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1. WO2020137146 - SEMICONDUCTOR LASER ELEMENT

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明 細 書

発明の名称 半導体レーザ素子

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037  

図面の簡単な説明

0038  

発明を実施するための形態

0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166  

符号の説明

0167  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16A   16B   17   18   19   20A   20B   21   22   23   24   25   26A   26B   26C   26D   26E   26F   27A   27B   27C   27D   27E   27F   28   29   30   31   32  

明 細 書

発明の名称 : 半導体レーザ素子

技術分野

[0001]
 この発明は、半導体レーザ素子に関する。

背景技術

[0002]
 ハードディスク装置(HDD;Hard disc Drive)の記録容量を増大させるためには、ディスクの微小領域に信号を書き込む必要がある。信号の熱安定性を確保しつつ微小領域に信号を記録するためには、熱的に安定した記録媒体が必要となるが、そうすると書き込みには強い磁場が必要となるというジレンマが生じる。現行のGMR(Giant Magneto Resistance)方式では記録密度が飽和しつつある今、「熱アシスト記録」方式の実現が希求されている。「熱アシスト記録」方式は、レーザダイオード(半導体レーザ素子)を熱源とすることで、一時的に磁界を保持する力を弱めて書き込みを行う方式である。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開平7-111367号公報
特許文献2 : 特開2011-187149号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 現行のスライダ作製工程と親和性を持たせるためには、「熱アシスト記録」方式の記録装置に用いられる半導体レーザ素子は、従来の光ピックアップ用の半導体レーザ素子とは異なり、小さいチップサイズで高い出力を得る必要がある。
[0005]
 また、半導体レーザ素子の実装空間には制限があるため、光学系設計によっては従来の半導体レーザ素子での一般的なTE(Transverse Electric)偏光だけではなく、TM(Transverse Magnetic)偏光を実現する必要が生じる場合もある。例えば、前記特許文献2には、特許文献2に開示されている熱アシスト磁気記録ヘッドに用いられるレーザダイオードとして、TMモードの偏光を発生するチップであることが好ましいことが開示されている。
[0006]
 この発明の目的は、TMモード発振が得られ、高出力でかつ信頼性の高い半導体レーザ素子を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 この発明の一実施形態は、TMモードで発振する半導体レーザ素子であって、基板と、前記基板の表面側に配置されたn型クラッド層と、前記n型クラッド層の前記基板とは反対側に配置された活性層と、前記活性層の前記n型クラッド層とは反対側に配置されたp型クラッド層とを有する半導体積層構造を含み、前記活性層は、TMモード発振を生じさせるための引っ張り歪みを有する量子井戸層を含み、前記n型クラッド層およびp型クラッド層は、それぞれAlGaAs層からなる、半導体レーザ素子を提供する。
[0008]
 この構成では、量子井戸層は、TMモード発振を生じさせるための引っ張り歪みを有しているので、半導体レーザ素子をTMモードで発振させることができる。
[0009]
 また、この構成では、n型クラッド層およびp型クラッド層は、それぞれAlGaAs層からなる。AlGaAsは、TMモードで発振する半導体レーザ素子のクラッド層として一般的に使用されるInGaAlPに比べて抵抗が低い。このため、この構成では、クラッド層がInGaAlP層からなる半導体レーザ素子に比べて直列抵抗を低下させることができる。これにより、クラッド層がInGaAlP層からなる半導体レーザ素子に比べて、発熱を抑制することができるので、高出力でかつ信頼性の高い半導体レーザ素子が得られる。
[0010]
 この発明の一実施形態では、レーザ共振器の端面部分に、前記活性層のバンドギャップを拡大する端面窓構造が形成されている。この構成では、レーザ共振器の端面部分においてレーザ光が吸収されるのを抑制することができる。これにより、端面光学損傷(COD; catastrophic Optical Damage)を抑制することができるので、半導体レーザ素子の延命化が図れる。
[0011]
 この発明の一実施形態では、前記活性層は、複数の前記量子井戸層と、隣接する前記量子井戸層に挟まれ、圧縮歪みを有する障壁層とを含む。
[0012]
 この発明の一実施形態では、前記基板がGaAs基板からなり、前記量子井戸層が、GaAsP層からなる。
[0013]
 この発明の一実施形態では、前記基板がGaAs基板からなり、前記障壁層が、InAlGaAs層からなる。
[0014]
 この発明の一実施形態では、前記p型クラッド層に対して前記活性層とは反対側に形成され、前記活性層に流れる電流を狭窄するための電流狭窄層をさらに含む。
[0015]
 この発明の一実施形態では、共振器長方向から見て、前記p型クラッド層における前記活性層とは反対側の表面は、前記活性層の表面と平行な平坦部と、前記平坦部の両側にそれぞれ形成されかつ前記活性層の表面に対して傾斜した傾斜面とを含んでおり、前記p型クラッド層の前記平坦部上には、p型GaAsキャップ層が形成されており、前記電流狭窄層は、前記p型クラッド層の前記傾斜面と前記p型GaAsキャップ層の側面とを覆うように形成されている。
[0016]
 この発明の一実施形態では、前記電流狭窄層は、AlGaAs層と、前記AlGaAs層上に形成されたGaAs層との積層膜からなる。
[0017]
 この発明の一実施形態では、前記電流狭窄層の表面および前記p型GaAsキャップ層の表面を覆うように形成されたGaAsコンタクト層と、前記GaAsコンタクト層上に形成されたp側電極と、前記基板の裏面に形成されたN側電極を含む。
[0018]
 この発明の一実施形態では、前記半導体積層構造が、前記レーザ共振器の共振面を構成する一対の端面と、一対の側面と、前記一対の側面において、前記半導体積層構造の表面に連なる上縁領域に形成された第1分離溝痕とを有する。
[0019]
 この発明の一実施形態では、前記第1分離溝痕が、前記半導体積層構造の長さ方向全域にわたって形成されている。
[0020]
 この発明の一実施形態では、前記半導体積層構造が、前記一対の側面において、前記半導体積層構造の裏面に連なる下縁領域に形成された第2分離溝痕をさらに有する。
[0021]
 この発明の一実施形態では、前記第2分離溝痕が、前記半導体積層構造の長さ方向中間部に形成されている。
[0022]
 この発明の一実施形態は、基板と、前記基板の表面側に配置されたn型クラッド層と、前記n型クラッド層に対して前記基板とは反対側に配置された活性層と、前記活性層に対して前記n型クラッド層とは反対側に配置されたp型クラッド層とを有する半導体積層構造と、前記半導体積層構造における前記基板側とは反対側の表面の一部に形成された半導体レーザ用p側電極と、前記半導体積層構造の前記表面の一部に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に形成されたヒータと、前記絶縁膜上に形成され、前記ヒータの一端に接続された第1ヒータ電極および前記ヒータの他端に接続された第2ヒータ電極とを含む、半導体レーザ素子を提供する。
[0023]
 この構成では、ヒータを備えているので、ヒータを駆動制御することによって、半導体レーザ素子の温度を制御することが可能となる。したがって、例えば、半導体レーザ素子の温度がほぼ一定となるように、半導体レーザ素子の温度を制御することが可能となる。
[0024]
 この発明の一実施形態では、前記第1ヒータ電極の主要部および前記第2ヒータ電極の主要部は、それぞれ、前記ヒータに対して、前記半導体レーザ用p側電極とは反対側に配置されており、前記第1ヒータ電極の主要部、前記第2ヒータ電極の主要部および前記半導体レーザ用p側電極は、それぞれ、前記ヒータの厚さよりも厚い部分を有している。
[0025]
 この発明の一実施形態では、前記ヒータの厚さよりも厚い部分は、前記ヒータの厚さの5倍以上の厚さを有している。
[0026]
 この発明の一実施形態では、前記p型クラッド層は、直線状のリッジ部を有しており、前記半導体レーザ用p側電極は、平面視において、前記リッジ部を含む領域に形成されている。
[0027]
 この発明の一実施形態では、前記ヒータは、平面視において、前記リッジ部と平行に配置されている。
[0028]
 この発明の一実施形態では、前記ヒータは、平面視において、直線状に延びている。
[0029]
 この発明の一実施形態では、前記ヒータは、平面視において、蛇行状に延びている。
[0030]
 この発明の一実施形態では、前記ヒータは、前記絶縁膜上に形成されたTi膜と、前記Ti膜上に積層されたPt膜との積層膜から構成されている。
[0031]
 この発明の一実施形態は、基板と、前記基板の表面側に配置されたn型クラッド層と、前記n型クラッド層に対して前記基板とは反対側に配置された活性層と、前記活性層に対して前記n型クラッド層とは反対側に配置されたp型クラッド層とを有する半導体積層構造を含み、前記半導体積層構造における前記基板側とは反対側の表面には、主半導体レーザとして使用される主半導体レーザ領域と、熱源用半導体レーザとして使用される熱源用半導体レーザ領域とを分離する領域分離溝が形成されており、前記主半導体レーザ領域において、前記半導体積層構造の前記表面には、前記主半導体レーザのための第1p側電極が形成され、前記熱源用半導体レーザ領域において、前記半導体積層構造の前記表面には、前記熱源用半導体レーザのための第2p側電極が形成されている、半導体レーザ素子を提供する。
[0032]
 この構成では、主半導体レーザと熱源用半導体レーザとを備えているので、熱源用半導体レーザを駆動制御することによって、主半導体レーザ(半導体レーザ素子)の温度を制御することが可能となる。したがって、例えば、主半導体レーザの温度がほぼ一定となるように、半導体レーザ素子の温度を制御することが可能となる。
[0033]
 この発明の一実施形態では、前記領域分離溝は、前記基板に達している。
[0034]
 この発明の一実施形態では、前記半導体積層構造における前記表面とは反対側の裏面には、前記主半導体レーザおよび前記熱源用半導体レーザのためのn側電極が形成されている。
[0035]
 この発明の一実施形態では、前記主半導体レーザ領域において、前記p型クラッド層は、直線状の第1リッジ部を有しており、前記熱源用半導体レーザ領域において、前記p型クラッド層は、直線状の第2リッジ部を有している。
[0036]
 この発明の一実施形態では、前記第2リッジ部は、平面視において、間隔をおいて直線状に配置された複数の矩形リッジ部から構成されている。
[0037]
 本発明における上述の、またはさらに他の目的、特徴および効果は、添付図面を参照して次に述べる実施形態の説明により明らかにされる。

図面の簡単な説明

[0038]
[図1] 図1は、この発明の第1実施形態に係る半導体レーザ素子の外観を示す斜視図である。
[図2] 図2は、図1の半導体レーザ素子の正面図である。
[図3] 図3は、図1の半導体レーザ素子の平面図である。
[図4] 図4は、図1の半導体レーザ素子の底面図である。
[図5] 図5は、図3のV-V線に沿う図解的な断面図である。
[図6] 図6は、図3のV1-VI線に沿う図解的な断面図である。
[図7] 図7は、図1の半導体レーザ素子の活性層の構成を説明するための図解的な断面図である。
[図8] 図8は、半導体レーザ素子の製造工程を示す図解的な断面図である。
[図9] 図9は、半導体レーザ素子の製造工程を示す図解的な断面図である。
[図10] 図10は、半導体レーザ素子の製造工程を示す図解的な断面図である。
[図11] 図11は、半導体レーザ素子の製造工程を示す図解的な断面図である。
[図12] 図12は、半導体レーザ素子の製造工程を示す図解的な断面図である。
[図13] 図13は、半導体レーザ素子の製造工程を示す平面図である。
[図14] 図14は、複数の個別素子が形成された状態のウエハの一部を示す図解的な平面図である。
[図15] 図15は、半導体積層構造の表面に形成された第1分離溝を示す図解的な平面図である。
[図16A] 図16Aは、図15のXVI-XVI線に沿う部分拡大断面図である。
[図16B] 図16Bは、第1分離溝の断面形状の変形例を示す断面図である。
[図17] 図17は、一次劈開によって得られるバー状体を示す図解的な斜視図である。
[図18] 図18は、バー状体の裏面に形成された第2分離溝を示す図解的な底面図である。
[図19] 図19は、二次劈開によりバー状体から得られる個別素子を示す図解的な斜視図である。
[図20A] 図20Aは、第1実施形態の印加電流-光出力特性を示すグラフである。
[図20B] 図20Bは、比較例の印加電流-光出力特性を示すグラフである。
[図21] 図21は、この発明の第2実施形態に係る半導体レーザ素子の図解的な断面図であって、図6の切断面に対応する断面図である。
[図22] 図22は、この発明の第3実施形態に係る半導体レーザ素子の図解的な断面図であって、図6の切断面に対応する断面図である。
[図23] 図23は、この発明の第4実施形態に係る半導体レーザ素子の外観を示す図解的な斜視図である。
[図24] 図24は、図23の半導体レーザ素子の図解的な平面図である。
[図25] 図25は、図24のXXV- XXV線に沿う図解的な断面図である。
[図26A] 図26Aは、図23の半導体レーザ素子の製造工程の一例を示す図解的な平面図である。
[図26B] 図26Bは、図26Aの次の工程を示す図解的な平面図である。
[図26C] 図26Cは、図26Bの次の工程を示す図解的な平面図である。
[図26D] 図26Dは、図26Cの次の工程を示す図解的な平面図である。
[図26E] 図26Eは、図26Dの次の工程を示す図解的な平面図である。
[図26F] 図26Fは、図26Eの次の工程を示す図解的な平面図である。
[図27A] 図27Aは、図23の半導体レーザ素子の製造工程の一例を示す図解的な断面図である。
[図27B] 図27Bは、図27Aの次の工程を示す図解的な断面図である。
[図27C] 図27Cは、図27Bの次の工程を示す図解的な断面図である。
[図27D] 図27Dは、図27Cの次の工程を示す図解的な断面図である。
[図27E] 図27Eは、図27Dの次の工程を示す図解的な断面図である。
[図27F] 図27Fは、図27Eの次の工程を示す図解的な断面図である。
[図28] 図28は、ヒータの他の例を示す図解的な平面図である。
[図29] 図29は、この発明の第5実施形態に係る半導体レーザ素子の外観を示す図解的な斜視図である。
[図30] 図30は、図29の半導体レーザ素子の図解的な平面図である。
[図31] 図31は、図29のXXXI- XXXI線に沿う図解的な断面図である。
[図32] 図32は、熱源用半導体レーザ領域に形成されているリッジの他の例を示す図解的な平面図である。

発明を実施するための形態

[0039]
[1]第1実施形態
 図1は、この発明の第1実施形態に係る半導体レーザ素子の外観を示す斜視図である。図2は、図1の半導体レーザ素子の正面図である。図3は、図1の半導体レーザ素子の平面図である。図4は、図1の半導体レーザ素子の底面図である。図5は、図3のV-V線に沿う図解的な断面図である。図6は、図3のV1-VI線に沿う図解的な断面図である。
[0040]
 この半導体レーザ素子60は、基板1と、基板1上に結晶成長によって形成された半導体積層構造(狭義の半導体積層構造)2と、基板1の裏面(半導体積層構造2と反対側の表面)に接触するように形成されたn側電極3と、半導体積層構造2の表面に接触するように形成されたp側電極4を備えたファブリぺロー型のものである。
[0041]
 基板1は、この実施形態では、GaAs単結晶基板で構成されている。GaAs基板1の表面の面方位は、(100)面である。半導体積層構造2を形成する各層は、基板1に対してエピタキシャル成長されている。エピタキシャル成長とは、下地層からの格子の連続性を保った状態での結晶成長をいう。下地層との格子不整合は、結晶成長される層の格子の歪によって吸収され、下地層との界面での格子の連続性が保たれる。
[0042]
 半導体積層構造2は、活性層10と、n側ガイド層11と、p側ガイド層12と、n型半導体層13と、p型半導体層14とを備えている。n型半導体層13は活性層10に対して基板1側に配置されており、p型半導体層14は活性層10に対してp側電極4側に配置されている。
[0043]
 n側ガイド層11はn型半導体層13と活性層10との間に配置され、p側ガイド層12は活性層10とp型半導体層14との間に配置されている。こうして、ダブルヘテロ接合が形成されている。活性層10には、n型半導体層13からn側ガイド層11を介して電子が注入され、p型半導体層14からp側ガイド層12を介して正孔が注入される。これらが活性層10で再結合することにより、光が発生するようになっている。
[0044]
 n型半導体層13は、基板1上に、n型AlGaAsクラッド層15(例えば20000Å~35000Å厚)を形成して構成されている。n型AlGaAsクラッド層15は、例えば、Al Ga (1-x)As(0≦x≦1)層からなる。
[0045]
 一方、p型半導体層14は、p側ガイド層12上に、第1p型AlGaAsクラッド層16(例えば1000Å~2000Å厚)、p型InGaPエッチングストップ層17(例えば50Å~300Å厚)、第2p型AlGaAsクラッド層18(例えば8000Å~12000Å厚)、p型InGaPエッチングストップ層19(例えば50Å~300Å厚)、p型GaAsキャップ層20(例えば1000Å~3000Å厚)およびp型GaAsコンタクト層21(例えば30000Å~60000Å厚)を積層して構成されている。
[0046]
 第1p型AlGaAsクラッド層16は、例えば、Al Ga (1-x)As(0≦x≦1)層からなる。第2p型AlGaAsクラッド層18は、例えば、p型InGaPエッチングストップ層17上に形成されたp型Al Ga (1-x)As(0≦x≦1)層(例えば8000Å~12000Å厚)層からなる。
[0047]
 p型GaAsコンタクト層21は、p側電極4とオーミックをとるための低抵抗層である。p型GaAsコンタクト層21は、GaAsに例えばp型ドーパントとしてのBeをドープすることによって、p型半導体層とされている。
[0048]
 n型クラッド層15と、第1および第2p型クラッド層16,18とは、活性層10にキャリア(電子および正孔)を閉じ込めるキャリア閉じ込め効果と、活性層10からの光をそれらの間に閉じ込める光閉じ込め効果とを生じるものである。n型AlGaAsクラッド層15は、AlGaAsに例えばn型ドーパントとしてのSiをドープすることによって、n型半導体層とされている。第1および第2p型AlGaAsクラッド層16,18は、AlGaAsに例えばp型ドーパントとしてのBeをドープすることによって、p型半導体層とされている。
[0049]
 n型AlGaAsクラッド層15は、n側ガイド層11よりもバンドギャップが広く、第1および第2p型AlGaAsクラッド層16,18は、p側ガイド層12よりもバンドギャップが広い。これにより、良好なキャリア閉じ込めおよび光閉じ込めを行うことができ、高効率の半導体レーザ素子を実現できる。
[0050]
 延命化および高出力化を可能とするためには、端面光学損傷を抑制することが重要である。そこで、後述するように、レーザ共振器端面部分に亜鉛などの不純物を拡散することにより、活性層10のバンドギャップを拡大する端面窓構造35を作製することが好ましい。
[0051]
 n側ガイド層11は、AlGaAs層(例えば200Å~500Å厚)からなり、n型半導体層13上に積層されることにより構成されている。p側ガイド層12は、AlGaAs(例えば200Å~500Å厚)からなり、活性層10上に積層されることにより構成されている。n側ガイド層11およびp側ガイド層12は、それぞれ、例えば、Al Ga (1-x)As(0≦x≦1)層からなる。
[0052]
 n側AlGaAsガイド層11およびp側AlGaAsガイド層12は、活性層10に光閉じ込め効果を生じる半導体層であり、かつ、クラッド層15,16,18とともに、活性層10へのキャリア閉じ込め構造を形成している。これにより、活性層10における電子および正孔の再結合の効率が高められるようになっている。
[0053]
 活性層10は、多重量子井戸(MQW:multiple-quantum well)構造を有しており、電子と正孔とが再結合することにより光が発生し、その発生した光を増幅させるための層である。
[0054]
 活性層10は、この実施形態では、図7に示すように、アンドープのGaAsP層(例えば60Å~120Å厚)からなる量子井戸(well)層221とアンドープのInAlGaAs層からなる障壁(barrier)層222とを交互に複数周期繰り返し積層して構成された多重量子井戸構造を有している。この実施形態では、活性層10は、(Al Ga (1-x)(1-y)In As障壁層222(例えば20Å~90Å厚)と、GaAs (1-x)量子井戸層221(例えば60Å~120Å厚)と、(Al Ga (1-x)(1-y)In As障壁層222(例えば40Å~100Å厚)と、GaAs (1-x)量子井戸層221(例えば60Å~120Å厚)と、(Al Ga (1-x)(1-y)In As障壁層222(例えば20Å~90Å厚)とが、下から順に積層された積層膜からなる。
[0055]
 GaAsP層の格子定数はGaAs基板1の格子定数より小さいので、GaAs (1-x)層からなる量子井戸層221には引っ張り応力(引っ張り歪)が生じている。これにより、半導体レーザ素子60は、TMモードで発振することが可能となる。本明細書では、半導体レーザ素子の出力光の偏光比が5[dB]以上となる場合に、半導体レーザ素子がTMモードで発振しているというものとする。ただし、偏光比は、偏光比=10LOG(TM成分光出力/TE成分光出力)[dB]として定義される。なお、TMモードでは、電界はヘテロ接合面に垂直な方向に偏っている。
[0056]
 一方、InAlGaAs層の格子定数はGaAs基板1の格子定数より大きいので、(Al Ga (1-x)(1-y)In As層からなる障壁層222には圧縮応力(圧縮歪)が生じている。このように、量子井戸層221に引っ張り歪が生じているが、障壁層222には圧縮歪が生じているため、活性層10全体の歪みが緩和される。これにより、通電中の結晶劣化が抑制されるので、半導体レーザ素子の信頼性を高めることができる。
[0057]
 図6に示すように、p型半導体層14内の、第2p型クラッド層18、p型エッチングストップ層19およびp型キャップ層20は、その一部が除去されることによって、直線状のリッジ30を形成している。より具体的には、第2p型クラッド層18、p型エッチングストップ層19およびp型キャップ層20の一部がエッチング除去され、横断面視が略台形形状(メサ形)のリッジ30が形成されている。したがって、第2p型クラッド層18は、活性層10の表面と平行な幅中央部の平坦部と、平坦部の両側にそれぞれ形成され外側方に向かって下方に傾斜する傾斜面とを含んでいる。
[0058]
 リッジ30の側面には、電流狭窄層(埋め込み層)5(例えば8000Å~15000Å厚)が形成されている。より具体的には、p型キャップ層20の側面と、p型エッチングストップ層19の側面と、第2p型クラッド層18の露出面と、p型エッチングストップ層17の露出面は、電流狭窄層5によって覆われている。そして、電流狭窄層5およびp型キャップ層20の露出面がコンタクト層21によって覆われている。
[0059]
 電流狭窄層5は、p型エッチングストップ層17上に形成された下部層5Aと、下部層上に形成された上部層5Bとからなる。下部層5Aは、例えばAl Ga (1-x)As層(例えば5000Å~10000Å厚)からなり、上部層5Bは、例えばGaAs層(例えば1500Å~7000Å厚)からなる。なお、電流狭窄層5の上部層5Bとコンタクト層21との境界は、明確ではないため、一点鎖線で示している。
[0060]
 半導体積層構造2は、リッジ30の長手方向両端における劈開面により形成された鏡面からなる一対の端面(劈開面)31,32を有している。この一対の端面31,32は、互いに平行である。こうして、n側ガイド層11、活性層10およびp側ガイド層12によって、前記一対の端面31,32を共振器端面とするファブリペロー共振器が形成されている。すなわち、活性層10で発生した光は、共振器端面31,32の間を往復しながら、誘導放出によって増幅される。そして、増幅された光の一部が、共振器端面31,32からレーザ光として素子外に取り出される。
[0061]
 また、基板1、半導体積層構造2および電流狭窄層5を含む半導体積層構造50(広義の半導体積層構造)は、リッジ30に平行な一対の側面33,34を有している。これらの一対の側面33,34において、表面側の上縁領域には、元基板としてのウエハ(正確には後述するバー状体110(図17参照))から半導体積層構造50を劈開して分割するために形成される第1分離溝(第1分割ガイド溝)80(図15、図16A参照)に起因する第1分離溝痕8が長さ方向全域にわたって形成されている。上縁領域とは、半導体積層構造50の表面(p型半導体層14側の表面)に連なる領域である。また、長さ方向とは、リッジ30の長手方向(共振器長方向)である。半導体積層構造50は、本発明の半導体積層構造の一例である。
[0062]
 さらに、一対の側面33,34において、裏面側の下縁領域の長さ方向中間部には、元基板としてのウエハ(正確には後述するバー状体110(図17参照))から半導体積層構造50を劈開して分割するために形成される第2分離溝(第2分割ガイド溝)90(図18参照)に起因する第2分離溝痕9が長さ方向全域にわたって形成されている。下縁領域とは、基板1の裏面に連なる領域である。
[0063]
 n側電極3は、例えばAuGeNi/Ti/Au合金からなり、そのAuGeNi側が基板1側に配されるように、基板1にオーミック接合されている。p側電極4は、p型コンタクト層21上に形成された第1電極膜と、第1電極膜上に形成された第2電極膜(とからなる。第1電極膜は、例えばTi/Au合金からなり、そのTi側がp型コンタクト層21側に配されるように、p型コンタクト層21にオーミック接合されている。第2電極膜は、例えばAuメッキからなる。
[0064]
 図3、図4および図5に示すように、共振器の端面部分には、活性層10のバンドギャップを拡大する端面窓構造35が形成されている。この端面窓構造35は、例えば、共振器の端面部分に亜鉛(Zn)を拡散することによって形成される。
[0065]
 なお、図1~図6においては、図示が省略されているが、共振器端面には、共振器端面を保護するための反射膜が形成されている。
[0066]
 このような構成によって、n側電極3およびp側電極4を電源に接続し、n型半導体層13およびp型半導体層14から電子および正孔を活性層10に注入することによって、この活性層10内での電子および正孔の再結合を生じさせ、例えば、発振波長が780nm以上830nm以下の光を発生させることができる。この光は、共振器端面31,32の間をガイド層11,12に沿って往復しながら、誘導放出によって増幅される。そして、レーザ出射端面である共振器端面31から、より多くのレーザ出力が外部に取り出されることになる。
[0067]
 図8~図13は、図1~図6に示す半導体レーザ素子60の製造方法を示す図解的な断面図である。ただし、図8、図10~図12は、図6に対応する中央部の図解的な断面図であり、図9は端部付近の図解的な断面図である。図13は、平面図である。
[0068]
 まず、図8に示すように、GaAs基板1上に、有機金属化学気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)によって、n型AlGaAsクラッド層15、n側AlGaAsガイド層11、活性層10、p側AlGaAsガイド層12、第1p型AlGaAsクラッド層16、p型InGaPエッチングストップ層17、第2p型AlGaAsクラッド層18、p型InGaPエッチングストップ層19およびp型GaAsキャップ層20を順に成長させる。
[0069]
 活性層10は、InAlGaAs層からなる障壁層222と、GaAsP層からなる量子井戸層221とを交互に複数周期繰り返し成長させることによって形成される。
[0070]
 次に、図9および図13に示すように、半導体レーザ素子60の端面近傍に相当する領域において、p型GaAsキャップ層20上にZnO(酸化亜鉛)71をパターニングする。そして、例えば、アニール処理を行うことにより、半導体レーザ素子60の端面近傍に相当する領域にZnを拡散させる。これにより、半導体レーザ素子60の端面近傍に相当する領域に、端面窓構造35が形成される。
[0071]
 次に、ZnO層71を除去する。それから、図10に示すように、ストライプ状のSiO 絶縁膜をマスク層72として、エッチングにより、p型キャップ層20、p型エッチングストップ層19および第2p型クラッド層18の一部を除去する。そうすると、頂面にマスク層72が積層されたリッジストライプ30が形成される。
[0072]
 次に、図11に示すように、表面に電流狭窄層5の下部層5Aおよび上部層5Bを順次成膜させた後、マスク層72を除去する。そして、図12に示すように、表面にp型コンタクト層21を成長させる。最後に、p型GaAsコンタクト層21にオーミック接触するp側電極4を形成する。また、GaAs基板1にオーミック接触するn側電極3を形成する。
[0073]
 図8~図13では、1つの半導体レーザ素子に対する製造方法が図示されているが、電極3,4が形成された時点では、図14に示すように、複数の個別素子100(60)が形成された状態のウエハ6が作製されることになる。
[0074]
 各個別素子100は、ウエハ6上の碁盤目状の仮想的な切断ライン7によって区画される各矩形領域に形成される。切断ライン7は、リッジストライプ30の長手方向(共振器長方向)に直交する方向に沿う端面切断ライン7aと、リッジストライプ30の長手方向に沿う側面切断ライン7bを有する。このような切断ライン7に沿って、ウエハ6が各個別素子100へと分割される。すなわち、ウエハ6を、切断ライン7に沿って劈開することにより、各個別素子100が切り出される。
[0075]
 次に、ウエハ6を各個別素子100に分割する方法について、具体的に説明する。
[0076]
 図15に示すように、半導体積層構造50の表面に、エッチングによって、側面切断ライン7bに沿う第1分離溝(第1分割ガイド溝)80が形成される。図15においては、n側電極3およびp側電極4は省略されている。
[0077]
 第1分離溝80の深さは、電流狭窄層5、p型半導体層14、p型InGaPエッチングストップ層17、第1p型AlGaAsクラッド層16、p側ガイド層12、活性層10、n側ガイド層11およびn型AlGaAsクラッド層15を貫通して、基板1に達する深さであることが好ましい。
[0078]
 図16Aは、図15のXVI-XVI線に沿う部分拡大断面図であり、第1分離溝80の断面形状を示している。第1分離溝80は、共振器長方向から見て、半導体積層構造50の表面から下方に向かって互いの間隔が徐々に小さくなる一対の第1テーパ状側面81と、これらのテーパ状側面81に繋がりかつ下方に向かって互いの間隔が徐々に小さくなる一対の第2テーパ状側面82と、一対の第2テーパ状側面82の下縁どうしを連結する底面83とを有する。第2テーパ状側面82の勾配(半導体積層構造50の表面に対する傾斜角)は、第1テーパ状側面81の勾配よりも大きい。
[0079]
 第1分離溝80の深さDは、12μm程度である。第1分離溝80の開口部における一対の第1テーパ状側面81の間隔W1は、8μm程度である。第1分離溝80の底面部における一対の第2テーパ状側面82の間隔W2は、4μm程度である。
[0080]
 第1分離溝80が形成された後に、ウエハ6は、共振器長方向に直交する端面切断ライン7aに沿って劈開される。これを「一次劈開」ということにする。この一次劈開は、例えば、半導体積層構造50の裏面に端面切断ライン7aに沿う分離溝(分割ガイド溝)を形成し、この分離溝を起点としてウエハ6をブレークすればよい。端面切断ライン7aに沿う分離溝の形成には、レーザ加工の他、ダイヤモンドカッタによる罫書き、ダイサーによる溝形加工等を適用することができる。
[0081]
 この一次劈開により、図17に示すバー状体110が複数得られる。各バー状体110の両側面111は、レーザ共振面31,32となる結晶面である。このバー状体110の両側面111に、反射膜が形成される。
[0082]
 次に、図18に示すように、バー状体110の裏面に、各側面切断ライン7bの長さ方向中間部に沿う第2分離溝(第2分割ガイド溝)90が形成される。バー状体110の裏面における各側面切断ライン7bの両端部に対応する領域には、第2分離溝90は形成されない。側面切断ライン7bに沿う第2分離溝90の形成には、レーザ加工の他、ダイヤモンドカッタによる罫書き、ダイサーによる溝形加工等を適用することができる。
[0083]
 そして、バー状体110の裏面側から、第2分離溝90に沿ってブレード(図示略)をあてがい、バー状体110に対して外部応力を加える。これにより、第1分離溝80から亀裂が発生して、バー状体110が側面切断ライン7bに沿って劈開される。これを「二次劈開」ということにする。この二次劈開により、図19に示すように、バー状体110が個別素子100毎に分割され、複数のチップが得られる。
[0084]
 二次劈開によって、個別素子100の側面33,34の上縁領域には、側面切断ライン7bに沿って第1分離溝痕8が形成され、個別素子100の側面33,34の下縁領域の長さ方向中間部には、側面切断ライン7bに沿って第2分離溝痕9が形成される。
[0085]
 第1分離溝痕8は、第1分離溝80を長手方向に沿って半割した形状(部分溝形状)となる。このため、第1分離溝痕8は、図2に示すように、第1分離溝80における一対の第1テーパ状側面81のうちの一方の側面81と、一対の第2テーパ状側面82のうちの一方の側面82と、第1分離溝80の底面83の一部83aとを含む。第2分離溝痕9は、第2分離溝90を長手方向に沿って半割した形状(部分溝形状)となる。
[0086]
 前述の第1実施形態では、量子井戸層221は、TMモード発振を生じさせるための引っ張り歪みを有しているので、半導体レーザ素子60をTMモードで発振させることができる。
[0087]
 また、前述の第1実施形態では、n型クラッド層15およびp型クラッド層16,18が、それぞれAlGaAs層から構成されているので、n型クラッド層およびp型クラッド層がInGaAlP層から構成された半導体レーザ素子に比べて、直列抵抗を低減することができる。これにより、クラッド層がInGaAlP層からなる半導体レーザ素子に比べて、発熱を抑制することができるので、高出力でかつ信頼性の高い半導体レーザ素子が得られる。
[0088]
 前述の第1実施形態に係る半導体レーザ素子60に対して、図1に示す半導体レーザ素子60におけるn型クラッド層15およびp型クラッド層16,18を、InGaAlP層によって構成した半導体レーザ素子を比較例ということする。
[0089]
 第1実施形態および比較例を、それぞれパッケージに内蔵した。そして、第1実施形態および比較例それぞれに対して、パッケージ温度が25℃、45℃、65℃および85℃であるときの印加電流-光出力特性を測定した。パッケージ温度は、パッケージを加熱装置によって加熱することによって上昇させた。
[0090]
 図20Aは、第1実施形態に対する印加電流-光出力特性の測定結果を示すグラフである。図20Bは、比較例に対する印加電流-光出力特性の測定結果を示すグラフである。
[0091]
 図20Bに示すように、比較例では、パッケージ温度が85℃である場合には、印加電流の増加に伴って光出力が約33mWまでは上昇するが、33mWを超えると印加電流を大きくしても光出力は低下する。言い換えれば、比較例では、パッケージ温度が85℃である場合には、光出力が約33mWを超えると、印加電流-光出力特性が線形性を保持できなくなる。
[0092]
 これに対して、第1実施形態では、図20Aに示すように、パッケージ温度が85℃である場合においても、印加電流の増加に伴って光出力が約60mWまで上昇する。言い換えれば、第1実施形態では、パッケージ温度が85℃である場合には、光出力が少なくとも50mWを超える範囲まで、印加電流-光出力特性が線形性を保持できる。このため、第1実施形態では、高出力でかつ信頼性の高い半導体レーザ素子が得られることがわかる。
[0093]
 また、前述の第1実施形態では、レーザ共振器端面部分に活性層10のバンドギャップを拡大する端面窓構造35が作製されているので、レーザ共振器端面部分においてレーザ光が吸収されるのを抑制することができる。これにより、端面光学損傷を抑制することができるので、半導体レーザ素子の延命化が図れる。
[0094]
 図16Bは、第1分離溝80の断面形状の変形例を示す断面図であり、図16に対応する部分拡大断面図である。この第1分離溝180は、共振器長方向から見て、半導体積層構造50の表面から下方に向かって互いの間隔が徐々に小さくなる一対のテーパ状側面181と、一対のテーパ状側面181の下縁どうしを連結する底面182とを有する。
[0095]
 第1分離溝180の深さDは、12μm程度である。第1分離溝180の開口部における一対のテーパ状側面181の間隔W1は、8μm程度である。第1分離溝180の底面部におけるテーパ状側面181の間隔W2は、4μm程度である。
[2]第2実施形態
 図21は、この発明の第2実施形態に係る半導体レーザ素子の断面図であって、図6の切断面に対応する断面図である。図21において、前述の図6の各部に対応する部分には図6と同じ符号付して示す。
[0096]
 この半導体レーザ素子60Aでは、図1~図6の半導体レーザ素子60に比べて、半導体レーザ素子60におけるp型コンタクト層21が設けられていない点のみが異なっている。つまり、この半導体レーザ素子60Aは、キャップ層20および電流狭窄層5の表面に、p側電極4が形成されている。
[3]第3実施形態
 図22は、この発明の第3実施形態に係る半導体レーザ素子の断面図であって、図6の切断面に対応する断面図である。図22において、前述の図6の各部に対応する部分には図6と同じ符号付して示す。
[0097]
 この半導体レーザ素子60Bでは、図1~図6の半導体レーザ素子60に比べて、半導体レーザ素子60におけるp型コンタクト層21が設けられていない。さらに、この半導体レーザ素子60Bでは、電流狭窄層5が、半導体レーザ素子60の電流狭窄層5と異なっている。
[0098]
 電流狭窄層5は、p型InGaPエッチングストップ層17の表面に沿う第1部分51と、リッジ30の側面に沿う第2部分52とからなる。電流狭窄層5は、SiN層からなり、その厚さは、例えば1000Å~2000Å程度である。キャップ層20および電流狭窄層5の表面に、p側電極4が形成されている。
[4]第4実施形態
 半導体レーザ素子の電流-光出力特性は、温度依存性を有している。したがって、半導体レーザ素子の温度が変動すると、光出力が変動する。また、半導体レーザ素子の出力波長は、温度依存性を有している。したがって、半導体レーザ素子の温度が変動すると、出力光の波長が変動する。
[0099]
 第4実施形態の目的は、半導体レーザ素子の温度を制御することが可能となる半導体レーザ素子を提供することにある。
[0100]
 図23は、本発明の第4実施形態に係る半導体レーザ素子の外観を示す図解的な斜視図である。図24は、図23の半導体レーザ素子の図解的な平面図である。図25は、図24のXXV- XXV線に沿う図解的な断面図である。図25において、前述の図6の各部に対応する部分には、図6と同じ符号を付して示す。
[0101]
 半導体レーザ素子300は、図1~図7に示した半導体レーザ素子60の広義の半導体積層構造50と同様な構成の半導体積層構造50を含む。説明の便宜上、図23および図24においては、半導体積層構造50の構成を簡略化して図示している。以下において、半導体積層構造50における基板1とは反対側の表面を表面といい、半導体積層構造50における基板1側の表面を裏面ということにする。
[0102]
 半導体レーザ素子300は、半導体積層構造50の表面の一部に形成されたp側電極4と、導体積層構造50の裏面のほぼ全域に形成されたn側電極3とをさらに含む。
[0103]
 半導体レーザ素子300は、半導体積層構造50の表面の一部に形成された絶縁膜301と、絶縁膜301上に形成されたヒータ302と、絶縁膜301上に形成されかつヒータ302の一端に接続された第1ヒータ電極303と、絶縁膜301上に形成されかつヒータ302の他端に接続された第2ヒータ電極304とをさらに含む。
[0104]
 図23および図24においては、半導体積層構造50の厚さに比べて、p側電極4、ヒータ302、第1ヒータ電極303および第2ヒータ電極304の厚さが誇張して描かれている。
[0105]
 以下において、「前」とは図24の紙面の下側を、「後」とは図24の紙面の上側を、「左」とは図24の紙面の左側を、「右」とは図24の紙面の右側を、それぞれいうものとする。
[0106]
 半導体積層構造50は、平面視で前後左右の4つの辺を有し、かつ左右方向に長い矩形である。半導体積層構造50の左右方向の長さWは、300μm~500μm程度である。半導体積層構造50の前後方向の長さLは、200μm~350μm程度である。半導体積層構造50の構成は、図6の半導体積層構造50の構成と同様であるので、その説明を省略する。
[0107]
 リッジ30は、前後方向に延びている。リッジ30は、半導体積層構造50の左右の幅中央よりも右側寄りに形成されている。リッジ30は、図6に示されるように、p型クラッド層16,18におけるリッジ部(第2p型クラッド層)18と、p型エッチングストップ層19と、p型キャップ層20とを含んでいる。
[0108]
 p側電極4は、平面視において、リッジ30を覆うように、導体積層構造50の表面の右側部の領域に形成されている。p側電極4は、半導体積層構造50の表面の右側部に形成された第1金属膜401と、第1金属膜401の表面のほぼ全域に積層された第2金属膜402と、第2金属膜402表面の左側部を除く領域のほぼ全域に形成された第3金属膜403とからなる。
[0109]
 第1金属膜401は、平面視において、半導体積層構造50表面の、リッジ30より所定距離(例えば10μm~50μm程度)だけ左側位置から半導体積層構造50の右辺よりも所定距離(例えば10μm~20μm程度)だけ左側位置までの領域全域に形成されている。第1金属膜401は、この実施形態では、Tiからなる。第1金属膜401は、平面視で前後方向に長い矩形である。第1金属膜401の左右方向の長さは、100μm~180μm程度である。第1金属膜401の前後方向の長さは、半導体積層構造50の前後方向の長さLと同じである。第1金属膜401の厚さは、0.05μm~0.2μm程度である。
[0110]
 第2金属膜402は、この実施形態では、Auからなる。第2金属膜402は、平面視で、第1金属膜401と同じ矩形形状に形成されている。第2金属膜402の厚さは、0.1μm~0.3μm程度である。
[0111]
 第3金属膜403は、この実施形態では、めっき法によって形成されたAuからなる。第3金属膜403は、平面視で前後方向に長い矩形である。第3金属膜403の左右方向長さは、50μm~150μm程度であり、第2金属膜402の左右方向長さよりも短い。第3金属膜403の前後方向長さは、第2金属膜402の前後方向長さよりも若干短い。第3金属膜403の右辺は、平面視において、第2金属膜402の右辺と一致している。第3金属膜403の厚さは、1μm~5μm程度である。
[0112]
 絶縁膜301は、半導体積層構造50の表面のうち第1金属膜401よりも左側の領域において、半導体積層構造50の周縁部を除く領域に形成されている。絶縁膜301は、前後方向に長い矩形である。絶縁膜301の左右方向長さは、150μm~350μm程度である。絶縁膜301の前後方向長さは、180μm~330μm程度である。絶縁膜301の厚さは、0.1μm~0.3μm程度である。絶縁膜301は、この実施形態では、SiNからなる。絶縁膜301は、SiO や、N型にドープしたエピ層であってもよい。
[0113]
 ヒータ302は、平面視において、リッジ30と平行に延びた直線状である。ヒータ302は、平面視において、第1金属膜401の左辺より所定距離(例えば15μm~100μm程度)だけ左側位置に形成されている。平面視において、ヒータ302とリッジ30との間隔は、10μm~70μm程度である。ヒータ302は、絶縁膜301の前辺近くから絶縁膜301の後辺近くまで延びている。ヒータ302の幅は、5μm~20μm程度である。
[0114]
 ヒータ302は、絶縁膜301上に形成されたTi膜411と、Ti膜411上に積層されたPt膜412との積層膜からなる。Ti膜411の厚さは、0.05μm~0.2μm程度である。Pt膜412の厚さは、0.05μm~0.3μm程度である。なお、Pt膜412の代わりに、W膜またはMo膜を用いてもよい。
[0115]
 第1ヒータ電極303は、絶縁膜301表面の前側半分の領域内に配置されている。第1ヒータ電極303は、電極部(主要部)303Aと、電極部303Aと一体的に形成された接続部303Bとを有している。電極部303Aは、ヒータ302に対して、p側電極4とは反対側に配置されている。電極部303Aは、平面視で、左右方向に長い矩形である。電極部303Aの前後方向長さは、100μm~150μm程度であり、絶縁膜301の前後方向長さの半分よりも少し短い。電極部303Aの左右方向長さは、100μm~250μm程度であり、絶縁膜301の左右方向長さよりも短い。電極部303Aは、平面視において、その前辺が絶縁膜301の前辺と一致しかつその左辺が絶縁膜301の左辺と一致するように形成されている。電極部303Aの右辺とヒータ302との間隔は、20μm~80μm程度である。
[0116]
 接続部303Bは、電極部303Aの右辺の前部から右方に延びている。接続部303Bの先端は、p側電極4の第1金属膜401の左辺近くまで延びている。接続部303Bの長さ中間部は、ヒータ302の前端部を覆っており、ヒータ302の前端部に機械的かつ電気的に接続されている。
[0117]
 第1ヒータ電極303の電極部303Aおよび接続部303Bは、絶縁膜301表面に形成された第1金属膜421と、第1金属膜421表面の全域に積層された第2金属膜422と、第2金属膜422の表面の全域に積層された第3金属膜423との積層膜からなる。
[0118]
 第1金属膜421は、この実施形態では、Tiからなる。第1金属膜421の厚さは、0.05μm~0.3μm程度である。第2金属膜422は、この実施形態では、Auからなる。第2金属膜422の厚さは、0.1μm~0.4μm程度である。第3金属膜423は、この実施形態では、めっき法によって形成されたAuからなる。第3金属膜423の厚さは、1μm~3μm程度である。
[0119]
 第2ヒータ電極304は、絶縁膜301表面の後側半分の領域内に配置されている。第2ヒータ電極304は、電極部(主要部)304Aと、電極部304Aと一体的に形成された接続部304Bとを有している。電極部304Aは、ヒータ302に対して、p側電極4とは反対側に配置されている。電極部304Aは、平面視で、左右方向に長い矩形である。電極部304Aの前後方向長さは、100μm~150μm程度であり、絶縁膜301の前後方向長さの半分よりも少し短い。電極部304Aの左右方向長さは、100μm~250μm程度であり、絶縁膜301の左右方向長さよりも短い。電極部304Aは、平面視において、その後辺が絶縁膜301の後辺と一致しかつその左辺が絶縁膜301の左辺と一致するように形成されている。電極部304Aの右辺とヒータ302との間隔は、20μm~80μm程度である。
[0120]
 接続部304Bは、電極部304Aの右辺の後部から右方に延びている。接続部304Bの先端は、p側電極4の第1金属膜401の左辺近くまで延びている。接続部304Bの長さ中間部は、ヒータ302の後端部を覆っており、ヒータ302の後端部に機械的かつ電気的に接続されている。
[0121]
 第2ヒータ電極304の電極部304Aおよび接続部304Bは、絶縁膜301表面に形成された第1金属膜431と、第1金属膜431表面の全域に積層された第2金属膜432と、第2金属膜432の表面の全域に積層された第3金属膜433との積層膜からなる。
[0122]
 第1金属膜431は、この実施形態では、Tiからなる。第1金属膜431の厚さは、0.05μm~0.3μm程度である。第2金属膜432は、この実施形態では、Auからなる。第2金属膜432の厚さは、0.1μm~0.4μm程度である。第3金属膜433は、この実施形態では、めっき法によって形成されたAuからなる。第3金属膜433の厚さは、1μm~5μm程度である。
[0123]
 なお、第1ヒータ電極303と第2ヒータ電極304とは、例えば、次のように形成されていもよい。すなわち、第2ヒータ電極304は、絶縁膜301上において、ヒータ302の後端部上から絶縁膜301の後辺および左辺に沿って延びた平面視L字状に形成される。一方、第1ヒータ電極303は、ヒータ302と第2ヒータ電極304とに囲まれた絶縁膜301上の領域において、ヒータ302の前端部上から左方向に延びた後、後方に延びるように形成される。
[0124]
 図26A~図26Fは、前述の半導体レーザ素子300の製造工程の一例を説明するための図解的な平面図である。図26A~図26Fの平面図は、図24の平面図に対応する平面図である。図27A~図27Fは、前述の半導体レーザ素子300の製造工程の一例を説明するための図解的な断面図である。図27A~図27Fの断面図は、図25の切断面に対応する断面図である。
[0125]
 まず、半導体積層構造50を用意する。そして、図26Aおよび図27Aに示すように、半導体積層構造50の表面全域に、絶縁膜301の材料膜である絶縁材料膜501が形成される。この実施形態では、絶縁材料膜501はSiN膜である。絶縁材料膜501は、SiO や、N型にドープしたエピ層であってもよい。
[0126]
 次に、図26Bおよび図27Bに示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングによって、絶縁材料膜501がパターニングされる。これにより、半導体積層構造50の表面の右側部および周縁部を除く領域に、平面視矩形状の絶縁膜301が形成される。
[0127]
 次に、図26Cおよび図27Cに示すように、真空蒸着法によって、絶縁膜301表面の右辺寄りに、前後方向に延びたヒータ302を形成する。ヒータ302は、絶縁膜301上に形成されたTi膜411と、Ti膜411上に積層されたPt膜412との積層膜からなる。
[0128]
 次に、図26Dおよび図27Dに示すように、半導体積層構造50表面の露出面および絶縁膜301の表面に、一部の領域を残して、真空蒸着法によって、第1金属膜401,421,431の材料膜である第1金属材料膜511および第2金属膜402,422,432の材料膜である第2金属材料膜512が順次形成される。第1金属材料膜511および第2金属材料膜512が形成されない一部の領域は、平面視において、絶縁膜301上の領域のうち、ヒータ302の両端部を除いた長さ中間領域およびその両側近傍部分を含む矩形領域である。この実施形態では、第1金属材料膜511はTi膜からなり、第2金属材料膜512はAu膜からなる。
[0129]
 次に、図26Eおよび図27Eに示すように、めっき法によって、第2金属材料膜512上に、第3金属膜403,423,433を形成する。
[0130]
 次に、図26Fおよび図27Fに示すように、第1金属材料膜511および第2金属材料膜512をパターニングする。これにより、第1金属材料膜511からなる第1金属膜401,421,431および第2金属材料膜512からなる第2金属膜402,422,432が得られる。
[0131]
 これにより、第1金属膜401と第2金属膜402と第3金属膜403とを備えたp側電極4と、第1金属膜421と第2金属膜422と第3金属膜423とを備えた第1ヒータ電極303と、第1金属膜431と第2金属膜432と第3金属膜433とを備えた第2ヒータ電極304とが得られる。第1ヒータ電極303は、電極部303Aと、ヒータ302の前端に機械的および電気的に接続された接続部303Bとからなる。第2ヒータ電極304は、電極部304Aと、ヒータ302の後端に機械的および電気的に接続された接続部304Bとからなる。
[0132]
 最後に、半導体積層構造50の裏面に、n側電極3が形成されることにより、図23~図25に示される半導体レーザ素子300が得られる。
[0133]
 前述の半導体レーザ素子300では、ヒータ302を備えているので、ヒータ302を駆動制御することによって、半導体レーザ素子300の温度を制御することが可能となる。
[0134]
 例えば、以下のようにヒータ302をオンオフ制御することにより、半導体レーザ素子300の温度がほぼ一定となるように、半導体レーザ素子300の温度を制御することが可能となる。
[0135]
 半導体レーザ素子300がオンとオフとを繰り返すように制御される場合、半導体レーザ素子300が最初にオンされる所定時間前に、ヒータ302をオンさせて半導体レーザ素子300を加熱する。そして、半導体レーザ素子300がオンされると、ヒータ302をオフさせる。これ以後は、半導体レーザ素子300がオフされるとヒータ302をオンさせ、半導体レーザ素子300がオンされるとヒータ302をオフさせる。
[0136]
 また、半導体レーザ素子300の温度を検出し、半導体レーザ素子300の温度が所定温度範囲内となるように、ヒータ302をオンオフ制御するようにしてもよい。
[0137]
 また、半導体レーザ素子300では、第1ヒータ電極303の電極部(主要部)303Aおよび第2ヒータ電極304の電極部(主要部)304A部は、それぞれ、ヒータ302に対して、p側電極4とは反対側に配置されている。そして、第1ヒータ電極303の電極部303A、第2ヒータ電極304の電極部304Aおよびp側電極4は、それぞれ、ヒータ302の厚さよりも厚い部分を有している。
[0138]
 具体的には、この実施形態では、ヒータ302の厚さが0.15μmであるのに対し、p側電極4の第3金属膜403が形成されている部分の厚さ、第1ヒータ電極303の厚さおよび第2ヒータ電極304の厚さは、1.30μmである。このため、半導体レーザ素子300を取り扱う際に、ヒータ302へ触れてキズが付くことを抑制できる。これにより、ヒータ302の劣化を抑制できる。このような観点から、第1ヒータ電極303の電極部303A、第2ヒータ電極304の電極部304Aおよびp側電極4は、ヒータ302の厚さの5倍以上の厚みを有している部分を備えていることが好ましい。
[0139]
 また、半導体レーザ素子300の半導体積層構造50の構成は、第1実施形態に係る半導体レーザ素子60の半導体積層構造50の構成と同様であるので、半導体レーザ素子300は、第1実施形態に係る半導体レーザ素子60と同様な効果を奏する。
[0140]
 なお、半導体レーザ素子300の半導体積層構造50は、図21の半導体レーザ素子60Aの半導体積層構造50または図22の半導体レーザ素子60Bの半導体積層構造50と同様な構成であってもよい。
[0141]
 また、半導体レーザ素子300の半導体積層構造50は、半導体レーザ光を出力できる構成であれば、前述した構成以外の構成であってもよい。半導体レーザ素子300の半導体積層構造50は、TMモードの偏光を発生させる構成に限らず、TEモードの偏光を発生させる構成であってもよい。
[0142]
 前述の第4実施形態に係る半導体レーザ素子300では、ヒータ302は直線状であったが、図28に示すように、ヒータ302は、平面視で蛇行状の形状を有していてもよい。
[5]第5実施形態
 図29は、本発明の第5実施形態に係る半導体レーザ素子の外観を示す図解的な斜視図である。図30は、図29の半導体レーザ素子の図解的な平面図である。図31は、図30のXXXI- XXXI線に沿う図解的な断面図である。図31において、前述の図6の各部に対応する部分には、図6と同じ符号を付して示す。
[0143]
 半導体レーザ素子600は、図1~図7に示した半導体レーザ素子60の広義の半導体積層構造50と同様な構成の半導体積層構造50を含む。説明の便宜上、図29および図31においては、半導体積層構造50の構成を簡略化して図示している。以下において、半導体積層構造50における基板1とは反対側の表面を表面といい、半導体積層構造50における基板1側の表面を裏面ということにする。
[0144]
 以下において、「前」とは図30の紙面の下側を、「後」とは図30の紙面の上側を、「左」とは図30の紙面の左側を、「右」とは図30の紙面の右側を、それぞれいうものとする。
[0145]
 半導体積層構造50は、平面視で前後左右の4つの辺を有し、かつ左右方向に長い矩形である。半導体積層構造50の表面の幅中央部には、略右半部の主半導体レーザ領域E1と、略左半部の熱源用半導体レーザ領域E2とを分離する領域分離溝603が形成されている。領域分離溝603は、平面視において、半導体積層構造50の表面を前後方向に縦断している。領域分離溝603は、半導体積層構造50内の基板1に達している。主半導体レーザ領域E1は、主半導体レーザ601として使用され、熱源用半導体レーザ領域E2は、熱源用半導体レーザ602として使用される。
[0146]
 この半導体レーザ素子600においては、主半導体レーザ領域E1および熱源用半導体レーザ領域E2のそれぞれに、リッジ30が形成されている。以下において、主半導体レーザ領域E1に形成されているリッジ30を第1リッジ30Aといい、熱源用半導体レーザ領域E2に形成されているリッジ30を第2リッジ30Bということにする。各リッジ30A,30Bは、図6に示されるように、p型クラッド層16,18におけるリッジ部(第2p型クラッド層)18と、p型エッチングストップ層19と、p型キャップ層20とを含んでいる。
[0147]
 主半導体レーザ領域E1において、半導体積層構造50における基板1の上側部分(狭義の半導体積層構造2)は、平面視で矩形である。
[0148]
 主半導体レーザ領域E1において、第1リッジ30Aは、前後方向に延びている。第1リッジ30Aは、主半導体レーザ領域E1の左右方向の中央(幅中央)よりも左側寄りに形成されている。第1リッジ30Aは、最下層にp型クラッド層16,18のリッジ部(第1リッジ部)18を含んでいる。
[0149]
 主半導体レーザ領域E1において、半導体積層構造50の表面には、主半導体レーザ601のための第1p側電極4Aが形成されている。第1p側電極4Aは、例えば、半導体積層構造50の表面に形成されたTi膜と、Ti膜に積層された第1Au膜と、第1Au膜に積層された第2Au膜とからなる。Ti膜および第1Au膜は、例えば真空蒸着法によって形成され、第2Au膜は、例えば、めっき法によって形成される。
[0150]
 熱源用半導体レーザ領域E2において、半導体積層構造50における基板1の上側部分(狭義の半導体積層構造2)は、平面視で矩形である。
[0151]
 熱源用半導体レーザ領域E2において、第2リッジ30Bは、前後方向に延びている。第2リッジ30Bは、熱源用半導体レーザ領域E2の左右方向の中央(幅中央)よりも右側寄りに形成されている。第2リッジ30Bは、最下層にp型クラッド層16,18のリッジ部(第2リッジ部)18を含んでいる。
[0152]
 熱源用半導体レーザ領域E2において、半導体積層構造50の表面には、熱源用半導体レーザ602のための第2p側電極4Bが形成されている。第2p側電極4Bは、例えば、半導体積層構造50の表面に形成されたTi膜と、Ti膜に積層された第1Au膜と、第1Au膜に積層された第2Au膜とからなる。Ti膜および第1Au膜は、例えば真空蒸着法によって形成され、第2Au膜は、例えば、めっき法によって形成される。
[0153]
 半導体積層構造50の裏面には、主半導体レーザ領域E1および熱源用半導体レーザ領域E2に跨るように、n側電極3が形成されている。n側電極3は、主半導体レーザ601および熱源用半導体レーザ602に共通したn側電極である。
[0154]
 つまり、半導体レーザ素子600は、主半導体レーザ601と、主半導体レーザ601に隣接して配置された熱源用半導体レーザ602とを備えている。主半導体レーザ601は、半導体積層構造50における主半導体レーザ領域E1に対応した部分と、第1p側電極4Aと、n側電極3とから構成されている。熱源用半導体レーザ602は、半導体積層構造50における熱源用半導体レーザ領域E2に対応した部分と、第1p側電極4Aと、n側電極3とから構成されている。主半導体レーザ601と、熱源用半導体レーザ602とは、共通した基板1を有している。
[0155]
 主半導体レーザ601は半導体レーザとして使用される。熱源用半導体レーザ602は主半導体レーザ601の温度を制御するための熱源として使用される。この熱源は、半導体レーザを駆動すると、光変換されないエネルギーが熱に変換されることを利用したものである。
[0156]
 このような半導体レーザ素子600は、例えば、次のようにして製造される。まず、第1リッジ部30Aおよび第2リッジ部30Bを有する半導体積層構造50を用意する。次に、半導体積層構造50の表面に、第1p側電極4Aおよび第2p側電極4Bを形成する。次に、半導体積層構造50の表面に、主半導体レーザ領域E1と熱源用半導体レーザ領域E2を分離するための領域分離溝603を形成する。最後に、半導体積層構造50の裏面に、第n側電極3を形成する。
[0157]
 前述の半導体レーザ素子600は、主半導体レーザ601と熱源用半導体レーザ602とを備えているので、熱源用半導体レーザ602を駆動制御することによって、主半導体レーザ601(半導体レーザ素子600)の温度を制御することが可能となる。
[0158]
 例えば、以下のように熱源用半導体レーザ602をオンオフ制御することにより、半導体レーザ素子600(主半導体レーザ601)の温度がほぼ一定となるように、半導体レーザ素子600の温度を制御することが可能となる。
[0159]
 主半導体レーザ601がオンとオフとを繰り返すように制御される場合、主半導体レーザ601が最初にオンされる所定時間前に、熱源用半導体レーザ602をオンさせて主半導体レーザ601を加熱する。そして、主半導体レーザ601がオンされると、熱源用半導体レーザ602をオフさせる。これ以後は、主半導体レーザ601がオフされると熱源用半導体レーザ602をオンさせ、主半導体レーザ601がオンされると熱源用半導体レーザ602をオフさせる。
[0160]
 また、主半導体レーザ601の温度を検出し、主半導体レーザ601の温度が所定温度範囲内となるように、熱源用半導体レーザ602をオンオフ制御するようにしてもよい。
[0161]
 また、半導体レーザ素子600の半導体積層構造50の構成は、第1実施形態に係る半導体レーザ素子60の半導体積層構造50の構成と同様であるので、半導体レーザ素子600は、第1実施形態に係る半導体レーザ素子60と同様な効果を奏する。
[0162]
 なお、半導体レーザ素子600の半導体積層構造50は、図21の半導体レーザ素子60Aの半導体積層構造50または図22の半導体レーザ素子60Bの半導体積層構造50と同様な構成であってもよい。
[0163]
 また、半導体レーザ素子600の半導体積層構造50は、半導体レーザ光を出力できる構成であれば、前述した構成以外の構成であってもよい。半導体レーザ素子600の半導体積層構造50は、TMモードの偏光を発生させる構成に限らず、TEモードの偏光を発生させる構成であってもよい。
[0164]
 前述の第5実施形態に係る半導体レーザ素子600では、熱源用半導体レーザ領域E2に形成されているリッジ30(第2リッジ30B)は、直線状であったが、図32に示すように、第2リッジ30Bは、平面視において、間隔をおいて直線状に配置された複数の矩形リッジ30bから構成されていてもよい。なお、各矩形リッジ30bは、最下層に第1p型クラッド層18からなる矩形リッジ部を含んでいる。
[0165]
 本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
[0166]
 この出願は、2018年12月28日に日本国特許庁に提出された特願2018-248029号および2019年2月18日に日本国特許庁に提出された特願2019-026821号に対応しており、その出願の全開示はここに引用により組み込まれるものとする。

符号の説明

[0167]
 1 基板
 2 半導体積層構造(狭義)
 3 n側電極
 4,4A,4B p側電極
 5 電流狭窄層
 6 ウエハ
 7 切断ライン
 7a 端面切断ライン
 7b 側面切断ライン
 8 第1分離溝痕跡
 9 第2分離溝痕跡
 10 活性層
 11 n側ガイド層
 12 p側ガイド層
 13 n型半導体層
 14 p型半導体層
 15 n型AlGaAsクラッド層
 16 第1p型AlGaAsクラッド層
 17 p型InGaPエッチングストップ層
 18 第2p型AlGaAsクラッド層
 19 p型InGaPエッチングストップ層
 20 p型GaAsキャップ層
 21 p型コンタクト層
 30,30A,30B リッジ
 30b 矩形リッジ
 31,32 共振器端面
 33,34 側面
 35 端面窓構造
 41 第1電極膜
 42 第2電極膜
 50 半導体積層構造(広義)
 60 半導体レーザ素子
 71 ZnO層
 72 マスク層
 80 第1分離溝
 81 第1テーパ状側面
 82 第2テーパ状側面
 83 底面
 90 第2分離溝
 100 個別素子
 110 バー状体
 221 量子井戸層
 222 障壁層
 300,600 半導体レーザ素子
 301 絶縁膜
 302 ヒータ
 303 第1ヒータ電極
 303A 電極部
 303B 接続部
 304 第2ヒータ電極
 304A 電極部
 304B 接続部
 401,421,431 第1金属膜
 402,422,432 第2金属膜
 403,423,433 第3金属膜
 411 Ti膜
 412 Pt膜
 501 絶縁材料膜
 512 第1金属材料膜
 601 主半導体レーザ
 602 熱源用半導体レーザ
 603 領域分離溝

請求の範囲

[請求項1]
 TMモードで発振する半導体レーザ素子であって、
 基板と、前記基板の表面側に配置されたn型クラッド層と、前記n型クラッド層に対して前記基板とは反対側に配置された活性層と、前記活性層に対して前記n型クラッド層とは反対側に配置されたp型クラッド層とを有する半導体積層構造を含み、
 前記活性層は、TMモード発振を生じさせるための引っ張り歪みを有する量子井戸層を含み、
 前記n型クラッド層およびp型クラッド層は、それぞれAlGaAs層からなる、半導体レーザ素子。
[請求項2]
 レーザ共振器の端面部分に、前記活性層のバンドギャップを拡大する端面窓構造が形成されている請求項1に記載の半導体レーザ素子。
[請求項3]
 前記活性層は、
 複数の前記量子井戸層と、
 隣接する前記量子井戸層に挟まれ、圧縮歪みを有する障壁層とを含む、請求項1または2に記載半導体レーザ素子。
[請求項4]
 前記基板がGaAs基板からなり、
 前記量子井戸層が、GaAsP層からなる、請求項3に記載の半導体レーザ素子。
[請求項5]
 前記基板がGaAs基板からなり、
 前記障壁層が、InAlGaAs層からなる、請求項3または4に記載の半導体レーザ素子。
[請求項6]
 前記p型クラッド層に対して前記活性層とは反対側に形成され、前記活性層に流れる電流を狭窄するための電流狭窄層をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
[請求項7]
 共振器長方向から見て、前記p型クラッド層における前記活性層とは反対側の表面は、前記活性層の表面と平行な平坦部と、前記平坦部の両側にそれぞれ形成されかつ前記活性層の表面に対して傾斜した傾斜面とを含んでおり、
 前記p型クラッド層の前記平坦部上には、p型GaAsキャップ層が形成されており、
 前記電流狭窄層は、前記p型クラッド層の前記傾斜面と前記p型GaAsキャップ層の側面とを覆うように形成されている、請求項6に記載の半導体レーザ素子。
[請求項8]
 前記電流狭窄層が、AlGaAs層と、前記AlGaAs層上に形成されたGaAs層との積層膜からなる、請求項7に記載の半導体レーザ素子。
[請求項9]
 前記電流狭窄層の表面および前記p型GaAsキャップ層の表面を覆うように形成されたGaAsコンタクト層と、
 前記GaAsコンタクト層上に形成されたp側電極と、前記基板の裏面に形成されたN側電極を含む、請求項7に記載の半導体レーザ素子。
[請求項10]
 前記半導体積層構造が、前記レーザ共振器の共振面を構成する一対の端面と、一対の側面と、前記一対の側面において、前記半導体積層構造の表面に連なる上縁領域に形成された第1分離溝痕とを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
[請求項11]
 前記第1分離溝痕が、前記半導体積層構造の長さ方向全域にわたって形成されている、請求項10に記載の半導体レーザ素子。
[請求項12]
 前記半導体積層構造が、前記一対の側面において、前記半導体積層構造の裏面に連なる下縁領域に形成された第2分離溝痕をさらに有する、請求項10または11に記載の半導体レーザ素子。
[請求項13]
 前記第2分離溝痕が、前記半導体積層構造の長さ方向中間部に形成されている、請求項12に記載の半導体レーザ素子。
[請求項14]
 前記半導体積層構造における前記基板側とは反対側の表面の一部に形成された半導体レーザ用p側電極と、
 前記半導体積層構造の前記表面の一部に形成された絶縁膜と、
 前記絶縁膜上に形成されたヒータと、
 前記絶縁膜上に形成され、前記ヒータの一端に接続された第1ヒータ電極および前記ヒータの他端に接続された第2ヒータ電極とを含む、請求項1に記載の半導体レーザ素子。
[請求項15]
 前記第1ヒータ電極の主要部および前記第2ヒータ電極の主要部は、それぞれ、前記ヒータに対して、前記半導体レーザ用p側電極とは反対側に配置されており、
 前記第1ヒータ電極の主要部、前記第2ヒータ電極の主要部および前記半導体レーザ用p側電極は、それぞれ、前記ヒータの厚さよりも厚い部分を有している、請求項14に記載の半導体レーザ素子。
[請求項16]
 前記ヒータの厚さよりも厚い部分は、前記ヒータの厚さの5倍以上の厚さを有している、請求項15に記載の半導体レーザ素子。
[請求項17]
 前記p型クラッド層は、直線状のリッジ部を有しており、
 前記半導体レーザ用p側電極は、平面視において、前記リッジ部を含む領域に形成されている、請求項14~16のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
[請求項18]
 前記ヒータは、平面視において、前記リッジ部と平行に配置されている、請求項17に記載の半導体レーザ素子。
[請求項19]
 前記ヒータは、平面視において、直線状に延びている、請求項18に記載の半導体レーザ素子。
[請求項20]
 前記ヒータは、平面視において、蛇行状に延びている、請求項18に記載の半導体レーザ素子。
[請求項21]
 前記ヒータは、前記絶縁膜上に形成されたTi膜と、前記Ti膜上に積層されたPt膜との積層膜から構成されている、請求項14~20のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
[請求項22]
 前記半導体積層構造における前記基板側とは反対側の表面には、主半導体レーザとして使用される主半導体レーザ領域と、熱源用半導体レーザとして使用される熱源用半導体レーザ領域とを分離する領域分離溝が形成されており、
 前記主半導体レーザ領域において、前記半導体積層構造の前記表面には、前記主半導体レーザのための第1p側電極が形成され、
 前記熱源用半導体レーザ領域において、前記半導体積層構造の前記表面には、前記熱源用半導体レーザのための第2p側電極が形成されている、請求項1に記載の半導体レーザ素子。
[請求項23]
 前記領域分離溝は、前記基板に達している、請求項22に記載の半導体レーザ素子。
[請求項24]
 前記半導体積層構造における前記表面とは反対側の裏面には、前記主半導体レーザおよび前記熱源用半導体レーザのためのn側電極が形成されている、請求項22または23に記載の半導体レーザ素子。
[請求項25]
 前記主半導体レーザ領域において、前記p型クラッド層は、直線状の第1リッジ部を有しており、
 前記熱源用半導体レーザ領域において、前記p型クラッド層は、直線状の第2リッジ部を有している、請求項22~24のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
[請求項26]
 第2リッジ部は、平面視において、間隔をおいて直線状に配置された複数の矩形リッジから構成されている、請求項25に記載の半導体レーザ素子。

図面

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[ 図 3]

[ 図 4]

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[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

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[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16A]

[ 図 16B]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20A]

[ 図 20B]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]

[ 図 26A]

[ 図 26B]

[ 図 26C]

[ 図 26D]

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[ 図 26F]

[ 図 27A]

[ 図 27B]

[ 図 27C]

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[ 図 27F]

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