Processing

Please wait...

Settings

Settings

Goto Application

1. WO2018123962 - REDOX FLOW BATTERY SYSTEM AND REDOX FLOW BATTERY OPERATION METHOD

Document

明 細 書

発明の名称 レドックスフロー電池システム及びレドックスフロー電池の運転方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026  

発明の効果

0027  

図面の簡単な説明

0028  

発明を実施するための形態

0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076  

実施例

0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085  

符号の説明

0086  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : レドックスフロー電池システム及びレドックスフロー電池の運転方法

技術分野

[0001]
 本発明は、レドックスフロー電池システム及びレドックスフロー電池の運転方法に関し、詳しくは、正極及び負極の活物質にバナジウムを用いるバナジウム系レドックスフロー電池システム及びレドックスフロー電池の運転方法に関する。

背景技術

[0002]
 電力貯蔵用の電池として、種々の電池の開発が進められているが、電解液流通型の電池、いわゆるレドックスフロー電池がある。レドックスフロー電池は、正極と負極と両電極の間に介在される隔膜とを有する電池セルに、正極電解液及び負極電解液をそれぞれ供給循環し、電力変換器(例えば、交流/直流変換器等)を介して充放電を行う。電解液には、酸化還元により価数が変化する金属イオン(活物質)を含有する水溶液が使用されている。例えば、正極及び負極の活物質にバナジウム(V)を用いたバナジウム系レドックスフロー電池がよく知られている。
[0003]
 一般に、レドックスフロー電池では、電解液中の活物質の量が多いほど、エネルギー密度が増し、充放電効率が高まる。例えば、特許文献1には、バナジウムイオンを1.7mol/L超含む高濃度のバナジウム電解液が開示されている。この高濃度のバナジウム電解液は、バナジウム塩を水に溶解させた溶液をプレ電解しながら硫酸を加えることにより調整されている。このような調整工程を経ることにより、バナジウム化合物を析出させずに高濃度のバナジウム電解液を得ている。
[0004]
 しかしながら、高濃度のバナジウム電解液を使用して繰り返し充放電を行った場合、電解液中のバナジウム化合物が析出物として徐々に電池セル内や電解液中に析出し、電池のエネルギー密度が低下したり、析出物が電池セル内で詰まり、電池が動作しなくなったりしてしまうことが避けられなかった。
[0005]
 特許文献2には、電池セル内を洗浄するための希硫酸を貯蔵する貯蔵タンクを備えたレドックスフロー電池システムが開示されている。このレドックスフロー電池システムでは、正極・負極のいずれか一方、又は正極・負極のそれぞれに貯蔵タンクを設け、貯蔵タンク内の希硫酸を電池セル内に循環させることにより析出物を溶解させて除去している。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特許第5281210号公報
特許文献2 : 米国特許出願公開第2014/0099520号明細書

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 レドックスフロー電池システムにおいては、繰り返し充放電を行うと、特に高濃度のバナジウム電解液を用いた場合には、バナジウム化合物が電池セル内に析出したり、正極と負極のバナジウムの価数バランスが崩れたりする場合があった。そうすると、充分な充放電容量が得られなくなり、また、電極を腐食する要因にもなっていた。
[0008]
 特許文献2に記載されるレドックスフロー電池システムにおいては、析出した析出物を溶解・除去できるものの、正極又は負極又はその両方に別途独立して貯蔵タンクを設置しているため、それぞれ個別に管理する必要があり、システムが複雑になる。また、酸溶液の管理も煩雑になり貯蔵タンクの設置スペースも考慮する必要があった。さらに、特許文献2に記載されるレドックスフロー電池システムにおいては、バナジウム化合物が電池セル内に析出する等によって、正極・負極の電解液中のバナジウムの価数バランスが崩れた場合に、調整することは難しかった。
[0009]
 本発明は、高濃度のバナジウム電解液を用いた場合であっても、簡易な構成で、正極・負極及びこれらの循環路中に析出した析出物を溶解・除去するとともに、電解液のバランスを調整することにより、高い充放電効率及び腐食の抑制を可能とするレドックスフロー電池システム及びレドックスフロー電池の運転方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明者は、電池セル、及びこの電池セルに電解液を供給する電解液タンクに、共通のメンテナンスタンクを連通させることにより、簡易な構成で析出物の析出を抑制し、かつ電解液のバランスを調整できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[0011]
 (1)本発明は、電池セルにバナジウムを活物質として含む電解液を循環させて充放電を行うレドックスフロー電池システムであって、4価及び/又は5価のバナジウムを含む正極電解液を貯蔵する正極電解液タンクと、前記正極電解液を前記正極電解液タンクから前記電池セルに送る正極電解液往路配管と、前記正極電解液を前記電池セルから前記正極電解液タンクに戻す正極電解液復路配管と、2価及び/又は3価のバナジウムを含む負極電解液を貯蔵する負極電解液タンクと、前記負極電解液を前記負極電解液タンクから前記電池セルに送る負極電解液往路配管と、前記負極電解液を前記電池セルから前記負極電解液タンクに戻す負極電解液復路配管と、硫酸を含む洗浄液を貯蔵するメンテナンスタンクと、前記洗浄液を前記メンテナンスタンクから前記電池セルに送るため前記正極電解液往路配管及び前記負極電解液往路配管に接続される洗浄液往路配管と、前記洗浄液を前記電池セルから前記メンテナンスタンクに戻すため前記正極電解液復路配管及び前記負極電解液復路配管に接続される洗浄液復路配管とを備える、レドックスフロー電池システムである。
[0012]
 (2)また、本発明は、前記正極電解液及び/又は前記負極電解液は、1.2mol/L以上のバナジウムイオンを含む、(1)に記載のレドックスフロー電池システムである。
[0013]
 (3)また、本発明は、前記正極電解液の硫酸濃度及び前記負極電解液の硫酸濃度と、前記洗浄液の硫酸濃度とが略同濃度である、(1)又は(2)に記載のレドックスフロー電池システムである。
[0014]
 (4)また、本発明は、前記洗浄液は、硫酸濃度が0.5mol/L以上6mol/L以下の硫酸を含む、(1)~(3)のいずれかに記載のレドックスフロー電池システムである。
[0015]
 (5)また、本発明は、前記洗浄液往路配管は、一端が前記メンテナンスタンクに接続され、他端が前記正極電解液往路配管及び前記負極電解液往路配管に分岐して接続されており、分岐前の洗浄液往路配管部と、前記正極電解液往路配管及び前記負極電解液往路配管との接続部に、電解液及び洗浄液の流れを制御する往路制御バルブを備え、
 前記洗浄液復路配管は、一端が前記メンテナンスタンクに接続され、他端が前記正極電解液復路配管及び前記負極電解液復路配管に分岐して接続されており、分岐前の洗浄液復路配管部と、前記正極電解液復路配管及び前記負極電解液復路配管との接続部に、電解液及び洗浄液の流れを制御する復路制御バルブを備える、(1)~(4)のいずれかに記載のレドックスフロー電池システムである。
[0016]
 (6)また、本発明は、前記往路制御バルブ及び前記復路制御バルブを制御することにより、前記正極電解液が前記正極電解液タンク及び前記電池セルを循環し、前記負極電解液が前記負極電解液タンク及び前記電池セルを循環する充放電モードと、前記洗浄液が前記メンテナンスタンク及び前記電池セルを循環する酸循環メンテナンスモードと、前記正極電解液タンクから前記負極電解液タンクへ、若しくは前記負極電解液タンクから前記正極電解液タンクへ、一部電解液を移動させて各電解液タンクの酸化・還元状態を調整する電解液メンテナンスモードと、を設定可能なモード設定手段を備える、(5)に記載のレドックスフロー電池システムである。
[0017]
 (7)また、本発明は、前記モード設定手段は、作動時間に応じて、前記酸循環メンテナンスモード又は前記電解液メンテナンスモードを設定する、(6)に記載のレドックスフロー電池システムである。
[0018]
 (8)また、本発明は、前記モード設定手段は、電解液中の析出物の存在状態を検出する析出物検出手段の検出結果に基づいて、前記酸循環メンテナンスモードを設定する、(6)に記載のレドックスフロー電池システムである。
[0019]
 (9)また、本発明は、前記モード設定手段は、前記正極電解液及び前記負極電解液のバナジウムイオンの平均酸化数を検出する価数検出手段の検出結果に基づいて、前記電解液メンテナンスモードを設定する、(6)に記載のレドックスフロー電池システムである。
[0020]
 (10)また、本発明は、電池セルにバナジウムを活物質として含む電解液を循環させて充放電を行うレドックスフロー電池の運転方法であって、4価及び/又は5価のバナジウムを含む正極電解液を、前記正極電解液を貯蔵する正極電解液タンクから前記電池セルに循環させるとともに、2価及び/又は3価のバナジウムを含む負極電解液を、前記負極電解液を貯蔵する負極電解液タンクから前記電池セルに循環させる充放電モードを実行する充放電工程と、硫酸を含む洗浄液を、前記洗浄液を貯蔵するメンテナンスタンクから前記電池セルに循環させる酸循環メンテナンスモードを実行する酸循環工程と、前記正極電解液タンクから前記負極電解液タンクへ、若しくは前記負極電解液タンクから前記正極電解液タンクへ、一部電解液を移動させる電解液メンテナンスモードを実行する電解液メンテナンス工程とを含む、レドックスフロー電池の運転方法である。
[0021]
 (11)また、本発明は、前記正極電解液及び/又は前記負極電解液は、1.2mol/L以上のバナジウムイオンを含む、(10)に記載のレドックスフロー電池の運転方法である。
[0022]
 (12)また、本発明は、前記正極電解液の硫酸濃度及び前記負極電解液の硫酸濃度と、前記洗浄液の硫酸濃度とが略同濃度である、(10)又は(11)に記載のレドックスフロー電池の運転方法である。
[0023]
 (13)また、本発明は、前記洗浄液は、硫酸濃度が0.5mol/L以上6mol/L以下の硫酸を含む、(10)~(12)のいずれかに記載のレドックスフロー電池の運転方法である。
[0024]
 (14)また、本発明は、前記電解液メンテナンス工程では、作動時間に応じて、前記酸循環メンテナンスモード又は前記電解液メンテナンスモードを実行する、(10)~(13)のいずれかに記載のレドックスフロー電池の運転方法である。
[0025]
 (15)また、本発明は、前記酸循環工程では、電解液中の析出物の存在状態を検出する析出物検手段の検出結果に基づいて、前記酸循環メンテナンスモードを実行する、(10)~(13)のいずれかに記載のレドックスフロー電池の運転方法である。
[0026]
 (16)また、本発明は、前記電解液メンテナンス工程では、前記正極電解液及び前記負極電解液のバナジウムイオンの平均価数を検出する価数検出手段の検出結果に基づいて、前記電解液メンテナンスモードを実行する、(10)~(13)のいずれかに記載のレドックスフロー電池の運転方法である。

発明の効果

[0027]
 本発明によれば、高濃度のバナジウム電解液を用いた場合であっても、簡易な構成で、正極・負極及びこれらの循環路中に析出した析出物を溶解・除去するとともに、電解液のバランスを調整することにより、高い充放電効率及び腐食の抑制を可能とするレドックスフロー電池システム及びレドックスフロー電池の運転方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0028]
[図1] レドックスフロー電池システムの構成(充放電モード)を示す構成図である。
[図2] レドックスフロー電池システムの構成(酸循環メンテナンスモード)を示す構成図である。
[図3] レドックスフロー電池システムの構成(電解液メンテナンスモード)を示す構成図である。
[図4] レドックスフロー電池システムの一部構成を示すブロック図である。

発明を実施するための形態

[0029]
 以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
[0030]
<レドックスフロー電池システム>
 本実施形態に係るレドックスフロー電池システムは、図1に示すように、電池セル2にバナジウムを活物質として含む電解液を循環させて充放電を行うレドックスフロー電池1である。このレドックスフロー電池システムは、交流/直流変換器3を介して発電所等の交流電源4からの電力を充電し、充電した電力を、交流/直流変換器3を介して負荷電源5に放電する。なお、本実施形態に係るレドックスフロー電池システムは、後述する電池セル2を最小単位として、これを単独、又は複数枚積層した電池セルスタックと称される形態で使用することができる。
[0031]
 [基本構成]
 図1に示すように、レドックスフロー電池1は、正極電極10と負極電極20と、両電極10、20の間に介在される隔膜30とを有する電池セル2(正極セル12、負極セル22)を主構成とする。そして、このレドックスフロー電池1は、4価及び/又は5価のバナジウムを含む正極電解液を貯蔵する正極電解液タンク11と、正極電解液を正極電解液タンク11から正極セル12に送る正極電解液往路配管13と、正極電解液を正極セル12から正極電解液タンク11に戻す正極電解液復路配管14とを備える。正極電解液往路配管13は、正極電解液を循環させるためのポンプ15を備える。また、レドックスフロー電池1は、2価及び/又は3価のバナジウムを含む負極電解液を貯蔵する負極電解液タンク21と、負極電解液を負極電解液タンク21から負極セル22に送る負極電解液往路配管23と、負極電解液を負極セル22から負極電解液タンク21に戻す負極電解液復路配管24とを備える。負極電解液往路配管23は、負極電解液を循環させるためのポンプ25を備える。
[0032]
 さらに、このレッドクスフロー電池1は、硫酸を含む洗浄液を貯蔵するメンテナンスタンク40と、洗浄液をメンテナンスタンク40から電池セル2に送るため正極電解液往路配管13及び負極電解液往路配管23に接続される洗浄液往路配管41と、洗浄液を電池セル2からメンテナンスタンク40に戻すため正極電解液復路配管14及び負極電解液復路配管24に接続される洗浄液復路配管42とを備える。
[0033]
 洗浄液往路配管41は、一端がメンテナンスタンク40に接続され、他端が正極電解液往路配管13及び負極電解液往路配管23に分岐して接続されている。この洗浄液往路配管41は、該配管内の電解液及び洗浄液の流れを制御する往路制御バルブ44、45、46を備える。
[0034]
 洗浄液復路配管42は、一端がメンテナンスタンク40に接続され、他端が正極電解液復路配管14及び負極電解液復路配管24に分岐して接続されている。この洗浄液復路配管42は、該配管内の電解液及び洗浄液の流れを制御する復路制御バルブ47、48、49を備える。
[0035]
 以下、正極電極10、正極電解液タンク11、負極電極20、負極電解液タンク21、隔膜30、メンテナンスタンク40、制御バルブ44、45、46、47、48、49についてそれぞれ詳細に説明する。
[0036]
 (正極電極・負極電極)
 正極電極10及び負極電極20としては、公知の電極を用いることができ、特に限定されないが、電解液中のバナジウムイオンが電池セル2内を通過する際に酸化還元反応を生じる場を提供するのみで自ら反応せず、電解液の通過性に優れた構造、形態を有しており、極力表面積が広く、電気抵抗が低いことが好ましい。さらに、酸化還元反応活性化の観点からは、電解液(水溶液)との親和性に優れていることが好ましく、さらに副反応となる水の分解を生じさせない観点から、水素過電圧、酸素過電圧が大きい方が好ましい。例えば、カーボンフェルトのようなカーボン材又はそれを黒鉛化したものや、メッシュ状のチタニウム又はジルコニウムの基板に貴金属めっきを施したもの又はカーボンコートしたものが挙げられる。
[0037]
 (正極電解液タンク)
 正極電解液タンク11は、正極電解液を収容し、正極電解液往路配管13及び正極電解液復路配管14を介して正極セル12と連通している。また、後述するように、正極電解液タンク11は、正極電解液往路配管13、正極電解液復路配管14、負極電解液往路配管23、負極電解液復路配管24、洗浄液往路配管部41、及び洗浄液復路配管42を介して負極電解液タンク21と連通可能な状態となっている。
[0038]
 正極電解液タンク11に収容される正極電解液は、バナジウム塩の硫酸水溶液であり、4価及び/又は5価のバナジウムを含む硫酸水溶液である。この正極電解液は、充電状態で4価/5価のバナジウムイオンの混合又は5価のバナジウムイオン単独の状態をとりうる。4価及び/又は5価のバナジウムイオンの濃度は、好ましく1.2mol/L以上、より好ましくは1.5mol/L以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは4mol/L以下、より好ましくは3mol/L以下である。バナジウムイオンの濃度が過小であると、電池のエネルギー密度が小さくなる傾向がある。バナジウムイオンの濃度が過大であると、析出物が析出しやすくなり、エネルギー密度や充放電効率が低下する傾向がある。本実施形態に係るレッドクスフロー電池システムにおいては、後述するように、析出物を溶解・除去でき、電解液のバランスの調整も可能であることから、バナジウムイオンの濃度が1.5mol/L以上となる電解液を用いることが特に好ましい。
[0039]
 正極電解液の硫酸濃度は、好ましくは0.5mol/L以上6mol/L以下、より好ましくは1mol/L以上3mol/L以下である。ここで、硫酸濃度は、電解液に含まれる硫黄(S)の濃度とし、バナジウム塩の対イオンの硫黄(S)も含むものとする。正極電解液の硫酸濃度が過小であると、5価のバナジウム化合物である五酸化バナジウム(V )が析出しやすくなる。
[0040]
 なお、正極電解液には、析出物の析出を防止するために、従来公知の硝酸等のオキソ酸や保護コロイド剤、錯化剤等の添加物を含んでもよい。
[0041]
 (負極電解液タンク)
 負極電解液タンク21は、負極電解液を収容し、負極電解液往路配管23及び負極電解液復路配管24を介して負極セル22と連通している。また、負極電解液タンク21は、正極電解液往路配管13、正極電解液復路配管14、負極電解液往路配管23、負極電解液復路配管24、洗浄液往路配管部41、及び洗浄液復路配管42を介して正極電解液タンク11と連通可能な状態となっている。
[0042]
 負極電解液タンク21に収容される負極電解液は、バナジウム塩の硫酸水溶液であり、2価及び/又は3価のバナジウムを含む硫酸水溶液である。この負極電解液は、充電状態で2価/3価のバナジウムイオンの混合又は2価のバナジウムイオン単独の状態をとりうる。2価及び/又は3価のバナジウムイオンの濃度は、好ましく1.2mol/L以上、より好ましくは1.5mol/L以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは4mol/L以下、より好ましくは3mol/L以下である。バナジウムイオンの濃度が過小であると、電池のエネルギー密度が小さくなり、バナジウムイオンの濃度が過大であると、電解液の粘度が高くなり、析出物が析出しやすくなり、電池効率が低下する。本実施形態に係るレッドクスフロー電池システムにおいては、後述するように、析出物を溶解・除去でき、電解液のバランスの調整も可能であることから、バナジウムイオンの濃度が1.5mol/L以上となる電解液を用いることが特に好ましい。
[0043]
 負極電解液の硫酸濃度は、正極電解液と同様に、好ましくは0.5mol/L以上6mol/L以下、より好ましくは1mol/L以上3mol/L以下である。負極電解液の硫酸濃度が過大であると、3価のバナジウム化合物である、硫酸バナジウム(V (SO )が析出しやすくなる。
[0044]
 なお、負極電解液には、正極電解液と同様に、析出物の析出を防止するために、従来公知の硝酸等のオキソ酸や保護コロイド剤、錯化剤等の添加物を含んでもよい。
[0045]
 (隔膜)
 隔膜30としては、公知の隔膜を用いることができ、特に限定されないが、例えば有機高分子からなるイオン交換膜が好ましく、カチオン交換膜及びアニオン交換膜のいずれも用いることができる。
[0046]
 カチオン交換膜としては、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体をスルホン化して得られるカチオン交換膜、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ・スルホニル・エトキシビニルエーテルとの共重合体にスルホン酸基を導入したカチオン交換膜、テトラフルオロエチレンとカルボキシル基を側鎖に持つパーフルオロビニルエーテルとの共重合体からなるカチオン交換膜、芳香族ポリスルホン共重合体にスルホン酸基を導入したカチオン交換膜等が挙げられる。
[0047]
 アニオン交換膜としては、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体にクロロメチル基を導入してアミノ化したアニオン交換膜、ビニルピリジン-ジビニルベンゼン共重合体を4級ピリジジウム化したアニオン交換膜、芳香族ポリスルホン共重合体にクロロメチル基を導入してアミノ化したアニオン交換膜等が挙げられる。
[0048]
 (メンテナンスタンク)
 メンテナンスタンク40は、後述するように、洗浄液往路配管41及び洗浄液復路配管42を介して電池セル2と連通可能な状態となっている。
[0049]
 メンテナンスタンク40に収容される洗浄液は、硫酸を含む水溶液であることが好ましい。後述するように、酸循環メンテナンスモードから充放電モードへ移行した際に、充放電モードへの影響を少なくする点で、洗浄液の硫酸濃度は、上述した正極電解液及び負極電解液と略同濃度であることがより好ましい。ここで、略同濃度とは、必ずしも同一濃度である必要はなく、充放電によって正極電解液及び負極電解液の硫酸濃度にも変動があることから、前後に5%程度の濃度差があってもよい。
[0050]
 また、電池セル2(正極セル12、負極セル22)内の正極電極10や負極電極20の表面に析出物が激しく析出している場合等、析出物を積極的に溶解させたい場合には、洗浄液の硫酸濃度を、正極電解液及び/又は負極電解液の硫酸濃度よりも高濃度にしてもよい。例えば、洗浄液の硫酸濃度を、正極電解液及び/又は負極電解液の硫酸濃度に対して1.5倍まで高濃度の硫酸水溶液を用いてもよい。
[0051]
 (制御バルブ)
 往路制御バルブ44は、分岐前の洗浄液往路配管部41aに配置され、洗浄液往路配管部41a内の流路を開閉する。往路制御バルブ45は、正極電解液往路配管13と分岐後の洗浄液往路配管部41bとの接続部に配置され、正極電解液往路配管13内及び洗浄液往路配管部41b内の電解液及び洗浄液の流路を切り替える。往路制御バルブ46は、負極電解液往路配管23と分岐後の洗浄液往路配管部41cとの接続部に配置され、負極電解液往路配管23内及び洗浄液往路配管部41c内の電解液及び洗浄液の流路を切り替える。
[0052]
 復路制御バルブ47は、分岐前の洗浄液復路配管部42aに配置され、洗浄液復路配管部42a内の流路を開閉する。復路制御バルブ48は、正極電解液復路配管14と分岐後の洗浄液復路配管部42bとの接続部に配置され、正極電解液復路配管14内及び洗浄液復路配管部42b内の電解液及び洗浄液の流路を切り替える。復路制御バルブ49は、負極電解液復路配管24と分岐後の洗浄液復路配管部42cとの接続部に配置され、負極電解液復路配管24内及び洗浄液復路配管部42c内の電解液及び洗浄液の流路を切り替える。
[0053]
 [モード設定手段]
 本実施形態に係るレドックスフロー電池システムは、上述した基本構成において、制御バルブ44、45、46、47、48、49を制御することにより、充放電モードと、酸循環メンテナンスモードと、電解液メンテナンスモードとを設定可能なモード設定手段50を備えることを特徴とする。モード設定手段50は、図4に示すように、電池セル2の作動時間を積算するタイマー51、析出物検出手段52、又は価数検出手段53の検出結果に基づき、制御バルブ44、45、46、47、48、49を制御し、充放電モード、酸循環メンテナンスモード、又は電解液メンテナンスモードを設定する。モード設定手段50は、自動、半自動、手動のいずれで各モードを実行してもよい。以下、各モード及び各検出手段について説明する。
[0054]
 (充放電モード)
 充放電モードでは、モード設定手段50によって、制御バルブ44、45、46、47、48、49が制御され、正極電解液が正極電解液タンク11及び電池セル2を循環し、負極電解液が負極電解液タンク21及び電池セル2を循環する。具体的には、この充放電モードにおける充電モードでは、図1に示すように、正極電解液タンク11に収容された正極電解液(V 5+/V 4+イオンを含む硫酸水溶液)は、矢印Aで示すように、ポンプ15により正極電解液往路配管13及び制御バルブ45を介して正極セル12に送られ、正極電極10において外部回路に電子が放出されて、V 4+がV 5+に酸化され、正極電解液復路配管14及び制御バルブ48を介して正極電解液タンク11に回収される。一方、負極電解液タンク3に収容された負極電解液(V 2+/V 3+を含む硫酸水溶液)は、矢印Bで示すように、ポンプ25により負極電解液往路配管23及び制御バルブ46を介して負極セル22に送られ、負極電極20において外部回路から電子を受け取って、V 3+からV 2+に還元され、負極電解液復路配管24及び制御バルブ49を介して負極液タンク21に回収される。充放電モードにおける放電モードでは、充電モードとは逆の反応が進行する。電池セル2における充放電反応は、次の通りである。
[0055]
 正極セル
  充電:V 4+→V 5++e
  放電:V 5++e →V 4+
 負極セル
  充電:V 3++e →V 2+
  放電:V 2+→V 3++e
[0056]
 (酸循環メンテナンスモード)
 酸循環メンテナンスモードでは、モード設定手段50によって、制御バルブ44、45、46、47、48、49が制御され、洗浄液がメンテナンスタンク40及び電池セル2を循環する。具体的には、この酸循環メンテナンスモードでは、図2に示すように、メンテナンスタンク40に収容された洗浄液は、図中矢印C方向で示すように、ポンプ43により洗浄液往路配管41、及び制御バルブ44、45、46を介して電池セル2(正極セル12、負極セル22)に送られ、洗浄液復路配管42及び制御バルブ47、48、49を介してメンテナンスタンク40に回収される。
[0057]
 このような酸循環メンテナンスモードが設定されることにより、電池セル2内に析出した析出物を溶解して除去することができる。このとき、洗浄液の硫酸濃度が電池セル2内の硫酸濃度と略同等であれば、その後の充放電モードに与える影響が少ない。また、析出物の析出状態が激しい場合には、洗浄液の濃度を電解液の硫酸濃度よりも高くして、析出物を積極的に溶解・除去するようにすることもできる。
[0058]
 なお、図2に示す酸循環メンテナンスモードでは、洗浄液が正極セル12及び負極セル22を同時に洗浄する例を示しているが、制御バルブ44、45、46、47、48、49を制御することにより、正極セル12、負極セル22を別々に洗浄してもよい。
[0059]
 また、メンテナンスタンク40に収容される洗浄液は、酸循環メンテナンスモードを実行する毎に、交換してもよく、複数回実行後に交換するようにしてもよい。
 酸循環メンテナンスモードが実行され、メンテナンスタンク40に回収された洗浄液は、バナジウム化合物以外の不純物を含むことがあるため、使用後の洗浄液は、メンテナンスタンク40から一旦回収し、不純物を除去・回収後、メンテナンスタンク40に戻して使用することもできる。さらに、洗浄液復路配管部42aに、洗浄液に溶解しきれなかった析出物を回収する濾過装置等の回収装置を設置してもよい。
[0060]
 (電解液メンテナンスモード)
 電解液メンテナンスモードでは、モード設定手段50によって、制御バルブ44、45、46、47、48、49が制御され、正極電解液タンク11から負極電解液タンク21へ、若しくは負極電解液タンク21から正極電解液タンク11へ、電解液の一部を移動させて各電解液タンク11、21の酸化還元状態を調整する。具体的には、この電解液メンテナンスモードでは、図3に示すように、正極電解液タンク11内の正極電解液及び負極電解液タンク21内の負極電解液は、図中矢印D方向で示すように、ポンプ25により、負極電解液往路配管23、分岐後の洗浄液往路配管部41b、41c、制御バルブ45、46、正極電解液往路配管13、正極電解液復路配管14、分岐後の洗浄液復路配管部42b、42c、制御バルブ48、49、負極電解液復路配管24を介して循環される。なお、図3中、電解液は、ポンプ25により図中矢印D方向(時計回り方向)に循環されているが、ポンプ15により図中反時計回り方向に循環させてもよい。
[0061]
 このような電解液メンテナンスモードが設定されることにより、電解液のバランス、すなわち価数の比率のバランスを適正に調整することができる。
[0062]
 ここで、充放電反応以外でバナジウム電解液が消費される等により、正極及び負極の電解液のバランスが崩れる場合があり、充放電効率の低下や過電圧による電極の腐食が懸念される。したがって、正極電解液と負極電解液の一部を適切に混合することにより、電解液中のバナジウムの価数バランスが調整され、充放電反応の均衡が保たれる。
[0063]
 なお、価数バランスの観点から、適切な移動量となるように、適正な流量や時間で電解液メンテナンスモードを行うことが好ましい。
[0064]
 (タイマー)
 タイマー51は、電池セル2の作動時間、例えば、充電時間、放電時間をそれぞれ積算し、作動時間をモード設定手段50に送信する。
[0065]
 モード設定手段50は、タイマー51からの検出信号(作動時間)を基に酸循環メンテナンスモードや電解液メンテナンスモードを実行することができる。モード設定手段50は、予め同一条件における、作動時間と析出物の量との相関式や、作動時間と電解液の価数変化率との相関式を作成しておき、これら相関式を基に、酸循環メンテナンスモードや電解液メンテナンスモードを実行してもよい。なお、これら相関式は、必ずしも比例式であるとは限らない。
[0066]
 (析出物検出手段)
 析出物検出手段52としては、析出物の析出の有無を検出することができれば特に限定されず、例えば、電池出力の低下を検出する出力検出手段、電解液を送液するためのポンプ送液圧力を検出する圧力計、電解液の流量を検出する流量計、電解液の流路に配管内の析出物を視認可能な透明窓や液中パーティクルカウンターや粒度分布計を設置して析出物を検出する測定器を用いることができる。
[0067]
 モード設定手段50は、これら析出物検出手段52の検出結果を基に、酸循環メンテナンスモードを実行する。例えば、モード設定手段50は、使用条件等によって適宜選定可能であるが、出力検出手段の出力が運転設定出力値から所定値以下、例えば、運転設定出力値が10%以上低下したことを検出すると、析出物が所定量以上析出したと判断し、酸循環メンテナンスモードを実行してもよい。運転設定出力値とは、析出物検出手段52の初期値あるいは適宜設定しておいた設定値のことを言う。また、モード設定手段50は、圧力計、流量計により、初期値から所定値以上の上昇がみられた場合に、析出物が所定量以上析出したと判断し、酸循環メンテナンスモードを実行してもよい。また、モード設定手段50は、透明窓や液中パーティクルカウンターや粒度分布計による測定結果から、所定量以上の析出物が確認された場合に、酸循環メンテナンスモードを実行してもよい。
[0068]
 (価数検出手段)
 価数検出手段53としては、バナジウムイオンの価数を検出し、バナジウムイオンの価数比率のばらつきを判断することができれば特に限定されず、例えば電池の出力の低下を検出する出力検出手段、電解液の電位を検出する電圧計、電池セルの開放電圧を測定するモニターセル等を用いることができる。また、価数検出手段53としては、バナジウムイオンの価数によって変化する電解液の色相や透明度を測定する測定装置や、吸光度の変化を測定する測定装置(紫外可視分光光度計等)などの測定手段を用いることができる。
[0069]
 モード設定手段50は、これら価数検出手段53の検出結果を基に、電解液メンテナンスモードを実行する。例えば、モード設定手段50は、使用条件等によって適宜選定可能であるが、出力検出手段の出力が運転設定出力値から所定値以上、例えば、運転設定出力値が10%以上低下した場合に、バナジウムイオンの価数の比率のばらつきが大きいと判断し、電解液メンテナンスモードを実行してもよい。また、モード設定手段50は、電圧計、モニターセル、又は電解液の色相、透明度、吸光度を測定する測定手段の測定値が所定の範囲を超えた場合には、バナジウムイオンの価数の比率のばらつきが大きいと判断し、電解液メンテナンスモードを実行してもよい。
[0070]
 このように、本実施形態に係るレドックスフロー電池システムは、硫酸を含む洗浄液を貯蔵するメンテナンスタンク40を備えることにより、析出物を溶解・除去するとともに、電解液のバランスの調整を図ることが可能である。特に、バナジウムイオンの濃度が高い電解液を用いるレドックスフロー電池システムに対して好適である。また、本実施形態に係るレドックスフロー電池システムは、正極セル12及び負極セル22に対して共通のメンテナンスタンク40を備えているため、正極セル12及び負極セル22に対して個別にメンテナンスタンクを備える場合に比べ、少ない洗浄液の量で、かつ少ないスペースで、上述した効果を得ることができる。
[0071]
<レドックスフロー電池の運転方法>
 本実施形態に係るレドックスフロー電池1の運転方法は、電池セル2にバナジウムを活物質として含む電解液を循環させて充放電を行うレドックスフロー電池1の運転方法であって、4価及び/又は5価のバナジウムを含む正極電解液を、正極電解液を貯蔵する正極電解液タンク11から電池セル2に循環させるとともに、2価及び/又は3価のバナジウムを含む負極電解液を、負極電解液を貯蔵する負極電解液タンク21から電池セル2に循環させる充放電モードを実行する充放電工程と、硫酸を含む洗浄液を、洗浄液を貯蔵するメンテナンスタンク40から電池セル2に循環させる酸循環モードを実行する酸循環メンテナンス工程と、電解液をメンテナンスタンク40から正極電解液タンク11及び負極電解液タンク21に循環させる電解液メンテナンスモードを実行する電解液メンテナンス工程とを含む。
[0072]
 具体的には、本実施形態に係るレドックスフロー電池1の運転方法は、図1に示すように、正極電解液タンク11及び負極電解液タンク21内の電解液を電池セル2に循環させる充放電工程と、図2に示すように、メンテナンスタンク40内の洗浄液を電池セル2に循環させる酸循環メンテナンス工程と、図3に示すように、正極電解液タンク11と負極電解液タンク21との間で電解液を循環させる電解液メンテナンス工程を含む。
[0073]
 上述したように、酸循環メンテナンス工程又は電解液メンテナンス工程では、タイマー51の検出結果(作動時間)に応じて、酸循環メンテナンスモード又は電解液メンテナンスモードを実行することができる。
[0074]
 酸循環メンテナンス工程では、電解液中の析出物の存在状態を検出する析出物検出手段52の検出結果に基づいて、酸循環メンテナンスモードを実行することが好ましい。
[0075]
 電解液メンテナンス工程では、正極電解液及び負極電解液のバナジウムイオンの価数を検出する価数検出手段53の検出結果に基づいて、前記電解液メンテナンスモードを実行することが好ましい。
[0076]
 このように、本実施形態に係るレドックスフロー電池1の運転方法によれば、高濃度のバナジウム電解液を用いた場合であっても、簡易な構成で、正極・負極及びこれらの循環路中に析出した析出物を溶解・除去するとともに、電解液のバランスを調整することにより、高い充放電効率及び腐食の抑制を可能とする。
実施例
[0077]
 以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[0078]
 [実施例1]
 図1に示す電池セル2を用意した。正極電極10、負極電極20には、市販のカーボンフェルト電極を用いた。各電極の総面積は各々200cm とした。隔膜30としては、市販のイオン交換膜を用いた。正極電解液としては、4価のバナジウムイオン濃度が1.5mol/Lである3.0mol/L-H SO 水溶液を用いた。負極電解液としては、3価のバナジウムイオン濃度が1.5mol/Lである3.0mol/L-H SO 水溶液を用いた。電解液は正極、負極ともに250mLを使用した。
[0079]
 そして、モード設定手段50により充放電モードを実行し、正極セル12及び負極セル22に、それぞれ正極電解液及び負極電解液を180mL/分の量で供給して循環させながら、電流密度100mA/cm で充電を行った。電圧が1.6Vになったところで充電をやめ、続いて100mA/cm で放電を行い、電圧が1.0Vになったところで放電終了とした。この充電と放電を50サイクル繰り返した。50サイクル目の電池効率(電圧効率とし、1サイクル目を100%として算出した)及び液エネルギー密度は、それぞれ94%、49kWh/m であった。液エネルギー密度は正極と負極を合算した値である。次に、モード設定手段50により酸循環モードを実行し、メンテナンスタンク40内の3.0mol/L-H SO 水溶液からなる洗浄液を180mL/分の量で1時間、正極セル及び負極セルに供給して循環させた。その後、モード設定手段50により充放電モードを再度実行し、充電と放電をさらに50サイクル繰り返した。酸循環モード実行後の最初の1サイクル目の電池効率及び液エネルギー密度は、それぞれ97%、51kWh/m であり、電池特性の回復が認められた。また、50サイクル目の電池効率及び液エネルギー密度も、それぞれ91%、47kWh/m となり、酸循環モードを実行する前の電池効率及び液エネルギー密度とほぼ同等であった。
[0080]
 [実施例2]
実施例1と同様の電池セル2を用いて、モード設定手段50により充放電モードを実行し、充電と放電を50サイクル繰り返した。50サイクル目の電池効率及び液エネルギー密度は、それぞれ94%、49kWh/m であった。そして、モード設定手段50により酸循環モードを実行し、メンテナンスタンク40内の3.0mol/L-H SO 水溶液からなる洗浄液を180mL/分の量で1時間、正極セル及び負極セルに供給して循環させた。その後さらに、モード設定手段50により電解液メンテナンスモードを実行し、正極電解液タンク11及び負極電解液タンク21間で、一部電解液を移動させて、バナジウムの価数バランスを整えた。そして、モード設定手段50により充放電モードを再度実行し、充電と放電をさらに50サイクル繰り返した。電解液メンテナンスモード実行後の最初の1サイクル目の電池効率及び液エネルギー密度は、それぞれ99%、52kWh/m であり、電池特性の回復が認められた。また、50サイクル目の電池効率及び液エネルギー密度も、それぞれ93%、50kWh/m となり、酸循環モードおよび電解液メンテナンスモードを実行する前の電池効率及び液エネルギー密度とほぼ同等であった。
[0081]
 [実施例3]
 正極電解液として、4価のバナジウムイオン濃度が3.0mol/Lである3.0mol/L-H SO 水溶液を用いた。負極電解液として、3価のバナジウムイオン濃度が3.0mol/Lである3.0mol/L-H SO 水溶液を用いた。これ以外は、実施例1と同様にして、充放電モードを実行し、充電と放電を50サイクル繰り返した。50サイクル目の電池効率及び液エネルギー密度は、それぞれ91%、45kWh/m であった。そして、モード設定手段50により酸循環モードを実行し、メンテナンスタンク40内の3.0mol/L-H SO 水溶液からなる洗浄液を180mL/分の量で1時間、正極セル及び負極セルに供給して循環させた。その後、モード設定手段50により充放電モードを再度実行し、充電と放電をさらに50サイクル繰り返した。酸循環モード実行後の最初の1サイクル目の電池効率及び液エネルギー密度は、それぞれ97%、50kWh/m であり、電池特性の回復が認められた。また、50サイクル目の電池効率及び液エネルギー密度も、それぞれ88%、46kWh/m となり、酸循環モードを実行する前の電池効率及び液エネルギー密度とほぼ同等であった。
[0082]
 [実施例4]
 実施例3と同様の電池セル2を用いて、モード設定手段50により充放電モードを実行し、充電と放電を50サイクル繰り返した。50サイクル目の電池効率及び液エネルギー密度は、それぞれ91%、45kWh/m であった。そして、モード設定手段50により酸循環モードを実行し、メンテナンスタンク40内の3.0mol/L-H SO 水溶液からなる洗浄液を180mL/分の量で1時間、正極セル及び負極セルに供給して循環させた。その後さらに、モード設定手段50により電解液メンテナンスモードを実行し、正極電解液タンク11及び負極電解液タンク21間で、一部電解液を移動させて、バナジウムの価数バランスを整えた。そして、モード設定手段50により充放電モードを再度実行し、充電と放電をさらに50サイクル繰り返した。電解液メンテナンスモード実行後の最初の1サイクル目の電池効率及び液エネルギー密度は、それぞれ99%、52kWh/m であり、電池特性の回復が認められた。また、50サイクル目の電池効率及び液エネルギー密度も、それぞれ90%、48kWh/m となり、酸循環モードおよび電解液メンテナンスモードを実行する前の電池効率及び液エネルギー密度とほぼ同等であった。
[0083]
 [比較例1]
 図1に示す電池セル2を用意した。正極電極10、負極電極20には、市販のカーボンフェルト電極を用いた。各電極の総面積は各々200cm とした。隔膜30としては、市販のイオン交換膜を用いた。正極電解液としては、4価のバナジウムイオン濃度が1.5mol/Lである3.0mol/L-H SO 水溶液を用いた。負極電解液としては、3価のバナジウムイオン濃度が1.5mol/Lである3.0mol/L-H SO 水溶液を用いた。電解液は正極、負極ともに250mLを使用した。
[0084]
 そして、モード設定手段50により充放電モードを実行し、正極セル12及び負極セル22に、それぞれ正極電解液及び負極電解液を180mL/分の量で供給して循環させながら、電流密度100mA/cm で充電を行った。電圧が1.6Vになったところで充電をやめ、続いて100mA/cm で放電を行い、電圧が1.0Vになったところで放電終了とした。この充電と放電を50サイクル繰り返した。50サイクル目の電池効率(電圧効率とし、1サイクル目を100%として算出した)及び液エネルギー密度は、それぞれ94%、49kWh/m であった。その後さらに、充電と放電を50サイクル繰り返したところ、電池効率及び液エネルギー密度は、それぞれ87%、45kWh/m まで低下した。
[0085]
 [比較例2]
 正極電解液として、4価のバナジウムイオン濃度が3.0mol/Lである3.0mol/L-H SO 水溶液を用いた。負極電解液として、3価のバナジウムイオン濃度が3.0mol/Lである3.0mol/L-H SO 水溶液を用いた。これ以外は、比較例1と同様にして、充放電モードを実行した。50サイクル目の電池効率及び液エネルギー密度は、それぞれ91%、45kWh/m であった。その後さらに、充電と放電を50サイクル繰り返したところ、電池効率及び液エネルギー密度は、それぞれ81%、39kWh/m まで低下した。

符号の説明

[0086]
 1 レドックスフロー電池
 2 電池セル
 3 交流/直流変換器
 4 交流電源
 5 負荷電源
 10 正極電極
 11 正極電解液タンク
 12 正極セル
 13 正極電解液往路配管
 14 正極電解液復路配管
 15 ポンプ
 20 負極電極
 21 負極電解液タンク
 22 負極セル
 23 負極電解液往路配管
 24 負極電解液復路配管
 25 ポンプ
 30 隔膜
 40 メンテナンスタンク
 41 洗浄液往路配管
 42 洗浄液復路配管
 43 ポンプ
 44、45、46 往路制御バルブ
 47、48、49 復路制御バルブ
 50 モード設定手段
 51 タイマー
 52 析出物検出手段
 53 価数検出手段

請求の範囲

[請求項1]
 電池セルにバナジウムを活物質として含む電解液を循環させて充放電を行うレドックスフロー電池システムであって、
 4価及び/又は5価のバナジウムを含む正極電解液を貯蔵する正極電解液タンクと、前記正極電解液を前記正極電解液タンクから前記電池セルに送る正極電解液往路配管と、前記正極電解液を前記電池セルから前記正極電解液タンクに戻す正極電解液復路配管と、
 2価及び/又は3価のバナジウムを含む負極電解液を貯蔵する負極電解液タンクと、前記負極電解液を前記負極電解液タンクから前記電池セルに送る負極電解液往路配管と、前記負極電解液を前記電池セルから前記負極電解液タンクに戻す負極電解液復路配管と、
 硫酸を含む洗浄液を貯蔵するメンテナンスタンクと、前記洗浄液を前記メンテナンスタンクから前記電池セルに送るため、前記正極電解液往路配管及び前記負極電解液往路配管に接続される洗浄液往路配管と、前記洗浄液を前記電池セルから前記メンテナンスタンクに戻すため前記正極電解液復路配管及び前記負極電解液復路配管に接続される洗浄液復路配管とを備える、レドックスフロー電池システム。
[請求項2]
 前記正極電解液及び/又は前記負極電解液は、1.2mol/L以上のバナジウムイオンを含む、請求項1に記載のレドックスフロー電池システム。
[請求項3]
 前記正極電解液の硫酸濃度及び前記負極電解液の硫酸濃度と、前記洗浄液の硫酸濃度とが略同濃度である、請求項1又は2に記載のレドックスフロー電池システム。
[請求項4]
 前記洗浄液は、硫酸濃度が0.5mol/L以上6mol/L以下の硫酸を含む水溶液である、請求項1~3のいずれか一項に記載のレドックスフロー電池システム。
[請求項5]
 前記洗浄液往路配管は、一端が前記メンテナンスタンクに接続され、他端が前記正極電解液往路配管及び前記負極電解液往路配管に分岐して接続されており、分岐前の洗浄液往路配管部と、前記正極電解液往路配管及び前記負極電解液往路配管との接続部に、電解液及び洗浄液の流れを制御する往路制御バルブを備え、
 前記洗浄液復路配管は、一端が前記メンテナンスタンクに接続され、他端が前記正極電解液復路配管及び前記負極電解液復路配管に分岐して接続されており、分岐前の洗浄液復路配管部と、前記正極電解液復路配管及び前記負極電解液復路配管との接続部に、電解液及び洗浄液の流れを制御する復路制御バルブを備える、請求項1~4のいずれかに一項に記載のレドックスフロー電池システム。
[請求項6]
 前記往路制御バルブ及び前記復路制御バルブを制御することにより、
 前記正極電解液が前記正極電解液タンク及び前記電池セルを循環し、前記負極電解液が前記負極電解液タンク及び前記電池セルを循環する充放電モードと、
 前記洗浄液が前記メンテナンスタンク及び前記電池セルを循環する酸循環メンテナンスモードと、
 前記正極電解液タンクから前記負極電解液タンクへ、若しくは前記負極電解液タンクから前記正極電解液タンクへ、一部電解液を移動させて各電解液タンクの酸化・還元状態を調整する電解液メンテナンスモードと、
を設定可能なモード設定手段を備える、請求項5に記載のレドックスフロー電池システム。
[請求項7]
 前記モード設定手段は、作動時間に応じて、前記酸循環メンテナンスモード又は前記電解液メンテナンスモードを設定する、請求項6に記載のレドックスフロー電池システム。
[請求項8]
 前記モード設定手段は、電解液中の析出物の存在状態を検出する析出物検出手段の検出結果に基づいて、前記酸循環メンテナンスモードを設定する、請求項6に記載のレドックスフロー電池システム。
[請求項9]
 前記モード設定手段は、前記正極電解液及び前記負極電解液のバナジウムイオンの平均価数を検出する価数検出手段の検出結果に基づいて、前記電解液メンテナンスモードを設定する、請求項6に記載のレドックスフロー電池システム。
[請求項10]
 電池セルにバナジウムを活物質として含む電解液を循環させて充放電を行うレドックスフロー電池の運転方法であって、
 4価及び/又は5価のバナジウムを含む正極電解液を、前記正極電解液を貯蔵する正極電解液タンクから前記電池セルに循環させるとともに、2価及び/又は3価のバナジウムを含む負極電解液を、前記負極電解液を貯蔵する負極電解液タンクから前記電池セルに循環させる充放電モードを実行する充放電工程と、
 硫酸を含む洗浄液を、前記洗浄液を貯蔵するメンテナンスタンクから前記電池セルに循環させる酸循環メンテナンスモードを実行する酸循環工程と、
 前記正極電解液タンクから前記負極電解液タンクへ、若しくは前記負極電解液タンクから前記正極電解液タンクへ、一部電解液を移動させる電解液メンテナンスモードを実行する電解液メンテナンス工程とを含む、レドックスフロー電池の運転方法。
[請求項11]
 前記正極電解液及び/又は前記負極電解液は、1.2mol/L以上のバナジウムイオンを含む、請求項10に記載のレドックスフロー電池の運転方法。
[請求項12]
 前記正極電解液の硫酸濃度及び前記負極電解液の硫酸濃度と、前記洗浄液の硫酸濃度とが略同濃度である、請求項10又は11に記載のレドックスフロー電池の運転方法。
[請求項13]
 前記洗浄液は、硫酸濃度が0.5mol/L以上6mol/L以下の硫酸を含む水溶液である、請求項10~12のいずれか一項に記載のレドックスフロー電池の運転方法。
[請求項14]
 前記電解液メンテナンス工程では、作動時間に応じて、前記酸循環メンテナンスモード又は前記電解液メンテナンスモードを実行する、請求項10~13のいずれか一項に記載のレドックスフロー電池の運転方法。
[請求項15]
 前記酸循環工程では、電解液中の析出物の存在状態を検出する析出物検手段の検出結果に基づいて、前記酸循環メンテナンスモードを実行する、請求項10~13のいずれか一項に記載のレドックスフロー電池の運転方法。
[請求項16]
 前記電解液メンテナンス工程では、前記正極電解液及び前記負極電解液のバナジウムイオンの平均価数を検出する価数検出手段の検出結果に基づいて、前記電解液メンテナンスモードを実行する、請求項10~13のいずれか一項に記載のレドックスフロー電池の運転方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]