば特許文献1には,ストッパー内を通って導かれてきたガスを吐出(噴出)させて注湯容器底部のノズル孔の入口から下方の出口へと貫通させるガス吐出口(ガス噴出口)を設け,これによってノズル孔に残留する金属溶湯をノズル孔から下方に排出させるように構成し,更にガス吐出口内への溶湯流入を防止するため,注湯中においてもガス吐出口にはガス圧を加えた状態とすることとする注湯装置が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2013-043199号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 一般的に,ストッパーからのガス吐出量(以下,単に「ガス吐出量」という。)は,鋳造速度すなわち溶鋼排出速度や鋼種等の個別の操業条件に応じて変動させる必要がある。そのため,変動する操業条件の最大の場合の必要ガス吐出量を得ることができるように,ガス吐出用の貫通孔の大きさや数量を設計する必要がある。
 一方でガス吐出量は鋼の品質に対する影響が大きいので,鋳造中の条件変動に対応して適切な吐出量(流量)管理を行う必要がある。
 そこでガス吐出量を一定程度以下に管理する場合,特に少ガス吐出量である場合,特許文献1に示されるようにガス吐出口にガス圧力(背圧)を加えた状態に維持しようとしても,一般的にガス圧力はガス吐出部分であるストッパーのガス吐出口よりも離れたガス供給源の装置だけで管理しているので,ガス吐出部分付近でのガス圧力すなわち背圧は低くなる。そのため,ガス吐出部分付近での背圧の把握ないしは管理が困難であることが多い。
[0006]
 本発明が解決しようとする課題は,連続鋳造用のストッパーにおいて,ガス吐出部分付近での背圧の把握ないしは管理の精度を高めることにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明は,次の1~4に記載の連続鋳造用のストッパー及び5に記載の連続鋳造方法である。
1.
 上下方向中心部にガス流通のための空洞を備える連続鋳造用のストッパーであって,
 下方のノズルとの嵌合部を含む縮径領域の先端中央部又は側面部に,前記空洞から外部に貫通する一又は複数のガス吐出孔を備え,
 更に,前記空洞の前記ガス吐出孔より上方の位置,かつ前記縮径領域の一部に,圧力制御部品を備えている,連続鋳造用のストッパー。
2.
 前記圧力制御部品は,前記ガス吐出孔の直上付近に設置されている,請求項1に記載の連続鋳造用のストッパー。
3.
 前記圧力制御部品は,長さが20mmの試料に8×10 -2MPaの加圧を行う条件下において,ガスの透過性を有しない緻密質耐火物からなり,
 当該圧力制御部品内又は当該圧力制御部品の外周とストッパー本体との間に設けられ,かつ当該圧力制御部品又は当該圧力制御部品の外周とストッパー本体との間の上端から下端までを貫通する一又は複数の貫通孔を備えており,
 前記貫通孔の径は,孔の断面を円形とみなしてその断面を円に換算した大きさでφ0.2mm以上φ2mm以下であり,
 前記貫通孔の数は,次の式1,式2を満たす,
請求項1又は請求項2に記載の連続鋳造用のストッパー。
 (-0.44×Hd +1.88Hd-0.08)≦Ha≦{1.67×ln(Hd)+3.66} ・・・ 式1
 Hn=Ha÷(Hd ×π÷4) ・・・ 式2
 ここで,
  Ha:前記貫通孔の総断面積(mm
  Hn:前記貫通孔の数(個)
  Hd:前記貫通孔の径(mm)
  π :円周率
4.
 前記貫通孔はスリット状(以下「スリット」という。)であって,当該スリットの総断面積を前記のHa(mm )とみなし,当該スリットの厚さを前記のHd(mm)とみなし,当該スリットの総断面積を当該スリットの厚さで除した値を当該スリットの総長さとする,前記3に記載の連続鋳造用のストッパー。
5.
 前記1から前記4のいずれか一項に記載の連続鋳造用のストッパーを使用して,前記圧力制御部品より上流側の空洞のガスの圧力を2×10 -2(MPa)以上8×10 -2(MPa)以下として前記ストッパーのガス吐出孔からガスを溶鋼内に吐出する,連続鋳造方法。
[0008]
 以下に詳述する。
 ストッパー先端付近からガスを吐出する操業において,ガスの流通経路であるストッパー内部の空洞の端部にガス吐出孔を設置した構造では,ガス背圧の変動が大きくなり易く,また不安定になり易い。ストッパーは溶鋼内に浸漬しており,かつ,その先端付近は溶鋼の排出用ノズル孔に近接していて,また溶鋼流量制御をも担うこともあって,溶鋼流速の変動が大きい。そのため,ストッパー先端付近から吐出するガスの流量や圧力の変動も大きくなり,その正確で高精度の制御は困難となる。
[0009]
 本発明では,前記のストッパー内部の空洞のストッパー端部付近に,前記空洞の連続性を遮断して,空洞を上流側と下流側との2つの空間に分割して圧力を制御する部品(圧力制御部品」)を設置する。
 この圧力制御部品により,ストッパー先端からの圧力の変動を直接的に上流側へ伝達させないで,上流側の空間(空洞)でのガスの圧力制御を行う。
 この圧力制御部品は,前記空洞のガス吐出孔より上方の位置,かつ,ストッパー先端付近の縮径領域内の一部に設置する。
[0010]
 この圧力制御部品をほぼ全体がガス透過性を有する多孔質の耐火物で構成した場合,鋳造時間の経過に伴って漸次この多孔質耐火物内のガス透過性が低下し,ガスの通過ないしは吐出が停止することが多いことを,本発明者らは知見した。
 これは単一の原因によるものではなく,メカニズムは必ずしも明確になっていないが,圧力制御部品を緻密質耐火物で構成し,当該圧力制御部品内又は当該圧力制御部品の外周とストッパー本体との間にガスが通過することのできる貫通孔を設けることで,多孔質耐火物でのガスの通過ないしは吐出が停止する現象を解消できることを,本発明者らは知見した。
[0011]
 ところで,ガスの圧力ないしは流量を正確かつ高精度に制御するためには,ガスの圧力を調整するゾーンにおけるガスの圧力は高い方が好ましい。
 一方,ストッパー本体は,一般的にアルミナ系無機質材料-黒鉛質等の耐火物を一体的に成形したいわゆるモノブロックストッパー(以下「MBS」という。)が使用される。このようなMBSでは,空洞のガス圧力を概ね1×10 -1(MPa)以上に高めると,MBS本体の側壁部分にガスが透過ないし散逸することを,本発明者らは知見した。
 更に本発明者らは,このようなMBSを使用する場合をも考慮して,圧力制御部品より上流側の空洞のガスの圧力を2×10 -2(MPa)以上8×10 -2(MPa)以下として前記ストッパーのガス吐出孔からガスを溶鋼内に吐出することが好ましいことを知見した。
 前記の好ましい範囲の上限としての8×10 -2(MPa)は,前述のMBS本体の側壁部分からのガスの透過ないし散逸を防止するための概ね1×10 -1(MPa)未満としての圧力に,MBSの個別の形状や材質のバラツキ等,いわゆる安全率を考慮した値である。
 前記のガスの圧力が2×10 -2(MPa)未満の場合,圧力制御の正確性,精度が低下することがある。
[0012]
 本発明における緻密質耐火物とは,試験室での耐火物試料の測定方法において,長さが20mm(幅,面積は問わず)の試料に8×10 -2MPaの加圧を行った際に,ガスが透過性しない性質を有する耐火物を指す。
 この試験における8×10 -2MPaの加圧は,前述のMBSでの操業時のガス圧力の上限値を8×10 -2MPaとすることからこの上限値と同じ加圧力を選択し,長さは,すなわち圧力制御部品の現実的な軸方向の長さのことであって,その強度や設置の安定性等を考慮した際の最も短い(薄い)長さとして選択した長さである。この20mmより長さが長くなったらガスの透過性は小さくなるので,この条件でガスの透過がなければ,これより長い圧力制御部品を使用してもMBSでの操業においてガスの透過はないことになる。
[0013]
 このような圧力管理に必要な圧力制御部品に関する貫通孔の径と数を,本発明者らはシミュレーションを行って,前述3に示す通り特定することが好ましいことを知見した。なお,このシミュレーションは一般的な流体解析ソフト等を用いて行った。
 これを要約すると,φ0.2mm以上φ2.0mmの範囲内の任意・特定の貫通孔につき,圧力制御部品より上流側の空洞のガスの圧力を8×10 -2(MPa)以下2×10 -2(MPa)以上の範囲内にするために必要な貫通孔の数を決定するための具体的な条件であって,必要な貫通孔の数は,式1で求めた貫通孔の総断面積を,貫通孔の断面積で除した値とするものである。
[0014]
 前記の貫通孔は,円形であることが好ましいが,必ずしも円形に限定されるものではなく,楕円その他の曲面からなる形(非真円),多角形等の全直径方向が比較的近い長さのいわゆる単孔状,又はスリット状(スリット)でもよい。
 本発明を適用するにあたって,円以外の単孔状では,その孔の断面積を基礎に円に換算してその大きさ(径)を決定すればよい。
 スリットの場合は,前述4に示す換算方法により,その厚さと長さを決定すればよい。

発明の効果

[0015]
 圧力制御部品が無い従来技術では,以下の問題点がある。
(a)鋳造中の背圧が低く,ガスの漏れが発生している状況と同様の傾向のため,ガスが溶鋼中(ノズル内)に安定的に吐出されているか否かの判断が難しい。
(b)ガスの背圧も絶対値が低いので,ガスの背圧管理が極めて難しい。
(c)ガス吐出時の背圧変動及び流量変動が発生し易く,安定したガス吐出が難しい。
(d)安定したガス吐出ができないため,ノズル詰りの発生ないしは鋳型内流動の悪化,鋳型内での介在物浮上性悪化等が発生し易く,これらが最終的に介在物起因の鋼の品質悪化を招来することになる。
[0016]
 本発明のストッパーは圧力制御部品を備えることで,これらの問題点を解消することができる。
 すなわち本発明により,ストッパー先端付近のガス吐出孔に近い部分でのガスの背圧の把握が可能となり,溶鋼内に吐出されるガスの状態をより高い精度で把握すること,及び管理/制御することが可能になる。これにより,溶鋼内のガスの分布等をより高精度で制御することができるようになり,鋼の品質を安定化又は向上させることができる。
[0017]
 圧力制御部品を縮径領域ではない上方の領域に設置した場合は,ストッパー先端付近に設置したガス吐出孔からのガス吐出量が小さい場合には特に,ガス吐出孔内に溶鋼が侵入して当該ガス吐出孔を閉塞することがある。
 これに対し本発明では,圧力制御部品をストッパー外周から内側の空洞までの耐火物厚さが小さい縮径領域の位置の一部に備えていることで,圧力制御部品自体の温度を高めることができると共に圧力制御部品を通過したガスの温度を速く高めることができ,ガス吐出孔付近のガスの圧力を高めることもできる。これにより,ガス吐出孔内に溶鋼が侵入しても侵入した溶鋼が容易に凝固することを抑制することができ,当該ガス吐出孔を閉塞する可能性を小さくすることができる。
[0018]
 更には,前述の,圧力制御部品をほぼ全体がガス透過性を有する多孔質耐火物で構成した場合における当該多孔質耐火物内のガス透過性の低下によるガスの通過ないし吐出の停止現象に対しても,圧力制御部品を通過するガス量及びストッパー先端からのガス吐出量の低下又は停止を防止することができる。

図面の簡単な説明

[0019]
[図1] 本発明の,圧力制御部品とガス吐出孔を備えたストッパーの例で,ガス吐出孔が縮径領域の先端中央部に存在する例。
[図2] 本発明の,圧力制御部品とガス吐出孔を備えたストッパーの例で,ガス吐出孔が縮径領域の側面部に存在する例。
[図3] 本発明の圧力制御部品の上端面を上方から観たイメージ図である。
[図4] 2×10 -2(MPa),8×10 -2(MPa)の圧力における貫通孔の径と総断面積の関係をシミュレーションにより得たグラフ。
[図5] 貫通孔が円,長円2種の各形状の場合の,同じ貫通孔断総面積とした際の(貫通孔の数で調整)ガス圧力の違いをミュレーションにより得た例を示すグラフ。
[図6] 本発明の圧力制御部品を備えた場合と,圧力制御部品を備えない従来技術の場合の,鋳造中のガス背圧の例を示すグラフ。
[図7] 本発明の圧力制御部品を備えた場合と,圧力制御部品を備えない従来技術の場合の,鋳造中のガス背圧及び流量の変動の例を示すグラフ。
[図8] 本発明の圧力制御部品を備えた場合と,圧力制御部品を備えない従来技術の場合の,アルミナ系介在物のノズル内壁への付着物厚み(従来技術の場合を1とする指数)の例を示すグラフ。
[図9] 本発明の圧力制御部品を備えた場合と,圧力制御部品を備えない従来技術の場合の,鋳型内での10mm以上の突発的湯面変動の発生平均回数(回/ch)の例を示すグラフ。
[図10] 異なるガス吐出孔の形態,径でのガスの流量/背圧特性を示す,水モデルにおける実験例。
[図11] 異なるガス吐出孔の形態,径での鋳型内を想定した気泡径と存在割合を示す,水モデルにおける実験例。

発明を実施するための形態

[0020]
 本発明を実施するための形態を,実施例(水モデル実験例)と共に述べる。
[0021]
 図1に,本発明の一例であるストッパーの要部を,下方のノズルと共に縦断面にて示している。同図に示すストッパー10は,その上下方向中心部にガス流通のための空洞2を備えている。すなわち,空洞2はストッパー本体1の中心部に上下方向に伸びるように設けられており,空洞2の上端部には図示しないガス供給源が接続される。このストッパー10は典型的にはタンディッシュ内に配置され,そのタンディッシュ底部に設置されているノズル(下方のノズル)20に上方から嵌合することにより溶鋼の流量制御を行う。
 そして,このストッパー10は,下方のノズル20との嵌合部3を含む縮径領域の先端中央部に,空洞2から外部に貫通する一つのガス吐出孔4を備えており,更に,空洞2のガス吐出孔4より上方,かつ縮径領域の位置の一部に圧力制御部品5を備えている。
 なお,ガス吐出孔4は,図2に示すように縮径領域の側面部に設けてもよく,その数は複数であってもよい。また,ガス吐出孔4はスリット状に形成してもよい。
[0022]
 このように本発明のストッパーは,ガス吐出孔より上方の位置の一部,好ましくはガス吐出孔の直上付近に圧力制御部品を備える。その理由は,ストッパー先端付近から吐出するガスの状態をより正確・高精度に把握し制御するには,その吐出孔にできるだけ近い部位で圧力を把握し制御することが好ましいからである。この吐出孔にできるだけ近い部位は,概ねストッパーの先端部の縮径開始位置から下方の領域である。具体的には,ストッパー本体の先端から概ね150mm以内である。
[0023]
 本発明のストッパーにおいてガス吐出孔は,ガス流通のための空洞の先端開口であり,この吐出孔の配置は,縮径領域の先端中央部の1箇所でもよく,嵌合部付近(側面部)の複数箇所でもよい。しかし,ガス吐出孔の総開口面積は約3.1mm (2mm径の開口面積に相当)以下であることが好ましい。
[0024]
 圧力制御部品は,多孔体(多孔質耐火物)の形態又は貫通孔の形態のいずれでもよいが,より高い圧力のもとでガス流量を制御することが好ましい。なお,前記の式1に規定する圧力制御部品のガス通気特性と,ガス吐出孔のガス通気特性は,それぞれ実験室において単独で測定するものである。
[0025]
 更に,圧力制御部品が多孔体(多孔質耐火物)の場合にガス量の低下,閉塞等が生じる場合には,前記4に記載の式等の条件に合致するように,圧力制御部品を前記の緻密質耐火物として当該圧力制御部品内又は当該圧力制御部品の外周とストッパー本体との間に貫通孔を設置した構造とすることが好ましい。 
[0026]
 この貫通孔の設置例及び形状例を図3(A)~(J)に示している。
 図3(A)は,1つの貫通孔6を有する圧力制御部品5がストッパー本体1に目地材7を介して設置されている例である。
 図3(B)は,複数の貫通孔6を有する圧力制御部品5がストッパー本体1に目地材7を介して設置されている例である。
 図3(C)は,複数の貫通孔6が圧力制御部品5の外周縁部に溝として形成されており,この圧力制御部品5がストッパー本体1に目地材を介さずに設置されている例である。
 図3(D)は,複数の貫通孔6が圧力制御部品5の外周とストッパー本体1との間の目地材7中に設置されている例である。
 図3(E)は,複数の貫通孔6が圧力制御部品5の外周とストッパー本体1との間であってストッパー本体1の空洞2側に溝状に設置されており,目地材を介さずに圧力制御部品5が設置されている例である。
 図3(F)は,複数のスリット状の貫通孔6(スリット)を有する圧力制御部品5がストッパー本体1に目地材7を介して設置されている例である。
 図3(G)は,複数のスリット状の貫通孔6(スリット)が圧力制御部品5の外周とストッパー本体1との間に設置されている例である。
 図3(H)は,多孔質耐火物からなる圧力制御部品5がストッパー本体1に設置されている例である。なお,図3(H)では目地材が無い場合を示しているが,目地材が有る場合もある。
 図3(I)は,貫通孔6がスリット状である一例の,その厚さtと長さLを示す図である。
 図3(J)は,貫通孔6がスリット状である他の例の,その厚さtと長さLを示す図である。
[0027]
 本発明において貫通孔は,図3(A)~(G),(I),(J),図5に示す貫通孔の例のように,様々な形状とすることができる。なお,図3(H)は,圧力制御部品5が多孔体(多孔質耐火物)の例であるが,全体を多孔体にするか一部を多孔体とするか,目地材を介するか,等様々な形態とすることができる。
[0028]
 貫通孔は,図4に示すように2×10 -2(MPa),8×10 -2(MPa)の圧力(圧力制御部品より上流側の空洞の圧力)における円形の貫通孔の径と総断面積の関係を示す近似曲線の範囲内になるように配置すればよい。言い換えると,図4のグラフの縦軸に示す貫通孔の総断面積の値(Ha)を,同横軸の貫通孔の径の値(Hd)を有する貫通孔の断面積(Hd ×π÷4)で除した値を貫通孔の数として,圧力制御部品に配置すればよい。
[0029]
 貫通孔の形状は,前述のように円形,楕円その他の曲面からなる形(非真円),多角形等の単孔状,又はスリット状でもよい。
 貫通孔の形状を,円形とスリット状で比較した例を図5に示す。この例でのスリットの形状は,両端部を円の一部とし,両端の円を両端外方向に伸ばしてスリット状とした。この例では同じ総断面積とした場合の圧力値(圧力制御部品より上流側の空洞の圧力値)を観た。なお,ここでは総断面積をこれら各々の貫通孔の数を変化させて同じ総断面積となるようにしている。
 この結果,円形とスリット状で,圧力には殆ど差がないことがわかる。すなわち,スリット状の貫通孔の場合は,前記5に示す換算方法で,貫通孔の形状と数を決定すればよいということがわかる。
[0030]
 本発明の圧力制御部品を備えた場合(図1及び図3(A)の場合,以下同じ。)と,圧力制御部品を備えない従来技術の場合の,鋳造中のガス(Ar)の背圧の例を図6に示す。圧力制御部品を備えない従来技術の場合は背圧が極めて低いのに対し,本発明の圧力制御部品を備えた場合は背圧を高くして管理できることがわかる。
[0031]
 本発明の圧力制御部品を備えた場合と,圧力制御部品を備えない従来技術の場合の,鋳造中のガス(Ar)の背圧及び流量の変動の例を図7に示す。本発明の圧力制御部品を備えた場合は,背圧だけでなく,ガス流量(吐出量)も圧力制御部品を備えない従来技術の場合よりも安定していることがわかる。
[0032]
 本発明の圧力制御部品を備えた場合と,圧力制御部品を備えない従来技術の場合の,アルミナ系介在物のノズル内壁への付着物厚み(従来技術の場合を1とする指数)の例を図8に示す。本発明の圧力制御部品を備えた場合にはアルミナ系介在物のノズル内壁への付着物厚みが圧力制御部品を備えない従来技術の場合よりも小さいことがわかる。
[0033]
 本発明の圧力制御部品を備えた場合と,圧力制御部品を備えない従来技術の場合の,鋳型内での10mm以上の突発的湯面変動の発生平均回数(回/ch)の例を図9に示す。本発明の圧力制御部品を備えた場合は,鋳型内での10mm以上の突発的湯面変動の発生平均回数も圧力制御部品を備えない従来技術の場合のよりも少なくなっていることがわかる。
[0034]
 ここで,ガス吐出孔をストッパーの縮径領域の先端中央部の1箇所に配置する場合は,ストッパーの上下方向中心軸を基準にして,ストッパーの半径方向に±10mm以内の位置に設けることが好ましい。その理由は,前記の位置に配置すれば,吐出されるガス流がストッパー先端外周(いわゆるヘッド部分)に沿って流れる溶鋼流の影響を受け難くなり,気泡が合体し難く,粗大気泡の生成を防止できるからであり,その結果,ノズル詰りの抑制や鋳型内での介在部浮上促進が効果的にできるからである。
[0035]
 ここで,ガス吐出孔をストッパーの縮径領域の先端付近の複数箇所に配置する場合は,ストッパーの上下方向中心軸を基準にして,ストッパーの半径方向に10mm以上嵌合部(下方のノズルとの接触点)以内の位置に設けることが好ましい。この理由は,前記の位置に配置すれば,吐出されるガス流が分散して気泡が合体し難く,粗大気泡の生成を防止できるからであり,その結果,ノズル詰りの抑制や鋳型内での介在物浮上促進が効果的にできるからであり,嵌合部(下方のノズルとの接触点)より下方にガスを吐出することで,下方のノズル内孔に確実にガスを吹き込むことができるからである。
[0036]
 ガス吐出孔をストッパーの縮径領域の先端中央部の1箇所又は側面部の複数箇所に配置する場合は,実験の結果,そのガス吐出孔の先端開口(吐出口)の径が2mm以下であることが好ましい。この理由は,流量制御がより高精度で行えること,及び溶鋼内介在物を浮上し易く鋼の欠陥を生じ難い小径の気泡(概ね3mm未満)の割合が多いこと等による。図10及び図11にこれらの水モデル実験結果を示す。

符号の説明

[0037]
 10 ストッパー
 1 ストッパー本体
 2 空洞
 3 嵌合部
 4 ガス吐出孔
 5 圧力制御部品
 6 貫通孔
 7 目地材
 20 下方のノズル

請求の範囲

[請求項1]
 上下方向中心部にガス流通のための空洞を備える連続鋳造用のストッパーであって,
 下方のノズルとの嵌合部を含む縮径領域の先端中央部又は側面部に,前記空洞から外部に貫通する一又は複数のガス吐出孔を備え,
 更に,前記空洞の前記ガス吐出孔より上方の位置,かつ前記縮径領域の一部に,圧力制御部品を備えている,連続鋳造用のストッパー。
[請求項2]
 前記圧力制御部品は,前記ガス吐出孔の直上付近に設置されている,請求項1に記載の連続鋳造用のストッパー。
[請求項3]
 前記圧力制御部品は,長さが20mmの試料に8×10 -2MPaの加圧を行う条件下において,ガスの透過性を有しない緻密質耐火物からなり,
 当該圧力制御部品内又は当該圧力制御部品の外周とストッパー本体との間に設けられ,かつ当該圧力制御部品又は当該圧力制御部品の外周とストッパー本体との間の上端から下端までを貫通する一又は複数の貫通孔を備えており,
 前記貫通孔の径は,孔の断面を円形とみなしてその断面を円に換算した大きさでφ0.2mm以上φ2mm以下であり,
 前記貫通孔の数は,次の式1,式2を満たす,
請求項1又は請求項2に記載の連続鋳造用のストッパー。
 (-0.44×Hd +1.88Hd-0.08)≦Ha≦{1.67×ln(Hd)+3.66} ・・・ 式1
 Hn=Ha÷(Hd ×π÷4) ・・・ 式2
 ここで,
  Ha:前記貫通孔の総断面積(mm
  Hn:前記貫通孔の数(個)
  Hd:前記貫通孔の径(mm)
  π :円周率
[請求項4]
 前記貫通孔はスリット状(以下「スリット」という。)であって,当該スリットの総断面積を前記のHa(mm )とみなし,当該スリットの厚さを前記のHd(mm)とみなし,当該スリットの総断面積を当該スリットの厚さで除した値を当該スリットの総長さとする,請求項3に記載の連続鋳造用のストッパー。
[請求項5]
 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の連続鋳造用のストッパーを使用して,前記圧力制御部品より上流側の空洞のガスの圧力を2×10 -2(MPa)以上8×10 -2(MPa)以下として前記ストッパーのガス吐出孔からガスを溶鋼内に吐出する,連続鋳造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]